試料測定装置
【課題】検体試料の測定結果を迅速に報告することが可能な試料測定装置を提供する。
【解決手段】この試料測定装置(遺伝子増幅分析システム100)は、サンプル試料および精度管理試料を載置するための試料載置部20と、試料載置部20に載置されたサンプル試料および精度管理試料を分注する分注部10と、分注部10により分注されたサンプル試料および精度管理試料を反応させる反応部50と、試料載置部20にサンプル試料と精度管理試料とが載置された場合に、サンプル試料を反応部50に先に分注し、その後に精度管理試料を反応部50に分注するように分注部50を制御する制御部80とを備えている。
【解決手段】この試料測定装置(遺伝子増幅分析システム100)は、サンプル試料および精度管理試料を載置するための試料載置部20と、試料載置部20に載置されたサンプル試料および精度管理試料を分注する分注部10と、分注部10により分注されたサンプル試料および精度管理試料を反応させる反応部50と、試料載置部20にサンプル試料と精度管理試料とが載置された場合に、サンプル試料を反応部50に先に分注し、その後に精度管理試料を反応部50に分注するように分注部50を制御する制御部80とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料測定装置に関し、特に、検体試料および対照試料を測定する試料測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの検体試料を試料測定装置で測定する臨床検査分野においては、装置が正常に動作していることや正常な試薬により検査が行われていることを確認するために、既知濃度の対照試料(精度管理試料)を測定し、その対照試料の測定結果が基準範囲に入るかどうかを調べる精度管理が広く行われている。また、検体試料の測定結果を報告(検体試料の測定結果を確定)するためには、対照試料の測定結果が基準範囲に入っていることを確認してから報告することが求められている。そして、近年では、高齢化社会を背景に、検体試料の検査依頼が増加しており、検体試料の迅速処理が望まれている。
【0003】
対照試料の測定のタイミングは、検体試料の測定項目や検査施設によって様々である。最初に対照試料を測定して、その結果が基準範囲内にあることを確認してから検体試料を測定する場合や、所定数の検体試料を測定する度に対照試料を測定する場合などがある。また、測定の途中で測定装置または測定試薬に異常が発生することがあるが、最初に対照試料を測定する場合において、異常発生前の正常な測定装置または測定試薬によって測定した対照試料の正常な測定結果では、異常が発生した後の測定装置または測定試料の異常を捕らえることはできない。
【0004】
この場合、全ての検体試料の測定が終わってから、その後に、対照試料をセットするとともにそのセットした対照試料を測定することも考えられる。しかし、その場合には、検体試料の測定後に、対照試料をセットするとともにそのセットした対照試料を測定して、その対照試料の測定値が基準範囲内にあることを確認してから検体試料の測定結果を報告する必要がある。この場合、対照試料をセットするための作業分だけ、検体試料の測定結果の報告が遅くなってしまうという不都合がある。
【0005】
そこで、従来、検体試料および対照試料を自動的に自動分析装置に提供する自動化システムとして、精度管理用検体(対照試料)を収容したラックを複数個設置可能な精度管理検体投入ユニットを搬送ラインの途中に設け、予め決められたパラメータに従い、一般検体(検体試料)を収容したラックの間に精度管理用検体を収容したラックを自動的に搬送ライン上に投入することにより、一般検体および精度管理用検体を自動分析装置に供給する検体検査自動化システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された検体検査自動化システムでは、一般検体が自動分析装置に供給される一定の間隔(たとえば、一般検体を収容したラックが搬送ラインを20個通過)または監視時間(たとえば、一般検体を収容したラックが自動分析装置に供給されなくなってから10分経過)毎に、精度管理用検体を収容したラックを自動分析装置に供給して分析した後、分析した測定結果を報告している。
【0006】
【特許文献1】特開平8−220104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された検体検査自動化システムでは、一般検体を収容したラックを複数個設置可能な検体投入ユニット(試料載置部)とは別個に、精度管理用検体を収容したラックを複数個設置可能な精度管理投入ユニット(試料載置部)を設ける必要があるとともに、精度管理試料専用のラックを設ける必要があるため、装置が大型化するという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、装置の大型化を抑制しながら、検体試料の測定結果を迅速に報告することが可能な試料測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による試料測定装置は、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に載置された試料を分注する分注部と、分注部により分注された試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、調製された測定試料を測定する測定部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを備えている。
【0010】
この第1の局面による試料測定装置では、上記のように、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを設けることによって、検体試料と対照試料とを同時に試料載置部に載置することができる。これにより、試料載置部に載置されている検体試料を測定試料調製部に分注させた後、連続して対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。このため、試料載置部に載置されている検体試料を測定した後に、連続して対照試料を測定することができる。その結果、検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、試料載置部が載置された複数の検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、複数の検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。また、検体試料および対照試料を載置することが可能な試料載置部を設けることによって、検体試料および対照試料を同じ試料載置部に載置することができる。その結果、検体試料を載置することが可能な試料載置部と対照試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、制御部は、検体試料および対照試料が載置された試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、検体試料および追加の検体試料を測定試料調製部に分注した後、対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する。このように構成すれば、試料載置部に載置された複数の検体試料に加えて追加の検体試料が追加された場合でも、予め載置されていた複数の検体試料および追加の検体試料を測定試料調製部に分注させた後に、対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。これにより、予め載置されていた複数の検体試料に加えて追加の検体試料を測定した後に連続して対照試料を測定することができる。このため、追加の検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、追加の検体試料を含めた検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、検体試料および追加の検体試料を測定試料調製部に分注した後、対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部を設けることによって、追加の検体試料を含めた検体試料を測定試料調製部に分注させた後に、対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。これにより、追加の検体試料を含めた検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、追加の検体試料を含めた検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、検体試料の分注動作中に試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に分注した後、追加の検体試料を測定試料調製部に分注し、その後対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する。このように構成すれば、予め載置されていた検体試料の分注動作中に検体試料が試料載置部に追加された場合でも、検体試料の分注終了後に追加の検体試料を測定試料調製部に分注させて、対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。これにより、分注部の動作中に順次検体試料を追加する場合でも、追加された検体試料を測定した後に連続して対照試料を測定することにより、複数の検体試料の測定の後すぐに対照試料の測定結果を取得することができる。その結果、複数の検体試料の測定の途中に割り込んで対照試料を測定する場合に比べて、より迅速に追加の検体試料を含めた検体試料の測定結果を報告することができる。
【0013】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、制御部は、試料載置部に載置される検体試料および対照試料を特定する情報を入力する入力手段を含む。このように構成すれば、制御部は、容易に、試料載置部に載置される試料が検体試料または対照試料だと特定することができる。
【0014】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、制御部は、試料載置部に載置される対照試料の位置を記憶する記憶手段を含んでいる。このように構成すれば、制御部は、記憶手段に記憶される対照試料の位置に基づいて、検体試料の分注後、容易に、対照試料を分注するように分注部を制御することができる。
【0015】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、対照試料が、精度管理試料である。このように精度管理試料を用いれば、容易に、検体試料や試料測定装置の異常を監視することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による試料測定装置は、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に載置された試料を分注する分注部と、分注部により分注された試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、調製された測定試料を測定する測定部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、対照試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に検体試料を測定試料調製部に分注し、その後に再び対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを備えている。
【0017】
この第2の局面による試料測定装置では、上記のように、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、対照試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に検体試料を測定試料調製部に分注し、その後に再び対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを設けることによって、検体試料と対照試料とを同時に試料載置部に載置することができる。これにより、試料載置部に載置されている対照試料および検体試料を測定試料調製部に分注させた後、連続して対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。このため、試料載置部に載置されている対照試料および検体試料を測定した後に、連続して対照試料を測定することができる。その結果、検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、試料載置部が載置された複数の検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、複数の検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。また、検体試料および対照試料を載置することが可能な試料載置部を設けることによって、検体試料および対照試料を同じ試料載置部に載置することができる。その結果、検体試料を載置することが可能な試料載置部と対照試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。また、検体試料の分注に先立って対照試料を測定試料調製部に分注することによって、検体試料の測定結果の報告のみならず、検体試料の測定前に試料測定装置が正常に動作しているのかを確認することができる。
【0018】
この発明の第3の局面による試料測定装置は、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に載置された試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、試料載置部に対して相対的に移動可能であり、試料載置部に載置された試料を測定試料調製部に分注する分注部と、調製された測定試料を測定する測定部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを備えている。
【0019】
この第3の局面による試料測定装置では、上記のように、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを設けることによって、検体試料と対照試料とを同時に試料載置部に載置することができる。これにより、試料載置部に載置されている検体試料を測定試料調製部に分注させた後、連続して対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。このため、試料載置部に載置されている検体試料を測定した後に、連続して対照試料を測定することができる。その結果、検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、試料載置部が載置された複数の検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、複数の検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。また、検体試料および対照試料を載置することが可能な試料載置部を設けることによって、検体試料および対照試料を同じ試料載置部に載置することができる。その結果、検体試料を載置することが可能な試料載置部と対照試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。また、試料載置部に対して相対的に移動可能であり、試料載置部に載置された試料を測定試料調製部に分注する分注部を設けることによって、容易に、試料載置部に載置された試料を測定試料調製部に移動させることができる。その結果、試料載置部に試料を載置することにより、自動的に測定試料を調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による遺伝子増幅分析システムの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した遺伝子増幅分析システムの遺伝子増幅測定装置の全体構成を示した斜視図であり、図3は、図2の平面概略図である。図4〜図6は、遺伝子増幅測定装置の表示部の画面レイアウトを説明するための図である。第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100は、癌手術での切除組織(リンパ節)における癌転移診断を支援するシステムであり、切除組織内に存在する癌由来の標的遺伝子(mRNA)をLAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification,栄研化学)法を用いて増幅させ、増幅に伴い発生するピロリン酸マグネシウムによる白濁を比濁法により測定することによって標的遺伝子が所定量以上存在するか否かを判定するシステムである。なお、LAMP法の詳細は、米国特許第6410278号公報に開示されている。また、第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100では、精度管理試料を測定することにより、サンプル試料の測定結果を報告(サンプル試料の測定結果を確定)している。
【0022】
第1実施形態の遺伝子増幅分析システム100は、図1に示すように、遺伝子増幅測定装置101と、遺伝子増幅測定装置101と有線または無線による通信ができるように接続されたパーソナルコンピュータ(PC)102とによって構成されている。
【0023】
まず、図1〜図3を参照して、遺伝子増幅測定装置101の詳細について説明する。遺伝子増幅測定装置101は、図2および図3に示すように、分注部10と、試料載置部20と、チップセット部30と、チップ廃棄部40と、5つの反応検出ブロック50aからなる反応部50と、分注部10をX1軸方向およびY1軸方向に移送するための移送部60とを含んでいる。
【0024】
また、分注部10は、図2および図3に示すように、移送部60によりX1軸方向およびY1軸方向(水平方向)に移動されるアーム部11と、アーム部11に対してそれぞれ独立してZ1軸方向(垂直方向)に移動可能な2連(2本)のシリンジ部12とを含んでいる。そして、分注部10は、試料載置部20と反応部50との間を移動するように構成されている。
【0025】
また、本実施形態では、試料載置部20は、予め決められた所定数(第1実施形態では、最大4つのサンプル試料および最大4つの希釈試料)ごとにバッチ処理を行うために設けられている。なお、バッチ処理とは、予め決められた所定数のサンプル試料および希釈試料の処理を一括して行う処理である。そして、この試料載置部20には、図3に示すように、装置の手前から順番に、10個のサンプル容器セット孔21a〜21jと、1つの酵素試薬容器セット孔21kおよび1つのプライマー試薬容器セット孔21lとが設けられている。また、10個のサンプル容器セット孔21a〜21jは、5行2列に配列するように設けられている。そして、サンプル容器セット孔21cおよび21dと、サンプル容器セット孔21eおよび21fと、サンプル容器セット孔21gおよび21hと、サンプル容器セット孔21iおよび21jとは、それぞれ、装置の奥側から順に、サンプルセット位置1、サンプルセット位置2、サンプルセット位置3およびサンプルセット位置4に設けられている。
【0026】
また、正面左側のサンプル容器セット孔21c、21e、21gおよび21iには、予め切除生体組織(リンパ節)を処理(ホモジナイズ、ろ過など)して作製された可溶化抽出液(サンプル試料)が収容されたサンプル容器22がセットされるとともに、正面右側のサンプル容器セット孔21d、21f、21hおよび21jには、上記したサンプル試料を10倍に希釈した希釈試料が収容されたサンプル容器23がセットされている。具体的には、サンプル容器セット孔21dのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21cにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容される。また、サンプル容器セット孔21fのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21eにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容され、サンプル容器セット孔21hのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21gにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容され、サンプル容器セット孔21jのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21iにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容される。つまり、1つの生体組織から2つの試料(サンプル試料、希釈試料)が作製される。
【0027】
また、サンプル容器セット孔21aには、増幅するべき遺伝子が正常に増幅することを確認するための陽性コントロールが収容された容器24が載置されるとともに、サンプル容器セット孔21bには、増幅するべきでない遺伝子が正常に増幅しないことを確認するための陰性コントロールを収容した容器25がセットされている。
【0028】
また、酵素試薬容器セット孔21kおよびプライマー試薬容器セット孔21lには、それぞれ、サイトケラチン19(CK19)の酵素試薬が収容された酵素試薬容器26と、CK19のプライマー試薬が収容されたプライマー試薬容器27とがセットされている。
【0029】
また、図3に示すように、チップセット部30には、36本のピペットチップ31を収納可能な収納孔32aを有する2つのラック32がそれぞれ着脱可能に嵌め込まれている。また、チップセット部30には、2つの取り外しボタン33が設けられている。この取り外しボタン33を押すことにより、ラック32が取り外し可能な状態になる。
【0030】
また、図3に示すように、チップ廃棄部40には、使用済みのピペットチップ31を廃棄するための2つのチップ廃棄孔40aが設けられている。また、チップ廃棄孔40aに連続するように、チップ廃棄孔40aよりも細い幅の溝部40bが設けられている。
【0031】
また、反応部50の各反応検出ブロック50aは、図2および図3に示すように、反応部51と、2つの濁度検出部52と、蓋閉機構部53(図3参照)とから構成されている。各反応検出ブロック50aに設けられる反応部51には、図3に示すように、検出セル54をセットするための2つの検出セルセット孔51aが設けられている。各反応検出ブロック50aは、装置の奥側から順に、セルセット位置1、セルセット位置2、セルセット位置3、セルセット位置4およびセルセット位置5に配置されている。
【0032】
また、濁度検出部52は、図3に示すように、反応部51の一方の側面側に配置された基板55aに取り付けられた465nmの波長を有する青色LEDからなるLED光源部52aと、反応部51の他方の側面側に配置された基板55bに取り付けられたフォトダイオード受光部52bとによって構成されている。各反応検出ブロック50aには、1つのLED光源部52aと1つのフォトダイオード受光部52bとからなる1組の濁度検出部52が2組ずつ配置されている。したがって、5つの反応検出ブロック50aには、合計10組のLED光源部52aおよびフォトダイオード受光部52bからなる濁度検出部52が配置されている。LED光源部52aおよびそれに対応するフォトダイオード受光部52bは、LED光源部52aから検出セル54の下部に約1mmの直径の光を照射してフォトダイオード受光部52bによってその光を受光可能なように配置されている。このフォトダイオード受光部52bが受光する光の強度によって、検出セル54の有無を検出するとともに、検出セル54のセル部54aの内部に収容された液の濁度を後述するパーソナルコンピュータ102の表示部90でモニタリングすることが可能になる。具体的には、検出セル54が検出セルセット孔51aにセットされると、検出セル54がLED光源部52aとフォトダイオード受光部52bとの間に配置されるので、フォトダイオード受光部52bが受光する光が検出セル54がセットされていない場合に比べて弱くなる。これによって検出セル54がセットされたことを検知することが可能となる。
【0033】
また、検出セル54は、サンプル試料および希釈試料を収容するため2つのセル部54aと、2つのセル部54aを塞ぐ2つの蓋部54bとを有している。
【0034】
また、移送部60は、図2および図3に示すように、分注部10をY1軸方向に移送するための直動ガイド61およびボールネジ62と、ボールネジ62を駆動するためのステッピングモータ63と、分注部10をX1軸方向に移送するための直動ガイド64およびボールネジ65と、ボールネジ65を駆動するためのステッピングモータ66とを含んでいる。なお、分注部10のX1軸方向およびY1軸方向への移送は、ステッピングモータ63および66により、それぞれ、ボールネジ62および65を回転させることにより行う。
【0035】
パーソナルコンピュータ102は、図1に示すように、入力機器のキーボード70aおよびマウス70bと、CPU81やメモリ82などから構成される制御部80と、モニタからなる表示部90とを含んでいる。
【0036】
次に、図1および図4〜図6を参照して、パーソナルコンピュータ102の表示部90の画面レイアウトの詳細について説明する。表示部90(図1参照)は、遺伝子増幅測定装置101により測定されたサンプル試料の測定結果を表示する画面(データブラウザ画面)、キーボード70aおよびマウス70bを用いてサンプル試料や精度管理試料のサンプルIDの登録などの測定指示を行う画面(ワークロードリスト画面)および検量線を表示する画面(検量線表示画面)などを表示するために設けられている。
【0037】
データブラウザ画面には、図4に示すように、ヘルプ機能など種々の機能を実行するボタンが表示されるツールバー111と、サンプル試料の各種情報を表示するサンプル情報表示部112と、サンプル情報表示部112に表示されるサンプル試料の測定結果を示す測定結果表示部113とが表示されている。
【0038】
また、サンプル情報表示部112には、バッチ番号表示欄112aと、サンプル位置表示欄112bと、サンプルID表示欄112cと、コメント表示欄112dと、測定日表示欄112eと、測定時刻表示欄112fとが設けられている。バッチ番号表示欄112aには、何番目のバッチ処理かが表示される。バッチ番号表示欄112aには、電源投入後、このバッチ処理が行なわれた回数に「1」を加算した数字(画面中では、「2」)が表示される。また、サンプル位置表示欄112bには、サンプル試料がセットされたサンプルセット位置(画面中では、「4」)が表示される。また、サンプルID表示欄112cおよびコメント表示欄112dには、それぞれ、後述するワークロードリスト画面(図5参照)で入力されたサンプル試料のサンプルID(画面中では、「Sample01」)およびサンプル試料(希釈試料)に対するコメント(画面中では、空欄)が表示される。また、測定日表示欄112eおよび測定時刻表示欄112fには、それぞれ、サンプル試料および希釈試料が測定された日(画面中では、「2004/08/09」)および時刻(画面中では、「09:37:26」)が表示される。
【0039】
また、測定結果表示部113には、上記したバッチ番号表示欄112aおよびサンプル位置表示欄112bから特定されるサンプル試料の濁度と時間(min)との関係を示したグラフ113aと、増幅立ち上がり時間表示欄113bと、濃度測定値表示欄113cと、判定結果表示欄113dとが設けられている。なお、希釈試料についての測定結果(グラフ、増幅立ち上がり時間、濃度測定値および判定結果)は、管理者以外のユーザーが見られないように設定されている。その結果、ユーザーが希釈試料についての測定結果を、サンプル試料についての測定結果だと勘違いするのを抑制することが可能となる。
【0040】
また、増幅立ち上がり時間表示欄113bには、グラフ113aの縦軸である濁度の0.1に対応する時間(画面中では、「10.4」)が表示される。
【0041】
また、濃度測定値表示欄113cには、増幅立ち上がり時間表示欄113bに表示される立ち上がり時間(=10.4)(min)から算出されるサンプル試料の濃度(画面中では、「4.0E+02」)(copies/μl)が表示される。具体的には、予め測定されたキャリブレータにより作成された増幅立ち上がり時間と濃度との1次関数である検量線(図6参照)に基づいて、増幅立ち上がり時間(=10.4)から濃度が算出される。なお、第1実施形態の遺伝子増幅測定装置101の濃度の検出限界が2.5×102(copies/μl)であるので、2.5×102(copies/μl)未満の濃度は「<2.5E+02」と表示される。
【0042】
また、判定結果表示欄113dは、サンプル試料の測定結果(濃度)と、その希釈試料の測定結果(濃度)とに基づいて、サンプル試料中に標的遺伝子(mRNA)が所定量以上存在するか否か(陽性「(+)」、陰性「(−)」)の結果を表示するために設けられている。
【0043】
ワークロードリスト画面には、図5に示すように、印刷機能などの種々の機能を実行するボタンが表示されるツールバー121と、測定オーダ(測定指示)を入力するオーダ入力部122と、測定オーダの登録状況を表示するオーダリスト表示部123と、バッチ番号表示欄124と、グループ選択欄125と、セルセット位置表示部126a〜126eと、サンプルセット位置表示部127と、測定開始ボタン128とが表示されている。
【0044】
また、オーダ入力部122は、サンプルセット位置1〜4についての測定オーダの入力と、サンプル容器セット孔21aおよび21b(図3参照)にセットされる精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)についての測定オーダの入力とを行うために設けられている。このオーダ入力部122には、サンプルID入力欄122aと、コメント入力欄122bと、確定ボタン122cとが設けられている。具体的には、キーボード70aを用いてサンプルID入力欄122aに、サンプルセット位置1〜4のサンプル試料とサンプル容器セット孔21aおよび21bの精度管理試料とについてサンプルIDを入力する。なお、このサンプルIDとしては、サンプル試料に対応したIDの他、陰性コントロールや陽性コントロールなどに対応したIDを入力する。サンプルのIDとしては、たとえば、「Sample01〜Sample04」を用いる。陽性コントロールのサンプルIDとしては、たとえば、「QC[CK19−PC]」を用いる。陰性コントロールのサンプルIDとしては、たとえば、「QC[CK19−NC]」を用いる。また、サンプル試料や精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)についてのコメントがある場合には、オーダ入力部122のコメント入力欄122bにコメントを入力することが可能である。そして、確定ボタン122cがマウス70bによりクリックされると、入力されたサンプルIDおよびコメントがオーダリスト表示部123に反映される。
【0045】
また、バッチ番号表示欄124には、データブラウザ画面(図4〜図6参照)のサンプル情報表示部112のバッチ番号表示欄112aと同様に、何番目のバッチ処理かが表示される。また、グループ選択欄125では、プルダウンメニュー125aの中からグループを選択する。このグループとしては、たとえば、サンプル試料を測定するグループ、検量線を取得するためのキャリブレータを測定するグループなどがある。第1実施形態では、サンプル試料を測定するグループ(Sample)を選択した場合の例を示している。このグループ(Sample)の選択により、オーダリスト表示部123には、CK19の対応個所に「○」が表示される。
【0046】
また、セルセット位置表示部126a〜126eは、反応部50の各反応検出ブロック50aの検出セル54のセット状態を表示するために設けられている。この検出セル54のセット状態としては、使用する予定があり、かつ、検出セルセット孔51aに検出セル54がセットされている場合には、図5に示すように、セルセット位置表示部126aおよび126bに「G」(緑色で表示)が表示される。また、使用する予定があるにも関わらず検出セルセット孔51aに検出セル54がセットされていない場合には、セルセット位置表示部126a〜126eの所定の個所に「NG」(赤色で表示)が表示される。そして、使用する予定がないために検出セルセット孔51aに検出セル54をセットする必要がない場合には、セルセット位置表示部126a〜126eの所定の個所(図5ではセルセット位置表示部126c〜126e)に検出セル54をセットする必要がない状態の反応部51を示す図柄(グレーで表示)が表示される。
【0047】
また、サンプルセット位置表示部127は、遺伝子増幅測定装置101の試料載置部20のサンプル試料を収容するサンプル容器22、希釈試料を収容するサンプル容器23、陽性コントロールが収容される容器24、陰性コントロールが収容される容器25、酵素試薬容器26およびプライマー試薬容器27のセット状態を表示するために設けられている。このサンプルセット位置表示部127は、10個のサンプル容器セット孔21a〜21jに対応するサンプル容器表示部127a〜127jと、酵素試薬容器セット孔21kに対応する酵素試薬容器表示部127kと、プライマー試薬容器セット孔21lに対応するプライマー試薬容器表示部127lとを有している。そして、サンプル容器表示部127aには、オーダリスト表示部123に表示されるサンプルID(QC[CK19−PC])に対応したアルファベット(画面中では「PC」)が表示される。また、サンプル容器表示部127bには、オーダリスト表示部123に表示されるサンプルID(QC[CK19−NC])に対応したアルファベット(画面中では「NC」)が表示される。
【0048】
また、サンプル容器表示部127c、127e、127gおよび127iには、オーダリスト表示部123に表示されるサンプルIDに対応したアルファベット(画面中では、サンプル(sample)を意味する「S」)が表示される。そして、サンプル容器表示部127d、127f、127hおよび127jには、希釈試料であることを示すアルファベット(画面中では、希釈(dilution)を意味する「D」)が表示される。そして、酵素試薬容器表示部127kには、酵素試薬容器26がセットされたことを示すアルファベット(画面中では「E」)が表示されるとともに、プライマー試薬容器表示部127lには、プライマー試薬容器27が載置されたことを示すアルファベット(画面中では「P」)が表示される。第1実施形態では、サンプルセット位置1についての測定オーダの入力が終了した状態の画面を示している。
【0049】
検量線表示画面は、図6に示すように、3種類の既知濃度(2.5×103(copies/μl)、2.5×105(copies/μl)、2.5×107(copies/μl))のキャリブレータを測定することにより作製された検量線を表示する画面であり、キャリブレータの立ち上がり増幅時間に対する濃度をプロットした3点を1次式で近似した直線が表示されている。
【0050】
また、制御部80(図1参照)は、サンプル試料および希釈試料と、精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)とを測定する遺伝子増幅測定装置101を制御する機能を有している。
【0051】
ここで、第1実施形態では、制御部80のCPU81は、試料載置部20に載置されたバッチ処理を行う全てのサンプル試料(希釈試料)を、反応部50にセットされる検出セル54のセル部54aに分注させた後、連続して精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)を、反応部50にセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する機能を有している。具体的には、CPU81は、まず、サンプルセット位置1にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置1の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御した後、サンプルセット位置2にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置2の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する。そして、CPU81は、サンプルセット位置3にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置3の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御した後、サンプルセット位置4にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置4の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する。その後、CPU81は、試料載置部20のサンプル容器セット孔21aおよび21b(図3参照)にセットされる精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)を、セルセット位置5の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する。
【0052】
また、CPU81は、遺伝子増幅測定装置101により測定された精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)の測定結果(濃度)を分析する機能を有しており、取得した精度管理試料の測定結果(濃度)が所定の範囲内にあるか否かを判定している。具体的には、CPU81は、測定経過時間9.0min〜13.0minでの陽性コントロールの測定結果(濃度)が5.0×102(copies/μl)以上5.0×104(copies/μl)以下の範囲内であるか否かを判定している。また、CPU81は、測定経過時間16.0minでの陰性コントロールの測定結果(濃度)が0以上2.5×102(copies/μl)以下の範囲内であるか否かを判定している。そして、CPU81は、上記した精度管理試料の判定結果に基づいて、サンプル試料および希釈試料の測定結果を表示するように表示部90を制御する機能を有している。具体的には、CPU81は、精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)の測定結果(濃度)が上記した所定の範囲外である場合には、データブラウザ画面(図5参照)において、そのバッチ内のサンプル試料の測定結果に「精度管理異常」があったことを示すフラグ「*」を付して、表示部90に表示させる。
【0053】
また、第1実施形態では、制御部80のメモリ82には、試料載置部20に載置されるサンプル試料を収容したサンプル容器22、希釈試料を収容したサンプル容器23、陽性コントロールを収容した容器24および陰性コントロールを収容した容器25の位置が記憶されている。具体的には、ユーザーが、ワークロードリスト画面(図5参照)において、キーボード70aを用いてサンプルID入力欄122aに、サンプルセット位置1〜4のサンプル試料(希釈試料)のサンプルIDと、試料載置部20の精度管理試料のサンプルIDとを入力することによって、メモリ82に、試料載置部20におけるサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料の位置が記憶される。
【0054】
次に、図1〜図6を参照して、第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100の動作について説明する。第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100では、上記したように、癌手術での切除組織内に存在する癌由来の標的遺伝子(mRNA)をLAMP法を用いて増幅させ、増幅に伴い発生するピロリン酸マグネシウムによる白濁を測定することにより標的遺伝子が所定量以上存在するか否かを判定する。
【0055】
まず、図2および図3に示すように、予め切除組織を処理(ホモジナイズ、ろ過など)して作製された可溶化抽出液(サンプル試料)が収容されたサンプル容器22をサンプル容器セット孔21c、21e、21gおよび21iにセットする。そして、第1実施形態では、サンプル容器22に収容されるサンプル試料を10倍に希釈した希釈試料を収容したサンプル容器23をサンプル容器セット孔21d、21f、21hおよび21jにセットする。また、陽性コントロールが収容された容器24および陰性コントロールが収容された容器25を、それぞれ、サンプル容器セット孔21aおよび21b(図3参照)にセットする。また、酵素試薬容器セット孔21k(図3参照)およびプライマー試薬容器セット孔21lに、それぞれ、CK19の酵素試薬が収容された酵素試薬容器26と、CK19のプライマー試薬が収容されたプライマー試薬容器27とをセットする。また、チップセット部30に、それぞれ36本の使い捨て用のピペットチップ31が収納された2つのラック32を設置する。
【0056】
また、測定を開始する前に、図1に示したパーソナルコンピュータ102のキーボード70aおよびマウス70bを用いて、パーソナルコンピュータ102の表示部90の画面(ワークロードリスト画面(図5参照))でサンプルIDの登録などの測定指示を行う。これにより、第1実施形態では、制御部80のメモリ82に試料載置部20におけるサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料の位置が記憶される。
【0057】
そして、ユーザーは、図5に示したワークロードリスト画面の測定開始ボタン128をマウス70b(図1参照)を用いてクリックする。これにより、遺伝子増幅測定装置101での測定動作がスタートされる。
【0058】
遺伝子増幅測定装置101の動作がスタートすると、まず、図2に示した移送部60により分注部10のアーム部11が初期位置からチップセット部30に移動された後、チップセット部30において、分注部10の2つのシリンジ部12が下方向に移動される。これにより、2つのシリンジ部12のノズル部の先端が2つのピペットチップ31の上部開口部内に圧入されるので、2つのシリンジ部12のノズル部の先端にピペットチップ31が自動的に装着される。そして、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注部10のアーム部11は、CK19のプライマー試薬が収容されたプライマー試薬容器27の上方に向かってX1軸方向に移動される。そして、プライマー試薬容器27の上方に位置する一方のシリンジ部12が下方向に移動されてプライマー試薬が吸引された後、その一方のシリンジ部12が上方向に移動される。その後、他方のシリンジ部12が同じプライマー試薬容器27の上方に位置するように、移送部60により分注部10のアーム部11がY1軸方向に移動される。そして、他方のシリンジ部12が下方向に移動されて同じプライマー試薬容器27からプライマー試薬が吸引された後、その他方のシリンジ部12が上方向に移動される。このようにして、シリンジ部12に装着される2つのピペットチップ31によりプライマー試薬容器27内のCK19のプライマー試薬が吸引される。
【0059】
プライマー試薬の吸引後、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注部10のアーム部11は、移送部60により最も奥側(装置正面奥側)であるセルセット位置1に位置する反応検出ブロック50aの上方に移動される。そして、最も奥側の反応検出ブロック50aにおいて、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、2つのシリンジ部12に装着された2つのピペットチップ31が、それぞれ、検出セル54の2つのセル部54a内に挿入される。そして、シリンジ部12を用いて、CK19のプライマー試薬がそれぞれ2つのセル部54aに吐出される。
【0060】
プライマー試薬の吐出後、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注部10のアーム部11は、移送部60によりチップ廃棄部40の上方に向かってX1軸方向に移動される。そして、チップ廃棄部40において、ピペットチップ31の廃棄が行われる。具体的には、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、チップ廃棄部40の2つのチップ廃棄孔40a(図3参照)内にピペットチップ31が挿入される。この状態で、分注部10のアーム部11が移送部60によりY1軸方向に移動されることにより、ピペットチップ31が溝部40bの下に移動される。そして、2つのシリンジ部12が上方向に移動されることにより、ピペットチップ31の上面のつば部は、溝部40bの両側の下面に当接してその下面から下方向の力を受けるので、ピペットチップ31が2つのシリンジ部12のノズル部から自動的に脱離される。これにより、ピペットチップ31がチップ廃棄部40に廃棄される。
【0061】
次に、分注部10のアーム部11が、再び、移送部60によりチップセット部30に移動される。この後、チップセット部30において、上記と同様の動作により、2つのシリンジ部12のノズル部の先端に、新しい2つのピペットチップ31が自動的に装着される。そして、分注部10のアーム部11は、CK19の酵素試薬が収容された酵素試薬容器26の上方に向かってX1軸方向に移動される。そして、酵素試薬容器26の上方に位置する一方のシリンジ部12が下方向に移動されて酵素試薬が吸引された後、その一方のシリンジ部12が上方向に移動される。その後、他方のシリンジ部12が同じ酵素試薬容器26の上方に位置するように、移送部60により分注部10のアーム部11がY1軸方向に移動される。そして、他方のシリンジ部12が下方向に移動されて同じ酵素試薬容器26から酵素試薬が吸引された後、その他方のシリンジ部12が上方向に移動される。このようにして、シリンジ部12に装着される2つのピペットチップ31により酵素試薬容器26内の酵素試薬が吸引される。
【0062】
そして、分注部10のアーム部11は、移送部60により最も奥側の反応検出ブロック50aの上方に移動された後、CK19の酵素試薬が、検出セル54の2つのセル部54aに吐出される。そして、酵素試薬の吐出後、分注部10のアーム部11は、移送部60によりチップ廃棄部40の上方に移動された後、ピペットチップ31の廃棄が行われる。
【0063】
次に、分注部10のアーム部11が、再び、移送部60によりチップセット部30に移動された後、2つのシリンジ部12のノズル部の先端に新しい2つのピペットチップ31が自動的に装着される。そして、分注部10のアーム部11は、試料載置部20にセットされたサンプル試料および希釈試料が収容されたサンプル容器22およびサンプル容器23の上方に向かってX1軸方向に移動された後、上記プライマー試薬および酵素試薬の吸引動作と同様の動作により、サンプル容器22および23内のサンプル試料および希釈試料が同時に吸引される。この後、分注部10のアーム部11は、移送部60により最も奥側の反応検出ブロック50aの上方に移動された後、2つのシリンジ部12が下方向に移動されて検出セル54の2つのセル部54aに、それぞれ、サンプル試料と希釈試料とが吐出される。なお、プライマー試薬、酵素試薬およびサンプル試料(希釈試料)の分注時には、検出セル54内の液温は、約20℃に保持されている。この後、分注部10のアーム部11が、移送部60によりチップ廃棄部40の上方に移動された後、ピペットチップ31の廃棄が行われる。
【0064】
そして、上記のセル部54a内へのプライマー試薬、酵素試薬、サンプル試料および希釈試料の吐出が行われた後、検出セル54の蓋部54bの蓋閉め動作が行われる。この蓋閉め動作が完了した後、検出セル54内の液温を約20℃から約65℃に加温することにより、LAMP(遺伝子増幅)反応により標的遺伝子(mRNA)を増幅する。そして、増幅に伴い生成されるピロリン酸マグネシウムによる白濁を比濁法により検出する。具体的には、図3に示したLED光源部52aおよびフォトダイオード受光部52bを用いて、増幅反応時の検出セル54内の濁度を検出(モニタリング)することによって、濁度の検出を行う。
【0065】
この際、パーソナルコンピュータ102のCPU81は、図4に示すように、反応時間(min)と濁度との関係を示したグラフ113aを表示部90のデータブラウザ画面に表示する。そして、CPU81は、増幅立ち上がり時間表示欄113bに、グラフ113aの縦軸である濁度の0.1に対応する時間を表示する。そして、CPU81は、濃度測定値表示欄113cに、増幅立ち上がり時間と検量線(図6参照)とから算出されるサンプル試料の濃度を表示させる。
【0066】
上記のようにして、最も奥側(セルセット位置1)に位置する反応検出ブロック50aでの標的遺伝子(mRNA)の検出が行われるとともに、表示部90に測定結果が表示される。また、奥から2番目〜4番目(セルセット位置2〜4)の反応検出ブロック50aについても、順次、セルセット位置1の反応検出ブロック50aでの標的遺伝子の検出動作と同様の動作が行われる。
【0067】
そして、第1実施形態では、サンプル試料および希釈試料の測定が行われた後に、奥から5番目に位置する(セルセット位置5に位置する)反応検出ブロック50aにおいて、上記したセルセット位置1の反応検出ブロック50aでの標的遺伝子の検出動作と同様に、試料載置部20のサンプル容器セット孔21aにセットされる容器24内の陽性コントロールと、サンプル容器セット孔21bにセットされる容器25内の陰性コントロールとの測定が行われる。つまり、第1実施形態では、最大4つのサンプル試料を一括して測定するバッチ処理が行われた後に、精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)を測定している。これにより、精度管理試料の測定結果に基づいて、バッチ処理内のサンプル試料の測定結果が正常であったか否かを確認している。そして、精度管理試料の測定結果が正常である場合には、サンプル試料の測定結果を報告(確定)するとともに、精度管理試料の測定結果が異常である場合には、サンプル試料の測定結果にフラグ「*」を付して報告する。
【0068】
このように、所定回数バッチ処理を実行することにより、遺伝子増幅分析システム100の動作が終了する。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、4つのサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を載置することが可能な試料載置部20と、試料載置部20にサンプル試料および希釈試料と精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)とが載置された場合に、バッチ処理を行う全ての(最大4つの)サンプル試料および希釈試料を反応部50にセットされる検出セル54に先に分注し、その後に精度管理試料を反応部50にセットされる検出セル54に分注するように分注部10を制御する制御部80とを設けることによって、4つのサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を同じ試料載置部20に載置することができる。これにより、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を検出セル54に分注させた後に、連続して精度管理試料を検出セル54に分注させることができる。これにより、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を測定した後に、連続して精度管理試料を測定することができる。その結果、サンプル試料の測定後に遅滞なく、サンプル試料を報告するのに必要な精度管理試料の測定結果を取得することができるので、サンプル試料の測定結果を迅速に報告することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を測定した後に精度管理試料を測定することによって、精度管理試料を1回測定するだけで、バッチ処理を行う全てのサンプル試料をまとめて報告することができる。その結果、サンプル試料の測定毎に精度管理試料を測定する場合と比べて、精度管理試料の消費量を抑制することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、最大4つのサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を載置することが可能な試料載置部20を設けることによって、サンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を同じ試料載置部20に載置することができる。その結果、サンプル試料(希釈試料)を載置することが可能な試料載置部と精度管理試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、制御部80に試料載置部20に載置される精度管理試料の位置を記憶するメモリ82を設けることによって、制御部80は、メモリ82に記憶される精度管理試料の位置に基づいて、サンプル試料の分注後、容易に、精度管理試料を分注するように分注部10を制御することができる。
【0073】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態による免疫凝集測定装置の全体構成を示した斜視図であり、図8は、図7に示した免疫凝集測定装置の正面図である。図9〜図17は、図7に示した免疫凝集測定装置の詳細を説明するための図である。第2実施形態による免疫凝集測定装置200は、PCIA(Particle counting immuno assay)法により、血液中の微量の蛋白(抗原)を測定するための装置である。なお、第2実施形態の免疫凝集測定装置200のサンプル試料として、全血または血清を選択することが可能である。また、第2実施形態による免疫凝集測定装置200でも、第1実施形態の遺伝子増幅分析システム100と同様に、精度管理試料を測定することにより、サンプル試料(全血または血清)の測定結果を報告(検体試料の測定結果を確定)している。
【0074】
第2実施形態の免疫凝集測定装置200は、図7〜図9に示すように、分注部210と、試薬設置部220と、検体ホルダ部230と、反応部240と、測定希釈分注部250と、試料受け部260と、光学検出部270と、未使用の反応プレート201を収容する反応プレートトレイ280と、使用済みの反応プレート201を貯留する反応プレート廃棄箱290と、洗浄部300aおよび300bと、制御部310とを含んでいる。そして、図7および図8に示すように、免疫凝集測定装置200の前面には、装置を起動するための電源スイッチ320と、タッチパネルからなる表示部330とが設けられている。
【0075】
また、分注部210は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231と反応部240との間を移動するように構成されている。この分注部210は、図9に示すように、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な検体・ラテックスピペット部211と、プレートキャッチャ部212とを含んでいる。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202(図10参照)内のサンプル試料(全血または血清)を分注および吐出する機能を有している。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する試薬設置部220にセットされる試薬ビン203内のラテックス試薬、緩衝液および検体希釈液を分注および吐出する機能も有している。また、プレートキャッチャ部212は、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201を反応部240に搬送するとともに、使用済みの反応プレート201を反応プレート廃棄箱290に搬送するために設けられている。なお、反応プレート201には、サンプル試料や各種試薬を収容可能な25個のキュベット201aが設けられている。
【0076】
また、試薬設置部220は、緩衝液、ラテックス試薬および検体希釈液を収容した試薬ビン203を載置するために設けられている。この際、試薬ビン203内の試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)は、所定の温度(15℃以下)に保たれている。そして、試薬設置部220には、装置の奥側から順番に、緩衝液容器セット部221、ラテックス試薬容器セット部222および検体希釈液容器セット部223が設けられている。
【0077】
また、検体ホルダ部230は、オーダ登録された全てのサンプル試料を一括して処理するために設けられている。この検体ホルダ部230は、図10に示すように、10個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための5つの検体ホルダ230a〜230eと、1個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための1つの緊急検体ホルダ230fとを備えている。そして、検体ホルダ230a〜230eのラック231には、10個のサンプルカップ202を載置可能であり、5つの検体ホルダ230a〜230eに合計50個のサンプルカップ202をセット可能である。各検体ホルダ230a〜230eのラック231は、装置の正面から見て左側から順に、ラックセット位置1、ラックセット位置2、ラックセット位置3、ラックセット位置4およびラックセット位置5に配置されている。そして、5つの検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202は、それぞれ、装置の奥側から順に、カップセット位置1〜カップセット位置10に配置されている。
【0078】
また、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a〜230eのラック231の所定の位置には、精度管理試料を収容した1つのサンプルカップ202が載置されている。また、検体ホルダ部230の5つの検体ホルダ230a〜230eの前面には、それぞれ、検体LED231a〜231e(図8および図10参照)が設けられている。また、緊急検体ホルダ230fの前面にも、緊急検体LED231f(図8参照)が設けられている。この検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fは、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fを引き出し可能な状態の場合に緑色に点灯するとともに、引き出し不可能な場合に赤色に点灯するように構成されている。そして、ユーザーは、検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fが緑色に点灯している場合に、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fのラック231にサンプルカップ202を追加することが可能である。
【0079】
また、緊急検体ホルダ230fにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内の緊急検体試料は、検体ホルダ230a〜230eにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内のサンプル試料に割り込んで優先して測定される。
【0080】
また、反応部240は、2枚の反応プレート201のキュベット201a内に収容されるサンプル試料および緊急検体試料と、各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを反応させるために設けられている。具体的には、上記した分注部210により分注されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを攪拌して混合するとともに、その攪拌して混合されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬とを所定の温度に維持することにより、調製試料を調製して、ラテックス試薬の凝集反応を促進させている。つまり、この反応部240では、図11に示すように、抗体が結合したラテックス試薬中のラテックス粒子が、サンプル試料中の抗原を媒介として凝集する凝集反応が行われる。
【0081】
また、測定希釈分注部250は、図9に示すように、分注部210の後方に配置されており、反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を吸引および吐出する機能を有している。この測定希釈分注部250は、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な測定希釈ピペット部251とを含んでいる。そして、測定希釈分注部250は、吸引した反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を、免疫凝集測定装置200の下部に設置されたタンク(図示せず)に収容される測定希釈液とともに試料受け部260に吐出する。
【0082】
また、試料受け部260は、上記した反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料および測定希釈液を受け入れるために設けられている。そして、試料受け部260に受け入れられた粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、後述する光学検出部270のシースフローセル274(図12参照)に導かれる。
【0083】
また、光学検出部270は、図12に示すように、光源としてのレーザダイオード271と、コンデンサレンズ272およびコレクタレンズ273と、シースフローセル274と、受光素子としてのフォトダイオード275とから構成されている。シースフローセル274は、粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)の流れを、粒子懸濁液の両側を流れるシース液の流れで挟み込むことにより、扁平な流れに変換する機能を有している。そして、レーザダイオード271からシースフローセル274を流れる粒子懸濁液に照射された光は、粒子懸濁液中のラテックス粒子の凝集塊(図11参照)に散乱されて、フォトダイオード275により受光されるように構成されている。
【0084】
また、反応プレートトレイ280は、図7および図8に示すように、最大4つの未使用の反応プレート201(図9参照)を収容することが可能である。そして、反応プレートトレイ280に収容される反応プレート201は、分注部210のプレートキャッチャ部212(図9参照)により反応部240に搬送される。また、反応プレート廃棄箱290は、使用済みの反応プレート201を貯留することが可能であり、分注部210のプレートキャッチャにより反応部240から搬送される。
【0085】
また、洗浄部300aは、分注部210の検体・ラテックスピペット部211を洗浄するために設けられている。また、洗浄部300bは、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄するために設けられている。
【0086】
次に、図7、図8および図10〜図16を参照して、表示部330の画面レイアウトの詳細について説明する。表示部330(図7参照)は、光学検出部270(図12参照)により受光された散乱光の強度から算出された測定結果(濃度やフラグなど)を表示する画面(進捗状況画面)(図14および図15参照)、サンプル試料や精度管理試料のサンプルIDの登録などの測定指示(オーダ登録)を行う画面(測定登録画面)(図13参照)などを表示するために設けられている。
【0087】
測定登録画面には、図13に示すように、検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定する5つのラック指定ボタン311a〜311eと、検体番号を登録する際に用いる検体番号入力ボタン312と、カーソル350を移動させる際に用いるカーソル移動ボタン313と、希釈倍率を登録する際に用いる希釈倍率入力ボタン314と、入力した検体番号や希釈倍率を消去するためのクリアキー315と、サンプル試料の種類(全血または血清)を指定するための全血・血清入力ボタン316と、オーダ登録されたサンプル試料を測定(分注)の対象として確定する登録ボタン317と、オーダ登録の内容を表示するオーダリスト表示部318と、測定開始ボタン319とが表示されている。
【0088】
また、5つのラック指定ボタン311a〜311eは、検体ホルダ部230の所定の検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザーがラック指定ボタン311a(画面中では、「ラック1」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230aに載置されるラック231(図10参照)が指定されて、その検体ホルダ230aに載置されるラック231のオーダ登録が可能となる。また、検体番号入力ボタン312は、カーソル移動ボタン313を触れることにより移動されたカーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料および精度管理試料のサンプルIDを入力する際に用いられる。なお、このサンプルIDとしては、サンプル試料に対応したIDの他、精度管理試料に対応したIDを入力する。サンプルのIDとしては、たとえば、「121や222」を用いる。精度管理試料のサンプルIDとしては、たとえば、「QC01」を用いる。たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に対応するサンプルカップ202に精度管理試料が収容されている場合には、ユーザーは、ラック指定ボタン311aを触れることにより、オーダリスト表示部318にラックセット位置1のオーダ登録の内容を表示させた後、カーソル移動ボタン313を用いてカップセット位置3にカーソル350を合わせて、検体番号入力ボタン312を用いて「QC01」と登録する。
【0089】
また、希釈倍率入力ボタン314は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の希釈倍率を入力する際に用いられる。また、全血・血清入力ボタン316は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の種類を選択するために設けられている。たとえば、サンプル試料が全血の場合には「WB」が表示されるとともに、血清の場合には「S」が表示される。そして、上記した各種ボタンで登録した内容は、オーダリスト表示部318に反映される。
【0090】
進捗状況画面には、図14および図15に示すように、測定登録画面(図13参照)などを表示させるボタンが配置されるメインメニュー部321と、図14に示した検体進捗状況確認画面を表示させる検体進捗状況表示ボタン322と、図15に示したラック使用状況確認画面を表示させる全ラック使用状況表示ボタン323と、測定開始ボタン324とが表示されている。
【0091】
そして、図14および図15に示した検体進捗状況表示ボタン322をユーザーが触れることにより、図14に示すように、検体進捗状況確認画面が表示される。検体進捗状況確認画面では、5つのラック指定ボタン325a〜325eおよび1つの緊急検体ラック指定ボタン325fと、サンプル試料および精度管理試料の測定結果を表示する測定結果表示部326とが表示されている。
【0092】
また、5つのラック指定ボタン325a〜325eは、測定登録画面(図13参照)におけるラック指定ボタン311a〜311eと同様の機能を有しており、検体ホルダ部230の所定のラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザーがラック指定ボタン325a(画面中では、「ラック1測定中」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a(図10参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に検体ホルダ230aのラック231に載置される10本のサンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料の測定結果が表示される。また、緊急検体ラック指定ボタン325fは、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230fを指定するものであり、ユーザーが緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230f(図8および図10参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に緊急検体試料の測定結果が表示される。
【0093】
測定結果表示部326には、サンプル位置表示欄326aと、サンプルID表示欄326bと、全血・血清表示欄326cと、各測定項目に測定結果(濃度やフラグなど)を表示する結果表示欄326dとが設けられている。この測定結果表示部326には、上記したラック指定ボタン325a〜325eおよび緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより指定されたラック231についてのサンプルIDや測定結果が表示されている。第2実施形態では、検体ホルダ230aのラック231を指定するためのラック指定ボタン325aが触れられた場合の画面を示している。
【0094】
また、サンプルID表示欄326bには、サンプル位置表示欄326aに表示されるカップセット位置1〜10に対応するサンプルIDが表示されている。このサンプルIDは、測定登録画面(図13参照)で予め入力されている。また、全血・血清表示欄326cには、測定登録画面の全血・血清入力ボタン316を用いて登録されたサンプル試料の種類(たとえば、全血:「WB」、血清:「S」)が表示されている。また、結果表示欄326dには、上述した光学検出部270により検出された散乱光の強度から算出されるサンプル試料の濃度(画面中では、「>56.00」や「1.30/+」など)(ng/ml)が表示されている。このサンプル試料の濃度は、光学検出部270(図12参照)により取得された散乱光の強度から算出されるラテックス粒子(図11参照)の凝集度を、予め測定されたキャリブレータにより作成されたキャリブレータの濃度とキャリブレータの凝集度との関数である検量線(図16参照)に代入することにより算出される。
【0095】
また、図14に示した全ラック使用状況表示ボタン323をユーザーが触れることにより、検体進捗状況確認画面からラック231の使用状況を確認することが可能なラック使用状況確認画面に切り替えられる。ラック使用状況確認画面では、図15に示すように、検体ホルダ230a〜230eのそれぞれのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するためのラック表示部327a〜327eと、緊急検体ホルダ230fのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するための緊急検体ラック表示部327fとが設けられている。そして、ラック表示部327a〜327eには、それぞれ、10個のサンプルカップ表示部328を含んでおり、そのサンプルカップ表示部328は、サンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料のオーダ登録の状態を表示する機能を有している。サンプル試料および精度管理試料の測定状態としては、オーダが未登録の場合には、サンプルカップ表示部328が白色で表示される。また、オーダが登録されている場合には、サンプルカップ表示部328が緑色で表示される。そして、サンプル試料および精度管理試料が測定中の場合には、サンプルカップ表示部328が赤色で表示される。なお、図15では、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプル試料が測定中の場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプルカップ表示部328が赤色で表示されている場合を示している。また、図15では、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプル試料がオーダが登録済みの場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプルカップ表示部328が緑色で表示されている場合を示している。
【0096】
次に、図12、図13および図17を参照して制御部310の詳細について説明する。制御部310は、図17に示すように、ROM310aと、CPU310bと、RAM310cと、入出力インターフェース310dと、画像出力インターフェース310eとにより構成されており、それらの間はバス310fによってデータ通信可能に接続されている。
【0097】
また、第2実施形態では、ROM310aには、検体ホルダ部230の5つの検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプル試料を収容したサンプルカップ202および精度管理試料を収容したサンプルカップ202の位置が記憶されている。具体的には、ユーザーが、測定登録画面(図13参照)において、表示部330(タッチパネル)に表示される検体番号入力ボタン312を用いてサンプル試料のサンプルIDと、精度管理試料のサンプルIDとを入力することによって、ROM310aに、サンプル試料および精度管理試料の位置が記憶される。
【0098】
また、CPU310bは、光学検出部270(図12参照)により検出された散乱光の強度からサンプル試料内の抗原の濃度を算出する機能を有している。また、CPU310bは、測定された精度管理試料の測定結果(濃度)を分析する機能を有しており、取得した精度管理試料の測定結果(濃度)が正常範囲内にあるか否かを判定している。この正常範囲は、予め設定されており、ROM310aに格納されている。正常範囲は、ユーザーが手動で設定するマニュアル設定、または、CPU310bが自動で設定する自動設定とにより設定される。そして、CPU310bは、精度管理試料の判定結果に基づいて、サンプル試料の測定結果を報告(サンプル試料の測定結果を確定)している。
【0099】
ここで、第2実施形態では、CPU310bは、ROM310aに記憶された精度管理試料の位置に基づいて、検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されてオーダ登録された全てのサンプルカップ202内のサンプル試料を反応部240の反応プレート201のキュベット201aに分注した後、精度管理試料を反応部240の反応プレート201のキュベット201aに分注するように分注部210を制御する機能を有している。
【0100】
そして、CPU310bは、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプルカップ202のサンプル試料から順に、ラックセット位置5のカップセット位置10のサンプルカップ202のサンプル試料まで分注するように分注部210を制御している。したがって、たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に対応するサンプルカップ202に精度管理試料が収容されている場合には、CPU310bは、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプル試料およびラックセット位置1のカップセット位置2のサンプル試料を分注するように分注部210を制御した後、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料を分注せずにラックセット位置1のカップセット位置4のサンプル試料を分注するように分注部210を制御している。その後、CPU310bは、オーダ登録されたすべてのサンプル試料の分注が終了した後に、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料を分注するように分注部210を制御している。
【0101】
また、本実施形態では、CPU310bは、分注部210がサンプル試料を分注する分注動作中にサンプル試料を収容したサンプルカップ202を載置したラック231が検体ホルダ230a〜230eに追加された場合でも、その追加したサンプル試料を反応プレート201のキュベット201aに分注した後に、精度管理試料を反応プレート201のキュベット201aに分注するように制御している。つまり、ユーザーが検体ホルダ230a〜230eの前面に設けられる検体LED231a〜231eが青色に点灯していることを確認して、その検体ホルダ230a〜230eにサンプル試料を収容したサンプルカップ202が載置されたラック231を追加した場合に、CPU310bは、追加したサンプル試料を分注した後に、精度管理試料を分注する。
【0102】
また、RAM310cは、CPU310bの作業領域として用いられている。具体的には、RAM310cは、CPU310bが光学検出部270で検出された散乱光の強度から凝集度や濃度を算出する際の作業領域として用いられている。
【0103】
また、入出力インターフェース310dは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェースや、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェース、および、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェースなどから構成されている。この入出力インターフェース310dには、タッチパネルからなる表示部330が接続されており、ユーザーがタッチパネルからなる表示部330を触れることにより与えられた入力データをCPU310bに出力するように構成されている。また、画像出力インターフェース310eは、表示部330に接続されており、CPU310bから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部330に出力するように構成されている。
【0104】
図18は、図7に示した免疫凝集測定装置の制御部による分注部の制御フローを示したフローチャートである。図19は、図7に示した免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。図20は、T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。
【0105】
次に、図7〜図15および図18〜図20を参照して、第2実施形態による免疫凝集測定装置200の動作について説明する。第2実施形態による免疫凝集測定装置200では、上記したように、血液(サンプル試料)中の抗原と結合する抗体を保持したラテックス粒子を凝集させて、凝集したラテックス粒子の凝集塊に光を照射することにより凝集度を算出して、その凝集度から血液(サンプル試料)中の抗原の濃度を測定している。
【0106】
まず、図10に示すように、全血または血清(サンプル試料)が収容されたサンプルカップ202を検体ホルダ230a〜230eのラック231にセットする。また、検体ホルダ230a〜230eのラック231の所定の個所に精度管理試料が収容された1つのサンプルカップ202をセットする。
【0107】
また、測定を開始する前に、図7および図8に示した表示部330(タッチパネル)に表示される各種ボタンを用いて、測定登録画面(図13参照)でサンプル試料および精度管理試料のサンプルIDや希釈倍率などのオーダ登録を行う。これにより、第2実施形態では、制御部310のROM310aに、サンプル試料および精度管理試料の位置が記憶される。この際、精度管理試料のサンプルIDとして、「QC」を用いることにより、ROM310aに、他のサンプル試料と区別して精度管理試料の位置が記憶される。
【0108】
そして、ユーザーが、測定開始ボタン319(図13参照)または324(図14および図15参照)を触れることにより、免疫凝集測定装置200の測定動作がスタートされる。
【0109】
免疫凝集測定装置200の動作がスタートすると、まず、図9に示した分注部210のプレートキャッチャ部212により、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201が反応部240に搬送される。
【0110】
そして、図18に示すように、ステップS1において、免疫凝集測定装置200の制御部310のCPU310bは、サンプル試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bがサンプル試料のオーダ登録があると判断した場合には、ステップS2において、サンプルカップ202内のサンプル試料を分注するように分注部210を制御する。そして、このサンプル試料について、後述する図19に示したフローチャートに沿った測定プロセスで濃度が測定される。
【0111】
次に、ステップS2において、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプル試料の分注(測定)が行われた後、再びステップS1において、CPU310bは、サンプル試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bがサンプル試料のオーダ登録があると判断した場合には、サンプル試料の分注(測定)が繰り返される。したがって、たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に精度管理試料のオーダ登録がされている場合には、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料を除く、サンプル試料が順次分注(測定)される。
【0112】
そして、再びステップS1において、サンプル試料のオーダ登録がない場合には、ステップS3において、CPU310bは、精度管理試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bが精度管理試料のオーダ登録があると判断した場合には、ステップS4において、CPU310bは、サンプルカップ202内の精度管理試料を分注するように分注部210(図9参照)を制御する。そして、たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に精度管理試料のオーダ登録がされている場合には、分注部210により、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料の分注が行われる。そして、精度管理試料についても、後述する図19に示したフローチャートに沿った測定プロセスで濃度が測定される。
【0113】
また、第2実施形態では、分注部210(図9参照)によるサンプル試料の分注動作中にサンプル試料が追加してオーダ登録された場合には、CPU310bは、図18に示したフローチャートに沿って、追加されたサンプル試料を分注して測定した後に、精度管理試料を分注して測定するように分注部210を制御する。このようにして、精度管理試料の測定結果に基づいて、サンプル試料の測定結果が正常であったか否かを判断して、サンプル試料の測定結果が報告(確定)されて、免疫凝集測定装置200の動作が終了する。
【0114】
次に、図19を参照して、図18のステップS2およびステップS4に示したサンプル試料および精度管理試料の測定プロセスの詳細について説明する。まず、図19に示すように、ステップS21において、サンプルカップ202のサンプル試料を希釈する場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍より大きい場合)には、検体希釈液を吸引するために、分注部210の検体・ラテックスピペット部211が試薬設置部220の検体希釈液容器セット部223まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、検体希釈液を吸引した後、サンプルカップ202からサンプル試料を吸引する。その後、検体・ラテックスピペット部211は、反応部240にセットされる反応プレート201のキュベット201aに吸引した検体希釈液およびサンプル試料を吐出する。これにより、反応プレート201のキュベット201aに希釈検体が準備される。なお、希釈しない場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)および精度管理試料の場合は、この工程は省略される。
【0115】
そして、ステップS22において、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、希釈検体(検体希釈液およびサンプル試料)の吐出後、試薬設置部220の緩衝液容器セット部221まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、希釈検体が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内の希釈検体を吸引して、反応プレート201の他のキュベット201aに緩衝液および希釈検体を吐出する。なお、希釈検体を調製しない無希釈検体の場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)は、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、サンプルカップ202まで移動されて、サンプルカップ202内のサンプル試料(精度管理試料)を吸引して、反応プレート201のキュベット201aに緩衝液およびサンプル試料(精度管理試料)を吐出する。
【0116】
そして、ステップS23において、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が分注されてから約80秒経過後、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、試薬設置部220のラテックス試薬容器セット部222まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、ラテックス試薬を吸引した後、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内にラテックス試薬を吐出する。これにより、図11に示すように、サンプル試料中(精度管理試料)の抗原とラテックス試薬中のラテックス粒子に結合した抗体とが結合して、ラテックス粒子の凝集反応が開始される。
【0117】
次に、ステップS24において、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後に、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251は、ラテックス試薬が吐出されたキュベット201aまで移動される。そして、測定希釈ピペット部251は、そのキュベット201a内の調製試料(サンプル試料(精度管理試料)、緩衝液およびラテックス試薬)を吸引した後、試料受け部260(図9参照)まで移動されて、試料受け部260に調製試料を吐出する。この際、測定希釈分注部250は、調製試料とともに、免疫凝集測定装置200の下部に設置されるタンク(図示せず)に収容される測定希釈液を試料受け部260に吐出する。そして、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後の調製試料に対して、後述するステップS25〜ステップS28を行うことにより、約20秒後の調製試料の凝集度(T1測定結果)および約15分後の調製試料の凝集度(T2測定結果)を取得する。
【0118】
サンプル試料の抗原の濃度が高い場合には、図20のT2測定結果のグラフに示すように、ラテックス粒子の凝集が弱くなることがあり、凝集度から適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、第2実施形態では、上記したT1測定結果およびT2測定結果を取得することにより、ラテックス粒子の凝集が弱くなることに起因して不適切な濃度を取得することがないように、T2測定結果(凝集度)がEの場合には、T1測定結果(凝集度)によって判断する。具体的には、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がDの場合には、T1測定結果に対応する濃度Aが測定範囲内のため、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出する。これに対して、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がCの場合には、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)のため、このまま、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出すると適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)の場合には、サンプル試料の希釈倍率を変更して、再測定している。
【0119】
その後、ステップS25において、試料受け部260(図9参照)に吐出された粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、光学検出部270のシースフローセル274(図12参照)に導かれて、シースフローセル274により、扁平な流れに変換される。この状態で、レーザダイオード271(図12参照)から約780nmの波長を有するレーザー光がシースフローセル274を流れるラテックス粒子の凝集塊に照射されて、そのラテックス粒子の凝集塊の大きさに応じた強度を有する複数の散乱光がフォトダイオード275(図12参照)で受光される。この際、制御部310のCPU310b(図17参照)は、フォトダイオード275で受光されたそれぞれの散乱光をパルス信号としてカウントする。
【0120】
そして、ステップS26において、CPU310b(図17参照)は、パルス信号として受光した散乱光の強度に基づいて、未凝集のラテックス粒子と凝集したラテックス粒子とに弁別して凝集度を算出する。具体的には、CPU310bは、受光した散乱光の強度が所定の大きさ以上である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はポリマー(P)(凝集したラテックス粒子)だと判定するとともに、受光した散乱光の強度が所定の大きさ未満である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はモノマー(M)(未凝集のラテックス粒子)であると判定する。そして、CPU310bは、所定の大きさ以上の散乱光のカウント数Pと、所定の大きさ未満の散乱光のカウント数Mとを用いて、以下に示す式(1)からラテックス粒子の凝集度P/Tを算出する。
P/T = P/(P+M) ・・・(1)
【0121】
そして、ステップS27において、CPU310bは、算出された凝集度P/Tと予め作成された検量線(図16参照)とから凝集度P/Tを濃度に換算する。
【0122】
そして、ステップS28において、CPU310bは、図14に示すように、得られた濃度を表示部330に表示させるとともに、ROM310aに検体ホルダ部230(ラックセット位置1のカップセット位置1)のサンプルカップ202の位置と濃度とを対応して記憶させる。このようにして、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプル試料の測定プロセスが終了する。
【0123】
第2実施形態では、上記のように、最大50個の試料(サンプル試料および精度管理試料)を載置することが可能なホルダ部230のラック231と、検体ホルダ部230のラック231にサンプル試料と精度管理試料とを収容したサンプルカップ202が載置された場合に、オーダ登録された全てのサンプル試料を反応部240にセットされる反応プレート201のキュベット201aに先に分注し、その後に精度管理試料を分注するように分注部210を制御する制御部310とを設けることによって、サンプル試料および精度管理試料を同じホルダ部230に載置することができる。これにより、オーダ登録された全てのサンプル試料をキュベット201aに分注させた後に、連続して精度管理試料をキュベット201aに分注させることができる。これにより、オーダ登録された全てのサンプル試料を測定した後に、連続して精度管理試料を測定することができる。その結果、サンプル試料の測定後に遅滞なく、サンプル試料を報告するのに必要な精度管理試料の測定結果を取得することができるので、サンプル試料の測定結果を迅速に報告することができる。
【0124】
また、第2実施形態では、オーダ登録された全てのサンプル試料を測定した後に精度管理試料を測定することによって、精度管理試料を1回測定するだけで、オーダ登録された全てのサンプル試料をまとめて報告することができる。その結果、サンプル試料の測定毎に精度管理試料を測定する場合と比べて、精度管理試料の消費量を抑制することができる。
【0125】
また、第2実施形態では、サンプル試料および精度管理試料を載置することが可能な検体ホルダ部230を設けることによって、サンプル試料および精度管理試料を同じ検体ホルダ部230に載置することができる。その結果、サンプル試料を載置することが可能な検体ホルダ部(試料載置部)と精度管理試料を載置することが可能な検体ホルダ部(試料載置部)とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。
【0126】
また、第2実施形態では、サンプル試料の分注動作中に検体ホルダ部230のラック231に他のサンプル試料を収容したサンプルカップ202が載置された場合に、サンプル試料を反応プレート201のキュベット201a内に分注した後、他のサンプル試料をキュベット201a内に分注し、その後精度管理試料をキュベット201a内に分注するように分注部210を制御する制御部310を設けることによって、サンプル試料の分注動作中に他のサンプル試料が検体ホルダ部230のラック231に追加された場合でも、オーダ登録されたサンプル試料の分注終了後に追加したサンプル試料を反応プレート201のキュベット201a内に分注させて、精度管理試料をキュベット201a内に分注させることができる。これにより、分注部210の動作中に順次サンプル試料を追加する場合でも、追加された他のサンプル試料を測定した後に精度管理試料を測定することにより、一連のサンプル試料の測定の後すぐに精度管理試料の測定結果を取得することができる。その結果、一連のサンプル試料の測定の途中に割り込んで精度管理試料を測定する場合に比べて、より迅速に全てのサンプル試料の測定結果を報告することができる。
【0127】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0128】
たとえば、上記第1実施形態では、遺伝子増幅測定装置とパーソナルコンピュータとにより構築される遺伝子増幅分析システムに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、遺伝子増幅測定装置のみでもよいし、遺伝子増幅測定装置にパーソナルコンピュータの機能を持たせてもよい。
【0129】
また、第2実施形態では、サンプル試料を分注した後に精度管理試料を分注するように分注部を制御する例を示したが、本発明はこれに限らず、サンプル試料の分注に先立って、ROMに記憶された精度管理試料の位置に基づいて、ラックに載置されるサンプルカップ内の精度管理試料を反応プレートのキュベットに分注するように分注部を制御してもよい。つまり、試料載置部にサンプル試料と精度管理試料とが載置された場合に、先に精度管理試料を反応プレートのキュベットに分注し、その後にサンプル試料をキュベットに分注し、その後に再び精度管理試料をキュベットに分注するように分注部を制御する。この場合、サンプル試料の測定結果の報告のみならず、試料測定装置が正常に動作しているのかをサンプル試料の測定前に確認することができる。
【0130】
また、第1実施形態でも、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を分注した後に精度管理試料を分注するように分注部を制御する例を示したが、本発明はこれに限らず、先に精度管理試料を検出セルに分注し、その後にサンプル試料および希釈試料を分注し、その後再び精度管理試料を検出セルに分注するように分注部を制御してもよい。
【0131】
また、第2実施形態では、検体ホルダ230は固定されており、分注部210が移動可能に構成されているが、検体ホルダ部に代わって回転テーブルなどを用いることにより分注部に検体を移動させるような構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の第1実施形態による遺伝子増幅分析システムの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムの遺伝子増幅測定装置の全体構成を示した斜視図である。
【図3】図2の平面概略図である
【図4】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムを構築するパーソナルコンピュータの表示部に表示されるデータブラウザ画面を示した図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムを構築するパーソナルコンピュータの表示部に表示されるワークロードリスト画面を示した図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムを構築するパーソナルコンピュータの表示部に表示される検量線表示画面を示した図である。
【図7】本発明の第2実施形態による免疫凝集測定装置の全体構成を示した斜視図である。
【図8】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の正面図である。
【図9】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の内部構造を示した平面図である。
【図10】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の検体ホルダ部の拡大斜視図である。
【図11】抗原とラテックス粒子に結合する抗体との凝集反応を示した図である。
【図12】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の光学検出部の模式図である。
【図13】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の表示部に表示される測定登録画面を示した図である。
【図14】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(検体進捗状況確認画面)を示した図である。
【図15】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(ラック使用状況確認画面)を示した図である。
【図16】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置で用いるキャリブレータの濃度と凝集度との関係を示す検量線が描かれたグラフである。
【図17】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の制御部のブロック図である。
【図18】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の制御部による分注部の制御フローを示したフローチャートである。
【図19】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。
【図20】T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0133】
10、210 分注部
20 試料載置部
50、240 反応部(測定試料調製部)
80、310 制御部
100 遺伝子増幅分析システム(試料測定装置)
200 免疫凝集測定装置(試料測定装置)
230 検体ホルダ部(試料載置部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料測定装置に関し、特に、検体試料および対照試料を測定する試料測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの検体試料を試料測定装置で測定する臨床検査分野においては、装置が正常に動作していることや正常な試薬により検査が行われていることを確認するために、既知濃度の対照試料(精度管理試料)を測定し、その対照試料の測定結果が基準範囲に入るかどうかを調べる精度管理が広く行われている。また、検体試料の測定結果を報告(検体試料の測定結果を確定)するためには、対照試料の測定結果が基準範囲に入っていることを確認してから報告することが求められている。そして、近年では、高齢化社会を背景に、検体試料の検査依頼が増加しており、検体試料の迅速処理が望まれている。
【0003】
対照試料の測定のタイミングは、検体試料の測定項目や検査施設によって様々である。最初に対照試料を測定して、その結果が基準範囲内にあることを確認してから検体試料を測定する場合や、所定数の検体試料を測定する度に対照試料を測定する場合などがある。また、測定の途中で測定装置または測定試薬に異常が発生することがあるが、最初に対照試料を測定する場合において、異常発生前の正常な測定装置または測定試薬によって測定した対照試料の正常な測定結果では、異常が発生した後の測定装置または測定試料の異常を捕らえることはできない。
【0004】
この場合、全ての検体試料の測定が終わってから、その後に、対照試料をセットするとともにそのセットした対照試料を測定することも考えられる。しかし、その場合には、検体試料の測定後に、対照試料をセットするとともにそのセットした対照試料を測定して、その対照試料の測定値が基準範囲内にあることを確認してから検体試料の測定結果を報告する必要がある。この場合、対照試料をセットするための作業分だけ、検体試料の測定結果の報告が遅くなってしまうという不都合がある。
【0005】
そこで、従来、検体試料および対照試料を自動的に自動分析装置に提供する自動化システムとして、精度管理用検体(対照試料)を収容したラックを複数個設置可能な精度管理検体投入ユニットを搬送ラインの途中に設け、予め決められたパラメータに従い、一般検体(検体試料)を収容したラックの間に精度管理用検体を収容したラックを自動的に搬送ライン上に投入することにより、一般検体および精度管理用検体を自動分析装置に供給する検体検査自動化システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された検体検査自動化システムでは、一般検体が自動分析装置に供給される一定の間隔(たとえば、一般検体を収容したラックが搬送ラインを20個通過)または監視時間(たとえば、一般検体を収容したラックが自動分析装置に供給されなくなってから10分経過)毎に、精度管理用検体を収容したラックを自動分析装置に供給して分析した後、分析した測定結果を報告している。
【0006】
【特許文献1】特開平8−220104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された検体検査自動化システムでは、一般検体を収容したラックを複数個設置可能な検体投入ユニット(試料載置部)とは別個に、精度管理用検体を収容したラックを複数個設置可能な精度管理投入ユニット(試料載置部)を設ける必要があるとともに、精度管理試料専用のラックを設ける必要があるため、装置が大型化するという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、装置の大型化を抑制しながら、検体試料の測定結果を迅速に報告することが可能な試料測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による試料測定装置は、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に載置された試料を分注する分注部と、分注部により分注された試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、調製された測定試料を測定する測定部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを備えている。
【0010】
この第1の局面による試料測定装置では、上記のように、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを設けることによって、検体試料と対照試料とを同時に試料載置部に載置することができる。これにより、試料載置部に載置されている検体試料を測定試料調製部に分注させた後、連続して対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。このため、試料載置部に載置されている検体試料を測定した後に、連続して対照試料を測定することができる。その結果、検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、試料載置部が載置された複数の検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、複数の検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。また、検体試料および対照試料を載置することが可能な試料載置部を設けることによって、検体試料および対照試料を同じ試料載置部に載置することができる。その結果、検体試料を載置することが可能な試料載置部と対照試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、制御部は、検体試料および対照試料が載置された試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、検体試料および追加の検体試料を測定試料調製部に分注した後、対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する。このように構成すれば、試料載置部に載置された複数の検体試料に加えて追加の検体試料が追加された場合でも、予め載置されていた複数の検体試料および追加の検体試料を測定試料調製部に分注させた後に、対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。これにより、予め載置されていた複数の検体試料に加えて追加の検体試料を測定した後に連続して対照試料を測定することができる。このため、追加の検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、追加の検体試料を含めた検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、検体試料および追加の検体試料を測定試料調製部に分注した後、対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部を設けることによって、追加の検体試料を含めた検体試料を測定試料調製部に分注させた後に、対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。これにより、追加の検体試料を含めた検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、追加の検体試料を含めた検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、検体試料の分注動作中に試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に分注した後、追加の検体試料を測定試料調製部に分注し、その後対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する。このように構成すれば、予め載置されていた検体試料の分注動作中に検体試料が試料載置部に追加された場合でも、検体試料の分注終了後に追加の検体試料を測定試料調製部に分注させて、対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。これにより、分注部の動作中に順次検体試料を追加する場合でも、追加された検体試料を測定した後に連続して対照試料を測定することにより、複数の検体試料の測定の後すぐに対照試料の測定結果を取得することができる。その結果、複数の検体試料の測定の途中に割り込んで対照試料を測定する場合に比べて、より迅速に追加の検体試料を含めた検体試料の測定結果を報告することができる。
【0013】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、制御部は、試料載置部に載置される検体試料および対照試料を特定する情報を入力する入力手段を含む。このように構成すれば、制御部は、容易に、試料載置部に載置される試料が検体試料または対照試料だと特定することができる。
【0014】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、制御部は、試料載置部に載置される対照試料の位置を記憶する記憶手段を含んでいる。このように構成すれば、制御部は、記憶手段に記憶される対照試料の位置に基づいて、検体試料の分注後、容易に、対照試料を分注するように分注部を制御することができる。
【0015】
上記第1の局面による試料測定装置において、好ましくは、対照試料が、精度管理試料である。このように精度管理試料を用いれば、容易に、検体試料や試料測定装置の異常を監視することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による試料測定装置は、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に載置された試料を分注する分注部と、分注部により分注された試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、調製された測定試料を測定する測定部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、対照試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に検体試料を測定試料調製部に分注し、その後に再び対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを備えている。
【0017】
この第2の局面による試料測定装置では、上記のように、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、対照試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に検体試料を測定試料調製部に分注し、その後に再び対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを設けることによって、検体試料と対照試料とを同時に試料載置部に載置することができる。これにより、試料載置部に載置されている対照試料および検体試料を測定試料調製部に分注させた後、連続して対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。このため、試料載置部に載置されている対照試料および検体試料を測定した後に、連続して対照試料を測定することができる。その結果、検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、試料載置部が載置された複数の検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、複数の検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。また、検体試料および対照試料を載置することが可能な試料載置部を設けることによって、検体試料および対照試料を同じ試料載置部に載置することができる。その結果、検体試料を載置することが可能な試料載置部と対照試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。また、検体試料の分注に先立って対照試料を測定試料調製部に分注することによって、検体試料の測定結果の報告のみならず、検体試料の測定前に試料測定装置が正常に動作しているのかを確認することができる。
【0018】
この発明の第3の局面による試料測定装置は、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に載置された試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、試料載置部に対して相対的に移動可能であり、試料載置部に載置された試料を測定試料調製部に分注する分注部と、調製された測定試料を測定する測定部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを備えている。
【0019】
この第3の局面による試料測定装置では、上記のように、複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、試料載置部に試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、検体試料を測定試料調製部に先に分注し、その後に対照試料を測定試料調製部に分注するように分注部を制御する制御部とを設けることによって、検体試料と対照試料とを同時に試料載置部に載置することができる。これにより、試料載置部に載置されている検体試料を測定試料調製部に分注させた後、連続して対照試料を測定試料調製部に分注させることができる。このため、試料載置部に載置されている検体試料を測定した後に、連続して対照試料を測定することができる。その結果、検体試料の測定後に遅滞なく、検体試料を報告するのに必要な対照試料の測定結果を取得することができるので、検体試料の測定結果を迅速に報告することができる。また、試料載置部が載置された複数の検体試料を測定した後に対照試料を測定することによって、対照試料を1回測定するだけで、複数の検体試料をまとめて報告することができる。その結果、検体試料の測定毎に対照試料を測定する場合と比べて、対照試料の消費量を抑制することができる。また、検体試料および対照試料を載置することが可能な試料載置部を設けることによって、検体試料および対照試料を同じ試料載置部に載置することができる。その結果、検体試料を載置することが可能な試料載置部と対照試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。また、試料載置部に対して相対的に移動可能であり、試料載置部に載置された試料を測定試料調製部に分注する分注部を設けることによって、容易に、試料載置部に載置された試料を測定試料調製部に移動させることができる。その結果、試料載置部に試料を載置することにより、自動的に測定試料を調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による遺伝子増幅分析システムの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した遺伝子増幅分析システムの遺伝子増幅測定装置の全体構成を示した斜視図であり、図3は、図2の平面概略図である。図4〜図6は、遺伝子増幅測定装置の表示部の画面レイアウトを説明するための図である。第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100は、癌手術での切除組織(リンパ節)における癌転移診断を支援するシステムであり、切除組織内に存在する癌由来の標的遺伝子(mRNA)をLAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification,栄研化学)法を用いて増幅させ、増幅に伴い発生するピロリン酸マグネシウムによる白濁を比濁法により測定することによって標的遺伝子が所定量以上存在するか否かを判定するシステムである。なお、LAMP法の詳細は、米国特許第6410278号公報に開示されている。また、第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100では、精度管理試料を測定することにより、サンプル試料の測定結果を報告(サンプル試料の測定結果を確定)している。
【0022】
第1実施形態の遺伝子増幅分析システム100は、図1に示すように、遺伝子増幅測定装置101と、遺伝子増幅測定装置101と有線または無線による通信ができるように接続されたパーソナルコンピュータ(PC)102とによって構成されている。
【0023】
まず、図1〜図3を参照して、遺伝子増幅測定装置101の詳細について説明する。遺伝子増幅測定装置101は、図2および図3に示すように、分注部10と、試料載置部20と、チップセット部30と、チップ廃棄部40と、5つの反応検出ブロック50aからなる反応部50と、分注部10をX1軸方向およびY1軸方向に移送するための移送部60とを含んでいる。
【0024】
また、分注部10は、図2および図3に示すように、移送部60によりX1軸方向およびY1軸方向(水平方向)に移動されるアーム部11と、アーム部11に対してそれぞれ独立してZ1軸方向(垂直方向)に移動可能な2連(2本)のシリンジ部12とを含んでいる。そして、分注部10は、試料載置部20と反応部50との間を移動するように構成されている。
【0025】
また、本実施形態では、試料載置部20は、予め決められた所定数(第1実施形態では、最大4つのサンプル試料および最大4つの希釈試料)ごとにバッチ処理を行うために設けられている。なお、バッチ処理とは、予め決められた所定数のサンプル試料および希釈試料の処理を一括して行う処理である。そして、この試料載置部20には、図3に示すように、装置の手前から順番に、10個のサンプル容器セット孔21a〜21jと、1つの酵素試薬容器セット孔21kおよび1つのプライマー試薬容器セット孔21lとが設けられている。また、10個のサンプル容器セット孔21a〜21jは、5行2列に配列するように設けられている。そして、サンプル容器セット孔21cおよび21dと、サンプル容器セット孔21eおよび21fと、サンプル容器セット孔21gおよび21hと、サンプル容器セット孔21iおよび21jとは、それぞれ、装置の奥側から順に、サンプルセット位置1、サンプルセット位置2、サンプルセット位置3およびサンプルセット位置4に設けられている。
【0026】
また、正面左側のサンプル容器セット孔21c、21e、21gおよび21iには、予め切除生体組織(リンパ節)を処理(ホモジナイズ、ろ過など)して作製された可溶化抽出液(サンプル試料)が収容されたサンプル容器22がセットされるとともに、正面右側のサンプル容器セット孔21d、21f、21hおよび21jには、上記したサンプル試料を10倍に希釈した希釈試料が収容されたサンプル容器23がセットされている。具体的には、サンプル容器セット孔21dのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21cにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容される。また、サンプル容器セット孔21fのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21eにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容され、サンプル容器セット孔21hのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21gにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容され、サンプル容器セット孔21jのサンプル容器23には、サンプル容器セット孔21iにセットされるサンプル容器22に収容されるサンプル試料に対応する希釈試料が収容される。つまり、1つの生体組織から2つの試料(サンプル試料、希釈試料)が作製される。
【0027】
また、サンプル容器セット孔21aには、増幅するべき遺伝子が正常に増幅することを確認するための陽性コントロールが収容された容器24が載置されるとともに、サンプル容器セット孔21bには、増幅するべきでない遺伝子が正常に増幅しないことを確認するための陰性コントロールを収容した容器25がセットされている。
【0028】
また、酵素試薬容器セット孔21kおよびプライマー試薬容器セット孔21lには、それぞれ、サイトケラチン19(CK19)の酵素試薬が収容された酵素試薬容器26と、CK19のプライマー試薬が収容されたプライマー試薬容器27とがセットされている。
【0029】
また、図3に示すように、チップセット部30には、36本のピペットチップ31を収納可能な収納孔32aを有する2つのラック32がそれぞれ着脱可能に嵌め込まれている。また、チップセット部30には、2つの取り外しボタン33が設けられている。この取り外しボタン33を押すことにより、ラック32が取り外し可能な状態になる。
【0030】
また、図3に示すように、チップ廃棄部40には、使用済みのピペットチップ31を廃棄するための2つのチップ廃棄孔40aが設けられている。また、チップ廃棄孔40aに連続するように、チップ廃棄孔40aよりも細い幅の溝部40bが設けられている。
【0031】
また、反応部50の各反応検出ブロック50aは、図2および図3に示すように、反応部51と、2つの濁度検出部52と、蓋閉機構部53(図3参照)とから構成されている。各反応検出ブロック50aに設けられる反応部51には、図3に示すように、検出セル54をセットするための2つの検出セルセット孔51aが設けられている。各反応検出ブロック50aは、装置の奥側から順に、セルセット位置1、セルセット位置2、セルセット位置3、セルセット位置4およびセルセット位置5に配置されている。
【0032】
また、濁度検出部52は、図3に示すように、反応部51の一方の側面側に配置された基板55aに取り付けられた465nmの波長を有する青色LEDからなるLED光源部52aと、反応部51の他方の側面側に配置された基板55bに取り付けられたフォトダイオード受光部52bとによって構成されている。各反応検出ブロック50aには、1つのLED光源部52aと1つのフォトダイオード受光部52bとからなる1組の濁度検出部52が2組ずつ配置されている。したがって、5つの反応検出ブロック50aには、合計10組のLED光源部52aおよびフォトダイオード受光部52bからなる濁度検出部52が配置されている。LED光源部52aおよびそれに対応するフォトダイオード受光部52bは、LED光源部52aから検出セル54の下部に約1mmの直径の光を照射してフォトダイオード受光部52bによってその光を受光可能なように配置されている。このフォトダイオード受光部52bが受光する光の強度によって、検出セル54の有無を検出するとともに、検出セル54のセル部54aの内部に収容された液の濁度を後述するパーソナルコンピュータ102の表示部90でモニタリングすることが可能になる。具体的には、検出セル54が検出セルセット孔51aにセットされると、検出セル54がLED光源部52aとフォトダイオード受光部52bとの間に配置されるので、フォトダイオード受光部52bが受光する光が検出セル54がセットされていない場合に比べて弱くなる。これによって検出セル54がセットされたことを検知することが可能となる。
【0033】
また、検出セル54は、サンプル試料および希釈試料を収容するため2つのセル部54aと、2つのセル部54aを塞ぐ2つの蓋部54bとを有している。
【0034】
また、移送部60は、図2および図3に示すように、分注部10をY1軸方向に移送するための直動ガイド61およびボールネジ62と、ボールネジ62を駆動するためのステッピングモータ63と、分注部10をX1軸方向に移送するための直動ガイド64およびボールネジ65と、ボールネジ65を駆動するためのステッピングモータ66とを含んでいる。なお、分注部10のX1軸方向およびY1軸方向への移送は、ステッピングモータ63および66により、それぞれ、ボールネジ62および65を回転させることにより行う。
【0035】
パーソナルコンピュータ102は、図1に示すように、入力機器のキーボード70aおよびマウス70bと、CPU81やメモリ82などから構成される制御部80と、モニタからなる表示部90とを含んでいる。
【0036】
次に、図1および図4〜図6を参照して、パーソナルコンピュータ102の表示部90の画面レイアウトの詳細について説明する。表示部90(図1参照)は、遺伝子増幅測定装置101により測定されたサンプル試料の測定結果を表示する画面(データブラウザ画面)、キーボード70aおよびマウス70bを用いてサンプル試料や精度管理試料のサンプルIDの登録などの測定指示を行う画面(ワークロードリスト画面)および検量線を表示する画面(検量線表示画面)などを表示するために設けられている。
【0037】
データブラウザ画面には、図4に示すように、ヘルプ機能など種々の機能を実行するボタンが表示されるツールバー111と、サンプル試料の各種情報を表示するサンプル情報表示部112と、サンプル情報表示部112に表示されるサンプル試料の測定結果を示す測定結果表示部113とが表示されている。
【0038】
また、サンプル情報表示部112には、バッチ番号表示欄112aと、サンプル位置表示欄112bと、サンプルID表示欄112cと、コメント表示欄112dと、測定日表示欄112eと、測定時刻表示欄112fとが設けられている。バッチ番号表示欄112aには、何番目のバッチ処理かが表示される。バッチ番号表示欄112aには、電源投入後、このバッチ処理が行なわれた回数に「1」を加算した数字(画面中では、「2」)が表示される。また、サンプル位置表示欄112bには、サンプル試料がセットされたサンプルセット位置(画面中では、「4」)が表示される。また、サンプルID表示欄112cおよびコメント表示欄112dには、それぞれ、後述するワークロードリスト画面(図5参照)で入力されたサンプル試料のサンプルID(画面中では、「Sample01」)およびサンプル試料(希釈試料)に対するコメント(画面中では、空欄)が表示される。また、測定日表示欄112eおよび測定時刻表示欄112fには、それぞれ、サンプル試料および希釈試料が測定された日(画面中では、「2004/08/09」)および時刻(画面中では、「09:37:26」)が表示される。
【0039】
また、測定結果表示部113には、上記したバッチ番号表示欄112aおよびサンプル位置表示欄112bから特定されるサンプル試料の濁度と時間(min)との関係を示したグラフ113aと、増幅立ち上がり時間表示欄113bと、濃度測定値表示欄113cと、判定結果表示欄113dとが設けられている。なお、希釈試料についての測定結果(グラフ、増幅立ち上がり時間、濃度測定値および判定結果)は、管理者以外のユーザーが見られないように設定されている。その結果、ユーザーが希釈試料についての測定結果を、サンプル試料についての測定結果だと勘違いするのを抑制することが可能となる。
【0040】
また、増幅立ち上がり時間表示欄113bには、グラフ113aの縦軸である濁度の0.1に対応する時間(画面中では、「10.4」)が表示される。
【0041】
また、濃度測定値表示欄113cには、増幅立ち上がり時間表示欄113bに表示される立ち上がり時間(=10.4)(min)から算出されるサンプル試料の濃度(画面中では、「4.0E+02」)(copies/μl)が表示される。具体的には、予め測定されたキャリブレータにより作成された増幅立ち上がり時間と濃度との1次関数である検量線(図6参照)に基づいて、増幅立ち上がり時間(=10.4)から濃度が算出される。なお、第1実施形態の遺伝子増幅測定装置101の濃度の検出限界が2.5×102(copies/μl)であるので、2.5×102(copies/μl)未満の濃度は「<2.5E+02」と表示される。
【0042】
また、判定結果表示欄113dは、サンプル試料の測定結果(濃度)と、その希釈試料の測定結果(濃度)とに基づいて、サンプル試料中に標的遺伝子(mRNA)が所定量以上存在するか否か(陽性「(+)」、陰性「(−)」)の結果を表示するために設けられている。
【0043】
ワークロードリスト画面には、図5に示すように、印刷機能などの種々の機能を実行するボタンが表示されるツールバー121と、測定オーダ(測定指示)を入力するオーダ入力部122と、測定オーダの登録状況を表示するオーダリスト表示部123と、バッチ番号表示欄124と、グループ選択欄125と、セルセット位置表示部126a〜126eと、サンプルセット位置表示部127と、測定開始ボタン128とが表示されている。
【0044】
また、オーダ入力部122は、サンプルセット位置1〜4についての測定オーダの入力と、サンプル容器セット孔21aおよび21b(図3参照)にセットされる精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)についての測定オーダの入力とを行うために設けられている。このオーダ入力部122には、サンプルID入力欄122aと、コメント入力欄122bと、確定ボタン122cとが設けられている。具体的には、キーボード70aを用いてサンプルID入力欄122aに、サンプルセット位置1〜4のサンプル試料とサンプル容器セット孔21aおよび21bの精度管理試料とについてサンプルIDを入力する。なお、このサンプルIDとしては、サンプル試料に対応したIDの他、陰性コントロールや陽性コントロールなどに対応したIDを入力する。サンプルのIDとしては、たとえば、「Sample01〜Sample04」を用いる。陽性コントロールのサンプルIDとしては、たとえば、「QC[CK19−PC]」を用いる。陰性コントロールのサンプルIDとしては、たとえば、「QC[CK19−NC]」を用いる。また、サンプル試料や精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)についてのコメントがある場合には、オーダ入力部122のコメント入力欄122bにコメントを入力することが可能である。そして、確定ボタン122cがマウス70bによりクリックされると、入力されたサンプルIDおよびコメントがオーダリスト表示部123に反映される。
【0045】
また、バッチ番号表示欄124には、データブラウザ画面(図4〜図6参照)のサンプル情報表示部112のバッチ番号表示欄112aと同様に、何番目のバッチ処理かが表示される。また、グループ選択欄125では、プルダウンメニュー125aの中からグループを選択する。このグループとしては、たとえば、サンプル試料を測定するグループ、検量線を取得するためのキャリブレータを測定するグループなどがある。第1実施形態では、サンプル試料を測定するグループ(Sample)を選択した場合の例を示している。このグループ(Sample)の選択により、オーダリスト表示部123には、CK19の対応個所に「○」が表示される。
【0046】
また、セルセット位置表示部126a〜126eは、反応部50の各反応検出ブロック50aの検出セル54のセット状態を表示するために設けられている。この検出セル54のセット状態としては、使用する予定があり、かつ、検出セルセット孔51aに検出セル54がセットされている場合には、図5に示すように、セルセット位置表示部126aおよび126bに「G」(緑色で表示)が表示される。また、使用する予定があるにも関わらず検出セルセット孔51aに検出セル54がセットされていない場合には、セルセット位置表示部126a〜126eの所定の個所に「NG」(赤色で表示)が表示される。そして、使用する予定がないために検出セルセット孔51aに検出セル54をセットする必要がない場合には、セルセット位置表示部126a〜126eの所定の個所(図5ではセルセット位置表示部126c〜126e)に検出セル54をセットする必要がない状態の反応部51を示す図柄(グレーで表示)が表示される。
【0047】
また、サンプルセット位置表示部127は、遺伝子増幅測定装置101の試料載置部20のサンプル試料を収容するサンプル容器22、希釈試料を収容するサンプル容器23、陽性コントロールが収容される容器24、陰性コントロールが収容される容器25、酵素試薬容器26およびプライマー試薬容器27のセット状態を表示するために設けられている。このサンプルセット位置表示部127は、10個のサンプル容器セット孔21a〜21jに対応するサンプル容器表示部127a〜127jと、酵素試薬容器セット孔21kに対応する酵素試薬容器表示部127kと、プライマー試薬容器セット孔21lに対応するプライマー試薬容器表示部127lとを有している。そして、サンプル容器表示部127aには、オーダリスト表示部123に表示されるサンプルID(QC[CK19−PC])に対応したアルファベット(画面中では「PC」)が表示される。また、サンプル容器表示部127bには、オーダリスト表示部123に表示されるサンプルID(QC[CK19−NC])に対応したアルファベット(画面中では「NC」)が表示される。
【0048】
また、サンプル容器表示部127c、127e、127gおよび127iには、オーダリスト表示部123に表示されるサンプルIDに対応したアルファベット(画面中では、サンプル(sample)を意味する「S」)が表示される。そして、サンプル容器表示部127d、127f、127hおよび127jには、希釈試料であることを示すアルファベット(画面中では、希釈(dilution)を意味する「D」)が表示される。そして、酵素試薬容器表示部127kには、酵素試薬容器26がセットされたことを示すアルファベット(画面中では「E」)が表示されるとともに、プライマー試薬容器表示部127lには、プライマー試薬容器27が載置されたことを示すアルファベット(画面中では「P」)が表示される。第1実施形態では、サンプルセット位置1についての測定オーダの入力が終了した状態の画面を示している。
【0049】
検量線表示画面は、図6に示すように、3種類の既知濃度(2.5×103(copies/μl)、2.5×105(copies/μl)、2.5×107(copies/μl))のキャリブレータを測定することにより作製された検量線を表示する画面であり、キャリブレータの立ち上がり増幅時間に対する濃度をプロットした3点を1次式で近似した直線が表示されている。
【0050】
また、制御部80(図1参照)は、サンプル試料および希釈試料と、精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)とを測定する遺伝子増幅測定装置101を制御する機能を有している。
【0051】
ここで、第1実施形態では、制御部80のCPU81は、試料載置部20に載置されたバッチ処理を行う全てのサンプル試料(希釈試料)を、反応部50にセットされる検出セル54のセル部54aに分注させた後、連続して精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)を、反応部50にセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する機能を有している。具体的には、CPU81は、まず、サンプルセット位置1にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置1の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御した後、サンプルセット位置2にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置2の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する。そして、CPU81は、サンプルセット位置3にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置3の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御した後、サンプルセット位置4にセットされるサンプル試料および希釈試料を、セルセット位置4の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する。その後、CPU81は、試料載置部20のサンプル容器セット孔21aおよび21b(図3参照)にセットされる精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)を、セルセット位置5の反応検出ブロック50aにセットされる検出セル54のセル部54aに分注するように分注部10を制御する。
【0052】
また、CPU81は、遺伝子増幅測定装置101により測定された精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)の測定結果(濃度)を分析する機能を有しており、取得した精度管理試料の測定結果(濃度)が所定の範囲内にあるか否かを判定している。具体的には、CPU81は、測定経過時間9.0min〜13.0minでの陽性コントロールの測定結果(濃度)が5.0×102(copies/μl)以上5.0×104(copies/μl)以下の範囲内であるか否かを判定している。また、CPU81は、測定経過時間16.0minでの陰性コントロールの測定結果(濃度)が0以上2.5×102(copies/μl)以下の範囲内であるか否かを判定している。そして、CPU81は、上記した精度管理試料の判定結果に基づいて、サンプル試料および希釈試料の測定結果を表示するように表示部90を制御する機能を有している。具体的には、CPU81は、精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)の測定結果(濃度)が上記した所定の範囲外である場合には、データブラウザ画面(図5参照)において、そのバッチ内のサンプル試料の測定結果に「精度管理異常」があったことを示すフラグ「*」を付して、表示部90に表示させる。
【0053】
また、第1実施形態では、制御部80のメモリ82には、試料載置部20に載置されるサンプル試料を収容したサンプル容器22、希釈試料を収容したサンプル容器23、陽性コントロールを収容した容器24および陰性コントロールを収容した容器25の位置が記憶されている。具体的には、ユーザーが、ワークロードリスト画面(図5参照)において、キーボード70aを用いてサンプルID入力欄122aに、サンプルセット位置1〜4のサンプル試料(希釈試料)のサンプルIDと、試料載置部20の精度管理試料のサンプルIDとを入力することによって、メモリ82に、試料載置部20におけるサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料の位置が記憶される。
【0054】
次に、図1〜図6を参照して、第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100の動作について説明する。第1実施形態による遺伝子増幅分析システム100では、上記したように、癌手術での切除組織内に存在する癌由来の標的遺伝子(mRNA)をLAMP法を用いて増幅させ、増幅に伴い発生するピロリン酸マグネシウムによる白濁を測定することにより標的遺伝子が所定量以上存在するか否かを判定する。
【0055】
まず、図2および図3に示すように、予め切除組織を処理(ホモジナイズ、ろ過など)して作製された可溶化抽出液(サンプル試料)が収容されたサンプル容器22をサンプル容器セット孔21c、21e、21gおよび21iにセットする。そして、第1実施形態では、サンプル容器22に収容されるサンプル試料を10倍に希釈した希釈試料を収容したサンプル容器23をサンプル容器セット孔21d、21f、21hおよび21jにセットする。また、陽性コントロールが収容された容器24および陰性コントロールが収容された容器25を、それぞれ、サンプル容器セット孔21aおよび21b(図3参照)にセットする。また、酵素試薬容器セット孔21k(図3参照)およびプライマー試薬容器セット孔21lに、それぞれ、CK19の酵素試薬が収容された酵素試薬容器26と、CK19のプライマー試薬が収容されたプライマー試薬容器27とをセットする。また、チップセット部30に、それぞれ36本の使い捨て用のピペットチップ31が収納された2つのラック32を設置する。
【0056】
また、測定を開始する前に、図1に示したパーソナルコンピュータ102のキーボード70aおよびマウス70bを用いて、パーソナルコンピュータ102の表示部90の画面(ワークロードリスト画面(図5参照))でサンプルIDの登録などの測定指示を行う。これにより、第1実施形態では、制御部80のメモリ82に試料載置部20におけるサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料の位置が記憶される。
【0057】
そして、ユーザーは、図5に示したワークロードリスト画面の測定開始ボタン128をマウス70b(図1参照)を用いてクリックする。これにより、遺伝子増幅測定装置101での測定動作がスタートされる。
【0058】
遺伝子増幅測定装置101の動作がスタートすると、まず、図2に示した移送部60により分注部10のアーム部11が初期位置からチップセット部30に移動された後、チップセット部30において、分注部10の2つのシリンジ部12が下方向に移動される。これにより、2つのシリンジ部12のノズル部の先端が2つのピペットチップ31の上部開口部内に圧入されるので、2つのシリンジ部12のノズル部の先端にピペットチップ31が自動的に装着される。そして、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注部10のアーム部11は、CK19のプライマー試薬が収容されたプライマー試薬容器27の上方に向かってX1軸方向に移動される。そして、プライマー試薬容器27の上方に位置する一方のシリンジ部12が下方向に移動されてプライマー試薬が吸引された後、その一方のシリンジ部12が上方向に移動される。その後、他方のシリンジ部12が同じプライマー試薬容器27の上方に位置するように、移送部60により分注部10のアーム部11がY1軸方向に移動される。そして、他方のシリンジ部12が下方向に移動されて同じプライマー試薬容器27からプライマー試薬が吸引された後、その他方のシリンジ部12が上方向に移動される。このようにして、シリンジ部12に装着される2つのピペットチップ31によりプライマー試薬容器27内のCK19のプライマー試薬が吸引される。
【0059】
プライマー試薬の吸引後、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注部10のアーム部11は、移送部60により最も奥側(装置正面奥側)であるセルセット位置1に位置する反応検出ブロック50aの上方に移動される。そして、最も奥側の反応検出ブロック50aにおいて、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、2つのシリンジ部12に装着された2つのピペットチップ31が、それぞれ、検出セル54の2つのセル部54a内に挿入される。そして、シリンジ部12を用いて、CK19のプライマー試薬がそれぞれ2つのセル部54aに吐出される。
【0060】
プライマー試薬の吐出後、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注部10のアーム部11は、移送部60によりチップ廃棄部40の上方に向かってX1軸方向に移動される。そして、チップ廃棄部40において、ピペットチップ31の廃棄が行われる。具体的には、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、チップ廃棄部40の2つのチップ廃棄孔40a(図3参照)内にピペットチップ31が挿入される。この状態で、分注部10のアーム部11が移送部60によりY1軸方向に移動されることにより、ピペットチップ31が溝部40bの下に移動される。そして、2つのシリンジ部12が上方向に移動されることにより、ピペットチップ31の上面のつば部は、溝部40bの両側の下面に当接してその下面から下方向の力を受けるので、ピペットチップ31が2つのシリンジ部12のノズル部から自動的に脱離される。これにより、ピペットチップ31がチップ廃棄部40に廃棄される。
【0061】
次に、分注部10のアーム部11が、再び、移送部60によりチップセット部30に移動される。この後、チップセット部30において、上記と同様の動作により、2つのシリンジ部12のノズル部の先端に、新しい2つのピペットチップ31が自動的に装着される。そして、分注部10のアーム部11は、CK19の酵素試薬が収容された酵素試薬容器26の上方に向かってX1軸方向に移動される。そして、酵素試薬容器26の上方に位置する一方のシリンジ部12が下方向に移動されて酵素試薬が吸引された後、その一方のシリンジ部12が上方向に移動される。その後、他方のシリンジ部12が同じ酵素試薬容器26の上方に位置するように、移送部60により分注部10のアーム部11がY1軸方向に移動される。そして、他方のシリンジ部12が下方向に移動されて同じ酵素試薬容器26から酵素試薬が吸引された後、その他方のシリンジ部12が上方向に移動される。このようにして、シリンジ部12に装着される2つのピペットチップ31により酵素試薬容器26内の酵素試薬が吸引される。
【0062】
そして、分注部10のアーム部11は、移送部60により最も奥側の反応検出ブロック50aの上方に移動された後、CK19の酵素試薬が、検出セル54の2つのセル部54aに吐出される。そして、酵素試薬の吐出後、分注部10のアーム部11は、移送部60によりチップ廃棄部40の上方に移動された後、ピペットチップ31の廃棄が行われる。
【0063】
次に、分注部10のアーム部11が、再び、移送部60によりチップセット部30に移動された後、2つのシリンジ部12のノズル部の先端に新しい2つのピペットチップ31が自動的に装着される。そして、分注部10のアーム部11は、試料載置部20にセットされたサンプル試料および希釈試料が収容されたサンプル容器22およびサンプル容器23の上方に向かってX1軸方向に移動された後、上記プライマー試薬および酵素試薬の吸引動作と同様の動作により、サンプル容器22および23内のサンプル試料および希釈試料が同時に吸引される。この後、分注部10のアーム部11は、移送部60により最も奥側の反応検出ブロック50aの上方に移動された後、2つのシリンジ部12が下方向に移動されて検出セル54の2つのセル部54aに、それぞれ、サンプル試料と希釈試料とが吐出される。なお、プライマー試薬、酵素試薬およびサンプル試料(希釈試料)の分注時には、検出セル54内の液温は、約20℃に保持されている。この後、分注部10のアーム部11が、移送部60によりチップ廃棄部40の上方に移動された後、ピペットチップ31の廃棄が行われる。
【0064】
そして、上記のセル部54a内へのプライマー試薬、酵素試薬、サンプル試料および希釈試料の吐出が行われた後、検出セル54の蓋部54bの蓋閉め動作が行われる。この蓋閉め動作が完了した後、検出セル54内の液温を約20℃から約65℃に加温することにより、LAMP(遺伝子増幅)反応により標的遺伝子(mRNA)を増幅する。そして、増幅に伴い生成されるピロリン酸マグネシウムによる白濁を比濁法により検出する。具体的には、図3に示したLED光源部52aおよびフォトダイオード受光部52bを用いて、増幅反応時の検出セル54内の濁度を検出(モニタリング)することによって、濁度の検出を行う。
【0065】
この際、パーソナルコンピュータ102のCPU81は、図4に示すように、反応時間(min)と濁度との関係を示したグラフ113aを表示部90のデータブラウザ画面に表示する。そして、CPU81は、増幅立ち上がり時間表示欄113bに、グラフ113aの縦軸である濁度の0.1に対応する時間を表示する。そして、CPU81は、濃度測定値表示欄113cに、増幅立ち上がり時間と検量線(図6参照)とから算出されるサンプル試料の濃度を表示させる。
【0066】
上記のようにして、最も奥側(セルセット位置1)に位置する反応検出ブロック50aでの標的遺伝子(mRNA)の検出が行われるとともに、表示部90に測定結果が表示される。また、奥から2番目〜4番目(セルセット位置2〜4)の反応検出ブロック50aについても、順次、セルセット位置1の反応検出ブロック50aでの標的遺伝子の検出動作と同様の動作が行われる。
【0067】
そして、第1実施形態では、サンプル試料および希釈試料の測定が行われた後に、奥から5番目に位置する(セルセット位置5に位置する)反応検出ブロック50aにおいて、上記したセルセット位置1の反応検出ブロック50aでの標的遺伝子の検出動作と同様に、試料載置部20のサンプル容器セット孔21aにセットされる容器24内の陽性コントロールと、サンプル容器セット孔21bにセットされる容器25内の陰性コントロールとの測定が行われる。つまり、第1実施形態では、最大4つのサンプル試料を一括して測定するバッチ処理が行われた後に、精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)を測定している。これにより、精度管理試料の測定結果に基づいて、バッチ処理内のサンプル試料の測定結果が正常であったか否かを確認している。そして、精度管理試料の測定結果が正常である場合には、サンプル試料の測定結果を報告(確定)するとともに、精度管理試料の測定結果が異常である場合には、サンプル試料の測定結果にフラグ「*」を付して報告する。
【0068】
このように、所定回数バッチ処理を実行することにより、遺伝子増幅分析システム100の動作が終了する。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、4つのサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を載置することが可能な試料載置部20と、試料載置部20にサンプル試料および希釈試料と精度管理試料(陽性コントロール、陰性コントロール)とが載置された場合に、バッチ処理を行う全ての(最大4つの)サンプル試料および希釈試料を反応部50にセットされる検出セル54に先に分注し、その後に精度管理試料を反応部50にセットされる検出セル54に分注するように分注部10を制御する制御部80とを設けることによって、4つのサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を同じ試料載置部20に載置することができる。これにより、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を検出セル54に分注させた後に、連続して精度管理試料を検出セル54に分注させることができる。これにより、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を測定した後に、連続して精度管理試料を測定することができる。その結果、サンプル試料の測定後に遅滞なく、サンプル試料を報告するのに必要な精度管理試料の測定結果を取得することができるので、サンプル試料の測定結果を迅速に報告することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を測定した後に精度管理試料を測定することによって、精度管理試料を1回測定するだけで、バッチ処理を行う全てのサンプル試料をまとめて報告することができる。その結果、サンプル試料の測定毎に精度管理試料を測定する場合と比べて、精度管理試料の消費量を抑制することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、最大4つのサンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を載置することが可能な試料載置部20を設けることによって、サンプル試料(希釈試料)および精度管理試料を同じ試料載置部20に載置することができる。その結果、サンプル試料(希釈試料)を載置することが可能な試料載置部と精度管理試料を載置することが可能な試料載置部とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、制御部80に試料載置部20に載置される精度管理試料の位置を記憶するメモリ82を設けることによって、制御部80は、メモリ82に記憶される精度管理試料の位置に基づいて、サンプル試料の分注後、容易に、精度管理試料を分注するように分注部10を制御することができる。
【0073】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態による免疫凝集測定装置の全体構成を示した斜視図であり、図8は、図7に示した免疫凝集測定装置の正面図である。図9〜図17は、図7に示した免疫凝集測定装置の詳細を説明するための図である。第2実施形態による免疫凝集測定装置200は、PCIA(Particle counting immuno assay)法により、血液中の微量の蛋白(抗原)を測定するための装置である。なお、第2実施形態の免疫凝集測定装置200のサンプル試料として、全血または血清を選択することが可能である。また、第2実施形態による免疫凝集測定装置200でも、第1実施形態の遺伝子増幅分析システム100と同様に、精度管理試料を測定することにより、サンプル試料(全血または血清)の測定結果を報告(検体試料の測定結果を確定)している。
【0074】
第2実施形態の免疫凝集測定装置200は、図7〜図9に示すように、分注部210と、試薬設置部220と、検体ホルダ部230と、反応部240と、測定希釈分注部250と、試料受け部260と、光学検出部270と、未使用の反応プレート201を収容する反応プレートトレイ280と、使用済みの反応プレート201を貯留する反応プレート廃棄箱290と、洗浄部300aおよび300bと、制御部310とを含んでいる。そして、図7および図8に示すように、免疫凝集測定装置200の前面には、装置を起動するための電源スイッチ320と、タッチパネルからなる表示部330とが設けられている。
【0075】
また、分注部210は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231と反応部240との間を移動するように構成されている。この分注部210は、図9に示すように、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な検体・ラテックスピペット部211と、プレートキャッチャ部212とを含んでいる。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202(図10参照)内のサンプル試料(全血または血清)を分注および吐出する機能を有している。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する試薬設置部220にセットされる試薬ビン203内のラテックス試薬、緩衝液および検体希釈液を分注および吐出する機能も有している。また、プレートキャッチャ部212は、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201を反応部240に搬送するとともに、使用済みの反応プレート201を反応プレート廃棄箱290に搬送するために設けられている。なお、反応プレート201には、サンプル試料や各種試薬を収容可能な25個のキュベット201aが設けられている。
【0076】
また、試薬設置部220は、緩衝液、ラテックス試薬および検体希釈液を収容した試薬ビン203を載置するために設けられている。この際、試薬ビン203内の試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)は、所定の温度(15℃以下)に保たれている。そして、試薬設置部220には、装置の奥側から順番に、緩衝液容器セット部221、ラテックス試薬容器セット部222および検体希釈液容器セット部223が設けられている。
【0077】
また、検体ホルダ部230は、オーダ登録された全てのサンプル試料を一括して処理するために設けられている。この検体ホルダ部230は、図10に示すように、10個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための5つの検体ホルダ230a〜230eと、1個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための1つの緊急検体ホルダ230fとを備えている。そして、検体ホルダ230a〜230eのラック231には、10個のサンプルカップ202を載置可能であり、5つの検体ホルダ230a〜230eに合計50個のサンプルカップ202をセット可能である。各検体ホルダ230a〜230eのラック231は、装置の正面から見て左側から順に、ラックセット位置1、ラックセット位置2、ラックセット位置3、ラックセット位置4およびラックセット位置5に配置されている。そして、5つの検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202は、それぞれ、装置の奥側から順に、カップセット位置1〜カップセット位置10に配置されている。
【0078】
また、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a〜230eのラック231の所定の位置には、精度管理試料を収容した1つのサンプルカップ202が載置されている。また、検体ホルダ部230の5つの検体ホルダ230a〜230eの前面には、それぞれ、検体LED231a〜231e(図8および図10参照)が設けられている。また、緊急検体ホルダ230fの前面にも、緊急検体LED231f(図8参照)が設けられている。この検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fは、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fを引き出し可能な状態の場合に緑色に点灯するとともに、引き出し不可能な場合に赤色に点灯するように構成されている。そして、ユーザーは、検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fが緑色に点灯している場合に、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fのラック231にサンプルカップ202を追加することが可能である。
【0079】
また、緊急検体ホルダ230fにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内の緊急検体試料は、検体ホルダ230a〜230eにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内のサンプル試料に割り込んで優先して測定される。
【0080】
また、反応部240は、2枚の反応プレート201のキュベット201a内に収容されるサンプル試料および緊急検体試料と、各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを反応させるために設けられている。具体的には、上記した分注部210により分注されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを攪拌して混合するとともに、その攪拌して混合されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬とを所定の温度に維持することにより、調製試料を調製して、ラテックス試薬の凝集反応を促進させている。つまり、この反応部240では、図11に示すように、抗体が結合したラテックス試薬中のラテックス粒子が、サンプル試料中の抗原を媒介として凝集する凝集反応が行われる。
【0081】
また、測定希釈分注部250は、図9に示すように、分注部210の後方に配置されており、反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を吸引および吐出する機能を有している。この測定希釈分注部250は、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な測定希釈ピペット部251とを含んでいる。そして、測定希釈分注部250は、吸引した反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を、免疫凝集測定装置200の下部に設置されたタンク(図示せず)に収容される測定希釈液とともに試料受け部260に吐出する。
【0082】
また、試料受け部260は、上記した反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料および測定希釈液を受け入れるために設けられている。そして、試料受け部260に受け入れられた粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、後述する光学検出部270のシースフローセル274(図12参照)に導かれる。
【0083】
また、光学検出部270は、図12に示すように、光源としてのレーザダイオード271と、コンデンサレンズ272およびコレクタレンズ273と、シースフローセル274と、受光素子としてのフォトダイオード275とから構成されている。シースフローセル274は、粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)の流れを、粒子懸濁液の両側を流れるシース液の流れで挟み込むことにより、扁平な流れに変換する機能を有している。そして、レーザダイオード271からシースフローセル274を流れる粒子懸濁液に照射された光は、粒子懸濁液中のラテックス粒子の凝集塊(図11参照)に散乱されて、フォトダイオード275により受光されるように構成されている。
【0084】
また、反応プレートトレイ280は、図7および図8に示すように、最大4つの未使用の反応プレート201(図9参照)を収容することが可能である。そして、反応プレートトレイ280に収容される反応プレート201は、分注部210のプレートキャッチャ部212(図9参照)により反応部240に搬送される。また、反応プレート廃棄箱290は、使用済みの反応プレート201を貯留することが可能であり、分注部210のプレートキャッチャにより反応部240から搬送される。
【0085】
また、洗浄部300aは、分注部210の検体・ラテックスピペット部211を洗浄するために設けられている。また、洗浄部300bは、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄するために設けられている。
【0086】
次に、図7、図8および図10〜図16を参照して、表示部330の画面レイアウトの詳細について説明する。表示部330(図7参照)は、光学検出部270(図12参照)により受光された散乱光の強度から算出された測定結果(濃度やフラグなど)を表示する画面(進捗状況画面)(図14および図15参照)、サンプル試料や精度管理試料のサンプルIDの登録などの測定指示(オーダ登録)を行う画面(測定登録画面)(図13参照)などを表示するために設けられている。
【0087】
測定登録画面には、図13に示すように、検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定する5つのラック指定ボタン311a〜311eと、検体番号を登録する際に用いる検体番号入力ボタン312と、カーソル350を移動させる際に用いるカーソル移動ボタン313と、希釈倍率を登録する際に用いる希釈倍率入力ボタン314と、入力した検体番号や希釈倍率を消去するためのクリアキー315と、サンプル試料の種類(全血または血清)を指定するための全血・血清入力ボタン316と、オーダ登録されたサンプル試料を測定(分注)の対象として確定する登録ボタン317と、オーダ登録の内容を表示するオーダリスト表示部318と、測定開始ボタン319とが表示されている。
【0088】
また、5つのラック指定ボタン311a〜311eは、検体ホルダ部230の所定の検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザーがラック指定ボタン311a(画面中では、「ラック1」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230aに載置されるラック231(図10参照)が指定されて、その検体ホルダ230aに載置されるラック231のオーダ登録が可能となる。また、検体番号入力ボタン312は、カーソル移動ボタン313を触れることにより移動されたカーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料および精度管理試料のサンプルIDを入力する際に用いられる。なお、このサンプルIDとしては、サンプル試料に対応したIDの他、精度管理試料に対応したIDを入力する。サンプルのIDとしては、たとえば、「121や222」を用いる。精度管理試料のサンプルIDとしては、たとえば、「QC01」を用いる。たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に対応するサンプルカップ202に精度管理試料が収容されている場合には、ユーザーは、ラック指定ボタン311aを触れることにより、オーダリスト表示部318にラックセット位置1のオーダ登録の内容を表示させた後、カーソル移動ボタン313を用いてカップセット位置3にカーソル350を合わせて、検体番号入力ボタン312を用いて「QC01」と登録する。
【0089】
また、希釈倍率入力ボタン314は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の希釈倍率を入力する際に用いられる。また、全血・血清入力ボタン316は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の種類を選択するために設けられている。たとえば、サンプル試料が全血の場合には「WB」が表示されるとともに、血清の場合には「S」が表示される。そして、上記した各種ボタンで登録した内容は、オーダリスト表示部318に反映される。
【0090】
進捗状況画面には、図14および図15に示すように、測定登録画面(図13参照)などを表示させるボタンが配置されるメインメニュー部321と、図14に示した検体進捗状況確認画面を表示させる検体進捗状況表示ボタン322と、図15に示したラック使用状況確認画面を表示させる全ラック使用状況表示ボタン323と、測定開始ボタン324とが表示されている。
【0091】
そして、図14および図15に示した検体進捗状況表示ボタン322をユーザーが触れることにより、図14に示すように、検体進捗状況確認画面が表示される。検体進捗状況確認画面では、5つのラック指定ボタン325a〜325eおよび1つの緊急検体ラック指定ボタン325fと、サンプル試料および精度管理試料の測定結果を表示する測定結果表示部326とが表示されている。
【0092】
また、5つのラック指定ボタン325a〜325eは、測定登録画面(図13参照)におけるラック指定ボタン311a〜311eと同様の機能を有しており、検体ホルダ部230の所定のラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザーがラック指定ボタン325a(画面中では、「ラック1測定中」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a(図10参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に検体ホルダ230aのラック231に載置される10本のサンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料の測定結果が表示される。また、緊急検体ラック指定ボタン325fは、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230fを指定するものであり、ユーザーが緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230f(図8および図10参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に緊急検体試料の測定結果が表示される。
【0093】
測定結果表示部326には、サンプル位置表示欄326aと、サンプルID表示欄326bと、全血・血清表示欄326cと、各測定項目に測定結果(濃度やフラグなど)を表示する結果表示欄326dとが設けられている。この測定結果表示部326には、上記したラック指定ボタン325a〜325eおよび緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより指定されたラック231についてのサンプルIDや測定結果が表示されている。第2実施形態では、検体ホルダ230aのラック231を指定するためのラック指定ボタン325aが触れられた場合の画面を示している。
【0094】
また、サンプルID表示欄326bには、サンプル位置表示欄326aに表示されるカップセット位置1〜10に対応するサンプルIDが表示されている。このサンプルIDは、測定登録画面(図13参照)で予め入力されている。また、全血・血清表示欄326cには、測定登録画面の全血・血清入力ボタン316を用いて登録されたサンプル試料の種類(たとえば、全血:「WB」、血清:「S」)が表示されている。また、結果表示欄326dには、上述した光学検出部270により検出された散乱光の強度から算出されるサンプル試料の濃度(画面中では、「>56.00」や「1.30/+」など)(ng/ml)が表示されている。このサンプル試料の濃度は、光学検出部270(図12参照)により取得された散乱光の強度から算出されるラテックス粒子(図11参照)の凝集度を、予め測定されたキャリブレータにより作成されたキャリブレータの濃度とキャリブレータの凝集度との関数である検量線(図16参照)に代入することにより算出される。
【0095】
また、図14に示した全ラック使用状況表示ボタン323をユーザーが触れることにより、検体進捗状況確認画面からラック231の使用状況を確認することが可能なラック使用状況確認画面に切り替えられる。ラック使用状況確認画面では、図15に示すように、検体ホルダ230a〜230eのそれぞれのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するためのラック表示部327a〜327eと、緊急検体ホルダ230fのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するための緊急検体ラック表示部327fとが設けられている。そして、ラック表示部327a〜327eには、それぞれ、10個のサンプルカップ表示部328を含んでおり、そのサンプルカップ表示部328は、サンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料のオーダ登録の状態を表示する機能を有している。サンプル試料および精度管理試料の測定状態としては、オーダが未登録の場合には、サンプルカップ表示部328が白色で表示される。また、オーダが登録されている場合には、サンプルカップ表示部328が緑色で表示される。そして、サンプル試料および精度管理試料が測定中の場合には、サンプルカップ表示部328が赤色で表示される。なお、図15では、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプル試料が測定中の場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプルカップ表示部328が赤色で表示されている場合を示している。また、図15では、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプル試料がオーダが登録済みの場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプルカップ表示部328が緑色で表示されている場合を示している。
【0096】
次に、図12、図13および図17を参照して制御部310の詳細について説明する。制御部310は、図17に示すように、ROM310aと、CPU310bと、RAM310cと、入出力インターフェース310dと、画像出力インターフェース310eとにより構成されており、それらの間はバス310fによってデータ通信可能に接続されている。
【0097】
また、第2実施形態では、ROM310aには、検体ホルダ部230の5つの検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプル試料を収容したサンプルカップ202および精度管理試料を収容したサンプルカップ202の位置が記憶されている。具体的には、ユーザーが、測定登録画面(図13参照)において、表示部330(タッチパネル)に表示される検体番号入力ボタン312を用いてサンプル試料のサンプルIDと、精度管理試料のサンプルIDとを入力することによって、ROM310aに、サンプル試料および精度管理試料の位置が記憶される。
【0098】
また、CPU310bは、光学検出部270(図12参照)により検出された散乱光の強度からサンプル試料内の抗原の濃度を算出する機能を有している。また、CPU310bは、測定された精度管理試料の測定結果(濃度)を分析する機能を有しており、取得した精度管理試料の測定結果(濃度)が正常範囲内にあるか否かを判定している。この正常範囲は、予め設定されており、ROM310aに格納されている。正常範囲は、ユーザーが手動で設定するマニュアル設定、または、CPU310bが自動で設定する自動設定とにより設定される。そして、CPU310bは、精度管理試料の判定結果に基づいて、サンプル試料の測定結果を報告(サンプル試料の測定結果を確定)している。
【0099】
ここで、第2実施形態では、CPU310bは、ROM310aに記憶された精度管理試料の位置に基づいて、検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されてオーダ登録された全てのサンプルカップ202内のサンプル試料を反応部240の反応プレート201のキュベット201aに分注した後、精度管理試料を反応部240の反応プレート201のキュベット201aに分注するように分注部210を制御する機能を有している。
【0100】
そして、CPU310bは、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプルカップ202のサンプル試料から順に、ラックセット位置5のカップセット位置10のサンプルカップ202のサンプル試料まで分注するように分注部210を制御している。したがって、たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に対応するサンプルカップ202に精度管理試料が収容されている場合には、CPU310bは、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプル試料およびラックセット位置1のカップセット位置2のサンプル試料を分注するように分注部210を制御した後、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料を分注せずにラックセット位置1のカップセット位置4のサンプル試料を分注するように分注部210を制御している。その後、CPU310bは、オーダ登録されたすべてのサンプル試料の分注が終了した後に、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料を分注するように分注部210を制御している。
【0101】
また、本実施形態では、CPU310bは、分注部210がサンプル試料を分注する分注動作中にサンプル試料を収容したサンプルカップ202を載置したラック231が検体ホルダ230a〜230eに追加された場合でも、その追加したサンプル試料を反応プレート201のキュベット201aに分注した後に、精度管理試料を反応プレート201のキュベット201aに分注するように制御している。つまり、ユーザーが検体ホルダ230a〜230eの前面に設けられる検体LED231a〜231eが青色に点灯していることを確認して、その検体ホルダ230a〜230eにサンプル試料を収容したサンプルカップ202が載置されたラック231を追加した場合に、CPU310bは、追加したサンプル試料を分注した後に、精度管理試料を分注する。
【0102】
また、RAM310cは、CPU310bの作業領域として用いられている。具体的には、RAM310cは、CPU310bが光学検出部270で検出された散乱光の強度から凝集度や濃度を算出する際の作業領域として用いられている。
【0103】
また、入出力インターフェース310dは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェースや、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェース、および、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェースなどから構成されている。この入出力インターフェース310dには、タッチパネルからなる表示部330が接続されており、ユーザーがタッチパネルからなる表示部330を触れることにより与えられた入力データをCPU310bに出力するように構成されている。また、画像出力インターフェース310eは、表示部330に接続されており、CPU310bから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部330に出力するように構成されている。
【0104】
図18は、図7に示した免疫凝集測定装置の制御部による分注部の制御フローを示したフローチャートである。図19は、図7に示した免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。図20は、T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。
【0105】
次に、図7〜図15および図18〜図20を参照して、第2実施形態による免疫凝集測定装置200の動作について説明する。第2実施形態による免疫凝集測定装置200では、上記したように、血液(サンプル試料)中の抗原と結合する抗体を保持したラテックス粒子を凝集させて、凝集したラテックス粒子の凝集塊に光を照射することにより凝集度を算出して、その凝集度から血液(サンプル試料)中の抗原の濃度を測定している。
【0106】
まず、図10に示すように、全血または血清(サンプル試料)が収容されたサンプルカップ202を検体ホルダ230a〜230eのラック231にセットする。また、検体ホルダ230a〜230eのラック231の所定の個所に精度管理試料が収容された1つのサンプルカップ202をセットする。
【0107】
また、測定を開始する前に、図7および図8に示した表示部330(タッチパネル)に表示される各種ボタンを用いて、測定登録画面(図13参照)でサンプル試料および精度管理試料のサンプルIDや希釈倍率などのオーダ登録を行う。これにより、第2実施形態では、制御部310のROM310aに、サンプル試料および精度管理試料の位置が記憶される。この際、精度管理試料のサンプルIDとして、「QC」を用いることにより、ROM310aに、他のサンプル試料と区別して精度管理試料の位置が記憶される。
【0108】
そして、ユーザーが、測定開始ボタン319(図13参照)または324(図14および図15参照)を触れることにより、免疫凝集測定装置200の測定動作がスタートされる。
【0109】
免疫凝集測定装置200の動作がスタートすると、まず、図9に示した分注部210のプレートキャッチャ部212により、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201が反応部240に搬送される。
【0110】
そして、図18に示すように、ステップS1において、免疫凝集測定装置200の制御部310のCPU310bは、サンプル試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bがサンプル試料のオーダ登録があると判断した場合には、ステップS2において、サンプルカップ202内のサンプル試料を分注するように分注部210を制御する。そして、このサンプル試料について、後述する図19に示したフローチャートに沿った測定プロセスで濃度が測定される。
【0111】
次に、ステップS2において、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプル試料の分注(測定)が行われた後、再びステップS1において、CPU310bは、サンプル試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bがサンプル試料のオーダ登録があると判断した場合には、サンプル試料の分注(測定)が繰り返される。したがって、たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に精度管理試料のオーダ登録がされている場合には、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料を除く、サンプル試料が順次分注(測定)される。
【0112】
そして、再びステップS1において、サンプル試料のオーダ登録がない場合には、ステップS3において、CPU310bは、精度管理試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bが精度管理試料のオーダ登録があると判断した場合には、ステップS4において、CPU310bは、サンプルカップ202内の精度管理試料を分注するように分注部210(図9参照)を制御する。そして、たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に精度管理試料のオーダ登録がされている場合には、分注部210により、ラックセット位置1のカップセット位置3の精度管理試料の分注が行われる。そして、精度管理試料についても、後述する図19に示したフローチャートに沿った測定プロセスで濃度が測定される。
【0113】
また、第2実施形態では、分注部210(図9参照)によるサンプル試料の分注動作中にサンプル試料が追加してオーダ登録された場合には、CPU310bは、図18に示したフローチャートに沿って、追加されたサンプル試料を分注して測定した後に、精度管理試料を分注して測定するように分注部210を制御する。このようにして、精度管理試料の測定結果に基づいて、サンプル試料の測定結果が正常であったか否かを判断して、サンプル試料の測定結果が報告(確定)されて、免疫凝集測定装置200の動作が終了する。
【0114】
次に、図19を参照して、図18のステップS2およびステップS4に示したサンプル試料および精度管理試料の測定プロセスの詳細について説明する。まず、図19に示すように、ステップS21において、サンプルカップ202のサンプル試料を希釈する場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍より大きい場合)には、検体希釈液を吸引するために、分注部210の検体・ラテックスピペット部211が試薬設置部220の検体希釈液容器セット部223まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、検体希釈液を吸引した後、サンプルカップ202からサンプル試料を吸引する。その後、検体・ラテックスピペット部211は、反応部240にセットされる反応プレート201のキュベット201aに吸引した検体希釈液およびサンプル試料を吐出する。これにより、反応プレート201のキュベット201aに希釈検体が準備される。なお、希釈しない場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)および精度管理試料の場合は、この工程は省略される。
【0115】
そして、ステップS22において、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、希釈検体(検体希釈液およびサンプル試料)の吐出後、試薬設置部220の緩衝液容器セット部221まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、希釈検体が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内の希釈検体を吸引して、反応プレート201の他のキュベット201aに緩衝液および希釈検体を吐出する。なお、希釈検体を調製しない無希釈検体の場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)は、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、サンプルカップ202まで移動されて、サンプルカップ202内のサンプル試料(精度管理試料)を吸引して、反応プレート201のキュベット201aに緩衝液およびサンプル試料(精度管理試料)を吐出する。
【0116】
そして、ステップS23において、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が分注されてから約80秒経過後、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、試薬設置部220のラテックス試薬容器セット部222まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、ラテックス試薬を吸引した後、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内にラテックス試薬を吐出する。これにより、図11に示すように、サンプル試料中(精度管理試料)の抗原とラテックス試薬中のラテックス粒子に結合した抗体とが結合して、ラテックス粒子の凝集反応が開始される。
【0117】
次に、ステップS24において、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後に、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251は、ラテックス試薬が吐出されたキュベット201aまで移動される。そして、測定希釈ピペット部251は、そのキュベット201a内の調製試料(サンプル試料(精度管理試料)、緩衝液およびラテックス試薬)を吸引した後、試料受け部260(図9参照)まで移動されて、試料受け部260に調製試料を吐出する。この際、測定希釈分注部250は、調製試料とともに、免疫凝集測定装置200の下部に設置されるタンク(図示せず)に収容される測定希釈液を試料受け部260に吐出する。そして、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後の調製試料に対して、後述するステップS25〜ステップS28を行うことにより、約20秒後の調製試料の凝集度(T1測定結果)および約15分後の調製試料の凝集度(T2測定結果)を取得する。
【0118】
サンプル試料の抗原の濃度が高い場合には、図20のT2測定結果のグラフに示すように、ラテックス粒子の凝集が弱くなることがあり、凝集度から適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、第2実施形態では、上記したT1測定結果およびT2測定結果を取得することにより、ラテックス粒子の凝集が弱くなることに起因して不適切な濃度を取得することがないように、T2測定結果(凝集度)がEの場合には、T1測定結果(凝集度)によって判断する。具体的には、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がDの場合には、T1測定結果に対応する濃度Aが測定範囲内のため、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出する。これに対して、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がCの場合には、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)のため、このまま、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出すると適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)の場合には、サンプル試料の希釈倍率を変更して、再測定している。
【0119】
その後、ステップS25において、試料受け部260(図9参照)に吐出された粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、光学検出部270のシースフローセル274(図12参照)に導かれて、シースフローセル274により、扁平な流れに変換される。この状態で、レーザダイオード271(図12参照)から約780nmの波長を有するレーザー光がシースフローセル274を流れるラテックス粒子の凝集塊に照射されて、そのラテックス粒子の凝集塊の大きさに応じた強度を有する複数の散乱光がフォトダイオード275(図12参照)で受光される。この際、制御部310のCPU310b(図17参照)は、フォトダイオード275で受光されたそれぞれの散乱光をパルス信号としてカウントする。
【0120】
そして、ステップS26において、CPU310b(図17参照)は、パルス信号として受光した散乱光の強度に基づいて、未凝集のラテックス粒子と凝集したラテックス粒子とに弁別して凝集度を算出する。具体的には、CPU310bは、受光した散乱光の強度が所定の大きさ以上である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はポリマー(P)(凝集したラテックス粒子)だと判定するとともに、受光した散乱光の強度が所定の大きさ未満である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はモノマー(M)(未凝集のラテックス粒子)であると判定する。そして、CPU310bは、所定の大きさ以上の散乱光のカウント数Pと、所定の大きさ未満の散乱光のカウント数Mとを用いて、以下に示す式(1)からラテックス粒子の凝集度P/Tを算出する。
P/T = P/(P+M) ・・・(1)
【0121】
そして、ステップS27において、CPU310bは、算出された凝集度P/Tと予め作成された検量線(図16参照)とから凝集度P/Tを濃度に換算する。
【0122】
そして、ステップS28において、CPU310bは、図14に示すように、得られた濃度を表示部330に表示させるとともに、ROM310aに検体ホルダ部230(ラックセット位置1のカップセット位置1)のサンプルカップ202の位置と濃度とを対応して記憶させる。このようにして、ラックセット位置1のカップセット位置1のサンプル試料の測定プロセスが終了する。
【0123】
第2実施形態では、上記のように、最大50個の試料(サンプル試料および精度管理試料)を載置することが可能なホルダ部230のラック231と、検体ホルダ部230のラック231にサンプル試料と精度管理試料とを収容したサンプルカップ202が載置された場合に、オーダ登録された全てのサンプル試料を反応部240にセットされる反応プレート201のキュベット201aに先に分注し、その後に精度管理試料を分注するように分注部210を制御する制御部310とを設けることによって、サンプル試料および精度管理試料を同じホルダ部230に載置することができる。これにより、オーダ登録された全てのサンプル試料をキュベット201aに分注させた後に、連続して精度管理試料をキュベット201aに分注させることができる。これにより、オーダ登録された全てのサンプル試料を測定した後に、連続して精度管理試料を測定することができる。その結果、サンプル試料の測定後に遅滞なく、サンプル試料を報告するのに必要な精度管理試料の測定結果を取得することができるので、サンプル試料の測定結果を迅速に報告することができる。
【0124】
また、第2実施形態では、オーダ登録された全てのサンプル試料を測定した後に精度管理試料を測定することによって、精度管理試料を1回測定するだけで、オーダ登録された全てのサンプル試料をまとめて報告することができる。その結果、サンプル試料の測定毎に精度管理試料を測定する場合と比べて、精度管理試料の消費量を抑制することができる。
【0125】
また、第2実施形態では、サンプル試料および精度管理試料を載置することが可能な検体ホルダ部230を設けることによって、サンプル試料および精度管理試料を同じ検体ホルダ部230に載置することができる。その結果、サンプル試料を載置することが可能な検体ホルダ部(試料載置部)と精度管理試料を載置することが可能な検体ホルダ部(試料載置部)とを別個に設ける必要がないので、装置が大型化するのを抑制することができる。
【0126】
また、第2実施形態では、サンプル試料の分注動作中に検体ホルダ部230のラック231に他のサンプル試料を収容したサンプルカップ202が載置された場合に、サンプル試料を反応プレート201のキュベット201a内に分注した後、他のサンプル試料をキュベット201a内に分注し、その後精度管理試料をキュベット201a内に分注するように分注部210を制御する制御部310を設けることによって、サンプル試料の分注動作中に他のサンプル試料が検体ホルダ部230のラック231に追加された場合でも、オーダ登録されたサンプル試料の分注終了後に追加したサンプル試料を反応プレート201のキュベット201a内に分注させて、精度管理試料をキュベット201a内に分注させることができる。これにより、分注部210の動作中に順次サンプル試料を追加する場合でも、追加された他のサンプル試料を測定した後に精度管理試料を測定することにより、一連のサンプル試料の測定の後すぐに精度管理試料の測定結果を取得することができる。その結果、一連のサンプル試料の測定の途中に割り込んで精度管理試料を測定する場合に比べて、より迅速に全てのサンプル試料の測定結果を報告することができる。
【0127】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0128】
たとえば、上記第1実施形態では、遺伝子増幅測定装置とパーソナルコンピュータとにより構築される遺伝子増幅分析システムに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、遺伝子増幅測定装置のみでもよいし、遺伝子増幅測定装置にパーソナルコンピュータの機能を持たせてもよい。
【0129】
また、第2実施形態では、サンプル試料を分注した後に精度管理試料を分注するように分注部を制御する例を示したが、本発明はこれに限らず、サンプル試料の分注に先立って、ROMに記憶された精度管理試料の位置に基づいて、ラックに載置されるサンプルカップ内の精度管理試料を反応プレートのキュベットに分注するように分注部を制御してもよい。つまり、試料載置部にサンプル試料と精度管理試料とが載置された場合に、先に精度管理試料を反応プレートのキュベットに分注し、その後にサンプル試料をキュベットに分注し、その後に再び精度管理試料をキュベットに分注するように分注部を制御する。この場合、サンプル試料の測定結果の報告のみならず、試料測定装置が正常に動作しているのかをサンプル試料の測定前に確認することができる。
【0130】
また、第1実施形態でも、バッチ処理を行う全てのサンプル試料および希釈試料を分注した後に精度管理試料を分注するように分注部を制御する例を示したが、本発明はこれに限らず、先に精度管理試料を検出セルに分注し、その後にサンプル試料および希釈試料を分注し、その後再び精度管理試料を検出セルに分注するように分注部を制御してもよい。
【0131】
また、第2実施形態では、検体ホルダ230は固定されており、分注部210が移動可能に構成されているが、検体ホルダ部に代わって回転テーブルなどを用いることにより分注部に検体を移動させるような構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の第1実施形態による遺伝子増幅分析システムの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムの遺伝子増幅測定装置の全体構成を示した斜視図である。
【図3】図2の平面概略図である
【図4】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムを構築するパーソナルコンピュータの表示部に表示されるデータブラウザ画面を示した図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムを構築するパーソナルコンピュータの表示部に表示されるワークロードリスト画面を示した図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による遺伝子増幅分析システムを構築するパーソナルコンピュータの表示部に表示される検量線表示画面を示した図である。
【図7】本発明の第2実施形態による免疫凝集測定装置の全体構成を示した斜視図である。
【図8】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の正面図である。
【図9】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の内部構造を示した平面図である。
【図10】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の検体ホルダ部の拡大斜視図である。
【図11】抗原とラテックス粒子に結合する抗体との凝集反応を示した図である。
【図12】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の光学検出部の模式図である。
【図13】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の表示部に表示される測定登録画面を示した図である。
【図14】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(検体進捗状況確認画面)を示した図である。
【図15】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(ラック使用状況確認画面)を示した図である。
【図16】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置で用いるキャリブレータの濃度と凝集度との関係を示す検量線が描かれたグラフである。
【図17】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の制御部のブロック図である。
【図18】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の制御部による分注部の制御フローを示したフローチャートである。
【図19】図7に示した第2実施形態による免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。
【図20】T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0133】
10、210 分注部
20 試料載置部
50、240 反応部(測定試料調製部)
80、310 制御部
100 遺伝子増幅分析システム(試料測定装置)
200 免疫凝集測定装置(試料測定装置)
230 検体ホルダ部(試料載置部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、
前記試料載置部に載置された前記試料を分注する分注部と、
前記分注部により分注された前記試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、
調製された前記測定試料を測定する測定部と、
前記試料載置部に前記試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、前記検体試料を前記測定試料調製部に先に分注し、その後に前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する制御部とを備えた、試料測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検体試料および前記対照試料が載置された前記試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、前記検体試料および前記追加の検体試料を前記測定試料調製部に分注した後、前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する、請求項1に記載の試料測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検体試料の分注動作中に前記試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、前記検体試料を前記測定試料調製部に分注した後、前記追加の検体試料を前記測定試料調製部に分注し、その後前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する、請求項2に記載の試料測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記試料載置部に載置される前記検体試料および前記対照試料を特定する情報を入力する入力手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記試料載置部に載置される前記対照試料の位置を記憶する記憶手段を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料測定装置。
【請求項6】
前記対照試料が、精度管理試料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試料測定装置。
【請求項7】
複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、
前記試料載置部に載置された前記試料を分注する分注部と、
前記分注部により分注された前記試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、
調製された前記測定試料を測定する測定部と、
前記試料載置部に前記試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、前記対照試料を前記測定試料調製部に先に分注し、その後に前記検体試料を前記測定試料調製部に分注し、その後に再び前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する制御部とを備えた、試料測定装置。
【請求項8】
複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、
前記試料載置部に載置された前記試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、
前記試料載置部に対して相対的に移動可能であり、前記試料載置部に載置された前記試料を前記測定試料調製部に分注する分注部と、
調製された前記測定試料を測定する測定部と、
前記試料載置部に前記試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、前記検体試料を前記測定試料調製部に先に分注し、その後に前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する制御部とを備えた、試料測定装置。
【請求項1】
複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、
前記試料載置部に載置された前記試料を分注する分注部と、
前記分注部により分注された前記試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、
調製された前記測定試料を測定する測定部と、
前記試料載置部に前記試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、前記検体試料を前記測定試料調製部に先に分注し、その後に前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する制御部とを備えた、試料測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検体試料および前記対照試料が載置された前記試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、前記検体試料および前記追加の検体試料を前記測定試料調製部に分注した後、前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する、請求項1に記載の試料測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検体試料の分注動作中に前記試料載置部に追加の検体試料が載置された場合に、前記検体試料を前記測定試料調製部に分注した後、前記追加の検体試料を前記測定試料調製部に分注し、その後前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する、請求項2に記載の試料測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記試料載置部に載置される前記検体試料および前記対照試料を特定する情報を入力する入力手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記試料載置部に載置される前記対照試料の位置を記憶する記憶手段を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料測定装置。
【請求項6】
前記対照試料が、精度管理試料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試料測定装置。
【請求項7】
複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、
前記試料載置部に載置された前記試料を分注する分注部と、
前記分注部により分注された前記試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、
調製された前記測定試料を測定する測定部と、
前記試料載置部に前記試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、前記対照試料を前記測定試料調製部に先に分注し、その後に前記検体試料を前記測定試料調製部に分注し、その後に再び前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する制御部とを備えた、試料測定装置。
【請求項8】
複数の試料を載置することが可能な試料載置部と、
前記試料載置部に載置された前記試料と試薬とを混和して測定試料を調製する測定試料調製部と、
前記試料載置部に対して相対的に移動可能であり、前記試料載置部に載置された前記試料を前記測定試料調製部に分注する分注部と、
調製された前記測定試料を測定する測定部と、
前記試料載置部に前記試料として検体試料と対照試料とが載置された場合に、前記検体試料を前記測定試料調製部に先に分注し、その後に前記対照試料を前記測定試料調製部に分注するように前記分注部を制御する制御部とを備えた、試料測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−212303(P2007−212303A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32752(P2006−32752)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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