説明

試薬補充装置

【課題】必要に応じて自動分析装置に試薬を自動で補充することができる試薬補充装置を提供し、また試薬に泡を発生させることなく自動分析装置に試薬を供給することができる試薬補充装置を提供する。
【解決手段】補充用の試薬を収容した試薬容器22を保管する試薬保管部8と、自動分析装置1の試薬格納部2(2A,2B)にある試薬容器22を当該試薬格納部2の外部に搬送して回収する一方で試薬保管部8にある試薬容器22を試薬格納部2に搬送する搬送部9とを有しており、試薬保管部8および搬送部9を自動分析装置1に対して着脱可能に設けてある。この結果、試薬の消費量が多い自動分析装置に対して必要に応じて試薬を自動で補充できる。また、搬送部9は、試薬容器22をほぼ面一な面上で移動させるため、試薬容器22を上下移動させないので、試薬容器22内の試薬に泡を発生させる事態を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に対して試薬を補充する試薬補充装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、採取した血液や尿などの検体と、検査項目に従った試薬とを反応容器にそれぞれ分注し、検体と試薬とからなる反応液の反応を測定する。分析に必要な試薬は、例えば識別ラベルを貼付した試薬容器に収容してある。この試薬容器は、自動分析装置の試薬格納庫内の回転テーブルの上に配設してある。分析装置では、検査要求があった場合に検査に用いる試薬を収容した試薬容器を識別ラベルなどによって識別しつつ分取位置まで移動する。
【0003】
ところで、近年では、自動分析装置での分析速度の向上に伴って試薬の消費量が多くなり、試薬の補充のために頻繁に試薬容器を交換する必要がある。そこで、従来では、補充用の試薬を保管する補充用試薬保管庫と、分析に使用する試薬を有する試薬ディスクに対して補充用試薬保管庫から試薬容器を搬送する試薬搬送手段とを備えて、試薬不足を解消してオペレータの負担を軽減するようにした自動分析装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−37171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記補充用試薬保管庫および試薬搬送装置は、試薬の消費量が多い自動分析装置に有用であって、試薬の消費量が少ない自動分析装置には必ず用いるものではない。特に、補充用試薬保管庫および試薬搬送装置を試薬ディスクの上に跨ぐように設けた構成では、試薬の消費量が少ない自動分析装置では邪魔になることもある。したがって、試薬の消費量が多い自動分析装置に応じて試薬を補充する装置を設置することが望まれている。
【0006】
また、上記試薬搬送手段では、試薬ディスクに対して垂直方向および水平方向に試薬容器を搬送する構成であるため、試薬に泡が発生するおそれがある。試薬に泡が発生していると、例えばプローブの先端が試薬の液面に接したか否かを判定する液面検知機構を用いた場合に泡の表面を試薬の液面として誤検知してしまい、試薬を吸引できず空気を吸引してしまうことになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、必要に応じて自動分析装置に試薬を自動で補充することができる試薬補充装置を提供し、また試薬に泡を発生させることなく自動分析装置に試薬を供給することができる試薬補充装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る試薬補充装置は、補充用の試薬を収容した試薬容器を保管する試薬保管部と、前記試薬保管部にある試薬容器を自動分析装置の試薬格納部に搬送する搬送部とを有し、前記試薬保管部および搬送部を自動分析装置に対して着脱可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る試薬補充装置は、補充用の試薬を収容した試薬容器を保管する試薬保管部と、自動分析装置の試薬格納部にある試薬容器を当該試薬格納部の外部に搬送する一方で前記試薬保管部にある試薬容器を前記試薬格納部に搬送する搬送部とを有し、前記試薬保管部および搬送部を自動分析装置に対して着脱可能に設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る試薬補充装置は、上記請求項1または2において、前記搬送部は試薬容器をほぼ面一な面上で搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る試薬補充装置は、補充用の試薬を収容した試薬容器を保管する試薬保管部と、試薬保管部にある試薬容器を自動分析装置の試薬格納部に搬送する搬送部とを有し、試薬保管部および搬送部を自動分析装置に対して着脱可能に設けたことにより、試薬の消費量が多い自動分析装置に対して必要に応じて試薬を自動で補充することができる。
【0012】
また、補充用の試薬を収容した試薬容器を保管する試薬保管部と、自動分析装置の試薬格納部にある試薬容器を当該試薬格納部の外部に搬送する一方で、試薬保管部にある試薬容器を試薬格納部に搬送する搬送部とを有し、試薬保管部および搬送部を自動分析装置に対して着脱可能に設けたことにより、試薬の消費量が多い自動分析装置に対して必要に応じて試薬を自動で補充し、さらに空いた試薬容器を回収することができる。
【0013】
また、搬送部は試薬容器をほぼ面一な面上で搬送するため、試薬容器を上下移動させないので、試薬容器内の試薬に泡を発生させる事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る試薬補充装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は本発明に係る試薬補充装置が適用される自動分析装置の一例を示す平面図である。自動分析装置1は、例えば血液の不要物質を沈殿させた上澄み液(血清)である検体と試薬とからなる反応液の光学的変化を測定することによって検体中に含まれる各種成分量を測定する。図1に示すように自動分析装置1は、試薬格納部2,反応部3および検体移送部4を備えている。
【0016】
試薬格納部2は、円形状のテーブル21を有している。テーブル21は、中心21aの周りに回転可能に設けてあり、駆動手段(図示せず)によって回転される。このテーブル21には、試薬を収容された試薬容器22が周方向に複数保持してある。試薬容器22は、テーブル21の回転に伴って中心21aの周りに移動する。また、試薬格納部2は、テーブル21の周囲を覆うケース(図示せず)を有し、当該ケース内を所定の温度に冷却することで試薬容器22内の試薬を冷却保存する。この試薬格納部2は、第一試薬と第二試薬とをそれぞれ格納するため、水平方向に並ぶ第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとを有している。なお、試薬容器22には、収納してある試薬の種類,量,ロット番号などの諸情報を有する識別コードラベルが貼付してある。一方、試薬格納部2(1A,2B)には、試薬容器22の識別コードを読み取る識別コードリーダ(図示せず)が設けてある。
【0017】
ここで、試薬容器22は、平面視で扇形状の外形を呈し、この扇形状を上下方向に連ねた合成樹脂製の容器であり、その上面に開口を有している。試薬容器22の開口は、未使用時に栓で封止してあり、試薬格納部2(および後述の試薬保管部8)に収容する際には栓が外される。
【0018】
反応部3は、筒状の容器保持部31を有している。容器保持部31は、中心31aの周りに回転可能に設けてあり、駆動手段(図示せず)によって回転される。容器保持部31は、その周方向に沿って複数の凹部(図示せず)を有している。各凹部には、試薬と検体とを混合する反応容器32がそれぞれ保持されている。容器保持部31は、周方向で隣接する各凹部の間に遮光部材(図示せず)を有し、隣接する反応容器32の間を遮光してある。さらに、容器保持部31は、径方向に貫通する開口(図示せず)が各凹部に設けられており、当該開口を介して反応容器32を表出している。この反応部3は、容器保持部31の周囲を覆うケース(図示せず)を有し、当該ケース内を恒温槽として所定の温度(例えば37℃)に保温することで反応容器32内の試薬と検体とが反応した反応液を保温する。
【0019】
ここで、反応容器32は、上部が開口した有底の四角筒状の容器であり、後述する分析光に含まれる光の80%以上を透過する素材(例えば耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレンなどの合成樹脂)で形成してある。そして、反応容器32は、その周壁下部が分析光を透過させる測光領域として用いられる。この測光領域は、周壁間によって反応液の光学的特性を測定する光が透過する方向における反応液の厚みを規定している。
【0020】
また、反応部3には、分析光学系33が設けてある。分析光学系33は、発光部331と分光部332と受光部333とで構成してある。発光部331は、反応容器32内の反応液を分析するための分析光(例えば340〜800nm)を出射する。この分析光は、反応部3において容器保持部31の開口を通過し、反応容器32の測光領域にある反応液を透過する。分光部332は、反応液を透過した分析光を受光部333に向けて分光する。受光部333は、分光部332で分光された分析光を受光する。
【0021】
なお、図には明示しないが、反応部3には、攪拌機構および洗浄機構が設けられている。攪拌機構は、反応容器32内の試薬と検体とを均一に混合させるためのものであり、例として反応容器32に攪拌棒を挿入する接触式のものや、超音波を用いた非接触のものが挙げられる。攪拌棒を用いる場合には、反応部3の外部に当該攪拌棒を洗浄する洗浄部を要する。洗浄機構は、反応容器32内を洗浄するためのものであり、例えば反応容器32内の反応液を吸引して排出し、その後当該反応容器32に洗浄液を繰り返し注入して排出し、さらにその後当該反応容器32内を乾燥させて拭き取るものである。
【0022】
検体移送部4は、検体容器42を保持したラック41を移送するものである。ラック41には、検体を収容した検体容器42を複数並べて保持してある。検体容器42は、例えば試験管などの上部が開口した容器である。検体移送部4は、例えばベルトコンベアなどからなり、ベルト上に載置したラック41を所定方向に移送する。なお、ラック41は、複数の検体容器42が搬送方向に沿って並んだ状態で検体移送部4に置かれる。なお、本実施の形態では、検体移送部4を2つ並列して設けてあり、共働してラック41を循環させる。
【0023】
ところで、試薬格納部2と反応部3との間には、試薬分注機構5が設けてある。ここでの試薬分注機構5は、第一試薬格納部2Aと反応部3との間に設けた第一試薬分注機構5Aと、第二試薬格納部2Bと反応部3との間に設けた第二試薬分注機構5Bとがある。この試薬分注機構5は、アーム51とプローブ52とを有している。アーム51は、垂直方向に立設した中心軸511の上端に基端部が取り付けてあって水平方向に延在して設けてある。このアーム51は、駆動手段53の駆動による中心軸511の回転によって当該中心軸511の周りに回転する。アーム51は、回転によって先端部が試薬格納部2の所定位置や、反応部3の所定位置に移動する。また、アーム51は、駆動手段53の駆動による中心軸511の上下移動によって上下方向に移動する。プローブ52は、試薬を分注するものであり、先端を下方に向けてアーム51の先端部に取り付けてある。すなわち、試薬分注機構5は、アーム51の先端部の位置移動および上下移動によってプローブ52を移動させ、当該プローブ52によって試薬格納部2にある試薬容器22から試薬を吸引し、当該試薬を反応部3の反応容器32に注入する。
【0024】
なお、試薬格納部2の所定位置とは、図には明示しないが試薬格納部2のケースの上面に設けた開口孔の位置である。この試薬格納部2のケースの開口孔には、試薬格納部2のテーブル21の回転を止めた状態において試薬容器22の開口の位置が一致する。よって、アーム51の先端部が試薬格納部2の所定位置に移動した場合には、試薬格納部2のケースの開口孔を通して試薬容器22の開口の位置にプローブ52があり、当該プローブ52によって試薬容器22から試薬を吸引できる。また、反応部3の所定位置とは、図には明示しないが反応部3のケースの上面に設けた開口孔の位置である。この反応部3のケースの開口孔には、反応部3の容器保持部31の回転を止めた状態において反応容器32の開口の位置が一致する。よって、アーム51の先端部が反応部3の所定位置に移動した場合には、反応部3のケースの開口孔を通して反応容器32の開口の位置にプローブ52があり、当該プローブ52によって反応容器32に試薬を注入できる。さらに、試薬分注機構5によってプローブ52が移動する別の所定位置として、洗浄位置がある。この洗浄位置には、図には明示しないがプローブ52を洗浄するために洗浄液の吸引と排出とを行う洗浄部が設けてある。
【0025】
また、反応部3と検体移送部4との間には、検体分注機構6が設けてある。この検体分注機構6は、アーム61とプローブ62とを有している。アーム61は、垂直方向に立設した中心軸611の上端に基端部が取り付けてあって水平方向に延在して設けてある。このアーム61は、駆動手段63の駆動による中心軸611の回転によって当該中心軸611の周りに回転する。アーム61は、回転によって先端部が反応部3の所定位置や、検体移送部4の所定位置に移動する。また、アーム61は、駆動手段63の駆動による中心軸611の上下移動によって上下方向に移動する。プローブ62は、検体を分注するものであり、先端を下方に向けてアーム61の先端部に取り付けてある。すなわち、検体分注機構6は、アーム61の先端部の位置移動および上下移動によってプローブ62を移動させ、当該プローブ62によって検体移送部4にある検体容器42から検体を吸引し、当該検体を反応部3の反応容器32に注入する。
【0026】
なお、検体移送部4の所定位置とは、図には明示しないが検体移送部4においてラック41の移送を停止した状態で当該ラック41にある所定の検体容器42の開口の位置である。よって、アーム61の先端部が検体移送部4の所定位置に移動した場合には、所定の検体容器42の開口の位置にプローブ62があり、当該プローブ62によって検体容器42から検体を吸引できる。また、反応部3の所定位置とは、上記と同様であって、アーム61の先端部が反応部3の所定位置に移動した場合に、反応部3のケースの開口孔を通して反応容器32の開口の位置にプローブ62があり、当該プローブ62によって反応容器32に検体を注入できる。さらに、検体分注機構6によってプローブ62が移動する別の所定位置として、洗浄位置がある。この洗浄位置には、図には明示しないがプローブ62を洗浄するために洗浄液の吸引と排出とを行う洗浄部が設けてある。
【0027】
上述した自動分析装置1の動作を説明する。先ず、第一試薬分注機構5Aによって第一試薬格納部2Aに格納した所定の試薬容器22の試薬を吸引し、反応部3にある所定の反応容器32に注入する。次いで、検体分注機構6によって検体移送部4にあるラック41に保持した所定の検体容器42の検体を吸引し、上記反応容器32に注入する。次いで、第二試薬分注機構5Bによって第二試薬格納部2Bに格納した所定の試薬容器22の試薬を吸引し、上記反応容器32に注入する。ここで、攪拌機構によって上記反応容器32内の試薬と検体とを攪拌混合する。なお、試薬分注機構5および検体分注機構6のプローブ52,62、攪拌機構の攪拌棒は、分注や攪拌の後に各洗浄部で洗浄される。
【0028】
上記動作は、一定の周期で繰り返される。反応部3の容器保持部31は、1周期で反時計方向に(1周−1反応容器)/4分回転し、4周期で時計方向に1反応容器分回転する。そして、容器保持部31の回転に際して、攪拌混合された反応液がある上記反応容器32が分析光学系33における分析光を横切る時、当該反応液の吸光度を測定する。吸光度は、測定を終了した反応容器32が洗浄・乾燥されるまでの間(例えば18秒間)で測定される。洗浄・乾燥された反応容器32は、再び分析に使用される。
【0029】
図2は本発明に係る試薬補充装置を自動分析装置に適用した状態の平面図である。試薬補充装置100は、上述した自動分析装置1に対して着脱可能に設けてある。図2に示すように試薬補充装置100は、試薬保管部8,搬送部9および回収部10を備えている。
【0030】
試薬保管部8は、自動分析装置1の側部に配置してある。試薬保管部8は、自動分析装置1の試薬格納部2と同様の構成であって、円形状のテーブル81を有している。テーブル81は、中心81aの周りに回転可能に設けてあり、駆動手段(図示せず)によって回転される。このテーブル81には、試薬を収容された試薬容器22が周方向に複数保持してある。試薬容器22は、テーブル81の回転に伴って中心81aの周りに移動する。また、試薬保管部8は、テーブル81の周囲を覆うケース(図示せず)を有し、当該ケース内を所定の温度に冷却することで試薬容器22内の試薬を冷却保存する。この試薬保管部8には、オペレータが補充用の試薬容器22を載置できるように開閉可能な蓋(図示せず)が設けてある。また、試薬保管部8には、オペレータが予め開栓した試薬容器22を載置してもよく、あるいは自動で開栓する機構(図示せず)を設けておいて栓をした試薬容器22を載置してもよい。なお、試薬保管部8には、試薬容器22の識別コードを読み取る識別コードリーダ(図示せず)が設けてある。
【0031】
搬送部9は、試薬保管部8にある試薬容器22を自動分析装置1の試薬格納部2(2A,2B)に搬送し、また試薬格納部2(2A,2B)にある試薬容器22を当該試薬格納部2の外部(回収部10)に搬送するためのものであり、第一搬送機構91と第二搬送機構92と第三搬送機構93とを有している。
【0032】
第一搬送機構91は、試薬保管部8にある試薬容器22を当該試薬保管部8の外部(第二搬送機構92)に搬送するためのものである。第一搬送機構91は、試薬保管部8の近傍に配置してあり、アーム911と押圧部材912とを有している。アーム911は、試薬保管部8の上方に配置してあり、水平方向に延在して設けてある。このアーム911は、駆動手段913の駆動により図2の矢印A方向であって自動分析装置1に対して近接または離反するように水平移動する。また、アーム911は、駆動手段913の駆動により上下方向に移動する。押圧部材912は、アーム911から下方に延在して設けてある。押圧部材912は、試薬容器22の側部に係合するように形成してある。すなわち、第一搬送機構91は、アーム911の水平移動および上下移動によって押圧部材912を移動させ、当該押圧部材912によって試薬保管部8にある試薬容器22を試薬保管部8の外部に押し出して第二搬送機構92に受け渡す。なお、図には明示しないが、試薬保管部8のケースには、押圧部材912が挿入されるとともに試薬容器22が押し出されるための開口が設けてある。この開口は駆動手段(図示せず)によって駆動されるシャッタによって開閉する。
【0033】
第二搬送機構92は、試薬保管部8側と試薬格納部2側との間で試薬容器22を搬送するためのものである。第二搬送機構92は、自動分析装置1側に配置してあり、円形状のテーブル921を有している。テーブル921は、水平な上面を有し、駆動手段922の駆動により図2の矢印B方向であって試薬保管部8側と試薬格納部2側(第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとの間の位置)とに水平移動する。また、テーブル921は、駆動手段922の駆動により円形状の中心の周りに回転する。なお、テーブル921の上面には、試薬容器22の位置決めをする位置決め部(図示せず)が設けてあってもよい。この位置決め部は、例えば試薬容器22の向きを規制する仕切り板などがある。
【0034】
第三搬送機構93は、試薬格納部2の外部(第二搬送機構92)にある試薬容器22を当該試薬格納部2の内部に搬送するためのものである。第三搬送機構93は、自動分析装置1側であって試薬格納部2(2A,2B)の近傍に配置してあり、アーム931と押圧部材932とを有している。アーム931は、試薬格納部2(2A,2B)の上方に配置してあり、水平方向に延在して設けてある。このアーム931は、駆動手段933の駆動により図2の矢印C方向であって第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとが並ぶ方向に水平移動する。また、アーム931は、駆動手段933の駆動により上下方向に移動する。押圧部材932は、試薬容器22の側部に係合するように形成してある。すなわち、第三搬送機構93は、アーム931の水平移動および上下移動によって押圧部材932を移動させ、当該押圧部材932によって試薬格納部2(2A,2B)にある試薬容器22を試薬格納部2の外部(第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとの間の位置)に押し出す。一方、第三搬送機構93は、アーム931の水平移動および上下移動によって押圧部材932を移動させ、当該押圧部材932によって試薬容器22を第二搬送機構92(第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとの間の位置)から試薬格納部2(2A,2B)の内部に押し入れる。なお、図には明示しないが、試薬格納部2のケースには、押圧部材932が挿入されるとともに試薬容器22が出し入れされるための開口が設けてある。この開口は駆動手段(図示せず)によって駆動されるシャッタによって開閉する。
【0035】
回収部10は、試薬容器22を投入するための開口穴である。この回収部10は、自動分析装置1において、第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとの間の位置であって、第二搬送機構92のテーブル921が移動する位置に設けてある。回収部10は、テーブル921の移動によって開閉する。
【0036】
ところで、上述した搬送部9は、試薬容器22をほぼ水平方向に移動させる。すなわち、試薬保管部8のテーブル81の上面から第二搬送機構92のテーブル921の上面に至りほぼ面一としてある。さらに、試薬格納部2のテーブル21の上面から第二搬送機構92のテーブル921の上面に至りほぼ面一としてある。
【0037】
図3は自動分析装置および試薬補充装置の制御系を示すブロック図である。図3に示すように自動分析装置1は、上述した試薬格納部2,反応部3,検体移送部4,試薬分注機構5および検体分注機構6が分析制御部11に接続してあり、それぞれ分析制御部11によって統括的に制御される。また、試薬格納部2(2A,2B)に設けた識別コードリーダ(図示せず)で読み取った試薬容器22の諸情報は、分析制御部11内のメモリ(図示せず)に記憶される。また、分析制御部11に接続された試薬不足検出手段7は、試薬格納部2に保持した各試薬容器22における試薬不足を検出する。試薬不足は、例えば試薬容器22の諸情報と、過去の試薬使用量とを比較して現在の試薬残量を算出することで検出できる。一方、試薬補充装置100は、上述した試薬保管部8および搬送部9(第一搬送機構91,第二搬送機構92,第三搬送機構93)が補充制御部101に接続してあり、それぞれ補充制御部101によって統括的に制御される。また、補充制御部101は、自動分析装置1の分析制御部11と接続してある。すなわち、補充制御部101は、分析制御部11と相互に信号の入出力を行う。これら分析制御部11と補充制御部101とは、インターフェースを介して着脱可能に設けてある。
【0038】
ここで、試薬保管部8には、試薬不足になると予測された試薬を収容した試薬容器22をオペレータが予め保管しておく。試薬不足の予測は、分析制御部11で行われる。分析制御部11のメモリ(図示せず)には、過去に分析した分析項目(実績)が記憶される。さらに、分析制御部11のメモリ(図示せず)には、日(午前・午後),週,月,季節,年ごとでの過去の試薬の使用量(実績)が算出されて記憶される。そして、分析制御部11では、前日までの試薬残量と、所定期間(例えば1日,1週間,1ヶ月)の試薬使用実績とに応じた分析項目数推定値から試薬の必要量を求め、現在試薬保管部8に保管されている試薬量から試薬不足を予想し、これを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知する。オペレータは、この告知を見て、試薬不足になると予測された試薬を収容した試薬容器22を試薬保管部8に予め保管しておく。
【0039】
また、オペレータが外部入力手段(図示せず)によって所定期間(例えば1日)の予想検体数を入力することにより、分析制御部11では、当該入力と前日までの試薬残量とから所定期間の試薬の必要量を求め、現在試薬保管部8に保管されている試薬量から試薬不足を予想し、これを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知するようにしてもよい。
【0040】
さらに、オペレータが外部入力手段(図示せず)によって所定期間(例えば1日)の予想項目数を入力することにより、分析制御部11では、当該入力と前日までの試薬残量とから所定期間の試薬の必要量を求め、現在試薬保管部8に保管されている試薬量から試薬不足を予想し、これを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知するようにしてもよい。
【0041】
なお、試薬保管部8に試薬容器22が保管された場合、その識別コードが試薬保管部8に設けた識別コードリーダ(図示せず)で読み取られる。そして、読み取られた試薬容器22の諸情報は、補充制御部101のメモリ(図示せず)および分析制御部11のメモリ(図示せず)に記憶される。ここで、分析制御部11では、試薬保管部8に保管してある試薬と、実際に分析で使用した試薬とを比較する。そして、比較した結果、試薬保管部8に保管してある試薬以外を用いる分析項目が生じた場合には試薬不足となり得るのでこれを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知するようにしてもよい。
【0042】
上述した試薬補充装置100の動作を説明する。自動分析装置1の動作に際し試薬格納部2(2A,2B)にある試薬容器22が空(分析に用いることができない少量を含む)になる。すなわち、自動分析装置1の試薬不足検出手段7によって試薬不足が検出される。この場合、補充制御部101は、分析制御部11を介して試薬格納部2のテーブル21を回転させて該当する空の試薬容器22を開口の位置に移動させ、当該開口をシャッタで解放させて、空の試薬容器22を第三搬送機構93によって試薬格納部2の外部に押し出す。このとき、第二搬送機構92は、回収部10を解放する位置(試薬保管部8近傍の位置)にある。このため、試薬格納部2の外部に押し出された空の試薬容器22は、回収部10に投入される。なお、空の試薬容器22を試薬格納部2の外部に出した後、補充制御部101は、分析制御部11を介して試薬格納部2の開口をシャッタで閉塞する(回収動作)。
【0043】
一方、自動分析装置1の試薬不足検出手段7によって試薬不足が検出された場合、補充制御部101は、試薬保管部8のテーブル81を回転させて不足に該当する試薬を収容している補充用の試薬容器22を開口の位置に移動させ、当該開口をシャッタで解放させて、当該試薬容器22を第一搬送機構91によって試薬保管部8の外部に押し出す。このとき、第二搬送機構92は、試薬保管部8近傍の位置にある。このため、試薬保管部8の外部に押し出された補充用の試薬容器22は、第二搬送機構92のテーブル921の上面に受け渡される。なお、補充用の試薬容器22を試薬保管部8の外部に出した後は、その開口をシャッタで閉塞する。次いで、補充制御部101は、第二搬送機構92のテーブル921を第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとの間の位置に移動させ、さらに当該テーブル921を回転させて、試薬格納部2(2Aまたは2B)に入れるために補充用の試薬容器22の向きを変える。次いで、補充制御部101は、分析制御部11を介して補充用の試薬容器22を押し入れるべき試薬格納部2(2Aまたは2B)の開口をシャッタで解放させて、第三搬送機構93によって第二搬送機構92のテーブル921にある補充用の試薬容器22を試薬格納部2(2Aまたは2B)に押し入れる。最後に、補充用の試薬容器22を押し入れた後、補充制御部101は、分析制御部11を介して試薬格納部2の開口をシャッタで閉塞する(補充動作)。
【0044】
そして、補充された試薬のロットが以前の試薬と同じ場合にそのまま当該試薬を使用して分析を行う。一方、ロットが異なる場合など必要に応じ、検体移送部4において標準検体を移送して当該標準検体を用いて吸光度と濃度との関係線(検量線)を作成し直す。
【0045】
なお、上記回収動作と、補充動作にて試薬容器22を第二搬送機構92のテーブル921に受け渡すまでの動作とは、同時に行うことができる。また、試薬の補充は、試薬不足検出手段7によって試薬不足が検出された場合に限らず、オペレータが外部入力手段(図示せず)によって試薬の補充指示を入力した場合に行ってもよい。
【0046】
また、第二搬送機構92のテーブル921の上面には、試薬容器22の位置決めをする位置決め部(図示せず)が設けてあるため、オペレータがテーブル921の上面に直接試薬容器22を置いて試薬格納部2に補充させることも可能である。この場合、図には明示しないがテーブル921の上面に試薬容器22が置かれたことを検知する検知手段と、置かれた試薬容器22の識別コードを読み取る識別コードリーダとを設けておく。そして、自動分析装置1の分析制御部11によって、試薬不足検出手段7の検出によって、オペレータに対してどの試薬が不足していることを告知されたとき、補充制御部101は、空の試薬容器22の回収動作を行う。次いで、補充制御部101は、第二搬送機構92および第三搬送機構93によって試薬容器22を試薬格納部2に補充する。
【0047】
このように、上述した試薬補充装置100は、補充用の試薬を収容した試薬容器22を保管する試薬保管部8と、自動分析装置1の試薬格納部2(2A,2B)にある試薬容器22を当該試薬格納部2の外部に搬送して回収する一方で試薬保管部8にある試薬容器22を試薬格納部2に搬送する搬送部9とを有しており、試薬保管部8および搬送部9を自動分析装置1に対して着脱可能に設けてある。この結果、試薬の消費量が多い自動分析装置に対して必要に応じて試薬を自動で補充し、さらに空いた試薬容器を回収することが可能になる。
【0048】
また、搬送部9は、試薬容器22をほぼ面一な面上で移動させるため、試薬容器22を上下移動させないので、試薬容器22内の試薬に泡を発生させる事態を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る試薬補充装置が適用される自動分析装置の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る試薬補充装置を自動分析装置に適用した状態の平面図である。
【図3】自動分析装置および試薬補充装置の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
1 自動分析装置
11 分析制御部
2 試薬格納部
2A 第一試薬格納部
2B 第二試薬格納部
21 テーブル
21a 中心
22 試薬容器
3 反応部
31 容器保持部
31a 中心
32 反応容器
33 分析光学系
331 発光部
332 分光部
333 受光部
4 検体移送部
41 ラック
42 検体容器
5 試薬分注機構
5A 第一試薬分注機構
5B 第二試薬分注機構
51 アーム
511 中心軸
52 プローブ
53 駆動手段
6 検体分注機構
61 アーム
611 中心軸
62 プローブ
63 駆動手段
7 試薬不足検出手段
100 試薬補充装置
101 補充制御部
8 試薬保管部
81 テーブル
81a 中心
9 搬送部
91 第一搬送機構
911 アーム
912 押圧部材
913 駆動手段
92 第二搬送機構
921 テーブル
922 駆動手段
93 第三搬送機構
931 アーム
932 押圧部材
933 駆動手段
10 回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補充用の試薬を収容した試薬容器を保管する試薬保管部と、
前記試薬保管部にある試薬容器を自動分析装置の試薬格納部に搬送する搬送部と
を有し、前記試薬保管部および搬送部を自動分析装置に対して着脱可能に設けたことを特徴とする試薬補充装置。
【請求項2】
補充用の試薬を収容した試薬容器を保管する試薬保管部と、
自動分析装置の試薬格納部にある試薬容器を当該試薬格納部の外部に搬送する一方で前記試薬保管部にある試薬容器を前記試薬格納部に搬送する搬送部と
を有し、前記試薬保管部および搬送部を自動分析装置に対して着脱可能に設けたことを特徴とする試薬補充装置。
【請求項3】
前記搬送部は試薬容器をほぼ面一な面上で搬送することを特徴とする請求項1または2に記載の試薬補充装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−303879(P2007−303879A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130462(P2006−130462)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】