説明

詰替ラップフィルム包装体

【課題】省資源化、ゴミ削減、廃棄時の減容が容易といった環境問題に対応した簡易包装でありながらも、持ち運びが便利であり衛生的に且つ簡易に詰替作業を行うことができ、しかも、ラップフィルムの引出不良が抑制され包装材を簡易に除去することが可能な、使い勝手のよい詰替ラップフィルム包装体を提供すること。
【解決手段】筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムとこの巻回ラップフィルムの外周を巻きつけられた帯状シートとを備える詰替ラップフィルム包装体において、巻回ラップフィルムのラップフィルム巻き終端と帯状シートの一端とが厚み方向に重ね合わせられて接続された接続部を設け、この接続部の剥離力を、0°剥離力が0.2N以上、且つ、90°剥離力が0.0001N/10mm幅以上、10N/10mm幅以下の範囲内に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状シートを用いて巻回ラップフィルムを簡易包装した詰替ラップフィルム包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に家庭や飲食店等において、食品若しくはその加工品或いは調味料等の一時的な保存又は加熱処理等の際にラップフィルムが一般的に使用されている。この種のラップフィルムは、通常、紙製の筒状芯体の外周に巻回されて巻筒体(巻回ラップフィルム)とされている。そして、切断刃(カット刃)を備える紙製の直方体状の収納箱内に、かかる巻回ラップフィルムを収納したもの(ラップフィルム収納体)が、市場において広く流通及び販売されている。
【0003】
近年、環境問題への取り組みとして、詰替品の需要が高まっている。特に、日用品分野においては、顧客の環境問題への志向性が高く、また低価格化に繋がるとの期待が高いことから、その要望が年々高まってきている。そのため、省資源化、ゴミ削減、廃棄時の取り扱い性の向上等を図るべく、巻回ラップフィルムの詰替品について、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、特定の熱収縮性の合成樹脂フィルム・シートを用いてシュリンク包装した塩化ビニリデン系樹脂巻回ラップフィルムの緊縮包装体(シュリンク包装体)が記載されている。そして、かかる技術によれば、巻終り端からのフィルム引き出しを容易に且つ確実にでき、これにより、詰替用の巻回フィルムを簡易包装形態で安定供給できると記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、通気性を有する包袋を用いたラップフィルム包装体(ピロー包装体)が記載されている。そして、かかる技術によれば、自動包装及び自動箱詰の際に、複数の包装体の向きを変えずに適切に整列させることができ、また、複数の包装体を段ボール箱等の包装箱に適切に挿入及び充填できると記載されている。
【0006】
ところが、現在、ラップフィルムの詰替品(詰替用の巻回ラップフィルム)は、一部のメーカーで販売されているものの、市場において主流にはなっていない。その理由としては、簡易包装の解包及び解包後の詰め替えという不慣れな作業が求められる等、その取り扱いが面倒であり、また、詰替作業時にラップフィルムに触れざるを得ない構成となっている等、衛生面への不安があるためと考えられる。
【0007】
これらの問題を解決するため、特許文献3には、詰め替え用のロール状包装材料を収納するカートンであって、カートン本体を従来の切断手段を備えたロール状包装材料収納カートンの中に密接した状態で収納可能な形状及び寸法とした、詰め替え用ロール状包装材料収納カートンが記載されている。かかる技術によれば、蓋体を剥がした後にカートン本体ごと収納箱へ収納するだけで詰替作業を行うことができるので、巻回ラップフィルム及びラップフィルムを衛生的に保つことができると記載されている。
【0008】
また、特許文献4には、調理用シート物を巻芯に巻回したロール状シート物とロール状シート物を包装した包装体とを備え、包装体の少なくとも一端側とロール状シート物の巻き終端側とが接続されることにより、包装体の他端側の引っ張り操作に伴って、包装体がロール状シート物から剥されるとともに、ロール状シート物の巻き終端側が包装体の後端に続いて引き出されるように構成した調理用シート物品が記載されている。かかる技術によれば、箱体へ詰め替えて使用する操作を簡単に行うことのできると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3382687号公報
【特許文献2】特開平07−330024号公報
【特許文献3】特開2005−112376号公報
【特許文献4】特開2000−62842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献3に記載の技術は、詰替品として求められる省資源化、ゴミ削減、廃棄時の取り扱い性の向上等の効果が不十分であった。また、詰替後のラップフィルムの引き出しを現行商品(非詰替品)と同等にするためには、現行商品(非詰替品)と同様にカートン本体内で巻回ラップフィルムが容易に回転できなくてはならないので、カートン本体と巻回ラップフィルムとの間に一定のクリアランス(隙間)を設ける必要がある。そのため、かかる構成の詰替用ロール状包装材料収納カートンは、巻回ラップフィルムがカートン本体内で動いたり、クリアランスの存在によりカートン本体が撓んだりする等して、持ち運びが不便であり、それ故に、詰替作業が必ずしも簡便なものではなかった。しかも、詰替後、カートン本体内に収納されている巻回ラップフィルムの巻き終端をつかみ、これを引き出す際には、巻き終端が巻回ラップフィルムの外周やカートン本体の内壁に密着する等して、ラップフィルムの引き出しが困難になるトラブルが頻発し、ラップフィルムを無駄なく使用することができなくなる等、使い勝手において必ずしも満足できるものではなかった。
【0011】
また、上記特許文献4の技術は、詰替後に箱体からラップフィルムを引き出す際の使い勝手についての検討がなされておらず、特に、ラップフィルムの引出不良及び包装シートの簡易除去の観点から改良すべき余地があった。
【0012】
本発明は、かかる実情に鑑みて為されたものであり、その目的は、省資源化、ゴミ削減、廃棄時の減容が容易といった環境問題に対応した簡易包装でありながらも、持ち運びが便利であり衛生的に且つ簡易に詰替作業を行うことができ、しかも、詰替時に包装材を簡易に除去することができ、その上さらに、詰替後のラップフィルムの引出不良が抑制された、使い勝手のよい詰替ラップフィルム包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、巻回ラップフィルムのラップフィルム巻き終端とこの巻回ラップフィルムの外周に巻きつけられた帯状シート(包装材)の一端とが所定の接続状態で接続された詰替ラップフィルム包装体を採用することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、以下(1)〜(6)を提供する。
(1)筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムと、
前記巻回ラップフィルムの外周に巻きつけられた帯状シートと、を備え、
前記ラップフィルムのラップフィルム巻き終端と前記帯状シートの一端とが厚み方向に重ね合わせられて接続された接続部が設けられ、
前記接続部は、0°剥離力が0.2N以上であり、且つ、90°剥離力が0.0001N/10mm幅以上、10N/10mm幅以下である、ことを特徴とする
詰替ラップフィルム包装体。
(2)前記接続部は、0°剥離力が0.3N以上であり、且つ、90°剥離力が0.001N/10mm幅以上、1N/10mm幅以下である、
上記(1)に記載の詰替ラップフィルム包装体。
(3)前記接続部においては、前記ラップフィルムのラップフィルム巻き終端の内周面と前記帯状シートの外周面とが面するように重ね合わせられている、
上記(1)又は(2)に記載の詰替ラップフィルム包装体。
(4)前記帯状シートの他端は、前記巻回ラップフィルムのラップフィルム巻き終端の幅よりも幅狭に形成されている、
上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム包装体。
(5)前記帯状シートの外周面の動摩擦係数Dと、前記ラップフィルムの外周面の動摩擦係数Eとの関係が、D/E≦1.0である、
上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム包装体。
(6)前記巻回ラップフィルムの前記筒状芯体の両端には、略円形状のキャップが取り付けられ、
前記キャップの外径が、前記筒状芯体及びその外周に巻回された前記ラップフィルムの外径よりも大きい、
上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム包装体。
【発明の効果】
【0015】
本発明の詰替ラップフィルム包装体は、詰替時において、切断刃(カット刃)を備える収納箱内にそのまま収納することができ、また、帯状シートを引き出す操作にともなって巻回ラップフィルムからラップフィルム(ラップフィルム巻き終端)を収納箱の外方へ確実に引き出すことができるので、詰替作業を衛生的に且つ簡易に行うことができる。しかも、帯状シートの引き出し後においては、接続部から帯状シートを極めて容易に取り除くことができるので、ラップフィルム巻き終端が巻回ラップフィルムの外周や収納箱の内壁にひっかかったり密着したりする等の引出不良が抑制される。したがって、本発明の詰替ラップフィルム包装体によれば、ラップフィルムを無駄なく使用することができるとともに、使い勝手が格別に高められる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1を概略的に示す斜視図である。
【図2】本実施形態の巻回ラップフィルム11を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
図1及び図2は、本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1を概略的に示す斜視図及び巻回ラップフィルム11を概略的に示す斜視図である。
本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1は、詰替用の巻回ラップフィルム11と、この巻回ラップフィルム11の外周に巻きつけられた帯状シート31とを備える。巻回ラップフィルム11は、紙製又はポリエチレン等のプラスチック製の筒状芯体12の外周12aに、筒状芯体12の軸長さよりも幅狭のラップフィルム13を所定の数量分、巻きつけた(巻回した)ものである。筒状芯体12の両端には、巻回ラップフィルム11の外径(筒状芯体12の外径、及び、その外周に巻回されたラップフィルム13の外径のうち大きな方)よりも大きな外径を有する略円形状のキャップ41が取り付けられている。
【0019】
ラップフィルム13としては、無延伸フィルム、或いは、幅(TD)方向又はこれに直交する流れ(MD)方向の少なくとも一方向に延伸された延伸フィルムが一般的に用いられる。延伸フィルムは、一般的には、融点から結晶化温度以下に冷却した後、再度昇温し融点以下の温度で延伸するプロセスで高分子鎖を配向させることにより作製される。その延伸プロセスとして、例えば、サーキュラーダイを用いるダブルバブル延伸法、Tダイを用いたロール式延伸法、ロールとテンターを組み合わせて縦横両方向に延伸操作を行う逐次二軸延伸法或いは同時二軸延伸法等が例示されるが、これらに特に限定されず、当業界で公知の各種手法を適宜採用することができる。延伸フィルムは、極めて容易に引き裂けるという特性を有するので、これを用いることにより、使い勝手の向上が図られる。ここで、ラップフィルム13として延伸フィルムを用いる場合、流れ(MD)方向(フィルム面内において押出方向に対して平行な方向)又は幅(TD)方向(フィルム面内において押出方向に対して直交する方向)の少なくとも一方の延伸倍率が、1.5倍以上であることが好ましい。少なくとも一方の延伸倍率を1.5倍以上にすることにより、使用上十分なフィルム強度が得られ易く、また、フィルムの引裂強度が低くなる傾向にあるので、使用時のカット性が高められる。なお、ラップフィルム13として延伸フィルムを用いる場合、延伸フィルムの厚みは、特に限定されず、適宜設定可能であるが、通常、5〜30μmの範囲が好ましい。
【0020】
ラップフィルム13の具体例としては、特に限定されないが、例えば、塩素系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、及びエステル系樹脂フィルム等が挙げられる。ここで、塩素系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂及びポリ塩化ビニル系樹脂並びにこれらの混合物が挙げられる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリメチルペンテン系樹脂並びにこれらの混合物が挙げられる。エステル系樹脂の具体例としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂、ポリブチレンテレフタレートアジペート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンサクシネート系樹脂、ポリエチレンサクシネートアジペート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートサクシネート系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂及びポリグリコール酸系樹脂並びこれらの混合物が挙げられる。なお、ラップフィルム13は、上記の樹脂以外に、当業界で公知の各種添加剤、例えば、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、結晶核剤、分解防止剤、流動性調整剤、相溶化剤等を含んでいてもよい。
【0021】
なお、ラップフィルム13は、単層構造のものであっても、オレフィン系樹脂層とエステル系樹脂層とを積層した積層フィルムの様に、異なる系統の樹脂層を複数積層した積層構造のものであっても、組成の異なる同じ系統の樹脂層を複数積層した積層構造のものであってもよい。
【0022】
帯状シート31は、梱包、輸送、陳列、販売或いは保管等の際に使用される包装材である。本実施形態において、帯状シート31は、ラップフィルム13と略同幅で筒状芯体12の軸長さよりも幅狭の外形略矩形状に形成されており、その長さは巻回ラップフィルム11の外周長よりも長く設定されている(図2参照)。また、帯状シート31の一端31aには、ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13aが接続され、これにより、後述する接続部51が構成されている。
【0023】
帯状シート31の他端31b(ラップフィルム巻き終端13aとは反対側の端部)は、シート面を平面視したときに幅方向の中央が凸状となるように、ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13a及び帯状シート31の一端31aよりも幅狭に形成されている。このように帯状シート31の他端31bを幅狭に形成することにより、視認性が向上する。また、他端31bがつまみ易くなり、帯状シート31の引き出し時に帯状シート31の他端31bが収納箱に引っ掛かる引き出しトラブルを抑制できるとともに、帯状シート31の使用量を削減できるので省資源化が図られる。このように帯状シート31の他端31bを幅狭に形成する場合、帯状シート31の他端31bの幅△rは、特に限定されないが、帯状シート31の最大幅△Rに対して80%以下であることが好ましく、より好ましくは50%以下、さらにより好ましくは30%以下である。ここで、帯状シート31の他端31bは、図示の如く、幅方向の少なくとも一部が切り欠かれて凸状に形成されていることが好ましい。具体的には、帯状シート31の他端31bは、幅方向の両側部の少なくとも一部が10〜60°の範囲で切り欠かれて凸状に形成されていることがより好ましく、さらに好ましくは20〜50°の範囲である。なお、帯状シート31の他端31bの形状は、特に限定されず、帯状シート31の一端31aと同一形状であっても、帯状シート31の一端31aとは異なる形状、例えば、シート面を平面視したときに台形状、矩形状、三角形状、多角形状、円弧状、角錐状、円錐状、ひょうたん状、ヘラ状等であっても構わない。また、各形状における角部が面取り(R面取り)されていてもよく、さらに、つまみやすさを考慮し、最大の幅を超えない範囲で周囲よりも大きくてもよい。帯状シート31の他端31bに表示や色付けを施して、視認性を向上させてもよい。
【0024】
なお、帯状シート31の他端31bの幅△rの調整方法は、例えば、帯状シート31の他端31bを予め所定形状に成形する、矩形状の帯状シート31の他端31bの一部を直線状又は曲線状にカットする、矩形状の帯状シート31の他端31bの一部を折り曲げる等、任意の手法を適宜採用することができ、特に限定されない。
【0025】
帯状シート31を構成する包装材の具体例としては、特に限定されないが、例えば、プラスチック製包装材、紙製包装材、織物などの布製包装材、及びこれらを複合させたもの等が挙げられる。ここで、プラスチック製包装材としては、例えば、各種樹脂素材にて作製されたフィルム、シート、気泡シート、微発泡シート等が挙げられる。また、紙製包装材としては、例えば、クラフト紙、不織布、片面段ボール、段ボール、コートボール紙等が挙げられる。帯状シート31は、単層構造のものに限られず、他の素材をラミネートした様な積層構造を有するものであってもよい。すなわち、帯状シート31は、例えば、クラフト紙のような紙素材やポリエチレン又はレーヨン等の他のプラスチック素材を、必要に応じて、基材に貼り合わせたのであっても構わない。
【0026】
帯状シート31は、公知の手法により、耐水加工、印刷加工、エンボス加工等が施されたものであっても構わない。耐水加工の具体例としては、例えば、紙製包装材の表面にポリエチレンのようなものをラミネートする、紙製包装材の表面に耐水コートを施す、又は、紙製包装材自体に耐水性の素材を含浸させる等の手法が挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0027】
ラップフィルム13の引出性を高める観点から、帯状シート31は、ラップフィルム13よりも剛性が高いものであることが好ましい。帯状シート31の他端31bを把持して帯状シート31及びラップフィルム13を引き出す際には、巻回ラップフィルム11においてラップフィルム13は自身の粘着力により相互に密着した状態にあるので、ラップフィルム13同士の密着の引き剥がしをともなう。このとき、本発明者らの知見によれば、ラップフィルム13に加わる引出力は、ラップフィルム13の面内を伝わって放射状に働くので、帯状シート31の他端31bを把持した部分に最も近い部分(本実施形態ではラップフィルム13の幅方向の略中央)が最も強くなり、最も遠い部分(本実施形態ではラップフィルム13の両側(幅方向の両端))になるほど弱くなる。そのため、ラップフィルム13の両側(幅方向の両端)は、ラップフィルム13同士の引き剥がしに必要とされる引出力が伝わり難く、そのようなラップフィルム13に加わる引出力の相違によって、ラップフィルム13が裂ける等の引出トラブルが生じ易い。特に、帯状シート31を採用しない場合には、ラップフィルム13の両側(幅方向の両端)が自重により垂れてしまい、このような傾向が強くなるのみならず、自重により垂れたラップフィルム13の両側(幅方向の両端)が収納箱にひっかかる等の引出トラブルも引き起こす。したがって、ラップフィルム13よりも剛性が高い帯状シート31を採用することにより、帯状シート31の他端31bを把持して帯状シート31及びラップフィルム13を引き出す際に、ラップフィルム13の幅方向の全域にわたって引出力を均一に作用させることができ、また、自重で垂れにくくなるのでラップフィルム13の両側(幅方向の両端)が収納箱にひっかかる等の引出トラブルが抑制される。ここで、本明細書において、帯状シート31及びラップフィルム13の剛性は、以下に示すたわみ試験により測定されるものを意味する。まず、各種包装材あるいはブランクとしてラップフィルム13を幅20mm×長さ150mmに切り出し(引出方向に平行な方向を長さの方向とする)、長さ100mmの位置に印をつけて、サンプルを作製する。次に、平板の台にサンプルを載置し、台の端にサンプルの印を合わせて台から100mmはみ出すように配置する。そして、サンプルの先端が自重で垂れた長さを測定する。測定は5回行い、5個の平均値を算出し、この平均値を、たわみ量(mm)とする。たわみ量が少ないほど剛性が高く、一般的なラップフィルム13では、たわみ量は95〜100であり、帯状シート31のたわみ量がラップフィルム13のたわみ量よりも少なければ、剛性により引出性を向上させる効果が期待できる。帯状シート31のたわみ量としては、好ましくは90以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは70以下である。
【0028】
ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13aと帯状シート31の一端31aとは、厚み方向に重ね合わせられて接続され、これにより、接続部51が構成されている。より具体的には、ラップフィルム13の内周面と帯状シート31の外周面とが面するように、ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13aと帯状シート31の一端31aとが所定幅だけ重ね合わせられて接続することにより、接続部51が構成されている。
【0029】
接続部51におけるラップフィルム13と帯状シート31との接続方法は、特に限定されない。例えば、ラップフィルム13と帯状シート31との粘着力及び被着特性によるもの、糊或いは両面テープ等の接着剤或いは粘着剤を用いた接着(粘着)、ラップフィルム13と帯状シート31の熱融着、機械的又は物理的な噛み合わせ(例えば、ラップフィルム13と帯状シート31の双方を重ねて複数回共に折り返す、ラップフィルム13と帯状シート31の一端31aに切り込みを入れる等した後にそれらを相互に噛み合わせる或いは引っ掛ける等)等の方法を任意に採用することができる。これらの中でも、生産性及び経済性の観点から、ラップフィルム13本来の粘着力と帯状シート31の被着特性による接続が好ましい。この接続方法によれば、接続部51の形成が簡便であり、また、ラップフィルム13を収納箱から引き出した後に接着剤(粘着剤)や切れ込みを形成して接続を行う工程を省略できるので生産性が高められるとともに、接着剤(粘着剤)や噛み合わせによって使用できない部分(ラップフィルム13)を出さずに済むため、ラップフィルム13を無駄なく使用することができ、経済性が高められる。
【0030】
なお、本実施形態においては、ラップフィルム13と帯状シート31の略全幅に亘って接続部51が形成された態様を示したが、接続部51の形成範囲は、帯状シート31及びラップフィルム13の引き出しに必要な強度やコスト等のバランスを考慮して決定すればよい。したがって、ラップフィルム13と帯状シート31の幅方向に対して一部のみに接続部51を形成してもよい。また、接続部51は、ラップフィルム13と帯状シート31との接続が不連続に形成された、点付け等であってもよい。
【0031】
上述した接続部51は、0°剥離力が0.2N以上であり、且つ、90°剥離力が0.0001N/10mm幅以上、10N/10mm幅以下であることが必要とされる。
ここで、0°剥離力とは、ラップフィルム13と帯状シート31とを水平に配置した状態で相互に離間する方向へ引っ張り、その際に接続部51のラップフィルム13と帯状シート31とを剥離させるのに必要とされる力を意味する。本明細書では、0°剥離力は、可動ロードセルに接続したチャックにラップフィルム13を、もう一方の固定したチャックに帯状シート31を挟んだ後、可動ロードセルを稼動させて300mm/minの速度で引っ張り、このとき接続部51のラップフィルム13と帯状シート31とを剥離するのに必要とされる最大荷重(N)とする。
また、90°剥離力とは、ラップフィルム13と帯状シート31とを接続部51を基点として垂直に配置した状態でそのままラップフィルム13と帯状シート31との角度が略90°を保つように各々を引っ張り、その際に接続部51のラップフィルム13と帯状シート31とを剥離させるのに必要とされる力を意味する。本明細書では、90°剥離力は、幅10mm×長さ100mmにサンプリングした接続部51を用い、可動ロードセルに接続したチャックにラップフィルム13を、もう一方の(スライド)ステージに帯状シート31を貼り付け、ラップフィルム13と帯状シート31が常に略90°を保つように稼動する冶具に設置した後、可動ロードセルを稼動させて300mm/minの速度で引っ張り、このとき接続部51のラップフィルム13と帯状シート31とを剥離するのに必要とされる最大荷重(N/10mm幅)とする。
【0032】
上記の剥離力を有する接続部51を採用することにより、詰替ラップフィルム包装体1を収納箱へ収納した後に帯状シート31を引き出す際には、帯状シート31とラップフィルム13との接続が確実に保持され、帯状シート31の引き出しに続いてラップフィルム13を引き出すことができる。しかも、帯状シート31とラップフィルム13の引き出し後においては、帯状シート31とラップフィルム13とをねじる、ひねる、或いは、撓ませる等することにより帯状シート31とラップフィルム13とを容易に剥離させることができる。
【0033】
一方、接続部51の0°剥離力が0.2N未満の場合は、帯状シート31とラップフィルム13との接続が弱く、詰替ラップフィルム包装体1を収納箱へ収納した後に帯状シート31を引き出す際に帯状シート31のみが引き出されるトラブルが発生し易くなる傾向にある。したがって、接続部51の0°剥離力が0.2N未満のものは、本実施形態の如く詰替ラップフィルム包装体1ごと収納箱に収納し、その後に帯状シート31を取り除く態様において不適である。接続部51の0°剥離力は、帯状シート31とラップフィルム13の引き出しの観点から、大きい方が好ましい。具体的には、0.3N以上であることが好ましく、0.35N以上であることがより好ましい。なお、接続部51の0°剥離力の上限は、特に限定されない。通常、接続部51の0°剥離力を高めると、90°剥離力も大きくなる傾向にあり、また、生産性及び経済性を低下させ得るので、これらのバランスを考慮し、面積や幅等を調整する等して、接続部51の0°剥離力の上限を必要最低限に抑えることが好ましい。
【0034】
他方、接続部51の90°剥離力が10N/10mm幅を超えると、帯状シート31とラップフィルム13との接続が強すぎ、帯状シート31とラップフィルム13との剥離を容易に行うことができず、使い勝手が悪化する傾向にある。したがって、接続部51の90°剥離力が10N/10mm幅を超えるものは、本実施形態の如く詰替ラップフィルム包装体1ごと収納箱に収納し、その後に帯状シート31を取り除く態様において不適である。一方、接続部51の90°剥離力が0.0001N/10mm幅未満の場合は、接続部51の0°剥離力を0.2N以上に維持することが困難な傾向にある。また、詰替ラップフィルム収納体1を収納箱へ収納した後に帯状シート31を引き出す際にラップフィルム13が帯状シート31の自重でラップフィルム13と帯状シート31が剥離してしまうおそれがある。これらの観点から、接続部51の90°剥離力は、0.0005N/10mm幅以上、5N/10mm幅以下であることが好ましく、0.001N/10mm幅以上、1N/10mm幅以下であることがより好ましく、0.002N/10mm幅以上、0.5N/10mm幅であることがさらに好ましい。
【0035】
上記の剥離力を有する接続部51の作製例について説明する。ラップフィルム13本来の粘着力と帯状シート31の被着特性による好ましい接続例として、例えば、ラップフィルム13と帯状シート31としてのクラフト紙とを用い、クラフト紙の端部に樹脂成分をラミネート或いはコートしてこの樹脂成分を介してラップフィルム13と帯状シート31とを接続(接着、粘着)する方法が挙げられる。より具体的には、ラップフィルム13として旭化成ホームプロダクツ株式会社製のサランラップ(登録商標)を用いた場合、クラフト紙にラップフィルム13と同様の成分、例えばポリ塩化ビニリデン系或いはポリ塩化ビニル系のフィルムを貼り付けたり、クラフト紙にポリ塩化ビニリデン系或いはポリ塩化ビニル系のコーティング剤をコートしたりすることにより、又は、アクリル系のUV硬化ニスやウレタン系樹脂をコートすることにより、上記の剥離力を有する接続部51を容易に得ることができる。
【0036】
本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1において、帯状シート31の外周表面の動摩擦係数Dと上記のラップフィルム13の外周面の動摩擦係数Eとの関係が、D/E≦1.0を満たすことが好ましい。
ここで、本明細書において、帯状シート31の外周面の動摩擦係数Dとは、以下の測定方法によって算出される値を意味する。まず、長さ250mm、幅300mmmの帯状シート31を、帯状シート31の外周面となる面が露出するように、アクリル板に貼り付ける。また、収納箱用原紙(王子板紙株式会社製、コートボール紙、サンコート(登録商標)11号)を、収納箱の内面となる面が露出するように、重さ500gで底面が40mm×120mmの長方形であるライダーに貼り付ける。次に、帯状シート31の外周面となる面と収納箱の内面となる面とが接するように、水平で平滑な台の上で、アクリル板に貼り付けた帯状シート31の上にライダーを載せる。この状態で、ライダーの長手方向に1.0m/minで100mmライダーを水平方向に移動し、このときライダーにかかる荷重を読み取る。そして、ライダーが動いているときの平均荷重(g)/ライダーの重さ(g)を、動摩擦係数Dとする。
一方、ラップフィルム13の外周面の動摩擦係数Eとは、以下の測定方法によって算出される値を意味する。帯状シート31の代わりにラップフィルム13を用い、ラップフィルム13の外周面となる面が露出するようにアクリル板に貼り付けること以外は、上記の帯状シート31の外周面の動摩擦係数Dと同条件で測定する。
【0037】
上記D/Eの関係が1.0以下であると、巻回ラップフィルム11が収納箱内で回転しやすく、帯状シート31の引出性の改善効果が期待できる。また、巻回ラップフィルム11と収納箱との摩擦力が小さいので、接続部51に印加される力が軽減され、そのため、帯状シート31の引き出し中に接続部51が剥離する等の引き出しトラブルが起こり難くなる。収納箱の内面とラップフィルム13の動摩擦係数は、通常0.35〜0.44にあるものが多いので、帯状シート31として、これより低い素材を選定することが好ましい。例えば、クラフト紙は、かかる動摩擦係数が0.30〜0.35にあるものが多く、このようなクラフト紙を帯状シート31として用いることにより、未包装状態よりも動摩擦係数を低くすることができ、その結果、巻回ラップフィルム11が収納箱内で回転しやすく、引出性の改善効果が期待できる。また、帯状シート31のシート表面にエンボス加工やラミネート加工等を施して動摩擦係数を低くすることによっても、帯状シート31の引出性の改善が期待できる。なお、動摩擦係数を低くする方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法を適宜採用することができる。
【0038】
本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1は、ラップフィルム13及び帯状シート31に所定のテンションをかけながら筒状芯体12の外周12aに順次巻きつけることにより得ることができる。このとき、接続部51の形成は、筒状芯体12の外周12aにラップフィルム13を巻きつける前であっても、筒状芯体12の外周12aにラップフィルム13を巻きつけた後であっても構わない。巻回ラップフィルム11(ラップフィルム13)を確実に保護する観点から、帯状シート31を巻回ラップフィルム11の外周に1〜3周程度巻きつけることが好ましい。
【0039】
巻回ラップフィルム11の外周に巻きつけられた帯状シート31は、巻きほどきを防止するために、必要に応じて固定される。帯状シート31の固定方法としては、例えば、紙テープ留め、粘着テープ留め、糊留め、熱シール、高周波シール、ポリエチレン等のプラスチックフィルムによる包装、帯状シート31の巻き終端部を別途形成した切れ目に差し込む等の公知の方法を適宜用いることができ、特に限定されない。なお、固定用のテープや包装材の視認性を向上させるとともに、それらの把持を容易にして取り扱い性を高める目的で、固定用のテープや包装の一部を浮かせた状態で固定してもよい。また、帯状シート31の巻き終端部の視認性を向上させるとともに、帯状シート31の把持を容易にして取り扱い性を高める目的で、帯状シート31の巻き終端部を避けて糊留めやシールすることにより帯状シート31の巻き終端部を浮かせた状態で固定してもよい。
【0040】
巻回ラップフィルム11の筒状芯体12の両端には、略円形状のキャップ41が取り付けられている。キャップ41は、巻回ラップフィルム11の外径(筒状芯体12の外径、及び、その外周に巻回されたラップフィルム13の外径のうち大きな方)よりも大きな外径を有することが好ましい。このような外径を有するキャップ41を取り付けると、収納箱内における巻回ラップフィルム11の回転がスムーズになる傾向にあり、帯状シート31及びラップフィルム13の引出性が改善される。また、詰替ラップフィルム包装体1が輸送時等において外部から衝撃を受けた場合、包装内の巻回ラップフィルム11の表面や両端部に傷が入りやすく、引出時或いは使用時に帯状シート31やラップフィルム13を引き出す際に、その傷からラップフィルム13が裂けたりちぎれたりする等のトラブルが生じ得る。しかしながら、このように巻回ラップフィルム11の外径よりも大きな外径を有するキャップ41を取り付けることにより、外部からの衝撃をキャップ41及び筒状芯体12に受け止めさせることができるので、巻回ラップフィルム11を保護する効果も期待できる。より具体的には、キャップ41の外径は、巻回ラップフィルム11の外径の直径以上、直径+5mm未満の範囲であることが好ましく、より好ましくは巻回ラップフィルム11の外径の直径以上、直径+3mm未満の範囲であり、さらに好ましくは巻回ラップフィルム11の外径の直径以上、直径+2mm未満の範囲である。キャップ41の外径をこれらの範囲内に設定すると、収納箱の過度の大型化を抑制することができる。
【0041】
なお、キャップ41の形状は、収納箱内での回転性を損なわなければ、円形状の一部が欠けた歯車形状のようなものでも、真円ではない楕円のような形状であってもかまわない。このようなキャップを用いることで、箱入り引出力を低減させることができる。また、キャップ41の取付方法は、特に限定されず、例えば、筒状芯体12に差し込む、筒状芯体12に嵌めこむ、筒状芯体12の周りに装着する等のいずれであってもよい。さらに、キャップ41の材質は、ポリプロピレン等のプラスチックや紙等、公知の素材を適宜採用することができ、特に限定されない。収納箱の内面との摩擦係数が低い材質を用いることにより、帯状シート31及びラップフィルム13の引出性を向上させることができる。
【0042】
本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1を用いて巻回ラップフィルム11を収納箱へ詰め替える作業は、通常、以下のようにして行う。まず、カット刃を備える収納箱内に詰替ラップフィルム包装体1を収納する。その後、帯状シート31の他端31bをつかんで収納箱の外方へ帯状シート31を引き出す。このとき、ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13aと帯状シート31の一端31aとが接続部51を介して接続されているので、帯状シート31の引き出しに続いて接続部51及びラップフィルム13が引き出される。その後、接続部51の帯状シート31とラップフィルム13との接続を剥離させ、帯状シート31を取り除く。なお、ラップフィルム13の使用時には、一般的には、収納箱内の巻回ラップフィルム11からラップフィルム13を引き出し、カット刃を用いて所望の量だけ切断する。
【0043】
なお、通常、収納箱は、使用時にラップフィルム13が上から(収納箱の蓋部に近接するルートで)繰り出されるように、巻回ラップフィルム11を収納するように設計されていることが多い。そして、詰替品の特性上、詰替ラップフィルム包装体1の収納箱内への収納は、消費者が行う機会が多い。そのため、かかる収納において、使用時にラップフィルム13が下から(収納箱の底部に近接するルートで)繰り出されるように、謂わば設計思想と相反する態様で詰替ラップフィルム包装体1が収納され得る。このようにラップフィルム13の繰り出し位置が上下逆の状態に詰替ラップフィルム包装体1を収納される(以降において、「誤収納」ともいう。)と、種々のトラブルが生じ易くなる。具体的には、例えば、ラップフィルム13をカットした後でラップフィルム巻き終端部13aが自重によって自然に収納箱内に巻き戻る現象が生じ易くなり、ラップフィルム巻き終端部13aが巻回ラップフィルム11の最外周に密着する等して、ラップフィルム巻き終端13aをつかみ難くなる等、次に使用する際の使い勝手を悪化させる。また、収納箱内に巻き戻ったラップフィルム巻き終端部13aをつかむ際には、収納箱に付属するカット刃で手を傷つけるおそれもある。このようなトラブルを回避するためには、帯状シート31の外周面に、この帯状シート31によって包装される巻回ラップフィルム11のラップフィルム13の巻回方向を表示すること、あるいは詰替ラップフィルム包装体1の収納箱への収納方向を表示することが好ましい。このような表示を行えば、詰替ラップフィルム包装体1の詰替時の収納方向を注意喚起することができ、詰替ラップフィルム包装体1の誤収納を確実に防止することができる。ここで、巻回方向や収納方向の表示方法は、特に限定されるものではなく、例えば、帯状シート31の外周面に印刷加工を施す等の公知の手法を採用することができる。また、確実性を高める目的で、幅方向において非対称な表示を収納箱と帯状シート31にそれぞれ設け、詰替ラップフィルム包装体1を収納箱内に収納する際に各々の表示を一致させて収納することを喚起してもよい。なお、帯状シート31の外周面に上記の表示を施す場合、帯状シート31を除去した後に巻回ラップフィルム11を収納箱に収納(詰替)する態様では帯状シート31の除去後の取り扱いによっては誤収納(誤詰替)を引き起こし得る。そのため、本実施形態の如く詰替ラップフィルム包装体1ごと収納箱に収納し、その後に帯状シート31を引き出して取り除く態様において、かかる表示を行うことによって、詰替ラップフィルム包装体1の誤収納(誤詰替)が初めて確実に防止される。
【0044】
さて、上記の通り、本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1は、そのまま収納箱へ収納して詰替作業を行えるように構成されているので、衛生的に且つ簡易に詰替作業を行うことができる。また、帯状シート31に包装された状態で巻回ラップフィルム11を収納箱内に収納するので、収納箱やカット刃との接触による巻回ラップフィルム11の傷つきを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、所定の0°剥離力及び90°剥離力を有する接続部51、換言すれば、帯状シート31とラップフィルム13の引出方向の接続が強く、帯状シート31とラップフィルム13の引き離し方向の接続が弱い接続部51を採用している。そのため、帯状シート31の引き出しに続いてラップフィルム13の引き出しを確実に行うことができ、ラップフィルム13の引出時に接続部51の帯状シート31とラップフィルム13が剥離する引出トラブルが抑制される。したがって、ラップフィルム巻き終端13aが巻回ラップフィルム11の外周や収納箱の内壁に密着する等して、ラップフィルム13の引き出しが困難になるトラブルが抑制される。また、ラップフィルム13の引出後においては帯状シート31とラップフィルム13との剥離を簡易に行うことができ、帯状シート31を容易に除去することもできる。
【0046】
しかも、本実施形態の詰替ラップフィルム包装体1においては、ラップフィルム巻き終端13aと帯状シート31の一端31aとを、ラップフィルム13の内周面と帯状シート31の外周面とが面するように所定幅だけ重ね合わせて接続部51を構成している。このように、ラップフィルム13の下面に帯状シート31を配した構成を採用することにより、帯状シート31を引き出す際に、自身の本来の粘着力により巻回ラップフィルム11の外周面に貼りついたラップフィルム13を、容易に剥がすことができる。したがって、従来に比して小さな力(0°剥離力)で帯状シート31及びラップフィルム13を引き出すことができる。また、帯状シート31とラップフィルム13とを剥離させる際には、帯状シート31とラップフィルム13とを引き離す方向に作用する、例えば、ラップフィルム13に対して帯状シート31を垂直にねじる、ひねる、或いは、撓ませる等することにより、これらを極めて容易に剥離させることができる。
【0047】
また、本実施形態においては、他端31bがシート面を平面視したときに幅方向の中央が凸状となるように形成された剛性が高い帯状シート31を採用している。そのため、帯状シート31の他端31bを把持して帯状シート31及びラップフィルム13を引き出す際には、ラップフィルム13の幅方向の全域にわたって引出力を均一に作用させることができ、また、自重で垂れにくくなるのでラップフィルム13の両側(幅方向の両端)が収納箱にひっかかる等の引出トラブルが抑制される。
【0048】
以上詳述した通り、本実施形態の詰替ラップフィルム包装体は、省資源化、ゴミ削減、廃棄時の減容が容易といった環境問題に対応した簡易包装でありながらも、持ち運びが便利で使い勝手が高められたものであり、その上さらに、衛生的に且つ簡易に詰替作業を行うことができ、しかも、詰替時に包装材を簡易に除去することができ、その上さらに、詰替後のラップフィルムの引出不良を抑制することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
まず、実施例及び比較例における測定方法及び評価基準方法について説明する。
(1)0°剥離力
実施例及び比較例の詰替ラップフィルム包装体1を引き出し、引張試験機の可動ロードセルに接続したチャックにラップフィルム13を、もう一方の固定したチャックに帯状シート31を挟んだ後、可動ロードセルを稼動させて300mm/minの速度で引っ張り、このとき接続部51のラップフィルム13と帯状シート31とを剥離するのに必要な最大荷重(N)を測定した。測定は、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿下で5回実施し、その平均値を0°剥離力(N)として採用した。また、実施例及び比較例の詰替ラップフィルム包装体1を収納箱(旭化成ホームプロダクツ株式会社製、30cm×50m銘柄のサランラップ(登録商標))に収納した後、帯状シート31の他端31bを把持して帯状シート31及びラップフィルム13を引き出す試験を実施し、その際のラップフィルム13の引出性及び引出量を目視で観察した(ラップ引出量)。
<ラップ引出量>
○:任意の量のラップフィルム13を収納箱の外に引き出せる
△:ラップフィルム13を収納箱の外に引き出せるが、引出量の調整が困難
×:ラップフィルム13を収納箱の外に引き出せない
【0051】
(2)90°剥離力
実施例及び比較例の詰替ラップフィルム包装体1を引き出し、中央に接続部51を有する幅10mm×長さ100mmの長方形のサンプル(一端がラップフィルム13であり他端が帯状シート31であり中央に全幅にわたって接続部51を有する短冊状のもの)を切り出し、測定用のサンプルを作製した。そして、これらのサンプルを用い、引張試験機の可動ロードセルに接続したチャックにラップフィルム13を、もう一方の(スライド)ステージに帯状シート31を貼り付け、ラップフィルム13と帯状シート31の引張方向が常に略90°を保つように可動する冶具を帯状シート31に設置した後、可動ロードセルを稼動させてラップフィルム13と帯状シート31とを各々300mm/minの速度で略90°方向に引っ張り、このとき接続部51のラップフィルム13と帯状シート31とを剥離するのに必要な最大荷重(N/10mm幅)を測定した。測定は、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿下で5回実施し、その平均値を90°剥離力(N/10mm幅)として採用した。
【0052】
(3)たわみ試験
実施例で用いた帯状シート31及び比較例で用いたラップフィルム13(ブランク)と同じ包装材を幅20mm×長さ150mmに切り出し(引出方向に平行な方向を長さの方向とした)、長さ100mmの位置に印をつけて、それぞれ測定用のサンプルを作製した。次に、平板の台にサンプルを載置し、台の端にサンプルの印を合わせて台から100mmはみ出すように配置する。そして、サンプルの先端が自重で垂れた長さを測定した。測定は、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿下で5回実施し、その平均値をたわみ量(mm)として採用した。
【0053】
(4)動摩擦係数
実施例で用いた帯状シート31及び比較例で用いたラップフィルム13(ブランク)と同じ包装材を長さ250mm、幅300mmmに切り出し、それぞれ測定用のサンプルを作製した。そして、帯状シート31の外周面となる面が露出するように、アクリル板にサンプルを貼り付けた。一方、収納箱用原紙(王子板紙株式会社製、コートボール紙、サンコート(登録商標)11号)を、収納箱の内面となる面が露出するように、重さ500gで底面が40mm×120mmの長方形であるライダーに貼り付けた。次に、帯状シート31の外周面となる面と収納箱の内面となる面とが接するように、水平で平滑な台の上で、アクリル板に貼り付けたサンプルの上にライダーを載せた。この状態で、ライダーの長手方向に1.0m/minで100mmライダーを水平方向に移動し、ライダーが動いているときにライダーにかかる荷重を読み取った。測定は、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿下で5回実施し、その平均値を平均荷重(g)とし、平均荷重(g)/ライダーの重さ(g)の値を求めて、動摩擦係数Dを算出した。
一方、ラップフィルム13の外周面の動摩擦係数Eは、帯状シート31の代わりにラップフィルム13を用い、ラップフィルム13の外周面となる面が露出するようにアクリル板に貼り付けること以外は、上記の帯状シート31の外周面の動摩擦係数Dと同条件で測定した。ラップフィルム13の外周面の動摩擦係数Eは、0.44であった。
【0054】
(5)箱入り引出力
実施例及び比較例の詰替ラップフィルム包装体1を、ラップフィルム13が上から(収納箱の蓋部に近接するルートで)繰り出されるように、収納箱(旭化成ホームプロダクツ株式会社製、30cm×50m銘柄のサランラップ(登録商標))に収納し、この状態で、帯状シート31の他端31bを冶具にて把持し、1000mm/minの速度で帯状シート31及びラップフィルム13を引き出し、このとき、帯状シート31及びラップフィルム13の引き出しに必要とされる荷重を測定した。測定は、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿下で5回実施し、その平均値を引出力(N)として採用した。
【0055】
(6)引出性
実施例及び比較例の詰替ラップフィルム包装体1を、ラップフィルム13が上から(収納箱の蓋部に近接するルートで)繰り出されるように、収納箱(旭化成ホームプロダクツ株式会社製、30cm×50m銘柄のサランラップ(登録商標))に収納し、それぞれサンプルを作製した。このサンプルの40名のモニターに配布し、帯状シート31及びラップフィルム13の引出性(引き出し易さ(引き出しの負担感)、引出トラブルの発生)について調査した。
なお、負担感については、帯状シート31を使用していない未包装状態のもの(表5中に(参考)として付したもの)との比較とし、以下の基準にしたがって、帯状シート31を引き出す際の重さを官能評価してもらい、その平均値(相加平均)を最終評価とした。
また、引出トラブルについては、帯状シート31を引き出した後、接続部51のラップフィルム13と帯状シート31とを剥離した際に、ラップフィルム13又は帯状シート31の引っかかりが生じた人数をカウントし、その総数に基づいて、以下の基準にしたがって評価した。トラブルが発生した人数を評価結果とした。
<負担感>
◎ :かなり軽いと感じる
○ :少し軽いと感じる
△ :同程度と感じる
× :少し重いと感じる
<引出トラブル>
◎ : 0〜 2名(引っ掛かりがほとんど生じない)
○ : 3〜 5名(引っ掛かりがあまり生じない)
△ : 6〜10名(引っ掛かりがたまに生じる)
× :11〜15名(引っ掛かり易い)
××:15〜40名(引っ掛かりが頻繁に生じる)
【0056】
[実施例1]
まず、表1に示す長さ25cm、幅30.5cmの包装材1を用い、表2の形態1に示すように、この包装材1の長さ方向の端部を角度α=70°で2箇所切り落として、幅△rが25.9cm(一端31aの幅△R=30.5cmの85%に相当)の平面凸状の他端31bを形成し、これにより、実施例1の帯状シート31を得た。巻回ラップフィルム11としては、旭化成ホームプロダクツ株式会社製、30cm幅×50m銘柄のサランラップ(登録商標)を用いた。
次に、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを、図2に示すように、ラップフィルム13の内周面と帯状シート31の外周面とが面するように重ね合わせ、その重ね合わせ部を、長さ29cm(帯状シート31の幅方向に相当)、幅1cm(帯状シート31の引出方向に相当)に切断したニチバン株式会社製、両面テープ(ナイスタック(登録商標)、NW−10)を用いて接続して、幅1cmの接続部51を形成した。
その後、巻回ラップフィルム11に帯状シート31を1.5周分巻きつけ、固定用のテープを用いて帯状シート31を固定(テープ留め)することにより、表3に示す実施例1の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表6に、得られた実施例1の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0057】
[実施例2]
包装材1の代わりに表1に示す長さ25cm、幅30.5cmの包装材2を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2の帯状シート31を得た。
また、実施例1の帯状シート31の代わりに実施例2の帯状シート31を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例2の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表6に、得られた実施例2の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0058】
[実施例3]
包装材1の代わりに表1に示す長さ25cm、幅30.5cmの包装材3を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例3の帯状シート31を得た。
また、実施例1の帯状シート31の代わりに実施例3の帯状シート31を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例3の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表5〜表6に、得られた実施例3の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0059】
[実施例4]
包装材1の代わりに表1に示す長さ25cm、幅30.5cmの包装材4を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例4の帯状シート31を得た。
また、実施例1の帯状シート31の代わりに実施例4の帯状シート31を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例4の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表5〜表6に、得られた実施例4の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0060】
[実施例5]
両面テープの代わりにアクリル系UV硬化ニスを用い、このアクリル系UV硬化ニスを重ね合わせ部に板状に塗布(両面テープと同形状(引出方向に1cm、幅方向に29cm)の板状に塗布)し、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを接続して、幅1cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例5の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた実施例5の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0061】
[実施例6]
両面テープの代わりにアクリル系UV硬化ニスを用い、このアクリル系UV硬化ニスを重ね合わせ部に格子状に塗布(両面テープと同形状(引出方向に1cm、幅方向に29cm)の枠状に、1cm幅、1cm間隔で塗布)し、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを接続して、幅1cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例6の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた実施例6の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0062】
[実施例7]
両面テープの代わりに長さ29cm、幅1cmに切断したPVDCテープ(旭化成ホームプロダクツ株式会社製のサランラップ(登録商標)の裏面にニチバン株式会社製の両面テープ(ナイスタック(登録商標)、NW−10)を貼り付けたもの)を用いて、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを接続して(PVDCテープの両面テープ側を帯状シートに貼り付ける)、幅1cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例7の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた実施例7の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0063】
[実施例8]
両面テープの代わりに長さ29cm、幅1cmに切断したビニルテープ(ニチバン株式会社製、ビニルテープVT−19、19mm幅品)を用いて、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを接続して、幅1cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例8の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた実施例8の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0064】
[実施例9]
両面テープの代わりに長さ29cm、幅0.5cmに切断したビニルテープ(ニチバン株式会社製、ビニルテープVT−19、19mm幅品)を用いて、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを接続して、幅0.5cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例9の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた実施例9の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0065】
[実施例10]
両面テープの代わりに長さ5cm、幅1cmに切断したビニルテープ(ニチバン株式会社製、ビニルテープVT−19、19mm幅品)を用いて、このビニルテープを帯状シート31の一端31a(ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13a)の幅方向両端の2箇所に貼り付け、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを部分的に接続して、幅1cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例10の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた実施例10の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0066】
[実施例11]
両面テープの代わりに長さ1cm、幅0.5cmに切断したビニルテープ(ニチバン株式会社製、ビニルテープVT−19、19mm幅品)を用いて、このビニルテープを帯状シート31の一端31a(ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13a)の幅方向略中央に貼り付け、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを部分的に接続して、幅0.5cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例11の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた実施例11の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0067】
[実施例12〜18]
表2の形態2〜8に示すように、包装材1の長さ方向の端部を表2の記載の角度で2箇所切り落として、表2の記載の最大幅比率(%)Δr/ΔRを有する平面凸状の他端31bをそれぞれ形成し、これにより、実施例12〜18の帯状シート31を得た。
そして、実施例1の帯状シート31の代わりに実施例12〜18の帯状シート31を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例12〜18の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表5〜表6に、得られた実施例12〜18の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0068】
[実施例19]
実施例1の帯状シート31の代わりに、表1に示す長さ25cm、幅30.5cmの包装材1(長さ方向の端部の切り落としを行っていないもの)をそのまま実施例19の帯状シート31として用いること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す実施例19の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表5〜表6に、得られた実施例19の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0069】
[実施例20]
実施例2の詰替ラップフィルム包装体1の巻回ラップフィルム11の筒状芯体12の両端に、外径44mmの新円状のキャップで筒状芯体12への差込部が外径29.5mmであるポリプロピレン(PP)製のキャップをそれぞれ取り付けて、表3に示す実施例20の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表5〜表6に、得られた実施例20の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。
【0070】
[比較例1]
包装材1の代わりに表1に示す長さ25cm、幅30.5cmの包装材5を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す比較例1の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表6に、得られた比較例1の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。なお、この比較例1の詰替ラップフィルム包装体1においては、引出力が過大であり、引出性に劣るものであった。
【0071】
[比較例2]
両面テープを用いた接続を省略して帯状シート31を巻きつけること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す比較例2の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた比較例2の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。なお、この比較例2の詰替ラップフィルム包装体1においては、帯状シート31を引き出す際に、帯状シート31のみが引き出され、ラップフィルム13を連続して引き出すことができなかった。
【0072】
[比較例3]
両面テープの代わりに長さ0.15cm、幅1cmに切断したPVDCテープ(旭化成ホームプロダクツ株式会社製のサランラップ(登録商標)の両面にニチバン株式会社製の両面テープ(ナイスタック(登録商標)、NW−10)を貼り付けたもの)を用い、このPVDCテープを帯状シート31の一端31a(ラップフィルム13のラップフィルム巻き終端13a)の幅方向略中央に貼り付け、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを部分的に接続して、巻回ラップフィルム11のラップフィルム巻き終端13aと実施例1の帯状シート31の一端31aとを接続して、幅1cmの接続部51を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、表3に示す比較例3の詰替ラップフィルム包装体1を得た。
表4〜表5に、得られた比較例3の詰替ラップフィルム包装体1の評価結果を示す。なお、この比較例3の詰替ラップフィルム包装体1においては、帯状シート31を引き出す際に、帯状シート31のみが引き出され、ラップフィルム13を連続して引き出すことができなかった。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0079】
以上詳述したとおり、本発明の巻回ラップフィルムの包装体は、詰替用巻回ラップフィルムの簡易包装として、衛生性や使い勝手性(最初の引出時の視認性、軽い力で引き出せること、ラップフィルムを剥がしやすくすること、余計なゴミの削減)を向上した巻回ラップフィルムの包装体として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1…詰替ラップフィルム包装体、11…巻回ラップフィルム、12…筒状芯体、12a…外周、13…ラップフィルム、13a…ラップフィルム巻き終端、31…帯状シート、31a…一端、31b…他端、41…キャップ、51…接続部、△r…幅、△R…幅、α…角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムと、
前記巻回ラップフィルムの外周に巻きつけられた帯状シートと、を備え、
前記ラップフィルムのラップフィルム巻き終端と前記帯状シートの一端とが厚み方向に重ね合わせられて接続された接続部が設けられ、
前記接続部は、0°剥離力が0.2N以上であり、且つ、90°剥離力が0.0001N/10mm幅以上、10N/10mm幅以下である、ことを特徴とする
詰替ラップフィルム包装体。
【請求項2】
前記接続部は、0°剥離力が0.3N以上であり、且つ、90°剥離力が0.001N/10mm幅以上、1N/10mm幅以下である、
請求項1に記載の詰替ラップフィルム包装体。
【請求項3】
前記接続部においては、前記ラップフィルムの内周面と前記帯状シートの外周面とが面するように重ね合わせられている、
請求項1又は2に記載の詰替ラップフィルム包装体。
【請求項4】
前記帯状シートの他端は、前記巻回ラップフィルムのラップフィルム巻き終端の幅よりも幅狭に形成されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム包装体。
【請求項5】
前記帯状シートの外周面の動摩擦係数Dと、前記ラップフィルムの外周面の動摩擦係数Eとの関係が、D/E≦1.0である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム包装体。
【請求項6】
前記巻回ラップフィルムの前記筒状芯体の両端には、略円形状のキャップが取り付けられ、
前記キャップの外径が、前記筒状芯体及びその外周に巻回された前記ラップフィルムの外径よりも大きい、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム包装体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−162231(P2011−162231A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26706(P2010−26706)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(390017949)旭化成ホームプロダクツ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】