説明

試薬撹拌機構および自動分析装置

【課題】自動分析装置のスループットを維持しつつ、試薬間の意図しない混合を回避でき、さらに撹拌棒のメンテナンスを必要としない試薬撹拌機構およびこれを備えた自動分析装置を提供する。
【解決手段】自動分析装置の試薬撹拌機構107は、試薬容器112ごとに設けられた撹拌棒200と、撹拌棒200とは分離して設けられて駆動力を伝達する駆動伝達部150と、撹拌棒200と駆動伝達部150とを着脱する着脱手段としての接続部163、203とを有する。これにより、複数の試薬容器にそれぞれ撹拌棒を設けるので、他の試薬や洗浄液の混合を完全になくし、スループットの向上を図ることが可能になるとともに、他の試薬や洗浄液の抑制を目的とした撥水撥油性材料の使用あるいはコーティングによる撥水撥油加工が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動分析装置の試薬撹拌機構に関し、特に磁性粒子を使用して測定を行う自動分析装置に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
免疫反応を利用して血液や尿などの検体中の特定成分を自動で分析する自動分析装置が知られている。この免疫反応を利用した免疫分析法では、抗原抗体反応により測定対象成分と標識物質を結合させ、標識物質から得られる信号(発光、吸光等)により当該物質の定量や定性を行う。この際、過剰に加えられた標識物質を除去するために、対象物質と結合していない標識物質を除去するBF分離という操作が行われる。自動分析装置では、BF分離を自動的に行うために磁性粒子を使用した方法が広く採られている。磁性粒子を使用したBF分離では、測定対象物質と標識物質が結合した免疫複合体にさらに磁性粒子を結合させ、磁石で磁性粒子を吸着させた状態で溶液を置換するなどして過剰な標識物質を反応溶液から除去している。この方法は自動化に向いているため、自動分析装置で広く用いられている。
【0003】
しかし、磁性粒子は比重が溶液より大きいため重力により沈降し、濃度の不均一化が生じる。磁性粒子濃度の不均一化は、分析結果が正しく得られない原因となる。このため、自動分析装置では、磁性粒子溶液を撹拌して濃度を均一にするための機構を有する。
【0004】
磁性粒子の撹拌は、パドル状の構造を持った撹拌棒を試薬溶液中に入れて、これを回転して行うことが多い。試薬を撹拌した後の撹拌棒のパドルや軸には撹拌した試薬溶液が付着する。ある試薬溶液が付着したまま別の試薬溶液を撹拌すると、試薬間で混ざりが発生し、試薬の組成が変化して分析が正しく行われなくなる可能性がある。そのため、試薬撹拌後に撹拌棒を洗浄する必要がある。撹拌棒の洗浄は、洗剤溶液あるいは洗浄水に撹拌棒を浸したり、あるいはシャワー状に吹きかけて行う。いずれの洗浄方法を採った場合でも、洗浄直後の撹拌棒には洗浄溶液あるいは洗浄水が付着して残留する。洗浄溶液あるいは洗浄水が付着したまま次の溶液の撹拌を行うと、これらの液が試薬溶液中に混入し、試薬溶液の組成変化が生じ、分析結果に影響が出る可能性がある。したがって、洗浄溶液の混入による分析結果への影響を防止するためには、撹拌棒の洗浄後に洗浄溶液を除去する工程が必要である。
【0005】
洗浄溶液や洗浄水を除去する方法としては、撹拌棒を空中で回転させて、付着した液滴を飛ばす方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。また、撹拌棒に対する試薬および洗浄液の付着を抑制するため、撹拌棒の材料を撥水撥油性材料(フッ素樹脂が一般的)で作製したり、あるいはコーティングすることが一般的である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−292398号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「研究用総合機器2011・サンクアスト2011」アズワン株式会社、2010年、p116
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の撹拌機構では撹拌棒が複数の試薬を撹拌するため、洗浄と洗浄液除去を十分に行う必要がある。一方、洗浄と洗浄液除去を十分に行おうとすると、それぞれのプロセスに多くの時間が必要になり、分析装置が単位時間あたりに処理可能な検体数、すなわちスループットが低下してしまう。また、洗浄と洗浄液除去を容易にするようなコーティング等は、使用するうちに劣化するため、定期的な交換等のメンテナンスが必要となる。
【0009】
本発明の目的は、自動分析装置のスループットを維持しつつ、試薬間の意図しない混合を回避でき、さらに撹拌棒のメンテナンスを必要としない試薬撹拌機構および自動分析装置を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
代表的な実施の形態による試薬撹拌機構は、複数の試薬容器を備えた自動分析装置の試薬撹拌機構であって、複数の前記試薬容器にそれぞれ設けられる撹拌棒と、前記撹拌棒に駆動力を伝達する駆動伝達部と、前記撹拌棒と前記駆動伝達部とを着脱する着脱手段と、を有する。
【0013】
また、代表的な実施の形態による自動分析装置は、前記試薬撹拌機構を備えた自動分析装置であって、撹拌棒洗浄機構を備えていない。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
本発明によれば、複数の試薬容器にそれぞれ撹拌棒を設けるので、撹拌棒を複数の試薬容器で共有せず、他の試薬や洗浄液の混合を完全になくすことができる。また、撹拌棒を洗浄する必要がなく、洗浄に要していた時間が不要となり、スループットの向上を図ることが可能となる。さらに、他の試薬や洗浄液の抑制を目的とした撥水撥油性材料の使用あるいはコーティングによる撥水撥油加工が不要である。これにより、自動分析装置のスループットを維持しつつ、試薬間の意図しない混合を回避でき、さらに撹拌棒のメンテナンスを必要としない試薬撹拌機構および自動分析装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の自動分析装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態の試薬撹拌機構を示す図である。
【図3】(a)〜(f)は、図2の試薬撹拌機構の動作の説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の試薬撹拌機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
【0018】
図1は、本発明の自動分析装置の概略図である。図1に示すように、自動分析装置100は、それぞれディスク状の試薬保持部101および検体用恒温槽102と、反応検出部103と、検体ラック104とを備えている。また、各箇所に試薬や検体を移動させるないしは処理する機構として、試薬分注ノズル105、試薬分注ノズル洗浄装置106、試薬撹拌機構107、検体分注ノズル108、反応溶液分注ノズル109および検体ラック搬送機構110を備えている。さらに、試薬や検体の容器等として、試薬カセット111として一体的に構成された複数の試薬容器112、反応容器113、検体分注用チップ114および試験管等の検体容器115を備えている。また、容器を保持する部分等として、反応容器保持部116、分注チップ保持部117、ならびに両者間に架設される反応容器およびチップ搬送機構118も併せて備えている。
【0019】
分析が開始されると、まず反応容器113が、反応容器保持部116から、反応容器およびチップ搬送機構(以下、単に搬送機構ともいう。)118により検体用恒温槽102上に設置される。
【0020】
つづいて、試薬保持部101に架設された試薬カセット111の試薬容器112から試薬分注ノズル105により所定量の試薬が吸引され、検体用恒温槽102上の試薬分注位置119で反応容器113に吐出される。ここで、試薬が磁性粒子試薬等の撹拌を要するものである場合には、試薬撹拌機構107により撹拌される。また、検体は、検体ラック搬送機構110に沿って検体ラック104に載せられて検体吸引場所120まで運ばれる。さらに、検体分注用チップ114は、分注チップ保持部117から、搬送機構118によりチップ装着位置121に運ばれる。ここで、検体分注ノズル108の先端に検体分注用チップ114が装着された後、このチップを装着した検体分注ノズル108により検体が吸引され、検体分注位置122で検体用恒温槽102上の反応容器113に吐出される。検体分注後の検体分注用チップ114は、チップ廃棄位置123から図示しない廃棄箱に廃棄される。
【0021】
反応容器113内に分注された試薬と検体は、検体用恒温槽102上で所定の時間反応させた後、反応溶液分注ノズル109により反応溶液を反応検出部103に移送して、化学発光や電気化学発光などの発光検出がなされる。また、反応溶液分注ノズル109は、予め定められた動作指示にしたがい、反応溶液の他に緩衝液124と流路洗浄溶液125とをそれぞれ吸引する。なお、試薬分注後の試薬分注ノズル105は、試薬分注ノズル洗浄装置106により洗浄される。
【0022】
磁性粒子試薬等を撹拌する試薬撹拌機構107は、撹拌棒へ駆動力を伝達する駆動伝達部150を備えている。一方、撹拌棒200は、試薬カセット111の各試薬容器112に設けられている。つまり、試薬撹拌機構107は、試薬を撹拌しないときは分離した状態となっている。
【0023】
この試薬撹拌機構107について説明する。図2は、本発明の一実施の形態の試薬撹拌機構を示す図である。
【0024】
図2に示すように、撹拌棒200は、樹脂製の棒本体201と、棒本体201の先端に取り付けられたパドル202と、棒本体201の上端に設けられた駆動伝達部150への撹拌棒の接続部203とから主に構成されている。
【0025】
撹拌棒の接続部203は、円板状の部分であり、表面から等間隔に切り欠き204が形成されており、この切り欠き204に駆動伝達部150の所定部分を挿入して接続するようになっている。撹拌棒の接続部203は、駆動伝達部150に試薬溶液が付着することを防止するため、試薬の液面Lよりも十分に高い位置に設けられている。
【0026】
試薬容器112底部には、肉厚部分を一部除去して凹部205が形成されており、ここに棒本体201の下端201aを挿入することにより、棒本体201の下部側が試薬容器112に保持されている。凹部205の内径は、棒本体201の外径より若干大きく形成されており、撹拌棒200の回転を妨げないようになっている。棒本体201の下端201aは、駒状に形成されており、この部分が凹部205に入っている。これにより、撹拌棒200は、回転動作の際に、駆動伝達部150により押さえつけられてもストレスなく回転できる。
【0027】
棒本体201の上部には、保持機構206が取り付けられており、この保持機構206により、棒本体201の上部側が試薬容器112に保持されている。保持機構206は、試薬の液面Lよりは高いが、撹拌棒の接続部203より低い位置に取り付けられており、試薬容器112の内壁から伸びるアーム部206aと、アーム部206aにより保持されたリング部206bとから構成されている。棒本体201は、リング部206bに挿通することで保持される。
【0028】
このように、撹拌棒200は、凹部205および保持機構206により棒本体201の上下が保持されることで、試薬容器112内で垂直に保たれる。
【0029】
駆動伝達部150は、回転動作伝達手段160と、上下動作伝達手段170と、両者を連結するアーム180とから構成されている。
【0030】
回転動作伝達手段160は、アーム180に取り付けられた回転モータ161と、回転モータ161によって図中の矢印方向に回転する回転棒162と、回転棒162の先端に取り付けられた円板状の駆動伝達部の接続部163とを備えている。駆動伝達部の接続部163は、撹拌棒の接続部203と同等の大きさに形成されており、撹拌棒の接続部203の切り欠き204と合致する位置に突起164が形成されている。駆動伝達部150は、この突起164を切り欠き204に挿入することにより、撹拌棒200と接続される。このように、試薬撹拌機構107は、駆動伝達部の接続部163と撹拌棒の接続部203とにより着脱手段を構成している。
【0031】
上下動作伝達手段170は、上下動作用モータ171と、このモータの動力を図中の矢印が示すように上下動することにより撹拌棒200に伝達するベルト状の上下動作伝達機構172とを備えている。上下動作伝達機構172は、アーム180に一体的に設けられて上下方向に伸びる取付用部材181の上端側に取り付けられた上端側プーリ173と、上下動作用モータ171の軸171aに取り付けられた下端側プーリ174との間に架設されている。
【0032】
このように、駆動伝達部150は、回転動作伝達手段160と、上下動作伝達手段170とにより、その全体が回転または直線動作をして試薬容器112の上方と待機位置との間を移動することができる(図1の試薬撹拌機構付近の点線の円弧参照)。
【0033】
次に、試薬撹拌機構107の動作について説明する。図3(a)〜(f)は、図2の試薬撹拌機構の動作の説明図である。
【0034】
試薬の撹拌が必要になった場合は、駆動伝達部150を試薬容器112の上方に移動させる(図3(a))。その後、駆動伝達部150を試薬容器112内に降下させる(図3(b))。駆動伝達部の接続部163と撹拌棒の接続部203とが接触したら、わずかに下向きに力をかけながら、ゆっくり駆動伝達部150を回転させる。1回転する間に両接続部163、203の突起164と切り欠き204とが噛み合い、駆動伝達部150と撹拌棒200とが接続される。これにより両者を接続した後、所定の速度および時間で撹拌棒200を回転させて試薬溶液の撹拌を行う(図3(c))。撹拌が終了したら、駆動伝達部150を上方に引き上げる(図3(d))。つづいて、駆動伝達部150を待機位置まで移動させて次の撹拌まで待機する(図3(e))。その後、試薬分注ノズル105により撹拌された試薬の吸引を行う(図3(f))。この際、試薬の吸引は、試薬分注ノズル105のプローブ105aと試薬容器112内に設置された撹拌棒200との干渉を防ぐため、撹拌棒200と位置をずらして行う。
【0035】
ここで説明した駆動伝達部150と撹拌棒200との接続は、追加的な駆動機構を必要としない方法で実現される。着脱手段は、着脱が自在にできるのであれば、上記で述べた方法に限らず、他の方法であってもよい。例えば、ソレノイド駆動によるチャックを用いて駆動伝達部が撹拌部を掴む方法であってもよい。また、試薬溶液の撹拌の際に、回転動作に併せて、上下動作伝達手段170により撹拌棒200を上下動させて撹拌を行ってもよい。
【0036】
本発明の試薬撹拌機構107によれば、撹拌棒200は試薬容器112ごとに専用であるため、撹拌棒200による撹拌対象の試薬への他の試薬や洗浄液の混合を回避することができる。また、撹拌棒200の洗浄が不要であるため、洗浄時間がなくなる分だけスループットの向上を図ることができる。さらに、撹拌棒200への試薬や洗浄液の付着を考慮する必要がないため、撹拌棒200の材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の比較的安価な樹脂を撥水撥油加工することなく使用することができる。さらに、撹拌棒200は、試薬容器112とともに使い捨てにするため、試薬の使用回数分の耐久性があれば十分であり、メンテナンスも不要である。
【0037】
次に、本発明の試薬撹拌機構の他の実施の形態について説明する。図4は、本発明の他の実施の形態の試薬撹拌機構を示す図である。
【0038】
図4に示すように、試薬撹拌機構300は、駆動伝達部350の動作伝達手段が上下動作伝達手段170のみから構成されるとともに、撹拌棒400の下端に試薬容器112の内径よりやや小さい径の円板状のフロート部401が設けられている。
【0039】
撹拌棒400は、基本的には図2で説明した撹拌棒200と同様に、保持機構206により試薬容器112に対して垂直に保持される。撹拌棒400の下端に設けられたフロート部401は、ポリエチレンやポリプロピレン等の水より密度の小さい樹脂を材料とし、通常は試薬溶液の水面に浮かんだ状態となる。また、このフロート部401は、対称に複数の貫通孔401aが形成されている。撹拌棒400の上端には、中央部を円形にくり抜いた円板状に形成された、駆動伝達部350との撹拌棒の接続部402が設けられている。
【0040】
駆動伝達部350は、アーム180の先端に上下方向に伸びる、撹拌棒400との駆動伝達部の接続部360が取り付けられており、この先端が撹拌棒の接続部402のくり抜きの径よりもわずかに小さい径の円板状に形成されている。これにより、駆動伝達部の接続部360を撹拌棒の接続部402のくり抜きに挿入することで、駆動伝達部350と撹拌棒400とが接続される。つまり、試薬撹拌機構300は、これらの両接続部360、402により着脱手段を構成する。
【0041】
試薬撹拌機構300では、撹拌時には、駆動伝達部350が待機位置から図示しない移動手段により撹拌棒400の上方に移動する。その後、撹拌棒400との駆動伝達部の接続部360が上下動作伝達手段170により下降し、撹拌棒400の上端の接続部402とかみ合わさる。さらに、駆動伝達部350が下降すると、撹拌棒400が試薬溶液中を押し下げられる。このとき、フロート部401に設けられた貫通孔401aの断面積は、試薬容器112の断面積と比較して圧倒的に小さいため、貫通孔401aを通過する溶液は大きな流速を伴って噴流状の流れが生じる。ここで生じた噴流により、磁性粒子試薬における磁性粒子のような沈降物が巻き上げられて撹拌が行われる。駆動伝達部350は、撹拌棒400を試薬容器112の底まで押し込んだ後、速やかに上昇する。既に述べたように、フロート部401は、水より密度が小さいため、試薬溶液中で浮力を受けて水面まで上昇する。撹拌棒400が水面まで上昇した後、または上昇中に試薬分注ノズル(図4では図示せず)により試薬を吸引する。図2で示した試薬撹拌機構107と同様に、試薬分注ノズルと撹拌棒400の軸とが干渉しないようにするため、ノズルは試薬容器112の中心からずらした位置で吸引を行う。また、撹拌棒400の下端のフロート部401にノズルが当たらないようにするため、貫通孔401aはノズル降下位置となるとともに、ノズル外径より十分に大きい径に形成する必要がある。
【0042】
駆動伝達部350と撹拌棒400との着脱手段は、図2で示した試薬撹拌機構107と同様に、着脱が自在な方法であればどのような方法であってもよい。ソレノイド機構によるチャックを用いた場合には、撹拌棒を引き上げる動作を伝達することもできるため、複数回の撹拌棒の上げ下げによる、より強力な撹拌も可能になる。
【0043】
以上、本発明者によってなされた発明を、実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上記形態例では、試薬保持部101は、試薬カセット111として複数の試薬容器112をまとめて保持しているが、各試薬容器112を単独で保持するような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、特に磁性粒子を使用して測定を行う自動分析装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
100 自動分析装置
101 試薬保持部
102 検体用恒温槽
103 反応検出部
104 検体ラック
105 試薬分注ノズル
106 試薬分注ノズル洗浄装置
107 試薬撹拌機構
108 検体分注ノズル
109 反応溶液分注ノズル
110 検体ラック搬送機構
111 試薬カセット
112 試薬容器
113 反応容器
114 検体分注用チップ
115 検体容器
116 反応容器保持部
117 分注チップ保持部
118 反応容器およびチップ搬送機構
119 試薬分注位置
120 検体吸引場所
121 チップ装着位置
122 検体分注位置
123 チップ廃棄位置
124 緩衝液
125 流路洗浄溶液
150 駆動伝達部
160 回転動作伝達手段
161 回転モータ
162 回転棒
163 駆動伝達部の接続部
164 突起
170 上下動作伝達手段
171 上下動作用モータ
171a 軸
172 上下動作伝達機構
173 上端側プーリ
174 下端側プーリ
180 アーム
181 取付用部材
200 撹拌棒
201 棒本体
201a 棒本体の下端
202 パドル
203 撹拌棒の接続部
204 切り欠き
205 凹部
206 保持機構
206a アーム部
206b リング部
300 試薬撹拌機構
350 駆動伝達部
360 駆動伝達部の接続部
400 撹拌棒
401 フロート部
401a 貫通孔
402 撹拌棒の接続部
L 液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試薬容器を備えた自動分析装置の試薬撹拌機構であって、複数の前記試薬容器にそれぞれ設けられる撹拌棒と、前記撹拌棒に駆動力を伝達する駆動伝達部と、前記撹拌棒と前記駆動伝達部とを着脱する着脱手段と、を有することを特徴とする試薬撹拌機構。
【請求項2】
請求項1に記載の試薬撹拌機構において、前記駆動伝達部が前記撹拌棒に対して回転動作を伝達する回転動作伝達手段を備え、この回転動作伝達手段により前記撹拌棒が前記試薬溶液中で回転して試薬が撹拌されることを特徴とする試薬撹拌機構。
【請求項3】
請求項1に記載の試薬撹拌機構において、前記駆動伝達部が前記撹拌棒に対して上下動作を伝達する上下動作伝達手段を備え、この上下動作伝達手段により前記撹拌棒が前記試薬溶液中で上下動して試薬が撹拌されることを特徴とする試薬撹拌機構。
【請求項4】
請求項1に記載の試薬撹拌機構において、前記駆動伝達部が前記撹拌棒に対して回転動作および上下動作を交互または同時に伝達する回転および上下動作伝達手段を備え、この回転および上下動作伝達手段により前記撹拌棒が前記試薬溶液中で回転および上下動して試薬が撹拌されることを特徴とする試薬撹拌機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の試薬撹拌機構において、前記撹拌棒の材質が撥水發油処理を施していない樹脂または金属であることを特徴とする試薬撹拌機構。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬撹拌機構を備えた自動分析装置であって、撹拌棒洗浄機構を備えていないことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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