説明

詰め替え容器

【課題】詰め替え容器内の内容物を容易且つ短時間で移し替えること。
【解決手段】内容物Fが充填された有底筒状の容器本体2を備える容器であって、容器本体の口部3は、径方向の外側に突出した押し当て部8を有する外筒部9と、外筒部の内側に配設された内筒部10と、を備え、内筒部は、外筒部において容器軸O方向に沿った容器本体の外側に位置する外側端部9bに固定された固定筒部15と、外筒部において容器軸方向に沿った容器本体の内側に位置する内側端部9a内に離脱可能に嵌合された有底筒状の蓋筒部16aと、容器軸回りに間隔をあけて複数配置され、固定筒部と蓋筒部とを連結する連結片17と、を備え、外筒部は、容器軸方向に沿った容器本体の内側に向けて屈曲変形可能に形成されている詰め替え容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、容器体内の内容物を使い切った後に、この容器体内に詰め替え容器から内容物を移し替え、容器体を廃棄せずに引き続き使用する需要者が増えている。従来から、この詰め替え時に、内容物が容器体の外側にこぼれ落ちたり、内容物が空気と接触することで例えば内容物の香りが逸散したり、或いは内容物が吸湿したりする等の問題が指摘されていた。
このような問題を解決するための手段として、例えば下記特許文献1に示されるように、詰め替え容器を、気密性を有する袋体とすることで、内容物の詰め替えに際し、内容物を詰め替え容器である袋体ごと容器体内に収納することが提案されている。
【特許文献1】特開2006−188266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、容器体内に内容物を袋体ごと収納する手段では、以下に示す問題があった。例えば、容器体を傾けて容器体から内容物を取り出す際、容器体から取り出される内容物の量が、容器体の傾きだけではなく容器体内に収納された袋体の形状に依存するので、内容物を適量取り出すことが難しいという問題があった。また、容器体が例えばガラスや熱可塑性合成樹脂等によって透明に形成されている場合、容器体の外側から袋体が透けて見えることで見栄えが悪くなり、しかも容器体が透明であっても内容物が袋体に収容されているので内容物の残量を確認することが困難であるという問題もあった。
【0004】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、詰め替え容器内の内容物を容易且つ短時間で移し替えることができる詰め替え容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る詰め替え容器は、内容物が充填された有底筒状の容器本体を備える詰め替え容器であって、前記容器本体の口部は、径方向の外側に突出した押し当て部を有する外筒部と、前記外筒部の内側に配設された内筒部と、を備え、前記内筒部は、前記外筒部において容器軸方向に沿った容器本体の外側に位置する外側端部に固定された固定筒部と、前記外筒部において容器軸方向に沿った容器本体の内側に位置する内側端部内に離脱可能に嵌合された有底筒状の蓋筒部と、容器軸回りに間隔をあけて複数配置され、前記固定筒部と前記蓋筒部とを連結する連結片と、を備え、前記外筒部は、容器軸方向に沿った容器本体の内側に向けて屈曲変形可能に形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係る詰め替え容器においては、まず、この詰め替え容器を倒立姿勢にした状態で、内容物を使い切った後の容器体の口部の開口端縁に、外筒部の押し当て部を押し当てる。これにより、内筒部内と容器体内とが連通する。なお、内筒部の蓋筒部が外筒部の内側端部内に嵌合されているので、詰め替え容器を倒立姿勢にする際に容器本体の胴部内の内容物が零れ落ちることはない。
次いで、詰め替え容器を容器体側に押し込んでいくと、容器体の口部の開口端縁によって押し当て部が容器軸方向に沿った容器本体の内側に向けて押し込まれ、外筒部が容器軸方向に沿った容器本体の内側に向けて屈曲変形させられ、外筒部において外側端部と内側端部とが容器軸方向において接近する。
【0007】
ここで、内筒部は、固定筒部が外筒部の外側端部に固定されていると共に、蓋筒部が外筒部の内側端部に離脱可能に嵌合されているので、外筒部の屈曲変形に伴い、内筒部が外筒部の内側端部に対して容器軸方向に沿って容器本体の内側に向けてスライド移動し、内筒部の蓋筒部と外筒部の内側端部との嵌合が解除される。そしてこの際、容器軸回りで隣り合う連結片同士の間の隙間を通して容器本体の胴部内と内筒部内とが連通する。これにより、容器本体の胴部内の内容物が連結片間の隙間を通って容器体内に注ぎ込まれ、その結果、詰め替え容器内の内容物が容器体内に外気に触れることを抑えつつ短時間で移し替えられる。
以上より、本発明に係る詰め替え容器によれば、詰め替え容器内の内容物を容易且つ短時間で移し替えることができる。
【0008】
また、本発明に係る詰め替え容器では、前記押し当て部は、環状に形成されていても良い。
【0009】
この場合、押し当て部が環状に形成されているので、詰め替え容器を倒立姿勢にした状態で容器体の口部の開口端縁に押し当て部を押し当てる際、この押し当て部を前記開口端縁に全周に亘って押し当てることができる。これにより、詰め替え容器を容器体側に押し込む作業が容易となり、詰め替え容器内の内容物をより一層容易且つ短時間で移し替えることができる。
また、詰め替え容器を容器体側に押し込む際に、容器体の口部の開口端縁から押し当て部に作用する力が、環状の押し当て部を介して外筒部の全周に亘って伝達されるので、外筒部の屈曲変形を容器軸回りの位置によらず安定させて高精度にすることができる。これにより、内筒部のスライド移動を円滑なものとすることが可能となり、この点においても詰め替え容器内の内容物をより一層容易且つ短時間で移し替えることができる。
また、環状の押し当て部を容器体の口部の開口端縁に押し当てることで、容器体の内部と外部との連通を押し当て部によって効果的に抑えることが可能となるので、詰め替え容器内の内容物を容器体内に移し替える際、内容物が外気に触れるのをより一層抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る詰め替え容器では、前記押し当て部は、前記外筒部の外側端部よりも容器軸方向に沿った容器本体の内側に形成されていても良い。
【0011】
この場合、押し当て部が、外筒部の外側端部よりも容器軸方向に沿った容器本体の内側に形成されているので、内容物の詰め替えに際して押し当て部を容器体の開口端縁に押し当てたときに、外筒部の外側端部を容器体の口部内に進入させておくことができる。従って、容器体の口部に対して外筒部を確実且つ容易に位置決めすることができると共に内容物が移し替えられる際に外気に触れるのをより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る詰め替え容器によれば、詰め替え容器内の内容物を容易且つ短時間で移し替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る詰め替え容器の一実施形態を、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本発明に係る詰め替え容器の一実施形態の半断面図である。図2は、図1に示す詰め替え容器の内筒部の断面図である。図3は、図1に示す詰め替え容器の使用方法を説明するための図である。図4は、図1に示す詰め替え容器の使用方法を説明するための図である。
【0014】
図1に示すように、詰め替え容器1は、内容物Fが充填された有底筒状の容器本体2を備えている。更に、本実施形態では、詰め替え容器1は、口部3を覆うように容器本体2に装着されたオーバーキャップ4を備えている。
なお、図示の例では、容器本体2及びオーバーキャップ4は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿ってオーバーキャップ4側を上側、容器本体2側を下側と称する。
【0015】
図示の例では、容器本体2は、底部5、胴部6、肩部7及び前記口部3を備えている。
胴部6の上端部6aは、その外径が、胴部6において上端部6aより下側に位置する部分の外径より小さくなっている。この上端部6aには、前記オーバーキャップ4の下端部が係脱可能に係合されている。肩部7は、胴部6の上端部6aの上端に連設されており、上側に向かうに連れて漸次縮径している。
【0016】
口部3は、径方向の外側に突出した押し当て部8を有する外筒部9と、外筒部9の内側に配設された内筒部10と、を備えている。外筒部9及び内筒部10は、いずれも容器軸Oと同軸に配設されており、外筒部9の下側の端部である内側端部9aは、その下端が肩部7の上端に連設され、内筒部10は、容器本体2と別部材で構成されている。
【0017】
本実施形態では、押し当て部8は、環状に形成されている。更に、押し当て部8は、外筒部9の上側の端部である外側端部9bよりも下側に形成されている。
図示の例では、外筒部9は、外側端部9bと前記内側端部9aとの間に位置する部分が径方向の外側に膨出するように形成されている。即ち、外筒部9の外側端部9bの下端には、前記押し当て部8の上端が連設されており、この押し当て部8は、径方向の外側に向かうに連れて漸次下側に向かうように形成されている。また、押し当て部8の下端には、上側から下側に向かうに従い漸次縮径する環状体に形成され、下端が前記内側端部9aの上端に連なる連結環部12が連設されている。また、図示の例では、押し当て部8と連結環部12との連結部分12aの外周面の縦断面視形状は、凸曲面状となっていると共に、前記連結部分12aの内周面の縦断面視形状は、凹曲面状となっている。
【0018】
また、外筒部9において外側端部9bの内径及び外径は、内側端部9aの内径及び外径それぞれよりも大きくなっている。また、外側端部9bは、外筒部9の他の部分より厚肉に形成されて剛性が高められている。図示の例では、外側端部9bの下端部は、径方向内側に向けて突出するように厚肉に形成され、外側端部9bの上端部は、径方向外側に向けて突出するように厚肉に形成されている。また、外側端部9bの下端部の内周面には、後述するように内筒部10を固定するための係合凹溝9cが形成されている。図示の例では、係合凹溝9cは、外側端部9bの下端部の容器軸O方向における中間部分に、容器軸O回りに全周に亘って形成されている。
【0019】
また、本実施形態では、押し当て部8には、この押し当て部8に上側から所定の筒状体を押し当てるときに、前記筒状体が外筒部9の外側端部9bを径方向の外側から囲うように位置決めをする位置決めガイド部8aが備えられている。
図示の例では、位置決めガイド部8aは、筒状に形成され、押し当て部8における容器軸O方向の中間部分に、容器軸Oと同軸に配設されている。そして、押し当て部8は、前記位置決めガイド部8aと、位置決めガイド部8aの上端から外側端部9bの下端まで延びる第1環部8bと、位置決めガイド部8aの下端から下側に延びる第2環部8cと、により構成されている。
以上のように位置決めガイド部8aを備える押し当て部8によれば、この押し当て部8に所定の筒状体を押し当てるときに、位置決めガイド部8aの外周面と前記筒状体の内周面とを接触させながら径方向の位置を調整して押し当てることで、前記筒状体が外筒部9の外側端部9bを径方向の外側から囲うように前記筒状体を外筒部9に対して位置決めすることができる。
【0020】
また、図示の例では、外筒部9は、上側の開口端がシール材13により閉塞されている。シール材13は、外筒部9の上側から、外筒部9の上側の開口端縁の全周に亘って接着されている。シール材13の材質としては、例えばアルミフィルム、アルミシート、樹脂製フィルム及び樹脂製シート等が挙げられる。
また、図示の例では、オーバーキャップ4の頂壁部の下面には、下側に向けて装着筒4aが延設されている。装着筒4aは、容器軸Oと同軸に配設されると共に、外筒部9の外側端部9bに係脱可能に係合されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、内筒部10は、外筒部9の外側端部9bに固定された固定筒部15と、外筒部9の内側端部9a内に離脱可能に嵌合された有底筒状の蓋筒部16と、容器軸O回りに間隔をあけて複数配置され、固定筒部15と蓋筒部16とを連結する連結片17と、を備えている。
固定筒部15の外径は、外筒部9の外側端部9bの下端部の内径と同等となっている。また、固定筒部15の外周面には、外筒部9の外側端部9bの内周面に形成された係合凹溝9cに係合される係合突部15aが形成されている。図示の例では、係合突部15aは、固定筒部15における容器軸O方向の中間部分に、容器軸O回りに全周に亘って形成されており、この係合突部15aと外筒部9の係合凹溝9cとが係合することで固定筒部15は外筒部9の外側端部9bに固定される。
【0022】
また、図示の例では、固定筒部15の外径は、外筒部9の内側端部9aの内径よりも大きくなっている。
なお、図示の例では、固定筒部15の上端部は、径方向外側に向けて突出するように厚肉に形成されており、その下面が外筒部9の外側端部9bの下端部の上面により下側から支持されている。また、固定筒部15の上端は、外筒部9の外側端部9bの上端よりも容器軸O方向に沿って同等若しくは下側に位置している。
【0023】
蓋筒部16の周壁部16aの外径は、外筒部9の内側端部9aの内径と同等とされている。また、蓋筒部16の底部16bは、下方に向けて突出すると共に下方に向かうに連れて漸次縮径する中空円錐体状をなしている。以上のように構成されることで、蓋筒部16は、外筒部9の内側端部9aに対して容器軸O方向に沿って離脱可能に嵌合されている。
【0024】
本実施形態では、複数の連結片17は、全てが同形同大に形成されている。
図示の例では、連結片17は、蓋筒部16の上端から容器軸O方向に沿って上側に延びる第1連結片部17bと、固定筒部15において第1連結片部17bに容器軸O回りで対応する部分の下端から容器軸O方向に沿って下側に延びる第2連結片部17cと、第1連結片部17bと第2連結片部17cとを連結する屈曲部17aと、を備えている。
【0025】
図示の例では、第1連結片部17bにおいて径方向内側を向く内周面の横断面視形状は、凹曲面状であり、容器軸Oから第1連結片部17bの内周面までの径方向に沿った距離は、第1連結片部17bの容器軸O回り方向及び容器軸O方向の位置によらず一定で、蓋筒部16の周壁部16aの内径と同等となっている。つまり、第1連結片部17bの内周面は、蓋筒部16の周壁部16aの内周面と面一になっている。
更に、第1連結片部17bにおいて径方向外側を向く外周面の横断面視形状は、凸曲面状であり、容器軸Oから第1連結片部17bの外周面までの径方向に沿った距離は、第1連結片部17bの容器軸O回り方向及び容器軸O方向の位置によらず一定で、蓋筒部16の周壁部16aの外径と同等となっている。つまり、第1連結片部17bの外周面は、蓋筒部16の周壁部16aの外周面と面一になっている。
【0026】
以上のように第1連結片部17bが構成されることで、連結片17は、蓋筒部16の上端に連なる部分における容器軸Oから外表面までの径方向に沿った距離が、蓋筒部16の周壁部16aの外径、つまり外筒部9の内側端部9aの内径と同等となっている。
また、第1連結片部17bの容器軸O方向の大きさは、外筒部9の内側端部9aの容器軸O方向の大きさより大きくなっており、図示の例では、例えば外筒部9の内側端部9aの容器軸O方向の大きさの約2.5倍になっている。
【0027】
また、図示の例では、第2連結片部17cにおいて径方向内側を向く内周面の横断面視形状は、凹曲面状であり、容器軸Oから第2連結片部17cの内周面までの径方向に沿った距離は、第2連結片部17cの容器軸O回り方向及び容器軸O方向の位置によらず一定で、固定筒部15の内径と同等となっている。つまり、第2連結片部17cの内周面は、固定筒部15の内周面と面一になっている。
更に、第2連結片部17cにおいて径方向外側を向く外周面の横断面視形状は、凸曲面状であり、容器軸Oから第2連結片部17cの外周面までの径方向に沿った距離は、第2連結片部17cの容器軸O回り方向及び容器軸O方向の位置によらず一定で、固定筒部15の外径と同等となっている。つまり、第2連結片部17cの外周面は、固定筒部15の外周面と面一になっている。
【0028】
また、図示の例では、屈曲部17aにおいて径方向内側を向く内周面の横断面視形状は、凹曲面状であり、屈曲部17aにおいて径方向外側を向く外周面の横断面視形状は、凸曲面状となっている。また、容器軸Oから屈曲部17aの内周面までの径方向に沿った距離、及び容器軸Oから屈曲部17aの外周面までの径方向に沿った距離は、屈曲部17aにおいて下側から上側に向かうに連れて漸次大きくなっている。つまり、屈曲部17aは、連結片17において容器軸O方向に交差するように屈曲された部分である。
【0029】
以上のように構成された連結片17が容器軸O回りに間隔をあけて複数配置されることで、各連結片17間に複数の隙間Aが形成される。そして、この隙間Aにより、内筒部10と外筒部9とが連通されている。
なお、図示の例では、連結片17は、例えば4つ設けられており、隣り合う連結片17同士の間隔が容器軸O回りに互いに等しくなるように配置されている。これにより、前記隙間Aは容器軸O回りに4つ画成され、いずれの隙間Aも同形同大となっている。
【0030】
そして、本実施形態では、図1に示すように、外筒部9は、容器軸O方向に沿った下側に向けて屈曲変形可能に形成されている。
図示の例では、外筒部9に上側から力が作用した場合、連結環部12と押し当て部8との連結部分12a及び連結環部12と内側端部9aとの連結部分12bに応力が集中して、外筒部9は、これら連結部分12a、12bを起点として容器軸O方向に沿った下側に向けて屈曲変形可能とされている。
【0031】
次に、以上に示した詰め替え容器1の使用方法の一例について説明する。
以下では、この詰め替え容器1内の内容物Fを、詰め替え容器1とは異なる筒状の容器体20に移し替える場合について説明する。
まず、容器本体2からオーバーキャップ4及びシール材13を取り外す。
次いで、図3に示すように、この詰め替え容器1を倒立姿勢にした状態で、内容物Fを使い切った後の容器体20の口部21の開口端縁22に、外筒部9の押し当て部8を位置決めしながら押し当てる。
【0032】
この際、押し当て部8が、外筒部9の外側端部9bよりも容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に形成されているので、容器体20の口部21の内周面を外筒部9の外側端部9bの外周面に接触させながら、容器体20の口部21内に外筒部9の外側端部9bを進入させておくことができる。従って、容器体20の口部21に対して外筒部9を確実且つ容易に位置決めすることができる。しかも、図示の例では、押し当て部8には、位置決めガイド部8aが備えられているので、より確実且つ容易に外筒部9を位置決めすることができる。
【0033】
ここで、内筒部10は、固定筒部15が外筒部9の外側端部9bに固定されているので、前述のように容器体20の口部21内に外筒部9の外側端部9bを進入させておくことで、内筒部10の固定筒部15も併せて容器体20の口部21内に進入させておくことが可能となる。これにより、内筒部10内と容器体20内とが連通する。なお、内筒部10の蓋筒部16が外筒部9の内側端部9a内に嵌合されているので、詰め替え容器1を倒立姿勢にする際に容器本体2の胴部6内の内容物Fが零れ落ちることはない。
【0034】
次いで、図4に示すように、詰め替え容器1を容器体20側に押し込んでいくと、容器体20の口部21の開口端縁22によって押し当て部8が容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に向けて押し込まれ、外筒部9が容器軸O方向に沿って屈曲変形させられる。図示の例では、連結環部12と押し当て部8との連結部分12a及び連結環部12と内側端部9aとの連結部分12bを起点として屈曲変形させられる。これにより、外筒部9において、外側端部9bと内側端部9aとが容器軸O方向において接近する。
【0035】
ここで、内筒部10は、固定筒部15が外筒部9の外側端部9bに固定されていると共に、蓋筒部16が外筒部9の内側端部9aに離脱可能に嵌合されているので、外筒部9の屈曲変形に伴い、内筒部10が外筒部9の内側端部9aに対して容器軸O方向に沿って容器本体2の内側に向けてスライド移動し、内筒部10の蓋筒部16と外筒部9の内側端部9aとの嵌合が解除される。本実施形態では、内筒部10は、蓋筒部16の周壁部16a及び各連結片17の第1連結片部17bが外筒部9の内側端部9aに対してスライド移動する。
【0036】
そしてこの際、内筒部10の蓋筒部16の上端が外筒部9の内側端部9aの下端より容器軸O方向に沿った容器本体2の内側に移動することで、容器軸O回りで隣り合う連結片17同士の間の隙間Aを通して容器本体2の胴部6内と内筒部10内とが連通する。これにより、容器本体2の胴部6内の内容物Fが連結片17間の隙間Aを通って容器体20内に注ぎ込まれ、その結果、詰め替え容器1内の内容物Fが容器体20内に外気に触れることを抑えつつ短時間で移し替えられる。
【0037】
なお本実施形態では、外筒部9は、連結環部12と押し当て部8との連結部分12a及び連結環部12と内側端部9aとの連結部分12bを起点として屈曲変形させられる。従って、これら連結部分12a、12bより容器軸O方向に沿った容器本体2の外側に位置する外筒部9の外側端部9b、及びこの外側端部9bに固定筒部15が固定されている内筒部10は、容器体20に対して容器軸O方向に沿って相対的に大きく位置関係が変化することがない。これにより、内筒部10は、容器体20内に進入された状態が維持される。
【0038】
以上に示した詰め替え容器1によれば、詰め替え容器1内の内容物Fを容易且つ短時間で移し替えることができる。
また、押し当て部8が環状に形成されているので、詰め替え容器1を倒立姿勢にした状態で容器体20の口部21の開口端縁22に押し当て部8を押し当てる際、この押し当て部8を前記開口端縁22に全周に亘って押し当てることができる。これにより、詰め替え容器1を容器体20側に押し込む作業が容易となり、詰め替え容器1内の内容物Fをより一層容易且つ短時間で移し替えることができる。
【0039】
また、詰め替え容器1を容器体20側に押し込む際に、容器体20の口部21の開口端縁22から押し当て部8に作用する力が、環状の押し当て部8を介して外筒部9の全周に亘って伝達されるので、外筒部9の屈曲変形を容器軸O回りの位置によらず安定させて高精度にすることができる。これにより、内筒部10のスライド移動を円滑なものとすることが可能となり、この点においても詰め替え容器1内の内容物Fをより一層容易且つ短時間で移し替えることができる。
【0040】
また、環状の押し当て部8を容器体20の口部21の開口端縁22に押し当てることで、容器体20の内部と外部との連通を押し当て部8によって効果的に抑えることが可能となるので、詰め替え容器1内の内容物Fを容器体20内に移し替える際、内容物Fが外気に触れるのをより一層抑制することができる。
また、外筒部9の外側端部9bを容器体20の口部21内に進入させた状態で内容物Fを移し替えることができるので、移し替えに際し内容物Fが外気に触れるのをより一層抑制することができる。
【0041】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、押し当て部8は、外筒部9の外側端部9bよりも下側に形成されているものとしたが、これに限られない。
また、前記実施形態では、押し当て部8は、環状に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば、押し当て部8は、外筒部9において容器軸Oを挟んで対向する2箇所から径方向の外側に向けて突出するように形成されていても良い。
【0042】
また、押し当て部8は前述した構成に限られるものではなく、例えば、押し当て部8の外表面に、径方向に延びる少なくとも1つの凸部または凹部を形成しても良い。この場合、容器体20の前記開口端縁22を押し当て部8に押し当てたとき、容器体20と押し当て部8との間に、容器体20の内部から空気を外部に流出させるための空気置換通路を形成することができる。このように空気置換通路を形成することで、内容物Fが詰め替え容器1から容器体20内に移し替えられるとき、容器体20の内部の空気を前記空気置換通路を通して外部に流出させることが可能となり、内容物Fの移し替えをより短時間で行うことができる。
【0043】
また、前記実施形態では、連結環部12と押し当て部8との連結部分12a及び連結環部12と内側端部9aとの連結部分12bを起点として容器軸O方向に屈曲変形可能に形成したが、これに限られない。例えば、外筒部9において押し当て部8より下側に位置する部分を筒状に形成すると共に、前記部分に容器軸O方向に沿って屈曲変形可能な蛇腹状の屈曲部を形成することで、外筒部9を屈曲変形可能としても良い。
【0044】
また、前記実施形態では、連結片17は、蓋筒部16の上端に連なる部分における容器軸Oから外表面までの径方向に沿った距離が、蓋筒部16の周壁部16aの外径、つまり外筒部9の内側端部9aの内径と同等となっているものとしたが、これに限られない。前記距離は、内筒部10が外筒部9の内側端部9aに対して容器軸O方向に沿ってスライド移動可能な範囲で設定されていれば良く、例えば外筒部9の内側端部9aの内径より若干小さくても良い。
【0045】
また、前記実施形態では、蓋筒部16の周壁部16aの外径が、外筒部9の内側端部9aの内径と同等となっているものとしたが、これに限られない。蓋筒部16の周壁部16aの外径は、蓋筒部16が外筒部9の内側端部9a内に離脱可能に嵌合され、且つ胴部6内の内容物Fが蓋筒部16と外筒部9の内側端部9aとの間から流出しない範囲で設定されていれば良く、例えば外筒部9の内側端部9aの内径より若干小さくても良い。つまり、蓋筒部16が外筒部9の内側端部9a内にいわゆる隙間嵌めされていても良い。更にまた、内筒部10が外筒部9の内側端部9aに対してスライド移動可能であれば、蓋筒部16の周壁部16aの外径を外筒部9の内側端部9aの内径より若干大きくしても良い。この場合、当該部分における密閉性を高めることができる。
【0046】
また、前記実施形態では、詰め替え容器1は、オーバーキャップ4及びシール材13を備えるものとしたが、これらは無くても構わない。但し、オーバーキャップ4は、口部3を覆うように容器本体2に装着されており、不意の外力により外筒部9が屈曲変形してしまうのを防止することが可能となるので、備えていることが好ましい。
【0047】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る詰め替え容器の一実施形態の半断面図である。
【図2】図1に示す詰め替え容器の内筒部の断面図である。
【図3】図1に示す詰め替え容器の使用方法を説明するための図である。
【図4】図1に示す詰め替え容器の使用方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0049】
1 詰め替え容器
2 容器本体
3 容器本体の口部
8 押し当て部
9 外筒部
9a 外筒部の内側端部
9b 外筒部の外側端部
10 内筒部
15 固定筒部
16 蓋筒部
17 連結片
F 内容物
O 容器軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填された有底筒状の容器本体を備える詰め替え容器であって、
前記容器本体の口部は、径方向の外側に突出した押し当て部を有する外筒部と、前記外筒部の内側に配設された内筒部と、を備え、
前記内筒部は、前記外筒部において容器軸方向に沿った容器本体の外側に位置する外側端部に固定された固定筒部と、前記外筒部において容器軸方向に沿った容器本体の内側に位置する内側端部内に離脱可能に嵌合された有底筒状の蓋筒部と、容器軸回りに間隔をあけて複数配置され、前記固定筒部と前記蓋筒部とを連結する連結片と、を備え、
前記外筒部は、容器軸方向に沿った容器本体の内側に向けて屈曲変形可能に形成されていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
請求項1に記載の詰め替え容器であって、
前記押し当て部は、環状に形成されていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の詰め替え容器であって、
前記押し当て部は、前記外筒部の外側端部よりも容器軸方向に沿った容器本体の内側に形成されていることを特徴とする詰め替え容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−105681(P2010−105681A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278322(P2008−278322)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】