説明

試薬容器セット及び連結部材

【課題】複数の扁平形状を有する試薬容器を連結することができる試薬容器セットを提供する。
【解決手段】試薬容器セットSは、扁平形状を有し、試薬が収容される第1の容器本体部4、及び、前記第1の容器本体部4の内部と連通する第1の容器口部5を備えた第1の試薬容器1と、扁平形状を有し、試薬が収容される第2の容器本体部6、及び、前記第2の容器本体部6の内部と連通する第2の容器口部7を備えた第2の試薬容器2と、前記第1の試薬容器1の第1容器口部5と係合する第1係合部、前記第2の試薬容器2の第2容器口部7と係合する第2係合部、及び、前記第1係合部と第2係合部とを繋ぐ接続部を備えた連結部材3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試薬容器セット及び連結部材に関する。さらに詳しくは、分析に用いられる複数の試薬容器を連結してなる試薬容器セット、及び複数の試薬容器を連結するための連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿などの生体試料を自動的に分析する自動分析装置は、分析に際し複数種の試薬を用いる。この試薬を収容する試薬容器として、従来、合成樹脂などで成形されたタンク状又はボトル状の試薬容器が知られている。また、扁平な袋状の試薬容器も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、1台の自動分析装置で複数の試薬が使用される場合に、取扱いを容易にするために複数の試薬容器を連結することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、複数の立方体形状の試薬容器を連結するためのパッケージングシステムが開示されている。このパッケージングシステムは、試薬容器の蓋として機能するユニット部材と、このユニット部材の大きさ及び形状に対応する大きさ及び形状の開口が複数設けられたプレート部材とを備えており、前記ユニット部材を試薬容器に押し込み、押し込まれたユニット部材がプレート部材に嵌めこまれることで、複数の試薬容器が、隣り合う試薬容器の側面が接触した状態で連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/104598号パンフレット
【特許文献2】特開平8−58792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような扁平な形状の試薬容器を連結する方法はこれまで知られていなかった。
【0006】
一方、特許文献2に記載されているパッケージングシステムは、立方体形状の試薬容器を連結するものであり、特許文献2には、特許文献1に記載されているような扁平形状の試薬容器を連結することは記載されていない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の扁平形状の試薬容器を連結することができる連結部材およびこれを備えた試薬容器セットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の試薬容器セットは、扁平形状を有し、試薬が収容される第1の容器本体部、及び、前記第1の容器本体部の内部と連通する第1の容器口部を備えた第1の試薬容器と、 扁平形状を有し、試薬が収容される第2の容器本体部、及び、前記第2の容器本体部の内部と連通する第2の容器口部を備えた第2の試薬容器と、
前記第1の試薬容器の第1容器口部と係合する第1係合部、前記第2の試薬容器の第2容器口部と係合する第2係合部、及び、前記第1係合部と第2係合部とを繋ぐ接続部を備えた連結部材と
を備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明の試薬容器セットでは、試薬容器のうち容器口部を連結部材によって連結するので、試薬を収容する第1及び第2の容器本体部自体は扁平形状からなっていても、第1の試薬容器と第2の試薬容器とを連結することができる。
【0010】
前記第1係合部は、前記第1試薬容器が回転可能な状態で前記第1容器口部と係合し、
前記第2係合部は、前記第2試薬容器が回転可能な状態で前記第2容器口部と係合するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、試薬容器セットが使用される状況に応じて、第1の試薬容器と第2の試薬容器の位置関係を自由に調整することができる。
【0011】
前記連結部材は、前記第1の試薬容器の回転を規制する第1規制部、及び、前記第2の試薬容器の回転を規制する第2規制部をさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、第1及び第2規制部によって第1及び第2の試薬容器はその回転が規制された状態で連結されるので、第1の試薬容器と第2の試薬容器との位置関係が変動せず、試薬容器セットの取扱いが容易である。
【0012】
前記第1規制部は、前記第1係合部に設けられており、
前記第2規制部は、前記第2係合部に設けられているように構成してもよい。
【0013】
前記第1及び第2規制部は、突起体からなることが好ましい。
【0014】
前記第1の試薬容器と前記第2の試薬容器は、前記第1及び第2容器本体部の幅広面に対して垂直の方向に部分的に重なるように前記連結部材で連結されているように構成してもよい。
【0015】
前記第1及び第2容器本体部は、開口を有する袋体からなり、
前記第1試薬容器は、前記第1容器本体部の前記開口が開放された状態を保持する第1の開放状態保持部をさらに備え、
前記第2試薬容器は、前記第2容器本体部の前記開口が開放された状態を保持する第2の開放状態保持部をさらに備え、
前記第1容器口部は、前記第1開放状態保持部に設けられており、
前記第2容器口部は、前記第2開放状態保持部に設けられていることが好ましい。
【0016】
前記第1及び第2容器口部は、前記連結部材の第1及び第2係合部が係合する部分が円筒状に形成されていることが好ましい。
【0017】
前記連結部材は、前記第1の試薬容器の回転を規制する第1規制部、及び、前記第2の試薬容器の回転を規制する第2規制部をさらに備え、
前記第1規制部は、前記第1係合部が前記第1容器口部と係合した状態で、前記第1の試薬容器の前記第1開放状態保持部と当接することにより前記第1の試薬容器の回転を規制し、
前記第2規制部は、前記第2係合部が前記第2容器口部と係合した状態で、前記第2の試薬容器の前記第2開放状態保持部と当接することにより前記第2の試薬容器の回転を規制することが好ましい。
【0018】
前記第1及び第2係合部は、半環状の部材からなることが好ましい。
【0019】
前記第1及び第2係合部の端部は、丸みを帯びた形状を有することが好ましい。
【0020】
前記第1及び第2の容器本体部が、軟質素材からなるものとすることができる。
【0021】
前記第1の試薬容器は、前記第1の容器本体部の幅広面に第1のラベルを有し、
前記第2の試薬容器は、前記第2の容器本体部の幅広面に第2のラベルを有するように構成することができる。
【0022】
前記第1の試薬容器と前記第2の試薬容器とは、互いに同じ形状を有するものとすることができる。
【0023】
本発明の連結部材は、扁平形状を有し、試薬が収容される容器本体部、及び、前記容器本体部の内部と連通する容器口部をそれぞれ備えた第1及び第2の試薬容器を連結するための連結部材であって、
前記第1の試薬容器の前記容器口部と係合する第1係合部、
前記第2の試薬容器の前記容器口部と係合する第2係合部、及び、
前記第1係合部と前記第2係合部とを繋ぐ接続部を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の連結部材及びこれを備えた試薬容器セットによれば、複数の扁平形状を有する試薬容器を連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の試薬容器セットの一実施の形態の正面説明図である。
【図2】図1に示される試薬容器セットの平面説明図である。
【図3】(a)は図1に示される試薬容器のキャップをはずした状態の平面説明図、(b)は同正面説明図である。
【図4】(a)は図1に示される連結部材の平面説明図、(b)は同正面説明図である。
【図5】(a)は他の実施の形態に係る連結部材の平面説明図、(b)は同正面説明図である。
【図6】(a)はさらに他の実施の形態に係る連結部材の平面説明図、(b)は同正面説明図である。
【図7】本発明の試薬容器セットを用いる自動分析装置の一例の斜視説明図である。
【図8】吸引パイプの一部が試薬容器内に挿入された状態を示す断面説明図である。
【図9】試薬容器セットを試薬設置部に収納した自動分析装置の斜視説明図である。
【図10】(a)はさらに他の実施の形態に係る連結部材の平面説明図、(b)は同正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の連結部材及びこれを備えた試薬容器セットの実施の形態を詳細に説明する。
〔試薬容器セット〕
図1は、本発明の一実施の形態に係る試薬容器セットSの正面説明図であり、図2は、図1に示される試薬容器セットSの平面説明図であり、図3の(a)は図1に示される試薬容器のキャップをはずした状態の正面説明図、(b)は同平面説明図である。試薬容器セットSは、動物を含む生体の血液などの試料を分析する自動分析装置などに用いられる白血球測定用試薬を収納する第1の試薬容器1と、網状赤血球測定用試薬を収納する第2の試薬容器2と、連結部材3とを備えている。以下では、まず第1及び第2の試薬容器の構成について説明し、ついで連結部材の構成について説明することとする。
【0027】
〔試薬容器〕
第1の試薬容器1は、試薬が収容される袋体からなる容器本体部4と、この容器本体部4の開口を開放状態に保持する開放状態保持部8と、この開放状態保持部8に設けられ、容器本体部4の内部と連通する容器口部5と、容器口部5を閉じるキャップ10を主に備えている。
第2の試薬容器2は、第1の試薬容器と同様に、試薬が収容される袋体からなる容器本体部6と、この容器本体部6の開口を開放状態に保持する開放状態に保持する開放状態保持部9と、この開放状態保持部9に設けられ、容器本体部6の内部と連通する容器口部7と、容器口部6を閉じるキャップを主に備えている。
本実施の形態では、第1の試薬容器1と第2の試薬容器2とが互いに同じ大きさ及び形状を有している。
【0028】
容器本体部4、6は、開口4a、6aを有する扁平形状の袋体からなり、この袋体は、正面から見て長方形状を呈している。長方形の4つの辺のうち、2つの長辺及び1つの短辺(図1において下側の短辺)が接着剤や熱接着などにより封止されており、残りの短辺が開口4a、6aとされている。この開口4a、6aは、開放状態保持部8、9によって、それぞれ開放された状態に保持されている。
【0029】
容器本体部4、6は、いずれも軟質素材からなり且つ扁平形状を呈している。軟質素材の例としては、例えばポリエステル、ナイロンなどの合成樹脂を挙げることができる。容器本体部4、6は、一種類の素材だけで作製してもよいし、試薬と接触する内側と、ユーザーが触れたり、輸送時などに他の試薬容器と機械的な接触をしたりする外側とで異なる素材によって作製してもよい。例えば、ナイロンなどの合成樹脂にポリエチレンなどの熱接着性のフィルムをラミネートしたものを用いることができる。また、アルミニウム箔を合成樹脂製フィルムにラミネートしたものを用いることもできる。なお、本明細書において「軟質素材」とは、軟らかく、比較的小さな力でも変形可能な素材のことであり、素材自体が軟らかい場合だけでなく、厚さを薄くすることで軟らかくなるような素材も含まれる。
【0030】
容器本体部4、6の素材の厚さは、本発明において特に限定されるものではないが、通常、1〜1000μmであり、好ましくは10〜500μm程度である。
【0031】
容器本体部4、6の幅広面4b、6bには、当該容器本体部4、6内に収容されている試薬の名称、成分、有効期限、ロット番号、製造販売者名などの情報が表示された識別ラベルLが貼付されている。
【0032】
開放状態保持部8、9は、板材からなるベース部8a、9aと、このベース部8a、9aの周縁に沿って設けられた壁部8b、9bとで構成されている。容器本体部4、6の開口4a、6aの内周面は、壁部8b、9bの外周面に熱接着や粘着剤などにより粘着されており、これにより開口4a、6aが開放された状態に保持されている。ベース部8a、9aの中央には、孔8a1、9a1が形成されており、後述する容器口部5、7は、孔8a1、9a1を介して容器本体部4、6の内部と連通している。
【0033】
容器口部5、7は、円筒形状を呈し、開放状態保持部8、9のベース部8a、9aから垂直に延びて設けられている。容器口部5、7は、硬質素材からなっており、全体として短円筒形状を呈している。硬質素材の例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ナイロンのようなポリアミドなどの合成樹脂を挙げることができる。
容器口部5、7の一端側(先端側)の外周面には、図3に示されるように、試薬容器のキャップ10、11の内周面に形成された雌ネジ部(図示せず)と螺合する雄ネジ部12、13が形成されており、他端側(根元側)には、後述する連結部材の係合部が係合する被係合部14、15が設けられている。この被係合部14、15は、円筒状であり、その先端側にはつば状のストッパ16、17が形成されている。
【0034】
第1の試薬容器1と第2の試薬容器2は、製造段階において連結部材3によって連結され、この連結された状態で輸送、保管、使用される。試薬容器1、2は、容器本体部4、6の幅広面4b、6bに垂直な方向(図1において、紙面に対して垂直方向)に部分的に重なるように連結部材3で連結される。これにより、試薬容器セットSの幅を小さくしつつ、後方の試薬容器2の識別ラベルLを容易に視認することができる。
【0035】
〔連結部材〕
つぎに連結部材3について詳細に説明する。図4の(a)は図1に示される連結部材3の平面説明図、(b)は同正面説明図である。
連結部材3は、第1の試薬容器1の容器口部5と係合する第1係合部20、第2の試薬容器2の容器口部7と係合する第2係合部21、前記第1係合部20と第2係合部21とを繋ぐ接続部22、前記第1係合部20に設けられ、第1の試薬容器1の回転を規制する第1規制部としての突起23、及び、前記第2係合部21に設けられ、第2の試薬容器2の回転を規制する第2規制部としての突起24を備えている。連結部材3は、硬質の素材からなり、連結部材3の厚さDは約3.5mmである。硬質素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリルなどの合成樹脂で一体成形されている。
【0036】
第1係合部20及び第2係合部21は、いずれも半環状に形成されており、容器口部5、7の円筒状の被係合部14、15と係合する。半環状の係合部20、21の内径Riは、円筒状の被係合部14、15の外径Ro(図3(a)参照)よりもわずかに大きくされている。被係合部14、15が円筒状であり、係合部が半環状であり、係合部20、21の内径Riが被係合部14、15の外径Roよりもわずかに大きくされていることにより、係合部20、21は、試薬容器1、2が回転可能な状態で容器口部5、7に係合する。ただし、本実施形態では、連結部材3が試薬容器1、2の回転を規制する規制部としての突起23、24を備えていることにより、試薬容器1、2の回転は非常に小さい範囲に限定(規制)される。
半環状の係合部20、21の開口部(本実施形態では、端部E1と端部E2との間)の間隔wは、前記被係合部14、15の外径Roよりも小さくされている。
【0037】
本実施の形態において、半環状の係合部20、21は、その開口部が同じ方向を向くように接続部22により繋がれている。
【0038】
半環状の係合部20、21の端部E1乃至E4は、R加工が施されていることにより丸みを帯びて形成されている。このため、係合部20、21が被係合部14、15に押し当てられたときに、被係合部14、15が係合部20、21の開口の内側に入り込み、開口が押し広げられるため、連結部材3を試薬容器1、2の容器口部5、7の円筒状の被係合部14、15にスムーズに装着することができる。
また、円筒状の被係合部14、15の先端側には鍔状のストッパ16、17が設けられているので、装着された連結部材3の軸方向(円筒形状の容器口部の軸方向)の移動を抑制することができる。
【0039】
突起23、24は、半環状の係合部20、21の周縁部であって、当該係合部20,21の開口部と反対側の位置に、下方に突出するように設けられている。突起23、24の係合部20、21からの突出高さhは、連結部材3を試薬容器1、2の容器口部5、7に装着した際に、突起23、24が開放状態保持部8、9のベース部8a、9aの周縁に当接可能な高さに設定されている。これにより、試薬容器セットSを取り扱う際に試薬容器1、2が回転しようとしても、突起23、24が開放状態保持部8、9のベース部8a、9aの周縁に当接するので、その回転は非常に小さい範囲に限定(規制)される。したがって、2つの試薬容器1、2を一体のものとして取扱い易くなる。また、各試薬容器1、2に貼付される識別ラベルLを常に同じ方向に向かせておくことができ、誤った試薬が使用されるおそれをなくすことができる。
【0040】
連結部材3を試薬容器1、2の容器口部5、7に装着するに際しては、半環状の係合部20、21の開口部を円筒状の被係合部14、15に押し当てる。半環状の係合部20、21の開口部の開口寸法wは、被係合部14、15の外径Roよりも小さくされているが、被係合部14、15が押し当てられることにより開口部が押し広げられ、被係合部14、15の通過を許容するように変形する。そして、被係合部14、15が開口を通過し、係合部20、21と被係合部14、15とが係合する。一旦、係合部20、21と被係合部14、15とが係合すると、半環状の係合部20、21は元の形状に戻るので、半環状の係合部20、21の開口部の開口寸法wは、被係合部14、15の外径Roよりも小さくなり、円筒状の被係合部14、15が半環状の係合部20、21から外れるのを抑制する。
【0041】
次に本発明の試薬容器セットSの使用例を、図1に示される実施の形態に係る試薬容器セットSに基づき説明する。
図7は、本発明の試薬容器セットSを用いる自動分析装置Aの要部斜視説明図であり、図8は、後述する吸引パイプの一部が試薬容器内に挿入された状態を示す断面説明図である。この自動分析装置Aは動物の血液を自動分析する装置であり、分析に際して白血球を染色する試薬と網状赤血球を染色する試薬とを用いる。両試薬は試薬容器セットSの2つの試薬容器にそれぞれ収容されている。なお、自動分析装置A内には、血液や試薬などから測定用の試料を調製する試料調製部、調製された測定用試料について所定項目の測定を行う測定部、測定結果の分析をするとともに、試料調製部や測定部の動作の制御を行う制御部など、この種の自動分析装置における公知の要素が収容されている。
【0042】
自動分析装置Aの上面には開閉可能なカバー30が設けられている。このカバー30が持ち上げられると、筐体に設けられた開口部32が露出する。この開口部32の下方には2つの試薬容器からなる試薬容器セットSを収容可能な試薬設置部31が設けられている。
【0043】
試薬設置部31には、各試薬を試料調製部内に引き込むための接続チューブ33a、33bが設けられている。この接続チューブ33a、33bの先端には、図8に示されるように、試薬を吸引するための吸引パイプ34a、34b及び試薬容器の容器口部と係合し、試薬容器のキャップとしても機能する共通キャップ35a、35bが設けられている。また、各接続チューブ33a、33bには、当該接続チューブ33a、33bに接続されるべき試薬容器を識別するためのタグ40、41が取り付けられている。
【0044】
接続チューブ33a(33b)と吸引パイプ34a、34bとの接合部には、円板状のストッパ36a、36bが固設されている。共通キャップ35a、35bは前記ストッパ36a、36bに係止することで吸引パイプ34a、34bから抜け出るのが防止される。ストッパ36a、36bから吸引パイプ34a、34bの先端までの長さは、吸引パイプ34a、34bが試薬容器に差し込まれたときに、吸引パイプ34a、34bの先端が容器本体部4、6の底部よりわずかに上方に位置するような長さにされている。共通キャップ35a、35bの内周面には、試薬容器1、2の容器口部5、7の外周面に形成された雄ネジ部12、13と螺合する雌ネジ部37a、37bが形成されている。
【0045】
試薬を交換するに際しては、まずカバー30を開けて空になった試薬容器セットSを試薬設置部31から取り出す。図7は、試薬容器セットSを試薬設置部31から取り出した状態を示している。
【0046】
ついで、共通キャップ35a、35bをはずし、容器本体部4、6内に挿入されている吸引パイプ34a、34bをまっすぐに引き抜く。
【0047】
ついで、新しい試薬容器セットSの試薬容器1、2のキャップ10、11をはずす。タグ40の表記に対応する試薬容器に吸引パイプ34aを差し込み、タグ41の表記に対応する試薬容器に吸引パイプ34bを差し込む。この作業は、例えば、タグ40に白血球染色試薬用と表記され、タグ41に網状赤血球染色試薬用と表記されている場合は、次のようにして行われる。使用者は、試薬容器セットSの試薬容器に付された識別ラベルLを確認して、試薬容器1及び2のうち白血球染色試薬が収容されている試薬容器を識別する。使用者は、タグ40が付された接続チューブ33aの吸引パイプ34aを識別した試薬容器に差し込む。ついで使用者は、残りの一方の試薬容器に付された識別ラベルを確認して、その試薬容器が、網状赤血球染色試薬が収納されている試薬容器であることを確認する。使用者は、タグ41に付された接続チューブ33bの吸引パイプ34bを、その残り一方の試薬容器に差し込む。
【0048】
吸引パイプ34a、34bが差し込まれたら、共通キャップ35a、35bを閉める。ついで、新しい試薬容器セットSを試薬設置部31内に収納し、接続チューブ33a、33bの曲がりなどを直した後にカバー30を閉じることで、試薬容器セットSの交換が完了する。
【0049】
このように、本実施形態の試薬容器セットSは、試薬容器1の容器口部5と試薬容器2の容器口部7とを連結部材3で連結することにより、容器本体部4、6が扁平形状であっても、試薬容器1と試薬容器2とを連結することができる。また、試薬容器1及び2は、連結部材3に設けられた突起23、24によって、それぞれ回転が規制された状態で連結される。これにより、試薬容器1、2の位置関係が変動せず、取り扱いが容易である。
【0050】
また、容器本体部4、6の幅広面4b、6bには、試薬に関する事項を表示した識別ラベルLが貼付されており、本実施形態の試薬容器セットでは規制部23、24によって2つの試薬容器1、2は回転が規制された状態で連結されているので、複数の試薬容器に貼られたラベルLを一目で視認することができる。
【0051】
また、本実施形態の試薬容器セットでは、試薬容器1、2は、容器本体部5、7の幅広面に対して垂直の方向に部分的に重なるように連結部材3で連結される。これにより、試薬容器セットSの幅を小さくすることができ、試薬設置部31のスペースが小さくても容易に試薬容器セットSを収納することができる。また、部分的に重なるように連結されることで、後方に配置される試薬容器2の識別ラベルLを容易に視認することができる。
【0052】
〔その他の変形例〕
なお、以上開示された実施の形態は、本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前記実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の構成と均等なすべての変更が含まれる。
【0053】
図5の(a)は他の実施の形態に係る連結部材103の平面説明図、(b)は同正面説明図である。この連結部材103は、S字形状を呈しており、第1の試薬容器1の容器口部5と係合する第1係合部120、第2の試薬容器2の容器口部7と係合する第2係合部121、前記第1係合部120と第2係合部121とを繋ぐ接続部122、前記第1係合部120に設けられ、第1の試薬容器1の回転を規制する第1規制部としての突起123、及び、前記第2係合部121に設けられ、第2の試薬容器2の回転を規制する第2規制部としての突起124を備えている。
【0054】
第1係合部120及び第2係合部121がいずれも半環状の部材からなる点は、図4に示される実施の形態と同じであるが、本実施の形態において、半環状の係合部120、121は、その開口部が互いに向き合うように接続部122により繋がれている。
【0055】
図6の(a)はさらに他の実施の形態に係る連結部材203の平面説明図、(b)は同正面説明図である。この連結部材203は、第1の試薬容器1の容器口部5と係合する第1係合部220、第2の試薬容器2の容器口部7と係合する第2係合部221、前記第1係合部220と第2係合部221とを繋ぐ接続部222、前記第1係合部220に設けられ、第1の試薬容器1の回転を規制する第1規制部としての突起223、及び、前記第2係合部221に設けられ、第2の試薬容器2の回転を規制する第2規制部としての突起224を備えている。
【0056】
第1係合部220及び第2係合部221がいずれも半環状の部材からなる点は、図4に示される実施の形態と同じであるが、本実施の形態においては、半環状の係合部220における開口部と係合部221の開口部とが反対方向を向くように接続部222により繋がれている。
【0057】
上述した実施の形態では、1つの試薬容器セットに2つの試薬容器が含まれているが、試薬容器の数は3以上であってもよい。3つの試薬容器を連結部材で連結する場合、連結部材は、第3の試薬容器の容器口部と係合する第3係合部、及び、前記第3係合部に設けられ、第3の試薬容器の回転を規制する第3規制部をさらに備えたものとなる。また、連結部材の接続部は、第1係合部と第2係合部と第3係合部とを繋ぐものとなる。
【0058】
上述した実施形態では、第1の試薬容器の回転を規制する第1規制部を第1係合部に設け、第2試薬容器の回転を規制する第2規制部を第2係合部に設けた例を示したが、第1及び第2規制部を設ける位置は、上述した形態に限られない。例えば、第1及び第2規制部は、第1係合部と第2係合部とを繋ぐ接続部に設けられていてもよい。この場合、例えば、第1規制部として、接続部から第1試薬容器の開放状態保持部に当接する位置まで延びる突起を設け、第2規制部として、接続部から第2試薬容器の開放状態保持部に当接する位置まで延びる突起を設ける形態としてもよい。
【0059】
上述した実施形態では、連結部材に、第1の試薬容器の回転を規制する第1規制部と、第2試薬容器の回転を規制する第2規制部を設けた例を示したが、規制部は必ずしも設けられていなくてもよい。例えば、図10に示すように連結部材303が規制部を備えず、第1係合部320が、第1試薬容器が回転可能な状態で第1容器口部と係合し、第2係合部321が、第2試薬容器が回転可能な状態で第2容器口部と係合する形態であってもよい。このように構成すれば、試薬容器セットが使用される状況に応じて、第1試薬容器と第2試薬容器の位置関係を自由に調整することができる。したがって、例えば、試薬容器セットを設置するスペースの大きさに応じて試薬容器セットの幅を調整することができる。なお、図10において、322は第1係合部320と第2係合部321とを繋ぐ接続部である。
【符号の説明】
【0060】
1 第1の試薬容器
2 第2の試薬容器
3 連結部材
4 容器本体部
4a 開口
4b 幅広面
5 容器口部
6 容器本体部
6a 開口
6b 幅広面
7 容器口部
8、9 開放状態保持部
10、11 キャップ
14、15 被係合部
20 第1係合部
21 第2係合部
22 接続部
23 突起(第1規制部)
24 突起(第2規制部)
30 カバー
31 試薬設置部
33 接続チューブ
34 吸引パイプ
35 共通キャップ
36 ストッパ
40 タグ
41 タグ
103 連結部材
203 連結部材
303 連結部材
A 自動分析装置
S 試薬容器セット
L 識別ラベル
O 開口寸法
h 突出高さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形状を有し、試薬が収容される第1の容器本体部、及び、前記第1の容器本体部の内部と連通する第1の容器口部を備えた第1の試薬容器と、
扁平形状を有し、試薬が収容される第2の容器本体部、及び、前記第2の容器本体部の内部と連通する第2の容器口部を備えた第2の試薬容器と、
前記第1の試薬容器の第1容器口部と係合する第1係合部、前記第2の試薬容器の第2容器口部と係合する第2係合部、及び、前記第1係合部と第2係合部とを繋ぐ接続部を備えた連結部材と
を備えたことを特徴とする試薬容器セット。
【請求項2】
前記第1係合部は、前記第1試薬容器が回転可能な状態で前記第1容器口部と係合し、
前記第2係合部は、前記第2試薬容器が回転可能な状態で前記第2容器口部と係合する、請求項1に記載の試薬容器セット。
【請求項3】
前記連結部材は、前記第1の試薬容器の回転を規制する第1規制部、及び、前記第2の試薬容器の回転を規制する第2規制部をさらに備える、請求項1に記載の試薬容器セット。
【請求項4】
前記第1規制部は、前記第1係合部に設けられており、
前記第2規制部は、前記第2係合部に設けられている、請求項3に記載の試薬容器セット。
【請求項5】
前記第1及び第2規制部は、突起体からなる、請求項4に記載の試薬容器セット。
【請求項6】
前記第1の試薬容器と前記第2の試薬容器は、前記第1及び第2容器本体部の幅広面に対して垂直の方向に部分的に重なるように前記連結部材で連結されている、請求項2〜5のいずれかに記載の試薬容器セット。
【請求項7】
前記第1及び第2容器本体部は、開口を有する袋体からなり、
前記第1試薬容器は、前記第1容器本体部の前記開口が開放された状態を保持する第1の開放状態保持部をさらに備え、
前記第2試薬容器は、前記第2容器本体部の前記開口が開放された状態を保持する第2の開放状態保持部をさらに備え、
前記第1容器口部は、前記第1開放状態保持部に設けられており、
前記第2容器口部は、前記第2開放状態保持部に設けられている、請求項1〜6のいずれかに記載の試薬容器セット。
【請求項8】
前記第1及び第2容器口部は、前記連結部材の第1及び第2係合部が係合する部分が円筒状に形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の試薬容器セット。
【請求項9】
前記連結部材は、前記第1の試薬容器の回転を規制する第1規制部、及び、前記第2の試薬容器の回転を規制する第2規制部をさらに備え、
前記第1規制部は、前記第1係合部が前記第1容器口部と係合した状態で、前記第1の試薬容器の前記第1開放状態保持部と当接することにより前記第1の試薬容器の回転を規制し、
前記第2規制部は、前記第2係合部が前記第2容器口部と係合した状態で、前記第2の試薬容器の前記第2開放状態保持部と当接することにより前記第2の試薬容器の回転を規制する、請求項7又は8に記載の試薬容器セット。
【請求項10】
前記第1及び第2係合部は、半環状の部材からなる、請求項1〜9のいずれかに記載の試薬容器セット。
【請求項11】
前記第1及び第2係合部の端部は、丸みを帯びた形状を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の試薬容器セット。
【請求項12】
前記第1及び第2の容器本体部が、軟質素材からなる、請求項1〜11のいずれかに記載の試薬容器セット。
【請求項13】
前記第1の試薬容器は、前記第1の容器本体部の幅広面に第1のラベルを有し、
前記第2の試薬容器は、前記第2の容器本体部の幅広面に第2のラベルを有する、請求項1〜12のいずれかに記載の試薬容器セット。
【請求項14】
前記第1の試薬容器と前記第2の試薬容器とは、互いに同じ形状を有する、請求項13に記載の試薬容器セット。
【請求項15】
扁平形状を有し、試薬が収容される容器本体部、及び、前記容器本体部の内部と連通する容器口部をそれぞれ備えた第1及び第2の試薬容器を連結するための連結部材であって、
前記第1の試薬容器の前記容器口部と係合する第1係合部、
前記第2の試薬容器の前記容器口部と係合する第2係合部、及び、
前記第1係合部と前記第2係合部とを繋ぐ接続部を備えた連結部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−153990(P2011−153990A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17056(P2010−17056)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】