説明

試料調製デバイスおよび方法

試料処理のためのデバイスは、出口を有する少なくとも1つのチャンバであって、処理用の試料を受け取るように構成されたチャンバと、少なくとも1つのチャンバ内の少なくともいくつかの試料部分が通過して流動するフィルタと、少なくとも1つのチャンバ内の試料を収容する第1の状態で配置されたバリア部材とを含み得る。十分な条件になると、バリア部材は、チャンバ内に収容される少なくともいくつかの試料部分を、出口に向かう流動方向にフィルタを通して流動させる第2の状態に変化可能であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第61/248,300号(2009年10月2日出願)に基づく優先権を主張する。該出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本教示は、様々な生物学的、化学的および/または細胞生物学的用途に有用な試料調製のためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書において使用される項目は、体系化のみを目的とし、決して記載される主題を制限するものとして解釈されないものとする。
【0004】
様々な生物学的、化学的および/または細胞生物学的アッセイ用途では、例えば、標的分子を含有する細胞およびその他の実体からの標的分子の抽出および採取等の試料調製、ならびに/または他の試料処理反応が必要となる。非限定的な例として、標的分子は、例えば、核酸、タンパク質、ペプチド、多糖類および/または他のバイオポリマーを含み得るが、これらに限定されない。例えば、いくつか例を挙げると、食品安全性(例えば、病原体検出)、環境、製薬、および法医学的用途において、試料が分析され、試料中の標的分子の存在および/もしくは種類を検出し、ならびに/またはその他の分析を行うことができる。そのような用途において、標的分子は、まず、標的分子を含有する任意の実体から抽出され、そして、例えば、食品、植物、土壌、組織、骨、角質繊維、および/または衣服、ならびに細胞残屑および/または他の不純物、タンパク質等の固形試料材料を含む試料の残りの内容物から単離されなければならない。いくつかの従来技術においては、標的分子の抽出および採取、ならびに/または他の試料処理反応は、高価であり、および/または時間を要し得る手作業の操作ステップを伴う。
【0005】
標的分子のアッセイおよび分析用試料の調製における例示的なステップは、標的分子を含有する細胞および/または他の実体から標的分子を抽出するための、例えば、溶解等を介したそれらの破砕、例えば、溶解培地中等での、任意の抽出された標的分子の溶解、ならびに、標的分子(抽出された標的分子および余剰の細胞物質中に存在する標的分子)の、試料の不溶性部分等の他の部分からの分離および除去を含む。
【0006】
そのような試料調製のための従来技術は、比較的時間を要し、比較的労働集的となり得、該当する場合は、例えば、溶解反応を行うための容器、遠心分離のための容器、および標的分子を採取するための容器等の様々な容器間で試料および他の物質(例えば、試薬および/または溶解培地)を手作業で移動させる(例えば、ピペット操作により)ことが必要となる。多くの試料移動および/または手作業のステップを用いる従来技術はまた、二次汚染、試料および/もしくは標的分子の損失、取扱い上のミス、および/または望ましくない操作者間のばらつきのリスクを増加させる可能性がある。さらに、いくつかの従来技術は、例えば、分析および/または使用のために調製および/または処理される試料を採取する際の現場において容易に使用可能な可搬性の試料調製には適さない。
【0007】
したがって、試料からの標的分子の比較的迅速な抽出および採取を可能とする試料調製技術を提供することが望ましい。また、その検出または他のさらなる分析を行うのに好適な量の標的分子の採取を提供する、試料から標的分子を抽出および採取するための技術を提供することが望ましい。例えば、試料から核酸を採取する場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等を介した核酸の検出に十分な量の核酸を採取することが望ましい。また、部品および試料移動ステップの数を低減する試料調製技術を提供することが望ましい。さらに、可搬性の試料調製技術、例えば、試料調製および/または調製後の試料のさらなる分析を、試料採取の現場で行うことができるようにする試料調製技術を提供することが望ましいであろう。
【0008】
より一般的には、処理におけるより高い効率および均一性を達成し、二次汚染、取扱い上のミス、および試料損失のリスクを低減する、標的分子の抽出および採取を含む試料調製技術を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本教示の例示的実施形態は、上述の問題の1つ以上を解決し得る。他の特徴および/または利点は、以下の説明から明らかであり得る。
【0010】
例示的実施形態において、試料処理のためのデバイスは、出口を有する少なくとも1つのチャンバであって、処理用の試料を受け取るように構成されたチャンバと、少なくとも1つのチャンバ内の少なくともいくつかの試料部分が通過して流動するフィルタと、少なくとも1つのチャンバ内の試料を収容する第1の状態で配置されたバリア部材とを含み得る。十分な条件下で、バリア部材は、チャンバ内に収容される少なくともいくつかの試料部分を、出口に向かう流動方向にフィルタを通過して流動させる第2の状態に変化可能であり得る。
【0011】
別の例示的実施形態において、本教示は、出口を有する少なくとも1つのチャンバであって、処理用の試料を受け取るように構成された少なくとも1つのチャンバと、第1のチャンバに対して配置される、第1の状態のバリア部材とを含む、試料処理のためのデバイスを企図し、第1の状態において、バリア部材は、チャンバ内に配置された試料の出口に向かう流動方向におけるバリア部材を越える流動を防止し、少なくとも1つのチャンバ内の十分な条件下で、バリア部材は、チャンバ内に配置された少なくともいくつかの試料部分を、出口に向かう流動方向に第1の状態のバリア部材の場所を越えて流動させる第2の状態に変化可能である。デバイスはまた、バリア部材が第2の状態にある場合に少なくとも1つのチャンバ内の少なくともいくつかの試料部分が通過して流動するフィルタを含み得る。
【0012】
別の例示的実施形態において、本教示は、流体的に直列接続された複数のチャンバの第1のチャンバ内に試料を配置することであって、連続したチャンバが、第1の状態のそれぞれのバリア部材により互いに分離されている、ことと、試料を、第1のチャンバ内で処理アッセイに供することとを含み得る試料を調製するための方法を企図する。方法は、所定期間後、第1のチャンバと第2の連続したチャンバとを分離しているそれぞれのバリア部材を第2の状態に変化させることにより、第1のチャンバから第2の連続したチャンバに、少なくともいくつかの試料部分を流動させることをさらに含むことができ、第1の状態のバリア部材は、バリア部材の場所を越える流動を防止し、第2の状態のバリア部材は、第1のチャンバから第2の連続したチャンバへ流動を可能にする。
【0013】
さらに別の例示的実施形態において、本教示は、出口を有する少なくとも1つのチャンバであって、処理用の試料を受け取るように構成された少なくとも1つのチャンバと、チャンバに対して配置された第1の状態のバリア膜であって、第1の状態においてチャンバ内の試料を収容するバリア膜とを含み得る試料処理のためのデバイスを企図する。少なくとも1つのチャンバ内の十分な条件下で、バリア膜は、出口に向かう流動方向にチャンバ内の試料部分を流動させる第2の状態に変化可能である。
【0014】
さらなる目的および利点は、以下の説明において一部記載され得るが、一部は説明から明らかとなるか、または、本教示の実践により学習され得る。それらの目的および利点は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘される要素および組合せを用いて実現される。
【0015】
上記概要および以下の詳細な説明は共に、例示および説明のみを目的とし、本教示または特許請求の範囲を制限しないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に組み込まれその一部を成す添付の図面は、本教示の様々な例示的実施形態を例示し、発明を実施するための形態と共に、ある特定の原理を説明する役割を果たす。
【図1】図1A〜1Dは、例示的試料調製ワークフローの概略図である。
【図2】図2は、本明細書における教示による試料調製デバイスの例示的実施形態の側面図である。
【図3】図3は、本明細書における教示によるバリア部材を有するフィルタの例示的実施形態の断面図である。
【図4】図4A〜4Dは、本明細書における教示による例示的試料調製ワークフローの概略図である。
【図5】図5は、本明細書における教示によるバリア部材の例示的実施形態の平面図である。
【図6】図6は、本明細書における教示による試料調製デバイスの別の例示的実施形態の側面斜視図である。
【図7】図7は、本明細書における教示による試料調製デバイスの別の例示的実施形態の側面図である。
【図8】図8は、本明細書における教示によるシリンジと連結した試料調製デバイスの例示的実施形態の側面図である。
【図9】図9は、本明細書における教示による封止機構を備えるフィルタおよび/またはバリア部材の例示的実施形態の平面図である。
【図10】図10Aおよび10Bは、本明細書における教示による試料調製デバイスの別の例示的実施形態の側面図である。
【図11】図11Aおよび11Bは、本明細書における教示による試料調製デバイスの別の例示的実施形態の側面図である。
【図12】図12は、本明細書における教示による試料調製デバイスの別の例示的実施形態の側面図である。
【図13】図13および図14A〜14Dは、本明細書における教示による試料調製デバイスのさらに別の例示的実施形態の概略的側面図、およびデバイスを使用するためのワークフローである。
【図14】図13および図14A〜14Dは、本明細書における教示による試料調製デバイスのさらに別の例示的実施形態の概略的側面図、およびデバイスを使用するためのワークフローである。
【図15】図15A〜15Cは、本明細書における教示による試料調製デバイスの例示的実施形態の平面および側面図、ならびにワークフローである。
【図16】図16は、統合された試料採取構造を有する、試料調製デバイスの例示的実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、様々な例示的実施形態を詳細に参照するが、そのいくつかは添付の図面において図示されている。可能な限り、同じまたは同様の部品を指すように、図面全体にわたり同じ参照番号が使用される。
【0018】
本教示の理解を容易とするために、以下の定義を規定する。一般に、別段に定義されない用語には、通常の意味、または当技術分野において一般に認められる意味が付与されることを理解されたい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「試料」は、標的分子および/または標的分子を含有する実体を含む任意の物質または材料を示し得る。試料は、例えば、病原体細胞を含む真核細胞もしくは/および原核細胞、細胞内に含有される物質、ウイルス粒子を含む他の病原体、ならびに/またはウイルス粒子内に含有される物質を含み得る。試料はまた、標的分子を含有する、唾液、血液、尿、精液、食品、角質物質、石灰化組織、土壌、植物(例えば、植物材料)等の細胞外物質を含み得る。試料はまた、上記のいずれかが堆積した材料、例えば、繊維、紙、布地等を示すように使用され得る。本明細書で使用される場合、試料はまた、他の物質、例えば、緩衝剤、試薬、および、材料と反応し得る、または材料との反応をさらに支援するために添加され得る他の物質と混合された上述の材料のいずれかを示し得る。
【0020】
「標的分子」という用語は、本明細書で使用される場合、様々なアッセイおよび/または分析のいずれかを実行するために、採取する試料の他の部分からの単離が望まれる、試料中の対象分子を示すように使用される。標的分子は、例えば、核酸、タンパク質、ペプチド、多糖類、および/または他のバイオポリマー小分子を含み得るが、これらに限定されない。
【0021】
「核酸」という用語は、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」と交換可能に使用することができ、ヌクレオチド間リン酸ジエステル結合連鎖、またはヌクレオチド間類似体、および関連した対イオン、例えば、H+、NH4+、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+等により連鎖した2’−デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を含む、ヌクレオチド分子の一本鎖または二本鎖ポリマーを含み得る。ポリヌクレオチドは、完全にデオキシリボヌクレオチドで構成されてもよく、完全にリボヌクレオチドで構成され、またはそれらのキメラ混合物で構成され得る。ポリヌクレオチドは、核酸塩基および糖類似体を含み得る。ポリヌクレオチドのサイズは、典型的には、数モノマー単位から、例えば、当技術分野においてしばしばオリゴヌクレオチドと呼ばれる場合の5〜40個から、数千のモノマーヌクレオチド単位までの範囲である。別段の指定がない限り、ポリヌクレオチド配列が表されている場合はいつでも、ヌクレオシドは左から右へ5’から3’の順番であること、また、別段の指定がない限り、「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシチジンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、「T」はチミジンを示すことが理解される。標識化されたポリヌクレオチドは、5’末端、3’末端、核酸塩基、ヌクレオチド間連鎖、糖、アミノ、スルフィド、ヒドロキシル、またはカルボキシルでの改質を含み得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2001年11月13日発行の米国特許第6,316,610B2号、名称「LABELLED OLIGONUCLEOTIDES SYNTHESIZED ON SOLID SUPPORTS」を参照されたい。同様に、適切とみなされる指定の部位で、他の改質がなされ得る。
【0022】
「フィルタ」、「濾過」およびその変化形は、本明細書で使用される場合、所定の特性に基づいて材料を分離することができる任意の材料または技術を示し得る。例として、フィルタは、ある特定の(閾値)サイズ未満の材料を、フィルタの片側から他方側に通過させる一方で、閾値サイズ以上の他の材料の通過を阻止するように構成された構造を含み得る。したがって、本明細書におけるフィルタまたはフィルタ材料は、液体、ガスおよび固体を通過させ得るが、サイズに基づいて様々な材料の通過を阻止するように構成され得る。「官能化樹脂」、「樹脂」およびその変化形もまた、フィルタとみなすことができる。本明細書で使用される場合、「官能化樹脂」は、試料または試料の一部と相互作用して、試料が官能化樹脂または官能化培地と接触した際に試料と反応および/または試料を処理することができる様々な材料または培地を示し得る。官能化樹脂は、様々な材料および/または培地を含むことができ、本明細書において、特定の材料または培地に限定されるように解釈されるべきではない。官能化樹脂に使用され得る例示的材料および/または培地は、ゲル、別個の固体担体(例えば、ビーズ)、および様々なポリマーを含む。官能化樹脂は、樹脂と接触する試料の一部と反応するように、例えば、親和結合および/または交換により樹脂に試料を捕捉するように、または他の様式で試料と反応するように、化学的および/または酵素的に処理され得る。官能化樹脂はまた、試料の一部が樹脂を通過する際に、分子サイズに基づき試料の一部の分離を達成する材料を含み得る。
【0023】
「病原体」という用語は、本明細書で使用される場合、様々な病原体細胞またはウイルス粒子を示すことができ、病原体細胞は、例えば、カビ、バクテリア、原生動物、菌、寄生虫、病原性タンパク質(例えば、プリオン)を含み得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「標的分子を含有する実体」およびその変化形は、病原体(上で定義されるもの等)、他の種類の細胞、生物組織、ならびに/あるいは標的分子を含有する試料の任意の他の単位または部分を含む、真核細胞もしくは原核細胞および/または微生物を示し得る。
【0025】
「破砕」、「破砕している」、「破砕する」という用語およびその変化形は、本明細書において標的分子を含有する実体の破砕に関して使用される場合、標的分子を含有する実体からの標的分子の抽出を達成するための任意のプロセスを含み得る。そのようなプロセスは、例えば、病原体細胞を含む細胞の外側境界(例えば、細胞膜および/もしくは細胞壁)、ならびに/またはウイルス粒子の外側境界(例えば、ウイルスエンベロープおよび/もしくはカプシド)を破砕またはその他の様式で破壊し、そこに含有される標的分子を解放することを含み得る。他のプロセスは、例えば、織物、布地または紙上の血液等、試料材料上またはその中に堆積され得る標的分子を抽出することを含む。また、本明細書における破砕された試料への言及は、破砕に供された実体を含有する試料および/または標的分子が直接試料材料から抽出された試料を示すこと、また同様に、破砕された実体への言及は、破砕に供された細胞、病原体、および/または他の実体を示し得ることに留意されたい。
【0026】
記載される例示的実施形態の多くは、破砕を達成するために化学的または酵素的溶解を利用しているが、化学的または酵素的溶解の代わりに、またはそれと組み合わせて、当業者に知られている様々な破砕技術のいずれかを使用し得ることを理解されたい。好適な破砕技術の例は、熱的、電気的および/または機械的技術を含むが、これらに限定されない。機械的技術は、例えば、様々な機構、例えば、ビーズ、振動、超音波処理、のうちのいずれかにより、試料およびその中の実体を撹拌すること、および/または、標的分子を含有する実体のせん断をもたらし、それらの実体の外側境界を破砕し得る構造に試料を通すことを含み得る。様々な例示的実施形態において、破砕は、標的分子を著しく粉砕するべきではない。様々な例示的実施形態において、溶解試薬が、試料が導入される容器内に予め堆積され得るか、または、所望により核酸が解放されることが望ましい試料に追加され得ることが企図される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「試薬」への言及がなされる時は、試薬は、必ずしも単一の活性成分に限定されないことを理解されたい。むしろ、「試薬」は、複数の成分または単一の活性成分を含む組成物を示し得る。また、本明細書全体のいくつかの場合において、「試薬」は、緩衝溶液を含む物質、および/あるいは、試料を調製するために、または他の様式で試料と反応する、もしくは試料との反応を支援するために、試料に添加される他の物質を示すように使用され得る。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、別段に指定されない限り、量、パーセンテージまたは割合を表す全ての数字、ならびに明細書および特許請求の範囲において使用される他の数値は、全ての場合において、「約」という用語により修飾されるものと理解されたい。したがって、異なるように示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲内に記載される数値パラメータは、得られることが求められる所望の特性に依存して変動し得る概数である。少なくとも、また均等論の適用を特許請求の範囲に限定する意図なく、それぞれの数値パラメータは、報告される有効数字の数に照らして、および通常の丸め手法を適用することにより解釈されたい。
【0029】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」および「the」、ならびに任意の単語のいかなる単数形も、明示的および明確に1つの呼称に限定されない限り、複数形の呼称を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「1つの試料」への言及は、2つ以上の異なる試料を含み得る。本明細書において使用される場合、「含む」という用語およびその文法的な変化形は、リストにおける項目の列挙が、リストされた項目の代替であり得る、またはそれに追加され得る他の同様の項目の除外とはならないように、非限定的であることが意図される。
【0030】
例えば、食品安全性(動物、乳製品、果実および/もしくは野菜の管理)、環境、法医学的ならびに/または製薬用途を含むがこれらに限定されない、標的分子のアッセイおよび分析のための試料調製の例示的ワークフローは、図1に概略的に示されている。発明を実施するための形態および図面を単純化するために、図面のいくつか(すなわち図1および4)において、試料Sは、粉砕されてそこから標的分子を解放する単一の単位として表現されるように描かれている(例えば、標的分子を解放する単一の細胞と類似している)。しかしながら、試料は、破砕されて標的分子を解放し得る複数の細胞および/または他の実体を含有し得ることを理解されたい。標的分子を含有する実体を含む試料に加えて、またはその代わりに、例えば、織物、布地または紙上に採取された血液または他の人間もしくは動物の分泌物等、試料自体が直接標的分子を含有してもよく、試料から標的分子を抽出するように、試料が処理され得る。したがって、本明細書における様々な描写は、単に概略的なものであり、そこから標的分子を抽出するように処理される、(実体としての、または他の形態の)標的分子を含む試料を表すように意図される。図1Aにおいて、標的分子を含む対象試料Sは、集合的にMと標示される溶解培地および/または他の試薬と共に、示される実施形態において、一端が閉鎖され、他端がキャップにより閉鎖可能である管101により規定されるチャンバ内に導入され得る。溶解培地は、化学的および/または酵素的溶解剤を含み得る。試料Sならびに溶解培地および/または他の試薬Mは、標的分子を含有する任意の実体を破砕させる、および/または、試料Sからの標的分子の抽出を達成するのに十分な期間、管101内に保持され得る。この期間中、管101は、溶解培地および試料の混合ならびに/または試料(例えば、試料中の実体を含む)の破砕を促進するために、加熱され、および/または、例えば、振動、回転、かき混ぜ、および/または当業者に知られた様々な機構のいずれかによる混合によって撹拌され得る。
【0031】
破砕させ培地M中に標的分子Tを抽出させるのに十分な時間が経過した後、抽出された標的分子T、破砕された実体からの残屑(例えば、細胞膜および/またはカプシド残屑)および/または溶解培地に不溶である試料の他の部分(概して参照符号Dにより指定される)、溶解および/または試薬培地M、ならびに管内に存在する任意の他の物質を含む管101の内容物は、図1B中の管201(例示的一実施形態においては、スピンカラムとも呼ばれるスピンチューブ)に移される。一実施形態において、管201は、Applied Biosystems of Life Technologies Corp.から商品名LySepTMとして販売されているスピン管の構成を有し得る。例示的実施形態において、管101の内容物はピペット操作により移され、これは典型的には手作業で、例えば、実験室の専門家により行われるが、自動流体取扱いシステムにより行われてもよい。
【0032】
本明細書において、管という語句は、一般に中空で材料を通過および/または収容することができる構造を示すように使用される。本明細書において、管は、両端が開放した構造、または少なくとも1つの閉鎖された、または閉鎖可能な端部を有する構造を含み得る。図面中の様々な例示的実施形態は、略円筒形の構成を有する管を示しているが、そのような構成は非限定的で単なる例示であり、本明細書における教示に従う管は、例えば、楕円形、正方形、長方形、または他の多角形の形状等の様々な断面形状を有し得る。
【0033】
管201は、反対の端部に、管201への、または管201からの内容物の流入および流出を可能とするように構成された、2つの開口を有する。管101からの破砕された試料を受け取るように構成された、フィルタ202より上の容積を規定するように、出口205に隣接してフィルタ202が配置されている。フィルタ202は、管201内に配置され得る、例えば、標的分子Tならびに溶解培地および/または他の液体物質M、例えば、試薬等の、閾値サイズ未満の材料を通過させる微細孔材料であり得る。多孔質材料は、少なくとも閾値サイズの材料(全体的にDにより指定される)の通過を阻止する。フィルタの通過が阻止されるそのような材料の例は、食物、組織、角質繊維、衣服、土壌、骨および/または元の試料中に存在する任意の他の固体物質、ならびに細胞膜、細胞壁、および/または破砕プロセス後に残留する他の残屑を含み得るが、これらに限定されない。
【0034】
例示的実施形態において、フィルタ202は、例えば、管201の内壁面との圧入嵌合により管201内に適合するように、実質的にディスク形状であり得る。フィルタ202のサイズおよび形状は、フィルタ202の側面と管201の内壁面との間のいかなる隙間も排除するように選択され得る。例示的一実施形態において、封止機構(図9のフィルタ202および封止機構の平面図において2002と標示される)、例えば、ワックス、ポリマーもしくはプラスチックのフィルム、Oリング、または金属箔等が、フィルタ202と管201の内壁との間の、フィルタ202の周縁部の回りに配置され、フィルタ202の側面周囲の横方向における、管201の内容物の漏洩を防止するのを補助し得る。図9に示されるように、封止機構2002は、実質的に環状の形状を有してもよく、例えば、接着剤、レーザ溶接、超音波溶接、または他の結合技術により、フィルタ202に結合されてもよく、フィルタ202および封止機構2002は、一体となって管201内に適合する。例示的実施形態において、フィルタ202は、例えば、溶融粒状ポリマー材料、例えば、Porex(登録商標)等で作製されたフリットであり得る。他の好適な溶融粒状ポリマー材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、Teflon、またはこれらの組合せを含み得る。様々な例示的実施形態において、フィルタの公称細孔径は、約0.2ミクロンから約500ミクロンの範囲であり得るが、細孔径は、材料の所望のサイズ排除を達成するように選択され得る。例示的実施形態において、フィルタは、閾値サイズ未満の材料を通過させ、閾値サイズ以上の材料の通過を防止するように、フリット内に所望のサイズの孔を有するフリット材料を含み得る。他の例示的実施形態において、フリットは、トラックエッチング膜、または焼結材料(例えば、マトリックスを形成するための熱圧着)であり得る。
【0035】
図1Bに示されるように、破砕された試料が管201に移されたら、蓋204(通気孔(図示せず)を含み得る)が管201を閉鎖するように位置付けられてもよく、管201は、図1Cに示されるように、採取管301と連携して配置され得る。図1Cに示されるように、管201の内容物は、概して出口205および採取管301の方向に移動(流動)する、フィルタ202より上の内容物の少なくともいくつかの移動を補助(例えば、重力と共に)するための力に供され得る。例えば、例示的実施形態において、管201および採取管301は、例えば、微小遠心分離機または当業者が熟知した他の遠心分離機器を使用して、共に遠心分離され得る。遠心分離中、管201内の試料Sから抽出された標的分子T、試料Sからの可溶物質、ならびに任意の溶解試薬および/または他の液体系培地Mは、フィルタ202を通過して採取管301に入る。より大きいサイズの材料D、例えば、溶解培地に不溶である比較的大きな試料材料、細胞残屑等は、より大きい(例えば、より重い)材料に作用する慣性力によって、管201のより小さいおよび/または液体の内容物から分離することができ、フィルタ202の微小細孔(および/または形成された孔)の通過を阻止し、それにより管201内に残留させることができる。したがって、遠心分離の終了後、抽出された標的分子Tは、存在する場合は溶解培地および/または他の試薬Mと共に、試料材料の他の部分から分離され、図1Dに示されるように、採取管301に収容される。さらなる処理ならびに/または所望のアッセイおよび分析、例えば、PCR等を行うのに十分な量の標的分子Tが採取され得る。例示的実施形態において、採取管301はまた、採取管301、および管201から受け取ったその内容物のさらなる処理のための移送、ならびに採取管301内の内容物の損失および/または汚染のリスクの低減を可能とするための、蓋または他のカバー(図示せず)を含み得る。
【0036】
上記の例は、遠心分離を利用するものとして説明されているが、フィルタ202を通して標的分子Tおよび液体系培地Mを引き出すのを補助するために、遠心分離の代わりに、またはそれと併せて他の機構が使用され得る。例として、他の機構は、内容物を強制的にフィルタ202を通過させるための、例えば、陽圧機構または真空により形成される圧力の印加を含むが、これに限定されない。陽圧の印加に関して、例示的実施形態において、例えば、管201を覆うセプタム(図示せず)を通して(例えば、カバー204内に)注射器を導入するか、または他の様式で管201内に(例えば、図11に示されるように、管の側壁等に)配置し、フィルタ202より上に陽圧を形成することができる。代替的に、図8を参照すると、例示的実施形態において、採取管301を注射筒801と置き換えてもよく、セプタムおよび/またはルアーロックを用い、管201の開口205を通して注射器を導入し、標的分子Tおよび培地Mを管201から引き出すための真空力を形成し得る。
【0037】
図1の例示的ワークフローの潜在的欠点は、試料が異なる容器間で移動される回数および様式を含み、ワークフローを比較的労働集約的および時間を要するものとしている。例えば、試料は、まず管101に、次いで管201に、最後に採取管301に移されなければならない。上述のように、管101から管201への移動は、典型的には、手作業のピペット操作を含み得るピペット操作により達成される。比較的時間を要することを別にして、試料が移される度に、二次汚染、取扱い上のミス、病原体への暴露、有害廃棄物への暴露、および試料損失のリスクが存在する。
【0038】
本明細書に記載される本教示の様々な例示的実施形態は、強固で効率的であり、またワークフローにおいて使用される構成要素の数、および対象試料が異なる容器またはデバイス間で手作業で移される回数を低減することにより、二次汚染、取扱い上のミス、病原体もしくは他の有害材料への暴露、および/または試料損失のリスクを低減する、試料調製および/または処理ワークフローおよびシステムを提供する。さらに、本教示の例示的実施形態は、例えば、より効率的な移動プロセス、および単純で強固な、有害廃棄物を含み得る廃棄物回収手法を創出することにより、実験室廃棄物を低減することができる。様々な例示的実施形態において、多くのプロセス(例えば、反応、破砕、濾過、結合、標識化、イオン交換、サイズ分離等)が、流体的に統合されていない別個の構成要素ではなく、同じデバイス(デバイス構成要素の統合流体接続システムを含む)で行われる。これは、破砕プロセス後の、流体的に接続されていないデバイス間の試料の移動の必要性を含む、手作業のステップを排除し得る。さらに、様々な例示的実施形態において、試料および試料と混合された任意の物質(例えば、溶解培地および/または他の試薬)は、濾過または他の分離プロセスが行われる前に、所望の反応、例えば、標的分子の破砕および抽出を達成するのに十分な期間、試料調製デバイス内に保持されてもよく、このようにして、様々な例示的実施形態は、試料調製デバイス内のフィルタが、破砕が行われる現場の位置にあるにもかかわらず、濾過(分離)プロセスが所望の時間に選択的および自動的に行われるようにする。さらに、様々な例示的実施形態は、液体、可溶物質、および抽出された標的分子または対象となる他の内容物の、試料処理(例えば、破砕、洗浄、脱塩、結合、交換、サイズ分離、および/または他の反応)が行われるチャンバから、フィルタを通して下流側の採取チャンバ内(例えば、採取管または他の容器内)、または追加的処理チャンバ内への、制御および自動化された様式での、選択された時間における、手作業を必要としない移動を提供する。本明細書における教示に従う試料調製デバイスおよび方法はまた、標的分子の高い採取率を提供することができ、例えば、試料中の標的分子の初期量の約90%超が採取され得る。
【0039】
本明細書において、試料調製という用語の使用は、所望の最終分析または用途のために試料を用意する様々なプロセスおよび反応を含み得ること、ならびに、本明細書における教示は、溶解の適用および試料からの標的分子の採取に限定されることを意図しないことを理解されたい。本明細書における様々な例示的実施形態を使用することができる他の用途は、製剤の放射性標識、例えば、樹脂/固相材料に共有結合したDNaseもしくはプロテイナーゼK酵素等の酵素による試料の酵素処理、ならびに/あるいは、抗体の試料を検出もしくは枯渇させるための、または、樹脂/固相材料に結合した抗体により試料中の抗原を検出するための、抗体の親和性標識および抗体結合を含むが、これらに限定されない。様々な例示的実施形態は、使用および作製する上で比較的単純で安価であり、使用後に処分可能な試料調製デバイスを提供する。代替的に、デバイスおよび方法は、適切な清浄化技術により再利用されるように構成され得る。
【0040】
さらに、様々な例示的実施形態は、例えば、人間の試料、土壌、動物/植物試料等を採取する場合、ならびに採取時点で無菌状態で採取された試料を調製および/または処理することが望ましい場合等において、例えば、現場の試料採取地点で試料調製および/または処理ワークフローを行うことができる、可搬性デバイスおよび技術を企図する。
【0041】
図2を参照すると、本明細書における教示に従う試料調製デバイスの例示的実施形態が示されている。図2中、試料調製デバイスは、チャンバ2207を規定し、内容物を管2201内に導入および管2201外に流出させるように構成された開口を反対の端部に有する、管2201を備える。図2の例示的実施形態において、管2201は、その一端に、内容物を管2201内に導入するための入口として構成された比較的大きい開口2203を、またもう一方の反対端部に、そこから内容物が管2201の外に流出し得る出口として構成された比較的小さい開口2205を規定する。例示的実施形態において、図1中に示されるものと同様に、実質的に漏洩を防止する様式で開口2203を閉鎖するために、蓋2204が提供され得る。必要な場合は、小さい通気孔(図示せず)が、蓋2204の頂部に提供され得る。蓋2204は、可撓性の係止部2206を介して管2201に結合されてもよく、または、管2201(図示せず)から分離して、開口2203に係合し閉鎖するように構成され得る。蓋2204は、当業者に明らかな数多くの様式で管2201と係合し、実質的に漏洩を防止する様式で開口2203を閉鎖することができる。
【0042】
管2201内には、フィルタ3302が配置され、バリア部材3304がフィルタ3302の表面に取り付けられている。図2の例示的実施形態において、フィルタ3302およびバリア部材3304は、管2201内に位置付けられ、バリア部材3304は、比較的小さい開口2205に面している。様々な例示的実施形態において、フィルタ3302およびバリア部材3304は、全体的にディスク形状を有し、例えば、管2201のチャンバ2207内の圧力が増加した際でも、圧入嵌合により管2201内に保持されるように、管2201内に適合するよう構成され得る。フィルタ3302およびバリア部材3304のサイズおよび形状は、管2201内に配置された内容物が、管2201の内壁面とフィルタ3302およびバリア部材3304の横表面との間を通過するのを防止するために、フィルタ3302およびバリア部材3304の横表面と管2201の内壁面との間のいかなる隙間も排除するように選択され得る。上述のように、例示的実施形態において、図9を参照しながら上述した封止機構2002等の封止機構が、フィルタ3302および/またはバリア部材3304の外周に沿って、フィルタ3302および/またはバリア部材3304と管2201の内壁との間に提供および結合され、フィルタ3302および/またはバリア部材3304の縁部に沿った漏洩を実質的に防止し、ならびに/または真空封止または流体封止を形成することができる。
【0043】
様々な例示的実施形態において、管2201は、プラスチック材料、例えば、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを含むがこれらに限定されないポリマー等で作製され得る。一実施形態において、管2201は、射出成形により形成される。管2201は、約0.01ミリリットル(mL)から約10mL、例えば、約50mLまで、例えば、約0.05mLから約3.0mLまでの範囲の容積を保持するように構成され得る。しかしながら、指定された容積範囲は単なる例示であり、本明細書に記載の教示は、例えば、処理用試料を保持するデバイスの形式および具体的試料処理用途に依存して、広範な容積で利用され得ることが、当業者に理解される。本明細書において開示されるデバイスおよび方法に従い調製され得る試料の体積は、より小規模の用途においては約50マイクロリットル(μL)から約50mLまで、より大規模の用途(例えば、産業用途)においては100リットル以上までの範囲である。例えば、可撓性バッグ等のより大きな容器構造に依存する様々な例示的実施形態において、容器により規定されるそのような試料チャンバの容積は、例えば、産業用途に好適であり得る、1リットルから100リットル以上までの範囲であり得る。さらに、利用可能であり、本発明における教示の範囲内とみなされる、他の試料調製デバイス形式は、ウェルプレート(例えば、96ウェル、384ウェル、および他のまたはそれより大きい形式、例えば、一列に14箇所のアレイを有する形式)、毛細管、可撓性パウチ等を含むがこれらに限定されず、そのうちのいくつかの例示的実施形態は、以下でより詳細に示され説明される。
【0044】
図3は、孤立したフィルタ部材3302およびバリア部材3304の断面図を示す。図1を参照しながら上述したように、フィルタ3302は、抽出された標的分子およびスピンチューブ2201の液体内容物(例えば、試薬および/もしくは溶解培地)を通過させるが、液体培養物に不溶である試料材料のより大きいおよび/または他の部分の通過を阻止する微細孔材料で作製され得る。フィルタの通過が阻止されるそのような材料の例は、食物、組織、衣服、土壌、角質繊維、骨および/または元の試料中に存在する任意の他の固体物質、ならびに破砕された細胞および/または他の実体からの残屑を含み得るが、これらに限定されない。例示的実施形態において、フィルタ3302は、例えば、溶融粒状ポリマー材料、例えば、Porex(登録商標)等で作製されたフリットであり得る。他の好適な溶融粒状ポリマー材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、Teflon、またはこれらの組合せを含み得る。様々な例示的実施形態において、フィルタの公称細孔径は、約5ミクロンから約1.0ミリメートル、例えば、約5ミクロンから約0.5ミリメートルの範囲であり得る。
【0045】
様々な例示的実施形態において、フィルタ3302を含む、本明細書において開示されるフィルタの厚さは、約1/254インチから約1/4インチの範囲であり得、例えば、厚さtは、約1/16インチであり得る。様々な例示的実施形態において、フィルタ要素の厚さは、所望のアッセイおよび/または分析を行う目的で十分な量が採取されるように、ある量の標的分子を通過させるように選択され得る。様々な例示的実施形態において、フィルタ3302を含む、本明細書において開示されるフィルタの細孔サイズは、約5.0ミクロンから約1.0ミリメートルの範囲であり得る。しかしながら、孔隙率は、様々なサイズ排除特性および/または所望により選択された実体の破砕を達成するように所望に応じて選択され得る。
【0046】
以下でより詳細に説明される理由から、様々な例示的実施形態において、フィルタ3302は、疎水性の特性を示し得る。例えば、フィルタ3302は、疎水性の材料で作製され得る。上述の細孔サイズを有するものを含む溶融粒状ポリマー材料は、疎水性である。疎水性材料の使用の代替として、またはそれに加えて、フィルタ3302は、例えば、Repel−Silane(例えば、シラン、ジクロロジメチル)等の疎水性物質で処理(例えば、被覆)され得る。
【0047】
さらに、様々な実施形態において、フィルタ3302は、フィルタ3302を通過する際に実体(例えば、病原体、組織、細胞等)の破砕をもたらすように構成され得る。例えば、フィルタ3302の孔隙率(例えば、細孔のサイズおよび形状を含む)は、実体がフィルタ3302を通過した時に破砕効果を達成し、試料がそれを通過する際に標的分子をさらに解放するように選択され得る。例示的実施形態において、フィルタ3302は、フィルタ3302の上の管2201のチャンバ2207内で生じる破砕プロセスとは異なる種類の実体を破砕するように構成され得る。例えば、異なるサイズまたは種類の実体が、例えば、化学的および/または酵素的溶解によりフィルタ3302の上の管2201内で破砕されてもよく、他の実体が、フィルタ3302の通過中に破砕され得る。様々な例示的実施形態において、フィルタ3302はまた、官能化されて、例えば、通過中に分子または他の実体をフィルタに選択的に結合させる(または結合させない)ように処理され得る。そのような官能化の非限定的な例は、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、およびシラノール官能化を含む。
【0048】
図3および図に示される様々な例示的実施形態において、単一層フィルタ3302のみが示されているが、フィルタは、その代わりに、複数の層を備えてもよく、層は、異なる構成および/または特性を有し得る。例えば、異なる層が異なる孔隙率(例えば、異なるサイズの材料を排除し、ならびに/または、異なる種類および/もしくはサイズの実体をせん断(破砕)する)、厚さを有してもよく、ならびに/または、所望により、異なる様式で処理および/または官能化され得る。当業者には、所望の特定用途に依存する様々な機能を達成するための異なる種類のフィルタ層の選択方法が理解される。例えば、図10および11等の追加の例示的実施形態を参照しながら後述されるように、フィルタは、1つ以上のサイズ排除フィルタ構造(例えば、フリット構造)および1つ以上の官能化樹脂構造を含む層状構造(例えば、複数ラミネート構造)を含み、サイズ排除構造は、比較的大きい材料、例えば、細胞残屑および/またはより大きい不溶性試料材料等の通過を防止するように構成され、樹脂は、分子篩(すなわち、分子のサイズに基づく分子の分離を可能とする)、交換体、および/または以下でより詳細に説明されるような他の捕捉構造として構成されている。様々な例示的実施形態において、官能化樹脂構造は、通過する際に対象となる分子または他の実体を捕捉する、イオン交換樹脂および/または親和結合樹脂であり得る。フリットであるか、樹脂構造であるか、または他の材料であるかに関わらず、フィルタはまた、フィルタを通過する材料との所望の反応をもたらす、および/または支援することができる、様々な反応物質および/または触媒で処理され得る。いくつかの例示的実施形態において、官能化樹脂は、材料の通過を阻止または材料を分離しなくてもよいが、単に、通過する材料に触媒、結合部分、または他の反応物質を組み込むことができる。様々な例示的実施形態において、官能化樹脂構造は、樹脂に抗体を組み込むことができる。
【0049】
官能化樹脂構造を形成するために、様々な材料を使用することができ、当業者には、所望の用途に基づく材料の選択方法が認識される。好適な例示的材料は、ポリアクリルアミド、ポリデキストラン(例えば、分子排除に使用され得る)、SephacrylTM、SepharoseTM、SephadexTM、陽イオンおよび陰イオン交換樹脂材料、例えば、セルロースに結合したQ(+)(第4級アミン)、DEAE(+)(ジエチルアミノエチル)、CM(−)(カルボキシメチル)もしくはSP(−)(スルホプロピル)部分、SephacrylTM型樹脂、SephadexTM型樹脂またはSepahroseTM型樹脂を含む材料を含むが、これらに限定されない。
【0050】
例示的実施形態において、バリア部材3304は、バリア部材の第1の状態(バリア部材3304は、管2201内の試料および他の内容物がバリア部材3304を越えて通過するのを防止するように実質的に不浸透性である)から、第2の状態(第2の状態のバリア部材3304は、管2201の処理された内容物を、バリア部材3304の最初の場所を越えて出口2205に向かって通過させる)に変化可能である構造であり得る。
【0051】
例示的実施形態において、バリア部材3304は、例えば、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン等のポリマー、もしくは他のポリマー、金属箔、または他の変形可能もしくは降伏可能材料で作製された、薄いフィルムまたは膜を含み得る。バリア部材3304は、約0.1ミル(0.001インチ)から約10ミルの範囲の厚さtを有し得、例えば、厚さtは、約0.5ミルであり得る。バリア部材3304は、十分な圧力に供されると、破裂または他の様式で降伏し、フィルタ3302を通過する液体および他の物質がそれを通して出口2205に向かって流動し得る、少なくとも1つの通路を形成するように構成され得る。例として、バリア部材3304は、約100Gから16000Gの範囲、例えば、約1000Gの遠心分離加速度でのスピンチューブ2201の遠心分離中に降伏(例えば、破裂)するように構成され得る。
【0052】
追加的に、または代替的に、バリア部材3304は、例えば、熱、空気圧、流体圧、および/またはフィルタ3302の上の管2201のチャンバ2207内の圧力を増加させるように構成された他の機構により、管2201内に圧力が印加されると降伏するように構成され得る。様々な例示的実施形態において、バリア部材は、約0.05バールから約100バール、例えば、約1バールから約20バールの範囲の圧力下で降伏するように構成され得る。例として、注射器を使用して、管2201内のフィルタ3302の上に、バリア部材3304を降伏させるのに十分な陽圧を形成することができ、または、フィルタ3302の下の管2201内に、バリア部材3304を降伏させるのに十分な陰圧(真空)を形成することができる。別の実施形態において、フィルタ3302の上の管2201内の物質に対する電気的、磁気的、または熱的作用を使用して、その中の圧力を、バリア部材3304を降伏させるのに十分なレベルまで増加させることができる。さらに別の例示的実施形態において、フィルタ3302の上の管2201内に、液体培地と接触すると管2201内の圧力をバリア部材3304を破裂させるのに十分なレベルまで増加させるガスを形成する、ペレットまたは他の物質を設置してもよく、そのような場合、管2201は、実質的に封止された様式でカバー2204により閉鎖され得る。
【0053】
上述の例示的実施形態は、バリア部材が不浸透性である第1の状態から、バリア部材が少なくともいくつかの材料を出口2205に向かって流動させる第2の状態にバリア部材を変化させるために、圧力または他の力の増加を利用しているが、他のバリア部材構成もまた企図される。例として、本明細書における教示によるバリア部材は、例えば、閾値温度への暴露(すなわち、十分な量の熱への暴露)後に溶融および/または他の様式で変質する、ゴム、ワックス、軟質プラスチック、ヒドロゲル、または他の相変化材料等の材料で作製され得る。別の例示的実施形態において、本明細書における教示によるバリア部材は、ある特定の条件下で可溶性である材料で作製され得る。例えば、材料は、管2201内に配置された内容物との所定期間の接触後に溶解するように可溶性であり得、一実施形態において、所定期間は、管2201内の試料の所望の反応(例えば、溶解)が生じるのに十分な期間である。バリア部材の溶解性を制御するために変更され得る別の条件は、例えば、温度を含むが、これに限定されない。さらに別の例示的実施形態において、本明細書における教示によるバリア部材は、例えば、試料またはその一部が、同時に発生するpHの変化によりバリアを通過できるようにするために、試料および/またはバリアのpHを変更することにより、浸透作用により材料の通過を達成することができる(例えば、バリア部材は、浸透膜を備えることができる)。バリア部材を通した浸透作用を達成するために、例示的実施形態において、バリア部材は、湿潤した状態を維持し得る。以下で説明される図12の例示的実施形態は、そのような浸透性バリア部材の使用に特に好適であり得る実施形態の例である。
【0054】
機械的、電気的、化学的および/またはこれらの組合せを含む様々な作用を使用して、本明細書における例示的バリア部材の状態を、関連する管内の試料および/または他の内容物の通過を防止する状態から(例えば、バリア部材によりチャンバ内に保持される試料に対して所望の反応および/またはプロセスを生じさせるように)、試料の通過した部分を追加の処理および/または分析のために採取するために、反応後および/または処理後の試料および/または他の内容物を通過させる状態へ変化させることができることが、当業者に理解される。
【0055】
ここで、図4を参照すると、管2201を使用して対象試料から標的分子を分離および採取するための例示的ワークフローが概略的に示されている。図4Aにおいて、標的分子を含む対象試料Sは、溶解培地および/または他の試薬Mと共に管2201内に導入され、フィルタ3302の上の管2201のチャンバ2207内に保持される。試料Sならびに溶解培地および/または他の試薬Mは、図4Bに示されるように、標的分子Tを含有する試料Sを破砕させて標的分子Tの抽出を達成するのに十分な期間、管2201内に保持され得る。この期間中、管2201は、加熱され、および/または、溶解培地および試料の混合、ならびに/または、例えば、標的分子を含有する実体からの標的分子の抽出を含む標的分子の抽出のための試料の破砕を促進するために、例えば、振動、回転、かき混ぜ、および/または当業者に知られた様々な機構のいずれかによる混合によって撹拌され得る。例示的実施形態において、ビーズ(図示せず)が管2201に添加されてもよく、実体の破砕を達成するために管2201が撹拌されてもよく、これは、例えば、細胞および/または他の実体の破砕がより困難である場合、例えば、Lysteria sppまたは細胞壁の場合等に望ましい。図4Bに示される状態において、フィルタ3302に取り付けられたバリア部材3304は、フィルタ3302の上の管2201の内容物が、フィルタ3302を通過してバリア部材3304を越え、出口開口2205を通って流動するのを防止する。これにより、管2201の内容物がフィルタ3302を通過してバリア部材3304を越え、開口2205から流出することなく、管2201内で破砕プロセスが進行し得る。さらに、上述のように、様々な例示的実施形態において、フィルタ3302は疎水性であってもよく、それにより、破砕プロセスが行われている間に管2201の内容物がフィルタ3302の細孔内に通過するのを最小限化または防止し得る。
【0056】
破砕させ標的分子を解放させるのに十分な時間が経過した後、図4Bにおいて、抽出された標的分子T、破砕された実体からの残屑および/または溶解培地に不溶である試料材料(概してDで示される)等のより大きいサイズの他の材料、溶解培地および/または試薬M、ならびに管2201内に存在する任意の他の物質を含む内容物を中に有する管2201は、採取管4001と連結して配置され得る。代替の例示的実施形態において、採取管4001および管2201は、ワークフローの開始時に、組み立てられた状態であり得る。例えば、2つの構成要素は、最初の使用後に、手作業で組み立てられてもよく、または予め組み立てられ、例えば、実質的に漏洩を防止する様式で一体成形または他の様式で嵌合され得る。
【0057】
図4Cを参照すると、バリア部材3304は、図4Bの状態(バリア部材3304は、フィルタ3302の上の材料が、バリア部材3304を越えて出口2205に向かって通過するのを防止する)から、図4Cに示される状態(バリア部材3304は、管2201内の内容物の少なくともいくつかを出口2205に向かって通過させる(すなわち、それらの内容物がフィルタ3302を通過し得る))に変化され得る。
【0058】
少なくとも1つの非限定的な例示的実施形態において、管2201および採取管4001は、例えば、微小遠心分離機または当業者が熟知した他の遠心分離機器を使用して、開口2203を蓋2204が閉鎖する状態で遠心分離され得る。遠心分離中、バリア部材3304に印加される力は、図4Cに示されるように、バリア部材3304を破裂させる。次いで、管2201内の標的分子T、試料からの可溶性物質、ならびに任意の溶解試薬および/または他の液体系物質Mは、フィルタ3302を通過し、バリア部材3304を越え、出口開口2205から出て採取管4001内に流入し得る。フィルタ3302が疎水性である実施形態において、遠心分離に伴う力は、フィルタ3302の疎水性に起因する液体物質の反発に伴う力に打ち勝ち、標的分子、液体物質、および閾値サイズ未満の材料が、フィルタ3302を通るようにする。より大きなサイズの材料、例えば、溶解培地に不溶である試料材料(例えば、食物、組織、角質繊維、衣服、土壌、骨および/または元の使用中に存在する任意の他の固体物質を含むがこれらに限定されない)、破砕プロセス中に破砕された実体からの残屑等(図4Cにおいて概してDで標示される)は、より大きい(例えば、より重い)材料に作用する慣性力によって、管2201のより小さいおよび/または液体の内容物から分離されることができ、フィルタ3302の微小細孔の通過を阻止され、それにより管2201内に残留する。したがって、遠心分離の終了後、標的分子Tは、存在する場合は溶解培地および/または他の試薬と共に、試料材料のより大きい他の部分から分離され、例えば、所望のアッセイおよび分析、例えば、PCR等を行うのに十分な量で、採取管4001に収容される。
【0059】
遠心分離は、本明細書における教示によるバリア部材の状態を変化させるための1つの例示的技術を表しているが、上述のように、他の様々な機構を使用して、バリア部材通して物質を通過させるようにバリア部材を変化させることができる。他の技術は、例えば、バリア部材3304を降伏(例えば、破裂)させるための、上述の様々な機構による管2201内の陽圧もしくは陰圧の形成、バリア部材を変質(例えば、溶解もしくは溶融)させるための化学薬品もしくは熱の適用の使用、またはいくつかの材料をバリア部材に通過させるための浸透作用の使用を含むが、これらに限定されない。
【0060】
様々な例示的実施形態によれば、上述のように、バリア部材3304の材料および厚さは、フィルタ3302への取り付けによりバリア部材3304に印加される任意の張力と同様、十分な所定の圧力がその上に印加された後にバリア部材3304の破裂を達成するように選択され得る。代替の例示的実施形態において、バリア部材の破裂を達成するために、バリア部材は、他の領域よりも薄い別個の領域を含むプラスチックフィルム材料であり、十分な圧力がその上に印加された後に、それらの領域の少なくとも1つ以上においてバリア部材の破壊および破裂がもたらされ得る。非限定的な例として、図5は、別個のより薄い領域5305を含むバリア部材5304の例示的実施形態の平面図を示す。より薄い領域5305は、例えば、エッチング、レーザ切断、エンボス加工、刻み、または他の同様の技術により、例えば、領域5305を形成するためのマスクを使用して、止まり穴として形成され得る。当業者は、様々なそのような技術を熟知している。また、当業者には、図5に示される止まり穴5305が単なる例示であり、分割線を含むがこれに限定されない、材料のより薄い領域の他の形状および構成が利用され得ることが理解される。
【0061】
さらに別の例示的実施形態において、バリア部材は、フィルタに面する表面の少なくとも一部に接着剤を有する、液体不浸透性材料であり得る。接着剤は、バリア部材をフィルタに取り付けるように機能することができ、管の内容物が所望の時までバリア部材を越えて移動しないように、バリア部材のフィルタへの取り付けを維持するのに十分な強度を有し得る。所望の場合、バリア部材は、例えば、管を遠心分離することにより、および/またはその他の態様で管内の圧力を増加させることによりもたらされる、十分な圧力に供され得る。十分なレベルに達したら、バリア部材に対し印加される力は、接着剤の力に打ち勝つことができ、それによりバリア部材はフィルタから外れ、管の内容物がフィルタを通過し、バリア部材の初期位置を越えることができるようになる。
【0062】
様々な例示的実施形態において、本明細書における教示によるバリア部材は、フィルタ上のバリア部材の可視化を向上させ、それにより、試料調製チャンバ内のフィルタおよびバリア部材の所望の配向(例えば、バリア部材は、本明細書において示される例示的実施形態の試料調製デバイスの出口に面しているが、そのような配向は単なる例示である)を確実とするのを補助するように、着色されてもよく、および/またはパターンもしくは他の特徴を有し得る。
【0063】
様々な例示的実施形態において、フィルタおよびバリア部材構造は、プラスチックフィルム(すなわち、バリア部材が作製される元となるプラスチックフィルム材料)のシートを、フィルタ材料(例えば、フリット材料の層)上に設置することにより形成され得る。プラスチックフィルムのシートがフィルタ材料の層に対して平坦にきつく引っ張られた状態で、例えば、ダイパンチ(例えば、円形ダイパンチ)を使用して、シートおよび層が共に打ち抜かれてもよい。共打抜きプロセスにより、プラスチックフィルムは、フィルタと実質的に厳密に整列し(マージンが最小限であるか、またはマージンがない)、フィルタ材料に対して引き伸ばされて平坦となり、実質的に上記例示的実施形態において示され説明されたようなフィルタおよびバリア部材の構成要素を形成するように、プラスチックフィルムがフィルタに圧力接着される。
【0064】
上記の形態の代替として、バリア部材は、フィルタ材料上の被膜として形成され得る。例えば、フリット材料の層は、層の1つの表面を、フリット材料を溶融して表面材料を融合し、実質的に連続的な非多孔質表面を形成する制御熱処理に供することにより処理され得る。処理後、上述のように、ダイパンチを使用して、フリット材料の被膜層からいくつかのフィルタ/バリア部材を切断し得る。別の例示的技術において、被膜は、上述のような薄いプラスチックフィルムのシートを被せ、さらに、フリット材料のシートに対して薄いポリマーフィルムのシートを加熱と共に圧縮し、プラスチックフィルムとフリット層との間の少なくとも一時的な結合を形成することにより、フリット材料の表面上に形成され得る。次いで、上述のようにダイパンチを使用して、いくつかのフィルタ/バリア部材要素を打ち出し得る。
【0065】
上述のように、試料調製デバイスの様々な例示的実施形態は、本明細書における教示と併せて使用され得るが、図2および4に示される採取管内に供給する単一処理管構成は、非限定的であり、単なる例示である。様々な他の例示的実施形態において、試料調製デバイスは、それぞれ、少なくとも最初はバリア部材により互いの流通から隔離される、一連の2つ以上の処理管を備えることができる。他の例示的実施形態において、単一の処理管が、少なくとも最初はバリア部材により互いから隔離された一連の区分化された処理チャンバを含み得る。そのような構成のいくつかの非限定的な例示的実施形態は、以下で説明される図10〜12に示されている。
【0066】
図10Aおよび10Bを参照すると、3つの管1001、1003および1005を備える試料調製デバイス1000の例示的実施形態が示されている。図10Aに示されるように、管1001、1003および1005は、入れ子構成で互いに組み立てられるように構成されている。組み立ては使用時に行うことができ、または、管は予め組み立てることができる。例示的実施形態において、組み立てられた構成の管は、入れ子状の管の間への管の内容物の漏洩を防止するように封止されるべきである。様々な例示的実施形態において、組み立てられた構成にシールリングおよび/またはエプロンを組み込むことができ、これは、例えば、バリア部材を降伏させるために組み立て品と併せて真空が使用される場合に望ましい。例示的実施形態において、管1005は、さらなる分析、処理、および/または廃棄のために残りの管から外されるように構成された閉鎖端部を有する採取管である。1つは不用な反応物質および試料調製からの材料を採取するため、ならびに1つはさらなる処理および/もしくは分析用の所望の試料生成物を採取するため等、2つ以上の採取管が提供され得る。さらに、図示されていないが、デバイス1000の残りから分離した後に採取管1005を覆うために、キャップが提供され得る。様々な構成要素の明確化および可視化のために、図10Bは、組み立てられていない状態の試料調製デバイス1000の管を示している。
【0067】
図10の例示的実施形態において、試料調製デバイス1000は、入口1013を通して処理用試料が導入され得る管1001を含み、内容物は出口1015を介して管1001から出ることができる。管1001は、図2を参照して上述した管2201と同様の構成を有することができ、したがって、同様の部品および特徴は、必ずしもここでは説明されない。試料Sは、液体系培地M中の所望の試薬と共に、出口1015に近接して位置するバリア部材1304の上のチャンバ1007内に配置され得る。図10Aおよび10Bは、孤立したバリア部材1304を示しているが、試料調製デバイス1000の具体的用途に依存して、バリア部材1304は、本明細書において他の例示的実施形態に関して説明されるように、フィルタまたは他の支持構造と組み合わされ得ることが、当業者に理解される。
【0068】
本明細書における教示によれば、バリア部材1304は、チャンバ1007の液体系培地Mおよび/または他の内容物の通過を防止する第1の状態から、それを通過させて出口1015に向かって流動させる第2の状態に変化可能であり得る。上述のように、例示的実施形態において、バリア部材1304は、チャンバ1007内で試料Sの所望の反応を生じさせるのに十分な期間後、第1の状態から第2の状態に変化し得る。本明細書に記載のバリア部材1304を変化させるための機構のいずれも使用することができる。
【0069】
管1003は、管1001と入れ子状となり、出口1015を通って管1001を出る内容物を受け取る。図10の例示的実施形態において、管1003は、フリットまたは他のサイズ排除フィルタ層1302、以下でより詳細に説明される様々な機能を実行するように構成され得る官能化樹脂層1312、およびバリア部材1304の構成と同様の構成を有し得るバリア部材1314を含む複数ラミネート構造を含む。本明細書における教示に基づき、構造1304、1302、1312、および/または1314のいずれも、個々にまたは組み合わせて、構造と管1001および1003の内壁との間の物質の漏洩を防止するために、図9を参照して説明したものと同様の封止機構と連結され得ることが、当業者に理解される。
【0070】
様々な例示的実施形態において、および具体的試料調製用途に依存して、層1302は、サイズに基づき材料の通過を阻止する、または通過させるフィルタであり得、換言すれば、層1302は、閾値サイズ未満の材料を通過させ、閾値サイズ以上の材料の通過を防止し得る。フィルタ1302は、フィルタ202および3302を参照して上述したように、フリットまたは他の多孔質材料であり得る。
【0071】
官能化樹脂1312は、様々な材料で作製することができ、また様々な機能を実行し得る。例として、樹脂1312は、分子篩、またはサイズに基づき材料を排除および/もしくは分離するよう構成された他のサイズ排除もしくは分離機構として構成され得る。樹脂1312は、いくつかの材料の通過を完全に防止することにより、または、異なる速度で材料を通過させる(例えば、電気泳動ゲルと同様のもので、この場合必要に応じて樹脂に電場が印加され得る)ことにより、フィルタ1302より小さいサイズの材料を分離するように構成され得る。サイズ排除または分離機能の実行に加えて、またはその代わりに、樹脂は、樹脂を通過する材料と反応する様々な構成物質を含み得る。例えば、樹脂1312は、それを通過する材料のイオン交換および/または親和結合を可能とし、例えば、そのような材料を樹脂中に捕捉する構成物質を含み得る。親和性捕捉のための官能化樹脂の例は、ビーズ状ポリデキストラン、ポリアクリルアミドまたはセルロース等の、不活性、低結合性、低生物活性樹脂を含むがこれらに限定されず、これらに対し、抗体、抗体断片、ビオチン、アビジン、タンパク質A/G、既知のリガンド、アプタマー、基質、基質類似体、作動薬、拮抗薬等の親和性リガンドが、フィルタ層1032を通過することにより部分的に精製される管1001内の反応物質/生成物の1つ以上への可逆的高特異的結合を示し得る。様々な例示的実施形態において、樹脂1312は、管1001からの内容物の導入前に、液体による湿潤が保たれ、管1003内の湿潤液を封止するためにバリア部材1314が使用される。
【0072】
バリア部材1304と同様に、バリア部材1314は、少なくとも、管1001からの内容物が管1003に導入されている期間、管1003内の内容物の通過を防止する第1の状態を有する。この期間は、管1003内に導入された試料部分の所望の処理、例えば、樹脂1312内でサイズ分離および/または捕捉反応(例えば、親和結合反応もしくはイオン交換反応)を行わせるのに十分であり得る。その後、バリア部材1314は、本明細書に記載の様々な機構のいずれかによって、サイズ排除フィルタ1302および樹脂1312を通過する試料の内容物を出口1035に向かって流動させる、第2の状態に変化し得る。出口1035を通過する管1003の内容物は、採取管1005内に流入し得る。
【0073】
例示的実施形態において、樹脂1312が反応物質またはさらなる処理および/もしくは分析が所望される試料Sの一部を捕捉および保持する一方で、採取管1005は、試料Sの処理からの廃棄物を採取し得る。そのような場合、廃棄物を収容する採取管1005は、管1003から取り外すことができ、管1005およびそれに収容される廃棄物は、適宜廃棄され得る(管1005およびその中の処分される廃棄物を封止するために、キャップ(図示せず)が提供され得る)。採取された廃棄物の除去後、追加の採取管を、管1003と入れ子状に係合するように設置することができ、例えば、入口1013を通して試料調製デバイス1001内に、または代替的に管1003に直接物質を導入することができる(図11を参照してさらに説明されるように、管1003を管1001との係合から外すことにより、または管1003の側壁に設置されたポートまたは他の入口を介して)。導入された物質は、樹脂1312内に捕捉された所望の反応物質および/または処理後の試料を樹脂1312から追加の採取管内に溶出することができ、これは、追加の分析および/またはさらなる処理に使用され得る。
【0074】
1つの例示的用途において、試料調製デバイス1000は、反応、脱塩、および採取プロセスを行うために使用することができ、試料Sの反応が管1001内で生じ、この反応後に、バリア部材1304は、(例えば、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して)管内の反応後の試料および他の内容物がバリア部材1304の初期位置を越え、出口1015を通して管1003内に流動させる状態に変化する。管1003内で、反応管1001内での反応の生成物が、フィルタ層1302および樹脂1312を通過する際に濾過およびさらに処理され得る。後者に関して、例えば、官能化樹脂1312は、それを通過する試料部分に対し、1つ以上の追加的処理および/またはプロセスを実行し得る。上述のように、所望の反応(例えば、処理)を管1003内で生じさせた十分な期間後、バリア部材1314は、フィルタ1302および樹脂1312を通過する内容物を、処理後の試料がさらなる処理および/または分析用に準備され得る採取管1005内に通過させる第2の状態に変化し得る。
【0075】
様々な例示的実施形態において、異なる機能を実行するように構成された、樹脂1312等の多くの異なる官能化樹脂を有することが望ましい。例えば、樹脂1312の下流側に配置された追加の樹脂は、試料調製プロセスにおける対象材料をさらに精製、分離および/または捕捉するように機能し得る。図11Aおよび11Bは、図10の例示的実施形態の管1001、1003、および1005を含み、追加の管1007が管1003と採取管1005との間に介在する、試料調製デバイス1100の例示的実施形態を示す。図11Aは、その入れ子状に組み立てられた構成の管を示し、図11Bは、分離した管を示す。管1007は、管1003と同様の構成を有してもよく、例えば、サイズ排除フィルタ部材1322(例えば、フリット)、官能化樹脂1332、およびバリア部材1324を備える複数ラミネート構造を含み得る。図11の例示的実施形態において、樹脂1312および1332は、異なる機能を実行するように構成(例えば、官能化)され得る。非限定的な例として、樹脂1312は、サイズによる材料の分離(樹脂内でのサイズ排除もしくはサイズ分離を含み得る)用に、および/または処理後の試料から対象材料を捕捉するための捕捉樹脂(例えば、交換または親和結合機構に依存する)として構成され得る。図11Aおよび11Bに示されるように、樹脂1332が捕捉樹脂として利用される場合、所望により捕捉された材料を樹脂1332から溶出するための溶出物質の導入を可能とするための、投入部1072が管1007の側壁上に提供され得る。投入部1072は、例示的実施形態において、注射器等の封止状態での導入を可能とするセプタムであり得るが、他の投入機構が利用されてもよく、投入の具体的種類は重要ではないが、管1007への物質の導入に使用されていない場合は封止され得る投入機構を提供することが望ましい。図10を参照して上述したように、試料調製デバイス1100は、1つはデバイス1100内での試料調製からの廃棄材料の採取に使用することができ、1つはさらなる分析および/または使用が望まれる処理後または調製後の試料の採取に使用することができる、2つ以上の採取管1005を含み得る。
【0076】
試料調製デバイス1100内のフィルタ部材(官能化樹脂を含む)およびバリア部材は、図10を参照して上述したものと実質的に同じ構成および機能を有し得る。本明細書における様々な例示的実施形態による試料調製デバイスが、複数のフィルタおよびバリア部材を有する場合、フィルタおよびバリア部材は、同じ構成を有する必要はないことが、当業者には理解される。むしろ、フィルタは、異なるサイズの材料の濾過を達成し、および/または異なる様式で官能化され、バリア部材は、例えば、異なる条件下で降伏する(例えば、第2の状態に変化する)ように構成され得る。
【0077】
ここで、図12を参照すると、一連の入れ子状の管を含む試料調製デバイス1200の別の例示的実施形態が示されている。図12は、組み立てられていない構成の試料調製デバイス1200を示しているが、管は、図10Aおよび11Aに示されるものと同様の入れ子構成で組み立てられ得ることが理解される。図12の例示的実施形態は、上述の管201、2201、および1001のように構成され得る初期試料受け取り管1201を含み、また、例示的実施形態において、単体であっても、または、図2および4を参照して説明されたフィルタ/バリア部材の組合せのように、フリット等の支持フィルタ部材もしくは他の構造と組み合わされ得るバリア部材1204を含む。試料調製デバイス1201はまた、例えば、さらなる処理、使用、および/もしくは分析用に調製された試料を受け取るために、または、試料調製プロセスからの廃棄生成物を受け取るために、1つ以上の採取管1205を含み得る。
【0078】
試料調製デバイス1200はまた、管1201と管1205との間に入れ子構成で介在する追加の処理管1209を含む。管1209内では、第1の状態の複数のバリア部材1214、1224、1234、および1244が、管1209とともに、各バリア部材1214、1224、1234、および1244により互いから隔離された試薬R1、R2、R3、R4を収容する一連の区画またはチャンバを規定するように直列に配置され得る。様々な例示的実施形態において、試薬R1、R2、R3、およびR4の1つ以上は、互いに異なっていてもよく、異なる反応を補助し得る。
【0079】
したがって、使用中、試料調製デバイス1200は、本明細書において他の例示的実施形態を参照して説明されたように、管1201を利用して最初の反応を支持することができ、バリア部材1214、1224、1234、および1244のそれぞれが、各バリア部材それぞれの初期位置を越えて試料が通過することができる第2の状態に変化する時期を制御することにより、管1209を使用して、試薬R1〜R4のそれぞれとの連続的な一連の反応を行うことができる。管1209内の任意の数のバリア部材および試薬(例えば、分離された区画の数)を使用することができ、示された4つの試薬およびバリア部材は単に例示であることが、当業者に理解される。所望の具体的用途および試料調製に依存して、本明細書に記載のような様々な処理反応を達成するために、バリア部材は、フィルタ部材(官能化樹脂を含む)と組み合わされ得る。一連の反応が生じ、最終バリア部材1244が、管1209からの内容物を出口1235に向かって流動させる第2の状態に変化した後、管1209の内容物は、採取管1205内に採取され得る。
【0080】
試薬を収容する区画の構成により、図12の例示的実施形態は、試薬が液体形態である場合の浸透性バリア部材の使用に好適であり得る。
【0081】
例示的一実施形態において、試料調製デバイス1200を使用して、酵素免疫測定法(ELISA)を実行することができる。そのようなアッセイを実行するために、例えば、対象試料Sは、管1201内に導入され、そこで溶解または他の破砕反応が生じて試料Sから標的分子を解放することができる。例示的実施形態において、溶解反応は、液体系培地M中の溶解試薬を使用した化学溶解反応を含み得る。溶解が生じたら、バリア部材1204は、管1201からの内容物を管1209内に通過させるように変形し得る。フィルタは、閾値サイズ以上の残屑および/または他の材料の通過を阻止するように管1201内に配置され得る。出口1215を通過して管1209内に入る管1201からの内容物は、試料の脱塩を達成する1つ以上の試薬を含み得る、バリア部材1214の上の試薬R1を収容する区画内に保持され得る。脱塩反応のための十分な時間が経過した後、バリア部材1214は、脱塩反応からの内容物を、バリア部材1224の上に規定される、ELISA試薬R2が保持され得る区画に通過させるように変形し得る。この時点で、抗原−抗体結合反応を行うことができ、その後で、バリア部材1224は、得られた反応生成物を、組み込まれていない蛍光試薬の除去のための試薬を含み得る試薬R3との反応が生じ得る、バリア部材1234の上の区画に通過させるように変化し得る。その反応後、溶出液を管1205内に採取することができる(そのような用途において、試薬R4およびバリア部材1244は不必要であり得る)。
【0082】
当然ながら、図2、4、および10〜12を参照して示され説明された入れ子状の管の実施形態およびワークフローは、例示であって非限定的であり、所望の具体的用途に依存して、本教示の範囲から逸脱せずに、構成に様々な変更を行うことができることが、当業者に理解される。したがって、複数の入れ子状の管を、異なる構成および数のバリア部材、フィルタ、および/またはそれに配置される樹脂と併せて使用することができることが想定される。さらに、管は、例えば、システム内の異なる場所および/もしくは時点での試薬および/もしくは他の物質の導入および/もしくは除去を可能にするために、または、全体的システム内の異なる場所での圧力の変更を可能にするために、様々な機器および流体取扱いデバイスへの接続を可能にする様々な投入および出力ポートを含み得ることが、当業者に認識される。
【0083】
図6および7は、本教示による、および上述のようなフィルタ/バリア部材要素を利用する他の非限定的な例示的試料調製デバイスを示す。図6において、例えば、管6201の出口開口6205に近接して配置された、バリア部材6304が取り付けられたフィルタ6302を有する管6201のアレイにより形成された、複数の個別の試料調製チャンバ6207を備えている、試料調製デバイス6000の部分側面斜視図が示されている。試料調製デバイス6000は、96アレイ、384アレイ等の試料調製チャンバを含む従来のウェルプレートと同様のアレイ形式を有し得るが、一列に14個の管6201またはそれ以上を有するアレイを含む他の形式もまた、本明細書における教示の範囲内である。そのような実施形態において、図6中、管6201の単一の列のみが示されていることが当業者に認識される。図6において示される複数試料調製デバイス形式は、本明細書に記載の試料調製入れ子状管構成のいずれとも利用することができ、フィルタ6302およびバリア部材6304を有する管6201の具体的構造は、構成を描写するための単なる非限定的な例である。
【0084】
本明細書における教示の範囲内の様々な例示的実施形態は、上記で示され説明されたもの以外の容器構造の使用を企図する。例えば、図7は、可撓性バッグ7201(例えば、可撓性プラスチックパウチ)を備える試料調製デバイスを示す。可撓性バッグ7201は、試料Sならびに溶解および/または他の試薬Mを保持するように構成されたチャンバ7207を規定する。バッグ7201の一方の端部には、出口開口7205を規定する出口ポート7203が提供され、ポートは、その中にフィルタ7302およびバリア部材7304を保持するように構成され得る。図7の例示的実施形態のフィルタおよびバリア部材は、本教示の他の例示的実施形態を参照して上述した構成等の構成を有し得、簡便性のために図7に具体的に示されていないが、官能化樹脂構造もまた使用することができる。試料調製のための図6および7の例示的実施形態の使用は、図2を参照して上述されたのと実質的に同じであり得る。例えば、破砕に続いて、破砕された試料の選択的濾過を実行させてもよい。選択的濾過は、バリア部材の状態を変化させ、試料調製チャンバ内の内容物をフィルタを通して第1の側から第2の反対側に通過させるのに十分な圧力を、バリア部材上に印加することにより行われ得る。図7の例示的実施形態において、バリア部材の状態を変化させるのに十分な圧力は、上記の様々な様式(例えば、遠心分離または他の圧力生成技術によるものを含む)を含み、さらに、例えば、バッグ7201の外表面部分に力を印加してバッグ7201を圧縮し、バッグ7201により規定されるチャンバ7207内の圧力を増加させることによるものを含み得る。本明細書に記載のバリア部材の状態を変化させるための他の機構もまた使用することができる。
【0085】
様々な例示的実施形態において、例えば、上述の入れ子状管構成を参照して説明されたものと同様に、異なるプロセスおよび/または反応を連続的に生じさせることができるワークフローを実行するために、複数の可撓性バッグまたはチャンバが直列に接続され得る。図13は、流体的に直列接続され、少なくとも使用前の最初の状態において、バリア部材1304および1314を介して互いの流通から隔離された異なるチャンバを規定する、複数の可撓性の変形可能な容器1401、1403、1405を含む試料調製デバイス1400の例示的実施形態を概略的に示す。図14A〜14Dは、試料調製デバイス1400の使用の例示的実施形態を示す。
【0086】
試料調製デバイス1400は、調製および処理のための可撓性容器1401内への導入のために試料Sを受け取るように構成された、投入ポートまたは他の入口1413を含み得る。様々な容器1401、1403および1405が、接続通路1425および1435を介して流体的に互いに相互接続され得、全体的な出力ポートまたは他の出口1415が、最も下流側の容器1405と連通して提供され得る。採取用構成要素(例えば、図14Dに示される採取管1405)もまた、デバイス1400からの廃棄物および/または処理後の試料を受け取るために提供され得る。上述のように、バリア部材1404、1414は、接続通路1425、1435のそれぞれに配置されて、1つの容器から別の容器に内容物を移動させることが所望されるような時点まで、連続する容器1401、1403、1405内の内容物を隔離することができる。
【0087】
図14に示される例示的一実施形態において、図14B〜14Dにおける大矢印により表される外力を、容器1401、1403、1405に印加して容器を変形させ、それにより、容器のチャンバ内の圧力を、バリア部材1404、1414を変化させるのに十分な量まで増加させることができる。したがって、図14Aにおいて、試料Sは、投入ポート1413から容器1401内に導入され得る。試料Sを、容器1401内に存在する試薬および/または他の培地と、所望の期間反応させることができ、その後、図14Bにおいて大矢印により示されるように、容器1401に外力が印加され得る。力は、容器1401の外壁部分を変形および萎ませて容器1401の内部チャンバ内の圧力の増加をもたらすのに十分であり得、それにより、バリア部材1404を変化させ(例えば、破裂または他の様式で降伏させ)、図14Bの点線矢印により示されるように、容器1401内の内容物を通過させて容器1402内に流動させる。容器1403内で、追加の反応が生じ得、所望の期間後、図14Cにおいて大矢印により示されるように、外力が容器1403に印加され得る。力は、容器1403を萎ませ、バリア部材1414を、容器1403内の内容物を通過させて容器1405内に流動させる状態に変化させるのに十分なレベルまで、容器1403内の圧力を増加させるのに十分であり得る。図14Dに示されるように、内容物は、再び容器1405を変形および萎ませるための外力を印加することにより、1405から出口1415を通って採取容器1405内に方向付けられ得る。試料調製デバイス内の内容物の逆流は、容器が一度萎んだら容器に対する圧力の印加を維持することにより制御され得る。さらに、図14に示される配向は、流動を補助する重力によりデバイスを通る流動を促進し得るが、デバイス1400は同様に水平方向に配向し得ることが企図される。
【0088】
上述の他の実施形態と同様に、例えば、より大きなサイズの材料を濾過して容器から容器へ通過するのを防止するために、ならびに/または様々な捕捉、サイズ分離、および/もしくは他の所望の反応を達成するために、バリア部材およびフィルタ(官能化樹脂を含む)の様々な組合せが、図13および14の試料調製デバイスにおいて使用され得る。簡便性のため、様々なチャンバ間の流体連通を示すために、バリア部材のみが図13および14に示されている。また、図13および14に示される容器の数は、非限定的で単なる例示であり、本明細書における教示の範囲から逸脱せずに、任意の数の容器を使用することができることが認識される。
【0089】
変形可能な可撓性容器に依存する試料調製デバイスの別の例示的実施形態が、図15A〜15Cに示されている。図15A〜15Cのデバイスは、剛体または半剛体の実質的に平面状の支持体1590を含む、カード(例えば、マイクロカード)型形式を有し得るが、平面状の支持体1590上に、該支持体と共に可撓性の変形可能な容器1501、1503内のチャンバを規定する、変形可能な可撓性層1550が搭載される。試料調製デバイス1500は、図示されるように弁で調節され得、または、試料調製中にそこからの漏洩を防止しながら試料および/または他の物質の容器1501への導入を可能とする様々な構成を有し得る入口1513を含み得る。出口1515は、容器1503と流通し、所望によりデバイス1500から物質を流出させることができる。層1550は、様々なプラスチックおよびポリマー材料を含むがこれらに限定されない、様々な可撓性の変形可能な材料で形成され得る。層1550に好適な例示的材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、および様々なコポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0090】
容器1501と1503との間に噴霧器1520が配置され、それを通して2つの容器1501と1503との間の流通が生じ得る。各容器1501および1503の内部には、当業者が精通するポンプブロック1560が配置され、その機能は以下の説明から明らかである。容器1503と出口1515との間には、バリア部材1504が配置され得る。
【0091】
ここで、試料調製デバイス1500の使用の例示的実施形態を、図15Bおよび15Cにおけるデバイス側面図を参照しながら説明する。試料は、例えば、入口1513を介して、容器1501内に導入され得る。容器1501はまた、特定用途に望ましい様々な試薬および/または他の物質を収容することができ、そのような試薬および/または他の物質は、容器1501内に予め配置され、または入口1513を介して導入され得る。図15Bに示されるように、ポンプブロック1560の場所に実質的に対応するように、容器1501および1503を形成する層1550上に交互外力FおよびFを印加することにより、容器1501内の試料は、容器1501と1503との間で、1回以上前後に移動され得る。力FおよびFの印加を交互させることにより、試料は、噴霧器1520を通って2つの容器1501と1503との間で移動し得る。噴霧器1520を通して試料を通過させることにより、本明細書における他の例示的実施形態を参照して上述した様式と同様の様式で、試料中に含有される実体の破砕をもたらすことができる。ポンプブロック1560上で力を印加することにより、容器1501および1503内の圧力は、バリア部材1504を変化(例えば、破裂)させる圧力未満に維持されるように制御され得る。
【0092】
所望のレベルの破砕が生じたら、容器1501および1503を形成する層1550の全てにわたり、例えば、図15Cにおいて力F、F、F、およびFにより示されるように、実質的に同時に外力が印加され得る。これらの力の印加は、容器1501および1503内の圧力を増加させ、チャンバ1501および1503の内容物を、出口1515に向けて、デバイス1500から外に通過させるように、バリア部材1504を変化させる。
【0093】
図15の例示的実施形態においては2つの容器のみが示されているが、3つ以上の容器を互いに流体的に直列接続し、少なくとも最初は容器チャンバを流通から隔離するようにバリア部材を配置し得ることが、当業者に認識される。さらに、本明細書における教示に基づき、濾過、サイズ分離、結合反応、交換反応、溶解、および/もしくは様々な他の反応等の様々な処理ステップ、ならびに/または特定の試料調製および/もしくは処理用途に所望されるような処理ステップを達成するように、図15の実施形態をどのように変更し得るかが、当業者に理解される。
【0094】
上で示され説明された様々な例示的実施形態は、採取された試料を最初の処理チャンバ内に堆積させることによる試料の導入、および/または、チャンバを規定する容器に接続され得るシリンジまたは他の同様の流体取扱いデバイスを通した試料の導入を企図する。少なくとも1つの例示的実施形態において、本明細書における教示による試料調製デバイスはまた、例えば、当技術分野において知られた任意の数の様々な試料採取用構成要素、例えば、スワブ、織物、および他の布地等を統合することにより試料採取用に構成され得る。図16は、本明細書における教示による試料調製および処理用の試料が導入されることが望まれる管2201のキャップ2204に統合された試料採取スワブ1650を有する試料調製デバイス1600の例示的一実施形態を概略的に示している。試料採取スワブ1650以外に、デバイス1600は、図2の管2201と同じ構造を有し、したがって、標示は変更されていない。しかしながら、本明細書における試料調製デバイスの他の例示的実施形態は、例えば、スワブ1650等の統合された採取構造を含み得る。本明細書に記載の様々な例示的実施形態において、破砕は、化学的または酵素的溶解により生じるが、機械的および熱的技術を含む様々な他の技術を使用して試料の破砕をもたらしてもよく、そのような技術は、化学的および/または酵素的溶解と併せて、またはその代わりに使用され得ることが、当業者に理解される。
【0095】
本明細書において示される例示的実施形態において、フィルタおよびバリア部材は、試料調製チャンバ内においてチャンバの出口に近接して位置するように示されているが、フィルタおよびバリア部材は、本明細書における教示の範囲から逸脱せずに、試料調製デバイスの様々な場所に配置され得ることが、当業者に認識される。試料調製デバイス内のフィルタおよびバリア部材の場所は、例えば、デバイス内に保持されることが所望され得る内容物の体積に依存し得る。さらに、様々な実施形態に関して説明したように、バリア部材、フィルタ部材、および/または樹脂は、互いに分離されてもよく、結合または他の様式で互いに接触している必要はない。したがって、様々な例示的実施形態において、バリア部材は、図9に示されるように、フリットまたは他の構造の支持を必要とすることなく、封止機構2002により自立していてもよい。
【0096】
様々な例示的実施形態において、フィルタおよびバリア部材は、バリア部材が試料チャンバの出口に面するように配置されて示されているが、フィルタおよびバリア部材の配向は、フィルタが試料調製チャンバの出口に面し、バリア部材が試料チャンバから出口に向かう方向においてフィルタの上流側に配置されるように、逆にされ得ることが、本教示の範囲内として企図される。さらに別の例示的実施形態において、バリア部材は、フィルタ(官能化樹脂を含む)の両側に位置し得る。
【0097】
様々な例示的実施形態において、本開示による試料調製デバイスは、使い捨てであってもよく、単一使用用途に構成されている。代替的に、他の例示的実施形態は、使用済みのフィルタ、樹脂、および/またはバリア部材を新たな構成要素と交換し、試料調製チャンバ(例えば、管および/または他の容器)を滅菌することにより再利用され得る試料調製デバイスを企図する。また、様々な例示的実施形態は、試料採取および調製が、採取の場所または時点と同じ場所または時点で行われ得るように、例えば、複雑な機器、例えば、遠心分離機等を必要とすることなく、可搬性であり得る。
【0098】
様々な例示的実施形態は、試料調製デバイスの様々な容器(例えば、チャンバ)内に配置される試薬および/または他の反応物質の使用を企図する。そのような物質は、デバイスを使用する個人により導入されてもよく、または、デバイス内に予め堆積され得る(例えば、凍結乾燥形態で)。
【0099】
本明細書に記載の管、バッグ、および他の容器構造に対する変更もまた想定され、本明細書における教示の範囲内として企図される。連続的に接続されたチャンバを規定する容器または構造は、様々な構成を有することができ、図面に示された容器構造の例示的実施形態は、制限的に解釈されるべきではない。
【0100】
本明細書における教示は、様々な生物学的、化学的、および細胞生物学的用途に有用なアッセイおよび分析用の試料調製のための様々な例示的デバイスおよび方法を提供することが、本開示の利益を享受する当業者により認識される。上述の様々なワークフローは、本明細書に記載の試料調製デバイスの例示的使用および用途ならびに技術を説明しているが、本明細書におけるデバイスおよび技術が使用され得る多くの他の用途が、当業者により認識される。例えば、本明細書におけるデバイスおよび技術は、反応から精製試料生成物を得るための、様々な自給式使い捨てデバイスにおける使用に提供され得る。そのようなデバイスは、例えば、共有結合による化学的および酵素的触媒付加;置換もしくは脱離反応;または、例えば、ポリマー膜、箔、相変化可能な物質(例えば、固体から液体へ)、もしくは変形可能な材料(すなわち、ゴム、ワックス、軟質プラスチック、ヒドロゲル等)から作製される変形可能なバリア部材により下流側のチャンバから隔離された最上流側の反応チャンバ内で生じ得る非共有結合プロセスの関与物質の組に合わせを実行するために使用され得る。下流側のチャンバ(複数を含む)において、第1級アミン、カルボキシレート、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボニル、アルキン、エポキシド、エステル、アジドとの反応、および安定な金属キレート(半極性結合/配位)等による、リガンドからタンパク質、DNA、RNA、脂質、炭水化物、改質反応基(すなわち、生物学的に組み込まれた非天然アミノ酸および核酸、共同因子)、または非生物学的ポリマーへの化学的結合を含み得るがこれに限定されない反応が生じ得る。試料調製および/または処理からの反応物質は、安全に取り扱い処分することができ、製造プロセスを制御することにより、デバイスに生成物を無菌状態に維持させることができる。
【0101】
さらに、本明細書における例示的実施形態による試料調製デバイスおよび技術は、前処理が必要とされる、寿命の短い不安定な製剤の生成に使用され得る。非限定的な例は、ヨウ素、レニウム、およびテクネチウムを含むハロゲン化物ファミリー内の様々な同位体(123、125、131ヨウ素(I)、186、188レニウム(Re)、99mテクネチウム、および潜在的放射性医薬品用途を有する他の放射性金属同位体、例えば、銅67銅(Cu)、211アスタチン(At))の、タンパク質(例えば、抗体、抗体断片、受容体結合タンパク質およびペプチド、反応性リガンド等)への直接的または間接的結合を含む、放射性各種付加反応を含む。本明細書における教示による試料調製デバイス内で生じ得る他の反応は、染料、フルオロフォア、消光剤、蛍光性または光反応性ナノ粒子、光反応性ヘテロ環、特異的標的化ペプチド、タンパク質または核酸、酵素および酵素断片、核酸系、ペプチド系またはタンパク質系アプタマー、溶解度調整剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、炭水化物)、熱保護/凍結保護剤(例えば、マンノース、トレハロース等を含む糖)の共有結合;ゲラニル化、ゲラニルゲラニル化およびプレニル化等の脂質の共有結合;非メチル化DNAの亜硫酸水素塩変換;32PによるDNAの末端標識化;制限酵素によるDNAの切断;ならびに標識化のためのクリック化学が関与する反応を含み得る。
【0102】
本教示はまた、試薬を含む構成要素、および上述の方法を利用したキットに関する。いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上の特定の試薬を中に有する、または追加される1つ以上の容器、および採取容器を備えることができる。また、キットは、任意選択的に、所望の試料調製および/またはプロセスの適用を実行するための取扱説明書を備えることができる。また、キットは、例えば、様々な酵素、緩衝剤、洗浄剤、対照等の、他の任意選択のキット構成要素を備えることができる。ユーザを教育し、使用上のミスを制限するために、プロトコルおよび/またはマニュアルが提供され得る。キット内の様々な試薬の量もまた、プロセスの最適感度等の複数の因子に依存して変動し得る。手動による用途における使用のための試験キット、または自動検出器または分析器との使用のための試験キットを提供することは、これらの教示の範囲内である。
【0103】
さらなる修正および代替の実施形態は、本明細書における開示を考慮すると当業者に明らかとなる。例えば、システムおよび方法は、操作の明確性のために図から省略された追加の構成要素またはステップを含み得る。したがって、本説明は、単なる例示として解釈されるべきであり、当業者に本教示を実行する一般様式を教示することを目的とする。本明細書において示され説明された様々な実施形態は、例示とみなされるべきであることを理解されたい。要素および材料、ならびにそれらの要素および材料の構成は、本明細書において示され説明されたものと置換されてもよく、部品およびプロセスは逆にされてもよく、本教示のある特定の特徴は独立して利用されてもよく、これらは全て本明細書における説明の利益を得た後に当業者に明らかとなる。本教示および続く特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱せずに、本明細書に記載の要素に変更が加えられてもよい。
【0104】
本明細書に記載の様々な例示的実施形態は、様々なアッセイを実行するように変更されてもよく、システムおよび方法が良好に適合し得るいくつかの具体的アッセイ例が開示されているが、そのような例は非限定的であり、単なる例示であることが、当業者に認識される。
【0105】
本明細書において説明される具体的な例示的実施形態に関して説明される特徴、構成要素、ステップ、および/または材料は、本明細書において説明される1つ以上の他の例示的実施形態とともに使用されてもよく、それに伴い変更が加えられてもよいことが、当業者に理解される。本明細書において説明される具体的な例および実施形態は、非限定的であり、本教示の範囲から逸脱せずに、構造、寸法、材料、および方法論に対する変更が加えられてもよいことを理解されたい。
【0106】
本明細書において開示される本教示の仕様および実践を考慮すれば、他の実施形態が当業者に明らかとなる。仕様および例は、単なる例示としてみなされ、範囲の幅は、等価物の完全な範囲を含め、特許請求の範囲により指定されることが意図される。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料処理のためのデバイスであって、
出口を有する少なくとも1つのチャンバであって、処理用の試料を受け取るように構成されたチャンバと、
該少なくとも1つのチャンバ内の少なくともいくつかの試料部分が通過して流動するフィルタと、
該少なくとも1つのチャンバ内の試料を収容するための第1の状態で配置されたバリア部材と
を備え、
十分な条件になると、該バリア部材は、該チャンバ内に収容される少なくともいくつかの試料部分を、該出口に向かう流動方向に該フィルタを通して流動させるための第2の状態に変化可能である、デバイス。
【請求項2】
前記フィルタは、閾値サイズ未満の試料部分を通過させ、少なくとも該閾値サイズの試料部分の通過を阻止するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フィルタは、前記少なくとも1つのチャンバ内に導入される試料中に含有される標的分子を通過させるように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記フィルタは、溶解培地に不溶である少なくともいくつかの試料部分の通過を阻止するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記フィルタは、フリットおよび官能化樹脂のうちの少なくとも一つを備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
少なくとも前記第1の状態において、前記バリア部材は、前記フィルタに付着している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記バリア部材は、十分な力に供されると前記第2の状態に変化可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記バリア部材は、膜を備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記フィルタおよび前記バリア部材は、前記少なくとも1つのチャンバ内において、該少なくとも1つのチャンバの入口と前記出口との間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのチャンバは、変形可能構造によって少なくとも部分的に規定される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのチャンバは、管によって規定される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのチャンバは、アレイ状に配置された複数のチャンバを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのチャンバと流体的に直列接続された少なくとも1つの追加的チャンバをさらに備え、該少なくとも1つの追加的チャンバは、前記第1の状態の前記バリア部材を介して該少なくとも1つのチャンバとの流通から分離されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの追加的チャンバ内に配置された追加的フィルタおよび追加的バリア部材のうちの少なくとも一つをさらに備えている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの追加的チャンバは、採取チャンバを含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのチャンバおよび前記少なくとも1つの追加的チャンバは、互いに入れ子状に係合するように構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項17】
試料を調製するための方法であって、
流体的に直列接続された複数のチャンバのうちの第1のチャンバ内に試料を配置することであって、連続したチャンバが、第1の状態のそれぞれのバリア部材により互いに分離されている、ことと、
該試料を、該第1のチャンバ内での処理アッセイに供することと、
所定期間後、該第1のチャンバと第2の連続したチャンバとを分離しているそれぞれのバリア部材を第2の状態に変化させることにより、該第1のチャンバから該第2の連続したチャンバに、少なくともいくつかの試料部分を流動させることと
を含み、
該第1の状態のバリア部材は、該バリア部材の場所を越える流動を防止し、該第2の状態のバリア部材は、該第1のチャンバから該第2の連続したチャンバへの流動を可能にする、方法。
【請求項18】
前記流動させることは、少なくとも閾値サイズの材料を前記第1のチャンバ内に保持し、該閾値サイズより小さい材料を前記第2の連続したチャンバに通過させるフィルタを通して試料部分を流動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタを通して試料部分を流動させることは、前記フィルタを通した標的分子の通過を可能にする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記バリア部材を変化させることは、前記バリア部材に力を印加することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記試料を処理アッセイに供することは、該試料から標的分子を抽出するために、該試料を破砕に供することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記試料を破砕に供することは、前記試料を溶解に供することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記標的分子は、核酸、ペプチド、タンパク質、およびバイオポリマーから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記試料を、前記第2のチャンバ内で第2の処理アッセイに供することと、
所定期間後、前記第2のチャンバと第3の連続したチャンバとを分離しているそれぞれのバリア部材を、前記第1の状態から前記第2の状態に変化させることにより、該第2のチャンバから該第3のチャンバに試料部分を流動させることと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
試料処理のためのデバイスであって、
出口を有する少なくとも1つのチャンバであって、処理用の試料を受け取るように構成された少なくとも1つのチャンバと、
該チャンバに対して配置された第1の状態のバリア膜であって、該第1の状態において該チャンバ内に該試料を収容するバリア膜と
を備え、
該少なくとも1つのチャンバ内で十分な条件になると、該バリア膜は、該出口に向かう流動方向に該チャンバ内の試料部分を流動させる第2の状態に変化可能である、デバイス。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−506846(P2013−506846A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532364(P2012−532364)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051165
【国際公開番号】WO2011/041703
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】