説明

試験センサ内に試薬物質を被着させる方法

分析対象物に関連する情報を決定するように適合される、電気化学的試験センサ上に試薬を被着させる方法は、ベースの提供および該ベース上への電極パターンの形成を含む。この方法は、試薬分配システムを用いて、少なくとも該電極パターン上に試薬を被着させることをさらに含む。試薬分配システムは、少なくとも該電極パターン上に湿潤試薬液滴を提供することを支援するために、試薬分配システム内の試薬に機械的力を加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、表面に試薬を被着させる方法に関するものである。より具体的には、本発明は、湿潤試薬液滴を試験センサ内の電極パターン上に被着させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定の身体的な状態の診断および維持において、体液中の分析対象物の定量は非常に重要である。たとえば、特定の個人においては、血中グルコース、ヘモグロビン(Hb)、ヘモグロビンA1(HbA1)、乳酸、コレステロール、ビリルビンおよび他の分析対象物がモニタリングされる。血中グルコースレベルが低い個人は、治療を必要とすることがある。特に、糖尿病のある個人は、自分の体液中のグルコースレベルを頻繁にチェックすることが重要であり、なぜならこのような個人は、自分の血中グルコースレベルが高すぎる、高血糖として知られる状態になると、発病することがあるからである。これらの分析対象物試験の結果は、インスリン、もし必要ならその種類、または他の薬を投与すべきかどうかを決定するために使用することができる。
【0003】
分析対象物の濃度試験は、通常、光学的または電気化学的試験法を用いて実施される。電気化学法を採用する実施形態において、試験センサは、たとえば血中グルコースに反応するバイオセンシングまたは乾燥試薬層を含有する。試験センサの試験部は乾燥試薬層を含有し、たとえば人の指を穿刺したのち指の上に溜まった被験流体(たとえば血液)を受けるように適合される。流体は通常、試験センサの端部または側面から、少なくとも、試験部内に位置する乾燥試薬層に延びる流路中に引き込まれる。特定の実施形態において、試験センサは毛管作用を用いて流体を流路の中に引き込むので、十分な量の被験流体が試験センサの試験部の中に引き込まれる。そして、流体は、試験部において乾燥試薬層と化学的に反応する。これは電気的信号をもたらし、その信号は流体内のグルコースレベルを表し、通常、試験センサの後部または接触部に近接する第2の対向する端部に位置する電気的接触エリアに供給される。
【0004】
試験センサの精度および精密さは、乾燥試薬層の物理的構造および化学的組成の同一な一貫性に依存する。試験センサごとに良好な精密さおよび精度を保証するため、乾燥試薬層は、分量だけでなく物理的構造においてもまた、変動を少なくすべきである。したがって、試薬物質は、湿潤試薬液滴が乾燥するときに乾燥試薬層が形成されるように、試験センサごとに高さ、半径、および接触角が実質的に同一な湿潤試薬液滴として被着されることが望ましい。しかしながら、湿潤試薬液滴は通常、導電性被覆重合体基板(たとえば、金PET基板)上に被着される。このような基板表面は、常に表面変動または表面凹凸を含有する傾向がある。これらの表面変動は、被着面上の汚染、電極パターン面の凹凸、または重合体基板の凹凸が原因となることがあり、これらは全て、試験センサごとに湿潤試薬液滴を構造的に同一に被着させることを困難にする。
【0005】
上記の表面変動の問題を克服する一方で、試験センサごとに湿潤試薬液滴を同一に被着させる正確、迅速、および精度の良い方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
1つの実施形態によれば、試験センサが分析対象物に関連する情報を決定するように適合される、電気化学的試験センサ上に試薬を被着させる方法は、ベースを提供すること、およびベース上に電極パターンを形成することを含む。この方法は、試薬分配システムを用いて少なくとも電極パターン上に試薬を被着させることをさらに含む。試薬分配システムは、試薬分配システム内の試薬に機械的力を加えて、少なくとも電極パターン上に湿潤試薬液滴を提供することを支援する。
【0007】
他の実施形態によれば、分析対象物に関連する情報を決定するように適合される、電気化学的試験センサを形成する方法は、ベースを提供すること、ベース上に電極パターンを形成すること、および試薬分配システムを提供することを含む。試薬分配システムは、少なくとも電極パターン上に試薬を被着させる。試薬分配システムは、圧縮部材、ピストン−ニードルアセンブリ、空気室、流体室、ノズル、および本体を含む。圧縮部材は、圧縮部材の圧縮量を調節するために使用することができる圧縮調節機構を有する。ピストン−ニードルアセンブリは、閉鎖位置および開放位置を有する。この方法は、流体室中に試薬を供給することをさらに含む。流体室は、流体注入口および流体吐出口を有する。流体吐出口は、ピストン−ニードルアセンブリの開放および閉鎖位置に対応する開放位置および閉鎖位置を有する。この方法は、空気室に加圧空気を供給することをさらに含み、ピストン−ニードルアセンブリに圧縮部材を圧縮させる。加圧空気を供給する間、ピストン−ニードルアセンブリは開放位置にあり、前期流体吐出口は開放位置にある。この方法は、空気室から供給された加圧空気を放出することをさらに含み、圧縮部材がピストン−ニードルアセンブリを閉鎖位置にさせることを可能にする。ピストン−ニードルアセンブリは、流体室内の試薬の一部分をノズルから機械的に押し出させて、試薬の一部分は、湿潤試薬液滴として少なくとも電極パターン上に被着される。
【0008】
他の実施形態によれば、分析対象物に関連する情報を決定するように適合される、電気化学的試験センサを形成する方法は、ベースを提供すること、ベース上に電極パターンを形成すること、および少なくとも電極パターン上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供することを含む。試薬分配システムは、ソレノイド制御弁、プランジャ、圧縮部材、およびノズルを含む。ノズルは吐出口径を有し、ソレノイド制御弁は開放位置および閉鎖位置を有する。この方法は、加圧された試薬を供給すること、および、供給され加圧された試薬をノズルを通して供給させ、湿潤試薬液滴として少なくとも電極パターン上に被着させるために、試薬分配システムの制御弁を開放することをさらに含む。
【0009】
他の実施形態によれば、分析対象物に関連する情報を決定するように適合される、光学的試験センサを形成する方法は、ベースを提供すること、および、ベース上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供することを含む。試薬分配システムは、ソレノイド制御弁、プランジャ、圧縮部材、およびノズルを含む。ノズルは吐出口径を有し、ソレノイド制御弁は開放および閉鎖位置を有する。この方法は、加圧試薬を供給すること、および、供給され加圧された試薬を、ノズルを通して供給させ、湿潤試薬液滴としてベース上に被着させるために、試薬分配システムの制御弁を開放することをさらに含む。この方法は、乾燥試薬層を形成するために、湿潤試薬液滴を乾燥させること、蓋を提供すること、および、試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をベースに取り付けることをさらに含む。流路は、ベース上に位置する乾燥試薬層に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する。
【0010】
他の実施形態によれば、電気化学的試験センサは、ベース、蓋、複数の電極、および乾燥試薬を含む。乾燥試薬は、最濃点に対する最薄点の比率がおよそ0.2より大きい同一性を乾燥試薬が有するように、酵素、メディエータ、および、十分な量の多価塩を含む。
【0011】
他の方法によれば、電気化学的試験センサが形成される。ベースおよび蓋が提供される。複数の電極が、ベースおよび蓋のうち少なくとも一方の上に形成される。試薬溶液は、少なくとも1つの電極に接触するように配置される。試薬溶液は、酵素、メディエータ、および多価塩を含む。多価塩は、試薬溶液中で40mMより高い濃度を有する。試薬溶液は、それ配置した後に乾燥される。
【0012】
さらなる方法によれば、電気化学的試験センサが形成される。ベースおよび蓋が提供される。複数の電極が、ベースおよび蓋のうち少なくとも一方の上に形成される。試薬溶液は、少なくとも1つの電極に接触するように配置される。試薬溶液は、酵素、メディエータ、および電解質を含む。電解質は、試薬溶液の少なくとも0.1重量%である。試薬溶液は、それを配置した後に乾燥される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】試薬液滴を有する試験センサの上面図である。
【図1B】図1Aの1B−1B線におおよそ沿って見た図1Aの試験センサの断面図である。
【図1C】蓋を取り外した図1Aの試験センサの上面図である。
【図2A】試薬液滴を有する他の試験センサの上面図である。
【図2B】図2Aの2B−2B線におおよそ沿って見た図2Aの試験センサの断面図である。
【図3A】湿潤試薬液滴を有する他の試験センサの部分断面側面図である。
【図3B】湿潤試薬液滴を有する他の試験センサの部分断面側面図である。
【図3C】運動エネルギで被着した湿潤試薬液滴を有する図3Aの試験センサである。
【図3D】運動エネルギで被着した湿潤試薬液滴を有する図3Bの試験センサである。
【図4A】本発明の1つの方法による試薬分配システムの正面平面図である。
【図4B】図4Aの試薬分配システムの部分分解図である。
【図5A】他の試薬分配システムの断面側面図である。
【図5B】開放位置にある図5Aのピストン−ニードルアセンブリおよびノズルを図示する。
【図6A】本発明の他の方法による試薬分配システムの断面側面図である。
【図6B】開放位置にある図6Aの試薬分配システムを図示する。
【図7】図6A,Bに示される試薬分配システムの、分配高さに対する乾燥試薬層の直径間の直線的相関をグラフで図示する。
【図8A】試薬液滴を有する他の試験センサの上面図である。
【図8B】図8Aの8B−8B線におおよそ沿って見た図8Aの試験センサの断面図である。
【図9】後述の実施例1における試薬の高さ対距離のプロットであり、試薬試料の同一性を図示する。
【図10】後述の実施例2における試薬の高さ対距離のプロットであり、試薬試料の同一性を図示する。
【図11】後述の実施例3における試薬の高さ対距離のプロットであり、試薬試料の同一性を図示する。
【図12】後述の実施例4における試薬の高さ対距離のプロットであり、試薬試料の同一性を図示する。
【図13】後述の実施例5における試薬の高さ対距離のプロットであり、試薬試料の同一性を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明はさまざまな改変および代替形態を受け入れることができるが、具体的な実施態様を例として図面に示し、本明細書で詳細に説明する。しかし、本発明は、開示される特定の形態に限定されることを意図しないことが理解されよう。それどころか、本発明は、本発明の本質および範囲内のすべての改変、均等物および代替を包含するものである。
【0015】
例示される実施態様の詳細な説明
本発明は、表面上に湿潤試薬液滴を被着させる方法を目的とする。具体的には、本発明は、たとえばユーザから採取した流体試料の分析対象物に関連する情報を決定するのに使用される試験センサのベース上に形成される電極パターン上に、湿潤試薬液滴を被着させる方法を目的とする。そのうえ、本発明は、試験センサごとに実質的に同一な構造の複数の湿潤試薬液滴を被着させるための試薬分配システムを用いる特定の方法を目的とする。湿潤試薬液滴の同一性は、流体試料の分析対象物に関連する情報の精密さおよび精度を高める、試験センサごとに実質的に同一な乾燥試薬層を生成する。
【0016】
試験センサは通常、流体試料を受けるように適合され、機器または計器が引き続き分析して濃度測定値を生成する。測定できる分析対象物は、グルコース、脂質プロファイル(たとえば、コレステロール、トリグリセリド、LDL、およびHDL)、ミクロアルブミン、ヘモグロビンA1C、フルクトース、乳酸、またはビリルビンを含む。他の分析対象物濃度を決定することもできると考えられる。分析対象物は、たとえば、全血試料、血清試料、血漿試料、他の体液、たとえばISF(間質液)、クレアチニン、尿素、尿、および非体液中であってもよい。
【0017】
試験センサは、電気化学的試験センサであってもよい。電気化学的試験センサは、少なくともベース(基板ともいう)、該ベース上の電極パターン、乾燥試薬層、および蓋および/またはスペーサのような第2の層を含む。1つの実施形態において、電気化学的試験センサは、ベース、電極パターン、乾燥試薬層、および蓋を含む。他の実施形態においては、電気化学的試験センサは、ベース、電極パターン、スペーサ、乾燥試薬層、および蓋を含む。
【0018】
ベース、スペーサ、および蓋は、多様な材料、たとえば重合体材料から作られてもよい。ベース、スペーサ、および蓋を形成するために使用することができる重合体材料の非限定的な例は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリイミド、およびそれらの組み合わせを含む。ベース、スペーサ、および蓋は、別個に他の材料で作ることができると考えられる。ベース上の電極パターンは、炭素、金、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、またはそれらの組み合わせを含むが、これに限定されない多様な導電性物質から作ることができる。電極パターンは、試験センサ接触部および導電性リード線を含むこともできる。試験センサ接触部は、電極を、リード線を介して分析用計器に電気的に接続する。
【0019】
電気化学的試験センサの非限定的な1つの実施例は、図1a〜cに示される。図1a,bは、ベース112、スペーサ114、電極パターン130、試験部150、および蓋116を含む電気化学的試験センサ100を図示する。図1aは、蓋116が取り付けられた試験センサ100を図示する。試験センサ100を形成するために、ベース112、スペーサ114、および蓋116は、たとえば接着剤またはヒートシールによって取り付けられる。流路120(たとえば、毛管流路)は、ベース112、スペーサ114、および蓋116が互いに取り付けられるときに形成される。1つの方法によれば、ユーザは、最終的には試験部150に達する流路120の中に、流体試料(たとえば、血液)を導入する。試験部150は、乾燥試薬層152および少なくとも2つの電極を含む。蓋116は、流体試料が流路120の中に流入することを支援するために通気孔117を含むことができる。
【0020】
酵素は、流体試料の分析対象物に関連する情報を決定することを支援するように、所望の分析対象物または被験分析対象物に反応するように選択される。乾燥試薬層152は、流体試料(たとえば血液)中の関連する分析対象物(たとえばグルコース)を、電極パターン130の構成部分によって、それが生成する電流で電気化学的に計測可能な化学種に転換する。
【0021】
図1cは、蓋116を完全に取り外した図1aの試験センサ100を図示し、ベース112上の電極パターン130を示す。電極パターン130は、複数の電極132および134、複数の導電性のリード線またはトレース136,138、および複数の試験センサ接触部140,142を含む。複数の電極132,134は、少なくとも対向電極132および作用電極134を含む。作用電極は、電位が作用電極および対向電極にわたって加えられるときの電流を測定する。対向電極は、作用電極で起こる反応をサポートするように十分な大きさであるべきである。印加された電圧は、電極132,134上に被着された乾燥試薬液滴152の参照基準とすることができる。試験センサ100は、他の電極、たとえばトリガー電極、検出電極、ヘマトクリット電極、または第2の作用電極を含むことができると考えられる。乾燥試薬層152は、対向電極132、作用電極134、ベース112、またはそれらの任意の組み合わせの上に形成されることができるとも考えられる。
【0022】
電極は、たとえば金属材料(たとえば、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、またはそれらの組み合わせ)のような導電性材料、または炭素で形成される。
【0023】
電気化学的試験センサの他の非限定的な例が、図2a,bに示される。図2a,bは、ベース212、電極パターン230、試験部250、および蓋216を含む電気化学的試験センサ200を図示する。ベース212は、上述のベース112と類似かまたは同様であってもよい。蓋216には、流体試料を受けるように適合される凸状開口部が形成されてもよい。図2aは、蓋が取り付けられたベース212を図示する。流路220(たとえば、毛管流路)は、ベース212および蓋216が互いに取り付けられるときに形成される。1つの方法によれば、ユーザは、流体試料が試験部250に達するように、流体試料を流路220の中に導入することができる。試験部250は、乾燥試薬層252および少なくとも2つの電極を含む。乾燥試薬層252は、図1aの乾燥試薬層152に含まれる酵素と同様なまたは類似する酵素を含むことができる。
【0024】
ベース212上に形成される電極パターン230は、上述の電極パターン130と類似するかまたは同様であってもよい。同様に、1つの実施形態において、電極は対向電極および作用電極を含む。他の実施形態においては、電極には、たとえばトリガー電極のような追加の電極、検出電極、ヘマトクリット電極、第2の作用電極、および他の電極を含むことができる。
【0025】
ここで、図3a〜3dを参照すると、電気化学的試験センサの一部分が示されている。図3aは、ベース312、電極パターン330、および湿潤試薬液滴353aを含む電気化学的試験センサ300の非常に疎水性のある部分の断面図を図示する。ベース312および電極パターン330は、試験センサ100に関する上述のベース112および電極パターン130と類似するかまたは同様である。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、湿潤試薬液滴353aは、少なくとも3つの物理的変数:高さ(h)、半径(R)、および接触角(θ)を有する。これらの変数(h、R、およびθ)は、湿潤試薬液滴353aが被着されるときの試験センサごとの同一性に関して、湿潤試薬液滴353aの物理的構造を定義できる。高さhおよび半径Rは、接触角θの関数である。接触角θが小さくなると、高さhは小さくなり、半径Rは大きくなる。湿潤試薬液滴353aは、ベース312、電極パターン330、またはそれらの組み合わせの上に分配することができる。したがって、湿潤試薬液滴353aの接触角θは、被着面(たとえば、ベース312および/または電極パターン330)の表面エネルギの関数である。被着面の表面エネルギは、少なくとも電極パターン330の表面、ベース312の(たとえば、重合体)表面、および汚染に依存する。電極パターン330の表面は、たとえばベース312上に電極パターン330をプリントまたは配置するプロセスによるか、あるいは、電極パターン330自体の材料による表面凹凸を含有してもよい。ベース312は、環境または温度の変化にともなって移動するベース312を形成する重合体分子のセグメントによる表面凹凸を含有してもよい。これらの表面変動源は、試験センサごとに実質的に同一な湿潤試薬液滴353aの被着を非常に困難にする。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、湿潤試薬液滴353aの物理的変数は、被覆エリア、CAを含む。被覆エリアCAおよび高さhは、試験センサごとの、湿潤試薬液滴353および乾燥試薬層の物理的構造の同一性を定義するために使用できる。被覆エリアは、湿潤試薬液滴353の占有面積と等しい。別の言い方をすれば、被覆エリアは、ベース312および/または電極パターン330を被覆する湿潤試薬液滴353の物理的エリアである。被覆エリアは一般に円形であるが、被覆エリアの他の形状および大きさは、たとえば、例として長円形、正方形、楕円形、長方形などが考えられる。
【0028】
湿潤試薬液滴353の被覆エリアは、被着面(たとえば、ベース312および/または電極パターン330)の表面エネルギおよび加えられた機械的エネルギまたは力(後述)の関数である。被着面上のより多くの表面凹凸および表面汚染は、被覆エリアを減少させ、高さhを増加させる。湿潤試薬液滴353を供給しながら試薬に加えられたより大きい機械的力は、被覆エリアを大きくし、高さhを減少させる。
【0029】
図3bを参照すると、電気化学的試験センサ301の非常に親水性のある部分の断面図が示されている。試験センサ301は、ベース313、電極パターン331、および湿潤試薬液滴353bを含む。ベース313および電極パターン331は、試験センサ100に関する上述のベース112および電極パターン130と類似かまたは同様である。試験センサ301は、図3aに示される試験センサ300の接触角θより小さい接触角θを持つ湿潤試薬液滴353bを図示する。図3bのより小さい接触角θは、たとえば、図3aの非常に疎水性のある被着面と比べて非常に親水性のある被着面によるものである。別の言い方をすれば、もともと親水性のある被着面は、より小さい接触角θを持つ湿潤試薬液滴をもたらす。より小さい接触角θは、また、より大量の湿潤試薬液滴353bの拡散を生じさせる。湿潤試薬液滴353a,bは、外部の力でも付加された運動エネルギでも被着しない。
【0030】
本発明は、被着されると試薬に運動エネルギを付加する試薬分配システムで、湿潤試薬液滴353を被着させる方法を目的とする。試薬に加えられる運動エネルギは、試薬を表面変動に対してより敏感でなくさせて、試験センサごとに実質的に同一な被覆エリアCAおよび高さhを有する湿潤試薬液滴353を生じさせる。いったん湿潤試薬液滴353が被着されると、湿潤試薬液滴353は乾燥して乾燥試薬層を形成すると考えられる。湿潤試薬液滴353は、乾燥処理の間に蒸発する水を80パーセント以上含有するとも考えられる。さらに、実質的に同一な被覆エリアCAおよび高さhを有する湿潤試薬液滴353の被着は、実質的に同一な被覆エリアCAおよび、hがhより小さい、高さhを有する乾燥試薬層を生じさせるものと考えられる。
【0031】
図3cを参照すると、図3aの試験センサ300が湿潤試薬液滴353cと共に示される。湿潤試薬液滴353cは、以下に開示される、外部の力または運動エネルギを被着される試薬に加える本発明の方法の1つを用いて被着される。湿潤試薬液滴353cは、たとえば加えられた運動エネルギのために、図3aの試験センサ300の接触角θより小さい接触角θを有する。同様に、図3dは、湿潤試薬液滴353dを持つ図3bの試験センサ301を図示する。湿潤試薬液滴353dも、本発明の方法の1つを用いて被着される。湿潤試薬液滴353dは、たとえば付加された運動エネルギのために、図3bの試験センサ301の接触角θより小さい接触角θを有する。外部の力または加えられた運動エネルギは、試薬を表面変動に対してより敏感でなくすのに十分な量であるべきだと考えられる。より敏感でない試薬は、最も親水性のある部分の同じ被着面上に被着された湿潤試薬液滴353の接触角θと等しいまたはより小さい接触角θを有する湿潤試薬液滴を生じさせる。別の言い方をすれば、外部の力または加えられた運動エネルギは、被着された試薬が、いかなる外部の力または加えられた運動エネルギもなしで、非常に親水性のある試験センサ301上に被着された湿潤試薬液滴353bの接触角θと等しいまたはより小さい接触角θを持つ湿潤試薬液滴353cを形成させる。
【0032】
表面の汚染が表面エネルギにどのように影響するかの非限定的な1つの例は、付着性の液滴された水が清浄純粋で研磨された金属(たとえば、金)表面上に配置されるとき、理論上は水が自然に金属に拡散して、接触角θゼロを呈することを提供する。しかしながら、実際には、親水性のあるいくらかの有機または無機汚染物質が、常に金表面の中に吸収されて、表面の親水性がより少なく、疎水性がより多く作用(すなわち、より少なく水を拡散)させる。表面の疎水特性は、表面エネルギを減少させ、接触角θが大きくなる結果をもたらす。接触角θが大きくなる問題は、大きくなることが、供給の時点で、制御不能な汚染物質の表面ごとに変動するレベルにランダムに基づいていることにある。
【0033】
したがって、電極パターン面330,331およびベース面312,313の変動、ならびに、汚染物質の存在は、全て、試験センサごとに湿潤試薬液滴353の拡散量を変動させる結果をもたらす。拡散量の変動は、ベース312,313および/または電極パターン330,331上に供給される各湿潤試薬液滴353のランダムな接触角θを生じさせる。ランダムな接触角θは、異なる物理的構造を有する乾燥試薬層を生成する。表面変動による、乾燥試薬層構造におけるこれらの差異は、試験センサごとに、より正確でなく、より精度の低い試験結果を生じさせる。
【0034】
本発明は、試薬分配システムを用いて試薬を被着させることによって、乾燥試薬層構造におけるこれらの差異を補償する方法を目的とする。1つの方法によれば、試薬は電気化学的試験センサ上に被着される。この方法は、ベースの提供および該ベース上への電極パターンの形成を含む。ベースおよび電極パターンは、試験センサ100に関する上述のベース112および電極パターン130と同様または類似していてもよい。試薬は、試薬分配システムを用いて、少なくとも電極パターン上に被着される。試薬は、ベース、電極パターン、またはそれらの組み合わせ上に被着させることができると考えられる。
【0035】
試薬分配システムは、試薬分配システム内に含有される試薬に機械的力を加える。機械的力は、ベースおよび/または電極パターン上への湿潤試薬液滴の提供を支援する。湿潤試薬液滴は、少なくとも4つの物理的変数:被覆エリアCA、高さh、半径R、および接触角θを有する。これらの湿潤試薬液滴変数は、上述の試験センサ300,301の湿潤試薬液滴353の変数と同じである。
【0036】
湿潤試薬液滴の被覆エリアCA、高さh、半径R、および接触角θは、試薬分配システムが試薬に及ぼす機械的力の量の関数である。試薬分配システムは、試験センサごとに、被着された試薬が実質的に同一な湿潤試薬液滴を形成するように、表面変動または汚染を克服するのに十分な量の機械的力を及ぼす。試薬に及ぼされる機械的力の量は、通常、被着される試薬の粘度によって変動する。試薬の粘度は、一般に、1〜100センチポアズの範囲内である。さらに、試薬の粘度が高くなると、試験センサごとに実質的に同一な湿潤試薬液滴を維持するために、力の量をそれに応じて増加させるものと考えられる。別の言い方をすれば、加えられた力は、図3bの非常に親水性のある試験センサ301上に機械的力無しに被着した湿潤試薬液滴353bの接触角θと少なくとも等しいまたはより少ない接触角θを持つ湿潤試薬液滴を被着させるのに十分であるべきである。また、試薬に及ぼす機械的力は、これらに限定されないが、たとえば、ばね、ピストン、モータ、ソレノイド、圧縮空気、または油圧システムに由来してもよいと考えられる。
【0037】
他の方法において、試薬分配システムは、プラズマ処理面または非プラズマ処理面上に湿潤試薬液滴を被着させることができる。試薬分配システムが湿潤試薬液滴を被着させるとき、多様な汚染物質が、ベースおよび/または電極パターン上に存在することがある。汚染物質は、たとえば、疎水性のある物質、親水性のある有機および無機物質、または湿度のレベルが変動したことによる水であることができると考えられる。
【0038】
試薬に十分な量の機械的力を及ぼすことは、試験センサごとに、高さh、半径R、および接触角θに関して実質的に同一な構造を有する湿潤試薬液滴を被着させるという驚くべき結果を提供する。加えて、試薬に十分な量の機械的力を及ぼすことは、試験センサごとに、実質的に同一な被覆エリアおよび高さhを有する湿潤試薬液滴を被着させるという驚くべき結果を提供する。これらの同一な湿潤試薬液滴は、1つ以上の試験センサを、分析対象物に関連する情報を決定するための計器とともに用いるとき、より精度の良い、正確な、同一性のある、および信頼性の高い試験結果を生じさせる、試験センサごとに実質的に同一な被覆エリアCAおよび高さhを有する乾燥試薬層を提供する。
【0039】
1つの方法によれば、電気化学的試験センサは、乾燥試薬層を有して形成される。試験センサは、上述の試験センサ100,200,300、または301と類似、もしくは、同様であってもよい。この方法は、ベースまたは基板の提供および該ベース上への電極パターンの形成を含む。ベースおよび電極パターンは、上述のベース112および電極パターン130と類似かまたは同様であってもよい。試薬分配システムが、試薬を被着させるために供給される。試薬分配システムは、ベース、電極パターン、またはそれらの組み合わせ上に試薬を被着させることができると考えられる。図4aは、試薬分配システム400の非限定的な一例の正面平面図を図示する。図4bは、図4aの試薬分配システム400の分解図を図示する。
【0040】
図4a,bを参照すると、試薬分配システム400は、圧縮部材410、ピストン−ニードルアセンブリ420、空気室430、流体室440、ノズル450、および本体460を含む。圧縮部材410は、圧縮調節機構412に接続される。圧縮調節機構412は、ユーザが圧縮部材410の初期圧縮量を調節することを可能にする。ユーザは、圧縮調節機構412の上部414を通す、またはねじ込むことによって圧縮部材410を圧縮することができると考えられる。また、他の機構を、圧縮部材410を圧縮するために使用してもよいと考えられる。代替として、試薬分配システムは、圧縮調節機構なしで提供されてもよいと考えられる。圧縮部材は、これに限定されないが、たとえば、ばねであってもよいと考えられる。
【0041】
ピストン−ニードルアセンブリ420は、2つの対向する端部を有する。第1の対向する端部は、装填ボタン422に接触する。装填ボタン422は、ピストン−ニードルアセンブリ420の第1の対向する端部を装填ボタン422に対して押し付けるとき、装填ボタン422が圧縮部材410をさらに圧縮するように、圧縮部材410の1つの側面に接続される。試薬分配システムは、装填ボタンなしで提供されてもよいと考えられる。ピストン−ニードルアセンブリ420の第2の対向する端部は、台座426と着脱可能に接触するボール状先端部424を有する。台座は、Oリング428をさらに含むことができる。ピストン−ニードルアセンブリ420もまた、閉鎖位置および開放位置を有する。閉鎖位置は、これは試薬がノズル450から出るのを阻害または防止するものであるが、ボール状先端部424が台座426に接触するときに起こる。ピストン−ニードルアセンブリ420の開放位置は、ピストン−ニードルアセンブリ420が圧縮部材410を圧縮するとき、それによって台座426からボール状先端部424の接続を断たれることで起こる。ピストン−ニードルアセンブリの第2の対向する端部は、図4bに図示される以外の他の形状および大きさ、たとえば、これに限定されないが、正方形状先端部、三角形状先端部、多角形状先端部、丸みを帯びた先端部、弾丸状先端部などであってもよいと考えられる。ピストン−ニードルアセンブリ420はまた、1マイクロ秒未満内で開放位置および閉鎖位置の間で往復することができると考えられる。
【0042】
試薬は、流体注入口442および流体吐出口444を有する流体室440中に分配される。供給管446が、図4aに図示される流体貯留部448に流体注入口442を接続する。流体貯留部448は、図4bに示されるような貯留部留め具466を介して試薬分配システム本体460に取り付けることができる。流体貯留部は、別の場所に格納でき、本体460に取り付けなくてもよいと考えられる。流体吐出口444は、Oリング428を介して台座426に取り付けることができる。流体室440は、環状部品462および密封部品464を介して試薬分配システム本体460に取り付く。流体吐出口444は、ピストン−ニードルアセンブリ420の開放および閉鎖位置に対応する開放位置および閉鎖位置を有する。ピストン−ニードルアセンブリ420が開放位置にあるときだけ、試薬は流体吐出口444から出ることができる。
【0043】
流体貯留部は、流体圧力を維持するために、外部の空気圧源をさらに含むことができると考えられる。流体圧力は、一般におよそ1からおよそ30psiであることができ、これはおよそ1からおよそ100センチポアズの粘度を有する試薬に対応すると考えられる。流体圧力がおよそ2からおよそ5psiであるとともに、試薬の粘度はおよそ2からおよそ10センチポアズであることが望ましい。他の流体圧力レベルも考えられる。さらに、必要とされる流体圧力は、流体貯留部448が十分な高さの流体柱である状態の、流体自体によって供給されてもよいと考えられる。およそ5からおよそ8フィートの高さを有する流体柱が、おそらく所望の流体圧力を供給するだろうと考えられる。
【0044】
加圧空気が、空気室430に供給される。空気供給管432が、外部の加圧空気源をソレノイド弁434(図4a)に接続する。電気的信号は、ソレノイド弁434を起動して、加圧空気が空気室430の中に入れることを可能にする。加圧空気は、ピストン−ニードルアセンブリ420に力を加えて、圧縮部材410をさらに圧縮する。圧縮部材410の二次圧縮量は、ユーザがどのくらいの初期圧縮を圧縮調節機構412を介して圧縮部材410に加えたかに依存する。初期圧縮量がより大きいと、二次圧縮に利用可能な量は減少する。
【0045】
加圧空気はまた、ピストン−ニードルアセンブリ420にボール状先端部424を持ち上げさせ、それによってピストン−ニードルアセンブリ420を開放位置へと動かす。ボール状先端部424が台座426から持ち上げられると、試薬がピストン−ニードルアセンブリ420のボール状先端部424へ降りて、そのまわりに流入することが可能になる。そして、電気的信号が終了し、それがソレノイド弁434を解放し、それによって空気室430から加圧空気が放出される。そして、圧縮部材410は、ボール状先端部424を台座426との接触に押し進めるかまたは急激に戻し、それによってノズル450から試薬の一部分を排出できる。そして、排出された試薬は、被覆エリアCA、高さh、半径R、および接触角θを含む1つ以上の構造的変数を有する湿潤試薬液滴として、ベースおよび/または電極パターン上に被着される。
【0046】
二次圧縮の変動量は、試薬の一部分を排出するために使用することができると考えられる。二次圧縮の量が少ないことはまた、試薬の一部分に加えられる力の量がより小さくなる結果をもたらすと考えられる。しかしながら、十分な二次圧縮量を及ぼすことは、排出された試薬が表面に対してより敏感でなく、試験センサごとに実質的に同一な変数(CA、h、R、およびθ)を有する湿潤試薬液滴としてベースおよび/または電極パターン上に被着されるように試薬の一部分を排出する。この同一な湿潤試薬液滴が乾燥して、分析対象物に関連する情報を決定するための計器とともに試験センサを用いるとき、より精度の良い、正確な、および信頼性の高い試験結果を生じさせる乾燥試薬層を提供する。熱制御アセンブリ452は、ノズル450に取り付けることができると考えられる。熱制御アセンブリ452は、ノズル450から出る試薬の温度をモニタリングおよび/または変動させるために使用することができる。
【0047】
他の方法によれば、電気化学的試験センサは、乾燥試薬層を有して形成される。試験センサは、上述の試験センサ100,200,300、または301と類似か、もしくは、同様であってもよい。この方法は、ベースまたは基板の提供、該ベース上への電極パターンの形成、少なくとも該電極パターン上への湿潤試薬液滴の被着、乾燥試薬層を形成するための湿潤試薬液滴の乾燥、蓋の提供、および該蓋のベースへの取り付けを含む。スペーサは、試験センサ100に関する上述のスペーサ114と同様に提供することができると考えられる。ベース、電極パターン、および蓋は、図1aに示される上述のベース112、電極パターン130、および蓋216と類似かまたは同様であってもよい。試薬は、図4a,bに示される上述の試薬分配システム400と類似かまたは同様の試薬分配システムを用いて、ベース、電極パターン、またはそれらの組み合わせ上に被着されると考えられる。試薬は、試験センサごとに実質的に同一な構造的変数(CA、高さh、半径R、および接触角θ)を有する湿潤試薬液滴として被着される。ベース、蓋、および/またはスペーサは、湿潤試薬液滴が乾燥する前に取り付けられると考えられる。
【0048】
他の方法によれば、電気化学的試験センサは、乾燥試薬層を有して形成される。この方法は、ベースまたは基板の提供、該ベース上への電極パターンの形成、少なくとも該電極パターン上への湿潤試薬液滴の被着、乾燥試薬層を形成するための湿潤試薬液滴の乾燥、蓋の提供、および該蓋のベースへの取り付けを含む。試薬は、図5aに示される試薬分配システム500を用いてベースおよび/または電極パターン上に被着される。
【0049】
試薬分配システム500は、圧縮部材510、ピストン−ニードルアセンブリ520、空気室530、流体室540、およびノズル550を含み、これらは全て図4a,bに示される上述の圧縮部材410、ピストン−ニードルアセンブリ420、空気室430、流体室440、およびノズル450とそれぞれ類似する。試薬分配システム500は、開放位置および閉鎖位置を有する。図5aは、閉鎖位置にある試薬分配システム500を図示し;一方で図5bは、開放位置にある試薬分配システム500を図示する。ピストン−ニードルアセンブリ520は、開放位置および閉鎖位置の間で往復し、圧縮部材510を圧縮し、試薬の一部分をノズル550から出させる。試薬の一部分は、試験センサごとに実質的に同一な構造的変数(高さh、半径R、および接触角θ)を有する湿潤試薬液滴として、ベースおよび/または電極パターン上に被着される。
【0050】
他の方法によれば、電気化学的試験センサは、乾燥試薬層を有して形成される。試験センサは、上述の試験センサ100,200,300、または301と類似かまたは同様であってもよい。この方法は、ベースまたは基板の提供、および該ベース上への電極パターンの形成を含む。ベースおよび電極パターンは、図1cに示される上述のベース112および電極パターン130と類似かまたは同様であってもよい。試薬分配システムが、試薬を被着させるために供給される。試薬分配システムは、ベース上に、電極パターン上に、またはそれらの組み合わせ上に試薬を被着させることができると考えられる。図6a,bは、試薬分配システム600の他の非限定的な例の断面側面図を図示する。
【0051】
試薬分配システム600は、ソレノイド制御弁610、プランジャ620、圧縮部材630、およびノズル640を含む。ソレノイド制御弁610は、選択的に開放および閉鎖されることができる。電気的信号が供給されることができ、それがソレノイド制御弁610を起動して開放する。電気的信号が終了するとき、ソレノイド制御弁610が閉鎖する。図6aは、開放位置にあるソレノイド制御弁610を図示し、一方で図6bは、閉鎖位置にあるソレノイド制御弁610を図示する。ソレノイド制御弁610は、コイル612、ボビン614、およびシールド616を含む。コイル612、ボビン614、およびシールド616の大きさ、形状、および材料は、図6a,b内の図示と異なってもよいと考えられる。
【0052】
プランジャ620は、一般に、ソレノイド制御弁610の中心に位置する。プランジャは、ソレノイド制御弁610の位置に対応する開放位置および閉鎖位置を有する。プランジャ620はまた、2つの対向する端部も有する。第1の対向する端部は、ノズル640と結合するように適合される一体化された密封部材622を含有する。密封部材622は、プランジャ620が閉鎖位置にあるときに、試薬分配システム600内の試薬が、ノズル640から出るのを防止または阻害する。プランジャ620の第2の対向する端部は、プランジャ止め624と結合するように適合される。プランジャ止め624もまた、ソレノイド制御弁610の中心に位置し、ソレノイド制御弁610が開放位置にあるときにプランジャ620の第2の対向する端部に当接する表面を提供する。
【0053】
圧縮部材630は、閉鎖位置にあるプランジャ620を付勢する。電気的信号がソレノイド制御弁610を起動して開放するとき、プランジャ620は、圧縮部材630を圧縮させる。電気的信号が終了するとき、ソレノイド制御弁610は閉鎖して、圧縮部材を急激にか、または押し進めて、プランジャ620を閉鎖位置に戻すことを可能にする。圧縮部材630は、これに限定されないが、たとえばばねであってもよいと考えられる。
【0054】
ノズル640は、吐出口径を有する。ノズル640の吐出口径は、一般に、およそ4からおよそ9ミルであると考えられる。ノズル640は、およそ5からおよそ8ミル、またはより具体的には、およそ7からおよそ8ミルの吐出口径を持つことが望ましい。一般に、試薬のはね飛ばしという結果をもたらす、ベースおよび/または電極パターン上に被着されている試薬の増加した速度に対応する、より小さい吐出口径を避けることが望ましい。加えて、より小さい吐出口径のノズルは、ベースおよび/または電極パターン上に十分な量の試薬を供給するのに、より長いソレノイド制御弁開放時間を必要とする。一般に、試薬が必要とされる量のために制御弁を閉鎖するのが困難なときに、非常に短いソレノイド制御弁開放時間に対応する、より大きい吐出口径のノズルもまた、避けることが望ましい。
【0055】
加圧試薬が、流体注入口602を通して試薬分配システム600に供給される。電気的信号は、ソレノイド制御弁610を起動して開放する。そして、試薬は、ソレノイド制御弁610を通されて、試験センサごとに実質的に同一な変数(h、R、およびθ)を有する湿潤試薬液滴としてベースおよび/または電極パターン上に(図6bにおける矢印Aの方向へ)供給される。試薬への圧力は、試薬を表面変動に対してより敏感でなくさせる運動エネルギを試薬に付加し、それが同一な変数を有する湿潤試薬液滴を生成する。
【0056】
試薬分配システム600は、試薬が表面上に被着されるにつれて、ノズル640から出る試薬の運動エネルギが大きくなるように、ベースおよび/または電極パターン面よりも上側に位置することができると考えられる。この付加された運動エネルギは、ベースおよび/または電極パターンの汚染および表面変動を克服するためにさらに働いて、試験センサごとに実質的に同一な変数を持つ湿潤試薬液滴を生成する。
【0057】
1つの実施形態におけるノズルは、一般に、ベースおよび/または電極パターンの上部表面よりおよそ50からおよそ600ミル上側の分配高さに位置する。およそ50からおよそ100度の接触角θを有する被着面により疎水性を持たせるためには、およそ375からおよそ425ミルの分配高さを持つことが望ましい。およそ20からおよそ50度の接触角θを有する被着面により親水性を持たせるためには、およそ200からおよそ250ミルの分配高さを持つことが望ましい。より親水性のある表面のいくつかの非限定的な例は、プラズマ処理面、湿潤面、および研磨面を含むが、これらに限定されない。また、試薬への流体圧力量は、およそ1からおよそ20psiであると考えられる。流体圧力は、疎水性および親水性のある表面の両方に対して、およそ6からおよそ9psiであることが望ましい。
【0058】
他の方法によれば、電気化学的試験センサは、乾燥試薬層を有して形成される。試験センサは、上述の試験センサ100,200,300、または301と類似かまたは同様であってもよい。この方法は、ベースまたは基板の提供、該ベース上への電極パターンの形成、少なくとも該電極パターン上への湿潤試薬液滴の被着、乾燥試薬層を形成するための湿潤試薬液滴の乾燥、蓋の提供、および該蓋のベースへの取り付けを含む。スペーサは、試験センサ100に関する上述のスペーサ114と同様に提供することができると考えられる。ベース、電極パターン、および蓋は、図1aに示される上述のベース112、電極パターン130、および蓋116と類似かまたは同様であってもよい。試薬は、ベース、電極パターン、またはそれらの組み合わせ上に被着されると考えられる。試薬は、図6a,bに示される上述の試薬分配システム600と類似かまたは同様の試薬分配システムを用いて、ベースおよび/または電極パターン上に被着される。試薬は、被覆エリアCA、高さh、半径R、および接触角θを含む1つ以上の構造的変数を有する湿潤試薬液滴としてベースおよび/または電極パターン上に被着される。ベース、蓋、および/またはスペーサは、湿潤試薬液滴が乾燥する前に取り付けられると考えられる。
【0059】
1つの方法において、上述の電気化学的試験センサ100,200,300、または301は、リボン状ストリップから形成されてもよい。リボン状ストリップは、諸加工、たとえば複数シート加工またはウェブ加工から作ることができる。たとえば、ベース、スペーサ、および蓋を持つ実施形態において、ベース用リボン状ストリップ、スペーサ用リボン状ストリップ、および蓋用リボン状ストリップを使用することができる。効率を改善するために、電気化学的試験センサは、一般に、全てのリボン状ストリップを取り付けたのちに形成される。他の実施形態において、ベース用リボン状ストリップは、第2の層、たとえば例として蓋用リボン状ストリップに取り付ける(たとえば、積層する)ように適合される。
【0060】
図7を参照すると、試薬分配システム600の乾燥試薬層の直径および分配高さの間の相関を図示する図が示される。具体的には、乾燥試薬層の分配高さおよび直径の間に直線的関係が存在する。分配高さが高くなると、乾燥試薬層の直径もまた大きくなる。
【0061】
他の方法において、試験センサは、光学的試験センサであってもよい。光学的試験センサシステムは、たとえば分析対象物の濃度のような流体分析対象物に関連する情報を測定するために、たとえば透過分光法、拡散反射率または蛍光分光法のような諸技術を使用することができる。指示薬系および体液試料内の分析対象物が反応して、試薬および分析対象物の間の反応が試料の変色を引き起こすように、発色反応を生じさせる。変色の程度が体液中の分析対象物の濃度を表す。試料の変色を評価して、透過光の吸光レベルを測定する。
【0062】
光学的試験センサ800の1つの非限定的な例が、図8a,bに図示される。光学的試験センサ800は、ベース812、スペーサ814、蓋816、および試験部850を含む。ベース812、スペーサ814、および蓋816は、試験センサ100,200,300、および301に開示されるベース、スペーサ、および蓋と同様または類似していてもよい。代替として、光学的試験センサは、ベース、蓋、および試験部850を含んでもよい。しかしながら、光学的試験センサは、電気化学的試験センサにおいて開示された電極、導電性リード線、または試験センサ接触部を含む必要はないだろう。試験センサ800を形成するために、ベース812、スペーサ814、および蓋816は、たとえば、接着剤またはヒートシールによって取り付けられる。流路820(たとえば、毛管流路)は、ベース812、スペーサ814、および蓋816が互いに取り付けられたときに形成される。蓋816は、流路820の中に流体試料が流入することを支援するために、通気孔817を含むことができる。試験部850は、乾燥試薬層852を含む。乾燥試薬層852は、図4a,bおよび6a,bにそれぞれ示される上述の試薬分配システム400または600を用いて、ベース812上に湿潤試薬液滴を供給することによって形成することができる。
【0063】
任意の上述の試薬分配システム(400、500、および600)は、試験センサごとに、およそ1ミリメートル四方からおよそ20ミリメートル四方の間で実質的に同一な被覆エリアを有する湿潤試薬液滴として試薬を被着させることができる。いくつかの実施形態によれば、各湿潤試薬液滴は、およそ3ミリメートル四方からおよそ6ミリメートル四方の実質的に同一な被覆エリアを有すると考えられる。任意の上述の試薬分配システムはまた、およそ10マイクロメートルからおよそ300マイクロメートルの実質的に同一な高さhを有する湿潤試薬液滴として試薬を被着させることができる。いくつかの実施形態によれば、湿潤試薬液滴は、およそ40マイクロメートルからおよそ100マイクロメートルの実質的に同一な高さhを有すると考えられる。
【0064】
各湿潤試薬液滴は、乾燥して、それぞれ湿潤試薬液滴と実質的に同じ被覆エリアを有する乾燥試薬層になる。乾燥試薬層は、およそ2分の1マイクロメートルからおよそ20マイクロメートルの実質的に同一な高さhを有する。いくつかの実施形態によれば、乾燥試薬層は、およそ1マイクロメートルからおよそ5マイクロメートルの実質的に同一な高さhを有すると考えられる。
【0065】
上述の被着技術に加えて、試薬の同一性は、試薬の配合自体によっても改善することができる。上述したように、乾燥試薬層152は、流体試料(たとえば血液)中の関連する分析対象物(たとえばグルコース)を、電極パターン130の構成部分で、それが生成する電流により、電気化学的に計測可能な化学種に転換する。試薬は通常、酵素およびメディエータを含む。所望の分析対象物または被験分析対象物に反応するように、適切な酵素が選択される。グルコースとの反応に使用することができる酵素は、グルコースオキシダーゼである。グルコースと反応させるために、他の酵素、たとえばグルコースデヒドロゲナーゼを使用することができると考えられる。他の分析対象物と反応させるために他の酵素を使用することができると考えられる。
【0066】
試薬は通常、分析対象物および電極の間での電子の移動を支援するメディエータを含む。使用できるメディエータは、フェリシアン化物、フェナジンエトサルフェート、フェナジンメトサルフェート、フェニレンジアミン、1−メトキシ−フェナジンメトサルフェート、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン、フェロセン誘導体、オスミウムビピリジル錯体、ルテニウム錯体、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジン、3−フェニルイミノ−3H−フェノキサジンなどを含むが、これらに限定されない。グルコースが関連する分析対象物であり、グルコースオキシダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼが酵素成分である、それらの実施形態において、特に関連するメディエータはフェリシアン化物である。
【0067】
試薬は、酵素およびメディエータを共に保持する結合剤、他の不活性原料、緩衝剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。試薬内に存在してもよい他の成分は、緩衝化剤(たとえば、シトラコン酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、およびリン酸)および結合剤(たとえばセルロース重合体)を含む。試薬内に存在してもよい他の成分は、補酵素、たとえばピロロキノリンキノン(PQQ)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)(NAD(P))、界面活性剤、たとえばTriton(登録商標)、Macol(登録商標)、Tetronic(登録商標)、Silwet(登録商標)、Zonyl(登録商標)、およびPluronic(登録商標)、および安定剤、たとえばアルブミン、スクロース、トレハロース、マンニトール、および乳糖を含む。
【0068】
こぼしたコーヒーの滴は、固体表面上で乾燥するとき、周囲に沿って濃厚なリング状の染みを残す。初めは滴全体にわたって分散したコーヒーが、そのごく一部に濃縮されるようになる。この現象は、「コーヒーリング」効果と呼ばれる。物理的には、縁から蒸発するいかなる液体も、液体によってその内側から補充されなければならないので、コーヒーリングが形成される。このプロセスが終わると、より多くの物質が縁の上に溜まる。電気化学的試験センサが形成されるとき、酵素およびメディエータを含む化学的試薬が、電極面上に加えられ、乾燥される。化学的試薬は、諸方法、たとえばスクリーン印刷、ストリップコーティング、およびマイクロデポジション(微細被着)によって加えることができる。微細被着の間、試薬は比較的薄く、およそ1,000センチポアズ(cp)未満、望ましくはおよそ100cp未満の粘度を有する。この比較的薄い試薬は、上述のコーヒーリング効果を生成することができる。
【0069】
試験センサのベース上の試薬の同一性を改善するために、試薬の配合は、濃縮された多価塩および/または高分子電解質を含むことによって最適化されることができる。試薬における濃縮された多価塩および/または高分子電解質の使用は、コーヒーリング効果を減少または排除さえすることがある。
【0070】
多価塩は、通常、試薬溶液において少なくとも40mMの濃度を有し、より望ましくは試薬溶液において少なくとも50mMの濃度を有する。試薬の同一性をさらに改善するために、多価塩は、試薬溶液において少なくとも60または75mMのより高い濃度、また試薬溶液において少なくとも100mMの濃度さえも有することができる。使用される多価塩は、試薬溶液において室温で十分な溶解度を有して、所望の濃度に達する。
【0071】
多価塩の非限定的な例は、硫酸およびリン酸、たとえば硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム(KSO)、硫酸アンモニウム((NHSO)、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、リン酸二カリウム(KHPO)、リン酸二アンモニウム((NHHPO)、シュウ酸ナトリウム(Na)、シュウ酸カリウム(K)、コハク酸ナトリウム(Na)、およびコハク酸カリウム(K)を含む。硫酸およびリン酸を含む選択された多価塩は、試薬の同一性の改善を支援するために望ましい水溶性を有する。
【0072】
使用できる高分子電解質のいくつかの非限定的な例は、カルボキシメチルセルロース(CMC)や、アリール酸、リンゴ酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸の単独重合体および共重合体、その共重合体または塩を含むが、これらに限定されない。高分子電解質の1つの例が、International Specialty ProductsからのGantrez(登録商標)(メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物共重合体)である。試薬における高分子電解質の重量パーセントは、変動してもよいが、一般には、試薬のおよそ0.1からおよそ4重量%、より具体的には、およそ0.2からおよそ1重量%である。高分子電解質は、一般に、試薬の少なくともおよそ0.2または少なくともおよそ0.3重量%である。高分子電解質の量は、ろ過および体積の精度が影響されないように、よく選択されるべきである。
【0073】
濃縮された多価塩および高分子電解質に加えて、試薬の総装填量は、結合剤として低分子量重合体を選択することによって、試薬の粘度への顕著な影響なく、およそ5からおよそ15重量%に増加することができる。上述した運動の分配する力により、湿潤試薬は、100μm、より望ましくは50μm以下の平均濃度で分配することができる。薄い湿潤試薬は、乾燥に必要とする時間がより短く、縁に向かって溜まる成分を大いに減少させる。
【0074】
実施例
実施例1
図9は、基板上の乾燥試薬滴のおおよそ全幅にわたって見た断面図の高さ(単位はμm)対距離(単位はmm)のプロットを示す。乾燥試薬は、およそ6.5のpHを有するリン酸緩衝剤(総リン酸緩衝剤濃度は125mM)内に、2ユニット/μLのフラビンアデニンジヌクレオチド−グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD−GDH)酵素、60mMの3−(2’,5’−ジスルホフェニルイミノ)−3H−フェノチアジンメディエータ、0.15重量%のMega8界面活性剤、0.38重量%のヒドロキシエチルセルロース、12mMの硫酸ナトリウム、および40mMのNaHPOを含んでいた。したがって、多価塩の濃度は、52mMを超えた。
【0075】
試薬は、コネチカット州WestbrookのLee Companyからの小型ソレノイド弁INKAシリーズで供給された。試薬は、Lindbergトンネル炉を用いて乾燥された。図9のプロットにデータを提供することを支援するために、MicroProf(登録商標)MPR140(ドイツ、Bergisch-GlabachのFries Research & Technology GmbH)が、試薬の三次元構造の特徴付けを支援した。
【0076】
図9に示されるように、基板の幅が乾燥試薬滴の幅より大きいので、最端部の高さは、基板自体のベースライン高さを反映する。この高さは、乾燥試薬滴の全幅にわたっておおむね同一性があったが、少数の外れ値があった。おおむね同一した高さは、固体の濃度が乾燥試薬滴の幅の全幅にわたってより同一であったことを表す。同一性は、最濃点に対する最薄点の比率(すなわち、プロットの高さにおける最濃点に対する、高さにおける最薄点の比率)として定義することができる。たとえば、図10において、比率はおよそ1.2/5.5、つまり0.22であった。この比率は、外れ値のために低くなった。グラフの中ほどの部分(図9における距離のおよそ0.5からおよそ2.0、つまりおおむね中ほどの60%)は、高さが平均しておよそ2.75であった。最濃点に対する平均的な中ほどの部分の比率は、はるかに良い0.5であった。
【0077】
乾燥試薬滴における最濃点に対する最薄点の比率は、およそ0.2より大きいことが望ましい。乾燥試薬滴における最濃点に対する最薄点の比率は、およそ0.3または0.4より大きいことがさらに望ましい。乾燥試薬滴における最濃点に対する最薄点の比率は、およそ0.5または0.6より大きいことがさらに望ましい。
【0078】
乾燥試薬滴における最濃点に対する平均的な中ほどの部分の比率は、およそ0.4より大きいことが望ましい。乾燥試薬滴において、平均的な中ほどの部分は、最濃点に対しておよそ0.5または0.6より大きいことがさらに望ましい。
【0079】
実施例2
図10は、基板上の乾燥試薬滴のおおよそ全幅にわたって見た断面図の高さ(単位はμm)対距離(単位はmm)のプロットを示す。乾燥試薬は、およそ6.5のpHを有するリン酸緩衝剤(総リン酸緩衝剤濃度は75mM)内に、2ユニット/μLのFAD−GDH酵素、60mMの3−(2’,5’−ジスルホフェニルイミノ)−3H−フェノチアジンメディエータ、0.15重量%のMega8界面活性剤、0.38重量%のヒドロキシエチルセルロース、12mMの硫酸ナトリウム、および24mMのNaHPOを含んでいた。したがって、多価塩の濃度は、38mMを超えた。
【0080】
図10に示されるように、基板の幅が乾燥試薬滴の幅より大きいので、最端部の高さは、基板自体のベースライン高さを反映する。この高さは、上記の図9に図示されるよりはるかに同一性がなかった。高さは、図9と比べて乾燥試薬滴の端部でより高かったが、これは図9の乾燥試薬滴と比べて図10の乾燥試薬滴ではより同一でなかったことを表す。図10において、最濃点に対する最薄点の比率は、およそ1.1/5.5、つまり0.20であった。この比率は、外れ値のために低くなった。グラフの中ほどの部分(図9における距離のおよそ0.5からおよそ2.0、つまりおおむね中ほどの60%)は、高さが平均しておよそ1.75であった。最濃点に対する平均的な中ほどの部分の比率は、0.32であった。したがって、図10における最濃点に対する最薄点の比率は図9とおおよそ同じであったが、平均的な中ほどの部分は、図9の平均的な中ほどの部分よりはるかに薄く、より同一でない構成という結果になる。
【0081】
実施例3
図11は、基板上の乾燥試薬滴のおおよそ全幅にわたって見た断面図の高さ(単位はμm)対距離(単位はmm)のプロットを示す。乾燥試薬は、およそ6.5のpHを有するリン酸緩衝剤(総リン酸緩衝剤濃度は50mM)内に、2ユニット/μLのFAD−GDH酵素、40mMの3−(2’,5’−ジスルホフェニルイミノ)−3H−フェノチアジンメディエータ、0.2重量%のMega8界面活性剤、0.25重量%のヒドロキシエチルセルロース、5mMの硫酸ナトリウム、および16mMのNaHPOを含んでいた。したがって、試薬溶液中の多価塩の濃度は、21mMであった。試薬の総体積は、0.45μLであった。
【0082】
図11に示されるように、基板の幅が乾燥試薬滴の幅より大きいので、最端部の高さは、基板自体のベースライン高さを反映する。この高さは、乾燥試薬滴の端部でより高く、これは乾燥試薬滴においてより同一でないことを表す。より具体的には、図11の乾燥試薬がその中心に穴を形成する一方で、固体分を含有する濃いリングが縁に沿って形成された。
【0083】
たとえば、図11において、最濃点に対する最薄点の比率は、およそ0.2/5.5、つまり0.04であった。
【0084】
実施例4
図12は、基板上の乾燥試薬滴のおおよそ全幅にわたって見た断面図の高さ(単位はμm)対距離(単位はmm)のプロットを示す。乾燥試薬は、およそ6.5のpHを有するリン酸緩衝剤(総リン酸緩衝剤濃度は75mM)内に、3ユニット/μLのFAD−GDH酵素、60mMの3−(2’,5’−ジスルホフェニルイミノ)−3H−フェノチアジンメディエータ、0.3重量%のMega8界面活性剤、0.375重量%のヒドロキシエチルセルロース、7.5mMの硫酸ナトリウム、および24mMのNaHPOを含んでいた。したがって、試薬溶液中の多価塩の濃度は、31.5mMであった。試薬の総体積は、0.30μLであった。
【0085】
図12に示されるように、基板の幅が乾燥試薬滴の幅より大きいので、最端部の高さは、基板自体のベースライン高さを反映する。高さの同一性は、図11(実施例3)よりはるかに良かったが、以下に図示する図13(実施例5)より同一性がなかった。固体分は、図11に示されるほど端部に向かって濃縮されておらず、これは乾燥試薬滴においてより同一であることを表していた。
【0086】
たとえば、図11において、比率は、およそ1.7/6.0、つまり0.28であった。グラフの中ほどの部分(図9における距離のおよそ0.5からおよそ2.0、つまりおおむね中ほどの60%)は、高さが平均しておよそ2.0であった。最濃点に対する平均的な中ほどの部分の比率は、0.33であった。
【0087】
実施例5
図13は、基板上の乾燥試薬滴のおおよそ全幅にわたって見た断面図の高さ(単位はμm)対距離(単位はmm)のプロットを示す。乾燥試薬は、およそ6.5のpHを有するリン酸緩衝剤(総リン酸緩衝剤濃度は112mM)内に、4.5ユニット/μLのFAD−GDH酵素、90mMの3−(2’,5’−ジスルホフェニルイミノ)−3H−フェノチアジンメディエータ、0.45重量%のMega8界面活性剤、0.56重量%のヒドロキシエチルセルロース、11.2mMの硫酸ナトリウム、および36mMのNaHPOを含んでいた。したがって、試薬溶液中の多価塩の濃度は、47mMを超えていた。試薬の総体積は、0.20μLであった。
【0088】
たとえば、図13において、比率は、およそ1.7/4.5、つまり0.38であった。グラフの中ほどの部分(図9における距離のおよそ0.5からおよそ2.0、つまりおおむね中ほどの60%)は、高さが平均しておよそ2.5であった。最濃点に対する平均的な中ほどの部分の比率は、0.55であった。
【0089】
図13に示されるように、基板の幅が乾燥試薬滴の幅より大きいので、最端部の高さは、基板自体のベースライン高さを反映する。乾燥試薬滴の断面図の高さの同一性は、図11および12(それぞれ、実施例3および4)に示されるよりはるかに良かった。したがって、乾燥試薬滴は、図11および12に示されるより同一性を有する。
【0090】
代替実施形態A
電気化学的試験センサ上に試薬を被着させる方法であって、試験センサが分析対象物に関連する情報を決定するように適合され、
ベースを提供する処理;
ベース上に電極パターンを形成する処理;および
試薬分配システムを用いて少なくとも電極パターン上に試薬を被着させる処理であって、試薬分配システムが試薬分配システム内の試薬に機械的力を加えて、少なくとも電極パターン上に湿潤試薬液滴を提供することを支援する処理
を含む、方法。
【0091】
代替実施形態B
電気化学的試験センサを形成する方法であって、試験センサが分析対象物に関連する情報を決定するように適合され、
ベースを提供する処理;
ベース上に電極パターンを形成する処理;
少なくとも電極パターン上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供する処理であって、試薬分配システムが、圧縮部材、ピストン−ニードルアセンブリ、空気室、流体室、ノズル、および本体を含み、圧縮部材が、圧縮量を調節するための圧縮調節機構を有し、ピストン−ニードルアセンブリが閉鎖位置および開放位置を有する処理;
流体室中に試薬を供給する処理であって、流体室が流体注入口および流体吐出口を有し、流体吐出口が、ピストン−ニードルアセンブリの開放および閉鎖位置に対応する開放位置および閉鎖位置を有する処理;
ピストン−ニードルアセンブリが圧縮部材を圧縮する原因となるために、空気室に加圧空気を供給する処理であって、ピストン−ニードルアセンブリが開放位置にあり、前期流体吐出口が開放位置にある処理;および
圧縮部材がピストン−ニードルアセンブリを閉鎖位置にさせることを可能にするために、空気室から供給された加圧空気を放出する処理であって、ピストン−ニードルアセンブリが、流体室内の試薬の一部分をノズルから機械的に出させ、試薬の一部分が、湿潤試薬液滴として少なくとも電極パターン上に被着される処理
を含む、方法。
【0092】
代替実施形態C
蓋を提供する処理;および
試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をベースに取り付ける処理であって、流路が、少なくとも電極パターン上に被着された試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、代替実施形態Bの方法。
【0093】
代替実施形態D
スペーサを提供する処理;
蓋を提供する処理;および
試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をスペーサに取り付け、スペーサをベースに取り付ける処理であって、流路が、少なくとも電極パターン上に被着した試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、代替実施形態Bの方法。
【0094】
代替実施形態E
加圧空気を空気室に供給することを支援するため、および、供給された加圧空気を空気室から放出することを支援するために、ソレノイド弁を提供する処理をさらに含む、代替実施形態Bの方法。
【0095】
代替実施形態F
ソレノイド弁が、電気的トリガーによって選択的に開放または閉鎖される、代替実施形態Bの方法。
【0096】
代替実施形態G
乾燥試薬層を形成するために湿潤試薬液滴を乾燥させる処理;
蓋を提供する処理;および
試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をベースに取り付ける処理であって、流路が、少なくとも電極パターン上の乾燥試薬層に流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、代替実施形態Bの方法。
【0097】
代替実施形態H
電気化学的試験センサを形成する方法であって、試験センサが、分析対象物に関連する情報を決定するように適合される方法であって、
ベースを提供する処理;
ベース上に電極パターンを形成する処理;
少なくとも電極パターン上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供する処理であって、試薬分配システムが、ソレノイド制御弁、プランジャ、圧縮部材、およびノズルを含み、ノズルが吐出口径を有し、ソレノイド制御弁が開放位置および閉鎖位置を有する処理;
加圧試薬を供給する処理;および
加圧試薬が、ノズルを通して供給される原因となり、湿潤試薬液滴として少なくとも電極パターン上に被着させるために、試薬分配システムの制御弁を開放する処理
を含む、方法。
【0098】
代替実施形態I
ノズルの吐出口径は、およそ3.5ミルからおよそ9.5ミルである、代替実施形態Hの方法。
【0099】
代替実施形態J
試薬分配システムのノズルを、電極パターンの上部表面よりおよそ50ミルからおよそ600ミル上側の分配高さに位置付ける処理をさらに含む、代替実施形態Hの方法。
【0100】
代替実施形態K
試薬分配システムのノズルを、およそ375ミルからおよそ425ミルの分配高さに位置付ける処理をさらに含む、代替実施形態Jの方法。
【0101】
代替実施形態L
試薬分配システムのノズルを、およそ200ミルからおよそ250ミルの分配高さに位置付ける処理をさらに含む方法であって、
電極パターンがプラズマ処理されている、代替実施形態Jの方法。
【0102】
代替実施形態M
蓋を提供する処理;および
試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をベースに取り付ける処理であって、流路は、少なくとも電極パターン上に位置する試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、代替実施形態Hの方法。
【0103】
代替実施形態N
スペーサを提供する処理;
蓋を提供する処理;および
試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をスペーサに取り付け、スペーサをベースに取り付ける処理であって、流路が、少なくとも電極パターン上に位置する試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、代替実施形態Hの方法。
【0104】
代替実施形態O
乾燥試薬層を形成するために、湿潤試薬液滴を乾燥させる処理;
蓋を提供する処理;および
試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をベースに取り付ける処理であって、流路が、少なくとも電極パターン上に位置する乾燥試薬層に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、代替実施形態Hの方法。
【0105】
代替実施形態P
光学的試験センサを形成する方法であって、光学的試験センサが、分析対象物に関連する情報を決定するように適合される方法であって、
ベースを提供する処理;
ベース上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供する処理であって、試薬分配システムが、ソレノイド制御弁、プランジャ、圧縮部材、およびノズルを含み、ノズルが吐出口径を有し、ソレノイド制御弁が開放および閉鎖位置を有する処理;
加圧試薬を供給する処理;
供給された加圧試薬が、ノズルを通して供給される原因となり、湿潤試薬液滴としてベース上に被着させるために、試薬分配システムの制御弁を開放する処理;
乾燥試薬層を形成するために、湿潤試薬液滴を乾燥させる処理;
蓋を提供する処理;および
試験センサ内に流路を形成することを支援するために、蓋をベースに取り付ける処理であって、流路が、ベース上に位置する乾燥試薬層に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
を含む、方法。
【0106】
代替実施形態Q
ベース、蓋、複数の電極、および乾燥試薬を含む、電気化学的試験センサであって、乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率がおよそ0.2より大きい同一性を乾燥試薬が有するように、酵素、メディエータ、および、十分な量の多価塩を含む、電気化学的試験センサ。
【0107】
代替実施形態R
乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率がおよそ0.3より大きい同一性を有する、実施形態Qの電気化学的試験センサ。
【0108】
代替実施形態S
乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率がおよそ0.4より大きい同一性を有する、実施形態Rの電気化学的試験センサ。
【0109】
代替実施形態T
ベースおよび蓋を提供すること、
ベースおよび蓋のうち少なくとも一方の上に、複数の電極を形成すること;
少なくとも1つの電極に接触するように試薬溶液を配置することであって、試薬溶液が、酵素、メディエータ、および多価塩を含み、多価塩が、試薬溶液中で40mMより高い濃度を有すること;および
試薬溶液を、それ配置したのちに乾燥させること
を含む、電気化学的試験センサを形成する方法。
【0110】
代替実施形態U
多価塩が、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム(KSO)、硫酸アンモニウム((NHSO)、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、リン酸二カリウム(KHPO)、リン酸二アンモニウム(NHHPO)、シュウ酸ナトリウム(Na)、シュウ酸カリウム(K)、コハク酸ナトリウム(Na)、コハク酸カリウム(K)、またはそれらの組み合わせである、プロセスTの方法。
【0111】
代替実施形態V
多価塩が、硫酸、リン酸、またはそれらの組み合わせである、プロセスTの方法。
【0112】
代替実施形態W
多価塩が、試薬溶液中で50mMより高い濃度を有する、プロセスTの方法。
【0113】
代替実施形態X
多価塩が、試薬溶液中で75mMより高い濃度を有する、プロセスWの方法。
【0114】
代替実施形態Y
乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率が0.3より大きい同一性を有する、プロセスTの方法。
【0115】
代替実施形態Z
ベースおよび蓋を提供すること、
ベースおよび蓋のうち少なくとも一方の上に複数の電極を形成すること;
少なくとも1つの電極に接触するように試薬溶液を配置することであって、試薬溶液が、酵素、メディエータ、および電解質を含み、電解質が、試薬溶液の少なくとも0.1重量%であること;および
試薬溶液を、それを配置したのち、乾燥させること
を含む、電気化学的試験センサを形成する方法。
【0116】
代替実施形態AA
高分子電解質が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アリール酸、リンゴ酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸の単独重合体および共重合体、それらの共重合体または塩を含む、プロセスZの方法。
【0117】
代替実施形態BB
試薬溶液が、少なくともおよそ0.2重量%の高分子電解質を含む、プロセスZの方法。
【0118】
代替実施形態CC
試薬溶液が、少なくともおよそ0.3重量%の高分子電解質を含む、プロセスBBの方法。
【0119】
代替実施形態DD
乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率が0.2より大きい同一性を有する、プロセスZの方法。
【0120】
本発明はさまざまな改変および代替形態を受け入れることができるが、具体的な実施形態およびその方法を、図面における実施例として示し、本明細書において詳細に説明した。しかしながら、本発明を、開示された特定の形態または方法に限定することは意図しておらず、逆に、その意図が、本発明の本質および範囲内にある全ての改変、均等物、および代替を包含することが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的試験センサ上に試薬を被着させる方法であって、前記試験センサが分析対象物に関連する情報を決定するように適合され、
ベースを提供する処理;
前記ベース上に電極パターンを形成する処理;および
試薬分配システムを用いて少なくとも前記電極パターン上に試薬を被着させる処理であって、前記試薬分配システムが試薬分配システム内の試薬に機械的力を加えて、少なくとも前記電極パターン上に湿潤試薬液滴を提供することを支援する処理
を含む、方法。
【請求項2】
電気化学的試験センサを形成する方法であって、前記試験センサが分析対象物に関連する情報を決定するように適合され、
ベースを提供する処理;
前記ベース上に電極パターンを形成する処理;
少なくとも前記電極パターン上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供する処理であって、前記試薬分配システムが、圧縮部材、ピストン−ニードルアセンブリ、空気室、流体室、ノズル、および本体を含み、前記圧縮部材が、圧縮量を調節するための圧縮調節機構を有し、前記ピストン−ニードルアセンブリが閉鎖位置および開放位置を有する処理;
前記流体室中に試薬を供給する処理であって、前記流体室が流体注入口および流体吐出口を有し、前記流体吐出口が、前記ピストン−ニードルアセンブリの開放および閉鎖位置に対応する開放位置および閉鎖位置を有する処理;
前記ピストン−ニードルアセンブリが前記圧縮部材を圧縮する原因となるために、前記空気室に加圧空気を供給する処理であって、前記ピストン−ニードルアセンブリが開放位置にあり、前期流体吐出口が開放位置にある処理;および
前記圧縮部材が前記ピストン−ニードルアセンブリを閉鎖位置にさせることを可能にするために、前記空気室から前記供給された加圧空気を放出する処理であって、前記ピストン−ニードルアセンブリが、前記流体室内の試薬の一部分を前記ノズルから機械的に出させ、前記試薬の一部分が、湿潤試薬液滴として少なくとも前記電極パターン上に被着される処理
を含む、方法。
【請求項3】
蓋を提供する処理;および
前記試験センサ内に流路を形成することを支援するために、前記蓋を前記ベースに取り付ける処理であって、前記流路が、少なくとも前記電極パターン上に被着された前記試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
スペーサを提供する処理;
蓋を提供する処理;および
前記試験センサ内に流路を形成することを支援するために、前記蓋を前記スペーサに取り付け、前記スペーサを前記ベースに取り付ける処理であって、前記流路が、少なくとも前記電極パターン上に被着した前記試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記加圧空気を前記空気室に供給することを支援するため、および、前記供給された加圧空気を前記空気室から放出することを支援するために、ソレノイド弁を提供する処理をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記ソレノイド弁が、電気的トリガーによって選択的に開放または閉鎖される、請求項2記載の方法。
【請求項7】
乾燥試薬層を形成するために前記湿潤試薬液滴を乾燥させる処理;
蓋を提供する処理;および
前記試験センサ内に流路を形成することを支援するために、前記蓋を前記ベースに取り付ける処理であって、前記流路が、少なくとも前記電極パターン上の前記乾燥試薬層に流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
電気化学的試験センサを形成する方法であって、前記試験センサが、分析対象物に関連する情報を決定するように適合される方法であって、
ベースを提供する処理;
前記ベース上に電極パターンを形成する処理;
少なくとも前記電極パターン上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供する処理であって、前記試薬分配システムが、ソレノイド制御弁、プランジャ、圧縮部材、およびノズルを含み、前記ノズルが吐出口径を有し、前記ソレノイド制御弁が開放位置および閉鎖位置を有する処理;
加圧試薬を供給する処理;および
前記加圧試薬が、前記ノズルを通して供給される原因となり、湿潤試薬液滴として少なくとも前記電極パターン上に被着させるために、前記試薬分配システムの制御弁を開放する処理
を含む、方法。
【請求項9】
前記ノズルの吐出口径は、およそ3.5ミルからおよそ9.5ミルである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記試薬分配システムのノズルを、前記電極パターンの上部表面よりおよそ50ミルからおよそ600ミル上側の分配高さに位置付ける処理をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記試薬分配システムのノズルを、およそ375ミルからおよそ425ミルの分配高さに位置付ける処理をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記試薬分配システムのノズルを、およそ200ミルからおよそ250ミルの分配高さに位置付ける処理をさらに含む方法であって、
前記電極パターンがプラズマ処理されている、請求項10記載の方法。
【請求項13】
蓋を提供する処理;および
前記試験センサ内に流路を形成することを支援するために、前記蓋を前記ベースに取り付ける処理であって、前記流路は、少なくとも前記電極パターン上に位置する前記試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項14】
スペーサを提供する処理;
蓋を提供する処理;および
前記試験センサ内に流路を形成することを支援するために、前記蓋を前記スペーサに取り付け、前記スペーサを前記ベースに取り付ける処理であって、前記流路が、少なくとも前記電極パターン上に位置する前記試薬液滴に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項15】
乾燥試薬層を形成するために、前記湿潤試薬液滴を乾燥させる処理;
蓋を提供する処理;および
前記試験センサ内に流路を形成することを支援するために、前記蓋を前記ベースに取り付ける処理であって、前記流路が、少なくとも前記電極パターン上に位置する前記乾燥試薬層に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項16】
光学的試験センサを形成する方法であって、前記光学的試験センサが、分析対象物に関連する情報を決定するように適合される方法であって、
ベースを提供する処理;
前記ベース上に試薬を被着させるための試薬分配システムを提供する処理であって、前記試薬分配システムが、ソレノイド制御弁、プランジャ、圧縮部材、およびノズルを含み、前記ノズルが吐出口径を有し、前記ソレノイド制御弁が開放および閉鎖位置を有する処理;
加圧試薬を供給する処理;
前記供給された加圧試薬が、前記ノズルを通して供給される原因となり、湿潤試薬液滴として前記ベース上に被着させるために、前記試薬分配システムの制御弁を開放する処理;
乾燥試薬層を形成するために、前記湿潤試薬液滴を乾燥させる処理;
蓋を提供する処理;および
前記試験センサ内に流路を形成することを支援するために、前記蓋を前記ベースに取り付ける処理であって、前記流路が、前記ベース上に位置する前記乾燥試薬層に、流体試料が接触することを可能にすることを支援する処理
を含む、方法。
【請求項17】
ベース、蓋、複数の電極、および乾燥試薬を含む、電気化学的試験センサであって、前記乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率がおよそ0.2より大きい同一性を前記乾燥試薬が有するように、酵素、メディエータ、および、十分な量の多価塩を含む、電気化学的試験センサ。
【請求項18】
前記乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率がおよそ0.3より大きい同一性を有する、請求項17記載の電気化学的試験センサ。
【請求項19】
前記乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率がおよそ0.4より大きい同一性を有する、請求項17記載の電気化学的試験センサ。
【請求項20】
ベースおよび蓋を提供すること、
前記ベースおよび前記蓋のうち少なくとも一方の上に、複数の電極を形成すること;
少なくとも1つの前記電極に接触するように試薬溶液を配置することであって、前記試薬溶液が、酵素、メディエータ、および多価塩を含み、前記多価塩が、前記試薬溶液中で40mMより高い濃度を有すること;および
前記試薬溶液を、それ配置したのちに乾燥させること
を含む、電気化学的試験センサを形成する方法。
【請求項21】
前記多価塩が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、またはそれらの組み合わせである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記多価塩が、硫酸、リン酸、またはそれらの組み合わせである、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記多価塩が、前記試薬溶液中で50mMより高い濃度を有する、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記多価塩が、前記試薬溶液中で75mMより高い濃度を有する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率が0.3より大きい同一性を有する、請求項20記載の方法。
【請求項26】
ベースおよび蓋を提供すること、
前記ベースおよび前記蓋のうち少なくとも一方の上に複数の電極を形成すること;
少なくとも1つの前記電極に接触するように試薬溶液を配置することであって、前記試薬溶液が、酵素、メディエータ、および電解質を含み、前記電解質が、前記試薬溶液の少なくとも0.1重量%を含むこと;および
前記試薬溶液を、それを配置したのち、乾燥させること
を含む、電気化学的試験センサを形成する方法。
【請求項27】
前記高分子電解質が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アリール酸、リンゴ酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸の単独重合体および共重合体、それらの共重合体または塩を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記試薬溶液が、少なくともおよそ0.2重量%の高分子電解質を含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記試薬溶液が、少なくともおよそ0.3重量%の高分子電解質を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記乾燥試薬が、最濃点に対する最薄点の比率が0.3より大きい同一性を有する、請求項26記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−506970(P2011−506970A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538113(P2010−538113)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/086178
【国際公開番号】WO2009/076412
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】