説明

試験サンプルにおけるGPCRリガンドを測定するための単一細胞バイオセンサー

【課題】 本発明は、生物学的サンプルおよび環境サンプルを含む試験サンプルにおけるGCPRリガンドの存在および濃度を分析する方法に関する。
【解決手段】 本発明は、GPCRを発現する単一細胞バイオセンサーを使用することによって試験サンプルにおけるGPCRリガンドを検出する方法に関する。好ましくは、試験サンプルは生物学的サンプルまたは環境サンプルに由来する。本発明は、疾患の存在を検出するために、または環境における有害因子の存在を検出するために使用することができる。本発明には、様々なGPCRのリガンドを検出するバイオセンサーのアレイが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的サンプルおよび環境サンプルを含む試験サンプルにおけるGCPRリガンドの存在および濃度を分析する方法に関する。好ましくは、本発明は、不均一であってもよい試験サンプルにおける多数のGPCRリガンドを検出することに関する。本発明は、疾患診断の改善された方法、ならびに、殺虫剤、神経毒、およびバイオテロで使用される化学物質など有害な化学物質の検出の改善された方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許出願第60/295,945号(2001年6月5日出願)に対する米国特許法第119条(e)による優先権を主張し、米国特許出願第09/631,468号(2000年8月3日出願)に対する米国特許法第120条による優先権を主張する一部継続出願である。なお、米国特許出願第09/631,468号は、米国特許出願第08/869,568号(1997年6月5日出願、現在、米国特許第5,891,646号)の継続出願である米国特許出願第09/233,530号(1999年1月20日出願、現在、米国特許第6,110,693号)の継続出願である。これらの内容はその全体が参照することにより本明細書により組み込まれる)。
【0003】
本研究は、国立衛生研究補助金DK02544、同HL61365および同NS19576によって援助された。従って、政府は本発明に対して一定の権利を有し得る。
【0004】
(背景)
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、ホルモンまたはリガンドの結合を細胞内シグナルに翻訳する細胞表面タンパク質である。GPCRは、すべての動物および昆虫および植物において見出されている。GPCRのシグナル伝達は、光伝達、嗅覚、神経伝達、血管の正常な状態、心拍出量、消化、痛み、ならびに水分平衡および電解質平衡を含む様々な生理学的機能を調節することにおいて重要な役割を果たしている。GPCRは様々な生理学的機能に関与しているが、多数の共通する構造的特徴をともに有する。GPCRは、交互に並ぶ細胞内ループおよび細胞外ループによって架橋された7個の膜ドメインと、様々な長さの細胞内カルボキシル末端テールとを含有する。
【0005】
様々なGPCRが多数の疾患状態に関係しており、そのような疾患状態には、狭心症などの心臓徴候、本態性高血圧、心筋梗塞、上室性および心室性の不整脈、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化、腎不全、糖尿病、喘息などの呼吸徴候、慢性気管支炎、気管支痙攣、気腫、気道閉塞、鼻炎などの上部気道徴候、季節性アレルギー、炎症性疾患、傷害に応答した炎症、慢性関節リウマチ、慢性炎症性腸疾患、緑内障、高ガストリン血症、酸/ペプシン障害などの胃腸徴候、びらん性食道炎、胃腸の分泌過多、肥満細胞過剰増殖、胃腸の逆流、消化性潰瘍、ゾリンジャー−エリソン症候群、痛み、肥満、神経性過食症、うつ病、強迫性傷害、臓器奇形(例えば、心臓奇形)、パーキンソン病およびアルツハイマー病などの神経変性疾患、多発性硬化症、エプスタイン−バール感染、ならびにがんが含まれるが、これらに限定されない。
【0006】
GPCRによって制御される生理学的応答の大きさはGPCRシグナル伝達とシグナル終結とのバランスに関係する。GPCRのシグナル伝達は、アレスチンと呼ばれる一群の細胞内タンパク質によって制御される。アレスチンは、アゴニストにより活性化されているGPCR、および特に、Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)によってリン酸化されているGPCRを含む活性化されたGPCRと結合する。
【0007】
Gタンパク質共役受容体に結合するホルモンの異常な調節は、多くの疾患の病理発生の基礎となっている。これらの調節因子の血清中レベルおよび組織レベルを測定することができることは、臨床的および科学的に望ましいことではあるが、現在、非常に特殊化された生化学アッセイおよび免疫化学的アッセイに限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生物学的サンプルにおけるGPCRリガンドの変化した濃度は、疾患状態を示し得る。環境サンプルにおけるGPCRリガンドの変化した濃度は有害化学物質の存在を示し得る。不均一なサンプルにおけるGPCRリガンドを定量的に検出するための非常に高感度で特異的な方法、ならびに不均一なサンプルにおけるGPCRリガンドの多数の生物活性なイソ型を検出する方法が求められている。不均一なサンプル(生物学的サンプルおよび環境サンプルの両方)におけるGPCRリガンドの存在を分析する高感度かつ迅速な方法により、疾患診断および環境における有害化合物の検出が改善される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、試験サンプルにおけるGPCRリガンドを検出する方法である。試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、または生物学的サンプルもしくは環境サンプルに由来するサンプルである。好ましくは、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを含む細胞が提供される。試験サンプルが提供され、細胞が試験サンプルにさらされる。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布は、試験サンプルの非存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布と比較することができる。
【0010】
本発明の1つの態様において、GPCRまたはアレスチンが検出可能に標識されるか、または別の内因性分子が検出可能に標識されるか、または別の外因性分子が検出可能に標識される。検出可能に標識された分子の分布により、GPCRタンパク質またはアレスチンタンパク質の細胞分布が表される。
【0011】
さらなる態様において、GPCRまたはアレスチンの細胞分布が、試験サンプルにさらされた後の種々の時点で測定される。GPCRまたはアレスチンの細胞分布が、種々の濃度の試験サンプルにさらされた後に測定される。検出可能に標識された分子の細胞分布を定量することができる。
【0012】
さらなる態様において、試験サンプルにおけるリガンドの濃度が、試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布を既知濃度のリガンドの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布と比較することによって定量される。
【0013】
試験サンプルとして提供される生物学的サンプルは、血清、組織、血液もしくは尿でもよく、または、血清、組織、血液もしくは尿に由来してもよい。
【0014】
さらなる態様において、GPCRはCCK−BまたはCCK−Aである。リガンドは、ガストリン、プレプロガストリン、切断型プレプロガストリン、ガストリン−34、ガストリン−17、ペンタガストリン、プロガストリン、グリシン伸長型ガストリン−17、グリシン伸長型ガストリン−34、ガストリン−71、ガストリン−6、hG17、配列Trp−Met−Asp−Phe−NH2のアミド化テトラペプチドを伴う化合物、またはガストリンの別の生物活性なイソ型であってもよい。
【0015】
さらなる態様において、GPCRはムスカリン性受容体である。リガンドはアセチルコリンでもよい。
【0016】
さらなる態様において、標識された分子は、細胞質、形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームに局在化していてもよい。標識された分子の局所的濃度の増大は局所的なシグナル強度の増大をもたらす。形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおける標識された分子のシグナル強度は、細胞質におけるシグナル強度のレベルに対して増大し得る。局所的なシグナル強度は、試験サンプルにおけるリガンドの増大した濃度の存在下で増大し得る。
【0017】
さらなる態様において、試験サンプルにおけるリガンドの濃度により、疾患状態が示される。試験サンプルにおけるリガンドの濃度により、リガンド濃度を変化させる化合物が試験サンプルに存在することを示すことができる。試験サンプルにおけるリガンドの濃度により、アセチルコリンを改変する化合物が試験サンプルに存在することが示される。試験サンプルにおけるリガンドの濃度により、アセチルコリンエステラーゼを阻害する化合物の存在が示される。
【0018】
検出可能な分子は、放射性同位体、エピトープタグ、アフィニティー標識、酵素、蛍光基または化学発光基であり得る。分子は、検出可能に標識され得る別の分子とのその相互作用のために検出可能に標識することができる。
【0019】
本発明は、哺乳動物におけるGPCRリガンドをモニターする方法に関連する。試験サンプルは、哺乳動物に由来する生物学的サンプルである。好ましくは、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを含む細胞が提供される。試験サンプルが提供され、細胞が試験サンプルにさらされる。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。試験サンプルにおけるリガンドの濃度を、試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布を既知濃度のリガンドの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布と比較することによって定量することができる。この方法を使用して、臨床状態をモニターすることができ、この場合、そのような臨床状態により、疾患状態の存在を示すことができ、あるいは、対象が障害を有するか、または障害を発症する危険性があることを示すことができる。モニターされる臨床状態として、胃腸がん、高ガストリン血症、萎縮性胃炎、胃潰瘍、悪性腫瘍、または他のGPCR関連疾患を挙げることができる。哺乳動物は長期間の酸抑制剤の薬物療法を受けていてもよい。
【0020】
本発明のさらなる態様において、提供された細胞は、GPCRの内在化を増大させるタンパク質を発現させることができる。GPCR自体が改変されることがあり、これにより、形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおける標識された分子の増大した濃度がもたらされる。提供された細胞は、Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)を発現させることができる。
【0021】
本発明の1つの態様は単一細胞バイオセンサーである。この単一細胞バイオセンサーは、アレスチンおよび少なくとも1つのGPCRを過剰発現する細胞を含み、この場合、GPCRまたはアレスチンまたは細胞が、GPCRの内在化をモニターするために検出可能に標識される。本発明のさらなる態様は、試験サンプルにおけるGPCRリガンドを検出する方法であり、この場合、試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、またはそれらに由来するサンプルである。この方法において、単一細胞バイオセンサーが提供され、このバイオセンサーが試験サンプルにさらされ、そして試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。単一細胞バイオセンサーにおいて、GPCRは、CCK−A、CCK−Bまたはムスカリン性受容体であり得る。アレスチンを緑色蛍光タンパク質にコンジュゲート化することができる。このバイオセンサーは、より長いインキュベーション時間、増大した濃度の試験サンプル、GPCRの変異、またはGPCR抗体のために増大した感度を有し得る。
【0022】
本発明は、CCK−Bのアンタゴニストの効果的な量を細胞に与えることを含む、GPCR内在化を変化させる方法に関連する。
【0023】
本発明のこの方法では、細胞分布をフローサイトメトリーまたは蛍光共焦点顕微鏡観察によって視覚化することができる。細胞分布の画像をコンピューターによって分析することができ、そして検出可能な分子の分布を定量することができる。分析される試験サンプルはGPCRのリガンドまたはGPCRのアンタゴニストを含むことができる。
【0024】
本発明は、試験サンプルにおけるGPCRリガンドを調節する化合物を検出する方法に関連する。試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、または生物学的サンプルもしくは環境サンプルに由来するサンプルである。好ましくは、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを含む細胞が提供される。試験サンプルが提供され、細胞が試験サンプルにさらされる。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布により、GPCRリガンドを調節する化合物の存在を示すことができる。
【0025】
本発明は、試験サンプルにおけるGPCRリガンドを調節する化合物を検出する方法に関連する。試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、または生物学的サンプルもしくは環境サンプルに由来するサンプルである。好ましくは、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを含む細胞が提供される。試験サンプルが提供され、細胞が試験サンプルにさらされる。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。
【0026】
本発明は、試験サンプルにおけるGPCRリガンドを連続的にスクリーニングする方法に関連する。試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、または生物学的サンプルもしくは環境サンプルに由来するサンプルである。好ましくは、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを含む細胞が提供される。試験サンプルが提供され、細胞が試験サンプルにさらされる。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。その後、細胞は、GPCRおよびアレスチンを含む別の細胞で置き換えられる。
【0027】
本発明のさらなる態様は、試験サンプルにおけるアセチルコリンエステラーゼの阻害剤を検出する方法である。試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、または生物学的サンプルもしくは環境サンプルに由来するサンプルである。好ましくは、ムスカリン性受容体およびアレスチンを発現する細胞が提供される。試験サンプル、アセチルコリンエステラーゼ、およびムスカリン性受容体のアゴニストを含む混合物が提供される。アゴニストはアセチルコリンエステラーゼ感受性である。細胞がこの混合物にさらされる。試験サンプルの存在下におけるムスカリン性受容体またはアレスチンの細胞分布が測定される。アゴニストはアセチルコリンであってもよい。
【0028】
本発明の1つの態様において、試験サンプルはアセチルコリンおよびアセチルコリンエステラーゼを含有することができる。試験サンプルはアゴニストを含有することができる。リガンドは同定されていてもよく、そして試験サンプルにおけるGPCRリガンドの多数の生物活性なイソ型を検出することができる。
【0029】
本発明のさらなる態様において、試験サンプルは高ガストリン血症の哺乳動物に由来し得る。試験サンプルにおけるガストリン濃度は10nM未満であり得る。試験サンプルは不均一であってもよい。
【0030】
本発明の1つの態様において、細胞分布を、試験サンプルにさらされた15分後〜30分後に測定することができる。細胞分布を、試験サンプルにさらされた1時間後に測定することができる。細胞は約37℃の温度で試験サンプルにさらすことができる。
【0031】
本発明は、試験サンプルにおけるGPCR内在化を調節する化合物を検出する方法に関連する。試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、または生物学的サンプルもしくは環境サンプルに由来するサンプルである。好ましくは、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを含む細胞が提供される。試験サンプルが提供され、細胞が試験サンプルにさらされる。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。
【0032】
さらなる態様において、本発明は、試験サンプルにおけるGPCR内在化を調節する化合物を検出する方法に関連する。試験サンプルは、生物学的サンプル、環境サンプル、または生物学的サンプルもしくは環境サンプルに由来するサンプルである。好ましくは、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを含む細胞が提供される。細胞がアゴニストにさらされる。試験サンプルが提供され、細胞が試験サンプルにさらされる。試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が測定される。
【0033】
本発明のさらなる態様は、少なくとも1つの単一細胞バイオセンサーを含有するバイオアレイである。このバイオアレイにより、多数のGPCRリガンドを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が一緒に使用され得る既知のGPCRの例示的かつ非限定的な列挙である。これらの受容体は、構造的類似性およびリガンドに基づく古典的な区分に従ってグループ分けされている。
【図2】アレスチンと会合し、その後、取り込まれ得る40を越える異なるGPCRの一部の列挙である。これは、発現したGPCRおよびアレスチンと緑色蛍光タンパク質との融合タンパク質を使用して視覚化することができる。
【図3A】ヒトムスカリン性受容体1のアミノ酸配列および核酸配列を例示する(アクセション番号NM_000738)。アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端への向きで示される。核酸配列は5’から3’への向きで示される。
【図3B】ヒトムスカリン性受容体2のアミノ酸配列および核酸配列を例示する(アクセション番号NM_000739)。アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端への向きで示される。核酸配列は5’から3’への向きで示される。
【図3C】ヒトムスカリン性受容体3のアミノ酸配列および核酸配列を例示する(アクセション番号NM_000740)。アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端への向きで示される。核酸配列は5’から3’への向きで示される。
【図3D】ヒトムスカリン性受容体4のアミノ酸配列および核酸配列を例示する(アクセション番号NM_000741)。アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端への向きで示される。核酸配列は5’から3’への向きで示される。
【図3E】ヒトアセチルトランスフェラーゼ(YT血液群)のアミノ酸配列および核酸配列を例示する(アクセション番号XM_036148)。アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端への向きで示される。核酸配列は5’から3’への向きで示される。
【図3F】ヒトコレシストキニンA受容体のアミノ酸配列および核酸配列を例示する(アクセション番号L13605)。アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端への向きで示される。核酸配列は5’から3’への向きで示される。
【図3G】ヒトコレシストキニンB受容体のアミノ酸配列および核酸配列を例示する(アクセション番号NM_000731)。アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端への向きで示される。核酸配列は5’から3’への向きで示される。
【図4】フローサイトメトリーによる細胞におけるアレスチン−GFPおよびCCK−B受容体の発現の均一性と、アレスチン−GFPの輸送とを例示する。図4Aは、クローンAに属する細胞におけるアレスチン−GFPの相対的な発現を示す。図4Bは、10nMのhG17を用いた室温で5分間の処理の前(左パネル)および処置の後(右パネル)におけるクローンAに由来する細胞の視野の蛍光像を示す。
【図5】アレスチン−GFPおよびCCK−B受容体を発現する細胞株におけるリガンド結合および2次メッセンジャー応答の特徴づけを示す。図5Aに示されるように、クローンA由来の細胞が、細胞あたりの平均CCK−B受容体発現および[3H]CCK−8に対する受容体親和性を測定するために、[3H]CCK−8の濃度を増大させながらインキュベーションされた。図5Bは、クローンA細胞が、IP3の2次メッセンジャー応答を評価するために、hG17ペプチドの増大する濃度にさらされたことを示す。挿入図は、この細胞株からのhG17による[3H]CCK−8の競合的置換を示す。図5Cは、ビヒクルでの処理(上段左パネル)、または10nMのアゴニストhG17での1時間の処理(上段右パネル)、または10nMのhG17+1μMのCCK−Aアンタゴニストのデバゼピド(L−364,718)での処理(下段左パネル)、または10nMのhG17+1μMのCCK−Bアンタゴニストでの処理(下段右パネル)を受けたクローンA由来の細胞の蛍光像を示す。
【図6】アレスチン−GFPおよびCCK−B受容体を含有するHEK−239細胞株における5分でのhG17に対する用量応答を例示する。図6Aは、様々な濃度のhG17に5分間さらされたクローンA細胞のアレスチン−GFP輸送を示す代表的な実験を示す。図6Bにおいて、細胞の細胞質から5分後に失われたアレスチン−GFPの部分量を使用して、Aにおいてグラフに示されるhG17の増大する濃度についてS字形の用量応答曲線が作製された。図6Cは、hG17に37℃で1時間さらされたクローンA細胞の応答を明らかにする実験から得られた像を例示する。
【図7】βアレスチン2−GFPの分布からの蛍光シグナルの計算を示す。図7Aは、βアレスチン2−GFP融合タンパク質および受容体を安定に発現する細胞におけるβアレスチン2−GFP蛍光の分布が30分間のアゴニスト処理の前および後において視覚化されたことを示す。図7Bにおいて、画素カウント対画素強度のヒストグラム(下段左パネルでのグラフにおける緑色曲線)が、代表的なコントロール細胞を使用して作製された。
【図8】アレスチン−GFPおよびCCK−B受容体を含有するHEK−283細胞株におけるペンタガストリンに対する用量応答を示す。図8Aは、ペンタガストリンに37℃で2時間さらされたクローンA細胞の応答を示す代表的な実験から得られた像を示す。図8Bにおけるグラフは、リガンドの各濃度で得られた像について閾値の値(方法)を超える画素強度の正規化された和(TI/TF)の増大を示す。
【図9】アレスチン−GFPおよびCCK−B受容体を含有するクローン細胞株における1時間での用量応答を示す。図9Aは、高ガストリン血症患者から得られた血清の1:1希釈物とともに1時間インキュベーションされたクローンA細胞の代表的な像を例示する。図9Bは、1時間において得られ、図7のように分析された画像化輸送データからコンピューター計算されたクローンA細胞のhG17に対する用量応答曲線を示す。9個〜16個の間で異なる像が各hG17濃度および患者血清(矢印)について分析された。
【図10】アセチルコリンの存在下におけるムスカリン性受容体の内在化を例示する。アレスチン−GFP、およびバソプレッシンのカルボキシル末端テールとコンジュゲート化されたヒトムスカリン性受容体タイプ1を発現するHEK−293細胞がマイクロモル濃度のアセチルコリンにさらされた。アレスチン−GFPが、アセチルコリンに応答して膜端部または小胞内において認められた。
【発明を実施するための形態】
【0035】
特許ファイルまたは出願ファイルには、着色された少なくとも1つの図面が含まれる。着色された図面を伴う本特許または特許出願の公開物の複写物は、請求および必要な費用の支払いにより当局によって提供される。
【0036】
本発明の目的および利点は、図面と一緒に下記の詳細な説明を読むことによって理解される。
【0037】
本発明に従って、当業者の範囲に含まれる従来の分子生物学、微生物学、免疫学および組換えDNA技術を用いることができる。そのような技術は文献に詳しく説明されている。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(第3版、2001年);「Current Protocols in Molecular Biology」、第I巻〜第IV巻[Ausubel,R.M.編(2002年および隔月の更新)];「Cell Biology:A Laboratory Handbook」、第I巻〜第III巻[J.E.Celis編(1994年)];「Current Protocols in Immunology」、第I巻〜第IV巻[Coligan,J.E.編(2002年および隔月の更新)];「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編、1984年);「Nucleic Acid Hybridization」[B.D.Hames&S.J.Higgins編(1985年)];「Transcription And Translation」[B.D.Hames&S.J.Higgins編(1984年)];「Culture of Animal Cells、第4版」[R.I.Freshney編(2000年)];「Immobilized Cells And Enzymes」[IRL Press(1986年)];B.Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1988年);Using Antibodies:A Laboratory Manual:Portable Protocol No.I、Harlow,EdおよびLane,David(Cold Spring Harbor Press、1998年);Using Antibodies:A Laboratory Manual、Harlow,EdおよびLane,David(Cold Spring Harbor Press、1999年);「G Protein−Coupled Receptors」[T.Hagaら編(1999年)]を参照のこと。
【0038】
別途述べられない限り、本明細書および請求項において使用される下記の用語は、下記に示される意味を有する。
【0039】
「hG17」はヒトのガストリン−17アミノ酸ペプチドである。これは、ヒト、別の生物(例えば、大腸菌、酵母、マウスなど)において産生してもよく、または化学合成してもよい。
【0040】
「RIA」、すなわち、放射免疫アッセイは、サンプルにおける特定の化合物を検出する、抗体に基づく方法である。現在、血清ガストリンの測定が、1つ以上の異なるガストリンイソ型に対する抗体を使用するRIAによって行われる。
【0041】
「神経毒」は、神経組織を損傷または破壊する能力を有する任意の化合物である。本発明に特に関連するのは、アセチルコリンエステラーゼを阻害する化合物である。通常、アセチルコリンエステラーゼは、ムスカリン性受容体の天然のリガンドであるアセチルコリンを分解する。アセチルコリンエステラーゼを阻害する神経毒素は、アセチルコリンの正常な分解を妨げる。本発明は、サンプルにおけるアセチルコリン濃度を検出することによって、アセチルコリンエステラーゼを阻害する神経毒素の存在を検出するために使用することができる。アセチルコリンエステラーゼを阻害する化合物には、ジアジノンなどの有機ホスファート殺虫剤および神経毒サリンが含まれる。
【0042】
「アセチルコリン」は神経伝達物質であり、少なくとも、ニューロンと、心筋、平滑筋および骨格筋との間におけるシナプスである神経筋シナプスにおいて、ならびに中枢神経系および末梢神経系における様々なニューロン−ニューロンシナプスにおいて機能する。アセチルコリンは、酵素コリンアセチルトランスフェラーゼによって触媒される反応においてアセチルCoAおよびコリンから神経末端内で合成される。
【0043】
「ムスカリン性受容体」は、少なくとも、多くの脳ニューロン、交感神経系ニューロン、平滑筋、腺細胞および心臓細胞に存在するGPCRである。ムスカリン性受容体は、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ムスカリン性コリン作動性受容体、ムスカリン性受容体に関する他の参照物(サブタイプ1、サブタイプ2、サブタイプ3、サブタイプ4、および当業者に知られている他のサブタイプを含む)を包含することが意味される。ムスカリン性受容体の用語には、ヒト、真核生物、後生動物、脊索動物、有頭動物、脊椎動物、ユーテレオストミ(euteleostomi)、哺乳動物、真獣類、霊長類、狭鼻類、ヒト科およびヒト属などのムスカリン受容体配列が含まれるが、これに限定されない。アセチルコリンはムスカリン性受容体のアゴニストである。
【0044】
「アセチルコリンエステラーゼ」は、アセチルコリンを酢酸およびコリンに分解する酵素である。この酵素はシナプス間隙において高濃度でクラスター化している。
【0045】
「アセチルコリンエステラーゼ阻害剤」は、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害する化合物である。アセチルコリンエステラーゼを阻害する化合物には、ジアジノンなどの有機ホスファート殺虫剤および神経毒サリンが含まれる。
【0046】
「殺虫剤」には、神経毒素である化合物が含まれる。ジアジノンなどの有機ホスファート殺虫剤を含む殺虫剤はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤でもよい。
【0047】
「バイオアッセイ」は、生物学的に活性な化合物についてアッセイするための生理学的応答の使用である。
【0048】
「バイオセンサー」は、化合物の存在を検出するために生物学的なプロセスまたは構成成分を利用する。本発明の単一細胞バイオセンサーは、GPCRおよびアレスチンを含む細胞である。細胞を不均一なサンプルにさらし、サンプルに対するGPCRまたはアレスチンの応答をモニターすることによって、本発明の単一細胞バイオセンサーは、不均一なサンプルにおけるGPCRリガンドを検出するために有用である。
【0049】
「ZE症候群」は、ガストリン産生腫瘍によって引き起こされるゾリンジャー−エリソン症候群である。
【0050】
「生物学的サンプル」は、対象から単離された組織および/または細胞および/または生物学的流体、ならびに対象内に存在する組織および細胞および流体を包含することが意図される。この場合、前記サンプルは、血液、血清、尿サンプル、便サンプル、腫瘍サンプル、細胞洗浄物、口内サンプル、痰、生物学的流体、組織抽出物、新しく集められた細胞、または組織培養でインキュベーションされていた細胞でもよい。生物学的サンプルは、全血、血清、血漿、唾液、尿、汗、腹水、腹腔液、滑液、羊水、脳脊髄液、および皮膚生検物などからなる群から選択することができる。生物学的サンプルは、血清、全血、血漿、リンパ液および卵巣濾胞液、ならびに他の循環液および唾液、粘液分泌物、そして呼吸液、またはそれらの分画化された部分を含むことができる。サンプルは、患者からの抽出物、未処理物、処理物、希釈物または濃縮物でもよい。
【0051】
「生物学的に活性な」および「生物活性な」は、生物学的な活性を有する化合物または化合物フラグメントまたは化合物イソ型を示すために本明細書中では交換可能に使用される。好ましくは、生物学的に活性な、または生物活性なという語は、GPCRと結合する能力を有するGPCRリガンドまたはリガンドイソ型を記載するために使用される。
【0052】
「レプリコン」は、インビボでのDNA複製の自律的ユニットとして機能する、すなわち、自身の制御のもとでの複製が可能である任意の遺伝子エレメント(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)である。
【0053】
「ベクター」は、結合したセグメントの複製がもたらされるように別のDNAセグメントが結合され得る、プラスミド、ファージまたはコスミドなどのレプリコンである。
【0054】
「DNA分子」は、その一本鎖形態または二本鎖らせんのいずれかでのデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミンまたはシトシン)のポリマー形態を示す。この用語は、分子の一次構造および二次構造を示すだけであり、分子を任意の特定の三次構造に限定しない。従って、この用語には、なかでも、線状DNA分子(例えば、制限フラグメント)、ウイルス、プラスミドおよび染色体に見出される二本鎖DNAが含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を議論する際には、配列は、転写されないDNA鎖(すなわち、mRNAに対して相同的な配列を有する鎖)に沿って5’から3’への方向で配列を示す通常の慣例に従って本明細中に記載され得る。
【0055】
「複製起点」は、DNA合成に関係するそのようなDNA配列を示す。
【0056】
DNA「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれたとき、インビボで転写され、ポリペプチドに翻訳される二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端における開始コドンおよび3’(カルボキシル)末端における停止コドンによって決定される。コード配列には、原核生物の配列、真核生物のmRNAに由来するcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)のDNAに由来するゲノムDNA配列、および合成DNA配列さえも包含され得るが、これらに限定されない。ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列が、通常、コード配列の3’側に存在する。
【0057】
転写制御配列および翻訳制御配列は、コード配列の宿主細胞における発現をもたらす、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーターなどのDNA調節配列である。
【0058】
「プロモーター配列」は、RNAポリメラーゼと細胞内で結合し、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を規定するために、プロモーター配列は、その3’末端において転写開始部位が結合し、そしてバックグラウンドを越える検出可能なレベルで転写を開始させるために必要な最少数の塩基またはエレメントを含むために上流(5’方向)に広がっている。プロモーター配列の内部には、転写開始部位(これは、ヌクレアーゼS1を用いたマッピングによって都合よく明らかにされる)、ならびにRNAポリメラーゼの結合に関わるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。真核生物のプロモーターには、多くの場合、しかし必ずしも常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスが含まれる。原核生物のプロモーターには、シャイン−ダルガルノ配列が、−10コンセンサス配列および−35コンセンサス配列に加えて含まれる。
【0059】
「発現制御配列」は、別のDNA配列の転写および翻訳を制御および調節するDNA配列である。コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、次にmRNAが、コード配列によりコードされるタンパク質に翻訳されるとき、細胞において転写制御配列および翻訳制御配列の「制御下」にある。
【0060】
「シグナル配列」をコード配列の前に含めることができる。この配列は、ポリペプチドを細胞表面に向かわせるために、またはポリペプチドを培地に分泌させるために宿主細胞に情報を伝える(ポリペプチドに対してN末端側の)シグナルペプチドをコードする。このシグナルペプチドは、タンパク質が細胞から離れる前に宿主細胞によって切断される。シグナル配列は、原核生物および真核生物に固有の様々なタンパク質に付随することが見出され得る。
【0061】
本発明のプローブを示す際に本明細書中で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、2つ以上のリボヌクレオチドから構成される分子として、好ましくは3つ以上のリボヌクレオチドから構成される分子として定義される。その正確なサイズは、オリゴヌクレオチドの最終的な機能および使用に依存する多くの要因に依存する。
【0062】
本明細書中で使用される用語「プライマー」は、精製された制限消化物の場合のように天然に存在するオリゴヌクレオチド、または化学的に作製されるオリゴヌクレオチドであるとしても、プライマー伸長生成物(これは核酸鎖に対して相補的である)の合成が誘導される条件に置かれたとき、すなわち、ヌクレオチドおよび誘導因子(例えば、DNAポリメラーゼなど)の存在下ならびに好適な温度およびpHにおいて合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを示す。プライマーは、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得るが、誘導因子の存在下で所望する伸長生成物の合成を開始させるために十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマー源および方法の使用を含む多くの要因に依存する。例えば、診断用途の場合、標的配列の複雑度に依存して、オリゴヌクレオチドプライマーは、典型的には、15個〜25個またはそれ以上のヌクレオチドを含有する。だが、オリゴヌクレオチドプライマーはそれよりも少ないヌクレオチドを含有することができる。
【0063】
本明細書におけるプライマーは、特定の標的DNA配列の種々の鎖に対して「実質的」に相補的であるように選択される。このことは、様々なプライマーが、それらのそれぞれの鎖とハイブリダイゼーションするために十分に相補的でなければならないことを意味する。従って、プライマーの配列は、テンプレートの正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的なヌクレオチドフラグメントをプライマーの5’端に結合させることができ、一方で、プライマー配列の残り部分は鎖に対して相補的である。あるいは、プライマー配列が、鎖の配列に関して十分な相補性を有して、その配列とハイブリダイゼーションし、それにより、伸長生成物を合成するためのテンプレートを形成するならば、非相補的な塩基またはより長い配列をプライマー内に介在させることができる。
【0064】
本明細書中で使用される用語「制限エンドヌクレアーゼ」および用語「制限酵素」は、特定のヌクレオチド配列またはその近くで二本鎖DNAをそれぞれが切断する細菌酵素を示す。
【0065】
細胞は、そのようなDNAが細胞の内部に導入されているとき、外因性または異種のDNAによって「形質転換」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAに(共有結合的に連結されて)組み込まれてもよく、または染色体DNAに組み込まれなくてもよい。例えば、原核生物細胞、酵母細胞および哺乳動物細胞では、形質転換DNAはプラスミドなどのエピソームエレメントに維持され得る。真核生物細胞に関しては、安定に形質転換された細胞は、形質転換DNAが染色体に組み込まれ、その結果、形質転換DNAが染色体の複製により娘細胞によって受け継がれる細胞である。この安定性は、形質転換DNAを含有する娘細胞の集団からなる細胞株またはクローンを樹立する真核生物細胞の能力によって明らかにすることができる。「クローン」は、有糸分裂によって単一の細胞または共通する祖先に由来する細胞の集団である。「細胞株」は、多くの世代にわたってインビトロで安定に増殖することができる一次細胞のクローンである。
【0066】
2つのDNA配列は、ヌクレオチドの少なくとも約75%(好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90%または95%)がDNA配列の規定された長さについて一致するとき、「実質的に相同的」である。実質的に相同的である配列を、配列データバンクにおいて利用することができる標準的なソフトウエアを使用して配列を比較することによって、または、例えば、その特定の系について規定されるようなストリンジェントな条件のもとでのサザンハイブリダイゼーション実験で同定することができる。例えば、ストリンジェントな条件には、6×SSCまたは6×SSPEで68℃における1時間〜3日間のハイブリダイゼーションを挙げることができる。適切なハイブリダイゼーション条件を規定することは当業者の範囲内である。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版、2001年)(上掲);DNA Cloning、第1巻〜第II巻(上掲);Nucleic Acid Hybridization(上掲)を参照のこと。
【0067】
本発明の範囲内にはまた、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11および配列番号13と同じアミノ酸配列を有するが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11および配列番号13に縮重するDNA配列が含まれることを理解しなければならない。「縮重」により、異なる三文字コドンが、特定のアミノ酸を指定するために使用されることが意味される。
【0068】
「アレスチン」は、天然に存在するアレスチンおよび操作された変異体のアレスチンのすべてのタイプを意味し、これには、視覚アレスチン(これはアレスチン1として示されることがある)、βアレスチン1(これはアレスチン2として示されることがある)、およびβアレスチン2(これはアレスチン3として示されることがある)が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
「βARK1」は、β−アドレナリン作動性受容体キナーゼ1と名付けられたGRKであり、GRK2とも呼ばれる。
【0070】
「βAR」は、β−アドレナリン作動性受容体と名付けられたGPCRである。
【0071】
「ガストリン受容体」は、ガストリンと結合するGPCRであり、好ましくはCCK−AおよびCCK−Bである。CCK−AおよびCCK−B、コレシストキニンA受容体およびコレシストキニンB受容体は、ガストリン、コレシストキニンおよび類似するリガンドと結合するGPCRである。
【0072】
GPCRの「内在化」はGPCRの細胞内輸送である。内在化には、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞およびエンドソームへのGPCRの輸送が含まれる。
【0073】
「カルボキシル末端テール」はGPCRのカルボキシル末端テールを意味する。多くのGPCRのカルボキシル末端テールは、7番目の膜貫通ドメインの終わりを特徴づける保存されたNPXXYモチーフのすぐ後から始まる(すなわち、NPXXYモチーフの後がGPCRのカルボキシル末端テールである)。カルボキシル末端テールは、比較的長い場合(およそ数十個〜数百個のアミノ酸)、または比較的短い場合(およそ数十個のアミノ酸)、または事実上、存在しない場合(およそ十個未満のアミノ酸)がある。本明細書中で使用される「カルボキシル末端テール」は、(比較的長い場合、比較的短い場合、または事実上非存在であっても)3つの変化体のすべてを意味するものとする。
【0074】
「クラスA受容体」は、好ましくは、HEK−293細胞においてアレスチンをエンドサイトーシス小胞またはエンドソームに輸送しない。
【0075】
「クラスB受容体」は、好ましくは、HEK−293細胞においてアレスチンをエンドサイトーシス小胞またはエンドソームに輸送する。
【0076】
「DAC」は任意の脱感作活性な化合物を意味する。脱感作活性な化合物は、そのプロセスを刺激するか、または阻害することのいずれかによってGPCRの脱感作機構に影響を及ぼす任意の化合物である。DACは、プロセスに関係する何らかの細胞構造だけでなく、アレスチン、GRK、GPCR、PI3K、AP−2タンパク質、クラスリン、プロテインホスファターゼなど(これらに限定されない)を含むプロセスの何らかの細胞成分に作用することによってGPCR脱感作経路に影響を及ぼす。DACには、GPCRへのアレスチン輸送を阻害する化合物、GPCRに対するアレスチン結合を阻害する化合物、GPCRへのアレスチン輸送を刺激する化合物、GPCRに対するアレスチン結合を刺激する化合物、GPCRのGRKリン酸化を阻害する化合物、GPCRのGRKリン酸化を刺激する化合物、GPCRのプロテインホスファターゼ脱リン酸化を阻害する化合物、GPCRのプロテインホスファターゼ脱リン酸化を刺激する化合物、GPCRからのアレスチンの放出を調節する化合物、GPCRのアンタゴニスト、およびインバースアゴニストなどを挙げることができるが、これらに限定されない。DACは、好ましくは、GPCRの従来のアゴニストおよびアンタゴニストと同じ、GPCRのリガンド結合部位に結合することなく、GPCR脱感作プロセスを阻害または刺激する。DACは、GPCRとは無関係に作用する。すなわち、DACは、ある特定のGPCRに対する大きい特異性、またはある特定タイプのGPCRに対する大きい特異性を有していない。
【0077】
「検出可能な分子」は、蛍光、リン光、ならびに生物発光および放射能の減衰(これらに限定されない)を含む、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、放射活性手段および光学的手段による検出が可能な任意の分子を意味する。検出可能である分子には、GFP、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ローダミンコンジュゲート化抗体などが含まれるが、これらに限定されない。検出可能な分子には、放射性同位体、エピトープタグ、アフィニティー標識、酵素、蛍光基、化学発光基などが含まれる。検出可能な分子には、他の分子とのその相互作用の関数として直接的または間接的に検出される分子が含まれる。
【0078】
「GFP」は、天然源から単離され得るか、または遺伝子操作され得る天然に存在する様々な形態のGFP、ならびに人為的に改変されたGFPを示す緑色蛍光タンパク質を意味する。GFPは当分野では周知である。例えば、米国特許第5,625,048号、同第5,777,079号および同第6,066,476号を参照のこと。GFPは、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、シアンブルー色蛍光タンパク質(CFP)、青色蛍光タンパク質、ルシフェリン、UV励起可能な蛍光タンパク質、または中間の任意の波長(これらに限定されない)を含む他の蛍光タンパク質(これは、天然源から単離された蛍光タンパク質または遺伝子操作された蛍光タンパク質であってもよい)と容易に交換可能であることが当分野では広く理解されている。本明細書中で使用される「GFP」は、当分野で知られているすべての蛍光タンパク質を意味するものとする。
【0079】
「未知受容体またはオーファンン受容体」は、その機能および/またはリガンドが知られていないGPCRを意味する。
【0080】
「NPXXYモチーフ」は、7番目の膜貫通ドメインの終わりを特徴づける保存されたアミノ酸モチーフを意味する。この保存されたアミノ酸モチーフは、アスパラギンおよびプロリンで始まり、続いて2つの非特定のアミノ酸、その後にチロシンが続く。2つの非特定のアミノ酸は様々なGPCRの間で変化し得るが、全体的なNPXXYモチーフは保存されている。
【0081】
ポリペプチドを参照するとき、「下流」は、アミノ末端に対して、アミノ酸配列のカルボキシル末端に向かうことを意味する。ポリヌクレオチドを参照するとき、「下流」は3’方向であることを意味する。
【0082】
ポリペプチドを参照するとき、「上流」は、カルボキシル末端に対して、アミノ酸配列のアミノ末端に向かうことを意味する。ポリヌクレオチドを参照するとき、「上流」は5’方向であることを意味する。
【0083】
アミノ酸置換もまた、特に好ましい性質を有するアミノ酸に置換するために導入することができる。例えば、Cysを、別のCysとのジスルフィド架橋のために可能な部位に導入することができる。Hisを、特に「触媒作用」部位として導入することができる(すなわち、Hisは酸または塩基として作用することができ、そのため、生化学的触媒における最も一般的なアミノ酸である)。Proを、βターンをタンパク質の構造において誘導するその特に平面的な構造のために導入することができる。
【0084】
2つのアミノ酸配列は、アミノ酸残基の少なくとも約70%(好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90%または95%)が同一であるか、または保存的置換を示すとき、「実質的に相同的」である。
【0085】
DNA構築物の「異種」領域は、より大きなDNA分子内の同定可能なDNAセグメントで、自然界ではそのより大きな分子と一緒に見出されないDNAセグメントである。従って、異種領域は哺乳動物の遺伝子をコードするとき、遺伝子は、通常、供給源生物のゲノムにおける哺乳動物ゲノムDNAを挟まないDNAによって挟まれる。異種コード配列の別の例として、コード配列自身が自然界において見出されない構築物がある(例えば、ゲノムのコード配列がイントロンを含有するcDNA、または天然の遺伝子とは異なるコドンを有する合成された配列)。対立遺伝子の変化または天然界で生じる変異事象は、本明細書中で規定されるようなDNAの異種領域をもたらさない。異種DNAには、米国特許第6,331,415号(この文献は参照することにより本明細書中に組み込まれる)に記載されるように、異種の種に由来するDNA(「外来DNA」)(これに限定されない)を含むことができる。
【0086】
DNA配列は、発現制御配列がそのようなDNA配列の転写および翻訳を制御および調節するとき、発現制御配列に対して「機能的に連結されている」。用語「機能的に連結される(されている)」は、適切な開始シグナル(例えば、ATG)が、発現させられるDNA配列の前方に存在すること、そして発現制御配列の制御下にあるDNA配列の発現、およびDNA配列によってコードされる所望する生成物の産生を可能にするために正しい読み枠を保つことを含む。組換えDNA分子に挿入することが所望される遺伝子が適切な開始シグナルを含有しない場合、そのような開始シグナルを遺伝子の前に挿入することができる。
【0087】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的なヌクレオシド塩基またはヌクレオチド塩基の間における、ワトソン−クリック型またはフーグスティーン型または逆フーグスティーン型の水素結合形成であり得る水素結合形成を意味する。例えば、アデニン(A)およびチミン(T)は相補的な核酸塩基であり、これらは、水素結合を形成することによって対形成する。
【0088】
用語「標準的なハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の両方について6×SSCおよび68℃に対して実質的に等価である、塩および温度の条件を示す。しかし、当業者は、そのような「標準的なハイブリダイゼーション条件」が、緩衝液におけるナトリウムおよびマグネシウムの濃度、ヌクレオチド配列の長さおよび濃度、ミスマッチの割合、ホルムアミドの割合などを含む特定の条件に依存することを理解する。また、「標準的なハイブリダイゼーション条件」の決定において重要なことは、ハイブリダイゼーションしている2つの配列がRNA−RNAまたはDNA−DNAまたはRNA−DNAであるかどうかである。そのような標準的なハイブリダイゼーション条件は、周知の式に従って当業者によって容易に決定される。この場合、ハイブリダイゼーションは、所望する場合にはより大きいストリンジェンシーの洗浄を用いて、典型的には、予測されたTmまたは測定されたTmよりも10℃〜20℃低い。これらの条件が、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(第3版、2001年)のプロトコル10に記載されている。
【0089】
「動物」により、脊椎動物(例えば、カエル、サンショウウオ、ニワトリまたはウマ)および非脊椎動物(例えば、虫など)を含む動物界の任意のメンバーが意味される。「動物」はまた、「哺乳動物」を包含することが意味される。好ましい哺乳動物には、家畜動物(例えば、ウシ、スイギュウ、ウマ、ヒツジ、ブタおよびヤギなどの有蹄類)、ならびに齧歯類(例えば、マウス、ハムスター、ラットおよびモルモット)、イヌ、ネコ、霊長類、オオカミ(lupine)、ラクダ科、シカ科、齧歯類、鳥類および魚類(ichthyes)が含まれる。
【0090】
「アンタゴニスト」には、アゴニストに結合する野生型GPCRおよび/または改変型GPCR、野生型GPCRおよび/または改変型GPCRの脱感作、野生型GPCRおよび/または改変型GPCRのアレスチン結合、野生型GPCRおよび/または改変型GPCRのエンドソーム局在化および内在化などを妨げるすべての作用因子が含まれ、これらには、野生型GPCRおよび/または改変型GPCRに影響を及ぼす作用因子、ならびに野生型GPCRおよび/または改変型GPCRのシグナル変換、脱感作、エンドソーム局在化および再感作などに関与する他のタンパク質に影響を及ぼす作用因子が含まれる。
【0091】
「GPCR」はGタンパク質共役受容体を意味し、これには、自然界に存在するGPCR、ならびに改変されているGPCRが含まれる。そのような改変されたGPCRが米国特許出願第09/993,844号(2001年11月5日出願)および米国特許出願第10/054,616号(2002年1月22日出願)に記載される(これらはその全体が参照することにより本明細書中に組み込まれる)。
【0092】
「異常なGPCR脱感作」および「異常な脱感作」は、GPCR脱感作経路が、活性な受容体と脱感作された受容体との間における平衡が野生型状態に関して変化するように破壊されていることを意味する。正常よりも活性な受容体が存在し得るか、または野生型の状態よりも大きく脱感作された受容体が存在し得る。異常なGPCR脱感作は、構成的に活性であるGPCRまたは構成的に脱感作されるGPCRの結果であると考えられ、これにより、その受容体のシグナル伝達において正常を越える増大をもたらすか、またはその受容体のシグナル伝達において正常よりも小さい減少をもたらす。
【0093】
「併用投与」、「組合せでの投与」、「同時投与」または「同時に投与される」は、化合物が、時間的に同じ時点で投与されるか、または観測される結果が、2つ以上の化合物が時間的に同じ時点で投与された場合と本質的に同じである時間的に十分に接近して投与されることを意味する。
【0094】
「保存された異常性」は、異常なGPCRシグナル伝達を生じさせ得るGPCR経路における異常性を意味し、そのような異常性には、GPCR、GRK、アレスチン、AP−2タンパク質、クラスリン、プロテインホスファターゼなどにおける様々な異常性が含まれるが、これらに限定されない。この異常なGPCRシグナル伝達はGPCR関連疾患の一因であり得る。
【0095】
「脱感作(された)GPCR」は、現時点では、アゴニストに応答し、かつ従来のGタンパク質のシグナル伝達を活性化する能力を有しないGPCRを意味する。本発明の脱感作されたGPCRは、アゴニストに対して適正に応答せず、リン酸化されず、アレスチンと結合せず、クラスリン被覆小孔に構成的に局在化せず、かつ/またはエンドサイトーシス小胞もしくはエンドソームに構成的に局在化しない。
【0096】
「脱感作経路」は、脱感作プロセスおよびその後のプロセスに関係する任意の細胞構造だけではなく、脱感作プロセスの任意の細胞成分を意味し、これには、アレスチン、GRK、GPCR、AP−2タンパク質、クラスリンおよびプロテインホスファターゼなどが含まれるが、これらに限定されない。本発明のアッセイ方法では、これらのポリペプチドを、例えば、細胞質内に、細胞膜において、クラスリン被覆小孔内に、エンドサイトーシス小胞内に、エンドソーム内に、そして中間の任意の段階などで検出することができる。
【0097】
「GPCRシグナル伝達」は、Gタンパク質のGPCR誘導による活性化を意味する。これは、例えば、cAMPの産生をもたらしてもよい。
【0098】
「Gタンパク質共役受容体キナーゼ」(GRK)には、GPCRをリン酸化する能力を有する任意のキナーゼが含まれる。
【0099】
「Gタンパク質共役受容体ホスファターゼ」には、GPCRを脱リン酸化する能力を有する任意のホスファターゼが含まれる。
【0100】
「ヒトGPCR」は、ヒト(Homo sapien)において天然に存在するGPCRを意味する。
【0101】
「インバースアゴニスト」は、GPCRに結合したとき、GPCRの基礎的な固有的活性を阻害する化合物を意味する。インバースアゴニストは一種のアンタゴニストである。
【0102】
「単離された」または「精製された」核酸分子もしくはタンパク質もしくそれらの生物学的活性な部分または抗体は、組換え技術によって産生されたときには、他の細胞物質または培養培地を実質的に含まず、あるいは、化学合成されたときには、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。好ましくは、「単離された」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNAにおける核酸(すなわち、核酸の5端および3端に位置する配列)に天然の状態で隣接する配列(好ましくは、タンパク質コード配列)を含まない。本発明の目的のために、核酸分子を示すために使用されるとき、「単離された」は、単離された染色体を含まない。例えば、様々な実施形態において、単離された核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNAにおける核酸分子に天然の状態で隣接する、約5kb未満、約4kb未満、約3kb未満、約2kb未満、約1kb未満、約0.5kb未満または約0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有することができる。細胞物質を実質的に含まないタンパク質には、約30%未満、約20%未満、約10%未満または約5%未満(乾燥重量比)の別のタンパク質を有するタンパク質調製物が含まれる。タンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換え製造されるとき、好ましくは、培養培地は、タンパク質調製物の容量の約30%未満、約20%未満、約10%未満または約5%未満である。タンパク質が化学合成によって製造されるとき、好ましくは、タンパク質調製物は、約30%未満、約20%未満、約10%未満または約5%未満(乾燥重量比)の化学的前駆体または非タンパク質化学物質を有する。
【0103】
「改変されたGRK」は、脱感作を変化させるように改変されたGRKを意味する。
【0104】
「天然に存在するGPCR」は、自然界に存在するGPCRを意味する。
【0105】
「においリガンド」は、受容体に結合したとき、においの知覚をもたらすリガンド化合物を意味し、これには、アゴニスト分子およびアンタゴニスト分子を含む合成化合物および/または組換え製造化合物が含まれる。
【0106】
「におい受容体」は、(通常的には、においリガンドと結合することによって)活性化されたとき、においの知覚をもたらす、嗅覚ニューロンの表面に通常の場合には見出される受容体タンパク質を意味する。
【0107】
「感作されたGPCR」は、現時点では、アゴニストに応答し、かつ従来のGタンパク質シグナル伝達を活性化する能力を有するGPCRを意味する。
【0108】
GPCRおよび脱感作
本発明は、一般には、1つ以上のGPCRリガンドを含有する不均一な溶液に存在するGPCRリガンドを検出することに関連する。例えば、そのような溶液には、血清、血液、別の生物学的サンプル、または環境サンプルを挙げることができる。
【0109】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、広範囲の生理学的プロセスを調節しており、臨床薬物を発見するための重要な標的である。GPCRは、生物学的に活性な分子について細胞外環境をサンプリングする高感度な形質膜検知センサーとしてインビボで機能する。GPCRは、形質膜にまたがる結合事象を、多数のクラスの細胞内Gタンパク質の1つ以上と相互作用することによって伝達する。
【0110】
GPCRがアゴニストにさらされると、その同系のヘテロ三量体Gタンパク質からの受容体の脱共役を伴うそのシグナル伝達能の迅速な低下がもたらされる。アゴニスト特異的な脱感作または相同的な脱感作を媒介する細胞機構は、アゴニストにより占有される受容体がGタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)によって脱リン酸化され、次いで、アレスチンタンパク質と結合する二段階プロセスである。
【0111】
アゴニストがGPCRと結合した後、Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)がGPCRの細胞内ドメインをリン酸化することが発見されている。リン酸化の後、アレスチンタンパク質が、GRKによりリン酸化された受容体と会合し、受容体をその同系のGタンパク質から脱共役する。アレスチンとリン酸化GPCRとの相互作用はGPCRのシグナル伝達を終わらせ、シグナル伝達しない脱感作された受容体をもたらす。
【0112】
脱感作されたGPCRに結合したアレスチンは、エンドサイトーシス装置の構成成分にGPCRをつなぐアダプタータンパク質(例えば、アダプタータンパク質−2(AP−2)およびクラスリンなど)として機能することによって、エンドサイトーシス(すなわち、内在化)のために、GPCRをクラスリン被覆小孔に標的化する。取り込まれたGPCRは脱リン酸化され、そして脱感作されて細胞表面に戻され、再使用される。アレスチンとGPCRとの相互作用の安定性は、GPCRの脱リン酸化および再使用および再感作の速度を決定する1つの要因である。脱感作プロセスにおけるGPCRのリン酸化および脱リン酸化の関与が米国特許出願第09/993,844号(2001年11月5日出願)に例示されている(その開示はその全体が参照することにより本明細書により組み込まれる)。
【0113】
Gタンパク質共役受容体に結合するホルモンの異常な調節が多くの疾患の病理発生のもとになっている。これらの調節因子の血清中レベルおよび組織レベルを測定することができることは、臨床的および科学的に望ましいが、現在、非常に特殊化された生化学的アッセイおよび免疫化学的アッセイに限定されている。本発明は、GPCR活性に共通するプロセスを評価する一般化された方法を提供し、これにより、GPCRに基づく疾患をスクリーニングおよび診断するための有用な方法を提供する。さらに、本発明は、GPCRリガンドを変化させる化合物について、サンプル(すなわち、生物学的サンプルまたは環境サンプルなど)をスクリーニングする方法を提供する。
【0114】
本発明者らは、生物学的溶液または環境溶液におけるGPCRリガンドの存在を検出する方法を開発するために、GPCRの間で共通するこの脱感作プロセスを利用している。本発明は、生物学的サンプル、環境サンプル(例えば、水もしくは土壌など)、または他の溶液における、GPCRのアゴニスト、リガンド、アンタゴニストまたは関連化合物の濃度、存在、非存在、または変化した濃度を検出する方法に関連する。
【0115】
本発明の1つの実施形態において、バイオセンサーが用いられる。このバイオセンサーは、GPCRおよびアレスチンを含む宿主細胞(1つまたは複数)である。アゴニストが存在しないとき、アレスチンがGPCRと結合し、GPCRが取り込まれる。好ましくは、このプロセスは、アレスチンまたはGPCRを検出することによって視覚化される。このバイオセンサーは、生物学的サンプルまたは環境サンプルなどの試験サンプルにおけるアゴニストの存在を検出するために使用することができる。本発明のバイオセンサーによるアゴニストの検出は、疾患診断において、ならびに、環境における危険化合物の検出において有用である。
【0116】
本発明者らは、GPCRおよびアレスチンを含む宿主細胞が、試験サンプルにおけるGPCRの様々なリガンドを検出するために使用され得ることを明らかにした。本発明のバイオセンサーは、試験サンプルにおいてリガンドの多数の生物活性なイソ型を検出するために有用である。米国特許出願第09/993,844号(2001年11月5日出願)、米国特許出願第10/054,616号(2002年1月22日出願)および米国特許出願第10/101,235号(2002年3月19日出願)(これらは参照することによりその全体が本明細書により組み込まれる)において、GPCRおよびアレスチン−GFPを発現する細胞が、溶液におけるリガンドまたはアンタゴニストの同定のために使用された。本発明において、本発明者らは、GPCRおよびアレスチン−GFPを発現する細胞が、試験サンプルにおいて、リガンドの1つのイソ型だけではなく、リガンドの生物活性なイソ型のすべてを検出するために有用であることを明らかにした。本発明は、試験サンプルにおいて、リガンドの1つのイソ型だけではなく、リガンドの生物活性なイソ型のすべての濃度を決定するために有用である。
【0117】
本発明の好ましい実施形態において、試験サンプルは不均一である。試験サンプルは様々なタンパク質および化合物を含むことができる。試験サンプルはGPCRリガンドの多数のイソ型を含むことができる。
【0118】
本発明の方法は、試験サンプルにおけるGPCRリガンドを検出する現行の方法を上回る数多くの利点を提供する。本発明の方法は非常に高感度で特異的である。本発明の方法では、反応性のエピトープを有するリガンド化学種のみを検出する他の抗体型方法(RIAなど)とは対照的に、GPCRにより、サンプルにおける様々な生物反応性のリガンド化学種が検出される。さらに、本発明の方法はすべてのGPCRに広く適用され、そして様々なGPCRに対して容易に適合化される。
【0119】
本発明のバイオアッセイの1つの具体的な長所は、すべての偽陽性の結果が事実上排除されるということである。標準的なRIAでは、抗血清と相互作用し得る何らかのエピトープにより、陽性の読み取り値がもたらされ得る。対照的に、本発明のバイオアッセイでは、GPCRが用いられるため、免疫反応性ではなく、生物活性が測定される。アレスチンの輸送をもたらすリガンド−受容体相互作用が、リガンドの免疫学的性質にもかかわらず、生物学的に関連する。生物学的活性の程度を血清サンプルまたは組織サンプルにおいて放射能の非存在下で明らかにすることができることは、疾患の病理学を確認するための、または異常なホルモン濃度から生じる潜在的な合併症を予測するための、多くが要求される実験室への付加である。
【0120】
他の方法とは対照的に、本発明の方法は、サンプルにおける他の化合物との交差反応性を受けない。本発明の方法は、生物学的に活性であり、かつ生物学的に活性でないサンプル中の化合物と交差反応しないGPCRリガンドを検出することに対して特異的である。さらに、本発明者らの方法とは対照的には、他の検出方法では、試験サンプルにおけるリガンドの生物活性なイソ型のすべてを検出することができない。
【0121】
ガストリンの検出
多数の疾患状態がGPCRリガンド濃度の異常な調節と関連している。本発明は、GPCRリガンドの存在、非存在、濃度、または濃度変化を検出する方法を提供する。そのような方法を使用して、本発明は、疾患または疾患原因状態を診断する方法を提供する。
【0122】
臨床アッセイは、疾患が存在するときに疾患を診断できないこと、すなわち、偽陰性の結果、または病理を適切に示さないこと、すなわち、偽陽性の結果によって妨げられることが多い。本発明の方法では、GPCRリガンドの生物活性なイソ型のすべてを検出することが伴うので、本発明の方法は偽陰性の結果をもたらさない。例えば、本発明者らは、本発明の方法により、ガストリンの免疫活性な形態だけではなく、ガストリンの生物活性なイソ型のすべてが検出されたことを明らかにしており、従って、本発明の方法は偽陰性の結果をもたらさない。このことは、免疫学的アッセイにより検出できない潜在的な受容体アゴニストであるペンタガストリンに応答して観測された一貫する応答から特に明かである。標準物としてhG17を使用して内因性リガンドを検出することに対する実験感度は、RIAによって明らかにされるような正常の上限(<200pg/ml、約50pM〜90pM)に近い範囲である約100pM〜200pM(200pg/ml〜400pg/mlのhG17)であった。感度を増大させるための様々な方法には、より多くの内在化を可能にするために受容体再使用を阻止すること、サンプル濃縮、または親和性を増大させるための変異誘発による受容体改変が含まれる。
【0123】
本発明の1つの実施形態は、試験サンプル中のガストリンにさらされた後におけるCCK−B GPCRの位置を分析することによる高ガストリン血症の診断である。CCK−B GPCRおよびアレスチンを発現する細胞が提供される。GPCRまたはアレスチンを検出可能に標識することができる。これらの細胞は試験サンプルにさらされ、GPCRまたはアレスチンの位置のその後の変化が分析される。そのような分析は定量的であり得るし、従って、そのような分析により、試験サンプルにおけるガストリンまたは生物学的に活性なイソ型の濃度を示すことができる。下記に議論されるように、ガストリン濃度により、高ガストリン血症などの疾患状態を示すことができる。
【0124】
ガストリンは、GPCRと結合するリガンドであり、胃酸分泌の主要なホルモン性調節因子である。ガストリンの2つの主要な形態が分泌される(ガストリン−34およびガストリン−17)。しかし、すべてのガストリンは、カルボキシル末端がアミド化されたテトラペプチド(Trp−Met−Asp−Phe−NH2)を有しており、これにより、完全な生物学的活性がもたらされる。ガストリンの大多数は胃洞の内分泌細胞で産生される。プロガストリンは、数多くの哺乳動物組織、すなわち、胃腸管の胃洞、十二指腸、回腸、結腸および膵臓;生殖管の卵巣、精巣および精子;神経内分泌組織の小脳、迷走神経、視床下部、下垂体および副腎髄質;そして気道の気管支粘膜、で発現することが知られている。だが、プロガストリンは他の組織でも同様に発現され得る。
【0125】
ガストリンは、GI管および脳において見出されるGPCRのCCK−A受容体およびCCK−B受容体に結合するホルモンであるコレシストキニン(CCK)ファミリーの胃腸(GI)ペプチドのメンバーである。典型的な7回らせんGタンパク質共役受容体(GPCR)としてのCCK−B受容体のクローニングおよび特徴づけにより、ガストリンの研究における有益なツールが提供されている。ヒトCCK−B受容体は、ガストリンおよびコレシストキニンに対してナノモル濃度の親和性を有している。CCKの循環レベルは、従来の放射免疫アッセイ(RIA)による検出を越えているが、ガストリンの主要な生物学的に活性な形態、すなわち、血液中に分泌されるガストリン−17およびガストリン−34がRIAによって免疫学的に検出可能である。現在、血清中ガストリンの測定は、1つ以上の異なるガストリンイソ型に対する抗体を使用する放射免疫アッセイによって行われている。場合により、抗血清は、その生物学的効力が異なるか、またはCCK−B受容体シグナル伝達に関連する生物学的結果をもたらさないガストリン前駆体または他の血清タンパク質に対する交差反応性を示すことがある。あるいは、高ガストリン血症の症状および/または知られているガストリン分泌腫瘍を有し、血清中ガストリンのRIA測定値が正常であった患者が示されている。これにより、ある種の腫瘍では、RIAにより検出できないガストリン変化体が産生されているかもしれないという仮説に至った。
【0126】
ガストリンの2つの主要な生物学的に活性な形態(17アミノ酸および34アミノ酸の長さ)が、プレプロガストリンの酵素消化によって産生され、胃洞G細胞によって血液内に分泌される。ガストリンは胃酸の放出およびGI粘膜の成長を主に調節し、そしてその過剰発現は腸クロム親和細胞過形成および腫瘍と関連する。
【0127】
小胞体において、プレプロガストリンのシグナルペプチドが切断され、プロガストリンが生じる。ゴルジ体におけるプロガストリンのさらなる酵素的修飾により、分泌顆粒にパッケージされる生成物が生じる。数多くの分泌顆粒生成物がプレプロガストリンに由来する。プロガストリン、グリシン伸長型ガストリン−17、グリシン伸長型ガストリン−34、ガストリン−71、ガストリン−34、ガストリン−17およびガストリン−6。
【0128】
高ガストリン血症はGI悪性腫瘍と関連しており、その結果として、血清中ガストリンレベルが臨床活動では日常的に測定される。高ガストリン血症は病態生理学的な状態で生じることがあり、血清中ガストリンレベルが、長期間の酸抑制剤による薬物療法を受けた患者でもまた上昇し得る。現在、血清中ガストリンの測定は、1つ以上の異なるガストリンイソ型に対する抗体を使用して放射免疫アッセイ(RIA)によって行われている。場合により、抗血清は、その生物学的効力が異なるか、またはCCK−B受容体シグナル伝達に関連する生物学的結果をもたらさないガストリン前駆体または他の血清タンパク質に対する交差反応性を示すことがある。あるいは、高ガストリン血症の症状および/または知られているガストリン分泌腫瘍を有し、血清中ガストリンのRIA測定値が正常であった患者が示されている。これにより、ある種の腫瘍では、RIAにより検出できないガストリン変異体が産生されているかもしれないという仮説に至った。
【0129】
アセチルコリンの検出
本発明の別の実施形態において、軍隊および市民社会にとって注目される数多くの化学的/生物学的薬剤を、記載されたセンサーによって容易に検知することができる。本発明は、生物学的薬剤、毒素、神経毒および神経ガスなどを検出するために使用することができる。生物学的に関連する分子を非常に高感度で迅速かつ正確に検出および定量することができることは、医療技術、国家安全保障、公衆安全、環境安全、ならびに市民および軍隊の医療診断のために重要な問題である。
【0130】
バイオテロ剤などの薬剤を検出するためのそのようなバイオセンサーは、環境において、現在の検出方法を上回る数多くの利点を提供する。第1に、アッセイは高感度であり、そしてリガンドの生物学的活性に基づくので、注目されるリガンドの何らかの生物活性な変化体の存在が検出される。第2に、アッセイは定量的であり、サンプル中のリガンドの変化した濃度または最小限の濃度を検出することができる。アッセイはまた、連続様式でモニターすることができる。さらに、サンプル調製が極めて直接的である。すなわち、サンプルは、検出のために水溶液に懸濁することが必要であるだけである。
【0131】
サリンおよび有機ホスファート殺虫剤(例えば、ジアジノン)を含む数多くの神経毒は、神経伝達物質アセチルコリンを不活性化する酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害する。インビボにおいて、アセチルコリンエステラーゼ活性を低下させる化合物は、シナプス間隙におけるアセチルコリン濃度の増大を生じさせ、これにより、過度な神経興奮をもたらす。試験サンプルにおけるアセチルコリンのレベルを使用して、アセチルコリンエステラーゼ活性をモニターすることができ、そしてアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の存在を検出することができる。本発明の1つの態様は、環境サンプルまたは生物学的サンプルにおけるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の存在を検出する方法としての、ムスカリン性受容体を発現する単一細胞バイオセンサーの使用である。
【0132】
本発明の別の実施形態は環境状態の野外試験に関連する。天然の化学物質、産業廃棄物および生物学的/化学的な戦争剤の存在を含む環境状態の自動化された検知が、本発明の実施形態を使用して可能である。無線伝送により試験結果を転送することにより、遠隔検知能力を提供することができ、そしてヒトまたは中央コンピューターにより指揮される活動による応答能力を提供することができる。その場合、応答の指示を検知位置または別の重要な応答位置のいずれかに送ることができる。そのようなシステムは、例えば、公共上水道における毒素の存在を明らかにすること、そして、その後、貯水場からの水の流れを中央指令により中断することにおいて有用であると考えられる。
【0133】
上記には、CCK−Bまたはムスカリン性GPCRを用いる本発明の様々な実施形態が記載される。さらに、本発明には、任意のGPCRを用いるバイオセンサーが含まれる。蛍光顕微鏡観察によって、アレスチンと緑色蛍光タンパク質との融合タンパク質を使用して、アレスチンとのGPCRの会合、および少なくとも40個の異なるGPCRのその後の内在化が可能である(図2)。これらの細胞のそれぞれ、ならびに他の同様な細胞は本発明の有用なバイオセンサーである。
【0134】
本発明の方法
本発明は、サンプルにおけるGPCR結合化合物の存在を分析する非常に特異的かつ高感度で、一般化された定量的方法を提供する。
【0135】
本発明の1つの実施形態は、試験サンプルにおけるGPCRリガンドを検出する方法である。より詳細には、この方法は、(a)GPCRおよびアレスチンを含む細胞を提供するステップと、(b)細胞を試験サンプルにさらすステップと、(c)試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布を測定するステップとを含み、この場合、試験サンプルが、生物学的サンプルまたは環境サンプルであるか、あるいは生物学的サンプルまたは環境サンプルに由来する。
【0136】
好ましい実施形態において、試験サンプルの存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布が、試験サンプルの非存在下におけるGPCRまたはアレスチンの細胞分布と比較される。種々の濃度の試験サンプルを分析することができる。細胞分布を、試験サンプルにさらされた後の種々の時点で測定することができる。
【0137】
本発明の1つの実施形態において、GPCRまたはアレスチンが検出可能に標識されるか、または別の内因性分子が検出可能に標識されるか、または別の外因性分子が検出可能に標識される。検出可能に標識された分子の分布により、GPCRまたはアレスチンの細胞分布が表される。GPCRまたはアレスチンの分布により、GPCRが取り込まれる程度を示すことができる。検出可能に標識された分子の細胞分布を定量することができる。
【0138】
本発明の1つの実施形態において、サンプルは既知濃度のリガンドを含むことができる。試験サンプルの存在下における検出可能に標識された分子の細胞分布を、既知濃度のリガンドの存在下における分布と比較することによって、試験サンプルにおけるリガンドの濃度を測定することができる。
【0139】
試験サンプルは生物学的サンプルまたは環境サンプルであり得る。生物学的サンプルは、血清、組織、血液もしくは尿であり得るか、または、血清、組織、血液もしくは尿に由来し得る。
【0140】
1つの実施形態において、GPCRはCCK−BまたはCCK−Aである。リガンドは、ガストリン、プレプロガストリン、切断型プレプロガストリン、ガストリン−34、ガストリン−17、ペンタガストリン、プロガストリン、グリシン伸長型ガストリン−17、グリシン伸長型ガストリン−34、ガストリン−71、ガストリン−6であり得る。1つの実施形態において、GPCRはムスカリン性受容体である。リガンドはアセチルコリンである。
【0141】
好ましい実施形態において、標識された分子は、細胞質、クラスリン被覆小孔、形質膜、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームに局在化する。標識された分子の局所的濃度の増大はシグナル強度の局所的な増大をもたらす。形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおけるシグナル強度は、細胞質におけるシグナル強度よりも増大し得る。局所的なシグナル強度は、リガンド、アゴニストまたはアンタゴニストなどの化合物の増大した量または低下した量の存在下で増大または低下し得る。
【0142】
好ましい実施形態において、試験サンプルにおけるリガンドの濃度により、疾患状態が示される。試験サンプルにおけるリガンドの濃度により、リガンド濃度を変化させる化合物が試験サンプルに存在することを示すことができる。リガンドの濃度により、アセチルコリンを改変する化合物、またはアセチルコリンエステラーゼを阻害する化合物が試験サンプルに存在することを示すことができる。
【0143】
好ましい実施形態において、検出可能な分子は、放射性同位体、エピトープタグ、アフィニティー標識、酵素、蛍光基または化学発光基である。1つの実施形態において、分子は、検出可能に標識される別の分子とのその相互作用のために検出可能に標識することができる。
【0144】
本発明の1つの実施形態は、哺乳動物におけるGPCRリガンドをモニターする方法であり、この場合、試験サンプルにおけるリガンド濃度の分析は、リガンドがGPCRに結合することに基づく。この方法は、臨床状態をモニターするために使用することができ、かつ/または疾患状態の存在を示すことができる。臨床状態により、対象が障害を有するか、または障害を発症する危険性があることを示すことができる。臨床状態として、胃腸がん、高ガストリン血症、萎縮性胃炎、胃潰瘍または悪性腫瘍を挙げることができる。
【0145】
検出可能な分子に結合させたアレスチンを、そのようなアレスチンがGPCR経路において機能するので検出およびモニターすることができる。アレスチンの位置を、例えば、細胞の細胞質に一様に分布するアレスチン、細胞膜に濃縮されるアレスチン、クラスリン被覆小孔に濃縮されるアレスチン、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームに局在化するアレスチンなどを検出することができる。GPCRに対するアレスチンの接近を、任意の他の細胞構造に対する接近と同様にモニターすることができる。
【0146】
好ましくは、アレスチン、GPCRおよび/またはアレスチン/GPCR複合体をエンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおいて検出することができる。従って、アレスチン、GPCRおよび/またはアレスチン/GPCR複合体をアゴニストの非存在下でエンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおいて検出することができる。エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおけるアレスチンとGPCRとの会合は、長期間にわたって持続する容易に認識可能な強いシグナルをもたらし得る。40×対物レンズの倍率のもとでは、シグナルは外見がドーナッツ様であり得る。エンドサイトーシス小胞またはエンドソームに局在化したアレスチンおよびGPCRの区画化から生じるシグナルが典型的には容易に検出される。同様に、この会合を阻止することが容易に検出される。検出方法の様々な例が本明細書中に記載される。そのような方法には、例えば、偏光顕微鏡観察、BRET、FRET、エバネッセント波励起顕微鏡観察、および標準的な顕微鏡観察または共焦点顕微鏡観察が含まれる。
【0147】
本発明の1つの実施形態は、試験サンプルにおけるガストリン濃度を測定する方法である。ガストリン受容体(CCK−B)と、β−アレスチン2および緑色蛍光タンパク質(GFP)からなる融合タンパク質とを永続的に発現する細胞株を用いることによって、本発明者らは、血清中ガストリンを測定するための単一細胞バイオセンサーを構築した。アゴニストにより活性化されたガストリン受容体に応答したアレスチン−GFPの定量的再分配が、蛍光共焦点顕微鏡観察によって得られた細胞像を分析することによって測定され、そして、そのようなアレスチン−GFPの定量的再分配は受容体活性化の高感度かつ特異的な測定をもたらした。そのような単一細胞バイオセンサーは、ガストリンの生物活性な血清中濃度を測定する実用的な手段であり、高ガストリン血症の診断を可能にする。
【0148】
1つの実施形態において、試験サンプルにおけるGPCRリガンドの存在により、疾患の存在、すなわち、対象が障害を有するか、または障害を発症する危険性があることが示される。あるいは、GPCRリガンドの非存在、変化した濃度、または他の変化により、疾患の存在、すなわち、対象が障害を有するか、または障害を発症する危険性があることを示すことができる。
【0149】
1つの実施形態において、GPCRリガンドの分析により、GPCRリガンドを変化させる化合物の存在、非存在、増強、阻害、または他の変化が示される。分析により、リガンドの存在、非存在、変化した濃度、または他の変化を示すことができる。GPCRリガンドを変化させる化合物には、GPCRリガンドに対して直接的な影響を及ぼす酵素、阻害剤、活性化因子、小分子または他の化合物を挙げることができる。GPCRリガンドを変化させる化合物には、GPCRリガンドに対して間接的な影響を及ぼす酵素、阻害剤、活性化因子、小分子または他の化合物を挙げることができる。
【0150】
特定の実施形態において、GPCRはムスカリン性受容体であり、試験サンプルにおけるアセチルコリンの濃度を測定する方法である。ムスカリン性受容体と、β−アレスチン2および緑色蛍光タンパク質からなる融合タンパク質とで一時的にトランスフェクションされた細胞株を用いることによって、本発明者らは、サンプル中のアセチルコリンを測定するための単一細胞バイオセンサーを構築した。
【0151】
アセチルコリンは、ムスカリン性受容体のリガンドであり、アセチルコリンエステラーゼによって変化させられる。アセチルコリンエステラーゼが存在するとき、試験サンプル中のアセチルコリンの濃度は減少する。試験サンプル中のアセチルコリンの量の減少は、アレスチン−GFPコンジュゲート体の低下した内在化によって視覚化されるように、ムスカリン性受容体の内在化量を低下させた。
【0152】
本発明のさらなる実施形態は、上記方法の感度を増大する方法に関連する。1つの態様において、米国特許出願第09/993,844号(2001年11月5日出願)(これは参照することによりその全体が本明細書により組み込まれる)に記載されるように、GPCR自身を、増強されたリン酸化部位を有するようにそのC末端テールにおいて改変することができる。アッセイの感度はまた、GRKの過剰発現によって増大させることができる。バイオセンサーは、シグナルを増大させるために、より長い期間にわたって、または増大した濃度で試験サンプルにさらすことができる。
【0153】
タンパク質の発現
本発明の別の特徴は、本明細書中に開示されるように、バイオセンサーを得るために、GPCRおよび/またはアレスチンをコードするDNA配列を細胞において発現させることである。当分野で周知のように、DNA配列は、DNA配列を適切な発現ベクターにおける発現制御配列に機能的に連結し、そのような発現ベクターを用いて、適切な単細胞宿主を形質転換することによって発現させることができる。
【0154】
発現制御配列に対するDNA配列のそのような機能的な連結には、当然のことではあるが、既にDNA配列の一部でない場合、開始コドンATGを正しい読み枠でDNA配列の上流に提供することが含まれる。
【0155】
広範囲の宿主/発現ベクターの組合せを、DNA配列を発現させる際に用いることができる。例えば、有用な発現ベクターは、染色体DNA配列のセグメント、非染色体DNA配列のセグメントおよび合成DNA配列のセグメントから構成され得る。好適なベクターには、SV40の誘導体、ならびに、知られている細菌プラスミド、例えば、大腸菌プラスミド(colEI、pCR1、pBR322、pMB9)およびその誘導体、RP4などのプラスミドなど;ファージDNA、例えば、ファージλ(例えば、NM989)および他のファージDNA(例えば、M13)および繊維状一本鎖ファージDNAの多数の誘導体;酵母プラスミド、例えば、2μプラスミドまたはその誘導体など;真核生物細胞において有用なベクター、例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞において有用なベクターなど;プラスミドおよびファージDNAの組合せに由来するベクター、例えば、ファージDNAまたは他の発現制御配列を用いるために改変されているプラスミドなど;その他、が含まれる。
【0156】
広範囲の発現制御配列(すなわち、それに機能的に連結されたDNA配列の発現を制御する配列)はどれも、DNA配列を発現させるためにこれらのベクターにおいて使用することができる。そのような有用な発現制御配列には、例えば、SV40、CMV、ワクシニア、ポリオーマまたはアデノウイルスの初期プロモーターまたは後期プロモーター、lacシステム、trpシステム、TACシステム、TRCシステム、LTRシステム、ファージλの主要なオペレーター領域およびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素に対するプロモーター、酸性ホスファターゼ(例えば、Pho5)のプロモーター、酵母α−接合因子のプロモーター、ならびに原核生物細胞または真核生物細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、ならびにそれらの様々な組合せが含まれる。
【0157】
広範囲の単細胞宿主細胞もまた、DNA配列を発現させることにおいて有用である。これらの宿主には、周知の真核生物宿主および原核生物宿主、例えば、大腸菌、シュードモナス属、バチルス属、ストレプミセス属の様々な系統、酵母などの菌類、植物細胞、線虫細胞、および動物細胞(HEK−293細胞、CHO細胞、RI.I細胞、B−W細胞およびL−M細胞など)、アフリカミドリサル腎臓細胞(例えば、COS1、COS7、BSC1、BSC40およびBMT10)、昆虫細胞(例えば、Sf9)、ならびに組織培養されているヒト細胞および植物細胞を挙げることができる。しかし、哺乳動物細胞が、本発明のバイオセンサーを作製するためには好ましい。
【0158】
必ずしもすべてのベクターおよび発現制御配列および宿主が、DNA配列を発現させるために等しく十分に機能しないことが理解される。また、すべての宿主が同じ発現システムに関して等しく十分に機能しない。しかし、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく所望する発現を達成するために過度な実験を行うことなく、適切なベクターおよび発現制御配列および宿主を選択することができる。例えば、ベクターを選択する際には、ベクターがその中で機能しなければならないので、宿主を考慮しなければならない。ベクターのコピー数、コピー数を制御する能力、およびベクターによってコードされる何らかの他のタンパク質(例えば、抗生物質マーカーなど)の発現もまた考慮される。
【0159】
発現制御配列を選択する際には、通常、様々な要因が考慮される。これらの要因には、例えば、システムの相対的な強さ、その制御性、および特に潜在的な二次的な構造体に関して、発現させられる特定のDNA配列または遺伝子とのその適合性が含まれる。好適な単細胞宿主が、例えば、選ばれたベクターとのその適合性、その分泌特性、タンパク質を正しく折り畳むその能力、およびその発酵条件、ならびに発現させられるDNA配列によってコードされる生成物の宿主に対する毒性、および発現生成物の精製の容易さを考慮することによって選択される。
【0160】
これらの要因および他の要因を考慮して、当業者は、発酵または大規模な動物培養でDNA配列を発現する様々なベクター/発現制御配列/宿主の組合せを構築することができる。
【0161】
上記で言及されたように、改変されたGPCRをコードするDNA配列を、クローン化ではなく合成的に調製することができる。適切なコドンをGPCRアミノ酸配列に対して有するDNA配列を設計することができる。一般に、配列が発現のために使用される場合、意図された宿主に対して好ましいコドンが選択される。完全な配列が、標準的な方法によって調製された重なるオリゴヌクレオチドから組み立てられ、そして完全なコード配列に組み立てられる。例えば、Edge、Nature、292:756(1981);Nambairら、Science、223:1299(1984);Jayら、J.Biol.Chem.、259:6311(1984)を参照のこと。
【0162】
合成DNA配列により、GPCRのアナログまたは「ムテイン」を発現する遺伝子の好都合な構築が可能になる。あるいは、ムテインをコードするDNAを、天然型または改変型のGPCR遺伝子またはcDNAの部位特異的変異誘発によって作製することができ、そしてムテインを、従来のポリペプチド合成を使用して直接作製することができる。
【0163】
非天然アミノ酸をタンパク質に部位特異的に取り込むための一般的な方法が、Christopher J.Noren、Spencer J.Anthony−Cahill、Michael C.Griffith、Peter G.Schultz、Science、244:182〜188(1989年4月)に記載される。この方法は、非天然アミノ酸を有するアナログを作製するために使用することができる。
【0164】
コンジュゲート体
本発明のアッセイ方法において使用される細胞は、アレスチンタンパク質および検出可能な分子のコンジュゲート体、GPCRおよび検出可能な分子のコンジュゲート体、GPCR/アレスチン複合体の任意のメンバーおよび検出可能な分子とコンジュゲート体、検出可能な分子と、GPCR/アレスチン複合体の任意のメンバーと相互作用する分子とのコンジュゲート体などを含むことができる。検出可能な分子は、そのような分子自体だけでなく、検出可能な分子と相互作用する分子の検出を可能にする。
【0165】
視覚アレスチン、β−アレスチン1およびβ−アレスチン2(これらに限定されない)を含めて、すべての形態のアレスチン、天然に存在する変化体および操作された変異体を本発明において使用することができる。GPCRは、検出可能なレベルにすべての形態のアレスチンと相互作用することができる。
【0166】
使用され得る検出可能な分子には、生物発光、リン光および蛍光(これらに限定されない)を含む、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、放射活性手段および光学的手段による検出が可能である分子が含まれるが、そのような分子に限定されない。これらの検出可能な分子は、生物学的に適合し得る分子でなければならず、そして分子の生物学的な機能を損なってはならず、かつ検出される検出可能な分子の能力を損なってはならない。好ましい検出可能な分子は、蛍光またはリン光または生物発光を放射するために、化学的、機械的、電気的または放射活性的に励起され得るような、光学的に検出可能なタンパク質を含む光学的に検出可能な分子である。より好ましい検出可能な分子は、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む蛍光性のタンパク質などの固有的に蛍光性の分子である。検出可能な分子は、Barakら(米国特許第5,891,646号および同第6,110,693号)に記載されるような方法によってアレスチンタンパク質にコンジュゲート化することができる。検出可能な分子は、前端または後端または中央部においてコンジュゲート化することができる。
【0167】
GPCRもまた、検出可能な分子とコンジュゲート化することができる。好ましくは、GPCRのカルボキシル末端が、検出可能な分子とコンジュゲート化される。GPCRが、検出可能な分子とコンジュゲート化される場合、アレスチンとのGPCRの接近を容易に検出することができる。さらに、GPCRが、検出可能な分子とコンジュゲート化される場合、アレスチンによるGPCRの区画化を容易に確認することができる。GPCRとコンジュゲート化するために使用される検出可能な分子には、上記に記載されるような検出可能な分子を挙げることができ、これには、例えば、蛍光またはリン光または生物発光を放射するために、化学的、機械的、電気的または放射活性的に励起され得るような光学的に検出可能な分子が含まれる。好ましい光学的に検出可能な分子は、免疫蛍光、発光、蛍光およびリン光によって検出することができる。
【0168】
例えば、GPCRは、免疫蛍光分子にコンジュゲート化された抗体で標識された抗体であり得るか、またはGPCRは、発光性ドナーとコンジュゲート化することができる。特に、GPCRは、例えば、ルシフェラーゼ(例えば、ウミシイタケ属(Renilla)ルシフェラーゼ)またはローダミンコンジュゲート化抗体(例えば、ローダミンコンジュゲート化抗HAマウスモノクローナル抗体)とコンジュゲート化することができる。好ましくは、GPCRのカルボキシル末端テールを発光性ドナー(例えば、ルシフェラーゼ)とコンジュゲート化することができる。GPCR、好ましくは、カルボキシル末端テールはまた、L.S.Barakら、機能的に完全なβ2−アドレナリン作動性受容体−緑色蛍光タンパク質コンジュゲートの内部輸送および表面移動性、Mol.Pharm.(1997)51、177〜184に記載されるように、GFPとコンジュゲート化することができる。
【0169】
細胞タイプおよび基板
本発明の細胞は、少なくとも1つのGPCRと、アレスチンとを発現する。この場合、これらの分子の少なくとも1つが検出可能に標識される。本発明において有用な細胞には、真核生物細胞および原核生物細胞が含まれ、これらには、細菌細胞、酵母細胞、菌類細胞、昆虫細胞、線虫細胞、植物細胞および動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。好適な動物細胞には、HEK細胞、HeLa細胞、COS細胞、U2OS細胞、および様々な霊長類哺乳動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。アレスチンおよび検出可能な分子のコンジュゲート体を、その組織全体で、または特定の器官タイプもしくは組織タイプにおいて発現する動物モデルもまた本発明において使用することができる。
【0170】
基板には、本発明の多数の細胞がその表面に置かれている。基板としては、任意の好適な生物学的な基板を挙げることができ、これには、ガラス材、プラスチック材、セラミック材、半導体材、シリカ材、光ファイバー材、ダイアモンド材、生体適合性モノマー材、または生体適合性ポリマー材が含まれるが、これらに限定されない。
【0171】
検出方法
検出可能に標識されたアレスチンの細胞内の位置、検出可能に標識されたGPCRの細胞内の位置、あるいは、検出可能に標識されたアレスチン、またはGPCR/アレスチン複合体の他のメンバーとGPCRまたは任意の他の細胞構造体との相互作用(これらには、例えば、アレスチンまたはGPCRの細胞膜における濃縮、エンドソームにおけるGPCRとのアレスチンの共局在化、およびクラスリン被覆小孔におけるアレスチンまたはGPCRの濃縮などが含まれる)を検出する方法は、使用される検出可能な分子(1つまたは複数)に依存して変化する。
【0172】
当業者は、使用される検出可能な分子(1つまたは複数)について好適な検出方法を容易に考案することができる。光学的に検出可能な分子の場合、任意の光学的方法を使用することができ、この場合、蛍光または生物発光またはリン光の変化を、放射された光の再分配または再配向のために測定することができる。そのような方法には、例えば、偏光顕微鏡観察、BRET、FRET、エバネッセント波励起顕微鏡観察、および標準的な顕微鏡観察または共焦点顕微鏡観察が含まれる。
【0173】
好ましい実施形態において、アレスチンをGFPにコンジュゲート化することができ、アレスチン−GFPコンジュゲート体を共焦点顕微鏡観察によって検出することができる。別の好ましい実施形態において、アレスチンをGFPにコンジュゲート化することができ、かつGPCRを免疫蛍光分子にコンジュゲート化することができ、そしてこれらのコンジュゲート体を共焦点顕微鏡観察によって検出することができる。さらなる好ましい実施形態において、アレスチンをGFPにコンジュゲート化することができ、かつGPCRのカルボキシ末端をルシフェラーゼにコンジュゲート化することができ、そしてこれらのコンジュゲート体を生物発光共鳴放射技術によって検出することができる。さらなる好ましい実施形態において、アレスチンをルシフェラーゼにコンジュゲート化することができ、かつGPCRをGFPにコンジュゲート化することができ、そしてこれらのコンジュゲート体を生物発光共鳴放射技術によって検出することができる。本発明の方法は、GPCR活性を検出することに関する。本発明の方法により、GPCR経路のリアルタイムでの増強されたモニタリングが可能になる。
【0174】
好ましい実施形態において、検出可能な分子の局在化パターンが測定される。さらなる好ましい実施形態において、検出可能な分子の局在化パターンの変化を測定することができる。局在化パターンにより、検出可能な分子の細胞局在化を示すことができる。いくつかの検出方法が、米国仮特許出願第60/275,339号(2001年3月13日出願)に対する優先権を主張する米国特許出願第10/095,620号(2002年3月12日出願)に記載される(これらの内容はその全体が参照することにより組み込まれる)。
【0175】
分子はまた、別の検出可能に標識された分子(抗体など)とのその相互作用によって検出することができる。
【0176】
試験キット
本発明には、試験サンプルを分析するための試験キットが含まれる。非常に好ましくは、試験キットは、生物学的サンプルまたは環境サンプルにおけるGPCRリガンドの濃度を測定するために有用である。さらにより好ましくは、試験キットは、GPCRおよびアレスチンを発現する宿主細胞、そしてサンプルにおけるリガンド濃度を測定する方法を含む。
【0177】
[実施例]
本発明は、限定することを意図しない下記の例示的な実施例によってさらに説明される。
【実施例1】
【0178】
材料および方法
ヒト胚腎臓細胞(HEK−239)をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、Manassas、VA)から入手した。培地、ウシ胎児血清(FBS)および抗生物質をMedia Tech(Hemdon、VA)およびGibco Invitrogen Corp(Carlsbad、California)から購入した。96ウェルガラスプレートをWhatman(Clifton、New Jersey)から、そして結合樹脂をBioRad Laboratories(Hercules、CA)から得た。CCK−A受容体アンタゴニストのデバゼピドおよび特異的なCCK−B受容体アンタゴニストを使用した。ペンタガストリンをSigmaから得た。
【0179】
膜調製/結合−すべての段階が4℃で行われた。膜結合は、Shetzlineら、J.Biol.Chem.273:6756〜6752(1998)に記載されるように三連で行われた。膜分画物は直ちにアッセイされたか、または−80℃で保存された。飽和結合または競合的結合が[3H]CCK−8ポリペプチド(Peninsula Labs、San Carlos、CA)について行われ、非特異的な結合が1μMのhG17の存在下で測定された。競合的結合が、hG17を使用して行われた。データは、Graph Pad−Prismを使用して分析された。
【0180】
ヒトガストリン受容体のクローニング−ヒトガストリン/CCK−B受容体のcDNAを、コード領域の5’端および3’端と一致する下記の2つのオリゴヌクレオチドを使用してヒト脳cDNAライブラリー(Clontech)から増幅した。NheI制限部位を有するセンスオリゴヌクレオチド(5’−GCGCCCGCTAGCACCGCCATGGAGCTGCTAAAGCTGAACCGG)、およびKpnI制限部位を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−GCGCCCGGTACCTCAGCCAGGGCCCAGT−GTGCTGAT)。1,4kbの増幅されたCCK−B受容体DNAバンドをpcDNA3.1−ZEO(−)発現ベクター(Invitrogen)にNheIおよびKpnIにおいてサブクローン化して、ABI377蛍光配列決定装置で確認した。
【0181】
細胞培養およびトランスフェクション:HEK−239細胞での一過性トランスフェクションを、Walkerら、J.Biol.Chem.、274:31515〜23に記載されるように行った。
【0182】
イノシトールリン酸の測定:CCK−B受容体を発現するHEK239細胞を、25μg/mlのポリ−D−リシン(Sigma、カタログ番号P−6407、St.Louis、Mo)でコーティングされた12ウェルプレートに置床して、10%FBS(ウシ胎児血清)含有MEMにおいて37℃で一晩インキュベーションした。次に、細胞を標識培地(5%FBS/MEM/ゲンタマイシンにおける1μCi/0.5mL/ウェルの[3H]イノシトール)に24時間置き、そして、MEM、20mMのHEPES(pH7.40)、20mMのLiClを用いて37℃で5分間洗浄して、アゴニストで処理した。反応を500μLの氷冷0.8M HClO4の添加によって停止させ、細胞を4℃で30分間〜60分間穏やかに撹拌し、その後、細胞溶解物をポリプロピレンチューブに加えた。200μLの中和溶液(0.72M KOH/0.6M KCO3)を各チューブに加え、チューブを分析まで4℃で保った。BioRad AG−1X8樹脂(200〜400メッシュ)のカラム(BioRad Econo−Pack)を、IP3活性をアッセイするために、それぞれ1mlの50%スラリーで調製した。各カラムを10mlの18メガオームの脱イオン水で2回洗浄して、800μLの溶解物を加え、5分後〜10分後、カラムを10mlの水で再び2回洗浄した。サンプルを、3.5mLの1M蟻酸アンモニウム/0.1Mギ酸溶液を使用する15mlのLefko−Fluor(Research Products International、Mt.Prospect、Il)を含有するシンチレーションバイアルに溶出した。各分画物に対応する50μLの溶液物サンプルもまた、サンプルあたりの総放射能内在化を測定するために計数された。
【0183】
蛍光共焦点顕微鏡観察およびデータ分析:用量応答または患者血清レベルの定量的測定のためにアレスチン−GFP輸送の測定を下記の様式で行った。ヒトCCK−B受容体およびアレスチン−GFPを永続的に発現する細胞を、10%ウシ胎児血清が補充された200μLのMEMにおいて、96ウェルのガラス底プレートに20,000細胞/ウェルで播種した。100μlを取り出し、既知濃度のhG17ペプチドもしくはペンタガストリンまたは既知容量の患者血清を含有する培地によって置き換えた。蛍光細胞像をZeiss LSM−510共焦点顕微鏡で得た。5分間にわたるアレスチン−GFPの動的輸送を記載されるように分析した。1時間〜2時間のインキュベーションの後で得られた静的細胞像を、コンピュータープログラムIP LABS(Scanalytics、Fairfax、VA22031)を使用して分析した。
【0184】
輸送の分析は下記のように行われた。画素強度の平均値および標準偏差を、アレスチン−GFPを含有する未処理細胞の像について求めた。これらの細胞に対して平均値を超える3標準偏差に対応する強度を、輸送を定義するための閾値として設定した。輸送されたアレスチン−GFPを表す画素の部分集団を決定するために、少なくとも1つの隣接部がこの閾値を超えている画素のみを計数した。この第2の制限は、ノイズを除くために設定された。像における測定された輸送量(Tl)を、その後、輸送を表す画素からの強度の和であるように計算した。像における細胞数は変化し得るが、像から得られる蛍光の総量は、発色団の分布には無関係であり、時間を通して一定のままであった。異なる像において得られる細胞数の変動を補正するために、像について計算された輸送を全体の像蛍光(TF)(すなわち、像における全画素に対する強度の和)によって正規化した。コンピューター計算された輸送はTl/TFとして定義された。受容体/アレスチン−GFP複合体の量が多い領域からのシグナルが頭打ちになることを避けるために、未処理細胞の平均強度を、顕微鏡画像化システムのダイナミックレンジの下位側の10%以内に含まれるように設定した。データは平均値±SEMとして示される。
【0185】
シグナル対ノイズの評価(図7を参照のこと)。シグナル/ノイズ比を評価するために、下記の2つの仮定が実験系について行われた。(1)全画素にわたる強度の和は時間およびβアレスチン2−GFPの再分配には依存しない;(2)細胞蛍光の強度分布はガウス型であり、下記の正規化された確率分布によって与えられる。
【数1】

式中、Iは強度であり、Ioは平均強度であり、σは標準偏差であり、exp(z)は指数関数であり、erf(z)は下記の誤差関数である。
【数2】

輸送されたβアレスチン2−GFPからのシグナルを測定するための閾値は、Io+j(式中、j=βxσ)に設定されるものとする。アゴニストの非存在下でこの閾値を超える強度の平均平方偏差は下記の通りである。
【数3】

この場合、
【数4】

輸送されたβアレスチン2−GFPの平均強度Ifを、強度Io+jの閾値の値を超える画素の部分集団Naについて決定することができる。Ifは、輸送されたβアレスチン2−GFPおよび輸送されていないタンパク質からの強度寄与から生じる。Ifは、下記による輸送前の平均強度Ioに関連する。
【数5】

式中、Nbは、輸送前の細胞を画像化する画素数であり、上記に定義されるようなIoはそれらの平均強度であり、
hは、輸送された受容体の割合である。比Nb/Naは、輸送後のβアレスチン2−GFPにより占有される容積の変化の大きさを表す。次に、閾値の値を超える典型的な個々の画素に対するシグナル対ノイズ比は下記のように計算することができる。
【数6】

これは下記のように単純化される。
【数7】

および
【数8】

強度の狭いガウス分布によって記載される細胞の均一な系統については、その標準偏差に対する平均強度の比Io/σは、画像化システムの範囲を適切に調節することによって、4よりも大きく選ぶことができる。下記の項:
【数9】

は、その場合、2にほぼ等しい。項hによって表される輸送された受容体の割合は0(輸送なし)と1(100%の輸送)との間で変化するが、これに対して、アレスチン−GFPの再分配による容積(面積)の比率Nb/Naは、画像化システムおよび輸送されたアレスチンを含有する細胞成分(例えば、膜、被覆小孔またはエンドソーム)の強度に依存して5〜100の間で変化し得る。
分母:
【数10】

における項は、平均強度を超えてb=2標準偏差およびb=3標準偏差に設定された閾値強度についてそれぞれ0.014および0.00070に等しい。従って、シグナル対ノイズS/Nは、輸送量が最小限である場合でさえ、細胞の非常に均一な集団については103〜104を容易に越えることができる。
【数11】

不均一な蛍光分布またはバックグラウンド蛍光により、強度プロフィルがこの理想的な場合から外れるとしても、分析は、強度変化を単に考慮することによる輸送が、受容体の挙動を評価するための非常に高感度な方法であり得ることを示している。さらに、単純なパターン認識アルゴリズムの使用は、輸送されたアレスチンのさらにより大きな識別をもたらすことができ、そして一過性トランスフェクションの場合などの均一でない細胞集団に対して有用であり得る。
【0186】
患者血清収集およびRIAによる血清測定:機関検討委員会(Institutional Review Board)はDuke大学医療センターにおける本研究を承認した。患者の血清は、その一次治療提供者によって要求されるような血清中ガストリン分析が予定された患者から得られた。患者はインフォームドコンセントに署名し、そしてさらなる血清サンプルが本研究における使用のために採取された。従来のRIA測定がMayo Medical Laboratories(Rochester、MN)において行われた。
【実施例2】
【0187】
CCK−B受容体およびアレスチン−GFPを発現する細胞は合成ヒトガストリン−17ペプチド(hG17)の存在に応答する。
フローサイトメトリーおよびアレスチン−GFP輸送による細胞におけるアレスチン−GFP発現およびCCK−B受容体発現の均一性の決定
アレスチン−GFP再分配の定量的分析を単純化するために、同一の様式でリガンドに応答する細胞を樹立した。細胞集団全体での受容体発現およびアレスチン発現の大きな均一度を達成するために、CCK−B受容体およびアレスチン−GFPを永続的に発現するHEK−239細胞株を樹立した。本研究で使用されたクローン(クローンA)におけるアレスチン発現の均一性の程度をフローサイトメトリーによって測定し(図4A)、蛍光によって確認した(図4B、左パネル)。アレスチン−GFPを再分配することによって合成ヒトガストリン−17ペプチド(hG17)の存在に応答する細胞の一般的な能力が図4B(右パネル)に示される。
【0188】
図4Aにおいて、クローンAに属する細胞におけるアレスチン−GFPの相対的な発現が、Becton Dickinson FACScanフローサイトメトリーを使用して測定された。x軸は相対的な細胞強度の対数であり、y軸はその強度における細胞数(カウント数)を示す。細胞集団の99パーセントが、強度プロフィルの上に見られる横棒の範囲内であった。図4Bには、10nMのhG17を用いた室温で5分間の処理の前(左パネル)および処理の後(右パネル)におけるクローンA由来の細胞の視野の蛍光像が示される。
【実施例3】
【0189】
リガンド結合および2次メッセンジャー応答の特徴づけ
クローンAは、ガストリン受容体アゴニストである[3H]−CCK8およびhG17の結合を測定し、hG17媒介による2次メッセンジャー応答を測定することによってさらに特徴づけが行われた。[3H]−CCK8を用いた飽和結合により、細胞は(14±1)pmolのCCK−B受容体/mg細胞タンパク質を発現し、そして[3H]−CCK8に対する親和性が(9.0±1.6)nMであることが示された(図5A)。イノシトールリン酸(IP3)産生のヒトガストリン−17による刺激はEC50=(3.2±0.7)nMをもたらした(図5B)。図5Bにおける挿入図は、hG17による[3H]−CCK8の競合的置換を示している。EC50は(28±5)nMであり、CCK−B受容体に対するhG17のKdは(17±3.5)nMであった。
【0190】
図4には、10nMのhG17により、5分後でさえ、形質膜への測定可能なアレスチン−GFPの再分配がもたらされたことが示される。hG17に30分間〜60分間さらした後、アレスチン−GFPを含有するエンドソームが認められた(図5C、上段右パネル)。この輸送は、10μMの特異的なCCK−B受容体アンタゴニストの添加によって完全に阻止された(図5C、下段左パネル)が、10μMの非常に関連するCCK−A受容体アンタゴニストのデバゼピドでは阻止されなかった(図5C、下段右パネル)。図5Cにおけるデータにより、CCK−B受容体はエンドソーム内へのアレスチン内在化を促進するので、CCK−B受容体はクラスBのGPCRであることが確認される。
【0191】
図5Aには、クローンA由来の細胞が、細胞あたりの平均CCK−B受容体発現、および[3H]CCK−8に対する受容体親和性を測定するために、[3H]CCK−8の増大する濃度とインキュベーションされたことが示される。[3H]CCK−8の総結合、白四角;[3H]CCK−8の特異的な結合、黒四角;過剰(1μM)な非標識hG17の存在下での非特異的な結合、白丸。図5Bでは、クローンAの細胞が、IP3の2次メッセンジャー応答を評価するために、hG17ペプチドの増大する濃度にさらされた。挿入図は、この細胞株からのhG17による[3H]CCK8の競合的置換を示す。データは平均値±SEMとして示される。図5Cには、ビヒクルでの処理(上段左パネル)、または10nMのアゴニストhG17による1時間の処理(上段右パネル)、または10nMのhG17+1μMのCCK−Aアンタゴニストのデバゼピド(L−364,718)による1時間の処理(下段左パネル)、または10nMのhG17+1μMのCCK−Bアンタゴニストによる1時間の処理(下段右パネル)を受けたクローンA由来細胞の蛍光像が示される。
【実施例4】
【0192】
hG17の用量応答および高ガストリン血症患者由来の血清サンプルの分析
hG17の増大する濃度を使用して、細胞質のアレスチン−GFPの時間に依存した減少を、アレスチン再分配の薬理学がIP3産生の薬理学と相関するかどうかを明らかにするために測定した。96ウェルプレートにおいて増殖させたリガンド処理細胞の連続した蛍光像を、共焦点顕微鏡観察によって、5分間、30秒間隔で得て、細胞質の蛍光の減少を測定することによって分析した。増大する濃度のhG17に対するアレスチン再分配の時間および用量の依存性が図6Aにプロットされる。このデータから、用量応答曲線が計算され、輸送に対して4.2±1.5nMのEC50が得られた(図6B)。これはIP3の結果と一致する。
【0193】
高ガストリン血症患者から得られた血清サンプルを、この5分アッセイパラダイムを使用してhG17に加えて評価した(図6A)。アレスチンが、血清に応答して輸送されたが、測定された応答は、hG17に対するアッセイ感度の下限に近い範囲で生じていた。アゴニストが約1nM以下である濃度におけるアッセイ感度を増大させるために、37℃で1時間〜2時間のインキュベーションの後、hG17に応答したアレスチン−GFPの再分配を直接測定した。図6Cには、増大する濃度のhG17にさらされた代表的な細胞視野が示される。小胞が、10nM未満のhG17の濃度で容易に認められる。
【0194】
図6Aには、様々な濃度のhG17に5分間さらされたクローンA細胞の応答を示す代表的な実験が例示される。蛍光像が30秒毎に得られ、アレスチン−GFPの輸送について分析された。9個〜11個の細胞がそれぞれの曲線のためにそれぞれの時点について分析された。グラフには、時間の関数として、細胞質に留まるアレスチン−GFPの部分量が示される。図6Bには、細胞の細胞質から5分後に失われたアレスチン−GFPの部分量を使用して、Aのグラフに示されるhG17の増大する濃度についてS字形の用量応答曲線が作製されたことが示される。データは平均値±SEMとして示される。図6Cには、hG17に37℃で1時間さらされたクローンA細胞の応答を明らかにする実験から得られた像が示される。
【実施例5】
【0195】
βアレスチン−GFPの分布からの蛍光シグナルの計算
実施例4のこれらの測定のための方法論が図7に示される。蛍光強度を単に測定することによって得られた、バックグラウンドを越えるシグナルは、120倍の増大が観測された図7Bに示されるように、輸送されたアレスチンが小さい容積に濃縮されるために極めて多かった。
【0196】
図7Aには、βアレスチン−GFP融合タンパク質を安定に発現する細胞におけるβアレスチン−GFPの蛍光の分布が示される。受容体が、30分間のアゴニスト処理の前および後において視覚化された。像の強度が、0〜255の強度階調範囲をもたらす画素あたり8ビットを使用して取得された。255よりも大きい相対的な強度は切り捨てられ、255と等しくされた。上段パネルおよび下段パネルには、同じ細胞視野が示される。上段の像における平均画素強度は0〜255の中央付近に含まれるように選択されたので、細胞は、上段パネルの方が明るいようである。下段パネルでは、平均画素強度はダイナミックレンジの下位側の12%以内に含まれる。より大きい平均強度を選択することにより、右側上段パネルにおいて輸送されたβアレスチン−GFPを表す画素の多くが255の相対的な輝度で頭打ちにされた。これは、アゴニストにより誘導される輸送量の過小評価をもたらした。しかし、これは、より小さい平均強度を選択することにより、より低い像では避けられる。図7Bには、画素カウント対画素強度(下段左のグラフにおける緑色曲線)のヒストグラムが、代表的なコントロール細胞を使用して作製されたことが例示される。最初の最小強度ピークはバックグラウンドを表し、2番目のピークが緑色蛍光タンパク質である。平均細胞強度+3標準偏差(99パーセンタイルを越える)が、輸送されていない細胞質βアレスチンの蛍光シグナルを、小胞内に受容体とともに輸送されたβアレスチンから分離するための閾値として選択された。この基準値を越える強度を有する画素(マゼンタ色曲線は処理細胞における小胞に対応する)が、コントロールおよび処理の両方の像(上段の左パネルおよび右パネル)にマゼンタ色を重ねることによって示される。図7Bの上段右パネルでのマゼンタ色の画素と、図7Aの下段右パネルでのβアレスチン−GFP含有エンドサートシス小胞との間における一致に留意すること。これらの2つの像について基準値を超える画素に由来する総画素強度の比較が下段右グラフに示され、これは、処理細胞における蛍光シグナルの120倍の増大を示している。画像データはコンピュータープログラムIP labsによって分析された。
【実施例6】
【0197】
血清における免疫学的に検出できないガストリン受容体アゴニストの検出:ペンタガストレインに対する用量応答
血清中ガストリンレベルの上昇が見られない臨床的な高ガストリン血症が数多く報告されている。その結果、血清中ガストリンのRIA検出では、免疫学的に検出できないガストリン受容体アゴニストを有する患者の一団が見逃され得る。従って、CCK−B受容体アゴニストのペンタガストリン(これは従来のRIAによって検出できない)の輸送に対する影響が評価された。図8に例示されるように、増大する量のペンタガストリンに対するバイオセンサーの応答は、輸送に対するEC50が2.4±1.9nMである用量応答をもたらした。これは、CCK−B受容体に結合するペンタガストリンに対する1nMの報告されたKd、およびポリホスホイノシチド回転に対する3.9nMと類似している。
【0198】
図8Aには、ペンタガストリンに37℃で2時間さらされたクローンA細胞の応答を示す代表的な実験から得られた像が示される。蛍光像は、方法に記載されるように、アレスチン−GFPの輸送について分析された。図8Bのグラフには、リガンドの各濃度において得られた像について閾値の値(方法)を超える画素強度の正規化された和(Tl/TF)の増大が示される。データは、8個〜10個の異なる像をそれぞれが有する2つの実験を表しており、平均値±SEMとして表される。
【実施例7】
【0199】
高ガストリン血症患者由来のガストリンの検出:
1時間における用量応答
バイオセンサーが様々な合成されたガストリンイソ型に応答し得ることにより、ヒト血清に含有されるガストリンの多数の生物活性な形態を測定するその潜在的能力が示唆される。図9Aの上段パネルには、1時間のインキュベーションの後における患者血清サンプル(RIAにより5000pg/mlの報告された高ガストリン血症、3,400pg/ml〜6,600pg/mlの範囲)に対する細胞応答が示される。アレスチン−GFPが形質膜および小胞内において認められた。輸送されたアレスチン−GFPの量が、図6Cの像により表されるデータから作製されたhG17標準曲線と比較された。hG17用量応答曲線のEC50は(0.80±0.25)nM(図6Bおよび図6C)であり、患者の生物活性なガストリンの血清中濃度が0.63nM±0.16nMであると決定された(図9B、矢を参照のこと)。
【0200】
図9Aには、高ガストリン血症患者から得られた血清の1:1希釈物と1時間インキュベーションされたクローンA細胞の代表的な像が示される。図9Bには、1時間において得られ、図7の場合のように分析された画像化輸送データからコンピューター処理されたクローンA細胞のhG17に対する用量応答曲線が示される。9個〜16個の間で異なる像が各hG17濃度および患者血清(矢印)について分析された。データは平均値±SEMとして表される。
【0201】
本発明者らは、CCK−B受容体とのアゴニスト媒介によるアレスチンの相互作用が、CCK−B受容体およびβアレスチン2−GFP(アレスチン−GFP)を永続的に発現する細胞からなるバイオセンサーを使用して、CCK−B受容体のシグナル伝達の薬理学を反映することを明らかにした。さらに、このバイオセンサーを使用して、高ガストリン血症患者の血清中ガストリン濃度が測定された。従来のRIAを用いて確認されないイソ型を含むすべての生物活性なガストリンイソ型が、本発明の方法を用いて検出された。
【0202】
これらのデータは、CCK−B受容体がアゴニスト媒介によるアレスチン調節を受けていたことを示している。IP3のシグナル伝達が、アレスチンの輸送をもたらす、ガストリンおよびペンタガストリンの同じ濃度で活性化された。脱感作が可能なCCK−B受容体の立体配座をもたらすガストリン内の残基がガストリン末端のペンタペプチドに存在する可能性がある。
【0203】
CCK−B受容体がアゴニストと結合し、そしてアレスチンが受容体の内在化を開始させた後、CCK−B受容体がアレスチン媒介によるクラスリン被覆小胞経路によって細胞内に移動した。CCK−B受容体は「クラスB」のGPCRであることが示された。そして、その後、受容体のエンドサイトーシスにより、二次的(または細胞内)シグナル伝達事象(例えば、MAPキナーゼの活性化)が開始され得る。
【0204】
この薬理学は、ガストリンの血清中濃度を測定するための単一細胞バイオセンサーを構築するために利用された。アレスチンによって脱感作する非常に多数のGPCRを考えた場合、様々なバイオセンサーが他のGPCRリガンドについて同様に構築されており、そして、さらなるバイオセンサーが構築される。その生物学的方法の新規性は、Gタンパク質共役受容体および蛍光タンパク質の組合せにより、開発された非常に高感度なバイオセンサーアレイのいくつかが形成され、そして数千の天然化合物および合成化合物を検出するための機構が提供されるということである。
【0205】
合成化合物が臨床的に有用である領域はがんの化学療法においてである。特に、エリプチシン成分にコンジュゲート化されたヘプタガストリンは、CCK−B受容体を発現する腫瘍を殺すために使用されていた。この薬剤の毒性は、アレスチン依存性であることが本発明者らの発見に基づいて最も確からしい受容体エンドサイトーシスを要求することであると示されていた。この薬剤は、本発明者らのバイオセンサーの測定可能な範囲に十分に含まれる濃度でマウスに投与されていた。本発明は、薬理学が不明であり、そして血清中レベルまたは組織レベルを測定する必要がある新しく設計された薬物を評価することに関して幅広い用途を有する。
【0206】
GPCRは、生物活性な物質の存在によりシグナル伝達を行う。本発明者らは、GPCRのシグナル伝達を終結させるために共通する生化学的パラダイムを利用し、そしてGPCRもまた、臨床診断のためにそのような物質を検出するために使用できることを明らかにした。
〔実施例7〕
【0207】
ムスカリン性受容体はアセチルコリンの存在下で取り込まれる
バソプレッシンのカルボキシルテールとコンジュゲート化されたヒトムスカリン性受容体タイプ1を発現するHEK−239細胞をマイクロモル濃度のアセチルコリンにさらした。アレスチン−GFPの輸送を測定した。アレスチン−GFPが、図10に示されるように、膜の端部および小胞内において観測された。
【0208】
ムスカリン性受容体およびアレスチン−GFPを発現するバイオセンサーは、アレスチン−GFPのアゴニスト誘導による内在化によって示されるように、サンプル中のアセチルコリンを検出するために有用であった。
【実施例8】
【0209】
アセチルコリンエステラーゼはムスカリン性受容体のアセチルコリン誘導による内在化を阻害する
HEK−239細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有する最少必須培地においてインキュベーションした。細胞を、アレスチン−GFP、およびバソプレッシンのカルボキシルテールとコンジュゲート化されたヒトムスカリン性受容体タイプ1の発現を誘導するためのcDNAで一過性トランスフェクションした。10%FBSが存在するとき、アレスチン−GFPの輸送は、細胞を10〜100マイクロモル濃度の範囲の濃度のアセチルコリンに30分までさらした後では観測されなかった。しかし、ミリモル濃度の量のアセチルコリンはアレスチン−GFPの輸送をもたらした。細胞が血清の非存在下で10〜20マイクロモル濃度のアセチルコリンにさらされたとき、アレスチン−GFPが細胞膜に容易に輸送された。アセチルコリンエステラーゼは、アセチルコリンを分解することが知られている酵素であり、FBSを含む血清の一般的な成分である。アセチルコリンエステラーゼは、ムスカリン性受容体のリガンドであるアセチルコリンを分解し、それにより、アセチルコリンにより誘導されるムスカリン性受容体およびアレスチンの内在化を妨げた。アセチルコリンエステラーゼの存在下における非常に多量のアセチルコリン(ミリモル濃度)はアレスチン内在化の一時的な量のみをもたらすことができた。対照的に、はるかに小さい濃度のアセチルコリン(10〜20マクロモル濃度)は、血清が培地に存在しないときには頑強な応答をもたらすことができた。このことは、アレスチンの輸送が、アセチルコリンエステラーゼの阻害剤について血清をアッセイするために使用され得ることを示唆している。これは、有機ホスファート化合物などの強力な阻害剤が、アレスチン−GFP、およびアセチルコリンにさらされたムスカリン性受容体を含有する試験細胞の環境から血清およびすべてのその成分を完全に除くことに対して類似する効果をもたらすからである。
【実施例9】
【0210】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤についてスクリーニングするためのムスカリン性アセチルコリン受容体の使用
推定される阻害剤を含有するサンプルが適切な溶媒に抽出されるが、場合により、これは水性の緩衝液であり得る。抽出物は、アセチルコリンエステラーゼタンパク質と、ムスカリン性受容体に対するアゴニスト(アセチルコリンエステラーゼ感受性の塩化アセチルコリンなど)とを含有する緩衝液で希釈されるか、またはそのような緩衝液と一緒にされるか、そのいずれかである。アゴニストと、アセチルコリンエステラーゼと、推定される阻害剤とを含有するこの混合物は、0時間〜数時間の間で所定の時間(5分〜60分の間が最も実用的である)にわたってインキュベーションされ、次いで、その天然のテールを有するか、またはバソプレッシン受容体などに由来する高親和性テールで交換されたテールを有するムスカリン性受容体およびアレスチン−GFPを含有する細胞と接触させられる。アセチルコリンエステラーゼの推定される阻害剤が存在する場合、塩化アセチルコリンは分解されず、アレスチン−GFPの形質膜またはエンドソームへの輸送が、アセチルコリンによる受容体の活性化のために生じる。アセチルコリンエステラーゼの阻害剤が存在しない場合、塩化アセチルコリンが分解され、より少ない量のアレスチン−GFPの輸送が生じるか、またはアレスチン−GFPの輸送が全く生じない。このアッセイは、環境中におけるアセチルコリンエステラーゼ酵素の一般に使用されている阻害剤、例えば、有機ホスファート殺虫剤など、例えば、ジアジノン(環境保護庁は危険性評価を完了し、殺虫剤ジアジノンに対する危険性削減協定を発表している;2000年12月5日、環境保護庁はその改訂危険性評価を公開し、有機ホスファート殺虫剤ジアジノンのいくつかの使用の段階的な廃止/排除を行うための登録者との協定を発表した)、そして神経毒サリンの誘導体などの一般には見出されないより強力な阻害剤を評価するために使用することができる。そのようなアッセイシステムの特定の使用が、水の一部を、塩化アセチルコリン様アゴニストおよびアセチルコリンエステラーゼと予備混合した後、アレスチン−GFPおよびムスカリン性受容体を含有する細胞を有するチャンバーに連続的に加え、アレスチン−GFP輸送の阻害の減少について細胞を観測することによって、殺虫剤および同様な化合物に対して都市水道システムを連続的にモニターすることであり得る。これらのアッセイは、この目的のために市販されている装置によって大きい処理能力で行うことができる。このアッセイの別の使用は、アセチルコリンエステラーゼを阻害する化合物に対する人の生理学的暴露を、血清または組織におけるこれらの化合物の存在を測定することによって評価することである。例えば、1滴の血液を、塩化アセチルコリンにさらされた細胞を含有し、アレスチン−GFPおよびムスカリン性アセチルコリン受容体を有するウェルに直接入れることができる。ヒトの血液または血清は、通常、アセチルコリンを迅速に分解するために十分なアセチルコリンエステラーゼを含有する。従って、アレスチン−GFPを輸送する細胞の能力の阻害が減少することにより、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の存在が示される。
【0211】
本発明は、様々な特定の材料および手法および例を参照して本明細書中に記載および例示されているが、本発明は、材料の特定の具体的な組合せ、およびその目的のために選択された手法に限定されないことが理解される。当業者によって理解されるようなそのような細部の数多くの変化が包含され得る。
【0212】
下記は、上記の開示に関連する文書、ならびに特に実験手法および議論に関連する文書の列挙である。下記の文書、ならびに前記の本文において参照されるすべての文書は、その全体が参照することにより組み込まれるものとして考慮されなければならない。
【0213】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験サンプルにおけるGタンパク質共役受容体(GPCR)リガンドの有無を検出する方法であって、
(a)GPCR及び検出可能に標識されたアレスチンを含む細胞を提供するステップと、ここで、検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布が、GPCRの活性化に応答して変化し、
(b)試験サンプルの非存在下における検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布を決定するステップと、
(c)細胞を試験サンプルにさらすステップと、
(d)試験サンプルの存在下における検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布を決定するステップと、
(e)試験サンプルの存在下における検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布と、試験サンプルの非存在下における検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布とを比較するステップと、ここで、試験サンプルの非存在下における検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布と比較した、GPCRリガンドに応答した試験サンプルの存在下における検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布の変化が、試験サンプルにおけるGPCRリガンドの存在を示唆する、
を含む方法。
【請求項2】
検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布が、試験サンプルにさらされた後の種々の時点で決定される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布が、種々の濃度の試験サンプルにさらされた後に決定される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出可能に標識されたアレスチンの細胞分布が定量される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
試験サンプルにおけるGPCRリガンドの濃度が、試験サンプルの存在下における検出可能に標識されたアレスチンについて細胞質と比べた、形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおける検出可能に標識されたアレスチンの局在を、既知濃度のリガンドの存在下における検出可能に標識されたアレスチンについて細胞質と比べた、形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおける検出可能に標識されたアレスチンの局在と比較する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
時間の経過にわたる試験サンプルにおけるGPCRリガンドの濃度変化が、リガンド濃度を変える試験サンプルにおける化合物が存在することを示す請求項5に記載の方法。
【請求項7】
試験サンプルは、血清、組織、血液もしくは尿であるか、または、血清、組織、血液もしくは尿に由来する、請求項1の方法。
【請求項8】
GPCRは、CCK−B(配列番号13)又はCCK−A(配列番号11)である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
試験サンプルが、高ガストリン血症の患者に由来する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
リガンドが、ガストリン、プレプロガストリン、切断型プレプロガストリン、ガストリン−34、ガストリン−17、ペンタガストリン、プロガストリン、グリシン伸長型ガストリン−17、グリシン伸長型ガストリン−34、ガストリン−71、ガストリン−6、hG17、配列Trp−Met−Asp−Phe−NH2(配列番号15)のアミド化テトラペプチドを伴う化合物又はガストリン受容体に結合することができるガストリンのイソ型である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ガストリン濃度が、10nM未満である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
GPCRが、ムスカリン性受容体である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
リガンドが、アセチルコリンである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
標識されたアレスチンが、細胞質、形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームに局在する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
細胞質と比較した、形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおける検出可能に標識されたアレスチンの局所的な濃度の増加が、局所的なシグナル強度の増加をもたらす請求項1に記載の方法。
【請求項16】
局所的なシグナル強度が、試験サンプルにおけるリガンドの濃度の増加により増大する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
形質膜、クラスリン被覆小孔、エンドサイトーシス小胞またはエンドソームにおける標識されたアレスチンのシグナル強度が、細胞質におけるシグナル強度のレベルと比較して増大する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
検出可能な標識が、放射性同位体、エピトープタグ、アフィニティー標識、酵素、蛍光基または化学発光基である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
細胞分布が、フローサイトメトリーにより視覚化される請求項1に記載の方法。
【請求項20】
細胞分布が、蛍光共焦点顕微鏡観察によって視覚化される請求項1の方法。
【請求項21】
コンピューターが細胞分布のイメージを解析する請求項1に記載の方法。
【請求項22】
検出可能に標識されたアレスチンの分布が定量される請求項1に記載の方法。
【請求項23】
試験サンプルが、GPCRのリガンドを含む請求項1に記載の方法。
【請求項24】
試験サンプルが、GPCRのアンタゴニストを含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
試験サンプルが、アセチルコリンとアセチルコリンエステラーゼとを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項26】
試験サンプルが、GPCRのアゴニストを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
リガンドが同定されている請求項1に記載の方法。
【請求項28】
試験サンプルが不均一である請求項1に記載の方法。
【請求項29】
細胞分布が、試験サンプルにさらしてから15〜30分後に決定される請求項1に記載の方法。
【請求項30】
細胞分布が、試験サンプルにさらしてから1時間後に決定される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
細胞が37℃の温度で試験サンプルにさらされる請求項1に記載の方法。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−240322(P2009−240322A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165031(P2009−165031)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【分割の表示】特願2003−502456(P2003−502456)の分割
【原出願日】平成14年6月5日(2002.6.5)
【出願人】(501281939)デューク ユニヴァーシティー (5)
【Fターム(参考)】