説明

試薬調製装置および検体処理システム

【課題】有効期限上分析に適さない調製後の試薬が測定部に供給されるのを防止可能な試薬調製装置を提供する。
【解決手段】この試薬調製装置4は、有効期限情報を有する高濃度試薬とRO水とを含む試薬を調製する希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46などからなる試薬調製部と、調製された試薬を貯留する供給チャンバ47と、供給チャンバ47に貯留されている試薬の有効期限に関する情報を含む供給チャンバ情報テーブル496に基づいて、供給チャンバ47内の試薬を測定部2に供給可能であるか否かを判定するCPU49aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬調製装置および検体処理システムに関し、特に、検体の測定に用いられる試薬を調製可能な試薬調製装置および検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体の測定に用いられる試薬を調製可能な試薬調製装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、攪拌タンク内で濃縮液と純水とを混合することによって、分析計による測定に用いられる試薬を調製可能な試薬調製装置が開示されている。
【0004】
また、従来、試薬の有効期限を監視可能な自動分析装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2には、所定の吸引位置に配置された試薬テーブル上の試薬カセットから試薬を吸引し、吸引した試薬を用いて検体を測定する自動分析装置が開示されている。この自動分析装置は、試薬テーブル上の試薬カセットに収容された試薬の有効期限を監視し、試薬が有効期限切れの場合には、この試薬を収容する試薬カセットを試薬テーブルから排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−167660号公報
【特許文献2】WO2002/059624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
検体の分析結果の信頼性を向上させるためには、調製された後、所定の有効期限内に試薬を使用することが好ましい。しかしながら、上記特許文献1では、調製された試薬を有効期限内に使用するための技術について開示も示唆もされていない。また、上記特許文献2では、試薬テーブル上の試薬カセットに収容された試薬の有効期限を監視する自動分析装置が記載されているが、試薬の有効期限の監視を試薬調製装置に適用することについては、開示も示唆もされていない。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、有効期限上分析に適さない調製後の試薬が測定部に供給されるのを防止可能な試薬調製装置および検体処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における試薬調製装置は、所定の試薬を用いて検体を測定する測定部に所定の試薬を供給可能に構成された試薬調製装置であって、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製部と、測定部と接続され、試薬調製部により調製された所定の試薬を貯留する試薬貯留部と、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬の有効期限に関する試薬有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定する試薬供給判定手段とを備える。
【0010】
この発明の第1の局面による試薬調製装置では、上記のように、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬の有効期限に関する試薬有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定する試薬供給判定手段を設けることによって、有効期限上分析に適さない調製後の所定の試薬を測定部に供給不可であると判定することができるので、当該試薬が測定部に供給されるのを防止することができる。
【0011】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、第1液体の有効期限に関する液体有効期限情報を取得する液体有効期限情報取得手段と、液体有効期限情報取得手段により取得された液体有効期限情報に基づいて、試薬有効期限情報を生成する試薬有効期限情報生成手段とをさらに備え、試薬供給判定手段は、試薬有効期限情報生成手段により生成された試薬有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定するように構成されている。このように構成すれば、第1液体の有効期限に関する液体有効期限情報に基づいて、容易に、調製された所定の試薬の有効期限を管理することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、試薬有効期限情報生成手段により生成された試薬有効期限情報を記憶する記憶手段と、試薬貯留部への所定の試薬の流入を検知する流入検知手段と、流入検知手段により試薬貯留部への所定の試薬の流入が検知された場合に、記憶手段に記憶されている試薬有効期限情報を更新する更新手段とをさらに備える。このように構成すれば、試薬有効期限情報を記憶手段に記憶することによって、容易に、調製された所定の試薬の有効期限情報を管理することができる。
【0013】
上記記憶手段を備える構成において、好ましくは、試薬調製部は、断続的に所定の試薬を調製し、試薬貯留部は、試薬調製部により異なる時刻に調製された所定の試薬を同時に貯留し、記憶手段は、異なる時刻に調製された所定の試薬のそれぞれについて試薬有効期限情報を記憶し、試薬有効期限情報は、液体有効期限情報を含み、試薬供給判定手段は、記憶手段に記憶されている複数の試薬有効期限情報から有効期限の最も古い液体有効期限情報を選択し、選択した液体有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定するように構成されている。このように構成すれば、異なる時刻に調製された所定の試薬が試薬貯留部に貯留されている場合でも、試薬供給判定手段により、試薬貯留部内の所定の試薬のうち、最も古い液体有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている調製後の所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かが判定されるので、異なる時刻に調製された所定の試薬が試薬貯留部に貯留されている場合でも、有効期限上分析に適さない調製後の所定の試薬が測定部に供給されるのを精度よく防止することができる。
【0014】
上記液体有効期限情報取得手段を備える構成において、好ましくは、試薬有効期限情報は、液体有効期限情報を含み、試薬供給判定手段は、液体有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬の調製に用いられた第1液体が有効期限切れの場合に、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給不可と判定するように構成されている。このように構成すれば、容易に、有効期限切れで分析に適さない第1液体を用いて調製された調製後の所定の試薬が測定部に供給されるのを防止することができる。
【0015】
上記液体有効期限情報取得手段を備える構成において、好ましくは、液体有効期限情報は、第1液体の開封後の有効期限を含む。このように構成すれば、試薬供給判定手段により、第1液体の開封後の有効期限に基づいて、試薬貯留部に貯留されている調製後の所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、液体有効期限情報は、第1液体の開封前の有効期限と、開封後の有効期限とを含み、試薬有効期限情報は、第1液体の開封前の有効期限と、開封後の有効期限とを含み、試薬供給判定手段は、開封前の有効期限および開封後の有効期限に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定するように構成されている。このように構成すれば、試薬供給判定手段により、第1液体の開封前の有効期限および開封後の有効期限の両方に基づいて、試薬貯留部に貯留されている調製後の所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定することができる。
【0017】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を廃棄する試薬廃棄部と、試薬供給判定手段により供給不可と判定された場合に、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を廃棄するように試薬廃棄部を制御する試薬廃棄制御手段とをさらに備える。このように構成すれば、試薬供給判定手段により供給不可と判定された場合に、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬が自動的に廃棄されるので、試薬調製装置の使用者が試薬貯留部に貯留されている試薬を排出する必要がなくなる。
【0018】
この場合、好ましくは、試薬調製部は、試薬貯留部に接続され、少なくとも第1液体を含む所定の液体を貯留する調製前液体貯留部を含み、調製前液体貯留部に貯留されている所定の液体を廃棄する液体廃棄部と、第1液体の有効期限に関する液体有効期限情報に基づいて、調製前液体貯留部に貯留されている所定の液体を試薬貯留部に供給可能であるか否かを判定する液体供給判定手段とをさらに備える。このように構成すれば、液体供給判定手段により、有効期限上分析に適さない所定の液体を試薬貯留部に供給不可であると判定されるので、有効期限上分析に適さない所定の液体が試薬貯留部に供給されるのを防止することができる。これにより、有効期限上分析に適さない所定の液体を用いた試薬の調製を防止することができる。
【0019】
上記調製前液体貯留部を備える構成において、好ましくは、調製前液体貯留部から試薬貯留部に所定の液体を供給する供給部と、供給部を制御する液体供給制御手段とをさらに備え、液体供給制御手段は、試薬供給判定手段により供給不可と判定され、かつ、液体供給判定手段により供給可能と判定された場合に、試薬廃棄部により試薬貯留部に貯留されている所定の試薬が廃棄された後に、調製前液体貯留部から試薬貯留部に所定の液体を供給するように供給部を制御するように構成されている。このように構成すれば、有効期限上分析に適さない試薬貯留部内の調製後の所定の試薬を廃棄した後に、有効期限上問題のない液体貯留部内の所定の液体が試薬貯留部に供給されるので、有効期限上分析に適さない調製後の所定の試薬と有効期限上問題のない調製前の所定の液体とが試薬貯留部で混合されて全体として有効期限上分析に適さなくなってしまうのを防止することができる。これにより、有効期限上問題のない液体貯留部内の調製前の所定の液体を無駄にしてしまうのを抑制することができる。
【0020】
この発明の第2の局面における検体処理システムは、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を用いて検体を測定する測定部と、所定の試薬を調製する試薬調製部と、測定部と接続され、試薬調製部により調製された所定の試薬を貯留する試薬貯留部と、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬の有効期限に関する試薬有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定する試薬供給判定手段とを備える。
【0021】
この発明の第2の局面による検体処理システムでは、上記のように、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬の有効期限に関する試薬有効期限情報に基づいて、試薬貯留部に貯留されている所定の試薬を測定部に供給可能であるか否かを判定する試薬供給判定手段を設けることによって、有効期限上分析に適さない調製後の所定の試薬を測定部に供給不可であると判定することができるので、当該試薬が測定部に供給されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の使用状態を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムの試料調製部を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムの検出部を示した概略図である。
【図5】本発明の第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムのデータ処理部の構成を示したブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の制御部を説明するためのブロック図である。
【図8】本発明の第1実施形態による試薬調製装置のバーコードリーダを説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の高濃度試薬情報取得処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の高濃度試薬情報取得処理動作を説明するための画面図である。
【図11】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の高濃度試薬情報取得処理動作を説明するための画面図である。
【図12】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の試薬調製処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の試薬調製処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図12に示した試薬調製処理動作のステップS25における高濃度試薬およびRO水の供給処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の試薬チャンバ情報テーブルの更新処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の稀釈チャンバ情報テーブルA(B)、攪拌チャンバ情報テーブルおよび供給チャンバ情報テーブルの更新処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の有効期限監視処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の第1実施形態による試薬調製装置のRO水自動排出処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明の第2実施形態による試薬調製装置の使用状態を示した斜視図である。
【図20】本発明の第2実施形態による試薬調製装置の構成を示したブロック図である。
【図21】図1に示した第1実施形態および図19に示した第2実施形態による試薬調製装置の変形例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
まず、図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の構成について説明する。なお、第1実施形態では、血液検査を行うための血液検体処理システム1の一部として、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4を使用する場合について説明する。
【0025】
血液検体処理システム1は、図1に示すように、血液の測定を行う機能を有する測定部2と、測定部2から出力された測定データを分析して分析結果を得るデータ処理部3と、検体の処理に用いられる試薬を調製する試薬調製装置4とにより構成されている。測定部2は、フローサイトメトリー法により、血液中の白血球、網状赤血球および血小板の測定を行うように構成されている。また、測定部2は、試薬調製装置4によって調製され、供給される試薬を用いて血液を希釈し、赤血球、白血球、網状赤血球および血小板の測定を行うように構成されている。さらに、測定部2は、試薬調製装置4によって調製され、供給される上記試薬を洗浄液として用い、後述する試料調製部21に含まれるサンプリングバルブ21bおよび反応チャンバ21c等や、検出部22に含まれるシースフローセル22c等を洗浄するように構成されている。なお、フローサイトメトリー法とは、測定試料を含む試料流を形成するとともに、その試料流にレーザ光を照射することによって、測定試料中の粒子(血球)が発する前方散乱光、側方散乱光および側方蛍光を検出する粒子(血球)の測定方法である。
【0026】
測定部2は、図2に示すように、測定試料調製部21と、測定試料の測定を行う検出部22と、検出部22の出力に対するアナログ処理部23と、表示・操作部24と、測定部2を制御するためのマイクロコンピュータ部25とを備えている。
【0027】
測定試料調製部21は、白血球測定用試料と、網状赤血球測定用試料と、血小板測定用試料等を調製するために設けられている。測定試料調製部21は、図3に示すように、血液が吸引されるサンプリングバルブ21bと、反応チャンバ21cとを含んでいる。採血管21aは、分析対象の血液を収容している。
【0028】
サンプリングバルブ21bは、吸引ピペット(図示せず)により吸引された採血管21aの血液を所定の量だけ定量する機能を有する。また、サンプリングバルブ21bは、吸引された血液に所定の試薬を混合することが可能に構成されている。つまり、サンプリングバルブ21bは、所定量の血液に試薬調製装置4から供給される所定量の試薬が混合された希釈試料を生成可能に構成されている。
【0029】
反応チャンバ21cは、サンプリングバルブ21bから供給される希釈試料に所定の染色液をさらに混合して所定の時間反応させるように構成されている。これにより、測定試料調製部21は、白血球が染色されるとともに赤血球が溶血された、白血球測定用試料を調製する機能を有する。また、測定試料調製部21は、網状赤血球が染色された網状赤血球測定用試料を調製するとともに、血小板が染色された血小板測定用試料を調製する機能を有する。
【0030】
また、測定試料調製部21は、白血球分類測定(以下、「DIFF測定」という)モード時に、白血球測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21から後述するシースフローセル22c(図4参照)に供給するように構成されている。また、測定試料調製部21は、網状赤血球測定(以下、「RET測定」という)モード時に、網状赤血球測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21からシースフローセル22cに供給するように構成されている。また、測定試料調製部21は、血小板測定(以下、「PLT測定」という)モード時に、血小板測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21からシースフローセル22cに供給するように構成されている。
【0031】
検出部22は、図4に示すように、レーザ光を出射する発光部22aと、照射レンズユニット22bと、レーザ光が照射されるシースフローセル22cと、発光部22aから出射されるレーザ光が進む方向の延長線上に配置されている集光レンズ22d、ピンホール22eおよびPD(フォトダイオード)22fと、発光部22aから出射されるレーザ光が進む方向と交差する方向に配置されている集光レンズ22g、ダイクロイックミラー22h、光学フィルタ22i、ピンホール22jおよびAPD(アバランシェフォトダイオード)22kと、ダイクロイックミラー22hの側方に配置されているPD22lとを含んでいる。
【0032】
発光部22aは、シースフローセル22cの内部を通過する測定試料を含む試料流に対して光を出射するために設けられている。また、照射レンズユニット22bは、発光部22aから出射された光を平行光にするために設けられている。また、PD22fは、シースフローセル22cから出射された前方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された前方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の大きさに関する情報を得ることが可能である。
【0033】
ダイクロイックミラー22hは、シースフローセル22cから出射された側方散乱光および側方蛍光を分離するために設けられている。具体的には、ダイクロイックミラー22hは、シースフローセル22cから出射された側方散乱光をPD22lに入射させるとともに、シースフローセル22cから出射された側方蛍光をAPD22kに入射させるために設けられている。また、PD22lは、側方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された側方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の核の大きさなどの内部情報を得ることが可能である。また、APD22kは、側方蛍光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された側方蛍光により、測定試料中の粒子(血球)の染色度合いに関する情報を得ることが可能である。また、PD22f、22lおよびAPD22kは、それぞれ、受光した光信号を電気信号に変換する機能を有する。
【0034】
アナログ処理部23は、図4に示すように、アンプ23a、23bおよび23cを含んでいる。また、アンプ23a、23bおよび23cは、それぞれ、PD22f、22lおよびAPD22kから出力された電気信号を増幅および波形処理するために設けられている。
【0035】
マイクロコンピュータ部25は、図2に示すように、制御用プロセッサおよび制御用プロセッサを動作させるためのメモリを有する制御部251と、アナログ処理部23から出力された信号をデジタル信号に変換するA/D変換部252と、A/D変換部252から出力されたデジタル信号に所定の処理を行うための演算部253とを含んでいる。
【0036】
制御部251は、バス254aおよびインターフェース255aを介して測定試料調製部21および検出部22を制御する機能を有する。また、制御部251は、バス254aおよびインターフェース255bを介して表示・操作部24と接続されるとともに、バス254bおよびインターフェース255cを介してデータ処理部3と接続されている。また、演算部253は、インターフェース255dおよびバス254aを介して制御部251に演算結果を出力する機能を有する。また、制御部251は、演算結果(測定データ)をデータ処理部3に送信する機能を有する。
【0037】
データ処理部3は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、測定部2の測定データを分析するとともに、その分析結果を表示する機能を有する。また、データ処理部3は、図5に示すように、制御部31と、表示部32と、入力デバイス33とを含んでいる。
【0038】
制御部31は、測定モード情報を含む測定開始信号およびシャットダウン信号を測定部2に送信する機能を有する。また、制御部31は、図5に示すように、CPU31aと、ROM31bと、RAM31cと、ハードディスク31dと、読出装置31eと、入出力インターフェース31fと、画像出力インターフェース31gと、通信インターフェース31iとから構成されている。CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インターフェース31f、画像出力インターフェース31gおよび通信インターフェース31iは、バス31hによって接続されている。
【0039】
CPU31aは、ROM31bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM31cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。ROM31bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU31aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0040】
RAM31cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM31cは、ROM31bおよびハードディスク31dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU31aの作業領域として利用される。
【0041】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。後述するアプリケーションプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0042】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体34には、コンピュータに所定の機能を実現させるためのアプリケーションプログラム34aが格納されている。そして、データ処理部3としてのコンピュータは、その可搬型記録媒体34からアプリケーションプログラム34aを読み出し、そのアプリケーションプログラム34aをハードディスク31dにインストールするように構成されている。アプリケーションプログラム34aとしては、測定部で測定された検体を解析し、解析結果を検体の分析結果として出力する解析プログラムが挙げられる。また、アプリケーションプログラム34aとしては、時計としての機能を有するソフトウェアも挙げられ、解析プログラムは、分析結果に検体の測定時刻を対応付けて出力する。
【0043】
なお、上記アプリケーションプログラム34aは、可搬型記録媒体34によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってデータ処理部3と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム34aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにデータ処理部3がアクセスして、そのアプリケーションプログラム34aをダウンロードし、これをハードディスク31dにインストールすることも可能である。
【0044】
また、ハードディスク31dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインターフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、第1実施形態のアプリケーションプログラム34aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0045】
入出力インターフェース31fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェースなどから構成されている。入出力インターフェース31fには、キーボードおよびマウスからなる入力デバイス33が接続されており、ユーザがその入力デバイス33を使用することにより、データ処理部3にデータを入力することが可能である。また、ユーザは、入力デバイス33を用いて、測定モードの選択、測定部2の起動およびシャットダウンを行うことが可能である。
【0046】
画像出力インターフェース31gは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部32に接続されており、CPU31aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部32に出力するようになっている。表示部32は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0047】
試薬調製装置4は、測定部2の測定試料調製部21で用いられる試薬を調製するために設けられている。具体的には、試薬調製装置4は、外部に設けられたRO水作製部7により作製されたRO水を用いて高濃度試薬を所望の濃度に希釈することによって、血液分析に用いられる試薬を調製するように構成されている。ここで、RO水とは、純水の一種であり、RO(Reverse Osmosis)膜(逆浸透膜)を透過することによって、不純物を取り除かれた水である。また、純水とは、RO水の他に、精製水、脱イオン水、および蒸留水などを含み、不純物を取り除く処理が実施された水であるが、その純度は特に限定されない。また、高濃度試薬は、試薬原液であり、測定部2に供給される試薬よりも含有成分の濃度が高い。
【0048】
試薬調製装置4は、図6に示すように、高濃度試薬チャンバ41と、RO水チャンバ42と、2つの希釈チャンバ43および44と、2つのダイアフラムポンプ45aおよび45bと、攪拌チャンバ46と、供給チャンバ47と、表示部48と、試薬調製装置4の各部の動作を制御する制御部49と、バーコードリーダ50(図1参照)とを含んでいる。さらに、試薬調製装置4は、筐体外に設置された空圧部6(図1参照)を含み、空圧部6から供給される陰圧および陽圧を用いて、装置内における各液体の移送を行うように構成されている。空圧部6は、試薬調製装置4に対して陰圧を供給するための陰圧源61、および、陽圧を供給するための陽圧源62を有している。
【0049】
高濃度試薬チャンバ41は、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬が供給されるように構成されている。高濃度試薬チャンバ41には、チャンバ内に所定量の高濃度試薬が収容されていることを検知するためのフロートスイッチ100が設けられている。フロートスイッチ100は、高濃度試薬チャンバ41内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ100のフロート部が下限に到達すると、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬チャンバ41に高濃度試薬が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ100のフロート部が上限に到達すると、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬チャンバ41への高濃度試薬の供給が停止されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ100は、高濃度試薬チャンバ41の上端部近傍に配置されており、高濃度試薬チャンバ41に約300mLの高濃度試薬が貯留されたときに、フロート部が上限に到達するように構成されている。これにより、高濃度試薬チャンバ41には、常時、約300mL貯留されるように高濃度試薬が供給される。
【0050】
また、高濃度試薬チャンバ41は、電磁バルブ200を介して高濃度試薬タンク5に接続され、電磁バルブ201を介して空圧部6の陰圧源61に接続されている。また、高濃度試薬チャンバ41は、電磁バルブ202の開閉により、大気に開放され、または、閉塞されるように構成されている。また、高濃度試薬チャンバ41は、流路300により、ダイアフラムポンプ45a(45b)から希釈チャンバ43(44)に液体を移送するための流路301に接続されている。また、流路300上には、電磁バルブ203が設けられており、電磁バルブ203は、流路301の近傍に配置されている。具体的には、電磁バルブ203と流路301との間の流路300aの長さは、約15mmの小さい長さに設定されている。また、高濃度試薬チャンバ41に接続される流路300(300a)は、約1.8mmの内径を有しており、流路301は、約4.0mmの内径を有している。
【0051】
また、高濃度試薬チャンバ41は、チャンバ内の高濃度試薬を廃棄可能に構成されている。具体的には、高濃度試薬チャンバ41は、電磁バルブ222を介して廃棄流路に接続されており、電磁バルブ202および222を開放することによって、内部の高濃度試薬が廃棄流路に排出されるように構成されている。また、高濃度試薬の廃棄流路は、流路300から分岐されている。
【0052】
RO水チャンバ42は、高濃度試薬を希釈するためのRO水がRO水作製部7から供給されるように構成されている。RO水チャンバ42には、チャンバ内に収容されるRO水が上限量に達したこと、および、下限量に達したことをそれぞれ検知するためのフロートスイッチ101および102が設けられている。フロートスイッチ101(102)は、RO水チャンバ42内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ101のフロート部がRO水チャンバ42の上限量に対応する位置に到達すると、RO水作製部7からRO水チャンバ42へのRO水の供給が停止されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ102のフロート部がRO水チャンバ42の下限量に対応する位置に到達すると、RO水作製部7からRO水チャンバ42にRO水が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。
【0053】
また、フロートスイッチ101は、RO水チャンバ42の上端部近傍に配置されており、RO水チャンバ42に約600mLのRO水が貯留されたときに、フロート部がRO水チャンバ42の上限量に対応する位置に到達するように構成されている。また、フロートスイッチ102は、RO水チャンバ42に貯留されているRO水が約300mLまで減少したときに、フロート部がRO水チャンバ42の下限量に対応する位置に到達するように構成されている。これにより、試薬調製装置4が動作している間、RO水チャンバ42には、約300mL以上約600mL以下のRO水が貯留されることとなる。
【0054】
また、RO水チャンバ42は、チャンバ内のRO水を廃棄可能に構成されている。具体的には、RO水チャンバ42は、電磁バルブ204を介して陽圧源62に接続されているとともに、電磁バルブ205を介して廃棄流路に接続されており、電磁バルブ204および205の両方を開放することによって、陽圧力で内部のRO水が廃棄流路に押し出されるように構成されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ206の開閉により、大気に開放され、または、閉塞されるように構成されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ207を介してRO水作製部7の後述するRO水貯留タンク7aに接続されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ208を介して、流路302によりダイアフラムポンプ45aおよび45bに接続されている。
【0055】
希釈チャンバ43および44は、それぞれ、RO水により高濃度試薬を希釈するために設けられている。また、希釈チャンバ43(44)は、後述するように、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによって送り込まれる約300mLの液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)を収容可能に構成されている。希釈チャンバ43(44)には、チャンバ内に収容された液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)の残量が所定量に到達したことを検知するためのフロートスイッチ103(104)が設けられている。フロートスイッチ103(104)は、希釈チャンバ43(44)内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。希釈チャンバ43(44)は、常時大気開放された状態となるように構成されている。また、希釈チャンバ43(44)は、電磁バルブ209(210)を介して、流路303(304)により流路301に接続されている。流路303(304)は、流路301と同様に、約4mmの内径を有している。なお、電磁バルブ210を閉じた状態で、電磁バルブ209を開放することによって、流路301を介して移送される液体(RO水および高濃度試薬)を希釈チャンバ43に移送することが可能である。一方、電磁バルブ209を閉じた状態で、電磁バルブ210を開放すれば、流路301を介して移送される液体(RO水および高濃度試薬)を希釈チャンバ44に移送することが可能である。すなわち、電磁バルブ209および210は、それぞれ、流路303および304の流路切替部として機能するように構成されている。
【0056】
また、希釈チャンバ43(44)は、電磁バルブ211(212)を介して、攪拌チャンバ46に接続されている。また、希釈チャンバ43(44)と電磁バルブ211(212)との間には、気泡センサ400(401)が設けられている。気泡センサ400(401)は、透過型センサであり、流路を通る気泡を検知するように構成されている。これにより、フロートスイッチ103(104)のフロート部が下限に到達し、かつ、気泡センサ400(401)で気泡が検知されることによって、制御部49により、希釈チャンバ43(44)内の液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)が全て排出されたことを確認することが可能となる。そして、希釈チャンバ43(44)が空になる(チャンバ内の液体が全て排出される)と、空になった希釈チャンバ43(44)に高濃度試薬およびRO水が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。
【0057】
ダイアフラムポンプ45aおよび45bは、互いに同様の構成を有しており、同時に同じ動作を行うように構成されている。ダイアフラムポンプ45a(45b)は、1回の定量動作で液体(高濃度試薬またはRO水)を約6mL(2つのポンプで合計約12mL)(一定量)分定量する機能を有している。また、ダイアフラムポンプ45a(45b)は、電磁バルブ213(215)を介して陰圧源61に接続されているとともに、電磁バルブ214(216)を介して陽圧源62に接続されている。また、高濃度試薬チャンバ41、RO水チャンバ42、ダイアフラムポンプ45aおよび45b、空圧部6、流路300〜304、電磁バルブ200〜210および213〜216により、試薬調製装置4の液体定量部51(図6参照)が構成されている。
【0058】
攪拌チャンバ46は、図6に示すように、約300mLの液体を収容可能に構成されており、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)を攪拌するために設けられている。具体的には、攪拌チャンバ46は、屈曲されたパイプ461を有し、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)がパイプ461を通過することによって、攪拌チャンバ46の内壁面に沿って攪拌チャンバ46内に流入されるように構成されている。これにより、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)が攪拌チャンバ46の内壁面に沿って流動されるので、対流が発生し、容易に、高濃度試薬とRO水とが攪拌される。なお、高濃度試薬とRO水とは、希釈チャンバ43(44)内、および、希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46への流路内においても、ある程度攪拌されているが、攪拌チャンバ46を上記のように構成することによって、より確実に攪拌することが可能である。
【0059】
攪拌チャンバ46には、チャンバ内に収容された液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)の残量が所定量に到達したことを検知するためのフロートスイッチ105が設けられている。フロートスイッチ105は、攪拌チャンバ46内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ105のフロート部が下限に到達してチャンバ内が空になると、希釈チャンバ43および44のいずれか一方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。そして、希釈チャンバ43および44の一方から供給されて攪拌された混合液が攪拌チャンバ46から排出されると、次は、希釈チャンバ43および44の他方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が供給される。また、攪拌チャンバ46は、電磁バルブ217を介して陰圧源61に接続されているとともに、電磁バルブ218を介して陽圧源62に接続されている。
【0060】
供給チャンバ47は、測定部2に供給するための所定量の試薬を貯留しておくために設けられている。供給チャンバ47は、約600mLの収容量を有している。供給チャンバ47には、チャンバ内に収容される試薬の残量が約300mLに到達したことを検知するためのフロートスイッチ106が設けられている。また、供給チャンバ47には、供給チャンバ47内に収容される試薬の残量が略ゼロとなったことを検知するためのフロートスイッチ107が設けられている。フロートスイッチ106(107)は、供給チャンバ47内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ106のフロート部は、供給チャンバ47の高さ方向の上端部近傍から中間位置にかけて移動可能に構成されている。フロートスイッチ106のフロート部が供給チャンバ47の高さ方向の中間位置(フロートスイッチ106のフロート部の移動可能範囲における下限位置)まで到達すると、攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に約300mLの所望濃度の試薬が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。これにより、供給チャンバ47には、常時、約300mL以上約600mL以下の所望濃度の試薬が貯留されることとなる。このように供給チャンバ47に所定量の試薬を貯留しておくことによって、供給指示に応じて測定部2に迅速に試薬を移送することが可能である。
【0061】
また、フロートスイッチ107のフロート部は、供給チャンバ47の底部近傍で移動可能に構成されている。フロートスイッチ107により、チャンバ内に収容される試薬の残量が略ゼロとなったことを検知した場合には、測定部2への試薬の供給は停止される。これにより、何らかの理由で試薬が供給チャンバ47に移送されなかったとしても、極力測定部2への試薬の供給を継続させながら、測定部2に供給する試薬に気泡が混入することを防止することが可能である。
【0062】
また、供給チャンバ47は、電磁バルブ219を介して攪拌チャンバ46に接続されている。また、供給チャンバ47は、電磁バルブ220を開放することにより、メンテナンス時などにチャンバ内の試薬を廃棄可能に構成されている。また、供給チャンバ47は、常時大気開放された状態となるように構成されている。また、供給チャンバ47は、フィルタ471を介して測定部2に接続されている。フィルタ471は、測定部2に供給される試薬に不純物が混入するのを防止するために設けられている。
【0063】
攪拌チャンバ46と供給チャンバ47との間には、試薬の電気伝導度を測定するための導電率センサ402が設けられている。導電率センサ402は、導電率センサ402が配置された位置における試薬の温度を測定するための温度センサ403を含んでいる。また、導電率センサ402と電磁バルブ219との間には、電磁バルブ221を介して廃棄流路が接続されている。
【0064】
表示部48は、図1に示すように、試薬調製装置4の外表面に設けられている。また、表示部48は、タッチパネル式の液晶ディスプレイにより構成されている。
【0065】
図7に示すように、制御部49は、CPU49aと、ROM49bと、RAM49cと、データ処理部3に接続される通信インターフェース49dと、試薬調製装置4の各部に接続されるI/O(Input/Output)部49eと、記憶部49fとを含んでいる。
【0066】
CPU49aは、ROM49bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM49cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。また、CPU49aは、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、RAM49cを作業領域として利用するように構成されている。なお、これらのコンピュータプログラムの一つとして、時計としての機能を有するソフトウェアが挙げられる。なお、試薬調製装置4のソフトウェアによる現在時刻と、データ処理装置3のソフトウェアによる現在時刻とは一致させておくことが好ましい。
【0067】
次に、試薬の電気伝導度の目標値を求める一般式を以下の式(1)に示す。
【0068】
={X+(A−1)Y}/A・・・・・(1)
上記式(1)において、Zは、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の25℃における電気伝導度の目標値(ms/cm)、Xは、高濃度試薬の25℃における電気伝導度(ms/cm)、Yは、RO水の25℃における電気伝導度(ms/cm)、Aは、希釈倍率(既知)(第1実施形態では25倍)をそれぞれ表す。なお、Xは、高濃度試薬固有の値であり、予め実験などにより得られた既知の値である。
【0069】
また、温度センサ405により得られるRO水の温度、および、温度センサ403により得られる試薬の温度を考慮するための補正式を以下の式(2)に示す。
【0070】
Z=[{X+(A−1)Y}/A]×{1+α1(T2−25)}
=[[X+(A−1)Y1/{1+α0(T1−25)}]/A]×{1+α1(T2−25)}・・・・・(2)
上記式(2)において、Zは、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬のT2℃における電気伝導度の目標値(ms/cm)、Y1は、RO水のT1℃における電気伝導度(ms/cm)、T1は、RO水の温度(℃)、T2は、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の温度(℃)、α0は、RO水の電気伝導度の25℃に対する温度係数、α1は、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の電気伝導度の25℃に対する温度係数をそれぞれ表す。なお、温度係数α0およびα1は、液体の種類や濃度によって異なるが、JIS(日本工業規格)では、簡易的に0.02が用いられる。
【0071】
また、CPU49aは、上記した式(2)により目標値Zを算出するように構成されている。したがって、CPU49aは、所望する希釈倍率A(既知)、RO水の電気伝導度の検出値Y1、RO水の温度の測定値T1、混合攪拌された試薬の温度の測定値T2および高濃度試薬の電気伝導度X(既知)に基づいて、目標値を決定する。
【0072】
ここで、第1実施形態では、CPU49aは、記憶部49fに高濃度試薬のロット番号、開封前有効期限、使用開始日、開封後有効期限などの高濃度試薬情報を記憶させるように構成されている。具体的には、後述するように、記憶部49fには試薬管理リスト491が格納されており、CPU49aは、バーコードリーダ50による読み取り情報に基づいて、高濃度試薬情報を試薬管理リスト491に記録する。
【0073】
また、CPU49aは、高濃度試薬情報を取得後、高濃度試薬チャンバ41の収容上限量である約300mLの高濃度試薬が高濃度試薬チャンバ41からダイアフラムポンプ45a(45b)で吸引されたときに、記憶部49fに格納されている後述の試薬チャンバ情報テーブル492を更新するように構成されている。また、CPU49aは、高濃度試薬およびRO水の約300mLの混合液が希釈チャンバ43および44に移送されたときに、それぞれ、記憶部49fの後述する希釈チャンバ情報テーブルA493および希釈チャンバ情報テーブルB494を更新するように構成されている。さらに、CPU49aは、高濃度試薬およびRO水の約300mLの混合液が希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46に移送されたときに、記憶部49fの後述する攪拌チャンバ情報テーブル495を更新し、約300mLの混合液(調製された試薬)が攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に移送されたときに、記憶部49fの後述する供給チャンバ情報テーブル496を更新するように構成されている。
【0074】
また、CPU49aは、タッチパネル式の表示部48を介して、ユーザから試薬調製装置4の起動指示およびシャットダウン指示を受け付けるように構成されている。
【0075】
通信インターフェース49dは、ユーザが試薬調製装置4内で発生したエラーを確認することができるように、エラー情報をデータ処理部3に伝達可能に構成されている。エラー情報としては、高濃度試薬タンク5の交換を促すための情報、RO水が供給されなくなったことを知らせる情報、陰圧源61および陽圧源62の異常を知らせる情報などがある。
【0076】
I/O部49eは、図7に示すように、各センサ回路を介して、フロートスイッチ100〜107、気泡センサ400、401、導電率センサ402および温度センサ403から信号が入力されるように構成されている。また、I/O部49eは、各駆動回路を介して、電磁バルブ200〜222および空圧部6の駆動を制御するために、各駆動回路に信号を出力するように構成されている。また、I/O部49eは、タッチパネル式の表示部48からユーザの指示に応じた信号が入力されるとともに、表示部48に画像データなどの映像信号を出力するように構成されている。また、I/O部49eは、バーコードリーダ50により読み取られた高濃度試薬に関する情報が入力されるように構成されている。
【0077】
記憶部49fは、不揮発性メモリからなり、試薬管理リスト491、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬に関する情報を含む試薬チャンバ情報テーブル492、希釈チャンバ43内の高濃度試薬に関する情報を含む希釈チャンバ情報テーブルA493、希釈チャンバ44内の高濃度試薬に関する情報を含む希釈チャンバ情報テーブルB494、攪拌チャンバ46内の高濃度試薬に関する情報を含む攪拌チャンバ情報テーブル495、および、供給チャンバ47内の高濃度試薬に関する情報を含む供給チャンバ情報テーブル496を格納している。
【0078】
試薬管理リスト491は、CPU49aにより書き換え可能に構成されており、最大100件の高濃度試薬情報を記録可能である。高濃度試薬情報が100件を超えると、古いものから順次上書きされる。また、試薬チャンバ情報テーブル492、希釈チャンバ情報テーブルA493、希釈チャンバ情報テーブルB494、攪拌チャンバ情報テーブル495および供給チャンバ情報テーブル496は、それぞれ、CPU49aにより書き換え可能に構成されており、後述するように、各々所定のタイミングで新たな情報に更新されるように構成されている。また、試薬チャンバ情報テーブル492、希釈チャンバ情報テーブルA493、希釈チャンバ情報テーブルB494および攪拌チャンバ情報テーブル495には、それぞれ、各チャンバ内に収容されている高濃度試薬の開封前有効期限情報と、高濃度試薬の開封後有効期限情報とが含まれている。
【0079】
供給チャンバ情報テーブル496には、チャンバ内に収容されている高濃度試薬の開封前有効期限情報および高濃度試薬の開封後有効期限情報に加えて、供給チャンバ47への流入時刻情報が含まれている。第1実施形態では、供給チャンバ47への流入時刻は、調製された試薬が攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に移送される際に導電率センサ402を通過した時刻である。また、供給チャンバ47には、後述するように、異なる時刻に調製された試薬が同時に収容されるので、異なる高濃度試薬(異なる高濃度試薬情報を有する高濃度試薬)が混在する。具体的には、供給チャンバ47には、供給チャンバ47内の試薬の残量が約300mLになると新たな試薬が供給されるため、新たに供給チャンバ47に移送された試薬は、供給チャンバ47内に残留している試薬と混合される。
【0080】
そして、試薬Aが供給チャンバ47に移送された後、供給チャンバ47内の約300mLの試薬が供給チャンバ47から測定部2に移送されても、この試薬Aの一部は、次に新たに供給チャンバ47に移送される試薬Bとともに供給チャンバ47に残留する。さらに供給チャンバ47内の約300mL(試薬Aが供給チャンバ47に移送された後、合計約600mL)の試薬が供給チャンバ47から測定部2に移送されても、この試薬Aの一部は、試薬Bと新たな試薬Cともに供給チャンバ47に残留すると考えられる。そして、さらに供給チャンバ47内の約300mL(試薬Aが供給チャンバ47に移送された後、合計約900mL)の試薬が供給チャンバ47から測定部2に移送されるころには、試薬Aは、略全て供給チャンバ47内から測定部2に移送されていると考えられる。すなわち、試薬Aから数えて4件目の試薬Dが供給チャンバ47に移送される際には、試薬Aは供給チャンバ47に略残留していないと考えられる。このため、第1実施形態では、供給チャンバ情報テーブル496は、最新の3件分(直近に供給チャンバ47に移送された試薬3件分)の開封前有効期限情報、開封後有効期限情報および流入時刻情報を記録可能に構成している。これにより、供給チャンバ47内に収容されている可能性がある異なる高濃度試薬の情報を、供給チャンバ情報テーブル496に記憶しておくことが可能となる。
【0081】
バーコードリーダ50は、図1に示すように、ハンディタイプであり、高濃度試薬タンク5に貼付されたラベル50aのバーコード50b(図8参照)を読み取り可能に構成されている。バーコード50bには、高濃度試薬のロット番号および開封前有効期限などの各高濃度試薬に固有の情報が含まれている。
【0082】
RO水作製部7は、高濃度試薬を希釈するための希釈用液体としてのRO水を、水道水を用いて作製することが可能なように構成されている。また、RO水作製部7は、RO水貯留タンク7aと、RO膜7bと、水道水に含まれる不純物を取り除くことによって、RO膜7bを保護するためのフィルタ7cとを含んでいる。さらに、RO水作製部7は、水分子がRO膜7bを透過するようにフィルタ7cを通過した水に高圧をかける高圧ポンプ7dと、水道水の供給を制御する電磁バルブ223とを含んでいる。
【0083】
RO水貯留タンク7aは、RO膜7bを透過したRO水を貯留するために設けられている。RO水貯留タンク7aには、所定量のRO水が貯留されていることを検知するためのフロートスイッチ108が設けられている。さらに、RO水貯留タンク7aには、RO水貯留タンク7a内のRO水の電気伝導度を測定するための導電率センサ404が設けられている。導電率センサ404は、RO水の温度を測定するための温度センサ405を含んでいる。
【0084】
また、RO水作製部7は、電磁バルブ222を開放することによって、水道水をフィルタ7cに到達させることが可能に構成されている。また、RO水作製部7は、高圧ポンプ7dを駆動することによって、フィルタ7cを通過した水を高圧でRO膜7bを透過させることが可能である。そして、RO水作製部7は、フロートスイッチ108の検知結果に基づいて、所定量のRO水をRO水貯留タンク7aに収容するように構成されている。なお、RO水作製部7によりRO水がRO水貯留タンク7aに供給される速度、すなわち、RO水作製部7によるRO水の作製速度は、約20L/時間以上約50L/時間以下である。
【0085】
次に、図8〜図11を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の高濃度試薬情報取得処理動作について説明する。
【0086】
まず、図9のステップS1において、CPU49aにより、バーコードリーダ50が高濃度試薬タンク5に貼付されたラベル50aのバーコード50b(図8参照)を読み取ったか否かが判断される。具体的には、ユーザが表示部48に表示されるメニュー画面481(図10参照)の試薬交換ボタン481cを押下すると、図11に示すように、試薬交換画面482が表示される。その後、ユーザがハンディタイプのバーコードリーダ50を新規の高濃度試薬タンク5のバーコード50b(図8参照)上に配置させることによって、バーコードリーダ50によりバーコード50bが読み取られる。
【0087】
メニュー画面481には、図10に示すように、高濃度試薬の残量を示す模式図481a、セレクトボタン481b、試薬交換ボタン481c、排液交換ボタン481dおよびシャットダウンボタン481eが表示される。セレクトボタン481bは、後述するように、ユーザが各種設定および各種事項の確認を行う際に押下される。また、排液交換ボタン481dは、試薬調製装置4から廃棄された排液を収容する排液タンク(図示せず)を交換する際に押下される。また、シャットダウンボタン481eは、試薬調製装置4をシャットダウンする際に押下される。また、試薬交換画面482には、高濃度試薬の吸引を中止する旨、および、高濃度試薬を交換することを促す旨の内容が表示される。さらに、試薬交換画面482には、OKボタン482aおよびキャンセルボタン482bが表示される。OKボタン482aは、高濃度試薬タンク5の交換が完了した後に押下される。キャンセルボタン482bは、高濃度試薬タンク5の交換を中止する際に押下される。
【0088】
ステップS1では、バーコードリーダ50によりバーコード50bが読み取られるまでこの判断が繰り返される。そして、バーコード50bが読み取られると、ステップS2において、CPU49aにより、バーコード50bに基づいて高濃度試薬のロット番号および開封前有効期限が記憶部49fに記憶される。具体的には、新規の高濃度試薬のロット番号および開封前有効期限が記憶部49fの試薬管理リスト491に記録される。
【0089】
その後、ステップS3において、CPU49aは、バーコード50bを読み取った日を高濃度試薬の使用開始日として記憶部49fに記憶させる。すなわち、高濃度試薬の使用開始日が記憶部49fの試薬管理リスト491に記録される。そして、ステップS4において、CPU49aは、高濃度試薬の開封後有効期限を記憶部49fに記憶させる。具体的には、CPU49aは、高濃度試薬の使用開始日(バーコード50bを読み取った日)から30日の期間を開封後有効期限として記憶部49fに記憶させる。すなわち、高濃度試薬の開封後有効期限が記憶部49fの試薬管理リスト491に記録される。なお、ステップS1からステップS4までの処理は、試薬調製装置4が起動されてからシャットダウンされるまで繰り返し実行される。
【0090】
次に、図6、図12および図13を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の試薬調製処理動作について説明する。
【0091】
まず、図12のステップS11において、CPU49aにより、ROM49bに記憶されているコンピュータプログラムの初期化が行われる。次に、ステップS12において、CPU49aにより、前回の動作終了時において試薬調製装置4が正常にシャットダウンされたか否かが判断される。具体的には、後述するように、正常にシャットダウンされた場合にONに設定されるフラグに基づいて判断される。正常にシャットダウンされていた場合には、ステップS16に進み、正常にシャットダウンされていない場合には、ステップS13に進む。
【0092】
ステップS13では、高濃度試薬チャンバ41および供給チャンバ47以外のチャンバ42、43、44および46内の液体を全て廃棄する。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ206、207および208を閉じた状態で、電磁バルブ204および205を開放させて、RO水チャンバ42内のRO水を廃棄する。なお、RO水チャンバ42から廃棄されたRO水を再びRO水作製部7に移送して、廃棄されたRO水から新たなRO水を作製してもよい。また、CPU49aにより、電磁バルブ211、212、217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させて、陽圧力で攪拌チャンバ46内の混合液を廃棄流路に押し出す。さらに、CPU49aにより、電磁バルブ212、218、219および221を閉じた状態で、電磁バルブ211および217を開放させて、陰圧力で希釈チャンバ43内の混合液を攪拌チャンバ46に移送し、その後、上記の動作により攪拌チャンバ46から混合液を廃棄する。また、希釈チャンバ44の混合液についても、CPU49aにより、電磁バルブ211、218、219および221を閉じた状態で、電磁バルブ212および217を開放させることによって、陰圧力で攪拌チャンバ46に移送する。
【0093】
このように、ステップS13において、高濃度試薬チャンバ41および供給チャンバ47以外のチャンバ42、43、44および46内の液体を全て廃棄することによって、長時間滞留された可能性のあるRO水を試薬調製に使用してしまうこと、および、希釈倍率が不明な試薬を生成してしまうことを防止することが可能である。
【0094】
その後、ステップS14において、流路、RO水チャンバ42、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46の洗浄を行う。具体的には、RO水作製部7で新たに作製されたRO水がRO水チャンバ42に供給された後、CPU49aにより、電磁バルブ206、208および213(215)を開放させることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)に陰圧力で約12mL(各ダイアフラムポンプにそれぞれ約6mL)のRO水が流入される。次に、電磁バルブ208および213(215)を閉じた状態で、電磁バルブ214(216)および209を開放させることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)内の約12mL(各ダイアフラムポンプそれぞれに約6mL)のRO水を陽圧力で希釈チャンバ43に移送する。そして、上記の動作を25回繰り返すことによって、希釈チャンバ43に新たに作製された約300mLのRO水が供給される。
【0095】
その後、CPU49aにより、電磁バルブ211および217を開放させることによって、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46に約300mLのRO水を移送する。そして、CPU49aにより、電磁バルブ217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させることによって、攪拌チャンバ46内のRO水を廃棄する。
【0096】
また、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46にRO水が移送されている間に、希釈チャンバ44には、希釈チャンバ43に移送するのと同様の動作によって、新たに作製された約300mLのRO水が供給される。希釈チャンバ44から攪拌チャンバ46へのRO水の移送も、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46への移送と同様の動作によって行われる。このように、上記の一連の動作によって、流路、RO水チャンバ42、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46それぞれの内部が新たに作製されたRO水により洗浄される。なお、上記ステップS13の前に、RO水チャンバ42には既に所定量のRO水が貯留されている。
【0097】
次に、ステップS15において、所望濃度の試薬を生成する動作と同様の動作によって、攪拌チャンバ46に試薬を調製し、調製した試薬を全て廃棄する。具体的には、後述するステップS20およびS21の動作によって所望濃度の試薬を攪拌チャンバ46に供給した後、CPU49aにより、電磁バルブ217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させることによって攪拌チャンバ46内の試薬を廃棄する。これにより、たとえ流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に所望濃度を超える濃度の試薬が残留していたとしても、上記したRO水による洗浄に加えて、所望濃度の試薬によっても洗浄されるので、試薬が所望濃度以外の濃度に調製されてしまうのを抑制することが可能となる。
【0098】
次に、ステップS16において、RO水チャンバ42にRO水を供給する。そして、ステップS17において、CPU49aにより、フロートスイッチ100の検知結果に基づいて、高濃度試薬チャンバ41に所定量の高濃度試薬が収容されているか否かが判断される。所定量の高濃度試薬が貯留されていない場合には、ステップS18において、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬チャンバ41に高濃度試薬が補充される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ202および203を閉じた状態で、電磁バルブ200および201を開放させることによって、高濃度試薬を陰圧力で高濃度試薬チャンバ41に供給する。
【0099】
所定量の高濃度試薬が高濃度試薬チャンバ41に収容されている場合には、ステップS19において、CPU49aにより、供給チャンバ47に所定量の試薬が貯留されているか否かが判断される。すなわち、供給チャンバ47に約300mL以上約600mL以下の試薬が貯留されているか否かが判断される。所定量の試薬が貯留されている場合には、ステップS26に移行される。一方、所定量の試薬が貯留されていない場合には、ステップS20において、電磁バルブ218および219が開放されて、試薬が攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に移送される。この際、ステップS21において、導電率センサ402により、電気伝導度Cが測定されるとともに、温度センサ403により試薬の温度T2が測定される。
【0100】
そして、ステップS22において、CPU49aにより、電気伝導度Cが所定範囲内にあるか否かが判断される。具体的には、上記式(2)により算出される、希釈倍率25倍における電気伝導度の目標値Zに対して、測定された電気伝導度Cが所定範囲内にあるか否かが判断される。電気伝導度Cが所定範囲内にない場合には、ステップS23において、電磁バルブ219が閉じられるとともに、電磁バルブ221が開放されて、電気伝導度Cが所定範囲内にない試薬が廃棄流路を介して廃棄される。これにより、精度よく希釈された試薬のみを供給チャンバ47に貯留させることが可能となる。
【0101】
そして、ステップS24において、CPU49aにより、電磁バルブ211(212)および217が開放させて、陰圧力で希釈チャンバ43(44)内の試薬を攪拌チャンバ46に移送する。この際、移送される試薬は、攪拌チャンバ46内に設けられたパイプ461により、攪拌チャンバ46の内壁に沿うように流されることによって、攪拌チャンバ46内で攪拌される。その後、ステップS25において、高濃度試薬およびRO水の供給処理動作が実行される。
【0102】
次に、図6および図14を参照して、図13に示した試薬調製処理動作のステップS25における高濃度試薬およびRO水の供給処理動作について説明する。
【0103】
まず、試薬調製装置4の初期状態(試薬調製処理の直前の状態)として、図6に示す流路301〜304は、実質的にRO水により満たされているとともに、流路300は、実質的に高濃度試薬により満たされている。
【0104】
図14のステップS251において、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、RO水チャンバ42から約12mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6mL)のRO水が吸引される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ213(215)および208が開放されることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)にRO水が流入される。次に、ステップS252において、電磁バルブ213(215)および208が閉じられた後、電磁バルブ214(216)および209が開放されることにより、ダイアフラムポンプ45a(45b)に陽圧が供給されてRO水が吐出される。これにより、流路301および303を介して、約12mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6mL)のRO水が希釈チャンバ43に供給される。
【0105】
その後、ステップS253において、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、高濃度試薬チャンバ41から約12mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6mL)の高濃度試薬が吸引される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ214(216)および209が閉じられた後、電磁バルブ202、203および213(215)が開放されることにより、陰圧が供給されてダイアフラムポンプ45a(45b)に高濃度試薬が吸引される。詳細には、高濃度試薬チャンバ41から流出された約12mLの高濃度試薬が流路301に残留しているRO水と混合されることにより、ダイアフラムポンプ45a(45b)にRO水と高濃度試薬との混合液が吸引される。また、このときの流路301には、RO水と高濃度試薬との混合液が充満されている。すなわち、この状態においては、ダイアフラムポンプ45a(45b)および流路301を合わせた領域に、高濃度試薬チャンバ41から流出された約12mLの高濃度試薬が存在している。なお、高濃度試薬は、流路300aにも存在するが、上述のように、流路300aに存在する高濃度試薬の量は極めて少量であるので、実質的に無視することができる。さらに、2回目の試薬調製処理動作以降の高濃度試薬の吸引時には、前回の試薬調製処理動作により流路300aに残留していた高濃度試薬が流路301側に押し出されるので、ダイアフラムポンプ45a(45b)および流路301を合わせた領域に、より正確に約12mLの高濃度試薬が存在することになる。
【0106】
次に、ステップS254において、電磁バルブ202、203および213(215)が閉じられた後、電磁バルブ214(216)および209が開放されることにより、陽圧が供給されてダイアフラムポンプ45a(45b)からRO水および高濃度試薬の混合液が吐出される。これにより、流路301および303を介して、RO水および高濃度試薬の混合液が希釈チャンバ43に供給される。この際、流路301および303には、数mLの高濃度試薬がRO水と混合された状態で残留している。
【0107】
そして、ステップS255において、CPU49aにより、n=1に設定される。ここで、nは、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによるRO水の吐出回数を表しており、1から始まる実数で定義される。次に、ステップS256において、上記ステップS251と同様に、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、RO水チャンバ42から約12mLのRO水が吸引される。そして、ステップS257において、上記ステップS252と同様に、ダイアフラムポンプ45aおよび45bからRO水が吐出される。これにより、流路301および303に残留していた高濃度試薬が、RO水とともに希釈チャンバ43に移送される。
【0108】
その後、ステップS258において、CPU49aにより、nが22よりも大きいか否かが判断される。nが22よりも大きくない場合には、ステップS259において、n=n+1に設定され、nが22よりも大きくなるまでステップS256〜ステップS259の動作が繰り返される。すなわち、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによる高濃度試薬の吸引および吐出動作1回に対して、RO水の吸引および吐出動作が24回行われるまでステップS256〜ステップS259の動作が繰り返される。そして、nが22よりも大きくなると、動作は終了される。これにより、希釈チャンバ43には、約12mL×24回=約288mLのRO水と、約12mL×1回=約12mLの高濃度試薬とで約288mL+約12mL=約300mLの混合液が供給される。また、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによる高濃度試薬の吸引および吐出動作の後、RO水の吸引および吐出動作を23回行うため、流路301および303に残留していた高濃度試薬は全て希釈チャンバ43に移送され、その結果、流路301および303には、RO水のみが存在する状態となる。
【0109】
なお、上記の動作において、電磁バルブ209に替えて、電磁バルブ210を駆動すれば、希釈チャンバ44に、約288mLのRO水と約12mLの高濃度試薬とからなる約300mLの混合液を移送することが可能である。
【0110】
図13のステップS25による高濃度試薬およびRO水の供給処理が行われた後、ステップS26において、CPU49aにより、データ処理部3を介して伝達される測定部2からの試薬供給指示があるか否かが判断され、指示がない場合には、ステップS28に進む。試薬供給指示がある場合には、ステップS27において、測定部2から供給される陰圧力により供給チャンバ47内の試薬がフィルタ471を介して測定部2に移送される。そして、ステップS28において、CPU49aにより、ユーザからのシャットダウン指示の有無が判断され、指示がない場合にはステップS16に移行される。上記ステップS19〜ステップS25の動作により、供給チャンバ47に移送される試薬は断続的に調製され、供給チャンバ47には異なる時刻に調製された試薬が同時に貯留される。
【0111】
シャットダウン指示がある場合には、ステップS29において、調製途中の試薬が最終的に供給チャンバ47に移送されるまで、上記の動作が継続される。具体的には、上記ステップS19〜ステップS25の動作により試薬調製が継続されているので、調製途中で動作を停止すると、所望濃度とは異なる濃度に希釈された試薬が流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に残留することとなる。このため、ステップS29において調製動作を継続させることによって、所望濃度とは異なる濃度に希釈された試薬が流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に残留することを防止することが可能である。
【0112】
そして、ステップS30において、シャットダウンを実行する。この際、RO水チャンバ42からRO水を排出する。これにより、試薬調製装置4が次回起動されるまでRO水がRO水チャンバ42に滞留してしまうのを防止することが可能である。その後、ステップS31において、シャットダウンが正常に行われたことを示すフラグをONに設定し、試薬調製処理動作を終了する。なお、図12および図13に示した試薬調製処理と、図15に示す後述する試薬チャンバ情報テーブル492の更新処理と、図16に示す後述する希釈チャンバ情報テーブルA493、希釈チャンバ情報テーブルB494、攪拌チャンバ情報テーブル495および供給チャンバ情報テーブル496の更新処理とは、CPU49aにより、試薬調製装置4が稼働している間、継続的に並行して実行されている。
【0113】
次に、図15を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の試薬チャンバ情報テーブルの更新処理動作について説明する。
【0114】
まず、ステップS41において、CPU49aにより、高濃度試薬情報が取得されたか否かが判断される。具体的には、CPU49aは、図9に示す試薬調製装置4の高濃度試薬情報取得処理動作により、開封前有効期限情報や開封後有効期限情報などを取得したか否かを判断する。CPU49aは、高濃度試薬情報を取得するまでこの判断を繰り返し、高濃度試薬情報を取得すると、ステップS42において、CPU49aは、高濃度試薬情報を取得した後、高濃度試薬チャンバ41の収容上限量である約300mLの高濃度試薬がダイアフラムポンプ45a(45b)により吸引されたか否かを判断する。具体的には、上記のように、ダイアフラムポンプ45a(45b)の1回の吸引動作により、約12mL(各々のポンプでそれぞれ約6mLずつ)の高濃度試薬が吸引される。したがって、ダイアフラムポンプ45a(45b)により高濃度試薬を吸引するために25回吸引動作を行うと、高濃度試薬チャンバ41から約300mL(約12mL×25回=約300mL)の高濃度試薬が吸引される。このため、CPU49aにより、高濃度試薬情報を取得した後、高濃度試薬チャンバ41から高濃度試薬を吸引するために、ダイアフラムポンプ45a(45b)により吸引動作が25回行われたか否かを判断することによって、高濃度試薬情報を取得した後、約300mLの高濃度試薬が高濃度試薬チャンバ41から吸引されたか否かを判断可能である。
【0115】
CPU49aは、高濃度試薬情報を取得した後、高濃度試薬チャンバ41から約300mLの高濃度試薬が吸引されるまでこの判断を繰り返し、約300mLの高濃度試薬が吸引されると、ステップS43に進む。そして、ステップS43において、CPU49aは、試薬チャンバ情報テーブル492を更新する。具体的には、CPU49aは、図9に示す高濃度試薬情報取得処理動作により取得されて記憶部49fの試薬管理リスト491に記録された開封前有効期限情報および開封後有効期限情報に基づいて、記憶部49fの試薬チャンバ情報テーブル492を更新する。より詳細には、CPU49aは、試薬チャンバ情報テーブル492の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報を、試薬管理リスト491に記録されている最新(直近)の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報と同じ内容の情報に書き換える。
【0116】
このように、高濃度試薬情報を取得した後、すなわち、高濃度試薬タンク5を交換した後、約300mLの高濃度試薬が高濃度試薬チャンバ41から吸引され、その後に試薬チャンバ情報テーブル492を更新することによって、交換前の古い高濃度試薬が高濃度試薬チャンバ41から略全て吸引された後に、試薬チャンバ情報テーブル492が更新されるので、高濃度試薬タンク5を交換後すぐに試薬チャンバ情報テーブル492を更新する場合に比べて、有効期限上より厳しい管理を行うことが可能である。
【0117】
次に、図16を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の希釈チャンバ情報テーブルA(B)、攪拌チャンバ情報テーブルおよび供給チャンバ情報テーブルの更新処理動作について説明する。
【0118】
この更新処理動作は、攪拌チャンバ46内の試薬が導電率センサ402を通過し、かつ、試薬の電気伝導度Cが所定範囲内である場合に開始される。そして、ステップS51において、CPU49aは、記憶部49fの供給チャンバ情報テーブル496を更新する。具体的には、CPU49aは、供給チャンバ情報テーブル496に記録されている最新の3件分(直近に供給チャンバ47に移送された試薬3件分)の情報のうちの最も古い情報に代えて、今回導電率センサ402を通過して供給チャンバ47に供給される試薬の情報を供給チャンバ情報テーブル496に記録する。この際新たに記録される開封前有効期限情報および開封後有効期限情報は、それぞれ、現時点における攪拌チャンバ情報テーブル495の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の内容と同じである。また、この際新たに記録される流入時刻情報は、今回供給チャンバ47に移送される試薬が導電率センサ402を通過した時刻である。
【0119】
その後、ステップS52において、CPU49aにより、攪拌チャンバ46への混合液の移送が完了したか否かが判断される。具体的には、攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に試薬が移送され、攪拌チャンバ46内のフロートスイッチ105のフロート部が下限に到達してチャンバ内が空になると、希釈チャンバ43および44のいずれか一方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が供給される。そして、CPU49aは、希釈チャンバ43および44のいずれか一方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が移送されたか否かを判断する。
【0120】
この判断は、攪拌チャンバ46への約300mLの混合液の移送が完了するまで繰り返され、移送が完了すると、ステップS53において、CPU49aは、攪拌チャンバ情報テーブル495を更新する。具体的には、CPU49aにより、攪拌チャンバ情報テーブル495の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報が、それぞれ、混合液の供給元である希釈チャンバ43(44)に対応する、現時点における希釈チャンバ情報テーブルA493(希釈チャンバ情報テーブルB494)の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の内容と同じ情報に更新される。
【0121】
その後、ステップS54において、CPU49aにより、攪拌チャンバ46に混合液を供給した希釈チャンバ43(44)への混合液の移送が完了したか否かが判断される。具体的には、希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46に混合液が移送され、希釈チャンバ43(44)内のフロートスイッチ103(104)のフロート部が下限に到達してチャンバ内が空になると、ダイアフラムポンプ45a(45b)により、空になった希釈チャンバ43(44)に約300mLの混合液(約12mLの高濃度試薬および約288mLのRO水)が供給される。そして、CPU49aは、図14に示す高濃度試薬およびRO水の供給処理動作により希釈チャンバ43(44)に約300mLの混合液が移送されたか否かを判断する。
【0122】
この判断は、空になった希釈チャンバ43(44)への約300mLの混合液の移送が完了するまで繰り返され、移送が完了すると、ステップS55において、CPU49aは、混合液の移送が完了した希釈チャンバ43(44)に対応する希釈チャンバ情報テーブルA493(希釈チャンバ情報テーブルB494)を更新する。具体的には、CPU49aにより、希釈チャンバ情報テーブルA493(希釈チャンバ情報テーブルB494)の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報が、それぞれ、現時点における試薬チャンバ情報テーブル492の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の内容と同じ情報に更新される。
【0123】
次に、図17を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の有効期限監視処理動作について説明する。
【0124】
この有効期限監視処理動作は、日付が変わってから試薬調製装置4が最初に調製動作を行う際に実行される。まず、ステップS61において、CPU49aは、供給チャンバ情報テーブル496に基づいて、供給チャンバ47内の試薬が有効期限内であるか否かを判断する。具体的には、CPU49aは、供給チャンバ情報テーブル496に記録された3件分の情報のうち、開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の最も古い有効期限を選択し、選択した最も古い有効期限が現在の日付よりも古いか否かを判断する。すなわち、CPU49aは、供給チャンバ47内に貯留されている可能性がある試薬のうち、最も古い有効期限を有する試薬の有効期限が切れているか否かを判断する。これにより、試薬の測定部2への供給が可能か否かを判断する。供給チャンバ47内の試薬の有効期限が切れていなければ、そのまま有効期限監視処理動作は終了される。
【0125】
供給チャンバ47内の最も古い有効期限を有する試薬の有効期限が切れている場合には、ステップS62において、CPU49aは、供給チャンバ47内の試薬を廃棄する。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ220が開放されて、供給チャンバ47内の試薬が廃棄流路に排出される。
【0126】
その後、ステップS63において、CPU49aは、攪拌チャンバ情報テーブル495に基づいて、攪拌チャンバ46内の試薬が有効期限内であるか否かを判断する。具体的には、CPU49aは、攪拌チャンバ情報テーブル495の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の両方について、有効期限内であるか否かを判断する。開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の両方が有効期限内であれば、ステップS64において、CPU49aは、攪拌チャンバ46内の試薬を供給チャンバ47に移送する。具体的には、CPU49aは、電磁バルブ218および219を開放させて、陽圧力で攪拌チャンバ46内の試薬を押し出す。この際、供給チャンバ47内の試薬が測定部2に供給不可である場合でも、上記ステップS62において、供給チャンバ47内の試薬は既に廃棄されているので、攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に移送する混合液が廃棄すべき供給チャンバ47内の試薬と混合されることが防止される。一方、開封前有効期限情報および開封後有効期限情報のいずれか一方でも有効期限切れである場合には、ステップS65において、CPU49aは、電磁バルブ218および221を開放させることによって、攪拌チャンバ46内の試薬を廃棄流路に排出する。
【0127】
そして、ステップS66において、CPU49aは、希釈チャンバ情報テーブル493Aおよび希釈チャンバ情報テーブル493Bに基づいて、希釈チャンバ43および44内の試薬がそれぞれ有効期限内であるか否かを判断する。具体的には、CPU49aは、希釈チャンバ情報テーブル493A(希釈チャンバ情報テーブル493B)の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の両方について、有効期限内であるか否かを判断する。希釈チャンバ43(44)内の試薬の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の両方が有効期限内であれば、ステップS67において、CPU49aは、希釈チャンバ43(44)内の混合液を攪拌チャンバ46に移送する。具体的には、CPU49aは、電磁バルブ211(212)および217を開放させて、陰圧力で希釈チャンバ43(44)内の試薬を吸い出す。一方、開封前有効期限情報および開封後有効期限情報のいずれか一方でも有効期限切れである場合には、ステップS68において、CPU49aは、希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46に混合液を移送した後、そのまま混合液を攪拌チャンバ46から電磁バルブ221を介して廃棄流路に排出する。また、CPU49aは、希釈チャンバ43および44内の試薬について、それぞれ別々に判断する。
【0128】
そして、ステップS69において、CPU49aは、試薬チャンバ情報テーブル492に基づいて、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬が有効期限内であるか否かを判断する。具体的には、CPU49aは、試薬チャンバ情報テーブル492の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の両方について、有効期限内であるか否かを判断する。これにより、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬を試薬調製に使用可能であるか否かが判断される。高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の両方が有効期限内であれば、ステップS70において、CPU49aは、ダイアフラムポンプ45a(45b)を駆動させて、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬およびRO水チャンバ42内のRO水を希釈チャンバ43(44)に移送する。一方、開封前有効期限情報および開封後有効期限情報のいずれか一方でも有効期限切れである場合には、ステップS71において、CPU49aは、電磁バルブ202および222を開放させて、高濃度試薬チャンバ41から高濃度試薬を廃棄流路に排出する。
【0129】
次に、図6および図18を参照して、本発明の第1実施形態によるRO水自動排出処理動作について説明する。なお、図18に示されるステップS81〜S87の処理は、試薬調製装置4が起動してからシャットダウンされるまで、図12および図13に示した試薬調製処理動作と並行して継続的に実行される。
【0130】
まず、図18のステップS81において、CPU49aにより、所定の条件が満たされているか否かが判断される。具体的には、以下の3つの条件全てが満たされているか否かが判断される。1つ目の条件として、図6に示す2つの希釈チャンバ43および44の両方がそれぞれ約300mLの混合液で満たされていること、2つ目の条件として、攪拌チャンバ46が約300mLの混合液で満たされていること、3つ目の条件として、供給チャンバ47に約300mL以上約600mL以下の所望濃度の試薬が貯留されていることが要求される。上記3つの条件全てを満たす場合には、新たな試薬調製処理が必要ない状態であるため、RO水チャンバ42内のRO水が使用されずにRO水がRO水チャンバ42に滞留することとなる。すなわち、CPU49aにより、上記3つの条件全てが満たされているか否かを判断することによって、RO水チャンバ42内のRO水が使用されなくなったと判断することが可能である。
【0131】
そして、上記3つの条件全てが満たされている場合(すなわち、RO水チャンバ42内のRO水が使用されなくなった場合)、ステップS82において、CPU49aにより、計時が開始されているか否かが判断され、計時が既に開始されていればステップS84に進む。一方、計時が開始されていない場合には、ステップS83において、計時が開始される。その後、ステップS84において、計時開始から8時間が経過したか否かが判断され、8時間経過していなければステップS81に戻る。
【0132】
計時開始から8時間経過した場合には、ステップS85において、RO水チャンバ42内のRO水を廃棄する。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ206、207および208を閉じた状態で電磁バルブ204および205を開放させることによって、陽圧力でチャンバ内のRO水を廃棄流路に押し出す。これにより、RO水チャンバ42内に長時間(8時間)滞留していたRO水を廃棄することが可能である。なお、RO水チャンバ42から廃棄されたRO水を再びRO水作製部7に移送して、廃棄されたRO水から新たなRO水を作製してもよい。そして、RO水チャンバ42内のRO水が全て廃棄された後、ステップS86において、CPU49aにより、電磁バルブ204、205および208を閉じるとともに、電磁バルブ206および207を開放することによって、RO水作製部7で新たに作製されたRO水をRO水チャンバ42に供給する。
【0133】
また、ステップS81において、上記3つの条件のうち少なくとも1つの条件を満たさない場合には、ステップS87において計時がリセットされて、ステップS81に戻る。このようにRO水自動排出処理動作により、RO水チャンバ42内のRO水については、長時間(8時間)滞留された場合に廃棄されるので、有効期限を監視しておく必要がない。
【0134】
第1実施形態では、上記のように、供給チャンバ情報テーブル496に記録された高濃度試薬の開封前有効期限情報および開封後有効期限情報に基づいて、供給チャンバ47に貯留されている調製後の試薬を測定部2に供給可能であるか否かを判定するようにCPU49aを構成することによって、有効期限上分析に適さない調製後の試薬を測定部2に供給不可であると判定することができるので、有効期限上分析に適さない調製後の試薬が測定部2に供給されるのを防止することができる。
【0135】
また、第1実施形態では、供給チャンバ47への試薬の流入を検知する導電率センサ402を設け、導電率センサ402により供給チャンバ47への試薬の流入が検知された場合に、記憶部49fに記憶されている供給チャンバ情報テーブル496を更新するようにCPU49aを構成することによって、試薬が供給チャンバ47に流入する度に供給チャンバ情報テーブル496が更新されるので、最新の有効期限情報に基づいて、供給チャンバ47に貯留されている調製後の試薬を測定部2に供給可能であるか否かを判定することができる。
【0136】
また、第1実施形態では、異なる時刻に調製された試薬を供給チャンバ47に同時に貯留し、記憶部49fの供給チャンバ情報テーブル496には3件分の有効期限情報を記録するとともに、この3件分の有効期限情報のうち、開封前有効期限情報および開封後有効期限情報の最も古い有効期限を選択して、選択した最も古い有効期限に基づいて、供給チャンバ47に貯留されている調製後の試薬を測定部2に供給可能であるか否かを判定するようにCPU49aを構成することによって、異なる時刻に調製された試薬が供給チャンバ47に貯留されている場合でも、供給チャンバ47内の試薬のうち、最も古い有効期限情報に基づいて、供給チャンバ47に貯留されている調製後の試薬を測定部2に供給可能であるか否かが判定されるので、異なる時刻に調製された試薬が供給チャンバ47に貯留されている場合でも、有効期限上分析に適さない調製後の試薬が測定部2に供給されるのを精度よく防止することができる。
【0137】
また、第1実施形態では、攪拌チャンバ情報テーブル495に基づいて、攪拌チャンバ46に貯留されている混合液を供給チャンバ47に供給可能であるか否かを判定し、供給不可と判定した場合に、攪拌チャンバ46に貯留されている混合液を廃棄するように電磁バルブ218および221を制御するようにCPU49aを構成することによって、供給不可と判定された調製前の混合液が攪拌チャンバ46から廃棄されるので、有効期限上分析に適さない調製前の混合液が供給チャンバ47に供給されるのを防止することができる。
【0138】
また、第1実施形態では、供給チャンバ47内の調製後の試薬が測定部2に供給不可と判定され、かつ、攪拌チャンバ46内の混合液が供給チャンバ47に供給可能と判定された場合に、供給チャンバ47に貯留されている調製後の試薬を廃棄した後に、攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に混合液を供給するようにCPU49aを構成することによって、有効期限上分析に適さない供給チャンバ47内の調製後の試薬が廃棄された後に、有効期限上問題のない攪拌チャンバ46内の調製前の混合液が供給チャンバ47に供給されるので、有効期限上分析に適さない調製後の試薬と有効期限上問題のない調製前の混合液とが供給チャンバ47で混合されて全体として有効期限上分析に適さなくなってしまうのを防止することができる。これにより、有効期限上問題のない攪拌チャンバ46内の調製前の混合液を無駄にしてしまうのを抑制することができる。
【0139】
また、第1実施形態では、試薬チャンバ情報テーブル492に基づいて、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬を試薬調製に使用可能であるか否かを判定し、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬を試薬調製に使用不可と判定した場合に、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬を廃棄するように電磁バルブ202および222を制御するようにCPU49aを構成することによって、有効期限上試薬の調製に適さない高濃度試薬が廃棄されるので、有効期限上試薬の調製に適さない高濃度試薬が試薬の調製に用いられるのを防止することができる。
【0140】
(第2実施形態)
次に、図19および図20を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、RO水作製部7を内部に含む試薬調製装置500について説明する。
【0141】
血液検体処理システム1は、図19に示すように、血液の測定を行う機能を有する測定部2と、測定部2から出力された測定データを分析して分析結果を得るデータ処理部3と、検体の処理に用いられる試薬を調製する試薬調製装置500とにより構成されている。
【0142】
ここで、第2実施形態では、図19および図20に示すように、試薬調製装置500は、内部に設けられたRO水作製部7により作製されたRO水を用いて高濃度試薬を所望の濃度に希釈することによって、血液分析に用いられる試薬を調製するように構成されている。
【0143】
また、試薬調製装置500には、上記第1実施形態とは異なり、表示部が設けられていない。このため、ユーザは、データ処理部3の入力デバイス33を用いて、試薬調製装置4の起動およびシャットダウンを行う。
【0144】
なお、第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0145】
第2実施形態では、上記のように、RO水作製部7を試薬調製装置500の内部に設けることによって、血液検体処理システム1全体の構成を簡易な構成とすることができる。
【0146】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0147】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0148】
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、RO水チャンバのRO水の滞留時間を計時して、RO水が長時間(8時間)滞留された場合には、RO水チャンバからRO水を廃棄する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、RO水の滞留時間を計時することなく、RO水チャンバのRO水の有効期限を監視して、有効期限切れの場合には、RO水チャンバからRO水を廃棄する構成であってもよい。
【0149】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、試薬調製装置により、高濃度試薬とRO水とから試薬を調製する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬調製装置により、高濃度試薬およびRO水以外の異なる複数種類の液体から試薬を調製する構成であってもよい。
【0150】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、供給チャンバ情報テーブルを、最新の3件分(直近に供給チャンバに移送された試薬3件分)の開封前有効期限情報、開封後有効期限情報および流入時刻情報を記録可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、供給チャンバ情報テーブルを、3件分よりも少ない件数、または、3件分よりも多い件数の開封前有効期限情報、開封後有効期限情報および流入時刻情報を記録可能に構成してもよい。この場合、記録可能な件数が多ければ多いほど、有効期限上より厳しい条件で測定部への試薬の供給可否を判断することができる。
【0151】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、試薬が導電率センサを通過し、試薬の電気伝導度Cが所定範囲内である場合に、CPUにより、供給チャンバ情報テーブルを更新する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、CPUにより、供給チャンバ内のフロートスイッチの検知結果に基づいて、供給チャンバに新たな試薬が供給されたことを判断し、試薬が供給されたと判断した際に供給チャンバ情報テーブルを更新する構成であってもよい。
【0152】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、高濃度試薬タンクを交換し、高濃度試薬情報を取得した後、CPUが、高濃度試薬チャンバから高濃度試薬を吸引するためにダイアフラムポンプにより吸引動作が25回行われたか否かを判断し、25回行われた場合に試薬チャンバ情報テーブルを更新する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、高濃度試薬情報が取得された場合に、高濃度試薬チャンバ内の高濃度試薬を全て廃棄し、その後、高濃度試薬チャンバに新しい高濃度試薬を供給するとともに、試薬チャンバ情報テーブルを更新する構成であってもよい。
【0153】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、高濃度試薬の開封前有効期限および開封後有効期限を監視する試薬調製装置を示したが、本発明はこれに限らず、供給チャンバ47に貯留されている試薬の調製時からの経過時間を監視し、経過時間が所定の有効期限を超過している場合には、高濃度試薬の開封前有効期限および開封後有効期限にかかわらず、供給チャンバ47に貯留されている試薬を廃棄するようにしてもよい。
【0154】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、高濃度試薬の開封前有効期限および開封後有効期限を監視し、有効期限を超過している場合には、供給チャンバ47に貯留されている試薬を自動的に廃棄する試薬調製装置を示したが、本発明はこれに限らず、有効期限を超過している場合には、警告を表示部48に表示し、使用者が、供給チャンバ47に貯留されている試薬を手動で排出するようにしてもよい。
【0155】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、試薬調製装置の一例として、測定部と別個に設置される試薬調製装置を示したが、本発明はこれに限らず、図21に示すように、測定部内に設けられ、試薬調製機構として機能する試薬調製装置であってもよい。このように試薬調製機構を備える測定部(装置)としては、たとえば、血球計数装置、免疫測定装置および塗抹標本作製装置などがあるが、特に、希釈用液体の使用量が多い血球計数装置に適している。
【符号の説明】
【0156】
1 血液検体処理システム
2 測定部
4、500 試薬調製装置
6 空圧部
7 RO水作製部
41 高濃度試薬チャンバ
42 RO水チャンバ
43、44 希釈チャンバ
45a、45b ダイアフラムポンプ
46 攪拌チャンバ
47 供給チャンバ
49a CPU
49f 記憶部
201〜222 電磁バルブ
402 導電率センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の試薬を用いて検体を測定する測定部に前記所定の試薬を供給可能に構成された試薬調製装置であって、
第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む前記所定の試薬を調製する試薬調製部と、
前記測定部と接続され、前記試薬調製部により調製された前記所定の試薬を貯留する試薬貯留部と、
前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬の有効期限に関する試薬有効期限情報に基づいて、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を前記測定部に供給可能であるか否かを判定する試薬供給判定手段とを備える、試薬調製装置。
【請求項2】
前記第1液体の有効期限に関する液体有効期限情報を取得する液体有効期限情報取得手段と、
前記液体有効期限情報取得手段により取得された前記液体有効期限情報に基づいて、前記試薬有効期限情報を生成する試薬有効期限情報生成手段とをさらに備え、
前記試薬供給判定手段は、前記試薬有効期限情報生成手段により生成された前記試薬有効期限情報に基づいて、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を前記測定部に供給可能であるか否かを判定する、請求項1に記載の試薬調製装置。
【請求項3】
前記試薬有効期限情報生成手段により生成された前記試薬有効期限情報を記憶する記憶手段と、
前記試薬貯留部への前記所定の試薬の流入を検知する流入検知手段と、
前記流入検知手段により前記試薬貯留部への前記所定の試薬の流入が検知された場合に、前記記憶手段に記憶されている前記試薬有効期限情報を更新する更新手段とをさらに備える、請求項2に記載の試薬調製装置。
【請求項4】
前記試薬調製部は、断続的に前記所定の試薬を調製し、
前記試薬貯留部は、前記試薬調製部により異なる時刻に調製された前記所定の試薬を同時に貯留し、
前記記憶手段は、前記異なる時刻に調製された前記所定の試薬のそれぞれについて前記試薬有効期限情報を記憶し、
前記試薬有効期限情報は、前記液体有効期限情報を含み、
前記試薬供給判定手段は、前記記憶手段に記憶されている複数の前記試薬有効期限情報から有効期限の最も古い液体有効期限情報を選択し、選択した前記液体有効期限情報に基づいて、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を前記測定部に供給可能であるか否かを判定するように構成されている、請求項3に記載の試薬調製装置。
【請求項5】
前記試薬有効期限情報は、前記液体有効期限情報を含み、
前記試薬供給判定手段は、前記液体有効期限情報に基づいて、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬の調製に用いられた第1液体が有効期限切れの場合に、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を前記測定部に供給不可と判定するように構成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項6】
前記液体有効期限情報は、前記第1液体の開封後の有効期限を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項7】
前記液体有効期限情報は、前記第1液体の開封前の有効期限と、前記開封後の有効期限とを含み、
前記試薬有効期限情報は、前記第1液体の開封前の有効期限と、前記開封後の有効期限とを含み、
前記試薬供給判定手段は、前記開封前の有効期限および前記開封後の有効期限に基づいて、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を前記測定部に供給可能であるか否かを判定するように構成されている、請求項6に記載の試薬調製装置。
【請求項8】
前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を廃棄する試薬廃棄部と、
前記試薬供給判定手段により供給不可と判定された場合に、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を廃棄するように前記試薬廃棄部を制御する試薬廃棄制御手段とをさらに備える、請求項1に記載の試薬調製装置。
【請求項9】
前記試薬調製部は、前記試薬貯留部に接続され、少なくとも前記第1液体を含む所定の液体を貯留する調製前液体貯留部を含み、
前記調製前液体貯留部に貯留されている前記所定の液体を廃棄する液体廃棄部と、
前記第1液体の有効期限に関する液体有効期限情報に基づいて、前記調製前液体貯留部に貯留されている前記所定の液体を前記試薬貯留部に供給可能であるか否かを判定する液体供給判定手段とをさらに備える、請求項8に記載の試薬調製装置。
【請求項10】
前記調製前液体貯留部から前記試薬貯留部に前記所定の液体を供給する供給部と、
前記供給部を制御する液体供給制御手段とをさらに備え、
前記液体供給制御手段は、前記試薬供給判定手段により供給不可と判定され、かつ、前記液体供給判定手段により供給可能と判定された場合に、前記試薬廃棄部により前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬が廃棄された後に、前記調製前液体貯留部から前記試薬貯留部に前記所定の液体を供給するように前記供給部を制御するように構成されている、請求項9に記載の試薬調製装置。
【請求項11】
第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を用いて検体を測定する測定部と、
前記所定の試薬を調製する試薬調製部と、
前記測定部と接続され、前記試薬調製部により調製された前記所定の試薬を貯留する試薬貯留部と、
前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬の有効期限に関する試薬有効期限情報に基づいて、前記試薬貯留部に貯留されている前記所定の試薬を前記測定部に供給可能であるか否かを判定する試薬供給判定手段とを備える、検体処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2010−230541(P2010−230541A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79329(P2009−79329)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】