説明

試用限定期間終了後の製品の使用を可能にするシステム

本発明は電動器具に係る。電動歯ブラシ等の電動器具は、期間限定試用に適合されているが、従来の長期間使用の製品の作動機能を有する。電動器具は、ユーザからの支払い受領後に器具の長期使用を可能にするよう、許可機器からの通信に応じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、電動歯ブラシ及び他のパーソナル電気製品等の同様の製品に係り、より具体的には、試用期間終了後のそれらの製品の恒久的(長期間)又は他の追加の用途を可能にすることに係る。
【背景技術】
【0002】
潜在顧客が購買決定に先立って製品を短期間試用できることは、多くの業界で一般的な手法である。この手法は成功しており、例えば、多種のソフトウェア製品及び関連するサービスでは、ソフトウェアの試用が限定期間中可能であり、その後はユーザが製品又はサービスの購買又は契約を決定しない限りは自動的に終了する。その手法は他の製品にも使われており、実際の使用及び満足度が購買決定の重要点となる場合、特に、さもなくば購買を検討されさえしないときに、実際の使用によって潜在顧客に購買するよう納得させる場合に使われる。
【0003】
試用期間が購買を決定させるのに役立つ製品の一例は電動歯ブラシである。電動歯ブラシは、典型的には手動歯ブラシの20倍乃至30倍の費用がかかる。電動歯ブラシに対する多数の潜在顧客は、実際に使える試用期間中に歯ブラシのメリットを経験するまでは、かかる購買を検討しないであろう。その後電動歯ブラシの有益な結果が明らかになったときに初めて、潜在顧客は購買に前向きになる。これは、ひげそり器を含む他のパーソナルケア製品等の他の商品にも当てはまると考えられる。電動歯ブラシ等の比較的高価な商品の試用の概念は、本発明の譲受人によって所有される同時係属中の米国特許第09/588,807号明細書(特許文献1)に記載されている。
【0004】
かかる場合、「試用」ユニットは、基本的には商用ユニットであり、全機能を備えるが、特定の限定期間のみ機能するよう何らかの様式で変更されている。しかしながら、かかる試用の歯ブラシ又は同様の製品の不利点は、試用期間終了後にその機器が廃棄されることである。
【0005】
電動歯ブラシ又は他のパーソナルケア器具等の製品に関する試用ユニットの基本概念を保持することが望ましい。それらの製品は、商用ユニットと根本的に同一であるが、試用期間が終了し顧客が支払いの手配をした後に、特定のアクションによって、恒久的(長期間)若しくは追加の短期間の、又は他の使用が可能にされ得る。
【特許文献1】米国特許第09/588,807号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明は、1つの面では、予め選択された追加の使用に対して期間限定試用の製品を有効にするシステムである。かかるシステムは、期間限定試用に適合されている電動器具と、かかる追加の使用に対して器具を有効にするよう承認後にユーザに与えられた許可機器とを有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
他の面では、本発明は、予め選択した追加の使用に対して期間限定試用の製品を有効にする。かかるシステムは、期間限定試用に適合されている電動器具と、電動器具に関連付けられ、通信ラインを通って外部ソースから許可メッセージを受信する通信要素とを有し、かかる器具は、許可メッセージを受信した通信要素に応じて、かかる予め選択された追加の使用に対して器具を有効にする回路を含む。
【0008】
本発明の他の面は、期間限定試用の製品を長期間の使用に対して有効にするシステムを有する。かかるシステムは、期間限定試用に適合されてはいるが、従来版の全機能を有している電動器具を有しており、かかる電動器具は、1)作動、及び、2)作動停止のうち選択されたいずれか一方での長期間の使用に対して、機器を有効にする部分を有する。
【0009】
本発明の更なる面は、期間限定試用の製品を長期間の使用に対して有効にするシステムを有する。かかるシステムは、期間限定試用に適合されており、かかる電動器具は、オン又はオフのスイッチの作動の予め選択されたパターンを認識する認識回路を有し、選択されたパターンの認識に続いて長期間の使用に対して有効にされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施例を図示する。ユーザは、試用期間後、ユーザによる支払いに続いて製品の恒久的な作動(所定の期限のない、長期間)を可能にするなんらかの種類の許可要素又は機器をユーザに与える製造会社、又は、小売店若しくは歯科医師(電動歯ブラシの場合)等指定された第三者に連絡を取る。図1は、電動歯ブラシ10と、歯ブラシが挿入され得る組立体又は機器12を図示する。機器12は、製品、即ち電動歯ブラシ10と通信し、歯ブラシ、又は、ひげそり器等の他のパーソナルケア器具を特に含む他の製品を、恒久的に使用可能になるようにする。これは、歯ブラシ内のマイクロプロセッサ13によって認識され、続いてプログラムされた命令に従って歯ブラシを使用可能にする、コード化された情報を有し得る。
【0011】
機器12と歯ブラシ10との間の通信は、多種の様式、例えば機器12内の磁気要素14と、歯ブラシ10内の対応する時期要素16との間の磁気作用で達成され得る。あるいは、通信は、光学、赤外線(Ir)、又はRF(無線周波数)であってよい。他の通信手段が使用されてもよい。全ての場合において、結果的にもたらされるのは歯ブラシ(又は他の製品)との通信であって、歯ブラシを恒久的に作動可能にすることに帰着する。
【0012】
恒久的な作動の代わりに、1年等の使用又はブラシ部の寿命を超えての追加の試用期間若しくは使用期間が、許可され得る。かかる許可に関するコストは、要求される特定の許可によって決定され得る。更に、許可は、プログラム可能なタイマー若しくは充電インジケータ、又は特定のブラシ部の動き等の、特定の機能のみに対するものであり得る。
【0013】
図1の配置の変形では、機器12は、歯ブラシの充電器組立体であり、歯ブラシ内の電池を定期的に充電すること、及び、恒久的な作動を可能にする歯ブラシとの通信を与えることのいずれの役割も果す。これは、上述した多種の通信手段を有し得るか、又は、所定の歯ブラシとの特定の物理的又は電気的関係を伴い、充電器が所定の歯ブラシ又は他の製品にのみ正確に作動し得るようにする。
【0014】
図2に図示する図1の実施例の他の変形では、要素又は機器が、ユーザによって購買され、試用ユニットを長期間使用(又は上述された他の用途)可能にする。小さい別個の構成部品17は、歯ブラシの手持ち部の壁に与えられた開口19を介して、ユーザによって歯ブラシ10に内蔵される。かかる場合には、充電器は、他の歯ブラシを使用可能にするのには使用できない。追加の要素は、例えば、電気回路を完成するよう試用され得、その結果機器は恒久的な作動が可能となる。更には、製品(歯ブラシ)は、キーカードを受容するよう適合され得る。キーカードは、製品に挿入及び取外しができ、製品が使用可能になるよう製品と通信ができるようにするか、又は、許可に帰着する製品によって認識可能なコード化された情報を与える。かかる場合には、製品は、典型的には、通信用の特定のIDを有する。
【0015】
しかしながら、上述の全ての実施例は、購買の決定によってユーザが要素又は組立体を受けとるという基本的な特性を有する。前述の手法で製品に追加又は結合された場合、製品を、恒久的な(長期間、即ち所定の期間が無い)作動、又は、上述された他の特定の作動に対して有効になるよう帰着する。
【0016】
第2の基本的な実施例は、製品及び製品の構成要素と、製造会社又は他の認可された第三者との間に、電話、携帯電話のリンク、又は他の通信ラインを介する通信を有する。図3中のこの配置では、歯ブラシ22の充電器部21又は他のパーソナルケア器具(ひげそり器等)、又は他の製品における「スマート」通信要素20は、電話線又は他の通信リンク24にプラグで接続される。通信ラインは、例えば、インターネットのアクセスラインであり得る。恒久的な作動用の支払いが済まされたとき、製造会社又は他の認可された第三者26は、ユーザに所有されている試用製品を、認可された通信プロトコルを試用して通信要素20を介してラインをわたって作動させる。通信要素20は、マイクロプロセッサ23、又は器具内の類似した回路と通信することによって器具を作動させる。かかる実施例では、実際の要素の代わりに通信プロトコルが、通信リンクをわたってユーザに与えられる。
【0017】
この配置は、試用製品が使用可能にされることを確認する際の信頼性と同様に簡易性において、一定の利点を有する。製品22内のスマート通信要素20は、歯ブラシの充電基部、又は、歯ブラシの他のいずれの部分にもあり得る。ユーザは、単に、要素20と通信ラインとの間を物理的に適切に接続しなければいけないだけである。
【0018】
製品の作動の許可に加えて、通信ラインの接続は、製品の適切な作動を確認又は保持するよう製品に遠隔診断を行なうよう使用され得る。また、歯ブラシの臨床的状況での整合性を確認するのにも使用され得る。
【0019】
図5は、第1及び第2の実施例を含む、簡略化されたフローチャートを示す。図中、電動歯ブラシ等の特定の製品は、ブロック30に示される通り試用モードで販売される。試用期間中又は試用期間後、ブロック32で、ユーザは製品の「恒久」版の購買を決定する。短期間使用又は(機器の全機能の代わりに)特定の機能を含めた、他の版も購買され得る。ブロック34では、支払いと共に、製品を使用可能にするよう製造会社又は他の認められた関係者と接触がなされる。ブロック36では、要素又は機器は、製品の望ましい作動状態への転換が可能なようユーザに与えられるか、又は、製品若しくは充電ユニット等のアクセサリは、製造者又は他の認められた関係者へのブロック38の通信リンクを介して接続されるかのいずれかである。この時点で製品は、恒久的(長期間)な使用が可能であり、即ち、ブロック40に示す通り、通常の商業経路、若しくは他の所望の使用又は構成を通じて購買された試用期間の無い商品と、作動において基本的に同一である。これらの実施例のいずれもにおいて、試用機器の廃棄は解消される。
【0020】
他の実施例では、図4中、ユーザは、支払い後に製品42(電動歯ブラシとして図示)の、存在するオン又はオフのスイッチ41を作動させる特別な「コード」を与えられる。選択された期間を超えての特別なパターンを備えたオン/オフスイッチ41を作動することは、結果的に、製品を恒久的(又は他の選択された)用途に対して有効にする。製品内のマイクロプロセッサ44は、オン/オフスイッチからのパターンを認識し、製品を恒久的用途に転換させるようプログラムされる。本実施例は、ユーザが正確に特定のオン/オフを実行できないとき、場合によっては困難を感じ得るが、許可プロセスにおける簡易性及び追加のコストの不要性において利点を有する。
【0021】
更なる他の実施例では、歯ブラシ又は他の製品の回路の一部の「物理的」転換は、恒久的な作動を生成するよう使用される。例えば、製品が試用モードにある際、製品の特別な設定時間又は使用回数の後、製品の更なる作動を妨げる物理的な接続又はリンクがあってよい。ユーザによる支払いに関しては、製品は、歯科医院又は他の店舗等の近くの認可された店舗に持ちこまれる。そこで製品は、現在使えない回路のリンクを開く(飛ばす)か、又は、製品に消磁又は他の機能を生成することのいずれかを行なう許可装置を通す。どちらの場合も、ブロッキング要素又は恒久的な作動を阻止する製品内の作動状態を除去する。この実施例は、ユーザ側は近くの店舗に出向く以外の行為をいずれも必要とせず、製品の使用可能性を確実にする利点を有する。
【0022】
更なる他の実施例では、歯ブラシ(又は置換可能な部品を使用する他の製品)の使用可能な初期期間は、ブラシ部の寿命であり得る。その後、新しいブラシ部の購買によって、新しいブラシ部の寿命の間、即ち6ヵ月間、製品を試用可能になる。
【0023】
上述の全ての実施例では、製品の要素又は製品内のマイクロプロセッサとの通信を含んで、何らかの転換の作動があり、製品の恒久的な作動を可能にするようプログラムされている。製品との多種の通信手段が使用され得る。転換は、製品の現在ある要素の作動状態を変更することによって起き得るか、又は、実際の物理的な排除又はかかる作動を起こすのに必要とされる要素の追加によって達成されてもよい。
【0024】
しかしながら、これら全ての実施例は、初期に短期間試用のために設定されていた電動歯ブラシ又は同様の製品を、例えば通常の使用のための恒久的な作動機器に転換する。「許可された」製品は、初期に全額を支払って購入された製品と、作動、機能、及び外見に同一である。他の例では、許可は、追加の使用期間(しかし恒久的ではない)又は特定の機能のみに対するものであり得る。
【0025】
かかるシステムは、ユーザに、購買又は検討すらされなかったであろう製品の試用を許可し、試用ユニットを廃棄することもないという利点を有する。恒久的且つ完全に使用可能な試用ユニットは、従来購買された製品に、作動及び機能において同一である。従って、既に恒久的な使用のために構成された新しい製品を購買するのとは対照的に、ユーザにとっては試用ユニットを使用可能にする誘因がある。故に本発明は、試用ユニットに作動のステップ又は特性を与え、試用ユニットを廃棄することなく試用製品を使用可能にする。上述した通り、最初は懐疑的又は反対ですらある顧客に、製品の利点を経験させ、購買についての詳細な情報を得た上で決定させる点で、試用製品は有利である。
【0026】
複数の実施例が図解の目的で開示されてきたが、多種の変更、修正、及び代替は、本発明の精神を逸脱することなく、本発明に組み込まれ得ることが理解されるべきであり、以下に添付の請求項によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】本発明の一実施例を図示する。
【図1B】本発明の一実施例を図示する。
【図1C】本発明の一実施例を図示する。
【図2】本発明の代替の一実施例を図示する。
【図3】本発明の他の実施例を図示する。
【図4】本発明の他の実施例を図示する。
【図5】本発明のシステムを有効にする逐次ステップを図示する簡略化されたフローチャートである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
限定期間試用の製品を、予め選択された追加の使用に対して有効にするシステムであって、
限定期間試用に適合されている電動器具と、
承認後に前記ユーザに与えられ、前記器具を追加の使用に対して有効にする許可器具と、
を有するシステム。
【請求項2】
前記追加の使用は、長期間の使用であり、従来製品の機能を全て含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記器具は電動歯ブラシである、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記許可機器は、要素であって、前記ユーザによって前記電動器具内に恒久的に置かれることが可能であり、前記器具内の前記機器の前記位置付けは、前記電動器具の前記許可をもたらす、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記許可機器は、要素であって、前記機器に一時的に挿入されてから取り外され、前記電動器具は、前記挿入された要素上のコードを認識する回路を有し、前記器具の長期間の使用を可能にする、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
前記電動歯ブラシは、前記許可機器の近くに置かれ、前記電動歯ブラシ及び許可機器はいずれも、前記電動器具の追加の使用を可能にするよう、互いの間で通信する通信要素を有する、請求項2記載のシステム。
【請求項7】
前記電動歯ブラシは、前記許可機器に置かれる、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記通信は光学式である、請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記通信は無線周波数(RF)によるものである、請求項6記載のシステム。
【請求項10】
前記通信は磁気によるものである、請求項6記載のシステム。
【請求項11】
前記通信は赤外線によるものである、請求項6記載のシステム。
【請求項12】
前記許可機器は、1つの電動器具のみを使用可能にするよう配置される、請求項2記載のシステム。
【請求項13】
前記許可機器は、1つの許可作動のみを可能にする、請求項2記載のシステム。
【請求項14】
限定期間試用の製品を、予め選択された追加の使用に対して有効にするシステムであって、
限定期間試用に適合されている電動器具と、
前記電動器具と関連付けられ、通信ラインをわたって外部のソースから許可メッセージを受信する通信要素とを有し、
前記器具は、許可信号を受信する前記通信要素に応じて、前記器具を予め選択された追加の使用に対して有効にする回路を有する、
システム。
【請求項15】
前記追加の使用は、長期間の使用であり、従来の品の前記機能を全て含む、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記通信ラインは電話線である、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記電動器具は電動歯ブラシである、請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記通信ラインはインターネット接続である、請求項15記載のシステム。
【請求項19】
前記通信要素は、電動器具の充電器部に位置付けられる、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
限定期間試用の商品を、長期間の使用に対して有効にするシステムであって、
限定期間試用に適合されてはいるが、従来版の完全な作動能力を有している電動器具を有し、
前記電動器具は、前記機器を、1)作動、及び、2)作動停止のうち選択されたいずれか一方での長期間の使用に対して有効にする部分を有する、
システム。
【請求項21】
前記電動器具は電動歯ブラシである、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
限定期間試用の商品を、長期間の使用に対して有効にするシステムであって、
限定期間試用に適合されている電動器具を有し、
前記電動器具は、特有のパターンでユーザによって操作可能なオン又はオフのスイッチを有し、前記オン又はオフのスイッチの作動の予め選択されたパターンを認識する認識回路を有し、前記選択されたパターンの認識後に長期間の使用に対して有効にされる、
システム。
【請求項23】
前記電動器具は電動歯ブラシである、請求項22記載のシステム。

【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−510408(P2006−510408A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560023(P2004−560023)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005602
【国際公開番号】WO2004/054466
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】