説明

試料液体を少ない容量で分配するための装置および方法

試料液体を少ない容量で分配するための装置であって、該装置は不透過性の材料から予備成形された剛性のあるダクトを備え、該ダクトは1つの入口と1つ以上の出口とを有し、該ダクトの寸法がダクトに沿って変化して連通ダクトと分岐点とレザバとを形成することを特徴とする装置ならびにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料液体を少ない容量で分配するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
医薬、生物学および微生物学の分野では、試料液体をより少量の部分に整然と分けることが必要とされる分析や培養の技術がいくつかあり、これらは殆どの場合、難しい作業が必要であり、その実現には、非常に時間がかかるか、あるいは非常に高性能で高価な装置が必要となる。
【0003】
さらに、研究され得る生物の多様性はとても広く、そのそれぞれに対して最も適した開発が求められているが、その代謝の特性と同じく、それぞれ相違するものである。これらの相違の例としては、生物の成長および代謝へのOの発生の影響がある。これらの特性は、病原において重要であり、以下のようにグループ分けされることによる生物の単離および同定においても重量である。
【0004】
1.偏性好気性生物:偏性好気性生物は、酸素を必要とし、発酵を行う能力に欠く。
【0005】
2.偏性嫌気性生物:偏性嫌気性生物は、酸素がなくても、唯一成長することができる。
【0006】
3.通性生物:通性生物は、呼吸代謝への空気の流通(エアーパス)があれば、酸素が存在していても、酸素が存在していなくても、その両方で成長する。
【0007】
4.耐気性嫌気性生物:耐気性嫌気性生物は、酸素が存在していても、酸素が存在していなくても成長することはできるが、その代謝は常に発酵によるタイプのものである。
【0008】
従って、その最適な開発にとって、その培養の場所に空気が存在するか存在しないかは非常に重要なことであり得る。
【0009】
微生物学において、水中での細菌および他の微生物の定量化に最も共通して使用される方法は、膜ろ過による方法および最確数(NMP)法である。前者は、コロニー数が非常に多い場合にその定量化が困難であることから、後者よりも幾分か制限を受ける。NMPの手順は、単位容量あたりの細菌数の統計的な推算に基づき、一連のインキュベート後の試験管またはレザバでの陽性の結果の数によって決定される。インキュベートしたレザバの数が多ければ多いほど、得られる結果の精度は向上する。また、細菌のカウント数が非常に多い場合、この方法では、希釈を行って有効な判断を見出すことができ、それによって試料液体の細菌密度の明確な認識を得ることができる。
【0010】
簡潔かつ迅速に試料液体を少量の均一な多数の部分に分割する方法、ならびに、場合に応じて(もし、あり得る場合)、各培養レザバまたはコンパートメント中に空気があるかないかの能力は、最適な結果を得るのに有用である。
【0011】
NMP法による細菌密度の推算は以下の2つの方法で行うことができる。1つは、ピペットまたは同様のデバイスを通して試料液体を手作業で分離する、試験管を使用する「水および排水の標準的な試験方法」に記載の複数の試験管による決定によるものであり、もう1つは、米国特許第5518892号明細書(特許文献1)、米国特許第5620895号明細書(特許文献2)、米国特許第5753456号明細書(特許文献3)に開示の方法を用いるものである。これらの特許文献では、バッグからなる装置を使用してサンプルを分離する。このバッグ内において試料液体をローラの機械的な動作によって分割し、ローラがそれと同時にフィルムをバッグの硬い側部に接着させるのに必要な熱を付与し、それによって試料の完全な分離を達成する。この選択は、各アリコートに特定量の空気を残すという選択肢を許さず、分離および分割のための特別な器具をも必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5518892号明細書
【特許文献2】米国特許第5620895号明細書
【特許文献3】米国特許第5753456号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、不透過性の材料から予備成形された剛性のあるダクト(もしくは導管)にあり、このダクトは1つの入口と1つ以上の出口とを有し、重力の影響および空気の移動によって、当該ダクト内に予備成形されたレザバ(もしくは貯槽)またはコンパートメント(もしくは区画)への試料液体の自動的な分配が達成される。ダクトの寸法はダクトに沿って(ダクトの長さ方向に沿って)変動し、連通ダクト、レザバおよび必要に応じて分岐点を形成する。入口および出口(単数または複数)がより高い位置およびより低い位置にあり、2個以上のレザバ(同一であってもそれぞれ異なっていてよい)が(A)独立して、(B)列を形成して配置され得るように、上記ダクトを配置する。
【0014】
(A)独立:各レザバは、試料液体の入口とレザバとの間、ならびに、装置の頂部に到達する排気される空気の出口ダクトとレザバとの間に連通ダクトを有する。
【0015】
(B)列の形成:2個以上のレザバがダクトで接続されていて、レザバは、試料液体の上方の入口と直接接続され、なおかつ、装置の上部で排気される空気の出口とも直接接続されている(ただし、上記レザバの全てがこのようなダクトを有しているというものではない)。
【0016】
試料が分けられるべき部分の全数、試料の容量と空気の量との合計、各レザバに分配されることが望まれる試料液体に応じて、レザバの大きさを計算する。また、各レザバで用いられる幾何学的形状は、同一であっても、それぞれ異なっていてよい。
【0017】
上記連通ダクトがレザバに入り、そしてレザバから出る高さのレベル(位置)は、試料液体の所望の割合またはパーセンテージならびに各レザバに残ることが望ましい空気の所望の割合またはパーセンテージによって決定される。空気なしで試料液体を残す場合であってもこのように決定される。このレベルは、ユーザーのニーズに応じて、全てのレザバで同一であっても、それぞれ異なっていてもよく、装置の直立の位置を考慮に入れて計算される。
【0018】
連通ダクトは、全てのレザバにおいて、常に同一の側に配置していてもよく、そうすることによって、ダクトが位置する側とは反対側の位置に装置を配置した(倒した)とき、試料液体はこの連通ダクトから重力によって排出され、レザバ内に収容され、このようにして、試料液体は分けられ、さらに完全に分離および独立する。
【0019】
試料液体と空気との割合を変動させる必要がある場合には、試料液体を収容する際、装置の傾斜角度を変更することで十分である。
【発明の効果】
【0020】
上記特許文献に開示の装置とは以下の点で異なる。
【0021】
相違点は、不透性の剛性のある予備成形されたダクトであり、このダクトによって、単なる重力の作用や空気の移動によって、2個以上のレザバへの試料液体の自動的な分配が行われ、各レザバ(またはコンパートメント)に予め決められた量の液体および空気を残す。このダクトには以下の利点がある。各コンパートメントにおいて排出される空気の出口の高さを単純に変えることによって、所定の量の空気を分配することができる。そのため、このダクトを酸素がある状態または無い状態で代謝が最適に作用する微生物の検出に使用することができる(空気の容量は0%からレザバ内での存在に必要とされるパーセンテージまで変更することができる)。
【0022】
別の利点は以下の通りである。レザバが十分な空気を含む場合であって、さらにレザバの設計が適切である場合、この装置を単に倒すか、または回転させることによって、各レザバ中の液体は、その静止した状態から分割される。また、このコンポーネント間での分割(隔離)は、特定の部分に付与された熱および圧力の作用によって、レザバが有する連通ダクトをそれぞれ封止(シール)するだけでも得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】以下の構成要素を有する分離(独立)したレザバを垂直正面図で示す図である。a:連通ダクト b:試料の入口ダクト c:独立レザバ d:排気される空気の出口ダクト e:試料液体の容量 f:空気の容量
【図2】連続したレザバを有するダクトの垂直正面図を示す図であり、以下の構成要素を示す。a:連通ダクト b:試料の入口ダクト c:連続レザバ d:排気される空気の出口ダクト e:試料液体の容量 f:空気の容量
【図3】2以上の列(レザバが連続した列)をまとめて多数の分離(独立)したレザバが達成できることを示し、各列はそれぞれ独立した出口ダクトを有する。
【図4】レザバの横向きの位置(配置)を示す。連通ダクトを空にするために、レザバの片側に連通ダクトを配置してもよく、装置を回転するとその中に含まれた液体は重力の影響によって連通ダクトから排出されてレザバ内に収容される。また、この分割に加えて、試料液体の完全な分離(隔離)を達成する。
【図5】本発明の第1の実施形態の図を示す。
【図6】本発明の第2の実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、不透過性の材料から予備成形された剛性のあるダクト(もしくは導管)にあり、このダクトは1つの入口と1つ以上の出口とを有し、重力の影響および空気の移動によって、当該ダクト内に予備成形されたレザバ(もしくは貯槽)またはコンパートメント(もしくは区画)への試料液体の自動的な分配が達成される。ダクトの寸法はダクトに沿って(ダクトの長さ方向に沿って)変動し、連通ダクト、分岐点およびレザバを形成し、これらは、空気の流れを制御でき、ダクト内に形成されたレザバに試料液体が収容できるように配置される。
【0025】
入口および出口(単数または複数)がより高い位置およびより低い位置にあり、2個以上のレザバ(同一であってもそれぞれ異なっていてよい)が(A)独立して、(B)列を形成して配置され得るように、上記ダクトを配置する。
【0026】
(A)独立:各レザバは、試料液体の入口とレザバとの間、ならびに、装置の頂部に到達する排気される空気の出口ダクトとレザバとの間に連通ダクトを有する。
【0027】
(B)列の形成:2個以上のレザバがダクトで接続されていて、レザバは、試料液体の上方の入口と直接接続され、なおかつ、装置の上部で排気される空気の出口とも直接接続されている(ただし、上記レザバの全てがこのようなダクトを有しているというものではない)。これら連続したレザバの配列は、垂直方向でも、水平方向でもよく、あるいは、当該装置の設計に準じてそれらを組み合わせてもよい。
【0028】
2以上の連続したレザバを当該装置において使用することができる。
【0029】
試料を分けるべき部分の全数、試料の容量と空気の量との合計、各レザバに分配されることが望まれる試料液体に応じて、レザバの大きさを計算する。また、各レザバで用いられる幾何学的形状は、同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
【0030】
上記連通ダクトがレザバに入り、そしてレザバから出る高さのレベル(位置)は、試料液体の所望の割合またはパーセンテージならびに各レザバに残ることが望ましい空気の所望の割合またはパーセンテージによって決定される。空気なしで試料液体を残す場合であってもこのように決定される。このレベルは、ユーザーのニーズに応じて、全てのレザバで同一であっても、それぞれ異なっていてもよく、装置の直立の位置を考慮に入れて計算される。
【0031】
連通ダクトは、全てのレザバにおいて、常に同一の側に配置してもよく、そうすることによって、ダクトが位置する側とは反対側の位置に装置を配置した(倒した)とき、試料液体は、この連通ダクトから、重力によって排出され、レザバ内に収容され、このようにして、試料液体は分けられ、さらに完全に分離および独立する。
【0032】
試料液体と空気との割合を変動させる必要がある場合、試料液体を収容する際には、装置の傾斜角度を変更することで十分である。そのために予め必要なことは、全ての連通ダクトを同じ方向に向けて配置することだけである。
【0033】
最終的には、端部(各列の互いに連結されたレザバまたは分離(独立)したレザバへの試料液体の流れを可能にするダクトからと考えられる端部)に配置された各レザバから、さらに別のダクトが延びていて、このダクトは、さらに高いレベル(位置)へと上昇し、このような列の全てのレザバまたはレザバ(単数)からの余剰な空気を排出させることができるのに役立つ。
【0034】
レザバは、その位置に拘らず、ダクトにつながる入口およびその出口(単数または複数)のレベル(高さ)よりも低い位置に常に配置されなければならない。
【0035】
レザバおよびダクトの大きさならびに連通ダクトからレザバへの入口および出口の位置は、以下の変動するものに合わせて、規定される。
【0036】
1.分析する試料の量
2.使用され得るレザバの数ならびに幾何学的形状
3.各レザバに残すのに必要な空気のパーセンテージまたは割合
4.さらに連通ダクトの閉鎖が必要になる場合
【0037】
従って、各レザバおよびダクトの長さ、幅および高さの寸法は、製造方法、幾何学的な形状または所望の設計に最も適した大きさに調整することができる。ただし、その寸法は、各レザバで必要な空気の量を含む所望の容量を有し、装置の直立した配置を考慮に入れたものである。
【0038】
ダクトと複数のレザバ(互いに同一であるか否かに拘らない)との容量の合計は、全試料の容量と所望の空気のパーセンテージとを合わせたものに等しい。
【0039】
各レザバの連通ダクトの上部が位置する高さは、ダクト内に含まれる試料液体の容量を考慮に入れて、各レザバの試料液体よりも高い位置が得られるように決定され、全ての場合において、ダクトをレザバの同じ側に好ましくは配置する。
【0040】
頂部の試料液体の入口とともにダクトを垂直に配置する。試料液体をダクトに注ぎ、重力の影響によって、その下方の連通ダクトを通して、試料液体を小さなレザバのそれぞれに分配する。レザバ内に含まれていた空気をこの液体と置換し、空気は上方に延びる連通ダクトを通して出され、各レザバでの規定の充填が可能となる。
【0041】
空気を含有させることが望まれるレザバの場合であって、さらに他の器具を使用することなく試料の分割の達成が必要とされる場合、レザバの幅は、十分に大きく、レザバの長さに比例してそれよりも大きいものでなければならない。そうすることによって、装置を下側に向けて寝かせるだけで連通ダクトはその上部に存在するようになり、重力の影響によって、ダクト内に位置する試料液体をダクトから追い出してレザバ内に配置させる。各レザバからの試料液体の最終容量は、連通ダクトが位置するレベル(高さ)に到達しない。このようにして、分割に加えて、試料液体の分離をも達成する。また、連通ダクトの特定の部分のみに熱および圧力を付与する装置を用いて、連通ダクトの全ての通路を塞ぐことによって、レザバを最終的に隔離することもできる。
【実施例】
【0042】
本発明の好ましい実施形態
実施例1(図5):72個のレザバのNMP(法)による、好気性および嫌気性の通性の細菌の定量化のための装置
【0043】
この装置の例は、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)もしくは同様の物質、またはその組み合わせ、または熱可塑性もしくは熱硬化性の物質などの材料からなるダクトであり、透明であり、2枚のプレートから構成され、一方のプレートは、所望の大きさおよび形状で熱成形されたダクトの一部を有し、他方の相補的なプレートは、この第1のプレートと結合し、最終的に上記ダクトの形状となるものである。
【0044】
熱成形されたプレートにおけるダクトの設計には以下のものが含まれる。
液体を分配するための大きなレザバであって、この大きなレザバは頂部にあり、容量が100mlであり、また、上部開口を有し、これを通して試料液体を導入することができる。
【0045】
また、この装置は、6つの高さ(レベル)に配置された72個の同じレザバを有し、それぞれの高さ(レベル)において12個のレザバが連続している。各レザバは容量が1.95mlであり、寸法は1cm×1.2cm×1.625cmである。それぞれの高さ(レベル)においてレザバは、連通ダクトによって、隣り合わせに結合されている。連通ダクトは、直径が0.7cmのハーフパイプの形態であり、レザバの底部から1.15cmの高さに配置されている。各レザバは、1.38mlの容量の試料液体を含むことができ、空気のパーセンテージを30%とすることができる。各列の最初のレザバは、直径が0.7cmのダクトを介して、直径が0.7の2本の垂直のダクトの一方に接続され、次いで、上記の大きなレザバに接続され、第1のレザバは第2のレザバと接続し、第2のレザバは残りの(続きの)レザバと接続されている。形状がハーフパイプであり、なおかつ、直径が0.3cmである連通ダクトが、他の連通ダクトと同じ高さで、最後の小さいレザバからプレートの頂部に向かって延びている。それによって、余剰の空気を排出することができる。このようにして同じ高さ(レベル)のレザバを通過する試料液体の流れを可能にする。
【0046】
この熱成形されたプレートは、熱および/または圧力および/または接着剤によって、相補的なプレートと結合されていて、この2つの部品が共に結合して、剛性があり、なおかつ、不透過性のダクトを形成する。
【0047】
最後に、縁部をダイカットによって切断し、上記の空気の排気を促進する連通ダクトと、上方のレザバに至る試料液体の入口とをその外側に向けて開口する。製造が終わると、試験(NMPなどの試験)を行うために、各微生物の種類に応じた特定の試薬を用いて、装置に滅菌処理を施す。
【0048】
大きい方のレザバと、頂部に試料液体の入口とを有するこの装置を垂直に配置する。試料液体を当該レザバに注ぎ、重力の影響および空気の移動によって、連通ダクトを通して、小さい方のレザバのそれぞれに液体試料を分配する。小さい方の各レザバの底部に試料液体が残る。それによって、所望のパーセンテージの空気がその中に残ることが可能となり、このとき、空気は、連通ダクトが位置するレベル(高さ)よりも上側にある。この中に含まれる余剰の空気は、隣接するレザバへの連通ダクトを通して、最終的には、上方のレザバの側部を通して上昇するダクトに排出され、試料液体の小さい方のレザバへの分配が可能となる。
【0049】
全てのレザバに試料が分配され、試料液体の流れが停止した後に別のレザバの間での試料液体の接触を防止するためには、装置を倒して連通ダクトを上側に配置するだけでよく、これによって、各レザバ内に残存する空気が液体を他のレザバから隔離して、隣接するレザバの液体との接触を回避する。また、連通ダクトの特定部分のみに熱および圧力を付与する装置を用いて、全ての連通ダクトの通路を封鎖することによって、レザバを最終的に隔離することができる。
【0050】
実施例2(図6):75個の連通した独立レザバのNMP(法)による、好気性および嫌気性の通性の細菌の定量化のための装置
【0051】
この装置の例は、例えば、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)もしくは同様の物質、またはそれらの組み合わせ、または熱可塑性もしくは熱硬化性の物質、または共押出物および混合物などの材料からなるダクトであり、透明であり、2枚のプレートから構成され、一方のプレートは、所望の大きさおよび形状で熱成形されたダクトの一部を有し、他方の相補的なプレートは、この第1のプレートと結合し、最終的に上記ダクトの形状となるものである。
【0052】
熱成形されたプレートにおけるダクトの設計には以下のものが含まれる。
液体を分配するための大きなレザバであって、この大きなレザバは頂部にあり、容量が100mlであり、また、上部開口を有し、これを通して試料液体を導入することができる。
【0053】
また、この装置には72個の同じレザバが8列に配置され、各列には連続した9個のレザバがあり、さらに3個のレザバがある。各レザバは、液体と空気との特定の比を有する予め決められた容量を有する。それぞれのレベル(位置)にあるレザバは、レザバの底部から所定の高さに配置された連通ダクトを通して、隣接するレザバに取り付けられている。それによって、各レザバが特定容量の試料液体および特定のパーセンテージの空気を含むことができる。各列(レザバが連続した列)の最初のレザバは、ダクトを介して、大きい方のレザバから延びる主たる分配ダクトの水平な部分に取り付けられる。各列(レザバが連続した列)の最後の小さい方のレザバからは、他の連通ダクトと同じ高さで、主たる空気の出口につながり、そこから装置の頂部へと連通ダクトが延び、それによって、余剰の空気を排出することができ、これによって各レザバを通る試料液体の流れが可能となる。
【0054】
この熱成形されたプレートは、熱および/または圧力および/または接着剤によって、相補的なプレートと結合されていて、この2つの部品が共に結合して、剛性があり、なおかつ、不透過性のダクトを形成する。
【0055】
最後に、縁部をダイカットによって切断し、入口(この入口を通して上方のレザバに試料液体を注ぐ)と、空気の排出を促進する連通ダクトとをその外側に向けて開口する。製造が終わると、試験(NMPなどの試験)を行うために、各微生物の種類に応じた特定の試薬を用いて、装置に滅菌処理を施す。
【0056】
大きい方のレザバと、頂部の試料液体の入口とを有するこの装置を垂直に配置する。試料液体を当該レザバに注ぎ、重力の影響および空気の移動によって、連通ダクトを通して、小さい方のレザバのそれぞれに液体試料を分配する。小さい方の各レザバの底部に試料液体が残る。それによって、所望のパーセンテージの空気がその中に残ることが可能となり、このとき、空気は連通ダクトが位置するレベル(高さ)よりも上側にある。この中に含まれる余剰の空気は、その上側に位置するレザバへの連通ダクトを通して、最終的には、主たる空気の出口ダクトへと上昇するダクトを通して排出され、これによって、試料液体の小さい方の各レザバへの分配が可能となる。
【0057】
全てのレザバに試料が分配され、試料液体の流れが停止した後に別のレザバの間での試料液体の接触を防止するためには、装置を回転させるだけでよく、連通ダクトを上側に配置し、これによって、レザバ間の連通ダクトに含まれる試料液体を流して対応するコンパートメント(区画)に入れ、当該ダクトに液体がない状態にする。主たる分配ダクトに含まれる試料液体を3個の追加のレザバに分配する。最終的には、レザバを下側に向けてこの装置を倒して、ダクトを上側の面に向けて配置する。また、連通ダクトの特定部分のみに熱および圧力を付与する装置を用いて、全ての連通ダクトの通路を封鎖することによって、レザバを最終的に隔離することができる。
【0058】
各レザバにおいて、液体:空気の比を変更することが望ましい場合には、試料液体を注ぐときに装置の傾きを垂直から変更するだけでよい。
【0059】
このデータに関して、上記の発明を実施するのに出願人が知る最良の方法は、当該発明の開示から明らかであるものであることに留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液体を少ない容量で分配するための装置であり、該装置は、不透過性の材料から予備成形された剛性のあるダクトを備え、該ダクトは1つの入口と1つ以上の出口とを有し、該ダクトの寸法がダクトに沿って変化して連通ダクトと分岐点とレザバとを形成することを特徴とする装置。
【請求項2】
各レザバが入口ダクトと出口ダクトとを有し、該入口ダクトは、該レザバを試料液体の入口ダクトおよび/または他のレザバと連通させ、該出口ダクトは、該レザバを他のレザバおよび/または出口ダクトと連通させることを特徴とする、請求項1に記載の試料液体を少ない容量で分配するための装置。
【請求項3】
ダクトによって2個以上のレザバが共に連続して連通していることを特徴とする、請求項1に記載の試料液体を少ない容量で分配するための装置。
【請求項4】
入口および出口(単数または複数)がより高い位置にあり、その下方に2個以上のレザバが存在するように前記ダクトを配置することを特徴とする、請求項1に記載の試料液体を少ない容量で分配するための装置。
【請求項5】
ポリビニルクロリド(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などまたはそれらの組み合わせあるいは基準を満たす熱可塑性または熱硬化性の物質から選択される材料から作製されることを特徴とする、請求項1に記載の試料液体を少ない容量で分配するための装置。
【請求項6】
前記試料液体を前記ダクトの頂部に注ぎ、重力の影響および空気の移動によって、前記連通ダクトを通して、試料液体を小さなレザバのそれぞれに分配し、試料液体が小さなレザバのそれぞれに入ってその底部に溜まり、前記出口ダクトを所望の高さに配置することによって、所定のパーセンテージの空気がレザバの内部に留まることができ、レザバ内に含まれる余剰の空気および残余の試料液体は、他のレザバの入口への連通ダクトを通して、最終的には頂部まで上昇する出口ダクトを通して排出され、小さなレザバのそれぞれへの所望の分配が可能となる、請求項1に記載の試料液体を少ない容量で分配するための装置の使用。
【請求項7】
請求項1に記載の試料液体を少ない容量で分配するための装置の製造方法であり、熱成形プレートをポリビニルクロリド(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などまたはそれらの組み合わせあるいは基準を満たす熱可塑性または熱硬化性の物質から形成する工程を含み、該装置は、前記ダクトと、連通ダクト、分岐点およびレザバとを含み、該プレートは、熱および/または圧力および/または接着剤によって、相補的なプレートと結合され、該プレートとの結合によって剛性のある不透過性のダクトを形成し、縁部をダイカットにより切断し、該連通ダクトをその外側に向けて開口すること特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−520677(P2013−520677A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554952(P2012−554952)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/MX2011/000032
【国際公開番号】WO2011/105884
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512218913)
【出願人】(512218924)
【Fターム(参考)】