説明

試験化合物の感作ポテンシャルを評価する方法

本発明は、試験化合物の感作ポテンシャルを評価するための方法、およびその方法を実施するためのキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験化合物の感作ポテンシャルを評価する方法および該方法を実施するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
香水産業、化粧品産業および医薬品産業は、競争力と効果を維持し、新製品を定期的に提供し続けなければならないが、それらの使用に伴うヒトや環境に対する安全性基準の順守という制約を受ける。そのような製品の使用に関する主要なリスクの1つが接触アレルギーである。
【0003】
皮膚接触アレルギー(またはアトピー性皮膚炎)はヒトにおける主要な公衆衛生問題である。皮膚接触アレルギーは重篤な限定環境免疫毒性事象であり、その事象を誘発する可能性のある製品を市場に出す際にはその影響を予測しなければならない。皮膚感作、その結果としての関連するアレルギー徴候は、まず、特殊な表面細胞、抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞、樹状細胞)とのアレルゲン性分子の相互作用、そして次に、これらの細胞によるCD4およびCD8エフェクターT細胞への提示の結果として起こる。これらのT細胞がアレルギーおよび炎症反応の基礎となる。しかしながら、アレルゲン、とりわけ、香料中に存在し得るものは、直接認識され得ない小分子である。認識されるためには、それらは自己タンパク質と事前に結合されるにちがいない。そのため、皮膚では新たに形成されたヘテロ二量体複合体が存在し、それが最終的に近位リンパ節でT細胞に提示される。従って、この製品のユーザーのタンパク質との化学分子(香料化合物または化粧品成分)の結合能が逐次病的皮膚反応の誘発への必要条件である。この病的皮膚反応は、刺激、感作、または多くの場合には、刺激と感作の両方であるかもしれない。
【0004】
刺激は、接触部位での化学作用による生存組織における可逆的炎症反応である。これは、組織への流体流入の結果の浮腫、並びに、発赤、熱感および/または疼痛によって認識される。化学攻撃に応じて、表皮のケラチノサイトおよび真皮の繊維芽細胞は刺激を受け、サイトカインIL1、TNFα、IL6およびIL8とともに、プロスタグランジン(PGE2)などのメディエーターを皮膚に放出し、皮膚は炎症応答を開始する。
【0005】
感作の基礎となる遅延型および即時型過敏症は「記憶」の概念を含み、この概念によって刺激とは違うそれらの不可逆性が強調される。この場合にも、機構は2つの相で行われる:
第1の相は、感作相と呼ばれ、その相の間に抗原/アレルゲンが免疫系、特に、分子シグナルを記録し、産生されたサイトカインを介して他の関連細胞集団(B細胞、T CD8、内皮細胞、マクロファージ、肥満細胞 ケラチノサイトなど)を制御するT細胞に提示される;
第2の相は、エフェクター相と呼ばれ、その相の間に様々な皮膚細胞集団が病理学的障害に関与するケミカルメディエーターを介して作用する。即時型過敏症の場合、IgEなどのアナフィラキシー抗体が生成され、肥満細胞および好塩基球と結合し、アレルギー徴候の主要な媒介物であるヒスタミンの放出がもたらされる。遅延型過敏症の場合、それは、ケラチノサイトの破壊により皮膚病変に関与する細胞傷害性T細胞(TCD8)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、組織学的観点から、感作性接触皮膚炎と刺激性接触皮膚炎は非常に類似しているが、細胞レベルで解析された免疫学的結果は必ずしも類似していない。従って、それらを鑑別するための信頼性の高い方法論があることが重要である。現在のところ、特定の分子構造と広い意味でのアレルゲン性との間に明らかな相関が示されていないため、独自の予測アプローチがさらに必要である。
【0007】
これまで、皮膚感作分子を同定するために動物が使用されており、感作物との接触後のリンパ節リンパ球の増殖誘発に基づいた、LLNA(局所リンパ節試験)が開発されている。この試験は経済協力開発機構(OECD)により「試験ガイドライン429」として採用され、感作化学物質の決定のための標準試験とも考えられている。
【0008】
現在、新たな欧州規制では動物を使用しない方法の使用が必要であり、そのため、新組成物または新製品がその感作特性からヒトに対してリスクを示す可能性が高いかどうかを判定するための代替方法を開発することが極めて重要である。
【0009】
本発明者らは、物質のin vivo認識は流入領域リンパ節では起こらず、一般的に認められているように、むしろ物質が身体と接触する組織、この場合は皮膚で起こるということを示している。よく観察されるとおり、一部の物質はある組織では感作性であるが別の組織では感作性ではないことの理由がこれによって説明されよう。よって、そのような認識はアレルゲン提示細胞へメッセージを送るという皮膚組織での反応であるように思われ、その後、流入領域リンパ節で樹状細胞によってそれがT細胞へと伝達される。
【0010】
感作応答を解析するのに皮膚モデルでは十分ではなく、樹状細胞を含める必要があることは一般的に認められている(EP0857971)。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは現在までに、皮膚はヒトおよびマウスにおける感作および/または刺激についての特異的バイオマーカーを示すのに十分なモデルとなるということ、そして、同定された遺伝子を特定の時点において解析する場合には他の種類の細胞を加える必要がないということを証明している。よって、EPISKINモデルは試験化合物の感作性を評価するための標準的な組織であり得る。
【0012】
さらに、本発明者らは、試験化合物の感作ポテンシャルを推断するために前記バイオマーカーのうちの1種だけの過剰発現を示すことでは十分ではないということ、そして、感作についての少なくとも6種の特異的マーカーを研究するだけで試験化合物の感作ポテンシャルについての判定が可能となるということを示している。
【0013】
よって、本発明は、試験化合物の感作ポテンシャルを評価する方法であって、その方法は以下の工程:
a)試験化合物を生体サンプルと接触させる工程;
b)BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(インターロイキン−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(ゼラチナーゼ関連リポカリン)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)からなる群から選択される少なくとも6種の遺伝子の発現レベルを決定する工程
を含んでなる方法に関する。
【0014】
好ましくは、前記少なくとも6種の遺伝子は、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(ゼラチナーゼ関連リポカリン)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、およびYWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)からなる群から選択され、
より優先的には、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(ゼラチナーゼ関連リポカリン)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、およびSERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)からなる群からなお選択され、
さらに優先的には、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、からなる群から、またはCXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、およびSERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)からなる群からなお選択される。
【0015】
好ましくは、本発明による方法はまた、試験化合物の感作ポテンシャルを決定するためのもう1つの工程c)も含むことができる。
【0016】
優先的には、前記工程c)は、前記遺伝子のうちの少なくとも6種の発現レベルが閾値を上回る場合に感作ポテンシャルを示すことから前記化合物を選択する工程からなり得る。
【0017】
好ましくは、本発明による方法はイン・ビトロ法である。本明細書において用いるように、「生体サンプル」という用語は、対象由来の任意の固体または液体のサンプルを指す。
【0018】
好ましくは、前記生体サンプルは皮膚サンプルである。
【0019】
特に好ましい様式では、皮膚サンプルは、イン・ビトロで再構築された皮膚サンプル、例えば、EpiSkin(EPISKIN, Lyon France)、EpiDerm (MATEK Corporation, Ashland, MA)またはSkinEthic RHE(SKINETHIC, Nice, France)モデルなどである。イン・ビトロで再構築された前記皮膚サンプルはケラチン層も含むことが好ましい。
【0020】
皮膚サンプルは他の種類のさらなる細胞を含まないことがさらに好ましく、より優先的には、さらなるランゲルハンス細胞を含まない。
【0021】
試験化合物は、様々な種類、構造および起源の化合物、とりわけ、生体化合物、化学化合物、合成物などであり得る。
【0022】
試験化合物は、単独形態で存在するかまたは他の製品と混合されている任意の製品であり得る。試験化合物は、構造および/または組成によって定義することができ、または機能的に定義することができる。試験化合物は、例えば、構造的に定義された単独製品、未定義構造の単独製品、特性化されている既知製品の混合物または1種以上の製品を含んでなる組成物であり得る。1種以上の化合物をこのようにして、混合してまたは別々に試験することができる。
【0023】
そのような組成物は、例えば、化粧品または皮膚科用製品のサンプルであり得る。
【0024】
前記試験化合物は、皮膚への使用に好適であり、化粧用または皮膚科用組成物に使用し得ることが好ましい。
【0025】
優先的には、前記方法は、ヒトにおける試験化合物の感作ポテンシャルの評価を可能にし、表1に定義されているような、好ましくは、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、およびSERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)からなる群から選択される少なくとも6種の遺伝子の発現レベルを決定する工程b)を含んでなる。
【0026】
「感作ポテンシャル」とは、試験化合物が、哺乳類、好ましくはヒトと接触した際に免疫学的反応を引き起こすリスクを意味する。従って、感作ポテンシャルは試験化合物に関する接触アレルギーを起こすリスクと考えられ得る。
【0027】
「刺激ポテンシャル」とは、試験化合物が、接触部位での化学作用による生存組織の可逆的炎症を引き起こすリスクを意味する。
【0028】
本発明による方法によって、試験化合物が接触アレルギーまたはアトピー性皮膚炎を誘発する可能性が高いかどうかの評価が可能であることが好ましい。
【0029】
本発明は、多数の化合物の同定に特に適している。この簡易かつ効果的なスクリーニングは極めて短時間で行うことができる。特に、記載した方法は部分的に自動化することができ、その結果、多様で多数の化合物の、混合形式または単独形式いずれかでの効果的かつ同時のスクリーニングが可能である。
【0030】
本発明による方法では、前記遺伝子の各々の発現レベルは、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントの発現レベルを測定することによって、または前記遺伝子またはそのフラグメントのmRNAの発現レベルを決定することによって決定されることが好ましい。
【0031】
1つの特に好ましい実施形態では、前記少なくとも6種の遺伝子の各々の発現レベルは、前記遺伝子の、mRNA転写物またはmRNA前駆体、例えば、native RNAなどの発現の解析によって決定される。前記解析は、患者の生体サンプルの細胞からmRNA/cDNAを調製し、そのmRNA/cDNAを参照ポリヌクレオチドとハイブリダイズすることによって行うことができる。調製されたmRNA/cDNAは、ハイブリダイゼーションまたは増幅による解析に使用することができ、そのような解析には、限定されるものではないが、サザンおよびノーザン解析、定量的PCR(Taqman)などのPCR(「ポリメラーゼ連鎖反応」)、およびGeneChip(商標)DNA matrices(商標)(AFFYMETRIX)などのプローブの使用(「プローブアレイ」)が含まれる。
【0032】
前記少なくとも6種の遺伝子の各々のmRNA転写物の発現解析では、例えば、RT−PCR(米国特許第4,683,202号において記載されている実験方法)、リガーゼ連鎖反応(BARANY, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 88, p: 189 - 193, 1991)、自家持続配列複製法(Self sustained sequence replication)(GUATELLI et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 87, p: 1874 - 1878, 1990)および転写増幅システム(KWOH et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 86, p: 1173 - 1177, 1989)、「Q−βレプリカーゼ」(LIZARDI et al., Biol. Technology, vol. 6, p: 1197, 1988)、「ローリングサークル複製」(米国特許第5,854,033号)または任意の他の核酸増幅法などの核酸増幅プロセスに続いて、当業者に周知の技術によって増幅分子を検出する工程が行われることが有利である。これらの検出モードは微量の核酸分子の検出に特に有用である。よって、好ましい実施形態によれば、本発明による方法は、前記6種の遺伝子の各々のmRNAまたはcDNA、その相補配列またはそのフラグメントを増幅する追加の工程を含んでなる。
【0033】
例えば、本明細書において用いる、増幅プライマーとは、遺伝子の3’領域および5’領域(プラス鎖およびマイナス鎖または逆の場合も同様)とそれぞれ特異的に対合することができる核酸分子の対であり、前記遺伝子の短領域を含むと定義される。一般的に、増幅プライマーは、10〜30ヌクレオチド長であり、50〜200ヌクレオチドの間に含まれる長さの領域を増幅することが可能である。有利には、本発明において使用されるプライマーは表1に記載のものである。
【0034】
もう1つの特に好ましい実施形態では、前記少なくとも6種の遺伝子の各々の発現レベルは、前記遺伝子またはそのフラグメントによってコードされるポリペプチドの発現レベルを決定することによって決定される。前記解析は、前記遺伝子によってコードされるポリペプチドと特異的に結合する、抗体(例えば、放射性標識抗体、発色団、フルオロフォアまたは酵素で標識された抗体)、抗体誘導体(例えば、基質またはタンパク質、またはリガンド/タンパク質対(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)のタンパク質のリガンドとコンジュゲートされた抗体)または抗体フラグメント(例えば、単鎖抗体、単離抗体の超可変領域など)を使用することによって行うことができる。前記解析は、当業者に公知の多くの技術によって行うことができ、それらの技術には、限定されるものではないが、酵素活性の利用に基づく免疫学的検査(「酵素イムノアッセイ」EIA)法、放射性同位元素の利用に基づく免疫学的検査(RIA)法、ウエスタンブロット解析法およびELISA(「酵素結合免疫吸着検定法」)法が含まれる。
【0035】
本発明の意味において、「ポリペプチド」とは、少なくとも2個のアミノ酸を含んでなる配列を意味し、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は同義的に用いられ得る。
【0036】
本発明の意味において、「mRNAまたはcDNAフラグメント」とは、少なくとも50個の核酸、例えば、少なくとも100個または150個の核酸、好ましくは少なくとも200個の核酸、例えば、少なくとも250個または350個の核酸からなる配列、特に好ましい様式では、少なくとも400個の核酸からなる配列を意味する。
【0037】
本発明の意味において、「ポリペプチドフラグメント」とは、少なくとも50個のアミノ酸、例えば、少なくとも100個または150個のアミノ酸、好ましくは少なくとも200個のアミノ酸、例えば、少なくとも250個または350個のアミノ酸からなる配列、特に好ましい様式では、少なくとも400個のアミノ酸からなるポリペプチドを意味する。
【0038】
好ましくは、本発明による方法はまた、前記少なくとも6種の遺伝子の各々の発現レベルを基準値と比較する工程も含んでなる。この基準値は、陽性対照および/または陰性対照とすることができる。
【0039】
陽性対照は、例えば、試験化合物の存在下での前記少なくとも1種の遺伝子の発現レベルを、感作性であることが知られている化合物の存在下での前記少なくとも1種の遺伝子の発現レベルと比較することによって行うことができる。
【0040】
感作性であることが知られている化合物の例としては、以下を挙げることができる:2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸、p−フェニレンジアミン、ジニトロクロロベンゼン、ベンズアルデヒド、レゾルシノール、テトラメチルチウラムジスルフィド、オキサゾロン、クロロアトラノール(chloroatranol)、ジフェニルシクロプロペノン、重クロム酸カリウム、シンナムアルデヒド、2−ブロモ−2−(ブロモメチル)グルタロニトリル、グリオキサール、サッカリン、ホルムアルデヒド、無水トリメリット酸、メチルクロロイソチアゾリノン、安息香酸ベンジル、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、オイゲノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、イソオイゲノール、ジフェニルシクロプロペノン(DCPP)、没食子酸ラウリル(LG)、3−3−ジメチルアミノプロピルアミン(3−DMAPA)、シンナムアルデヒド(CA)、シトラール(Cal)、1,4−ヒドロキノン(HQ)、グルタルアルデヒド(GA)、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(Ben)、フェニルアセトアルデヒド(PA)およびリリアール(Li)、好ましくは、ジフェニルシクロプロペノン、没食子酸ラウリル、1,4−ヒドロキノンおよびグルタルアルデヒド、特に好ましくは、1,4−ヒドロキノン。
【0041】
また、本発明では、例えば、「香料ミックス」などの感作化合物を陽性対照として使用することができる。
【0042】
陰性対照実験は、試験化合物の不在下でまたは非感作性であることが知られている化合物、例えば、オリーブ油、グリセロール、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)およびジプロピレングリコールなどの存在下で行うことができる。
【0043】
本発明の範囲において、前記試験化合物の不在下での遺伝子発現レベルに対して前記遺伝子の過剰発現が観察されるならば、試験化合物は感作ポテンシャルを有すると推断される。
【0044】
「過剰発現」とは、通常の遺伝子発現レベルと比べて有意に高い、前記遺伝子の発現レベルを意味する。好ましくは、過剰発現とは、前記遺伝子の通常の発現レベルよりも少なくとも20%高く、好ましくは、前記遺伝子の通常の発現レベルよりも少なくとも50%高く、より特に好ましくは、前記遺伝子の通常の発現レベルよりも少なくとも90%高い、生体サンプルにおける発現レベルを意味する。
【0045】
「前記試験化合物の不在下での発現レベル」または「通常のレベル」は、感作性を示さない患者生体サンプルにまたは、好ましくは、種々の対照サンプルにおける前記遺伝子の発現レベルの平均に相当し得る対照サンプルにおける前記遺伝子の発現レベルである。
【0046】
好ましくは、感作ポテンシャルを評価する前記方法の工程b)は、表1に定義されているような遺伝子からなる群から選択される少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、より優先的には少なくとも25種の遺伝子の発現を測定することを含んでなる。
【0047】
従って、表1に定義されているような遺伝子からなる群から選択される少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、より優先的には少なくとも25種の遺伝子の過剰発現が存在するならば、試験化合物は感作ポテンシャルを有すると推断することができる。
【0048】
特に好ましい様式では、感作ポテンシャルを評価する前記方法の工程b)は、次の遺伝子群:AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)、好ましくは、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、およびYWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)からなる群において選択される遺伝子の発現を決定することを含む。
【0049】
この特に好ましい実施形態では、前記遺伝子のうちの少なくとも11種が基準値と比べて過剰発現されるならば、試験化合物は感作ポテンシャルを有すると判定される。
【0050】
特に好ましい様式では、感作ポテンシャルを評価する前記方法の工程b)は、次の遺伝子群:BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、およびSERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、並びに
さらに優先的には、遺伝子群:BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、およびTPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、または、遺伝子群:CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、およびSERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)のうちの少なくとも1種の発現を決定することを含んでなる。
【0051】
この特に好ましい実施形態では、前記遺伝子のうちの少なくとも7種、好ましくは、前記遺伝子のうちの少なくとも8種が基準値と比べて過剰発現されるならば、試験化合物は感作ポテンシャルを有すると判定される。
【0052】
1つの特定の実施形態では、試験化合物の感作ポテンシャルを評価する前記方法の工程b)は、少なくとも10種、好ましくは、少なくとも11種、12種、13種、14種、15種、16種の発現レベル、さらに優先的には、次の遺伝子群:AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CTGF(結合組織成長因子)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、IER3(前初期遺伝子3(immediate early response 3))、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)の少なくとも10種、好ましくは、少なくとも11種、12種、13種、14種、15種、16種の発現レベルを決定する工程α)を含んでなり、
所望により、少なくとも10種、好ましくは11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種の発現レベル、より優先的には、次の遺伝子群:BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(インターロイキン−18)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、およびSERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)の少なくとも10種、好ましくは11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種の発現レベルの発現レベルを測定する工程β)、並びに、
試験化合物の感作ポテンシャルを決定する工程c)
{ここで、工程α)において測定された少なくとも7種の遺伝子の発現レベルが閾値よりも大きく;および/または
工程β)において測定された少なくとも7種の遺伝子の発現レベルが限界値よりも大きい:ならば、その化合物は感作性であると決定される。}
を含んでなる。
【0053】
好ましくは、工程b)は、工程a)後2〜24時間の間に、さらに好ましくは、工程a)後4〜18時間の間に、優先的には、工程a)後5〜7時間の間に、最も好ましくは、工程a)の6時間後に行われる。
【0054】
本発明のもう1つの態様は、試験化合物の感作力を評価する方法に関し、下記の工程:
1)少なくとも1種の試験化合物希釈物を得る工程、および
2)前記請求項のいずれか一項に記載に記載された方法によって、該試験化合物の感作ポテンシャルを該少なくとも1種の希釈物で決定する工程
を含んでなる。
【0055】
「感作力」とは、ある化合物が該化合物の濃度に従って感作反応を誘発する能力を意味する。感作力は、感作を誘発するのに必要な物質の量に依存する。よって、感作応答を誘発するのに必要な感作量が少ないほど感作物は強く、逆の場合も同様であり、感作応答を誘発するのに必要な感作量が多いほど感作物は弱い。
【0056】
従って、化合物の感作ポテンシャルの定量的解析を行うことが可能である。
【0057】
前記試験化合物は連続希釈を行うことが好ましい。そのため、工程1)および2)は希釈物の各々に対して行われる。
【0058】
前記連続希釈によって、前記試験化合物が感作ポテンシャルを保持する最大希釈率の決定が可能になることが好ましい。
【0059】
試験化合物の感作力を評価する前記方法はまた、試験化合物の感作力を評価する工程も含むことができる。
【0060】
従って、製品が連続希釈後に感作ポテンシャルを保持するほど、試験化合物はより強力な感作物である。
【0061】
さらに、試験化合物の感作力は該試験化合物の刺激ポテンシャルの関数にもなる。そのため、試験化合物が刺激ポテンシャルを有するという事実によって該試験化合物の感作力は増大する。
【0062】
従って、1つの好ましい実施形態では、前記方法はまた、試験化合物の刺激ポテンシャルを決定する工程も含んでなる。
【0063】
試験化合物の刺激ポテンシャルは、例えば、仏国特許第1051638号に記載されている方法を使用することによって評価することができる。
【0064】
従って、
製品が1/1000希釈で感作ポテンシャルを有し、および/または
製品が1/100希釈で感作ポテンシャルを有するが、1/1000希釈では感作ポテンシャルを有さず、刺激ポテンシャルを有する
ならば、その製品は極強度感作性である(極強度 E)と推断することができる。
【0065】
よって、
製品が1/100希釈で感作ポテンシャルを有するが、1/1000希釈では感作ポテンシャルを有さず、または
製品が1/10希釈で感作ポテンシャルを有するが、1/100希釈では感作ポテンシャルを有さず、刺激ポテンシャルを有する
ならば、その製品は強度感作性である(強度 S)と推断することができる。
【0066】
よって、
製品が1/10希釈で感作ポテンシャルを有するが、1/100希釈では感作ポテンシャルを有さず、または
製品が1/2希釈で感作ポテンシャルを有するが、1/2より低い希釈率では感作ポテンシャルを有さず、刺激ポテンシャルを有する
ならば、その製品は中等度感作性である(中等度 M)と推断することができる。
【0067】
よって、製品が1/2より低い希釈率で感作ポテンシャルを有さないならば、その製品は軽度感作性である(軽度 W)と推断することができる。
【0068】
もう1つの態様によれば、本発明は、試験化合物の感作ポテンシャルのイン・ビトロ評価のための、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(ゼラチナーゼ関連リポカリン)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、およびYWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)からなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種または少なくとも8種の遺伝子の使用に関する。
【0069】
本発明はまた、試験化合物の感作ポテンシャルのイン・ビトロ評価方法の実施のためのキットであって、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)からなる群から選択される少なくとも6種の遺伝子の発現レベルを決定するための手段を含んでなるキットに関する。
【0070】
前記キットは、少なくとも6種のプライマー対であって、各々が、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(ゼラチナーゼ関連リポカリン)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子を増幅するプライマー対を含んでなることが好ましいであろう。
【0071】
特に好ましい様式では、前記少なくとも1種のプライマー対は表1において選択される。
【実施例】
【0072】
1)Skinethicプロトコールに準拠したバイオマーカーのデモンストレーション
1.07cmの皮膚片をEP1SKINから購入した。様々な物質を液体形態(異なる濃度で30μL)または固体形態(異なる粉末濃度を評価するために30μL PBSまたはオリーブ油+30μg以下)のいずれかで皮膚片に塗布した。室温で15分のインキュベーション後、皮膚片をPBS(25mL)で洗浄し、COインキュベーター中37℃で3時間、6時間または18時間インキュベートした。インキュベーション後、穿孔器を用いて皮膚片のサンプルを採取し、コラーゲン支持体から分離した。次いで、それらを「Tri Reagent」溶液(Ambion)(1ml)に直接入れ、直ちに機械的に解離した。
【0073】
cDNA調製
組織を「Tri Reagent」溶液(Ambion)に入れ、機械的に破砕した。供給業者によって記載されたプロトコールに従って、イソプロパノール沈殿を用いてRNAを調製した。cDNAを調製するために、全RNAをDNアーゼで前処理して、ゲノムDNA混入物を除去した。RNアーゼ不含DNアーゼ、RNAsin(1μL)およびランダムプライマー(3μg)を使用し、処理に1〜5μgの全RNAを使用した。次いで、superscript III RT(200U/μLで1.5mL)を加えた。その後、cDNAをRT−PCRによって試験した。
【0074】
定量的PCR
リアルタイム定量的PCRは、Roche社製LC480サイクラーでSYBR Green技術を用いて行った。プライマーは、ゲノムDNA増幅の影響がないようにイントロン−エキソン結合部を含むように設計した。増幅によって100〜150bpの間のアンプリコンが得られる。総てのプライマー対を制限酵素による消化によって認定し、電気泳動によって解析した。PCRは、10μLで、Roche社製PCRプレートにおいてRoche社製Sybr green 2X PCR mixを使用することによって行った。4種のハウスキーピング遺伝子を用いたRNAの正規化後に標的遺伝子発現を測定し、その値を、C法を用いることによって表し、理論値ゼロに対する増加発現量で表した(User Bulletin no. 2, Applied Biosystems, December 1997)。
【0075】
結果
この解析のために、15分の塗布に続いて洗浄を行い6時間のインキュベーションを行った後に、生検および遺伝子転写の解析を行った。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】





表1: EPISKINモデルにおける感受性に対して特異的な遺伝子の発現レベル
【0077】
さらに、極強度(E)、強度(S)、中等度(M)および軽度(W)からなる公式分類を用いることによって特性(非刺激性(non−IRR)、非感作性(non-sensitizer)(NS)、刺激性(IRR)または感作性に従って分類された35種の物質を異なる用量で試験した(表2)。解析では、組織破壊(腐食)をあまり誘発せずに最大応答を可能にする用量を選択した。
【表2】

【0078】
サンプルにおいて3つのバイオマーカー群を試験した(刺激に対して特異的な群、ARE遺伝子ファミリー(ARE「抗酸化物質応答配列プロモーター(antioxidant responsive element promoters)」の制御下の遺伝子、すなわち、AKR1B10、AKR1C1、AKR1C2、CYP1B1、FTH1P、FTL、G6PD、GCLM、NQO2、SLC7A11、TXNRD1、UGT1A1、UGT1A9、YWHAZ、CD36、CYP1A1、GCLC、HMOX1、NQO1、PSME2およびS100A8遺伝子)を代表とする群および感作、とりわけ、ARE遺伝子を誘発しない感作物質に対して特異的な遺伝子からなるもう1つの群)。
【0079】
IL−8遺伝子の発現を対照よりも50倍高くし、かつARE遺伝子の非特異的発現を誘発する刺激物をより低用量で再試験した。
【0080】
結果は表2および表3に示し、遺伝子の過剰発現の程度によってコードを付けている。発現が対照と比べて1.3より高いならば、グレード1とし、この発現がより低いならば、グレードは0である。好ましくは、ARE遺伝子の数が11より多いならば、その物質は確実に感作性であると推断することができることに留意されたい。ARE遺伝子を強く誘発しない物質では、他の感作遺伝子群を解析する。
【0081】
好ましくは、これらの遺伝子のうちの少なくとも8種が過剰発現されるならば、その物質は明らかに感作性であることも観察されたい。
【0082】
前記試験はARE遺伝子の群および「非ARE」遺伝子の群の両方において行われることが好ましい。
【表3】

【0083】
表3に示すように、化合物の感作力を評価することができるように、化合物の選択対象を連続希釈に付して、感作ポテンシャルについて重ねて試験した。
【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
【表8】

【0089】
【表9】

【0090】
【表10】

【0091】
【表11】

【0092】
【表12】

【0093】
【表13】

【0094】
【表14】

【0095】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験化合物の感作ポテンシャルを評価する方法であって、以下の工程:
a)試験化合物を生体サンプルと接触させる工程;
b)BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)からなる群から選択される少なくとも6種の遺伝子の発現レベルを決定する工程;
を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記少なくとも6種の遺伝子の各々の発現レベルを基準値と比較する工程をさらに含む、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記少なくとも6種の遺伝子の各々の発現レベルが、前記遺伝子またはそのフラグメントによってコードされるポリペプチドの発現レベルを測定することによって、または前記少なくとも1種の遺伝子またはそのフラグメントのmRNAの発現レベルを決定することによって決定される、請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記6種の遺伝子の各々のmRNAまたはcDNA、その相補配列またはそのフラグメントを増幅する追加の工程を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項5】
生体サンプルが皮膚サンプル、好ましくは、イン・ビトロで再構築された皮膚サンプルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程b)が、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)からなる群から選択される少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、少なくとも16種、少なくとも17種、少なくとも18種、少なくとも19種、少なくとも20種、少なくとも21種、少なくとも22種、少なくとも23種、少なくとも24種、より優先的には少なくとも25種の遺伝子の発現を測定することを含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)が、工程a)後2〜24時間の間に、さらに好ましくは、工程a)後4〜18時間の間に、特に優先的には、工程a)後5〜7時間の間に、最も好ましくは、工程a)の6時間後に行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
試験化合物の感作力を評価する方法であって、下記の工程:
1)少なくとも1種の試験化合物希釈物を得る工程、および
2)請求項1〜7のいずれか一項に記載された方法によって、該試験化合物の感作ポテンシャルを該少なくとも1種の希釈物で決定する工程
を含んでなる、方法。
【請求項9】
試験化合物の感作ポテンシャルのイン・ビトロ評価のための、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(リポカリン2)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、および、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子の使用。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の試験化合物の感作ポテンシャルまたは請求項8に記載の感作力のイン・ビトロ評価方法の実施のためのキットであって、BRAK(CXCケモカインリガンド14)、CTSS(カテプシンS)、DAPK2(細胞死関連プロテインキナーゼ2)、FABP4(脂肪酸結合タンパク質4)、HSP27(熱ショック27kDaタンパク質)、IL18(IL−18)、HSP90(熱ショック90kDaタンパク質)、IL1R2(インターロイキン−1受容体II型)、TPSAB1(トリプターゼ アルファ/ベータ1)、CXCR1(インターロイキン8受容体,アルファ)、DEFB1(ディフェンシン,ベータ1)、DHFR(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)、EHF(etsホモロガスファクター)、IVL(インボルクリン)、KRT4(ケラチン4)、MELANA(メラン−A)、NGAL(ゼラチナーゼ関連リポカリン)、PDZK1IP1(PDZK1相互作用タンパク質1)、PI3(ペプチダーゼインヒビター3)、PSME2(プロテアソームアクティベータサブユニット2)、SERPINB3(セルピンペプチダーゼインヒビターメンバー3)、AKR1B10(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーB10)、AKR1C1(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC1)、AKR1C2(アルド−ケトレダクターゼファミリー1,メンバーC2)、CYP1B1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーB,ポリペプチド1)、FTH1P(フェリチン,重ポリペプチド1)、FTL(フェリチン,軽ポリペプチド1)、G6PD(グルコース−6−リン酸脱水素酵素)、GCLM(グルタミン酸−システインリガーゼモディファイヤーサブユニット)、NQO2(NAD(P)H脱水素酵素,キノン2)、SLC7A11(溶質輸送体ファミリー7,メンバー11)、TXNRD1(チオレドキシンレダクターゼ1)、UGT1A1(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA1)、UGT1A9(UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー,ポリペプチドA9)、YWHAZ(チロシン3−モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5−モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質,ゼータポリペプチド)、CD36(CD36分子)、CYP1A1(チトクロムP450,ファミリー1,サブファミリーA,ポリペプチド1)、GCLC(グルタミン酸−システインリガーゼ,触媒サブユニット)、HMOX1(ヘムオキシゲナーゼ1)、NQ01(NAD(P)H脱水素酵素,キノン1)およびS100A8(S100カルシウム結合タンパク質A8)からなる群から選択される少なくとも6種の遺伝子の発現レベルを決定するための手段を含んでなる、キット。
【請求項11】
少なくとも6種のプライマー対を含んでなり、各々が、請求項9に記載の群から選択される少なくとも1種の遺伝子を増幅する、請求項10に記載のキット。

【公表番号】特表2013−520981(P2013−520981A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555465(P2012−555465)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国際出願番号】PCT/FR2011/000122
【国際公開番号】WO2011/107679
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(511262739)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOSEARCH
【Fターム(参考)】