説明

詰替ラップフィルム収納体及びこれに用いる刃なし収納箱

【課題】詰替用の巻回ラップフィルムをその商品価値を大きく損なうことなく市場に安定して供給でき、しかも、省資源化、ゴミ削減、廃棄時に減容容易といった環境問題に対応しつつ現行の商品(非詰替品)と略同等の取り扱いが可能な、詰替ラップフィルム収納体等を提供する。
【解決手段】筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムと前記巻回ラップフィルムを収納可能な刃なし収納箱とを備え、前記刃なし収納箱は、少なくとも1枚の原紙が複数の折り線に沿って折り曲げられて外形略柱状に成形され、前記原紙は坪量が150〜480g/m2の範囲にあり、前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が、前記筒状芯体の軸長さS(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たし、前記筒状芯体がその軸方向において実質的に隙間なく前記刃なし収納箱に収納されている、詰替ラップフィルム収納体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰替ラップフィルム収納体及びこれに用いる刃なし収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に家庭や飲食店等において、食品若しくはその加工品或いは調味料等の一時的な保存又は加熱処理等の際にラップフィルムが一般的に使用されている。この種のラップフィルムは、通常、紙製の筒状芯体の外周に巻回されて巻筒体(巻回ラップフィルム)とされ、切断刃(カット刃)を備える紙製の直方体状の収納箱内にかかる巻回ラップフィルムを収納したもの(ラップフィルム収納体)が、市場において広く流通及び販売されている。
【0003】
近年、環境問題への取り組みとして、詰替品の需要が高まっている。特に、日用品分野においては、顧客の環境問題への志向性が高く、その要望が年々高まってきている。そのため、省資源化、ゴミ削減、廃棄時の取り扱い性の向上等を図ったラップフィルム収納体やその収納箱について、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、詰め替え用のロール状包装材料を収納するカートンであって、カートン本体を従来の切断手段を備えたロール状包装材料収納カートンの中に密接した状態で収納可能な形状及び寸法とした、詰め替え用ロール状包装材料収納カートンが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、巻回ラップフィルムの緊縮包装体及びその製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−112376号公報
【特許文献2】特許第3382687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現在、ラップフィルムの詰替品(詰替用の巻回ラップフィルム)は、一部のメーカーで販売されているものの、市場において主流にはなっていない。その理由としては、詰替用の巻回ラップフィルムをその商品価値を損なわせることなく市場に安定して供給し得る有効な手段が確立されていなかったためと考えられる。
【0008】
すなわち、食品包装用ラップフィルム分野の大半を占めるラップフィルムは、製膜時に延伸加工(一般的には1軸延伸又は2軸延伸)を行うことによりフィルム強度や使用時のカット性等の機能を高めているため、極めて容易に引き裂けるという特性を有する。そのため、従来のラップフィルムの詰替品は、輸送時の振動や陳列時の外部からの押圧等により巻回ラップフィルムが収納箱(包装材)内で軸方向に動き、ラップフィルム(の最外周)が収納箱の内壁と擦れることにより、傷が生じ易く、この傷によって種々の問題が引き起こされるという問題があった。
【0009】
具体的には、詰替後の使用時(ラップフィルムの引き出し時)に、その傷を起点としてラップフィルムが引き裂けて、千切れてしまう。また、このようにラップフィルムが引き裂けてしまうと、使用者がラップフィルムの巻き終り端を見失い易く、その後の引き出しが困難になる。さらには、上述したラップフィルムの引き裂けをともなった複数周回の引き出しが行われると、完全な状態で(引き裂けが生じていない状態で)ラップフィルムを引き出すことはもはや困難となり、その後の使用が不可能な状態になり得る。とりわけ、巻回ラップフィルムの軸方向の傷は、ラップフィルムの巻き終り端を見失わせ易く、また、ラップフィルムの引き裂けをともなった複数周回の引き出しを誘因し易いという特徴があるため、巻回ラップフィルムの軸方向に生じる傷が特に問題となる。
【0010】
一方、省資源化及びゴミ削減を図るとともに廃棄時の減容(潰したり、たたんだりする等)を容易とし取り扱い性の向上を図る目的で、ラップフィルム収納体の収納箱を構成する原紙として、薄く低強度な原紙を採用することが考えられる。しかしながら、この種のラップフィルム収納体は、通常、輸送時に複数本のラップフィルム収納体を束ねた状態で梱包したダンボールを巻回ラップフィルムの軸方向に10段程度積み重ねた形態で市場に流通される。このとき、最下段のダンボールに梱包されたラップフィルム収納体には、3〜10kg程度の荷重が加わる。したがって、薄く低強度な原紙を用いて収納箱を構成した場合には、箱の強度(剛性)が不十分となり、最下段のダンボールに梱包された収納箱がつぶれて変形し、また、これにともないラップフィルムの引き出しが困難となり、その結果、商品価値が大きく損なわれてしまう。さらに、箱の剛性が不十分であると、梱包、段積み、輸送及び陳列等の作業時の取り扱い性をも悪化させる。このような問題を回避するために、カット刃が付属した現行の商品(非詰替品)は、厚く高強度な原紙を用いて収納箱を形成し、収納箱自身に強度を持たせた設計を採用せざるを得なかった。そのため、詰替ラップフィルム収納体において、現行の商品(非詰替品)と同等の梱包、輸送及び陳列を可能にするためには、現行の商品(非詰替品)と同様に厚く高強度な原紙を用いざるを得ず、その結果、薄く低強度な原紙を採用して省資源化と取り扱い性の向上を図ることが困難であった。
【0011】
なお、上記特許文献1には、詰め替えが容易であり、何度も繰り返して使用することができるので、資源の削減に役立つと記載されている。しかしながら、特許文献1の技術においては、輸送時の振動等による巻回ラップフィルムの傷つきを防止する機能が付されていない。そのため、詰替用の巻回ラップフィルムを、その商品価値を損なうことなく市場に安定して供給することは困難である。また、省資源化、ゴミ削減、廃棄時の減容容易といった環境問題への対応も不十分である。
【0012】
また、上記特許文献2には、シュリンク包装を採用することによりラップフィルムの巻終り端からの引き出しを容易に且つ確実に行うことができるので、詰替用の巻回フィルムを安定供給できると記載されている。しかしながら、特許文献2の技術においては、巻回ラップフィルムをシュリンク包装しただけの形態なので、輸送時等に包装が破れるおそれがあり、また、外部からの押圧によりラップフィルムが傷つき易い。さらに、このような形態では、輸送時又は陳列時に段積みができない等、現行の商品(非詰替品)と同等の梱包、輸送及び陳列を行うことができない。しかも、シュリンク包装を採用しているため、シュリンク包装時に印加される熱がラップフィルムに少なからず影響を与えるおそれがある。
【0013】
本発明は、かかる実情に鑑みて為されたものであり、その目的は、詰替用の巻回ラップフィルムをその商品価値を大きく損なうことなく市場に安定して供給することができ、しかも、省資源化、ゴミ削減、廃棄時に減容容易といった環境問題に対応しつつ現行の商品(非詰替品)と略同等の取り扱いが可能な、詰替ラップフィルム収納体及びこれに用いる刃なし収納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、坪量が150〜480g/m2の範囲にある原紙を用いて所定形状の刃なし収納箱を構成することにより、上記の種々の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下(1)〜(13)を提供する。
(1)筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムと、前記巻回ラップフィルムを収納可能な刃なし収納箱と、を備え、前記刃なし収納箱は、少なくとも1枚の原紙が複数の折り線に沿って折り曲げられて外形略柱状に成形され、前記原紙は、坪量が150〜480g/m2の範囲にあり、前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が、前記筒状芯体の軸長さS(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たし、
前記筒状芯体が、その軸方向において実質的に隙間なく前記刃なし収納箱に収納されている、詰替ラップフィルム収納体。
(2)前記原紙には、前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が前記筒状芯体の軸長さS(mm)以下となるように前記折り線が形成されている、
上記(1)に記載の詰替ラップフィルム収納体。
(3)前記巻回ラップフィルムは、前記刃なし収納箱の長手方向の側板の少なくとも一方が前記筒状芯体により湾曲した状態で、前記刃なし収納箱内に収納されている、
上記(1)又は(2)に記載の詰替ラップフィルム収納体。
(4)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記前板の高さが、前記後板の高さよりも低く形成されている、
上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
(5)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記前板は、倒動可能に前記底板と連接されており、該前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
(6)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記巻回ラップフィルムは前記側板間に挟持されており、前記前板の倒動により、前記巻回ラップフィルムが前記側板にガイドされて前記刃なし収納箱の外方へ変位する、
上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
(7)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記前板は、前記側板と連接されており、前記前板と前記側板との連接の解放及び前記前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
【0016】
(8)筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムを収納可能な詰替ラップフィルム用の刃なし収納箱であって、少なくとも1枚の原紙が複数の折り線に沿って折り曲げられて外形略柱状に成形されたものであり、前記原紙は、坪量が150〜480g/m2の範囲にあり、前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が、収納される前記巻回ラップフィルムの前記筒状芯体の軸長さS(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たす、
詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
(9)前記原紙には、前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が前記筒状芯体の軸長さS(mm)以下となるように前記折り線が形成されている、
上記(8)に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
(10)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記前板の高さが、前記後板の高さよりも低く形成されている、
上記(8)又は(9)に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
(11)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記前板は、倒動可能に前記底板と連接されており、該前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
上記(8)〜(10)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
(12)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記前板は、前記側板と連接されており、前記前板と前記側板との連接の解放及び前記前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
上記(8)〜(11)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
(13)前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、前記側板間において、前記巻回ラップフィルムを挟持可能である、
上記(8)〜(12)のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、省資源化やゴミ削減が図られるとともに、輸送時の振動等によるラップフィルムの傷の発生を抑制でき、これにより、詰替用の巻回ラップフィルムを、その商品価値を大きく損なわせることなく、市場に安定して供給することができる。しかも、梱包、段積み、輸送及び陳列等を現行の商品(非詰替品)と略同等に行うことができ、その上さらに、廃棄時における減容が容易であり、取り扱い性が格別に高められる。また、本発明の好ましい形態によれば、巻回ラップフィルムが取り出し易く、詰替時の作業性が格別に高められる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の詰替ラップフィルム収納体を示す概略斜視図である。
【図2】第1実施形態の刃なし収納箱を示す概略斜視図である。
【図3】第1実施形態の刃なし収納箱の展開図(原紙32)を示す概略平面図である。
【図4】第1実施形態の詰替ラップフィルム収納体(刃なし収納箱内に巻回ラップフィルムを収納した状態)の要部を示す概略断面図である。
【図5】第2実施形態の刃なし収納箱を示す概略斜視図である。
【図6】第2実施形態の刃なし収納箱の展開図(原紙62)を示す概略平面図である。
【図7】第2実施形態の刃なし収納箱内に巻回ラップフィルムを収納した状態の要部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の詰替ラップフィルム収納体1を示す概略斜視図である。
本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1は、巻回ラップフィルム11と、この巻回ラップフィルム11を収納する刃なし収納箱31とを備える。
【0021】
巻回ラップフィルム11は、紙製又はプラスチック製の筒状芯体12の外周12aにラップフィルム13を所定の数量分、巻きつけた(巻回した)ものである。筒状芯体12の軸長さS(mm)は、後述するように、刃なし収納箱31の長手方向の内寸の最小値W(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たすように設定されている。そして、巻回ラップフィルム11は、図示の如く、巻回ラップフィルム11の軸方向が刃なし収納箱31の長手方向に一致するように、刃なし収納箱31内に収納されている。
【0022】
図2は、本実施形態の刃なし収納箱31を示す概略斜視図である。
刃なし収納箱31は、詰替用の巻回ラップフィルム11を梱包、輸送、陳列、販売、保管する際に使用する包装材であって、少なくとも1枚の原紙32を複数の折り線32aに沿って折り曲げて外形略柱状に成形した折箱から構成されている。本実施形態の刃なし収納箱31は、図示の如く、上面に開口部33aを有する収納部33と、この開口部33aを塞ぐ蓋部38とを有する構成となっている。
【0023】
刃なし収納箱31を構成する原紙32としては、例えば、ボール紙、コートボール紙、片面段ボール、段ボール等が挙げられるが、これらに特に限定されず、当業界で公知の紙類を適宜選択して用いることができる。原紙32は、これらの素材に、エンボス加工、印刷加工、ポリエチレン等を用いたラミネート加工等が施されたものであっても構わない。
【0024】
ここで、原紙32は、省資源化及びゴミ削減を図るとともに必要とされる強度(剛性)を担保する観点から、坪量(原紙の1m2当りの重量)が150〜480g/m2の範囲内にあることが必要とされる。この範囲であれば、収納箱として要求される形状の保持、輸送時の衝撃や落下による商品の保護等を確実に行うことができ、また、店頭での陳列を容易に行うことができるとともに、廃棄時の減容(潰したり、たたんだりする等)を容易に行うことができる。一方、坪量が480g/m2を超えると、カット刃が付属した現行の商品(非詰替品)に用いられている原紙との差異が殆どなくなり、省資源化及びゴミ削減の効果が乏しくなり、また、廃棄時の減容が容易に行えなくなる等、取り扱い性の向上が期待できない。他方、坪量が150g/m2未満であると、必要とされる強度を保てず、形状の保持及び商品の保護を確実に行うことが困難になり、また、取り扱い性の向上効果が乏しくなる。これらの観点から、坪量は180〜410g/m2の範囲内にあることが好ましく、210〜350g/m2の範囲内にあることがより好ましい。
【0025】
図3は、本実施形態の刃なし収納箱31の展開図(原紙32)を示す概略平面図である。
刃なし収納箱31は、支持片34aとこれに折り線32aを介して連接された折り返し片34b及び一対の差込片34c,34dとを有する前板34、底板35及びこれに折り線32aを介して連接された第1の側板35a,35b、後板36及びこれに折り線32aを介して連接された第2の側板36a,36b、天板39及びこれに折り線32aを介して連接された第3の側板39a,39b、掩蓋片40及びこれに折り線32aを介して連接された第4の側板40a,40b、並びに、開封片41、を有する原紙32から構成されている。ここで、前板34、底板35、後板36、天板39及び掩蓋片40は、図示の如く、折り線32aを介して、この順に連接されている。一方、開封片41は、掩蓋片40と切り取り線41aを介して連接されている。
【0026】
ここで、本実施形態においては、後板36の長手方向の長さ、すなわち後板36の長手方向の折り線32a間の距離は、刃なし収納箱31の長手方向の内寸の最小値W(mm)となるように設定されている。すなわち、後板36の長手方向の長さは、前板34、底板35、天板39及び掩蓋片40の長手方向の長さ(各々の長手方向の折り線32a間の距離)よりも短く設定されている。また、前板34、底板35、天板39、掩蓋片40及び開封片41の長手方向の長さ、すなわち各々の長手方向の折り線32a間の距離は、収納される筒状芯体12の軸長さS(mm)より大きく設定されている(図示参照)。
【0027】
また、前板34の高さ、詳述すると、前板34を構成する支持片34aの高さt1及び折り返し片34bの高さt2は、後板36と天板39の境界の折り線32aに対し、後板36の高さt3よりも低く形成されている。これらの関係は、後板36と天板39の境界の折り線32aに対し、前板34の高さが後板36の高さよりも低く形成されている限り特に限定されないが、後板36の高さt3を45mmに設定した場合、支持片34a及び折り返し片34bの高さt1,t2が5mm以上低くなっていることが好ましく、より好ましくは10〜40mm以下の範囲であり、さらに好ましくは17〜37mm以下の範囲である。
【0028】
上記の原紙32を複数個所に形成された折り線32aに沿って折り曲げることにより、上述した収納部33及び蓋部38を有する、外形略直方体状の刃なし収納箱31が成形される(図1及び図2参照)。
【0029】
収納部33は、前板34と底板35と後板36と側板35a,35b,36a,36bと支持片34aと折り返し片34bと差込片34c,34dとから成形される。すなわち、前板34の折り返し片34bを折り線32aに沿って180度折り倒して支持片34aと重ね合わせ、前板34と底板35と後板36と側板35a,35b,36a,36bを複数の折り線32aに沿って略垂直に折り曲げ、前板34の差込片34c,34dを側板35a,35bと側板36a,36bとの間隙に挿入することにより、上面開口した有底箱状の収納部33が成形される(図示参照)。
【0030】
蓋部38は、天板39と掩蓋片40と開封片41と側板39a,39b,40a,40bとから成形される。すなわち、天板39と掩蓋片40と側板39a,39b,40a,40bを複数の折り線32aに沿って略垂直に折り曲げることにより、収納部33の開口部33aに相当する形状の蓋部38が成形される(図示参照)。
【0031】
図4は、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1(刃なし収納箱31内に巻回ラップフィルム11を収納した状態)の要部を示す概略断面図である。
本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1は、刃なし収納箱31の収納部33内に巻回ラップフィルム11を収納した後、後板36と天板39の間の折り線32aを基点に蓋部38を倒して収納部33の開口部33aを塞ぎ、開封片41を前板34の外壁に接着することにより、形成される。ここで、上述した通り、刃なし収納箱31は、長手方向の内寸の最小値W(mm)、すなわち後板36の長手方向の長さ(後板36の長手方向の折り線32a間の距離)が、収納部33に収納される筒状芯体12の軸長さS(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たすように設定されている。そのため、収納部33内に巻回ラップフィルム11が収納されると、筒状芯体12の軸長さS(mm)に適合すべく、側板36a,36bはその一部が湾曲する。そのため、巻回ラップフィルム11は、側板36a,36bの少なくとも一部を外方へ向かって凸状に湾曲させた状態で収納部33内に収納され、これにより、筒状芯体12が軸方向において実質的に隙間なく刃なし収納箱31内に収納される(図4参照)。すなわち、本実施形態においては、巻回ラップフィルム11は、側板36a,36b間(側板35a,側板36a及び差込片34cと、側板35b,側板36b及び差込片34dとの間)に緩やかに挟持された状態で刃なし収納箱31内に収納されている(図4参照)。
【0032】
そして、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1の開封は、通常、蓋部38の開封片41の切り取り線41aに沿って切れ目を入れ、支持片34a上の開封片41を取り除き、この状態で掩蓋片40を前板34の外壁から離間させ、後板36と天板39の間の折り線32aを基点に蓋部38を後板36側に倒すことにより行われる。その後、このようにして開封された詰替ラップフィルム収納体1の収納部33の開口部33aから、巻回ラップフィルム11が取り出される。
【0033】
さて、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1においては、上述した通り、刃なし収納箱31の長手方向の内寸の最小値W(mm)が筒状芯体12の軸長さS(mm)に対しS−1.0≦W≦Sの関係を満たすように設定され、筒状芯体12がその軸方向において実質的に隙間なく刃なし収納箱31内に収納されている。そのため、刃なし収納箱31内における巻回ラップフィルム11の動き、特に、軸方向への動きが規制され、その結果、刃なし収納箱31と(巻回ラップフィルム11の最外周の)ラップフィルム13との擦れが防止され、これにともなうラップフィルム13の擦り傷、捲れ、切り傷、裂け等の外傷の発生が抑制される。したがって、詰替ラップフィルム収納体1によれば、詰替用の巻回ラップフィルム11を、その商品価値を大きく損なわせることなく、市場に安定して供給することができる。なお、カット刃が付属した現行の商品(非詰替品)においては、巻回ラップフィルムからのラップフィルムの引き出しを容易にするために+2mm程度のクリアランスが設定されている事実(収納箱の長手方向の内寸の最小値が筒状芯体の軸長さに対して+2mm程度となっている。)から鑑みると、かかる本実施形態の設計思想は、異質なものであると言える。
【0034】
また、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1においては、刃なし収納箱31の形状安定性(形状保持性)が高められている。これは、筒状芯体12がその軸方向において実質的に隙間なく刃なし収納箱31内に収納され、詰替ラップフィルム収納体1の側壁(側板35a,35b,36a,36b、側板39a,39b,40a,40b)が硬く強度のある筒状芯体12に支持されているためである。したがって、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1は、従来に比して薄く低強度な原紙32を用いているにも関わらず、梱包、段積み、輸送及び陳列等において、安定した取り扱いが可能となる。
【0035】
さらに、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1においては、筒状芯体12がその軸方向において実質的に隙間なく刃なし収納箱31内に収納されているため、上述した段積み時に加わる荷重を硬く強度のある筒状芯体12によって受け止めることができる。そのため、刃なし収納箱31の潰れや変形及びこれにともなうラップフィルム13の破損及び傷の発生並びにこれらにともなうラップフィルム13の引き出し不良の発生が効果的に抑制される。したがって、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1は、梱包、段積み、輸送及び陳列等を現行の商品(非詰替品)と略同等に行うことができる。
【0036】
しかも、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1においては、坪量(原紙の1m2当りの重量)が150〜480g/m2の範囲内にある原紙32から刃なし収納箱31が構成されているので、省資源化及びゴミ削減が図られるとともに、廃棄時の減容を容易に行うことができる。
【0037】
一方、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1においては、前板34を構成する支持片34a及び折り返し片34bの高さt1,t2が後板36の高さt3よりも低く形成されているため、詰替ラップフィルム収納体1の開封時に、人間工学的に立体的で広い開口部33aが露出する。そのため、開封後の巻回ラップフィルム11の視認性が高められるとともに、巻回ラップフィルム11の取り出しが極めて容易になる。すなわち、前板34の高さが後板36の高さよりも低い構成を採用することにより、刃なし収納箱31内の巻回ラップフィルム11を容易に取り出すことができ、その結果、使い勝手が飛躍的に向上する。このように、前板34の高さが後板36の高さよりも低い構成は、立体的で広い開口部33aを実現する上で重要であり、また、人間工学的に、自然な動作で巻回ラップフィルム11を取り出すのに最適な設計であると考えられる。
【0038】
しかも、本実施形態の詰替ラップフィルム収納体1においては、巻回ラップフィルム11の取り出し時において、折り線32を基点に前板34を外方へ倒す、すなわち倒動させることにより、開口部33aを拡張させることができる。また、坪量(原紙の1m2当りの重量)が150〜480g/m2の範囲内にある原紙32を用いているので、巻回ラップフィルム11を取り出す際に、原紙32を容易に撓ませて開口部33aを変形させることもできる。このように開口部33aを拡張及び/又は変形させることにより、巻回ラップフィルム11を掴むために刃なし収納箱31内に指を入れるスペースができ、また、より自然な動作で巻回ラップフィルム11を取り出すことができる。したがって、人間工学的に、刃なし収納箱31内の巻回ラップフィルム11の取り出しがさらに容易なものとなる。さらに、取り出し時における(巻回ラップフィルム11の最外周の)ラップフィルム13と刃なし収納箱31との接触を抑制することも可能なので、これにともなうラップフィルム13の擦り傷、捲れ、切り傷、裂け等の外傷の発生の予防も期待される。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の刃なし収納箱61を示す概略斜視図である。
刃なし収納箱61は、上述した第1実施形態の刃なし収納箱31と同様に、詰替用の巻回ラップフィルム11を梱包、輸送、陳列、販売、保管する際に使用する包装材であって、少なくとも1枚の原紙62を複数の折り線62aに沿って折り曲げて外形略柱状に成形した折箱から構成されている。本実施形態の刃なし収納箱61は、図示の如く、上面に開口部63aを有する収納部63と、この開口部63aを塞ぐ蓋部68とを有する構成となっている。なお、刃なし収納箱61を構成する原紙62の素材及び坪量は、上述した第1実施形態の原紙32と同一であり、重複する記載を省略する。
【0040】
図6は、本実施形態の刃なし収納箱61の展開図(原紙62)を示す概略平面図である。
刃なし収納箱61は、支持片64aとこれに折り線62aを介して連接された折り返し片64b及び一対の差込片64c,64dとを有する前板64、底板65及びこれに折り線62aを介して連接された第1の側板65a,65b、後板66及びこれに折り線62aを介して連接された第2の側板66a,66b、天板69及びこれに折り線62aを介して連接された第3の側板69a,69b、掩蓋片70及びこれに折り線62aを介して連接された第4の側板70a,70b、並びに、開封片71、を有する原紙62から構成されている。ここで、前板64、底板65、後板66、天板69及び掩蓋片70は、図示の如く、折り線62aを介して、この順に連接されている。一方、開封片71は、掩蓋片70と切り取り線71aを介して連接されている。
【0041】
ここで、本実施形態においては、前板の支持片64aの長手方向の長さ、すなわち前板の支持片64aの長手方向の折り線62a間の距離は、刃なし収納箱61の長手方向の内寸の最小値W(mm)となるように設定されている。すなわち、前板の支持片64aの長手方向の長さは、底板65、後板66、天板69及び掩蓋片70の長手方向の長さ(各々の長手方向の折り線62a間の距離)よりも短く設定されている。そのため、底板65、天板69、後板66、掩蓋片70及び開封片71の長手方向の長さ、すなわち各々の長手方向の折り線62a間の距離は、収納される筒状芯体12の軸長さS(mm)と同一かそれより大きく設定されている(図示参照)。
【0042】
また、前板64の高さ、詳述すると、前板64を構成する支持片64aの高さt4及び折り返し片64bの高さt5は、後板66と天板69の境界の折り線62aに対し、後板66の高さt6よりも低く形成されている。これらの関係は、上述した第1実施形態のものと同様であり、重複する記載を省略する。
【0043】
上記の原紙62を複数個所に形成された折り線62aに沿って折り曲げることにより、上述した収納部63及び蓋部68を有する、外形略直方体状の刃なし収納箱61が成形される(図5参照)。
【0044】
収納部63は、前板64と底板65と後板66と側板65a,65b,66a,66bと支持片64aと折り返し片64bと差込片64c,64dとから成形される。すなわち、前板64の折り返し片64bを折り線62aに沿って180度折り倒して支持片64aと重ね合わせ、前板64と底板65と後板66と側板65a,65b,66a,66bを複数の折り線62aに沿って略垂直に折り曲げることにより、上面開口した有底箱状の収納部63が成形される(図示参照)。なお、本実施形態では、前板64の差込片64c,64dは、側板65a,65bの内側に挿入されている。
【0045】
蓋部68は、天板69と掩蓋片70と開封片71と側板69a,69b,70a,70bとから成形される。すなわち、天板69と掩蓋片70と側板69a,69b,70a,70bを複数の折り線62aに沿って略垂直に折り曲げることにより、収納部63の開口部63aに相当する形状の蓋部68が成形される。
【0046】
図7は、本実施形態の刃なし収納箱内61に巻回ラップフィルム11を収納した状態の要部を示す概略断面図である。
本実施形態において、巻回ラップフィルム11は、前板64の差込片64c,64d間に保持された状態で、刃なし収納箱61の収納部63内に収納される(図示参照)。すなわち、差込片64c,64dは、側板65a,65bの内側に位置するよう挿入される。そして、後板66と天板69の間の折り線62aを基点に蓋部68を倒して収納部63の開口部63aを塞ぎ、開封片71を前板64の外壁に接着する。ここで、上述した通り、刃なし収納箱61は、長手方向の内寸の最小値W(mm)、すなわち前板の支持片64aの長手方向の長さ(前板の支持片64aの長手方向の折り線62a間の距離)が、収納部63に収納される筒状芯体12の軸長さS(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たすように設定されている。そのため、収納部63内に巻回ラップフィルム11が収納されると、筒状芯体12の軸長さS(mm)に適合すべく、側板64c,64dはその一部が湾曲する。そのため、巻回ラップフィルム11は、側板64c,64dの少なくとも一部を外方へ向かって凸状に湾曲させた状態で収納部63内に収納され、これにより、筒状芯体12が軸方向において実質的に隙間なく刃なし収納箱61b内に収納される(図7参照)。すなわち、本実施形態においては、巻回ラップフィルム11は、差込片64c,64d間(差込片64c、側板65a及び66aと差込片64d、側板65b及び側板66bとの間)に緩やかに挟持された状態で刃なし収納箱61b内に収納されている(図7参照)。
【0047】
そして、本実施形態の刃なし収納箱61の開封は、通常、蓋部68の開封片71の切り取り線71aに沿って切れ目を入れ、折り返し片64a上の開封片71を取り除き、この状態で掩蓋片70を前板64の外壁から離間させ、後板66と天板69の間の折り線62aを基点に蓋部68を後板66側へ倒すことにより行われる。そして、このようにして開封された刃なし収納箱61の収納部63の開口部63aから、巻回ラップフィルム11が取り出される。
【0048】
さて、本実施形態においては、上述した通り、刃なし収納箱61の長手方向の内寸の最小値W(mm)が筒状芯体12の軸長さS(mm)に対しS−1.0≦W≦Sの関係を満たすように設定され、筒状芯体12がその軸方向において実質的に隙間なく刃なし収納箱61内に収納されている。また、坪量(原紙の1m2当りの重量)が150〜480g/m2の範囲内にある原紙62から刃なし収納箱61が構成されている。さらに、前板64を構成する支持片64a及び折り返し片64bの高さt4,t5が後板66の高さt6よりも低く形成されており、また、前板64を折り線62に沿って外方へ倒す、すなわち倒動させることにより、開口部63aを拡張させることができる。したがって、上述した第1実施形態と同一の作用効果が奏される。
【0049】
その上さらに、本実施形態の刃なし収納箱61においては、前板64に差込片64c,64dが連接されており、折り線62aを基点に前板64を外方へ倒す動作にともなって、差込片64c,64dが刃なし収納箱61の外方に変位する。そのため、この前板64の倒動及び差込片64c,64dの変位にともなって、差込片64c,64d間に挟持された巻回ラップフィルム11は、謂わば差込片64c,64dにガイドされながら、刃なし収納箱61の外方に移動する。刃なし収納箱61がこのような刃なし収納箱61の外方に巻回ラップフィルム11を移動させる機構を有することにより、巻回ラップフィルム11の取り出し時に、巻回ラップフィルム11を掴むための広いスペースを確保でき、より自然でスムーズな動作で巻回ラップフィルム11を掴み、これを取り出すことができる。したがって、人間工学的に、刃なし収納箱61内の巻回ラップフィルム11の取り出しが格別容易なものとなり、使い勝手が格別に向上する。
【0050】
なお、上記の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更実施が可能である。
【0051】
例えば、上記の実施形態では収納部33,63及び蓋部38,68を有する刃なし収納箱31,61を例示したが、刃なし収納箱31,61は、例えば、収納部33,63のみからなる形態、或いは、収納部33,63と蓋部38,68が個々に分離する形態であってもよい。
【0052】
また、側板35a,35bと側板36a,36bとの間、或いは、側板65a,65bと側板66a,66bとの間の一部又は全部が、接着剤等を用いて接着されていてもよい。また、かかる接着は、容易に解離可能な状態であってもよく、解離不能な状態であってもよい。
【0053】
さらに、上記の実施形態では、前板34,64の外壁に接着された開封片41,71を、切り取り線41a,71aに沿って切れ目を入れ、支持片34a又は折り返し片64b上の開封片41,71を取り除き、その状態で掩蓋片40,70を前板34,64の外壁から離間させる開封形態を例示したが、他の公知の手法を採用してもよい。すなわち、上記の実施形態の如く巻回ラップフィルム11の軸方向にジッパーを開封する形態ではなく、例えば、巻回ラップフィルム11の周方向にジッパーを開封する形態であってもよい。また、例えば、前板34と掩蓋片40が雄雌のはめ込み式に形成され、そのはめ込みを解放することにより開封する形態であってよい。或いは、例えば、前板64と掩蓋片70が接着剤やテープ等で係止され、その係止を解放することにより開封する形態であってよい。上記において、前板34,64と掩蓋片40,70とがオーバーラップして重なり合うような形態であってもよい。
【0054】
また、上記の実施形態では、前板34,64が折り線32a,62aを基点に外方へ倒動自在に形成された形態を例示したが、例えば、差込片34c,34d,64c,64dが側板35a,35b,36a,36b,65a,65b,66a,66b等と接着された構成にしてもよい。このように構成すると、前板34,64の倒動が規制されるので、刃なし収納箱31,61、特に収納部33,63の形状安定性(形状保持性)が高められる。なお、このように前板34,64の倒動が規制された構成を採用した場合であっても、差込片34c,34d,64c,64dと側板35a,35b,36a,36b,65a,65b,66a,66bとの接着を解放することにより、刃なし収納箱31,61の開封時に折り線32a,64aを基点に前板34,64を外方へ倒動可能となる。或いは、前板34,64が差込片34c,34d,64c,64dとミシン目等を介して連接した構成を採用すれば、そのミシン目を破るだけの操作で、前板34,64が折り線32a,62aを基点に外方へ倒動自在となる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の詰替ラップフィルム収納体及び刃なし収納箱は、省資源化、ゴミ削減、廃棄時に減容容易といった環境問題に対応した詰替ラップフィルムを市場に安定して提供することができ、しかも、現行の商品(非詰替品)と略同等の取り扱いが可能なので、食品用或いは日用品用のラップフィルム一般において、広く且つ有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…詰替ラップフィルム収納体、11…巻回ラップフィルム、12…筒状芯体、12a…外周、13…ラップフィルム、31…刃なし収納箱、32…原紙、32a…折り線、33a…開口部、33…収納部、34…前板、34a…支持片、34b…折り返し片、34c,34d…差込片、35…底板、35a,35b…側板、36…後板、36a,36b…側板、38…蓋部、39…天板、39a,39b…側板、40…掩蓋片、40a,40b…側板、41…開封片、41a…切り取り線、61…刃なし収納箱、62…原紙、62a…折り線、63a…開口部、63…収納部、64…前板、64a…支持片、64b…折り返し片、64c,64d…差込片、65…底板、65a,65b…側板、66…後板、66a,66b…側板、68…蓋部、69…天板、69a,69b…側板、70…掩蓋片、70a,70b…側板、71…開封片、71a…切り取り線、S…軸長さ、W…刃なし収納箱の長手方向の内寸の最小値、t1,t2,t3、t4,t5,t6…高さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムと、
前記巻回ラップフィルムを収納可能な刃なし収納箱と、を備え、
前記刃なし収納箱は、少なくとも1枚の原紙が複数の折り線に沿って折り曲げられて外形略柱状に成形され、
前記原紙は、坪量が150〜480g/m2の範囲にあり、
前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が、前記筒状芯体の軸長さS(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たし、
前記筒状芯体が、その軸方向において実質的に隙間なく前記刃なし収納箱に収納されている、
詰替ラップフィルム収納体。
【請求項2】
前記原紙には、前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が前記筒状芯体の軸長さS(mm)以下となるように前記折り線が形成されている、
請求項1に記載の詰替ラップフィルム収納体。
【請求項3】
前記巻回ラップフィルムは、前記刃なし収納箱の長手方向の側板の少なくとも一方が前記筒状芯体により湾曲した状態で、前記刃なし収納箱内に収納されている、
請求項1又は2に記載の詰替ラップフィルム収納体。
【請求項4】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記前板の高さが、前記後板の高さよりも低く形成されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
【請求項5】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記前板は、倒動可能に前記底板と連接されており、
該前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
【請求項6】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記巻回ラップフィルムは前記側板間に挟持されており、
前記前板の倒動により、前記巻回ラップフィルムが前記側板にガイドされて前記刃なし収納箱の外方へ変位する、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
【請求項7】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記前板は、前記側板と連接されており、
前記前板と前記側板との連接の解放及び前記前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体。
【請求項8】
筒状芯体の外周にラップフィルムが巻回された巻回ラップフィルムを収納可能な詰替ラップフィルム用の刃なし収納箱であって、
少なくとも1枚の原紙が複数の折り線に沿って折り曲げられて外形略柱状に成形されたものであり、
前記原紙は、坪量が150〜480g/m2の範囲にあり、
前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が、収納される前記巻回ラップフィルムの前記筒状芯体の軸長さS(mm)に対し、S−1.0≦W≦Sの関係を満たす、
詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
【請求項9】
前記原紙には、前記刃なし収納箱の長手方向の側板間の内寸の最小値W(mm)が前記筒状芯体の軸長さS(mm)以下となるように前記折り線が形成されている、
請求項8に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
【請求項10】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記前板の高さが、前記後板の高さよりも低く形成されている、
請求項8又は9に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
【請求項11】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記前板は、倒動可能に前記底板と連接されており、
該前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
請求項8〜10のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
【請求項12】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記前板は、前記側板と連接されており、
前記前板と前記側板との連接の解放及び前記前板の倒動により、前記開口部が拡張する、
請求項8〜11のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。
【請求項13】
前記刃なし収納箱は、開口部を有する収納部を有し、
前記収納部は、前板と後板と底板と一対の前記側板とを少なくとも有し、
前記側板間において、前記巻回ラップフィルムを挟持可能である、
請求項8〜12のいずれか一項に記載の詰替ラップフィルム収納体用の刃なし収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−148540(P2011−148540A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13156(P2010−13156)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(390017949)旭化成ホームプロダクツ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】