試験機


【課題】煩雑な作業を行わなくても試験条件ファイル格納されている試験条件の一部を変更して試験を行うことができる試験機を提供する。
【解決手段】試験条件ファイルのファイル更新をすることなく設定変更し試験を行える試験条件を選択し、その選択結果を試験条件とともに試験条件ファイルに格納する。試験を開始するときは、試験条件ファイルを呼び出し、変更可能な試験条件欄31a,31b,31e,31fを表示モニタ22cの表示画面に表示する。そして、入出力装置を操作して試験条件欄31a,31b,31e,31fに入力されている試験条件を変更し、試験開始ボタン52aを押圧して試験を開始する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め登録されている試験条件ファイルを呼び出し、その試験条件により試験を行う試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば特開2005−3580号公報に記載されている材料試験機のように、予め登録されている試験条件ファイルを呼び出し、その試験条件により試験を行う材料試験機が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−3580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば、材質が同じで試験片サイズのみが異なる試験片について繰り返し試験を行うことがある。この種の試験において、試験途中で試験条件の一部を変更する場合、試験条件ファイルを呼び出し、ファイル上で条件変更の入力を行い、新たなファイル名を付与して登録する。その上で、そのファイルを呼び出して試験を再開する。したがって、一部の試験条件を変更して試験を繰り返し行う場合でも、煩雑な操作が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の試験機は、複数の試験条件が定義され、予め登録されている試験条件ファイルを呼び出す呼び出し手段と、呼び出された試験条件ファイルに定義されている複数の試験条件を、試験機運転条件として設定する設定手段と、設定手段で設定された複数の試験条件のうち少なくとも1つの試験条件を変更する条件変更手段と、設定手段で設定した試験条件および条件変更手段で変更された試験条件による試験機運転条件に基づいて試験を開始する開始手段とを備えること特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の試験機において、設定手段で設定されている複数の試験条件のうち、条件変更手段で変更された試験条件に該当する試験条件を更新して新たな試験機運転条件とすることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の試験機において、条件変更手段は、変更する試験条件をモニタ画面を介して入力して再設定すること特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の試験機において、設定されている複数の試験条件の中から、変更可能とする少なくとも1つの条件項目を選択する選択手段と、選択されている条件項目をモニタ画面に表示する表示制御手段とを備え、条件変更手段は、画面表示されている試験条件項目について条件を変更し、試験機運転条件を更新して再設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、試験条件を変更して試験を続ける場合、ファイルをわざわざ呼び出すことなく、モニタ上で条件を変更して試験を続行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1〜図6に基づいて本発明の一実施の形態について説明する。
図1に示す材料試験機は、材料試験機本体10と、本体10を駆動制御する制御系20とで構成される。材料試験機本体10は、ベッド11と、このベッド11上に設置され、供試体SPを負荷するラムシリンダ装置12と、このラムシリンダ装置12の側方でベッド11に立設する一対のねじ支柱13と、このねじ支柱13に昇降可能に保持されるクロスヘッド14と、ラムシリンダ装置12で昇降するテーブル15と、このテーブル15上に立設される一対の支柱16と、支柱16に横架される上部クロスヘッド17とを備える。供試体SPに負荷される試験力はロードセル18で検出され、供試体のストロークはストローク計19で検出される。また、ラムシリンダ装置12はバルブ12aの開閉動作で駆動制御される。
【0007】
試験機本体10を制御する制御系20は、制御回路21、入出力装置22、増幅器23,25,27、A/D変換器24,28、D/A変換器26などを備えている。
【0008】
制御回路21は、マイクロコンピュータとその周辺部品から構成される。制御回路21には、条件設定メモリ21aが内蔵されており、後述のデータ記憶装置29から呼び出した試験条件のデータを記憶する。制御回路21は、ロードセル18からの荷重信号と、ストローク計19からの変位信号とに基づいて、条件設定メモリ21に記憶されている試験条件で試験が行えるようにラムシリンダ装置12を駆動するための制御信号を生成し、バルブ12aへ出力する。
【0009】
入出力装置22は、試験条件などを入力するタッチパネル22aやスイッチ22bと、供試体SPの荷重−変位特性など試験結果を出力する表示モニタ22cとを備えている。
【0010】
データ記憶装置29は、ハードディスクなど書き換え可能な不揮発性記録媒体によって構成され、試験条件データベースが記憶される。試験条件データベースには試験条件ファイルが登録されている。試験条件ファイルには、複数の試験条件が定義されている。試験条件は、たとえば、サイクル試験で行うかシングル試験で行うかといった試験モード、引っ張り試験を行うか圧縮試験を行うかといった試験種類、試験速度、供試体の形状などが含まれる。ユーザは、試験条件データベースに登録されている試験条件ファイルを呼び出すだけで、試験の都度、試験条件を設定操作することなく所望の試験を開始することができる。
【0011】
このような材料試験機による圧縮試験は次の手順で行われる。
まず、以下で詳細に説明するように試験条件(試験機運転条件)を設定する。クロスヘッド14の高さ位置を調整して、テーブル15とクロスヘッド14との間に供試体SPを設置する。試験開始指示により、ラムシリンダ装置12を駆動してテーブル15を上昇させて圧縮試験を行う。なお、クロスヘッド14と上部クロスヘッド17との間に供試体を設置してテーブル15を上昇させれば、引張試験を行うことができる。
【0012】
次に本発明の実施形態における一部の試験条件を変更して試験を行う場合について、図2〜5を参照して説明する。ユーザは、試験条件ファイルを呼び出してから試験を開始するため、予め試験条件を試験条件ファイルに定義して登録する必要がある。
【0013】
図2は、試験条件を設定するための試験条件設定画面30を説明するための図である。試験条件設定画面30は表示モニタ22cに表示される。試験条件設定画面30には、試験条件欄31a〜31g、設定変更ボタン32a〜32d、試験ボタン33、条件ボタン34およびファイルボタン35が表示される。
【0014】
試験条件欄31a〜31gは、試験条件を入力する欄である。入出力装置22を操作して数値などを入力する。本発明の実施形態では、試験力の最大点を10kNに、試験速度を10 mm/min のストローク速度に、試験サイズを直径10 mm の丸棒に、試験力レンジを100kNにした試験条件が入力されている。入出力装置22を操作して、最大点を試験力からストロークの変位量に、試験速度をストローク速度から荷重速度などに変更することができる。
【0015】
設定変更ボタン32a〜32dは、試験条件ファイルを更新せずに変更できる試験条件を選択するためのボタンである。設定変更ボタン32a〜32dで選択された試験条件については、後述する図4の表示画面から試験条件を変更して試験を開始できる。
【0016】
試験ボタン33は、試験を開始するときの表示画面に切り替えるためのボタンである。条件ボタン34は、試験条件設定画面30に表示画面を切り替えるためのボタンである。ファイルボタン35は、試験条件ファイルを呼び出したり、定義した試験条件を試験条件ファイルとして保存したりするときの表示画面に切り替えるためのボタンである。試験ボタン33、条件ボタン34およびファイルボタン35は表示画面に常に表示されている。
【0017】
ユーザは、図2の試験条件設定画面30を表示させ、スイッチ22bを操作して試験条件欄31a〜31gに試験条件を入力する。また、ファイル更新せずに設定変更を可能とする試験条件に対応する設定変更ボタン32a〜32dを押圧する。図2の例では、ユーザは、最大点の設定変更ボタン32aと試験片サイズの設定変更ボタン32cとが押圧されている。設定変更ボタン32a,32cを押圧した後、設定した試験条件を試験条件ファイルとして試験条件データベースに格納するため、ファイルボタン35を押圧する。
【0018】
ファイルボタン35を押圧すると、表示モニタ22cに図3に示すファイル操作画面40が表示される。ファイル操作画面40には、荷重表示欄41a、変位表示欄41b、ファイル番号選択ボタン42、保存ボタン43a、呼び出しボタン43b、消去ボタン43c、試験ボタン33、条件ボタン34およびファイルボタン35が表示される。
【0019】
荷重表示欄41aは、供試体SPに負荷されている荷重を表示する表示欄であり、変位表示欄41bは、供試体SPの変位を表示する表示欄である。
【0020】
ファイル番号選択ボタン42は、ファイル番号を選択するためのボタンである。ユーザは、所望のファイル番号のファイル番号選択ボタン42を押圧することによって、試験条件を保存したり呼び出したりするファイルを選択することができる。
【0021】
保存ボタン43aは、選択したファイル番号のファイルに試験条件を保存するためのボタンである。試験条件はデータ記憶装置29に保存される。呼び出しボタン43bは、選択したファイル番号のファイルから試験条件ファイルを呼び出すためのボタンである。呼び出した試験条件ファイルは条件設定メモリ21aに記憶される。消去ボタン43cは、選択したファイル番号のファイルに保存されている試験条件を消去するためのボタンである。
【0022】
図3〜5を参照して、ファイル番号9に保存した図2に示す試験条件の一部を変更して試験を開始する場合を一例として説明する。ユーザは、ファイル番号選択ボタン42によりファイル番号9を選択した後、呼び出しボタン43bと試験ボタン33を順に押圧する。呼び出しボタン43bの押圧により、ファイル番号9の試験条件が、条件設定メモリ21aに試験機運転条件として設定される。
【0023】
試験ボタン33を押圧すると、図4に示すように試験開始画面50が表示モニタ22cに表示される。試験開始画面50には、荷重表示欄41a、変位表示欄41b、変更可能試験条件表示欄51、試験開始ボタン52a、試験終了ボタン52b、試験ボタン33、条件ボタン34およびファイルボタン35が表示される。
【0024】
変更可能試験条件表示欄51には、図2の試験条件設定画面上で押圧された変更設定ボタン32a,32cに対応する条件項目、つまり最大点と試験片サイズとの試験条件欄31a,31b,31e,31fが表示される。ユーザは、変更可能試験条件表示欄51に表示された試験条件欄31a,31b,31e,31fの試験条件を変更することができる。試験条件欄31a,31b,31e,31fの試験条件を変更すると、上述した条件設定メモリ内の該当する試験機運転条件が更新される。
【0025】
試験開始ボタン52aは、試験を開始するためのボタンである。試験開始ボタン52aを押圧すると、上述した条件設定メモリの試験機運転条件にて試験が開始される。すなわち、図2の試験条件設定画面上で押圧された変更設定ボタンに対応する試験機運転条件については、変更可能試験条件表示欄51の試験条件欄31a,31b,31e,31fに入力されている試験機運転条件にて、図2の試験条件設定画面上で変更設定ボタンが押圧されなかった試験機運転条件については、呼び出した試験条件ファイルに格納されている試験条件にて試験を開始する。試験終了ボタン52bは、試験を終了するためのボタンである。
【0026】
また、試験開始ボタン52aを押圧して試験を開始すると、図5に示す試験表示画面60が表示モニタ22cに表示される。試験表示画面60には、荷重表示欄41a、変位表示欄41b、荷重−変位曲線表示欄61、試験停止ボタン62、試験ボタン33、条件ボタン34およびファイルボタン35が表示される。
【0027】
荷重−変位曲線表示欄61は、現在計測中の供試体SPの荷重−変位曲線をリアルタイムで表示する表示欄である。試験停止ボタン62は、試験を途中で停止するボタンである。
【0028】
このようにして、ファイル番号9に保存した試験条件の一部を変更して実行した試験結果が表示モニタ22cに表示される。
【0029】
次に、本発明の実施形態における試験機の試験開始処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。図6の処理は制御回路21において実行される。ここで、試験条件ファイルを呼び出して、試験条件を条件設定メモリ21aに保存する処理、つまり試験運転条件として設定する処理は終了しているものとする。
【0030】
ステップS601では、試験ボタン33が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS601が肯定判定され、ステップS602へ進む。押圧されない場合はステップS601を繰り返す。ステップS602では、図4に示す試験開始画面50を表示モニタ22cに表示する。
【0031】
ステップS603において、試験条件欄31a,31b,31e,31fの試験条件が変更されたか判定する。変更された場合はステップS603が肯定判定され、ステップS604に進む。変更されていない場合はステップS603が否定判定され、ステップS605へ進む。ステップS604では、変更可能試験条件表示欄51に入力されている試験条件を読み込み、条件設定メモリ21aに記憶されている試験機運転条件のうち該当する条件項目を更新する。
【0032】
ステップS605では、試験開始ボタン52aが押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS605が肯定判定され、ステップS606へ進む。押圧されない場合はステップS603へ戻る。ステップS606では、図5に示す試験表示画面60を表示モニタ22cに表示する。ステップS607では、ステップS604で更新された試験条件で試験を実行する。
【0033】
以上の実施形態による試験機では次のような作用効果を奏する。
(1)試験条件ファイルから試験条件を呼び出し、その試験条件の一部を変更してそのまま試験を行うことができる。したがって、試験条件を設定し直して新たな試験条件ファイルを登録するといった煩雑な作業を行うことなく、試験条件ファイルの試験条件の一部を変更して試験を行うことができる。たとえば、同種材質の複数の試験片について、一部の条件を変えながら試験を行う場合、その操作が簡略化される。
【0034】
(2)ユーザが予め選択して設定変更可能とした試験条件についてのみ表示モニタ22cに表示するので、表示する試験条件が少なくなり、変更可能な試験条件の表示が見えやすくなる。一方、全ての試験条件について設定変更可能として図4の変更可能試験条件表示欄51に表示する場合には、表示文字が小さくなるので非常に見づらくなる。
【0035】
以上の実施形態の試験機を次のように変形することができる。
(1)試験条件ファイルを呼び出して、その試験条件ファイルの試験条件の一部を変更して試験を行う試験機であれば、本発明の実施形態の試験機に限定されない。たとえば、引っ張り試験機や曲げ試験機、疲労試験機などであってもよい。
【0036】
(2)試験条件の変更を行うことができれば、試験条件の変更は表示モニタ22cを介さずに行ってもよい。たとえば、表示モニタ22cに表示せずにスイッチ22bから入力できるようにしてもよい。
【0037】
(3)全ての試験条件を条件設定メモリ21aに記憶してもよいし、試験開始時に変更可能な試験条件のみ条件設定メモリ21aに記憶してもよい。試験条件の一部を変更して試験を行うことができれば、条件設定メモリ21aに記憶する試験条件は実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態の試験機の構成を示すブロック図である。
【図2】試験条件設定画面を説明するための図である。
【図3】ファイル操作画面を説明するための図である。
【図4】試験開始画面を説明する図である。
【図5】試験表示画面を説明する図である。
【図6】試験開始処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
21 制御回路
21a 条件設定メモリ
22 入出力装置
22a タッチパネル
22b スイッチ
22c 表示モニタ
31a〜31g 試験条件欄
33 試験ボタン
34 条件ボタン
35 ファイルボタン
41a 荷重表示欄
41b 変位表示欄
50 試験開始画面
51 変更可能試験条件表示欄
52a 試験開始ボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試験条件が定義され、予め登録されている試験条件ファイルを呼び出す呼び出し手段と、
前記呼び出された試験条件ファイルに定義されている複数の試験条件を、試験機運転条件として設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された複数の試験条件のうち少なくとも1つの試験条件を変更する条件変更手段と、
前記設定手段で設定した試験条件および前記条件変更手段で変更された試験条件による試験機運転条件に基づいて試験を開始する開始手段とを備えること特徴とする試験機。
【請求項2】
請求項1に記載の試験機において、
前記設定手段で設定されている複数の試験条件のうち、前記条件変更手段で変更された試験条件に該当する試験条件を更新して新たな試験機運転条件とすることを特徴とする試験機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の試験機において、
前記条件変更手段は、変更する試験条件をモニタ画面を介して入力して再設定すること特徴とする試験機。
【請求項4】
請求項3に記載の試験機において、
前記設定されている複数の試験条件の中から、変更可能とする少なくとも1つの条件項目を選択する選択手段と、
前記選択されている条件項目を前記モニタ画面に表示する表示制御手段とを備え、
前記条件変更手段は、前記画面表示されている試験条件項目について条件を変更し、前記試験機運転条件を更新して再設定することを特徴とする試験機。


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【公開番号】特開2007−147542(P2007−147542A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 細部 | 指示または記録手段の特殊な適用
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 定張力または定圧縮力によるもの
【出願番号】特願2005−345188(P2005−345188)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所
【Fターム(参考)】
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査方法;試験の仕方 | 圧縮、耐圧試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査対象項目 | 弾性率 | 伸び弾性率(縦弾性係数)
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | 操作性向上の構成
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 荷重
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 変位
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象の検出手段 | 電気的
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定された変化量の取扱い | データの電気的処理 | 表示処理