説明

試薬試験スライドのための保持クリップ

【課題】1つまたはより多くの試験スライドを積み重ねられた1つの配列中に保持することができるとともに、試験スライドの汚染を最小にすることができる、保持クリップを提供する。
【解決手段】積み重ねられた配列において試薬試験スライドを保持するための保持クリップは、単一の部材として形成され、そして第1、第2および第3プレートを有し、各々は内面および外面を有する。第1プレートの内面は第2プレートの内面の方に旋回し、第3プレートの内面もまた、旋回によって第1プレートの内面と第3プレートの内面が少なくとも互いに部分的に向き合うように旋回する。第1および第3プレートの内面は積み重ねられた配列に試薬試験スライドを収容するためにある距離だけ離されている。あるいは、第1プレートのみが少なくとも部分的に第3プレートに向き合うように旋回し、第3および第2プレートは互いに固く固定することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は乾式化学試薬試験スライドを使用する化学分析装置に関し、特に、使用前と化学分析装置に試験スライドを挿入中のこの種の試薬試験スライドのための保持および保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体試料の定量的な化学分析を実行するための自動化されたシステムが、本質的に乾式の、好ましくは試験スライドの形である分析要素とともに使用するために益々開発されてきた。試験スライドは、その上に置かれた例えば血清のような生物学的流体の成分との反応に必要な試薬を含む多層要素として形成される。ある反応は、比色的に(colorimetrically)または蛍光的に(fluorescently)、反射率計または他の光学装置によって検知される光学密度の変化を生じさせ、要素から反射された光量はこの反応に従って変化し、流体中に存在する特定成分の量を示す。この種の試薬試験スライドの例が、1977年10月11日にハンブレン(Hamblen)等に対して発行された米国特許4,053,381号、および1976年11月16日にプルジビロウイッツ(Przybylowicz)等に対して発行された米国特許3,992,158号に開示されており、それらの開示は参考文献としてこの明細書に組み入れられている。この種の試薬試験スライドを使用する化学分析装置は、米国特許5,089,229号、5,250,262号および5,336,467号に記載されており、それらはそれぞれ1992年2月18日、1993年10月5日、および1994年8月9日にハイト(Heidt)等に対して発行され、それらの開示は参考文献としてこの明細書に組み入れられている。
【0003】
この種の典型的な試薬試験スライドは、化学分析装置内での使用中および使用前に注意深く取り扱われ、そして格納されなければならない。試験スライドのフィルムに置かれた検体は、汚染されないようにしておかなければならず、またその上に置かれた異なった化学試薬を有する他の試験スライドに晒されないようにしなければならない。化学分析装置のユーザは、指が乾式検体を含むフィルム部分に触れないように試薬試験スライドを注意して取り扱わなければならない。さらに、一旦スライドが密封容器から取りだされると、試験スライドのフィルム部分上の検体は、化学分析装置によって実行される試験を台なしにする環境中の汚染に晒されるので、使用され、さもなければすぐに化学分析装置に装填されるべきである。
【0004】
この出願は、出願番号が60/526,885で、2003年12月4日に出願され、発明の名称が「試薬試験スライドのための保持クリップ」である米国仮出願、出願番号が60/526,884で、2003年12月4日に出願され、発明の名称が「スコッチ駆動装置(Scotch Drive)を有する試薬試験スライド投入機構および化学分析装置のためのジュネーブ駆動装置(Geneva Drive)を有する回転可能なターンテーブル」である米国仮出願、および出願番号がまだ割り当てられておらず、速達郵便の番号がED381151704USで2004年12月2日に出願され、発明の名称が「試薬試験スライドのための保持クリップ」である米国実用特許出願に関連し、各出願の開示は参照によってこの明細書中に組み入れられている。この出願は、前述の関連する仮出願および実用特許出願について米国特許法119条の優先権の利益を求める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、複数の試薬試験スライドを保持するための保持装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、積み重ねられた配列に複数の試薬試験スライドを保持するための保持クリップを提供することである。
【0007】
この発明の更なる目的は、積み重ねられた配列に1つまたはより多くの試験スライドを保持するのに適した保持クリップを提供することである。
【0008】
この発明の更に他の目的は、試験スライドを化学分析装置に挿入するときにユーザが試験スライドを取り扱う必要性を避けることができる、複数の試験スライドを保持するための保持クリップを提供することである。
【0009】
この発明の更なる目的は、環境または他の原因からのスライドの汚染を最小にする複数の試験スライドのための保持クリップを提供することである。
【0010】
この発明の更に他の目的は、化学分析装置とともに使用するための保持クリップによって保持される化学試薬スライドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の1つの形態に従って、積み重ねられた配列における複数の化学試薬試験スライドを保持するためのクリップは、中間プレート、それの一端で中間プレートに旋回可能に結合された第1カバープレート、およびそれの他端で中間プレートに結合された第2カバープレートを含む。クリップは、第1カバープレートと中間プレートとがリビングヒンジで旋回可能に結合された、細長い単一の部材(elongated unitary member)として形成される。第1カバープレートは、少なくとも部分的に第2カバープレートの上になる関係に配置され、それによって積み重ねられた配列の複数の試薬試験スライドをそれらの間に受け入れるスペースを規定するように、中間プレートに対して旋回される。好ましくは、第2カバープレートもまた、中間プレートに対して旋回できるように、別のリビングヒンジで中間プレートに旋回可能に結合される。あるいは、第2カバープレートは中間プレートに固定的に結合されてそれに直角に配置される。
【0012】
より具体的には、保持クリップは好ましくは単一の部材として形成され、そして第1、第2および第3プレートを含み、それらの各々は内面および対向する外面を含む。第1旋回結合手段は、第1プレートと第2プレートとを互いに連結し、そして第1プレートの内面が第2プレートの内面の方に旋回できるようにする。第2旋回結合手段は、第3プレートと第2プレートと互いに連結し、そして第3プレートの内面が第2プレートの内面の方に旋回できるようにする。あるいは、第3プレートと第2プレートとの間にかどを規定するため、第3プレートが第2プレートにある角度で固定して結合されるようにして、第2旋回結合手段は省略されてもよい。
【0013】
保持クリップはさらに、第1プレートと第3プレートの間の積み重ねられた配列に保持された複数の試薬試験スライドを拘束するために、少なくとも第1プレートと第3プレートに結合された拘束手段を含む。拘束手段は、1つまたはより多くのつめ棒締め具(ratchet tie fastener)、締め具を受け入れるための1つまたはより多くのスロットを規定する協働スロット規定構造、およびそれによって受け入れられたつめ棒締め具とかみ合うために各スロット内に延びる歯止めを含む。あるいは、拘束手段は、第1プレート、第3プレート、および第1プレートと第3プレートとの間に保持された試薬試験スライドの積み重ねられた配列を取り囲む可撓性バンド(例えば弾性バンドまたはОリング)を含んでもよい。
【0014】
第1プレートと第3プレートの間の積み重ねられた配列のより少ない数の試薬試験スライドを収容するように、保持クリップは、第1プレートの内面と第3プレートの内面との間の距離を減らすために、第1プレートの内面または第3プレートのそれを旋回するための追加の旋回結合手段を含んでもよい。
【0015】
この発明に従って形成された化学試薬試験スライドは、対向する横方向のエッジを有するフレーム、および化学試薬で覆われたフレームによって支えられるフィルム部分を含む。好ましくは、フレームは台形の形状で、対向する横方向のエッジの各々には、試薬試験スライドの積重ね全体が保持クリップから取り外され、そして化学分析装置のスライド挿入機構に装填されるように、化学分析装置のスライド挿入機構の協働する部材を少なくとも部分的に受け入れる凹部が形成される。
【0016】
この発明のこれらの、そして他の目的、特徴、および利点は、その例示された実施例の以下の詳細な説明から明らかであり、それは添付の図面と関連させて読まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、この発明に従って形成された保持クリップの第1実施例の等角図であり、保持クリップは開かれ、折られていない状態を示す。
【図2】図2は、複数の試薬試験スライドを保持し、図1に示された保持クリップの等角図である。
【図3】図3は、この発明に従って形成された保持クリップの第2実施例の後部等角図である。
【図4】図4(A)は図3に示されたこの発明の保持クリップの側面図であり、図4(B)は図3に示されたこの発明の保持クリップの背面図であり、図4(C)は、図3に示されたこの発明の保持クリップの底面図である。
【図5】図5は、図3および4に示された保持クリップの正面等角図であり、複数の試薬試験スライドを保持することが示されている。
【図6】図6は、図5に示される保持クリップの正面等角図であり、図5に示される複数の試薬試験スライドとは異なった複数の試薬試験スライドを保持することが示される。
【図7】図7は、この発明に従って形成された試薬試験スライドの平面等角図である。
【図8】図8は、この発明に従って形成された化学分析装置のためのスライド挿入メカニズムおよび回転可能なターンテーブルの上面斜視図である。
【図9】図9は、図8に示されたこの発明のスライド挿入機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に図1を参照して、複数の試薬試験スライドを保持しそして保管するための保持クリップ2は、好ましくは、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、または同様のプラスチック材料からなり、単一の、射出成形された細長い部材3として形成されていることがわかる。細長い部材3は、内面4および対向する外面6を有する。内面4には、第1リビングヒンジ8および第1リビングヒンジ8から所定の距離だけ隔てられた第2リビングヒンジ10が形成されている。第1および第2リビングヒンジ8、10は、細長い部材3を3つの部分として規定する。すなわち、細長い部材3の第1端部14と第1リビングヒンジ8との間に規定された第1または上部カバープレート12、第1リビングヒンジ8と第2リビングヒンジ10との間に規定された第2または中間プレート16、第2リビングヒンジ10と第1端部に対向して配置された細長い部材3の第2端部20との間に規定された第3または底部カバープレート18である。図2に示されるように、第1および第2リビングヒンジ8、10は、上部カバープレート12が底部カバープレート18の上になり、中間プレート16によってそれから分離されて、細長い部材3がC型形状を呈するために曲げられ得るように設けられる。
【0019】
図1および2に示される保持クリップ2の特定の実施例において、第1および第2つめ棒締め具22、24は、上部カバープレート12または底部カバープレート18のいずれかの対向する側壁26、28に、好ましくはリビングヒンジ8、10で、ヒンジ止めされる。図1および2に示されるように、棒締め具22、24は上部カバープレート12から延びる。棒締め具22、24は、それらの表面22a、22bおよびそれらの表面24aおよび24bの少なくとも一方の上でかつ少なくともそれらの一部の上に、複数のつめ歯29を含む細長い部材である。
【0020】
第1および第2C型部材30、32は、つめ棒締め具22、24がそこから延びる対向するカバープレートの対向する側面に取り付けられかつそこから延びる。図1および2に示されるように、C型部材30、32は底部カバープレート18の側面21、23から延びている。第1および第2C型部材30、32は、底部カバープレート18の側面とともに、第1および第2つめ棒締め具22、24をそれぞれ受け入れるための受入れスロット34、36を規定する。第1および第2C型部材30、32の各内面上、または底部カバープレート18の各側面上のいずれかに、第1および第2C型部材30、32と底部カバープレート18の側面21、23によって規定された受入れスロット34、36内に延びる歯止め38、40が形成される。受入れスロット34、36の大きさは、図2に示されるように、各受け入れスロット34,36内に延びる歯止め38,40が、第1および第2つめ棒締め具22,24の各々の少なくとも1つの表面22a、22b、24a、24bに形成されるつめ歯29とぴったりかみ合うように、第1および第2つめ棒締め具22、24をぴったりと受け入れる大きさである。歯止め棒締め具22、24が対応する受入れスロット34および36内に挿入されそしてそれによってそれらの離脱を防止するとき、歯止め38,40と第1および第2棒締め具22、24のつめ歯29とは、互いにしっかりと(lockingly)かみ合う向きにされる。
【0021】
ユーザによって握られる取っ手42は、中間プレート16の外面6から外側に垂直に突き出すつまみまたは他の突起部材として形成される。取っ手42は、自分の親指および人指し指を使うことによって容易に握られるように十分な距離だけ中間プレート16から外側に延びる。
【0022】
保持クリップ2の目的は、図2に示されるように、上部カバープレート12と底部カバープレート18との間の積み重ねられた配列内に多くの試薬試験スライド44を保持することである。図2に示されるように、典型的には12個の試薬試験スライド(またはより少ないまたはより多い数のスライド)44は、保持クリップ2の範囲内で積み重ねられた配列に保持され得る。各積み重ねられた試薬試験スライド44の一端44aは、好ましくは、中間プレート16の内面4に接しており、一方上部カバープレート12および底部カバープレート18は、積重ねにおいて上面および底面の試験スライドを少なくとも部分的に覆うため、第1リビングヒンジ8および第2リビングヒンジ10である角度に曲がる。第1および第2つめ棒締め具22、24は、対応する受入れスロット30、32内に挿入される。試薬試験スライド44の積重ねが上部と底部カバープレート12、18の間の適所に保持されるが、しかし保持クリップ2によって適所に保持された積重ねから1つまたはより多くの試験スライドを取り外すことができるようにするため、そんなにきつくは保持されないように、上部カバープレート12および底部カバープレート18に十分な圧縮力の圧力が加えられる。それぞれの受入れスロット30、32内に延びる各歯止め38、40は、上部カバープレート12と底部カバープレート18とが離れるのを防止し、そしてそれらの間で試薬試験スライド44の積重ねをしっかりと保持するために、第1および第2つめ棒締め具22、24の1つとそれぞれかみ合う。第1および第2つめ棒締め具22、24はまた、さらに試験スライド44を保持クリップ2内の適所に保持するため、積み重ねられた試薬試験スライド44の対向する横方向のエッジ44b、44cとかみ合う。
【0023】
再び図1に戻り、第3リビングヒンジ46および第4リビングヒンジ48が、上部カバープレート12および底部カバープレート18のそれぞれの外面6にそれぞれ形成されてもよく、対向する外面6を横切って、第1リビングヒンジ8および第2リビングヒンジ10に平行に延びる。第3および第4リビングヒンジ46、48は、上部カバープレート12と底部カバープレート18がそれぞれ折られ、それによってこの発明の保持クリップ2が、保持されたスライド44の積重ねに、より少ないスライドを収容できるように設けられる。
【0024】
図2に示されるスライド保持構成において、この発明の保持クリップ2は、上部カバープレート12および底部カバープレート18が、試験スライド44の積重ねの上面試験スライド44−1および底面試験スライド44−2とそれぞれ同一平面となるように、上部カバープレート12および底部プレート18を互いに対して平行関係を維持するように設計される。この同一平面の配列は、上面と底面スライド44−1、44−2のフィルム部分が、それらは上面および底面プレート12、18によって完全に覆われているが、例えばユーザの取扱いによる汚染物質を含む環境中の汚染物質に晒されるのを防止する。上面および底面スライド44−1、44−2の間の積重ね44にあるスライドは、積重ねの中の隣接するスライドによって環境から保護される。上部カバープレート12および底部カバープレート18の幅と深さは、好ましくは試薬試験スライド44のフィルム部分を完全に覆い、そしてクリップ2内の適所に試験スライド44の積重ねをしっかりと保持するために十分な寸法である。
【0025】
言い換えると、図に示された保持クリップ2の寸法は、好ましくは最大容量として12個の試薬試験スライド44を収容する(保持クリップ2は、積重ねに配置されたいかなる望ましい数の試薬試験スライド44をも収容できる大きさにしてもよいのにもかかわらず)。図2に示されるように、中間プレート16は、積重ねに配列された12個の試薬試験スライド44の高さHsと等しい高さHpを有するような、第1と第2リビングヒンジ8、10の間の寸法である。しかし、同じ保持クリップ2は、第3リビングヒンジ46で中間プレート16の内面の方へ内側に上部カバープレート12を折り、底部カバープレート18も同様に、第4リビングヒンジ48で中間プレート16の内面の方へ内側に折ることによって、より少ない試験スライドを収容することができる。第1と第3ヒンジ8、46の間の距離D1および第2と第4ヒンジ10,48の間の距離D2にそれぞれ依存し、この発明の保持クリップ2は、上部と底部カバープレート12、18の間で平行関係を保ちながら、上部カバープレート12と底部カバープレート18との間に1つまたはより多くの試験スライドを収容する。さらに、上部および底部カバープレート12、18は第3および第4リビングヒンジ46、48で折られるとともに、上部および底部カバープレート12、18は、環境からの汚染を防止するため試験スライド44のフィルム部分73(図7)を完全に覆うように、第3および第4リビングヒンジ46、48から上部および底部カバープレート12、18の自由端14、20までの測定された長さL1、L2を有する。さらに、第3および第4リビングヒンジ46、48は、たとえ最大数よりも少ない試験スライドが保持クリップ2によって保持されるとしても、上部カバープレート12および底部カバープレート18が、それぞれスライド44の積重ねの上面および底面スライド44−1、44−2にくっつく(lie flush)ようにする。
【0026】
この発明にしたがって形成された保持クリップの第2実施例は、図3〜6に示される。この実施例では、保持クリップ50は、第2または中間プレート52に好ましくは直角に固定的に取り付けられ、その上に試薬試験スライドの積重ね44を載せるための下部棚として作用する第3または底部カバープレート51を含む。図3に示されるように、底部カバープレート51は、それに特別な剛性を与えそして底部カバープレート51の撓みを防止するため、その外面51aに1つまたはより多くの固いリブ53を含む。第1または上部カバープレート55は、図1および2に示された前の実施例の第1リビングヒンジ8と同様に、リビングヒンジ54で中間プレート52に旋回可能に固定されている。上部カバープレート55はまた、より少ない数の試験スライドを試験スライド44の積重ねに収容するために、図1および2に示される保持クリップに形成される第3リビングヒンジ46に類似する、内面55bに形成された別のリビングヒンジ56を含む。
【0027】
図4および5に示されるように、寸法Hp´は、収容される試薬試験スライド70の積重ねの最大高さに相当する中間プレート52の寸法または高さである。寸法D2´は、第1リビングヒンジ54と第2リビングヒンジ56との間の距離である。D2´の大きさに依存して、対応するより少ない数のスライドが収容される。
【0028】
図3〜6に示されるこの発明の保持クリップ50の実施例は、図1および2に示される実施例のように、つめ棒締め具22、24およびC型受入れスロット部材30、32を含むが、さらにより好ましくは、図5および6に示されるように、上部および底部カバープレート51、55の外面51a、55aおよびそれらの間の保持される試薬試験スライド70の積重ねを囲む、例えば弾性バンドまたはOリングのような可撓性バンド59を含む。この目的のため、第1溝60は、可撓性バンド59がその中に収まり、そしてそれによって保持されるように、上部カバープレート55の外面55a、そして好ましくは、上部および底部カバープレート55、51の各々の対向する横方向のエッジ55c、55d、51c、51dに形成される。切欠き53aはまた、可撓性バンド59の追加の安全性のためにリブ53に形成され得る。第1実施例と同様に、図3〜6に示される保持クリップ50は、ユーザが試験スライド70または上部もしくは底部カバープレート55、51のいずれかに触ったり、化学分析装置(図示しない)に各試験スライド70を挿入している間に、保持クリップ50からの取り外しを防止したり邪魔したりする圧力を積み重ねられた試験スライド70に加えたりすることなく、保持クリップ50をしっかり握れるようにするため、中間プレート52の外面52aから外側に延びる細長い取っ手68を含む。
【0029】
図5および6に示されるように、上部および底部カバープレート55、51は、それによって保持される試験スライド70の少なくとも一部分を覆い、好ましくは、図1および2に示される第1実施例の場合のように、化学分析装置に試験スライド70が装填される前に環境中の汚染物質に晒されることを防止するため、積重ねの上面および底面試験スライド70−1、70−2のフィルム部分73を完全に覆う。また、上部カバープレート55は、より少ない試験スライドを積重ね70に収容するため、中間プレート52の方に内側に折られて、積重ねの上部スライドの上面70aにくっつき、上面スライド70−1のフィルム部分を覆う。
【0030】
図5に示される実施例において、上部および底部カバープレート55、51は、好ましくは台形の形状である。この形状は、収容したり、この発明に従って形成される台形の試験スライド70の特定形状に合わせたりするために特に付与される。台形の試験スライド70は、より広い外側エッジ70w、より狭い、対向する内側エッジ70n、およびより狭い内側エッジ70nの方に互いに集束する、対向する横方向のエッジ70c、70dを含む。好ましくは、試験スライド70の横方向エッジ70c、70d内で、より狭い内側エッジ70nの近くに凹部74が形成され、好ましくはこの凹部は、より狭い内側エッジ70nの方に各試験スライドを内側に曲げたものである。これらの凹部74の目的は、保持クリップ50によって適所に保持されている試験スライド70の積重ね全体が、化学分析装置のスライド投入または挿入機構に挿入されるようにすることである。化学分析装置のこの投入機構は、平行で、対向する凹部74の近くで、測定された各試験スライドの幅に対応する距離だけ横方向に互いに離れた、対向する、好ましくはぴったりはまる垂直部材(図示しない)を含む。投入機構の各垂直部材は、対応する試験スライド70の横方向の凹部74の1つによって受け入れられる弾力性のある保持器(図示しない)を含む。この発明の保持クリップ50は、試薬試験スライドの積重ねを運ぶが、ユーザによって取っ手68を握られ、スライドの対向する横方向のエッジ70c、70dが、平行で、垂直に直立した投入機構の部材と向き合うように、化学分析装置の投入機構に置かれる。保持クリップ50は、試薬試験スライド70の積重ねとともに、垂直部材の対向する弾力性のある保持器がかみ合って、試験スライド70に形成された凹部74によって受け入れられるように、投入機構へと前方に押し出される。あるいは、投入機構の垂直部材が自立している(free standing)こともあるかもしれないため、保持クリップによって保持されるスライドの積重ね全体は、部材の上方から挿入機構に挿入されてもよい。各試験スライド70は同じ外形を有するので、試験スライドの凹部74は、積重ね70の対向する側面の溝として整列されていることに注意すべきである。投入機構の垂直部材の弾力性のある保持器は、凹部74によって規定されるこれらの溝によって受け入れられ、試薬試験スライド70の積重ね全体を垂直部材間の適所に保持する。ユーザは、この発明の保持クリップ2、50をしっかりと握り、投入機構および直立した垂直部材から離すように後ろへ引っぱる。可撓性バンド59は、積重ね全体が上部と底部カバープレートとの間から縦に動かされ、そして保持クリップから取り外されるように十分な弾力性を有する。試薬試験スライド70の積重ねがそこから取り外されるとき、上部および底部カバープレートに形成された溝60および切込み53aは、保持クリップ50上の適所に可撓性バンド59を保持する。従って、この発明の保持クリップ2、50は、ユーザが個々の試験スライドを取り扱うことなく、試薬試験スライド44、70の積重ね全体が化学分析装置に挿入されるようにする。この発明の保持クリップ2、50は、試験スライドを化学分析装置に装填することを容易にしたり、試験スライドのフィルム部分にユーザが触れることからまたは環境からのいかなる起こりうる汚染をも最小にしたりする。
【0031】
前述の特定の投入機構は、出願番号が60/526,884で、2003年12月4日に出願され、発明の名称が「化学分析装置のためのスコッチ駆動装置を有する試薬試験スライド挿入機構およびジュネーブ駆動装置を有する回転可能なターンテーブル」である米国仮出願に特徴とともに開示されており、その開示はこの明細書に参照文献として組み入れられている。それにもかかわらず、この発明の理解を容易にするために、特に保持クリップによって保持された化学試薬試験スライドがどのようにスライド投入機構と協働するかに関して、化学試薬試験スライドおよびスライド投入機構の好ましい形状が以下に記載される。
【0032】
この明細書に記載された化学試薬試験スライドの特定の構造は、単独でまたは保持クリップとの組合せで、発明全体の重要な局面である。試験スライド70は、例えば図6に示されるもののように、矩形の形状であるフレーム71を有していてもよいが、図7に示されるように、この発明に従って、好ましくは台形の形状である。フレームは、そのフレームのエッジの内側に位置する円形のフィルム部分73を囲んで支え、フィルム部分73は、この技術分野でよく知られているように、検体または化学試薬で覆われている。生物学的流体分析に使用される共通の試験スライドは、例えば1つはカルシウム(Ca)試験、他はアスパルテート・トランスミナーゼ(AST)試験、そして3番目はブドウ糖(Glu)試験を含む。
【0033】
台形の形状である試薬試験スライド70を有する利点は、この形状は、より多くの数の試験スライドが、例えば前述のハイト等の特許に開示されたターンテーブル50のように、台形形状のスライドを受け入れられるように変形された、化学分析装置の回転可能なターンテーブル(図示しない)上に横に並んで円周状に取り付けられるようになることである。さらに、試薬試験スライド70の台形形状は、保持クリップに装填されたときまたは回転可能なターンテーブルに挿入されたときに試験スライドが適切に方向付けられるようにする。
【0034】
また、各試験スライド70は、好ましくは、フレーム71の片面に刻印され、そして好ましくはスライドフレームのより大きな(例えばベース)側70wに沿って配置された、情報75を含む。情報75は、例えば、スライドの型、製造日付、有効期限、ロット番号そして/または校正情報を含むことができる。情報は、例えばバーコードまたはユニバーサル商品コード(UPC)のように、任意の読み取り易い形式でよい。情報75はまた、保持クリップへの挿入中にスライドが上下反転して挿入されるのを防止するため、ユーザが試験スライドを適切に向けることを助ける。
【0035】
試験スライドは、さらにそのエッジの1つ、例えば狭い内側エッジ70nに形成された切込み77を含んでいてもよい。その切欠きは、一方の横方向のエッジ70cまたは他方の横方向のエッジ70dの方にスライドの長さ方向の中心線からずれていてもよい。切欠き77は、方向付けおよび化学分析装置のスライド挿入機構へのスライドの装填を容易にするために使用され、そして協働して挿入機構におけるスライドの適当な方向付けを確実にするスライド挿入機構の突起(図示しない)を受け入れる。
【0036】
上部および底部カバープレート12、18、55、51は、それらが積重ねの上面および底面のスライドのフィルム部分73を完全に覆うのに好ましい寸法であるが、また対向する横方向のエッジ70c、70dに形成された凹部74の間のスライドを横切って測定された試験スライドの幅よりも狭い幅を有することにさらに注意すべきである。その結果、少なくとも凹部74を有するスライドの横方向のエッジの部分は、凹部74を露出するために、上部および底部カバープレート12、18、55、51の側面を越えて延び、また凹部74は、試験スライドが保持クリップによって保持されている間、協働してスライド挿入機構の直立した垂直部材の一部を受け入れる。
【0037】
図8および9は、この発明に従って形成された試験スライド投入機構100をより詳細を示し、積み重ねられた配列においてスライドを保持クリップから取り外す手助けをするために試験スライド70と調和する構造的な構成要素を含む。図8に示されるように、スライド投入機構100は、それらの間に試薬試験スライド70の積重ねが置かれる、1対の間隔を隔てて直立したブロック102を含む。回転可能なターンテーブル104に近い各ブロックの一端には、外側に傾斜した、または突起にぴったりはまる突起106が形成され、一方のブロック102の突起106は、鏡面対象にある他方の突起106と向き合い、互いに所定の距離だけ離れている。各突起106の露出された傾斜面107は、台形形状の試薬試験スライド70の横方向のエッジ70c、70dの特定の角度に適合するように曲げられる。その結果、スライド投入機構に積重ねとして充填される試験スライドの前面部分は2つの突起106の間に位置する。突起106は、投入機構100内に装填された試験スライド70の積重ねの位置を維持する。スライドの積重ねの底部から取り出された個々の試験スライド70は、次いで、投入機構によって、一度に、試料測定装置(図示しない)と整列して斑点をつける位置(spotting position)108に動かされ、次に斑点をつけられた後、回転可能なターンテーブル104に装填される。例えばソレノイド駆動、スライド70とかみ合って往復運動が可能なプッシュロッドまたはプレート110などの数多くの機構が採用され得るが、この技術分野の当業者によく知られているので、斑点をつける位置から回転可能なターンテーブルへの個々の試験スライドを動かすための実際の機構はこの明細書には記載しない。
【0038】
ブロック102の傾斜した突起106は、積重ねの中の最も下のスライド以外の試験スライド70の積重ねが前に動かされることを防止する。より好ましくは、各突起106は、接着剤または同様の物によって各突起106の第2傾斜面111に取り付けられたスライド保持クリップ112(図9参照)を含んでもよい。スライド保持クリップ112は、弾性プラスチックまたは金属シート材料から形成されてよく、各突起106の第1傾斜面107および第2傾斜面111によって規定される曲がったエッジを越えてわずかに延び得る。
【0039】
前述のように、台形形状の試薬試験スライド70は、好ましくは、より狭い内側エッジ70nの近くの試験スライドの横方向のエッジ70c、70dに形成されている凹部74を含む。凹部74は、より狭い内側エッジの方で各試験スライドの内側に曲げられてよい。これらの凹部74の目的は、各突起に取り付けられたスライド保持クリップ112がそこに弾力的に受け入れられるようにすることである。スライド保持クリップ112と試薬試験スライド70に形成された凹部74との協働によって、さらにスライド投入機構100における試験スライドの積重ねの位置を維持する。より好ましくは、スライド保持クリップ112と試験スライドの凹部74とが協働して、スライドの積重ね全体が、前述の保持クリップを使用することによってスライド投入機構の装填位置に挿入されるようにする。
【0040】
ユーザは、積重ねにあらかじめ配列された複数の試薬試験スライドを含み、露出されたスライド70の横方向のエッジに形成された凹部74を有するこの発明の保持クリップを便利に使用することができる。ユーザは保持クリップの取っ手を握り、2つのブロック102の間のスライド投入装置100に、それによって保持されたスライド70の積重ね全体を挿入し、そして積重ねのスライドの横方向のエッジ70c、70dがブロックの突起106の傾斜したエッジ107とかみ合うまで前方に押す。突起に形成された弾力性のある保持クリップ112は、スライドの横方向のエッジ70c、70dの前面部分に乗り上げ、そしてクリップの弾性のために試験スライド凹部74にパチンと音をたててはまる。
そして保持クリップ112は、突起106の傾斜面107と向き合うスライドの横方向のエッジのほぼ前面部分で、対向するブロック102の間の適所に試験スライド70の積重ねを保持する。ユーザは、スライドの凹部74にパチンと音をたててはまる弾力性のある保持クリップ112からカチッという聞き取り可能な音を聞き、保持クリップによって保持された試験スライドが、投入機構100に適切に取り付けられたことを知る。ユーザは保持クリップの取っ手を後ろに引っぱると、積重ね全体は投入機構100に保持されるので、それによって保持されたスライド70の積重ね全体は保持クリップから取り外される。既にこの明細書に記載されているように、スライドのエッジの凹部74によって規定された積重ねの溝が弾力性のある保持クリップ112を滑らせて受入れた状態で、スライド70は、スライド投入機構100の保持クリップから、ブロック102の上から抜き取られると考えられる。
【0041】
この発明の保持クリップと投入機構の構造とが協働して、試薬試験スライドの積重ね全体が容易にしかも素早く化学分析装置内に装填されるようにする。個々のスライドが、ユーザによって取り扱われたり、投入機構に個々に装填されたりする必要はない。対向するブロック102および突起106の高さは、1つまたはより多くの保持クリップを使用してユーザにより装填される、試薬試験スライド70の1つの積重ねまたは複数のスライドの積重ねを受け入れることができ、スライドの積重ねの高さはブロックおよび突起の高さを超えない。
【0042】
台形形状の上部および底部カバープレート55、51を有する、第2実施例の保持クリップ50は、前述の第1実施例として記載され、そして図6に示されるように正方形または長方形の試薬試験スライド44も収容できると理解されなければならない。台形形状の上部および底部カバープレート55、51は、好ましくは、この種の矩形の形状の試験スライド44のフィルム部分を覆い、そして試験スライド44の積重ねの上面および底面試験スライドとくっつくようにするために、寸法Hp、Hs、D1、D2、L1およびL2に関する前述の開示に基づき、この技術分野の当業者にとっていわば自明の寸法とされる。
【0043】
図1〜6に示された実施例のいずれも、個々にまたはスライドの積重ねのどちらでも、化学分析装置の投入機構に長方形または正方形のスライド44を装填するために使用されるとさらに理解されるべきである。正方形または長方形のスライド44は、図5に凹部74として示されたそれらに類似する凹部74−2を含むこともできる。凹部は、この発明の保持クリップ2、50によって保持される、スライド44、70の積重ね全体、または積重ねからの個々の試験スライドが、ユーザが保持クリップ2、50の取っ手42、68を握るだけで、積重ねの試験スライド44、70に触ったり取り扱ったりしないで、保持クリップ2、50から取り外されるように、化学分析装置の投入機構の突起部材または他の構造と協働する。
【0044】
この発明の保持クリップには多くの利点がある。積重ね中の各試験スライドの間に仕切りはない。そのため、この発明の保持クリップは、より小さなスペースにおいてより多くの試験スライドを取り扱うことができる。あるいは、交差汚染するかもしれないスライドを分離するために、「ダミー」スライドが使用されることもある。しかし、隣接する試験スライド間の交差汚染および乾式検体の混合を防止するため、同じまたは互換性のある乾式検体スライドが積重ねに使用されることが好ましい。
【0045】
また、前述のように、保持クリップの上部および底部カバープレートは、好ましくは、積重ねの上面および底面スライドのフィルム部分を覆う。もちろん、中間のスライドは、上面と底面スライドおよび積重ねの次々に隣接するスライドによって環境から保護される。これは空気中での露出およびスライドの汚染を最小限にし、それらの保存期間を延ばす。しかし、適所に保持されたスライドの積重ねをあらかじめ取り付けられた保持クリップは、気密性(低い透過性)のプラスチックまたは金属箔の囲いで封止されることが好ましい。
【0046】
この発明のスライド保持クリップは、射出成形または他の方法によって容易に成形できる。このことは、保持クリップの製造コストを低減する。また、この発明の保持クリップは1つの保持クリップに異なる高さの積重ねを収容することができるので、異なる大きさの保持クリップが要求されることは少なくなり、それはまた成形工程のコストを低減する。
【0047】
この発明の保持クリップは、積重ねからの1つのスライド、または積重ね全体が化学分析装置に装填されるようにできる。ただ1つの動きが必要なだけで、そのことは装填プロセスを簡略化し、装填時間を最小にし、さらに環境の中で試験スライドを汚染物質に晒す可能性を最小にするという利益を有する。さらに、ユーザは、個々の試験スライドを取り扱う必要性がなくなり、それによってフィルム部分が不注意で触られたり、汚染されたりする機会をさらに小さくできる。
【0048】
第2実施例の上部カバープレート55、および前述の第1実施例の上部および底部カバープレート12、18は、積重ねのより少ない試験スライドを収容するために、内側に折られ、上部と底部カバープレートは、均一で一定の密閉する力を積重ね内の試験スライドに加える。これは、使用前の試験スライドの保存期間を延ばす。
【0049】
また、上部または底部のいずれか、あるいは上部と底部の両方のカバープレートは、互いに対して動かすことができるので、試験スライドの数を変えた積重ねを1つの保持クリップによって収容することができ、そしてより少ない保持クリップによって化学分析装置のために必要な数の試験スライドを収容することができ、それは、もちろん、製造業者のデータベースの在庫管理単位(sku’s)を少なくすることができる。
【0050】
この発明の保持クリップは、試験スライドの数を変えた積重ねを収容できるので、異なる乾式検体スライドの積重ねとともに使用されてよいる。言い換えれば、ある試験は、別の試薬のタイプよりも試験スライドの1つの試薬のタイプのより多くのものを必要としてもよい。同じ保持クリップは、例えば8個のカルシウム試験スライドまたは12個のアンモニア試験スライドまたはいろいろな化学的性質の混合物を収容するために使用される。カルシウム試験スライドの第1積重ねは、第1保持クリップから化学分析装置の投入機構に装填され、アンモニア試験スライドの第2積重ねは、第2保持クリップから投入機構の第1積重ねの上部に装填される。このことにより、ユーザが試験スライドを個々に取り扱う必要性はなく、化学分析装置での試験スライドの一括処理ができる。したがって、保持クリップは異なった大きさの試験スライドの積重ねを収容することに完全に適合できる。
【0051】
また、特定の台形形状の試験スライドは、保持クリップの上部および底部カバープレートの形状をそれに適合させることによって、個々のスライドまたはスライドの積重ね全体が保持クリップから容易に取り外されるようにする。試験スライドの台形形状は、試験スライドの側面のエッジに形成された凹部とともに、投入機構と協働して保持クリップからスライドを取り外したり、試験スライドをしっかりと積重ねの適所に保持するようにしたりする。さらに、試験スライドが保持クリップから取り外されて投入機構に適切に固定されたとき、カチッという聞き取り可能な大きな音(スライドの凹部にはまる弾力性のある保持器から)がする。それは、化学分析装置への試験スライドの適切な装填が行われたことをユーザに知らせる。試験スライドの特定の台形形状は、より多くの試験スライドが化学分析装置の回転可能なターンテーブルに、例えば前述のハイト等の特許に示されているように、平面的に横に並んで装填されるようにする。
【0052】
この発明の望ましい形態として上部および底部カバープレートの長さが試験スライドのフィルム部分を十分に覆うようにすること以外に、要求される重要な寸法はないので、この発明の保持クリップはまた製造しやすい。さらに、作り付けの取っ手は、試験スライドの使用と取扱いを容易にする。
【0053】
この発明の保持クリップは、再利用できる使い捨てのユニットである。保持クリップはさらに、化学分析装置に装填された試験スライドのタイプを確認するために、その上部および底部カバープレートを含む、いくつかの適切な位置に、より好ましくはその取っ手に位置するRFID(radio frequency identification)またはバーコードを含む。RFIDまたはバーコードは、化学分析装置によって検知され、化学分析装置はこの種の情報を分析装置の電子回路およびソフトウエアに与える。
【0054】
この発明の説明に役立つ実施例が、この明細書で図面とともに記載されているが、この発明はそのような実施例そのものに限定して理解されるべきではなく、そしていろいろな他の変化および変形がこの技術分野の当業者によってこの発明の範囲および精神から逸脱することなくその中で達成されると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0055】
2、50・・・保持クリップ
8、54・・・第1リビングヒンジ
10、56・・・第2リビングヒンジ
12・・・上部カバープレート
16、52・・・中間カバープレート
18、51・・・底部カバープレート
22・・・第1つめ棒締め具
24・・・第2つめ棒締め具
29・・・つめ歯
30、32・・・C型部材
34、36・・・スロット
38、40・・・歯止め
42、68・・・取っ手
44、70・・・試薬試験スライド
46・・・第3リビングヒンジ
48・・・第4リビングヒンジ
53・・・リブ
59・・・可撓性バンド
73・・・フィルム部分
74・・・凹部
100・・・スライド投入または挿入機構
102・・・ブロック
106・・・突起
112・・・スライド保持クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねられた配列において複数の試薬試験スライドを保持するための保持クリップであって、
内面と外面とを有する第1プレート、
内面と外面とを有する第2プレート、
内面と外面とを有する第3プレートを備え、
第3プレートは第2プレートにある角度で固く結合され、それによって第3プレートと第2プレートとの間にかどを形成し、そして
少なくとも第1プレートの部分は、第3プレートの方へ移動したり第3プレートから遠ざかるように移動したりして、それによって第1プレートの内面と第3プレートの内面は積み重ねられた配列の可変的な量の試薬試験スライドをその間に受け入れるための調節可能なスペースを規定する、保持クリップ。
【請求項2】
少なくとも第1プレートの部分は、平行関係にある第3プレートの方に動いたり第3プレートから遠ざかるように動いたりする、請求項1記載の保持クリップ。
【請求項3】
第1プレートは第2プレートに旋回可能に固定されている、請求項1記載の保持クリップ。
【請求項4】
第1および第3プレートの周りに配置された弾性バンドをさらに含み、弾性バンドは少なくとも第1プレートの部分を第3プレートの方に動かす圧縮力を与える、請求項1記載の保持クリップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−256372(P2010−256372A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182269(P2010−182269)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【分割の表示】特願2006−542778(P2006−542778)の分割
【原出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(300004500)アイデックス ラボラトリーズ インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】