説明

認知機能改善方法

認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、認知障害または認知機能障害の進行を阻害することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲートが開示される。これらのコンジュゲートを使用する方法、及びこれらのコンジュゲートを含む製造物もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知機能を改善する方法に関連し、より具体的には、しかし、限定されないが、GABAアゴニスト成分(例えば、血液脳関門(BBB)を越えることができるGABAアゴニスト成分)を含む組成物を利用して認知機能を改善する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
向精神性薬物と、GABAアゴニストとの一連のコンンジュゲート、ならびに、精神作用性および/または増殖性の疾患および障害を処置することにおけるそれらの使用が、国際公開WO03/026563および同WO2005/092392として公開された国際特許出願、ならびに、米国特許出願公開第20040242570号に詳しく記載される(これらはすべて、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって組み込まれる)。これらのコンジュゲートは、それらのそれぞれのコンジュゲート化されていない向精神性薬物よりも大きい治療効力を発揮することができ、かつ/あるいは、それらのそれぞれのコンジュゲート化されていない向精神性薬物よりも少ない副作用および/または重篤でない副作用を生じさせることができる。
【0003】
国際公開WO2008/010222は、BBBを越えることができるCNS作用性鎮痛性薬物にコンジュゲート化されたGABAアゴニストから構成される新規な組成物を記載する。
【0004】
国際公開WO2008/010222は、抗パーキンソン病薬物(例えば、L−DOPAなど)と、GABAアゴニストとのコンジュゲート、および、神経変性疾患を処置することにおけるそれらの使用を記載する。
【発明の概要】
【0005】
本明細書中において、認知機能を改善する方法が開示される。本方法は、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することによって達成される。
【0006】
さらに本明細書中において、それを必要とする対象において認知機能を改善することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩が開示される。
【0007】
さらに本明細書中において、それを必要とする対象において認知機能を改善するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用が開示される。
【0008】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、認知機能を改善するために効果的である量で対象に投与される。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、対象は認知障害または認知機能障害を有する。この実施形態のさらなる一態様において、対象は、双極性障害、アルツハイマー病、ハンチングトン病、認知症、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、パーキンソン病、卒中、てんかん、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、学習欠乏、統合失調症に伴う認知障害、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、気分障害および情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、脳腫瘍に伴う行動問題および認知問題、AIDS認知症複合、ダウン症候群に伴う認知症、レヴィ小体に関連する認知症、うつ病、全般性不安障害、トゥレット症候群、TNF−αに関連付けられる状態、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、筋変性、パジェット病、痛風関節炎、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、鼻炎、潰瘍性大腸炎、アナフィラキシー、喘息、ライター症候分、組織遅滞および精神遅滞からなる群から選択される疾患または障害に悩まされる。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、対象は、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、卒中、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、および、学習欠乏からなる群から選択される疾患または障害に悩まされる。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、対象はCNS作用薬物により処置され、かつ、前記CNS作用薬物による処置の後、認知障害または認知機能障害を有するとして特定される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、認知障害または認知機能障害の進行を阻害する方法が提供される。本方法は、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲートを、それを必要とする対象に投与することによって達成され、ただし、コンジュゲートは、対象において認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、対象において認知障害または認知機能障害の進行を阻害するために効果的な量で対象に投与される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、それを必要とする対象において認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、それを必要とする対象において認知障害または認知機能障害の進行を阻害することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩が提供される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、それを必要とする対象において認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、それを必要とする対象において認知障害または認知機能障害の進行を阻害するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用が提供される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、対象は認知障害または認知機能障害を有しやすいか、あるいは、認知障害または認知機能障害を有する素因を有する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、対象は、双極性障害、アルツハイマー病、統合失調症に伴う認知障害、ハンチングトン病、多発性硬化症、パーキンソン病およびてんかんからなる群から選択される疾患または障害を有することについて診断されている。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、製造物が提供される。製造物は、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲートを含み、製造物は包装材に包まれ、かつ、認知機能を改善することにおける使用のために、あるいは、認知障害もしくは認知機能障害の発症を防止するか、または、認知障害もしくは認知機能障害の進行を阻害するために包装材の表面または内部において印刷で特定される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、製造物は、認知障害または認知機能障害を有するとして特定される対象において認知機能を改善することにおける使用のために特定される。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、対象は、CNS作用薬物による処置の後、認知障害または認知機能障害を有するとして特定される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、それを必要とする対象の認知機能を改善する方法であって、
(a)対象の認知パラメータの評価を行い、それにより、対象が認知機能の改善を必要としているかを判定すること;および
(b)GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩を、認知機能の改善を必要としている対象に投与し、それにより、それを必要とする対象の認知機能を改善すること
を含む方法が提供される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、対象の認知パラメータの評価を行い、対象が認知機能の改善を必要としていると判定したとき、対象において認知機能を改善することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩が提供される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、対象の認知パラメータの評価を行い、対象が認知機能の改善を必要としていると判定したとき、対象において認知機能を改善するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、対象はCNSの疾患または障害を有し、かつ、CNS作用薬物により処置され、ただし、前記評価を行うことが、前記CNS作用薬物による処置の後で行われる。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、対象は、統合失調症または他の精神医学的障害の家族歴を有しており、かつ、そのような評価は、統合失調症または他の精神医学的障害の症状が現れる前に行われる。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、コンジュゲートは、前記CNS作用薬物との併用で、認知機能の改善を必要としている対象に投与される。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、コンジュゲートは、前記CNS作用薬物に代わって、認知機能の改善を必要としている対象に投与される。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、CNS作用薬物は前記コンジュゲートであり、ただし、前記コンジュゲートを前記評価の後で投与することが、対象の認知機能を改善するために十分である投薬量および療法を使用して前記コンジュゲートを投与することを含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載される態様のいずれにおいても、コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩が使用される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその塩(例えば、そのトリメシラート塩または三塩酸塩)である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、統合失調症に伴う認知障害を処置するための方法が提供される。本方法は、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の有効量を、それを必要とする対象に投与し、それにより、認知機能を改善することを含む。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、それを必要とする対象において統合失調症に伴う認知障害を処置することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩が提供される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、それを必要とする対象において統合失調症に伴う認知障害を処置するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用が提供される。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその医薬的に許容され得る塩である。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、コンジュゲートは1日に1回投薬され、例えば、1日あたり約25mg〜約35mgの用量で与えられる。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0037】
【図1】図1は、PCP誘発の逆転学習課題における(正しいレバーを押す)パーセント正答応答に対する、BL−1020(0.3mg/kg、1mg/kgおよび3mg/kg)およびリスペリドン(0.2mg/kg)を投与することの効果を例示する棒グラフである。データが、平均±SEMとして表される。薬物処置群と、ビヒクル非処置群(PCP非誘発群;白抜き棒)との間での有意な差が、“*”(P<0.05)および“**”(P<0.01)の印によって表される;薬物処置群と、非処置群(PCP誘発群;縞模様棒)との間での有意な差が、ANOVAおよびそれに続くダネットt検定に基づいて、“#”(P<0.05)の印によって表される。
【0038】
【図2】図2は、PCP誘発の逆転学習課題における(正しいレバーを押す)パーセント正答応答に対する、BL−1020(3mg/kg)、ペルフェナジン(2.49mg/kg)およびリスペリドン(0.2mg/kg)を投与することの効果を例示する棒グラフである。データが、平均±SEMとして表される。薬物処置群と、ビヒクル非処置群(PCP非誘発群;白抜き棒)との間での有意な差が、“*”(P<0.05)および“**”(P<0.01)の印によって表される;“0.05”および“0.052”の数字は、ANOVAおよびそれに続くダネットt検定に基づいて、薬物処置群と、非処置群(PCP誘発群;灰色棒)との間における差について推定されるp値である。
【0039】
【図3】図3は、PCP誘発の逆転学習課題における(正しいレバーを押す)パーセント正答応答に対する、ビククリン(1mg/kg、2mg/kgおよび4mg/kg)を投与することの効果を例示する棒グラフである。データが、平均±SEMとして表される。ビククリン処置群と、ビヒクル処置群との間での有意な差が、ANOVAおよびそれに続くダネットt検定に基づいて、“**”(P<0.01)の印によって表される。
【0040】
【図4】図4は、PCP誘発の逆転学習課題における(正しいレバーを押す)パーセント正答応答に対する、ピクロトキシン(0.25mg/kg、0.5mg/kgおよび1mg/kg)を投与することの効果を例示する棒グラフである。データが、平均±SEMとして表される。ピクロトキシン処置群と、ビヒクル処置群との間での有意な差が、ANOVAおよびそれに続くダネットt検定に基づいて、“*”(P<0.05)および“**”(P<0.01)の印によって表される。
【0041】
【図5】図5は、PCP誘発の逆転学習課題における(正しいレバーを押す)パーセント正答応答に対する、BL−1020(3mg/kg)だけを投与すること、および、BL−1020(3mg/kg)をビククリン(2mg/kg)またはピクロトキシン(0.5mg/kg)と併用して投与することの効果を例示する棒グラフである。データが、平均±SEMとして表される。薬剤処置群と、ビヒクル非処置群(PCP非誘発群;白抜き棒)との間での有意な差が、“***”(P<0.001)の印によって表される;薬剤処置群と、非処置だけの群(PCP誘発群;灰色棒)との間での有意な差が、ANOVAおよびそれに続くダネットt検定に基づいて、“##”(P<0.01)の印によって表される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、認知機能を改善する方法に関連し、より具体的には、しかし、限定されないが、GABAアゴニスト成分(例えば、血液脳関門(BBB)を越えることができるGABAアゴニスト成分)を含む組成物を利用して認知機能を改善する方法に関連する。
【0043】
本発明の原理および操作は、図面および付随する説明を参照してより良く理解されることができる。
【0044】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部、または、実施例によって例示される細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは、様々な方法で実施、または、実行される。
【0045】
本明細書中には、ペルフェナジン−GABAコンジュゲート(ペルフェナジン4−アミノブチラート;以降、「BL−1020」として示される)を、化学的誘発の認知欠損を有するラットに投与することにより、その認知機能における著しい改善(p<0.01)がもたらされ、一方、等しい用量のペルフェナジンだけでは認知機能を改善することができなかったという発見が開示される。この結果は、GABAアンタゴニストがBL−1020投与前に投与されるときには認められない(実施例1を参照のこと)。
【0046】
本明細書中には、BL−1020がヒト臨床試験において統合失調症の患者に投与されたとき、プラセボと比較した場合、患者の認知機能が著しく改善された(p=0.009)という発見が開示される。対照的に、リスペリドン(基準の抗精神病薬物)は、プラセボと比較した場合、認知機能を改善することができなかった(実施例2を参照のこと)。
【0047】
したがって、本発明の1つの態様によれば、認知機能を改善する方法が提供される。この方法は、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩を、それを必要とする対象に投与することによって達成される。
【0048】
表現「CNS活性」は、本明細書中で使用される場合、CNS関連障害を処置することを目的とする、CNSにおいて発揮される薬理学的活性を表す。そのような薬理学的活性には、典型的には、ニューロンのシグナル伝達の調節が含まれる。
【0049】
したがって、CNS活性には、限定されないが、抗精神病活性、抗うつ活性、抗痙攣活性または抗不安活性が含まれる。
【0050】
したがって、CNS活性を有する成分は、(i)血液脳関門(BBB)を越えること、(ii)中枢神経系(CNS)に作用すること、および、(iii)治療活性をCNSにおいて発揮すること(CNS活性を発揮すること)ができる薬剤を表す。
【0051】
したがって、CNS活性を有する成分は、本発明のいくつかの実施形態によれば、CNS作用薬物に由来する。「由来する」によって、そのような成分が、CNS作用薬物またはその誘導体を第1の成分にコンジュゲート化したときに形成されたことが意味される。
【0052】
表現「CNS作用薬物」はまた、「CNS作用剤」として本明細書中では交換可能に示される。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、CNS作用剤は向精神性薬物である。
【0054】
様々な向精神性薬物がこの分野では知られており、これらは、活性をCNSにおいて発揮し、それにより、CNS関連の疾患または障害を処置する薬理学的薬剤として本明細書中では示される。
【0055】
向精神性薬物には、抗精神病薬物(定型的および非定型的)、抗不安薬物、抗うつ剤、抗痙攣薬物(これはまた、本明細書中およびこの分野では抗痙攣剤として示される)、抗パーキンソン病薬物、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)および選択的ノルアドレナリン受容体阻害剤(SNRI)が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
好適なCNS作用薬物として、例えば、抗不安薬物(例えば、ベンゾジアゼピン系、フェノチアジン系およびブチロフェノン系、これらに限定されない)、MAO阻害剤、抗うつ剤、抗痙攣剤、抗パーキンソン病薬物、鎮痛剤およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を挙げることができる。CNS作用薬物は、三環性、二環性または単環性のものが可能である。
【0057】
そのようなCNS作用薬物の代表的な例には、ペルフェナジン、クロルプロマジン、フルフェナジン、ズクロペンチキソール、チオプロパザート、ハロペリドール、ベンペリドール、ブロムペリドール、ドロペリドール、スピペロン、ピモジド、ピペラセタジン、アミルスルプリド、スルピリド、クロチアピン、ジプラシドン、レモキシプリド、スルトプリド、アリザプリド、ネモナプリド、クロザピン、オランザピン、ジプラシドン、セルチンドール、クエチアピン、フルオキセチン、フルボキサミン、デシプラミン、パロキセチン、セルトラリン、バルプロ酸、テマゼパム、フルテマゼパム、ドキセファゼパム、オキサゼパム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、シノラゼパム、フルタゾラム、ロピラゼパム、メプロバメート、カリソプロドール、アセトフェナジン、カルフェナジン、ジキシラジン、プリシアジン、ピポチアジン、ホモフェナジン、ペリメタジン、ペルチペンチル、フルペンチキソール、ピフルチキソール、テフルチキソール、オキシペテピン、トリフルペリドール、ペンフルリドール、メクロベミド、ノルクロミプラミン、アモキサピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、レボキセチン、タクリン、ラサギリン、アマタジン、フェノバルビタールおよびフェニトインが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
さらなる好適なCNS作用薬物が、国際公開WO2005/092392、同WO2008/010222および同WO2009/101616に記載される(これらは参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0059】
いくつかの実施形態において、CNS作用薬物は、抗精神病薬物、例えば、フェノチアジン系化合物(例えば、ペルフェナジン、クロルプロマジン、フルフェナジン、ピポチアジン、アセトフェナジン、セルフェナジンなど)などである。
【0060】
1つの実施形態において、CNS作用薬物はペルフェナジンである。
【0061】
表現「GABAアゴニスト」は、本明細書中で使用される場合、GABA受容体と、または、GABA系に影響を及ぼすどのような他の受容体に対しても直接的に結合する化合物を含めて、脳におけるγ−アミノ酪酸系を直接的または間接的のどちらであっても活性化することができ、したがって、GABAに対して薬理学的に関連付けられる化合物を包含する。
【0062】
好適なGABAアゴニストとして、例えば、γ−アミノ酪酸(GABA)、γ−ヒドロキシ酪酸、バクロフェン、イソニペコチン酸、アミノオキシ酢酸、β−(4−クロロフェニル)−γ−アミノ酪酸、ピペリジン−4−スルホン酸、3−アミノプロピル亜ホスホン酸、3−アミノプロピルホスフィン酸、3−(アミノプロピル)メチルホスフィン酸、1−(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸、ガバペンチン、4−アミノ−5−ヘキセン酸γ−ビニルGABA(ビガバトリン)および3−(2−イミダゾリル)−4−アミノブタン酸を挙げることができる。
【0063】
さらなる好適なGABAアゴニストが、国際公開WO2005/092392、同WO2008/010222および同WO2009/101616に記載される(これらは、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0064】
1つの実施形態において、GABAアゴニストはγ−アミノ酪酸(GABA)である。
【0065】
GABAアゴニスト活性を有する成分は、本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に記載されるようなGABAアゴニストに由来する成分であると見なされるものとする。
【0066】
「由来する」によって、そのような成分が、GABAアゴニストまたはその誘導体を第2の成分にコンジュゲート化したときに形成されたことが意味される。
【0067】
本発明の実施形態のコンジュゲートは、(第1の成分である)GABAアゴニストと、(第2の成分である)CNS作用剤とを含み、ただし、それにより、第1の成分および第2の成分が共有結合により互いに結合し、それにより、コンジュゲートを形成する。したがって、本明細書中に記載されるコンジュゲートのそれぞれが、第1の成分(GABAアゴニスト)と、第1の成分に対して共有結合により連結される第2の成分(CNS作用剤またはCNS作用薬物)とを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、第1の成分および第2の成分は、BBBを越えた後で解離することができる、選択または設計される共有結合を介して互いに結合される。
【0069】
したがって、第1の成分および第2の成分を連結する共有結合は、この共有結合が末梢における(例えば、酵素反応による)解離を受け得ないように選択または設計することができ、したがって、コンジュゲートは、BBBを越える前は実質的に無傷のままである。
【0070】
好適な結合として、例えば、カルボン酸エステル結合、オキシアルキルカルボン酸エステル結合、アミド結合、チオエステル結合、グリコシド結合、カルボナート結合、カルバマート結合、チオカルバマート結合、イミン結合、ウレア結合またはチオウレア結合を挙げることができる。
【0071】
本明細書中で使用される「カルボン酸エステル結合」は、「−O−C(=O)−」結合を表す。
【0072】
本明細書中で使用される「オキシアルキルカルボン酸エステル結合」は、「O−R−O−C(=O)−」結合(式中、Rは、本明細書中上記で定義されるアルキレンである)を表す。好ましくは、Rはメチレン以外のアルキレンである。
【0073】
「アミド結合」は、「−NR’−C(=O)−」結合(式中、R’は、本明細書中で定義されるように、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである)を表す。
【0074】
「チオエステル結合」は、「−SR’−C(=O)−」結合(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を表す。
【0075】
「グリコシド結合」は−R−O−R−結合(式中、それぞれのRは独立してアルキレン(好ましくはメチレン)または非存在が可能である)を表す。
【0076】
「カルボナート結合」は−C(=O)−結合を表す。
【0077】
「カルバマート結合」は−O−C(=O)−NR’−結合(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を表す。
【0078】
「チオカルバマート結合」は−O−C(=S)−NR’−結合(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を表す。
【0079】
「ウレア結合」は−NR’’C(=O)−NR’−結合(式中、R’は本明細書中で定義される通りであり、R’’は、R’について本明細書中で定義される通りである)を表す。
【0080】
「チオウレア結合」は−NR’−C(=S)−NR’’結合(式中、R’およびR’’は本明細書中で定義される通りである)を表す。
【0081】
本明細書中で使用される用語「イミン結合」は、−C=NH−結合を表す。イミン結合はまた、「シッフ塩基」としてこの分野では知られている。
【0082】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素鎖を示す。好ましくは、アルキル基は1個〜20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。さらに好ましくは、アルキルは、1個〜10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルである。最も好ましくは、アルキルは、1個〜5個の炭素原子を有する。
【0083】
用語「アルキレン」は、2個の他の基に結合されるアルキル基を表す。従って、例えば用語「エチレン」は、−CHCH基を表す。
【0084】
本明細書中で使用される用語「シクロアルキル」は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を表す。シクロアルキル基の非限定な例には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエンおよびアダマンタンがある。
【0085】
本明細書中で使用される用語「アリール」は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を表す。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルがある。
【0086】
いくつかの実施形態において、結合はエステル結合である。本明細書中、全体を通して使用されるように、表現「エステル結合」は、カルボキシ(C=O)基またはチオカルボキシ(C=S)基を含む結合のどのようなものをも包含する(例えば、カルボン酸エステル結合、オキシアルキルカルボン酸エステル結合、アミド結合およびチオエステル結合など、これらは本明細書中で定義されている通りである)。1つの実施形態において、結合はカルボン酸エステル結合である。
【0087】
本明細書中上記で記載されるような、第1の成分および第2の成分の残基を連結する他の結合を、第1の成分および第2の成分またはそれらの誘導体のそれぞれの適切な官能基を反応することによって容易に形成することができる。したがって、例えば、カルバマート結合を、イソシアナートとアルコールを反応することによって形成することができ、チオカルバマート結合を、イソチオシアナートとアルコールを反応することによって形成することができ、ウレア結合を、イソシアナートとアミンを反応することによって形成することができ、チオウレア結合を、イソチオシアナートとアミンを反応することによって形成することができ、イミン結合を、アルデヒドとアミンを反応することによって形成することができる。
【0088】
用語「遊離カルボキシル基」は、そのままであるか、または、そのプロトン化状態であるか、または、そのイオン化状態もしくは塩状態であるかのいずれかで、「−C(=O)OH」基を表す。
【0089】
用語「アミン」は、−NR’ R’’を表し、この場合、R’およびR’’は、例えば、水素、アルキル、シクロアルキル、アリールである(これらの用語は本明細書において定義される通りである)。
【0090】
用語「ハリド」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0091】
用語「ハロアルキル」は、1つ以上のハリドによってさらに置換された、上で定義されるようなアルキル基を表す。
【0092】
用語「エステル」は、−C(=O)−O−R基(式中、Rはアルキル、シクロアルキルまたはアリールである)を表す。
【0093】
用語「ハロアルキルエステル」は、−C(=O)−O−R基(式中、Rは上で定義されるようなハロアルキル基である)を表す。
【0094】
用語「アルデヒド」は、−C(=O)−H基を表す。
【0095】
用語「ヒドロキシ」は−OH基を表す。
【0096】
用語「アルコキシ」は、本明細書中で定義されるように、−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基の両方を表す。
【0097】
用語「アリールオキシ」は、本明細書中で定義されるように、−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を表す。
【0098】
用語「チオヒドロキシ」または「チオール」は−SH基を表す。
【0099】
用語「チオアルコキシ」は、本明細書中で定義されるように、−S−アルキル基および−S−シクロアルキル基の両方を表す。
【0100】
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書中で定義されるように、−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を表す。
【0101】
用語「イソシアナート」は−N=C=O基を表す。
【0102】
用語「イソチオシアナート」は−N=C=S基を表す。
【0103】
用語「アシルハリド」は−(C=O)R’’’’基(式中、R’’’’は、本明細書中上記で定義されるようにハリドである)を表す。
【0104】
1つの実施形態において、コンジュゲートは、下記の式を有するペルフェナジン4−アミノブチラート(4−アミノ酪酸2−{4−[3−(2−クロロ−フェノチアジン−10−イル)−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−エチルエステル)である:

【0105】
本発明の実施形態はさらに、本明細書中に記載されるコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物または水和物のどのようなものも、同様にまた、これらの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物および水和物を調製するプロセスを包含する。
【0106】
表現「医薬的に許容され得る塩」は、親化合物の荷電化学種と、その対イオンとを示し、ただし、医薬的に許容され得る塩は典型的には、投与された化合物(本明細書中ではコンジュゲート)の生物学的な活性および性質を取り消すことなく、親化合物の溶解性特性を改変し、かつ/または、親化合物による生物に対する何らかの著しい刺激を軽減するために使用される。例えば、アミノ基を有する化合物の医薬的に許容され得る塩として、酸付加塩を挙げることができる。本発明のいくつかの実施形態における使用のために好適である例示的な酸付加塩には、塩酸塩、酢酸付加塩、アスコルビン酸付加塩、ベンゼンスルホン酸付加塩、ショウノウスルホン酸付加塩、クエン酸付加塩、マレイン酸付加塩、メタンスルホン酸付加塩(メシラート塩)、ナフタレンスルホン酸付加塩、シュウ酸付加塩、リン酸付加塩、コハク酸付加塩、硫酸付加塩、酒石酸付加塩およびトルエンスルホン酸付加塩(これらはそれぞれが、一酸塩、二酸塩または三酸塩である)が含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
用語「溶媒和物」は、溶質(コンジュゲート)および溶媒によって形成され、それにより、溶媒が溶質の生物学的活性を妨害しない様々な化学量論(例えば、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−など)の複合体を示す。好適な溶媒には、例えば、エタノールおよび酢酸などが含まれる。
【0108】
用語「水和物」は、溶媒が水である、本明細書中上記で定義されるような溶媒和物を示す。
【0109】
本発明はさらに、本明細書中に記載されるコンジュゲートの様々な結晶性形態(多形体)、同様にまた、これらの結晶性形態を調製するプロセスを包含する。
【0110】
別の実施形態において、コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートの塩である。
【0111】
さらに別の実施形態において、コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である。
【0112】
さらなる好適なコンジュゲートが、国際公開WO2005/092392、同WO2008/010222および同WO2009/101616に記載される(これらは参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0113】
本明細書中に示されるコンジュゲートは、いずれかのGABAアゴニストと、いずれかのCNS作用剤とをカップリングして、それにより、第1の成分および第2の成分を両者間で連結されて含むコンジュゲートを得ることによって容易に調製することができる。これらの成分を連結する結合の性質は典型的には、第2の成分の化学的性質に従う。第2の成分の化学的性質は、コンジュゲートを構成するために選択されるCNS作用剤の化学的性質によって決定され得る。
【0114】
GABAアゴニストは典型的には、本明細書中で定義されるように、フリーのカルボン酸基を有する。したがって、本明細書中に記載されるコンジュゲートを調製するために使用されるプロセスは典型的には、GABAアゴニスト(ただし、これはフリーのカルボン酸基を有する)を、カルボン酸基と容易に反応する官能基を有するCNS作用薬物またはその誘導体と反応させることを含む。いくつかの実施形態において、フリーのカルボン酸基は反応に先立って活性化される。そのような活性化には、例えば、フリーのカルボン酸基をアシルハリド、および、アシルイミダゾリド、混合無水物、または、そのアルコール誘導体とのカップリングのために好適なアシル活性化基のいずれかに変換することが含まれる。
【0115】
代替的に、選択されたCNS作用薬物および/または選択されたGABAアゴニストの様々な誘導体(ただし、これらは他の官能基を有する)を、本明細書中に示されるように、第1の成分および第2の成分が他の結合を介して互いに連結されるコンジュゲートを形成するようにこのプロセスにおいて利用することができる。
【0116】
第1の成分および第2の成分がチオエステル結合を介して連結される場合、本明細書中に記載されるコンジュゲートを調製するプロセスは好ましくは、第2の化合物をその対応するチオール誘導体に変換すること、および、第1の化合物をその対応するアシルハリド誘導体またはそのいずれか他の活性化誘導体に変換することによって達成される。チオール誘導体はその後、第1の成分がチオエステル結合を介して第2の成分に共有結合により連結されている所望のコンジュゲートを得るように、活性化された第1の化合物と周知の手順によって反応させられる。CNS作用薬物がフリーのチオール基を含む場合には、フリーのチオール基は第1の成分のアシルクロリド誘導体と直接的に反応させることができることには留意しなければならない。フリーのチオール基を含まないCNS作用薬物は、この分野で周知である方法によって、そのチオール誘導体を得るように容易に反応させることができる。
【0117】
第1の成分および第2の成分がアミド結合を介して連結される場合、本明細書中に示されるコンジュゲートを調製するプロセスは、例えば、最初に、第1の成分を活性化するように、第1の成分をその対応するアシルクロリド誘導体に変換すること、および、さらに第2の成分をそのアミン誘導体に変換することによって達成される。アシルクロリド誘導体はその後、第1の成分がアミド結合を介して第2の成分に共有結合により連結されている所望のコンジュゲートを得るように、周知の求核付加反応において、または、アミド結合を生じさせるための公知手順のいずれか他の手順によって第2の成分のアミノ基と反応させられる。いくつかのCNS作用薬物はフリーのアミン基を含み、したがって、そのような薬物は第1の成分の活性化されたアシルクロリド誘導体と直接的に反応することができることには留意しなければならない。フリーのアミン基を含まないCNS作用薬物は、この分野で周知である方法によって、そのアミン誘導体を得るように容易に反応させることができる。
【0118】
第1の成分および第2の成分がアルキルオキシカルボン酸エステル結合を介して連結される場合、本明細書中に示されるコンジュゲートを調製するプロセスは、例えば、第2の成分をそのクロロアルキルエステル誘導体に変換することによって達成される。クロロアルキルエステル誘導体はその後、第1の成分がアルキルオキシカルボン酸エステル結合を介して第2の成分に共有結合により連結されている所望のコンジュゲートを得るように、周知の求核付加反応において、または、アルキルオキシカルボン酸エステル結合を生じさせるための公知手順のいずれか他の手順によって第1の成分と反応させられる。第1の成分および第2の成分をアルキルオキシカルボン酸エステル結合を介して共有結合により連結することは、典型的に不安定な無水物コンジュゲートの形成を阻止するので、第2の成分がフリーのカルボン酸基を含む場合には特に有用であることに留意しなければならない。
【0119】
GABAアゴニストがさらにフリーのアミン基を含む場合、本明細書中上記で記載されるプロセスのいずれにおいても、いくつかの実施形態では、そのようなアミン基は、第2の成分との記載された反応の期間中において保護される。フリーのアミノ基は比較的化学的に活性な基であり、したがって、この基は望ましくないほどに反応に関与し得るので、フリーのアミノ基を保護することが要求される。アミン基を保護することを、GABAアゴニストを公知のアミン保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)など)と反応させることによって行うことができる。アミノ保護されたGABAアゴニストはその後、第2の成分に共有結合により連結されるGABAアゴニストのアミノ保護成分を得るようにCNS作用薬物と反応させられる。反応が完了すると、保護基を除くことができる。
【0120】
ペルフェナジン4−アミノブチラートならびに他の例示的コンジュゲートの合成が、国際公開WO2005/092392に詳しく記載される(これは、全体が本明細書中に示されるかのように参照によって組み込まれる)。
【0121】
ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩の調製が、Nudelman他、J.Med.Chem(2008)、51:2858〜2862に記載される(これはその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0122】
本明細書中上記で述べられるように、本発明の実施形態のコンジュゲートは、対象において認知機能を改善することができる。本明細書中で使用される表現「認知機能」は、認識、思考、学習、知覚、記憶、見当識および判断(これらに限定されない)を含めて、認知プロセスまたは認知機能あるいは精神的プロセスまたは精神的機能のどのようなものも示す。
【0123】
本発明の実施形態のコンジュゲートは、1つまたは複数の認知機能を改善することを必要とするか、あるいは、1つまたは複数の認知機能を改善することを選ぶ対象であれば、どのような対象に対してでも投与することができる。本明細書中で使用される用語「対象」は哺乳動物を示し、好ましくはヒトを示す。
【0124】
対象は、認知障害または認知機能障害を有する対象が可能であるが、これに限定されない。
【0125】
1つの実施形態において、対象は、CNSの疾患または障害に伴う認知障害または認知機能障害を有し、かつ、対象はそのようなCNSの疾患または障害に悩まされる。
【0126】
例示的な疾患および障害には、限定されないが、双極性障害、アルツハイマー病、ハンチングトン病、認知症、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、パーキンソン病、卒中、てんかん、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、学習欠乏、統合失調症に伴う認知障害、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、気分障害および情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、脳腫瘍に伴う行動問題および認知問題、AIDS認知症複合、ダウン症候群に伴う認知症、レヴィ小体に関連する認知症、うつ病、全般性不安障害、トゥレット症候群、TNF−αに関連付けられる状態、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、筋変性、パジェット病、痛風関節炎、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、鼻炎、潰瘍性大腸炎、アナフィラキシー、喘息、ライター症候群、組織遅滞および精神遅滞が含まれる。
【0127】
いくつかの実施形態において、対象は統合失調症と診断され、認知障害または認知機能障害を有し、例えば、認知障害を伴うタイプの統合失調症、例えば、解体型または鑑別不能型の統合失調症などを有する。
【0128】
いくつかの実施形態において、対象は統合失調症と診断され、かつ、認知障害または認知機能障害を有し、かつ、統合失調症に伴う認知障害または認知機能障害の防止、改善および/または遅延をもたらすためにペルフェナジン4−アミノブチラートのコンジュゲートまたはその医薬的に許容され得る塩により統合失調症の発症時または継続期間中に処置される。
【0129】
いくつかの実施形態において、対象は、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、卒中、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、および、学習欠乏からなる群から選択される疾患または障害に悩まされる。
【0130】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるような方法では、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートが、認知障害または機能障害を伴うCNSの疾患または障害に悩まされる対象を処置するために利用され、ただし、CNS活性を有する成分は、そのような認知障害または機能障害を伴うそのようなCNSの疾患または障害を処置するために典型的には使用されないCNS作用薬物に由来する。
【0131】
例えば、本発明のいくつかの実施形態によれば、統合失調症を処置することにおいて有用なCNS作用薬物(例えば、ペルフェナジン)を第2の成分として含むコンジュゲートが、統合失調症以外のCNSの疾患または障害に悩まされる対象を処置する方法において使用される。
【0132】
したがって、本発明の実施形態は、コンジュゲートにおけるCNS活性を有する成分と、そのようなコンジュゲートによって処置可能である疾患または障害であって、国際公開WO2005/092392、同WO2008/010222および同WO2009/101616に記載されない疾患または障害によって悩まされる対象とのどのような組合せをも包含する。
【0133】
第2の成分がCNS作用薬物である本明細書中に記載されるようなコンジュゲートを利用するどのような方法であっても、コンジュゲートが、このCNS作用薬物を含むコンジュゲートによって処置可能であるとして、国際公開WO2005/092392、同WO2008/010222および同WO2009/101616のいずれかに記載されている疾患または障害によって悩まされる対象に投与される方法は、本明細書中に別途示される場合を除き、本発明のこの態様の実施形態の範囲から除外されることに留意されたい。したがって、コンジュゲートにおける第2の成分としてのCNS作用薬物と、そのようなコンジュゲートによって処置可能であるとして記載されるCNSの疾患または障害であって、国際公開WO2005/092392、同WO2008/010222および同WO2009/101616のいずれかに記載されているCNSの疾患または障害との組合せはどれも、本明細書中に別途示される場合を除き、本発明のこの態様のいくつかの実施形態の範囲から除外される。
【0134】
いくつかの実施形態において、対象は統合失調症に悩まされていない。
【0135】
代替的に、対象は統合失調症に悩まされ、かつ、方法が、対象において認知機能を改善するために効果的である投薬量および療法で対象にコンジュゲートを投与することによって達成され、ただし、そのような投薬量および療法は、対象の認知機能を改善しないことを除いて、統合失調症を処置するために要求される治療効果的な投薬量および療法とは異なる。
【0136】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法のいずれにおいても、コンジュゲートは、対象において認知機能を改善するために効果的である量(例えば、投薬量および療法)で投与される。
【0137】
本明細書中で使用される表現「認知機能を改善するために効果的である量」は、認知機能における検出可能な改善を発揮することができるコンジュゲートの量(例えば、投薬量および療法)を示す。対象におけるベースライン認知機能およびその改善の評価を、この技術分野では公知である下記のような様々な試験を使用することによって求めることができる:the Rey Auditory Verbal Learning Test(RAVLT);Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery(CANTAB);a Children’s Memory Scale(CMS);a Contextual Memory Test;a Continuous Recognition Memory Test(CMRT);a Denman Neuropsychology Memory Scale;a Fuld Object Memory Evaluation(FOME);a Graham−Kendall Memory for Designs Test;a Guild Memory Test;a Learning and Memory Battery(LAMB);a Memory Assessment Clinic Self−Rating Scale(MAC−S);a Memory Assessment Scales (MAS);a Randt Memory Test;a Recognition Memory Test(RMT);a Rivermead Behavioral Memory Test;a Russell’s Version of the Wechsler Memory Scale(RWMS);a Test of Memory and Learning(TOMAL);a Vermont Memory Scale(VMS);a Wechsler Memory Scale;a Wide Range Assessment of Memory and Learning(WRAML);First−Last Name Association (Youngjohn J.R.,et al.,Archives of Clinical Neuropsychology 6:287−300,1991);Name−Face Association;Wechsler Memory Scale−Revised(Wechsler,D.,Wechsler Memory Scale−Revised Manual,NY,N.Y.,The Psychological Corp.,1987);California Verbal Learning Test−Second Edition(Delis,D.C.,et al.,The Californian Verbal Learning Test, Second Edition,Adult Version,Manual,San Antonio,Tex.:The Psychological Corporation,2000);Facial Recognition(delayed non−matching to sample);Cognitive Drug Research(CDR)Computerized Assessment Battery−Wesnes;Buschke’s Selective Reminder Test(Buschke,H.,et al.,Neurology 24:1019−1025,1974);Telephone Dialing Test;Brief Visuospatial Memory Test−Revised;and Test of Everyday Attention(Perry,R.J.,et al.,Neuropsychologia 38:252−271,2000);the Wechsler Adult Intelligence Scale (WAIS);the CERAD word list(CWL)test;the Symbol Digit Modalities Test[SDMT;Smith,A.(1982).Symbol Digit Modalities Test.Los Angeles:Western Psychological Services;Smith,A.(1968).The symbol−digit modalities test:a neuropsychologic test of learning and other cerebral disorders.In J.Helmuth(Ed.),Learning disorders(pp.83−91).Seattle:Special Child Publications];the Mini−Mental State Exam(MMSE;Folstein,M.F.et al.,J.Psych.Res.12:189−198,1975);Test of Nonverbal Intelligence and Comprehensive Test of Nonverbal Intelligence (CTONI−2;Donald D.et al.,(Eds.)American Therapy Publications,2009);A Development Neuropsychological Assessment(NEPSY);Delis−Kaplan Executive Function System(D−KEFS);Comprehensive Test of Phonological Processing(CTOPP);Rey−Osterrieth Complex Figure Test;Children’s Memory Scale,Wechsler Memory Scale−−Third Edition(WMS−III);Woodcock−Johnson Tests of Cognitive Abilities(WJIII);Beery−Buktenica Developmental Test of Visual Motor Integration;Wisconsin Card Sorting Test(WCST);Children’s Category Test,Judgment of Line Orientation;Behavior Rating Inventory of Executive Function;and Wide Range Assessment of Memory and Learning(WRAML);and the Stanford−Binet Intelligence Scale (SB5;Roid,G.H.(2003)Stanford Binet intelligence scales,5th Edition,Itasca,IL:Riverside Publishing)。
【0138】
認知機能を評価するために使用され得るさらなる手順が、米国特許第4203452号、同第5339826号、同第5447166号および同第6947790号、ならびに、米国特許出願公開第20020192624号および同第20090155754号に記載される。
【0139】
あるコンジュゲートによって処置される対象が、当該コンジュゲートによって処置可能である疾患または障害によって悩まされるとき、表現「認知機能を改善するために効果的である量」は、この対象においてその疾患または障害について決定されるような当該コンジュゲートの治療効果的な量よりも高くまたは少なくすることができ、あるいは、この対象においてその疾患または障害について決定されるような当該コンジュゲートの治療効果的な量と同じにすることができる。
【0140】
いくつかの実施形態において、そのような対象において認知機能を改善するために効果的である量は、この対象における当該コンジュゲートの治療効果的な量よりも大きい。
【0141】
いくつかの実施形態において、そのような対象において認知機能を改善するために効果的である量は、この対象における当該コンジュゲートの治療効果的な量よりも少ない。
【0142】
そのような対象において認知機能を改善するために効果的である量がこの対象における当該コンジュゲートの治療効果的な量と異なる実施形態は、当該コンジュゲートにおけるCNS作用薬物と、当該コンジュゲートによって処置することができる疾患または障害によって悩まされる対象とのどのような組合せをも包含する。
【0143】
例えば、いくつかの実施形態では、対象が統合失調症に悩まされ、かつ、認知障害または認知機能障害に苦しんでおり、この対象には、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートが、対象において認知機能を改善するために効果的であるそのような投薬量および療法で投与され、ただし、それにより、この投薬量および療法では、対象において統合失調症を処置するためのこのコンジュゲートの治療効果的な量よりも多い量であるが、対象において認知機能を改善しない量がもたらされる。
【0144】
いくつかの他の実施形態では、対象が、統合失調症に伴う認知障害または認知機能障害を有しており、この対象には、ペルフェナジン4−アミノブチラートのコンジュゲートまたはその医薬的に許容され得る塩が、約10mg〜約100mg、約10mg〜約150mg、約10mg〜約20mg、約20mg〜約30mg、約30mg〜約40mg、約40mg〜約50mg、約50mg〜約60mg、約60mg〜約70mg、約70mg〜約80mg、約80mg〜約90mg、約90mg〜約100mgの投薬量で投与される。
【0145】
いくつかの他の実施形態では、対象が、統合失調症に伴う認知障害または認知機能障害を有しており、この対象には、ペルフェナジン4−アミノブチラートのコンジュゲートまたはその医薬的に許容され得る塩が、約25mg〜約35mg、約20mg〜約25mg、約25mg〜約30mg、約30mg〜約35mgの投薬量で1日に1回投与される。
【0146】
いくつかの他の実施形態では、対象が、統合失調症に伴う認知障害または認知機能障害を有しており、この対象には、ペルフェナジン4−アミノブチラートのコンジュゲートまたはその医薬的に許容され得る塩が、1日に1回、または、1日おきに1回、または、1日に2回、有効量で投与される。
【0147】
いくつかの他の実施形態では、対象が、統合失調症に伴う認知障害または認知機能障害を有しており、この対象には、ペルフェナジン4−アミノブチラートのコンジュゲートまたはその医薬的に許容され得る塩が約25mg〜約35mgの投薬量で1日に1回投与される。
【0148】
いくつかの実施形態の別の態様によれば、認知機能を改善する方法が提供され、ただし、この方法は、
(a)対象の認知パラメータの評価を行い、それにより、対象が認知機能の改善を必要としているかを判定すること;および
(b)GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、その医薬的に許容され得る塩を、認知機能の改善を必要としている対象に投与すること
によって達成される。
【0149】
認知パラメータの評価を本明細書中に記載されるように達成することができる。
【0150】
いくつかの他の実施形態において、対象はCNSの疾患または障害を有し、かつ、CNS作用薬物により処置され、かつ、このCNS作用薬物による処置の後、対象の認知パラメータを評価することが行われる。
【0151】
そのような場合において、認知機能の改善を必要としているとして特定される対象には、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートが、CNS作用薬物との組合せで、または、代替治療法としてそのどちらでも投与される。
【0152】
対象が、CNSの疾患または障害に伴う認知障害または認知機能障害に悩まされた対象であり、かつ、CNS作用薬物が、1つまたは複数の認知機能を改善することにおいて効果的でないと判明している場合、この対象は、認知機能の改善を必要としているとして特定することができる。代替的に、対象が、CNSの疾患または障害の進行の結果として、あるいは、その年齢の結果として、認知障害または認知機能障害を発症した場合、この対象は、認知機能の改善を必要としているとして特定することができる。
【0153】
いくつかの実施形態において、対象は、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートであるCNS作用薬物により処置されるが、認知機能の改善を必要としているとして前記評価において特定された。これらの実施形態において、コンジュゲートを投与することが、対象の認知機能を改善するために十分である投薬量および療法においてである。典型的には、この投薬量および療法では、前記評価が行われた以前に使用されていたよりも多い量のコンジュゲートがもたらされる。
【0154】
疾患または障害によって悩まされる対象と、この疾患または障害を処置することにおいて有用であるCNS作用薬物を含むコンジュゲートとの組合せはどれも、本発明のこれらの実施形態によって包含される。
【0155】
例示的な疾患および障害には、限定されないが、精神病性疾患または精神病性障害、不安障害、解離性障害、人格障害、気分障害、情動障害、神経変性疾患または神経変性障害、痙攣性障害、境界型障害、および、精神疾患または精神障害、同様にまた、認知症、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、パーキンソン病、卒中、てんかん、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、学習欠乏、統合失調症に伴う認知障害、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、気分障害および情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、脳腫瘍に伴う行動問題および認知問題、AIDS認知症複合、ダウン症候群に伴う認知症、レヴィ小体に関連する認知症、うつ病、全般性不安障害、トゥレット症候群、TNF−αに関連付けられる状態、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、筋変性、パジェット病、痛風関節炎、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、鼻炎、潰瘍性大腸炎、アナフィラキシー、喘息、ライター症候分、組織遅滞および精神遅滞が含まれる。
【0156】
例示的なCNS作用薬物が本明細書中に記載される。
【0157】
任意選択的に、本発明の実施形態のコンジュゲートは、認知障害または認知機能障害の傾向があるか、あるいは、認知障害または認知機能障害の素因を有する対象において認知障害または認知機能障害の発症を防止するための、あるいは、そのような対象において認知障害または認知機能障害の進行を阻害するための予防的処置として利用することができる。いくつかの実施形態において、対象は、双極性障害、アルツハイマー病、ハンチングトン病、多発性硬化症、パーキンソン病、脳外傷、卒中、加齢性の疾患または障害、あるいは、てんかんを有することについて診断される。
【0158】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、対象において認知障害または認知機能障害の発症を防止するために、あるいは、対象において認知障害または認知機能障害の進行を阻害するために効果的である量で対象に投与される。
【0159】
対象における認知障害または認知機能障害の評価およびその防止または阻害の評価を、本明細書中上記で示されるアッセイのいずれかを使用して、対象において認知機能を評価することによって求めることができる。
【0160】
いくつかの実施形態において、対象は、統合失調症または他の精神医学的障害の臨床症状が現れる前に、あるいは、統合失調症または他の精神医学的障害の臨床症状が現れるときに認知機能障害について試験される、統合失調症または他の精神医学的障害の家族歴を有する人である。認知機能障害が見出されるならば、そのような対象は、本明細書中に記載されるコンジュゲートにより処置される。
【0161】
本発明のコンジュゲートは、それ自体で、または、医薬組成物の一部(有効成分)としてそのどちらでも対象に投与することができる。
【0162】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適な担体および賦形剤など)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
【0163】
本明細書中以降、表現「生理学的に許容され得る担体」および表現「医薬的に許容され得る担体」は、交換可能に使用され得るが、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された化合物の生物学的な活性および性質を妨げない担体または希釈剤を示す。アジュバントはこれらの表現に包含される。
【0164】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0165】
薬物の配合および投与のための技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出されることができ、これは参考として本明細書中に組み込まれる。
【0166】
好適な投与経路には、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、特に経鼻送達、腸管送達、または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれることができる。
【0167】
あるいは、例えば、患者の骨組織領域に直接的に医薬組成物の注射をすることによって、全身的な方法よりも局所的に医薬組成物を投与することができる。
【0168】
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られているプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥のプロセスによって製造されることができる。
【0169】
本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用されることができる調製物への有効成分の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得る担体を使用して従来の様式で配合されることできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。
【0170】
注射の場合、本発明の医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合しうる緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な食塩緩衝液など)において配合されることができる。本発明の医薬組成物のために適した投与の1つの経路は、米国特許第6,525,030号(Erikkson)に記載されるように、骨膜下注射である。経粘膜投与の場合、浸透されるバリヤーに対して適切な浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
【0171】
経口投与の場合、医薬組成物は、活性化合物をこの分野でよく知られている医薬的に許容され得る担体と組み合わせることによって容易に配合されることができる。そのような担体は、医薬組成物が、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤および懸濁物などとして配合されることを可能にする。経口使用される薬理学的調製物は、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、錠剤または糖衣錠コアを得るために、望ましい好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製されることができる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーである。もし望むなら、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤が加えられることができる。本明細書中で使用される場合、用語「経口投与」には、医薬化合物を、舌、歯肉、口蓋または他の口内表面を含めて、いずれかの口腔表面に投与することが含まれる。経口投与のさらなる方法には、医薬組成物を、口腔表面の組織と適合し得るミスト、噴霧物または懸濁物で提供することが含まれる。
【0172】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有しうる。色素または顔料は、活性化合物の量を明らかにするために、または活性化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えられることができる。
【0173】
経口使用されうる医薬組成物としては、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが挙げられる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、および場合により安定化剤との混合で有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、有効成分は、好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁されることができる。さらに、安定化剤が加えられることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路について好適な投薬形態でなければならない。
【0174】
口内投与の場合、組成物は、従来の方法で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
【0175】
鼻吸入による投与の場合、本発明による使用のための有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量は、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定されることができる。ディスペンサーにおいて使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有して配合されることができる。
【0176】
本明細書中に記載される医薬組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合されることができる。注射用配合物は、場合により保存剤が添加された、例えば、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態で提供されることができる。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物または溶液剤またはエマルションにすることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの配合剤を含有することができる。
【0177】
非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態の活性調製物の水溶液が含まれる。さらに、有効成分の懸濁物は、適切な油性または水性の注射用懸濁物として調製されることができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有することができる。場合により、懸濁物はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために、有効成分の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有することができる。
【0178】
あるいは、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌の、パイロジェン不含水溶液)を使用前に用いて構成される粉末形態であることができる。
【0179】
本発明の医薬組成物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合されることができる。
【0180】
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物として、有効成分が、その意図された目的を達成するために有効な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、生理学的な有効量は、対象の認知機能を改善するために効果的である有効成分の量を意味する。
【0181】
好適な投与量の決定は、特に本明細書に与えられた詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0182】
本発明の方法において使用されるどのような調製物についても、治療的用量を、動物モデルにおいて、例えば、逆転学習課題ラットモデル(Abdul−Monim他、Behav Brain Res.、169:263〜273、2006;および、Abdul−Monim他、J.Psychopharmacology、21:198〜205、2007;本明細書中下記の実施例1を参照のこと)などにおいて見積もることができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。
【0183】
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、実験動物における標準的な薬学的手法によって決定されることができる。これらの動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量範囲を定めるために使用されることができる。投与量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化しうる。正確な配合、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(例えば、Finglら、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照のこと)。
【0184】
投薬量および投薬間隔を、認知機能の検出可能な改善を起こすのに十分である活性な成分のレベル(最小有効濃度(MEC))に個々に調節することができる。MECはそれぞれの調製物について変化するが、インビボデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は個々の特性および投与経路に依存する。検出アッセイを使用して、血漿中濃度を求めることができる。
【0185】
対象が認知障害または認知機能障害に関連した疾病または疾患を患っているとき、処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は単回または複数回投与であることも可能であり、処置の経過が、数日から数週間まで、または、疾患状態の縮小が達成されるまで続く。
【0186】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。
【0187】
本発明の組成物は、所望される場合には、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴うことがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。
【0188】
本発明のコンジュゲートまたは医薬組成物は、本明細書中に詳しく記載されるように、認知機能を改善することにおける使用、あるいは、認知障害もしくは認知機能障害の発症を防止するか、または、認知障害もしくは認知機能障害の進行を阻害することにおける使用のための製造物として、適切な容器に入れられ、かつ、包装材の表面または内部において印刷で特定され得る。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、本明細書中に記載されるように、それを必要とする対象において認知機能を改善することにおける使用のために特徴付けられる、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートが提供される。
【0190】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、認知障害または認知機能障害の進行を阻害することにおける使用のために特徴付けられる、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートが提供される。
【0191】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、対象の認知パラメータを評価したとき、認知機能の改善を必要としているとして特定される対象において認知機能を改善することにおける使用のために特徴付けられる、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートが提供される。
【0192】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、認知機能を改善すること、認知障害もしくは認知機能障害の発症を防止するか、または、認知障害もしくは認知機能障害の進行を阻害すること、および/あるいは、対象の認知パラメータを評価したとき、認知機能の改善を必要としているとして特定される対象において認知機能を改善することのための医薬品(例えば、本明細書中に記載されるような医薬組成物)を調製することにおける、本明細書中に記載されるようなコンジュゲートの使用が提供される。
【0193】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、本明細書中に記載されるように、それを必要とする対象において統合失調症に伴う認知障害を処置することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分と含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩が提供される。
【0194】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、本明細書中に記載されるように、それを必要とする対象において統合失調症に伴う認知障害を処置するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分と含むコンジュゲート、または、そのようなコンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用が提供される。
【0195】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
【0196】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0197】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0198】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0199】
実施例1
BL−1020はラットにおけるPCP誘発の学習欠落を弱める
材料および方法
試験剤
抗精神病薬物:BL−1020(ペルフェナジン4−アミノブチラート、メシラート塩;BioLineRx Ltd.、イスラエル;経口投与される);リスペリドン(Sigma、英国;腹腔内投与される);およびペルフェナジン(Sigma、イスラエル;経口投与される)。
【0200】
GABAアンタゴニスト:ピクロトキシン(Sigma、英国;腹腔内投与される);およびビククリン(Sigma、英国;腹腔内投与される)。
【0201】
動物
メスのhooded−Listerラット(Charles River、英国)を、12時間の日内周期のもとでの標準的な実験室条件のもと、5匹からなる群で収容した。ラットを研究の継続期間にわたって自由摂取体重平均(250グラム)のおよそ85%で維持した。
【0202】
オペラント訓練作業
オペラントチャンバーに慣らした後、ラットを、Abdul−Monim他(J.Psychopharmacology、17:57〜65、2003)によって記載されるように、作動可能なレバーが作動可能となる強化のFR1(固定比率1)スケジュールで食物に対して応答するように訓練した。食物に対する適正な応答が確立されたとき、ラットは、食物送達を求めて左側レバーまたは右側レバーのどちらか(レバーの一方のみが作動可能であった)を押すように訓練された。作動可能なレバーは、擬似ランダム的なゲラーマン表を使用して日毎に変えられた(この表により、左側レバーまたは右側レバーのどちらかが作動可能としてランダムに割り当てられ、したがって、レバーへの先入観の発生が回避される)。それぞれの作業が20分続き、カウント数がそれぞれのレバーについて記録された。
【0203】
最初の段階の訓練が(約2週間以内に)完了した後、ラットは、視覚的合図の位置に従って食物に対して応答するように訓練された。半数のラットが、食物の褒美を受けるために点灯LEDのもとでレバーを押すように訓練された。残り半数のラットが、逆の随伴性で(すなわち、非点灯LEDのもとでレバーを押すように)訓練された。それぞれの訓練作業が室内灯の照明とともに始まった。3秒後、視覚的合図と一緒ではあるが、両方のレバーが提示された。合図が1秒間提示された。レバー押し下げの後、正しい応答により、食物ペレットの送達がもたらされた。その後、レバーは引っ込められ、室内灯が3秒のタイムアウト期間消され、その期間中に、(正しい応答がなされていたならば)ペレットが消費された。その後、室内灯が再び点灯され、サイクルが繰り返された。(およそ30分続いた)128回のレバー押し下げの後、訓練作業を終えた。
【0204】
それぞれのラットが1日あたり1回の訓練作業を有した。ラットは、正しいレバーでの少なくとも115回の応答(90%の正答応答)を少なくとも3日間連続して行うことが要求された(これは一般的に、2週間以内に達成された)。随伴性(視覚的合図、すなわち、作動可能なレバーに対してLEDの点灯または消灯)はこの期間中、一定のままであった。だが、作動可能なレバーの位置が擬似ランダム的なゲラーマン表に従って日毎に変わった。
【0205】
その後、ラットは、逆の随伴性での評価基準に再び達するまで訓練された(これは一般的に、2週間以内に達成された)。ラットは、一方の規則または他方の規則に応答したかどうかにかかわらず、同じ割合で評価基準を達成した。慣れおよび訓練の合計でおよそ6週間の後、逆転学習課題が導入された。
【0206】
逆転学習課題
逆転学習課題を行う前に、ラットには、フェンシクリジン塩酸塩(PCP;Sigma、英国;非競合的NMDA受容体アンタゴニスト;Abdul−Monim他、Behav Brain Res.、169:263〜273、2006;およびAbdul−Monim他、J.Psychopharmacology、21:198〜205、2007)が、7日間にわたって1日に2回、注射された(2mg/kg;腹腔内)。
【0207】
7日の薬物(PCP)非存在期間の後、ラットを試験剤(抗精神病薬物およびGABA受容体アンタゴニスト)により処置した。60分後、ラットは、オペラント訓練作業の期間中にあったのと同じ随伴性(作動可能なレバーに対しての合図位置)に5分間さらされ(「初期相」)、(正答レバーおよび誤答レバーで押す)それらの応答が記録された。2分間の休憩の後、動物は、逆にした随伴性に5分間さらされ(「逆転相」)、その期間中に、(正答レバーおよび誤答レバーで押す)それらの応答が記録された。
【0208】
統計学的分析
データを、1元配置ANOVAおよびそれに続く事後ダネットt検定によって分析した。
【0209】
結果
ラットに7日間にわたって1日に2回、2mg/kgで注射されたフェンシクリジン塩酸塩(PCP)は、逆転学習課題においてパーセント正答応答動物数を著しく低下させた(図1、図2および図3;p<0.01)。
【0210】
3mg/kgの用量で投与されたBL−1020は、PCP誘発による逆転学習欠落を著しく改善した(図1および図3;p<0.01)。対照的に、(3mg/kgのBL−1020用量におけるペルフェナジン成分と同等である)2.49mg/kgの用量で投与されたペルフェナジン(これは、BL−1020と同じCNS活性成分であるが、GABA成分を有していない)は、PCP誘発による逆転学習欠落を著しく改善しなかった(図2)。
【0211】
1mg/kg、2mg/kgおよび4mg/kgの用量で投与されたGABAアンタゴニストのビククリンは、PCP誘発による逆転学習欠落を著しく改善しなかった(図3)。
【0212】
同様に、0.25mg/kg、0.5mg/kgおよび1mg/kgの用量で投与されたGABAアンタゴニストのピクロトキシンは、PCP誘発による逆転学習欠落を著しく改善しなかった(図4)。
【0213】
GABAアンタゴニストのビククリン(2mg/kg)およびピクロトキシン(0.5mg/kg)は、BL−1020(3mg/kg)と同時投与された場合、PCP誘発による逆転学習欠落を改善することに対するBL−1020の効果を打ち消した(図5;p<0.001)。
【0214】
したがって、これらの結果は、BL−1020(ペルフェナジン−GABAコンジュゲート)はラットにおいて学習欠落を改善することができること、および、この活性はGABA受容体の活性化を伴い得ることを示している。
【0215】
実施例2
BL−1020は統合失調症の急性悪化を有するヒト患者において認知機能を改善する
実験設計
試験が、米国、欧州およびインドにおいて40カ所で行われた。試験のために、363名の患者が募集され、等しくランダム化された。薬物(BL−1020、10mg/日;BL−1020、20mg/日〜30mg/日;リスペリドン、2mg/日〜8mg/日;およびプラセボ)が、42日の期間にわたって毎日、(二重盲検化された)指定の患者に投与されている。
【0216】
本研究は、BL−1020が、一次有効性処置、すなわち、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の総合スコアでプラセボに対して統計学的に有意に優れていることを実証するために設計された。重要な二次有効性処置には、重症度の臨床全般印象度(CGI−S)、ベースラインからの変化の臨床全般印象度(CGI−C)、および、統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)によって見積もられるような認知に対する効果が含まれた。2mg〜8mgの用量でのリスペリドンが研究結果の妥当性確認のための陽性コントロールとして含められた。
【0217】
認知機能の評価
処置された患者の認知機能の評価が、統合失調症患者における使用のために設計されたテストバッテリー[Richard Keefe(編)、Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia(BACS) Version 3.0、Duke University Medical Center、1999;およびKeefe他、Schizophrenia Research、68:283〜297、2004]を使用して0日目(ベースライン)および42日目(研究終了)に行われている。このバッテリーは、処理速度、推理および問題解決、ならびに、言語記憶および作業記憶の簡易評価からなる。集成スコアが、6つの測定(言語記憶、数字配列化、トークン運動課題、流ちょう性、記号コード化およびタワー・オブ・ロンドン)のz値を合計することによって得られる。
【0218】
結果
0日目での平均BACSスコア値(ベースライン)および42日の処置の後における平均BACSスコアの変化が本明細書中下記の表1にまとめられる。表は、高用量(20mg/日〜30mg/日)でBL−1020により処置された患者が8.3ポイントのBACSスコア増大を示し、これはプラセボ処置患者およびリスペリドン処置患者よりも著しく優れていた(p値、それぞれ、0.009および0.013)ことを示す。
【0219】
したがって、結果は、BL−1020は統合失調症の患者において認知機能を改善することができることを明瞭に示している。

【0220】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0221】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知機能を改善する方法であって、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩を、それを必要とする対象に投与し、それによって、認知機能を改善することを含む方法。
【請求項2】
前記コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンジュゲートは前記ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象は認知障害または認知機能障害を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象はCNS作用薬物により処置され、かつ、前記CNS作用薬物による処置の後、認知障害または認知機能障害を有するとして特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、認知障害または認知機能障害の進行を阻害する方法であって、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩を、それを必要とする対象に投与し、それによって、認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、認知障害または認知機能障害の進行を阻害することを含む方法。
【請求項7】
前記対象は認知障害または認知機能障害を有しやすいか、あるいは、認知障害または認知機能障害を有する素因を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象は、双極性障害、アルツハイマー病、ハンチングトン病、多発性硬化症、パーキンソン病およびてんかんからなる群から選択される疾患または障害を有することについて診断されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記コンジュゲートは前記ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
必要とする対象の認知機能を改善する方法であって、
(a)対象の認知パラメータの評価を行い、それにより、対象が認知機能の改善を必要としているかを判定すること;および
(b)GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩を、認知機能の改善を必要としている対象に投与し、それにより、必要とする対象の認知機能を改善すること
を含む方法。
【請求項12】
対象はCNSの疾患または障害を有し、かつ、CNS作用薬物により処置され、ただし、前記評価を行うことが、前記CNS作用薬物による処置の後で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コンジュゲートは、前記CNS作用薬物との併用で、認知機能の改善を必要としている対象に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンジュゲートは、前記CNS作用薬物の代わりに、認知機能の改善を必要としている対象に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記CNS作用薬物は前記コンジュゲートであり、ただし、前記コンジュゲートを前記評価の後で投与することが、対象の認知機能を改善するために十分である投薬量および療法を使用して前記コンジュゲートを投与することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
対象は、統合失調症または他の精神医学的障害の家族歴を有しており、かつ、そのような評価は、統合失調症または他の精神医学的障害の症状が現れる前に行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
統合失調症に伴う認知障害を処置するための方法であって、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の有効量を、それを必要とする対象に投与し、それにより、認知機能を改善することを含む方法。
【請求項18】
前記コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンジュゲートは前記ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コンジュゲートは1日に1回投薬される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記コンジュゲートは1日あたり約25mg〜約35mgの用量で与えられる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
包装材、および、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩を含む製造物であって、前記包装材に包まれ、かつ、必要とする対象において認知機能を改善することにおける使用のために、あるいは、必要とする対象において認知障害もしくは認知機能障害の発症を防止するか、または、必要とする対象において認知障害もしくは認知機能障害の進行を阻害するために前記包装材の表面または内部において印刷で特定される製造物。
【請求項23】
前記コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその塩である、請求項22に記載の製造物。
【請求項24】
前記コンジュゲートは前記ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である、請求項23に記載の製造物。
【請求項25】
認知障害または認知機能障害を有するとして特定される対象において認知機能を改善することにおける使用のために特定される、請求項22に記載の製造物。
【請求項26】
対象は、CNS作用薬物による処置の後、認知障害または認知機能障害を有するとして特定される、請求項25に記載の製造物。
【請求項27】
必要とする対象において認知機能を改善することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩。
【請求項28】
必要とする対象において認知機能を改善するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用。
【請求項29】
前記コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項27に記載のコンジュゲート、または請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記コンジュゲートは前記ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である、請求項29に記載のコンジュゲートまたは使用。
【請求項31】
前記対象は認知障害または認知機能障害を有する、請求項27に記載のコンジュゲート、または請求項28に記載の使用。
【請求項32】
前記対象は、双極性障害、アルツハイマー病、ハンチングトン病、認知症、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、パーキンソン病、卒中、てんかん、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、学習欠乏、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、気分障害および情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界型人格障害、脳腫瘍に伴う行動問題および認知問題、AIDS認知症複合、ダウン症候群に伴う認知症、レヴィ小体に関連する認知症、うつ病、全般性不安障害、トゥレット症候群、TNF−αに関連付けられる状態、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、筋変性、パジェット病、痛風関節炎、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、鼻炎、潰瘍性大腸炎、アナフィラキシー、喘息、ライター症候分、組織遅滞および精神遅滞からなる群から選択される疾患または障害に悩まされる、請求項27に記載のコンジュゲート、または請求項28に記載の使用。
【請求項33】
前記対象は、加齢性認知機能低下、軽度認知障害、多発性硬化症、卒中、脳外傷、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、記憶喪失、記憶欠損、脳外傷または卒中後事象に関連付けられる記憶欠損、および、学習欠乏からなる群から選択される疾患または障害に悩まされる、請求項27に記載のコンジュゲート、または請求項28に記載の使用。
【請求項34】
前記対象はCNS作用薬物により処置され、かつ、前記CNS作用薬物による処置の後、認知障害または認知機能障害を有するとして特定される、請求項27に記載のコンジュゲート、または請求項28に記載の使用。
【請求項35】
必要とする対象において認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、必要とする対象において認知障害または認知機能障害の進行を阻害することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩。
【請求項36】
必要とする対象において認知障害または認知機能障害の発症を防止するか、あるいは、必要とする対象において認知障害または認知機能障害の進行を阻害するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用。
【請求項37】
前記対象は認知障害または認知機能障害を有しやすいか、あるいは、認知障害または認知機能障害を有する素因を有する、請求項35に記載のコンジュゲート、または請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記対象は、双極性障害、アルツハイマー病、ハンチングトン病、多発性硬化症、パーキンソン病およびてんかんからなる群から選択される疾患または障害を有することについて診断されている、請求項35に記載のコンジュゲート、または請求項36に記載の使用。
【請求項39】
前記コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項35に記載のコンジュゲート、または請求項36に記載の使用。
【請求項40】
前記コンジュゲートは前記ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である、請求項39に記載のコンジュゲートまたは使用。
【請求項41】
対象の認知パラメータの評価を行い、対象が認知機能の改善を必要としていると判定したとき、対象において認知機能を改善することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩。
【請求項42】
対象の認知パラメータの評価を行い、対象が認知機能の改善を必要としていると判定したとき、対象において認知機能を改善するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用。
【請求項43】
対象はCNSの疾患または障害を有し、かつ、CNS作用薬物により処置され、ただし、前記評価を行うことが、前記CNS作用薬物による処置の後で行われる、請求項41に記載のコンジュゲート、または請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記コンジュゲートは、前記CNS作用薬物との併用で、認知機能の改善を必要としている対象に投与される、請求項43に記載のコンジュゲートまたは使用。
【請求項45】
前記コンジュゲートは、前記CNS作用薬物の代わりに、認知機能の改善を必要としている対象に投与される、請求項44に記載のコンジュゲートまたは使用。
【請求項46】
前記CNS作用薬物は前記コンジュゲートであり、ただし、前記コンジュゲートを前記評価の後で投与することが、対象の認知機能を改善するために十分である投薬量および療法を使用して前記コンジュゲートを投与することを含む、請求項43に記載のコンジュゲートまたは使用。
【請求項47】
対象は、統合失調症または他の精神医学的障害の家族歴を有しており、かつ、そのような評価は、統合失調症または他の精神医学的障害の症状が現れる前に行われる、請求項41に記載のコンジュゲート、または請求項42に記載の使用。
【請求項48】
必要とする対象において統合失調症に伴う認知障害を処置することにおいて使用されるための、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩。
【請求項49】
必要とする対象において統合失調症に伴う認知障害を処置するための医薬品を製造することにおける、GABAアゴニスト活性を有する第1の成分と、前記第1の成分に共有結合により連結されている、CNS活性を有する第2の成分とを含むコンジュゲート、または、前記コンジュゲートの医薬的に許容され得る塩の使用。
【請求項50】
前記コンジュゲートはペルフェナジン4−アミノブチラートまたはその医薬的に許容され得る塩である、請求項48に記載のコンジュゲート、または請求項49に記載の使用。
【請求項51】
前記コンジュゲートは前記ペルフェナジン4−アミノブチラートのトリメシラート塩または三塩酸塩である、請求項50に記載のコンジュゲートまたは使用。
【請求項52】
前記コンジュゲートは1日に1回投薬される、請求項50に記載のコンジュゲートまたは使用。
【請求項53】
前記コンジュゲートは1日あたり約25mg〜約35mgの用量で与えられる、請求項51に記載のコンジュゲートまたは使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−513600(P2013−513600A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542686(P2012−542686)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際出願番号】PCT/IL2010/001041
【国際公開番号】WO2011/070579
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(507402749)バイオラインアールエックス リミテッド (4)
【出願人】(503437093)バル−イラン ユニバーシティ (6)
【出願人】(501177609)ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL AVIV UNIVERSITY LTD.
【Fターム(参考)】