説明

試験装置

【課題】数の振動体に対して並行して試験を行える試験装置を提供すること。
【解決手段】時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを出力する信号出力回路10と、第1の振動体101が接続された場合に、第1の振動体101に出力信号Sを出力する第1端子21と、第2の振動体102が接続された場合に、第2の振動体102に出力信号Sを出力する第2端子22と、を含む。出力信号Sの周波数分布の範囲は、第1の振動体101及び第2の振動体102の固有振動周波数が含まれる範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子、水晶振動子、セラミック圧電素子などの振動体を用いたセンサー、発振器、フィルターなどが開発されている。特許文献1には、MEMS技術を用いて製造された振動体の一例が開示されている。また、特許文献2には、MEMS技術を用いて製造されたダイアフラム(振動体の一例)に周波数を周期的に入力させて音響インピーダンスを測定し、測定結果を基に出力を調整するトランスデューサーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−105157号公報
【特許文献2】特表2003−509984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動体は機械的に振動するものである。したがって、例えば、振動の振幅が大きくなりすぎたり、振動の回数が多くなりすぎたりすると、疲労によって振動体の破断が発生する可能性がある。そのため、振動体がどの程度までの振幅や振動回数まで動作できるかを見極める必要がある。
【0005】
振動体がどの程度までの振幅や振動回数まで動作できるかを見極めるための試験の1つとして、振動体に対して、振動体の固有振動周波数成分を持つ交流信号を連続的に入力させる負荷試験がある。
【0006】
しかし、複数の振動体に対して負荷試験を行いたい場合に、当該複数の振動体の固有振動周波数が同一であるとは限らない。例えば、振動体の製造ばらつきによって、固有振動周波数がばらつく可能性がある。また例えば、振動体の破断の初期段階においては、固有振動周波数が当初の値から変動した状態となる。したがって、1つの信号源を用いて複数の振動体に対して並行して負荷試験を行うことは難しかった。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、複数の振動体に対して並行して試験を行える試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る試験装置は、
時間的な周波数分布を持つ出力信号を出力する信号出力回路と、
第1の振動体が接続された場合に、前記第1の振動体に前記出力信号を出力する第1端子と、
第2の振動体が接続された場合に、前記第2の振動体に前記出力信号を出力する第2端子と、
を含み、
前記周波数分布の範囲は、前記第1の振動体及び前記第2の振動体の固有振動周波数が含まれる範囲である。
【0009】
このような試験装置によれば、第1の振動体が第1端子に接続され、第2の振動体が第2端子に接続された場合に、第1の振動体及び第2の振動体の固有振動周波数が含まれる範囲で時間的な周波数分布を持つ出力信号を第1の振動体及び第2の振動体に対して入力させることができる。これによって、第1の振動体にも第2の振動体にも、それぞれの固有振動周波数に対応する信号を入力させることができる。したがって、複数の振動体に対して並行して試験を行える試験装置を実現できる。
【0010】
本発明に係る試験装置において、
前記信号出力回路は、
時間的な前記周波数分布を持つ信号を生成する信号生成部を含んでいてもよい。
【0011】
このような試験装置によれば、信号生成部で生成される信号に基づいて時間的な周波数分布を持つ出力信号を容易に生成できる。
【0012】
本発明に係る試験装置において、
前記信号生成部は、
単一周波数の信号を出力する信号源回路と、
前記信号源回路から出力される信号に基づいて、時間的な前記周波数分布を持つ信号を生成する周波数拡散回路と、
を含んでいてもよい。
【0013】
このような試験装置によれば、信号源回路から出力される単一周波数の信号に基づいて時間的な周波数分布を持つ出力信号を容易に生成できる。
【0014】
本発明に係る試験装置において、
前記信号出力回路は、
増幅器及び減衰器の少なくとも一方をさらに含み、
前記信号生成部によって生成された信号を、前記増幅器及び前記減衰器の少なくとも一方を介して出力してもよい。
【0015】
このような試験装置によれば、増幅器の増幅率及び減衰器の減衰率の少なくとも一方を調節することで、信号出力回路の出力信号を所望の振幅に調節できる。
【0016】
本発明に係る試験装置において、
前記信号出力回路は、
ローパスフィルターをさらに含み、
前記信号生成部によって生成された信号を、前記ローパスフィルターを介して出力してもよい。
【0017】
このような試験装置によれば、信号出力回路の出力信号を、第1の振動体及び第2の振動体が振動しやすい正弦波に近い出力信号とすることができる。
【0018】
本発明に係る試験装置において、
前記信号出力回路は、
前記第1端子及び前記第2端子に直流電圧を供給する電圧供給回路をさらに含んでいてもよい。
【0019】
このような試験装置によれば、第1の振動体及び第2の振動体として、動作のために直流電圧(バイアス電圧)が必要となる振動体を用いる場合に、第1の振動体及び第2の振動体に直流電圧を供給できる。
【0020】
本発明に係る試験装置において、
前記電圧供給回路は、
前記直流電圧を生成する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路と前記第1端子及び前記第2端子との間に接続されたローパスフィルターと、
を含んでいてもよい。
【0021】
このような試験装置によれば、信号出力回路の出力信号が電圧生成回路に与える影響を低減できる。
【0022】
本発明に係る試験装置において、
前記信号出力回路は、周波数の変化の1周期ごとに1周期ごとに前記周波数分布の範囲内で一様な分布となる周期的な前記出力信号を出力してもよい。
【0023】
このような試験装置によれば、第1の振動体に対しても第2の振動体に対しても、出力信号の周波数の変化の1周期ごとに同一の負荷を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る試験装置1の回路図。
【図2】第1実施形態に係る試験装置1の使用例を示す回路図。
【図3】信号出力回路10の出力信号Sの周波数分布を示すグラフ。
【図4】ローパスフィルター13及びローパスフィルター152の周波数特性を模式的に表したグラフ。
【図5】第2実施形態に係る試験装置2の回路図。
【図6】第2実施形態に係る試験装置2の使用例を示す回路図。
【図7】MEMS振動子1000の構成例を模式的に示す平面図。
【図8】MEMS振動子1000の構成例を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
1.第1実施形態に係る試験装置
図1は、第1実施形態に係る試験装置1の回路図である。図2は、第1実施形態に係る試験装置1の使用例を示す回路図である。図2に示される例は、第1の振動体101及び第2の振動体102に対して交流電圧信号を入力させて負荷試験を行う場合の例である。
【0027】
第1実施形態に係る試験装置1は、時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを出力する信号出力回路10と、第1の振動体101が接続された場合に、第1の振動体101に出力信号Sを出力する第1端子21と、第2の振動体102が接続された場合に、第2の振動体102に出力信号Sを出力する第2端子22と、を含む。また、出力信号Sの周波数分布の範囲は、第1の振動体101及び第2の振動体102の固有振動周波数が含まれる範囲である。
【0028】
信号出力回路10は、時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを出力する。「時間的な周波数分布を持つ」とは、ある時刻と他の時刻とで異なる周波数をとることである。信号出力回路10は、例えば、ある範囲で周波数をスイープしながら出力信号Sを出力する機能を有する回路であってもよい。
【0029】
図3は、信号出力回路10の出力信号Sの周波数分布を示すグラフである。横軸は時間、縦軸は周波数である。図3に示される例では、信号出力回路10の出力信号Sの周波数は、時刻t1から時刻t2までは直線的に単調増加し、時刻t2から時刻t3までは直線的に単調減少し、時刻t3から時刻t4までは直線的に単調増加し、時刻t4から時刻t5までは直線的に単調減少している。
【0030】
出力信号Sの周波数分布の範囲は、第1の振動体101の固有振動周波数f1及び第2の振動体102の固有振動周波数f2が含まれる範囲である。図3に示される例では、試験に用いる(すなわち、高調波成分を除いた)出力信号Sの周波数の下限値はfl、試験に用いる出力信号Sの周波数の上限値はfuである。また、図3に示される例では、fl<f2<f1<fuの大小関係が成立している。すなわち、出力信号Sの周波数分布の範囲に、第1の振動体101の固有振動周波数f1及び第2の振動体102の固有振動周波数f2が含まれている。
【0031】
第1端子21は、信号出力回路10が出力信号Sを出力するための出力端子として構成されている。第1端子21は、第1の振動体101が接続された場合に、第1の振動体101に信号出力回路10の出力信号Sを出力する。これによって、第1の振動体101が接続された場合に、第1の振動体101に時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを入力させることができる。
【0032】
第2端子22は、信号出力回路10が出力信号Sを出力するための出力端子として構成されている。第2端子22は、第2の振動体102が接続された場合に、第2の振動体102に信号出力回路10の出力信号Sを出力する。これによって、第2の振動体102が接続された場合に、第2の振動体102に時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを入力させることができる。
【0033】
なお、試験装置1は、信号出力回路10が出力信号Sを出力するための出力端子を3つ以上含んでいてもよい。この場合、当該3つ以上の出力端子のうち、任意に選択された2つの端子が第1端子21及び第2端子22に対応する。
【0034】
第1の振動体101及び第2の振動体102は、例えば、MEMS振動子、水晶振動子、セラミック圧電素子などであってもよい。このうち、MEMS振動子の一例については「3.MEMS振動子の構成例」の項で後述される。
【0035】
図2に示される例では、第1の振動体101及び第2の振動体102としてMEMS振動子を用いている。第1の振動体101としてのMEMS振動子は、一方の電極が第1端子21と接続され、他方の電極が端子31及び抵抗41を介して接地電位GNDに接続されている。第2の振動体102としてのMEMS振動子は、一方の電極が第2端子22と接続され、他方の電極が端子32及び抵抗42を介して接地電位GNDに接続されている。したがって、第1の振動体101としてのMEMS振動子に対して第1端子21から固有振動周波数f1の電圧信号が入力された場合には、第1の振動体101としてのMEMS振動子は振動する。同様に、第2の振動体102としてのMEMS振動子に対して第2端子22から固有振動周波数f2の電圧信号が入力された場合には、第2の振動体102としてのMEMS振動子は振動する。
【0036】
第1実施形態に係る試験装置1によれば、第1の振動体101が第1端子21に接続され、第2の振動体102が第2端子22に接続された場合に、第1の振動体101の固有振動周波数f1及び第2の振動体102の固有振動周波数f2が含まれる範囲で時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを第1の振動体101及び第2の振動体102に対して入力させることができる。これによって、第1の振動体101にも第2の振動体102にも、それぞれの固有振動周波数に対応する信号を入力させることができる。したがって、複数の振動体に対して並行して試験を行える試験装置を実現できる。
【0037】
試験装置1の信号出力回路10は、時間的な周波数分布を持つ信号を生成する信号生成部11を含んで構成されていてもよい。例えば、信号生成部11は、ある範囲で周波数をスイープしながら信号を出力する機能を有していてもよい。このような試験装置1によれば、信号生成部11で生成される信号に基づいて時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを容易に生成できる。
【0038】
試験装置1の信号出力回路10は、増幅器12及び減衰器14の少なくとも一方をさらに含み、信号生成部11によって生成された信号を、増幅器12及び減衰器14の少なくとも一方を介して出力してもよい。図1及び図2に示される例では、信号生成部11、増幅器12、減衰器14、並びに、第1端子21及び第2端子22が順に直列に接続されている。したがって、信号生成部11によって生成された信号は、増幅器12及び減衰器14を介して第1端子21及び第2端子22に出力される。このような試験装置1によれば、増幅器12の増幅率及び減衰器14の減衰率の少なくとも一方を調節することで、信号出力回路10の出力信号Sを所望の振幅に調節できる。
【0039】
試験装置1の信号出力回路10は、ローパスフィルター13をさらに含み、信号生成部11によって生成された信号を、ローパスフィルター13を介して出力してもよい。図1及び図2に示される例では、信号生成部11、ローパスフィルター13、並びに、第1端子21及び第2端子22が順に直列に接続されている。したがって、信号生成部11によって生成された信号は、ローパスフィルター13を介して第1端子21及び第2端子22に出力される。このような試験装置1によれば、ローパスフィルター13によって信号生成部11で生成された信号から高調波成分を除去できるので、信号出力回路10の出力信号Sを、第1の振動体101及び第2の振動体102が振動しやすい正弦波に近い出力信号Sとすることができる。
【0040】
図4は、ローパスフィルター13及びローパスフィルター152(後述)の周波数特性を模式的に表したグラフである。横軸は対数目盛の周波数、縦軸は利得である。図4のAは、ローパスフィルター13の周波数特性を表す。図4に示される例では、ローパスフィルター13のカットオフ周波数fc1は、試験に用いる出力信号Sの周波数の上限値fuよりも大きい。したがって、試験に用いる出力信号Sを通過させることができる。また、図4に示される例では、ローパスフィルター13のカットオフ周波数fc1は、試験に用いる出力信号Sの周波数の下限値flの2倍よりも小さい。したがって、信号生成部11で生成された信号の高調波成分を除去できる。例えば、信号生成部11で生成された信号が矩形波である場合にも、出力信号Sを正弦波に近づけることができる。
【0041】
試験装置1の信号出力回路10は、第1端子21及び第2端子22に直流電圧を供給する電圧供給回路15をさらに含んで構成されていてもよい。図1及び図2に示される例では、電圧供給回路15が第1端子21及び第2端子22に接続されている。このような試験装置1によれば、第1の振動体101及び第2の振動体102として、動作のために直流電圧(バイアス電圧)が必要となる振動体(例えば、静電型のMEMS振動子など)を用いる場合に、第1の振動体101及び第2の振動体102に直流電圧を供給できる。
【0042】
試験装置1の電圧供給回路15は、直流電圧を生成する電圧生成回路151と、電圧生成回路151と第1端子21及び第2端子22との間に接続されたローパスフィルター152と、を含んで構成されていてもよい。図1及び図2に示される例では、電圧生成回路151の一端が接地電位GNDに接続され、電圧生成回路151の他端がローパスフィルター152に接続されている。また、図1及び図2に示される例では、ローパスフィルター152の一端が電圧生成回路151に接続され、ローパスフィルター152の他端が第1端子21及び第2端子22に接続されている。このような試験装置1によれば、信号出力回路10の出力信号Sが電圧生成回路151に与える影響を低減できる。
【0043】
図4のBは、ローパスフィルター152の周波数特性を表す。図4に示される例では、ローパスフィルター152のカットオフ周波数fc2は、試験に用いる出力信号Sの周波数の下限値flよりも小さい。したがって、試験に用いる出力信号Sを阻止することができる。また、ローパスフィルター152は、電圧生成回路151で生成された直流電圧を通過させることができる。
【0044】
試験装置1の信号出力回路10は、1周期ごとに周波数分布の範囲内で一様な分布となる周期的な出力信号Sを出力してもよい。図3に示される例では、信号出力回路10は、時刻t1から時刻t3までを1周期、時刻t3から時刻t5までを1周期として周波数が変化する周期的な出力信号Sを出力している。また、図3に示される例では、時刻t1から時刻t2までの時間の長さと、時刻t2から時刻t3までの時間の長さとは等しい。同様に、図3に示される例では、時刻t3から時刻t4までの時間の長さと、時刻t4から時刻t5までの時間の長さとは等しい。また、図3に示される例では、信号出力回路10の出力信号Sの周波数は、時刻t1から時刻t2までは直線的に単調増加し、時刻t2から時刻t3までは直線的に単調減少し、時刻t3から時刻t4までは直線的に単調増加し、時刻t4から時刻t5までは直線的に単調減少している。したがって、出力信号Sの周波数分布は、周波数の下限値flから周波数の上限値fuまでの範囲で一様な分布である。
【0045】
このような試験装置1によれば、第1の振動体101に対しても第2の振動体102に対しても、出力信号Sの周波数の変化の1周期ごとに同一の負荷を与えることができる。
【0046】
第1実施形態に係る試験装置1においては、信号出力回路10の出力信号Sは電圧信号である。なお、第1の振動体101及び第2の振動体102の仕様に応じて、出力信号Sが電流信号であってもよい。
【0047】
また、増幅器12、ローパスフィルター13及び減衰器14の順序は、図1及び図2に示される順序に限らず、適宜入れ替えることができる。また、端子31と抵抗41との間に図示しない減衰器をさらに設けてもよい。同様に、端子32と抵抗42との間に図示しない減衰器をさらに設けてもよい。
【0048】
2.第2実施形態に係る試験装置
図5は、第2実施形態に係る試験装置2の回路図である。図6は、第2実施形態に係る試験装置2の使用例を示す回路図である。図6に示される例は、第1の振動体101及び第2の振動体102に対して交流電圧信号を入力させて負荷試験を行う場合の例である。以下では、第1実施形態に係る試験装置1と相違する点を中心に説明し、第1実施形態に係る試験装置1と共通する構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
第2実施形態に係る試験装置2は、時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを出力する信号出力回路10aを含んで構成されている。信号出力回路10aは、時間的な周波数分布を持つ信号を生成する信号生成部11aを含んで構成されている。
【0050】
試験装置2の信号生成部11aは、単一周波数の信号を出力する信号源回路111と、信号源回路111から出力される信号に基づいて、時間的な周波数分布を持つ信号を生成する周波数拡散回路112と、を含んで構成されている。図5及び図6に示される例では、信号源回路111と周波数拡散回路112とが直列に接続されている。周波数拡散回路112は、例えば、信号源回路111から入力された信号の周波数を基準として、ある範囲で周波数をスイープしながら信号を出力する機能を有していてもよい。
【0051】
このような試験装置2によれば、信号源回路111から出力される単一周波数の信号に基づいて時間的な周波数分布を持つ出力信号Sを容易に生成できる。
【0052】
加えて、第2実施形態に係る試験装置2においても、第1実施形態に係る試験装置1と同様の効果を奏する。
【0053】
3.MEMS振動子の構成例
次に、第1の振動体101及び第2の振動体102の一例としてのMEMS振動子1000の構成例について説明する。
【0054】
図7は、MEMS振動子1000の構成例を模式的に示す平面図である。図8は、MEMS振動子1000の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図8は、図7のI−I線断面図である。
【0055】
なお、本項の記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下、「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下、「B」という)を形成する」などと用いる場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
【0056】
図7及び図8に示されるように、MEMS振動子1000は、基板1010の上方に設けられた第1電極1001及び第2電極1002を含んで構成されている。図8に示されるように、第1電極1001及び第2電極1002は、空隙を隔てて配置されている。
【0057】
図8に示されるように、基板1010は、支持基板1012と、第1下地層1014と、第2下地層1016とを有することができる。
【0058】
支持基板1012としては、例えば、シリコン基板等の半導体基板を用いることができる。支持基板1012として、セラミックス基板、ガラス基板、サファイア基板、ダイヤモンド基板、合成樹脂基板などの各種の基板を用いてもよい。
【0059】
第1下地層1014は、支持基板1012の上方に(より具体的には支持基板1012上に)形成されている。第1下地層1014としては、例えば、トレンチ絶縁層、LOCOS(local oxidation of silicon)絶縁層、セミリセスLOCOS絶縁層を用いることができる。第1下地層1014は、MEMS振動子1000と、支持基板1012に形成された他の素子(図示せず)と、を電気的に分離することができる。
【0060】
第2下地層1016は、第1下地層1014上に形成されている。第2下地層1016の材質としては、例えば、窒化シリコンが挙げられる。
【0061】
MEMS振動子1000の第1電極1001は、基板1010上に形成されている。第1電極1001の形状は、例えば、層状又は薄膜状である。
【0062】
MEMS振動子1000の第2電極1002は、第1電極1001と間隔を空けて形成されている。第2電極1002は、基板1010上に形成された支持部1022と、支持部1022に支持されており第1電極1001の上方に配置された梁部1024と、を有する。支持部1022は、例えば、第1電極1001と空間をあけて対向配置されている。第2電極1002は、片持ち梁状に形成されている。
【0063】
第1電極1001及び第2電極1002の間に電圧が印加されると、梁部1024は、第1電極1001と第2電極1002との間に発生する静電力により振動することができる。すなわち、図7及び図8に示されるMEMS振動子1000は、静電型のMEMS振動子である。なお、MEMS振動子1000は、第1電極1001及び第2電極1002を減圧状態で気密封止する被覆構造体を有していてもよい。これにより、梁部1024の振動時における空気抵抗を減少させることができる。
【0064】
第1電極1001及び第2電極1002の材質としては、例えば、所定の不純物をドーピングすることにより導電性が付与された多結晶シリコンが挙げられる。
【0065】
なお、MEMS振動子1000としては、上述された構成に限らず、種々の公知のMEMS振動子を採用できる。例えば、MEMS振動子1000は、梁部の両端部が固定された両持ち梁型の振動子でもよい。また、MEMS振動子1000は、第2電極が、支持部と、支持部から互い反対方向に延出する第1梁部及び第2梁部と、を有し、第1梁部及び第2梁部の各々に対向して、第1電極が形成された振動子であってもよい。
【0066】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
【0067】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0068】
1,2 試験装置、10,10a 信号出力回路、11,11a 信号生成部、12 増幅器、13 ローパスフィルター、14 減衰器、15 電圧供給回路、21 第1端子、22 第2端子、31,32 端子、41,42 抵抗、111 信号源回路、112 周波数拡散回路、151 電圧生成回路、152 ローパスフィルター、1000 MEMS振動子、1001 第1電極、1002 第2電極、1022 支持部、1024 梁部、1010 基板、1012 支持基板、1014 第1下地層、1016 第2下地層、GND 接地電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間的な周波数分布を持つ出力信号を出力する信号出力回路と、
第1の振動体が接続された場合に、前記第1の振動体に前記出力信号を出力する第1端子と、
第2の振動体が接続された場合に、前記第2の振動体に前記出力信号を出力する第2端子と、
を含み、
前記周波数分布の範囲は、前記第1の振動体及び前記第2の振動体の固有振動周波数が含まれる範囲である、試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試験装置において、
前記信号出力回路は、
時間的な前記周波数分布を持つ信号を生成する信号生成部を含む、試験装置。
【請求項3】
請求項2に記載の試験装置において、
前記信号生成部は、
単一周波数の信号を出力する信号源回路と、
前記信号源回路から出力される信号に基づいて、時間的な前記周波数分布を持つ信号を生成する周波数拡散回路と、
を含む、試験装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の試験装置において、
前記信号出力回路は、
増幅器及び減衰器の少なくとも一方をさらに含み、
前記信号生成部によって生成された信号を、前記増幅器及び前記減衰器の少なくとも一方を介して出力する、試験装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の試験装置において、
前記信号出力回路は、
ローパスフィルターをさらに含み、
前記信号生成部によって生成された信号を、前記ローパスフィルターを介して出力する、試験装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の試験装置において、
前記信号出力回路は、
前記第1端子及び前記第2端子に直流電圧を供給する電圧供給回路をさらに含む、試験装置。
【請求項7】
請求項6に記載の試験装置において、
前記電圧供給回路は、
前記直流電圧を生成する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路と前記第1端子及び前記第2端子との間に接続されたローパスフィルターと、
を含む、試験装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の試験装置において、
前記信号出力回路は、周波数の変化の1周期ごとに前記周波数分布の範囲内で一様な分布となる周期的な前記出力信号を出力する、試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−44656(P2013−44656A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183051(P2011−183051)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】