説明

試用ライセンス方法及び試用ライセンスシステム

【課題】 ソフトウエアの不正使用が抑制され、ユーザの利便性が向上する。
【解決手段】 ソフトウエア25のライセンスを発行するライセンス発行機関27と、ユーザがソフトウエア25を使用するコンピュータ21とを備えるソフトウエア25の試用ライセンスシステムにおける試用ライセンス方法において、ユーザはソフトウエア25を購入し、ライセンスを購入する要求を送信し、ソフトウエア25は、ソフトウエア25の起動時に試用ライセンスを生成し、ユーザは、試用ライセンスを用いて、ソフトウエア25を使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試用ライセンス方法及び試用ライセンスシステムに関し、特に、ソフトウエアの不正使用を抑止するとともに、ユーザがソフトウエアを試用できなくなる期間をなくす試用ライセンス方法及び試用ライセンスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソフトベンダーなどからソフトウエアを購入してソフトウエアを使用する場合、ライセンスの認証が必要であったり、無償試用期間が設けられて購入することがあった。
【0003】
特許文献1には、ネットワークカードのMACアドレスからライセンスキーを生成するソフトウエア試用管理システムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、試供品の試用が開始されると、その試用期間がチェックされ、満了していると使用不可とする。ユーザが所定の対策を実行すると、継続を可能とするソフトウエア試用管理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2004−086404号公報
【特許文献2】特開平08−194748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ライセンスの認証が必要なソフトウエアと、ユーザがソフトウエアの購入を検討するなどの目的で無償試用期間を設けている特定のソフトウエアとにおいて、現状では固定のライセンスキーでは悪意あるユーザにソフトウエアとともにコピーされた場合、ソフトウエアをリリースするソフトウエアベンダ、メーカ及び販売店等の利益を守ることができなかった。
【0006】
他方、コンピュータ21ごとにユニークなデータから動的なライセンスキーを生成し、ソフトウエアベンダ、メーカ及び販売店等が提供するライセンス発行機関からユーザに発行する場合では、ユーザが動的なライセンスキーを受け取るまで、ソフトウエアを使用することができないため、ユーザは一定期間有効となる試用ライセンスを用いてソフトウエアを使用する必要があるが、コンピュータ21の状態が変化してライセンスが無効となった場合、再度ライセンス発行機関からライセンスを受け取るまでソフトウエアを使用できなくなる。
【0007】
上記の点を解決するために、動的なライセンスキーとは別に、ソフトウエアがコンピュータ21のMAC(Media Access Control)アドレスと現在日時から試用ライセンスを生成し、ソフトウエアの不正使用を抑止するとともに、ユーザがソフトウエアを試用できなくなる期間をなくすことで、ユーザの利便性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、ソフトウエアのライセンスを発行するライセンス発行機関と、ユーザが前記ソフトウエアを使用するコンピュータとを備えるソフトウエアの試用ライセンスシステムにおける試用ライセンス方法において、前記ユーザは前記ソフトウエアを購入し、前記ライセンスを購入する要求を送信し、前記ソフトウエアは、当該ソフトウエアの起動時に試用ライセンスを生成し、前記ユーザは、当該試用ライセンスを用いて、前記ソフトウエアを使用することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記ソフトウエアは、前記コンピュータに収容されるネットワークアダプタのMAC(Media Access Control)アドレスと前記ソフトウエアの起動時の日時とから前記試用ライセンスを生成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記試用ライセンスは暗号化を施されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、ソフトウエアのライセンスを発行するライセンス発行機関と、ユーザによって前記ソフトウエアを使用するコンピュータとを備えるソフトウエアの試用ライセンスシステムにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザで、前記ソフトウエアを購入する手段と、前記ライセンスを購入する要求を送信する手段と、前記ソフトウエアで、当該ソフトウエアの起動時に試用ライセンスを生成する手段と、前記ユーザで、当該試用ライセンスを用いて前記ソフトウエアを使用される手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記コンピュータに収容されるネットワークアダプタのMAC(Media Access Control)アドレスと前記ソフトウエアの起動時の日時とから前記試用ライセンスは生成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記試用ライセンスは暗号化を施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ソフトウエアの不正使用が抑制され、ユーザの利便性が向上する。
【0015】
本発明によれば、特定のソフトウエアを使用する新規のユーザが、正規ライセンスをコンピュータ21に記録する前に、試用ライセンス情報を使用し、特定のソフトウエアを起動することができる。
【0016】
本発明によれば、特定のソフトウエアを使用中のユーザが、コンピュータ21に収容されるネットワークアダプタを変更し、正規ライセンス情報が使用不可能になった場合、再度試用ライセンス情報をコンピュータ21に記録することで、特定のソフトウエアが即座に使用可能となる。
【0017】
本発明によれば、試用ライセンス情報を使用して特定のソフトウエアを使用中のユーザが、ライセンス発行機関から正規ライセンス情報を受信することなく、特定のソフトウエアが定める一定期間を超えて特定のソフトウエアの使用を継続した場合、特定のソフトウエアを起動できなくするようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
【0019】
[構成の説明]
図1は、本発明の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態は、ライセンス発行機関27とコンピュータ21とを備えている。
【0021】
コンピュータ21は、記録媒体28と、ソフトウエア25と、ネットワークアダプタ24と、日時情報提供部26と、を備えている。
【0022】
記録媒体27は、コンピュータ21のMAC(Media Access Control)アドレスを有するソフトウエアのライセンス情報やMACアドレス及び日時を有する特定のソフトウエアの試用ライセンス情報等を記憶する。
【0023】
ネットワークアダプタ24は、固有のMACアドレスを有する。
【0024】
ソフトウエア25は、MACアドレス読出手段251と、日時判定手段252と、試用ライセンス情報作成手段253と、試用ライセンス情報暗号化手段254と、試用ライセンス情報ネットワークアダプタ上限判定手段255と、を備えている。
【0025】
また、ライセンス発行機関28は、ソフトウエアの販売店やメーカ等が提供する特定のライセンスを発行する。
【0026】
[動作の説明]
図2は、本実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【0027】
図2に示すように、ユーザがソフトウエアを購入すると(ステップS1)、ユーザはソフトウエアの販売店又はメーカ等が提供するライセンス発行機関へ、コンピュータに収容されるネットワークカードが有するMACアドレスを含むライセンス購入要求を送信する(ステップS2)。
【0028】
ライセンス発行機関からライセンスが発行されるまでの間、ユーザはソフトウエアを試用するために、ソフトウエアを起動したときにソフトウエアがそのソフトウエアを試用するための試用ライセンスを生成する(ステップS3)。
【0029】
試用ライセンス又はライセンスがインストールされている場合、起動し、(ステップS4)、ソフトウエアを使用して(ステップS5)、処理は終了する。
【0030】
ライセンス発行機関からユーザへソフトウエアのライセンスが発行された場合、ユーザがソフトウエアのライセンスをコンピュータにインストールすると、ソフトウエアの試用ライセンスが無効となる。
【0031】
ユーザがソフトウエアのライセンスを購入することなく、試用ライセンスでソフトウエアを継続して使用した場合、試用ライセンスはあらかじめ定められた一定の期間で無効となる。
【0032】
ユーザがソフトウエアのライセンスを購入後、コンピュータに収容されるネットワークアダプタが交換された場合、購入し導入したライセンスは無効となる。
【0033】
ライセンスが無効となった際、ソフトウエアは新しいネットワークアダプタのMACアドレスを取得し、再度、試用ライセンスの生成を行なう。
【0034】
ネットワークアダプタの交換が、ライセンス発行機関が定める一定回数以上になった場合、ソフトウエアは新たな試用ライセンスの生成を停止する。ユーザはソフトウエアを使用可能とするために、ライセンス発行機関に連絡し、ライセンスを取得する必要がある。
【0035】
以下、本実施の形態の種々の場合における処理について説明する。
【0036】
1 ソフトウエアのライセンス情報による起動選択
1.1 正規ライセンス情報でのソフトウエアの起動
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアは、コンピュータ21に収容されるネットワークアダプタ24に固有のMACアドレスをもとに生成されたライセンス情報がコンピュータ21の記録媒体28に記録されている場合、ライセンス情報のMACアドレスを現在のMACアドレスと比較し、一致する項目が有れば起動を行なう。
【0037】
1.2 試用ライセンス情報でのソフトウエア起動
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアは、コンピュータ21に収容されるネットワークアダプタ24に固有のMACアドレスと試用ライセンス情報を記録した日時をもとに生成された試用ライセンス情報がコンピュータ21に記録されている場合、試用ライセンス情報のMACアドレスを現在のAMCアドレスと比較し、一致する項目があれば起動を行なう。
【0038】
1.3 試用ライセンス情報が存在しない場合でのソフトウエア起動不可
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアは、コンピュータ21に収容されるネットワークアダプタ24に固有のMACアドレスと試用ライセンス情報を記録した日時をもとに生成された試用ライセンス情報がコンピュータ21に記録されている場合、試用ライセンス情報のMACアドレスを現在MACアドレスと比較し、一致する項目がなければ起動を行なわない。
【0039】
1.4 試用ライセンス情報でのソフトウエア起動不可
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアは、コンピュータ21に収容されるネットワークアダプタ24に固有のMACアドレスと試用ライセンス情報を記録した日時をもとに生成された試用ライセンス情報がコンピュータ21に記録されている場合、試用ライセンス情報のMACアドレスを現在のMACアドレスと比較し、一致していなければソフトウエアの起動は行なわない。
【0040】
2 コンピュータ21への特定のソフトウエアの試用ライセンス情報のインストール
2.1 試用ライセンス情報のインストール
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアは、上記の1.3及び1.4において、試用ライセンス情報がコンピュータ21に記録されていない、又はMACアドレスと異なる場合、現在のMACアドレスと日付をもとに、コンピュータ21に収容されるネットワークアダプタ24ごとに試用ライセンス情報を生成し、コンピュータ21に記録する。
【0041】
2.1.1 MACアドレスの読出
ソフトウエア25は、MACアドレス読出手段251においてコンピュータ21に収容されているネットワークアダプタ24が有する固有のMACアドレスを読み出す。
【0042】
2.1.2 日時情報の読出
ソフトウエア25は、日時情報判定手段252において、コンピュータ21が有し、日時情報提供部26が提供する日時情報を読み出す。
【0043】
2.1.3 試用ライセンス情報の生成
ソフトウエア25は、試用ライセンス情報作成手段253においてMACアドレス読出手段251及び日時情報判定手段252において得られた情報を、試用ライセンス情報生成手段255において、試用ライセンス情報暗号化手段254において暗号化を施し、コンピュータ21が有する記録媒体内の試用ライセンス情報23へネットワークアダプタ24ごとに分類して保存する。
【0044】
2.1.4 複数のネットワークアダプタの試用ライセンス情報の生成
試用ライセンス情報生成手段253は、コンピュータ21に複数のネットワークアダプタ24が収容されていた場合、すべてのネットワークアダプタ24について試用ライセンス情報を生成する。
【0045】
2.2 ネットワークアダプタ24の交換枚数制限による試用ライセンス情報のインストール不可
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアは、試用ライセンス情報がコンピュータ21に記録された時点で前回の試用ライセンス情報を上書きせずネットワークアダプタ24ごとに記録し、試用ライセンス情報の件数が特定のソフトウエアが有するネットワークアダプタ24の一定枚数を超えた際、特定のソフトウエアの試用ライセンス情報のインストールを行なわない。
【0046】
3 不正使用目的の防止
特定のソフトウエアは、正規ライセンス情報を導入しないユーザに対し、試用ライセンス情報に一定の制限を課し、ソフトウエアが永続的に使用されるのを防止する。
【0047】
3.1 日時による制限1
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエア25は、コンピュータ21が有する日時情報と、コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアの試用ライセンス情報が有する試用ライセンス情報がインストールされた日時と現在の日時を比較し、特定のソフトウエアが有する一定期間を経過した際、試用ライセンス情報が記録されている場合のソフトウエアの起動を行なわない。
【0048】
3.2 日時による制限2
コンピュータ21に収容される特定のソフトウエア25は、日時情報提供部26が提供する日時情報と、コンピュータ21に収容される特定のソフトウエアの試用ライセンス情報が有する試用ライセンス情報23がインストールされた日時と現在の日時を比較し、日時情報提供部26が提供する日時情報が試用ライセンス情報23より前に設定された場合、ユーザが故意に日時情報26を改ざんしたとみなし、試用ライセンス情報23を即座に無効とし、ソフトウエアの起動を行なわない。
【0049】
3.3 ネットワークアダプタ交換の制限
コンピュータ21の収容される特定のソフトウエアは、試用ライセンス情報がコンピュータ21に記録された時点で前回の試用ライセンス情報を上書きせずネットワークアダプタごとに記録し、試用ライセンス情報の件数が特定のソフトウエアが有するネットワークアダプタ24の一定枚数を超えた際、試用ライセンス情報が記録されている場合のソフトウエアの起動を行なわない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
21 コンピュータ
22 存在しない正規ライセンス情報
23 試用ライセンス情報
24 ネットワークアダプタ
25 ソフトウエア
26 日時情報提供部
27 ライセンス発行機関
28 記録媒体
251 MACアドレス読出手段
252 日時判定手段
253 試用ライセンス情報作成手段
254 試用ライセンス情報暗号化手段
255 試用ライセンス情報ネットワークアダプタ上限判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウエアのライセンスを発行するライセンス発行機関と、ユーザが前記ソフトウエアを使用するコンピュータとを備えるソフトウエアの試用ライセンスシステムにおける試用ライセンス方法において、
前記ユーザは前記ソフトウエアを購入し、
前記ライセンスを購入する要求を送信し、
前記ソフトウエアは、当該ソフトウエアの起動時に試用ライセンスを生成し、
前記ユーザは、当該試用ライセンスを用いて、前記ソフトウエアを使用することを特徴とする試用ライセンス方法。
【請求項2】
前記ソフトウエアは、前記コンピュータに収容されるネットワークアダプタのMAC(Media Access Control)アドレスと前記ソフトウエアの起動時の日時とから前記試用ライセンスを生成することを特徴とする請求項1記載の試用ライセンス方法。
【請求項3】
前記試用ライセンスは暗号化を施されることを特徴とする請求項1又は2記載の試用ライセンス方法。
【請求項4】
ソフトウエアのライセンスを発行するライセンス発行機関と、ユーザによって前記ソフトウエアを使用するコンピュータとを備えるソフトウエアの試用ライセンスシステムにおいて、
前記コンピュータは、前記ユーザで、前記ソフトウエアを購入する手段と、
前記ライセンスを購入する要求を送信する手段と、
前記ソフトウエアで、当該ソフトウエアの起動時に試用ライセンスを生成する手段と、
前記ユーザで、当該試用ライセンスを用いて前記ソフトウエアを使用される手段と、を備えることを特徴とする試用ライセンスシステム。
【請求項5】
前記コンピュータに収容されるネットワークアダプタのMAC(Media Access Control)アドレスと前記ソフトウエアの起動時の日時とから前記試用ライセンスは生成されることを特徴とする請求項4記載の試用ライセンスシステム。
【請求項6】
前記試用ライセンスは暗号化を施されることを特徴とする請求項4又は5記載の試用ライセンスシステム。





【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−11628(P2006−11628A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185042(P2004−185042)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】