説明

認知機能低下の阻害剤

【解決手段】認知機能低下、特にアルツハイマー病、治療用中枢神経系薬剤の候補化合物を提供する。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩で認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を治療、阻害、軽減する方法も提供する。また、本発明の化合物/組成物を調製する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月31日に出願された米国仮出願第61/230,326号明細書およびに2010年2月26日に出願された米国仮出願第61/308,686号明細書に対して優先権を主張した出願であり、その各内容は本明細書にこの参照によりその全体が組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、特に、認知機能低下を阻害、治療または軽減するのに有用な化合物およびその調製法を提供する。「化学処理法」(chemical conditioning"と呼ばれる方法において、本発明の特定の化合物は、ウコン(Curcuma longa)に存在するような天然化合物から誘導される。本明細書に記載の化学処理法プロセスは、多様な生物の抽出物に適用可能であり、可能性のある創薬候補のスクリーニング用化合物アレイを作成するために使用し得る。さらに、化学処理法によって誘導される化合物は、化学的に安定であり、構造的に多様であって、薬学的活性の薬物スクリーニングに使用するのに良い候補である。いくつかの実施形態では、ウコン油由来の化合物が提供される。本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の化学処理法プロセスによってウコン油由来の化合物が提供される。別の実施形態において、本発明は、ウコン油から化合物のアレイを調製する方法を提供する。いくつかの他の実施形態では、認知機能低下を抑制、治療、または軽減するのに有用な化合物は化学合成によって調製される。
【0003】
幾つかの実施形態において、本発明は、式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2:の化合物、
【0004】
【化1】

【0005】

【0006】

【0007】

【0008】
または薬学的に許容される塩を提供し、組成成分は以下に提供する。
【0009】
本発明は、さらに医薬組成物であって、本発明の化合物(例えば、ウコン油の誘導体または式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2の化合物)、またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明はさらに、医薬組成物であって、式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む組成を提供する。
【0010】
本発明はさらに、式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2のような本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を用いて、認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2のような本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を用いて認知機能の低下を阻害、治療、および/または軽減する方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2のような本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を用いて、アミロイド産生、アミロイド構築、アミロイド凝集、アミロイド結合(例えば、ニューロンのような脳内細胞に)、ニューロン上のβアミロイド・オリゴマーの活性/効果、およびアミロイド沈着(例えば、ニューロン細胞のような脳内細胞上に)のうち、1若しくはそれ以上を阻害、治療、または軽減する方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2の化合物、またはその薬学的に許容される塩を治療用に提供する。
【0014】
本発明はさらに、式I−0、I、Ia−0、Ia、Ib−0、Ib、Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、Ia−2、Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、またはIb−2の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を治療用薬剤の製造/調製用に提供する。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、ニューロン(例えば、脳内のニューロンなど)へのアミロイド(アミロイドβオリゴマーを含む)の結合を阻害、治療、または軽減(部分的に阻害)し、認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および軽減するのに有用である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド凝集、アミロイド結合、およびアミロイド沈着の内の1若しくはそれ以上を阻害、治療、または軽減する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド凝集を阻害、治療、または軽減する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド結合を阻害、治療、または軽減する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド沈着を阻害、治療、または軽減する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド沈着を阻害、治療、または軽減する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、ニューロン上のβアミロイド・オリゴマーの活性/効果を阻害、治療、または軽減する。いくつかの実施形態において、前記化合物はβ−セクレターゼのアッセイで活性を示し、認知機能低下およびアルツハイマー病の抑制、治療、の軽減のために有用である可能性がある。いくつかの実施形態ではウコン油の誘導体は、精製および単離された形態の化合物である(例えば、純度が80%、85%、90%、95%、98重量%、または99%を超える)。本明細書に記載の化合物および方法は、記憶喪失、混乱、判断力障害、人格変化、見当識障害、および言語能力の喪失のような認知機能の低下および/またはアルツハイマー病の症状の内の1つまたはそれ以上を治療するために使用してもよい。さらに、本明細書に記載の化合物および方法は、長期増強作用を回復し、および/または神経変性および一般アミロイド症のどちらか、または両者を阻害、治療、または軽減することによって、より具体的には、アミロイド産生、アミロイド構築、アミロイド凝集、アミロイド結合、およびアミロイド沈着の内、1若しくはそれ以上を阻害、治療、または軽減することによって、認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、または軽減するのに有用である可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、アミロイド前駆体タンパク質処理物の存在下および非存在下におけるMTTアッセイの結果を示す。
【図2】図2は、CT0109による、アミロイド前駆体タンパク質処理物媒介の膜輸送効果の阻害を示す。
【図3】図3は、CT0109がアミロイド前駆体タンパク質処理物の記憶喪失効果を阻害することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
記憶喪失、混乱、判断力障害、人格変化、見当識障害、および言語能力の喪失ような認知機能の低下は、程度は異なるが、人口の多くの割合が高齢化するにつれて発生する。認知機能低下の最も一般的な、重度の不可逆的認知機能の低下が、アルツハイマー病であり、現時点では、常に致命的である。
【0018】
認知機能低下およびアルツハイマー病の症状は、アミロイド斑と神経原線維タングルの形成に起因すると考えられているが、これらは脳内のニューロン(神経細胞)の劣化と症状のその後の発症に寄与すると考えられている。アミロイドは、体が正常に産生するタンパク質断片(fragment)の総称である。β−アミロイドは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と呼ばれる別のタンパク質から切り取られたタンパク質の断片である。健常な脳では、β−アミロイドタンパク質断片は、分解され、脱離される。アルツハイマー病および他の形態の認知機能低下の人では、前記断片は、蓄積して堅い、不溶性のプラークを形成する。神経原線維タングル(tangle)は、脳細胞の中に見出される不溶性のねじれた繊維である。神経原線維タングルに含まれるタンパク質、すなわち、タウ蛋白質は、別の神経細胞の一部分から他の部分へ栄養素およびその他の重要な物質を輸送するのを助ける微小管を形成する。アルツハイマー病においては、タウ蛋白が異常であって、前記微小管の構造が崩壊する。
【0019】
β−セクレターゼは、ヒトの脳内にある酵素であって、アルツハイマー病脳内の脳のプラークとタングルの形成に関与する病原性物質である、β−アミロイド、の産生に関与している。β−アミロイドとそのオリゴマー(β−アミロイドオリゴマーまたはAベータオリゴマー)も前アルツハイマー病の脳の初期で認知機能の低下に関与していると考えられる。β−セクレターゼを阻害することは、脳内のβ−アミロイドによる負担を軽減し、その結果、認知機能の低下を遅らせ、アミロイドオリゴマーの形成およびプラークとタングルの産生を阻止し、神経変性を停滞させ、軽度の認知障害およびより深刻なタイプのアルツハイマー病などの認知障害を治療する可能性があることが期待されるであろう。
【0020】
世界中で数百万の人々が認知機能低下およびアルツハイマー病に冒されている。したがって、認知機能の低下の阻害剤、即ち特にアミロイド(βアミロイドオリゴマーを含む)の産生、アミロイド(βアミロイドオリゴマーを含む)の凝集 および/またはアミロイド(アミロイドβオリゴマーを含む)の沈着(すなわち、プラ−キング (plaqIng)を阻害したり、神経変性を阻害したり、および/または長期増強を復元したり、および/またはニューロン上のβアミロイド・オリゴマーの活性/効果を阻害するような方法による、認知機能低下およびアルツハイマー病の治療および軽減に有用である化合物を発見する必要性が強い。亦、化学的および生物学的に安定な、認知機能低下阻害剤の必要性もある。
【0021】
植物は、認知機能低下およびアルツハイマー病の領域における創薬のための可能性のある、貴重な資源として、余り注目を集めていなかった。植物抽出物を使用して薬剤として興味のある化合物の非天然性誘導体を生成することは、一般に使用されていない。したがって、植物抽出物および他の生物源からの抽出物から医薬として興味のある化合物の調製方法の必要性もある。特に、認知機能低下およびアルツハイマー病の治療および軽減に有用である植物抽出物由来の化合物を生成し、識別する必要もある。
【0022】
インドで豊かに生育するウコンは、インドの医学−アーユルヴェーダのシステムで非常に評判の薬草であって、Curcuma longa L.Syn.Curcumadomestica Valeton(Fam.Zingiberaceae)の根茎である。これは、長い間、食品のスパイスおよび着色剤として使用されてきた。その粉末または抽出物は、傷および炎症を治療するこのに推奨されてきた。ショウガ科のクルクマ属の根茎および葉の脂溶性抽出物は、神経脳血管(neurocerebrovascular)障害の治療に有用であることが報告されている。WO 2003051380を参照。ウコン油は、ターメリック(Curcuma longa)から超臨界二酸化炭素で抽出することができる。例えば次を参照:B.ゴーパランら。"超臨界二酸化炭素によるウコン(Curcuma longa)の抽出B.Gopalan,et.al,"Supercritical Carbon Dioxide Extraction of Turmeric(Curcuma longa)",J.Agric.Food Chem.,2000,48(6),pp 2189−2192;次も参照、L−H Changら,"Supercritical carbon dioxide extraction of turmeric from Curcuma longa Linn and purification of turmerones",Separation and Purification Technology Volume 47,Issue 3,January 2006,Pages 119−125.本発明は、一部、認知機能低下およびアルツハイマー病の治療および軽減に有用である、ウコン油から誘導された化合物(すなわちウコン油誘導体)の調製および識別に関する。また、本発明は、亦一部、認知機能低下およびアルツハイマー病の治療および軽減に有用である化合物を化学的に合成することに関するものである。
【0023】
本明細書に記載の化合物、組成物、および方法は、これらのニーズおよびその他の目的に向けられている。
【0024】
本明細の実施形態は、特に式I−0の化合物
【0025】
【化2】

【0026】
またはその薬学的に許容される塩を提供し、
【0027】
【化3】

【0028】
は単結合または二重結合であり、
R1はH、CH3、CF3、F、Cl、Br、または−OCF3であり、
R2は、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールであって前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され;
R3はOHまたはNR3aNR3bであり、
R3aは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールであり、
前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され、
R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールであり、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され、
または、R3aおよびR3bは、これらが結合しているN原子と共に、4−、5−、6−、または7−員ヘテロシクロアルキル基を形成し、当該基は、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され、
は、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリール、であって、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリール、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されているものである。
【0029】
いくつかの実施形態では、
【0030】
【化4】

【0031】
が二重結合であり、R3はOHである場合、R1、R2、およびR4の少なくとも1つはH以外である。いくつかの実施形態においては、式I−0の化合物は、2−メチル−6−p−トリルヘプト−2−エン−4−オール(2−methyl−6−p−tolyhept−2−en−4−ol)以外である。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学上許容される塩の化合物は、式Iの化合物である。
【0033】
【化5】

【0034】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、(6S)−2−メチル−6−p−トリルヘプト−2−エン−4−オール以外のものである。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、式Ia−0の化合物、
【0036】
【化6】

【0037】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、式Iaの化合物、
【0039】
【化7】

【0040】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0041】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ib−0の化合物、
【0042】
【化8】

【0043】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ibの化合物、
【0045】
【化9】

【0046】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ia−1−0の化合物、
【0048】
【化10】

【0049】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ia−1の化合物、
【0051】
【化11】

【0052】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ia−2−0の化合物、
【0054】
【化12】

【0055】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ia−2の化合物である。
【0057】
【化13】

【0058】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0059】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ib−1−0の化合物である。
【0060】
【化14】

【0061】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0062】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ib−1の化合物、
【0063】
【化15】

【0064】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0065】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ib−2−0の化合物、
【0066】
【化16】

【0067】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は式Ib−2の化合物、
【0069】
【化17】

【0070】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0071】
いくつかの実施形態では、RはH、CH、またはCFである。さらにいくつかの実施形態では、RはCHまたはCFである。さらに別の実施形態では、RはCHである。
【0072】
いくつかの実施形態では、RはHまたはCHである。
【0073】
いくつかの実施形態では、RはF、Cl、またはBrである。他の実施形態では、RはOCFである。
【0074】
いくつかの実施形態では、RはH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールである。さらにいくつかの実施形態では、RはH、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである。
【0075】
いくつかの実施形態では、RはHまたはC1−6アルキルである。。さらにいくつかの実施形態では、RはHまたはメチルである。さらに別の実施形態では、RはHである。
【0076】
いくつかの実施形態では、RはH、CH、またはCFであり、RはHまたはC1−6アルキルである。さらにいくつかの実施形態では、RはCHまたはCFであり、RはHである。さらに別の実施形態では、RはCHであり、RはHである。
【0077】
いくつかの実施形態では、R3aは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC1−6アリールであり、それぞれ前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC1−6アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されている。さらにいくつかの実施形態では、R3aは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC1−6アリールである。
【0078】
いくつかの実施形態では、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC1−6アリールであり、それぞれ前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC1−6アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されている。さらにいくつかの実施形態では、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC1−6アリールである。
【0079】
いくつかの実施形態では、R3aは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールであり、それぞれ前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されている。
【0080】
いくつかの実施形態では、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールであり、それぞれ前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されている。
【0081】
いくつかの実施形態では、R3aはH、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールであり、それぞれ前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されている。さらにいくつかの実施形態では、R3aはH、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールであり、それぞれ前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、各0、1、2、3、4、または5個の、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、R3aはHであり、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールである。
【0083】
いくつかの実施形態では、R3aはHであり、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールである。
【0084】
いくつかの実施形態では、R3aはHであり、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールである。
【0085】
いくつかの実施形態では、R3aはHであり、R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、または、C3−7シクロアルキルである。
【0086】
いくつかの実施形態では、R3aはHであり、R3bは、C1−6アルキル、またはC1−6ハロアルキルである。
【0087】
いくつかの実施形態では、R3aはHであり、R3bは、C1−6アルキルである。
【0088】
いくつかの実施形態では、R3aおよびR3bは、これらが結合しているN原子と共に、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルを形成し、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されている。
【0089】
3aおよびR3bは、これらが結合しているN原子と共に、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルを形成し、各0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、フェニル、およびベンジルからそれぞれ独立して選ばれる置換基で置換されている。
【0090】
いくつかの実施形態では、Rは、H、C1−66アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC1−6アリールである。さらにいくつかの実施形態では、Rは、H、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである。
【0091】
いくつかの実施形態では、Rは、HまたはC1−61−6アルキルである。さらにいくつかの実施形態では、Rは、Hまたはメチルである。さらに別の実施形態では、Rは、Hである。
【0092】
いくつかの実施形態では、
【0093】
いくつかの実施形態ではRはHまたはC1−6アルキルであり、Rは、HまたはC1−6アルキルである。
【0094】
いくつかの実施形態ではRはHまたはメチルであり、Rは、Hまたはメチルである。
【0095】
いくつかの実施形態では、RはH、CH、またはCFであり、RはHまたはC1−6アルキルであり、Rは、HまたはC1−6アルキルである。さらにいくつかの実施形態では、RはCHまたはCFであり、RはHであり、RはHである。さらなる実施形態では、RはCHであり、RはHであり、RはHである。
【0096】
本明細書中の様々な箇所で、本発明の化合物の置換基は、グループまたは範囲で開示されている。それは具体的には、本発明の実施形態は、それぞれ、そのようなグループと範囲のメンバーのすべての個々のサブコンビネーションを含むよう意図されている。例えば、用語「C1−6アルキル」は、特定して個別にメチル(Cアルキル)、エチル(C)アルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、およびCアルキルを開示するよう意図している。
【0097】
変数が複数回表示される本発明の化合物については、各変数は、変数を定義するマーカッシュ群から選択された、別の方の部分であり得る。たとえば、ある構造が同一化合物上に同時に存在する2つのR基を有すると記載されている場合、この2つのR基はRに定義されたマーカッシュ群から選択された別の方の部分を表すことができる。
【0098】
さらに、明確にするために、たとえば、別の実施形態の文脈で説明されている、本発明の特定の機能はまた、単一の実施形態の中で組み合わせとして提供することができることが理解されよう。逆に、簡潔にするため、単一の実施形態の文脈で説明されている、本発明の様々な機能が、また個別に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供することができる。
【0099】
nが通常整数である合、用語「n−員」は、環を形成する原子の数がnである部分の環形原子の数を示している。例えば、ピリジンは、6−員環ヘテロ環の一例あり、チオフェンは5−員環ヘテロアリール基の一例である。
【0100】
本明細書中で用いる場合、用語「アルキル」は直鎖または分枝状飽和炭化水素基を指すことを意味する。アルキル基の例は、これらに限定されるものではないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などを含む。アルキル基は、1〜約20、2〜約20、1〜約10、1〜約8、1〜約6、1〜約4、または1〜約3個の炭素原子を含むことができる。本明細書で用いる場合、「ハロアルキル」は、1つまたはそれ以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味する。ハロアルキル基例は、これらに限定されるものではないが、CF、C、CHF、CCl、CHCl、CCl、CHCFなどを含む。 本明細書で使用する場合、「アリール」は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどのような単環式または多環式(例えば、2、3または4個の縮合環を有する)芳香族炭化水素を指す。いくつかの実施形態では、アリール基は6〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は6〜約10個の炭素原子を有する。
【0101】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」は、20以下の炭素原子を含む環形成アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む非芳香族環状炭化水素を指す。シクロアルキル基は、モノ−、または多環式(例えば、2、3または4個の縮合環を有する)環系ならびにスピロ環系を含むことができる。シクロアルキル基は、3〜約15、3〜約10〜、3〜約8、3〜約6、4〜約6、または3〜約5個、または5〜約6個の環形成炭素原子を含むことができる。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、これらに限定されるものではないが、選択的にオキソまたはスルフィドで置換することができる。シクロアルキル基の例は、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカーニル、アダマンチルなどを含む。また、シクロアルキルの定義に含まれ部分は、当該シクロアルキル環に1若しくはそれ以上の芳香環が縮合。(すなわち、共通の結合を有する)したものであり、例えばペンタン、ペンテン、ヘキサンなどのベンゾまたはチエニル誘導体(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル、または1H−インデン−2(3H)−オン−1−イル)である。好ましくは、「シクロアルキル」は20以下の炭素原子を含む環形成アルキル基を意味する。シクロアルキルの例は好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどを含む。
【0102】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」は、20個以下のの環形成原子および少なくとも1つの、硫黄、酸素、窒素などのヘテロ原子環メンバー(環形成原子)を有する芳香族複素環を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、硫黄、酸素、窒素からそれぞれ独立して選ばれる少なくとも1つまたはそれ以上のヘテロ原子の環形成原子を有する。ヘテロアリール基は単環式および多環式(例えば、2、3または4の縮合環を持つ)システムを含む。ヘテロアリール基の例は、限定されるものではないが、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリニルなどを含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は1〜約20個の炭素原子を有しており、さらなる実施形態では、約1〜約5、約1〜約4、約1〜約3、約1〜約2個の炭素原子を環形成原子として有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、3〜約14、3〜約7、または5〜6個の環形成原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、1〜約4、1〜約3、または1〜2個のヘテロ原子を含む。
【0103】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルキル」は、1若しくはそれ以上の環形成炭素原子をO、NまたはS原子のようなヘテロ原子で置換された、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含み、20個以下の環形成原子を有する非芳香族複素環を指す。ヘテロシクロアルキル基は、モノまたは多環式(例えば、縮合およびスピロシステムの両方)であり得る。「ヘテロシクロアルキル」の例は、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、1,3−ベンゾジオキソール、ベンゾ−1,4−ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリ、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、ピロリジン−2−オン−3−イルなどを含む。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子とヘテロ原子はオキソまたはスルフィドで選択的に置換することができる。たとえば、環を形成するS原子を1または2個のオキソで置換することができる[すなわち、S(O)またはS(O)を形成]。別の例として、環を形成するC原子がオキソ(すなわち、カルボニル形成)で置換することができる。また、ヘテロシクロアルキルの定義に含まれるのは、1つまたはそれ以上の芳香環が、例えば、ピリジニル、チオフェニル、フタリミジル、ナフタリミジル、およびインドレン、イソインドレン、イソインドリン−1−オン−3−イル、4,5,6,7−テトラヒドロ[2,3−c]ピリジン−5−イル、5,6−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン7(4H)−オン−5−イル、3,4−ジヒドロ−1(2H)−オン−3yl基などの複素環のベンゾ誘導体のような非芳香族複素環に縮合(すなわち、前記環と共通の結合を有する)した部分である。環形成炭素原子とヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドで選択的に置換することができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は1〜約20個の炭素原子を、さらなる実施形態では、約3〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は3〜約14、3〜約7、または5〜6個の環形成原子3を含む。いくつかの実施形態では、前記ヘテロシクロアルキル基は、1〜約4、1〜3個、または1〜2個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は0〜3個の二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は0〜2個の三重結合を含む。
【0104】
本明細書で使用する場合、「ハロ」または、「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0105】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」は、−O−アルキル基を意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシ、イソプロポキシ)、t−ブトキシなどを含む。
【0106】
本明細書中で使用する場合、「ハロアルコキシ」は、−O−ハロアルキル基を指す。ハロアルコキシ基の例はOCFである。本明細書で使用する場合、「トリハロメトキシ」は、3個のハロゲン置換基を有するメトキシ基を意味する。トリハロメトキシ基の例は、これらに限定されるものではないが、−OCF、−OCClF、−OCClなどを含む。
【0107】
本明細書で使用する場合「アリールアルキル」はアリールで置換したC1−6アルキルを指す。アリールアルキル基の例は、これに限定されるものではないが、C6−10アリール基で置換したC1−6アルキル(例えば、ベンジル)を含む。
【0108】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキルで置換したC1−6アルキルを指す。シクロアルキルアルキル基の例は、これに限定されるものではないが、C3−10シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル(例えば。シクロプロピルメチル)で置換したC1−6アルキルを含む。
【0109】
本明細書で使用する場合、「アミノ」はNHを指す。
【0110】
本明細書で使用する場合、用語「選択的に置換した」は、その置換は選択的であり、したがって、非置換および置換の原子および部分の両方を含むことを意味する。「置換した」原子または部分は、指定された原子または部分上の任意の水素が指定された原子または部分の通常の原子価を超えていなく、当該置換が安定な化合物を生ずる限り、指定された置換基から選択で置き換えることができることを示す。例えば、メチル基(すなわち、CH)が選択的に置換されている場合、炭素原子上3つの水素原子を置換基で置換することができる。
【0111】
本明細書の実施形態に記載の化合物は、非対称(例えば、1つまたはそれ以上の立体中心を有する)であってもよい。特記しない限りエナンチオマーおよびジアステレオマーようなすべての立体異性体が意図されている。非対称置換炭素原子を含む本発明の化合物は、光学活性またはラセミ型で単離することができる。ラセミ混合物の分割または立体選択的合成などによって、光学活性出発材料から光学活性体を調製する方法は、当該分野で公知である。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体なは本明細書に記載の化合物中に存在することができ、すべてのそのような安定異性体は、本発明で考慮されている。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体は、記載されており、異性体の混合物または分離した異性体として単離することができる。立体異性または幾何異性が可能な化合物が特定のR/Sまたはシス/トランス配置を参照せずに、その構造または名前で指定されている場合、そのようなすべての異性体が企図されるよう意図されている。
【0112】
化合物のラセミ混合物(またはジアステレオ異性体の混合物)の分割は、当技術分野で公知の多数の方法のいずれかによって実施することができる。方法の例は、光学活性な塩を形成する有機酸である、キラル分割用酸を用いた分別再結晶を含む。分別再結晶法に適し分割剤は、例えば、DおよびL型の、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、またはカンファースルホン酸のような様々な光学活性カンファースルホン酸のなどの光学活性な酸である。分別結晶方法に適した他の分割剤は、立体異性的に純粋な形態のα−メチルベンジルアミン(例えば、SおよびR型、またはジアステレオマー的に純粋な型)、2−フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N−メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、等を含む。
【0113】
ラセミ混合物(またはジアステレオマーの混合物)の分割は、光学活性分割剤(例えば、dinitrobenzoylphenylglycine)を充填したカラムで溶出することにより行うことができる。適当な溶出溶媒組成は、当業者によって決定することができる。
【0114】
本発明の実施形態の化合物は亦互変異性体形式を含む。互変異性体は、隣接する二重結合と単結合の交換がプロトンの同時移行と共に起こる結果である。互変異性体は、同じ実験式と総電荷を有する、異性体のプロトン化状態である、プロトンによる互変異性体を含む。プロトンによる互変異性体の例えば、ケトン−エノール対、アミド−イミド酸対、ラクタム−ラクチム対、アミド−イミド酸対、エナミン−イミン対、およびプロトンが、例えば、1H−と3H−イミダゾール、1H−、2H−および4H−1,2,4−トリアゾール、1H−と2H−イソインドール、および1Hと2H−ピラゾールのように、複素環系の2つ以上の位置を占有することができる環状体を含む。互変異性体は、平衡状態にあるか、または立体的に適切な置換によって1つの形に固定できる。
【0115】
本発明の実施形態の化合物は、さらに水和物および溶媒和物、ならびに無水非溶媒和形を含む。
【0116】
本明細書で使用する場合、用語「化合物」は、表示した構造のすべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体を含むことを意味する。
【0117】
全ての化合物およびその薬学的に許容される塩は調製することができるし、または、水および溶媒(例えば水和物および溶媒和物)のような他の物質と一緒に存在、または分離することができる。 本発明の実施形態の化合物は、また、中間体または最終化合物ニ存在する原子のすべての同位体を含むことができる。同位体は同じ原子番号で異なる質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体は、トリチウムと重水素を含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその塩は実質的に単離される。「実質的に単離された」は、当該化合物が少なくとも部分的にまたは実質的にそれが形成または検出された環境から分離されていることを意味する。部分的な分離は、例えば、本発明の化合物が濃縮された組成物を含むことができる。実質的な分離は、本発明の化合物またはその塩を、重量で少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%含む組成物を包含することができる。化合物およびその塩を単離する方法は当該技術分野では日常のことである。
【0119】
本発明の実施形態の化合物は、安定した構造を持つ化合物を含むことを意図している。明細書中で使用する場合、「安定な化合物」および「安定な構造」は反応混合物から有用な程度の純度に、また、製剤を有効な治療薬に、単離するのにに耐える程十分に堅牢である化合物を示すよう意図されている。
【0120】
用語"薬学的に許容される"は、本明細書において、正しい医学的判断の範囲内であり、ヒトおよび動物の組織と接触での使用に適し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題および合併症がなく、合理的な利益/危険比に見合った、これらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために採用している。
【0121】
式「周辺温度」および「室温」は、本明細書中で使用する場合、当該技術で理解されており、一般に温度、例えば反応温度のことで、反応が行われている部屋の温度、約20℃〜約30℃を意味する。
【0122】
本発明の実施形態は、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩も含む。本明細書で使用する場合、"薬学的に許容される塩"は開示された化合物の誘導体を指し、親化合物は、既存の酸または塩基部分をその塩の形に変換することによって改変されるのである。薬学的に許容される塩の例としては、これに限定されるものではないが、アミンなどの塩基性残基のミネラルまたは有機酸塩、およびカルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩等を含む。本発明の薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性の無機酸または有機酸から形成された親化合物の従来の非毒性塩を含む。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基型を、水または有機溶媒中で、または2つの混合物中で、適切な塩基または酸の化学量論量反応させることにより調製することができる。エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリル(ACN)のような、非水性媒体が好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA.,1985,p.1418(米国ペンシルバニア州Easton)およびJournal of Pharmaceuticaql Science,66,2(1977)に記載されており、これら各々の文献全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
【0123】
化学処理法
いくつかの実施形態では、このようなウコン油などの生物抽出物から一連の化合物を調製する方法が提供される。
【0124】
「化学処理法」と呼ぶ、本発明の方法は、すべての生物抽出物、特に通常または薬効がある、天然植物抽出物に適用される。例えば米国特許出願号第20080193574号および国際公開第WO2008042755号を参照、また、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。化学処理法が容易に入手できる天然素材から新規の非天然性ドラッグライクな化合物を生成する方法である。一般に、天然抽出物の「化学処理法」は化学処理法した抽出物の前分画と相まって、生化学的アッセイにおける偽の陽性の結果を生成する反応性天然化合物を破壊することによって抽出物の生化学的スクリーニングが好結果を収めるのを助ける。化学処理法は、新規のリードライクでドラッグライクな化合物を生成し、本明細書に記載の還元的アミノ化プロトコルと還元プロトコルで構造的に多様な含窒素、特にリードライクでドラッグライクな製品およびアルコール製品を生産することができる。
【0125】
本発明の特定の実施形態では、生物抽出物からの化合物の調製方法は、以下の図式1に例示されている。当該方法によれば、まず、生物抽出物、例えば、植物抽出物が提供され、前記生物抽出物は、1つまたはそれ以上の生物化合物を有し、生物化合物は、各々1つまたはそれ以上の求電子反応基を有する。次に、生物抽出物中の生物化合物をアミンと反応させて、そのアミンを生物化合物に組み入れる。次に、組み入れたアミンを有する生物化合物は、還元剤と反応させ、中間体イミンとエナミン化合物を還元して1つまたはそれ以上の窒素含有化合物を生成する。したがって、得られた窒素含有化合物は、生物抽出物中の生物化合物の誘導体である。
【0126】
【化18】

【0127】
同様に、本発明の特定の他の実施形態では、生物抽出物からの化合物の調製方法は、以下の図式1aに例示されている。第二級アミンは、(R1*2*は、それぞれアルキル等でもよく、または、これらが結合しているN原子と、ピロリジンのような環状アミンを形成する)処理した抽出物で使用する。
【0128】
【化19】

【0129】
いくつかの実施形態では、化学処理法による抽出物中の化合物は、種々のアミンと、ケトンとアルデヒドを有する化合物との反応生成物である。この反応に次いで前記中間体イミンとエナミンを水素化物還元などで還元し、二級および三級アミンを生ずる。アミンと、ケトン類およびアルデヒド類との反応に次いで生成したイミンとエナミンを還元してアミン類を生成するするのは、当該技術分野で既知である。
【0130】
いくつかの実施形態では、化学処理法による抽出化合物は、水素化物還元試薬(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド)のような還元試薬と、ケトンとアルデヒドを有する化合物との反応生成物である。いくつかの実施形態では、ケトンとアルデヒドがアルコールに還元される。いくつかの実施形態では、化学処理法抽出物中の化合物は、水素化物還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、アルミニウムリチウム、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド)のような還元剤の存在下で還元することができる、他の反応性官能基を有する化合物である。
【0131】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化学処理法による方法は、生物抽出物(例えば、ウコン油など)を採用し、多くの異なる試薬を用いて効率的に一連の窒素含有化合物を生成する。還元的アミノ化工程の原材料として使用するのに多くの低分子量アミンが商業的に容易に入手出来るので、同一天然抽出物から多くの異なる、構造的に多様な中枢神経系ドラッグライク混合物の開発ができるのである。本方法での使用に適したアミンは、第一アミン、第二アミン、環状アミン、ピロリジン、アミノ酸から成る群から選択される。本発明の方法での使用に適した還元剤は、これに限定されるものではないが、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、および水素化リチウムアルミニウムを含む水素化物還元剤の群から選択される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化学処理法による方法は、生物抽出物(例えば、ウコン油など)を採用し、1若しくはそれ以上の還元剤を使用して効率的に一連のアルコール含有化合物(アルコール誘導体)を生成する。本発明の方法での使用に適した還元剤は、これに限定されるものではないが、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、および水素化リチウムアルミニウムを含む水素化物還元剤の群から選択される。
【0133】
前記方法はさらに、反応停止剤(quenching agent)を用いて前記反応を停止することを含むことができ、その際、当該反応停止剤は、これに限定されるものではないが、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム10水和物からなる群から選択される。本方法はまた、1若しくはそれ以上の含窒素化合物を、精製または未精製の形態で、単離することを含めてもよい。得られた窒素含有化学物質は、その後生物学的活性についてスクリーニングまたは試験することができる。
【0134】
本明細書に記載の還元または還元的アミノ化による化学処理法のプロセスは、ウコン油のようにケトン類を含む天然抽出物中にある反応性の求電子体を破壊し、アミンまたはアルコールのような化学的に安定な化合物に変換する。得られた化学処理法による抽出物は、天然化合物および潜在的な薬剤候補である、新規の非天然窒素含有アミン製品またはアルコール製品の両方を含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の還元的アミノ化による化学処理法の過程で、ウコン油のようにケトン類を含む天然抽出物中の反応性求電子剤は、破棄され、ケトン化合物は、アミンなどの他の化合物に変換される。いくつかの他の実施形態において、本明細書に記載の還元による化学処理法の過程で、ウコン油のようにケトン類を含む天然抽出物中の反応性求電子剤は、破棄され、前記ケトン化合物は、アルコールのような他の化合物に変換される。
【0135】
ウコン油の抽出物の場合には、当該窒素含有アミン誘導体およびアルコール誘導体は、有望な中枢神経系の薬である。
【0136】
本開示の目的では、以下の用語は以下の意味を有する。
【0137】
用語「生物化合物」は、本明細書で使用する場合、天然に存在する化合物を指す。
【0138】
用語「生物抽出物」は、本明細書で使用する場合、天然に存在する化合物を含有する、植物抽出物のような生物試料由来の抽出物、または有機物由来の他の抽出物を指す。
【0139】
用語「反応性求電子基」は、本明細書で使用する場合、求核剤と反応する能力を有する原子または原子のグループを意味する。
【0140】
用語「窒素含有誘導体」は、本明細書で使用する場合、窒素原子を含有し、当該窒素原子が親化合物中の酸素のような他の原子を置換する、これらの誘導体を表す。
【0141】
用語「アルコール誘導体」は、本明細書で使用する場合、水酸基を含み、当該水酸基は、親化合物(ケトンまたはアルデヒド親化合物)のカルボニル基から還元されている、これらの誘導体を表す。
【0142】
1つの実施形態で、化学処理法プロセスの具体例を、以下の図式2に示す。図式2は、ケトン2−1aおよび2−1bを含むウコン油をそれぞれアミン2−4aと2−4bに変換する、前記方法の一実施形態に係るウコン油に実施した二段還元的アミノ化の化学処理法プロトコル(手順)を示す。図式2に示す方法に従って、ウコン油(ケトン2−1aおよび2−1bとウコン中に存在する他の分子とを含む)はアミン 2−2と反応させ[R3bはアルキル(例えば、イソブチル)などでよい]、それぞれぞれ化合物2−3aおよび2−3bを生成する。次いで、得られた化合物2−3aおよび2−3bは、次に水素化ホウ素のような還元剤で還元され、それぞれ窒素含有化合物2−4aと2−4bを生成する(反応粗生成物は、他の化合物も含む)。
【0143】
【化20】

【0144】
本方法の次のステップでは、抽出物(2段階の還元的アミノ化プロセスの粗反応生成物)からアミン2−4aと2−4bとが単離/精製される。当該処理済み抽出物は、フラッシュクロマトグラフィーによって分画することができる。アミン2−4aまたは2−4bを含む前記画分は、当業者に公知の方法に従ってさらに精製/分離できる。2−4aまたは2−4bアミンを含む画分をさらに次いで単離および特性評価できる。いくつかの実施形態では、アミン2−4aは、ジアステレオマーのそれぞれを分離するためにさらに分離(例えば、カラムクロマトグラフィーを使用するなど)されてもよい。いくつかの実施形態では、アミン2−4bは、ジアステレオマーのそれぞれを分離するためにさらに分離(例えば、カラムクロマトグラフィーを使用するなど)されてもよい。単離したアミン2−4aと2−4bは、本明細書に記載されている方法などによって、それらの生物活性がテストされる。
【0145】
図式2に示す本発明の化学処理法プロセスで使用するアミン2−2のいくつかの例は、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、2−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、フェニルアミン、およびベンジルアミンのようなアルキルアミンを包含する。
【0146】
他の実施形態において、化学処理法のプロセスの具体例を以下の図式3に示す。図式3は、前記方法の一実施形態に係るウコン油に実施した還元的化学処理法プロトコル(または還元の化学処理法プロトコル)を示す。ここにおいて、ウコン油は、アルコール3−2a及び3−2bにそれぞれ還元/変換されるケトン3−1a及び3−1bを有する。いくつかの実施形態において、アルコール3−2aは、ジアステレオマーのそれぞれを単離するために、さらに分離(例えば、カラムクロマトグラフィーを使用するなど)されてもよい。アルコール誘導体3−2a及び3−2bは、本明細書に記載されている方法などによって、それらの生物活性がテストされる。
【0147】
【化21】

いくつかの実施形態では、アミン誘導体2−4a及び2−4b及びアルコール誘導体3−2a及び3−2bのようなウコン油の誘導体は、ベータ−セクレターゼ阻害活性を有し、及び/または、アミロイド産生、アミロイド構築、ニューロン(例えば脳内のニューロン)上のAベータ・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイド(アミロイド・オリゴマーを含む)結合、またはアミロイド沈着を阻害する。これらの化合物は、認知機能低下、アミロイド産生、神経変性、アルツハイマー病の治療及び予防のために有用な治療薬である。
【0148】
この化学処理方によって生成される新規のリード化合物は、本明細書に記載された合成方法によっても調製されることができる。
【0149】
合成
本発明の実施形態の化合物にはそれらの塩を含み、既知の有機合成技術を使用して調製されることができ、及び、多数の可能な合成経路のいずれかによって合成されることができる。
【0150】
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって直ちに選択されることのできる適当な溶媒中で実行されることができる。適当な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凝固点温度から溶媒の沸点温度にわたる温度において、出発物質(反応体)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であることがある。所与の反応は、1つの溶媒中で、または1つ以上の溶媒の混合物中で行われることがある。特定の反応工程によって、特定の反応工程のための適当な溶媒は、当業者によって選択されることができる。
【0151】
本発明の化合物の調製は、様々な化学反応基の保護及び脱保護を含む。保護及び脱保護における必要性及び適当な保護基の選択は、当業者によって直ちに決定されることができる。保護基の化学的性質は、例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., Wiley & Sons, Inc., New York (1999)において見受けられる。
【0152】
反応は、当業者に既知の任意の適当な方法に従ってモニターされることができる。例えば、生成物の生成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV−可視)、質量分析法、または、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)または薄層クロマトグラフィー法(TLC)のようなクロマトグラフィー法によってモニターされることができる。
【0153】
本発明の実施形態の化合物は、例えば、以下に記載された反応経路、合成手順及び技術に従って調製されることができる。
【0154】
図式4に示したように、ケトン4−1は、1,3−ジエステル 4−2[ここにおいて各R10はそれぞれ独立してアルキル(例えばメチル)などである]と、酸または塩基どちらかの触媒の存在下で(エノラートを経由して)反応し、続いて、酸4−3を生成するために加水分解(例えば酸性条件下)し、及び、COを失う。LAHのような還元剤と酸4−3(またはメチルエステルのようなそのエステル)の反応、続くデス−マーチンペルヨージナンのような酸化剤による中間体アルコールの酸化が、アルデヒド 4−4を生成できる。有機リチウム化合物4−5のような有機金属化合物とアルデヒド 4−4の反応は、アルコール 4−6を形成できる。アルコール 4−6の異なるジアステレオマーは、カラムクロマトグラフィー法のような当業者において既知の方法によって分離されることができる。例えば、A. Li, et. al, "Total asymmetric synthesis of (7S,9R)−(+)−bisacumol", Tetrahedron: Asymmetry (2003), 14(1), 75−78.を参照。MnOのような適当な酸化剤によるアルコール 4−6の酸化は、ケトン 4−7を生成できる。水素化ホウ素ナトリウムのような適当な水素化物の存在下での適当なアミンR3bNHによるケトン 4−7の還元的アミノ化は、アミン 4−8を生成できる。アミン 4−8の異なるジアステレオマーは、カラムクロマトグラフィー法のような当業者において既知の方法によって分離されることができる。
【0155】
【化22】

図式4aに示したように、芳香族化合物4a−0−1は、バーチ還元反応下で、シクロヘキサ−1,4−ジエン 4a−0−2に還元される。例えば、Rabideau, P. W., "The metal−ammonia reduction of aromatic compounds", Tetrahedron, Volume 45, Issue 6, 1989, pages 1579−1603.を参照。酸性条件下(例えば、HClまたは酢酸の触媒量の存在下)で、シクロヘキサ−1,4−ジエン 4a−0−2は、熱力学的により安定なシクロヘキサ−1,3−ジエン4a−1に転位できる。シクロヘキサ−1,3−ジエン 4a−1は、図式4に記載されたものと類似の方法に従ってアルコール4a−6またはアミン4a−8に変換されることができる。
【0156】
【化23】

図式5に示したように、AD−mix−αによるスチレン誘導体5−1の処理(例えばSharpless, K. B.; Amberg, W.; Bennani, Y. L.; Crispino, G. A.; et al. J. Org. Chem. 1992, 57, 2771を参照)は、ジオール 5−2を生成する。A. Li, et. al, "Total asymmetric synthesis of (7S,9R)−(+)−bisacumol", Tetrahedron: Asymmetry (2003), 14(1),75−78.を参照。レネー・ニッケルによるジオール 5−2のベンジリックOHのステレオ選択的還元はアルコール 5−3を与える。idを参照。塩化メチレンのような適当な溶媒中でのPPh及びCBrによるアルコール 5−3の処理は、臭化物5−4を生成する。マグネシウム粉末及びCH3Iの存在下での臭化物5−4のグリニャール試薬への変換(金属−ハロゲン交換反応による)、続く3−メチルクロトンアルデヒドによる反応は、アルコール 5−5を提供する。アルコール5−5の異なるジアステレオマーは、カラムクロマトグラフィー法のような当業者において既知の方法によって分離されることができる。idを参照。アルコール 5−5は、その対応するアミン化合物5−6に、図式4にその概要を示したものと類似の方法を使用して変換されることができる。
【0157】
【化24】

【0158】
当業者は、本明細書に記載された全ての図式において、官能(反応)基がR、R、R、及びRなどのような置換基上に存在する場合、さらなる修飾が、適当及び/または所望の場合に行われることについて認識できるものである。例えば、OH基は、Brによってのように、求核置換に適しているメシラートのような良好な脱離基に変換されることができる。このように、官能基を含む置換基を有する化学式Iの化合物(例えば、図式4の化合物4−8)は、異なる置換基を有する化学式Iの他の化合物に変換されることができる。
【0159】
本明細書で使用する場合、用語「反応する」は、化学変化が任意に最初に導入された化合物とは異なる化合物を生成するように、指定された化学反応体を一緒にすることを意味する。反応することは、溶媒の存在または非存在下で起こることができる。
【0160】
方法
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド(Aベータ・オリゴマーを含む)のニューロン(例えば脳内のニューロン)への結合を阻害、治療、及び軽減(部分的に阻害)し、及び、認知機能低下及び/またはアルツハイマー病の阻害、治療、及び軽減において有用である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド凝集、アミロイド・オリゴマー結合及びアミロイド沈着の1つまたはそれ以上を阻害、治療、または軽減(部分的に阻害)する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド沈着を阻害、治療、または軽減(部分的に阻害)する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、ニューロン(例えば脳内のニューロン)上のAベータ・オリゴマーの活性/効果を阻害、治療、または軽減(部分的に阻害)し、及び、認知機能低下及び/またはアルツハイマー病の阻害、治療、及び軽減において有用である。いくつかの実施形態において、Aベータ・オリゴマーの破壊、ニューロンへのAベータ・オリゴマーの結合の阻害、及び/または、Aベータ・オリゴマーによって開始される作用のシグナル伝達機構の反作用によって、ニューロン(例えば脳内のニューロン)上のAベータ・オリゴマーの活性/効果を阻害、治療、または軽減(部分的に阻害)する。
【0161】
いくつかの実施形態において、化合物は、ベータ−セクレターゼアッセイにおいて活性を示し、及び、認知機能低下及びアルツハイマー病の阻害、治療、及び軽減において有用である。いくつかの実施形態において、ショウガ油の誘導体は精製され、及び単離された形態での化合物である(例えば、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%以上の純度である)。本明細書に記載された化合物及び方法は、記憶喪失、混乱、判断力障害、人格変化、見当識障害、および言語能力の喪失のような認知機能の低下および/またはアルツハイマー病の症状の内の1つまたはそれ以上を治療するために使用されることがある。さらに、本明細書に記載された化合物及び方法は、長期増強作用を回復し、及び/または神経変性および一般アミロイド症の1つ、または両方を阻害、治療、または軽減することによって、より具体的には、アミロイド産生、アミロイド構築、アミロイド凝集、アミロイド結合、およびアミロイド沈着のうち、1つまたはそれ以上を阻害、治療、または軽減することによって、認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、または軽減するのに有用であることがある。
【0162】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド産生、アミロイド構築、アミロイド凝集、アミロイド・オリゴマー結合、及びアミロイド沈着の1つまたはそれ以上を阻害、治療または軽減することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、長期増強作用を回復し、神経変性及び一般のアミロイド症の1つまたは両方を阻害、治療、または軽減することができる。
【0163】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド凝集、アミロイド・オリゴマー結合、及びアミロイド沈着の1つまたはそれ以上を阻害、治療または軽減(部分的に阻害)する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、アミロイド沈着を阻害(または部分的に阻害)する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、ニューロン(例えば脳内ニューロン)へのアミロイド(Aベータ・オリゴマーを含む)の結合を阻害、治療、または軽減する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、認知機能低下及び/またはアルツハイマー病を阻害、治療、及び軽減するために有用である。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、ベータ−セクレターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、ベータ−セクレターゼを本明細書に記載された化合物または組成物のいずれか1つまたはそれ以上に接触させることにより、ベータ−セクレターゼの活性を阻害する方法において使用されることができる。
【0165】
本発明の他の態様は、本発明の化合物またはそれらの医薬組成物の治療的有効量または服用量を個体に投与することによって、個体(例えば患者)における認知機能低下及び/またはアルツハイマー疾患を治療する方法に関係する。
【0166】
本明細書の病気/疾患の治療は、病気/疾患に関連する症状、例えば、認知機能低下及び/またはアルツハイマー病の症状の1つまたはそれ以上を治療することを含む。
【0167】
本明細書で使用する場合、用語「接触する」は、生体外系または生体内系において、示された部分を一緒にすることを意味する。例えば、本発明の化合物とベータ−セクレターゼまたはニューロン細胞(またはベータ−アミロイド・オリゴマーの1つまたはそれ以上の存在下でのニューロン細胞)を「接触させること」は、例えばヒトのような、ベータ−セクレターゼまたはニューロン細胞を有する個体または患者に、本発明の化合物を投与することを含み、同様に、例えば、本発明の化合物を、ベータ−セクレターゼまたはニューロン細胞(またはベータ−アミロイド・オリゴマーの1つまたはそれ以上の存在下でのニューロン細胞)を含む細胞的なまたは生成された調製物を含む試料内に組み入れることを含む。
【0168】
本明細書で使用する場合、互換的に使用される用語「個体」または「患者」は、哺乳類、好適にはネズミ、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、及び最も好適にはヒトを含む任意の動物を意味するものである。
【0169】
本明細書で使用する場合、「治療的有効量」は、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって、組織、系、動物、個体またはヒトにおいて探される生物学的または医薬応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を意味するものである。
【0170】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」または「治療」は、(1)病気を予防する、例えば、病気、条件または障害にかかりやすくなっているが、まだ病気の病理または症状を体験していない、または示していない個体において、病気、条件または障害を予防すること、(2)病気を阻害/遅延させる、例えば、病気、条件または障害の病理または症状を体験するまたは示している個体において、病気、条件または障害を阻害/遅延させること、及び、(3)病気を改善する、例えば、病気の重症度を軽減させる、または病気を完全に除去/治すように、病気、条件または障害の病理または症状を体験するまたは示している個体における病気、条件、または障害を改善すること(つまり、病理及び/または症状の逆転)の1つまたはそれ以上を意味する。本明細書で使用する場合、病気を治療することは、さらに、病気に関連した1つまたはそれ以上の病気を治療することを含む。
【0171】
併用治療
いくつかの実施形態において、認知機能低下及び/またはアルツハイマー病の治療のための1つまたはそれ以上の付加的医薬品は、認知機能低下及び/またはアルツハイマー病のための本発明の化合物と併用して使用されることができる。1つまたはそれ以上の付加的医薬品は、同時に、または経時的に患者に投与されることができる。
【0172】
製剤処方及び剤形
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は医薬組成物の形態において投与されることができる。これらの化合物は、製薬技術では周知の方法で調製されることができ、及び、局所または全身治療が要求されるかどうかによって、及び、治療される部位によって、様々な経路で投与されることができる。投与は、局所(経皮、表皮、眼、及び、鼻腔、膣及び直腸を含む粘膜を含む)、肺(例えば、気管内または鼻腔内の噴霧吸入を含む、粉末または噴霧剤の吸入または吹送法)、口腔または非経口であることがある。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹膜内、筋肉内、または、注射または点滴、または、例えば、髄腔内または脳室内投与のような頭蓋内投与を含む。非経口投与は、1回のボーラス投与の形態であることがあり、または、例えば、連続した注入ポンプによることがある。局所投与のための医薬組成物及び製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐剤、スプレー、液剤及び粉末を含むことがある。従来の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが必要である、または望ましい。被覆コンドーム、グローブなどもまた有用である。
【0173】
本発明の実施形態は、活性成分として、1つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体(賦形剤)と併用して上記の本発明の化合物の1つまたはそれ以上を含む、医薬組成物も含む。本発明の組成物の製造において、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈され、または、例えば、カプセル、小袋、紙または他の容器の形態において担体内に封入される。賦形剤が、希釈剤として役立つ場合、それは、個体、半固体、または液剤であることがあり、活性成分における媒体、担体、または媒質として作用する。よって、前記組成物は、錠剤、丸剤、粉剤、トローチ剤、袋剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾール剤(個体としてまたは液体媒質中)、例えば、活性化合物の最大10重量%を含む軟膏、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、殺菌した注射可能な溶液、及び、殺菌包装された粉剤であり得る。
【0174】
製剤の調製において、活性化合物は、他の成分と結合する前に適当な粒径を提供するために製粉されることができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、それは、200メッシュ未満の粒径に製粉されることができる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、製剤において実質的に同一の分布を提供するために、例えば約40メッシュに製粉によって調整されることができる。
【0175】
本発明の化合物は、錠剤及び他の処方タイプに適当な粒径を得るために、湿式ミルのような既知の製粉手順によって製粉されることがある。本発明の化合物の微細に分割された(ナノ微粒子)調製は、当業者において既知の手順によって調製されることができる。例えば、国際特許出願番号WO2002/000196を参照。
【0176】
適当な賦形剤のいくつかの例は、ラクトース、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、マンにトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカントゴム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ及びメチルセルロースを含む。製剤は、加えて、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油のような平滑剤、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピルのような保存剤、甘味剤、及び香味剤を含む。本発明の組成物は、当業者に既知の手順によって患者に投与された後、活性成分の放出を早く、継続または遅らせて提供するために処方されることができる。
【0177】
前記組成物は、単位剤形において処方され、各投与量は、活性成分の約5〜約1000mg(1g)、さらに通常は、約100〜500mgを含む。用語「単位剤形」は、被験者及び他の哺乳類における単位投与量として適当な物理学的に別々の単位を意味するものであり、各単位は、適当な医薬賦形剤に関連して所望の治療的硬貨を生成するために計算された活性材の予め決められた量を含むものである。
【0178】
前記活性化合物は、広い投与範囲にわたって効果的であり、一般的に薬学的に効果的な量で投与されることができる。例えば、それらを必要とする患者(例えば成人)の治療において使用される本発明の活性化合物の投与量は、投与の経路や頻度によって、1日あたり0.1〜3000mgである。この種の投与量は、1日あたり0.001〜50mg/kgに対応する。いくつかの実施形態では、それらを必要とする患者(例えば成人)の治療において使用される本発明の活性化合物の投与量は、1日あたり1〜2000mg、1日あたり1〜1000mg、1日あたり10〜1000mg、1日あたり10〜500mgの範囲である。しかしながら、実際に投与される化合物の量が、通常、治療される条件、投与の選択された経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重及び応答、患者の症状の重症度などを含む関連した状況に従って、医師によって決定されることは、よく理解されている。
【0179】
錠剤のような固体組成物を調製するために、主要な活性成分は、本発明の化合物の均質な混合物をふくむ製剤前の固体を形成するため、医薬賦形剤と混合されることができる。これらの処方前組成物を均一なものとするとき、前記組成物が、錠剤、丸剤及びカプセル剤のように等しく有効な単位剤形に直ちに細分できるように、前記活性成分は、典型的には、組成物の全体にわたって均一に分散する。それから、この製剤前の固体は、例えば、本発明の活性成分の約0.1〜1000mgを含む上記のタイプの単位剤形に細分される。
【0180】
本発明の錠剤または丸剤は被覆されることができる、またはそうでなければ、長期にわたる作用の効果を与える剤形を提供するために化合されることができる。例えば、錠剤または丸剤は、内側投与量及び外側投与量の成分からなることができ、後者は前者のエンベロープの形態となる。2つの成分は、胃における分解に抵抗し、十二指腸内を完全に通過する、または、放出を遅延させることができる腸溶層によって切り離されることができる。様々な材料がこの種の腸溶層または被覆剤として使われ、このような材料は、数多くの重合酸及びセラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料と重合酸の混合物を含む。
【0181】
経口投与または注射による投与に組み込まれることができる本発明の化合物及び組成物における液体形態は、水溶液、適宜風味をつけたシロップ、水性または油性懸濁液、及び、エリキシル及び類似の薬学的な媒質と同様に、綿実油、胡麻油、ココナッツ油、または落花生油のような食物油で風味づけられたエマルジョンを含む。
【0182】
吸入または吹送方における組成物は、薬学的に許容な水溶液または懸濁液、水性または有機溶媒、またはそれらの混合物、及び粉末である。液体または固体組成物は、上記に記載されたような適当な薬学的に許容な賦形剤を含むことがある。いくつかの実施形態では、前記組成物は、局所または全身への効果のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスを用いて霧状にされることができる。霧状にされた溶液は、噴霧吸入器から直接吸入されることができる、または、噴霧吸入器は、フェイスマスクテントまたは間欠陽圧呼吸機に取り付けられることができる。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適当な方法で製剤を届ける装置から経口的にまたは経鼻的に投与されることができる。
【0183】
患者に投与される化合物または組成物の量は、何が投与されるのか、予防または治療のような投与の目的、患者の状態、投与の方法などによって様々である。治療的適用において、組成物は、疾患の症状及びその複雑化を治癒する、または少なくとも部分的に抑えるために十分な量で、疾患を患っている患者に投与されることができる。有効量は、疾患の重症度、年齢、体重、及び、患者の一般的な条件による主治医の判断によるのと同様に、治療される疾患条件に依存する。
【0184】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であることができる。これらの疽生物は、従来の殺菌技術によって殺菌されることができる、または、濾過されて無菌であることがある。水溶液は、使用のために包装、または凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は、投与の前に無菌の水性担体と結合される。合成調製物のpHは典型的には3〜11であり、より好適には5〜9、及び最も好適には7〜8である。前述の賦形剤、担体、または安定剤で特定のものの使用は結果として薬学的な塩の形成となることは理解されるであろう。
【0185】
本発明の化合物の治療的投与量は、例えば、治療がなされるための特定の使用、化合物の投与の方法、患者の健康及び条件、及び処方医師の判断によって変化することができる。医薬組成物における本発明の化合物の比率または濃度は、投与量、化学的な特徴(例えば疎水性)、及び投与の経路を含む多くの要因によって変化することができる、例えば、本発明の化合物は、非経口投与のための化合物の約0.1〜約10%w/vを含む水性生理的緩衝液において提供されることができる。いくつかの典型的な投与量の範囲は、1日につき体重1kgあたり約1 g/kg〜約1g/kgである。いくつかの実施形態では、投与量の範囲は、1日につき体重1kgあたり0.01mg/kg〜100mg/kgである。投与量は、疾患または障害の進行のタイプ及び範囲、特定の患者の全体の健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的行こう性、賦形剤の製剤及びその投与の経路のような変数に依存することがある。有効的な投与量は、生体外または動物モデルテスト系に由来する投与量−応答曲線から推定されることができる。
【0186】
本発明の組成物は、さらに、上記にその例がリストされた化学療法薬、ステロイド、抗炎症性化合物または免疫抑制薬のような付加的な医薬品の1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0187】
標識された化合物及びアッセイ方法
本発明の他の態様は、放射性物質を用いた画像撮影法だけでなく、生体内でも生体外でもヒトを含む組織試料における酵素を局所化すること及び数量化するため、及び標識された化合物の結合を阻害することによってリガンドを同定するためのアッセイにおいても役立つ本発明の標識された化合物(放射性標識、蛍光標識など)に関するものである。したがって、本発明は、この種の標識された化合物を含む酵素アッセイを含む。
【0188】
本発明の実施形態は、さらに、本発明の同位体標識化合物を含む。「同位体」または「放射性標識された」化合物は、1つまたはそれ以上の原子が、自然において典型的に見受けられる(つまり自然発生の)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられる、または置換される本発明の化合物である。本発明の化合物に組み込まれることのある適当な放射性核種は、これに限定されないが、H(重水素、Dとも書く)、H(三重水素、Tとも書く)、11C、13C、C、N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I及び131Iを含む。放射性標識された化合物に組み込まれる放射性核種は、放射性標識された化合物の特定の適用に依存する。例えば、生体内受容体標識及び競合アッセイにおいて、H、14C、82Br、125I、131I、35Sを組み込む化合物は一般的に最も有用である。放射性物質を用いた画像撮影法への適用において、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brは一般的に最も有用である。
【0189】
「放射性標識された化合物」は少なくとも1つの放射性核種を組み込まれた化合物である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、H、14C、125I、35S及び82Brから選択される。
【0190】
いくつかの実施形態では、本発明の標識された化合物は蛍光標識を含む。
【0191】
有機化合物内に放射性同位体及び蛍光標識を組み込むための合成方法は、当業者において周知である。
【0192】
本発明の標識された化合物(放射性標識、蛍光標識など)は、化合物を同定/評価するためのスクリーニング・アッセイにおいて使用されることができる。例えば、標識された新規の合成、または同定された化合物(つまりテスト化合物)は、標識化を追うことによりベータ−セクレターゼまたはニューロン細胞(または1つまたはそれ以上のベータ−アミロイド・オリゴマーの存在下でのニューロン細胞)と接触させたときのその濃度変化をモニターすることによって、ベータ−セクレターゼまたはニューロン細胞(または1つまたはそれ以上のベータ−アミロイド・オリゴマーの存在下でのニューロン細胞)を結合するための能力において評価されることができる。他の実施例において、(標識された)テスト化合物は、ベータ−セクレターゼまたはニューロン細胞と結合することが知られている他の化合物(つまり標準化合物)の結合を減らすための能力において評価されることができる。したがって、ベータ−セクレターゼまたはニューロン細胞と直接的に結合するための標準化合物と競合するためのテスト化合物の能力は、その結合親和性に相関する。逆に、いくつかの他のスクリーニング・アッセイにおいては、標準化合物は標識され、テスト化合物は標識されない。したがって、標識された標準化合物の濃度は、標準化合物及びテスト化合物間の競合を評価するためにモニターされ、テスト化合物の相対的結合親和性は、このように確認される。
【0193】
キット
本発明の実施形態は、医薬キット、例えば、認知機能低下及び/またはアルツハイマー病の治療または予防に有用な医薬キットも含む。この医薬キットは、本発明の化合物の治療的有効量を有する医薬組成物を含む1つまたはそれ以上の容器を含む。このようなキットは、さらに、必要に応じて、例えば、1つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体、付加的容器などの1つまたはそれ以上の様々な従来の医薬キット成分を含み、このことは当業者において直ちに明らかなものである。指示書、挿入物として、または標識として、投与される成分の量、投与におけるガイドライン、及び/または成分を混合することにおけるガイドラインを示したものはこのキットに含まれることもできる。
【0194】
本発明は、実施例においてより詳細に記載されている。以下の実施例は、説明の目的で提供されるものであり、いかなる方法によっても本発明を制限することを目的としない。当業者は、基本的に同じ結果を得るために変えられる、または変更される様々な重要でないパラメータを直ちに認識する。実施例の特定の化合物は、本明細書に提供された1つまたはそれ以上のアッセイに関連するアミロイド産生、アミロイド構築、ニューロン(例えば脳内のニューロン)上でのAベータ・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイド・オリゴマー結合、及びアミロイド沈着の1つまたはそれ以上を阻害、治療、または軽減するとして発見された。さらなるいくつかの実施形態では、実施例の特定の化合物は、本明細書に提供された1つまたはそれ以上のアッセイに関連するニューロン(例えば脳内のニューロン)上でのAベータ・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイド(アミロイド・オリゴマーを含む)結合、及びアミロイド沈着を阻害、治療、または軽減するとして発見された。
【0195】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、ニューロン(例えば脳内のニューロン)上でのAベータ・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイド(アミロイド・オリゴマーを含む)結合、及びアミロイド沈着の1つまたはそれ以上の阻害に関して、100μM、50μM、20μM、15μM、10μM、5μM、1μM、500nM、100nM、50nMまたは10nM未満のIC50値を有する。いくつかの実施形態では、ニューロン(例えば脳内のニューロン)上でのAベータ・オリゴマーの活性/効果の阻害に関して、100μM、50μM、20μM、15μM、10μM、5μM、1μM、500nM、100nM、50nMまたは10nM未満のIC50値を有する。
【0196】
いくつかの実施形態では、ニューロン例えば脳内のニューロン)上でのAベータ・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイド(アミロイド・オリゴマーを含む)結合、及びアミロイド沈着の1つまたはそれ以上を阻害する化合物の阻害割合は、10nM〜100μMの濃度で測定される。いくつかの実施形態では、測定された阻害割合は、約1%〜約20%、約20%〜約50%、約1%〜約50%、または、約1%〜約80%である。
【0197】
本発明は、以下の実施例に参照される特定の態様において認められることができ、これらの実施例は、制限のためではなく、実例として提供されるものである。特に明記しない限り、以下の実施例において参照された材料、試薬などは、商業的供給源から得られるものである。
【0198】
実施例
材料及び方法
ウコン油
ウコンからの軽油抽出物は、臨界超過CO抽出によって得られる。
【0199】
実施例1
ウコン油の条件つき抽出(還元的アミノ化):イソブチルアミンとウコン油の反応、続いて、メタノール中での水素化ホウ素ナトリウムによる還元、続いて、カラムクロマトグラフィーを使用する分画:
ウコン油(10g)をメタノール(250ml)に溶かし、イソブチルアミン(4.0mL)を加えた。混合物は、室温で16時間維持された。この時点で、反応混合物は、アイスバス上で0℃に冷やされた。メタノール(50ml)における水素化ホウ素ナトリウム(5g)溶液が、30分にわたって激しく攪拌しながら少しずつ加えられた。加えた後、結果として生じる混合物は、16時間の還流において維持された。この時点で、反応混合物は、室温に冷やされ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(300mL)に注入された。結果として生じる混合物は、ロータリーエバポレーターによって濃縮され、水性残渣は、水及びクロロホルム間に分けられた。クロロホルム層は、無水硫酸ナトリウムにより乾燥され、その後、濾過され、濃縮された。粗生成物は、それから、100%クロロホルムからクロロホルム:メタノール(4:1)までの勾配を使用するシリカゲル・カラムクロマトグラフィーを使用して分画された。相対的に非極性から極性までの併せて20の分画は、集められ、及び、濃縮された。各分画は生物学的テストのために提出された。活性生成物含有分画は、比較的極性の分画であった。
【0200】
活性生成物含有分画(分画1A)は、さらに、カラムクロマトグラフィーによる分離にさらされ、2つの主な成分である成分1A−1及び成分1A−2に分離された。
【0201】
還元的アミノ化で使用したイソブチルアミンに対するウコン油の重量比は約3:1(2〜4:1)である。
【0202】
純度測定
1Aの純度は、HPLCによって計測された。2つの主なピーク(2つの成分)のみが存在した。使用したHPLC条件は以下のとおりである。
【0203】
HPLC条件
移動相A:水中で13.3mM ギ酸アンモニウム/6.7mM ギ酸
移動相B:水/CHCN(1/9,v/v)で6mM ギ酸アンモニウム/3mM ギ酸
カラム1:Synergi Fusion−RP 100A Mercury、2×20mm、2.5ミクロン(Phenomenex Part No 00M−4423−B0_CE)
カラム2:Synergi Max−RP 80、2×50mm、4ミクロン(Phenomenex Part No 00B−4337−B0)
【表1】

成分1A−1:H NMR(500MHz,CDCl3)δ7.11,7.09,5.23,3.72,2.94,2.51,2.34,2.31,1.92,1.72,1.71,1.58,1.29,1.27,0.92。13C NMR(125MHz,CDCl3)δ144.50,135.37,135.03,129.03,126.89,126.70,66.97,49.25,46.39,35.05,32.46,25.83,20.96,20.67,及び18.36.− MS(M+H)m/z 274.3。
【0204】
分画1Aの構造、成分1A−1は以下のとおりであると決定される。
【0205】
【化25】

【0206】

成分1A−2:H NMR(500MHz,CDCl3)δ5.77,5.65,5.45,5.23,3.96,2.94,2.93,2.51,2.31,2.30,2.05,1.92,1.72,1.71,1.58,1.29,1.27,0.92。13C NMR(125MHz,CDCl3)δ144.50,135.37,130.96,127.86,126.70,120.80,66.72,49.25,46.39,35.05,32.46,25.83,21.79,21.79,20.67,及び18.36。 MS(M+H)m/z 276.3。
【0207】
分画1Aの構造、成分1A−2は以下のとおりであると決定される。
【0208】
【化26】

H NMRによって測定される化学シフトは変化することがあり、例えば、最大0.3ppmである。13H NMRによって測定される化学シフトは変化することがあり、例えば最大0.6ppmである。分析質量スペクトルは、+/−0.4の実験誤差を有することがある。
【0209】
実施例2
ウコン油の条件つき抽出(還元):メタノール中での水素化ホウ素ナトリウムによるウコン油の還元、及びカラムクロマトグラフィーを使用する分画:
ウコン油(10g)をメタノール(250mL)に溶かした。反応混合物は、アイスバス上で0℃に冷やされた。メタノール(50mL)における水素化ホウ素ナトリウム(5g)溶液が、30分にわたって激しく攪拌しながら少しずつ加えられた。加えた後、混合物は、16時間の還流において維持された。この時点で、反応混合物は、室温に冷やされ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(300mL)に注入された。結果として生じる混合物は、ロータリーエバポレーターによって濃縮され、水性残渣は、水及びクロロホルム間に分けられた。クロロホルム層は、無水硫酸ナトリウムにより乾燥され、その後、濾過され、濃縮された。生成物は、それから、100%クロロホルムからクロロホルム:メタノール(4:1)までの勾配を使用するシリカゲル・カラムクロマトグラフィーを使用して分画された。相対的に非極性から極性までの併せて20の分画は、集められ、及び、濃縮された。各分画は生物学的テストのために提出された。活性生成物含有分画は、比較的極性の分画であった。
【0210】
アルコールへのケトン及びアルデヒドの還元を確実にするための、ウコン油(その中のケトン及びアルデヒド)に対する水素化ホウ素ナトリウムのモル比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1または6:1以上である。いくつかの実施形態では、ウコン油の水素化ホウ素ナトリウムの重量比は、約0.5:1(0.3:1〜約0.8:1)である。
【0211】
活性生成物含有分画(分画2A)は、さらに、カラムクロマトグラフィーによる分離にさらされ、2つの主な成分である成分2A−1及び成分2A−2に分離された。
【0212】
成分2A−1:H NMR(500MHz,CDCl3)δ7.11,7.09,5.17,4.45,2.32,2.76,1.75,1.58,1.52,及び1.26。13C NMR(125MHz,CDCl3)δ144.3,135.37,135.03,129.11,128.32,126.90,67.10,42.05,39.64,25.81,23.00,21.01,及び18.12. MS (M+H) m/z 219.2.
分画2Aの構造、成分2A−1は以下のとおりであると決定される。
【0213】
【化27】

成分2A−2:H NMR(500MHz,CDCl3)δ6.18,5.70,5.56,5.17,4.24,2.32,2.80,2.29,2.15,1.95,1.68,1.75,1.58,1.42,1.27。13C NMRδ144.10,135.00,134.10,129.58,128.32,125.3,66.90,46.18,41.17,39.55,37.14,25.81,24.50,23.00,及び18.12。 MS(M+H)m/z 221.1。
【0214】
分画2Aの構造、成分2A−2は以下のとおりであると決定される。
【0215】
【化28】

H NMRによって測定される化学シフトは変化することがあり、例えば、最大0.3ppmである。13H NMRによって測定される化学シフトは変化することができ、例えば、最大0.6ppmである。分析質量スペクトルは、+/−0.4の実験誤差を有することがある。
【0216】
純度測定
分画2Aの純度は、HPLCによって測定される。2つの主なピーク(2つの成分)のみが存在した。
【0217】
実施例AA:エキソサイトーシスアッセイ/MTTアッセイ
E18スプラーグドーリーラット胚からの一次ニューロンは、NB培地(Invitrogen)の384ウェル・プレートにおいて最適化された濃度で蒔かれる。N2補助剤(Invitrogen)によるNB培地の週2回の供給により、ニューロンは三週間培養において維持される。テスト化合物が細胞に加えられ、続いて、媒体またはAベータ・オリゴマー調製物(1.5μM)が加えられ、5%COにおいて37℃で1〜24時間保温培養される。MTT試薬(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2イル)−2,5ジフェニル テトラゾリウム ブロミド)(Roche Molecular Biochemicals)は、5mg/mLまでリン酸緩衝食塩水において再構成される。MTT標識試薬の10μLが各ウェルに加えられ、37℃で1時間保温培養され、それから撮像される。
【0218】
化合物が各プレート上でAベータを有する、または有さないでテストされるように、各アッセイ・プレートはフォーマットされる。この設計は、早くからスクリーニングカスケード(第一スクリーニングのレベルで)の毒性または代謝的に活性な化合物を除去する。
【0219】
エキソサイトーシスアッセイ/MTTアッセイにおける類似の手順は、文献においても発見されることができる。例えば、Liu Y, et. al., Detecting bioactive amyloid beta peptide species in Alzheimer’s disease. J Neurochem. 2004 Nov;91(3):648−56; Liu Y, and Schubert D. "Cytotoxic amyloid peptides inhibit cellular 3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide (MTT) reduction by enhancing MTT formazan exocytosis." J Neurochem. 1997 Dec;69(6):2285−93; and Liu Y, and Schubert D. "Treating Alzheimer’s disease by inactivating bioactive amyloid beta peptide" Curr. Alzheimer Res. 2006 Apr;3(2):129−35を参照。
【0220】
実験制御
発表された方法に従って作られるAベータ1−42オリゴマー[例えば、Dahlgren et al., "Oligomeric and fibrillar species of amyloid−beta peptides differentially affect neuronal viability" J Biol Chem. 2002 Aug 30;277(35):32046−53. Epub 2002 Jun 10.; LeVine H 3rd. "Alzheimer’s beta−peptide oligomer formation at physiologic concentrations" Anal Biochem. 2004 Dec 1;335(1):81−90; Shrestha et.al, "Amyloid beta peptide adversely affects spine number and motility in hippocampal neurons" Mol Cell Neurosci. 2006 Nov;33(3):274−82. Epub 2006 Sep 8; Puzzo et al., "Amyloid−beta peptide inhibits activation of the nitric oxide/cGMP/cAMP−responsive element−binding protein pathway during hippocampal synaptic plasticity" J Neurosci. 2005 Jul 20;25(29):6887−97; Barghorn et al., "Globular amyloid beta−peptide oligomer − a homogenous and stable neuropathological protein in Alzheimer’s disease" J Neurochem. 2005 Nov;95(3):834−47. Epub 2005 Aug 31; Johansson et al., Physiochemical characterization of the Alzheimer’s disease−related peptides A beta 1−42 Arctic and A beta 1−42wt. FEBS J. 2006 Jun;2 73(12):2618−30を参照]は、脳由来Aベータ・オリゴマーと同様(例えば、Walsh et al., Naturally secreted oligomers of amyloid beta protein potently inhibit hippocampal long−term potentiation in vivo. Nature (2002). 416, 535−539; Lesne et al., A specific amyloid−beta protein assembly in the brain impairs memory. Nature. 2006 Mar 16;440(7082):352−7; Shankar et al, Amyloid−beta protein dimers isolated directly from Alzheimer’s brains impair synaptic plasticity and memory. Nat Med. 2008 Aug;14(8):837−42. Epub 2008 Jun 22を参照)に、正の制御を構成する。負の制御は、メマンチンの28μM濃度で処理されたニューロンと同様に、媒体処理されたニューロンを含む。メマンチンは、この投与量でオリゴマー効果の50%阻害を生じる。各プレート上のこれらの制御は、プレートごとのベースでのアッセイの実行を調整するために正常化の道具として役に立つ。
【0221】
第一ニューロン培養
最適細胞密度は、読出しとしてのエキソサイトーシスアッセイを使用するAベータ・オリゴマーへの細胞応答、及び、培養におけるニューロンに対する神経膠の相対割合の免疫組織化学分析に基づいて決定される。培養は、ニューロンvs.神経膠(神経膠細胞)である培養の割合をモニターするため、免疫組織化学及び画像処理に基づく定量化によって毎週モニターされる。生体外(21 DIV)における21日のスクリーニング世代で20%以上の神経膠(GFAPにおいて陽性)vs.ニューロン(MAP2に対する抗体による明らかな染色)を含む培養は拒絶される。
【0222】
Aベータ・オリゴマー調製
ヒトアミロイドペプチド1−42は、品質制御分析の不確かなロット選択によってカリフォルニアペプチドから得られる。オリゴマー調製の品質制御は、オリゴマーサイズ範囲及び相対的濃度を決定するためのウェスタン、及び、毒性のないエキソサイトーシス加速を確認するためのMTTアッセイからなる。毒性は、DNA結合色素DAPI(Invitrogen)によって視覚化された核形態学の定量化を経るアッセイに基づく各画像においてモニターされる。断片的な核は、後期アポトーシスにおいてあると考慮される(Majno and Joris’95)。ニューロン上の標準1.5μM濃度で異常ペプチドサイズ範囲または著しい毒性を生成するペプチド・ロットは拒絶される。再フォーマットされたプレートが、媒体及びAベータ・オリゴマー−処理されたニューロン(p<0.01、スチューデントt検定、不当分散)間で統計的に有意な2−フォールド分離の最小限を成し遂げ、その現在の製菓と等しい時、プレートベースの制御−アッセイ最適化は、完全である。
【0223】
統計ソフトウェア及び分析:
データ処理及び分析は、Cellomics VTI画像分析ソフトウェア及びSTORE自動データベースソフトウェアによって達成される。低いダイナミック範囲及び3週間の培養後のニューロンのウェル−ウェル間(well−to−well)可変性のために、統計比較は、Aベータ単独から化合物+Aベータ・オリゴマー間及び媒体から化合物単独間での分離の優位性を決定するために、ペアワイズ チューキー−クラマー(Tukey−Kramer)分析を介してなされる。これらの統計は、動物行動テストにおいて示されることに、高スループット・スクリーニングで過去20年において使用されたzの統計よりも類似している。成熟脳の電気生理学的に伝達されたシグナル伝達ネットワークにより近づけるために成熟した第一ニューロンの能力は、このスクリーニング戦略を正当化する。電力解析は、偽陰性(例えばN=4)を最小化し、投与量−応答確認スクリーニングへの実際のヒットから特徴的な偽陽性の負荷をシフトする多くの反復されたスクリーニング・ウェルに設定される。化合物の等級序列は、化合物構造の作用及び物理化学的な性質の第二アッセイメカニズムを基礎としてなされる。特定のテスト化合物は、Aベータ・オリゴマーの効果を著しく逆転させるが、ニューロン代謝に影響を及ぼさない。
【0224】
分画1AはMTTアッセイにおいて投与され、及び、10.5μMのEC50を有するエキソサイトーシスのAベータ・オリゴマーに誘発された加速をブロックすることを示し、成分1A−1及び成分1A−2の1つまたは両方が、ニューロン細胞上でのAベータ・オリゴマーの活性/効果をブロック/軽減することを示した。
【0225】
分画2AはMTTアッセイにおいて投与され、及び、25.4μMのEC50を有するエキソサイトーシスのAベータ・オリゴマーに誘発された加速をブロックすることを示し、成分2A−1及び成分2A−2の1つまたは両方が、ニューロン細胞上でのAベータ・オリゴマーの活性/効果をブロック/軽減することを示した。
【0226】
実施例BB 結合アッセイ
各テスト化合物はプレートに加えられ、続いて、Aベータ1−42オリゴマーの1つまたはそれ以上を加えた。プレートは、15分間リン酸緩衝食塩水(PBS)において3.7%パラホルムアルデヒドによって固定された。プレートは、各5分で3回、PBSによって洗浄された。プレートは、PBS中で5%のヤギ血清及び0.5%のトリトンX−100(CAS番号:9002−93−1)において1時間、室温でブロックされた。一次抗体(抗−MAP 2 ポリクローナル、Millipore #AB5622及び抗−ベータ・アミロイド 6E10 モノクローナル、Convance #SIG−39300)は、PBSと5%ヤギ血清に1:1000で希釈された。一次抗体は、4℃で一晩、またはRTで1時間保温培養された。プレートは、各5分で3回、PBSによって洗浄された。二次抗体(Alex Flor 488 ポリクローナル、Invitrogen #A11008及びAlexa Flor 647 モノクローナル、Invitrogen #A21235)は、PBSと5%ヤギ血清に1:1000で希釈された。二次抗体は、RTで1時間保温培養された。プレートは、PBSで1回洗浄された。DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、Invitrogen)は、0.03μg/μLで塗布され、RTで5分間保温培養され、その後、PBSで洗浄された。画像処理は分析のために行われた。
【0227】
結合アッセイにおける類似の手順は、文献においても発見される。例えば、Look GC, et. al. Discovery of ADDL−−targeting small molecule drugs for Alzheimer’s disease. Curr Alzheimer Res. 2007 Dec;4(5):562−7. Reviewを参照。
【0228】
分画2AのEC50は結合アッセイに従って14.5μMとなるように決定された。
【0229】
Aベータ・オリゴマー調製物ヒトアミロイドペプチド1−42は、品質制御分析の不確かなロット選択によってカリフォルニアペプチドから得られる。発表された方法[例えば、Dahlgren et al., "Oligomeric and fibrillar species of amyloid−beta peptides differentially affect neuronal viability" J Biol Chem. 2002 Aug 30;277(35):32046−53. Epub 2002 Jun 10.; LeVine H 3rd. "Alzheimer’s beta−peptide oligomer formation at physiologic concentrations" Anal Biochem. 2004 Dec 1;335(1):81−90; Shrestha et.al, "Amyloid beta peptide adversely affects spine number and motility in hippocampal neurons" Mol Cell Neurosci. 2006 Nov;33(3):274−82. Epub 2006 Sep 8; Puzzo et al., "Amyloid−beta peptide inhibits activation of the nitric oxide/cGMP/cAMP−responsive element−binding protein pathway during hippocampal synaptic plasticity" J Neurosci. 2005 Jul 20;25(29):6887−97; Barghorn et al., "Globular amyloid beta−peptide oligomer − a homogenous and stable neuropathological protein in Alzheimer’s disease" J Neurochem. 2005 Nov;95(3):834−47. Epub 2005 Aug 31; Johansson et al., Physiochemical characterization of the Alzheimer’s disease−related peptides A beta 1−42 Arctic and A beta 1−42wt. FEBS J. 2006 Jun;2 73(12):2618−30を参照]に従ってつくられたAベータ1−42は、脳由来Aベータ・オリゴマーと同様に(例えば、Walsh et al., Naturally secreted oligomers of amyloid beta protein potently inhibit hippocampal long−term potentiation in vivo. Nature (2002). 416, 535−539; Lesne et al., A specific amyloid−beta protein assembly in the brain impairs memory. Nature. 2006 Mar 16;440(7082):352−7; Shankar et al, Amyloid−beta protein dimers isolated directly from Alzheimer’s brains impair synaptic plasticity and memory. Nat Med. 2008 Aug;14(8):837−42. Epub 2008 Jun 22を参照)、正の制御として役に立つ。オリゴマー調製の品質制御は、オリゴマーサイズ範囲及び相対的濃度を決定するためのウェスタン、及び、毒性のないエキソサイトーシス加速を確認するためのMTTアッセイからなる。毒性は、DNA結合色素DAPI(Invitrogen)によって視覚化された核形態学の定量化を経るアッセイに基づく各画像においてモニターされる。断片的な核は、後期アポトーシスにおいてあると考慮される(Majno and Joris Apoptosis, oncosis, and necrosis. An overview of cell death. Am J Pathol 1995;146:3−16)。ニューロン上の標準濃度で異常ペプチドサイズ範囲または著しい毒性を生成するペプチド・ロットは拒絶される。
【0230】
画像処理
画像は、Neuronal Profilingアルゴリズムを用いて捕捉され、及び、Cellomics VTI自動顕微鏡プラットフォームによって分析される。統計分析において、不当分散を有するチューキー−クラマー(Tukey−Kramer)ペアワイズ比較が使用された。
【0231】
ウェスタンブロット
Aベータ1−42を含有する試料は、非還元レーンマーカー試料緩衝液(Pierce #1859594)に希釈される(1:5)。30マイクロリットル(μL)の試料は、18のウェル成型4〜15%トリス−塩酸ゲル(BIORAD #345−0028)にロードされた。電気泳動は、90分間125ボルト(∨)で、トリス−グリシン緩衝液を使用するBIO−RAD Criterian成型ゲルシステムで行われた。ゲルは、120分間30∨で、トリス−グリシン/10%メタノール緩衝液内0.2μMニトロセルロース膜上でブロットされた。前記膜は、PBS溶液内で5分間煮沸され、4℃で一晩かけてTBS/5%乳溶液によりブロックされた。前記膜は、室温で1時間TBS/1%入溶液で10μg/mLに希釈された6E10−HRP (Covance #SIG−39345)によってプローブされた。膜は、TBS/0.05% tween−20の溶液によって各40分、3回洗浄され、ECL試薬(BIO−RAD #162−0112)で5分間発達された。画像獲得は、Alpha Innotech FluorChem Q定量的画像システムで実行され、AlphaView Qソフトウェアによって分析された。
【0232】
分画1Aは、(画像処理アルゴリズムを使用する)結合アッセイに従って、33%ニューロンへのAベータ・オリゴマーリガンドの結合を部分的に阻害することが示されている。
【0233】
分画2Aは、(画像処理アルゴリズムを使用する)結合アッセイに従って、35%ニューロンへのAベータ・オリゴマーリガンドの結合を部分的に阻害することが示されている。
【0234】
PK研究
PK研究は、その標準的プロトコルに従って、ワシントン州レドモンドのCEREP Incで行われる。プラズマ試料はアセトニトリル沈殿を使用して処理され、HPLC−MSまたはHPLC−MS/MSによって分析された。ピーク領域は記録され、未知のプラズマ試料における未知のテスト化合物の濃度はそれぞれ校正曲線を使用して決定された。定量下限(LLQ)に加えて、アッセイの報告可能な線形範囲が決定された。
【0235】
NMR分光法及び質量分光測定法
活性分画は、H NMR(Varian 500MHz NMR分光計)によって分析され、及び精製された化合物は、1D及び2D、H NMR実験及び13C NMR実験を併用して特徴付けられた。構造証明は、分子量を決定するための低解像度質量分光測定法、組成物を決定するための高解像度質量分光測定法(Thermo Finnigan LCQ Ion trap)を組み合わせたこれらのNMR技術を使用して得られた。
【0236】
実施例CC:薬物動態研究
薬物動態研究は、以下のプロトコルに従って実行される:プラズマ試料は、アセトニトリルリンデンを使用して処理され、HPLC−MSまたはHPLC−MSまたはHPLC−MS/MSによって分析される。ピーク領域は記録され、及び、未知のプラズマ試料におけるテスト化合物の濃度はそれぞれ校正曲線を使用して決定される。定量下限(LLQ)に加えて、アッセイの報告可能な線形範囲が決定された。例えば、成分1A−1は、1mg/Kgで静脈内に注入されたときにラットのプラズマにおいて50分の半減期を有するために決定され、成分1A−2は、1mg/Kgで静脈内に注入されたときにラットのプラズマにおいて70分の半減期を有するために決定され、及び、成分2A−1は、1mg/Kgで静脈内に注入されたときにラットのプラズマにおいて180分の半減期を有するために決定された。しかしながら、使用された実験的条件は、成分2A−2における半減期を検知しなかった。
【0237】
実施例DD:Aベータ・オリゴマー形成阻害アッセイ
Aベータ42オリゴマー形成は、マルチウェルフォーマットにおいて直ちに分析されることができ、及び、可溶性高分子量(>20kDa)の形成をブロックするためのテスト化合物の能力を決定するために使用されることができる。例えば、Harry LeVine III, "Biotin−avidin interaction−based screening assay for Alzheimer’s β−peptide oligomer inhibitors", Analytical Biochemistry 356 (2006) 265−272.に記載されたアッセイを参照。
【0238】
50mM NaP、150mM NaCl,及び0.02%(w/v)NaN pH 7.5内のテスト化合物の異なる濃度の100μLは、DMSOにおいて新たにHFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)−解重合2.5μg/mlバイオ−Aベータ42を含有し、50ng/ml(11nM)ペプチド及び2%(v/v)DMSOの総濃度を与える96−ウェル・プレートのウェルに加えられる。室温で30分後、50−μL一定分量は、NA/SA−HRP(ニュートラアビジン/二次抗体及びストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ)単一サイトアッセイプレートに転写された。テトラメチルベンジジン/H2O2基質溶液の100μLが加えられ、及び、プレートは、アッセイ中のバイオ−Aベータ42ペプチドの濃度によって、2〜30分間室温で保温培養される。OD450nm1%は、(v/v)HSOの100μLとの反応を停止後、Biotech Synergy HT上で決定される。可溶性高分子量(>20kDa)オリゴマーの形成をブロックするためのテスト化合物の能力は、形成されたバイオ−Aベータ42ペプチドの濃度によって決定される。id参照。
【0239】
前記アッセイに従うと、分画1AはAベータ・オリゴマーの形成を阻害しない。従って、分画1Aは、オリゴマー結合を予防するためニューロン受容体に直接作用することによって、または、分解するAベータ・オリゴマーを生じることによって、ニューロンと結合するAベータ・オリゴマーを阻害するようである。
【0240】
実施例EE:小分子Aベータ・オリゴマー阻害剤を検知するための一次ニューロンに基づいた機能的スクリーニング・アッセイ
生体外で少なくとも3週間成長する一次ラットニューロンは、このスクリーニング・アッセイに基づいて選ばれた。これらのニューロンは、成熟した脳においてニューロンの特徴的なシナプスタンパク質の総数を発現し、活性依存性電気シグナリングの複合ネットワークを呈する。このような培養におけるニューロン及び神経膠は、完全な脳回路により優れた記録を呈する分子シグナリングネットワークを有し、この理由において学習及び記憶におけるモデルシステムとして20年以上使用された(例えば、Kaech S, Banker G. Culturing hippocampal neurons. Nat Protoc. 2006;1(5):2406−15. Epub 2007 Jan 11; See also Craig AM, Graf ER, Linhoff MW. How to build a central synapse: clues from cell culture. Trends Neurosci. 2006 Jan;29(1):8−20. Epub 2005 Dec 7. Review参照)。急性型または器官型の脳スライスのようなより複雑なシステムは非常に有用であるが、高スループットスクリーニングに従わない。不死化または変換されたニューロン細胞株は、高スループットスクリーニングに従うが、一次ニューロン培養の電子生理的状態に依存するシグナリングを繰り返さず、疾患状態の最も初期の症状の間、オリゴマーによって生じるこのシグナリングにおいて微妙な変更をモデル化することがありそうにない(例えば、Gortz P, Fleischer W, Rosenbaum C, Otto F, Siebler M. Neuronal network properties of human teratocarcinoma cell line−derived neurons. Brain Res. 2004 Aug 20;1018(1):18−25)。この理由において、一次ニューロン培養は、高スクリーニング使用されるそれらの能力及び生体内で発生することに対する忠実さによって選択された。
【0241】
還元されたホルマザンは、細胞内小胞において最初に可視された(図1A)。ニューロンの実施例は、染料のエンドサイトーシス及び不溶性紫生成物への還元の後に標識された小胞によって満たされた(スケールバー=図1Aにおいて20ミクロン)。最終的なホルマザン・エキソサイトーシスは生体外で成熟海馬ニューロンにおいてAベータ・オリゴマーを経て加速された。ニューロンの実施例顕微鏡写真は、エキソサイトーシスを介して押し出された不溶性紫染料によって覆われた。染料は、培養の水性環境において沈殿し、針状の血症をニューロンの表面上に形成した(図1B)。エンドサイトーシス率は、Aベータ・オリゴマーの存在下で変更された。(図1C)エキソサイトーシス率は、Aベータ・オリゴマーの存在下で変更された(図1D)。
【0242】
シナプス及び記憶欠損及び広範囲ではない細胞死は、アルツハイマー病の最も初期のステージで優勢であるため、これらの変化を測定するアッセイは、オリゴマー活性の小分子阻害剤を発見するために使用されることができる。MTTアッセイは培養において毒性の測定として使用されることができる。黄色テトラゾリウム塩は、細胞によってエンドサイトーシスされ、エンドソーム経路において不溶性紫ホルマザンに還元される。紫ホルマザンのレベルは、培養において活発に代謝する細胞の数の反映であり、及び、ホルマザンの数における減少は、培養における細胞死または代謝毒性の測定として受け止められる。顕微鏡で観察される場合、紫ホルマザンは、細胞を満たす細胞内小胞において最初に見えた(図1A)。時間とともに、小胞はエキソサイトーシスされ、不溶性ホルマザンとしてプラズマ膜の外表面に形成された針状結晶として沈殿されたホルマザンは、水性培地環境に曝された(図1B)。細胞は還元されたホルマザンのエキソサイトーシス率を選択的に加速することでAベータ・オリゴマーの致死下のレベルに反応し、その一方で、エキソサイトーシス率を影響されないままにする。そして、それは生体外における成熟した一次ニューロンにおいて示されることができ、及び、自動顕微鏡検査及び画像処理を経てこれらの形態的シフトは定量化されることができた。培養ウェルへのテトラゾリウム塩付加に続く与えられた点において、媒質処理された細胞は、図1Aのそれらの外観を有し、その一方で、Aベータ・オリゴマー書英された細胞は図1Bのそれらの外観を有した。これらの状況下では、還元されたホルマザンの総量において全体の変化はなく、単にその形態におけるシフトがあった。これらの状況下で、これらは減少したホルマザンの総量においてこのアッセイは、細胞死を引き起こさない低レベルのオリゴマーに対して敏感である。
【0243】
証拠は、膜輸送によって伝達されるニューロン表層受容体発現においてAベータ・オリゴマーによって媒介される還元が、シナプス可塑性(LTP)及びこのような学習及び記憶の電子生理的計測のオリゴマー阻害の根拠であることを示唆している(Kamenetz F, Tomita T, Hsieh H, Seabrook G, Borchelt D, Iwatsubo T, Sisodia S, Malinow R. APP processing and synaptic function. Neuron. 2003 Mar 27;37(6):925−37; and Hsieh H, Boehm J, Sato C, Iwatsubo T, Tomita T, Sisodia S, Malinow R. AMPAR removal underlies Abeta−induced synaptic depression and dendritic spine loss. Neuron. 2006 Dec 7;52(5):831−43を参照)。ホルマザン形態的シフトを経てオリゴマーによって誘発される膜輸送率の変化を測定することは、生体内齧歯動物において低Aベータが一様にする[Hong HS, Rana S, Barrigan L, Shi A, Zhang Y, Zhou F, Jin LW, Hua DH. Inhibition of Alzheimer’s amyloid toxicity with a tricyclic pyrone molecule in vitro and in vivo. J Neurochem. 2009 Feb;108(4):1097−1108]Aベータ・オリゴマーブロッキング剤を発見するために細胞株において使用された[Maezawa I, Hong HS, Wu HC, Battina SK, Rana S, Iwamoto T, Radke GA, Pettersson E, Martin GM, Hua DH, Jin LW. A novel tricyclic pyrone compound ameliorates cell death associated with intracellular amyloid−beta oligomeric complexes. J Neurochem. 2006 Jul;98(1):57−67; Liu Y, Schubert D. Cytotoxic amyloid peptides inhibit cellular 3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide (MTT) reduction by enhancing MTT formazan exocytosis. J Neurochem. 1997 Dec;69(6):2285−93; Liu Y, Dargusch R, Banh C, Miller CA, Schubert D. Detecting bioactive amyloid beta peptide species in Alzheimer’s disease. J Neurochem. 2004 Nov;91(3):648−56; Liu Y, Schubert D. Treating Alzheimer’s disease by inactivating bioactive amyloid beta peptide. Curr Alzheimer Res. 2006 Apr;3(2):129−35; Rana S, Hong HS, Barrigan L, Jin LW, Hua DH. Syntheses of tricyclic pyrones and pyridinones and protection of Abeta−peptide induced MC65 neuronal cell death. Bioorg Med Chem Lett. 2009 Feb 1;19(3):670−4. Epub 2008 Dec 24; and Hong HS, Maezawa I, Budamagunta M, Rana S, Shi A, Vassar R, Liu R, Lam KS, Cheng RH, Hua DH, Voss JC, Jin LW. Candidate anti−Abeta fluorene compounds selected from analogs of amyloid imaging agents. Neurobiol Aging. 2008 Nov 18. (Epub ahead of print)]。
【0244】
エキソサイトーシスアッセイは、生体外で3週間成長した成熟一次ニューロン培養の用途に適応された。Aベータ・オリゴマーは還元された紫ホルマザンによって満たされた細胞内小胞(点)の量における投与量依存性の減少を引き起こし(図2A、正方形;3μM投与量は図2Cにおける画像に対応する)、それはCellomics VTI自動顕微鏡システムを使用する画像処理を介して測定された。Aベータ・オリゴマーの量を増加させることは、結局、明白な毒性に結果としてなった。このように、神経刺激性Aベータ・オリゴマーの濃度は、細胞死を引き起こすよりもかなり低いものとなった。この減少は、抗Aベータ・モノクローナル抗体6E10(IgG)の化学量論的量を、オリゴマーを加える前に培養に加えることによってブロックされることができる(図2A、円;この円は図2D;単独の抗体[下向き三角形]がニューロンにおいて効果を有さない画像に対応する)。砂糖 アルコール scyllo−イノシトール(AZD−103)、nAChRアンタゴニストヘキサメソニウム臭化物、及びNMDARアンタゴニストMK−801を含む、Aベータ・オリゴマーの効果をブロックすることが報告された、いくつかの化合物がテストされ、いずれも活性ではなかった(Fenili et al., ’07, Calabrese et al., ’06, LeCor et al., ’07)。
【0245】
アッセイは、媒質及びAベータ・オリゴマー処理されたニューロンとの間に統計学的に有意の2−フォールド分離を通常達成すること(スチューデントt検定、不当分散)、化合物フォーマティング及びアッセイ・プレート・スタンピングのための自動液体ハンドリングロボットを有する384−ウェル・マイクロタイタ・プレートにおける実行のために最適化された。化合物は、まずニューロンに加えられ、それからオリゴマーが加えられた。このように構成されるとき、アッセイは、オリゴマーの破壊、ニューロンへのオリゴマー結合の阻害、または、オリゴマー結合によって阻害される作用のシグナル形質導入メカニズムの反作用を介して作用する化合物を検知することが可能であった。
【0246】
化合物は、それらが膜輸送においてAベータによって媒介される変化を著しくブロックするが、単独で投与されたときに膜輸送に著しく作用しない場合、活性であるとみなされた。一例は図2Bに示されており、CT0109は、7μMのEC50による膜輸送でのオリゴマー効果を阻害する。
【0247】
CT0109は、4−(3−(4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)ブチル)−2−メトキシフェノールであり、その構造は、以下のとおりである。
【0248】
【化29】

図2Aは細胞内ホルマザン充填小胞(点)の投与量依存性の減少が、エキソサイトーシス(正方形)のAベータ42オリゴマー処理加速によって引き起こされたことを示す。オリゴマー効果は、抗AベータIgG(円及び上向き三角形;円はIgGの化学量論的量、つまり、Aβの3μM及びIgGの1.5μMに関連する;上向き三角形は準化学量論的IgG、つまり、Aβの3μM及びIgGの0.5μMに関連する)によってブロックされる。IgG自体(下向き三角形)は効果を有さない。図2Bは膜輸送に作用するオリゴマーを阻害するCT0109を示す。図2Cは生体外でオリゴマーが膜輸送を行うことを示す21DIV海馬ニューロンの代表的な顕微鏡写真を示し、及び図2Dは抗Aベータ抗体(図2Aの前記円に対応)による遮断を示す。データは3つの実験の平均である。スケールバー=図2Dにおいて20ミクロン。
【0249】
実施例FF:恐怖条件付けアッセイ
CT0109は、恐怖条件付けとして知られる記憶依存行動タスクの動物モデルにおいてテストされた。研究プロトコルは、発表されたプロトコルに基づいて設計された(例えば、Puzzo D,Privitera L,Leznik E,Fa M,Staniszewski A,Palmeri A,Arancio O. Picomolar amyloid−beta positively modulates synaptic plasticity and memory in hippocampus. J Neurosci.2008 Dec 31;28(53):14537−45.を参照)。文脈記憶の形成は、海馬のような内側側頭葉構造の完全性に依るものである。このアッセイにおいて、特定の顕著な文脈関係(条件つきの刺激;CS)が嫌悪する事象に関連すること、この場合においては穏やかな足へのショック(無条件刺激、US)を記憶するようにネズミを訓練した。同じ文脈に入れられる時、良好な学習を示す動物は、凍結挙動の増加を示す。この凍結は、新規の文脈においてはないものである。文脈において増加された凍結は、動物における強い海馬依存性記憶形成を示す。恐怖条件付けにおいてテストされた記憶は、可溶性Aβの上昇に敏感である。図3は、媒体投与(「b」で標識されている棒)と比較して、動物がテストされてから24時間後に記憶欠損において生じるトレーニングの間のAベータ・オリゴマーの投与の結果(「a」で標識されている棒)を示す。CT0109は、膜輸送に対する効果を伝達するAベータ・オリゴマーを止めることに対して効果的であった(図3)。Aベータ・オリゴマー投与の前に動物に投与されると、CT0109は、投与量依存方法において記憶におけるオリゴマー効果をブロックした。化合物は、2pmol投与量で記憶におけるオリゴマー効果を完全にブロックした(図3、「d」で標識された棒)。この行動有効性は、膜輸送アッセイが、どの化合物がオリゴマーによって生じる行動記憶喪失を治療する際に有効化について予測することが可能なことを証明する。記憶における恐怖条件モデルは本明細書において記載されているように実行された。
【0250】
図3は、文脈的恐怖条件付け記憶タスクにおいて、媒体に対してAベータが記憶形成において著しく欠損を生成することを示している(p<0.05)。図3は、CT0109+Aベータ(200nM)の2pmol投与量が、記憶におけるAベータの効果を完全にブロックされたことを示す(p<0.05、一方向分散分析、ボンフェローニ補正を有する事後比較)。化合物単独での効果は観察されなかった(データに示されていない)。逆行動変化はいかなる投与量でも観察されなかった。
【0251】
本発明が、その特定の好適なバージョンに関してかなり詳細に記載されているにもかかわらず、他のバージョンも可能である。したがって、本発明の精神と範囲は、本明細書において記載された好適なバージョンの記載に限られてはならない。
【0252】
要約及び図面を含む本明細書において開示された全ての特徴、及び、開示された任意の方法または手順における全ての工程は、このような特徴及び/または工程が排他的である少なくともいくつかの場合での組合せを除いて、任意の組合せにおいて組み込まれることがある。要約及び図面を含む本明細書に開示された各特徴は、はっきりと述べられないかぎり、同じであるか、等しいまたは類似の目的にかなっている代わりの特徴と置き換えられることができる。このように、はっきりと述べられない限り、開示される各特徴は、等しいまたは類似の特徴の一般的な一連の1つの実施例のみである。本発明の様々な変更態様は、本明細書に記載されているそれらに加えて、前述の記載から当業者において明らかである。このような変更態様は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0253】
本出願における各引用文献は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I−0の化合物、
【化30】

またはその薬学的に許容される塩であって、
【化31】

は単結合または二重結合であり、
R1はH、CH3、CF3、F、Cl、Br、または−OCF3であり、
R2は、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールであり、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールは、それぞれ、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され、
R3はOHまたはNR3aNR3bであり、
R3aは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールであり、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、それぞれ、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され、
R3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールであり、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、シクロアルキルアルキル、C3−7シクロアルキル、アリールアルキル、またはC6−10アリールは、それぞれ、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され、
または、R3aおよびR3bは、これらが結合しているN原子と共に、4−、5−、6−、または7−員ヘテロシクロアルキル基を形成し、当該基は、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換され、
は、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールであって、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールは、それぞれ、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されているものであり、
ただし、
【化32】

が二重結合であり、RがOHである場合、R、R、およびRのうち少なくとも1つはH以外である、化合物。
【請求項2】
請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物またはその薬学的に許容される塩は、式Iの化合物、
【化33】

またはその薬学的に許容される塩である、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物またはその薬学的に許容される塩は、式Ia−0、Ia、Ib−0、またはIbの化合物、
【化34】


またはその薬学的に許容される塩である、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物またはその薬学的に許容される塩は、式Ia−1−0、Ia−1、Ia−2−0、またはIa−2の化合物、
【化35】


またはその薬学的に許容される塩である、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物またはその薬学的に許容される塩は、式Ib−1−0、Ib−1、Ib−2−0、Ib−2の化合物、
【化36】


またはその薬学的に許容される塩である、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1〜5記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはH、CH、またはCFである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1〜5記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはCHまたはCFである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1〜5記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはCHである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1〜5記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはF、Cl、またはBrである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
請求項1〜9記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜9記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはH、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
請求項1〜9記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはHまたはC1−6アルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1〜9記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはHまたはメチルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜9記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはHである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
請求項1〜3および5〜14記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、
3aは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールであり、
3bは、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールである、、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
請求項15記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、R3aは、Hであり、R3bは、H、C1−6アルキル、または、C3−7シクロアルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項15記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、R3aは、Hであり、R3bは、C1−6アルキル、または、C1−6ハロアルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項15記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、R3aは、Hであり、R3bは、C1−6アルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
請求項15記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、R3aおよびR3bは、これらが結合しているN原子と共に、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルを形成し、それぞれ、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されているものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
請求項15記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、R3aおよびR3bは、これらが結合しているN原子と共に、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルを形成し、それぞれ、0、1、2、3、4、または5個の、OH、アミノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、フェニル、およびベンジルからそれぞれ独立して選択される置換基で置換されているものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
請求項1〜20記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、またはC6−10アリールである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
請求項1〜20記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはH、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
請求項1〜20記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはHまたはC1−6アルキルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
請求項1〜20記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはHまたはメチルである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
請求項1〜20記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩において、RはHである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
化合物であって、
2−メチル−6−(4−メチルシクロヘキサ−1,5−ジエニル)ヘプト−2−エン−4−オール、
N−イソブチル−2−メチル−6−p−トリルヘプト−2−エン−4−アミン、
N−イソブチル−2−メチル−6−(4−メチルシクロヘキサ−1,5−ジエニル)ヘプト−2−エン−4−アミン、
(6S)−2−メチル−6−(4−メチルシクロヘキサ−1,5−ジエニル)ヘプト−2−エン−4−オール、
(6S)−N−イソブチル−2−メチル−6−(4−メチルシクロヘキサ−1,5−ジエニル)ヘプト−2−エン−4−アミン;および
(6S)−N−イソブチル−2−メチル−6−(4−メチルシクロヘキサ−1,5−ジエニル)ヘプト−2−エン−4−アミンから選択されるものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
請求項26記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物またはその薬学的に許容される塩は、80重量%、90重量%、95重量%、または99重量%を超える純度を有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
プロセスによって形成される化合物または薬学的に許容される塩であって、当該プロセスは、
(a)反応性アミノ化条件下でウコン油を4−イソブチルアミンと反応させる工程であって、これにより粗生成物を生成するものであり、4−イソブチルアミンに対する生姜油の重量比率は約3.4:1である、前記反応させる工程と、
(b)化合物またはその薬学的に許容される塩を少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、または95重量%含む組成物を単離する工程と
を有するものであり、前記化合物は、[M+H]で約274.3の分析質量スペクトルのピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
請求項28記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物のHNMR(500MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ7.11、7.09、5.23、3.72、2.94、2.51、2.34、2.31、1.92、1.72、1.71、1.58、1.29、1.27、および0.92にピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
請求項28記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物の13CNMR(125MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ144.3、135.4、135.0、129.0、126.9、126.7、67.0、49.3、46.4、35.1、32.5、25.8、21.0、20.7、および18.4にピークを有するものである化合物。
【請求項31】
プロセスによって形成される化合物または薬学的に許容される塩であって、当該プロセスは、
(a)反応性アミノ化条件下でウコン油を4−イソブチルアミンと反応させる工程であって、これにより粗生成物を生成するものであり、4−イソブチルアミンに対する生姜油の重量比率は約3.4:1である、前記反応させる工程と、
(b)化合物またはその薬学的に許容される塩を少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、または95重量%含む組成物を単離する工程と
を有するものであり、前記化合物は、[M+H]で約276.3の分析質量スペクトルのピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
請求項28記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物のHNMR(500MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ7.11、7.09、5.23、3.72、2.94、2.51、2.34、2.311.92、1.72、1.71、1.58、1.29、1.27、および0.92にピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
請求項28記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物の13CNMR(125MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ144.5、135.4、131.0、127.9、126.7、120.8、66.7、49.3、46.4、35.1、32.5、25.8、21.8、21.79、20.7、および18.4にピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
プロセスによって形成される化合物または薬学的に許容される塩であって、当該プロセスは、
(a)ウコン油を還元剤と反応させる工程であって、これにより粗生成物を生成するものであり、当該ウコン油に対する還元剤のモル比が1:1を超えるものである、前記反応させる工程と、
(b)化合物またはその薬学的に許容される塩を少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、または95重量%含む組成物を単離する工程と
を有するものであり、前記化合物は、[M+H]で約219.2の分析質量スペクトルのピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
請求項34記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物のHNMR(500MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ7.11、7.09、5.17、4.45、2.32、2.76、1.75、1.58、1.52、および1.26にピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
請求項34記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物の13CNMR(125MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ144.3、135.4、135.0、129.1、128.3、126.9、67.1、42.1、39.6、25.8、23.0、21.0、および18.1にピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
プロセスによって形成される化合物または薬学的に許容される塩であって、当該プロセスは、
(a)ウコン油を還元剤と反応させる工程であって、これにより粗生成物を生成するものであり、当該ウコン油に対する還元剤のモル比が1:1を超えるものである、前記反応させる工程と、
(b)化合物またはその薬学的に許容される塩を少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、または95重量%含む組成物を単離する工程と
を有するものであり、前記化合物は、[M+H]で約221.1の分析質量スペクトルのピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
請求項37記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物のHNMR(500MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ6.18、5.70、5.56、5.17、4.24、2.32、2.80、2.29、2.15、1.95、1.68、1.75、1.58、1.42、および1.27にピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
請求項37記載の化合物またはその薬学的に許容される塩において、当該化合物の13CNMR(125MHz、CDCl)スペクトルはおよそ以下の化学シフト、δ144.1、135.0、134.1、129.6、128.3、125.3、66.9、46.2、46.2、41.2、39.6、37.1、25.8、24.5、23.0、および18.1にピークを有するものである、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
請求項1〜39記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを有する医薬組成物。
【請求項41】
患者の認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法であって、当該患者に、2−メチル−6−p−トリルヘプト−2−エン−4−オール、(6S)−2−メチル−6−p−トリルヘプト−2−エン−4−オール、またはその薬学的に許容される塩、または請求項1〜39記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を有するものである、方法。
【請求項42】
請求項41記載の方法において、前記認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、記憶喪失、混乱、判断力障害、人格変化、見当識障害、および言語能力の喪失からなる群から選択される1若しくはそれ以上の、認知機能低下症状を阻害、治療、または軽減する工程を有するものである、方法。
【請求項43】
請求項41記載の方法において、前記認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、1若しくはそれ以上の、
(i)長期増強の修復、および/または、
(ii)神経変性の阻害、治療、および/または軽減、および/または、
(iii)一般的なアミロイドーシスの阻害、治療、および/または軽減、および/または、
(iv)アミロイド産生、アミロイド構築、アミロイド凝集、アミロイドオリゴマーの結合、およびアミロイド沈着のうち1若しくはそれ以上の阻害、治療、および/または軽減、および/または、
(v)ニューロン細胞上のβアミロイド・オリゴマーの活性/効果の阻害、治療、および/または軽減を有するものである、方法。
【請求項44】
請求項41記載の方法において、前記認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、アミロイド産生、アミロイド構築、ニューロン細胞上の1若しくはそれ以上βアミロイド・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイドの結合、およびアミロイド沈着のうち1若しくはそれ以上を阻害、治療、および/または軽減する工程を有するものである、方法。
【請求項45】
請求項41記載の方法において、前記認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、1若しくはそれ以上のニューロン細胞上のβアミロイド・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイドオリゴマーの結合、およびアミロイド沈着のうち1若しくはそれ以上を阻害、治療、および/または軽減する工程を有するものである、方法。
【請求項46】
患者の認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法であって、当該患者に請求項1〜39記載のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を有するものである、方法。
【請求項47】
請求項46記載の方法において、前記認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、記憶喪失、混乱、判断力障害、人格変化、見当識障害、および言語能力の喪失からなる群から選択される1若しくはそれ以上の認知機能低下症状を阻害、治療、および/または軽減する工程を有するものである、方法。
【請求項48】
請求項46記載の方法において、前記認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、1若しくはそれ以上の、
(i)長期増強の修復、および/または、
(ii)神経変性の阻害、治療、および/または軽減、および/または、
(iii)一般的なアミロイドーシスの阻害、治療、および/または軽減、および/または、
(iv)アミロイド産生、アミロイド構築、アミロイド凝集、アミロイドオリゴマーの結合、およびアミロイド沈着のうち1若しくはそれ以上の阻害、治療、および/または軽減、および/または、
(v)ニューロン細胞上のβアミロイド・オリゴマーの活性/効果の阻害、治療、および/または軽減を有するものである、方法。
【請求項49】
請求項46記載の方法において、前記認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、アミロイド産生、アミロイド構築、ニューロン細胞上の1若しくはそれ以上βアミロイド・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイドの結合、およびアミロイド沈着のうち1若しくはそれ以上を阻害、治療、および/または軽減する工程を有するものである、方法。
【請求項50】
請求項46記載の方法において、前記患者の認知機能の低下および/またはアルツハイマー病を阻害、治療、および/または軽減する方法は、ニューロン細胞上の1若しくはそれ以上βアミロイド・オリゴマーの活性/効果、アミロイド凝集、アミロイドの結合、およびアミロイド沈着のうち1若しくはそれ以上を阻害、治療、および/または軽減する工程を有するものである、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−501006(P2013−501006A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523127(P2012−523127)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/044136
【国際公開番号】WO2011/014880
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511245064)コグニション セラピューティクス インク. (2)
【Fターム(参考)】