説明

試薬容器用の閉止装置

【課題】フォイルによって封止された試薬容器用の再閉鎖可能な閉止装置を提供する。
【解決手段】1つの開口を有する容器の光密性閉止のための閉止装置100であって、少なくとも1つの開口部を有する第1閉止要素110であって、前記開口部が前記容器の前記開口の上方に位置するように前記容器上に気密に取り付けることができるように成形された第1閉止要素と、前記第1閉止要素に対して運動可能に接続可能であると共に、閉鎖位置においては、前記第1閉止要素の前記少なくとも1つの開口部を覆い、且つ、開放位置においては、前記第1閉止要素の前記少なくとも1つの開口部を覆わない第2閉止要素120と、を具備し、前記少なくとも1つの開口部を取り囲む隆起したエッジが、前記第1閉止要素の前記下部表面上に設けられ、前記エッジは、鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分と、鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬容器の閉止のための閉止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ピペッティング、混合、培養、遠心分離、計測などの必要な方法ステップを完全に自動的に実行する医療診断の分野においては、複数の装置が使用されている。このような装置によって分析されるサンプルは、ほとんどの場合において、少なくとも1つの試験試薬の添加を要する人間又は動物の体液又はその他の検体含有流体である。従って、様々な容器内に配置可能な流体の保存、除去、移動、及び添加が診断装置の内部における不可欠の操作である。
【0003】
部分的に自動的な又は完全に自動的な診断装置において、試料をセットアップする際に考慮を要する1つの基準は、装置内に保存された際の試薬の保存寿命、所謂、オンボード安定性(on−board stability)であり、これは、確実に装置内の状態の影響を受ける。具体的に問題となるのは、蒸発によって生じる流体試薬の質量の損失と、汚染のリスクである。標準化され且つ信頼性の高い方式によって検体を判定するには、明確な組成において試薬を使用することが不可欠であり、これは、流体の損失によって生じる濃度の変化により、試験全体の品質又は所謂性能が低下することを意味している。流体試薬が蒸発する理由は、それらの試薬が、自動ピペッタから直接アクセス可能でなければならず、且つ、従って、原則的に、密封されていないという点にある。
【0004】
装置又はピペッタの設計に応じて、周知のように、試薬容器からの流体の蒸発を低減するべく、様々な対策が施されている。例えば、多くの診断装置は、試薬容器が挿入される冷却されたホルダ又は場所を具備している。試薬を冷却することにより、蒸発による流体の損失を大幅に低減可能である。蒸発の影響を低減するための別の対策は、試薬容器の開口断面を小さくするというものであるが、これは、ピペッタの寸法によって制限されることから、その適合可能性の程度が限られている。密封された閉止キャップ又はプラグも、通常使用されている。
【0005】
蒸発からの特に不透過性の保護と汚染からの特に効率的な保護は、例えば、ねじタイプの閉止やスナップタイプの閉止などの可能な限り密封状態において試薬容器の開口を封止すると共に診断装置内の対応するメカニズムによって自動的に開放及び再び閉鎖することができるように設計された閉止装置によって提供される。しかしながら、1つの欠点は、このような閉止装置を自動的に開閉するには、装置に非常に複雑なメカニズム及び装置を設置しなければならないという点にある。
【0006】
蒸発及び汚染からの効率的な保護を保証する別の閉止装置は、特許文献1に記述されている。この文献は、試薬容器の開口に取り付けられる開口部を具備した閉止体を有する2つの構成要素からなる試薬容器閉止装置について記述している。開放位置において試薬容器の開口を解放すると共に閉鎖位置において試薬容器の開口を閉鎖する閉止カバーが、閉止体に対して運動可能に接続可能である。試薬容器の開口の開放及び閉鎖は、閉止カバーが閉止体との関係において水平プレーン内において運動することにより、実現される。閉止装置を自動的に作動させることができるように、閉止カバーは、所謂エントレイン手段(entrainment means)を具備し、且つ、試薬容器がその内部に配置される装置の対応する構成のラムが、このエントレイン手段と協働可能である。ラムの水平移動又は試薬容器の水平移動によって閉止カバーの水平移動が生成され、且つ、その結果、試薬容器が開閉する。
【0007】
更なる課題は、診断装置内における感光性試薬の保存に関連している。最近の試験方法は、益々、非常に高感度な光化学的な方法に基づいたものになっている。この場合に使用される試薬は、光の影響によって励起される光増感剤或いは化学発光又は蛍光物質などの感光性成分を含む。感光性試薬のオンボード安定性を保証するには、あらゆる光の影響を可能な限り回避しなければならない。このために、これらのタイプの試薬は、通常、好ましくは、有色のプラスチック材料である遮光性を有する材料から製造された容器内に充填される。試薬容器は、診断装置内に配置される時点まで、試薬の運搬及び保存のために密封される。このために、試薬容器の開口は、通常、製造者により、遮光性フォイルによって熱封止されている。
【0008】
非感光性試薬の運搬及び保存のためにも使用されているこれらのタイプのフォイル封止材に伴う1つの欠点は、ユーザーがフォイルを試薬容器から手で除去した後にのみ、適切な自動的に再閉鎖可能な閉止装置を適用し、次いで、これにより、試薬容器を診断装置内に配置可能であるという点にある。フォイルの手作業による除去と、その結果として得られる開いた試薬容器の取扱いには、試薬容器の揺動又は容器内への汚染物質の混入のリスクを伴う。従って、ユーザーは、これらのリスクを回避するべく、特に慎重に行動しなければならないため、フォイル封止材の除去と、これに後続する閉止装置の取付も、時間と、その結果、費用のかかる操作ステップである。感光性試薬を収容する試薬容器からフォイルを除去し、次いで、閉止装置を取り付ける際の1つの特有の欠点は、これらのステップを、可能な限り、光から保護された状態において、即ち、暗い部屋の内部において、実行することを要するという点にある。しかしながら、盲目状態におけるユーザーによる取扱いは、前述の容器の揺動及び汚染のリスクを増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1046915号(EP−A2−1046915)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、フォイルによって封止された試薬容器用の再閉鎖可能な閉止装置を提供することが本発明の目的であり、この閉止装置は、蒸発及び汚染からの可能な限り効率的な保護を提供し、且つ、更には、この閉止装置によれば、すべての可能なフォイル封止材の手作業による除去を省略可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、第1及び第2閉止要素を有する閉止装置の提供によって実現され、開口部を有する第1閉止要素は、閉鎖対象の容器の開口に取り付けられ、且つ、第2閉止要素は、第1閉止要素に対して運動可能に接続可能であり、本装置の第1閉止要素は、容器に対向する下部表面上に隆起したエッジを具備し、この隆起したエッジは、開口部を取り囲むと共に、鋭いエッジを有する領域と、鋭利ではない領域と、を具備する。
【0012】
これに伴う利点は、閉止装置が試薬容器に取り付けられる際に、試薬容器の開口の任意の可能なフォイル封止材が貫通されるという点にある。第1閉止要素の下部表面の外周エッジが、フォイルを穿孔、切断、又は貫通する鋭いエッジを有する領域に沿って、鋭利ではない、即ち、鋭いエッジを有していない領域をも具備しているという事実は、切り取り部分が残りのフォイルから完全に分離されることなしに容器内に突出し、且つ、フォイルに接続された状態に留まることを保証している。この結果、フォイルの切り取り部分の容器内への落下が防止される。
【0013】
本発明において特許請求されている閉止装置は、少なくとも1つの開口を具備する容器を閉鎖するのに好適である。
【0014】
従って、本発明の1つの目的は、1つの開口部を有する容器の遮光のための閉止装置であって、この装置は、a)容器に対向する下部表面と、容器から離れている上部表面と、を有し、且つ、少なくとも1つの開口部を有する第1閉止要素であって、第1閉止要素の開口部が容器の開口の上方に位置するようにぴったりとした方式によって容器に取り付けることができるように成形された第1閉止要素と、b)第1閉止要素と対向する下部表面と、第1閉止要素から離れている上部表面と、を有する第2閉止要素であって、第1閉止要素に対して運動可能に接続可能であり、且つ、閉鎖位置においては、第1閉止要素の少なくとも1つの開口部を覆い、且つ、開放位置においては、第1閉止要素の少なくとも1つの開口部を覆わない第2閉止要素と、を具備し、且つ、少なくとも1つの開口部を取り囲む隆起したエッジが第1閉止要素の下部表面上に設けられており、このエッジは、鋭いエッジを具備した表面を有する第1長手方向部分と、鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分と、を具備する。
【0015】
好適な実施例において、鋭利ではない表面を具備する隆起したエッジの第2長手方向部分は、外側表面上において、即ち、開口部から離れた側において、湾曲した状態で延在している。これに伴う効果は、フォイルの切り取り部分が、フォイルに接続された状態に留まっている地点において曲線状に(窪んだ状態で)変形するという点にある。このタイプの変形は、容器内に突出するフォイルの切り取り部分を安定化又は硬化させ、これにより、閉止要素及び容器の開口を通じたアクセスを妨害可能なフォイルの切り取り部分のはためきが回避される。
【0016】
第2長手方向部分の鋭利ではない表面は、好ましくは、単に滑らかな表面である。これは、第1閉止要素の下部表面との関係においてプレーンに対して平行な状態において延在可能である。代替肢として、この表面は、第1閉止要素の下部表面との関係において傾斜した1つのプレーン上に位置することも可能である。
【0017】
第1閉止要素の開口部を取り囲む隆起したエッジの第1長手方向部分の鋭いエッジを有する表面は、好ましくは、歯形状の構造及び/又は切断エッジ形状の構造を具備する。このタイプの構造又は隆起したエッジの第1長手方向部分上に鋭いエッジを有する表面を生成するタイプの異なる構造(切断エッジ形状)の構成は、可能な限り容易な貫通を保証するべく、容器の開口を封止している貫通対象の材料の特性に応じて最適化可能である。
【0018】
鋭いエッジを有する表面を具備した隆起したエッジの第1長手方向部分は、好ましくは、その高さ方向において、少なくとも部分的に、鋭利ではない表面を具備する隆起したエッジの第2長手方向部分を超えて、突出している。これに伴う利点は、第1閉止要素がフォイルによって封止された容器に取り付けられた際に、まず、鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分が貫通対象のフォイルとの接触状態となり、且つ、作用するすべての力が外周エッジの鋭いエッジを有する領域に対して作用するという点にある。この結果、わずかな量の力を使用した貫通対象の材料の貫通が容易に可能となる。わずかな量の力による貫通は、鋭いエッジを有する表面を具備した隆起したエッジの第1長手方向部分が、傾斜した状態において、又は第1閉止要素の下部表面からのスロープの形状において、上方に傾いている、即ち、第1閉止要素の下部表面との関係において傾斜した平面内に位置しているという点により、更に促進可能である。水平面に対する平面の傾斜の角度は、好ましくは、略1〜45°である。
【0019】
特定の一実施例においては、第1閉止要素の開口部を取り囲むと共に鋭いエッジを有する表面を具備した隆起したエッジの第1長手方向部分は、第1、第2、及び第3部位部分を具備し、第1及び第3部位部分は、それぞれのケースにおいて、直線状に延在し、且つ、第1及び第3部位部分を1つに接続する第2部位部分は、湾曲した状態に延在している。第1及び第3部位部分は、互いに対して平行に延在しており、或いは、延長された場合に、隆起した外周エッジの外部において交差するように、互いにわずかに傾斜した状態に延在可能である。第1及び/又は第3部位部分は、それぞれ、好ましくは、個々の部位部分の長さの全体にわたって延在する切断エッジを具備する。更には、第1及び第3部位部分を1つに接続する第2部位部分は、好ましくは、歯形状の構造を具備する。具体的には、隆起したエッジの第1長手方向部分のスロープ形状の形成との関連において、湾曲した第2部位部分の頂点における最大の高さにより、この実施例は、容器の開口部を封止している貫通対象の材料が、まず、第2部位部分の歯形状の構造によって1つの位置において穿孔され、且つ、印加された圧力により、穿孔された位置から始まって、第1及び第3部位部分の切断エッジにより、きれいに切り開かれることを保証している。わずかな量の力を使用する貫通対象の材料の貫通を制御することによって、これは、フォイルの切り取り部分が、きれいな切断エッジを有し、その結果、切断エッジがささくれた状態にならないことを保証している。ささくれた状態になった切断エッジは、容器の開口部内に突出し、且つ、従って、例えば、ピペッタのアクセスを妨害可能であろう。
【0020】
第1及び第2閉止要素の間の運動可能な接続は、例えば、着脱自在のプラグイン接続によって生成可能である。このために、2つの閉止要素は、例えば、ピン及び対応するボアなどの連動構造を具備する。運動可能な接続は旋回点を形成する。旋回点は、第2閉止要素が第1閉止要素との関係において、水平面内で移動可能となるように配置される。移動の半径は、第1閉止要素内に存在しているすべての開口部がアクセス可能となる開放位置と、第1閉止要素内に存在しているすべての開口部が閉鎖される閉鎖位置を実現できるように、選択することを要する。
【0021】
本発明において特許請求されている閉止装置の更なる実施例は、複数のチャンバを有する容器の遮光に適したものとなるような特徴を有する。
【0022】
診断方法を実行するための異なる試薬を収容する試験キットは、例えば、異なる試薬が別個に保存される複数のチャンバを有する試薬容器の形態において提供可能である。
【0023】
「複数のチャンバを有する容器」という用語は、流体を収容及び保存する少なくとも2つのチャンバを有する容器を含む。容器は、単一片として設計することも可能であり、或いは、相互接続された複数の別個のチャンバを具備することも可能である。複数のチャンバを有する容器は、3つ、4つ、5つ、又はこれを上回る数のチャンバを包含可能である。
【0024】
少なくとも2つの開口を有する複数のチャンバを有する容器を遮光するように閉鎖するべく、第1及び第2閉止要素からなる閉止装置は、閉鎖対象の容器上に取り付けられた第1閉止要素内に、少なくとも2つの開口部を具備し、これらの開口部は、閉止要素が容器上に取り付けられた際に、容器の開口の上方に配置される。それぞれの開口部ごとに、開口部を取り囲むと共に鋭いエッジを有する領域及び鋭利ではない領域を具備した隆起したエッジが、容器に対向する第1閉止要素の下部表面上に設けられる。
【0025】
従って、本発明の更なる目的は、少なくとも2つの開口を有する複数のチャンバを有する容器の光密性閉止のための装置であって、この装置は、a)容器に対向する下部表面と、容器から離れている上部表面と、を有し、且つ、少なくとも2つの開口部を有する第1閉止要素であって、第1閉止要素の開口部が容器の開口の上方に位置するように容器上にぴったりとした方式で取り付けることができるように成形された第1閉止要素と、b)第1閉止要素と対向する下部表面と、第1閉止要素から離れている上部表面と、を有する第2閉止要素であって、第1閉止要素に対して運動可能に接続可能であり、且つ、閉鎖位置においては、第1閉止要素の開口部を覆い、且つ、開放位置においては、第1閉止要素の開口部を覆わない第2閉止要素と、を具備し、且つ、それぞれの開口部ごとに、開口部を取り囲む隆起したエッジが第1閉止要素の下部表面上に設けられ、このエッジは、鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分と、鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分と、を具備する。
【0026】
第1閉止要素に対向する下部表面と、第1閉止要素から離れている上部表面と、を具備し、且つ、第1閉止要素に対して運動可能に接続可能である第2閉止要素は、第1閉止要素内の1つの開口部又は複数の開口部の開閉と、従って、容器の開口の、又は複数のチャンバを有する容器の複数の開口の開閉のために機能する。このために、第2閉止要素は、開放位置と閉鎖位置の間において運動可能である。この結果、閉鎖状態における蒸発及び光の入射からの容器内部の最適な保護と、例えば、ピペッタのための開放状態における1つ又は複数のチャンバに対する妨げのないアクセスと、がもたらされる。
【0027】
第2閉止要素は、好ましくは、上部表面上にエントレイン手段を具備し、且つ、水平力が、このエントレイン手段に対して作用可能であり、この結果、第2閉止要素は、閉鎖位置から開放位置に、且つ、この逆に、移動可能である。この態様の利点は、垂直に配置されると共に水平力をエントレイン手段に対して作用させることができる適切なロッド形状の物体により、閉止装置を簡単に開放及び再閉鎖可能であるという点にある。水平力は、容器との関係におけるロッド形状の物体の移動により、或いは、ロッド形状の物体との関係における容器の移動により、生成可能である。閉止装置のこの実施例は、特に、自動的な診断装置において使用するのに好適である。
【0028】
容器から離れている上部表面上の第1閉止要素は、好ましくは、運動可能な第2閉止要素をガイドするガイドブリッジを具備する。これは、第2閉止要素の運動の方向又は運動の半径を確立するという効果を具備する。第2閉止要素は、好ましくは、対応する翼状のエッジを具備し、この翼状のエッジは、閉鎖位置において且つ開放位置において増大した押圧圧力が第2閉止要素に対して作用するように、第1閉止要素のガイドブリッジと相互作用する。この結果、第2閉止要素の閉鎖位置及び開放位置が安定化され、これにより、特に、自動診断装置において、第2閉止要素が、振動又は発生可能なその他の機械的な影響の結果として移動可能な望ましくない中間の位置に留まることが回避される。
【0029】
それぞれのケースにおいて、好ましくは、第1閉止要素のそれぞれの開口部ごとに、第2閉止要素の下部表面上に、封止リップ、即ち、わずかに隆起した外周エッジが設けられ、この封止リップは、それぞれのケースにおいて、閉鎖位置において、封止された方式によって各開口部を取り囲むように形成されている。これは、閉鎖位置において蒸発からの保護を改善すると共に閉止装置の遮光性を増大させるという効果を具備する。
【0030】
好ましくは、第2閉止要素の下部表面上に存在する少なくとも1つの封止リップのために、隆起が第1閉止要素の上部表面上に設けられ、この隆起は、閉止要素の開放位置において、封止リップによって気密に取り囲まれるように構成されている。存在するそれぞれの封止リップごとに隆起を設けることも可能である。前述のガイドブリッジ及び翼状のエッジによる安定化の代わりに、又はこれに加えて、これに伴う効果は、第2閉止要素の開放位置を安定化させ、これにより、第2閉止要素が振動又はその他の機械的な影響の結果として移動可能な望ましくない中間の位置に留まることを回避するというものである。
【0031】
本発明において特許請求されている閉止装置の特に好適な一実施例は、直線状に配列された3つの開口部(A、B、C)を有する3つのチャンバを有する容器の遮光のための閉止装置に関する。この実施例においては、第1閉止要素は、こちらも直線状に配列された3つの開口部(A’、B’、C’)を具備する。更には、第2閉止要素は、閉鎖位置において開口部A’及びB’の間に位置すると共に開放位置において第1閉止要素の開口部B’の上方に位置する開口部Dを具備する。この実施例の利点は、様々な要素の最適な空間構成を通じて、閉止装置のサイズを相対的に小さく維持可能であるという点にある。小さな空間要件は、自動的な診断装置内において使用することを要する閉止装置の場合に、特に望ましく、その理由は、そのような装置においては、空間が基本的に非常に制限されているためである。
【0032】
更には、3つの開口部を有する容器の閉止について記述した設計における第2閉止要素は、第1閉止要素とは独立的に使用することも可能である。第2閉止要素は、第1閉止要素と共に使用可能であり、第1閉止要素は、フォイルを穿孔、切断、又は貫通するための鋭いエッジを有する領域を具備した外周エッジを下部表面上に具備することも可能であり、或いは、これを具備しなくてもよいが、開口部(A、B、C)を具備する容器の上部表面が、運動可能となるように第2閉止要素を装着できるように形成されている場合には、別個の第1閉止要素を伴うことなしに、第2閉止要素を使用することも可能である。
【0033】
従って、本発明の更なる目的は、直線状に配列された3つの開口部A、B、Cを有する容器の遮光のための閉止要素である。閉止要素は、容器と対向する下部表面と、容器から離れている上部表面と、を具備し、且つ、容器に対して移動可能に接続可能である。閉鎖位置において、閉止要素は、容器の開口部(A、B、C)を覆い、且つ、開放位置においては、容器の開口(A、B、C)を覆わない。閉止要素自体は、閉鎖位置において容器の開口A及びBの間に位置すると共に開放位置において容器の開口Bの上方に位置する開口部Dを具備する。
【0034】
本発明において特許請求されている閉止装置は、好ましくは、例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から製造され、特に、有色の光不透過性プラスチック材料から製造されることが好ましい。本発明において特許請求されている装置の閉止要素は、例えば、従来の射出成形技術を使用して製造可能である。
【0035】
本発明において特許請求されている装置の寸法は、閉鎖対象の容器の寸法に対して適合することを要する。
【0036】
本発明において特許請求されている装置は、好ましくは、第1閉止要素を確動型のロック方式によって容器に接続することにより、容器上に取り付けられる。このために、第1閉止要素は、下部表面を取り囲むと共に圧力によってプラグイン接続を相対的に高いレベルの保持力によって生成できるように閉鎖対象の容器に対応した方式で形成された外側壁を具備可能である。この結果、ユーザーは、1つに嵌合する/容器上の位置に配置することにより、本発明において特許請求されている装置を簡単に手作業で取り付けることができる。第1閉止要素の下部表面を取り囲む外側壁の高さは、好ましくは、1つ又は複数の開口部を取り囲む1つ又は複数の隆起したエッジの高さを超えて突出するように選択される。これに伴う利点は、第1閉止要素又は閉止装置が容器に取り付けられる際に、外側壁が容器の上部エッジを完全に取り囲み、これにより、最大限の遮光性が実現される時点まで、フォイルによる閉止が開放されないという点にある。
【0037】
第2閉止要素は、容器上における第1閉止要素の取付の時点において既に第1閉止要素に接続されているか、或いは、第1閉止要素が取り付けられた直後に第1閉止要素に接続される。
【0038】
本発明は、更には、診断試験用の試験キットにも関し、この試験キットは、単一のチャンバを有する又は複数のチャンバを有する試薬容器を有し、この試薬容器は、流体又は乾燥凍結形態の1つ又は複数の試薬を収容し、且つ、その1つ又は複数の開口部は、フォイルによって密封されている。又、本発明において特許請求されている試験キットは、1つ又は複数の試薬が使用される前にユーザーによって試薬容器に取り付けられる本発明において特許請求されている閉止装置をも有する。
【0039】
図面に示されている実施例は、本発明を例示するものであって、限定を意図したものと理解してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】容器から離れている上部表面112を上方から観察した図において装置100の第1閉止要素110を示している。
【図1B】容器に対向する下部表面111を下方から観察した図において装置100の第1閉止要素110を示している。
【図1C】隆起した外周エッジ114の拡大図を示している。
【図1D】第1閉止要素に対向する下部表面121を下方から斜めに観察した図において装置100の第2閉止要素120を示している。
【図1E】開放位置にある第1閉止要素110及び第2閉止要素120を有する装置100を示している。
【図2A】容器から離れている上部表面212を上方から観察した図において装置200の第1閉止要素210を示している。
【図2B】容器に対向する下部表面211を下方から観察した図において装置200の第1閉止要素210を示している。
【図2C】第1閉止要素に対向する下部表面221を下方から斜めに観察した図において装置200の第2閉止要素220を示している。
【図2D】第1閉止要素から離れている上部表面222を上方から斜めに観察した図において装置200の第2閉止要素220を示している。
【図2E】閉鎖位置にある第1閉止要素210及び第2閉止要素220を有する装置200を上方から観察した平面図を示している。
【図2F】開放位置にある第1閉止要素210及び第2閉止要素220を有する装置200を上方から観察した平面図を示している。
【図3】本発明において特許請求されている閉止装置200の分解構成を横方向から観察した図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、1つの開口を有する容器の光密性閉止のための本発明において特許請求されている装置100の一実施例の概略図である。
【0042】
図1Aは、容器から離れている上部表面112を上方から観察した図において装置100の第1閉止要素110を示している。この例においては、第1閉止要素110は、1つの開口部113と、第2閉止要素120をガイドする1つのガイドブリッジ119と、を具備する。第1閉止要素110は、外側壁130をも具備しており、この外側壁は、下部表面を取り囲むと共に、この場合には、圧力によってプラグイン接続を相対的に高いレベルの保持力によって生成することができるように閉鎖対象の容器に対応した円形に形成されている。更には、第1閉止要素110は、挿入孔131をも具備しており、この挿入孔131は、第2閉止要素120上に取り付けられたピン132(図1Dを参照されたい)を収容するべく機能する。第1閉止要素110及び第2閉止要素120は、プラグイン接続によって移動可能に接続可能である。
【0043】
図1Bは、容器に対向する下部表面111を下方から観察した図において装置100の第1閉止要素110を示している。開口部113を取り囲む隆起したエッジ114が下部表面111上に配置されている。隆起した外周エッジ114は、鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分115と、鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分116と、から構成されている。開口部113から離れている隆起したエッジ114の第2の長手方向部分116の外側表面は、この領域内においてフォイルに接続された状態に留まるようにフォイルの切り取り部分を変形させるべく、湾曲した状態で延在している。容器内に突出するフォイルの切り取り部分は、このタイプの変形を通じて安定化又は硬化され、この結果、閉止要素及び容器の開口を通じたアクセスを妨害可能なフォイルの切り取り部分のはためきが防止される。
【0044】
図1Cは、隆起した外周エッジ114の拡大図を示している。この例においては、隆起した外周エッジ114の第1長手方向部分115は、歯形状の構造118と切断エッジ形状の構造117の両方を具備している。鋭いエッジを有する表面を具備した隆起した外周エッジ114の第1長手方向部分115は、このケースにおいては、第1、第2、及び第3部位部分115’、115’’、115’’’を具備しており、第1及び第3部位部分115’、115’’’は、それぞれのケースにおいて、直線状に延在し、且つ、第1及び第3部位部分を1つに接続する第2部位部分115’’は、湾曲状に延在している。第1及び第3部位部分は、互いに対して平行に延在している。第1及び第3部位部分115’、115’’’は、それぞれのケースにおいて、個々の部位部分の長さの全体にわたって延在する切断エッジ117を具備する。第1及び第3部位部分を1つに接続している第2部位部分115’’は、歯形状の構造118を具備する。
【0045】
鋭いエッジを有する表面を具備した隆起したエッジ114の第1長手方向部分115は、この場合には、その高さ方向において、鋭利ではない表面を具備する隆起したエッジの第2長手方向部分116を超えて、突出している。2つの部位部分115’及び115’’’は、スロープ状に傾斜し、且つ、従って、第1閉止要素110の下部表面との関係において傾斜した平面内に位置している。最高の地点は、部位部分115’及び115’’’を接続する湾曲した部位部分115’’の頂点に位置している。この形状の利点は、第1閉止要素110がフォイルによって封止された容器上に取り付けられた際に、まず、歯形状の鋭いエッジを有する表面を具備した長手方向部分が貫通対象のフォイルとの接触状態となり、且つ、作用するすべての力が外周エッジ114の歯形状の領域に対して作用するという点にある。この結果、わずかな量の力を使用する貫通対象の材料を容易に穿孔することが可能になる。更なる押圧力が作用するのに伴って、部位部分115’及び115’’’の切断エッジがフォイル材料を切断し、きれいな切断エッジが生成される。
【0046】
図1Dは、第1閉止要素に対向する下部表面121を下方から斜めに観察した図において装置100の第2閉止要素120を示している。第2閉止要素120は、第1閉止要素110に対する移動可能な接続を生成するべく機能するピン132を具備する。第1閉止要素110の開口部113(図1Aを参照されたい)のために、封止リップ123、即ち、わずかに隆起した外周エッジが、第2閉止要素120の下部表面121上に設けられており、この封止リップ123は、閉鎖位置において封止された方式によって開口部113(図1Aを参照されたい)を取り囲むように形成されている。この結果、閉鎖位置における蒸発からの保護の改善と閉止装置の遮光性の増大とがもたらされる。この図に示されている第2閉止要素120は、運動可能な端部上に、翼状のエッジ133をも具備しており、この翼状のエッジ133は、第1閉止要素110のガイドブリッジ119(図1Aを参照されたい)内において係合し、これにより、第2閉止要素120の移動半径が規定される。更には、この図に示されている第2閉止要素120は、上部表面122上にエントレイン手段134をも具備しており、且つ、水平力が前述のエントレイン手段134に対して作用可能であり、この結果、第2閉止要素120は、閉鎖位置から開放位置に、且つ、この逆に、移動可能である。
【0047】
図1Eは、開放位置にある第1閉止要素110及び第2閉止要素120を有する装置100を示している。この位置においては、容器内部へのアクセスが可能である。
【0048】
図2は、3つの開口部を具備した3つのチャンバを有する容器の遮光のための本発明において、特許請求されている装置200の一実施例の概略図を示す。
【0049】
図2Aは、容器から離れている上部表面212を上方から観察した図において装置200の第1閉止要素210を示している。この例においては、第1閉止要素210は、3つの開口部213(A’、B’、C’)と、第2閉止要素220をガイドするガイドブリッジ219と、を具備する。第1閉止要素210は、外側壁230をも具備しており、この外側壁230は、下部表面211を取り囲むと共に、この場合には、圧力によってプラグイン接続を相対的に高いレベルの保持力によって生成することができるように閉鎖対象の容器に対応した矩形状に形成されている。更には、第1閉止要素210は、ピンを収容するためのボアを具備した第2閉止要素220(図2Cを参照されたい)に対する移動可能な接続を生成するためのピン232をも具備している。第1閉止要素210及び第2閉止要素220は、プラグイン接続によって移動可能に接続可能である。更には、この場合において、図示されている第1閉止要素210は、3つの隆起240をも具備しており、これらの3つの隆起は、第2閉止要素220の開放位置において、これらの隆起が第2閉止要素220の下部表面上の封止リップ223(図2Cを参照されたい)によって、気密に取り囲まれるように構成されている。この結果、第2閉止要素220の開放位置の安定化がもたらされ、これにより、第2閉止要素220が、振動又はその他の機械的な影響の結果として、移動可能である望ましくない中間の位置に留まることが回避される。
【0050】
図2Bは、容器に対向する下部表面211を下方から観察した図において装置200の第1閉止要素210を示している。それぞれの開口部213ごとに、開口部213を取り囲む隆起したエッジ214が下部表面211上に位置している。隆起した外周エッジ214は、図1B及び図1Cにおいて既に説明したように、鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分215と、鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分216と、から構成されている。開口部213から離れている隆起したエッジ214の第2長手方向部分216の外側表面は、この領域内においてフォイルに接続された状態で留まるフォイルの切り取り部分を変形させるべく、湾曲状に延在している。
【0051】
図2Cは、第1閉止要素に対向する下部表面221を下方から斜めに観察した図において装置200の第2閉止要素220を示している。第2閉止要素220は、第1閉止要素210のピン232(図2Aを参照されたい)を収容すると共に第1閉止要素210に対する運動可能な接続を生成する挿入孔231を具備している。それぞれのケースにおいて、第1閉止要素210の3つの開口部213(図2Aを参照されたい)ごとに、封止リップ223、即ち、わずかに隆起した外周エッジが、第2閉止要素220の下部表面221上に設けられており、これらの封止リップ223は、閉鎖位置において、封止された方式によって開口部213を取り囲むように形成されている。これは、閉鎖位置における蒸発からの保護の改善と閉止装置の遮光性の増大の効果を具備する。この図に示されている第2閉止要素220は、翼状のエッジ233をも具備しており、これらの翼状のエッジは、第1閉止要素210のガイドブリッジ219(図2Aを参照されたい)内において係合し、これにより、第2閉止要素220の移動半径が規定される。更には、この図に示されている第2閉止要素220は、上部表面222上にエントレイン手段234をも具備しており、且つ、水平力がこのエントレイン手段234に対して作用可能であり、この結果、第2閉止要素220は、閉鎖位置から開放位置へ、且つ、この逆に、移動可能である。このケースにおいて示されている第2閉止要素220の例は、閉鎖位置において開口部213A’及び213B’の間に配置されると共に開放位置において第1閉止要素の開口部213B’の上方に配置される開口部241(D)を具備している(図2E及び図2Fをも参照されたい)。
【0052】
図2Dは、第1閉止要素から離れている上部表面222を上方から斜めに観察した図において装置200の第2閉止要素220を示している。第2閉止要素220は、第1閉止要素210のピン232を収容すると共に第1閉止要素210に対する運動可能な接続を生成するための挿入孔231を具備する。この図に示されている第2閉止要素220は、空間的に形成された翼状のエッジ233をも具備しており、これらの翼状のエッジは、第1閉止要素210のガイドブリッジ219内において係合し、これにより、第2閉止要素220の運動半径を確立可能である。翼状のエッジ233は、異なる地点に凹部を具備する。開放位置において、第1閉止要素210の開口部213C’が翼状のエッジによって部分的に覆われ、その結果、容器の内部へのアクセスを妨げることのないように、円形の凹部242が必要である(図2Fを参照されたい)。第1及び第2閉止要素が組み立てられる際に、ガイドブリッジ219及び翼状のエッジ233が互いに妨げることなしに、第2閉止要素220と第1閉止要素210を互いに接続するか又は分離することができるように、楔形状の凹部243が必要である。このために、第2閉止要素220を開放位置と閉鎖位置の間の位置に移動させなければならない。更には、この図に示されている第2閉止要素220は、上部表面222上にエントレイン手段234をも具備しており、且つ、水平力が、このエントレイン手段234に対して作用可能であり、この結果、第2閉止要素220は、閉鎖位置から開放位置へ、且つ、この逆に、移動可能である。この図に示されている第2閉止要素220の例は、閉鎖位置において開口部213(A’)及び213(B’)の間に配置されると共に、閉鎖位置において第1閉止要素の開口部213(B’)の上方に配置される開口部241(D)をも具備している(図2E及び図2Fをも参照されたい)。
【0053】
図2Eは、閉鎖位置にある第1閉止要素210及び第2閉止要素220を有する装置200を上方から観察した平面図を示している。この位置においては、容器の3つのチャンバのすべての内部が、蒸発、汚染、及び光の入射から保護されている。
【0054】
図2Fは、開放位置にある第1閉止要素210及び第2閉止要素220を有する装置200を上方から観察した平面図を示している。この位置においては、第2閉止要素220の開口部241(D)は、第1閉止要素の開口部213(B’)の上方に位置している。この位置においては、容器の3つのチャンバのすべてに対するアクセスが可能である。
【0055】
図3は、本発明において特許請求されている閉止装置200の分解構成を横方向から観察した図を示しており、この閉止装置は、3つのチャンバを有する試薬容器250上に第1閉止要素210及び第2閉止要素220を有する。容器の内部を3つの別個のチャンバに分割する2つの垂直隔壁は、図示されていない。容器の3つのチャンバのすべてを覆うフォイル252が、試薬容器250の上部表面上に取り付けられている。フォイル252によって封止された試薬容器250上に閉止装置200を配置することにより、容器のチャンバごとに、フォイル内に開口部251が切り込まれている。フォイルの切り取り部分253が容器の内部に突出している。これらの切り取り部分がわずかに窪んだ方式によって変形しているため、十分な剛性が付与され、その結果、切り取り部分のはためきによる容器の開口内に対するアクセスの妨害が防止される。
【符号の説明】
【0056】
100、200 閉止装置
110、210 第1閉止要素
111、211 第1閉止要素の下部表面
112、212 第1閉止要素の上部表面
113、213 第1閉止要素の開口部
114、214 隆起した外周エッジ
115、215 鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分
115’、115’’、115’’’ 第1長手方向部分の各部位部分
116、216 鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分
117 切断エッジ
118 歯形状の構造
119、219 ガイドブリッジ
120、220 第2閉止要素
121、221 第2閉止要素の下部表面
122、222 第2閉止要素の上部表面
123、223 封止リップ
130、230 外側壁
131、231 挿入孔
132、232 ピン
133、233 翼状のエッジ
134、243 エントレイン手段
240 隆起
241 第2閉止要素の開口部
242、243 凹部
250 試薬容器
251 試薬容器の開口部
252 フォイル
253 フォイルの切り取り部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの開口を有する容器の遮光のための閉止装置(100)であって、
a)前記容器に対向する下部表面(111)と、前記容器から離れている上部表面(112)と、を有し、且つ、少なくとも1つの開口部(113)を有する第1閉止要素(110)であって、前記開口部(113)が、前記容器の前記開口の上方に位置するように前記容器上に気密に取り付けることができるように形成された第1閉止要素と、
b)前記第1閉止要素と対向する下部表面(121)と、前記第1閉止要素から離れている上部表面(122)と、を有する第2閉止要素(120)であって、前記第1閉止要素(110)に対して移動自在に接続可能であると共に、閉鎖位置においては、前記第1閉止要素の前記少なくとも1つの開口部(113)を覆い、且つ、開放位置においては、前記第1閉止要素(110)の前記少なくとも1つの開口部(113)を覆わない第2閉止要素と、
を具備し、
前記少なくとも1つの開口部(113)を取り囲む隆起したエッジ(114)が、前記第1閉止要素(110)の前記下部表面(111)上に設けられ、
前記エッジ(114)は、鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分(115)と、鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分(116)とを具備することを特徴とする閉止装置。
【請求項2】
前記開口部(113)から離れている前記隆起したエッジ(114)の前記第2長手方向部分(116)の少なくとも外側表面は、湾曲状に延在する請求項1に記載の閉止装置。
【請求項3】
前記隆起したエッジ(114)の前記第1長手方向部分(115)の前記鋭いエッジを有する表面は、歯形状の構造(117)及び/又は切断エッジ形状の構造(118)を具備する請求項1又は2に記載の閉止装置。
【請求項4】
前記隆起したエッジ(114)の前記第1長手方向部分(115)は、少なくとも部分的に、その高さ方向に、前記隆起したエッジの前記第2長手方向部分(116)を超えて突出する請求項1から3のいずれかに記載の閉止装置。
【請求項5】
前記隆起したエッジ(114)の前記第1長手方向部分(115)は、前記第1閉止要素(110)の前記下部表面(111)との関係において傾斜した1つの平面内に位置する請求項1から4のいずれかに記載の閉止装置。
【請求項6】
前記平面は、水平面に対して1〜45°の傾斜の角度を具備する請求項5に記載の閉止装置。
【請求項7】
前記隆起したエッジの前記第1長手方向部分(115)は、第1、第2、及び第3部位部分(115’、115’’、115’’’)を具備し、前記第1及び第3部位部分(115’、115’’’)は、それぞれ、直線状に延在し、且つ、前記第1及び第3部位部分を接続する前記第2部位部分(115’’)は、湾曲状に延在する請求項1から6のいずれかに記載の閉止装置。
【請求項8】
前記第1及び/又は第3部位部分(115’、115’’’)の表面上には、切断エッジ(117)が前記部位部分の長さの全体にわたって延在し、且つ、前記第2部位部分(115’’)は、歯形状の構造(118)を具備する請求項7に記載の閉止装置。
【請求項9】
少なくとも2つの開口を有する複数のチャンバを有する容器の遮光のための閉止装置(200)であって、
a)前記容器に対向する下部表面(211)と、前記容器から離れている上部表面(212)と、を有し、且つ、少なくとも2つの開口部(213)を有する第1閉止要素であって、前記少なくとも2つの開口部(213)は、前記開口部(213)が前記容器の前記開口の上方に位置するように前記第1閉止要素を前記容器上において気密に取り付けることができるように成形されている第1閉止要素と、
b)前記第1閉止要素に対向する下部表面(221)と、前記第1閉止要素から離れている上部表面(222)と、を有する第2閉止要素(220)であって、前記第1閉止要素(210)に対して移動自在に接続可能であると共に、閉鎖位置においては、前記第1閉止要素の前記開口部(213)を覆い、且つ、開放位置においては、前記第1閉止要素(210)の前記開口部(213)を覆わない第2閉止要素と、
を具備し、
それぞれの開口部(213)ごとに、前記開口部(213)を取り囲む隆起したエッジ(214)が前記第1閉止要素(210)の前記下部表面(211)上に設けられ、
前記エッジ(214)は、鋭いエッジを有する表面を具備した第1長手方向部分(215)と、鋭利ではない表面を有する第2長手方向部分(216)とを具備することを特徴とする閉止装置。
【請求項10】
前記第1閉止要素(210)は、直線状に配列された3つの開口部A’、B’、及びC’(213)を具備し、且つ、前記第2閉止要素(220)は、前記閉鎖位置において前記開口部A’及びB’(213)の間に位置すると共に前記開放位置において前記第1閉止要素(210)の前記開口部B’(213)の上方に位置する開口部D(241)を具備する、直線状に配列された3つの開口部A、B、Cを有する3つのチャンバを有する容器の遮光のための請求項9に記載の閉止装置。
【請求項11】
前記第2閉止要素(120、220)は、前記上部表面上にエントレイン手段(134、234)を具備し、水平力が、前記エントレイン手段に対して作用可能であり、その結果、第2閉止要素(120、220)は、前記閉鎖位置から前記開放位置へ、且つ、この逆に、移動自在である請求項1から10のいずれかに記載の閉止装置。
【請求項12】
前記第2閉止要素(120、220)をガイドするガイドブリッジ(119、219)が、前記容器から離れている前記第1閉止要素(110、210)の前記上部表面(112、212)上に設けられる請求項1から11のいずれかに記載された閉止装置。
【請求項13】
前記第2閉止要素(120、220)は、前記閉鎖位置において、且つ、前記開放位置において、増大した押圧圧力が前記第2閉止要素に対して作用するように、前記第1閉止要素(110、210)の前記ガイドブリッジ(119、219)と相互作用することができる翼状のエッジ(133、233)を具備する請求項12に記載の閉止装置。
【請求項14】
それぞれのケースにおいて、それぞれの開口部(113、213)ごとに、封止リップ(123、223)が前記第2閉止要素(120、220)の前記下部表面(121、221)上に設けられ、前記封止リップは、前記閉鎖位置において、封止された方式によって前記開口部(113、213)を取り囲むように形成されている請求項1から13のいずれかに記載の閉止装置。
【請求項15】
前記第2閉止要素(120、220)の前記下部表面(121、221)上に存在する少なくとも1つの封止リップ(123、223)のために、隆起(240)が、前記第1閉止要素(110、210)の前記上部表面(112、212)上に設けられ、前記隆起(240)は、前記開放位置において、前記封止リップ(121、221)によって気密に取り囲まれるように構成されている請求項14に記載の閉止装置。
【請求項16】
診断試験用の試験キットであって、
その開口部がフォイルによって閉鎖された単一のチャンバ又は複数のチャンバを有する試薬容器を含み、
前記試験キットは、請求項1から15のいずれかに記載の閉止装置(100、200)を更に含むことを特徴とする試験キット。
【請求項17】
直線状に配列された3つの開口部A、B、Cを有する容器の遮光のための閉止要素(220)であって、
前記容器に対向する下部表面(221)及び前記容器から離れている上部表面(222)であって、前記閉止要素は、前記容器に対して移動自在に接続可能であり、且つ、閉鎖位置においては、前記容器の前記開口部(A、B、C)を覆い、且つ、閉鎖位置においては、前記容器の前記開口部(A、B、C)を覆わない、下部表面及び上部表面を有し、
前記閉止要素(220)は、前記閉鎖位置において前記容器の前記開口部A及びBの間に位置すると共に前記開放位置において前記容器の前記開口部Bの上方に位置する開口部D(241)を具備することを特徴とする閉止要素。
【請求項18】
前記閉止要素(220)は、前記上部表面上にエントレイン手段(234)を具備し、且つ、水平力が、前記エントレイン手段(234)に対して作用可能であり、
その結果、前記閉止要素(220)は、前記閉鎖位置から前記開放位置に、且つ、この逆に、移動自在である請求項17に記載の閉止要素。
【請求項19】
前記閉止要素(220)は、前記閉鎖位置において、且つ、前記開放位置において、増大した押圧圧力が前記閉止要素に対して作用するように、前記容器の前記上部表面上のガイドブリッジと相互作用することができる翼状のエッジ(233)を具備する請求項17又は18に記載の閉止要素。
【請求項20】
それぞれのケースにおいて、前記容器のそれぞれの開口ごとに、封止リップ(223)が前記閉止要素の前記下部表面(221)上に設けられ、前記封止リップは、前記閉鎖位置において封止されることによって前記開口部(213)を取り囲むように形成されている請求項17から19のいずれかに記載の閉止要素。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−47738(P2012−47738A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178794(P2011−178794)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(510259921)シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (11)
【Fターム(参考)】