説明

詰替えパックホルダ

【課題】少なくとも横幅を狭くすることができる詰替えパックホルダの提供。
【解決手段】詰替えパック9の前側を覆う前体2と後側を覆う後体3を開閉可能に設け、前体と後体は、突合わせた閉鎖状態において容器形状を形成すると共に、上から下に向かって順に、液体噴射ポンプ8を取付けるホルダ口部20と、詰替えパックの上部を前後から挟持するホルダ肩部40と、ホルダ胴部50と、ホルダ底部60と、を備え、且つ閉鎖状態を保持するロック部70を設け、ホルダ口部は、前体の前口部21と後体の後口部22とが突き合わさって円筒状を形成し、ホルダ肩部は、前体の前肩部41と後体の後肩部42とから構成され、前肩部及び後肩部は突合せ面の前側に前挟持部43aを、後側に後挟持部43bを設け、前挟持部と後挟持部によってパック挟持部43を形成し、パック挟持部は、平面視した場合に湾曲していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が充填された詰替えパックを内部に収容すると共にホルダ口部に液体噴射ポンプを取り付ける詰替えパックホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、リンス及び洗剤等の液状商品としては、液体噴射ポンプの付いた硬質のボトル状容器に充填されて、販売されているものが周知となっている。これは、液体噴射ポンプを握ったり、押したりして、内溶液を噴射することのできる使い勝手の良いものである。しかし、洗剤等の内容液を使い切るごとに液体噴射ポンプの付いたボトル状容器を廃棄することが問題となった。より具体的に言えば省エネルギーや環境破壊の観点から問題となった。
【0003】
そこで、廃棄物ができるだけ少なくなるように、洗剤等の内容液を軟質袋状の詰替えパックに充填して販売することも、行われている。これであれば、詰替えパックに入った洗剤等を購入した後に、内容液を詰替えパックから空のボトル状容器に移し替え、ボトル状容器に液体噴射ポンプを取り付けることによって、使い勝手の良い状態になる。他方、ボトル状容器が再度使用可能となり、廃棄物の少量化に貢献する。
【0004】
ところで、軟質袋状の詰替えパックの内溶液を硬質のボトル状容器に移し替える手間を簡素にするものとして、詰替えパックをそのまま収容することのできる詰替えパックホルダが本願の出願人によって発明され、公知となっている(特許文献1)。
【0005】
この詰替えパックホルダは、詰替えパックの前側と後側をそれぞれ覆う前半分と後半分を開閉可能に設け、前半分と後半分の閉鎖状態を保持する締結手段が前半分と後半分の左右端部に設けられている。
また、前半分と後半分の閉鎖状態によって形成されるボトル容器形状の部位として、上から下に向かって順に、液体噴射ポンプを取付ける口部と、詰替えパックの上部を前後から挟持する肩部と、詰替えパックの周囲を覆う胴部と、詰替えパックを載せる底部が設けられている。
【0006】
その上、前半分と後半分には詰替えパックの上部を挟持する単リブと凹溝を、口部から肩部への突合せ面に沿って延長し、肩部の前側と後側との突合せ面が、平面視した場合に、横一直線の状態となっている。この詰替えパックホルダに詰替えパックを収容すると、肩部よりも上に詰替えパックの上辺部が露出するため、通常、その部分を切り落としてから、口部に液体噴射ポンプを固定して最終的に使用していた。
この使用状態を平面視した場合に、詰替えパックの上部切口は、横一直線になる状態で前後から挟持され、封止されている。この挟持によって、詰替えパックホルダが転倒した場合であっても、その中に収容された詰替えパックの上部切口から内容液が漏れないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−15767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、詰替えパックの上部を肩部において横一直線に挟持する形態では、正面視した場合に、詰替えパックホルダの横幅が、詰替えパックの上部よりも必然的に広くならざるを得ない。しかも、肩部は、詰替えパックの上部を挟持する部分の外側に締結手段を設けているので、締結手段の分だけ詰替えパックホルダの横幅が更に広くなった。
【0009】
また、通常、詰替えパックは、底面が楕円形状で、上辺部が二枚のシートを前後に貼り合わせた平べったい形状となっていることから、元々、底部に比べて上部が幅広の形態となっている。このような幅広形態の詰替えパックを収容するため詰替えパックホルダは、一段と幅広の形態となっていた。したがって、例えば、複数個の詰替えパックホルダを横一列に並べると、その分だけ、設置スペースの横幅を取ることになった。
【0010】
また、詰替えパックの前後二枚のシートは横一直線に重なり合っているだけなので、この保持形態では詰替えパック自体から、液漏れを防止する力(二枚のシートが前後に重なり合う力)は、生み出されない。それゆえ、二枚のシートを挟む単リブと凹溝を、肩部の横幅方向全長に亘って設けなければならなかった。しかも、単リブと凹溝との嵌合力の基になる締結手段の締結力は、強固にしなければならず、製品設計を困難なものとしていた。
【0011】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的は、液漏れ防止効果があることを前提とした上で、少なくとも横幅を狭くすることができる詰替えパックホルダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、詰替えパックの前側を覆う前体と後側を覆う後体を開閉可能に設け、前体と後体は、突合わせた閉鎖状態において容器形状を形成すると共に、上から下に向かって順に、液体噴射ポンプを取付けるホルダ口部と、詰替えパックの上部を前後から挟持するホルダ肩部と、詰替えパックの周囲を覆うホルダ胴部と、詰替えパックを載せるホルダ底部と、を備え、且つ閉鎖状態を保持するロック部を設けてあり、ホルダ口部は、前体の前口部と後体の後口部とが突き合わさって円筒状を形成し、ホルダ肩部は、前体の前肩部と後体の後肩部とから構成され、前肩部及び後肩部は突き合わせ部分の前側に前挟持部を、後側に後挟持部を設け、前挟持部と後挟持部によって詰替えパックの上部を挟持するパック挟持部を形成し、パック挟持部は、平面視した場合に湾曲していることを特徴とする。
【0013】
パック挟持部は、平面視してどのように湾曲しているのかは問わない。また、ホルダ口部がパック挟持部のどの位置にあるのかも問わない。但し、詰替えパックホルダの横幅を一段と狭くするには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項2の発明のように、パック挟持部は、平面視した場合に前側に向かって円弧状に膨らむU字状に湾曲し、ホルダ口部は、平面視U字状に湾曲するパック挟持部の中間部に位置していることである。
【0014】
平面視した場合に、ホルダ肩部やホルダ胴部の形状は問わないが、パック挟持部のU字状を利用した形状にするには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項3の発明のように、ホルダ胴部は、前体の前胴部と後体の後胴部とから構成され、ホルダ肩部は、パック挟持部の外周側に、ホルダ胴部に連続する隠蔽部を備え、隠蔽部は、前肩部の前隠蔽部と後肩部の後隠蔽部とから構成され、前隠蔽部の前辺は、平面視U字状のパック挟持部より前側に膨らむ円弧状であって、後隠蔽部の後辺は、パック挟持部の後側を塞ぐ直線状であることを特徴とする。
【0015】
前体と後体とは、別体の成型品であるか、一体成型品であるかも問わない。詰替えパックを挟持できる強度があれば、原材料も問わない。また、ロック部を設ける位置も、問わない。ロック部の機能を最も効率よく発揮させられる位置は、ホルダ肩部の左右両端部であるが、ホルダ肩部には、詰替えパックの上部をその下側で前後から挟持するという固有の役割がある。したがって、この固有の役割を果たしながらロック部をホルダ肩部に設けると、ホルダ肩部の横幅が広がり易く、ひいては、詰替えパックホルダの横幅が広くなる。詰替えパックホルダの横幅を抑えながら、ロック部の機能を充分に発揮させ、尚且つ前体と後体の開閉をし易くするには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項4の発明のように、前体と後体とは、ホルダ底部に設けられた変形可能な連結片によって連続すると共に、合成樹脂製の一体成型品であって、ホルダ胴部にロック部を設けてあるものである。
【0016】
前挟持部と後挟持部の対向面は凹凸のない平らな面であっても良いが、より詰替えパックの上部を封止する機能を発揮するには、次のようにすることが望ましい。即ち、請求項5の発明のように、前挟持部と後挟持部の対向面の一方側に凸リブ部を、他方側に凸リブ部と噛み合う凹溝部を備えていることである。
【0017】
詰替えパックの上部をその下側で封止する凸リブ部と凹溝部とは、封止という性格上、ホルダ肩部の幅全長に亘って形成することが必須のように思われる。また、凸リブ部と凹溝部の形成長さと、凸リブ部と凹溝部に挟まれる詰替えパックの長さとは対応しているので、長い程、例えば雄部と雌部から構成されるロック部を嵌合させるのに大きな力が必要となる。しかし、詰替えパックの上部切口を充分に封止できるのであれば、凸リブ部と凹溝部の形成長さは短い方がロック部を操作しやすい。
また、詰替えパックの上部がU字状に湾曲すると、復元力によって詰替えパックの二枚のシートには自然と前後に重なり合う。この重なり合い具合は、U字状の左右両側の縦延び部分において特に強いと思われる。それは、U字状の左右両側の縦延び部分が、最も復元力の作用する部分だからである。したがって、この縦延び部分には、凸リブ部と凹溝を設けなくとも、充分な封止効果が得られる。つまり、請求項6の発明のように、パック挟持部のU字状の突合せ面は、左右方向に沿って延長する中央の横延び部と、前後方向に沿って延長する左右の縦延び部と、横延び部と左右の縦延び部を連続する円弧部とから構成され、凸リブ部と凹溝部が、横延び部と円弧部にのみ形成されることである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明は、ホルダ肩部において、前肩部と後肩部との突合せ面の前後に設けられるパック挟持部が平面視して湾曲しているので、パック挟持部に挟まれた詰替えパックの上部も必然的に湾曲する。その結果、従来のように詰替えパックの上部を横一直線に挟持するものに比べれば、正面視した場合に湾曲させた分だけ詰替えパックの横幅が狭くなり、それに伴って詰替えパックホルダの横幅も狭くできる。従って、詰替えパックホルダを何個も並列させた場合にでも、設置スペースを狭くすることが可能となる。
また、詰替えパックの上部をパック挟持部で単に挟んでいるだけでなく、湾曲させてあるので、詰替えパックを構成している前後二枚のシートが強固に重なり合い、上部からの液漏れがし難くなる。
【0019】
請求項2の発明は、パック挟持部を平面視U字状に湾曲させてあるので、詰替えパックホルダの横幅を一段と狭くすることが可能となる。また、ホルダ口部がパック挟持部の中間部に位置しているので、パック挟持部の左右両側において詰替えパックの挟持が均一となり、液漏れもし難くなる。
【0020】
請求項3の発明は、U字状に湾曲しているパック挟持部の形状を活かして、ホルダ肩部を、パック挟持部の外周側にホルダ胴部に連続する隠蔽部を設けるものとした。そして、前隠蔽部の前辺をU字状のパック挟持部より前側に膨らむ円弧状とし、後隠蔽部の後辺をパック挟持部の後側を塞ぐ直線状としてあるので、左右の横幅を狭くすることが可能となり、その上、パック挟持部の形状を巧みに利用した美観に優れたものと言える。
【0021】
請求項4の発明は、ロック部をホルダ胴部に設けてあるので、ホルダ肩部に設ける場合に比べて、詰替えパックホルダの横幅を抑えることができる。しかも、ホルダ肩部も詰替えパックを挟持するという封止の役割を充分に発揮できる。
【0022】
請求項5の発明は、前挟持部と後挟持部の対向面の一方側に凸リブ部を、他方側に凸リブ部と噛み合う凹溝部を備えているので、詰替えパックの上部を封止する機能を一段と発揮することができる。
【0023】
請求項6の発明は、パック挟持部のU字状の突合せ面のうち中央部分の横延び部と、その横に連続する円弧部にのみ凸リブ部と凹溝部が形成されるが、最も復元力の作用するU字状の左右両側部分では、詰替えパックの二枚のシートが自然と前後に重なり合うので、充分に詰替えパックの封止効果が発揮される。したがって、凸リブ部と凹溝部の形成長さを、ホルダ肩部の全長に亘って設ける場合よりも短くでき、その分だけ弱い力でロック部を嵌合させることできる。即ち、嵌合作業の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による詰替えパックホルダの斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の正面図である。
【図4】図1の底面図である。
【図5】図1の右側面図である。
【図6】図2のA−A線拡大断面図である。
【図7】図3のB−B線断面図である。
【図8】図3のC−D−E−F線断面図である。
【図9】図3のG−G線断面図である。
【図10】詰替えパックホルダの展開状態の一部破断内部正面図である。
【図11】詰め替えパックホルダの展開状態の縦断面図である。
【図12】(イ)(ロ)図は、詰替えパックを収容する手順の前半部分を示す説明図である。
【図13】(イ)(ロ)(ハ)図は、詰替えパックを収容する手順の後半部分を示す説明図である。
【図14】(イ)(ロ)図は、図13の(ロ)図の途中の手順を示す説明図である。
【図15】液体噴射ポンプの取付け例を示す説明図である。
【図16】(イ)(ロ)図は、液体噴射ポンプの取付状態と、その使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の詰替えパックホルダ1を説明する。図1、図9又は図16に示すように、詰替えパックホルダ1は合成樹脂製の一体成形品で、洗剤等の内溶液が充填された詰替えパック9の外側を覆う開閉可能なものである。そして、詰替えパックホルダ1は、詰替えパック9の前側と後側をそれぞれ覆う非同一形状の前体2と後体3とを備え、前体2と後体3とがこれらの底部で一体に連続すると共に、これらの上部で閉鎖可能に設けられている。
【0026】
そして、詰替えパックホルダ1は、図1〜図5、又は図15に示すように、前体2と後体3の閉鎖状態で容器形状を成すものであって、その部位として上から下に向かって順に、詰替えパック9の上部の横幅中央部において液体噴射ポンプ8の固定キャップ83を取り付けるホルダ口部20と、ホルダ口部20の下側に連続する一回り大径のホルダ首部30と、詰替えパック9の上部を前後から挟持するホルダ肩部40と、詰替えパック9の周囲を覆うホルダ胴部50と、詰替えパック9を載せるホルダ底部60と、を備えている。これら各部位は、前体2と後体3の対応部位を前後に突き合わせることによって形成される。
【0027】
ホルダ口部20は図1〜図5に示すように、円筒形状であって、その外周面に沿って雄ネジが螺旋状に形成されたものである。また、円筒を前後に略半分に縦割りした形状(半円筒形状)の前口部21、後口部22が前体2と後体3にはそれぞれ形成されている。前口部21と後口部22とを突き合わせると、その間には、両詰替えパック9の上辺部である袋口部92の厚み分の隙間が形成される。図9に示すように前口部21及び後口部22の内周面には周方向に沿って延長する円弧状の張出部23が、上下に間隔をおいてそれぞれ設けられている。
【0028】
なお、ホルダ首部30は、ホルダ口部20に対して、階段状に大径となる円筒状であって、前後に略半分に縦割りした形状の前首部と後首部(何れも符号省略)が、前体2と後体3にそれぞれ形成されている。
【0029】
ホルダ肩部40は図1〜図5に示すように、軟質袋状の詰替えパック9の上部を挟みながらその上方を覆う天板である。天板といっても、正面視なで肩形状で、平面視すると、後辺が直線状で、前辺が円弧状)である。そして、このような形状のホルダ肩部40に対してその左右方向及び前後方向の中央部にホルダ首部30が位置している。このようなホルダ肩部40は、前体2の前肩部41と、後体3の後肩部42とから構成される。
前肩部41は、その前辺41cが前側に膨らむ円弧状となっており、その内辺(後辺)が平面視U字状になっている。
一方、後肩部42は、その後辺42dが直線状となっており、その内辺(前辺)がU字状になっている。これら内辺のU字状は、詳しく言うと、U字状の中心部分がホルダ首部30の内側に相当する位置で途切れており、ホルダ首部30の下端からU字状の両側部分が左又は右に延長した後に、それぞれ円弧状に湾曲しながら後側に延長し、最後にそれぞれ左右方向の外側に鍔状に短く延長する形状となっている。
【0030】
また、ホルダ肩部40は、その部位として、詰替えパック9の上部をU字状に前後から挟むパック挟持部43と、ホルダ胴部50に連続すると共に詰替えパック9の上方を覆う隠蔽部44とを備えている。パック挟持部43に対して隠蔽部44が段差状に低く且つ外周側を囲む状態に形成されている。
【0031】
パック挟持部43は、前肩部41の前挟持部43aと、後肩部42の後挟持部43bとからU字状に構成される。前挟持部43aの内面と後挟持部43bの内面(対向面)が、それぞれU字状となり、突合せ面45となる。図12(イ)に示すように各突合せ面45は、左右方向に沿って延長する中央の横延び部45aと、左右の縦延び部45bと、横延び部45aと縦延び部45bを連続する円弧部45cとを備えている。
【0032】
隠蔽部44は、図2に示すように前肩部41の前隠蔽部44aと、後肩部42の後隠蔽部44bとから構成される。前隠蔽部44aはパック挟持部43よりも前側部分を形成し、その前辺41cは前述したように円弧状で、パック挟持部43よりも前側に膨らんでいる。一方、後隠蔽部44bはパック挟持部43よりも後側部分を形成し、その後辺42dは前述したように直線状であり、パック挟持部43の後側を塞いでいる。直線状といっても、図示の例では、厳密な直線ではなく、一見して直線と感じる程度に緩やかに湾曲している。
前隠蔽部44aと後隠蔽部44bは、U字状のパック挟持部43の両端よりも左右に張り出す前側縁部46aと後側縁部46bをそれぞれ備え、前体2と後体3の閉鎖状態では、これらの側縁部46a、46bが突き合わさる。
【0033】
ホルダ口部20、ホルダ首部30及びホルダ肩部40において、図6、図10又は図12に示すように前体2と後体3との突合せ面45には、詰替えパック9を挟むための凸リブ部47と、凸リブ部47に噛み合う凹溝部48とが分けて設けられている。凸リブ部47と凹溝部48とは、ホルダ口部20の上端からホルダ肩部40の円弧部45cまでそれぞれ連続している。
【0034】
ホルダ胴部50は、図1〜図5、図7又は図8に示すように、詰替えパック9を周囲(前後左右)から包囲する筒状である。より詳しく言えば、ホルダ胴部50は、ホルダ肩部40の外周全周から連続して垂下しており、ホルダ肩部40の外周部と同様の断面形状をした筒である。但し、ホルダ胴部50は、上部が、それよりも下側に比べて横幅を広くした形状をしている。
また、ホルダ肩部40と同様の断面形状を構成する前側部分である円弧状の前胴部51が前体2に、後側部分である平坦な後胴部52が後体3にそれぞれ形成されている。この前胴部51の前辺51c及び後胴部52の後辺52dが、前肩部41の前辺41c及び後肩部42の後辺42dと対応する形状をしている。さらに詳しく後胴部52の断面形状を言えば、左右方向に平坦な直線状部52aと、直線状部52aの左右端から前側に屈曲するように突出する後胴突合せ壁52bとを備えている。これら後胴突合せ壁52bの端面と前胴部51の端面が突合せ面45となる。また、下部において、前胴部51の端面には、内側を切除したような段差形状の薄肉部51fを有し、一方、後胴突合せ壁52bの端面には薄肉部51fに嵌る突片部52gを突出している。
なお、前胴部51と後胴部52の上部には前後に貫通する窓孔53がそれぞれ形成されており、窓孔53から詰替えパック9に記載された文字等が視認可能となっている。
【0035】
また、図7、図10又は図12に示すように、ホルダ胴部50の左右上部には前体2と後体3の閉鎖状態を保持するためのロック部70がそれぞれ設けられている。
ロック部70は、雄部71と雌部72を前後方向に移動させることによってスナップ式に嵌り合うものである。雄部71と雌部72は、前体2と後体3に分けて設けられ、図示の例では、雄部71が前体2に、雌部72が後体3にそれぞれ設けられている。
【0036】
雄部71は、前体2の後端から後側に延長する幹部71aと、幹部71aの先部に設けられる楔部71bとから構成される。楔部71bは、幹部71aに対して段差状に外側に張り出した後、後側に向かって先細りする形状である。
雌部72は、楔部71bが出入り可能な挿入孔72aを備える枠形状である。枠形状の外側部分が後胴突合せ壁52bから外側に突出しており、内側部分が後胴突合せ壁52bを内側に窪ませることによって形成されている。
雌部72に対して雄部71を押し込むと、合成樹脂の弾力性によって雄部71の楔部71bは瞬間的に内側に移動して雌部72の挿入孔72aを通り抜け、雄部71の復元力によって、楔部71bと雌部72とが係止する。また、逆の操作をすれば、係止が解除される。
【0037】
ホルダ底部60は、図4、図8又は図9に示すように、ホルダ胴部50の外周形状と同様の形状の平板である。また、平板の前側部分である半円状の前底部61と、後側部分である長方形状の後底部62とが前体2と後体3にはそれぞれ形成されており、前底部61と後底部62には両者を一体に繋げる連結片63が架け渡されている。
連結片63は薄肉で柔軟性を備えるものであり、その両端が前底部61と後底部62の底面に連続して設けられている。連結片63は、前体2と後体3の閉鎖状態では下側に向かって半円状に膨らむ形状となり、開口状態では略一直線に延びる形状となる。このように、連結片63が変形することによって前体2と後体3とが一体を保ちながら前後方向に開閉可能となる。
なお、ホルダ底部60は、連結片63を設ける箇所を段差状に上向きに窪ませてある。これによって、テーブル等の平面に詰替えパックホルダ1を置いた場合に、連結片63が平面に干渉せず、安定した設置状態になる。
【0038】
次に図15に示す液体噴射ポンプ8について説明する。液体噴射ポンプ8は、市販品(洗剤等が充填されたもの)のボトル状容器の口部に螺合可能なものであって、手動式のポンプである。液体を外部に吐出する操作を基準にして手動式のポンプを分類すると、少なくとも二つのタイプがある。一つは図15に示すように、ポンプのヘッド82を下方に押し込むタイプである。もう一つは、図示しないが、レバータイプ、即ち、ポンプのヘッド82に設けられたレバーを引くタイプである。また、手動式のポンプを、吐出する液体の状態によって分類すると、少なくとも三つのタイプがある。即ち、液状、霧状、又は泡状のタイプである。図中の液体噴射ポンプ8は、液状に液体を吐出するタイプであって、詰替えパック9の底に向かって挿入するホース81と、ホース81の上部に連続して設けられるヘッド82と、ホルダ口部20に連結するための固定キャップ83と、固定キャップ83の上側でヘッド82を連結するための取付部84と、ヘッド82の先部であって中から外部に液体を噴射するノズル85と、から構成されている。
【0039】
上述した詰替えパックホルダ1に対して、以下の(1)〜(7)の手順で液体噴射ポンプ8、詰替えパック9が取り付けられる。
(1)図12(イ)に示すように、詰替えパックホルダ1(前体2と後体3)を前後に開き、詰替えパック9を収容するための準備をする。
(2)図12(ロ)に示すように、開いた前体2と後体3の一方側、望ましくは前体2に詰替えパック9を入れる。
(3)次いで前体2と後体3を図13(イ)に示すように閉じ、ロック部70の雄部71を雌部72に嵌め込んで、詰替えパック9の上部をホルダ肩部40で挟む。このようにすると、軟質袋状の詰替えパック9は、その上部がU字状に曲げられた上で、凸リブ部47と凹溝部48との間に挟まれ、封止される。なお、図13(イ)では、詰替えパック9を明確に示すために、詰替えパックホルダ1の各部位を一点鎖線で示してある。
(4)図13(ロ)に示すように、詰替えパック9の袋口部(上辺部)92の切り離しが行われる。具体的には、図14(イ)(ロ)に示すように、ホルダ口部20の周囲について、袋口部92を図中の点線に沿ってハサミで切り離す。なお、図14では、ホルダ口部20の周囲だけ切り離しているが、詰替えパック9の袋口部92の全長に亘って切り離しても良い。
(5)図13(ハ)に示すように、ホルダ口部20の中で詰替えパック9は、上部切口において前後のシート91が二枚重なっている状態なので、重なっているシート91、91の間に指などを入れて袋開口93を形成する。
(6)図15に示すように液体噴射ポンプ8のホース81を、先の袋開口93に挿入し、ホルダ口部20に液体噴射ポンプ8の固定キャップ83を捩じ込むと、図16(イ)に示すように、取付けが完了する。
(7)図16(ロ)に示すように、液体噴射ポンプ8を使用するときには、液体噴射ポンプ8のヘッド82を回すと、ヘッド82と取付部84との連結が解除され、ホース81に内蔵された図示しないバネの弾性力によってヘッド82が上方に突出する。ヘッド82をバネに逆らって押し込むことにより、内溶液がノズル85から噴射される。
【0040】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、詰替えパックホルダ1のホルダ口部20の外径と、液体噴射ポンプ8の固定キャップ83の内径とが異なっている場合には、液体噴射ポンプ8が直に取付けられない。このような場合には、図示しないが、円筒状のアダプタを用い、ホルダ口部20と固定キャップ83との間にアダプタを介在させることによって、取付けを可能とするものであっても良い。
【0041】
また、例えば、詰替えパックホルダ1は、ホルダ首部30の無い形状であってもよく、この場合、ホルダ肩部40の上にホルダ口部20が連続して設けられる。なお、パック挟持部43は、平面視してU字状に湾曲しているが、それ以外に前後に湾曲していても良い。
【符号の説明】
【0042】
1詰替えパックホルダ
2前体
3後体
20ホルダ口部
21前口部、22後口部、23張出部
30ホルダ首部
40ホルダ肩部
41前肩部、41c前辺
42後肩部、42d後辺
43パック挟持部、43a前挟持部、43b後挟持部
44隠蔽部、44a前隠蔽部、44b後隠蔽部
45突合せ面、45a横延び部、45b縦延び部、45c円弧部
46a前側縁部、46b後側縁部
47凸リブ部
48凹溝部
50ホルダ胴部
51前胴部、51c前辺、51f薄肉部
52後胴部、52a直線状部、52b後胴突合せ壁、52d後辺、52g突片部
53窓孔
60ホルダ底部
61前底部、62後底部、63連結片
70ロック部
71雄部
71a幹部、71b楔部
72雌部、72a挿入孔
8液体噴射ポンプ
81ホース、82ヘッド、83固定キャップ、84取付部、85ノズル
9詰替えパック、91シート、92袋口部、93袋開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
詰替えパックの前側を覆う前体と後側を覆う後体を開閉可能に設け、
前体と後体は、突合わせた閉鎖状態において容器形状を形成すると共に、上から下に向かって順に、
液体噴射ポンプを取付けるホルダ口部と、
詰替えパックの上部を前後から挟持するホルダ肩部と、
詰替えパックの周囲を覆うホルダ胴部と、
詰替えパックを載せるホルダ底部と、を備え、且つ閉鎖状態を保持するロック部を設けてあり、
ホルダ口部は、前体の前口部と後体の後口部とが突き合わさって円筒状を形成し、
ホルダ肩部は、前体の前肩部と後体の後肩部とから構成され、前肩部及び後肩部は突合せ面の前側に前挟持部を、後側に後挟持部を設け、前挟持部と後挟持部によって詰替えパックの上部を挟持するパック挟持部を形成し、
パック挟持部は、平面視した場合に湾曲していることを特徴とする詰替えパックホルダ。
【請求項2】
パック挟持部は、平面視した場合に前側に向かって円弧状に膨らむU字状に湾曲し、
ホルダ口部は、平面視U字状に湾曲するパック挟持部の中間部に位置していることを特徴とする請求項1記載の詰替えパックホルダ。
【請求項3】
ホルダ胴部は、前体の前胴部と後体の後胴部とから構成され、
ホルダ肩部は、パック挟持部の外周側に、ホルダ胴部に連続する隠蔽部を備え、
隠蔽部は、前肩部の前隠蔽部と後肩部の後隠蔽部とから構成され、
前隠蔽部の前辺は、平面視U字状のパック挟持部より前側に膨らむ円弧状であって、
後隠蔽部の後辺は、パック挟持部の後側を塞ぐ直線状であることを特徴とする請求項2記載の詰替えパックホルダ。
【請求項4】
前体と後体とは、ホルダ底部に設けられた変形可能な連結片によって連続すると共に、合成樹脂製の一体成型品であって、
ホルダ胴部にロック部を設けてあることを特徴とする請求項1、2又は3記載の詰替えパックホルダ。
【請求項5】
前挟持部と後挟持部の対向面の一方側に凸リブ部を、他方側に凸リブ部と噛み合う凹溝部を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の詰替えパックホルダ。
【請求項6】
パック挟持部のU字状の突合せ面は、左右方向に沿って延長する中央の横延び部と、前後方向に沿って延長する左右の縦延び部と、横延び部と左右の縦延び部を連続する円弧部とから構成され、
凸リブ部と凹溝部が、横延び部と円弧部にのみ形成されることを特徴とする請求項5記載の詰替えパックホルダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−106756(P2012−106756A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256029(P2010−256029)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(510303707)有限会社ユタカ産業 (4)
【Fターム(参考)】