説明

詰め替え容器

【課題】詰め替え作業を簡便に行うことができ、詰め替え時に内容物をこぼし難く、また本容器内の内容物が残留している場合であっても詰め替え作業を行うことができること。
【解決手段】内容物が収容される容器本体2と、容器本体2の口部2aに装着され、注出口3が形成された装着筒4と、注出口3を閉塞するシール部5と、装着筒4にスライド移動可能に支持される操作部材6とを備え、装着筒4には、径方向に貫通して容器軸O方向に延びる溝部11が形成され、操作部材6は、本容器に当接される当接部12と、操作部材6のスライド移動に伴ってシール部5を容器軸O方向に押し込み注出口3を開放させる押し込み部13と、当接部12と押し込み部13とを連結し、溝部11内を容器軸O方向に沿って移動可能とされた連結部14とを備え、装着筒4には、容器軸O方向に沿う容器本体2の外側から操作部材6を覆う蓋部材7が離脱自在に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されるような、本容器に詰め替える内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に装着され、該口部を閉塞する中栓と、を備え、中栓を本容器の口部に螺着させた状態で詰め替えを行う詰め替え容器が知られている。この中栓には、内容物を注出するための注出口が形成されているとともに、該注出口を閉塞するシール部が設けられている。シール部は、例えばプルトップが付設された蓋体からなる。
この詰め替え容器では、まずプルトップを引き上げて、中栓の注出口を開封する。次いで、詰め替え容器を正立姿勢(口部が上向きの姿勢)に配置し、倒立姿勢(口部が下向きの姿勢)とされた本容器の口部を、該詰め替え容器の中栓に螺着する。この状態から、詰め替え容器と本容器とを上下反転させて、本容器を正立姿勢にするとともに、詰め替え容器を倒立姿勢にする。これにより、詰め替え容器内の内容物が、詰め替え容器及び本容器の各口部の内側を流通して、本容器内に詰め替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−159249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の詰め替え容器では、中栓の注出口を開封した後、中栓に本容器の口部を螺着し、その後、詰め替え容器と本容器を上下反転させる必要があるので、詰め替え作業が煩雑となっていた。
また、中栓の注出口を開封した後に、該中栓に対して本容器の口部を螺着するため、その螺合作業中に誤って詰め替え容器を倒すと、詰め替え容器内の内容物がこぼれ出るおそれがあった。
さらに、中栓に本容器の口部を螺着する際には、該本容器を倒立姿勢にするため、本容器内に内容物が残留していると、該内容物がこぼれるおそれがある。従って、本容器内の内容物を使い切った後でないと詰め替え作業を行い難かった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、詰め替え作業を簡便に行うことができ、詰め替え時に内容物をこぼし難く、また本容器内の内容物が残留している場合であっても詰め替え作業を行うことができる詰め替え容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の詰め替え容器は、本容器に詰め替える内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、注出口が形成された装着筒と、前記注出口を閉塞するシール部と、前記装着筒における前記シール部より容器軸方向に沿う前記容器本体の外側に位置する部分に、前記シール部側に向けてスライド移動可能に支持される操作部材と、を備え、前記装着筒には、容器軸方向に直交する径方向に貫通して容器軸方向に延びる溝部が形成され、前記操作部材は、前記装着筒の径方向外側に配設されて本容器に当接される当接部と、前記装着筒の径方向内側に配設され、該装着筒に対する操作部材のスライド移動に伴って前記シール部を容器軸方向に押し込み前記注出口を開放させる押し込み部と、前記当接部と前記押し込み部とを連結し、前記溝部内を容器軸方向に沿って移動可能とされた連結部と、を備え、前記装着筒には、容器軸方向に沿う前記容器本体の外側から前記操作部材を覆う蓋部材が離脱自在に配設されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る詰め替え容器から本容器に内容物を詰め替える際は、まず、装着筒から蓋部材を取り外し、操作部材を露出させるとともに、該操作部材の当接部を、本容器の例えば口部(注入口部)の開口端縁に当接させて、詰め替え容器と本容器とを組み合わせる。この状態から、詰め替え容器の容器本体と、本容器とを容器軸方向に沿って相対的に接近移動させることで、装着筒に対して操作部材を注出口側に向けてスライド移動させ、該注出口を閉塞しているシール部を押し込み部により押し込むとともに、破断或いは注出口から離脱させ、該注出口を開放させる。
これにより、容器本体の内部が注出口に連通するので、該容器本体内と本容器の注入口部内とが連通し、容器本体内の内容物が、注出口及び注入口部内を通して本容器内に詰め替えられる。
【0008】
このように、詰め替え容器の当接部を本容器の注入口部の開口端縁に当接させた状態としてこれら詰め替え容器及び本容器を組み合わせた後、容器本体と本容器とを容器軸方向に沿って相対的に接近移動させるという簡便な作業により、内容物を詰め替えることができるので、詰め替え作業を容易化することができる。
【0009】
また、詰め替え時、押し込み部より径方向外側に配置された当接部を、本容器の注入口部の開口端縁に当接させるので、詰め替え容器を安定した姿勢で本容器に組み合わせることができるとともに、装着筒を注入口部内に差し込むことができる。従って、内容物をこぼし難い。
また、上述したように、当接部を注入口部の開口端縁に当接させることで操作部材を安定化させることができるので、操作部材を滑らかに移動させることができ、過大な力を必要とせずにシール部を押し込んで注出口を容易に開放させ易い。
さらに、詰め替え容器の開封と同時に内容物を本容器内に詰め替えられるので、本容器を倒立姿勢にすることなく詰め替え作業が行える。よって、本容器内に内容物が残留している場合であっても、内容物の詰め替えを行うことができる。
【0010】
また、操作部材の当接部と押し込み部とは、装着筒の溝部内を移動可能な連結部によって連結されており、該連結部によって一体的に移動可能であるので、上述した作用効果を奏しつつも、操作部材の容器軸方向に沿う外形がコンパクトとなる。
また、連結部が溝部内に挿入されていることにより、装着筒に対する操作部材のスライド移動時の姿勢が安定する。
【0011】
また、装着筒に、操作部材を覆う蓋部材が配設されているので、仮に流通段階等で詰め替え容器に不意に外力が加えられたとしても、該蓋部材が操作部材のスライド移動を規制して、押し込み部がシール部を押し込むことを防止でき、詰め替え容器が不意に開封されるのを防止することができる。
また、装着筒に蓋部材を配設することで、該装着筒内に異物が進入するようなことを防止できる。
【0012】
また、本発明の詰め替え容器において、前記蓋部材は、ヒンジ部を介して前記操作部材に連結されていることとしてもよい。
【0013】
この場合、蓋部材と操作部材とが連結されているので、この蓋部材が装着筒に装着されている状態において、該装着筒に対する操作部材のスライド移動が確実に規制されることになる。
また、蓋部材、ヒンジ部及び操作部材を一体に形成することが可能であり、この場合、部品点数の削減を図ることができ、構造が簡単になるとともに、製造時の組立が容易である。
【0014】
また、本発明の詰め替え容器において、前記装着筒に対する前記操作部材のスライド移動の終端で、前記溝部における前記連結部側を向く内面に、前記連結部が当接されることとしてもよい。
【0015】
この場合、操作部材のスライド移動とともに、該操作部材の連結部が装着筒の溝部の内面に当接されるので、詰め替え時に、これら連結部と溝部の内面との間から内容物が装着筒の径方向外側に漏れ出るようなことが抑制される。
【0016】
また、本発明の詰め替え容器において、前記押し込み部は筒状をなしており、該押し込み部の前記シール部に対向する端面には、該端面のうち容器軸回りの一部分が突出するように突起部が形成されていることとしてもよい。
【0017】
この場合、押し込み部がシール部を押し込む際、該シール部に対して突起部から当接させることができ、これによりシール部が容器軸に対して傾倒するように破断或いは注出口から離脱させられて、注出口を開封しやすい。
【0018】
また、本発明の詰め替え容器において、前記突起部の径方向内側を向く内面には、容器軸方向に延びるリブ及び溝の少なくともいずれかが形成されていることとしてもよい。
【0019】
この場合、押し込み部がシール部を押し込んで注出口が開封(開放)された際に、内容物の液面に突起部のリブや溝を突き当て、該液面に作用する表面張力のバランスを崩して不均衡にすることによって、容器本体内の内容物と、本容器内の空気との置換を開始させるきっかけとすることが可能になる。従って、たとえ内容物の粘度が高いような場合であっても、容器本体の内容物を注出口に詰まらせることなく、確実に本容器に詰め替えることができる。
【0020】
また、本発明の詰め替え容器において、前記蓋部材は、前記装着筒における容器軸方向に沿う前記注出口とは反対側の開口部に配設され、前記蓋部材には、前記開口部内に嵌合する嵌合筒部が備えられ、前記開口部の内周面は、容器軸方向に沿って前記注出口とは反対側に向かうに従い漸次径方向外側に向かって傾斜していることとしてもよい。
【0021】
この場合、装着筒の開口部に対して、蓋部材の嵌合筒部を嵌合させやすい。従って、装着筒に対して蓋部材を装着しやすく、また取り外しやすい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る詰め替え容器によれば、詰め替え作業を簡便に行うことができ、詰め替え時に内容物をこぼし難く、また本容器内の内容物が残留している場合であっても詰め替え作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る詰め替え容器の要部を示す縦断面図である。
【図2】図1の詰め替え容器を倒立姿勢にして、正立姿勢の本容器に組み合わせた状態を示す要部の縦断面図である。
【図3】図2の詰め替え容器の操作部材を、本容器側から見た平面図である。
【図4】図2の状態から詰め替え容器の容器本体と本容器とを接近移動させて、詰め替え容器内の内容物を本容器内に詰め替えている状態を示す要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る詰め替え容器1について、図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態の詰め替え容器1は、内容物が収容される容器本体2を備えており、この容器本体2から、別体の本容器30(図2参照)に内容物を詰め替えるものである。
詰め替え容器1は、前記容器本体2と、容器本体2の口部2aに装着され、注出口3が形成された装着筒4と、注出口3を閉塞するシール部5と、装着筒4におけるシール部5より容器軸O方向に沿う容器本体2の外側に位置する部分に、シール部5側に向けてスライド移動可能に支持される操作部材6と、装着筒4に離脱自在に配設されて、容器軸O方向に沿う容器本体2の外側から操作部材6を覆う蓋部材7と、を備えている。
尚、容器本体2、装着筒4、シール部5、操作部材6及び蓋部材7は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態ではこの共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿う蓋部材7側を上側(容器軸O方向に沿う容器本体2の外側)、容器本体2側を下側(容器軸O方向に沿う容器本体2の内側)という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0025】
容器本体2は、有底筒状をなしており、該容器本体2の口部2aは、この容器本体2における口部2a以外の部位より小径となっている。容器本体2の口部2aにおける上端部及び下端部は、これら上端部と下端部との間に位置する中間部より厚肉となっている。口部2aの外周面における前記中間部には、雄ねじ部2bが形成されている。口部2aの下端部には、径方向外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状のフランジ2cが形成されている。
【0026】
装着筒4は、容器本体2の口部2aに外挿される有頂筒状の基筒8と、基筒8より小径とされ、該基筒8の天壁8aから垂下されるとともに口部2aに径方向の内側から嵌合するシール筒9と、基筒8の天壁8aから上方へ向けて突出するとともに、その内部が注出口3とされた注出筒10と、を備えている。
【0027】
基筒8は、円環板状の天壁8aと、天壁8aの外周縁部から垂下される筒状の周壁8bと、を備えている。天壁8aは、口部2aの上端開口縁に上側から当接している。周壁8bの内周面には、口部2aの雄ねじ部2bに螺合する雌ねじ部8cが形成されている。周壁8bの下端開口縁は、口部2aのフランジ2cに上側から接近配置されている。
【0028】
注出筒10は、基筒8の天壁8aの内周縁部から立ち上がっている。図示の例では、注出筒10の内径は、シール筒9の内径より小さくなっている。注出口3は、注出筒10の下端部における径方向の内側部分(内部)に位置している。注出筒10において、注出口3とは容器軸O方向の反対側に位置する上端部は、該注出口3に連通する開口部10aとなっている。開口部10aの内周面は、容器軸O方向に沿って注出口3とは反対側(つまり上側)に向かうに従い漸次径方向外側に向かって傾斜している。注出筒10における下端部以外の部位には、径方向に貫通するとともに容器軸O方向に沿って延びる溝部11が形成されている。
【0029】
溝部11は、注出筒10の周方向に沿う一部分が切り欠かれるように形成されており、本実施形態では、幅狭のスリット状をなす溝部11が周方向に1つ形成されている。溝部11の上端部は、注出筒10の上端開口縁に開口されている。溝部11における下端部には、上側を向く内面(底面)11aが形成されている。本実施形態では、内面11aの形状は、操作部材6の後述する連結部14の形状に対応して、略矩形状の平面となっている。また、溝部11において周方向を向く内面(側面)11bには、容器軸O方向に間隔をあけて係止リブ11cが一対形成されている。図示の例では、係止リブ11cは、溝部11における容器軸O方向の上端部付近に配置されている。
【0030】
シール部5は、有底筒状をなしており、円板状の底壁5aと、底壁5aから立ち上がる周壁5bと、を備えている。底壁5aの外周縁部は、基筒8における天壁8aの内周縁部に下側から当接している。周壁5bは、注出筒10の下端部に径方向の内側から嵌合している。図示の例では、周壁5bにおける下側部分が注出筒10内に嵌合している一方、該周壁5bにおける上側部分は、下側部分よりも僅かに小径となっており、該上側部分と注出筒10の内周面との間には、僅かに隙間が形成されている。
本実施形態のシール部5は、注出口3に液密に嵌合された栓状体である。
【0031】
操作部材6は、装着筒4の径方向外側に配設されて本容器30に当接される当接部12と、装着筒4の径方向内側に配設され、該装着筒4に対する操作部材6のスライド移動に伴ってシール部5を容器軸O方向に押し込み注出口3を開放させる押し込み部13と、当接部12と押し込み部13とを連結し、溝部11内を容器軸O方向に沿って移動可能とされた連結部14と、を備えている。
【0032】
当接部12は、筒状をなしており、装着筒4の注出筒10における径方向外側に、該注出筒10に対して摺動自在に配設されている。図1において、当接部12の上端開口縁と、注出筒10の上端開口縁とは面一となっている。当接部12の下端開口縁は、基筒8の天壁8aの上側に、該天壁8aとの間に間隔をあけて配置されている。当接部12の外周面における容器軸O方向の上側部分には、径方向外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状のフランジ12aが形成されている。フランジ12aの上面には、径方向に沿って延びるリブ12bが、周方向に間隔をあけて複数形成されており(図3参照)、該フランジ12aにおいて周方向に隣り合うリブ12b同士の間が空気置換路となっている。
尚、前記リブ12bに代えて、例えばリブ12bに対応する部分を溝に形成するとともに、該溝を空気置換路としてもよい。
【0033】
図1において、押し込み部13は、筒状をなしており、装着筒4の注出筒10に内挿されている。押し込み部13は、注出筒10内における容器軸O方向の上端部付近に配設されている。押し込み部13において下側を向く端面(下端面)は、シール部5の周壁5bの上端面に対向配置されている。押し込み部13の下端面には、該下端面のうち周方向に沿う一部分が突出するように突起部13aが形成されている。突起部13aの先端部(下端部)は、周壁5bの上端面に接近配置されている。
【0034】
図3において、突起部13aは円弧状に形成されている。特に図示しないが、突起部13aを径方向から見て、該突起部13aの形状は、下側に向かうに従い漸次その周方向の長さが短くなる先細り(先鋭)形状、又は、矩形状となっている
図1において、突起部13aの容器軸O方向に沿う長さ(突出量)は、押し込み部13の周壁のうち該突起部13a以外の部位における容器軸O方向に沿う長さと、略同等となっている。
【0035】
突起部13aの径方向内側を向く内面には、容器軸O方向に延びるリブ及び溝の少なくともいずれかが形成されている。
本実施形態では、突起部13aの内面に、該内面から突出するとともに容器軸O方向に平行に延びるリブ13bが、1つ形成されている。尚、リブ13bは、容器軸O方向に延びていればよく、該容器軸O方向に平行でなくてもよい。具体的に、リブ13bは、例えば、容器軸O方向に対して傾斜して延びていてもよく、容器軸O回りに螺旋状に延びていてもよい。また、リブ13bが、複数形成されていてもよい。
また、リブ13bの代わりに、突起部13aの内面から窪むとともに容器軸O方向に延びる溝を形成してもよい。また、これらリブ13b及び溝を両方形成してもよい。
【0036】
図1において、リブ13bは、押し込み部13の内周面における容器軸O方向の全長に亘り形成されている。また、リブ13bの下端部は、下側に向かうに従い漸次その径方向の高さが低くなるように形成されている。具体的に、リブ13bの径方向内側を向く面における下端部は、下側に向かうに従い漸次径方向外側に向かって傾斜している。また、突起部13aの外周面の下端部は、下側に向かうに従い漸次径方向内側に向かって傾斜している。
また、特に図示しないが、リブ13bの下端部は、下側に向かうに従い漸次その周方向の幅が狭くなるように先鋭に形成されていてもよい。
【0037】
本実施形態では、連結部14は、軸状、棒状又は板状をなしており、図1に示されるように、当接部12における容器軸O方向の上側部分(具体的には、当接部12の内周面における容器軸O方向に沿うフランジ12aと略同一位置)と、押し込み部13の上端開口部とを径方向に連結している。連結部14の周方向に沿う長さは、装着筒4の溝部11の周方向に沿う長さに対応しているとともに、連結部14において周方向を向く側面は、溝部11の内面11bに摺動自在となっている。また、連結部14は、溝部11内における容器軸O方向に沿う一対の係止リブ11c同士の間に配設されている。
【0038】
連結部14の下面は、略矩形状の平面となっている。そして、装着筒4に対する操作部材6のスライド移動の終端(下方移動端)で、溝部11における連結部14側を向く内面11a(容器軸O方向で対向する面)に、該連結部14の下面が当接されるようになっている。
【0039】
蓋部材7は、有頂筒状をなしており、操作部材6及び注出筒10の開口部10aを上側から覆って、該開口部10aに着脱自在に配設されている。蓋部材7は、円板状の天壁7aと、天壁7aの外周縁部から垂下され、その外径が当接部12のフランジ12aの外径と略同等とされた周壁7bと、周壁7bより小径とされ、天壁7aから垂下されるとともに、開口部10a内に嵌合する嵌合筒部7cと、を備えている。
【0040】
天壁7aは、注出筒10の開口部10a及び当接部12の上端開口部に、上側から当接している。
周壁7bの外周面における周方向の一部分には、径方向外側に向けて突出する操作片7dが形成されている。また、周壁7bの外周面において、容器軸Oを挟んだ操作片7dとは反対側には、蓋部材7と操作部材6とを連結するヒンジ部15が設けられている。本実施形態では、蓋部材7、ヒンジ部15及び操作部材6が一体に形成されている。図1において、周壁7bの下端面は、フランジ12aのリブ12bの上端面に当接している。
嵌合筒部7cの外周面における下側部分は、下側に向かうに従い漸次径方向内側に向かって傾斜している。
【0041】
次に、詰め替え容器1から本容器30に内容物を詰め替える手順について、図2及び図4を参照して説明する。
まず、操作片7dを操作して蓋部材7をヒンジ部15回りに回動させるとともに、該蓋部材7を装着筒4から取り外し、操作部材6及び注出筒10の開口部10aを露出させる。また、詰め替え容器1を倒立姿勢にするとともに、本容器30を正立姿勢にした状態で、これら詰め替え容器1の口部2aと本容器30の口部(注入口部)31とを対向配置する。詰め替え容器1と本容器30とを、互いの容器軸Oが同軸となるように位置合わせしつつ、相対的に容器軸O方向に接近移動させ、図2に示されるように、操作部材6の当接部12のフランジ12aを、本容器30の注入口部31の開口端縁に当接させて、詰め替え容器1と本容器30とを組み合わせる。この際、操作部材6における当接部12の上端開口部及び注出筒10の開口部10aが、本容器30の注入口部31内に差し込まれた状態で詰め替え容器1と本容器30とが組み合わされる。
【0042】
ここで本実施形態では、上述したように詰め替え容器1を倒立姿勢とすることで、詰め替え容器1における上下が反転することとなり、倒立姿勢の詰め替え容器1において、容器軸O方向に沿った操作部材6側が下側、容器本体2側が上側となる。
尚、詰め替え容器1の注出口3がシール部5で閉塞されていることから、詰め替え容器1を倒立姿勢としても、容器本体2内の内容物が注出口3を通して外部に流出することはない。さらに、操作部材6の連結部14が係止リブ11cによって支持(係止)されているため、操作部材6のスライド移動は規制されている。また、シール部5の底壁5aの外周縁部が、基筒8の天壁8aの下面に当接しているため、内容物の重量によってシール部5が開放されてしまうことが防止されている。
【0043】
この係合状態から、図4に示されるように、詰め替え容器1の容器本体2と本容器30とを容器軸O方向に沿って相対的に接近移動させると、本容器30の注入口部31の開口端縁が当接部12のフランジ12aを注出口3側に向けて押し込むとともに、連結部14が溝部11の係止リブ11cを乗り越え、装着筒4に対して操作部材6が注出口3側に向けてスライド移動させられる。すると、操作部材6の押し込み部13が、シール部5を押圧して注出口3から離脱させ、該注出口3を開放させる。この際、装着筒4における注出筒10の溝部11は、その略全体が本容器30の注入口部31内に挿入される。
【0044】
これにより、注出口3、押し込み部13内及び開口部10aを通して、詰め替え容器1の容器本体2内と本容器30の注入口部31内とが連通する。よって、詰め替え容器1の容器本体2内に収容されている内容物を、本容器30の注入口部31内に注出することができ、内容物を詰め替え容器1から本容器30に詰め替えることができる。
尚、詰め替え作業中、当接部12のフランジ12aにおける前記空気置換路(隣り合うリブ12b同士の間)を通して、本容器30の内部及び詰め替え容器1の容器本体2の内部と、これら容器の外部との空気置換を効率よく行うことができるようになっているとともに、本容器30内にスムーズに内容物を注出して、詰め替え作業を効率良く行うことができる。
また、詰め替え作業時に、装着筒4に対して径方向へ向けた外力が加えられた場合であっても、本容器30の注入口部31内に詰め替え容器1の注出筒10及び当接部12が挿入されていることにより、詰め替え容器1と本容器30との接続状態が解除されるようなことが防止されている。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の詰め替え容器1によれば、当接部12を本容器30の注入口部31の開口端縁に当接させた状態としてこれら詰め替え容器1及び本容器30を組み合わせた後、容器本体2と本容器30とを容器軸O方向に沿って相対的に接近移動させるという簡便な作業により、内容物を詰め替えることができるので、詰め替え作業を容易化することができる。
【0046】
また、詰め替え時、押し込み部13より径方向外側に配置された当接部12のフランジ12aを、本容器30の注入口部31の開口端縁に当接させるので、詰め替え容器1を安定した姿勢で本容器30に組み合わせることができるとともに、装着筒4の注出筒10を注入口部31内に差し込むことができる。従って、内容物をこぼし難い。
また、上述したように、当接部12のフランジ12aを注入口部31の開口端縁に当接させることで操作部材6を安定化させることができるので、操作部材6を滑らかに移動させることができ、過大な力を必要とせずにシール部5を押し込んで注出口3を容易に開放させ易い。
さらに、詰め替え容器1の開封と同時に内容物を本容器30内に詰め替えられるので、本容器30を倒立姿勢にすることなく詰め替え作業が行える。よって、本容器30内に内容物が残留している場合であっても、内容物の詰め替えを行うことができる。
【0047】
また、操作部材6の当接部12と押し込み部13とは、装着筒4の溝部11内を移動可能な連結部14によって連結されており、該連結部14によって一体的に移動可能であるので、上述した作用効果を奏しつつも、操作部材6の容器軸O方向に沿う外形がコンパクトとなる。
また、連結部14が溝部11内に挿入されていることにより、装着筒4に対する操作部材6のスライド移動時の姿勢が安定する。
【0048】
また、装着筒4の注出筒10に、操作部材6を覆う蓋部材7が配設されているので、仮に流通段階等で詰め替え容器1に不意に外力が加えられたとしても、該蓋部材7が操作部材6のスライド移動を規制して、押し込み部13がシール部5を押し込むことを防止でき、詰め替え容器1が不意に開封されるのを防止することができる。
また、装着筒4の注出筒10に蓋部材7を配設することで、該注出筒10内に異物が進入するようなことを防止できる。
【0049】
また、蓋部材7が、ヒンジ部15を介して操作部材6に連結されているので、この蓋部材7が装着筒4に装着されている状態(図1に示される状態)において、該装着筒4に対する操作部材6のスライド移動が確実に規制されることになる。
また、本実施形態で説明したように、蓋部材7、ヒンジ部15及び操作部材6を一体に形成することが可能であり、この場合、部品点数の削減を図ることができ、構造が簡単になるとともに、製造時の組立が容易である。
【0050】
また、図4に示されるように、装着筒4に対する操作部材6のスライド移動の終端(装着筒4に対する操作部材6の前進端位置)で、溝部11における連結部14側を向く内面11aに、該連結部14が当接されるようになっているので、下記の効果を奏する。
すなわち、操作部材6のスライド移動とともに、該操作部材6の連結部14が装着筒4の溝部11の内面11aに当接されるので、詰め替え時に、これら連結部14と溝部11の内面11aとの間から内容物が注出筒10の径方向外側に漏れ出るようなことが抑制される。
特に、本実施形態においては、連結部14において周方向を向く側面と、溝部11の周方向を向く内面11bとが摺動自在に当接されており、かつ、当接部12の内周面と、注出筒10の外周面とが摺動自在に当接されているから、前述の効果がより確実に得られやすい。
尚、図4に示される例では、連結部14が溝部11の内面11aに当接した状態において、当接部12の容器本体2側を向く端面が基筒8の天壁8aに当接しているが、これに限定されるものではない。すなわち、連結部14と内面11aとが当接した状態において、当接部12の前記端面と天壁8aとの間に隙間が形成されていても構わない。
【0051】
また、押し込み部13におけるシール部5に対向する端面に、該端面から突出して突起部13aが形成されているので、押し込み部13がシール部5を押し込む際、該シール部5に対して突起部13aから当接させることができ、これによりシール部5が容器軸Oに対して傾倒するように注出口3から離脱させられて、注出口3を開封しやすい(図4参照)。
【0052】
また、突起部13aの内面に、リブ13b及び溝の少なくともいずれかが形成されているので、押し込み部13がシール部5を押し込んで注出口3が開封(開放)された際に、内容物の液面に突起部13aのリブ13bや溝を突き当て、該液面に作用する表面張力のバランスを崩して不均衡にすることによって、例えば、容器本体2内の内容物と、本容器30内の空気との置換を開始させるきっかけとすることができる。従って、たとえ内容物の粘度が高いような場合であっても、容器本体2の内容物を注出口3に詰まらせることなく、確実に本容器30に詰め替えることができる。
【0053】
尚、突起部13aの先端部(下端部)の幅が、該突起部13aの基端部(上端部)の幅より小さくなっている場合には、つまり本実施形態で説明したように、突起部13aがシール部5側へ向けて先細り(先鋭)形状とされている場合においては、押し込み部13がシール部5を押し込んで注出口3が開封された際に、内容物の液面に突起部13aの先端部を突き刺して、内容物を、周方向に沿って突起部13aの外側に拡げながら基端部側(本容器30側)に向けて導入しやすくなる。
【0054】
また、蓋部材7の嵌合筒部7cが嵌合される注出筒10の開口部10aは、その内周面が、容器軸O方向に沿って注出口3とは反対側(つまり上側)に向かうに従い漸次径方向外側に向かって傾斜しているので、該開口部10aに対して、嵌合筒部7cを嵌合させやすい。さらに、嵌合筒部7cの下側部分が、下側に向かうに従い漸次径方向内側に向かって傾斜しているので、前述の効果がより確実に得られやすい。
従って、装着筒4に対して蓋部材7を装着しやすく、また取り外しやすい。
【0055】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0056】
例えば、前述の実施形態では、装着筒4における注出筒10の周方向に沿う一部分が切り欠かれるように溝部11が形成され、これに対応して、操作部材6の連結部14も周方向に1つ形成されている例を用いて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、溝部11は、注出筒10の周方向に間隔をあけて複数形成されていてもよく、これに対応して、連結部14も周方向に間隔をあけて複数形成されていてもよい。この場合、操作部材6の剛性が高められ、該操作部材6のスライド移動がより安定する。
【0057】
また、溝部11が、注出筒10において幅狭のスリット状に形成されており、該溝部11内に配設される連結部14が、これに対応して軸状、棒状又は板状をなしているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、溝部11が、注出筒10において矩形切り欠き状(周方向に幅広とされた切り欠き)に形成され、連結部14が、これに対応して周方向に延びて形成されていてもよい。この場合、連結部14が1つのみであっても、装着筒4に対する操作部材6のスライド移動の安定性が高められる。
【0058】
また、溝部11において連結部14側を向く内面11aが平面とされ、該内面11aに当接する連結部14部分も平面になっていると説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、溝部11の内面11aと前記連結部14部分とが当接した状態で、これらの間に隙間が形成されない構成であればよいことから、例えば、溝部11の内面11aと前記連結部14部分とが、凹曲面及び凸曲面により互いに隙間なく当接される構成であってもよい。
【0059】
また、シール部5が、栓状体であるとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、シール部5は、押し込み部13に押し込まれて注出口3を開放可能な構成であればよいことから、例えば、押し込み部13に押し込まれて破断可能とされた膜状体であってもよい。
【0060】
また、押し込み部13の突起部13aが、平面視で円弧状をなしており、周方向に1つ形成されているとしたが、突起部13aの形状や数量は、前述の実施形態で説明したものに限定されない。
【0061】
また、当接部12及び押し込み部13が、それぞれ筒状をなしているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、当接部12は、装着筒4の注出筒10の径方向外側に配設されて本容器30に当接されるものであればよく、また、押し込み部13は、装着筒4の注出筒10の径方向内側に配設され、操作部材6のスライド移動に伴ってシール部5を容器軸O方向に押し込み注出口3を開放させるものであればよく、その形状は前述した筒状に限定されない。このような当接部12として、例えば周方向に延びる円弧板状が挙げられる。また、押し込み部13としては、例えば容器軸O方向に長い矩形板状が挙げられる。
【0062】
また、前述の実施形態で説明した蓋部材7は、ヒンジ部15を介して操作部材6に連結されたヒンジキャップであるが、蓋部材7は、操作部材6を上側から覆って装着筒4に配設されればよいことから、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、蓋部材7は、操作部材6及び注出筒10の開口部10aを覆って装着筒4に着脱自在とされたオーバーキャップ(つまり操作部材6とは別体)であってもよい。
さらに、装着筒4の基筒8を容器本体2の口部2aに螺合することに代え、アンダーカット嵌合(凹凸嵌合)など、その他の装着方法を採用してもよい。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 詰め替え容器
2 容器本体
2a 口部
3 注出口
4 装着筒
5 シール部
6 操作部材
7 蓋部材
7c 嵌合筒部
10a 開口部
11 溝部
11a 溝部の内面(底面)
12 当接部
13 押し込み部
13a 突起部
13b リブ
14 連結部
15 ヒンジ部
30 本容器
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本容器に詰め替える内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、注出口が形成された装着筒と、
前記注出口を閉塞するシール部と、
前記装着筒における前記シール部より容器軸方向に沿う前記容器本体の外側に位置する部分に、前記シール部側に向けてスライド移動可能に支持される操作部材と、を備え、
前記装着筒には、容器軸方向に直交する径方向に貫通して容器軸方向に延びる溝部が形成され、
前記操作部材は、
前記装着筒の径方向外側に配設されて本容器に当接される当接部と、
前記装着筒の径方向内側に配設され、該装着筒に対する操作部材のスライド移動に伴って前記シール部を容器軸方向に押し込み前記注出口を開放させる押し込み部と、
前記当接部と前記押し込み部とを連結し、前記溝部内を容器軸方向に沿って移動可能とされた連結部と、を備え、
前記装着筒には、容器軸方向に沿う前記容器本体の外側から前記操作部材を覆う蓋部材が離脱自在に配設されることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
請求項1に記載の詰め替え容器であって、
前記蓋部材は、ヒンジ部を介して前記操作部材に連結されていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の詰め替え容器であって、
前記装着筒に対する前記操作部材のスライド移動の終端で、前記溝部における前記連結部側を向く内面に、前記連結部が当接されることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の詰め替え容器であって、
前記押し込み部は筒状をなしており、該押し込み部の前記シール部に対向する端面には、該端面のうち容器軸回りの一部分が突出するように突起部が形成されていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項5】
請求項4に記載の詰め替え容器であって、
前記突起部の径方向内側を向く内面には、容器軸方向に延びるリブ及び溝の少なくともいずれかが形成されていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の詰め替え容器であって、
前記蓋部材は、前記装着筒における容器軸方向に沿う前記注出口とは反対側の開口部に配設され、
前記蓋部材には、前記開口部内に嵌合する嵌合筒部が備えられ、
前記開口部の内周面は、容器軸方向に沿って前記注出口とは反対側に向かうに従い漸次径方向外側に向かって傾斜していることを特徴とする詰め替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112408(P2013−112408A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262844(P2011−262844)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】