説明

試着システム

【課題】顧客が実際の衣料品を着用したイメージを捉え易くする。
【解決手段】実施形態の試着システムは、撮影手段と、選択手段と、判別手段と、表示手段と、を備える。前記撮影手段は、衣料品を試着する人物の動画像を撮影する。前記選択手段は、衣料品データを選択する。前記判別手段は、前記撮影手段により動画像を撮影した人物の向きを判別する。前記表示手段は、前記選択手段により選択された衣料品データを元に、前記判別手段により判別された向きと同じ向きに向けた場合の衣料品画像を前記撮影手段により撮影した人物の動画像に重ね合わせた合成画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、試着システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人物を撮影した画像データに対して、衣料品を撮影した画像データを重ね合わせた合成画像を形成する技術が開示されている(特許文献1参照)。これにより、購入を検討している衣料品を顧客が実際に試着することなく、衣料品を着用したイメージを捉えることができるので、衣料品を試着する手間が省け、衣料品の購買を促すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術においては、予め設定された向きを向いて人物が衣料品を着用した場合の衣料品の画像データしか用意されていないため、人物を撮影した動画像データに対して衣料品の画像データを重ね合わせた合成画像を形成した場合、人物の向きが変化しているにも関わらず、衣料品の向きが変化しないため、顧客が実際に衣料品を着用したイメージを捕らえ難い、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の試着システムは、撮影手段と、選択手段と、判別手段と、表示手段と、を備える。前記撮影手段は、衣料品を試着する人物の動画像を撮影する。前記選択手段は、衣料品データを選択する。前記判別手段は、前記撮影手段により動画像を撮影した人物の向きを判別する。前記表示手段は、前記選択手段により選択された衣料品データを元に、前記判別手段により判別された向きと同じ向きに向けた場合の衣料品画像を前記撮影手段により撮影した人物の動画像に重ね合わせた合成画像を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、本実施形態にかかる業務支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、ハンディーターミナルの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、試着室端末が設置されている試着室を示す斜視図である。
【図4】図4は、試着室端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、商品ファイルのデータ構成を示す図である。
【図6】図6は、在庫ファイルのデータ構成を示す図である。
【図7】図7は、画像ファイルのデータ構成を示す図である。
【図8】図8は、顧客ファイルのデータ構成を示す図である。
【図9】図9は、合成画像の表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、衣料品の試着開始の操作を受け付けるスタート画面の一例である。
【図11】図11は、顧客の動画像および衣料品画像のサムネイル画像を表示した画面の一例を示す図である。
【図12】図12は、顧客の動画像に生成した衣料品画像を重ね合わせた合成画像が表示された画面の一例である。
【図13】図13は、選択した衣料品に組み合わせて着用可能な衣料品の衣料品画像の他の表示例を示す図である。
【図14】図14は、選択した衣料品と組み合わせて着用する衣料品を選択する処理を説明するための図である。
【図15】図15は、選択した衣料品と組み合わせて着用する衣料品を選択する処理を説明するための図である。
【図16】図16は、合成画像に衣料品画像を重ね合わせた新たな合成画像が表示された画面の一例である。
【図17】図17は、合成画像および人型のシルエットを含む画面の一例を示す図である。
【図18】図18は、合成画像およびカウントダウン表示を含む画面の一例を示す図である。
【図19】図19は、合成画像およびカウントダウン表示を含む画面の一例を示す図である。
【図20】図20は、静止画を含む画面の一例を示す図である。
【図21】図21は、登録された商品の一覧が表示された画面の一例を示す図である。
【図22】図22は、商品登録処理の終了画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本実施形態では、衣料品店の店舗に導入されている業務支援システムを構成する試着システムへの適用例である。図1は、本実施形態にかかる業務支援システムの構成を示すブロック図である。業務支援システム11が導入されている店舗は、衣料品店であるため商品としての衣料品31(図3参照)が多数陳列されている。
【0007】
本実施形態では、業務支援システム11は、有線または無線の通信回線(例えば、インターネット等)15等を介して相互に電気的に接続されたコンピュータ301や、POS(Point Of Sale)端末501、試着室端末101、クライアント端末401、ハンディーターミナル601等を備えている。
【0008】
この業務支援システム11では、一つまたは複数のコンピュータ301が、所定のサービスを提供するサーバとして機能することができる。この業務支援システム11では、例えばSaaS(Software as a Service)の形態で、サービスが提供されうる。
【0009】
POS端末501は、店舗の出口付近に設けられたレジカウンタ(図示せず)に設定されている。POS端末501は、衣料品31毎に固有の商品IDを読み取って出力するスキャナ502を備えている。商品IDは、衣料品31(図3参照)に付されているタグ41(図3参照)に、バーコードや2次元コード等のコードシンボルの形態で印刷されている。そして、POS端末501は、読み取られた情報に基づいて、商品販売データ処理を実行する。
【0010】
このようなPOS端末501には、通信回線15を介して、コンピュータ301、クライアント端末401、試着室端末101、およびハンディーターミナル601が接続されている。
【0011】
コンピュータ301には、ストレージデバイスとしてHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置が内蔵され、この記憶装置には各種ファイルが記憶されている。
【0012】
クライアント端末401は、業務支援システム11が導入された店舗を利用する顧客の家に設定されている。クライアント端末401は、開閉自在の筐体を有するいわゆるノートパソコンであり、情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)402と、情報を入力するためのキーボード403と、LCD402の画面上に表示されるマウスポインタを移動させるためのトラックパッド(図示せず)とを備えている。なお、クライアント端末401のその他の構成は、一般的なノートパソコンの構成と変わるところがないため、説明を省略する。
【0013】
ハンディーターミナル601は、店舗に来店した顧客に貸し出され、顧客により操作される携帯端末であり、顧客が自ら商品の登録を行うことができる。図2は、ハンディーターミナルの構成を示すブロック図である。ハンディーターミナル601は、図2に示すように、スキャナ602、操作部603、表示部604、通信インタフェース605、記憶部606、および制御部607を備えている。
【0014】
スキャナ602は、衣料品31(図3参照)に付されているタグ41に印刷されたバーコード42(図3参照)から商品IDを読み取る。操作部603は、各種キーやタッチパネル等の入力デバイスを有し、この入力デバイスの操作に応じた操作信号を制御部607に通知する。表示部604は、LCD等の表示デバイスを有し、制御部607の制御に従い文字や図形を表示デバイスに表示する。通信インタフェース605は、中継装置12を介してコンピュータ301と接続し、装置間で行われるデータ通信を制御する。
【0015】
記憶部606は、例えばHDDやSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等であって、制御部607が実行する各種プログラムや設定情報を予め記憶する。
【0016】
制御部607は、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成され、記憶部606に記憶された所定のプログラムを実行することでハンディーターミナル601の各部の動作を統括的に制御する。
【0017】
図1に戻り、試着室端末101は、顧客が商品である衣料品31(図3参照)を試着する際に使用する試着室21に設置されている。顧客は、試着室21で試着してから衣料品31(図3参照)の購入を検討する。
【0018】
図3は、試着室端末が設置されている試着室を示す斜視図である。試着室21は、図3に示すように、上面と正面の一部とが開口した直方体形状を有している。試着室21の正面の開口部分は、顧客が出入するための出入口22となっている。出入口22には、布製のカーテン23が図示しないカーテンレールによって開閉自在に取り付けられている。なお、試着室21の出入口22は、カーテン23の代わりに、例えばスライド開閉自在な扉が設けられていても良い。図3では、カーテン23を開いた状態の試着室21を示しているため、試着室21の中を視認できる。試着室21の中の背面側の壁には、衣料品31を試着した顧客の動画像の表示や、商品の登録を行う試着室端末101が取り付けられている。また、試着室端末101の上方位置には、蛍光灯である照明25が取り付けられている。
【0019】
図3に示すように、試着室端末101は、厚みのある平板状のハウジング102を備えている。このハウジング102には、表示部としてのLCD103、試着室21に入って衣料品31を試着する顧客(人物)の動画像を撮影するカメラ104、および試着室21に入った顧客が音声を入力するためのマイク105(図4参照)が取り付けられている。
【0020】
さらに、試着室端末101には、コンピュータ301やハンディーターミナル601等とデータ通信を実行するための通信インタフェース162(図4参照)が内蔵されている。
【0021】
また、試着室端末101の下方位置には、タグ41に印刷されたバーコード42から商品IDを読み取るスキャナ181が取り付けられている。スキャナ181は、試着室端末101との間でデータ通信可能に有線接続されている。スキャナ181は、商品タグ41に印刷されたバーコード42から商品IDのデータを読み取って出力する。こうして出力された商品IDのデータは、試着室端末101のCPU151(図4参照)に入力される。
【0022】
また、図3に示すように、試着室21の背面には、細長い円柱状のポール191が立設されている。ポール191の先端部には、青色と赤色と緑色とを選択的に発光可能な報知部としての発光部192が設けられている。発光部192は、ポール191を通る図示しないケーブルによって試着室端末101と接続されており、試着室端末101のCPU151(図4参照)によって動作制御を受ける。なお、CPU151による動作制御を受けていない状態では、発光部192は発光動作をしていない。
【0023】
また、図3に示すように、試着室21の出入口22の一方の側部には、出入口22を通過する顧客を検出する人感センサとして赤外線センサ171が取り付けられている。この赤外線センサ171は、いわゆる焦電型赤外線センサである。つまり、赤外線センサ171は、出入口22を通過する顧客の人体が発する赤外線を受光し、受光した赤外線を熱変換し、その熱を素子の焦電効果で電荷に変えて出力する。このような赤外線センサ171は、試着室端末101と図示しないケーブルによって接続されており、赤外線センサ171の出力は、試着室端末101のCPU151(図4参照)へと入力される。
【0024】
図4は、試着室端末のハードウェア構成を示すブロック図である。試着室端末101は、各種演算処理を実行し各部を制御する情報処理部としてのCPU151を備えている。CPU151には、コンピュータプログラム等の固定データを固定的に記憶保存するROM152と、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM153と、試着室端末101の電源を落としてもデータ内容を保持する不揮発性メモリであるフラッシュメモリ154とがバス接続されている。
【0025】
CPU151には、前述したLCD103、カメラ104、マイク105、通信インタフェース162、赤外線センサ171、スキャナ181、および発光部192が、いずれも各種の入出力回路を介して接続され、CPU151によって動作制御される。
【0026】
なお、本実施形態では、試着室端末101は、顧客からの操作入力を受け付けるためのタッチパネルや操作キーなどのハードウェアを備えておらず、CPU151が、カメラ104により撮像された動画像内の顧客のジェスチャによる操作またはマイク105から入力された音声による操作を受け付けるものとする。なお、ジェスチャまたは音声による操作を受け付ける方法については、各種の公知手法を用いて実行するものとし、ここでは説明を省略する。
【0027】
フラッシュメモリ154には、各種コンピュータプログラムおよび各種ファイルが記憶されている。このようなフラッシュメモリ154に記憶されている各種コンピュータプログラムおよび各種ファイルは、試着室端末101の起動時に、その全部または一部がRAM153にコピーされて使用される。
【0028】
そして、試着室端末101のCPU151は、コンピュータプログラムに従って実行する処理中に各種のファイルにデータアクセスする。アクセスされるファイルは、コンピュータ301のHDD(図示せず)に格納されているファイルである。コンピュータ301は、通信回線15を介して試着室端末101と接続されている。そのため、これらのファイルは、試着室端末101のCPU151によってデータアクセス可能となっている。
【0029】
ここで、図5〜8を用いて、コンピュータ301のHDD(図示せず)に格納されている各種のファイル(商品ファイルF1、在庫ファイルF2、顧客ファイルF4、画像ファイルF3等)について説明する。
【0030】
図5は、商品ファイルのデータ構成を示す図である。商品ファイルF1は、商品(衣料品31)を特定する商品IDに対応付けて、商品名と、単価と、当該商品IDにより特定される商品と組み合わせて着用可能な商品のうちおすすめコーディネート商品の商品IDと、を記憶するファイルである。本実施形態では、商品IDは、8桁の数字で表され、例えば、三つボタンジャケットを特定する商品IDは、「1234××××」である。「1234××××」における下四桁「××××」は任意の数字である。そのため、例えば、「12345678」と「12341234」とは、いずれも三つボタンジャケットを示す商品IDである。
【0031】
なお、商品ファイルF1は、POS端末501による商品販売データ処理の実行中にもデータアクセスされて、商品名と単価とが読み出される。つまり、商品販売データ処理は、スキャナ502によって読み取られた商品IDに基づいて、商品ファイルF1から対応する商品名および単価のデータを読み出し、読み出した単価に基づいて決済金額を算出する処理である。
【0032】
図6は、在庫ファイルのデータ構成を示す図である。在庫ファイルF2は、店舗に陳列されている商品(衣料品31)について、商品名および在庫数を書き換え自在に記憶するファイルである。
【0033】
また、在庫ファイルF2には、店舗にある全ての在庫についての商品IDに対応付けて、商品IDによって特定される個別の商品についての属性情報である色およびサイズが記憶されている。
【0034】
さらに、在庫ファイルF2には、商品IDに対応付けて場所が記憶されている。場所には、店舗におけるその商品の陳列場所が所定の場所記号(A−1−a、B−2−c等)で記憶される。場所記号は陳列場所毎に割り当てられている。なお、その商品が店舗に陳列されておらず倉庫にある場合に、場所には「倉庫」という情報が記憶される。
【0035】
例えば、図6に示すように、三つボタンジャケットについては、在庫数=9である。そして、この9つの在庫中、商品ID=12345678によって特定される三つボタンジャケットは、色=ダークブラウン、サイズ=M、場所=A−1−aである。
【0036】
図7は、画像ファイルのデータ構成を示す図である。画像ファイルF3は、図7に示すように、商品IDに対応付けて、複数の向きの衣料品31の衣料品画像を、衣料品31の向きを付加して記憶する。なお、衣料品画像は、バーチャルな3D画像であっても良いし、2D画像であっても良い。
【0037】
図8は、顧客ファイルのデータ構成を示す図である。顧客ファイルF4は、図8に示すように、顧客を特定する顧客IDと対応付けて、顧客の氏名、顧客が着用する商品のサイズ、登録済み商品の商品ID、および顧客によってクライアント端末401から予め登録された衣料品画像を記憶する。ここで、登録済み商品の商品IDとは、スキャナ602により読み取った商品IDおよび試着室端末101において登録された商品の商品IDである。
【0038】
このような構成において、店舗に訪れた顧客は、店舗内に陳列されている1又は2以上の衣料品31を選び、購入検討のために試着室21に持ち込む。この際、試着室端末101において、衣料品31の衣料品画像を、カメラ104により撮影された顧客の動画像に重ね合わせた合成画像を表示する処理について説明する。
【0039】
図9は、合成画像の表示処理の流れを示すフローチャートである。ROM152に記憶されているコンピュータプログラムには、合成画像の表示処理用のプログラムが含まれている。この合成画像の表示処理用のプログラムは、その起動時にRAM153にコピーされて使用される。図9に示すフローチャートの処理は、RAM153にコピーされた合成画像の表示処理用のプログラムに従いCPU151が実行する処理内容を示している。
【0040】
試着室端末101のCPU151は、赤外線センサ171の検出出力が入力されるのを待機している。ここで、顧客が衣料品31を試着室21の中に持ち込むに際しては、顧客は必ず出入口22を通過する。このとき、赤外線センサ171は、出入口22を通過する顧客の身体が発する赤外線を検出して出力する。そして、この検出出力は試着室端末101のCPU151に入力される。
【0041】
CPU151は、赤外線センサ171からの検出出力が入力された場合、衣料品31の試着開始の操作を受け付けるスタート画面を、LCD103に表示する。図10は、衣料品の試着開始の操作を受け付けるスタート画面の一例である。本実施形態では、CPU151は、図10に示すように、衣料品31の試着開始の操作を受け付けるためのスタートボタン1001や、店舗名:「×××××」や、顧客名:「△△△△」や、顧客が試着室21に持ち込んだ試着する衣料品31に付された商品タグ41に印刷されたバーコード42のスキャナ181による読み取りを指示するメッセージなどが表示されたスタート画面1000を、LCD103に表示する。また、本実施形態では、CPU151は、データベースサーバ301の顧客ファイルF4から、ハンディーターミナル601の操作部603から入力された顧客IDと対応付けられた氏名を読み込み、読み込んだ氏名が顧客名として表示されたスタート画面1000をLCD103に表示するものとする。
【0042】
図10に示すスタート画面1000を表示した後、CPU151は、スタートボタン1001の操作を待つ。そして、スタートボタン1001が操作されると、CPU151は、カメラ104に撮影された顧客の動画像を取り込むとともに、コンピュータ301の画像ファイルF3から、スキャナ181により読み取った商品IDと対応付けられた衣料品画像(正面を向かせた衣料品31の衣料品画像)を読み込む。そして、CPU151は、カメラ104から取り込んだ顧客の動画像、および商品ファイルF1から読み込んだ衣料品画像のサムネイル画像をLCD103に表示する。図11は、顧客の動画像および衣料品画像のサムネイル画像を表示した画面の一例を示す図である。本実施形態では、CPU151は、図11に示すように、カメラ104から取り込んだ顧客の動画像1101、商品ファイルF1から読み込んだ衣料品画像のサムネイル画像1102、試着室21を利用可能な残り時間等が表示された画面1100をLCD103に表示する。顧客は、画面1100内のサムネイル画像1102を操作することにより、試着する商品の選択を要求することができる。
【0043】
画面1100内のサムネイル画像1102が操作されると、CPU151(選択部)は、スキャナ181により読み取った商品IDから特定される商品のうち、サムネイル画像1102が操作された商品を顧客に試着させる衣料品31(衣料品データ)として選択する(ステップS901)。顧客に試着させる衣料品31が選択されると、CPU151(判別部)は、カメラ104により動画像を撮影した顧客の向きを判別する(ステップS902)。本実施形態では、CPU151は、各種の公知手法を用いて、カメラ104から取り込んだ動画像から、顧客の顔や肩や腕や足等の部分を抽出する。一例として、人の顔では、両目と口とがある範囲内で予め決められた配列をとるので、両目であろう部分と口であろう部分とを画像処理技術によって判別し、その配列がある範囲で予め決められた配列をとるのであれば、これを人の顔と判定する。両目であろう部分と口であろう部分とは、その画像上の各種の特徴量から推定することが可能である。そして、CPU151は、各種の公知手法を用いて、抽出した顧客の顔や肩や腕等の部分から、顧客の向きを判別する。一例として、両目であろう部分と口であろう部分との配置関係、そのような配置関係から定まる顔の中心に対する顎であろう部分の左右バランス等から、推定することが可能である。
【0044】
次に、CPU151は、選択した衣料品31を元に、判別した顧客の向きと同じ向きに向かせた場合の衣料品画像を生成する(ステップS903)。本実施形態では、CPU151は、画像ファイルF3から、選択した商品の商品IDと対応付けられ、かつ判別した向きが付加された衣料品画像を読み込むものとする。また、本実施形態では、CPU151は、衣料品画像の読み込みと同時に、商品ファイルF1から、選択した商品の商品IDと対応付けられた商品名、単価、おすすめコーディネート商品の商品IDを読み込む。また、本実施形態では、CPU151は、在庫ファイルF2から、選択した商品の在庫数およびサイズを読み込む。さらに、本実施形態では、CPU151は、顧客ファイルF4から、ハンディーターミナル601の操作部603から入力された顧客IDと対応付けられたサイズを読み込む。
【0045】
なお、CPU151は、カメラ104から取り込んだ動画像から抽出した顔や肩や腕や足の角度等に応じて、生成した衣料品画像を変形または拡大することも可能である。この場合に、画像ファイルF3は、顔や肩や腕や足の角度等を変化させた場合の衣料品画像を、衣料品画像の向き毎に記憶している必要がある。そして、CPU151は、判別した向きが付加され、かつカメラ104から取り込んだ動画像から抽出した顔や肩や腕や足の角度と一致する衣料品画像を、画像ファイルF3から読み込むものとする。
【0046】
次に、CPU151(表示部)は、生成した衣料品画像を、カメラ104から取り込んだ顧客の動画像1101に重ね合わせた合成画像をLCD103に表示する(ステップS904)。図12は、顧客の動画像に生成した衣料品画像を重ね合わせた合成画像が表示された画面の一例である。本実施形態では、CPU151は、図12に示すように、顧客の動画像1101のうち衣料品画像1206を重ね合わせる部分に当該部分の表示と異ならせる透過処理を施し、透過処理を施した部分に、生成した衣料品画像1206を重ね合わせた合成画像1201が表示された画面1100をLCD103に表示する。なお、選択されたサムネイル画像1102に対応する衣料品31を顧客が着用している場合は、ステップS901〜ステップS904での合成画像の重ね合わせは実施しないものとする。
【0047】
また、本実施形態では、CPU151は、現在試着中の衣料品31(つまり、動画像1101に重ね合わせた衣料品画像1206の衣料品31)のサムネイル画像1102の縁の色を他のサムネイル画像1102の縁の色と異なる色で表示したり、現在試着中の衣料品31のサムネイル画像1102の上に試着中であることを示すメッセージを表示したりして、現在試着中の衣料品31のサムネイル画像1102を強調表示する。
【0048】
さらに、本実施形態では、CPU151は、図12に示すように、商品ファイルF1から読み込んだ商品名および単価や在庫ファイルF2から読み込んだサイズなどの商品情報、商品の登録を要求するボタン1203などを含むポップアップ1202や、試着室端末101に対する各種処理の実行を要求する操作ボタン1204が表示された画面1100を、LCD103に表示する。
【0049】
店員の呼び出しを要求する操作ボタン1204(「呼び出し」)が操作されると、CPU151は、発光部192を制御して、発光部192を発光させて店員を呼び出す。写真撮影を要求する操作ボタン1204(「写真撮影」)が操作されると、CPU151は、カメラ104から、操作ボタン1204(「写真撮影」)が操作されたタイミングで撮影された静止画を取り込む。
【0050】
また、選択した衣料品31と組み合わせて着用可能な衣料品の衣料品画像の表示を要求する操作ボタン1204(「おすすめコーデ」、「クローゼット」、「買物カゴ」)が操作されると、CPU151、図12に示すように、画像ファイルF3または顧客ファイルF4から、選択した衣料品31と組み合わせて着用可能な衣料品の衣料品画像1205を読み込む。次いで、CPU151(表示部)は、読み込んだ衣料品画像1205および合成画像1201を含む画面1100を、LCD103に表示する。
【0051】
例えば、操作ボタン1204のうち「おすすめコーデ」が操作された場合、CPU151は、商品ファイルF1から、選択した衣料品31の商品IDと対応付けられたおすすめコーディネート商品の商品IDを読み込む。次いで、CPU151は、画像ファイルF3から、読み込んだおすすめコーディネート商品の商品IDと対応付けられた衣料品画像1205を読み込み、読み込んだ衣料品画像1205および合成画像1201を含む画面1100を、LCD103に表示する。
【0052】
また、操作ボタン1204のうち「買物カゴ」が操作された場合、CPU151は、商品ファイルF1から、登録済み商品の商品IDを読み込む。次いで、CPU151は、画像ファイルF3から、読み込んだ登録済み商品の商品IDと対応付けられた衣料品画像1205を読み込み、読み込んだ衣料品画像1205および合成画像1201を含む画面1100を、LCD103に表示する。
【0053】
さらに、操作ボタン1204のうち「クローゼット」が操作された場合、CPU151は、顧客ファイルF4から、ハンディーターミナル601の操作部603から入力された顧客IDと対応付けられた衣料品画像1205(予め登録した衣料品画像)を読み込み、読み込んだ衣料品画像1205および合成画像1201を含む画面1100を、LCD103に表示する。
【0054】
なお、本実施形態では、選択した衣料品31と組み合わせて着用可能な衣料品31の衣料品画像1205を、顧客の動画像1101に衣料品画像1206を重ね合わせた合成画像1201とともに表示しているが、これに限定するものではない。例えば、選択した衣料品31と組み合わせて着用可能な衣料品31の衣料品画像1205を、顧客の静止画に衣料品画像1206を重ね合わせた合成画像とともに表示しても良い。
【0055】
また、図12に示す画面1100においては、選択した衣料品31と組み合わせて着用可能な衣料品の衣料品画像1205を、合成画像1201の周りに、衣料品の種類毎に分けて表示しているが、これに限定するものではない。図13は、選択した衣料品に組み合わせて着用可能な衣料品の衣料品画像の他の表示例を示す図である。例えば、操作ボタン1204のうち「おすすめコーデ」が操作された場合、CPU151は、図13に示すように、選択した衣料品31と、当該選択した衣料品31と組み合わせて着用可能な衣料品と、を組み合わせた衣料品画像1301を含む画面1100をLCD103に表示しても良い。
【0056】
図12に示す画面1100をLCD103に表示した後、CPU151は、選択した衣料品31と組み合わせて着用する衣料品が選択されたか否かを判断する。
【0057】
図14および図15は、選択した衣料品と組み合わせて着用する衣料品を選択する処理を説明するための図である。CPU151は、画面1100に表示した衣料品画像1205の中から、選択した衣料品31と組み合わせて着用する衣料品31の衣料品画像1401が操作されると、図14に示すように、衣料品画像1401の縁の色を変えるなどして強調表示する。さらに、CPU151は、操作された衣料品画像1401の衣料品31が商品である場合には、図14に示すように、衣料品画像1401の近傍にポップアップ1202を表示する。その後、図15に示すように、衣料品画像1401が合成画像1201上にドラッグされると、CPU151は、選択した衣料品31と組み合わせて着用する衣料品31が選択されたと判断する。
【0058】
選択した衣料品31を組み合わせて着用する衣料品が選択されたと判断した場合、CPU151は、図9に示すステップS902〜ステップS904に示す処理と同様に、選択された衣料品31の衣料品画像を、合成画像1201に重ね合わせた新たな合成画像の表示処理を実行する。簡単に説明すると、CPU151は、まず、カメラ104により動画像を撮影した顧客の向きを判別する。次に、CPU151は、選択された衣料品31を、判別した顧客の向きと同じ向きに向かせた場合の当該選択された衣料品31の衣料品画像を生成する。そして、CPU151は、合成画像1201に生成した衣料品画像を重ね合わせた新たな合成画像をLCD103に表示する。
【0059】
図16は、合成画像に衣料品画像を重ね合わせた新たな合成画像が表示された画面の一例である。本実施形態では、CPU151は、図16に示すように、合成画像1201に生成した衣料品画像1603を重ね合わせた新たな合成画像1601を含む画面1100をLCD103に表示する。また、本実施形態では、CPU151は、図16に示すように、商品ファイルF1から読み込んだ商品名および単価、在庫ファイルF2から読み込んだサイズ、商品の登録を要求するボタン1203などに加え、在庫ファイルF2から読み込んだサイズと顧客ファイルF4から読み込んだサイズとが異なる場合に、サイズが合っていないことを通知するメッセージ等の警告1602を含むポップアップ1202を含む画面1100をLCD103に表示する。
【0060】
選択した衣料品31と組み合わせて着用する衣料品31が選択されなかった場合、CPU151は、操作ボタン1204(「写真撮影」)が操作されて静止画の撮影が要求されたか否かを判断する。静止画の撮影が要求された場合、CPU151は、合成画像1201,1601の撮影処理を実行する。具体的には、CPU151は、まず、合成画像1201,1601、および動画像内にいる顧客に対して静止画の撮影範囲を示す人型のシルエットを含む画面をLCD103に表示する。図17は、合成画像および人型のシルエットを含む画面の一例を示す図である。本実施形態では、CPU151は、図17に示すように、合成画像1201,1601および人型のシルエット1701に加え、静止画の撮影開始を指示する発話(例えば、「OK」など)を要求するメッセージ1702、および静止画の撮影中止を指示するキャンセルボタン1703を含む画面1100をLCD103に表示する。
【0061】
次いで、マイク105から静止画の撮影開始を指示する発話が入力されると、CPU151は、合成画像1201,1601、および撮影タイミングまでのカウントダウン表示をLCD103に表示する。図18および図19は、合成画像およびカウントダウン表示を含む画面の一例を示す図である。本実施形態では、CPU151は、図18および図19に示すように、合成画像1201,1601、「3,2,1」などのカウントダウン表示1801,静止画の撮影タイミングを示すフラッシュ表示1901(例えば、合成画像1201,1601の輝度を上げるなど)を含む画面1100をLCD103に表示する。さらに、本実施形態では、CPU151は、静止画の撮影タイミングを示す音(例えば、「カシャ」などのカメラのシャッタ音)を図示しないスピーカから出力する。
【0062】
次に、CPU151は、静止画の撮影タイミングを示すフラッシュ表示1901および静止画の撮影タイミングを示す音の出力と同時に、カメラ104により撮影された静止画を取り込むとともに、取り込んだ静止画をLCD103に表示する。図20は、静止画を含む画面の一例を示す図である。本実施形態では、CPU151は、図20に示すように、合成画像1201,1601、ポップアップ1202、取り込んだ静止画2001、静止画2001の表示の中止を要求するボタン2002を含む画面1100をLCD103に表示する。なお、画面1100に表示された静止画2001が操作されると、CPU151は、操作された静止画2001をハンディーターミナル601に送信するものとする。これにより、ユーザは、ハンディーターミナル601において、合成画像1201,1601を確認することができる。
【0063】
静止画の撮影が要求されなかった場合、CPU151は、画面1100においてボタン1203が操作されて商品の登録が要求されたか否かを判断する。ボタン1203が操作されて商品の登録が要求されると、CPU151は、登録が要求された商品の商品IDを、顧客ファイルF4の登録済み商品の商品IDに追加して、商品の登録を実行する。そして、CPU151は、登録された商品の一覧をLCD103に表示する。図21は、登録された商品の一覧が表示された画面の一例を示す図である。本実施形態では、CPU151は、登録された商品の一覧や、商品の登録をやり直すボタン2102や、商品の登録を確定するボタン2103などが含まれるポップアップ2101を合成画像1201,1601上に表示した画面1100をLCD103に表示する。
【0064】
商品の登録を確定するボタン2103が操作されると、CPU151は、商品登録処理を終了する。図22は、商品登録処理の終了画面を示す図である。本実施形態では、CPU151は、商品登録処理が終了すると、図22に示すように、商品登録処理の終了を通知する画面2200をLCD103に表示する。
【0065】
このように、本実施形態の業務支援システム11によれば、衣料品を試着する人物の動画像を撮影し、動画像を撮影した人物に試着させる衣料品を選択し、動画像を撮影した人物の向きを判別し、選択した衣料品を、判別された向きと同じ向きに向けた場合の衣料品の衣料品画像を生成し、撮影した人物の動画像に、生成した衣料品画像を重ね合わせた合成画像を表示することにより、人物の動画像の向きの変化に応じて、衣料品の向きも変化させることができるので、顧客が実際の衣料品を着用したイメージを捉え易くすることができる。
【0066】
なお、本実施形態の試着室端末101で実行されるプログラムは、ROM152等に予め組み込まれて提供されるが、これに限定するものではなく、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0067】
さらに、本実施形態の試着室端末101で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ301上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の試着室端末101で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0068】
なお、本実施形態では、試着室端末101単体で上述した各部(選択部、判別部、表示部など)を実現しているが、これに限定するものではなく、通信回線15に接続された一または複数のコンピュータ301で上述した各部(選択部、判別部、表示部など)を実現しても良い。
【符号の説明】
【0069】
11 業務支援システム
15 通信回線
31 衣料品
101 試着室端末
103 LCD
104 カメラ
151 CPU
152 ROM
153 RAM
162 通信インタフェース
301 コンピュータ
1101 動画像
1201 合成画像
1202 ポップアップ
1205,1206 衣料品画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2005−174204号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣料品を試着する人物の動画像を撮影する撮影手段と、
衣料品データを選択する選択手段と、
前記撮影手段により動画像を撮影した人物の向きを判別する判別手段と、
前記選択手段により選択された衣料品データを元に、前記判別手段により判別された向きと同じ向きに向けた場合の衣料品画像を前記撮影手段により撮影した人物の動画像に重ね合わせた合成画像を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする試着システム。
【請求項2】
前記判別手段は、前記撮影手段により動画像を撮影した人物の部分の配置関係から、前記撮影手段により動画像を撮影した人物の向きを判別することを特徴とする請求項1に記載の試着システム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記選択した衣料品が商品である場合に、前記合成画像に加えて、前記選択した衣料品を示す商品情報を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の試着システム。
【請求項4】
衣料品を試着する人物の画像を撮影する撮影手段と、
衣料品データを選択する選択手段と、
前記選択した衣料品データの衣料品画像を前記撮影した人物の画像に重ね合わせた合成画像、および前記選択した衣料品データと組み合わせて着用する衣料品データの衣料品画像を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする試着システム。
【請求項5】
前記表示手段は、前記選択した衣料品データと組み合わせて着用する衣料品データのうち、店舗で商品として販売されている衣料品データの衣料品画像を表示することを特徴とする請求項4に記載の試着システム。
【請求項6】
前記表示手段は、前記選択した衣料品データと組み合わせて着用する衣料品データのうち、予め登録した衣料品データの衣料品画像を表示することを特徴とする請求項4に記載の試着システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−108805(P2012−108805A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258299(P2010−258299)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】