説明

試料表面の測定方法及び測定装置

【課題】 特に、試料表面を従来に比べて高精度に測定できる試料表面の測定方法及び測定装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 登録部34に、試料表面を平坦面とみなす走査範囲を入力する。次に、記憶部31から前記登録部34に登録された走査範囲の実測データを引き出し、近似算出部32では、この引き出された前記実測データから走査位置(x)を変数とした二次関数成分(y=ax+bx+c)の近似式を演算する。続いて、データ補正部33で、全走査範囲の前記実測データから、各走査位置(x)にて前記近似式により求めたデータ量(補正量)を差し引き、差し引いたデータを、補正された試料表面データとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、試料表面を従来に比べて高精度に測定できる試料表面の測定方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び特許文献2に記載されているように、試料表面の凹凸形状の測定を、走査プローブ顕微鏡にて行うことが出来る。走査プローブ顕微鏡には、カンチレバーの昇降のためにピエゾ素子(圧電素子)を使用している。
【0003】
ところで試料を載せるための載置台を、X−Y平面と平行な面に正確に(寸分の狂いも無く)設置できればよいが、実際には、前記載置台は、X−Y平面と平行な面(水平面)から高さ方向(図示Z方向)に、例えば、最も高い場所と最も低い場所の高さ方向への差が数μm程度、微小に傾く。あるいは載置台がたとえ正確にX−Y平面に位置決めされても、試料表面の平坦面が微小に傾いている場合もある。
【0004】
前記ピエゾ素子は、印加電圧に対して1nm程度の微細変形が可能である。このとき、前記ピエゾ素子には、ヒステリシスがあるため、走査方向と、前記ピエゾ素子に印加する電圧変化との関係を見ると、試料表面が平坦な部分での前記電圧変化は、走査方向に対して湾曲した状態で現れる。
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載された発明では、予め前記ピエゾ素子のヒステリシス特性を測定しておき、それによって得られた補正値を用いて、実際に試料表面を走査した際に得られた実測データを補正する方法が取られている。
【特許文献1】特開平7−83650号公報
【特許文献2】特開平8−254540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば使用環境温度の変化によって前記ピエゾ素子のヒステリシス特性は変動するために、ピエゾ素子のヒステリシス特性を予め測定しておき、それを固定の補正値として使用する方法では、使用環境温度の変化等に適切に対処できず、正確に試料表面を測定することが出来なかった。
【0007】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、試料表面を従来に比べて高精度に測定できる試料表面の測定方法及び測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、走査部材を試料表面に走査させ、走査に伴う前記走査部材の変位量を変位検出部にて測定し、前記変位検出部からの測定値に基づき、前記走査部材と前記試料表面との高さ方向への位置関係が一定となるように、前記走査部材の前記試料表面に対する高さ位置をピエゾ素子により調整し、走査範囲とピエゾ素子への印加電圧との関係に基づいて得られた実測データを、以下の工程により処理する試料表面の測定方法であって、
(a) 前記試料表面のうち予め平坦面とみなす走査範囲を登録する工程、
(b) 前記(a)工程にて登録された走査範囲の前記実測データから、走査位置を変数とした二次関数成分の近似式を求める工程、
(c) 全走査範囲の前記実測データから各走査位置にて前記近似式より求めたデータ量を差し引き、差し引いたデータを補正した試料表面データとする工程、
を有することを特徴とするものである。
【0009】
前記実測データは、試料表面が平坦面とみなせる部分で、走査方向に対して湾曲した状態で現れる。本発明では、この平坦面とみなせる部分での湾曲する実測データをほぼフラットな状態になるように補正する。
【0010】
本発明では、ピエゾ素子のヒステリシス特性を従来のように予め測定しておき、それを固定の補正値として使用するのでなく、実際に測定した実測データに対して上記(a)〜(c)工程を施すことで、測定時の前記ピエゾ素子のヒステリシス特性と、例えば載置台の傾きによる試料表面の傾きも一緒に補正対象にでき、従来に比べて、高精度に且つ簡単な方法で、試料表面を測定することができる。
【0011】
本発明では、前記試料は、スライダと、前記スライダの一端部に設けられる記録用および再生用の薄膜磁気ヘッドと、ディスク対向面を除いて前記薄膜磁気ヘッドの周囲を囲む絶縁性の保護層とを有する磁気ヘッドスライダであり、前記スライダのディスク対向面を平坦面とみなして、前記磁気ヘッドスライダのディスク対向面の形状を測定することが好ましい。前記ディスク対向面の領域の大部分に前記スライダ表面が現れるため、本発明の測定方法をより効果的に使用することが出来る。
【0012】
本発明における試料表面の測定装置は、
試料を載置するための載置台と、試料表面を走査する走査部材と、走査に伴う前記走査部材の変位量を測定する変位検出部と、前記変位検出部からの測定値に基づき、前記走査部材と前記試料表面との高さ方向への位置関係が一定となるように、前記走査部材の前記試料表面に対する高さ位置を調整するためのピエゾ素子と、走査範囲とピエゾ素子への印加電圧との関係に基づいて得られた実測データを処理するための制御部と、を有し、
前記制御部には、前記試料表面のうち予め平坦面とみなす走査範囲を登録するための登録部と、
登録された走査範囲の前記実測データから、走査位置を変数とした二次関数成分の近似式を求めるための近似式算出部と、
全走査範囲の前記実測データから各走査位置にて前記近似式より求めたデータ量を差し引き、差し引いたデータを補正した試料表面データとするデータ補正部と、を備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の試料表面の測定装置を用いれば、従来に比べて、高精度に且つ簡単に、試料表面を測定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、従来に比べて、高精度に且つ簡単な方法で、試料表面を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本実施形態の測定装置の概念図、図2は、本実施形態の測定の原理を説明するための概念図、図3は、本実施形態の測定装置のブロック図、図4は、補正前の、走行方向とピエゾ素子に印加した電圧変化との関係に基づいて得られた実測データ、及び、磁気ヘッドスライダのディスク対向面を示す平面図、図5は、図4の実測データを補正してなる試料表面データ、及び、磁気ヘッドスライダのディスク対向面を示す平面図、である。
【0016】
図1に示す測定装置1には、操作型プローブ顕微鏡が装備されており、前記操作型プローブ顕微鏡は、例えば、走査型プローブ顕微鏡(SPM)2である。
【0017】
前記走査型プローブ顕微鏡2には、試料3を載せるための載置台4、カンチレバー(走査部材)5、前記カンチレバー5を試料表面に走査させた際に生じる前記カンチレバー5の高さ方向への変位量を測定するための変位検出部6、及び、前記カンチレバー5の高さ位置を調整するためのピエゾ素子7とを有して構成される。
【0018】
図1に示すように前記カンチレバー5の先端部には、前記載置台4方向に向けて探針8が設けられている。前記カンチレバー5の後端部は、カンチレバー保持部9に接続されている。そして前記カンチレバー保持部9とピエゾ素子7とが連結部10を介して接続されている。前記変位検出部6は、レーザ部11と、光検出器12とで構成される。前記光検出器12は、例えば、2分割フォトディテクタ(PD)である。
【0019】
図1に示す走査型プローブ顕微鏡2では、前記カンチレバー5が前記試料3の表面に接触し、又は表面による反発力を受けながら走査する。本実施形態の測定の原理について図2,図3も交えて説明する。
【0020】
図2に示すように、前記カンチレバー5の探針8が連続的に前記試料3の表面に接触し、又は表面による反発力を受けながら走査する。
【0021】
図3に示すように、レーザ部11は、制御部20に設けられたDAボード21とレーザ駆動部22を介して接続され、前記レーザ部11からは前記カンチレバー5の所定位置、例えば探針8のある位置付近にレーザ光が発せられる。
【0022】
図1に示すように、前記レーザ光は、前記カンチレバー5で反射されて、前記光検出器12に入射される。前記光検出器12では前記カンチレバー5の傾きの大きさを測定し、図3に示すようにPDアンプ23を介して制御部20内のADボード24に入力される。
【0023】
図2に示すように(1)の位置からカンチレバー5を図示右方向に走査させると、平坦面では、前記カンチレバー5の角度は一定であり、前記光検出器12から制御部20内に入力される前記カンチレバー5の角度信号も一定である。
【0024】
図2に示す(2)の位置には、走査面の高さが高くなる段差があり、前記カンチレバー5が高さの高い走査面上に乗ると、前記カンチレバー5の傾きが小さくなる。この結果、前記光検出器12から制御部20内に入力される角度信号が変動する。
【0025】
この結果を受けて、制御部20では、DAボード21とピエゾアンプ25を介して接続されるピエゾ素子7に印加させる電圧を変化させて、前記ピエゾ素子7を縮ませ、前記カンチレバー5をΔZだけ上昇させて、図2の(3)に示すように、前記カンチレバー5の角度を再び(1)の状態のときと同じ角度になるように制御する。前記ピエゾ素子7をZ軸方向に伸び縮させて、常に、前記カンチレバー5と試料表面との高さ方向への位置関係が一定になるようにフィードバックを行っている。前記ピエゾ素子7は印加電圧に対して1nm程度の微細変形が可能である。
【0026】
図4の下図に示すように、例えば、試料3には、磁気ヘッドスライダ40が用いられる。前記磁気ヘッドスライダ40はアルミナチタンカーバイト(Al−TiC)で形成されるスライダ41と、前記スライダ41の一端部(トレーリング側端面;空気流出端)に設けられた再生及び記録用の薄膜磁気ヘッド42と、ディスク対向面を除いて前記薄膜磁気ヘッド42の周囲を囲む絶縁性の保護層43とを有して構成される。
【0027】
薄膜磁気ヘッド42の再生用ヘッドは、磁性材料で形成されたシールド層44,45やMR素子等で構成される。記録用ヘッドは、磁性材料で形成された磁極層46,47等で構成される。前記保護層43は例えばAlで形成される。前記ディスク対向面には例えば薄いコーティング層が設けられている。
【0028】
前記磁気ヘッドスライダ40のディスク対向面にはラッピング処理が施される。このとき前記ディスク対向面に現れる材質の違いから前記ディスク対向面の薄膜磁気ヘッド近傍には凹凸段差が生じる。磁気ヘッドスライダ40を使用した際に、薄膜磁気ヘッド42とディスクとの間隔(スペーシング)を精度よく規制するため、前記薄膜磁気ヘッド42のディスク対向面が、スライダ41のディスク対向面からどの程度後退、又は突出した位置にあるのか、正確に知ることは重要なことである。
【0029】
図4の上図は、図4の下図に示す一点鎖線A上をカンチレバー5が走査した際の走査範囲と、前記ピエゾ素子7に印加される電圧変化に基づく実測データである。図4の上図の実測データの横軸(走査範囲)は、その下に図示されている磁気ヘッドスライダ40の一点鎖線A上の位置と紙面上下方向において一致している。なお図4では、縦軸を、前記ピエゾ素子7への印加電圧から長さ寸法(μm)に換算して示してある。よって図4の縦軸は、補正前の試料表面の高さ位置(相対位置)である。
【0030】
図4の上図に示すように試料表面は細かく変動しているが、これは表面粗さ(Ra)である。本実施形態では、スライダ41の表面(ディスク対向面)を平坦面とみなしている。
【0031】
図4の上図に示すようにデータ補正前では、平坦面とみなしたスライダ41の表面は、凹状に湾曲した形状で現れる。また、凸状に湾曲した形状で現れる場合もある。
【0032】
本実施形態では、以下の方法を用いて、図4に示す実測データを補正する。
図3に示すように、前記制御部20は、記憶部31、登録部34、近似算出部32、データ補正部33、及び画像データ処理部35を有する。
【0033】
前記記憶部31は、図4の上図に示す実測データ等を記憶する部分である。登録部34は、平坦面とみなした走査範囲の情報(領域情報)を登録しておく部分である。前記近似算出部32は、前記記憶部31から前記登録部34の情報を基に引き出された実測データから二次関数成分の近似式を求める部分である。前記データ補正部33は、記憶部31に記憶された全走査範囲の前記実測データから補正値を差し引く部分である。画像データ処理部35は、ピエゾ素子7への印加電圧データを画像データとして処理する部分である。
【0034】
まず、前記登録部34に、平坦面とみなす走査範囲を入力する。例えば次のように行われる。スライダ41の一端部に薄膜磁気ヘッド42が設けられ、前記薄膜磁気ヘッド42のディスク対向面を除く周囲を絶縁性の保護層43で囲った形態では、図4の上図に示すように、走査範囲内に、ピエゾ素子7への印加電圧(表面高さ)が大きく落ち込む界面が2箇所存在することが予めわかっている。図6に示す界面1では、スライダ41から薄膜磁気ヘッド42に至る部分であり、界面2は、薄膜磁気ヘッド42から保護層43に至る部分である。
【0035】
例えば、界面1を基準位置として、この位置から左側(走査開始側;スライダ側)へ所定距離離れた位置Bと位置C間の走査範囲(データ領域)を登録部34に登録しておく。例えば前記登録部34に登録するための実測データの走査範囲を、全走査範囲の半分以上、例えば70%とする。
【0036】
次に、前記登録部34からの指示を受けて、前記記憶部30に記憶された図4の実測データのうち、図4に示す位置Bと位置C間の走査範囲にある前記実測データが引き出され、近似算出部32では、この引き出された前記実測データから走査位置(x)を変数とした二次関数成分(y=ax+bx+c)の近似式を演算する。実測データのy値は、表面粗さにより上下に細かく変動しているが、例えば、実測データのy値は、変動の中間値と規定して、前記二次成分関数を求める。最小二乗法で係数a,b,cを算出することが好適である。
【0037】
続いて、データ補正部33で、全走査範囲の前記実測データから、各走査位置(x)にて前記近似式により求めたデータ量(補正量)を差し引き、差し引いたデータを、補正された試料表面データとする。図5の上図は、補正された試料表面データである。図5の下図の磁気ヘッドスライダは図4の下図と同一である。図5の上図の試料表面データの横軸(走査範囲)は、その下に図示されている磁気ヘッドスライダ40の一点鎖線A上の位置と紙面上下方向において一致している。
【0038】
図5の上図に示すように、補正された試料表面データは、平坦面とみなしたスライダ41表面がほぼ平坦面として現れる。図5の上図に示すように補正された試料表面データは、上下に細かく変動しているが、これは上記したように試料表面の表面粗さ(Ra)を示している。換言すれば表面粗さ成分はそのまま試料表面データに残される。
【0039】
上記したように図4の上図の実測データを補正することで、測定時におけるピエゾ素子7のヒステリシス特性と、例えば載置台4の傾きによる試料表面の傾きも一緒に補正対象にでき、高精度に試料表面を測定することが可能である。しかも本実施形態では、平坦面とみなした箇所の実測データから二次関数の近似式を求め、各走査位置における前記近似式のデータ量(補正量)を前記実測データから差し引くという簡単な作業によって、使用環境変化等によるピエゾ素子のヒステリシス特性の変化にも適切に対応でき、よって従来より高精度に試料表面の測定を行える。本実施形態では試料表面の凹凸段差の高さ寸法のみならず、表面粗さや、段差部の形状(例えば角が丸まっているとか)等を正確に知ることができる。
【0040】
図4及び図5で説明した補正処理は、個々の磁気ヘッドスライダ40毎に行ってもよいし、あるいは複数個の磁気ヘッドスライダ40の測定から得られた図4に示す実測データを平均化し、その平均化した実測データから二次関数成分を求めて、それを各磁気ヘッドスライダの実測データから差し引いてもよい。また、走査毎に補正処理をすることにより、その走査時の使用環境におけるヒステリシス特性に対応できる。
【0041】
図4の実測データ、及び図5の補正された試料表面データは、共に、縦軸を試料表面の高さ位置として説明したが、これは画像データ処理部35で、記憶部30に記憶された実測データに対し、予め、ピエゾ素子の印加電圧変化を長さ単位に変換したことによるものであり、例えば、前記データ補正部33にて、補正されたピエゾ素子7への印加電圧データを長さ単位に変換して画像処理化してもよい。
【0042】
本実施形態の試料表面の測定方法は、図4及び図5に示す磁気ヘッドスライダに限定しないが、平坦面とみなせる部分が実測データの半分以上ある試料に好適に使用できる。
また走査型プローブ顕微鏡2以外の測定装置であっても本実施形態を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態の測定装置の概念図、
【図2】本実施形態の測定の原理を説明するための概念図、
【図3】本実施形態の測定装置のブロック図、
【図4】補正前の、走行方向とピエゾ素子に印加した電圧変化との関係に基づいて得られた実測データ、及び、磁気ヘッドスライダのディスク対向面を示す平面図、
【図5】図4の実測データを補正してなる試料表面データ、及び、磁気ヘッドスライダのディスク対向面を示す平面図、
【符号の説明】
【0044】
1 測定装置
2 走査型プローブ顕微鏡(SPM)2
3 試料
4 載置台
5 カンチレバー
6 変位検出部
7 ピエゾ素子
8 探針
9 カンチレバー保持部
11 レーザ部
12 光検出器
20 制御部
21 DAボード
24 ADボード
31 記憶部
32 近似算出部
33 データ補正部
34 登録部
35 画像データ処理部
40 磁気ヘッドスライダ
41 スライダ
42 薄膜磁気ヘッド
43 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査部材を試料表面に走査させ、走査に伴う前記走査部材の高さ方向への変位量を変位検出部にて測定し、前記変位検出部からの測定値に基づき、前記走査部材と前記試料表面との高さ方向への位置関係が一定となるように、前記走査部材の前記試料表面に対する高さ位置をピエゾ素子により調整し、走査範囲とピエゾ素子への印加電圧との関係に基づいて得られた実測データを、以下の工程により処理する試料表面の測定方法であって、
(a) 前記試料表面のうち予め平坦面とみなす走査範囲を登録する工程、
(b) 前記(a)工程にて登録された走査範囲の前記実測データから、走査位置を変数とした二次関数成分の近似式を求める工程、
(c) 全走査範囲の前記実測データから各走査位置にて前記近似式より求めたデータ量を差し引き、差し引いたデータを補正した試料表面データとする工程、
を有することを特徴とする試料表面の測定方法。
【請求項2】
前記試料は、スライダと、前記スライダの一端部に設けられる記録用および再生用の薄膜磁気ヘッドと、ディスク対向面を除いて前記薄膜磁気ヘッドの周囲を囲む絶縁性の保護層とを有する磁気ヘッドスライダであり、前記スライダのディスク対向面を平坦面とみなして、前記磁気ヘッドスライダのディスク対向面の形状を測定する請求項1記載の試料表面の測定方法。
【請求項3】
試料を載置するための載置台と、試料表面を走査する走査部材と、走査に伴う前記走査部材の変位量を測定する変位検出部と、前記変位検出部からの測定値に基づき、前記走査部材と前記試料表面との高さ方向への位置関係が一定となるように、前記走査部材の前記試料表面に対する高さ位置を調整するためのピエゾ素子と、走査範囲とピエゾ素子への印加電圧との関係に基づいて得られた実測データを処理するための制御部と、を有し、
前記制御部には、前記試料表面のうち予め平坦面とみなす走査範囲を登録するための登録部と、
登録された走査範囲の前記実測データから、走査位置を変数とした二次関数成分の近似式を求めるための近似式算出部と、
全走査範囲の前記実測データから各走査位置にて前記近似式より求めたデータ量を差し引き、差し引いたデータを補正した試料表面データとするデータ補正部と、を備えることを特徴とする試料表面の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−215930(P2008−215930A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51397(P2007−51397)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)