説明

試薬容器

【課題】搬送に伴う液面の揺れを小さく抑えることが可能な試薬容器を提供すること。
【解決手段】自動分析装置の周方向に回転する試薬保冷庫に配置され、試薬を貯留すると共に、上部に分注プローブを挿入する挿入口を有する試薬容器20は、一端が試薬Ra中に挿通されると共に、他端が挿入口20aに嵌合され、挿入口を通じた試薬容器内外の空気の流通を遮断する流通遮断管22を備えている。試薬容器20は、上部に試薬容器内部を大気へ開放する大気開放機構25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、分注プローブの先端を所定量だけ試薬や検体の液面から侵入させることによって試薬や検体を分注し、分注した検体と試薬とを反応させることによって検体成分の分析を行っている。そして、自動分析装置は、複数の試薬容器を保持した試薬トレイを試薬保冷庫内で回転させて試薬容器を分注位置へ移動させ、前記分注プローブによって所定の試薬を分注している。このとき、分注プローブは、試薬が先端に付着するため、次の吸引を行うときに試薬が汚染されないように吐出後の分注プローブの先端を洗浄している。
【0003】
しかし、従来の自動分析装置は、試薬トレイを回転させて試薬容器を移動させることから、試薬容器内の試薬の液面が揺れる結果、分注の際に分注プローブが液面から試薬中へ過剰に潜り込んでしまい、分注プローブ先端の洗浄が不十分になるという問題があった。このため、試薬容器は、試薬容器の移動に伴う試薬液面の揺れを抑制する種々の提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−275251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、自動分析装置は、検体数の増加による分析時間の短縮が求められるようになり、これに伴って試薬容器を搬送する試薬保冷庫の試薬トレイの回転速度が増加し、試薬液面の揺れの増大による分注プローブの試薬中への過剰な潜り込みが懸念されるようになった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送に伴う液面の揺れを小さく抑えることが可能な試薬容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の試薬容器は、自動分析装置の周方向に回転する試薬保冷庫に配置され、試薬を貯留すると共に、上部に分注プローブを挿入する挿入口を有する試薬容器であって、一端が前記試薬中に挿通されると共に、他端が前記挿入口に嵌合され、前記挿入口を通じた当該試薬容器内外の空気の流通を遮断する流通遮断管を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の試薬容器は、上記の発明において、前記試薬容器は、上部に当該試薬容器内部を大気へ開放する大気開放機構を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の試薬容器は、上記の発明において、前記大気開放機構は、当該試薬容器内部を外部へ連通させる連通口と、前記連通口をばね力によって閉塞し、前記試薬の吸引後に押圧され、前記ばね力に抗して前記連通口を開放する閉塞部材とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の試薬容器は、上記の発明において、前記大気開放機構は、当該試薬容器内部を大気と連通させる連通口と、前記連通口をばね力によって閉塞する閉塞部材とを有し、前記試薬保冷庫の回転に伴う遠心力によって前記閉塞部材が前記ばね力に抗して半径方向外方へスライドして前記連通口を開放することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の試薬容器は、一端が試薬中に挿通されると共に、他端が挿入口に嵌合され、挿入口を通じた試薬容器内外の空気の流通を遮断する流通遮断管を備えているので、流通遮断管によって内外の流通を遮断された内部の空気によって試薬の液面が押圧された状態となり、搬送に伴う液面の揺れが抑制されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の試薬容器にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、実施の形態1の試薬容器を使用する自動分析装置の一例を示す概略構成図である。図2は、実施の形態1の試薬容器を示す斜視図である。図3は、図2に示す試薬容器の平面図である。図4は、図3の試薬容器のC1−C1線に沿った断面図である。
【0013】
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、検体分注機構5、反応ホイール6、測光装置8、洗浄装置9、撹拌装置10、試薬分注機構11及び試薬テーブル12が設けられている。
【0014】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0015】
検体分注機構5は、反応ホイール6に保持された複数の反応容器7に検体を分注する分注プローブを備えた分注手段であり、図1に示すように、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次反応容器7に分注する。
【0016】
反応ホイール6は、検体テーブル3とは異なる駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って複数の凹部6aが等間隔で設けられている。反応ホイール6は、各凹部6aの半径方向両側に測定光が通過する開口が形成されている。反応ホイール6は、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4分回転し、四周期で反時計方向に凹部6aの1個分回転する。反応ホイール6の外周近傍には、測光装置8、洗浄装置9及び撹拌装置10が配置されている。
【0017】
反応容器7は、容量が数nL〜数十μLと微量な四角筒形状のキュベットであり、凹部6aに配置して使用される。反応容器7は、測光装置8の光源から出射された分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。
【0018】
測光装置8は、図1に示すように、反応ホイール6の外周近傍に配置され、反応容器7に保持された液体を分析する分析光を出射する光源と、液体を透過した分析光を分光して受光する受光器とを有している。測光装置8は、前記光源と受光器が反応ホイール6の凹部6aを挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。
【0019】
洗浄装置9は、反応容器7から液体や洗浄液を排出する排出手段と、洗浄液の分注手段とを有している。洗浄装置9は、測光終了後の反応容器7から測光後の液体を排出した後、洗浄液を分注する。洗浄装置9は、洗浄液の分注と排出の動作を複数回繰り返すことにより、反応容器7の内部を洗浄する。このようにして洗浄された反応容器7は、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0020】
撹拌装置10は、反応容器7に分注された検体と試薬とを、例えば、攪拌棒によって攪拌し、反応させる。但し、撹拌装置10は、反応容器7に保持された液体を非接触で攪拌する必要がある場合には、表面弾性波素子が発生する音波によって撹拌してもよい。
【0021】
試薬分注機構11は、反応ホイール6に保持された複数の反応容器7に試薬を分注プローブ11a(図5参照)によって分注する分注手段であり、試薬容器20に保持された試薬の液面を検知する液面検知機構を備えている。試薬分注機構11は、試薬テーブル12外周の反応ホイール6寄りに配置され、制御部16による制御の下に、図1に示すように、試薬テーブル12に配置された所定の試薬容器20から試薬を順次反応容器7に分注する。
【0022】
試薬テーブル12は、試薬保冷庫内に収容されており、検体テーブル3及び反応ホイール6とは異なる駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室12aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室12aには、試薬容器20が着脱自在に収納される。複数の試薬容器20は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル等の情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。
【0023】
ここで、試薬テーブル12の外周には、図1に示すように、開放装置13と、試薬容器20に貼付した前記情報記録媒体に記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する読取装置14とが設置されている。
【0024】
開放装置13は、大気開放機構25を駆動して試薬容器20内部を大気へ開放する装置であり、上下動かつ軸廻りに回転自在な支柱上部に水平方向に支持されたアーム13aと、アーム13aに上下方向に取り付けられた開放ロッド13b(図6参照)とを有している。
【0025】
制御部16は、検体テーブル3、検体分注機構5、反応ホイール6、測光装置8、洗浄装置9、撹拌装置10、試薬分注機構11、試薬テーブル12、開放装置13、読取装置14、分析部17、入力部18及び表示部19等と接続され、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部16は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記情報記録媒体の記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
【0026】
分析部17は、制御部16を介して測光装置8に接続され、受光器が受光した光量に基づく反応容器7内の液体の吸光度から検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部16に出力する。入力部18は、制御部16へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部19は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0027】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応ホイール6によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器7に試薬分注機構11が試薬容器20から試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器7は、反応ホイール6によって周方向に沿って搬送され、検体分注機構5によって検体テーブル3に保持された複数の検体容器4から検体が順次分注される。
【0028】
そして、検体が分注された反応容器7は、反応ホイール6によって撹拌装置10へ搬送され、分注された試薬と検体が順次攪拌されて反応する。このようにして検体と試薬が反応した反応液は、反応ホイール6が再び回転したときに測光装置8を通過し、光源から出射された分析光が透過する。このとき、反応容器7内の試薬と検体の反応液は、受光部で側光され、制御部16によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器7は、洗浄装置9によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0029】
このとき、実施の形態1の試薬容器20は、図2〜図4に示すように、上部に分注プローブ11a(図4参照)を挿入する挿入口20aを有しており、挿入口20aに嵌合された流通遮断管22と大気開放機構25とを備えている。
【0030】
流通遮断管22は、図4に示すように、下端が試薬Ra中に挿通されると共に、上端が挿入口20aに嵌合されている。これにより、流通遮断管22は、挿入口20aを通じた試薬容器20内外の空気の流通を遮断し、試薬テーブル12の回転に伴う流通遮断管22内の試薬の液面の揺れを抑制している。ここで、流通遮断管22は、下端との底壁との間を通って試薬Raが抵抗なく流入し、或いは流出する程度の隙間が底壁との間に形成されるように試薬Ra中に挿通する。
【0031】
大気開放機構25は、試薬容器20上部に設けられ、流通遮断管22によって遮断された試薬容器20内部を大気へ開放するもので、図4に示すように、試薬容器20上部に形成された筒部20bにねじ止めされるキャップ26、キャップ26に形成した連通口26aを閉塞するゴム等の弾性体からなる閉塞部材27及び閉塞部材27を連通口26aに付勢する押しばね28を有している。
【0032】
以上のように構成される試薬容器20は、通常は、図4に示すように、押しばね28によって閉塞部材27が連通口26aへ付勢されて連通口26aが閉塞されると共に、流通遮断管22によって試薬容器20内外の空気の流通が遮断されている。そして、試薬容器20は、試薬テーブル12の回転によって試薬分注機構11の分注位置へ搬送されると、図5に示すように、流通遮断管22から試薬Ra中へ挿入される分注プローブ11aによって所定量の試薬Raが吸引される。
【0033】
このとき、試薬容器20は、閉塞部材27によって連通口26aが閉塞されると共に、流通遮断管22によって試薬容器20内外の空気の流通が遮断されているため、試薬テーブル12の回転によって高速で搬送されても、内部の空気によって試薬Raの液面が押圧された状態となり、液面の揺れが抑制される。このため、流通遮断管22内の試薬Raも液面の揺れが抑えられる。従って、分注プローブ11aは、分注に伴う試薬Raの吸引に際し、液面から試薬Raの中へ過剰に潜り込むことがない。
【0034】
また、試薬容器20は、内外の空気の流通が遮断されているため、試薬Raが吸引されると、図5に示すように、試薬Raが吸引された分だけ試薬容器20内に比べて流通遮断管22内の液面が下がり、流通遮断管22の内外で試薬Raの液面が異なってしまう。
【0035】
但し、試薬Raが吸引された試薬容器20は、引き続いて、図6に示すように、開放装置13の開放ロッド13bによって閉塞部材27が押しばね28のばね力に抗して押し下げられ、連通口26aを開放する。これにより、試薬容器20は、内部が外部と連通されて内外の圧力が同じになるため、図6に示すように、流通遮断管22の内外で試薬Raの液面の位置が同一となる。
【0036】
そして、試薬容器20は、開放装置13の開放ロッド13bによる閉塞部材27の押圧を解除すると、押しばね28のばね力によって閉塞部材27が連通口26aを閉塞する。これにより、試薬容器20は、内外の空気の流通が遮断され、試薬テーブル12の回転によって高速で搬送されても、液面の揺れ、特に流通遮断管22内における試薬Ra液面の揺れが抑制される。
【0037】
なお、試薬Raを吸引した分注プローブ11aは、上昇された後、水平方向へ移動されて反応容器7の上部へ移動される。そして、分注プローブ11aは、所定位置まで下降された後、吸引した試薬Raを反応容器7へ吐出し、元の位置まで上昇される。そして、洗分注プローブ11aは、浄位置へ移動されて洗浄された後、新たな試薬の分注動作に移行する。
【0038】
以上説明したように、試薬容器20は、通常、閉塞部材27によって連通口26aが閉塞されると共に、流通遮断管22によって内外の空気の流通が遮断されており、必要に応じて内部と外部が大気開放機構25によって連通される。このため、試薬容器20は、内外の空気の流通が遮断された状態においては、保持した試薬の液面が内部の空気によって押圧され、試薬テーブル12の回転によって高速で搬送されても、保持した試薬の液面の揺れが抑制される結果、流通遮断管22内の試薬も液面の揺れが抑えられる。従って、試薬容器20を使用すると、試薬を分注する際、流通遮断管22内の試薬の液面が殆ど揺れていないので、分注プローブ11aが液面から試薬Raの中へ過剰に潜り込むことを回避することができる。
【0039】
(実施の形態2)
次に、本発明の試薬容器の実施の形態2について説明する。実施の形態1の試薬容器は、大気開放機構としてキャップに形成した連通口を閉塞し、必要に応じて開放装置の開放ロッドによって閉塞を解除される弾性体からなる閉塞部材を使用した。これに対し、実施の形態2の試薬容器は、大気開放機構として試薬保冷庫の回転に伴う遠心力によって連通口を開放する閉塞部材を使用している。
【0040】
図7は、実施の形態2の試薬容器を示す斜視図である。図8は、図7に示す試薬容器の平面図である。図9は、図8の試薬容器のC2−C2線に沿った断面図である。ここで、実施の形態2の試薬容器は、自動分析装置1で使用され、大気開放機構の構成を除き実施の形態1の試薬容器と構成が同一であるので、対応する構成部材には対応する符号を使用している。
【0041】
実施の形態2の試薬容器30は、図7〜図9に示すように、大気開放機構25に代えて大気開放機構35を備えている。大気開放機構35は、図4に示すように、試薬容器30上部に形成されたシール部30cにスライド自在に嵌着される閉塞部材37、閉塞部材37をシール部20c側へ付勢する押しばね38及びストッパ39を有している。シール部30cは、直方体形状に成形されており、試薬容器30の幅狭となる前端寄りに試薬容器30の内外を連通する連通口30dが形成されている。連通口30dは、通常、押しばね38に押圧された閉塞部材37によって閉塞されている。
【0042】
ここで、閉塞部材37は、試薬容器30を配置した試薬テーブル12の回転による遠心力によってストッパ39側へスライドする程度の嵌着力でシール部30cに嵌着され、シール部30cとの間の摩擦力が小さいフッ素樹脂等が使用される。また、押しばね38は、試薬テーブル12の回転による遠心力によって長手方向に沿って撓み、試薬テーブル12の回転停止による遠心力の解除によって元の状態に復帰する程度のばね定数を有するものを使用する。
【0043】
試薬容器30は、以上のように構成され、試薬テーブル12の回転停止中は、図7〜図9に示すように、押しばね38によって閉塞部材37が付勢されて連通口30dが閉塞されると共に、流通遮断管32によって内外の空気の流通が遮断されている。そして、試薬容器30は、試薬テーブル12の回転によって試薬分注機構11の分注位置へ搬送されると、図10に示すように、流通遮断管32から試薬Ra中へ挿入される分注プローブ11aによって所定量の試薬Raが吸引される。
【0044】
試薬テーブル12の回転時に、試薬容器30は、試薬テーブル12の回転に伴う遠心力によって閉塞部材37が押しばね38のばね力に抗してストッパ39側へスライドし、連通口30dが開放されて内外が連通される。このため、試薬容器30は、保持した試薬Raの液面が回転に伴って揺動される。但し、試薬容器30は、試薬テーブル12の回転が停止して遠心力が解除されると、閉塞部材37によって連通口30dが閉塞される。
【0045】
このため、試薬容器30は、試薬テーブル12の回転停止によって内外の空気の流通が遮断されるので、試薬テーブル12の直前の回転によって試薬Raの液面が揺動しても、内部の空気によって試薬Raの液面が押圧されて液面の揺れが抑制される。従って、流通遮断管32内の試薬Raも液面の揺れが抑えられる。従って、分注プローブ11aは、分注に伴う試薬Raの吸引に際し、液面から試薬Raの中へ過剰に潜り込むことがない。
【0046】
また、試薬容器30は、内外の空気の流通が遮断されているため、試薬Raが吸引されると、図10に示すように、試薬Raが吸引された分だけ試薬容器30内に比べて流通遮断管32内の液面が下降し、流通遮断管32内外における試薬Raの液面の位置が異なってしまう。
【0047】
但し、引き続く試薬の分注に伴う次の試薬テーブル12の回転により、流通遮断管32内外における試薬Raの液面の位置が異なる試薬容器30は、図11に示すように、閉塞部材37が遠心力によって押しばね38のばね力に抗してストッパ39側へスライドし、連通口30dが開放される。これにより、試薬容器30は、内部が外部と連通されて内外の圧力が同じになるため、図12に示すように、流通遮断管32内外における試薬Raの液面の位置が同一となる。
【0048】
そして、試薬容器30は、試薬テーブル12が回転を停止し遠心力が解除されると、押しばね38のばね力によって押圧される閉塞部材37によって連通口30dが閉塞され、流通遮断管32によって内外の空気の流通が遮断された状態となる。
【0049】
以上説明したように、試薬容器30は、試薬テーブル12の回転が停止しているときには、閉塞部材37によって連通口30dが閉塞されると共に、流通遮断管32によって内外の空気の流通が遮断されており、試薬テーブル12の回転に伴って発生する遠心力によって駆動される大気開放機構35によって内部と外部が連通される。
【0050】
このため、試薬容器30は、内部が外部から遮断された状態においては、試薬テーブル12の回転によって液面が揺動されても、保持した試薬の液面が内部の空気によって押圧され、保持した試薬の液面の揺れが抑制される結果、流通遮断管32内の試薬も液面の揺れが抑えられる。従って、試薬容器30を使用すると、試薬を分注する際、流通遮断管32内の試薬の液面が殆ど揺れていないので、分注プローブ11aが液面から試薬Raの中へ過剰に潜り込むことを回避することができる。
【0051】
また、試薬容器30は、試薬テーブル12の回転に伴う遠心力を利用して大気開放機構35を駆動するので、実施の形態1の試薬容器20のように大気開放機構25を駆動する開放装置13を設ける必要がないという利点がある。
【0052】
尚、上記の実施の形態は、試薬容器の場合について説明したが、本発明の試薬容器は、検体や試薬を希釈する希釈液を貯留する貯留容器として使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施の形態1の試薬容器を使用する自動分析装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態1の試薬容器を示す斜視図である。
【図3】図2に示す試薬容器の平面図である。
【図4】図3の試薬容器のC1−C1線に沿った断面図である。
【図5】試薬容器から分注プローブによって試薬を吸引した際の試薬の液面を示す断面図である。
【図6】試薬吸引後、大気開放機構によって試薬容器の内外を連通させた際の液面を示す断面図である。
【図7】実施の形態2の試薬容器を示す斜視図である。
【図8】図7に示す試薬容器の平面図である。
【図9】図8の試薬容器のC2−C2線に沿った断面図である。
【図10】試薬容器から分注プローブによって試薬を吸引した際の試薬の液面を示す断面図である。
【図11】閉塞部材が遠心力によってスライドし、連通口が開放された試薬容器の要部を示す拡大図である。
【図12】試薬吸引後、大気開放機構によって試薬容器の内外を連通させた際の液面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応ホイール
7 反応容器
8 測光装置
9 洗浄装置
10 撹拌装置
11 試薬分注機構
11a 分注プローブ
12 試薬テーブル
13 開放装置
14 読取装置
16 制御部
17 分析部
18 入力部
19 表示部
20 試薬容器
20a 挿入口
22 流通遮断管
25 大気開放機構
26 キャップ
26a 連通口
27 閉塞部材
28 押しばね
30 試薬容器
30d 連通口
32 流通遮断管
35 大気開放機構
37 閉塞部材
38 押しばね
39 ストッパ
Ra 試薬

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析装置の周方向に回転する試薬保冷庫に配置され、試薬を貯留すると共に、上部に分注プローブを挿入する挿入口を有する試薬容器であって、
一端が前記試薬中に挿通されると共に、他端が前記挿入口に嵌合され、前記挿入口を通じた当該試薬容器内外の空気の流通を遮断する流通遮断管を備えたことを特徴とする試薬容器。
【請求項2】
前記試薬容器は、上部に当該試薬容器内部を大気へ開放する大気開放機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の試薬容器。
【請求項3】
前記大気開放機構は、当該試薬容器内部を外部へ連通させる連通口と、前記連通口をばね力によって閉塞し、前記試薬の吸引後に押圧され、前記ばね力に抗して前記連通口を開放する閉塞部材とを有することを特徴とする請求項2に記載の試薬容器。
【請求項4】
前記大気開放機構は、当該試薬容器内部を大気と連通させる連通口と、前記連通口をばね力によって閉塞する閉塞部材とを有し、前記試薬保冷庫の回転に伴う遠心力によって前記閉塞部材が前記ばね力に抗して半径方向外方へスライドして前記連通口を開放することを特徴とする請求項2に記載の試薬容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−210274(P2009−210274A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50700(P2008−50700)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】