説明

試験装置

【課題】半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験する試験装置において、所望の温度に半導体ウエハを加熱して各半導体チップを試験することができる試験装置を提案する。
【解決手段】両面にプローブを接触可能に半導体ウエハを保持し、この半導体ウエハの両面をそれぞれヒータ部により加熱し、この両面にそれぞれプローブを接続して当該半導体ウエハに設けられた半導体チップを試験する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の温度に半導体ウエハを加熱して、当該半導体ウエハに設けられた各半導体チップを試験する試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の試験装置に関して、半導体ウエハを所望の温度に加熱した状態で、この半導体ウエハに設けられた各半導体チップを試験する装置が提案されている(例えば特開平6−349909号公報)。このような試験装置は、このウエハステージからの熱伝導により半導体ウエハを裏面側から加熱し、例えば製品として使用する温度に半導体ウエハの温度を設定する。またこの状態でプローブを介して表面側から各半導体チップを測定器に順次接続し、各半導体チップの特性を試験する。
【0003】
また半導体の試験装置では、半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップを試験する装置も提案されている(特開2005−303098号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−349909号公報
【特許文献2】特開2005−303098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験する試験装置においても、例えば製品として使用する温度に加熱して各半導体チップを試験することができれば、一段と信頼性の高い試験を実行できると考えられる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験する試験装置において、所望の温度に半導体ウエハを加熱して各半導体チップを試験することができる試験装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、半導体ウエハの半導体チップを順次試験する試験装置において、前記半導体ウエハの周辺部を挟持して、前記半導体ウエハを保持するウエハ保持部と、前記ウエハ保持部により保持された前記半導体ウエハの一方の面側において、前記一方の面に対向する加熱面により非接触で前記半導体ウエハを加熱する第1のヒータ部と、前記ウエハ保持部により保持された前記半導体ウエハの他方の面側において、前記他方の面に対向する加熱面により非接触で前記半導体ウエハを加熱する第2のヒータ部と、前記第1のヒータ部側より、前記第1のヒータ部に形成された開口を介して、前記半導体ウエハの半導体チップの前記一方の面側にプローブを接触させる第1のプローブ部と、前記第2のヒータ部側より、前記第2のヒータ部に形成された開口を介して、前記半導体ウエハの半導体チップの前記他方の面側にプローブを接触させる第2のプローブ部とを備え、前記ウエハ保持部により保持された前記半導体ウエハに対して前記第1及び第2のヒータ部を配置して加熱した状態で、前記第1及び第2のヒータ部に対する前記半導体ウエハの相対位置を順次変化させ、前記第1及び第2のプローブ部によるプローブが接続される半導体チップを順次切り替え、前記半導体ウエハの半導体チップを順次試験する。
【0008】
請求項1の構成によれば、半導体ウエハは、第1及び第2のヒータ部によって非接触により一方及び他方の両面が加熱され、この状態で第1及び第2のプローブ部によりそれぞれ一方及び他方の面にプローブが接続され、これにより半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験する構成において、所望の温度に半導体ウエハを加熱して各半導体チップを試験することができる。
【0009】
また請求項2の発明では、請求項1の構成において、前記ウエハ保持部は、前記一方の面が上面側となるように、前記半導体ウエハを保持し、前記第1のヒータ部は、前記第2のヒータ部との間の隙間からの放熱を低減する断熱幕が設けられる。
【0010】
請求項2の構成によれば、第1及び第2のヒータ部の間の隙間からの空気の漏れ出しを断熱幕により低減し、これにより効率良く、かつ均一に半導体ウエハを加熱することができる。
【0011】
また請求項3の発明では、請求項2の構成において、前記断熱幕は、可撓性を有するシート材を順次配置して形成される。
【0012】
請求項3の構成によれば、半導体ウエハを保持する機構が断熱幕と交差する箇所では、シート材が変形し、何らウエハ保持部による半導体ウエハの保持を妨げないようにすることができる。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1、請求項2、又は請求項3の構成において、前記加熱面は、凹凸形状により形成された。
【0014】
請求項4の構成により、加熱面を凹凸形状により形成すると、加熱面は大きな表面積により効率良く放熱することができ、その結果、この加熱面により加熱される半導体ウエハは、効率良く加熱され、短時間で所望の温度に設定、保持される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験する試験装置において、所望の温度に半導体ウエハを加熱して各半導体チップを試験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る試験装置を示すブロック図である。
【図2】図1の試験装置の動作の説明に供するフローチャートである。
【図3】ウエハ保持部の要部の構成を示す斜視図である。
【図4】下ヒータ部の要部の構成を示す斜視図である。
【図5】図4をA−A線により断面を取って示す断面図である。
【図6】上ヒータ部の要部の構成を示す斜視図である。
【図7】図6をB−B線により断面を取って示す断面図である。
【図8】上ヒータ部及び下ヒータ部の間に半導体ウエハを保持した状態の説明に供する断面図である。
【図9】半導体ウエハの試験状態の説明に供する斜視図である。
【図10】他の実施の形態に係る上ヒータ部の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)第1の実施の形態の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る試験装置を示すブロック図である。この試験装置1は、所望の温度に半導体ウエハを加熱した状態で、この半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験する。このため試験装置1は、試験対象の半導体ウエハに関する機械的な構成である機構部2が設けられ、さらにこの機構部2の各部を駆動する駆動部3が設けられる。
【0018】
ここで機構部2において、ウエハ保持部4は、所定の搬送機構により搬送される半導体ウエハを受け、各半導体チップに対して両面よりプローブを接触可能にこの半導体ウエハを保持する。またウエハ保持部4は、保持した半導体ウエハをその面内方向に順次可動して試験対象の半導体チップを切り替え、また試験の終了により保持した半導体ウエハを搬送機構に送出する。
【0019】
下ヒータ部5は、ウエハ保持部4に半導体ウエハが保持されると、駆動部3による駆動により、所定の退避位置からこの半導体ウエハの下面側に接近し、半導体ウエハを下面側から非接触により加熱する。また半導体ウエハの試験が終了すると、半導体ウエハを搬送可能に、駆動部3による駆動により退避位置に退避する。
【0020】
上ヒータ部6は、ウエハ保持部4に半導体ウエハが保持されると、駆動部3による駆動により、所定の退避位置からこの半導体ウエハの上面側に接近し、半導体ウエハを上面側から非接触により加熱する。また半導体ウエハの試験が終了すると、半導体ウエハを搬送可能に、駆動部3による駆動により退避位置に退避する。
【0021】
下プローブ部7は、ウエハ保持部4による半導体ウエハの可動に同期して上下動し、下ヒータ部5に設けられた開口を介して、半導体ウエハの下面側より、順次、各半導体チップにプローブを接触させる。また半導体ウエハの試験が終了すると、所定の退避位置に移動して続く半導体ウエハの試験開始を待機する。
【0022】
上プローブ部8は、下プローブ部7の上下動に連動して上下動し、上ヒータ部6に設けられた開口を介して、半導体ウエハの上面側より、順次、各半導体チップにプローブを接触させる。また半導体ウエハの試験が終了すると、所定の退避位置に移動して続く半導体ウエハの試験開始を待機する。
【0023】
しかして駆動部3は、これらの機構部2を本体装置9の制御により可動し、本体装置9は、この試験装置1の各部の動作を制御する。さらに本体装置9は、下プローブ部7、上プローブ部8に設けられたプローブを介して試験対象の半導体チップに接続され、当該半導体チップを試験する。
【0024】
図2は、本体装置9による各部の制御を示すフローチャートである。本体装置9は、試験対象の半導体ウエハをウエハ保持部4で保持すると(ステップSP2)、下ヒータ部5及び上ヒータ部6をそれぞれ退避位置からこの半導体ウエハの下側及び上側に移動させ、半導体ウエハの加熱を開始する(ステップSP3)。またこの状態で、上プローブ部8及び下プローブ部7を上下動させ、上プローブ部8及び下プローブ部7に設けられたプローブを、それぞれ上ヒータ部6及び下ヒータ部5の開口を介して半導体ウエハの半導体チップに接続する(ステップSP4)。本体装置9は、これによりプローブが接続された半導体チップを試験し(ステップSP5)、この半導体チップの試験が終了すると、上プローブ部8及び下プローブ部7を退避位置に退避させる(ステップSP6)。
【0025】
本体装置9は、続いて全半導体チップの試験が完了したか否か判断し(ステップSP7)、全半導体チップの試験を完了していない場合、次の半導体チップにプローブを接続可能に、ウエハ保持部4の可動により上ヒータ部6及び下ヒータ部5に対する半導体ウエハの相対位置を変位させる(ステップSP8)。また続いて、上プローブ部8及び下プローブ部7を上下動させ、当該上プローブ部8及び下プローブ部7に設けられたプローブを次の半導体チップに接続する(ステップSP4)。これにより試験装置1は、上ヒータ部6及び下ヒータ部5により半導体ウエハを加熱した状態で、半導体ウエハの位置を順次変位させながら、当該半導体ウエハに設けられた半導体チップを例えばラスタ走査順に順次試験する。
【0026】
また全ての半導体チップの試験を完了すると、上ヒータ部6及び下ヒータ部5を退避位置に退避させた後(ステップSP9)、ウエハ保持部4の可動により半導体ウエハを搬出する(ステップSP10)。
【0027】
図3は、ウエハ保持部4の要部の構成を示す斜視図である。ウエハ保持部4は、ホルダー4Aにクランパー4Bが設けられる。ここでホルダー4Aは、半導体ウエハWを側方より囲む所定板厚による板状の枠体である。ホルダー4Aは、半導体ウエハWの搬入、搬出方向に開口が形成され、ウエハ保持部4では、当該開口より半導体ウエハWが搬入されてクランパー4Bによりこのホルダー4Aの内側、ほぼ中央に半導体ウエハWが保持される。またこの開口より半導体ウエハWが搬出される。なおホルダー4Aは、各半導体チップの試験において、半導体ウエハWに対する上ヒータ部6及び下ヒータ部5の相対位置が可変した場合でも、上ヒータ部6及び下ヒータ部5が衝突しないように、十分な大きさにより形成される。
【0028】
クランパー4Bは、それぞれ幅狭の板状部材による1対のアーム4B1、4B2を有し、この実施の形態ではこの1対のアーム4B1、4B2の延長する方向が半導体ウエハWの搬出入方向に対してほぼ斜め45度に傾いた方向となるように、一定の角間隔でホルダー4Aに配置される。クランパー4Bは、この1対のアーム4B1、4B2によりそれぞれ半導体ウエハWの周辺部、四隅を挟持し、これにより半導体ウエハWの各半導体チップに対して両面よりプローブを接触可能に半導体ウエハWを保持する。
【0029】
図4は、下ヒータ部5の要部の構成を示す斜視図である。下ヒータ部5は、略円盤形状により全体が形成され、そのほぼ中央に、下プローブ部7のプローブを差し込む開口5Aが設けられる。また下ヒータ部5は、半導体ウエハ側の面(図4においては上側の面)が半導体ウエハに離間して対向するように保持され、半導体ウエハを非接触により加熱する加熱面とされる。加熱面は、凹凸面により効率良く熱を発散するように形成され、これにより半導体ウエハを効率良く加熱できるように形成される。より具体的に、下ヒータ部5は、A−A線により断面を取って図5に示すように、半導体ウエハ側に熱伝導率の高い金属板材5Eが配置され、この金属板材5Eの半導体ウエハ側面が加熱面とされる。またこの加熱面の全面に、延長方向が直交する断面三角形形状の溝Mが一定のピッチにより繰り返し形成され、凹凸面とされる。またこの金属板材5Eの裏面側には、加熱用の熱を供給するヒータ5Dが配置され、さらにこのヒータ5Dの裏面には、ヒータ5Dからの放熱を低減する断熱材5Cが配置される。なおヒータ5Dには例えばセラミックヒータが適用され、断熱材5Cには例えばカーボンファイバーによる板材が適用される。
【0030】
図6は、上ヒータ部6の要部の構成を示す斜視図である。上ヒータ部6は、周囲に断熱幕6Fが設けられる点を除いて、下ヒータ部5とほぼ上下対称に構成される。すなわち上ヒータ部6は、略円盤形状により全体が形成され、そのほぼ中央に、上プローブ部8のプローブを差し込む開口6Aが設けられる。またB−B線により断面を取って図7に示すように、半導体ウエハW側の面(図7においては下側の面)が半導体ウエハに離間して対向するように保持され、半導体ウエハを加熱する加熱面とされる。より具体的に、上ヒータ部6は、半導体ウエハ側に熱伝導率の高い金属板材6Eが配置され、この金属板材6Eの半導体ウエハ側面が加熱面とされる。この加熱面の全面には、延長方向が直交する断面三角形形状の溝Mが一定のピッチにより繰り返し形成され、凹凸面とされる。またこの金属板材6Eの裏面側には、熱供給用のヒータ6Dが配置され、さらにこのヒータ6Dの裏面には、ヒータ6Dからの放熱を低減する断熱材6Cが配置される。なおヒータ6Dには例えばセラミックヒータが適用され、断熱材6Cには例えばカーボンファイバーによる板材が適用される。
【0031】
断熱幕6Fは、略長方形形状による断熱シート6F1を、隣接する断熱シート6F1との間で一部が重なり合うように、順次、上ヒータ部6の周囲に配置して形成される。ここでこの断熱シート6F1は、耐熱温度が高く、可撓性を有し、断熱効果の高いシート材であり、例えばフッ素ゴムシートが適用される。また断熱シート6F1は、図5及び図7との対比により図8に示すように、上ヒータ部6及び下ヒータ部5により半導体ウエハWを加熱する際に、上ヒータ部6及び下ヒータ部5の隙間を十分に覆うことができる長さにより形成される。なお図においては、下ヒータ部5の下側まで各断熱シート6F1が延長するように長さを強調して断熱シート6F1が記載されているものの、断熱シート6F1は、上ヒータ部6及び下ヒータ部5間の隙間を覆うことができればよく、その長さは種々に設定することができ、アーム4B1、4B2の可動を妨げない観点からは、下ヒータ部5の加熱面より1〜2〔mm〕程度、下方向に延長させることが好ましい。また断熱シート6F1の取り付け方法は、例えば90度折り曲げて周囲に先端が垂れ下がるように上ヒータ部6の上面に貼り付ける場合、金具、接着により上ヒータ部6の周囲に直接配置する場合等、種々の方法を適用することができる。
【0032】
図8は、上ヒータ部6及び下ヒータ部5により半導体ウエハWを加熱する際の説明に供する断面図であり、上ヒータ部6及び下ヒータ部5は、半導体ウエハWの両面にそれぞれ加熱面が対向するように配置される。試験装置1は、この加熱面の間の空間に、加熱面にそれぞれ半導体ウエハWの両面が対向するように、ウエハ保持部4により半導体ウエハWが保持される。断熱幕6Fは、クランパー4Bのアーム4B1、4B2が横切る箇所では、対応する断熱シート6F1がアーム4B1、4B2により捲り上げられた状態に保持されるものの、他の箇所では断熱シート6F1が、上ヒータ部6及び下ヒータ部5を周囲から取り囲み、上ヒータ部6及び下ヒータ部5の間の空気の流出による熱の流出を低減する。ちなみにウエハ保持部4を可動させて試験対象の半導体チップを切り替える場合には、アーム4B1、4B2により捲り上げられる断熱シート6F1が順次変化することになる。なお試験装置1では、半導体ウエハWのみならず、アーム4B1、4B2、ホルダー4Aについても、上ヒータ部6及び下ヒータ部5には接触しないように保持され、これによりアーム4B1、4B2、ホルダー4Aによる熱損失を低減し、さらには半導体ウエハWを均一に加熱する。上ヒータ部6及び下ヒータ部5は、この図8に示すように、加熱面及び断熱シート6F1により囲まれる空間に半導体ウエハWを保持した状態で、半導体ウエハWを変位させて各半導体チップを試験することが可能に、半導体ウエハWに対して十分な大きさにより形成される。より具体的に半導体ウエハWの径に対して2倍以上の大きさにより加熱面が形成され、また半導体ウエハW側面のほぼ全面が加熱面とされる。なお実用上十分な特性を確保できる場合には、上ヒータ部6の加熱面及び下ヒータ部5の加熱面の双方及び一方については、半導体ウエハW側面の一部のみを加熱面としても良い。
【0033】
図9は、図3との対比により半導体チップを試験している状態を示す図である。試験装置1では、ウエハ保持部4で半導体ウエハWを保持し、この半導体ウエハWの両面に加熱面がそれぞれ近接して対向するように上ヒータ部6及び下ヒータ部5が配置される。この状態で、試験装置1では、上ヒータ部6及び下ヒータ部5の上方及び下方から上プローブ部8及び下プローブ部7が半導体ウエハWに接近し、上プローブ部8及び下プローブ部7にそれぞれ設けられたプローブカード8Aのプローブが開口6A及び5Aを介して半導体チップに接続される。
【0034】
(2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、この試験装置1では(図1及び図2)、試験対象の半導体ウエハWが搬送機構により搬送されてくると、ウエハ保持部4に設けられたクランパー4Bによりこの半導体ウエハWの四隅が挟持され、上方向及び下方向より各半導体チップにプローブを接触可能に半導体ウエハWが保持される(図3)。この状態で、試験装置1では、ウエハ保持部4の下側及び上側に配置された下ヒータ部5及び上ヒータ部6が半導体ウエハWに接近し(図4〜図7)、下ヒータ部5及び上ヒータ部6の加熱面がそれぞれ半導体ウエハWの下側面及び上側面に対向するように保持される(図8)。この試験装置1では、この下ヒータ部5及び上ヒータ部6に設けられたヒータ5D及び6Dの熱が加熱面に伝搬し、この加熱面の熱により半導体ウエハWが下側面及び上側面より非接触で加熱される。またこの状態で、下プローブ部7及び上プローブ部8が上下動し、下ヒータ部5及び上ヒータ部6に設けられた開口5A及び6Aを介して半導体ウエハWの両面よりプローブが接続され、半導体ウエハWの半導体チップが試験される。また1つの半導体チップの試験が終了すると、下プローブ部7及び上プローブ部8が退避した後、下ヒータ部5及び上ヒータ部6に対して半導体ウエハWが変位して試験対象の半導体チップが切り替えられ、続く半導体チップにプローブが接続されて試験される。これによりこの試験装置1では、半導体ウエハWの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験するようにして、所望の温度に半導体ウエハを加熱して各半導体チップを試験することができる。
【0035】
また試験装置1では、下ヒータ部5及び上ヒータ部6の加熱面が、それぞれ半導体ウエハWの径に対して2倍以上の大きさにより形成されて、半導体ウエハW側面のほぼ全面が加熱面とされ、これにより半導体ウエハWの全面を、近傍に配置したヒータ(加熱面)により加熱する。これによりこの試験装置1では、安定した温度分布を確保することができ、半導体ウエハW上の各半導体チップを均一な温度により試験することができる。すなわち試験対象の半導体チップを切り替えた場合にあっても、さらには試験装置の周囲に種々の空気流が存在する場合であっても、下ヒータ部5及び上ヒータ部6間の空間は、ほぼ均一な温度とすることができ、これにより各半導体チップを均一な温度により試験することができる。
【0036】
また下ヒータ部5及び上ヒータ部6は、半導体ウエハWを非接触により加熱し、半導体ウエハWはもとより、半導体ウエハWを保持するクランパー4B、クランパー4Bを保持するホルダー4Aには接触しないように構成され、これによっても安定した温度分布を確保して各半導体チップを均一な温度により試験することができる。
【0037】
しかしながらこのようにして半導体ウエハを試験する場合、上ヒータ部6及び下ヒータ部5により加熱された空気が漏れ出し、結局、半導体ウエハWを効率良く加熱できなくなる恐れがあり、さらには半導体ウエハWの各半導体チップで温度が不均一になる恐れがある。そこでこの試験装置1では、上ヒータ部6に断熱幕6Fが設けられ(図6、図7、図8及び図9)、この断熱幕6Fにより、上ヒータ部6及び下ヒータ部5により加熱された空気の漏れ出しを低減する。これにより試験装置1では、半導体ウエハWを効率良く加熱し、さらには上ヒータ部6及び下ヒータ部5間の空隙における温度分布を均一化して半導体ウエハWを均一に加熱する。
【0038】
より具体的に、試験装置1では、クランパー4Bにより半導体ウエハWの四隅を挟持することにより、上方向及び下方向より各半導体チップにプローブを接触可能に半導体ウエハWを保持し、これによりクランパー4Bに係るアーム4B1及び4B2が断熱幕6Fと交差することになる。また上ヒータ部6及び下ヒータ部5により半導体ウエハWを加熱した状態で、上ヒータ部6及び下ヒータ部5に対する半導体ウエハWの相対位置を順次可変して試験対象の半導体チップを切り替えることにより、この相対位置の変化によりアーム4B1及び4B2が断熱幕6Fと交差する箇所が変化することになる。
【0039】
そこで試験装置1は、可撓性を有する断熱シート6F1を順次配置して断熱幕が形成され、これによりアーム4B1及び4B2が断熱幕6Fと交差する箇所でのみこの断熱シート6F1が捲れ上がり、クランパー4Bによる半導体ウエハWの保持を妨げないようにすると共に、他の箇所では断熱シート6F1により加熱された空気の流出を防止する。またさらに試験対象の半導体チップの切り替えによりアーム4B1及び4B2が断熱幕6Fと交差する箇所が変化する場合には、この交差する箇所の変化に対応して断熱シート6F1の捲れ上がる箇所が変化し、これにより半導体ウエハWの各半導体チップを十分に加熱した状態で試験することが可能となる。
【0040】
また上ヒータ部6及び下ヒータ部5の加熱面では、表面が凹凸形状とされ、これにより大きな表面積が確保される。しかしてこのように表面積を大きくした場合には、平坦な面とした場合に比して、加熱面からの放熱量を増大させることができる。従って試験装置1では、上ヒータ部6及び下ヒータ部5を半導体ウエハWの近傍に配置して、速やかに半導体ウエハWを所望の温度に加熱することができ、これにより加熱に要する時間を短縮して試験時間を短くすることができる。
【0041】
(3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、両面にプローブを接触可能に半導体ウエハを保持し、この半導体ウエハの両面をそれぞれヒータ部により加熱し、この両面にそれぞれプローブを接続して半導体チップを試験することにより、半導体ウエハの両面よりプローブを接触させて各半導体チップの特性を試験する試験装置において、所望の温度に半導体ウエハを加熱して各半導体チップを試験することができる。
【0042】
また下ヒータ部との間の隙間からの放熱を低減する断熱幕を上ヒータ部に設けることにより、効率良く、かつ均一に半導体ウエハを加熱することができる。
【0043】
またさらに、可撓性を有するシート材を順次配置して断熱幕を形成することにより、何らウエハ保持部による半導体ウエハの保持を妨げないようにして、効率良く、かつ均一に半導体ウエハを加熱することができる。
【0044】
またさらに加熱面を凹凸形状により形成することにより、効率良く半導体ウエハを加熱することができる。
【0045】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態では、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明にあっては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成を種々に変更し、さらには実施の形態の構成を種々に組み合わせることができる。
【0046】
すなわち上述の実施の形態では、略長方形形状による断熱シート6F1を、隣接する断熱シート6F1との間で一部が重なり合うように、順次、上ヒータ部6の周囲に配置して断熱幕6Fを形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば試験対象の半導体チップの切り替えにより半導体ウエハWを変位させてもクランパー4Bと断熱幕とが交差しない箇所については、いわゆる1枚シートにより断熱幕を形成しても良い。また十分な特性を確保できる場合には、重ね合わせを省略し、密接して配置しても良い。また略長方形形状による断熱シート6F1を順次配置する代わりに、下ヒータ部5側から切り込みを入れたシート材を上ヒータ部6の周囲に巻付けて断熱幕としても良く、さらにはこのようなシート材を二重、三重に上ヒータ部6の周囲に巻付けて断熱幕としても良く、種々の構成を広く適用することができる。
【0047】
また上述の実施の形態においては、直交する方向に断面三角形形状による溝を繰り返し形成して加熱面を凹凸形状とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、断面三角形形状による溝に代えて、断面矩形形状による溝、断面正弦波形状による溝、断面台形形状による溝等により加熱面を凹凸面としても良い。またこれら以外の形状による溝の繰り返しにより加熱面を凹凸形状としても良く、さらには加熱面の各部で溝の形状を異ならせても良い。
【0048】
また上述の実施の形態においては、直交する方向に溝を繰り返し形成して加熱面を凹凸形状とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、延長方向が斜めに交差する複数種類の溝を繰り返し形成して加熱面を凹凸形状とする場合、同心円状に溝を形成して加熱面を凹凸形状とする場合、放射状に溝を形成して加熱面を凹凸形状とする場合、直線状に又はジグザグに溝を形成して凹凸形状とする場合等、種々の形状により溝を作成して加熱面を凹凸形状としても良く、さらには各部で溝のピッチ、形状等を異ならせるようにしても良い。
【0049】
また上述の実施の形態においては、溝の繰り返しにより加熱面を凹凸形状とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、突起及び又は凹部を、一定のピッチにより設けて、又はランダムに設けて、加熱面を凹凸形状としても良い。
【0050】
また上述の実施の形態においては、上ヒータ部及び下ヒータ部で加熱面を同一形状とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上ヒータ部及び下ヒータ部で加熱面を異なる形状としても良い。
【0051】
すなわち上ヒータ部及び下ヒータ部間の空気の流れを考慮して半導体ウエハの加熱を検討すると、下ヒータ部では、加熱面で加熱された空気が速やかに半導体ウエハの表面に到達できることが望ましい。しかしながら上ヒータ部側では、このように加熱面で加熱された空気が速やかに移動すると、半導体ウエハの移動により発生する空気流により加熱面の温度が低下し易くなり、温度を安定に保持し難くなる。従って係る観点によれば、上ヒータ部の加熱面は、加熱された空気を移動し難くする構成が適していると言える。これにより例えば図10(A)及び(B)により示すように、半導体ウエハ側で口が狭まった凹形状により凹部、溝等を作成して加熱面を凹凸形状としても良い。
【0052】
また上述の実施の形態においては、ヒータの半導体ウエハ側面に金属板材を配置して加熱面を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、金属板材の全部又は一部を省略して、ヒータの半導体ウエハ側面の全部又は一部を加熱面の全部又は一部としても良い。また金属板材の配置に代えて、金属の棒状部材等の配置により加熱面を形成しても良い。
【0053】
また上述の実施の形態においては、加熱面の全面を凹凸形状とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば外周側領域等の一部領域のみ凹凸形状とし、これにより温度を均一化させるようにしてもよい。
【0054】
また上述の実施の形態においては、上ヒータ部及び下ヒータ部の開口を露出させ、プローブを挿入する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該開口を加熱する機構を別途、設けるようにしても良い。このようにすればこの開口を介した放熱を低減し、半導体ウエハの温度を一段と精度良く所望の温度に設定することができる。
【0055】
また上述の実施の形態においては、半導体ウエハを保持部により保持した後、上下より上ヒータ部及び下ヒータ部を接近させて半導体ウエハを加熱する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上ヒータ部及び下ヒータ部の1方を固定しておき、この固定した側に対して半導体ウエハ及び他方のヒータ部を可動させてもよい。またさらに実用上十分な特性を確保できる場合には、一定の間隔により対向するように上ヒータ部及び下ヒータ部を固定して保持し、この上ヒータ部及び下ヒータ部間の空隙に半導体ウエハを搬入して過熱してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…試験装置、2…機構部、3…駆動部、4…ウエハ保持部、4A…ホルダー、4B…クランパー、4B1、4B2…アーム、5…下ヒータ部、5A、6A…開口、5C、6C…断熱材、5D、6D…ヒータ、5E、6E…金属板材、6…上ヒータ部、6F…断熱幕、6F1…断熱シート、7…下プローブ部、8…上プローブ部、8A…プローブカード、9…本体装置、M…溝、W…半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの半導体チップを順次試験する試験装置において、
前記半導体ウエハの周辺部を挟持して、前記半導体ウエハを保持するウエハ保持部と、
前記ウエハ保持部により保持された前記半導体ウエハの一方の面側において、前記一方の面に対向する加熱面により非接触で前記半導体ウエハを加熱する第1のヒータ部と、
前記ウエハ保持部により保持された前記半導体ウエハの他方の面側において、前記他方の面に対向する加熱面により非接触で前記半導体ウエハを加熱する第2のヒータ部と、
前記第1のヒータ部側より、前記第1のヒータ部に形成された開口を介して、前記半導体ウエハの半導体チップの前記一方の面側にプローブを接触させる第1のプローブ部と、
前記第2のヒータ部側より、前記第2のヒータ部に形成された開口を介して、前記半導体ウエハの半導体チップの前記他方の面側にプローブを接触させる第2のプローブ部とを備え、
前記ウエハ保持部により保持された前記半導体ウエハに対して前記第1及び第2のヒータ部を配置して加熱した状態で、前記第1及び第2のヒータ部に対する前記半導体ウエハの相対位置を順次変化させ、前記第1及び第2のプローブ部によるプローブが接続される半導体チップを順次切り替え、前記半導体ウエハの半導体チップを順次試験する
ことを特徴とする試験装置。
【請求項2】
前記ウエハ保持部は、
前記一方の面が上面側となるように、前記半導体ウエハを保持し、
前記第1のヒータ部は、
前記第2のヒータ部との間の隙間からの放熱を低減する断熱幕が設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記断熱幕は、
可撓性を有するシート材を順次配置して形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記加熱面は、
凹凸形状により形成された
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−174873(P2012−174873A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35073(P2011−35073)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000131496)株式会社シバソク (57)
【出願人】(392036108)株式会社みくに工業 (17)
【Fターム(参考)】