説明

詰め替え容器

【課題】ノズル45を起立したノズル部材B2を、容器本体B1の口部33に抜け出し不能に嵌着してなる被詰め替え容器Bに対して内容物を詰め替える詰め替え容器であって、詰め替え時に詰め替え前の工程が必要なく、被詰め替え容器に嵌合させるだけでそのまま詰め替え操作が行えて使い易く、また、詰め替え時の連結操作も容易で、しかもしっかりとした連結を容易に行える詰め替え容器を提案する。
【解決手段】口頚部12を起立した容器体A1と、容器体A1に嵌合させたスパウトA2とからなり、該スパウトA2は、口頚部12の外周に着脱可能に嵌合させた装着筒20より上方へノズル嵌合筒23を起立するとともに、ノズル嵌合筒23内下部にノズル45による押圧破断が可能な閉塞蓋24を横設してなり、ノズル嵌合筒23が被詰め替え容器のノズル45を縮径しつつ外周に密嵌する如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は詰め替え容器に関し、詳しくは、詰め替え操作前の工程を極力省略することのできる詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のゴミ処理事情等を考慮して、被詰め替え容器に充填した内容物を使い切った際に内容物のみを詰め替えるための詰め替え用容器が種々提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された詰め替え容器は、詰め替えキャップを被せたもので、詰め替えキャップは、詰め替え容器の口に装着するための下部スクリューねじと、被詰め替え容器の口に装着するための上部スクリューねじとを備え、更に、下部スクリューねじと上部スクリューねじ間に仕切り膜を形成している。そして、使用時には仕切り膜部分のプルトップを開き、被詰め替え容器をドッキングさせ、ドッキング後に逆さにして内容物を被詰め替え容器側に詰め替える。
【0004】
また、特許文献2に記載された使い捨て容器は、内容物を収容する胴の上端から内容物の充填にのみ用いて充填後に封止する筒状の充填口を突設したボトル形の薄肉の容器体を設け、胴の肩部に破断開口させる注出口を突設するとともに、注出口の先端に破断開口用摘み片を連設している。そして、つまみ片を切断することで簡単に開口し、使用後は圧潰廃棄を容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−159249号公報
【特許文献2】特開平11−130112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の詰め替え容器では、詰め替え時に詰め替え前の工程がそれぞれ必要であり、例えば前者ではプルトップを開くという工程、後者ではつまみ片を切断するという工程が必要となる。
【0007】
本発明は詰め替え時に詰め替え前の工程が必要なく、被詰め替え容器に嵌合させるだけでそのまま詰め替え操作が行えて使い易く、また、詰め替え時の連結操作も容易で、しかもしっかりとした連結を容易に行える詰め替え容器を提案する。また、その構造も極めてシンプルであり、容易に製造できる利点を兼ね備えている詰め替え容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の詰め替え容器は、被詰め替え容器に対して内容物を詰め替えるためのものである。
【0009】
被詰め替え容器は、容器本体と、ノズル部材とを備えている。容器本体は合成樹脂等により形成されたボトル形態のものが好ましく採用でき、即ち、胴部上に口部を起立した形態のものが好ましく採用できる。
【0010】
ノズル部材は合成樹脂等により形成され、容器本体内に連通するノズルを備え、容器本体の口部に抜け出し不能に嵌着したものが対象となる。例えば、容器本体口部に抜け出し不能に嵌着した嵌合筒により容器本体に装着固定し、嵌合筒に連続する有底の筒部の底壁部からノズルを起立した形態が好ましく採用できる。
【0011】
また、ノズルは詰め替え容器のノズル嵌合筒が被詰め替え容器のノズルを縮径しつつ外周に密嵌することが可能に構成されている。例えば、下部より上部に順次縮径した開環筒状をなすものが挙げられる。この様なものの具体的例としては、横断面がC字形状をなす下から上までのテ−パ形態の開環筒状をなすものが挙げられ、その場合、テーパ形態は円錐形台形状の如く縮径する場合に限らず、仮想頂点が偏心位置にある円錐台形状に縮径した場合であっても良い。
【0012】
詰め替え容器は、容器体とスパウトとを備えている。
【0013】
容器体は合成樹脂等により形成されたもので、胴部より口頸部を起立したボトル形態のものが好ましく採用できるが、その他の袋状容器等種々の形態を採用できる。
【0014】
スパウトは合成樹脂等により形成され、口頸部の外周に着脱可能に嵌合させた装着筒により容器体に嵌着固定している。また、被詰め替え容器のノズルを内部に嵌着させるノズル嵌合筒を備え、ノズル嵌合筒内には押圧破断可能な閉塞蓋を横設して装着した容器体の内外を遮断する如く構成している。閉塞蓋は、ノズルの挿入が可能な様にノズル嵌合筒内下部に横設している。また、ノズル嵌合筒は被詰め替え容器のノズルを縮径しつつ外周に密嵌する如く構成している。
【0015】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、ノズル45を起立したノズル部材B2を、容器本体B1の口部33に抜け出し不能に嵌着してなる被詰め替え容器Bに対して内容物を詰め替える詰め替え容器であって、口頚部12を起立した容器体A1と、容器体A1に嵌合させたスパウトA2とからなり、該スパウトA2は、口頚部12の外周に着脱可能に嵌合させた装着筒20より上方へノズル嵌合筒23を起立するとともに、ノズル嵌合筒23内下部にノズル45による押圧破断が可能な閉塞蓋24を横設してなり、ノズル嵌合筒23が被詰め替え容器のノズル45を縮径しつつ外周に密嵌する如く構成した。
【0016】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、前記被詰め替え容器Bのノズル45が、下部より上部に順次縮径した開環筒状をなす。
【0017】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、上記閉塞蓋24を別体の押圧破断可能なシートをインサート成形で設けた閉塞蓋24a で構成した。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、詰め替え容器Aを倒立した後、ノズル嵌合筒23内にノズル45を挿入して押し下げればノズル45により閉塞蓋24が開口し、そのままの状態で内容物をノズル45を介して被詰め替え容器B内に導入することができ、前工程のない円滑な詰め替えが行える。しかもノズル嵌合筒23が被詰め替え容器のノズル45を縮径しつつ外周に密嵌する如く構成しているため、ノズル45とノズル嵌合筒23の嵌合を緊密に且つ容易に行える利点を兼ね備えている。また、ノズル嵌合筒23のノズル45からの抜き出しを容易に行える利点も兼ね備えている。
【0019】
また、前記被詰め替え容器Bのノズル45が、下部より上部に順次縮径した開環筒状をなす場合には、ノズル45の弾性変形がより行いやすく、また、大きな弾性変形が可能であるため、ノズル45とノズル嵌合筒23の更なる緊密な嵌合が可能となる。この場合にもノズル45からのノズル嵌合筒23の抜き出しを容易に行える。
【0020】
上記閉塞蓋24を別体の押圧破断可能なシートをインサート成形で設けた閉塞蓋24a で構成した場合には、ガスバリアー性を備えた容器体A1に装着した際にガスバリアー性を有するシートを使用すれば内容物の劣化を防止できる利点がある。また、インサート成形で形成するため、位置ズレ等がなく、確実な固着形態を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】詰め替え容器の要部切欠要部正面図である。(実施例1)
【図2】詰め替え容器の内容物詰め替え状態の説明図である。(実施例1)
【図3】詰め替え容器の要部切欠要部正面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1及び図2は本発明詰め替え容器の一例を示し、該詰め替え容器Aは被詰め替え容器Bに内容物を詰め替えるためのもので、該詰め替え容器Aは、容器体A1と、スパウトA2とを備えている。
【0024】
容器体A1は合成樹脂製で、胴部10より肩部11を介して口頚部12を起立して構成している。胴部10は極力薄肉に形成され,内容物が空の状態でも内容物を充填した状態でも最低限の保形性を備える程度の肉厚に形成している。
【0025】
スパウトA2は合成樹脂製で、口頚部12外周に螺着させた装着筒20の上端より口頚部12上面に当接するフランジ状の頂板21を延設し、頂板21の内周縁部下面からは口頚部12内周に密に嵌合するシール筒22を垂設している。また、頂板21の上面からはノズル嵌合筒23を起立し、ノズル嵌合筒23内にノズル45による押圧破断が可能な閉塞蓋24を横設している。閉塞蓋24はノズル嵌合筒23の内周下部に横設しており、周縁部に薄肉環状の破断線25を設けている。
【0026】
被詰め替え容器Bは、容器本体B1と、ノズル部材B2とを備えている。容器本体B1は、把手30を備えた筒状胴部31の上端に肩部32を介して上端部が小径の口部33を起立しており、充分な剛性を備えた合成樹脂製である。口部33の外周にはノズル部材B2を係止するための係止突条34を周設している。
【0027】
ノズル部材B2は、口部33の外周に嵌合させた嵌合筒40を口部33外周に嵌合させて容器本体B1に装着している。嵌合筒40の内周下部に周設した係合突条41を、口部33の係止突条34に乗り越え係合させて上方への抜け出しを防止している。また、嵌合筒40の上端より内方へ、口部33上面に下面を当接するフランジ42を延設している。更に、フランジ42の内周縁より上下へ、底壁部44を備えた筒部43を延設している。筒部43のフランジ42上方部分は、外周に螺条を周設したキャップ(図示せず)螺着用に構成しており、また、フランジ42下方部分は口部33内に垂下している。また、底壁部44に下端を開口したノズル45を筒部43の上方に突出させて起立している。ノズル45は、上方に行くに従って径が小さくなる開環筒状をなしている。底壁部44にはノズル45の基端開口の他、ノズル45外方位置にエア抜き孔46を穿設している。
【0028】
本発明の詰め替え容器Aは上記した如き容器本体B1にノズル部材B2を嵌着した被詰め替え容器Bへの詰め替え用に形成されたもので、図2に示す如く、倒立させた詰め替え容器を、ノズル嵌合筒23内にノズル45を挿入した状態で押し下げることで、ノズル45により閉塞蓋24を押し上げて破断線25を破断してスパウトA2を開封し、その状態から容器体A1内の内容物をノズル45を介して被詰め替え容器Bの容器本体B1内に導入する。この際、ノズル嵌合筒23が下降するに伴いノズル45の径を縮小してしっかりと嵌合する。
【0029】
図3は他の例を示し、図1の例に於いて別体の押圧破断可能なシートで形成した閉塞蓋24a を設けた例を示す。閉塞蓋24a を形成するシートはガスバリアー層を含む積層シートで構成しており、ノズル嵌合筒23の内面下部に突周設したフランジ26の上面に周縁部を固着した閉塞蓋24a を設けている。本例の場合にはインサート成形により閉塞蓋24を形成している。
【符号の説明】
【0030】
A…詰め替え容器
A1…容器体
10…胴部,11…肩部,12…口頸ぶ
A2…スパウト
20…装着筒,21…頂板,22…シール筒,23…ノズル嵌合筒,24,24a …閉塞蓋, 25…破断線,26…フランジ
B…被詰め替え容器
B1…容器本体
30…把手,31…胴部,32…肩部,33…口部,34…係止突条
B2…ノズル部材
40…嵌合筒,41…係合突条,42…フランジ,43…筒部,44…底壁部,
45…ノズル,46…エア抜き孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル45を起立したノズル部材B2を、容器本体B1の口部33に抜け出し不能に嵌着してなる被詰め替え容器Bに対して内容物を詰め替える詰め替え容器であって、口頚部12を起立した容器体A1と、容器体A1に嵌合させたスパウトA2とからなり、該スパウトA2は、口頚部12の外周に着脱可能に嵌合させた装着筒20より上方へノズル嵌合筒23を起立するとともに、ノズル嵌合筒23内下部にノズル45による押圧破断が可能な閉塞蓋24を横設してなり、ノズル嵌合筒23が被詰め替え容器のノズル45を縮径しつつ外周に密嵌する如く構成したことを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
前記被詰め替え容器Bのノズル45が、下部より上部に順次縮径した開環筒状をなす請求項1記載の詰め替え容器。
【請求項3】
上記閉塞蓋24を別体の押圧破断可能なシートをインサート成形で設けた閉塞蓋24a で構成した請求項1又は請求項2のいずれかに記載の詰め替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−260553(P2010−260553A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110464(P2009−110464)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】