説明

試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置

本発明は、試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置に関し、世界標準規格の各種マイクロプレートに適合し、効率的、かつ迅速に各種試料を配列し集積化することができる試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。本発明は、配布されるべき試料を含有する各溶液を保持可能で、所定行列状に配列された複数の保持端を有する配布部と、試料が前記行または列の配布用の間隔で配布されるべき紐状または糸状の細長形状の基礎部材が該各保持端と接触可能となるように、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体とを有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置に係り、詳細には、種々の試料を円柱等の立体の表面に配列させる装置、その方法、および試料集積体使用装置に関する。本発明は、例えば、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、蛋白質、糖類、免疫物質等の種々の生体物質を含有する試料を配列した円柱状等の立体状のアレイを製造するために使用し、このように配列した種々の試料を用いて行う検査や処理を必要とする分野、例えば、生化学を含む化学、医療、保健、薬剤、食品、農産、畜産、水産、工学等の各分野で特に有用である。
【背景技術】
従来、数千の種々の異なる遺伝子検体や、種々のオリゴヌクレオチド等の生体物質を平面上に配列した平面状アレイを検査や試験に用いることが多くなってきている(特表平10−503341号公報、米国特許5807522号、特開平11−187900号、米国特許6221653号、米国特許5744305号)。例えば、未知の目的生体物質の塩基配列を決定するには、前記平面状アレイに種々のオリゴヌクレオチドを配列したものを用意して、目的生体物質であるDNA断片を蛍光物質等で標識化し、該DNA断片が結合した該平面状アレイ上の前記蛍光の発光が検出された位置を特定し、その検出位置から目的生体物質の塩基配列構造を決定する。この平面状アレイに前記オリゴヌクレオチド等の試料を配列するには、例えば、前記検体等の試料が懸濁する溶液を収容する容器から、少量の溶液を引き出し、該当する平面上のスポッティング位置に移送して、1つ1つ液体を表面に接触させることによって行っていた(米国特許第6040193号)。
一方、本願発明者は、前記平面状アレイに代わるものとして、糸状、紐状等の細長形状に形成された基礎部材と、その基礎部材の長手方向に沿って固定した各種の生体物質を含む試料とを有し、前記基礎部材は巻装されて各種生体物質とその固定位置とが対応付けられた試料集積体を開発した(WO01/61361 A1、WO01/53831 A1、WO01/69249 A1、WO02/63300 A1)。該糸状、紐状等の基礎部材に前記生体物質を配置するには、例えば、前記紐状基礎部材を、所定経路に沿って配置し、または走行させながら、検体等の試料が懸濁する溶液を収容する容器から、少量の溶液を該当する位置に配置するものがあった(国際出願PCT/JP03/06618)。
ところで、通常、スポッティング用の各種の試料を含有する溶液は、世界的な標準規格である、96穴マイクロプレート(9mmピッチ)、384穴マイクロプレート(4.5mmピッチ)、または1536穴マイクロプレート(2.25mmピッチ)に収容する。これらの各ウェル内にピンを挿入して、収容されている溶液を付着し、試料を配列すべきガラスプレート上にまで移送して、前記ピン状の塗布部の先端部を、前記各ウェル間のピッチよりもより小さいピッチをもつ所定位置に接触する作業を順次繰り返すことによって、各種試料を配列して集積化していた。
そのために、試料を配列するには、前記ピンや、ガラスプレートについて移送を繰り返す必要があり、特に手動で行おうとすると手間と時間がかかるという問題点を有していた。
また、集積化された状態で、試料の配列を行うために、各位置における試料の配布量は小さくする必要があり、十分な量の試料を配列することができず、反応効率が悪くなるおそれがあるという問題点を有していた。
さらに、集積化された状態で、各スポッティング位置での処理を行うことは、扱いにくく、また、十分な精度を得られないおそれがあるという問題点を有していた。
一方、前記試料集積体を製造するために、該試料集積体を構成する紐状の基礎部材に前記ピン状の塗布部により試料を配布することは、配置した該紐状の基礎部材を固定して、前記塗布部を移動させるか、塗布部を固定して該紐状の基礎部材を走行させる必要があり複雑な機構が必要になる。また、前記試料が配布された紐状部材を走行させるには、ローラ等の機構に、前記紐状部材を掛け渡す必要があるため、各スポッティングポイントに配布した試料についてクロスコンタミネーションを避けるための複雑な機構を要するおそれがあるという問題点を有していた。
試料を単にガラスプレート等の1平面に配列するのは、利用しない裏面等の存在により利用効率が低いという問題点を有していた。
さらに、複雑で大掛かりな装置を用いることは、高い製造コスト&運用コストがかかるおそれがあるという問題点を有していた。
そこで、本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、世界標準規格の各種マイクロプレートに適合し、一括して、または、断続的に紐状または糸状の基礎部材等に多数の試料を配列することができる効率的で迅速な処理を可能とする試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。
第2の目的は、立体形状に試料を配列および集積化して利用効率を高めることができる試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。
第3の目的は、配列された各試料間でのクロスコンタミネーションを確実に防止することができる信頼性の高い試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。
第4の目的は、各種の試料を種々の立体的形状に配列することができる多様性および汎用性がある試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。
第5の目的は、簡単な手作業により、低コストで試料の配列および集積化を行うことができる簡単な構造をもち、実験室等において気軽に利用することができる安価で利用しやすい試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。
第6の目的は、一次元的に試料を配列することによって、各試料とその位置とを確実に対応付けることができることを可能とする信頼性の高い試料の配列および集積化を行うことができる試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。
第7の目的は、各試料配布位置に十分な液量を配布することができ、反応効率が高くなるように試料を配列しかつ集積化することができる試料配列・集積化装置、その方法および試料集積体使用装置を提供することである。
第8の目的は、各種試料を集積化して配置した試料集積体を用いて、簡易かつ安価に光情報を得ることができる試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を提供することである。
【発明の開示】
以上の技術的課題を解決するために、第1の発明は、配布されるべき試料を含有する各溶液を保持可能で、所定行列状に配列された複数の保持端を有する配布部と、試料が前記行または列の配布用の間隔で配布されるべき紐状または糸状の細長形状の基礎部材が該各保持端と接触可能となるように、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体とを有する試料配列・集積化装置である。
ここで、「所定行列状」とは、各要素、例えば、容器のウェル、巻装体上の凹部、凸部や、配布部の保持端等が行方向、列方向の2方向に対して各々定められた間隔で平行に配列されている状態をいう。行方向と列方向は通常直交するが、それに限られるものではない。例えば、マイクロプレート状容器について予め定められた間隔での複数のウェルの配列状態をいい、例えば、世界的な標準規格の48穴マイクロプレート(6行×8列)、96穴マイクロプレート(8行×12列)、384穴マイクロプレート(16行×24列)または1536穴マイクロプレート(32行×48列)であるのが好ましい。「配布用の間隔」と「巻装用の間隔」とは、それぞれ所定行列の行の間隔または列の間隔に一致する間隔であって、一定の場合が好ましい。また、「配布用の間隔」と「巻装用の間隔」は同一の場合と異なる場合がある。
「試料」には、例えば、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、蛋白質、糖類、免疫系物質、ホルモン等の生体高分子、生体低分子等の生体物質を含む。また、該試料には、これらの生体物質が付着したビーズを含む。
「保持端」とは、前記各種試料が含有する少量の液体を保持可能な機能を有する部材の端部である。保持端については、例えば、前記基礎部材との接触面積を広めるために、基礎部材に沿った溝または凹部をその先端に設けるのが好ましい。また、先端部分にペン先のようなスリットや、穴を設け、または略J字状、略v字状、または略「<」状により、基礎部材保持能力を高めることができる。また、該保持端に多孔質、凹凸性、発泡性等の含水性の素材を、その先端または全体に有するようにしても良い。さらに、該保持端は、筒状、管状またはドーナツ状で内部が中空であっても良い。該保持端の素材は、例えば、ポリカーボネイト、ポリビニールアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリサルフォン、ポリビニリデン2フッ化物、テフロン(登録商標)のようなプラスチック、ガラス等の非金属または、アルミニウム、チタン等の金属で形成される。また、溶液が、該保持端以外の、保持端に隣接する領域に付着することを防止するために、高分子コーティング、特にテフロン(登録商標)またはシリコンで表面を被覆して疎水性の性質を加えるのが好ましい。
保持端は、各配布位置においては、該基礎部材の全周について、前記試料と接触するように配布するのが好ましい。
「配布部」は、使い捨て可能なものであっても良いし、洗浄により再使用可能なものであっても良い。
「基礎部材」は、各種の前記試料を含有する溶液を配布する対象物であり、円柱状、角柱状等(中実または中空の場合を含む)のコアの側面上を通って巻装されて試料集積体を形成するものである。該基礎部材は巻装および巻装の解除が可能なように紐状または糸状の柔軟な素材で形成される。また、基礎部材の長さは、少なくとも前記行列の全要素に対応する試料が配布される長さを有する。該基礎部材の太さは、例えば、約10μm〜数mm程度の範囲である。該配布された溶液に含有する試料が配列されるためには、該基礎部材自体が、多孔質、凹凸性、発泡性等の含水性を持ち、または、被覆や含浸等の表面処理されている必要がある。これらは、配布すべき試料によりその素材が決定されるのが好ましい。例えば、ナイロンについて、HClやギ酸処理したもの、セルロース、ニトロセルロース、ガラス繊維、セルロース、キトサン、エポキシ樹脂やモノフィラメント担体、繊維を絡ませた、絹糸、綿糸等がある。該基礎部材には、生物学的に活性化された分子がその多孔層等に固定されているものが好ましい。そのような官能基(分子)としては、−NH,−COOH、求核試剤でアミノ化したもの等がある。基礎部材に配布された試料は、その試料の性質に応じて、乾燥法、UVクロスリング、PVA架橋法、UV架橋樹脂等によって固定されるのが好ましい。
基礎部材が全保持端と接触可能とするには、前記平面上の基礎部材の長さは、前記行列の行または列の端から端までの長さが少なくとも必要があり、巻装回数は、列または行の個数が必要となる。なお、配布されるべき各試料と、各試料が配布されるべき基礎部材上の位置とは予め定められている。
「巻装体」は、前記基礎部材が巻装される立体であって、その形状としては、平板状、角柱状を含む。巻装体には、配布が行われるべき少なくとも1平面、2平面から数平面が設けられている必要がある。巻装体の巻装経路は、配布部等の所定行列の列または行に平行に設置するのが好ましい。なお、該巻装体は、回転対称軸を有し、該回転対称軸を囲むように、該軸に垂直または略垂直になるように巻装するのが好ましい。
該巻装体の素材は、例えば、ポリアセターノ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンのようなプラスチック、ガラス等の非金属、アルミニウムやチタン等の金属等である。
第1の発明によれば、既存のマイクロプレートに配列されているウェルのような行列状に配布部の保持端を配列し、該保持端の配列に合わせて、前記基礎部材を巻装体に巻装している。したがって、既存のマイクロプレートを利用して、一括して効率良く試料の配布処理を行うことができる。また、前記巻装体に直接試料を配布するのではなく、該巻装体に巻装されている基礎部材に試料を配布するようにしている。したがって、試料の配布位置が前記巻装体上に固定されておらず、基礎部材上にされているので、該基礎部材の配列を集積化することによって、容易に集積化を行うことができる。該発明によれば、試料の配布は、集積化のされていない基礎部材に対して行うので、試料の配布が容易であり、かつ、試料が配布された基礎部材を、巻装用の間隔を狭めて密集した状態で配列することによって、容易に集積化を行うことができる。
第2の発明は、前記配布されるべき試料を含有する各溶液が収容可能で前記所定行列状に配列された複数のウェルを有する容器を有し、前記配布部の前記各保持端は、前記各ウェルに挿入可能に設けられた試料配列・集積化装置である。ここで、「容器」とは、例えば、前述したマイクロプレートである。配布部の各保持端は、前記各ウェルに挿入可能な長さおよび太さを持つ必要がある。
第2の発明によれば、既存のマイクロプレートを利用して、簡単に、かつ効率良く、かつ安価に、試料の配布処理を行うことができる。
第3の発明は、前記配布部が、配布されるべき試料を含有する各溶液を収容可能で前記所定行列状に配列された液収容部を有し、前記保持端は、該液収容部とそれぞれ連通する試料配列・集積化装置である。
ここで、前記保持端は、液収容部と連通するのであるから、該保持端は、例えば、管状、ペン状の形状等または含水性の素材を有する必要がある。
第3の発明によれば、該配布部は、配布されるべき試料を含有する各溶液を収容可能な連通する液収容部により、保持端の内部から保持端に溶液を供給する。したがって、単に該溶液を収容しておくだけの容器を省略し、また、前記保持端が該容器内から各容器を引き出す工程を省略することができる。また、同じ試料の配布を連続して大量に行うことができる。したがって、その分作業領域および作業工程を省くことができ、また、試料の配布を大量に行うことができるので、効率が高く、処理を迅速に行うことができる。
第4の発明は、前記巻装体が板状体を有し、前記平面は板面である試料配列・集積化装置である。ここで、板状体は前記配布部の保持端の配列または容器の各ウェルの配列または行列の大きさに対応する四角形の板面を有することが好ましい。
第4の発明によれば、前記基礎部材は、前記巻装体として板状体に巻装されている。したがって、表面と裏面の両面について試料の配布を行うことができるので、作業効率が高い。
第5の発明は、前記巻装体が、角柱を有し、前記平面は側面である試料配列・集積化装置である。ここで、角柱は前記配布部の保持端の配列または容器の各ウェルの配列または行列の大きさに対応する四角形の側面を有することが好ましい。角柱であるので、少なくとも3平面を有することが可能である。
第5の発明によれば、前記基礎部材は、前記巻装体として角柱に巻装されている。したがって、少なくとも3以上の平面を利用することができるので、利用効率が高い。
第6の発明は、前記配布部が、矩形状の基板の下側に突出する前記所定行列状に配列された複数の保持端を有する試料配列・集積化装置である。ここで、「矩形状」は、前記所定行列状に対応する形状である。
第6の発明によれば、1つの基板に複数の保持端が行列状に配列されているので、該行列を単位にして一括して容易に配布処理を行うことができる。
第7の発明は、前記保持端が、含水性を有する試料配列・集積化装置である。ここで、「含水性をもたせる」ためには、例えば、該保持端の先端にスリットを入れたり、管状に形成したり、または多孔質、発泡性物質等の滲潤性の素材で形成することによって行う。
第7の発明によれば、保持端に含水性をもたせることによって、溶液の保持能力を高めることができる。
第8の発明は、前記巻装体の表面には、所定行列の列または行の巻装用の間隔で平行に設けられた前記基礎部材の巻装経路に沿って前記行または列の配布用の間隔で設けた各試料の配布位置で、該試料を前記基礎部材の一定範囲に局限する局限部を設けた試料配列・集積化装置である。
ここで、「基礎部材の一定範囲」であるから、少なくとも巻装体の局限部材以外の箇所への試料の付着を防止することができる。
第8の発明によれば、前記巻装体の表面に、配布された試料を基礎部材の一定範囲に限る局限部を設けている。したがって、試料が基礎部材の一定範囲を越えて、基礎部材上または巻装体の表面にまで広がることを阻止してクロスコンタミネーションを防止することができるので、高い信頼性で試料の配布を行うことができる。
第9の発明は、前記局限部が、所定行列の列または行の巻装用の間隔で平行に設けられた前記基礎部材の巻装経路に沿って前記行または列の配布用の間隔で、凹部であり、該凹部において、該基礎部材が前記保持端と接触する試料配列・集積化装置である。なお、この場合には該凹部は、全体として所定行列状に配列されることになる。
第9の発明によれば、前記局限部として、凹部を設けたものである。これによって、前述した効果の他に、前記保持端から供給された試料を前記基礎部材の全周と接触させることができる。また、隣接する配布位置に該試料が流れ出すのを防止し、クロスコンタミネーションを防止することができる。
第10の発明は、前記局限部が、所定行列の列または行の巻装用の間隔で平行に設けられた前記基礎部材の巻装経路に沿って、前記行または列の配布用の間隔で設けられた凸部である試料配列・集積化装置である。
ここで、前記基礎部材が保持端との接触は、該凸部において行われる場合と、該凸部以外、例えば凸部間の中間で行われる場合がある。なお、該凸部は、全体として所定行列状に配列されることになる。
凸部で接触が行われる場合には、凸部の先端を鋭くすれば、試料の各配布領域の面積を小さくすることができるので、有効にクロスコンタミネーションを防止することができる。
第10の発明によれば、前記局限部として、凸部を設けたものである。前記保持端により前記基礎部材を押えるように圧するようにした場合には、凸部の先端の狭い範囲でのみ保持端に保持された溶液を基礎部材に含水させることができる。したがって、凸部の先端は鋭利である方が好ましい。または、管状の保持端または保持端の先端がドーナツ状に形成された保持端であってその穴部分に前記溶液を保持するものである場合には、該保持端の形状または大きさに合致するようなドーナツ状の凸部を設けることにより、前記基礎部材を該保持端と凸部とで挟み込むことによって、該ドーナツ状の穴に保持された前記溶液が外部に漏れることを防止して、クロスコンタミネーションを防止して、信頼性の高い試料の配布を行うことができる。
また、前記保持端を凸部の中間で接触させるようにした場合には、基礎部材は、凸部に支えられているので、基礎部材と巻装体の表面と直接接触することがなく、試料の配布を基礎部材のみに行い、巻装体の表面へ、試料が付着することを避けることができる。したがって、クロスコンタミネーションを防止することができる。
第11の発明は、前記巻装体の表面には、前記基礎部材の巻装経路に沿って、該基礎部材を案内する細溝が形成された試料配列・集積化装置である。
第11の発明によれば、前記配布部の保持端等の位置に対応するように巻装することができるので、信頼性のある配布を行うことができる。
第12の発明は、前記容器および/または巻装体を単独でまたはこの順序で重ねて着脱自在に取り付ける基部と、該基部の上方で前記配布部が着脱自在に取り付けられ配布部を前記容器および/または巻装体に対して接触および離間可能に上下方向に移動可能をする可動部とを有する試料配列・集積化装置である。ここで、前記各容器のウェルまたは前記巻装体に巻装された基礎部材と前記配布部の各保持端とは、前記移動によって、確実に接触できるように位置させることが必要である。
第12の発明によれば、簡単かつ容易に勝つ高い信頼性で、基礎部材上に試料の配布を行うことができる。
第13の発明は、試料が所定行列の行または列の配布用の間隔で配布された基礎部材が、前記列または行の巻装用の間隔で平行に巻装され着脱可能に設けられた巻装体と、該基礎部材の一端が取り付けられ、前記基礎部材が巻装されるべき着脱可能に設けられたコアと、前記巻装体から前記基礎部材を順次外しながら前記コアに前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る基礎部材巻取部とを有することによって前記基礎部材を集積化して配列する試料配列・集積化装置である。
ここで、「基礎部材の集積化」は、巻装用の間隔を縮めることにより達成する。前記基礎部材を外すのは、前記巻装体に巻装されている基礎部材の列ごとまたは行ごとに行うのが好ましい。その際、基礎部材には、張力が加わるように行うのが好ましい。また、基礎部材を前記巻装体から順次外すには、巻装されて平面上に形成された列または行ごとに行うのが好ましい。
ここで、「コア」は、例えば、ポリカーボネイト、ポリビニールアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック、ガラス等の非金属、アルミニウム、チタン等の金属で形成する。
第13の発明によれば、前記巻装体から基礎部材を順次外しながら、前記コアに前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取るようにしている。したがって、実際に試料が配布されている基礎部材の部分と巻装体との間での摩擦による擦れを生ずることなく、基礎部材上の配布された試料間のクロスコンタミネーションを防止し、信頼性の高い試料の集積を行うことができる。これによって、容器に配列されたウェルまたは配布部に配列された保持端のより広い巻装用の間隔および配布用の間隔によって、容易に試料の配布を行うことができるとともに、その後に、その巻装用の間隔よりも狭く基礎部材を集積化することによって、容易かつ簡単に試料を集積化することができる。
第14の発明は、前記基礎部材巻取部が、前記巻装体から前記基礎部材を順次外し、外された基礎部材をコアが巻き取るように、前記巻装体または前記コアの少なくとも一方を自転させながら前記巻装体および前記コアとの間を相対的に公転させかつ相対的に並進移動させる試料配列・集積化装置である。
「巻装体または前記コアの少なくとも一方を自転させ、かつ、前記巻装体及び前記コアとの間を相対的に公転させ」であるから、単に巻装体とコアとが各々自転だけしている場合は除かれ、少なくとも一方の公転を伴うものである。
「公転」および「自転」の向き、それらの軸線方向および回転比は、前記巻装体から基礎部材を外しかつコアに巻き取ることができるように設定する。
第14の発明によれば、巻装体とコアとの間の公転、自転および並進移動という単純動作の組合せにより、確実でかつクロスコンタミネーションなく、容易に集積化を行うことができる。また、本発明によれば、モータを用いることなく、手動でも、基礎部材を集積化することができるので、装置規模縮小化し、容易に集積化を行うことができる。
第15の発明は、前記基礎部材巻取部が、前記コアを、前記基礎部材を巻き取る向きに自転させながら、前記巻装体の周囲を前記基礎部材を外す向きに公転させ、かつコアを前記巻装体に相対的に並進移動させることによって、前記基礎部材をコアに巻き取るコア回転移動部を有する試料配列・集積化装置である。一般に、基礎部材を巻き取るコアは、前記巻装体に比較して小さいので、コアを公転させる方が装置規模を縮小させることができる。
第15の発明によれば、第14の発明で説明したものと同様な効果を奏する。
第16の発明は、前記巻装体を揺動可能に保持した試料配列・集積化装置である。ここで、前記揺動軸は、巻装方向に垂直となる方向に沿って設けるのが好ましく、前記コアの自転軸および公転軸は、前記揺動軸と平行となるように設けることにより機構を簡単化し円滑に処理を行うことができる。
第16の発明によれば、巻装体を、揺動可能に保持することによって、基礎部材に加わる張力を調節することができるので、基礎部材を円滑に巻装体から外しコアに巻き取ることができる。
第17の発明は、配布されるべき試料を含有する各溶液を保持可能で、所定行列状に配列された複数の保持端を有する配布部と、試料が前記行または列の配布用の間隔で配布されるべき紐状または糸状の細長形状の基礎部材が該各保持端に接触可能となるように、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体と、該基礎部材の一端が取り付けられ、前記基礎部材が巻装されるべき着脱可能に設けられたコアと、前記巻装体から前記基礎部材を順次外して前記コアに前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る基礎部材巻取部とを有する試料配列・集積化装置である。
第17の発明によれば、試料の基礎部材への配布から、試料が配布された基礎部材の集積化までを容易にかつ簡単な装置で一貫して行うことができる。集積化は試料の配布が終了した後に行うようにしているので、試料の配布を容易かつ確実に行うことができる。
第18の発明は、所定行列の行または列の配布用の間隔で紐状または糸状の細長形状の基礎部材上に試料を一括して配布する方法であって、配布されるべき試料を含有する各溶液を、所定行列状に配列した複数の保持端に保持させる保持工程と、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体と前記基礎部材が前記各保持端と接触させる接触工程とを有する試料配列・集積化装置である。
第18の発明によれば、第1の発明で説明したものと同様な効果を奏する。
第19の発明は、前記保持工程が、所定行列状に配列され、配布されるべき試料を含有する溶液が収容された複数のウェルを有する容器の各ウェルに前記保持端を挿入することによって行う試料配列・集積化方法である。
第19の発明によれば、第2の発明で説明したものと同様な効果を奏する。
第20の発明は、前記保持工程が、所定行列状に配列され、配布されるべき試料を含有する溶液を複数の各保持端にその内部から供給する試料配列・集積化方法である。
第20の発明によれば、第3の発明で説明したものと同様な効果を奏する。
第21の発明は、試料が所定行列の行または列の配布用の間隔で配布された基礎部材が、前記列または行の巻装用の間隔で平行に巻装された巻装体から前記基礎部材を順次外して、前記基礎部材の一端が取り付けられ前記基礎部材が巻装されるべきコアに、前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る集積化工程を有する試料配列・集積化方法である。
第21の発明によれば、第13の発明で説明したものと同様な効果を奏する。
第22の発明は、前記集積化工程が、前記巻装体から前記基礎部材を順次外し、外された基礎部材をコアが巻き取るように、前記巻装体または前記コアの少なくとも一方を自転させながら前記巻装体および前記コアとの間を相対的に公転させかつ相対的に並進移動させる試料配列・集積化方法である。ここで、巻装体から基礎部材を外す際に張力を加えながら行うのが好ましい。
第22の発明によれば、第14の発明で説明したものと同様な効果を奏する。
第23の発明は、配布されるべき試料を含有する各溶液を、所定行列状に配列した複数の保持端に保持させる保持工程と、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体と前記基礎部材が前記各保持端と接触させる接触工程と、試料が配布された基礎部材が、前記列または行の巻装用の間隔で平行に巻装された巻装体から前記基礎部材を順次外して、前記基礎部材の一端が取り付けられ前記基礎部材が巻装されるべきコアに、前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る集積化工程を有する試料配列・集積化方法である。
第23の発明によれば、第13の発明または第17の発明で説明したものと同様な効果を奏する。
第24の発明は、試料が所定行列の行または列の配布用の間隔で配布されるべき紐状または糸状の細長形状の基礎部材と、該基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装された平面とを有する巻装体である。なお、該巻装体に、前記基礎部材の一端が取り付けられたコアおよび該コアを支持するロッド等の支持部材を取り外し可能に設けるのが好ましい。
第24の発明によれば、基礎部材を巻装体に、所定行列に合致するように、巻装することによって、試料の配布を容易かつ確実に行なうことができる。また、巻装体として複数の平面を有するのであれば、各平面において、試料の配布を行うことができるので、利用効率が高い。
第25の発明は、各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布されるべき周曲面もしくは2以上の側面を有しまたは各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布されるべき部材が軸線を囲むように巻装または被装されたコアを有する集積体と、前記周曲面もしくは前記各側面または巻装もしくは被装された前記部材に対し前記各試料を配布可能とするように、前記コアを、その軸線の周りに所定角度ずつ断続的に回転させる回転部と、を有する試料配列・集積化装置である。
ここで、前記「部材」には、紐状または糸状等の細長形状の基礎部材の他、メンブレン等の膜状部材であっても良い。各試料を配列すべき基礎部材をコアに巻装することによって配布する場合は、前記巻装体自体を集積体とするような場合である。側面は、例えば、六角柱であれば6個であり、八角柱であれば8個である。また「周曲面」とは、円柱や楕円柱の側面のように、その立体図形の外周面を形成する曲面をいう。
「集積体」とは、試料が配布される前の試料集積体をいう。
「前記周曲面もしくは前記側面または巻装もしくは被装された前記部材に対して前記各試料を配布可能とするように」とは、例えば、前記試料を含有する溶液をピペットチップや保持端によって配布する場合には、前記周曲面または側面を水平に位置させるのが好ましい。例えば、前記コアが円柱状または角柱状である場合には、その円柱または角柱の軸線が水平になるような位置である。なお、軸線は、必ずしも回転対称軸でなくても良い。回転部は、手動または自動により回転可能とすることができる。
「所定角度」は、例えば、角柱が正四角柱の場合には、90度のように、側面の個数や、形状によって定めるが、これに限定されるものではなく、例えば、その隣接する配布スポットの間隔に応じて定めることも可能である。
また、前記コアの前記周曲面もしくは側面や前記部材上には、予め各試料の配布位置にスポット用印、スポット用片またはスポット用凹部を設けておくのが好ましい。これによって、前記試料の配布を確実かつ容易に行うことができる。また、試料の配布位置を高精度に定めることができるので、測定の信頼性を高めることができる。
第25の発明によれば、前記回転部によって前記コアを所定角度ずつ回転させるだけで、円柱等の周曲面または角柱等の側面や、巻装もしくは被装された部材に断続的に容易かつ確実に各試料を配布することができる。
第26の発明は、各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布された周曲面もしくは2以上の側面を有しまたは各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布された部材が軸線を囲むように巻装もしくは被装されたコアを有する試料集積体と、前記試料集積体を収容可能であって、流体の吸引吐出口を有する透光性または半透光性のピペットチップと、前記ピペットチップおよび該ピペットチップに収容された前記試料集積体を、そのピペットチップまたはコアの軸線の周りに所定角度ずつ断続的に回転させる回転部と、上記試料集積体からの光を受光して光情報を得る光情報獲得部とを有する試料集積体使用装置である。
ここで、前記「部材」には、紐状、糸状等の細長形状の基礎部材の他、メンブレン等の膜状部材をも含む。前記「ピペットチップ」は、該ピペットチップ内に流体を吸引しまたは該ピペットチップ内から流体を吐出するための圧力調節部と連通するノズルに装着可能である。前記試料集積体は該ピペットチップの内部に固定した状態で収容可能である。
前記回転部によるピペットチップの軸線の周りの回転は、例えば、前記ピペットチップが嵌挿される孔部を内部に有し、その外部が該ピペットチップ軸線に一致する角柱の外側面が形成された位置決め部材を用いて、前記位置決め部材の外側面によって位置決めしながら前記軸線の周りに断続的に回転することによって行う。ピペットチップは手動式または電動式により吸引吐出を行う装置のノズルに装着可能である。「回転部」は手動または自動で回転可能とすることができる。
また、前記光情報獲得部は、標識化を蛍光物質によって行う場合には、前記回転部で所定角度回転させるごとに、前記試料集積体に励起用光を照射し、蛍光を受光部で受光する。なお、受光された光信号は、電気信号に変換して、制御部において、電気信号を加工し、コンピュータによって解析して表示部に出力するようにする。
第26の発明によれば、断続的な回転をさせることによって光信報を得るようにしているので、手動のような簡単な取り扱いで容易かつ安価に光情報を得ることができる。
また、第26の発明によれば、光情報の測定を行う際に、前記討料集積体をピペットチップに収容して行うようにしている。したがって、必要な試薬をピペットチップに吸引して、前記試料集積体と接触させて反応させる際に測定を行うことができる。これによって、反応直後の発光を確実に捉えることができるので、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の形態に係る試料配布装置の斜視図であり、第2図は、本発明の実施の形態に係る試料配布装置の分解斜視図であり、第3図は、本発明の実施の形態に係る巻装体を示す図であり、第4図は、本発明の実施の形態に係る巻装体、ロッドおよびコアを示す図であり、第5図は、本発明の実施の形態に係る試料集積化装置を示す斜視図であり、第6図は、本発明の実施の形態に係る試料集積化装置の第5図と異なる方向から見た斜視図であり、第7図は、本発明の実施の形態に係る試料集積化装置の側面図および機構の主要部を示す図であり、第8図は、本発明の実施の形態に係る試料集積体の例を示す一部切欠斜視図であり、第9図は、本発明の実施の形態に係る試料配列・集積化装置および試料集積体使用装置を示す図であり、第10図は、本発明の他の実施の形態に係るコアを示す図であり、第11図は、本発明の実施の形態に係り(a)は固定台を示す図、(b)はコアをピペットチップに挿入する状態を示す図であり、第12図は、本発明の実施の形態に係るスキャナー装置の概要を示す図であり、第13図は、本発明の実施の形態に係り、(a)は位置決め装置の正面を示す図、(b)は平面図であり、第14図は、本発明の実施の形態に係る照射機構を示す図であり、第15図は、本発明の実施の形態に係る受光機構を示す図である。
【符号の説明】
10…試料配列・集積化装置
11…試料配布装置
18…容器
19…巻装体
21…配布部
38、120…コア
50…試料集積化装置
82…試料集積体
122…ピペットチップ
127…制御部
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態に係るについて、図面に基づいて説明する。本実施の形態の説明は、特に指定のない限り、本発明を制限するものと解釈してはならない。
第1図は、本実施の形態に係る試料配列・集積化装置10のうちの試料配布装置11の一例を示す斜視図である。該試料配布装置11は、その下部にある固定された矩形板状の基部12と、上下方向に動く可動部13と、前記基部12にその下端が設けられ、前記可動部13を貫くようにして上方に突出し、該可動部13の動作の案内を行う4本の案内用柱14とを有している。該可動部13は、4本のばね17によって、ユーザによる力が加えられない通常の状態で、該案内用柱14の上側に位置するように付勢されている。該ばね17の一端は前記案内用柱14に各々設けられた上端部15に取り付けられ、その他端が前記可動部13に設けられた4本の突起16に取り付けられている。
前記基部12には、容器18および巻装体19が重ねられた状態で載置されている。該容器18は、複数のウェル20(この例では、384個)が行列状に配列されている(この例では、16行×24列の行列)。該各ウェル20は、後述する紐状または糸状の基礎部材に、前記行列の行の配布用の間隔で、配布すべき試料を含有する各種溶液が収容されまたは収容可能である。前記巻装体19は、前記基礎部材が、前記行列に対応する列の巻装用の間隔で巻装されている(図面を見やすくするために、基礎部材については図示していない)。
前記可動部13には、前記各種溶液を保持する機能を持った複数の下方に突出する保持端が行列状に配列されている配布部21を有している。
第2図には、第1図に示した該試料配布装置11を分解して詳細に示すものである。
第2図(a)に示すように、前記可動部13は、中央に開口が略四角形状の孔22が設けられた可動板23を有し、該可動板23の4隅において、前記案内用柱14が貫く案内孔が設けられており、該可動板23は、該案内用柱14に沿って上下方向に移動可能である。該可動板23の側面には、前記ばね17の一端を支えるための4本の突起16が設けられている。
また、基部12には、その中央に開口部が略四角形状の窪み24が設けられ、その窪み24に沿って、細長い窪み25が設けられている。また、基部12の4隅には、前記案内用柱14が突出するように設けられている。
前記孔22には、第2図(b)に示す略四角形状の配布部21の本体27が嵌合して、該本体27の上側で側方に張り出したフランジ26によって該可動板23に支持されて取り付けられる。該本体27は上側が空いた浅い箱状に形成され、該本体27の下側には、下方に突出する複数の保持端28(この例では、384個)が、行列状(この例では、16行×24列)に配列されている。
また、前記基部12の窪み24の位置には、第2図(c)に示した前記容器18を上側に重ねられた第2図(d)に示した巻装体19が嵌合するようにして載置されている。第2図(c)に示した、マイクロプレート状の前記容器18は、その複数のウェル20(この例では、384個)が行列状(この例では、16行×24列)かつ格子状に配列されている。各ウェル20には、各種試料を含有する溶液を収容可能である。該各ウェル20には、前記保持端28が一斉に挿入可能に配列されている。さらに、第2図(d)に示した前記巻装体19は、全体が略矩形状のプレート29を有し、該プレート29の表面には、前記行列の列の巻装用の間隔で、該列に平行に複数の細溝30(この例では、24本)が設けられ、該細溝30に沿って、前記行の配布用の間隔で、複数の凹部31が(この例では、各列ごとに16個)設けられている。前記可動板23を下方に下げていって前記保持端28を該プレート29に接触させると、前記保持端28は各凹部31において接触するように位置決めされている。該プレート29には、前記細溝30に沿って基礎部材が巻装されるものである。なお、符号32は、後述する試料集積化装置において、該プレート29を支えるための軸支用穴であり、対応する反対側の側面にも設けられている。また、符号33は、後述するコア38を移動可能に支持する例えば金属製のロッド37を着脱可能に取り付けるための把持部である。
第3図には、該巻装体19をさらに、詳細に具体的に示すものである。第3図(a)または(b)に示すように、該巻装体19の前記プレート29の縁部34には、凸凹を形成し、へこみ35を巻装される基礎部材が通るようにする。また、該縁部34の内側には、第3図(a)、(e)に示すように、溝部36が形成されている。また、該プレート29には、基礎部材が巻装され、かつ表面と裏面とでは、基礎部材を前記行列の列に平行に配置しているために、第3図(b)から第3図(d)に示すように、表面と裏面とでは、その基礎部材の配列位置が、各列間のピッチの半分だけずらすように配列している。例えば、世界標準規格の384穴マイクロプレートでは、各ウェル間のピッチ(間隔)は巻装用の間隔および配布用の間隔とも等しく4.5mmなので、表面と裏面とのピッチは、2.25mmずれることになる。
第4図には、前記巻装体19のプレート29に設けられた前記把持部33に着脱自在に取り付けられるべき金属製のロッド37および該ロッド37に摺動可能に支持されるコア38を示すものである。該コア38は、前記巻装体19に前記行列状の列の巻装用の間隔で巻装された糸状基礎部材を、該巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取ることによって、糸状基礎部材の配列の集積化を行うためのものである。該コア38は、例えば、ポリカーボネイト、ポリビニールアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリサルフォン、ポリビニリデン2フッ化物、テフロン(登録商標)のようなプラスチック、金属等で形成される。該コア38の表面にも、前記基礎部材の巻装を案内する細溝を形成するのが好ましい。
該コア38は、中空であって内部を円柱状孔39が穿設され、その一端に、前記円柱状孔39の一部を覆うようにストッパー40が設けられている。前記ロッド37は、前記円柱状孔39を貫通可能な径をもつ円柱を該軸に沿って平面で一部を切り欠いた側面41をもつ形状をしており、前記ストッパー40と係合して、前記コア38は該ロッド37に対する回転が阻止されている。したがって、コア38は、該ロッド37に沿って移動可能かつ着脱可能であり、該ロッド37の回転に伴ってコア38が回転することになる。符号42は、前記巻装体19に巻装された基礎部材の端部分をコア38に取り付けるためのスリットである。このように、基礎部材を介して、前記巻装体19、ロッド37およびコア38は結合しているので、該ロッド37にコア38を嵌めた状態で、前記把持部33に該ロッド37を取り付けて一体として扱うのが好ましい。
本実施の形態に係る試料配布装置11を使用して、前記容器18の各ウェル20には、前記基礎部材に配布しようとする試料を含有する溶液を収容しておく。また、前記巻装体19に、該試料を配布すべき対象である糸状または紐状の基礎部材を前記プレート29の細溝30に沿って、巻装しておき、その基礎部材の一端は、前記コア38のスリット42に挟み込んで取り付け、該コア38の円柱状孔39を貫くようにして前記ロッド37に嵌め込み、さらに、前記巻装体19の把持部33に取り付けたものを用意する。これらを、第1図に示すようにして、前記巻装体19を前記基部12の窪み24に載置し、前記窪み25には、前記コア38がはめ込まれたロッド37が位置するようにする。その上に、前記容器18を重ねた状態にする。次に、前記可動板23の孔22に前記配布部21を嵌合して取り付ける。
次に、ユーザは、前記可動板23を下方向に移動させるために、該可動板23の上から力を加えて、該可動板23を下げ、前記各保持端28が、前記容器18の各ウェル20内に挿入して、収容されている溶液に接触するようにする。該各保持端28が前記溶液と接触したことを確認すると、該ユーザが可動板23に加えている力を除去することによって前記ばね17の弾性力により該可動板23は上方向に移動し、力を加えていない通常の状態である上部の位置に戻る。
次に、ユーザは、前記巻装体19に載置された前記容器18を該巻装体19上から除去する。基部12には巻装体19のみが載置された状態において、前記ユーザは、再度、前記可動板23を下方向に移動させるために、該可動板23の上から力を加えて、該可動板23を下げ、前記各保持端28は、前記基礎部材が巻装されている巻装体19の前記プレート29の面に設けた各凹部31に接触するまで下げる。各保持端28と前記基礎部材とが接触したことを確認すると、該ユーザが可動板23に加えている力を除去することによって、前記ばね17の弾性力によって該可動板23は上方向に移動し、力を加えていない通常の状態である上部の位置に戻る。
次に、ユーザは、前記巻装体19の表裏を逆にする。その際、該巻装体19に取り付けた前記ロッド37の位置が、前記基部12の窪み25にくるように裏返す。これによって、前記基礎部材の位置は表面と同じ位置になる。この裏面についても、表面で説明したような手順で、試料を配布することができる。なお、前記容器18の内容が、表面の場合の試料と異なる試料を用いる場合には、前記配布部21および容器18は、別のものに変える必要がある。また、配布部21については、前記各保持端28を洗浄して再利用することもできる。
このようにして各試料が配布されまたは固定された基礎部材が巻装された巻装体から該基礎部材を外して前記コア38に巻き取ることによって、基礎部材の配列を集積化する場合について、第5図に示すような、本実施の形態に係る試料集積化装置50について説明する。
本実施の形態に係る試料集積化装置50は、横板51と、該横板51に固定して平行に取り付けられた2枚の縦板52、53と、補強のために前記縦板52と縦板53との間を結合するように張り渡された横棒54とを有する。
前記縦板52には太陽歯車55がねじで固定して設けられている。該太陽歯車55と噛み合いながら該太陽歯車55の周囲を公転する遊星歯車56を自転可能に支えるアーム部57は、その一端に前記太陽歯車55と同心の回転軸を有し、該回転軸は前記縦板52に軸支されている。該アーム部57の前記回転軸は、ユーザが手動で回転させるためのハンドル58付のハンドル車59の回転軸とカップリングを介して同心に連結されている。
前記試料が配布された基礎部材が巻装された前記巻装体19は、前記太陽歯車55との軸心と一致するように軸支されている。その際、該巻装体19上の基礎部材は、前記回転軸線を囲むようにして、各面上での基礎部材の巻装方向が前記回転軸線方向に垂直となるように巻装されている。一方、前記ロッド37は、前記巻装体19の回転軸線に平行になるように前記アーム部57に突出するように取り付けられている。該ロッド37は、前記巻装体19に巻装された前記基礎部材の一端が取り付けられたコア38を貫くようにして保持し、前記遊星歯車56により該ロッド37の軸線のまわりに回転駆動される。
前記ロッド37に保持された前記コア38はコア挟持部材60によって、ロッド37の軸方向から挟持するように保持されている。該コア挟持部材60を移動させることによって、該ロッド37に沿って移動することができる。該コア挟持部材60は、断面コ字状で、前記ロッド37と係合する係合溝61を有し、また、前記アーム部57から該ロッド37に平行に突出するように設けられた案内用レール62に移動可能に支持部材(第7図、符号68)を介して取り付けられている。該コア挟持部材60は、前記コア38の高さよりもやや長い縦幅をもって、ロッド37方向に沿って、該コア38を挟持するために、該コア38は、前記ロッド37の回転に応じて回転可能に保持されている。
該コア挟持部材60は、前記遊星歯車56により回転駆動され、前記アーム部57から該ロッド37の軸方向(巻装体の行方向)に平行に突出するように設けられたボールねじ63に螺合する軸方向に垂直な断面三日月状(または断面半円状)のナット部64と係合している。該ナット部64を該ボールねじ63の回転で並進移動することによって、該ナット部64と係合する前記コア挟持部材60、したがって、コア38が、該ナット部64に押されて前記ロッド37に沿って移動する。なお、断面三日月状のナット部64は、それと係合する前記コア挟持部材60が、前記案内用レール62に支持され、かつ前記ロッド37と係合している限りは、前記ボールねじ63から外れることなく螺合している。
前記ロッド37およびボールねじ63の前記アーム部57に取り付けられた側の端部と反対側の端部は、円形プレート65によって回転可能に支持されている。該円形プレート65は、前記アーム部57にその一端を取り付けられた支住66および前記案内用レール62に着脱可能にねじ止めされている。該円形プレート65を外すことによって前記コア38を保持したロッド37を取り外すと、前記コア挟持部材60が前記ナット部64と係合することがなくなり、該三日月状のナット部64を前記ボールねじ63から容易に取り外すことができるので、該ナット部64をボールねじ63に沿って螺合させながら、元の位置に戻す必要がなく、迅速に移動初期状態に戻すことができて取り扱いが容易である。なお、符号67は、前記ロッド37の端部を覆うとともに、ロッド37の他端を回転可能に支える軸受を内蔵するカバーである。
縦板53には、前記巻装体19を回転可能に支持する軸を手動で回転させて前記巻装体19の角度を調節するハンドル69および前記巻装体19を、力が加えられていない通常の状態で、水平に保つように付勢するばね70が設けられている。
第6図は、第5図に示した前記試料集積化装置50を逆方向から示す斜視図である。第6図に示すように、前記縦板53の裏側には、前記巻装体19を揺動可能に保持する保持部材71と、該保持部材71を軸方向に押圧することによって確実に保持するためのばね72とを有している。
第7図は、前記試料集積化装置50の歯車機構について詳細に説明するものである。第7図(b)に示す図は、第7図(a)に示す前記試料集積化装置50のA−A線視断面図を示すものである。
前記ハンドル車59の回転軸73が、スピンドル74とカップリング75を介して接続されている。該スピンドル74は、前記太陽歯車55を前記縦板52に固定するための固定部材77および太陽歯車55の中央に穿設された孔を貫通してアーム部57の基体78の端部に取付用のねじ76によって取り付けられている。該スピンドル74の先端は、先細り状に形成され前記巻装体19の軸支用穴32と係合することにより、前記巻装体19を軸支している。したがって、前記ハンドル車59を回転駆動すると、前記アーム部57のみが、回転することになる。
前記アーム部57には、所定歯数をもつ固定された太陽歯車55と噛み合う所定歯数の中間歯車79が回転可能に設けられている。さらに、該アーム部57には、該中間歯車79と同軸に固定され、所定歯数をもつ遊星歯車56が回転可能に設けられている。さらに、前記アーム部57には、前記遊星歯車56と噛み合い該遊星歯車56によって回転駆動される所定歯数をもつ前記ロッド37の回転用の歯車80を有している。さらに、該アーム部57には、該歯車80と噛み合い、前記ボールねじ63を回転駆動するための歯車81とを有している。
ここで、該歯車機構を具体的に説明する。
今、前記巻装体19の行方向の長さが120mmで列方向の長さが80mm、その厚み部分を横切る基礎部材の長さ(表面と裏面とで基礎部材の巻装経路に半ピッチのずれがあるので、基礎部材は該厚みを斜に横切る)を4mmとし、16行×24列の行列状に試料が配布された基礎部材が、前記列方向に沿って巻装されているものとする。また、前記列の巻装用の間隔および行の配布用の間隔が4.5mmであるとする。前記アーム部57が1回転する間に、前記コア38が10回転し、それによって、巻装体19に巻装された1列分の基礎部材が巻き取られるものとする。その場合の基礎部材の長さは、(80mm+4mm)×2=168mmであり、該168mmがコア38の周長の10回分にあたるので、該コア38の径は、168mm÷10÷3.14=5.35mmになる。また、前記アーム部57が1回転する間に、前記コア38が10回転するように設定するには、例えば、前記太陽歯車55の歯数が80Z、直径が48mm、該太陽歯車55と噛み合う前記中間歯車79が、歯数16Z、直径が12.80mm、該中間歯車79と同軸に固定された遊星歯車56の歯数が40Z、直径が32mmとし、該遊星歯車56と噛み合い、前記コア38を回転させる歯車を歯数が20Z、直径が16mmとすればよい。これによって、遊星減速比は、(80:16)×(40:20)=10:1となり、前記アーム部57が1回転(360度)する間に前記コア38が10回転し、その間に1列分の基礎部材がコア38に巻き取られることになる。
また、コア38が10回転する間に、コア38は、行方向、即ちロッド37に沿って1ピッチ(=4.5mm)分だけ、移動する必要がある。今、基礎部材の太さが0.07mmであるとすると、前記ボールねじ63による、コア38の1回転分の送りピッチは、(4.5−0.07×10)÷10=0.38mmである。以上のようにして、前記歯車およびボールねじを選ぶことができる。
なお、以上の場合には、前記基礎部材の有効巻取り長さは、240×5.35×3.14=4033.8mm(768スポット)であり、コア38上において、基礎部材を密接して巻き取る場合には、その巻取部の有効長は0.07×240=16.8mmである。
続いて、該試料集積化装置50を用いて、前記巻装体19に巻装された基礎部材をコア38に、巻き取って、基礎部材の配列を集積化する動作についての説明する。
第5図に示すように、試料が配列され基礎部材が列方向に沿って巻装された巻装体19を前記軸支用穴32に前記スピンドル74の先端部が位置するようにし、前記保持部材71およびばね72により押圧して取り付ける。その際、該巻装体19の前記把持部33に取り付けられていた前記コア38を貫通するように保持した前記ロッド37を外し、前記アーム部57に取り付け、前記コア38を前記コア挟持部材60で挟持するように保持させる。その後、前記円形プレート65を前記支柱66および案内用レール62にねじ止めして取り付ける。前記コア38には、巻装された基礎部材の一端が予め取り付けられている。
ユーザは、前記ハンドル車59を基礎部剤が前記巻装体19から外す向きに回転させることにより、前記アーム部57を回転させる。すると、前記コア38が、前記巻装体19の周囲を公転しようとする。これによって前記基礎部材は、前記巻装体19から列ごとに順次外されていく。なお、その際、前記巻装体19は、前記スピンドルにより1点で軸支されているので回転することはない。
前記コア38は、前記ロッド37の回転に応じて自転して、巻装体19から外された基礎部材を前記ボールねじ63に螺合し、軸方向に移動するナット部64と係合して行方向に押されて移動しながら前記基礎部材を巻き取っていく。その際、軸支されている前記巻装体19に巻装されて外されようとする基礎部材は、前記巻装体19の端にある縁部35において基礎部材に張力が加わるようにして、基礎部材が撓まないように、前記ばね70の弾性力により、前記巻装体19を元の状態に戻すようにして、または手動により前記ハンドル69を用いて張力を調節する。このようにして、該巻装体19は、軸支された状態で揺動することになる。なお、計算によると、前述した例(巻装体の長さが行方向に120mmおよび列方向に80mmの場合)では、該巻装体19の軸支点に対する揺動角は25.16度である。本実施の形態に係る装置においては、張力は、該巻装体19の縁部35において基礎部材に加えられ、縁部35の近傍に位置する基礎部材上においては、試料が配布されていないので、配布された試料に、前記接触や前記張力により悪影響を受けることがないので信頼性が高い。
このようにして、製造されたコア38が、円柱状に試料が集積して配列された試料集積体である。
また、第8図に示ように、該コア38の円柱状穴をふさぐためのキャップ84をコア38の下側の開口部に嵌合させて取り付け、該コア38の上側に、ピペットチップ83に収容させるために所定長さの柄85の下端部を前記コアの上端の開口部に嵌合させることによって取り付けて該コア38を扱いやすくするのが好ましい。このようにキャップ84と柄85が取り付けられたコア38は、第8図で切り欠いて示すような、液体の吸引吐出を行うことができる分注装置のノズルに装着して使用するピペットチップ83内に収容して、試料集積体82としても良い。
なお、前記キャップ84には、ピペットチップ83に装着した際に、流体の流れを止めないように、ピペットチップ83の内壁との間に流体の通過が可能な隙間が形成されている。また、柄85についても、ピペットチップ83の内壁との間には隙間を設けて流体の流れを止めないようにしている。
続いて、第9図から第15図に基づいて、他の実施の形態に係る試料集積体を製造するための試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を説明する。
第9図は、実施の形態に係る試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置を示したものである。
この試料配列・集積化装置および試料集積体使用装置は、試料集積体または集積体としてのコア120、ピペットチップ122、ハンドピペッター124、前記光情報獲得部としてのスキャナー装置126、制御部127、およびパーソナルコンピュータ128を有する。またこの検査では、上記コア120に検査用の試料を付着固定するときの固定台に設けた所定角度で断続的に手動で回転させる回転部130、および目的生体物質との間の反応を行わせるための溶液を収容した容器32が用いられる。
上記コア120は、この実施の形態では正八角柱である。これによって、8個の側面に形成される長方形状の平坦面に、試料を固定すれば良いので固定が容易に行え、かつ下記光学的な処理を行う際にも、位置決めが容易で装置全体の構成を簡略化活取り扱いを容易化することができるからである。コア120が正八角柱の場合には、前記所定角度は45度が適当である。このコア120は、他に、正六角柱などの多角柱、或いは多角の筒状のものを採用し、各表面に形成される平坦面に試料を固定するようにすることができ、また円柱、円筒の形状としても良い。
コア120は、第9図に示すように、水平方向に向いた回転軸を有する回転部130に対して、コア120と同心に水平に装着(着脱自在)可能である。また、このコア120には予め試料を付着固定するスポット位置に、スポット印138(マーク)が設けられており、このスポット印138を目印に検査者は試料140を付着固定する。このように、スポット位置を前記スポット印138に示した位置とすることによって、反応を検出する装置の簡易化および処理の簡易化を図っている。
また、このスポット印138に代えて、スポット用の凹部を設けることとしても良い。また、予め試料が付着されたスポット片を貼り付けることとしても良い。この試料については、糊状にして付着の状態を目視で確認しやすいものとすることもできる。また、通常、試料は透明のものが多いが、これに着色料を混ぜたもの(蛍光性を有さないか程度の低いもの)を用いることで、付着の確認を容易にし、或いは、試料の種類に応じて色の種類を分けるようにしても良い。
スポット印138の位置は、この実施の形態では、コア120の一平坦面の長尺方向にかつ規定の固定位置に、例えば、4箇所設けている。このコア120は八角柱であるから、八面のすべてに試料を固定するとした場合には、4×8の32個の固定位置を設けることができる。
コア120の一平坦面に固定する試料140の数は、軸方向に沿って、例えば、4個〜8個程度までが装置の簡易化を考慮した場合には妥当であるが、これ以外の複数個とすることができる。試料140の固定の容易性および試料の必要固定数からすれば、コアは八角でかつ一面に固定する試料140の数は6個とした形態(この場合の合計の試料数は8×6=48個)が好適と考えられる。
このように、スポット印等の位置を予め規定された固定位置としておくことで、解析の際には、固定位置のみを測定すればよいので処理が単純に行えることになり、処理の簡素化が図れる。コア120の材質は、例えば、ナイロン、ポリカーボネイト、ポリビニールアセテート、ポリエチレン等のようなプラスチックの形成品が用いられる。弾性のあるナイロン等は、工作の容易性、或いは試料の付着の容易性から好適である。
第10図は、他の形態のコア121を示したものであり、このコア121は、本体部116が円柱状に形成されている。この本体部116から上方に突出した部位の下部には八角形状の保持部118が形成され、この保持部118の八角形の各面に対応する本体部116の表面には、軸方向に6箇所、試料140の付着固定用の凹部119が、所定の固定位置に設けられている。
上記凹部19により、試料140の付着8が正確かつ容易に行える。なお、上記凹部119に代えて、スポット印、又は試料を含む片を貼付することとしても良い。上記保持部118は、下記固定台に設けられた所定角度ずつ断続的に手動で回転可能な回転部131の保持部材170に八角形の穴を設けて、ここに差込み連結することで、保持部材170に対する位置決めが正確かつ容易に行える。この場合、前記所定角度は45度である。
また、コア121の本体部116の上部には周囲の3箇所に凸部115が設けられ、本体部116の下部は円錐状の先細りに形成され、この部位に軸方向かつ外向きに突出して複数の羽根部117が形成されている。上記凸部115は、ピペットチップ122内にコア121を挿入したときに、各凸部115が太径部158に当接してコア121と太径部158との間の隙間間隔が一様となるので、溶解液との反応性が良くなり、吸引吐出に係る溶解液も少なくて済む。また上記羽根部117により、吸引吐出の際には、溶解液の泡状化が防止され、また溶解液の切れ(水切れ)が良くなり処理の効率化が図られる。
第11図(a)は、八角柱のコア120を、他の形態の固定台に設けた回転部131に取り付けた状態を示したものである。このコア120は、試料140の付着の際には、八角柱状の保持部材170の先端に連結部材172を介して取り付けられる。この回転部131は、台座174の上部にバネ板176を向かい合わせに固定し、これらバネ板176の付勢力を利用して上記保持部材170を挟みバネ板176の付勢力を利用して保持させる。そして、保持部材170の端部に設けたレバー177を回すことで、コア120の位置決めが可能となる。また第11図(b)に示すように、この保持部材170に取り付けられたコア120は、そのまま下記ピペットチップ122に収納可能であり、収納後は保持部材170から脱着する。
上記ハンドピペッター124は第9図に示すように、上記コア120の収容部としてのピペットチップ122と、このピペットチップ122に対して吸引および吐出を行うための吸引吐出部146とを有する。上記吸引吐出部146には、シリンダ148、ピストン150、シリンダ148とパイプを通して連通するノズル部152が設けられている。そして検査者は、ピストン150に連結されたハンドル154を操作して、ピペットチップ122の吸引吐出を行う。
上記ピペットチップ122は、上記ノズル部152とO−リング等を介して着脱自在に装着される装着部157と、先端に1個の入出口を有しこのハンドピペッター124を外部の容器132に挿入可能な細径部156と、この細径部156と上記装着部157との間に設けられ上記細径部156よりも大きい径をもち上記コア120が収容される太径部158とを有する。上記装着部157の開口部が、上記コア120を挿入して収容するための収容口になる。
第12図に示すように、スキャナー装置126は、前記回転部に相当する位置決めのための回転機構180、前記光情報獲得部としての励起用の光源としての半導体レーザー160、マイクロレンズアレイ162、ラインCCD164を有し、また上記制御部127としてA/D変換機166およびマイクロコンピュータを内蔵したCPU部168を有している。この半導体レーザー160は、ピペットチップ122に収容されたコア120に励起光を照射するものであり、コア120を軸方向に照射する。
上記回転機構180は、ピペットチップ122に収納されたコア120の周囲をスキャンするため、位置決めを行う機構である。この回転機構180は第13図(a)に示すように、位置決めフランジ182、保持台186、および位置決め押圧体189等を有している。
上記位置決めフランジ182は、第13図(b)に示すように、円形の孔部183を有し、筒状に形成され、上部側の外周は拡径されて八角形状の位置決め用側面184が設けられ、また下部側の外周は円形状に形成されている。この位置決めフランジ182は、ピペットチップ122の太径部158を孔部183に嵌入した状態で保持可能である。
そして、保持台186の孔部187に、位置決めフランジ182の位置決め用側面184を係止させてピペットチップ122を保持固定する。また、上記位置決め押圧体189は、位置決めフランジ182の位置決め用側面184の外周部に当接する状態で設けられ、コイルバネ188の付勢力により八角形状の位置決め用側面184を押圧し、これによりピペットチップ122を45°(360°/8)単位で位置決めする。
この回転機構180は、ピペットチップ122の先端の装着部157を検査者の手で回転させると、八角の位置決めフランジ182の孔部内をピペットチップ122がスリップしながら自由に回転可能である。この回転により、位置決めフランジ182に対するピペットチップ122の回転方向の向きの調整が可能である。また、上記位置決めフランジ182を手で回転させると、コイルバネ188の押圧により、この八角の各面が押圧体189の押圧方向に対して垂直に位置するように、位置決めフランジ182が位置決め固定される。
上記励起用の光源の照射形態については、第14図(a)に示すように、レーザー光をライン状に拡散可能なラインジェネレータ付きの半導体レーザー178を用い、検出面181を拡散照射することができる。また、第14図(b)に示すように、集光レンズ付きの高輝度発光ダイオード(LED)179などの発光体を、検出面181の検出スポット185の数に合わせて、一列状に配列して同時に照射する形態としても良い。このように、1個の発光ダイオードの光を集光すれば、数mWのレーザーをラインジェネレータで拡散させた場合に匹敵する強度力が得られ、また検出スポット185の数だけ発光ダイオードを配置しても安価である。
マイクロレンズアレイ162は、コア120が発する蛍光(スポット光)を集光するものであり、またラインCCD164は、感知したスポット光を電気信号に変換する。上記A/D変換機166は、電気信号を、コンピュータが解析可能なデジタル信号に変換するものである。CPU部168は制御機能を有し、上記スキャナー装置126からの画像データを、A/D変換機166によりデジタル信号に変換させ、この画像データをパーソナルコンピュータ128に送る。
第15図は、検出面181からの蛍光を受光し、電気信号に変換してA/D変換機166によってデジタル信号に変換する構成の種々の実施態様を示したものである。第15図(a)は、マイクロレンズアレイ190、エミッションフィルター191、フォトダイオードアレイ192、アナログマルチプレクサー193、およびA/D変換機166を有する受光変換構成を示す。この受光変換機構は、検出面181の検出スポット185の数だけフォトダイオードを設け、アナログマルチプレクサー193により、順に各フォトダイオードからの電気信号を選沢して、A/D変換機166に送るものである。
第15図(b)は、エミッションフィルター191、レンズ付フォトダイオード194、アナログマルチプレクサー193、およびA/D変換機166を有する受光変換構成を示す。この受光変換機構は、上記マイクロレンズアレイ190に代えてレンズ付フォトダイオード194を設けたものである。またここでは、検出面181の検出スポット185の数だけ1対1でレンズ付フォトダイオード194を配置することにより、効率の良い検出を可能にしている。第15図(c)は、マイクロレンズアレイ190、エミッションフィルター191、低解像度ラインCCD195、およびA/D変換機166を有する受光変換構成を示す。この受光変換構成は、ラインCCD195を用いたことで、スポット位置および数の自由度が増し、また安価に構成できる。
また第12図に示すように、上記CPU部168とパーソナルコンピュータ128とは、USBポートで接続可能な構成としており、このため一般に市販されているパーソナルコンピュータ128を使用することが可能である。パーソナルコンピュータ128は、画像データを解析し、認識し結果を表示画面に表示し、印刷機に出力する。
ここで、上記装置を用いて収容反応を評価する手順について説明する。
まず、第1図に示すように、固定台に、回転軸が水平方向となるように設けた回転部130にコア120を軸心が一致位置するように装着固定し、検査者は予めコア120に設けられたスポット印138の位置に、スポイドなどを用いて試料140を付着固定する。この試料140は複数種あり、例えば、既知の種々の塩基配列を持つオリゴヌクレチド等、を付着固定する。次に所定角度回転させ手次の側面に対して付着固定を行入、8側面についてこれを繰り返す。他に、固定台に設けた回転部131を用いて八角柱のコア120に試料140を付着する場合は、上記説明したように、保持部材170のレバー177を回すことで、コア120の八面がそれぞれ位置決め固定され、各固定位置において検査者は試料140を付着固定する。
このとき、上記試料の各化学構造とその各固定位置とを対応付けて付着する。これにより検査結果が標準化され、また、特定の位置に試料に代えて発光物質等によるマーカーを付着固定するようにしても良い。このマーカーは、試料の位置を特定するための基準となるものであり、定量的情報の標準強度をも表すように設定される。また、特定位置のマーカーは初期位置を表すものと、規定しておけば、このマーカーを画像認識の始点として、画像認識を行うことができる。
また第13図に示すように、コア120の最も下端(ピペットチップに収容した状態で)寄りの位置に、基準面を表すマーカー141をスポットしておくことができる。そして、このマーカー141に基づき、最も蛍光が大きくなる位置をフリーストップ状態で探し出し、位置決めフランジ182に対するピペットチップ122内のコア120の回転位置を適切な位置に位置決めする。後は、上記八角の位置決めフランジ182を断続的に回転させることにより、他の面のスポットを正確に測定できるようになる。
コア120の一平坦面への固定を終えると、コア120を回して次の平坦面を上方に向け、この位置に試料140を付着し固定する。同様にして検査者は、八箇所の各平坦面(一面、或いは複数面、八面の全て)に試料140を固定する。
次に、検査者は、上記コア120をハンドピペッター124のピペットチップ122に収納する。そして、ピペットチップ122の細径部156を容器132内に挿入し、ハンドピペッター124の吸引吐出部146によって容器132内の溶解液を、コア120が浸るまで吸引し、その後吐出し、この動作を数回繰り返す。これにより、溶解液中のDNAがコア120の試料140に吸着する。次に、ペルチェ素子が設けられた恒温槽において、蛍光物質等で標識化された上記目的物質が懸濁する液に所定の試料を混合させたプローブ溶液を予め約95℃で数分間熱した後、冷却して、ハイブリダイズしやすい形に上記溶液を調整する。
さらに、上記ピペットチップ122の細径部156を、恒温槽の容器に移動して挿入し、約数分〜数時間かけてインキュベーションを行い反応させる。反応終了後、室温で、洗浄液が収容された容器(図示せず)に、上記細径部156を挿入し、振盪を加えて洗浄し、余分な上記目的物質等が懸濁したプローブ溶液を除去する。
そして、洗浄の終了した上記コア120を、ピペットチップ122の外部から上記スキャナー装置126を用いて走査し、測定する。まず検査者は、上記コア120が収納されたピペットチップ122を、上記回転機構180の位置決めフランジ182に支持させる。このとき、上記位置決め押圧体189は、位置決めフランジ182の位置決め用側面184に当接押圧し、コイルバネ188の付勢力により位置決めされる。
ここで検査者は、スキャナー装置126のモードをモニターモード(リアルタイムでスポット測定値を表示)に切り替える。次に、検査者は、ピペットチップ122の装着部157を手で回し、最もモニター値の大きくなる位置を探し出して、モニターモードを終える。この位置が測定に最適な角度位置であり、後は位置決めフランジ182を回すだけで最適な位置決めが行える。このとき、上記位置を特定するマーカーを用い、このマーカーをモニターモードにおける、上記モニター値の大きくなる位置判断の基準とすると、比較的容易に正確な位置が決められる。上記位置決め後は、検査者は位置決めフランジ182を回して、順次八角の各面を位置決めし、コア120の最初の面から測定を開始する。
次に、検査者が測定ボタン(図示せず)を押下すると、測定の開始信号がCPU部168に通知され収容反応測定が開始される。そしてCPU部168の制御に基づき、半導体レーザー160により、上記ピペットチップ122の太径部158の軸方向に沿った縦方向にレーザー光が出力され、コア120の一平坦面の全スポット(試料)を照射する。この半導体レーザー160から照射されたレーザー光は、蛍光物質を励起する。
照射されたレーザー光によって生じた、コア120の試料からの蛍光(スポット光)は、マイクロレンズアレイ162を介してラインCCD164に受光され、所定の電気信号に変換される。この電気信号は、A/D変換機166を介してデジタル信号に変換され、CPU部68は、この信号を各スポット毎に順にパーソナルコンピュータ128に送る。
次に、ピペットチップ122を回転させることによって、各固定位置およびその固定位置の定性的および定量的情報を得ることができる。このときには、手動による回転と、電動による回転とがある。
手動による場合には上記第13図に示すように、回転角度が45°(360度/8)毎に、所定のクリック感とともに回転が停止し、コイルバネ188の付勢力により八角形状の位置決め用側面184を押圧し、バランスの取れた好適な位置に位置決めされる。そして検査者は測定ボタンを押し、測定の開始をCPU部168に知らせる。CPU部168はこの開始信号を受けて半導体レーザー160を作動させ、半導体レーザー160はコア120の一面を走査し、コア120のスポット光は受光され電気信号に変換され、パーソナルコンピュータ128に送られる。以降も同様にして、手動により位置決めフランジ182を断続的に回転させ、コア120のスポット情報をパーソナルコンピュータ128に送る。
電動による場合は、先の処理後、CPU部168からの指示により、パルスモーターに所定の数のパルスが印加され、連結されたピペットチップ122の装着部157を45度回転させる。以降は、上記開始信号を受けた場合と同様の動作が行われ、コア120のスポット光は、受光され電気信号に変換され、パーソナルコンピュータ128に送られる。さらにパルスモーターに所定のパルスを加えて装着部157を回転させ、コア120のスポット情報がパーソナルコンピュータ128に送られる。
上記パーソナルコンピュータ128は、上記スポット情報を集積し、これを画像データとして解析、分析し、画像認識により蛍光を発するスポット光が判断され、この結果が、表示装置に表示され、また印刷装置により印刷される。このとき、スポットの配列、間隔など全て固定値として把握できることから、スポット光の位置の認識は簡単な処理で行え、また位置が認識されると、ノイズの処理などが不要となり簡単なスポット光の有無のみの判断で済むことになる。
したがって、上記実施の形態によれば、試料の付着がコアの固定位置に容易に行え、ピペットチップの位置決め、光の照射、受光が簡易な構成で行えるとともに簡易かつ安価に、試料の測定、反応結果の表示などが行えて経済性に優れ、また精度的にも安定し優れた試料配列・集積化装置、その方法、および試料集積体使用装置が得られるという効果がある。
以上の説明において、前記コア120は、前記部材としてのメンブレンによって被装されているとしても良い。
以上説明した各実施の形態は、本発明をより良く理解させるために具体的に説明したものであって、別形態を制限するものではない。したがって、発明の主旨を変更しない範囲で変更可能である。例えば、上記実施の形態で用いた各部品の個数、大きさ、または形状は、これらの説明に限れられるものではない。例えば、容器や保持端の個数や配列の仕方は、前記場合に限定されるものではない。また、上記説明では、前記巻装体の周囲をコアが自転しながら公転する例について説明したが、該場合に限られることなく、巻装体が、コアの周囲を公転する場合であっても良く、また巻装体とコアとが相互に公転しあう場合であっても良い。またその際、コアが自転する場合、巻装体が自転する場合、双方が自転する場合がありうる。
また、説明に用いた歯車等の機構は1例に過ぎず、発明の主旨を実現することができる他の機構を利用することができる。また、コアの形状についても円柱状の場合に限られることなく、角柱状であっても良い。
また、巻装体の形状についても、プレート状の場合に限られず、角柱状の場合であっても良い。この場合には、少なくとも3以上の側面で試料の配布を行うことができるので、より効率が高い。
また、以上の説明では、前記配布部の保持端は、別途設けた容器の各ウェルに挿入することによって、試料を含有する溶液を保持するようにしたが、該場合に限られることなく、前記保持端自体が、前記試料を含有する溶液を収容する液収容部と連通するように形成しても良い。このような例として、前記マイクロプレートの底部に孔を空け、各ウェルと連通するように保持端を設けるようにしても良い。これによって、容器と配布部とを一体化して、作業効率を高めることができるとともに、同一の試料が含有する溶液を多数の基礎部材に配布することができる。
以上の説明では、前記配布部の上下の移動や試料集積化装置の前記アーム部の回転を手動で行うようにしたが、モータを設けてモータで駆動するようにしても良い。
また、試料集積体使用装置の例として、コアに直接試料を配列した試料集積体についてのみ説明したが、コアに紐状等の基礎部材を巻装した試料集積体またはメンブレン等の膜状部材を被装した場合について適用することができる。
以上の説明では、配布用の間隔として行の間隔をとり、巻装用の間隔として列の間隔をとったが、逆であっても良い。また、以上の各構成要素、部品、装置等、例えば、基礎部材、巻装体、保持端、容器、集積体、試料集積体、光情報獲得部等は、適当に変形しながら任意に組み合わせることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配布されるべき試料を含有する各溶液を保持可能で、所定行列状に配列された複数の保持端を有する配布部と、試料が前記行または列の配布用の間隔で配布されるべき紐状または糸状の細長形状の基礎部材が該各保持端と接触可能となるように、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体とを有する試料配列・集積化装置。
【請求項2】
前記装置は、前記配布されるべき試料を含有する各溶液が収容可能で前記所定行列状に配列された複数のウェルを有する容器を有し、前記配布部の前記各保持端は、前記各ウェルに挿入可能に設けられた請求の範囲第1項に記載の試料配列・集積化装置。
【請求項3】
前記配布部は、配布されるべき試料を含有する各溶液を収容可能で前記所定行列状に配列された液収容部を有し、前記保持端は、該液収容部とそれぞれ連通する請求の範囲第1項に記載の試料配列・集積化装置。
【請求項4】
前記巻装体は、板状体を有し、前記平面は板面である請求の範囲第1項ないし請求の範囲第3項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項5】
前記巻装体は、角柱を有し、前記平面は側面である請求の範囲第1項ないし請求の範囲第4項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項6】
前記配布部は、矩形状の基板の下側に突出する前記所定行列状に配列された複数の保持端を有する請求の範囲第1項ないし請求の範囲第5項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項7】
前記保持端は、含水性の素材を有する請求の範囲第1項ないし請求の範囲第6項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項8】
前記巻装体の表面には、所定行列の列または行の巻装用の間隔で平行に設けられた前記基礎部材の巻装経路に沿って前記行または列の配布用の間隔で設けた各試料の配布位置で、該試料を前記基礎部材の一定範囲に局限する局限部を設けた請求の範囲第1項ないし請求の範囲第7項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項9】
前記局限部は、所定行列の列または行の巻装用の間隔で平行に設けられた前記基礎部材の巻装経路に沿って前記行または列の配布用の間隔で設けた凹部であり、該凹部において、該基礎部材が前記保持端と接触する請求の範囲第8項に記載の試料配列・集積化装置。
【請求項10】
前記局限部は、所定行列の列または行の巻装用の間隔で平行に設けられた前記基礎部材の巻装経路に沿って、前記行または列の配布用の間隔で設けられた凸部である請求の範囲第8項に記載の試料配列・集積化装置。
【請求項11】
前記巻装体の表面には、前記基礎部材の巻装経路に沿って、該基礎部材を案内する細溝が形成された請求の範囲第1項ないし請求の範囲第10項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項12】
前記装置は、前記容器および/または巻装体を単独でまたはこの順序で重ねて着脱自在に取り付ける基部と、該基部の上方で前記配布部が着脱自在に取り付けられ配布部を前記容器および/または巻装体に対して接触および離間可能に上下方向に移動可能とする可動部とを有する請求の範囲第1項ないし請求の範囲第11項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項13】
試料が所定行列の行または列の配布用の間隔で配布された基礎部材が、前記列または行の巻装用の間隔で平行に巻装され着脱可能に設けられた巻装体と、該基礎部材の一端が取り付けられ、前記基礎部材が巻装されるべき着脱可能に設けられたコアと、前記巻装体から前記基礎部材を順次外しながら前記コアに前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る基礎部材巻取部とを有することによって前記基礎部材を集積化して配列する試料配列・集積化装置。
【請求項14】
前記基礎部材巻取部は、前記巻装体から前記基礎部材を順次外し、外された基礎部材をコアが巻き取るように、前記巻装体または前記コアの少なくとも一方を自転させながら前記巻装体および前記コアとの間を相対的に公転させかつ相対的に並進移動させる請求の範囲第13項に記載の試料配列・集積化装置。
【請求項15】
前記基礎部材巻取部は、前記コアを、前記基礎部材を巻き取る向きに自転させながら、前記巻装体の周囲を前記基礎部材を外す向きに公転させ、かつコアを前記巻装体に相対的に並進移動させることによって、前記基礎部材をコアに巻き取るコア回転移動部を有する請求の範囲第14項に記載の試料配列・集積化装置。
【請求項16】
前記巻装体を揺動可能に保持した請求の範囲第14項または請求の範囲第15項のいずれかに記載の試料配列・集積化装置。
【請求項17】
配布されるべき試料を含有する各溶液を保持可能で、所定行列状に配列された複数の保持端を有する配布部と、試料が前記行または列の配布用の間隔で配布されるべき紐状または糸状の細長形状の基礎部材が該各保持端に接触可能となるよう、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体と、該基礎部材の一端が取り付けられ、前記基礎部材が巻装されるべき着脱可能に設けられたコアと、前記巻装体から前記基礎部材を順次外して前記コアに前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る基礎部材巻取部とを有する試料配列・集積化装置。
【請求項18】
所定行列の行または列の配布用の間隔で紐伏または糸状の細長形状の基礎部材上に試料を一括して配布する方法であって、配布されるべき試料を含有する各溶液を、所定行列状に配列した複数の保持端に保持させる保持工程と、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体に巻装された前記基礎部材と前記各保持端とを接触させる接触工程とを有する試料配列・集積化方法。
【請求項19】
前記保持工程は、所定行列状に配列され、配布されるべき試料を含有する溶液が収容された複数のウェルを有する容器の各ウェルに、前記保持端を挿入することによって行う請求の範囲第18項に記載の試料配列・集積化方法。
【請求項20】
前記保持工程は、所定行列状に配列され、配布されるべき試料を含有する溶液を複数の各保持端にその内部から供給する請求の範囲第18項または請求の範囲第19項のいずれかに記載の試料配列・集積化方法である。
【請求項21】
試料が所定行列の行または列の配布用の間隔で配布された基礎部材が、前記列または行の巻装用の間隔で平行に巻装された巻装体から前記基礎部材を順次外して、前記基礎部材の一端が取り付けられ前記基礎部材が巻装されるべきコアに、前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る集積化工程を有する試料配列・集積化方法。
【請求項22】
前記集積化工程は、前記巻装体から前記基礎部材を順次外し、外された基礎部材をコアが巻き取るように、前記巻装体または前記コアの少なくとも一方を自転させながら前記巻装体および前記コアとの間を相対的に公転させかつ相対的に並進移動させる請求の範囲第21項に記載の試料配列・集積化方法。
【請求項23】
配布されるべき試料を含有する各溶液を、所定行列状に配列した複数の保持端に保持させる保持工程と、前記基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装される平面を有する巻装体と前記基礎部材が前記各保持端と接触させる接触工程と、試料が配布された基礎部材が、前記列または行の巻装用の間隔で平行に巻装された巻装体から前記基礎部材を順次外して、前記基礎部材の―端が取り付けられ前記基礎部材が巻装されるべきコアに、前記巻装用の間隔よりも狭い間隔で巻き取る集積化工程を有する試料配列・集積化方法。
【請求項24】
試料が所定行列の行または列の配布用の間隔で配布されるべき紐状または糸状の細長形状の基礎部材と、該基礎部材が平面上において前記列または行の巻装用の間隔で平行に配列されるように巻装された平面とを有する巻装体。
【請求項25】
各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布されるべき周曲面もしくは2以上の側面を有しまたは各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布されるべき部材が軸線を囲むように巻装もしくは被装されたコアを有する集積体と、前記周曲面もしくは前記各側面または巻装もしくは被装された前記部材に対し前記各試料を配布可能とするように、前記コアを、その軸線の周りに所定角度ずつ断続的に回転させる回転部と、を有する試料配列・集積化装置。
【請求項26】
各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布された周曲面もしくは2以上の側面を有しまたは各試料が間隔を空けて予め定めた位置に配布された部材が軸線を囲むように巻装もしくは被装されたコアを有する試料集積体と、前記試料集積体を収容可能であって、流体の吸引吐出口を有する透光性または半透光性のピペットチップと、前記ピペットチップおよび該ピペットチップに収容された前記試料集積体を、該ピペットチップまたはそのコアの軸線の周りに所定角度ずつ断続的に回転させる回転部と、上記試料集積体からの光を受光して光情報を得る光情報獲得部とを有する試料集積体使用装置。

【国際公開番号】WO2004/113918
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【発行日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507304(P2005−507304)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009053
【国際出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(502338292)ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】