説明

試薬カートリッジ

【課題】アナライザに交換可能に挿入することができ、複数の試薬バッグが、アナライザの投入デバイスにそれぞれ任意に接続されてもよい接続ラインを備える試薬カートリッジを提供する。
【解決手段】各試薬バッグ(A、B、C、D)は、接続ライン(6、7、8、9)がそれぞれ延出する地点において、第1の弁位置が接続ラインと試薬バッグとの間の流体経路を開放し、第2の弁位置が、試薬バッグを閉鎖するとともに、周囲空気である通気源と接続ラインとの間の流体経路(11)を開放する少なくとも2つの弁位置を有する多方向弁(10)を有し、弁から延出する試薬バッグの接続ラインは、共通レール(12)またはコレクタ弁に直接通じている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナライザに交換可能に挿入することができ、複数の試薬バッグを備え、前記試薬バッグが、アナライザの投入デバイスにそれぞれ任意に接続されてもよい接続ラインを備える試薬カートリッジに関する。本発明はさらに、接続ライン内に位置する弁を備えた試薬バッグ、ならびに測定チャンバおよび交換可能な試薬カートリッジを備えたアナライザを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナライザは、たとえば、POC(ポイント・オブ・ケア)パラメータ、すなわち、血液ガス(O2、CO2、pH)、電解質(K+、Na+、Ca++、Cl-)、代謝産物(グルコースおよび乳酸)、ヘマトクリット、ヘモグロビンパラメータ(tHb、SO2など)、ならびに全血中における列挙したパラメータを分散的に判定する(decentralized determination)のに使用されるビリルビンを判定する、可搬型のアナライザであってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決すべき課題は、すべての流体、すなわち、種々のサンプル容器から採取されてもよいサンプル(たとえば、血液)、外部の品質管理(QC)流体、ならびに、校正流体、QC流体、すすぎ流体、消毒流体、および清浄(cleansing)流体など、試薬カートリッジの試薬バッグ内に存在する機能性流体を、好ましくは、単一の投入要素(たとえば、投入針)を通してアナライザに入れることができるように、複数の試薬バッグをアナライザに接続するやり方に関する。
【0004】
部分的にトノメータ処理した(tonometered)機能性流体は、試薬バッグ(たとえば、ヒートシールした積層アルミニウムバッグ)に収容される。既知の用途では、試薬バッグは、バッグがアナライザに挿入されると不可逆的に開放されて、バッグの内容物を放出する隔壁または弁(あるいはバッグ弁(bag valve))を用いて、アナライザ内で使用されるのに先立って閉止される。
【0005】
測定すべきサンプル内容物の、または校正流体およびQC流体の相互汚染が生じないことが確保されなければならない。さらに、バッグまたは管のトノメータ処理した流体が含有するガス混合物の組成が、操作の間だけでなく、より長時間の待機段階の間も一定のままであることが保証されなければならない。
【0006】
これに関連して、DE 35 02 546 C2から、初期位置にあるサンプル投入アセンブリの投入要素(たとえば、中空針)が、校正媒体および標準媒体を供給するチューブおよび弁制御式の給気口に接続する結合要素に対してアナライザ経路を封止する、液状サンプルおよびガス状サンプルを測定するアナライザが知られている。投入要素がその初期位置から外れて傾けられた場合、種々のサンプル容器からのサンプル流体を入れることができる。個々の流体サンプルを分離する、またはサンプル経路を乾燥させる弁を通して空気を入れることによって、他の弁または遮断デバイスが不要になる。別々に交換可能な個々の試薬容器の遮断弁は、単純な閉鎖弁(blocking valves)として設計されている。米国特許第4,499,053号Aが類似のタイプのアナライザを開示している。
【0007】
試薬容器から遮断弁に至る、かつその先の遮断弁から結合要素の供給ライン内の取付け具までのラインを空にできないこと、あるいは、もっと正確に言えば、ラインに含まれている流体を試薬容器に戻し、空気を容器に導入し、結果としてトノメータ処理した校正流体のガス濃度を変化させることなく、それらのラインを空にできないことは不利である。
【0008】
従来使用される剛性の試薬容器の代わりに、現在は、積層した箔(たとえば、アルミニウム箔)で作られた可撓性のヒートシールされたバッグが好ましい。
【0009】
血液アナライザ内の交換可能な試薬カートリッジに収容された試薬バッグを使用することは、高い頻度で特許文献に、たとえば、米国特許第5,882,602号A、米国特許第5,780,302号A、および米国特許第6,872,297号B2に記載されてきた。
【0010】
たとえば、米国特許第5,882,602号Aは、「フロー取付け具」と組み合わされた自己封止弁を開示している。これは、試薬バッグの接続要素内にあるエラストマー製の隔壁を意味し、それは、アナライザに挿入されると、針によって穿孔される。米国特許第5,780,302号Aに記載されているバッグ接続部は類似の種類のものである。
【0011】
米国特許第6,872,297号B2の図1に示されるような実施形態は、校正流体およびすすぎ流体を含む複数の試薬バッグ(A, B, Rinse)を有する交換可能な試薬カートリッジを有し、それら試薬バッグの接続ラインは、回転弁および「共通レール」によって投入ユニットの傾動可能なカニューレに導かれる。そこから流体は別のラインを通して測定チャンバ内に供給され、最終的に蠕動ポンプを通して、試薬カートリッジにやはり収容されている廃棄物容器内に供給される。回転弁の特定の位置では、空気を共通レール内に供給することができる。
【0012】
米国特許第6,782,297号Aの回転弁の変形例では、やはり、バッグの内容物が空気で汚染される恐れなしに、試薬バッグから回転弁につながる接続ラインを空にすることはできない。
【0013】
当該分野では、バッグの単純な開閉弁を、試薬カートリッジを棚で保管している間は閉止した状態で保ち、カートリッジを挿入したときに初めて不可逆的に開放することが知られているが、弁は、カートリッジの使用期間の間は開放されたままとなり、別個の回転弁が接続ラインを介して流体を送る。この配置では、接続ラインを空にすることは不可能である。これは、特にカートリッジがより長期間使用される場合の不利な点である。
【0014】
アナライザの測定動作の間、試薬カートリッジに収容された校正流体および品質管理流体は、管システム、共通レール(たとえば、DE 35 02 546 C2を参照)、または回転弁(たとえば、米国特許第6,872,297号Aを参照)と、中空針とを通して、試薬バッグそれぞれから測定セルに汚染されずに移送されなければならない。
【0015】
装置が、長期間、すなわちサンプル測定の実行または待機段階(一般的に、1〜8時間)において使用可能な場合、個々のライン(共通レールまたは回転弁につながる)の管材料の通気性により、校正流体または品質管理流体のガス濃度が大幅に変化する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、接続ラインの管材料の通気性、または抜き取られた機能性流体の逆流によって、校正流体または品質管理流体のガス濃度に対する負の影響が引き起こされないような形で、上述のような試薬バッグを備えた、アナライザに挿入される試薬カートリッジを改善することである。アナライザの操作は、単純、経済的、堅牢であり、かつ保守を必要としないものであるべきである。
【0017】
本発明によれば、この目的は、各試薬バッグが、接続ラインが延出する地点において、第1の弁位置が接続ラインと試薬バッグとの間の流体経路を開放し、第2の弁位置が、試薬バッグを閉鎖するとともに、好ましくは周囲空気である通気源と接続ラインとの間の流体経路を開放するような少なくとも2つの弁位置を有するアナライザ制御式の多方向弁を有することを提案することによって実現される。したがって、第2の弁位置は、接続ラインから抜き取られた機能性流体の逆流を回避すると同時に、空気(または不活性ガス)を受け入れることによって、バッグの内容物が空気または不活性ガスで汚染されることなく、バッグ弁から延出する接続ラインが乾燥され、流体が吸引されてなくなる。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態では、多方向弁から延出する試薬バッグの接続ラインは、アナライザの投入デバイスよりも手前の共通レールに直接通じる。共通レールを使用することにより、アナライザの投入デバイスへの弁を伴わない接続が確立されてもよく、それは、個々の試薬バッグに一体化された多方向弁と併せて、本発明によって提供される、かつより詳細に後述される種々の利点に結び付く。
【0019】
本発明の代替実施形態では、多方向弁から延出する接続ラインは、投入デバイスよりも手前の共通のコレクタ弁、好ましくは回転弁に直接つながっている。
【0020】
本発明の好ましい一変形例によれば、各多方向弁は、試薬バッグへのアクセスと通気源への流体経路との両方が閉鎖される第3の弁位置を有する。これにより、試薬カートリッジの輸送および保管の間、または測定間の長い休止期間の間、接続ラインが環境物質によって汚染されないことが確保される。
【0021】
本発明の第1の実施形態では、試薬バッグの各多方向弁は、試薬バッグの周辺シームに接着またはヒートシールされた第1の取付け具と、接続ラインに接合された第2の取付け具とを有し、弁ピストンがピストン弁の弁シリンダ内で軸線方向に滑動するピストン弁として構成され、ピストンは、第1および第2の移動通路の間に封止領域を備え、ピストンをシフトさせることによって、各通路または領域が第2の取付け具と個々に位置合わせされてもよい。
【0022】
各弁ピストンは、アナライザの作動要素を受け入れる作動オリフィスを有し、個々のバッグ弁に対する作動要素は、カートリッジがアナライザに挿入されると自動的に適所に係止される。
【0023】
測定チャンバと、校正流体、品質管理流体、すすぎ流体、清浄流体、または消毒流体を含む試薬バッグを収容する交換可能な試薬カートリッジと、を有するアナライザを操作する本発明による方法は、少なくとも次の工程を特徴とする。
【0024】
試薬バッグの1つから流体パケットを抜き取るため、試薬バッグのすぐ上に位置する多方向弁が、試薬バッグの内容物の流路が開放される第1の弁位置(SK)へとシフトされる。
【0025】
流体パケットが、たとえばホースポンプによって、測定チャンバに向かって、またはその中へ移送される。
【0026】
流体を抜き取った後、多方向弁が、試薬バッグ内への経路が閉止され、同時に好ましくは周囲空気である通気源に向かう流路が開放される第2の弁位置(SL)へとシフトされる。
【0027】
通気源からのガス状媒体が、好ましくは測定チャンバまで吸入されて、流体ラインが乾燥し、流体を含まなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】弁制御式の接続ラインを有する複数の試薬バッグを備えた、本発明による試薬カートリッジを示す概略図である。
【図2】ピストン弁として実現されるバッグ弁および共通レールを有する、本発明による試薬カートリッジの詳細な第1の変形例を示す図である。
【図3】回転弁として実現されるバッグ弁および共通レールを有する、本発明による試薬カートリッジの詳細な第2の変形例を示す図である。
【図4】回転弁として実現されるバッグ弁および共通のコレクタ弁を有する、本発明による試薬カートリッジの詳細な第3の変形例を示す図である。
【図5】周辺シーム内にヒートシールされたピストン弁を有する、本発明による試薬カートリッジを示す断面図である。
【図6】図5に示されるようなピストン弁の異なる弁位置を示す図である。
【図7】図5に示されるようなピストン弁の異なる弁位置を示す図である。
【図8】図5に示されるようなピストン弁の異なる弁位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
医療流体サンプル、たとえば血液サンプルを分析する、図1に概略的に示されるアナライザ1は、アナライザ1に交換可能に挿入することができる試薬カートリッジ2を備える。カートリッジ2は、投入デバイス3に個々に供給され、それに続いて、たとえばセンサカートリッジ4に収容された測定チャンバ5内に供給されてもよい、校正手段、品質管理手段、洗浄溶液、すすぎ溶液、および消毒溶液などの機能性流体を収容する、複数の試薬バッグA〜Dを備える。アナライザ1の投入デバイス3は、基本位置では校正手段およびすすぎ手段を投入するため結合要素14に接続し、基本位置から上方に傾斜した位置15ではサンプル流体を取り入れることができる、傾動可能な投入要素13(たとえば、中空針)を備える。
【0030】
サンプル投入は、たとえばDE 35 02 546 C2または米国特許第4,499,053号Aに記載されているように、好ましくは、可動の、たとえば傾動可能な投入要素を通して、さまざまな容器(たとえば、注射器、毛細管、ガラス容器など)から行うことができる。
【0031】
各試薬バッグA〜Dは、それぞれの接続ライン6、7、8、9の始点において、少なくとも2つの弁位置を有するアナライザ制御式の多方向弁10(バッグ弁)を有し、第1の弁位置は、接続ライン6、7、8、9それぞれとそれに対応する試薬バッグA〜Dとの間の流体経路を開放する。第2の弁位置では、試薬バッグA〜Dはそれぞれ閉止され、好ましくは周囲空気である通気源と接続ライン6、7、8、9との間に流体経路11(たとえば、図2〜4を参照)が確立される。多方向弁から延出する試薬バッグA〜Dの接続ライン6、7、8、9はすべて、弁を伴わずに、サンプル投入デバイス3の結合要素14に接続する共通レール12に直接通じている。共通レール12またはコレクタ部分は射出成形によって作られてもよい。バッグ弁10の接続ライン6〜9は、たとえば、軟質プラスチック管材料で作られる。
【0032】
傾動可能な投入要素13を有するサンプル投入デバイス3は、好ましくは、試薬カートリッジ2の一体部品であり、カートリッジとともに交換される。
【0033】
流体経路は、アナライザ1に一体化されたホースポンプ29の固定部品を通してセンサカートリッジ4につながり、やはり試薬カートリッジ2に収容されている廃棄物バッグ30で終わる。図示される実施形態では、センサカートリッジ4は試薬カートリッジ2の一部ではなく、独立に交換されてもよい。
【0034】
図2に示される変形例では、各多方向弁10(バッグ弁)は、試薬バッグA、B、およびCの周辺シーム17(図4を参照)にヒートシールまたは接着された第1の取付け具16を有するピストン弁として実現される。さらに、各ピストン弁10は、接続ライン6、7、8用のホース取付け具18を有する。ピストン弁の弁ハウジング19内で、第1の移動通路21と第2の移動通路23との間に封止領域22を有する弁ピストン20を軸線方向にシフトさせることができ、それら通路/領域21、22、23はそれぞれ、弁ピストン20をシフトさせることによって取付け具18と位置合わせされてもよい。第1の弁位置SKでは、試薬は、移動通路23を通してバッグCから吸引することができる。第2の弁位置SLでは、バッグAは閉止され、ピストン20内の移動通路21および流体経路11を通して空気が吸入される。位置SGでは、バッグ取付け具16ならびに流体経路11は封止領域22によって閉止される。具体的な一変形例について、個々の弁位置が図6〜8に詳細に示される。
【0035】
図3の実施形態は、多方向弁が、第1の回転位置SKでは、接続ライン6、7、8と試薬バッグA、B、Cとの間に流体経路を確立し、第2の回転位置SLでは、好ましくは周囲空気である通気源と接続ライン6、7、8との間に流体経路11を確立する回転弁10'として実現されている、本発明の一変形例を示す。ここでは、接続ライン6、7、8はやはり、弁を伴わずに、共通レール12に直接通じており、それらの全長にわたって吸引されて乾燥され、流体を含まず、バッグの内容物の汚染が回避されてもよい。位置SGでは、バッグ取付け具16ならびに流体経路11は回転弁10'によって閉止される。
【0036】
図4の変形例では、多方向弁10'から延出する試薬バッグA、B、Cの接続ライン6、7、8は、サンプル投入デバイスよりも手前にあるコレクタ弁27、好ましくは回転弁に直接つながっている。この変形例でも、流体経路はすべて、吸引して乾燥させ、流体を含まないようにすることができるとともに、バッグの内容物の汚染が回避される。
【0037】
図5に示されるように、試薬バッグA〜Dと第1の取付け具16との間の連結は、ピストン弁10がそこに一体化される蝶形接続部(butterfly connection)として実現される。蝶形接続部は、バッグの周辺もしくは側面のシーム17に優先的に接着またはヒートシールされてもよい。
【0038】
したがって、接続ライン6、7、8、9の1つの始点に位置する、第1の弁位置(開放位置)および第2の弁位置(閉止位置)を有する弁10を備えた、本発明による試薬バッグA、B、C、Dは、閉止位置では、好ましくは周囲空気である通気源と接続ライン6、7、8、9との間で流体経路11が開放されるという事実によって特徴付けられる(図8を参照)。弁ピストン20は、アナライザの作動要素25がその中に係止するオリフィス24を備え、その作動要素は、矢印によって示されるように、一方の弁位置から他方へと切り替わるように上下に移動される。
【0039】
ピストン弁10(図6〜8を参照)を参照すると、弁の3つの異なる位置が代表的な形で示される。
【0040】
図6は弁位置SKを示し、機能性流体は、第1の取付け具16(バッグ接続部)、移動通路23(たとえば、弁ピストン20内の溝または平面区域)、および第2の取付け具18(チューブ接続部)を通してバッグから吸引される。
【0041】
図7は弁位置SGを示し、バッグ弁は閉止されている(閉止位置)。
【0042】
図8は弁位置SLを示し、周囲空気が、移動通路21(たとえば、環状ギャップ)および/または弁ハウジング内のチャネルを通して吸入されるが、バッグ取付け具16は閉鎖されている。
【0043】
弁ピストン20の封止領域22は、Oリングシール26によって、隣接した移動通路21、23それぞれから分離させることができる。
【0044】
新しい試薬カートリッジ2がアナライザ1に挿入されたとき、かつカートリッジがその送達状態にあるとき、バッグ弁10はすべて位置SGにある(図7を参照)。接続ライン6〜9は流体を含まない。
【0045】
以下は、本発明の試薬カートリッジの使用法のいくつかの実施例である。
【実施例1】
【0046】
測定チャンバ内で測定するための、試薬バッグAからの流体パケットの生成。
【0047】
表1に示される手順は、バッグ弁10それぞれから測定チャンバ5への流体ラインが空気で充填されている初期状態(工程1)から始まる。バッグ弁10はすべて位置SGにあり、ホースポンプ29は非活性化されており、投入部13は結合要素14内にある(posW)。
【表1】

【0048】
パケットサイズ、すなわち試薬バッグAからの流体の量もしくは体積は、タイミングによって、または測定チャンバ5へのラインに配備された監視センサの信号によって決定されてもよい。
【0049】
工程1に先行する、実施例の適用を初期化する任意の工程(ここではさらに説明はしない)が設けられてもよい。実施例の適用を終了するため、工程1〜8に続く任意の工程が可能である(やはりさらに説明はしない)。
【実施例2】
【0050】
測定チャンバ内のサンプルを位置決めするためのすすぎおよび調製。
【0051】
好ましい一実施形態では、すすぎ流体、洗浄流体、または消毒流体を優先的に収容している少なくとも1つの試薬バッグの多方向弁は、流体を吸入する第1の弁位置(SK)から、好ましくは空気であるガス状媒体を吸入する第2の弁位置(SL)に交互に切り替えられ、したがって、アナライザのラインシステムを介して測定チャンバ内に移送される流体パケットおよびガスパケットを交互に形成する。流体パケットおよび分離空気パケット(separating air packets)で交互に測定チャンバを洗浄することによって、測定チャンバを清浄化することは、特に有利であることが見出されている。
【0052】
表2に示される手順は、バッグ弁10それぞれから測定チャンバ5への接続ラインが空気で充填されている初期状態(工程1)から始まる。バッグ弁10はすべて位置SGにあり、ポンプ29は非活性化されており、投入部13は結合要素14内にある(posW)。
【表2】

【0053】
工程4〜5を繰り返すことによって、装置を清浄化するのに必要な任意の数の流体パケットおよび分離ガスパケット(たとえば、空気パケット)が生成されてもよい。
【実施例3】
【0054】
試薬バッグA〜Dの接続ライン6〜9の流体による部分的充填。
【0055】
共通レール12を用いた実施形態(図1〜図3を参照)では、流体、特に溶解ガスを含有する校正流体が、接続ライン6および共通レール12を介して吸引される場合、流れる流体と他の接続ライン7、8、9内に存在するガスとの間の接触が確立され、その結果、流体中に溶解したガスの濃度が変化する。これは、ガスセンサ用の校正流体が関連するときには不利である。
【0056】
流体および分離ガスパケットを移送する間、好ましい一実施形態では、試薬バッグのガスを含有する接続ライン内の圧力が、好ましくは流体移送用にアナライザ内に設けられたホースポンプ29のrpmを短期的に増加させることによって、最初に低下され、その後、好ましくはホースポンプ29のrpmを低減し、したがってそれを通常の動作速度に戻すことによって、圧力が再び上昇されるので、流体は、共通レール12に通じている接続ライン6、7、8、9の部分に導入される。
【0057】
したがって、手順は、接続ライン7〜9が共通レール12に通じている地点に隣接して、それらのラインを流体で部分的に充填するように設計されている。これは、ポンプ29の吸引速度が短期的に増加し、結果として接続ライン7〜9内に負圧が発生することに基づく。ポンプ29の吸引速度がその正常値に戻されると、接続ライン7〜9内のガス体積が収縮し、接続ラインが共通レール12からの流体で部分的に充填される。
【0058】
表3に示される手順は、やはり、実施例1で説明している初期状態(工程1)から始まる。
【表3】

【実施例4】
【0059】
共通レールに代わるコレクタ弁(多方向弁)の使用
表4に示される手順は、共通レール12の代わりにコレクタ弁を、たとえば回転弁27を使用する一実施例をもたらす。回転弁27は、たとえば、位置27-6、27-7、27-8(それぞれ、図4に示されるように接続ライン6、7、および8に接続する)を有する。
【0060】
この場合、バッグ弁の閉止位置SGは不要であり、すなわち、バッグ弁の2つの弁位置が十分である。
【表4】

【符号の説明】
【0061】
1 アナライザ
2 カートリッジ
3 投入デバイス
4 センサカートリッジ
5 測定チャンバ
6、7、8、9 接続ライン
10 弁
12 共通レール
13 投入要素
14 結合要素
A、B、C、D 試薬バッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナライザ(1)に交換可能に挿入することができ、複数の試薬バッグ(A、B、C、D)を備え、前記試薬バッグ(A、B、C、D)が、前記アナライザの投入デバイス(3)にそれぞれ任意に接続されてもよい接続ライン(6、7、8、9)を備える試薬カートリッジ(2)であって、
前記接続ライン(6、7、8、9)がそれぞれ延出する地点において、
第1の弁位置は、前記接続ライン(6、7、8、9)と前記試薬バッグ(A、B、C、D)との間の流体経路を開放し、第2の弁位置は、前記試薬バッグ(A、B、C、D)を閉鎖するとともに、好ましくは周囲空気である通気源と前記接続ライン(6、7、8、9)との間の流体経路(11)を開放するような少なくとも2つの弁位置を有するアナライザ制御式の多方向弁(10、10')を、各試薬バッグ(A、B、C、D)が有している、試薬カートリッジ。
【請求項2】
前記多方向弁(10、10')から延出する前記試薬バッグ(A、B、C、D)の前記接続ライン(6、7、8、9)が、前記投入デバイス(3)よりも手前にある共通レール(12)に直接通じている、請求項1に記載の試薬カートリッジ。
【請求項3】
前記多方向弁(10、10')から延出する前記試薬バッグ(A、B、C、D)の前記接続ライン(6、7、8、9)が、前記投入デバイス(3)よりも手前にある好ましくは回転弁であるコレクタ弁(27)に直接通じている、請求項1に記載の試薬カートリッジ。
【請求項4】
前記試薬バッグ(A、B、C、D)の各多方向弁(10、10')が、前記試薬バッグ(A、B、C、D)へのアクセスならびに前記通気源への前記流体経路(11)が閉止される第3の弁位置を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項5】
前記試薬バッグ(A、B、C、D)の各多方向弁が、前記試薬バッグ(A、B、C、D)の周辺シーム(17)内に接着またはヒートシールされた第1の取付け具(16)と、接続ライン(6、7、8、9)に接合された第2の取付け具(18)とを有するピストン弁(10)として構成され、弁ピストン(20)が前記ピストン弁(10)の弁シリンダ(19)内で軸線方向に滑動し、前記ピストン(20)が、第1の移動通路(21)と第2の移動通路(23)との間に封止領域(22)を有し、前記弁ピストン(20)をシフトさせることによって、各通路または領域(21、22、23)を前記第2の取付け具(18)と個々に位置合わせすることができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項6】
前記試薬バッグ(A、B、C、D)の各多方向弁が、第1の回転位置では、前記接続ライン(6、7、8、9)と前記試薬バッグ(A、B、C、D)との間に流体経路を確立し、第2の回転位置では、好ましくは周囲空気である通気源と前記接続ライン(6、7、8、9)との間に流体経路(11)を確立する回転弁(10')として構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項7】
試薬バッグ(A、B、C、D)であって、接続ライン(6、7、8、9)の始点に位置し、第1の弁位置(開放位置)および第2の弁位置(閉止位置)を有し、前記閉止位置では、好ましくは周囲空気である通気源と前記接続ライン(6、7、8、9)との間に流体経路(11)が確立される弁(10)を備えた試薬バッグ。
【請求項8】
前記弁(10)が、前記試薬バッグ(A、B、C、D)と前記通気源に向かう前記流体経路(11)とが両方とも閉止される第3の弁位置を有する、請求項7に記載の試薬バッグ。
【請求項9】
測定チャンバ(5)と、校正流体、品質管理流体、すすぎ流体、洗浄流体、および消毒流体などの機能性流体を収容している試薬バッグ(A、B、C、D)を有する交換可能な試薬カートリッジ(2)と、を備えるアナライザ(1)を操作する方法であって、
前記試薬バッグ(A、B、C、D)の1つから流体パケットを取り出すため、前記試薬バッグに接して位置する多方向弁(10、10')が第1の弁位置(SK)へと切り替えられ、それによって前記試薬バッグ(A)の内容物への流体経路が確立され、前記流体パケットが前記測定チャンバ(5)に向かって移送され、前記流体パケットを取り出した後、前記多方向弁(10、10')が第2の弁位置(SL)へと切り替えられ、それによって、前記試薬バッグ(A)の内容物への前記経路が閉止されるとともに、好ましくは周囲空気である通気源への流体経路が確立され、さらに前記通気源からのガス状媒体が好ましくは前記測定チャンバ(5)まで吸入される方法。
【請求項10】
好ましくはすすぎ流体、洗浄流体、または消毒流体を収容している少なくとも1つの試薬バッグ(A、B、C、D)の前記多方向弁(10、10')が、流体を吸入する第1の弁位置(SK)から好ましくは周囲空気であるガス状媒体を吸入する第2の弁位置(SL)に交互に切り替えられ、それによって、流体パケットおよび分離ガスパケットが交互に形成され、前記アナライザの管材料システムを介して前記測定チャンバ(5)内に移送される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
流体パケットおよび分離ガスパケットを移送する間、前記試薬バッグ(A、B、C、D)のガスを含有している前記接続ライン(6、7、8、9)内の圧力が、好ましくは流体を移送するために前記アナライザ内に設けられたホースポンプ(29)の回転速度を短期間に増加させることによって、最初に低下され、続いて、好ましくは前記ホースポンプ(29)の前記回転速度を標準まで低減し、ひいては共通レール(12)に通じている前記接続ライン(6、7、8、9)の部分に流体を導入することによって、再び増加される、請求項9または10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−162756(P2009−162756A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−525(P2009−525)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】