説明

話者話速制御装置およびその動作方法

【課題】話者の発話の速度を聴きやすい速度に調整するための話者話速制御装置を提供する。
【解決手段】話者話速算出部103Aは、話者音圧信号受信部102Aから話者音圧信号101ASを基に出力される話者音圧計測信号102ASにより、話者Aの話者話速を算出し、記憶部105に記憶させる。話者話速調整制御部107は、記憶部105から、話者話速ならびに、予め記憶された聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを読み出し、話者話速に基づいて計算した話者話速Vaと聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minとに基づいて、話者Aの話者話速の調整の要否を判定し、話者話速の調整が必要なら、話者話速調整要請通知ALが出力されるように話者話速調整要請通知出力部108を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、話者の発話の速度を聴きやすい速度に調整するための話者話速制御装置およびその動作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の身体機能は加齢によって低下することは広く知られている。例えば,目が見えにくくなる、耳が遠くなるといった現象は良く知られた現象である。また、認知機能も加齢に伴い低下することが知られている。例えば、脳におけるワーキングメモリの減少により、抽象的な認知処理の能力が低下する傾向にある。これらの要素から、高齢者は、会話や音声の聞き取りが若齢者と比較して困難であると考えられる。高齢者などにとって会話を聞き取りやすくするためには、会話の速度(話速)を調整する必要がある。
【0003】
話速に関する従来の技術としては、話速を計測する手法や、音声読み上げの速さを利用者もしくは利用状況またはその両方に応じて最適化する手法がある(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−102910号公報
【特許文献2】特開平5−289691号公報
【特許文献3】特開2005−331589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般の会話において、会話をする者(話者)が相手(聴者)にとって適切な速度に収まるように自発的に話速に気を付けて発話すれば、聴者にとって聞きやすくなると考えられる。しかし、発話中に自分の話速を意識し、話速を調整することは難しい。このため、話に夢中になって早口になり相手が聞きとれなくなることがしばしば起きる。また、複数人数での会話では、全員が聞き取れるよう、最も聞き取りが困難な会話参加者(最困難者)に合わせて話速を変化させなければならない。しかし、最困難者以外の参加者に対する発話では、話速が速くなりがちであり、そのようなときに、最困難者を考慮して発話を行うのは非常に難しい。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、話者の発話の速度を聴きやすい速度に調整するための話者話速制御装置およびその動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、第1の本発明は、話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、前記話者話速の調整を要請する旨の話者話速調整要請通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整要請通知出力部と、
前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部と、前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させる話者話速算出部と、前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が必要なら、前記話者話速調整要請通知が出力されるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御する話者話速調整制御部とを備えることを特徴とする話者話速制御装置をもって解決手段とする。
【0008】
第2の本発明は、話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、前記話者話速の調整が不要である旨の話者話速調整不要通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整不要通知出力部と、前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部と、前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させる話者話速算出部と、前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が不要なら、前記話者話速調整不要通知が出力されるように前記話者話速調整不要通知出力部を制御する話者話速調整制御部とを備えることを特徴とする話者話速制御装置をもって解決手段とする。
【0009】
例えば、前記話者音圧計測信号は、前記話者音圧信号から予め定められた音圧閾値以下の部分を除いた信号である。
【0010】
例えば、前記話者話速制御装置は、前記聴者の発話による音圧を受けるマイクである聴者マイクと、前記聴者マイクから前記聴者の発話による音圧を示す音圧信号である聴者音圧信号を受信する聴者音圧信号受信部と、前記聴者音圧信号受信部から前記聴者音圧信号を基に出力される聴者音圧計測信号により聴者話速を算出する聴者話速算出部とを備え、前記聴者話速記憶部は、前記算出された聴者話速を予め記憶するものである。
【0011】
例えば、前記話者話速制御装置は、前記聴者マイク、前記聴者音圧信号受信部および前記聴者話速算出部を、複数の聴者ごとに備え、前記聴者話速記憶部は、前記複数の聴者話速の中で最も小さい聴者話速を予め記憶するものである。
【0012】
例えば、前記聴者話速記憶部は、前記聴者にとって聴きやすい発話の速度の上限値である第1の聴者話速および下限値である第2の聴者話速を予め記憶するものであり、前記話者話速調整制御部は、前記話者話速が前記第1の聴者話速より大きい、または、前記話者話速が前記第2の聴者話速より小さいなら、前記話者話速調整要請通知が出力され、かつ、前記話者話速が前記第1の聴者話速より大きい場合の話者話速調整要請通知と前記話者話速が前記第2の聴者話速より小さい場合の話者話速調整要請通知とが互いに前記話者にとって区別できるものとなるように、前記話者話速調整要請通知出力部を制御する。
【0013】
例えば、前記聴者話速記憶部は、前記聴者にとって聴きやすい発話の速度の上限値である第1の聴者話速および下限値である第2の聴者話速を予め記憶するものであり、前記話者話速調整制御部は、前記話者話速が前記第1の聴者話速より大きいなら、前記話者話速と前記第1の聴者話速の差分が大きいほど前記話者話速調整要請通知での要請の程度が高くなるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御し、一方、前記話者話速が前記第2の聴者話速より小さいなら、前記話者話速と前記第2の聴者話速の差分が大きいほど前記話者話速調整要請通知での要請の程度が高くなるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御する。
【0014】
第3の本発明は、話者話速の調整を要請する旨の話者話速調整要請通知を話者に向けて出力する話者話速制御装置の動作方法であって、前記話者話速制御装置は、話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、前記話者話速の調整を要請する旨の話者話速調整要請通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整要請通知出力部と、前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部とを備え、前記動作方法は、前記話者話速制御装置の話者話速算出部が、前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させ、前記話者話速制御装置の話者話速調整制御部が、前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が必要なら、前記話者話速調整要請通知が出力されるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御することを特徴とする話者話速制御装置の動作方法をもって解決手段とする。
【0015】
第4の本発明は、話者話速の調整不要である旨の話者話速調整不要通知を話者に向けて出力する話者話速制御装置の動作方法であって、前記話者話速制御装置は、話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、前記話者話速の調整が不要である旨の話者話速調整不要通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整不要通知出力部と、前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部とを備え、前記動作方法は、前記話者話速制御装置の話者話速算出部が、前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させ、前記話者話速制御装置の話者話速調整制御部が、前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が不要なら、前記話者話速調整不要通知が出力されるように前記話者話速調整不要通知出力部を制御することを特徴とする話者話速制御装置の動作方法をもって解決手段とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る話者話速制御装置およびその動作方法によれば、話者の発話の速度を聴きやすい速度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る話者話速制御装置1を示す図である。
【図2】記憶部105に含まれる聴者話速記憶部1051の構成の一例を示す図である。
【図3】記憶部105に含まれる話者話速データベース1052Aの構成の一例を示す図である。
【図4】話者話速制御装置1の動作方法を示すフローチャートである。
【図5】話者音圧信号101ASと話者音圧計測信号102ASの一例を示す図である。
【図6】話者話速Va等の表示例を示す図である。
【図7】話者音圧計測信号102ASの推移を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る話者話速制御装置1Aを示す図である。
【図9】記憶部105に含まれる聴者話速データベース1052Bの構成の一例を示す図である。
【図10】記憶部105に含まれる聴者話速データベース1053Bの構成の一例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態におけるステップS1の動作を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る話者話速制御装置1Bを示す図である。
【図13】記憶部105に含まれる聴者話速データベース1054Bの構成の一例を示す図である。
【図14】第3の実施の形態におけるステップS1の動作を示すフローチャートである。
【図15】ステップS116の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る話者話速制御装置1を示す図である。図1(a)は、話者話速制御装置1がユーザ(以下、話者Aという)に使用される様子を示す図である。図1(b)は、話者話速制御装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
話者話速制御装置1は、話者Aが会話やスピーチなどをするときに使用されるものである。
【0021】
話者話速制御装置1は、また、話者Aの発話の速度である話者話速が速すぎるまたは遅すぎる場合に話者話速の調整を要請する旨の話者話速調整要請通知ALを話者Aに向けて出力する装置である。
【0022】
話者話速調整要請通知ALは、例えば、音声、光、振動、温度、香りなどによる通知である。
【0023】
話者話速制御装置1は、話者Aの発話による音圧を受けるマイクロフォンである話者マイク101Aと、話者マイク101Aから話者Aの発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号101ASを受信する話者音圧信号受信部102Aと、話者音圧信号受信部102Aから話者音圧信号101ASを基に出力される話者音圧計測信号102ASにより話者話速を算出する話者話速算出部103Aと、話者Aの発話を聴く聴者(図示せず)にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速や各種のパラメータ(詳しくは後述する)が入力される入力部104と、聴者話速や話者話速やパラメータが記憶される記憶部105と、話者話速での発話がなされる区間の開始時刻および終了時刻の計測に必要な現在時刻を出力する時刻出力部106と、話者話速と聴者話速に基づいて、話者話速の調整の要否を判定し、話者話速の調整が必要なら、話者話速調整要請通知ALが出力されるように制御を行う話者話速調整制御部107と、話者話速調整要請通知ALを出力する話者話速調整要請通知出力部108とを備える。
【0024】
話者マイク101Aとしては、話者Aの方向への指向性をもつものが好ましい。
【0025】
話者Aは、話者話速調整要請通知ALの出力を停止させたい場合は、話者話速制御装置1に設けられた停止スイッチ(図示せず)を操作する。これにより、入力部104は停止信号を生成し、話者話速調整制御部107に送信するようになっている。
【0026】
図2は、記憶部105に含まれる聴者話速記憶部1051の構成の一例を示す図である。
【0027】
聴者話速記憶部1051は、聴者話速の上限値である第1の聴者話速(以下、聴者話速上限値Maxという)および下限値である第2の聴者話速(以下、聴者話速下限値Minという)を予め記憶するものである。図2は、例として、1秒間に1.5語という聴者話速上限値Max「1.5[語/秒]」と1秒間に0.8語という聴者話速下限値Min「0.8[語/秒]」を示している。ここでは、聴者話速を単位時間あたりの語数とするが、語数に代えて、モーラ数など、他の基準を用いてもよい。
【0028】
図3は、記憶部105に含まれる話者話速データベース1052Aの構成の一例を示す図である。
【0029】
話者話速データベース1052Aは、話者音圧計測信号102ASにおける複数の区間のそれぞれで話者話速が計測されるので、その各話者話速を記憶するものである。各話者話速には、固有の話者話速番号、ならびに、話者話速での発話がなされる区間の開始時刻および終了時刻が対応づけて記憶される。
【0030】
例えば、話者話速番号「1」のレコードは、話者音圧計測信号102ASにおける2011年8月30日11時9分00秒から2011年8月30日11時9分20秒までの区間の波形に基づいて計測された話者話速が1.8[語/秒]であることを示している。
【0031】
記憶部105には、聴者話速記憶部1051と話者話速データベース1052Aの他にも、各種のパラメータが予め記憶される。
(話者話速制御装置1の動作方法)
図4は、話者話速制御装置1の動作方法を示すフローチャートである。
【0032】
まず、入力部104は、外部から聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minが与えられたなら、聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを聴者話速記憶部1051に記憶させる(S1)。
【0033】
次に、話者Aが発話を開始すると、話者マイク101Aは、発話による音圧を受け、音圧を示す話者音圧信号101ASを出力する。話者音圧信号受信部102Aは、話者音圧信号101ASを受信し、話者音圧信号101ASを基に話者音圧計測信号102ASを出力する。話者音圧計測信号102ASは、話者音圧信号101ASから、記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである音圧閾値TH(例えば、40デシベル)以下の音圧を有する部分を除いた信号である。
【0034】
話者話速算出部103Aは、話者音圧計測信号102ASにより話者話速を算出し、話者話速データベース1052Aに記憶させる(S2)。
【0035】
なお、話者音圧計測信号102ASは、記憶部105に書き込まれ、話者話速算出部103Aは、記憶部105の話者音圧計測信号102ASを参照して、話者話速を算出する。
【0036】
図5は、話者音圧信号101ASと話者音圧計測信号102ASの一例を示す図である。
【0037】
前述のとおり、話者音圧計測信号102ASは、話者音圧信号101ASから音圧閾値TH以下の部分を除いた信号である。つまり、話者音圧信号受信部102Aは、話者音圧信号101ASから音圧閾値TH以下の部分をカットし、残りの部分つまり話者音圧計測信号102ASを出力する。
【0038】
話者話速算出部103Aは、話者音圧計測信号102ASにおいて、音圧がある区間を発話区間、音圧の無い区間を非発話区間として認識する。図5において、区間aは発話区間、区間bは非発話区間、区間cは発話区間である。
【0039】
話者話速算出部103Aは、話者音圧計測信号102ASの各発話区間の波形に基づき、その発話区間での話者話速を計測する。話者話速算出部103Aは、ここでは、例えば、同一の発話区間で、1以上の話者話速を計測する。話者話速算出部103Aは、例えば、発話区間の全体で、1つの話者話速を計測する。または、話者話速算出部103Aは、発話区間を分割し、分割により生じた各区間で話者話速を計測する。話者話速算出部103Aは、例えば、区間c(30秒)を0.1秒ごとにつまり300分割し、300の話者話速を計測する。
【0040】
話者話速算出部103Aは、区間bのような非発話区間、例えば、沈黙の期間を除外して、話者話速を計算する。よって、例えば、沈黙が長くなればなるほど話者話速および後述の加重平均(話者話速Va)が遅くなるという問題が生じない。
【0041】
話者話速算出部103Aは、各話者話速を、固有の話者話速番号、ならびに話者話速での発話がなされる区間(発話区間や分割により生じた区間)の開始時刻および終了時刻に対応づけて、話者話速データベース1052Aに記憶させる。
【0042】
図4に戻り、話者話速調整制御部107は、現在から、記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである時間の長さだけ遡った時点までの区間T(例えば「現在から1分前まで」)に含まれる区間の開始時刻および終了時刻を話者話速データベース1052Aから読み出す。そして、話者話速調整制御部107は、各区間の開始時刻および終了時刻の差分(つまり区間長)の合計を計算し、合計が、記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである時間の長さt(例えば「20秒」)より長いか否かを判定する(S3)。つまり、話者話速調整制御部107は、区間Tでの発話区間の合計が十分長いか否かを判定する。発話区間の合計が短い場合は、通常の発話がなされていない可能性が高いので、この場合は、話者話速(後述の話者話速Va)を計測しないようにするのである。
【0043】
図3において、現在時刻を「2011年8月30日11時10分30秒」、区間Tを「現在から1分前まで」とすると、話者話速番号「1」の区間は、区間Tに含まれず、話者話速番号「2」、「3」の区間は、区間Tに含まれる。話者話速番号「2」、「3」の区間の開始時刻および終了時刻の差分の合計は、「50秒」であり、長さtを「20秒」とすると、長さtより長い。
【0044】
話者話速調整制御部107は、合計が長さtより長いなら(S3:YES)、通常の発話がなされている可能性が高いので、話者話速Vaを計測すべく、まず、区間Tに含まれる区間の話者話速を話者話速データベース1052Aから読み出す。そして、話者話速調整制御部107は、各話者話速の加重平均である話者話速Vaを計算する(S4)。
【0045】
話者話速は、発する単語の違いなどにも影響を受けて、時々刻々と変化する。そのため、単に話者話速が、例えば低下したからといって、話者話速調整要請通知ALを出力したとしても、話者Aは話者話速を調整することが難しい。そこで、第1の実施の形態では、ある程度長い区間における話者話速の加重平均を用い、加重平均(話者話速Va)に基づいて、話者話速調整要請通知ALを出力するようにしている。
【0046】
図3において、話者話速番号「2」の区間の長さは「30秒」、話者話速は「2.0[語/秒]」であり、話者話速番号「3」の区間の長さは「20秒」、話者話速は「1.5[語/秒]」であり、区間の長さの合計は「50秒」である。話者話速調整制御部107は、この場合、話者話速Vaを、以下の式(1)により計算する。
【0047】
Va=(2.0×30+1.5×20)/50=1.8 (1)
つまり、この場合、話者話速Vaは「1.8[語/秒]」である。
【0048】
例えば、話者話速制御装置1が、画面つきの表示装置を有する場合、話者話速Va、聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minが、表示装置に表示される。
【0049】
図6は、話者話速Va等の表示例を示す図である。
【0050】
表示装置の画面には、例えば、目盛りが表示され、目盛り上の話者話速Vaの位置に矢印が表示される。また、目盛り上の聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minの間以外に斜線がかけられる。これにより、話者Aは、話者話速Va、聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを見て知り、話者話速を調整することができる。
【0051】
図4に戻り、次に、話者話速調整制御部107は、聴者話速記憶部1051から聴者話速上限値Maxを読み出し、話者話速Vaが聴者話速上限値Maxより大きいか否かを判定する(S5)。話者話速調整制御部107は、話者話速Vaが聴者話速上限値Maxより大きいならば(S5:YES)、話者話速調整要請通知出力部108から、光による話者話速調整要請通知ALの出力が開始されるように話者話速調整要請通知出力部108を制御する(S6)。これにより、話者話速調整要請通知出力部108は、光による話者話速調整要請通知ALの出力を開始する。なお、話者話速調整要請通知ALは、停止されるまでは、出力され続ける。
【0052】
図2に示すように、聴者話速上限値Maxが「1.5[語/秒]である場合、話者話速Vaが「1.8[語/秒]なら、ステップS5でYESとなるので、光による話者話速調整要請通知ALの出力が開始される。
【0053】
一方、話者話速調整制御部107は、話者話速Vaが聴者話速上限値Max以下ならば(S5:NO)、聴者話速記憶部1051から聴者話速下限値Minを読み出し、話者話速Vaが聴者話速下限値Minより小さいか否かを判定する(S7)。話者話速調整制御部107は、話者話速Vaが聴者話速下限値Minより小さいならば(S7:YES)、話者話速調整要請通知出力部108から、音声による話者話速調整要請通知ALの出力が開始されるように話者話速調整要請通知出力部108を制御する(S8)。これにより、話者話速調整要請通知出力部108は、音声による話者話速調整要請通知ALの出力を開始する。
【0054】
図2に示すように、聴者話速下限値Minが「0.8[語/秒]である場合、話者話速Vaが「0.5[語/秒]なら、ステップS7でYESとなるので、音声による話者話速調整要請通知ALの出力が開始される。
【0055】
一方、話者話速調整制御部107は、話者話速Vaが聴者話速下限値Min以上ならば(S7:NO)、つまり、話者話速Vaが聴者話速上限値Max以下であり、かつ、話者話速Vaが聴者話速下限値Min以上ならば、例えば、話者話速調整要請通知出力部108に停止信号を送信し、話者話速調整要請通知ALの出力を停止させる(S9)。
【0056】
図2に示すように、聴者話速上限値Maxが「1.5[語/秒]であり、かつ、聴者話速下限値Minが「0.8[語/秒]である場合、話者話速Vaが「1.0[語/秒]なら、話者話速調整要請通知ALの出力が停止される。
【0057】
図4に戻り、話者話速調整制御部107は、ステップS6、S8、S9の処理を終えたなら、入力部104から停止信号が送信されているか否かを判定する(S10)。話者話速調整制御部107は、入力部104から停止信号が送信されている(S10:YES)なら、処理を終了する。
【0058】
一方、ステップS3でNOと判定されたなら、話者話速調整制御部107は、話者話速調整要請通知出力部108に停止信号を送信し、話者話速調整要請通知の出力を停止させる(S11)。
【0059】
話者話速調整制御部107は、ステップS10でNOと判定されたなら、または、ステップS11の処理を終えたなら、現在の話者音圧計測信号102ASの音圧が音圧閾値THより大きいか否かを判定する(S12)。
【0060】
話者話速調整制御部107は、現在の話者音圧計測信号102ASの音圧が音圧閾値THより大きい(S12:YES)なら、制御をステップS2に移す。一方、話者話速調整制御部107は、現在の話者音圧計測信号102ASの音圧が音圧閾値TH以下(S12:NO)なら、制御をステップS3に移す。
【0061】
図5に示す話者音圧計測信号102ASが観測された時点から、例えば、10秒後において、図7に示す話者音圧計測信号102AS(実線)が観測されたとする。破線は、図5での話者音圧計測信号102ASである。10秒後の話者音圧計測信号102AS(実線)は、破線を左に10秒間シフトした形になっている。
【0062】
話者話速調整制御部107は、例えば、この10秒間で、話者Aが新たに発話を開始して発話が続いているなら、つまり、現在の話者音圧計測信号102AS(実線)の音圧が音圧閾値THより大きい(S12:YES)なら、制御をステップS2に移す。これにより、話者話速等が話者話速データベース1052Aに記憶される。
【0063】
話者話速調整制御部107は、図7の例では、話者Aが新たに発話を開始し且つ発話が続いているという状況はない、つまり、現在の話者音圧計測信号102AS(実線)の音圧が音圧閾値TH以下なので、制御をステップS3に移す。
【0064】
したがって、第1の実施の形態に係る話者話速制御装置1によれば、話者話速調整制御部107は、話者話速データベース1052Aから2以上の話者話速を読み出し、聴者話速記憶部1051から聴者話速(聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Min)を読み出し、2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速Vaと聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minとに基づいて、話者話速の調整の要否を判定し(S5、S7)、話者話速の調整が必要なら(S5:YES、S7:YES)、話者話速調整要請通知ALが出力されるように話者話速調整要請通知出力部108を制御する(S6、S8)ので、話者Aは、話者話速調整要請通知ALを受け、話者話速の調整が必要なことに気がつき、もって、話者話速を調整することができる。
【0065】
また、話者話速Vaが聴者話速上限値Maxより大きい場合の話者話速調整要請通知ALは光による通知であり、話者話速Vaが聴者話速下限値Minより小さい場合の話者話速調整要請通知ALは音声による通知である。つまり、両者は話者Aにとって区別できるものとなっている。よって、話者Aは、話者話速を速くすべき場合は速く、遅くすべき場合は遅くなるように調整することができる。
【0066】
また、話者話速調整制御部107は、話者話速Vaが聴者話速上限値Maxより大きいなら、話者話速Vaと聴者話速上限値Maxの差分が大きいほど話者話速調整要請通知ALでの要請の程度が高くなるように話者話速調整要請通知出力部108を制御し、一方、話者話速Vaが聴者話速下限値Minより小さいなら、話者話速Vaと聴者話速下限値Minの差分が大きいほど話者話速調整要請通知ALでの要請の程度が高くなるように話者話速調整要請通知出力部108を制御してもよい。
【0067】
例えば、話者話速調整制御部107は、光による話者話速調整要請通知ALを出力させ、差分が大きいほど光量を大きくする。
【0068】
例えば、話者話速調整制御部107は、点滅する光による話者話速調整要請通知ALを出力させ、差分が大きいほど点滅の間隔を短くする。
【0069】
例えば、話者話速調整制御部107は、音声による話者話速調整要請通知ALを出力させ、差分が大きいほど音量を大きくする。
【0070】
これにより、話者Aは、差分つまり聴者話速と話者話速との隔たりの大きさを知ることができる。
【0071】
また、第1の実施の形態では、話者話速Vaが聴者話速上限値Maxより大きい場合に限り、話者話速調整要請通知ALを出力するようにしてもよい。
【0072】
また、第1の実施の形態では、話者話速Vaが聴者話速下限値Minより小さい場合に限り、話者話速調整要請通知ALを出力するようにしてもよい。
【0073】
また、第1の実施の形態では、話者話速Vaが聴者話速上限値Maxより大きい場合の話者話速調整要請通知ALと話者話速Vaが聴者話速下限値Minより小さい場合の話者話速調整要請通知ALとを互いに等しく、例えば、音による話者話速調整要請通知ALとしてもよい。
【0074】
また、第1の実施の形態では、聴者話速記憶部1051に予め1つの聴者話速(例えば、聴者話速上限値Maxと聴者話速下限値Minの平均値)を記憶させておき、聴者話速を読み出し、聴者話速と話者話速Vaの差分の絶対値が、予め定められた大きさ以上になったなら、話者話速調整要請通知ALを出力するようにしてもよい。差分の符号により、話者話速調整要請通知ALの種類を変えてもよい。
【0075】
また、第1の実施の形態では、話者話速Vaを用いたが、話者話速データベース1052Aから1つの話者話速を読み出し、この話者話速を話者話速Vaに代えて用いてもよい。
【0076】
また、第1の実施の形態では、光や音声による話者話速調整要請通知ALを行ったが、、振動、温度、香りなどによる話者話速調整要請通知AL、話者話速Vaなどの表示を行った表示装置への表示による話者話速調整要請通知ALを行ってもよい。
【0077】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態に同一または類似の装置および装置構成を用い、同一または類似のものについては第1の実施の形態で使用した符号を使用して重複説明を略し、第1の実施の形態とは異なる事項を中心に説明を行う。また、第1の実施の形態では、詳細な点につき、いくつかの変形例を示したが、変形例は、第2の実施の形態に適用してもよい。
【0078】
図8は、第2の実施の形態に係る話者話速制御装置1Aを示す図である。図8(a)は、話者話速制御装置1Aが話者Aに使用され、話者話速制御装置1Aの聴者マイク101Bが聴者Bに使用されている様子を示す図である。図8(b)は、話者話速制御装置1Aの概略構成を示す機能ブロック図である。
【0079】
話者話速制御装置1Aは、第1の実施の形態と同様に、話者話速調整要請通知AL(例えば、音声、光、振動、温度、香りなどによる通知)を話者Aに向けて出力する装置である。
【0080】
話者話速制御装置1Aは、話者Aが聴者Bと会話するときに使用されるものである。話者話速制御装置1Aの聴者マイク101Bは、例えば、聴者Bに向けて使用される。聴者マイク101Bは、話者話速制御装置1Aに内蔵してもよい。
【0081】
話者話速制御装置1Aは、話者Aの発話による音圧を受けるマイクロフォンである話者マイク101Aと、聴者Bの発話による音圧を受けるマイクロフォンである聴者マイク101Bと、話者マイク101Aから話者Aの発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号101ASを受信する話者音圧信号受信部102Aと、聴者マイク101Bから聴者Bの発話による音圧を示す音圧信号である聴者音圧信号101BSを受信する聴者音圧信号受信部102Bと、話者音圧信号受信部102Aから話者音圧信号101ASを基に出力される話者音圧計測信号102ASにより話者話速を算出する話者話速算出部103Aと、聴者音圧信号受信部102Bから聴者音圧信号101BSを基に出力される聴者音圧計測信号102BSにより聴者話速を算出する聴者話速算出部103Bと、各種のパラメータ(詳しくは後述する)が入力される入力部104と、聴者話速や話者話速やパラメータが記憶される記憶部105と、話者話速や聴者話速を計測した区間の開始時刻および終了時刻の計測に必要な現在時刻を出力する時刻出力部106と、話者話速と聴者話速に基づいて、話者話速の調整の要否を判定し、話者話速の調整が必要なら、話者話速調整要請通知ALが出力されるように制御を行う話者話速調整制御部107と、話者話速調整要請通知ALを出力する話者話速調整要請通知出力部108とを備える。
【0082】
記憶部105は、図2と同様な聴者話速記憶部1051を有する。聴者話速記憶部1051には、計算により求められた聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minが記憶される。
【0083】
また、記憶部105は、図3と同様な話者話速データベース1052Aを有する。
【0084】
また、記憶部105は、聴者話速が記憶される聴者話速データベース1052Bを有する。
【0085】
図9は、記憶部105に含まれる聴者話速データベース1052Bの構成の一例を示す図である。
【0086】
聴者話速データベース1052Bは、聴者音圧計測信号102BSにおける複数の区間のそれぞれで聴者Bの聴者話速が計測されるので、その各聴者話速を記憶するものである。各聴者話速には、固有の聴者話速番号、ならびに、聴者話速での発話がなされる区間の開始時刻および終了時刻が対応づけて記憶される。
【0087】
また、記憶部105は、複数の聴者話速の加重平均である聴者話速Vbが記憶される聴者話速データベース1053Bを有する。
【0088】
図10は、記憶部105に含まれる聴者話速データベース1053Bの構成の一例を示す図である。
【0089】
聴者話速データベース1053Bは、複数の区間のそれぞれでの聴者話速Vbが計測されるので、その各聴者話速Vbを記憶するものである。各聴者話速Vbには、聴者話速Vbでの発話がなされる区間の開始時刻が対応づけて記憶される。
(話者話速制御装置1Aの動作方法)
話者話速制御装置1Aでは、図4のステップS1において、話者話速調整制御部107は、与えられた聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを聴者話速記憶部1051に記憶させるのでなく、聴者話速Vbに基づいて、聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを計算し、聴者話速記憶部1051に記憶させる。その他の動作は、図4のステップS1以外と同じであるから、説明を省略する。
【0090】
図11は、第2の実施の形態におけるステップS1の動作を示すフローチャートである。
【0091】
まず、聴者Bが発話を開始すると、聴者マイク101Bは、発話による音圧を受け、音圧を示す聴者音圧信号101BSを出力する。聴者音圧信号受信部102Bは、聴者音圧信号101BSを受信し、聴者音圧信号101BSを基に聴者音圧計測信号102BSを出力する。聴者音圧計測信号102BSは、聴者音圧信号101BSから、記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである音圧閾値TH(例えば、40デシベル)以下の音圧を有する部分を除いた信号である。
【0092】
聴者話速算出部103Bは、聴者音圧計測信号102BSにより聴者Bの聴者話速を算出し、聴者話速データベース1052Bに記憶させる(S101)。
【0093】
具体的に、聴者話速算出部103Bは、聴者音圧計測信号102BSにおいて、音圧がある区間を発話区間、音圧の無い区間を非発話区間として認識する。図5に示す話者音圧計測信号102ASを仮に聴者音圧計測信号102BSとすると、区間aは発話区間、区間bは非発話区間、区間cは発話区間である。
【0094】
聴者話速算出部103Bは、聴者音圧計測信号102BSの各発話区間の波形に基づき、その発話区間での聴者話速を計測する。聴者話速算出部103Bは、ここでは、例えば、同一の発話区間で、1以上の聴者話速を計測する。聴者話速算出部103Bは、例えば、発話区間の全体で、1つの聴者話速を計測する。または、聴者話速算出部103Bは、発話区間を分割し、分割により生じた各区間で聴者話速を計測する。聴者話速算出部103Bは、例えば、区間c(30秒)を0.1秒ごとにつまり300分割し、300の聴者話速を計測する。
【0095】
聴者話速算出部103Bは、各聴者話速を、固有の聴者話速番号、ならびに聴者話速での発話がなされる区間(発話区間や分割により生じた区間)の開始時刻および終了時刻に対応づけて、聴者話速データベース1052Bに記憶させる(S101)。
【0096】
図11において、次に、話者話速調整制御部107は、現在から、記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである時間の長さだけ遡った時点までの区間T(例えば「現在から1分前まで」)に含まれる区間の開始時刻および終了時刻を聴者話速データベース1052Bから読み出す。なお、区間Tの長さは、話者話速Vaを求めるときの区間Tの長さと同じであっても、異なっていてもよい。
【0097】
話者話速調整制御部107は、各区間の開始時刻および終了時刻の差分(つまり区間長)の合計を計算し、合計が、記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである時間の長さt(例えば「20秒」)より長いか否かを判定する。つまり、話者話速調整制御部107は、区間Tでの発話区間の合計が十分長いか否かを判定する。発話区間の合計が短い場合は、通常の発話がなされていない可能性が高いので、この場合は、聴者話速(後述の聴者話速Vb)を計測しないようにするのである。なお、長さtは、話者話速Vaを求めるときの長さtと同じであっても、異なっていてもよい。
【0098】
図9において、現在時刻を「2011年8月30日11時8分20秒」、区間Tを「現在から1分前まで」とすると、聴者話速番号「1」の区間は、区間Tに含まれず、聴者話速番号「2」、「3」の区間は、区間Tに含まれる。聴者話速番号「2」、「3」の区間の開始時刻および終了時刻の差分の合計は、「40秒」であり、長さtを「20秒」とすると、長さtより長い。
【0099】
話者話速調整制御部107は、合計が長さtより長いなら、通常の発話がなされている可能性が高いので、聴者話速Vbを計測すべく、まず、区間Tに含まれる区間の聴者話速を聴者話速データベース1052Bから読み出す。そして、話者話速調整制御部107は、各聴者話速の加重平均である聴者話速Vbを計算する。
【0100】
図9において、聴者話速番号「2」の区間の長さは「30秒」、聴者話速は「1.5[語/秒]」であり、聴者話速番号「3」の区間の長さは「10秒」、聴者話速は「1.0[語/秒]」であり、区間の長さの合計は「40秒」である。話者話速調整制御部107は、この場合、聴者話速Vbを、以下の式(2)により計算する。
【0101】
Vb=(1.5×30+1.0×10)/40=1.375 (2)
つまり、この場合、聴者話速Vbは「1.375[語/秒]」である。
【0102】
話者話速調整制御部107は、聴者Bの各聴者話速Vbを、聴者話速Vbでの発話がなされる区間の開始時刻(上記例では、聴者話速番号「2」の区間の開始時刻)に対応づけて、聴者話速データベース1053Bに記憶させる(S102)。
【0103】
次に、話者話速調整制御部107は、記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである数以上の聴者話速Vbが聴者話速データベース1053Bにあるか否かを判定する(S103)。
【0104】
話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbの数が、記憶部105に記憶された数未満なら(S103:NO)、制御をステップS101に戻す。
【0105】
一方、話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbの数が、記憶部105に記憶された数以上なら(S103:YES)、制御をステップS104に進める。
【0106】
話者話速調整制御部107は、聴者話速データベース1053Bから複数の聴者話速Vb(例えば、全ての聴者話速Vb)を読み出し、最大の聴者話速Vbを聴者話速上限値Maxとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S104)。また、話者話速調整制御部107は、最小の聴者話速Vbを聴者話速下限値Minとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S104)。
【0107】
話者話速調整制御部107は、ステップS104により処理を終える。
【0108】
したがって、第2の実施の形態に係る話者話速制御装置1Aによれば、聴者Bの発話による音圧を受けるマイクである聴者マイク101Bと、聴者マイク101Bから聴者Bの発話による音圧を示す音圧信号である聴者音圧信号101BSを受信する聴者音圧信号受信部102Bと、聴者音圧信号受信部102Bから聴者音圧信号101BSを基に出力される聴者音圧計測信号102BSにより聴者話速を算出する聴者話速算出部103Bとを備え、聴者話速記憶部1051には、算出された聴者話速が予め記憶されるので、実際の聴者Bの聴者話速に話者話速を対応させることができる。聴者Bにとっては自分の話速が最も聴きやすいので、話者話速を聴者Bの聴者話速つまり聴者Bにとって聴きやすい話者話速にすることができる。
【0109】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、第1、第2の実施の形態に同一または類似の装置および装置構成を用い、同一または類似のものについては第1、第2の実施の形態で使用した符号を使用して重複説明を略し、第1、第2の実施の形態とは異なる事項を中心に説明を行う。また、第1の実施の形態で示した変形例は、第3の実施の形態に適用してもよい。
【0110】
図12は、第3の実施の形態に係る話者話速制御装置1Bを示す図である。図12(a)は、話者話速制御装置1Bが話者Aに使用され、話者話速制御装置1Bの聴者マイク101B、101C、101Dがそれぞれ聴者B、C、Dに使用されている様子を示す図である。図12(b)は、話者話速制御装置1Bの概略構成を示す機能ブロック図である。
【0111】
話者話速制御装置1Bは、第1の実施の形態と同様に、話者話速調整要請通知AL(例えば、音声、光、振動、温度、香りなどによる通知)を話者Aに向けて出力する装置である。
【0112】
話者話速制御装置1Bは、話者Aが複数の聴者、つまり、この場合の聴者B、C、Dと会話するときに使用されるものである。聴者マイク101B、101C、101Dは、例えば、聴者B、C、Dに向けて使用される。聴者マイク101B、101C、101Dは、話者話速制御装置1Bに内蔵してもよい。
【0113】
聴者B、C、Dの中で、聴者自身にとって聴きやすい発話の速度が最も遅いのは、例えば、聴者Dである。聴者Dは、例えば、3者の中での最高齢者である。話者話速制御装置1Bは、話者Aの話者話速を、このような聴者Dにとって聴きやすい話者話速にするための構成を有している。
【0114】
話者話速制御装置1Bは、話者Aの発話による音圧を受けるマイクロフォンである話者マイク101Aと、聴者Bの発話による音圧を受けるマイクロフォンである聴者マイク101Bと、聴者Cの発話による音圧を受けるマイクロフォンである聴者マイク101Cと、聴者Dの発話による音圧を受けるマイクロフォンである聴者マイク101Dと、話者マイク101Aから話者Aの発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号101ASを受信する話者音圧信号受信部102Aと、聴者マイク101Bから聴者Bの発話による音圧を示す音圧信号である聴者音圧信号101BSを受信する聴者音圧信号受信部102Bと、聴者マイク101Cから聴者Cの発話による音圧を示す音圧信号である聴者音圧信号101CSを受信する聴者音圧信号受信部102Cと、聴者マイク101Dから聴者Dの発話による音圧を示す音圧信号である聴者音圧信号101DSを受信する聴者音圧信号受信部102Dと、話者音圧信号受信部102Aから話者音圧信号101ASを基に出力される話者音圧計測信号102ASにより話者話速を算出する話者話速算出部103Aと、聴者音圧信号受信部102Bから聴者音圧信号101BSを基に出力される聴者音圧計測信号102BSにより聴者話速を算出する聴者話速算出部103Bと、聴者音圧信号受信部102Cから聴者音圧信号101CSを基に出力される聴者音圧計測信号102CSにより聴者話速を算出する聴者話速算出部103Cと、聴者音圧信号受信部102Dから聴者音圧信号101DSを基に出力される聴者音圧計測信号102DSにより聴者話速を算出する聴者話速算出部103Dと、各種のパラメータ(詳しくは後述する)が入力される入力部104と、聴者話速や話者話速やパラメータが記憶される記憶部105と、話者話速や聴者話速を計測した区間の開始時刻および終了時刻の計測に必要な現在時刻を出力する時刻出力部106と、話者話速と聴者話速に基づいて、話者話速の調整の要否を判定し、話者話速の調整が必要なら、話者話速調整要請通知ALが出力されるように制御を行う話者話速調整制御部107と、話者話速調整要請通知ALを出力する話者話速調整要請通知出力部108とを備える。
【0115】
記憶部105は、図2と同様な聴者話速記憶部1051を有する。聴者話速記憶部1051には、計算により求められた聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minが記憶される。
【0116】
また、記憶部105は、図3と同様な話者話速データベース1052Aを有する。
【0117】
また、記憶部105は、図9の聴者話速データベース1052Bの他に、同様な聴者C用の聴者話速データベース1052C、聴者D用の聴者話速データベース1052Dを有する。
【0118】
また、記憶部105は、図10の聴者話速データベース1053Bに代えて、聴者話速データベース1054Bを有する。
【0119】
図13は、記憶部105に含まれる聴者話速データベース1054Bの構成の一例を示す図である。
【0120】
聴者話速データベース1054Bは、各聴者B、C、Dにつき、複数の区間のそれぞれでの聴者話速Vbが計測されるので、その各聴者話速Vbを記憶するものである。各聴者話速Vbには、聴者話速Vbでの発話がなされる区間の開始時刻、聴者話速Vbでの発話の音圧を受けたマイクを示す識別情報が対応づけて記憶される。聴者話速データベース1054Bは、例えば、現在から10分前までの期間に含まれる開始時刻に対応づけられた聴者話速Vbのみを記憶し、それより開始時刻に対応づけられた聴者話速Vbつまり古い聴者話速Vbは自動的に消去されるようになっている。
(話者話速制御装置1Bの動作方法)
話者話速制御装置1Bでは、図4のステップS1において、話者話速調整制御部107が、与えられた聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを聴者話速記憶部1051に記憶させるのでなく、聴者B、C、Dの聴者話速Vbに基づいて、聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを計算し、聴者話速記憶部1051に記憶させる。その他の動作は、図4のステップS1以外と同じであるから、説明を省略する。
【0121】
図14は、第3の実施の形態におけるステップS1の動作を示すフローチャートである。
【0122】
まず、聴者話速算出部103Bは、第2の実施の形態と同様に、聴者音圧計測信号102BSにより聴者話速を算出し、固有の聴者話速番号、ならびに聴者話速での発話がなされる区間の開始時刻および終了時刻に対応づけて、聴者話速データベース1052Bに記憶させる(S101)。
【0123】
次に、話者話速調整制御部107は、第2の実施の形態と同様に、聴者Bについての聴者話速Vbを計算し、聴者話速Vbでの発話がなされる区間の開始時刻、聴者話速Vbでの発話の音圧を受けた聴者マイク101Bを示す識別情報に対応づけて、聴者話速データベース1054Bに記憶させる(S102)。なお、聴者話速Vbの計算に用いるパラメータである区間Tの長さおよび長さtは、話者話速Vaや他の聴者についての聴者話速Vbを求めるときのものと同じであっても、異なっていてもよい。聴者C、Dについても同様である。
【0124】
次に、聴者話速算出部103Cは、聴者話速算出部103Bの方法と同様に、聴者音圧計測信号102CSにより聴者Cの聴者話速を算出し、固有の聴者話速番号、ならびに聴者話速での発話がなされる区間の開始時刻および終了時刻に対応づけて、聴者話速データベース1052Cに記憶させる(S111)。
【0125】
次に、話者話速調整制御部107は、第2の実施の形態の方法と同様に、聴者Cについての聴者話速Vbを計算し、聴者話速Vbでの発話がなされる区間の開始時刻、聴者話速Vbでの発話の音圧を受けた聴者マイク101Cを示す識別情報に対応づけて、聴者話速データベース1054Bに記憶させる(S112)。
【0126】
次に、聴者話速算出部103Dは、聴者話速算出部103B、Cの方法と同様に、聴者音圧計測信号102DSにより聴者Dの聴者話速を算出し、固有の聴者話速番号、ならびに聴者話速での発話がなされる区間の開始時刻および終了時刻に対応づけて、聴者話速データベース1052Dに記憶させる(S113)。
【0127】
次に、話者話速調整制御部107は、第2の実施の形態の方法と同様に、聴者Dの聴者話速Vbを計算し、聴者話速Vbでの発話がなされる区間の開始時刻、聴者話速Vbでの発話の音圧を受けた聴者マイク101Dを示す識別情報に対応づけて、聴者話速データベース1054Bに記憶させる(S114)。
【0128】
次に、話者話速調整制御部107は、各聴者マイク101B、101C、101Dにつき、その識別情報に対応づけられた聴者話速Vbが記憶部105に予め記憶されたパラメータの1つである数(例えば、2個)以上、聴者話速データベース1054Bにあるか否かを判定する(S115)。
【0129】
話者話速調整制御部107は、いずれかの識別情報に対応づけられた聴者話速Vbの数が、記憶部105に記憶された数未満(例えば、1個しかない)なら(S115:NO)、制御をステップS101に戻す。
【0130】
一方、話者話速調整制御部107は、いずれの識別情報に対応づけられた聴者話速Vbについても、その聴者話速Vbの数が、記憶部105に記憶された数以上(例えば、いずれも2個以上ある)なら(S115:YES)、制御をステップS116に進める。
【0131】
話者話速調整制御部107は、ステップS116では、聴者話速データベース1053Bから複数の聴者話速Vb(例えば、全ての聴者話速Vb)を読み出す。
【0132】
また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Bの識別情報に対応づけられた最大の聴者話速Vb(以下、聴者話速Vbbmax)を求める。また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Bの識別情報に対応づけられた最小の聴者話速Vb(以下、聴者話速Vbbmin)を求める。また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Bの識別情報に対応づけられた聴者話速Vbの平均(以下、聴者話速Vbbavg)を求める。
【0133】
また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Cの識別情報に対応づけられた最大の聴者話速Vb(以下、聴者話速Vbcmax)を求める。また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Cの識別情報に対応づけられた最小の聴者話速Vb(以下、聴者話速Vbcmin)を求める。また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Cの識別情報に対応づけられた聴者話速Vbの平均(以下、聴者話速Vbcavg)を求める。
【0134】
また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Dの識別情報に対応づけられた最大の聴者話速Vb(以下、聴者話速Vbdmax)を求める。また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Dの識別情報に対応づけられた最小の聴者話速Vb(以下、聴者話速Vbdmin)を求める。また、話者話速調整制御部107は、聴者マイク101Dの識別情報に対応づけられた聴者話速Vbの平均(以下、聴者話速Vbdavg)を求める。
【0135】
話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbbavg、Vbcavg、Vbdavgの中の最小値を選択する。
【0136】
話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbbavgを選択した場合は、聴者話速Vbbmaxを聴者話速上限値Maxとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S116)。また、話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbbminを聴者話速下限値Minとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S116)。
【0137】
一方、話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbcavgを選択した場合は、聴者話速Vbcmaxを聴者話速上限値Maxとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S116)。また、話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbcminを聴者話速下限値Minとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S116)。
【0138】
一方、話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbdavgを選択した場合は、聴者話速Vbdmaxを聴者話速上限値Maxとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S116)。また、話者話速調整制御部107は、聴者話速Vbdminを聴者話速下限値Minとして、聴者話速記憶部1051に記憶させる(S116)。
【0139】
話者話速調整制御部107は、ステップS116により処理を終える。
【0140】
図15は、ステップS116の動作を説明するための図である。
【0141】
図14によれば、聴者話速Vbbavg、Vbcavg、Vbdavgの中の最小値は、聴者話速Vbdavgであるから、聴者話速Vbdmaxが聴者話速上限値Maxとされ、聴者話速Vbdminが聴者話速下限値Minとされる。
【0142】
なお、ステップS116では、聴者話速Vbbmax、Vbcmax、Vbdmaxの中の最大値を聴者話速上限値Maxとし、聴者話速Vbbmin、Vbcmin、Vbdminの中の最小値を聴者話速下限値Minとしてもよい。
【0143】
図14によれば、聴者話速Vbbmax、Vbcmax、Vbdmaxの中の最大値は聴者話速Vbbmaxであり、聴者話速Vbbmin、Vbcmin、Vbdminの中の最小値は聴者話速Vbdminであるので、聴者話速Vbbmaxが聴者話速上限値Maxとされ、聴者話速Vbdminが聴者話速下限値Minとされる。
【0144】
なお、ステップS116では、上記2つの方法以外の方法で聴者話速上限値Maxおよび聴者話速下限値Minを設定してもよい。
【0145】
したがって、第3の実施の形態に係る話者話速制御装置1Bによれば、聴者マイク101B、101C、101D、聴者音圧信号受信部102B、102C、102Dおよび聴者話速算出部103B、103C、103Dを備え、つまり、聴者マイク、聴者音圧信号受信部および聴者話速算出部を、複数の聴者B、C、Dごとに備え、聴者話速記憶部1051は、最も小さい聴者話速(図14では、聴者話速Vbbmaxおよび聴者話速Vbdmin)を予め記憶するものであるので、最も遅い聴者話速で会話する聴者(図14の例では、聴者D)の聴者話速に話者話速を対応させることができる。聴者Dにとっては自分の話速が最も聴きやすく、他の聴者B、Cにとっても、自分の話速より遅い話速なら聴きにくいことはない。つまり、話者話速を聴者Dの聴者話速つまり聴者Dにとって聴きやすい話者話速にすることができ、かつ、話者話速が聴者B、Cにとって聴きにくくなるのを防止することができる。
【0146】
なお、各実施の形態では、話者話速調整要請通知ALを出力する話者話速調整要請通知出力部108を設けたが、話者話速調整要請通知出力部108に代えて、話者話速の調整が不要である旨の話者話速調整不要通知を話者に向けて出力する話者話速調整不要通知出力部(図示せず)を設け、話者話速調整制御部107は、話者話速の調整が不要なら、話者話速調整不要通知が出力されるように、話者話速調整不要通知出力部を制御することとしてもよい。
【0147】
話者話速調整不要通知は、話者話速調整要請通知と同様に、音声、光、振動、温度、香りなどによる通知である。
【0148】
話者話速の調整が不要である場合とは、例えば、話者話速が聴者話速上限値Max以下、且つ、聴者話速下限値Min以上である場合である。また、話者話速を、例えば、最も遅い聴者話速で会話する聴者の聴者話速より遅くしたい場合は、そのような場合に、話者話速調整不要通知を出力させればよい。
【0149】
また、各実施の形態に係る話者話速制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録でき、また、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
【符号の説明】
【0150】
1、1A、1B 話者話速制御装置
101A 話者マイク
101AS 話者音圧信号
101B、101C、101D 聴者マイク
101BS、101CS、101DS 聴者音圧信号
102A 話者音圧信号受信部
102AS 話者音圧計測信号
102B、102C、102D 聴者音圧信号受信部
102BS、102CS、102DS 聴者音圧計測信号
103A 話者話速算出部
103B、103C、103D 聴者話速算出部
104 入力部
105 記憶部
106 時刻出力部
107 話者話速調整制御部
108 話者話速調整要請通知出力部
1051 聴者話速記憶部
1052A 話者話速データベース
1052B、1052C、1052D、1053B、1054B 聴者話速データベース
Max 聴者話速上限値
Min 聴者話速下限値
TH 音圧閾値
Va 話者話速
Vb 聴者話速

【特許請求の範囲】
【請求項1】
話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、
前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、
前記話者話速の調整を要請する旨の話者話速調整要請通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整要請通知出力部と、
前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、
前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部と、
前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させる話者話速算出部と、
前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が必要なら、前記話者話速調整要請通知が出力されるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御する話者話速調整制御部と
を備えることを特徴とする話者話速制御装置。
【請求項2】
話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、
前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、
前記話者話速の調整が不要である旨の話者話速調整不要通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整不要通知出力部と、
前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、
前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部と、
前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させる話者話速算出部と、
前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が不要なら、前記話者話速調整不要通知が出力されるように前記話者話速調整不要通知出力部を制御する話者話速調整制御部と
を備えることを特徴とする話者話速制御装置。
【請求項3】
前記話者音圧計測信号は、前記話者音圧信号から予め定められた音圧閾値以下の部分を除いた信号であることを特徴とする請求項1または2記載の話者話速制御装置。
【請求項4】
前記聴者の発話による音圧を受けるマイクである聴者マイクと、
前記聴者マイクから前記聴者の発話による音圧を示す音圧信号である聴者音圧信号を受信する聴者音圧信号受信部と、
前記聴者音圧信号受信部から前記聴者音圧信号を基に出力される聴者音圧計測信号により聴者話速を算出する聴者話速算出部とを備え、
前記聴者話速記憶部は、前記算出された聴者話速を予め記憶するものである
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の話者話速制御装置。
【請求項5】
前記聴者マイク、前記聴者音圧信号受信部および前記聴者話速算出部を、複数の聴者ごとに備え、
前記聴者話速記憶部は、前記複数の聴者話速の中で最も小さい聴者話速を予め記憶するものである
ことを特徴とする請求項4記載の話者話速制御装置。
【請求項6】
前記聴者話速記憶部は、前記聴者にとって聴きやすい発話の速度の上限値である第1の聴者話速および下限値である第2の聴者話速を予め記憶するものであり、
前記話者話速調整制御部は、
前記話者話速が前記第1の聴者話速より大きい、または、前記話者話速が前記第2の聴者話速より小さいなら、前記話者話速調整要請通知が出力され、かつ、前記話者話速が前記第1の聴者話速より大きい場合の話者話速調整要請通知と前記話者話速が前記第2の聴者話速より小さい場合の話者話速調整要請通知とが互いに前記話者にとって区別できるものとなるように、前記話者話速調整要請通知出力部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の話者話速制御装置。
【請求項7】
前記聴者話速記憶部は、前記聴者にとって聴きやすい発話の速度の上限値である第1の聴者話速および下限値である第2の聴者話速を予め記憶するものであり、
前記話者話速調整制御部は、
前記話者話速が前記第1の聴者話速より大きいなら、前記話者話速と前記第1の聴者話速の差分が大きいほど前記話者話速調整要請通知での要請の程度が高くなるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御し、一方、前記話者話速が前記第2の聴者話速より小さいなら、前記話者話速と前記第2の聴者話速の差分が大きいほど前記話者話速調整要請通知での要請の程度が高くなるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の話者話速制御装置。
【請求項8】
話者話速の調整を要請する旨の話者話速調整要請通知を話者に向けて出力する話者話速制御装置の動作方法であって、
前記話者話速制御装置は、
話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、
前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、
前記話者話速の調整を要請する旨の話者話速調整要請通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整要請通知出力部と、
前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、
前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部とを備え、
前記動作方法は、
前記話者話速制御装置の話者話速算出部が、前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させ、
前記話者話速制御装置の話者話速調整制御部が、前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が必要なら、前記話者話速調整要請通知が出力されるように前記話者話速調整要請通知出力部を制御する
ことを特徴とする話者話速制御装置の動作方法。
【請求項9】
話者話速の調整不要である旨の話者話速調整不要通知を話者に向けて出力する話者話速制御装置の動作方法であって、
前記話者話速制御装置は、
話者の発話を聴く聴者にとって聴きやすい発話の速度である聴者話速が予め記憶される聴者話速記憶部と、
前記話者の発話の速度である話者話速が記憶される話者話速データベースと、
前記話者話速の調整が不要である旨の話者話速調整不要通知を前記話者に向けて出力する話者話速調整不要通知出力部と、
前記話者の発話による音圧を受けるマイクである話者マイクと、
前記話者マイクから前記話者の発話による音圧を示す音圧信号である話者音圧信号を受信する話者音圧信号受信部とを備え、
前記動作方法は、
前記話者話速制御装置の話者話速算出部が、前記話者音圧信号受信部から前記話者音圧信号を基に出力される話者音圧計測信号により前記話者話速を算出し、前記話者話速を前記話者話速データベースに記憶させ、
前記話者話速制御装置の話者話速調整制御部が、前記話者話速データベースから1つの話者話速または2以上の話者話速を読み出し、前記聴者話速記憶部から聴者話速を読み出し、前記1つの話者話速または前記2以上の話者話速に基づいて計算した話者話速と前記読み出した聴者話速とに基づいて、前記話者話速の調整の要否を判定し、前記話者話速の調整が不要なら、前記話者話速調整不要通知が出力されるように前記話者話速調整不要通知出力部を制御する
ことを特徴とする話者話速制御装置の動作方法。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれかに記載の話者話速制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−114118(P2013−114118A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261432(P2011−261432)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)