説明

試験片の製造装置及び試験片の製造方法

【課題】 吐出毎に該吐出が正確に行われたか否かを確認し、高品質な試験片を効率良く製造すること、更には、吐出状況に基づいて正確な吐出を行うこと。
【解決手段】 担体2上の所定位置に、担体2上の所定距離離した位置から特異的結合物質を含む液滴状の溶液Wを吐出する吐出手段3と、該吐出手段3により吐出された溶液Wが担体2上に付着するまでの間の溶液Wの吐出状況を測定する測定手段4と、該測定手段4により測定された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断手段5と、該判断手段5による判断結果を出力する出力手段20と、各手段を総合的に制御する制御部6とを備える試験片の製造装置1及び試験片の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAの解析や免疫学的解析に用いられる試験片の製造装置及び試験片の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノムの解析は、システマティックな塩基配列からシステマティックな機能解析へと焦点が移ってきている。遺伝情報の具体的内容は、いかなるタンパクがいかなる条件で合成されるかという点につきるものであるが、前者、即ち、いかなるタンパクが合成されているかという点については、従来より、ウエスタン・ブロット法、ノーザン・ブロット法やサザン・ブロット法等の解析方法が広く用いられている。しかしながらこれらの方法は、取り出された特定のタンパクやDNA、RNA等がいかなるものであるかという点については解析できても、細胞から抽出されたすべてのタンパクやDNA、RNAを一度に解析するには必ずしも適さなかった。
一方、後者、即ち、タンパクがいかなる条件で合成されるかという点に関しては、転写のレベルで制御されているために、従来の解析方法では充分な解析ができなかった。この最大の原因は、DNAにおける制御配列と対応する制御内容との双方のデータが不足していたためであった。
【0003】
しかしここにきて、DNAチップやDNAマイクロアレイと呼ばれる、1センチ四方程度の担体表面上に、高密度に任意のオリゴヌクレオチドを固定する技術の進歩によって、遺伝子の発現情報の解析が飛躍的に進歩することが期待されている。
DNAチップは、シリコンチップをフォトリソグラフィー技術によって多くの区画に分割し、それぞれの区画上に特定の塩基配列を持った一本鎖DNAを直接合成したものである。
また、DNAマイクロアレイは、従来メンブレン上に吐出されたスポットサイズが約300μm、或いはそれ以上であったDNAマクロアレイを、スポットサイズを約200μm或いはそれ以下にしてスライドグラス上に吐出したものである。
これらDNAチップやDNAマイクロアレイは、信号読取装置及びコンピュータシステムに接続され、チップ上又はマイクロアレイ上に配置されたDNAがどのプローブとハイブリダイズしたかを知ることができるようになっている。また、DNAチップやDNAマイクロアレイ上に配置されるDNAの種類及びその配置しだいで、遺伝子DNAの変異解析、多型解析、塩基配列解析や発現解析等の様々な用途に用いることが可能なものである。
【0004】
しかしながら、このDNAマイクロアレイを用いた解析は、マイクロアレイの作製やその検出装置についての議論が始まったばかりであり、まだ各種様々な問題点を抱えているものである。例えば、その1つとして、オリゴDNA、又は、cDNA等のDNAをスライドグラス等の担体上に吐出する際、正確に吐出を行うことが困難であるという問題がある。
つまり、上記マイクロアレイは、スポッター装置といわれる装置を利用してオリゴDNA、又は、cDNAを吐出して作製するものであるが、その際の作製方法として、スライドグラス上にピンを直接接触させてオリゴDNA、又は、cDNAを配置する接触プリンティング法や、スライドグラス上にインクジェット技術を用いて配置する非接触プリンティング法が一般的に知られている。この際、上述した遺伝子DNAの変異解析、多型解析、塩基配列解析や発現解析を行うには、複数の異なるDNAをそれぞれ予め決められた所定の位置に正確に吐出しなければならない。
このように、マイクロアレイ等の試験片を用いて各種の解析を行うためには、吐出の正確性が重要な要素とされている。更に、吐出の正確性に加え、マイクロアレイの品質性も重要な要素とされている。そのため、このような事情を考慮しながら試験片の製造を行う様々な装置や方法が提供されている。
【0005】
その1つとして、マイクロタイタープレート(MTPプレート)の所定の溶液貯留孔に既知の特異的結合物質が含まれる溶液を分注し、該溶液をピックアップして担体の所定の位置に該溶液を吐出するもので、マイクロタイタープレートの上部空間部分の湿度を、マイクロタイタープレートの溶液貯留孔からサンプル溶液が蒸発を起こしにくい湿度に設定したマイクロアレイ作成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このマイクロアレイ作成装置によれば、長時間の吐出作業によるサンプル溶液の経時的変化を湿度又は温度制御することで、サンプル溶液の蒸発、乾燥を抑え、マイクロアレイの品質の安定化を行うことができる。
また、別の1つとして、ノズルから既知の特異的結合物質が含まれる液滴を吐出して、吐出テストパターンを撮像手段により予め撮像し、画像処理を行って吐出位置のずれ量を補正した後に、正規のマイクロアレイを製造するマイクロアレイの製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−365302号公報
【特許文献2】特開2004−101218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の試験片の製造装置等には、以下の課題が残されている。
即ち、特許文献1記載のマイクロアレイ作成装置においては、サンプル溶液の経時的変化を湿度又は温度制御することでサンプル溶液の濃度の経時的な変化を抑えることができ、長時間に亘りサンプル溶液の濃度が均一な状態で吐出を行えるものであるが、品質保証はサンプル溶液の濃度のみであり、マイクロアレイの品質を保証するにはまだ不十分なものであった。つまり、吐出を正確に行うことが困難なものであった。
具体的には、マイクロアレイのスポット工程においては、溶液が担体上に供給されない吐出抜け現象や、一度の吐出でメイン液滴とは別にサブ液滴が存在するサテライト現象等の吐出不良が発生する場合がある。このサテライト現象が発生すると、担体上にレイアウト以外の吐出が多数存在してしまう。この場合には、メイン液滴とサブ液滴とが重なり合って担体に吐出される場合と、レイアウトとはまったく異なる位置に吐出される場合との2通りの場合がある。どちらの場合においても解析結果に影響を及ぼす為、吐出不良とされ、マイクロアレイの品質を低下させる原因とされている。
このような吐出不良の発生により、所定の位置に所定量の溶液の吐出が行われなかったマイクロアレイは、上述したように品質が不十分であり、製品としての機能を十分に満たすものではなく、また、遺伝子DNAの解析結果に影響を及ぼすものであった。
【0007】
そのため、マイクロアレイ製造工程において正確な吐出と、そのマイクロアレイの品質を保証する正確な吐出状況の検査工程とが必要とされている。
この際、上述した特許文献1に記載のマイクロアレイ作成装置等の既知のマイクロアレイ製造装置は、吐出状況検査を行う手段を兼ね備えていないことから、別装置による吐出検査が必要となり、マイクロアレイ製造装置に設置されている担体を検査装置へ移動する必要がある。
そして、検査工程において吐出抜けが確認されて、抜け個所に再吐出が必要となった場合には、担体を元の設置位置に再設置する必要がある。ところが、この担体の再設置は、吐出レイアウトが高密度化するほど原点位置制御の精密化が求められる為、再吐出が極めて困難なものである。また、一度スポット工程を終了している為、再吐出を行う場合には、再度特異的結合物質を含む溶液を準備し、ピックアップする必要があるので、高値である溶液を多く必要とする。その結果、再吐出を行うにはコスト面と品質面でのリスクとが大きい為、1つでも吐出不良が確認された時点でその担体は不良品として扱われることが多い。
【0008】
更に、検査工程においてサテライト現象が確認された場合には、高密度なレイアウトになるほど、どの特異的結合物質を含む溶液を吐出した際に発生したサテライトかを確認をすることが困難である。また、サブ液滴は、微小で確認が困難である為、サテライトの発生した不良のマイクロアレイを良品として判断してしまう恐れがあり、品質が保証されないものであった。
【0009】
また、上記特許文献2記載のマイクロアレイ製造装置においては、予め吐出したテストパターンに基づいて、吐出位置のずれ量を補正した後、正規のマイクロアレイを製造するが、正規のマイクロアレイを製造する際、補正後の吐出状態を維持した状態で吐出が行われない可能性があるため、やはり、上述したと同様に吐出抜け現象やサテライト現象等が生じる恐れがあり、吐出の正確性が保証されるものではなかった。そのため、品質が保証され難いものであった。
更に、正規のマイクロアレイを製造する際、担体上の全ての箇所に吐出を行った後に、各吐出状況の検査を行うので、各吐出状況の良否判断を吐出毎に行うことができない。そのため、上述したと同様に、担体が不良品として扱われることがあり、効率的な製造を行うことが困難なものであった。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、吐出毎に該吐出が正確に行われたか否かを確認し、高品質な試験片を効率良く製造すること、更には、吐出状況に基づいて正確な吐出を行うことができる試験片の製造装置及び試験片の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、担体上の複数の所定位置に、同一種類或いは互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が固定されて生体関連物質の解析に用いられる試験片の製造装置であって、前記担体上の所定位置に、担体上の所定距離離した位置から前記特異的結合物質を含む液滴状の溶液を吐出する吐出手段と、該吐出手段により吐出された溶液が前記担体上に付着するまでの間の溶液の吐出状況を測定する測定手段と、該測定手段により測定された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断手段と、該判断手段による判断結果を出力する出力手段と、前記各手段を総合的に制御する制御部とを備えている試験片の製造装置を提供する。
【0012】
また、請求項15に係る発明は、担体上の複数の所定位置に、同一種類或いは互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が固定されて生体関連物質の解析に用いられる試験片の製造方法であって、前記担体上の所定位置に、担体上の所定距離離した位置から前記特異的結合物質を含む液滴状の溶液を吐出する吐出工程と、該吐出工程により吐出された前記溶液が前記担体上に付着するまでの間の溶液の吐出状況を測定する測定工程と、該測定工程により測定された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断工程とを備え、これら前記各工程を前記液滴状の溶液の吐出毎に繰り返して、前記担体上の全ての所定位置に溶液を固定させると共に、溶液の吐出毎に前記判断工程による判断結果を確認する試験片の製造方法を提供する。
【0013】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法においては、吐出工程、測定工程及び判断工程を、特異的結合物質を含む液滴状の溶液毎に繰り返して、担体上の複数の所定位置に該溶液を固定させて試験片の製造を行う。
即ち、まず、吐出手段により、担体上の所定距離離した位置から担体上の所定位置に向けて非接触状態で液滴状の溶液を吐出させる吐出工程を行う。この際、同時に吐出手段により吐出された液滴状の溶液が担体上に付着するまでの間の、該溶液の吐出状況を測定手段で測定する測定工程を行う。そして、判断手段により、測定手段で測定された測定結果が予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断工程を行う。つまり、判断手段は、落下する液滴状の溶液の吐出状況が許容範囲内にあれば、担体上に付着したときに、サテライト現象等がなく確実に所定位置に固定されると判断を行う。そして、判断手段が許容範囲内にあると判断すると、制御部は、吐出手段を作動させて次の液滴状の溶液を、担体上の次の所定位置に吐出させる吐出工程を行わせる。
【0014】
また、判断手段による判断結果は、出力手段により出力される。これにより、液滴状の溶液を吐出する毎にその吐出状況を確認できるので、吐出が正確に行われたか否かの判断を一滴毎に確実に行うことができる。従って、全ての溶液を吐出した後に、従来のように吐出が正確に行われた否かの検査を行う必要がない。よって、検査にかける時間や手間を省略でき、効率良く高品質な試験片の製造を行うことができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、担体上の複数の所定位置に、同一種類或いは互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が固定されて生体関連物質の解析に用いられる試験片の製造装置であって、前記担体上の所定位置に、担体上の所定距離離した位置から前記特異的結合物質を含む液滴状の溶液を吐出する吐出手段と、該吐出手段により吐出された溶液が前記担体上に付着するまでの間の溶液の吐出状況を測定する測定手段と、該測定手段による測定結果を出力する出力手段と、前記各手段を総合的に制御する制御部とを備えている試験片の製造装置を提供する。
【0016】
また、請求項3に係る発明は、請求項2記載の試験片の製造装置において、前記出力手段により出力された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断手段を備えている試験片の製造装置を提供する。
【0017】
この発明に係る試験片の製造装置においては、吐出手段により、担体上の所定距離離した位置から担体上の所定位置に向けて非接触状態で特異的結合物質を含む液滴状の溶液の吐出を行う。この際、同時に測定手段が、吐出手段により吐出された液滴状の溶液が担体上に付着するまでの間の、該溶液の吐出状況の測定を行う。そして、出力手段が、測定手段で測定した測定結果の出力を行う。そして、制御部は、上記各手段による動作を繰り返して、担体上の複数の所定位置に該溶液を固定させて試験片の製造を行う。
この際、出力手段により出力された測定結果、即ち、吐出状況を溶液の吐出毎に確認できるので、吐出が正確に行われたか否かの判断を、例えば、観察者が一滴毎に行うことができる。従って、全ての溶液を吐出した後に、従来のように吐出が正確に行われた否かの検査を行う必要がない。よって、検査にかける時間や手間を省略でき、効率良く高品質な試験片の製造を行うことができる。
また、判断手段を備えた場合には、該判断手段が、溶液の吐出状況が予め決められた許容範囲内であるか否かの判断するので、観察者の手間をさらに省略することができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、前記測定手段が、前記液滴状の溶液の量、数、前記担体に対する吐出方向の少なくとも1つを前記吐出状況として測定する試験片の製造装置を提供する。
また、請求項16に係る発明は、請求項15記載の試験片の製造方法において、前記測定工程が、前記液滴状の溶液の量、数、前記担体に対する吐出方向の少なくとも1つを前記吐出状況として測定する試験片の製造方法を提供する。
【0019】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法においては、測定工程の際、測定手段が、液滴状の溶液の量、数、担体に対する吐出方向の少なくとも1つを測定することで、吐出状況の測定を行う。例えば、溶液の量を測定することで、溶液が担体上に固定されたときに異型であるか否かを判断できる。また、溶液の数を測定することで、サテライト現象の有無を判断できる。特に、従来では、担体上に固定された後にサテライト現象の有無を確認するので、サブ溶液が微小である場合には確認が困難なものであったが、本発明においては担体上に固定される前に確認を行うので、サテライト現象の有無をより高精度に判断できる。また、吐出方向を測定することで、所定位置に固定されたか否かの判断を行える。
【0020】
また、請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、前記制御部が、前記測定手段により前記溶液の吐出状況が測定されないときに、再度前記吐出手段を作動させて前記溶液を再吐出させる試験片の製造装置を提供する。
また、請求項17に係る発明は、請求項15又は16記載の試験片の製造方法において、前記測定工程により前記溶液の吐出状況が測定されないときに、前記吐出工程を繰り返して溶液の再吐出を行う試験片の製造方法を提供する。
【0021】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法においては、測定工程の際、測定手段により溶液の吐出状況が測定されないときには、制御部は、例えば、吐出手段から溶液が吐出されない吐出抜けが生じたと判断して、再度吐出手段による吐出工程を繰り返して溶液の再吐出を行わせる。
これにより、吐出抜けによる溶液の数の減少を極力なくすことができ、試験片の品質向上を図ることができる。
【0022】
また、請求項6に係る発明は、請求項1又は3から5のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、前記吐出手段が吐出する前記溶液の吐出具合を修正する吐出修正手段を備え、前記制御部が、前記判断手段が前記許容範囲内でないと判断したときに、前記吐出手段を一旦停止させると共に、前記吐出修正手段により吐出手段の吐出具合を修正させ、修正後吐出手段を再度作動させて次の前記溶液を吐出させる試験片の製造装置を提供する。
また、請求項18に係る発明は、請求項15から17のいずれか1項に記載の試験片の製造方法において、前記溶液の吐出具合を修正する吐出修正工程を備え、前記判断工程が前記許容範囲内でないと判断したときに、前記吐出工程を一旦停止させて前記吐出修正工程を行い、該吐出修正工程後、再度前記吐出工程により次の溶液を吐出させる試験片の製造方法を提供する。
【0023】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法においては、判断工程の際、判断手段が、測定手段により測定された溶液の吐出状況が許容範囲内でないと判断すると、制御部は、吐出手段による吐出工程を一旦停止して、吐出修正手段により吐出手段の吐出具合を修正させる吐出修正工程を行う。これにより、例えば、溶液の詰まりに起因する吐出不良や、吐出方向の修正等を行うことができる。そして、制御部は、この吐出修正工程が終了した後に、再度吐出工程から順に各工程を繰り返し、担体上の所定位置に溶液を順に固定させる。
このように、溶液の吐出状況が所定範囲内でないときに吐出具合の修正を行うので、それ以降の吐出を正確なものにすることができる。従って、仮に吐出不良の溶液が確認されたとしても、直ちに吐出具合の修正を行えるので、担体上の複数の所定位置に溶液を固定したときに、吐出不良による溶液の数を極力少なくすることができる。つまり、吐出状況に基づいて適時吐出具合の修正を行うので、吐出の正確性を確保でき、より高品質な試験片を製造することができる。
【0024】
また、請求項7に係る発明は、請求項6記載の試験片の製造装置において、前記制御部が、前記再吐出を所定回数繰り返してもまだ前記溶液の吐出状況が測定されないときに、前記吐出修正手段により前記吐出手段の吐出具合を修正させる試験片の製造装置を提供する。
また、請求項19に係る発明は、請求項18記載の試験片の製造方法において、前記測定工程により前記溶液の吐出状況が測定されないときに、前記吐出工程を繰り返して溶液の再吐出を行うと共に、該再吐出を所定回数繰り返してもまだ前記溶液の吐出状況が測定されないときには前記吐出修正工程により前記溶液の吐出具合を修正する試験片の製造方法を提供する。
【0025】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法においては、吐出抜けが生じた際、再吐出を所定回数繰り返してもまだ吐出抜けが続く場合には、制御部は、吐出手段に何らかの不具合、例えば、溶液の詰まり等が生じたとして、吐出修正手段による吐出修正工程を行い、吐出具合を修正させる。これにより、より確実に吐出抜けを防止することができる。
【0026】
また、請求項8に係る発明は、請求項6又は7記載の試験片の製造装置において、前記液滴状の溶液を表面に固定可能な試験用プレートを備え、前記制御部が、前記吐出修正手段により前記吐出手段の吐出具合を修正させる前に、前記試験用プレート上に前記溶液を吐出させるよう吐出手段を制御すると共に、この際の吐出状況を再度前記測定手段により測定して前記判断手段で判断させ、再度判断手段が許容範囲内でないと判断したときに、吐出修正手段を作動させる試験片の製造装置を提供する。
また、請求項20に係る発明は、請求項18又は19記載の試験片の製造方法において、前記吐出修正工程を行う前に、前記溶液を表面に固定可能な試験用プレート上において、前記吐出工程、前記測定工程及び前記判断工程を行い、再度判断工程が前記許容範囲内でないと判断したときに吐出修正工程を行う試験片の製造方法を提供する。
【0027】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法においては、判断工程の際、判断手段が溶液の吐出状況が許容範囲内でないと判断した場合、直ちに吐出具合を修正するのでなく、一旦試し打ちをして吐出状況の再確認を行う。
即ち、制御部は、判断工程において、判断手段が溶液の吐出状況が許容範囲内でないと判断した場合、試験用プレート上にて吐出手段により溶液を吐出させる吐出工程を行う。そして、再度の測定工程及び判断工程により、試験用プレート上での溶液の吐出状況を測定手段により再測定させると共に、判断手段により許容範囲内であるか否かを再度判断させる。その結果、もう一度判断部が許容範囲内でないと判断したときに、制御部は吐出修正手段を作動させて吐出具合の修正を行わせる。
このように、一旦試し打ちをして吐出状況の再確認を行うので、本当に吐出具合がよくないのか、或いは、何らかの原因により1回だけ生じたものなのかを判断できる。よって、適時必要なときにのみ吐出修正手段による吐出修正工程を行え、時間や手間をより省略でき、さらに効率良く試験片の製造を行うことができる。
【0028】
また、請求項9に係る発明は、請求項8記載の試験片の製造装置において、前記制御部が、前記吐出修正手段による修正後、前記試験用プレート上に前記溶液を吐出させるよう前記吐出手段を制御すると共に、この際の吐出状況を再度前記測定手段により測定して前記判断手段で判断させ、該判断手段が許容範囲内であると判断したときに、前記担体上に次の溶液を吐出させるよう吐出手段を制御する試験片の製造装置を提供する。
また、請求項21に係る発明は、請求項20記載の試験片の製造方法において、前記吐出修正工程による修正後、前記試験用プレート上において、前記吐出工程、前記測定工程及び前記判断工程を行い、該判断工程が前記許容範囲内であると判断したときに、再度吐出工程により次の溶液を前記担体上に吐出させる試験片の製造方法を提供する。
【0029】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法においては、吐出修正手段による吐出修正工程において、吐出具合の修正後、直ちに担体に向けて溶液の再吐出を行うのではなく、一旦試し打ちをして吐出状況の再確認を行う。
即ち、制御部は、吐出修正工程後、再度試験用プレート上にて吐出手段により溶液を吐出させる吐出工程を行う。そして、再度の測定工程及び判断工程により、試験プレート上での溶液の吐出状況を測定手段により再測定させると共に、判断手段により許容範囲内であるか否かを再度判断させる。その結果、判断部が許容範囲内であると判断したときに、制御部は吐出手段を作動させて担体上に向けて次の溶液の吐出を行わせる。
このように、吐出修正工程後、再度の試し打ちをして、吐出具合が確実に修正されたか否かを判断するので、次の溶液の吐出の正確性をより高めることができる。従って、試験片の品質をより向上させることができる。
【0030】
また、請求項10に係る発明は、請求項6から9のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、前記吐出修正手段が、前記吐出手段に設けられて前記溶液を吐出させる管路を少なくとも洗浄する洗浄手段を有している試験片の製造装置を提供する。
【0031】
この発明に係る試験片の製造装置においては、溶液の吐出具合を修正する際に、洗浄手段が吐出手段の管路を少なくとも洗浄する。これにより、例えば、管路内での溶液の詰まりや、管路に付着した溶液に含まれる特異的結合物質を洗い流して、吐出具合の修正を行える。
【0032】
また、請求項11に係る発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、前記出力手段による出力結果に基づいて、試験片が良品か否かを分別する分別部を備えている試験片の製造装置を提供する。
【0033】
この発明に係る試験片の製造装置においては、分別部が、出力手段からの出力結果、即ち、測定手段により測定された吐出状況や判断手段により判断された判断結果に基づいて、試験片が良品であるか不良品であるかを分別するので使い易い。
【0034】
また、請求項12に係る発明は、請求項1から11のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、前記出力手段が、前記溶液毎の出力結果を表示可能な表示部を備えている試験片の製造装置を提供する。
【0035】
この発明に係る試験片の製造装置においては、出力手段からの溶液毎の出力結果を表示部に表示可能であるので、観察者が現在の状況を確認し易く使い易い。
【0036】
また、請求項13に係る発明は、請求項1から12のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、前記出力手段が、前記溶液毎の出力結果を記憶させる記憶部を備えている試験片の製造装置を提供する。
【0037】
この発明に係る試験片の製造装置においては、出力手段からの溶液毎の出力結果を記憶部に記憶させることが可能であるので、観察者は、例えば、いつどの位置でどのような不良が発生したか等の各種情報をデータとして保存できる。また、そのデータを後に有効利用することができ、使い易さが向上する。
【0038】
また、請求項14に係る発明は、請求項13記載の試験片の製造装置において、前記出力手段が、前記記憶部が記憶したデータを出力可能とされている試験片の製造装置を提供する。
【0039】
この発明に係る試験片の製造装置においては、記憶部に記憶された各種のデータを出力可能であるので、例えば、データの経時的な来歴から不良原因を特定したり、装置のメンテナンス等のタイミングを決定することができる等より使い易さが向上する。
【発明の効果】
【0040】
この発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法によれば、液滴状の溶液を吐出する毎にその吐出状況を確認できるので、吐出が正確に行われたか否かの判断を一滴毎に確実に行うことができる。従って、全ての溶液を吐出した後に、従来のように吐出が正確に行われた否かの検査を行う必要がない。よって、検査にかける時間や手間を省略でき、効率良く高品質な試験片の製造を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明に係る試験片の製造装置及び試験片の製造方法の一実施形態を、図1から図4を参照して説明する。
本実施形態の試験片の製造装置1は、図1及び図2に示すように、スライドグラス(担体)2上の複数の所定位置に、同一種類或いは互いに異なる複数の既知の特異的結合物質、例えば、塩基配列が判っているアミノ標識オリゴDNAが固定されて生体関連物質の解析に用いられるDNAマイクロアレイ(試験片)を製造するものである。
【0042】
なお、本実施形態において、担体をスライドグラス2として説明するが、スライドグラス2に限らず、特異的結合物質を安定に結合、点着できるものであれば良い。例えば、多孔質体やメンブレンフィルター等でも構わない。これらを担体として利用した場合においても、上述したように、特異的結合物質を安定に結合するための前処理をしても良い。
また、特異的結合物質は、上記アミノ標識オリゴDNAに限らず、例えば、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク、核酸、cDNA、DNA、RNA等でも良く、生体由来物質と特異的に結合可能な物質であれば構わない。
更に、本実施形態において、上述した“既知の”とは、特異的結合物質によって異なるが、例えば、核酸であればその塩基配列や塩基の長さ等が、タンパクであればアミノ酸の組成等が判っていることを意味する。
また、スライドグラス2の所定位置に固定される特異的結合物質は、各所定位置毎に1種類の特異的結合物質が固定されるものとして説明する。但し、同一種類或いは互いに異なる複数の特異的結合物質を固定しても構わない。
【0043】
また、本実施形態において、“生体関連物質”とは、スライドグラス2上の所定位置に固定された既知の特異的結合物質と特異的に結合する物質であって、生体から抽出、単離等された物質、又は、生体から直接抽出されたものだけでなく、これらを化学処理、化学修飾等した物質である。例えば、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク、核酸、cDNA、DNA、mRNA等の物質である。
更に、本実施形態において、生体関連物質と特異的結合物質とが特異的に結合するとは、例えば、DNAやRNA等で見られる相補的なヌクレオチド配列の間に安定な二重鎖が形成されるような場合(ハイブリダイゼーション)や、抗原と抗体、ビオチンとアビジン等のように、特定の物質にのみ選択的に反応する極めて特異性の高い結合を意味する。
【0044】
上記試験片の製造装置1は、スライドグラス2の所定位置に、スライドグラス2上の所定距離離した位置から上記特異的結合物質を含む液滴状の溶液Wを吐出(スポット)する吐出ヘッド(吐出手段)3と、該吐出ヘッド3により吐出された溶液Wがスライドグラス2上に付着するまでの間の溶液Wの吐出状況を測定する液滴撮影装置(測定手段)4と、該液滴撮影装置4により測定された測定結果が、予め決められた許容範囲内にあるか否かを判断する判断部(判断手段)5と、該判断部による判断結果を出力する出力部20(出力手段)と、吐出ヘッド3が吐出する溶液Wの吐出具合を修正する図示しない吐出修正部(吐出修正手段)と、これら各構成品を総合的に制御するパーソナルコンピュータ(以下、PC)(制御部)6とを備えている。
【0045】
上記スライドグラス2は、例えば、ポリ−L−リジン溶液Wで表面を前処理されたものである。また、本実施形態の試験片の製造装置1は、このスライドグラス2を複数枚固定可能な載置台10を備えている。この載置台10には、これら複数枚のスライドグラス2に加え、液滴状の溶液Wを表面に固定可能な試し打ち用の図示しない試験用プレートが載置されている。
また、載置台10に隣接してMTPプレート11が配されている。このMTPプレート11は、後述するPC6のコントローラ17に入力される溶液Wの配置レイアウト情報に従って必要な溶液Wを挿入可能なものである。
【0046】
上記吐出ヘッド3は、スライドグラス2の表面に平行な面に沿い、互いに直交するXY方向と該XY方向に直交するZ方向に移動可能な移動機構12により移動可能とされ、移動機構12に接続されたヘッド15と該ヘッド15に接続された図示しない管路を有するヘッドノズル16とを備えている。ヘッド15は、上記MTPプレート11に挿入された溶液Wをヘッドノズル16の管路を介して吸引する機能を有している。また、ヘッドノズル16は、ヘッド15に吸引された溶液Wを管路を介して液滴状に吐出する機能を有している。上記移動機構12及び吐出ヘッド3は、PC6によってその作動が制御されている。
【0047】
上記液滴撮影装置4は、上記ヘッドノズル16の先端とスライドグラス2表面との間に位置するように、移動機構12に固定されており、移動機構12を介して吐出ヘッド3と一体的に移動するようになっている。なお、液滴撮影装置4と吐出ヘッド3とを別々に構成しても構わない。この場合には、液滴撮影装置4を吐出ヘッド3の移動に合わせて移動可能に構成すれば良い。
また、液滴撮影装置4は、ヘッドノズル16の軸線を囲むように複数配置されており、例えば、上述したX方向及びY方向の2方向から、ヘッドノズル16から吐出される液滴状の溶液Wを撮影できるようになっている。
また、液滴撮影装置4は、PC6からの信号を受けて、吐出ヘッド3が液滴を吐出するタイミングで撮影を行うようになっており、撮影した吐出画像を上記判断部5に送る。
更に、本実施形態においては、液滴撮影装置4が溶液Wの量、数、スライドグラス2の対する吐出方向を上記吐出状況として撮影を行うように設定されている。
【0048】
上記判断部5は、PC6内に組み込まれており、液滴撮影装置4から送られた吐出画像を画像処理した後、測定された液滴の量、数、吐出方向が予め決められた許容範囲内であるか否かの判断を行う。
PC6は、判断部5が許容範囲内でないと判断したときに、吐出ヘッド3を一旦停止させると共に、吐出修正部により吐出ヘッド3の吐出具合を修正させ、修正後吐出ヘッド3を再度作動させて次の溶液Wを吐出させるよう制御を行うようになっている。
また、PC6は、上記液滴撮影装置4により溶液Wの吐出状況が測定されないときに、再度吐出ヘッド3を作動させて、溶液Wを再吐出させるよう設定されている。更に、この際、PC6は、再吐出を所定回数繰り返してもまだ溶液Wの吐出状況が測定されないときに、吐出修正部により吐出ヘッド3の吐出具合を修正させるよう設定されている。
【0049】
このPC6は、上記判断部5に加え、上記特異的結合物質を含む溶液Wの配置レイアウト情報が入力されるコントローラ17を有しており、該コントローラ17に入力された配置レイアウト情報にしたがって上記吐出ヘッド3及び移動機構12を制御するようになっている。
また、PC6は、吐出具合を修正する前の溶液Wの試し打ち、及び吐出具合を修正した後の溶液Wの試し打ちを行えるように設定されている。
即ち、PC6は、吐出修正部により吐出ヘッド3の吐出具合を修正する前に、載置台10に載置された試験用プレートに溶液Wを吐出させるよう吐出ヘッド3及び移動機構12を制御すると共に、この際の吐出状況を再度液滴撮影装置4により測定して判断部5で判断させ、再度判断部5が許容範囲内でないと判断したときに、吐出修正部を作動させるように設定され、更に、吐出修正部による修正後、試験用プレート上に溶液Wを吐出させるよう吐出ヘッド3を制御すると共に、この際の吐出状況を再度液滴撮影装置4により測定して判断部5で判断させ、該判断部5が許容範囲内で判断したときに、スライドグラス2上に次の溶液Wを吐出させるように設定されている。
なお、この試し打ちについては、作業者がコントローラ17を介して実行させるか否かを任意に設定できるようになっている。
【0050】
上記出力部20は、上記判断部5と同様に、PC6内に組み込まれており、溶液W毎の出力結果、即ち、判断部5による溶液W毎の判断結果を表示可能なモニタ(表示部)28と、該判断結果を記憶させるメモリ(記憶部)19とを有している。更に、出力部20は、メモリ19に記憶したデータを出力可能とされている。
【0051】
また、上記吐出修正部は、上記吐出ヘッド3に設けられて溶液Wを吐出させる管路を少なくとも洗浄する図示しない洗浄手段を備えている。この洗浄手段は、載置台10に隣接して設けられ、上記ヘッドノズル16を浸漬させた状態でヘッドノズル16の外周を洗浄する洗浄槽と、該洗浄槽にヘッドノズル16を浸漬させた状態で管路内に水等の流体を供給し少なくとも管路を洗浄する洗浄部とを備えている。
【0052】
このように構成された試験片の製造装置1により、スライドグラス2上の複数の所定位置に溶液Wを固定させてマイクロアレイを製造する場合について、以下に説明する。
本発明の試験片の製造方法は、スライドグラス2上の所定位置に、スライドグラス2上の所定距離離した位置から液滴状の溶液Wを吐出する吐出工程と、該吐出工程により吐出された溶液Wがスライドグラス2上に付着するまでの間の溶液Wの吐出状況を測定する測定工程と、該測定工程により測定された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断工程とを備え、これら各工程を液滴状の溶液Wの吐出毎に繰り返して、スライドグラス2上の全ての位置に溶液Wを固定してマイクロアレイの製造を行う。
また、本発明の試験片の製造方法は、上記判断工程が、許容範囲内でないと判断したときに、上記吐出工程を一旦停止させて溶液Wの吐出具合を修正する吐出修正工程を有し、該吐出修正工程後、再度吐出工程により次の溶液Wの吐出を行う。
この製造方法について、以下に詳細に説明する。
【0053】
まず、作業者は、特異的結合物質を含む溶液Wの配置レイアウト情報をコントローラ17に入力すると共に、該配置レイアウト情報に従い必要な溶液WをMTPプレート11に挿入し、該MTPプレート11を所定位置にセットする。その後、作業者は、PC6を作動させて各工程を行わせる。
PC6は、まず吐出工程を行う。即ち、PC6は、コントローラ17に入力された情報にしたがって、移動機構12及び吐出ヘッド3を制御して、ヘッド15にMTPプレート11から特異的結合物質を含む溶液Wを吸引させる。そして、ヘッド15での吸引終了をコントローラ17が確認した後、液滴撮影装置4を起動させる。次に、PC6は、コントローラ17に入力された溶液Wの配置レイアウト情報にしたがって移動機構12により吐出ヘッド3を最初の所定位置に移動させ、該位置で吐出ヘッド3のヘッドノズル16から液滴状の溶液Wを吐出させる(ステップ1)。
【0054】
そして、PC6は、吐出されたタイミングで液滴撮影装置4に信号を送り、ヘッドノズル16から吐出された液滴状の溶液Wの撮影を行わせて、吐出状況を測定させる測定工程を行う(ステップ2)。
この測定工程の際、溶液Wの吐出がされず(吐出抜け)、液滴撮影装置4が溶液Wを撮影できなかった場合(ステップ3)、即ち、溶液Wの吐出状況が測定されなかった場合には、PC6は、同じ位置で溶液Wを再吐出するよう吐出ヘッド3を作動させる(ステップ4)。そして、PC6は、再吐出を所定回数繰り返してもまだ溶液Wの吐出状況が測定されないとき(ステップ5)には、吐出修正部により溶液Wの吐出具合を修正する吐出修正工程を行う。これについては、後に説明する。
【0055】
一方、最初の吐出でヘッドノズル16から溶液Wが吐出、又は、所定回数以内の再吐出でヘッドノズル16から溶液Wが吐出され、液滴撮影装置4により溶液Wの吐出状況が撮影により測定された場合(ステップ6)には、該液滴撮影装置4はこの吐出画像を判断部5に送る。この際、液滴撮影装置4は、XYの2方向から撮影を行って、液滴状の溶液Wの量、数、担体に対する吐出方向(例えば、X方向又はY方向に傾いた方向に吐出している等)を吐出状況として測定する。
【0056】
次に、判断部5は、送られてきた吐出画像に基づいて判断工程を行う。即ち、判断部5は、吐出画像の画像処理を行った後、測定された溶液Wの量、数、吐出方向の確認を行う(ステップ7)。そして、判断部5は、確認された溶液Wの量、数、吐出方向と、予め決められた許容範囲値とを比較して、それぞれが許容範囲内であるか否かを判断する(ステップ8)。
ここで、判断部5は、溶液Wの量が許容範囲外である場合には、該溶液Wがスライドグラス2上に固定されたときに異型溶液となると判断し、溶液Wの数が許容範囲外である場合には、サテライト現象が発生したと判断し、吐出方向が許容範囲外である場合には、溶液Wが所定位置に固定されていないと判断する。このように、判断部5は、溶液Wの量、数、吐出方向の少なくとも1つが許容範囲外である場合(ステップ9)には、吐出不良が生じたと判断する。
【0057】
そして、判断部5が、許容範囲内でないと判断すると、吐出修正部により溶液Wの吐出具合を修正する吐出修正工程が行われる。これについては、後に説明する。
一方、判断部5が、許容範囲内であると判断(ステップ10)すると、出力部20がその旨をモニタ18に表示すると共にメモリ19に記憶させる(ステップ11)。そして、PC6は、許容範囲内であると判断した判断部5の結果を受けると、コントローラ17に入力された配置レイアウト情報にしたがって次の所定位置に移動機構12を介して吐出ヘッド3を移動(ステップ12)させて吐出工程を行わせる。
そして、上述したと同様に、吐出工程、測定工程、判断工程を繰り返しながら、スライドグラス2上の全ての所定位置に溶液Wを固定させる。また、吐出工程の際、吐出ヘッド3は、XY方向に向けて順次溶液Wを吐出可能であるので、容易、且つ、確実にXY方向に規則的に溶液Wが並んだマイクロアレイを製造することができる。
また、PC6は、最初のスライドグラス2上に全ての溶液Wを固定させてマイクロアレイを製造した後、載置台10に載置されているその他のスライドグラス2に対しても同様に溶液Wを固定して、複数のマイクロアレイを順次製造する。
そして、全ての所定位置に対してのスポット終了後、出力部20は、メモリ19に記憶したデータを作業者に出力する。
【0058】
次に、上述したように判断部5が許容範囲内でないと判断した場合及び再吐出を所定回数繰り返してもまだ溶液Wが吐出されない場合(ステップ5及びステップ9)には、まず、吐出工程が一旦停止(ステップ15)し、出力部20がその旨をモニタ18に表示すると共にメモリ19に記憶させる(ステップ16)。なお、この際、どのチップのどのスポットが所定の範囲に入っているかいないか、吐出不良はどんな原因か、即ち、溶液Wの量により吐出不良が生じたのか、又は、サテライトの発生により吐出不良が生じたのか、又は吐出方向の不良により吐出不良が生じたのかを、モニタ18に表示させたり、メモリ19に記憶させることができる。
そして、吐出修正部により溶液Wの吐出具合を修正する吐出修正工程(ステップ17)を行う。即ち、PC6が、移動機構12を介して吐出ヘッド3を移動させ、ヘッドノズル16を洗浄層内に浸漬させてヘッドノズル16の外周を洗浄すると共に、洗浄部により管路内に水等の洗浄液を流して管路内の洗浄を行う。これにより、少なくとも管路内での溶液Wの詰まりや、管路に付着した特異的結合物質等を洗い流すことができ、溶液Wの詰まり等に起因した吐出不良を修正することができる。
【0059】
そして、吐出不良の修正後、PC6は吐出工程を再開させる。ここで、溶液Wの再吐出を所定回数繰り返してもまだ溶液Wが吐出されない吐出抜けにより、吐出修正工程を行った場合には、PC6は、再度同じ所定位置に吐出ヘッド3を移動させて溶液Wの再吐出を行わせる。また、吐出不良により吐出修正工程を行った場合には、PC6は、コントローラ17に入力された配置レイアウト情報にしたがって次の所定位置で溶液Wの吐出を行わせる。
その後、上述したように吐出工程、測定工程、判断工程を繰り返してマイクロアレイの製造を行う。
【0060】
上述したように、本実施形態の試験片の製造装置1及び試験片の製造方法によれば、液滴状の溶液Wを吐出する毎に、その吐出状況を出力部20で出力して確認できるので、吐出不良であるか否かの判断を一滴毎に確実に行うことができる。また、その吐出状況が所定範囲内でないときに吐出具合の修正を行うので、それ以降の吐出の正確性を再度確保することができる。
従って、仮に吐出不良の溶液Wが確認されたとしても、直ちに吐出具合の修正を行えるので、担体上の複数の所定位置に溶液Wを固定したときに、吐出不良の溶液Wの数を極力少なくすることができる。よって、高品質なマイクロアレイを製造することができ、また、歩留まりの向上を図ることができる。
特に、溶液W一滴毎について吐出状況の確認を行っているので、全ての溶液Wを吐出した後に、従来のように吐出が正確に行われたか否かの検査を行う必要がない。従って、検査にかける時間や手間を省略でき、効率良く高品質なマイクロアレイの製造を行うことができる。
【0061】
また、測定工程の際に、液滴撮影装置4が、溶液Wの量、数、吐出方向を測定することで、判断部5は、溶液Wが許容範囲の大きさか否か、又は、サテライト現象の発生による多重スポットが生じたか否か、又は、異型液滴やスポット位置ずれが生じたか否かをより確実に判断でき、高精度に吐出不良を判断できる。特に、吐出方向を2方向から確認しているので、一方向からでは重なって容易に視認できないサテライトについても正確に確認する事ができる。
また、吐出工程の際、吐出抜けが発生した際に再吐出を行わせるので、吐出抜けを防止できる。更に、この再吐出の際、所定回数行ってもまだ溶液Wの吐出がされないときに、吐出具合の修正を行うので、より確実に吐出抜けを防止でき、品質の向上化を図ることができる。
また、吐出修正工程の際、ヘッドノズル16の管路を少なくとも洗浄するので、溶液Wの詰まりや、管路に付着した溶液Wに含まれる特異的結合物質を洗い流して、吐出具合の修正を行え、吐出ヘッド3の吐出具合を修正することができる。
【0062】
また、載置台10には、複数のスライドグラス2が載置されているので、複数の高品質なマイクロアレイを一度に効率良く製造することができる。
更に、作業者は、判断部5による溶液Wの判断結果をモニタ18を介して確認することで、現在の状況を容易に把握することができる。また、メモリ19に記憶された各種データを見ることで、いつ、どの箇所で、どのような吐出不良が生じたかを確認することができる。また、出力部20がメモリ19内のデータを出力することで、例えば、データの来歴から吐出不良の原因を特定し易くなり、吐出不良が発生する前に装置のメンテナンスを行うことができると共に、経時的な変化を見ることでそれに応じたメンテナンスを行うことができる。
例えば、吐出無し(吐出抜け)が多く発生した場合には、ヘッド15内に不純物が混入し、その不純物が吐出口を塞いでいると考えられるので、ヘッド15内の洗浄やヘッド15交換が有効的である。また、吐出方向のずれが多く発生した場合には、ヘッド15先端の不純物の付着、ヘッド15先端の欠け等が考えられるので、ヘッド15先端の洗浄やヘッド15交換が有効的と考えられる。このように吐出不良の発生状況から装置の不具合状況を的確に感知することができ、その状況に応じたメンテナンス及び設定変更を行うことができる。
【0063】
また、上記実施形態において、吐出修正工程を行う際、直ちに吐出具合の修正を行うのではなく、一旦試し打ちをした後に吐出具合を修正するよう、作業者がコントローラ17を介して設定することも可能である。
つまり、吐出修正工程を行う前に、PC6は、試験用プレート上において、吐出工程、測定工程、判断工程を行い、この判断工程で再度判断部5が許容範囲内でないと判断したときに、吐出修正工程を行わせる。
このように、試験プレート上に試し打ちをすることで、吐出状況の再確認が行える。これにより、本当に吐出具合が良くないのか、又は、何らかの原因により1回だけ吐出不良が生じたものなのかを判断できる。従って、適時必要なときにのみ吐出修正工程を行え、時間や手間をより省略でき、さらに効率良くマイクロアレイの製造を行うことができる。
【0064】
更に、吐出修正工程を行った後、スライドグラス2上に直ちに溶液Wの吐出を行うのではなく、一旦試し打ちをして修正具合を確認するよう、作業者がコントローラ17を介して設定することも可能である。
つまり、吐出修正工程による修正後、試験用プレート上において、吐出工程、測定工程、判断工程を行い、この判断工程で判断部5が許容範囲内であると判断したときに、スライドグラス2上に溶液Wを吐出させる吐出工程を行わせる。
このように、吐出修正工程後、試験プレート上に再度の試し打ちをすることで、吐出具合が確実に修正されたか否かを判断できるので、次の溶液Wの吐出の正確性をより高めることができる。従って、マイクロアレイの品質をより向上させることができる。
【0065】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態において、出力部は、判断部による判断結果をモニタ等に出力したが、これに限らず、判断部を備えず、液滴撮影装置で測定した溶液の吐出状況を出力部で出力する構成にしても構わない。この場合には、出力結果を受けて観察者が判断部に代わり溶液の吐出状況が予め決められた許容範囲内に入るか否かを判断すればよい。この場合においても、溶液の吐出毎に該吐出が正確に行われた否かを確認できるので、上述した実施形態と同様に、検査にかける時間や手間を省略でき、効率良く高品質なマイクロアレイの製造を行うことができる。更に、この場合において、出力部により出力された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断部を備えた構成にすることで、更に観察者の手間を省くことができる。
【0066】
また、上記実施形態においては、測定工程の際、液滴撮影装置が、液滴状の溶液の量、数、吐出方向の全てを測定して吐出状況としたが、全てではなく、少なくとも1つを吐出状況として測定すれば構わない。また、吐出方向を測定する際、XYの2方向から測定したが、2方向に限られるものではない。
更に、測定工程の際、液滴撮影装置による画像処理を用いた方法により吐出状況の測定を行ったが、この方法に限られるものではない。例えば、スライドグラスの重量変化を検出する電子天秤等の重量変化測定部を備え、該重量変化測定部が、重量変化に基づいて液滴状の溶液Wがスライドグラスに付着するまでの間の溶液の吐出状況を推測するように構成しても構わない。この際、電子天秤は、スライドグラスの下面に設置可能なもので、微量物質を感知することができるものである。
こうすることで、電子天秤は、例えば、1度の吐出において重量変化が0回の場合は吐出無し(吐出抜け)、重量変化が1回以上の場合はサテライトの発生等、重量の変化から吐出状況を容易に確認することができる。
また、測定手段として、光電センサ、超音波センサ等の非接触センサにより吐出状況を測定する構成でも構わない。この場合においては、容易に吐出不良の有無を確認することができる。
更に、試験片としてマイクロアレイを例としたが、マイクロアレイに限らず、担体上に溶液が数適固定されたものでも構わない。
【0067】
また、上記実施形態では、吐出修正工程において、吐出修正部が少なくとも吐出ヘッドの管路を水等の流体を流して洗浄することで吐出具合を修正したが、超音波を利用して洗浄しても構わないし、吐出ヘッドを振動させた状態で洗浄しても構わない。更には、洗浄に限られず、吐出具合を修正できれば良い。
また、吐出修正工程を行う際に、ヘッドノズルの洗浄、又は、試し打ち、又は、洗浄後の試し打ちを作業者は、任意に設定可能としたが、この際さらに作業者が吐出状況に応じてマイクロアレイの品質が不良であると判断した場合には、この不良担体を除去するように設定しても構わない。これらの選択は、作業者が任意に設定して行って良い。
【0068】
更に、上記実施形態において、出力部からの出力結果に基づいて、製造したマイクロアレイが良品か否かを分別する分別部を備えても構わない。例えば、溶液を担体の全ての所定位置に吐出した時に、液滴状の溶液の吐出状況が許容範囲内に全て入っていた場合には良品と判断し、1つでも許容範囲内に入らなかった場合には不良品として分別を行う。このように、分別部により製造したマイクロアレイの良否判断を確実且つ容易に行うことができる。
【0069】
〔実施例1〕
次に、良品と不良品との確認のために、以下の実験を行って出力されたデータからマイクロアレイを良品と不良品とに分別した。
固相した各オリゴDNAと(相補的)に反応する蛍光標識されたカウンターオリゴでハイブリダイズさせて吐出状態を確認した。良品の全てのマイクロアレイは、PCに入力されたスポットレイアウト通りにオリゴDNAが固相され、吐出抜けやサテライトが無いことが確認された。一方、不良品の全てのマイクロアレイを同様にハイブリダイズした場合には、サテライト等の吐出不良が確認された。
このように、本発明により良品と不良品とを簡単に分けられることが確認された。更に、吐出状況を複数方向から確認しているので一方向からでは重なって見えないサテライトも正確に確認することが行えた。従って、良品と不良品との分別を正確に行うことができた。
【0070】
〔実施例2〕
次に、本実施形態の試験片の製造装置を用いて月1000枚のチップ(マイクロアレイ)を1年間製造し、この時の吐出状況をメモリに格納した。ヘッド交換時期と、不良発生との相関を調べたところ、3ヶ月前後で発生する割合が高いことが確認された。この結果を受けて、2ヶ月でヘッドを交換したところ不良発生頻度が少なくなった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る第1実施形態の試験片の製造装置の全体構成図である。
【図2】図1に示す試験片の製造装置の吐出ヘッド及びスライドガラスの周辺拡大図である。
【図3】図1に示す試験片の製造装置により、マイクロアレイを製造する一例を示したフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャートの続きのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
W 液滴状の溶液
1 試験片の製造装置
2 スライドグラス(担体)
3 吐出ヘッド(吐出手段)
4 液滴撮影装置(測定手段)
5 判断部(判断手段)
6 パーソナルコンピュータ(PC)(制御部)
10 載置台
18 モニタ(表示部)
19 メモリ(記憶部)
20 出力部(出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体上の複数の所定位置に、同一種類或いは互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が固定されて生体関連物質の解析に用いられる試験片の製造装置であって、
前記担体上の所定位置に、担体上の所定距離離した位置から前記特異的結合物質を含む液滴状の溶液を吐出する吐出手段と、
該吐出手段により吐出された溶液が前記担体上に付着するまでの間の溶液の吐出状況を測定する測定手段と、
該測定手段により測定された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段による判断結果を出力する出力手段と、
前記各手段を総合的に制御する制御部とを備えていることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項2】
担体上の複数の所定位置に、同一種類或いは互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が固定されて生体関連物質の解析に用いられる試験片の製造装置であって、
前記担体上の所定位置に、担体上の所定距離離した位置から前記特異的結合物質を含む液滴状の溶液を吐出する吐出手段と、
該吐出手段により吐出された溶液が前記担体上に付着するまでの間の溶液の吐出状況を測定する測定手段と、
該測定手段による測定結果を出力する出力手段と、
前記各手段を総合的に制御する制御部とを備えていることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項3】
請求項2記載の試験片の製造装置において、
前記出力手段により出力された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断手段を備えていることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、
前記測定手段は、前記液滴状の溶液の量、数、前記担体に対する吐出方向の少なくとも1つを前記吐出状況として測定することを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、
前記制御部は、前記測定手段により前記溶液の吐出状況が測定されないときに、再度前記吐出手段を作動させて前記溶液を再吐出させることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項6】
請求項1又は3から5のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、
前記吐出手段が吐出する前記溶液の吐出具合を修正する吐出修正手段を備え、
前記制御部は、前記判断手段が前記許容範囲内でないと判断したときに、前記吐出手段を一旦停止させると共に、前記吐出修正手段により吐出手段の吐出具合を修正させ、修正後吐出手段を再度作動させて次の前記溶液を吐出させることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項7】
請求項6記載の試験片の製造装置において、
前記制御部は、前記再吐出を所定回数繰り返してもまだ前記溶液の吐出状況が測定されないときに、前記吐出修正手段により前記吐出手段の吐出具合を修正させることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項8】
請求項6又は7記載の試験片の製造装置において、
前記液滴状の溶液を表面に固定可能な試験用プレートを備え、
前記制御部は、前記吐出修正手段により前記吐出手段の吐出具合を修正させる前に、前記試験用プレート上に前記溶液を吐出させるよう吐出手段を制御すると共に、この際の吐出状況を再度前記測定手段により測定して前記判断手段で判断させ、再度判断手段が許容範囲内でないと判断したときに、吐出修正手段を作動させることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項9】
請求項8記載の試験片の製造装置において、
前記制御部は、前記吐出修正手段による修正後、前記試験用プレート上に前記溶液を吐出させるよう前記吐出手段を制御すると共に、この際の吐出状況を再度前記測定手段により測定して前記判断手段で判断させ、該判断手段が許容範囲内であると判断したときに、前記担体上に次の溶液を吐出させるよう吐出手段を制御することを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、
前記吐出修正手段は、前記吐出手段に設けられて前記溶液を吐出させる管路を少なくとも洗浄する洗浄手段を有していることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、
前記出力手段による出力結果に基づいて、試験片が良品か否かを分別する分別部を備えていることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、
前記出力手段は、前記溶液毎の出力結果を表示可能な表示部を備えていることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の試験片の製造装置において、
前記出力手段は、前記溶液毎の出力結果を記憶させる記憶部を備えていることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項14】
請求項13記載の試験片の製造装置において、
前記出力手段は、前記記憶部が記憶したデータを出力可能とされていることを特徴とする試験片の製造装置。
【請求項15】
担体上の複数の所定位置に、同一種類或いは互いに異なる複数の既知の特異的結合物質が固定されて生体関連物質の解析に用いられる試験片の製造方法であって、
前記担体上の所定位置に、担体上の所定距離離した位置から前記特異的結合物質を含む液滴状の溶液を吐出する吐出工程と、
該吐出工程により吐出された前記溶液が前記担体上に付着するまでの間の溶液の吐出状況を測定する測定工程と、
該測定工程により測定された測定結果が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する判断工程とを備え、
これら前記各工程を前記液滴状の溶液の吐出毎に繰り返して、前記担体上の全ての所定位置に溶液を固定させると共に、溶液の吐出毎に前記判断工程による判断結果を確認することを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の試験片の製造方法において、
前記測定工程は、前記液滴状の溶液の量、数、前記担体に対する吐出方向の少なくとも1つを前記吐出状況として測定することを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項17】
請求項15又は16記載の試験片の製造方法において、
前記測定工程により前記溶液の吐出状況が測定されないときに、前記吐出工程を繰り返して溶液の再吐出を行うことを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項18】
請求項15から17のいずれか1項に記載の試験片の製造方法において、
前記溶液の吐出具合を修正する吐出修正工程を備え、
前記判断工程が前記許容範囲内でないと判断したときに、前記吐出工程を一旦停止させて前記吐出修正工程を行い、該吐出修正工程後、再度前記吐出工程により次の溶液を吐出させることを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の試験片の製造方法において、
前記測定工程により前記溶液の吐出状況が測定されないときに、前記吐出工程を繰り返して溶液の再吐出を行うと共に、該再吐出を所定回数繰り返してもまだ前記溶液の吐出状況が測定されないときには前記吐出修正工程により前記溶液の吐出具合を修正することを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項20】
請求項18又は19記載の試験片の製造方法において、
前記吐出修正工程を行う前に、前記溶液を表面に固定可能な試験用プレート上において、前記吐出工程、前記測定工程及び前記判断工程を行い、再度判断工程が前記許容範囲内でないと判断したときに吐出修正工程を行うことを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の試験片の製造方法において、
前記吐出修正工程による修正後、前記試験用プレート上において、前記吐出工程、前記測定工程及び前記判断工程を行い、該判断工程が前記許容範囲内であると判断したときに、再度吐出工程により次の溶液を前記担体上に吐出させることを特徴とする試験片の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−46910(P2006−46910A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223632(P2004−223632)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】