説明

試薬容器を安全に空にし、かつ充填するための装置及び方法

【課題】組織処理装置(20)の試薬容器(24、40)を安全に空にし、かつ充填する装置を提供すること。
【解決手段】試薬容器(24、40)から試薬を吸引するための吸引ライン(30、42)、及び、試薬で試薬容器(24)を充填するための給送ライン(32、44)を含み吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)は、給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)から離隔して配されている装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬容器を空にし、かつ充填するための装置及び方法に関し、特に、試薬容器を安全に空にし、かつ充填するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織処理装置は、処理後に顕微鏡を用いる調査用に調製できるように組織標本を処理することに適する。組織標本は、特に、組織処理装置の助けによって、例えばパラフィンに包埋され、その結果生じるパラフィンブロックは、ミクロトームの助けによって非常に薄い切片にカットすることができ、次に、顕微鏡を用いて調査することができる。パラフィンに包埋される前に、組織標本は、通常、複数の処理ステップ、例えば1回以上の洗浄ステップ、及び/又は、1回以上の脱水ステップに供される。種々の試薬、例えば、ホルマリン、キシレン又はアルコールが個々の処理ステップを実行するために必要とされる。これらの試薬は、例えば、置き換え可能な状態で組織処理装置に配置された試薬容器に貯留される。
【0003】
組織処理装置を使用する組織標本の自動処理という意味では、試薬は、試薬容器からポンプでレトルト(retorte、「プロセスチャンバー」又は「バイオリアクター」とも称される)に吸出され、組織標本は、プロセスチャンバー内で試薬に曝される。一度、個々の処理ステップが完了すると、試薬は、試薬容器にポンプで戻される。試薬は、種々の形状の試薬容器に貯留することができ、特に、試薬容器を空にし、かつ充填するために、試薬容器の開口部は異なる様に形成され得る。試薬は、健康に有害な成分を更に含むことがあり、該成分は、試薬容器の外に飛散するべきではないし、それらから組織処理装置の周囲に蒸発すべきでもない。
【0004】
独国実用新案DE 20 2007 013 815 U1号は、容器の計測された充填のための装置であって、互いに間隔を空けて離れた吸引ライン及び給送ラインを有する装置を開示する。吸引デバイス及び給送デバイスは互いに区分され、同一の容器に直接的に開放されていない。当該装置は、粉末状の材料を含む充填作業に使用される。
【0005】
国際公開WO 2003/012025 A2号は、培養細胞のバイオリアクターを開示し、該バイオリアクターでは、2つのラインが提供され、一方のラインが液体レベルの上に開口され、他方のラインが液体中に開口されている。液体レベルの上で終了するラインは、ガス、及び/又は、液体を輸送する役割を果たし、液体中で終了するラインは、ガスを抜く役割を果たす。
【0006】
独国実用新案DE 91 07 077 U1号は、地下に敷設される小さい容器を充填する及び空にするための廃棄ユニットを開示し、当該ユニットでは、開口部が互いからの間隔を有する2つのラインが提供されている。液体は、第1のラインを通じて輸送及び吸引され、一方では、第2のラインは、小さい容器の充填の完了を確認することができる静的なチューブとしての役割を果たす。
【0007】
独国特許DE 28 48 434 A1号は、液体で容器を充填するための充填アダプタを開示し、当該アダプタは、液体を輸送する及び吸引するラインを含み、当該ラインの開口部は高さが調節可能である。
【0008】
独国実用新案DE 20 2010 004 275 U1号は、少なくとも1つのエンジンの燃料ラインへの接続のためのコネクター部品を有する燃料給送のための装置を開示する。
【0009】
独国特許DE 10 2008 027 486 A1号は、液体から組織細胞を分離するための装置を開示し、当該装置では吸引ラインが液体を吸引することに使用されている。バイパスラインも提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国実用新案DE 20 2007 013 815 U1号
【特許文献2】国際公開WO 2003/012025 A2号
【特許文献3】独国実用新案DE 91 07 077 U1号
【特許文献4】独国特許DE 28 48 434 A1号
【特許文献5】独国実用新案DE 20 2010 004 275 U1号
【特許文献6】独国特許DE 10 2008 027 486 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
組織処理装置の試薬容器を安全に(sicherheitsgerechten)空にし、かつ充填するための方法及び装置を提供することが本発明の目的であり、当該方法及び装置は、試薬容器を安全に充填し、かつ空にすることに寄与するべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の視点において、組織処理装置の試薬容器を安全に空にし、かつ充填するための装置であって、当該装置は、試薬容器から試薬を吸引するための吸引ライン、及び、試薬で試薬容器を充填するための給送ラインを含み、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、吸引ラインは、少なくとも一部分が給送ラインの内側に配置されており、給送ライン内の試薬は、給送ラインの内側の壁と吸引ラインの外側の壁との間にガイドされることを特徴とする装置が提供される。
【0013】
第2の視点において、組織処理装置の試薬容器を安全に空にし、かつ充填するための装置であって、当該装置は、試薬容器から試薬を吸引するための吸引ライン、及び、試薬で試薬容器を充填するための給送ラインを含み、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、給送ラインは、複数の終端開口部を有することを特徴とする装置が提供される。
【0014】
第3の視点において、組織処理装置の試薬容器を空にし、かつ充填する方法であって、試薬容器が吸引ラインを介して空にされ、そして、給送ラインを介して充填されること、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、吸引ラインは、少なくとも一部分が給送ラインの内側に配置されており、給送ライン内の試薬は、給送ラインの内側の壁と吸引ラインの外側の壁との間にガイドされること、を特徴とする方法が提供される。
【0015】
第4の視点において、組織処理装置の試薬容器を空にし、かつ充填する方法であって、試薬容器は、吸引ラインを介して空にされ、そして、給送ラインを介して充填され、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、給送ラインは、複数の終端開口部を有し、当該終端開口部を介して試薬が試薬容器に輸送されること、を特徴とする方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の方法及び装置によれば、組織処理装置の試薬容器を安全に空にし、かつ充填するための方法及び装置が提供され、当該方法及び装置は、試薬容器を安全に充填し、かつ空にすることに寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る組織処理装置のブロック図である。
【図2】図2は、第2の実施形態に係る組織処理装置のブロック図である。
【図3】図3は、第3の実施形態に係る組織処理装置のブロック図である。
【図4】図4は、試薬容器を空にし、かつ充填するための装置、及び、試薬容器を示す。
【図5】図5は、カップリング部材を示す。
【図6】図6は、給送ラインの終端開口部を示す。
【図7】図7は、カップリング部材を通過する部分切開断面図である。
【図8】図8は、バルブユニットを有するカップリング部材の分解図である。
【図9】図9は、試薬容器のカップリング部材を通過する部分切開断面図である。
【図10】図10は、図9の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において、以下の形態が可能である。
【0019】
(形態1)
第1の視点に記載のとおり、組織処理装置の試薬容器を安全に空にし、かつ充填するための装置であって、当該装置は、試薬容器から試薬を吸引するための吸引ライン、及び、試薬で試薬容器を充填するための給送ラインを含み、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、吸引ラインは、少なくとも一部分が給送ラインの内側に配置されており、給送ライン内の試薬は、給送ラインの内側の壁と吸引ラインの外側の壁との間にガイドされることを特徴とする装置が提供される。
【0020】
(形態2)
第2の視点に記載のとおり、組織処理装置の試薬容器を安全に空にし、かつ充填するための装置であって、当該装置は、試薬容器から試薬を吸引するための吸引ライン、及び、試薬で試薬容器を充填するための給送ラインを含み、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、給送ラインは、複数の終端開口部を有することを特徴とする装置が提供される。
【0021】
(形態3)
第3の視点に記載のとおり、組織処理装置の試薬容器を空にし、かつ充填する方法であって、試薬容器が吸引ラインを介して空にされ、そして、給送ラインを介して充填されること、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、吸引ラインは、少なくとも一部分が給送ラインの内側に配置されており、給送ライン内の試薬は、給送ラインの内側の壁と吸引ラインの外側の壁との間にガイドされること、を特徴とする方法が提供される。
【0022】
(形態4)
第4の視点に記載のとおり、組織処理装置の試薬容器を空にし、かつ充填する方法であって、試薬容器は、吸引ラインを介して空にされ、そして、給送ラインを介して充填され、吸引ラインの終端開口部は、給送ラインの終端開口部から離隔して配されており、給送ラインは、複数の終端開口部を有し、当該終端開口部を介して試薬が試薬容器に輸送されること、を特徴とする方法が提供される。
【0023】
(形態5)
本発明において、給送ラインは、複数の終端開口部を有することが好ましい。
【0024】
(形態6)
また、本発明において、試薬容器へカップリング係合するためのカップリング部材を含み、カップリング部材と吸引ラインの終端開口部との間の第1の間隔は、カップリング部材と給送ラインの終端開口部との間の第2の間隔よりも大きいことが好ましい。
【0025】
(形態7)
また、本発明において、第1の間隔及び/又は第2の間隔が可変であることが好ましい。
【0026】
(形態8)
また、本発明において、組織処理装置のプロセスチャンバーとの連通のためのシステムラインを有し、システムラインと接続するバルブユニットを有し、該バルブユニットは、第1のバルブ位置において、システムラインと吸引ラインとの間の連通を可能にすると共に、システムラインと給送ラインとの間の連通を阻止し、該ユニットは、第2のバルブ位置において、システムラインと給送ラインとの間の連通を可能にすると共に、システムラインと吸引ラインとの間の連通を阻止することが好ましい。
【0027】
(形態9)
また、本発明において、前記バルブユニットが少なくとも2つのバルブを有することが好ましい。
【0028】
(形態10)
また、本発明において、前記バルブユニットが少なくとも4つのバルブを有し、各2つのバルブが冗長的に配置されていることが好ましい。
【0029】
(形態11)
また、本発明において、少なくとも1つのバルブが、円錐形状又は二重の円錐形状のバルブプランジャを含むことが好ましい。
【0030】
(形態12)
また、本発明において、アイドル状態でバルブが閉鎖状態(常閉状態)であるように配置及び実装されることが好ましい。
【0031】
(形態13)
また、本発明において、バルブが、重力の影響の結果としてアイドル状態に位置するように実装及び配置されることが好ましい。
【0032】
(形態14)
また、本発明において、バルブユニットが、カップリング部材に含まれることが好ましい。
【0033】
(形態15)
また、本発明において、吸引ラインは、少なくとも一部分がランス形状であることが好ましい。
【0034】
(形態16)
また、本発明において、吸引ラインは、少なくとも一部分がスパイラル形状であることが好ましい。
【0035】
(形態17)
また、本発明において、バルブユニットのバルブ位置とは無関係に、吸引ラインのスパイラル形状の部分と、給送ラインとの間の連通を可能にするバイパスを含み、バイパスは、少なくとも1つの狭窄部を含み、当該狭窄部の開口部の横断面は、吸引ラインの開口部の横断面よりも小さく、かつ、給送ラインの開口部の横断面よりも小さいことが好ましい。
【0036】
(形態18)
また、本発明において、カップリング部材が給送ラインの終端開口部を有することが好ましい。
【0037】
(形態19)
また、本発明において、ガス抜きラインを含むことが好ましい。
【0038】
(形態20)
また、本発明において、カップリング部材が、少なくとも一部分、ガス抜きライン及びガス抜きラインの終端開口部を有することが好ましい。
【0039】
(形態21)
また、本発明において、ガス抜きラインの終端開口部が吸引ラインの終端開口部と給送ラインの終端開口部との間に配置されることが好ましい。
【0040】
(形態22)
また、本発明において、ガス抜きラインの終端開口部が、給送ラインの終端開口部に直接的に隣り合うように配置されることが好ましい。
【0041】
(形態23)
また、本発明において、意図したように使用される時には、給送ラインの終端開口部の領域が試薬容器における試薬の表面に関して斜めに配置されるように、給送ラインが実装されることが好ましい。
【0042】
(形態24)
また、本発明において、吸引ラインの終端開口部が、試薬容器における試薬の充填レベルよりも下に配置され、給送ラインの終端開口部が、試薬容器における試薬の充填レベルよりも上に配置されることが好ましい。
【0043】
本発明はの第1の視点において、試薬容器から試薬を吸引するための吸引ラインを有し、試薬で試薬容器を充填するための給送ラインを有し、そして、吸引ラインの終端開口部が給送ラインの終端開口部から離隔して配されている装置としての特徴を有する。
【0044】
試薬容器から試薬を吸引するため、及び試薬で試薬容器を充填するための区分されたライン、そして、対応するラインの2つの終端開口部の間隔によって、吸引ラインの終端開口部を試薬容器の試薬の充填レベルの下に、特に最大充填レベルの下に配置すること、及び、給送ラインの終端開口部を試薬容器の試薬の充填レベルの上に配置することが可能である。このことは、一方では、試薬容器から空気及び気泡を含まない状態の試薬を吸引することを可能にするとともに、他方では、試薬容器の中で気泡が形成されることなしに試薬容器に試薬を戻すことを可能にし、これらによって、液体の中に気泡が生じることに起因する試薬容器からの試薬の飛散を最小化させる。このことは、特に、ラインを洗浄するために、加圧した空気を給送する時、又は、パルス様式でラインを通過させる時(「パージする:Purgen」とも称される)に有利である。
【0045】
2つの終端開口部の間の間隔は、好ましくは十分に大きく、吸引ラインの終端開口部は試薬容器の底の近くに位置し、給送ラインの終端開口部は試薬容器の開口部(容器入口)の近くに、少なくとも試薬容器の試薬の最大充填レベルの上に位置する。当該間隔は、本発明に係る装置が異なるサイズの試薬容器、及び/又は、異なる高さの最大充填レベルに調節可能なように、特に可変であり得る。
【0046】
有利な改良形態においては、本発明に係る装置は、試薬容器にカップリング係合するためのカップリング部材を含む。カップリング部材と吸引ラインの終端開口部との間の第1の間隔は、カップリング部材と給送ラインの終端開口部との間の第2の間隔よりも大きい。カップリング部材は、試薬容器の開口部がカバーされるようにし、2つのラインは、好ましくは、カップリング部材を通過(挿通)させてガイドされる。この関係において、第1の、及び/又は、第2の間隔が可変であれば、異なるサイズの試薬容器、及び/又は、異なる高さの最大充填レベルに有利である。この関係において、カップリング部材は、コネクター部材、又は、カバー部材とも称することができる。特に、カップリング部材を、2つのライン(のための開口部)を除いて、試薬容器の開口部を完全に閉塞(ないしシール)されるように、実装することができる。カップリング部材は、例えば、試薬容器の開口部への設置(係合)のために提供される球状セグメントの形状の部分を有することができる。このことは、直径及び輪郭が一試薬容器から他の試薬容器において変化しても、容器開口部が確実に閉塞されるようにする。
【0047】
更に有利な実施形態では、本発明に係る装置は、組織処理装置のプロセスチャンバーと連通するためのシステムライン、及び、システムラインと連通するバルブユニットを有する。第1のバルブ位置では、バルブユニットは、システムラインと吸引ラインとの間の連通を可能にするとともに、システムラインと給送ラインとの間の連通を阻止する。第2のバルブ位置では、バルブユニットは、システムラインと給送ラインとの間の連通を可能にするとともに、システムラインと吸引ラインとの間の連通を阻止する。このことは、プロセスチャンバーと連通するたった1つのシステムラインを提供することを可能にする。このことは、プロセスチャンバーの領域における組織処理装置の単純な物理的デザインに寄与することができる。
【0048】
一の改良形態によれば、バルブユニットは、少なくとも2つのバルブを有する。特に、バルブユニットは、少なくとも4つのバルブを有することができ、各2つのバルブは、好ましくは、冗長的に配置される。このことは、1つのバルブの機能不全のイベントが起こった際にも、第2のそれぞれのバルブが置き換わり、バルブユニットの適切な機能を保障することに寄与する。少なくとも1つのバルブが円錐形状又は二重の円錐形状のバルブプランジャを含めば有利である。このことは、低い流通抵抗性をもたらすことができ、そのため、継続的に高いポンピング速度又は吸引速度をそれぞれ低い圧力又は吸引力でもたらすことができ、このことは、対応する試薬でのプロセスチャンバーの急速な充填に関する能力、又は、試薬容器への対応する試薬の急速なポンピングに関する能力に寄与する。
【0049】
プロセスチャンバー又は試薬容器の急速な充填への更なる貢献が、アイドル状態においてバルブが閉鎖状態であるようにバルブを配置する及び実装することによっても、もたらされ得る。この意味合いにおいて、バルブが、重力の作用の結果として単独でアイドル状態で位置するように実装及び配置されることは特に有利である。このことは、バルブの開放に関する開放圧を特に低く保持する能力に寄与し、プロセスチャンバー又は試薬容器の急速な充填にそれぞれ寄与する。アイドル状態は、特に、ラインを通過して、及び/又は、バルブユニットを通過してどの試薬も吸引されない又はポンプされない時、の状態として定義される。
【0050】
一実施形態では、バルブユニットはカップリング部材に含まれる。言い換えれば、バルブユニットは、カップリング部材、特に、コネクター部材又はカバーの一部分であり得る。このことは、今度は、組織処理装置の輪郭の特に単純なデザイン化に寄与することができる。
【0051】
一改良形態によれば、吸引ラインは、少なくとも一部分がランス形状<筒状ないし直管上のノズル形状>であり、そして、言い換えれば吸引ランスを有する。特に、試薬容器に、特に充填レベルの下に突き出ている吸引ラインの部分がランス形状である。それによって、試薬が試薬容器から、ほとんど全て、又は全て吸引できることを保障することができる。その代わりに又は追加的に、吸引ラインの少なくとも一部分がスパイラル形状であり、言い換えれば、吸引スパイラルを有する。意図したように使用される時には、吸引ラインのスパイラル形状の部分は、好ましくは、試薬容器の外側に位置し、そして、吸引ラインの終端開口部(例えば、吸引ランス)及びカップリング部材、及び/又は、バルブユニットの間の流通を可能とする様に配置される。例えば、吸引ラインのスパイラル形状の部分は、バルブユニットの周りに、つまり、カップリング部材の周りに巻き付けることができる。
【0052】
この関係において、本発明に係る装置が、バルブユニットのバルブ位置とは無関係に吸引ラインのスパイラル形状の部分と給送ラインとの間の連通を可能にするバイパス、特にバイパスの開口部を含む場合には、バイパスが、少なくとも1つの狭窄部(Engstelle)を含み、当該狭窄部の開口部の横断面が、吸引ラインの開口部の横断面、及び、給送ラインの開口部の横断面より小さいことは有利である。狭窄部の開口部の横断面は、特に、バイパスがバルブユニットの機能に対して実質的に影響を与えないようにするために、他の2つの開口部の横断面よりも実質的に小さい。バイパスは、試薬を給送ラインを通過して給送することに使用される1ポーションの加圧空気が、吸引ラインのスパイラル形状の部分、及び/又は、ランス形状の部分を洗浄することに使用され、そして、試薬のキャリーオーバー(連行)及び混入を最小化させることを許容する。
【0053】
更に有利な実施形態では、本発明に係る装置はガス抜きラインを含む。ガス抜きラインは、試薬容器内の陰圧又は陽圧を最小化させること(即ち、素早く消散させる又はその発生を抑止すること)に寄与することができ、試薬容器の開口部にカップリング部材を安全に据えつけること、及び、給送ラインに圧力パルスが発生したとしても試薬容器からの試薬の飛散を防止することに寄与する。この関係において、カップリング部材は少なくとも一部分がガス抜きライン及びガス抜きラインの終端開口部を含めば、特に有利である。特に、ガス抜きラインの終端開口部が、吸引ラインの終端開口部と給送ラインの終端開口部との間に配置される場合には、あるいは、特に給送ラインに直接的に配置される場合に、及び/又は、特に給送ラインの近くに配置される場合に、もしくは、給送ラインの内側に配置される場合でさえ、例えば、給送ラインの終端開口部の近くに配置される場合でさえ、急速な圧力放散を達成することができる。
【0054】
特に、吸引ラインは、少なくとも一部分が給送ラインの内側に配置され、給送ラインの試薬が給送ラインの内側の壁と吸引ラインの外側の壁との間にガイドされるということによって、コンパクトで単純な物理的なデザインを達成することができる。
【0055】
装置が意図したように使用される時には、給送ラインが複数の終端開口部を有する場合において、及び/又は、給送ラインが給送ラインの終端開口部の領域に実装される場合において、試薬容器の試薬の表面に関して斜めに配置されて、気泡の形成及び/又は飛散を防止することができる。言い換えれば、試薬容器の液体試薬の表面と0°及び90°の間の角度、好ましくは20°及び70°の間の角度を形成するように、給送ラインの軸は終端開口部の領域に形成される。
【0056】
第3の視点によれば、本発明は、組織処理装置の試薬容器を空にし、かつ充填するための方法として顕著である。この意味合いにおいて、試薬容器は、吸引ラインを介して空にされ、そして、給送ラインを介して充填され、給送ラインの終端開口部は吸引ラインの終端開口部から離隔して配されている。
【0057】
一改良形態によれば、吸引ラインの終端開口部は、試薬容器の試薬の充填レベルの下に配置され、そして、給送ラインの終端開口部は、試薬容器の最大充填レベルの上に配置される。
【0058】
本発明に係る方法は、特に、試薬容器を空にし、かつ充填するための装置を使用して実行することができ、有利な装置の輪郭、実施形態、及び、改良形態も当該方法に応用転可能である。
【0059】
例示としての本発明の実施形態は、概略図を参照して以下に更に説明される。
【0060】
同一のデザインのエレメント又は機能は、全図に渡って同一の参照符号でラベルされる。
【0061】
図1は、機能を集合させることができる組織処理装置20のブロック図である。組織処理装置20は、組織標本(図示されない)を処理すること、特に、組織標本を洗浄する、脱水する、及び 包埋することに適する。組織処理装置20は、組織標本を受け容れるためのプロセスチャンバー22、レトルト(Retorte)又はバイオリアクターとも称され得る、を有する。組織処理装置20は、更に、第1の試薬ホルダー24を有し、そして、試薬容器24を空にし、かつ充填するために、当該装置は、第1のバルブユニット26、システムライン28、第1の吸引ライン30及び第1の給送ライン32を有する。好ましくは、カバー部材29が、第1の試薬容器24の開口部をカバー(閉塞)するために提供される。
【0062】
第1のバルブユニット26は、第1の吸引ライン30及び第1の給送ライン32を介して第1の試薬容器24と連通する。第1の吸引ライン30の終端開口部31及び第1の給送ライン32の終端開口部33が、互いにゼロよりも大きな予め定義される間隔をもって位置する。特に、意図されるように使用される間には、第1の吸引ライン30の終端開口部31は、第1の試薬容器24の試薬の充填レベル、特に最大充填レベル35の下に位置し、そして、第1の給送ライン32の終端開口部33は、試薬の充填レベルの上に位置する。第1の吸引ライン30は、好ましくは、その終端開口部31が第1の試薬容器24の底の近くに配置されるように実装される。第1の給送ライン32は、好ましくは、その終端開口部33が第1の試薬容器24の開口部(入口)の近くに配置されるように実装される。この関係において、本発明の装置が、第1の吸引ライン30、及び/又は、第1の給送ライン32がそれらの長さについて可変である場合には、異なるサイズの試薬容器24、及び/又は、異なる高さの最大充填レベル35に適用可能であるので、特に有利である。
【0063】
第1の試薬容器24は、好ましくは組織処理装置20の特別なチャンバー、例えば、組織処理装置20の引き出し区画に配置される。その代替形態として、第1の試薬容器24を組織処理装置20の外側の収納に配置し、ラインのみを介して組織処理装置20と連通させることもできる。
【0064】
第1のバルブユニット26は、少なくとも2つのバルブを含み、当該バルブでバルブユニット26の2つのバルブ位置を実施することができる。第1のバルブ位置において、連通は、システムライン28と第1の吸引ライン30との間であり得、試薬は第1の吸引ライン30からシステムライン28に流通することができるが、システムライン28と第1の給送ライン32との間の連通が阻止されるという結果をもたらす。第2のバルブ位置において、連通は、システムライン28と第1の給送ライン32との間であり得、試薬はシステムライン28から第1の給送ライン32に流通することができるが、システムライン28と第1の吸引ライン30との間の連通は阻止されるという結果をもたらす。
【0065】
第1の試薬容器24から試薬を吸引して第1の試薬容器24を空にするために、プロセスチャンバー22において陰圧が生成される。プロセスチャンバー22における陰圧は、第1のバルブユニット26を第1のバルブ位置にし、プロセスチャンバー22における陰圧の結果として、試薬が、第1の試薬容器24から、第1の吸引ライン30、第1のバルブユニット26、及びシステムライン28を通って、プロセスチャンバー22に引き抜かれる。
【0066】
第1の試薬容器24を満たしてプロセスチャンバー22を空にするために、プロセスチャンバー22に陽圧が生成され、第1のバルブユニット26を第2のバルブ位置にし、試薬が、プロセスチャンバー22から、システムライン28、第1のバルブユニット26、及び第1の給送ライン32を通って試薬容器24に給送されて戻るという結果をもたらす。システムライン28を完全に空にするためには、第1の試薬容器24を充填する操作の終了時に、システムライン28についてバルブを閉鎖すること(図示されない)、そして、プロセスチャンバー22に強力な陽圧を生成することが有利である。一度、強力な陽圧がプロセスチャンバー22に生成されると、このバルブは、開かれ、そして、パルス様式で(瞬時に)再び閉じ、結果としてシステムライン28、第1のバルブユニット26、及び、第1の給送ライン32を通じる加圧された空気パルスを生じて、ほとんど完全に、又は完全にシステムライン28を空にする。このバルブユニットのパルス状の開閉(図示されない)の結果として、試薬は、パルス様式で、空気と一緒に給送ライン32の終端開口部33を通って第1の試薬容器24に吹き飛ばされる。しかしながら、給送ライン32の終端開口部33が試薬容器24の最大充填レベル35の上に位置するので、試薬の中での気泡の形成が生じず、それによって、ただ1つのラインが試薬を充填する及び空にするために提供され、前記ラインの終端開口部は第1の試薬容器24の試薬の最大充填レベル35の下に位置する装置と比較して、試薬の飛散が最小化する又は減少する。
【0067】
プロセスチャンバー22の陰圧又は陽圧の結果として開閉する第1のバルブユニット26の代わりの代替形態として、システムライン28及び第1の吸引ライン30、又は、システムライン28と給送ライン32との間の連通をそれぞれ阻止する又は可能にするコントロールシグナルの機能により、コントロール可能なバルブユニットを提供することも可能である。
【0068】
図2は、図1に示された実施形態と対照的に、第2の試薬容器40、第2の吸引ライン42の終端開口部43を有する第2の吸引ライン42、第2の給送ライン44の終端開口部45を有する第2の給送ライン44、及び、第2のバルブユニット38が追加的に配置された組織処理装置20の一実施形態のブロック図である。コントロールバルブ、特にロータリーバルブ46が、更に追加的に装備され、バルブは、ロータリーバルブ46の第1のインデックス位置において、システムライン28と第1のサブ−システムライン34との間の連通を可能にするとともに、システムライン28と第2のサブ−システムライン36との間の連通を阻止し、そして、ロータリーバルブ46の第2のインデックス位置において、システムライン28と第1のサブ−システムライン34との間の連通を阻止するとともに、システムライン28と第2のサブ−システムライン36との間の連通を可能にする。
【0069】
第1のサブ−システムライン34は、第1のバルブ位置のロータリーバルブ46と、プロセスチャンバー22と第1の試薬容器24との間の連通が可能な状態で、第1のバルブユニット26に接続される。第1のバルブ位置のロータリーバルブ46では、図2に示された実施形態の操作様式が、図1に示された実施形態の操作様式に対応する。
【0070】
第2のサブ−システムライン36は、第2のバルブ位置のロータリーバルブ46と、プロセスチャンバー22と第2の試薬容器40との間の連通が可能な状態で、第2のバルブユニット38に接続される。第2の吸引ライン42及び第2の給送ライン44での第2のバルブユニット38の構成及び操作様式は、第1のバルブユニット26での第1の吸引ライン30及び第1の給送ライン32の操作様式に対応する。しかしながら、第1の例示の実施形態とは対照的に、ロータリーバルブ46によって、2つのバルブユニット26、38と試薬容器24、40との間で切替させることが可能である。同一の又は類似の試薬を、2つの試薬容器24及び40に貯留することができる。例えば、組織標本の処理に関する異なる処理ステップのために、異なるレベルの純度の同一の試薬、又は、全く異なる試薬を、2つの容器24、40に貯留することができる。例えば、脱水試薬を第1の試薬容器24に貯留して、洗浄試薬を第2の試薬容器40に貯留することができる。
【0071】
図3は、構成及び操作様式について図1に係る例示の実施形態に基本的に対応するが、図1に係る例示の実施形態とは対照的に、第2の試薬容器40に、第2の吸引ライン42及び第2の給送ライン44が備えられ、第1のバルブユニット26が、対応するように、第2の吸引ライン42及び第2の給送ライン44それぞれに連通するための更なるインプット及び更なるアウトプットを含む、第3の実施形態の組織処理装置20のブロック図である。この実施形態は同様に、プロセスチャンバー22の陽圧又は陰圧それぞれの助けによって、相互に独立して、試薬を2つの容器24、40から除去することもできるし、又は、輸送して戻すこともできる。
【0072】
この実施形態において、第1のバルブユニット26は、好ましくは、システムライン28と第1の試薬容器24又は第2の試薬容器40との間の連通を、それぞれに阻止する及び可能にするコントロールシグナルの機能によりコントロール可能なバルブである。
【0073】
図4は、第1の試薬容器24が破線で表された、第1の試薬容器24を空にし、かつ充填するための装置の透視図である。この例示の実施形態において、第1のバルブユニット26は、本発明に係る装置を第1の試薬容器24にカップリング係合するために提供されるカップリング部材27に含まれる。この関係において、カップリング部材27は、連通メンバー、又はカバー、特に異なる試薬容器に普遍的なカバーとも称することができる。言い換えれば、第1のバルブユニット26及びカバー29は、カップリング部材27に組み合わせられる。
【0074】
第1のバルブユニット26は、第1の吸引ライン30のエレメントであるカップリング係合エレメント52、吸引コネクター54及び吸引スパイラル50を含む。カップリング係合エレメント52は、吸引スパイラル50をカップリング部材27に接続する。吸引コネクター54は、吸引ライン30のスパイラル形状の部分、特に吸引スパイラル50をカップリング部材27に連結し、次いで、吸引スパイラル50を吸引ライン30のランス形状の部分、特に吸引ランス51に接続する。吸引ランス51は、第1の吸引ライン30の終端開口部31が第1の試薬容器の底の近くに配置されるように、第1の試薬容器24に長く突き出る。この関係において、吸引ランス51の長さが可変である場合には、異なるサイズの第1の試薬容器24に適用可能であり、有利である。吸引方向37は、試薬が、特に吸引ランス51を介して、第1の試薬容器24から引き抜かれる流通方向と同一である。吸引された試薬は、次に、カップリング係合エレメント52を介して吸引スパイラル50に流通し、吸引コネクター54を通過してカップリング部材27の第1のバルブユニット26に流通する。
【0075】
図5は、カップリング部材27が吸引コネクター54に加えて、ステムライン28との連通のためのシステムラインコネクター56、及びガス抜きライン(図示されない)との連通のためのガス抜きコネクター58を含むことを示す。ガス抜き方向59は、第1の試薬容器24のガスを抜くために、第1の試薬容器24に流通する、又は第1の試薬容器24から逃れることができる空気の流通方向を規定する。第1の試薬容器24を空にする操作の間の試薬の流通方向を規定する吸引方向37に加えて、給送方向39は、第1の試薬容器24を充填する操作の間の、特に、給送ライン32を通過して第1の試薬容器24への第1の試薬の流通方向を規定する。図4に示されるように、吸引方向37は、試薬が、特に吸引コネクター54通過して第1の試薬容器24から引き抜かれる流通方向を規定する。
【0076】
カップリング部材27は、意図したように使用される時には、第1の試薬容器24の開口部に裁置当接(ないし接合)するその部分において、好ましくは、球状のセグメントの形状で実装されるカップルリング係合コネクター60を含み、カップリング部材27の広範囲のバラエティの試薬容器の開口部への密封配置を可能にする。カップリング部材27は、少なくとも1つ、好ましくはいくつかの第1の給送ライン32の終端開口部33を含み、給送方向39は、後者が第1の試薬容器24へ給送される時の試薬の流通方向を再度規定する。第1の給送ライン32の終端開口部33は、好ましくは、カップルリング係合コネクター60の近くに配置され、従って、意図したように使用される時には、それらが、試薬容器24の最大充填レベル35の上に配置されることを保障する。この関係において、カップルリング係合コネクター60と第1の給送ライン32の終端開口部33との間の間隔が可変である場合には、本発明に係る装置は異なる高さの最大充填レベル35に適用可能であり、有利である。
【0077】
図6は図5の(下端部の)詳細図であり、図6から、第1の給送ライン32の終端開口部33が、意図したように使用される時には、給送方向39が垂直ライン61に関して斜めに延在するように実装及び配置されることが明確である。第1の試薬容器24の充填の際の第1の試薬容器24における飛散及び気泡の形成は、それによって防止される。
【0078】
図7は、カップリング部材27の第1のバルブユニット26を通過する部分切開断面図である。第1のバルブユニット26は、第1のバルブチャンバー62及び第1のバルブチャンバー62に配置された第1のバルブプランジャ(可動弁要素)64を有する第1のバルブを含む。更に、第1のバルブユニット26は、第2のバルブチャンバー66を有し、そして、第2のバルブチャンバー66に配置された第2のバルブプランジャ(可動弁要素)68を有する第2のバルブを含む。第1のバルブチャンバー62(の上部)は、バルブチャンバーコネクション70を介して第2のバルブチャンバー66(の下部)と連通する。図7において、バルブプランジャ64、68はアイドル状態であり、例えば、第1のバルブユニット26を介して試薬が吸引されてないし、給送されてもいない時にとる位置である。アイドル状態において、2つのバルブプランジャ64、68は、好ましくは、それらに作用する重力のみの結果として、それらの閉鎖した位置にあり、このことは、バルブに関する低い開口部の圧力に寄与し、そして、それによって第1の試薬容器24を急速に充填すること及び空にすることに寄与する。
【0079】
陰圧がプロセスチャンバー22に生成されると、次に、第1のバルブユニット26は、システムライン28と第1の吸引ライン30との間の連通が可能であり、そして、システムライン28と第1の給送ライン32との間の連通が阻止されるその第1のバルブ位置に移動する。プロセスチャンバー22の陰圧は、特に、システムライン28の陰圧を産み出し、吸引ランス51、吸引スパイラル50、及び吸引コネクター54を通過して吸引方向37で第1のバルブチャンバー62へ試薬が引き抜かれるように、第1のバルブプランジャ64が上昇して、その閉鎖位置からその開放位置に移動する結果となる。吸引方向37でシステムコネクター56を介して作用する陰圧は、更に第2のバルブプランジャ68をその閉鎖位置に押し付ける。
【0080】
プロセスチャンバーに陽圧が生成されると、次に、第1のバルブユニット26は、システムライン28と第1の給送ライン32との間の連通が可能であり、そして、システムライン28と第1の吸引ライン30との間の連通が阻止される第2のバルブ位置に移動する。特に、プロセスチャンバー22の陽圧は、試薬をシステムライン28を通過して、そして、給送方向39でシステムラインコネクター56を通過して、第1のバルブチャンバー62に給送させる。このことは、第1のバルブプランジャ64をその閉鎖位置のままにし、追加的に閉鎖する方向に力を与える。試薬は、バルブチャンバーコネクション70を通過して第2のバルブチャンバー66に流通し、試薬が第2のバルブチャンバー66を通過して第1の給送ライン32の終端開口部33に流通するように第2のバルブプランジャ68をその閉鎖位置から持ち上げる。
【0081】
図8は、バルブ本体26の分解図である。当該分解図は、それぞれ第3及び第4のバルブのエレメントである第3のバルブプランジャ72及び第4のバルブプランジャ74を示す。第3のバルブは、第1のバルブに関して冗長的に配置され、そして、第4のバルブは、第2のバルブ68に関して冗長的に配置される。言い換えれば、図7の断面図に示されたアレンジメントが、1つのバルブの機能不全の際に、第2のバルブがその機能を引き継ぐようにバルブ本体26の内側で重複して存在し、1つのバルブが機能不全に陥ったとしてもバルブユニット26全体の機能が保障される。これの代替形態として、第1及び第2のバルブのみを装備することもできる。
【0082】
バルブプランジャ64、68、72、74は、好ましくは円錐形状であるか、又は二重の円錐形状である。このことは、試薬の流通抵抗性をほとんどもたらさずにバルブプランジャ64、68、72、74を通過する能力に寄与する。このことは、それぞれ相対的に吸引力及び圧力がほとんど無い条件下で、第1の試薬容器24、そして、従って、プロセスチャンバー22を急速に空にすること及び充填することに寄与する。バルブプランジャ64、68、72、74は、好ましくは第1のシールリング77を介して第1の試薬容器24に向かう方向で、そして、第2のシールリング77によって第1の試薬容器24から離れる方向でシールされる。埋め込み手段86は、バルブプランジャ64、68、72、74及び第1及び第2のシールリング76、77が設置された後に、第1のバルブユニット26の上側部分を第1のバルブユニット26の下側部分に堅固に連結する役割を果たす。第1のバルブユニットの2つの部分の閉塞の前に、バルブプランジャ64、68、72、74が対応するバルブチャンバー、特に第1のバルブチャンバー62及び第2のバルブチャンバー66の開口部90に設置される。
【0083】
ガス抜きコネクター58と連通するガス抜きチューブ80は、第1のバルブユニット26の中に中心に配置され、ガス抜きコネクター58は、ガス抜きコネクターの開口部82を介して第1のバルブ本体26に配設される。同一の様式で、システムラインコネクター56がシステムコネクターの開口部84を介して第1のバルブユニット26に接続される。中心シールリング88は、第1のバルブ本体26に関してガス抜きチューブ80をシールする。ガス抜きチューブ80は、第1の給送ライン32の一部である給送ラインの開口部92に配置される。第1の吸引ライン30、特に、第1の吸引ラインのランス形状の部分は、好ましくは、ガス抜きチューブ80を通ってガイドされる。従って、試薬は、第1の吸引ライン30を介して、第1のバルブユニット26の中心を通ってガイドされる。第1の試薬容器24のガス抜きについての空気は、吸引ライン30の外側の壁とガス抜きチューブ80の内側の壁との間にガイドされ、試薬は、ガス抜きチューブ80の外側の壁と給送ラインの開口部92の内側の壁との間を通って第1の試薬容器24に給送される。ガス抜きチューブ80は、留め付け装置100の助けによって第1のバルブユニット26に留め付けることができる。
【0084】
図9は、第1のバルブユニットを通過する更なる部分切開断面図を示し、図9から、以前に引用された図を用いた関係に説明されたエレメントに加えて、第1のバルブユニット26が、特に、第1のバルブプランジャ64の位置と独立的に、バイパス105、特に吸引スパイラル50を吸引コネクター54を介して第1のバルブチャンバー62上側部分(図7に示される)に接続するバイパス開口部(オリフィス)を実装することが明確である。この意味合いにおいて、バイパス105の開口部の横断面が第1の吸引ライン30及び第1の給送ライン32の開口部の横断面よりも実質的に小さい(substantially smaller)ことは必要不可欠である。言い換えれば、継続的なリーク又はシールされないバルブ(unsealed valve)が、バイパス105によって生み出される。このことは、特に、空気がパルス様式で第1の給送ライン32を介して給送される時に、吸引スパイラル50を空にし、それによって試薬のキャリーオーバー及び混入を防止する。その代替形態として、バイパス105は、吸引スパイラル50を第1の給送ライン32に連通することもできる。
【0085】
図9は、終端開口部33の終端の領域における第1の給送ライン32の軸104が、水平ライン102と、0°及び90°の間の角度を有することを更に示す。このことは、軸104が垂直ライン61に関して斜めに配置されることを意味する。
【0086】
図10は、図9の詳細図であり、それぞれ第1の給送ライン32及び第1の吸引ライン37を通過する試薬の片側流通方向39、37、そして、ガス抜き方向59、つまり、第1の試薬容器24のガス抜きに関する空気の流通方向も示す。ガス抜きチューブ80及び第1の吸引ライン30によって定義される、より低い位置のガス抜きライン110の終端開口部108は、第1の給送ライン32の終端開口部33の内側に位置し、具体的には、第1の給送ライン32の終端開口部33への転換点(角度変化点)の直ぐ下に位置する。このことは、特に試薬がパルス様式で第1の試薬容器24に放出されるときに、特に、急速な圧力の放散を生み出し、試薬の飛散を防止する。従って、ガス抜きライン110の終端開口部108は、第1の給送ライン32の終端開口部33と第1の吸引ライン30の終端開口部31との間に、特に第1の給送ライン32の終端開口部33の近くに配置される。
【0087】
カップリング部材27によって含まれる第1のバルブユニット26の代替形態として、カップリング部材27及び第1のバルブユニット26を、単にラインで連通した2つのメンバー、及び、さもなくば、独立した2つのメンバーに分割することができる。第1の給送ライン32は、更に多くの終端開口部33を含むこともできるし、終端開口部33を少なくすることもできる。第1及び第2の試薬容器24、40に加えて、更なる試薬容器を提供することもできる。試薬容器の各々は、上記説明した、対応する試薬容器を充填する及び空にするための装置にカップリング係合することができる。本発明に係る装置は、組織処理装置20のエレメントであり得るし、組織処理装置20と独立でもあり得る。
【0088】
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0089】
20 組織処理装置
22 プロセスチャンバー
24 第1の試薬容器
26 第1のバルブユニット
27 カップリング部材
28 システムライン
29 カバー
30 第1の吸引ライン
31 第1の吸引ラインの終端開口部
32 第1の給送ライン
33 第1の給送ラインの終端開口部
34 第1のサブ−システムライン
35 最大充填レベル
36 第2のサブ−システムライン
37 吸引方向
38 第2のバルブユニット
39 給送方向
40 第2の試薬容器
42 第2の吸引ライン
43 第2の吸引ラインの終端開口部
44 第2の給送ライン
45 第2の給送ラインの終端開口部
46 ロータリーバルブ
50 吸引スパイラル
51 吸引ランス
52 カップリング係合エレメント
54 吸引コネクター
56 システムラインコネクター
58 ガス抜きコネクター
59 ガス抜き方向
60 カップルリング係合コネクター
61 垂直ライン
62 第1のバルブチャンバー
64 第1のバルブプランジャ(可動弁要素)
66 第2のバルブチャンバー
68 第2のバルブプランジャ(可動弁要素)
70 バルブチャンバーコネクション
72 第3のバルブプランジャ
74 第4のバルブプランジャ
76 第1のシールリング
77 第2のシールリング
80 ガス抜きチューブ
82 ガス抜きコネクターの開口部
84 システムコネクターの開口部
86 埋め込み手段
88 中心シールリング
90 バルブチャンバーの開口部
92 給送ラインの開口部
100 留め付け装置
105 バイパス
108 ガス抜きラインの終端開口部
110 ガス抜きライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織処理装置(20)の試薬容器(24、40)を安全に空にし、かつ充填するための装置であって、
当該装置は、試薬容器(24、40)から試薬を吸引するための吸引ライン(30、42)、及び、試薬で試薬容器(24)を充填するための給送ライン(32、44)を含み、
吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)は、給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)から離隔して配されており、
吸引ライン(30、42)は、少なくとも一部分が給送ライン(32、44)の内側に配置されており、
給送ライン(32、44)内の試薬は、給送ライン(32、44)の内側の壁と吸引ライン(30、42)の外側の壁との間にガイドされることを特徴とする装置。
【請求項2】
給送ライン(32、44)は、複数の終端開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
組織処理装置(20)の試薬容器(24、40)を安全に空にし、かつ充填するための装置であって、
当該装置は、試薬容器(24、40)から試薬を吸引するための吸引ライン(30、42)、及び、試薬で試薬容器(24)を充填するための給送ライン(32、44)を含み、
吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)は、給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)から離隔して配されており、
給送ライン(32、44)は、複数の終端開口部(33)を有することを特徴とする装置。
【請求項4】
試薬容器(24、40)へカップリング係合するためのカップリング部材(27)を含み、
カップリング部材(27)と吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)との間の第1の間隔は、カップリング部材(27)と給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)との間の第2の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
第1の間隔及び/又は第2の間隔が可変であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
組織処理装置(20)のプロセスチャンバー(22)との連通のためのシステムライン(28、34、36)を有し、
システムライン(28、34、36)と接続するバルブユニット(26、38)を有し、
該バルブユニットは、第1のバルブ位置において、システムライン(28、34、36)と吸引ライン(30、42)との間の連通を可能にすると共に、システムライン(28、34、36)と給送ライン(32、44)との間の連通を阻止し、
該ユニットは、第2のバルブ位置において、システムライン(28、34、36)と給送ライン(32、44)との間の連通を可能にすると共に、システムライン(28、34、36)と吸引ライン(30、42)との間の連通を阻止することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記バルブユニット(26、38)が少なくとも2つのバルブを有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記バルブユニット(26、38)が少なくとも4つのバルブを有し、各2つのバルブが冗長的に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つのバルブが、円錐形状又は二重の円錐形状のバルブプランジャ(64、68、72、74)を含むことを特徴とする請求項7又は8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
アイドル状態でバルブが閉鎖状態(常閉状態)であるように配置及び実装されることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
バルブが、重力の影響の結果としてアイドル状態に位置するように実装及び配置されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
バルブユニット(26、38)が、カップリング部材(27)に含まれることを特徴とする請求項6〜11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
吸引ライン(30、42)は、少なくとも一部分がランス形状であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
吸引ライン(30、42)は、少なくとも一部分がスパイラル形状であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
バルブユニット(26、38)のバルブ位置とは無関係に、吸引ライン(30、42)のスパイラル形状の部分と、給送ライン(32、44)との間の連通を可能にするバイパス(105)を含み、
バイパス(105)は、少なくとも1つの狭窄部を含み、
当該狭窄部の開口部の横断面は、吸引ライン(30、42)の開口部の横断面よりも小さく、かつ、給送ライン(32、44)の開口部の横断面よりも小さいことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
カップリング部材(27)が給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)を有することを特徴とする請求項5〜15の何れか1項に記載の装置。
【請求項17】
ガス抜きライン(110)を含むことを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の装置。
【請求項18】
カップリング部材(27)が、少なくとも一部分、ガス抜きライン(110)及びガス抜きライン(110)の終端開口部(108)を有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ガス抜きライン(110)の終端開口部(108)が吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)と給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)との間に配置されることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
ガス抜きライン(110)の終端開口部(108)が、給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)に直接的に隣り合うように配置されることを特徴とする請求項18又は19に記載の装置。
【請求項21】
意図したように使用される時には、給送ライン(32、44)の終端開口部(33)の領域が試薬容器(24、40)における試薬の表面に関して斜めに配置されるように、給送ライン(32、44)が実装されることを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の装置。
【請求項22】
組織処理装置(20)の試薬容器(24、40)を空にし、かつ充填する方法であって、
試薬容器(24、40)が吸引ライン(30、42)を介して空にされ、そして、給送ライン(32、44)を介して充填されること、
吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)は、給送ラインの終端開口部(33、45)から離隔して配されており、
吸引ライン(30、42)は、少なくとも一部分が給送ライン(32、44)の内側に配置されており、
給送ライン(32、44)内の試薬は、給送ライン(32、44)の内側の壁と吸引ライン(30、42)の外側の壁との間にガイドされること、
を特徴とする方法。
【請求項23】
組織処理装置(20)の試薬容器(24、40)を空し、かつ充填する方法であって、
試薬容器(24、40)は、吸引ライン(30、42)を介して空にされ、そして、給送ライン(32、44)を介して充填され、
吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)は、給送ラインの終端開口部(33、45)から離隔して配されており、
給送ライン(32、44)は、複数の終端開口部(33)を有し、
当該終端開口部(33)を介して試薬が試薬容器(24、40)に輸送されること、
を特徴とする方法。
【請求項24】
吸引ライン(30、42)の終端開口部(31、43)が、試薬容器(24、40)における試薬の充填レベルよりも下に配置され、
給送ライン(32、44)の終端開口部(33、45)が、試薬容器(24、40)における試薬の充填レベルよりも上に配置されることを特徴とする請求項22又は23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−88316(P2012−88316A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227254(P2011−227254)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(500113648)ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー (45)
【Fターム(参考)】