説明

認知機能減少の治療のためのゲノム試験およびケトン体生成化合物の使用

本発明は、遺伝子型決定を使用して、ニューロン代謝減少に関与する認知機能減少、例えばアルツハイマー病を治療するのに有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる化合物を用いた治療のために、患者を選択する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、認知機能減少に関する治療のために患者を選択する方法であって、前記治療が、認知機能減少の治療に有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を患者に投与する工程を含む、前記方法に関する。認知機能減少は、年齢関連記憶障害(AAMI)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、フリードライヒ失調症(FRDA)、GLUT1不全癲癇、妖精症、およびラブソン−メンデンホール症候群、冠動脈バイパス移植片(CABG)痴呆症、麻酔誘導性記憶障害、ハンチントン病、および多くのその他のものと関連する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病
[0002]アルツハイマー病(AD)は、主に高齢者が罹患する進行性神経変性障害である。1984年、BlassおよびZemcov(BlassおよびZemcov 1984)は、ADが、コリン作動性ニューロンの下位集団における代謝速度減少から生じると提唱した。大脳グルコース代謝を測定すると、ADではグルコース代謝が20〜40%減少した結果、ATPが決定的に低レベルになっていることが示される。
【0003】
[0003]ADにおける大脳代謝速度の減少を補填する試みがある程度成功してきている。AD患者において血清ケトン体レベルを上昇させると、認知スコア(Reger, Hendersonら 2004)およびUSPが上昇する。
【0004】
パーキンソン病(PD)
[0004]パーキンソン病(PD)は、進行性神経変性障害であり、アルツハイマー病に続く二番目に一般的な神経変性疾患である。PDの罹患率は、米国人口全体の0.3パーセントと概算され、そして85歳以上では4〜5パーセントの罹患率である。PDは、振戦、筋肉の硬さ、随意運動の欠如、および姿勢の不安定を含む、運動異常によって特徴付けられる。PDの主な神経病理学的特徴は、黒質緻密部(SNpc)におけるドーパミン作動性ニューロンの減少および残存ドーパミン作動性ニューロンにおける好酸球性細胞質内包含体(レビー小体)の存在である。
【0005】
[0005]したがって、PDのためのより有効な治療に関する、そして特に神経保護性の治療に関する必要性がある。
[0006]孤発性PDの原因は明らかでないが、いくつかの系統の証拠によって、酸化的リン酸化における欠陥がその病因に寄与しうることが示唆される。例えば、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)は、ミトコンドリア電子伝達系の複合体I(NADH−ユビキノン酸化還元酵素)を遮断し、そしてドーパミン作動性ニューロンの減少およびPDの典型的な症状を引き起こす。複合体I活性の減少はまた、PD組織においても報告されてきている。この欠陥は、脳だけに限定されるのではなく、PD患者由来の血小板でもまた見られている。
【0006】
[0007]D−ベータ−ヒドロキシブチレート(BHB)は、肝細胞によって、そしてより少ない度合いで星状膠細胞によって産生されるケトン体である。BHBは、飢餓中など、グルコース供給が限定されている際に、脳におけるエネルギーの代替供給源として作用する。BHBは、酸化的リン酸化を増進することによって、MPTP関連複合体I阻害から保護することが見出されてきている(Tieu, 2003)。
【0007】
フリードライヒ失調症(FRDA)
[0008]FRDAは、進行性失調症、肥大型心筋症、インスリン抵抗性糖尿病の早期発症、病弱、および早世によって特徴付けられる劣性遺伝病である。FRDAは、核にコードされる210アミノ酸のミトコンドリア・タンパク質であるフラタキシンの不全によって引き起こされる遺伝病である。タンパク質が低レベルとなるのは、イントロンGAA反復の拡大のためであり、これがmRNAレベルの減少につながる。FRDA患者は、ミトコンドリア酵素アコニターゼ活性の減少を示す。アコニターゼは、クエン酸塩のイソクエン酸塩への変換に関与し、これはクレブス(クエン酸またはTCAサイクルとしても知られる)の最初の工程である。ヒト患者におけるフラタキシン不全は、主に、TCAサイクル中の欠陥を導くと考えられる。
【0008】
[0009]最近の研究によって、空腹に対する正常な反応である血中ケトン体上昇は、ミトコンドリア・クエン酸塩およびイソクエン酸塩レベルを増加させ、こうしてFRDAで見られるアコニターゼの遮断を克服しうることが示されている。ケトン体に基づく療法は、このグループの患者に有効な治療を提供しうる。
【0009】
GLUT1不全癲癇
[0010]GLUT1不全癲癇は、乳児性発作、発達遅延、および精神遅滞を伴う後天性小頭症によって特徴付けられる。GLUT−1不全癲癇は、GLUT1遺伝子におけるいくつかのタイプの突然変異から生じる。グルコース輸送体1(GLUT1)は、血流から脳内へのグルコースの輸送に関与する主なタンパク質である。標準的食餌条件下では、脳は、エネルギーに関して、血中グルコースにほぼ完全に依存する。しかし、飢餓などのいくつかの状況下では、ケトン体が、グルコースとは異なるエネルギー供給源を提供しうる。ケトン体は、脳内への輸送に関して、GLUT1には依存せず、そしてしたがって、GLUT1不全症候群において、エネルギーを提供しうる。したがって、ケトン体療法は、これらの患者の生涯にわたる治療のための実用的な方法となりうる。
【0010】
妖精症およびラブソン−メンデンホール症候群
[0011]妖精症およびラブソン−メンデンホール症候群は、インスリン抵抗性、持続性高血糖および成長遅滞によって特徴付けられる稀な疾患である。患者は20歳を超えて生存することは稀である。これらの症候群は、インスリンに対する受容体アフィニティを低下させる、インスリン受容体遺伝子中の突然変異から生じる。現在の治療は、増加する用量のインスリン(1日あたり最大数千単位)の投与からなる。この治療は、インスリンがその受容体にほとんど結合しないため、弱い結果しか生じない。ケトン体は、PDH多酵素複合体のインスリン刺激の効果を模倣し、それによって、クレブスTCAサイクル代謝産物レベルを増加させ、ATPの形でのエネルギー出力を増加させ、そして代謝効率を増進させることが示されてきている。ケトンが豊富であるか、またはケトン体生成性である食餌は、これらの状態の有効な治療であることが証明されうる。
【0011】
年齢関連記憶障害
[0012]加齢は、記憶能力を含めて、正常な成人における生理学の多様な側面の悪化を引き起こす。認知能力におけるこうした年齢関連減退は、医師によって以前から認識されてきている。高齢者における記憶能力の障害は、ウェクスラー記憶尺度(WMS)ならびに即時および遅延視覚再生試験(Trahanら Neuropsychology, 1988 19(3) p.173−89)、レイ聴覚言語学習試験(RAVLT)(Ivnik, R.J.ら Psychological Assessment: A Journal of Consulting and Clinical Psychology, 1990(2): p.304−312)、およびその他(概説に関しては、LarrabeeおよびCrook, Int. Psychogeriatr, 1994 6(1): p.95−104を参照されたい)を含む、いくつかの標準的記憶試験において検出されてきている。
【0012】
他の疾患および症候群
[0013]非常に多くの他の疾患および症候群が、代謝減少と関連づけられている。こうした状態には、冠動脈バイパス移植片(CABG)痴呆症、麻酔誘導性記憶喪失、ハンチントン病および多くのその他のものが含まれる。代謝介入がこうした苦痛に苦しむ人々を助けうることが明らかである。
【0013】
[0014]したがって、当該技術分野には、特にヒトなどの加齢または老齢哺乳動物において、認知障害の治療および/または防止のための組成物および方法を開発する必要性がある。
【0014】
[0015]特許、公開出願、技術論文および学術論文を含む多様な刊行物が本明細書全体で引用される。これらの引用される刊行物は各々、その全体が本明細書に援用される。本明細書に言及されるこれらの特許および出願の部分的リストには、例えば、USSN 60/953,074、“Genomic testing in Alzheimer’s disease and other diseases associated with reduced neuronal metabolism”、2007年7月31日出願; USSN 60/917,886、“Inhibitors of Acetyl−CoA Carboxylase for Treatment of Hypometabolism”、2007年5月14日出願; USSN 11/123,706、“Method for Reducing Levels of Disease Associated Proteins”、2005年5月3日出願; USSN 11/424,429、“Method To Reduce Oxidative Damage And Improve Mitochondrial Efficiency”、2006年6月15日出願; USSN 10/546,976、“Novel−Chemical Entities and Methods for their Use in Treatment of Metabolic Disorders”、2005年8月25日出願; USSN 09/845,741、2001年5月1日出願; USSN 10/152,147、2004年12月28日出願、現USPN 6,835,750; USSN 11/021,920、2004年12月22日出願; USSN 11/331,673、2006年1月13日出願; USSN 11/611,114、2006年12月14日出願;およびUSSN 11/771,431、2007年6月29日出願が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】USSN 60/953,074
【特許文献2】USSN 60/917,886
【特許文献3】USSN 11/123,706
【特許文献4】USSN 11/424,429
【特許文献5】USSN 10/546,976
【特許文献6】USSN 09/845,741
【特許文献7】USSN 10/152,147、現USPN 6,835,750
【特許文献8】USSN 11/021,920
【特許文献9】USSN 11/331,673
【特許文献10】USSN 11/611,114
【特許文献11】USSN 11/771,431
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Trahanら Neuropsychology, 1988 19(3) p.173−89
【非特許文献2】Ivnik, R.J.ら Psychological Assessment: A Journal of Consulting and Clinical Psychology, 1990(2): p.304−312
【非特許文献3】LarrabeeおよびCrook, Int. Psychogeriatr, 1994 6(1): p.95−104
【発明の概要】
【0017】
[0016]1つの態様において、本発明は、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少を有するかまたは有するリスクがある患者を選択し、患者において:配列番号3に示す相当する部分での、インスリン分解酵素(IDE)rs2551101のC/Tに関するヘテロ接合性、配列番号3に示す相当する部分での、IDE rs2551101のC/Cに関するホモ接合性の非存在、配列番号21に示す相当する部分での、アポリポタンパク質E(APOE)rs405509のA/Cに関するヘテロ接合性、配列番号18に示す相当する部分での、ブチリルコリン・エステラーゼ(BUCHE)rs1803274のG/Aに関するヘテロ接合性、配列番号6に示す相当する部分での、インスリン様増殖因子受容体前駆体(IGF1R)rs2229765のアデニンに関するホモ接合性、配列番号9に示す相当する部分での、インターロイキン−1ベータ(IL1B)rs1143627のチミンに関するホモ接合性、配列番号10に示す相当する部分での、IL1B rs16944のシトシンに関するホモ接合性、配列番号24に示す相当する部分での、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)rs2738447のシトシンに関するホモ接合性、配列番号25に示す相当する部分での、LDLR rs7259278のグアニンに関するホモ接合性、および配列番号15に示す相当する部分での、LDLR rs1799898のシトシンに関するホモ接合性を含む特定の遺伝子型の少なくとも1つの存在を決定し;そして治療のために、特定の遺伝子型の少なくとも1つを有する患者を選択する、ここで、治療は、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少の治療または防止に有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を患者に投与する方法を含む。
【0018】
[0017]別の態様において、本発明には、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少のための治療法が含まれる。この方法には、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少を有するかまたはそのリスクがある患者を選択し、そして患者において:配列番号3に示す相当する部分での、インスリン分解酵素(IDE)rs2551101のC/Tに関するヘテロ接合性、配列番号3に示す相当する部分での、IDE rs2551101のC/Cに関するホモ接合性の非存在、配列番号21に示す相当する部分での、アポリポタンパク質E(APOE)rs405509のA/Cに関するヘテロ接合性、配列番号18に示す相当する部分での、ブチリルコリン・エステラーゼ(BUCHE)rs1803274のG/Aに関するヘテロ接合性、配列番号6に示す相当する部分での、インスリン様増殖因子受容体前駆体(IGF1R)rs2229765のアデニンに関するホモ接合性、配列番号9に示す相当する部分での、インターロイキン−1ベータ(IL1B)rs1143627のチミンに関するホモ接合性、配列番号10に示す相当する部分での、IL1B rs16944のシトシンに関するホモ接合性、配列番号24に示す相当する部分での、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)rs2738447のシトシンに関するホモ接合性、配列番号25に示す相当する部分での、LDLR rs7259278のグアニンに関するホモ接合性、および配列番号15に示す相当する部分での、LDLR rs1799898のシトシンに関するホモ接合性を含む特定の遺伝子型の少なくとも1つの存在を決定する工程が含まれてもよい。方法にはさらに、特定の遺伝子型の少なくとも1つを有する患者に、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少の治療または防止に有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を投与する工程が含まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】[0018]図1は、治療誘導性ADAS−Cog変化に対するIDEおよびAPOE多型間の相互作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0019]ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少に関する治療のために、患者を選択するのに、特定の多型が有用でありうることが本発明の新たな見識であり、ここで治療は、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を患者に投与する工程を含む。特定の多型が「応答者」、すなわち、ケトン体濃度を増加させうる化合物の投与を含む治療法が有効性と関連する患者集団と関連する。本発明にやはり含まれるのは、特定の多型に関して患者を試験し、そして特定の多型の存在に基づいて治療のために患者を選択する工程を含む、認知機能減少を有する患者を治療する方法である。
【0021】
[0020]1つの態様において、本発明は、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少を有するかまたは有するリスクがある患者を選択し、患者において:配列番号3に示す相当する部分での、インスリン分解酵素(IDE)rs2551101のC/Tに関するヘテロ接合性、配列番号3に示す相当する部分での、IDE rs2551101のC/Cに関するホモ接合性の非存在、配列番号21に示す相当する部分での、アポリポタンパク質E(APOE)rs405509のA/Cに関するヘテロ接合性、配列番号18に示す相当する部分での、ブチリルコリン・エステラーゼ(BUCHE)rs1803274のG/Aに関するヘテロ接合性、配列番号6に示す相当する部分での、インスリン様増殖因子受容体前駆体(IGF1R)rs2229765のアデニンに関するホモ接合性、配列番号9に示す相当する部分での、インターロイキン−1ベータ(IL1B)rs1143627のチミンに関するホモ接合性、配列番号10に示す相当する部分での、IL1B rs16944のシトシンに関するホモ接合性、配列番号24に示す相当する部分での、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)rs2738447のシトシンに関するホモ接合性、配列番号25に示す相当する部分での、LDLR rs7259278のグアニンに関するホモ接合性、および配列番号15に示す相当する部分での、LDLR rs1799898のシトシンに関するホモ接合性を含む特定の遺伝子型の少なくとも1つの存在を決定し;そして治療のために、特定の遺伝子型の少なくとも1つを有する患者を選択する、ここで、治療は、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少の治療または防止に有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を患者に投与する方法を含む。
【0022】
[0021]別の態様において、本発明には、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少のための治療法が含まれる。この方法には、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少を有するかまたはそのリスクがある患者を選択し、そして患者において:配列番号3に示す相当する部分での、インスリン分解酵素(IDE)rs2551101のC/Tに関するヘテロ接合性、配列番号3に示す相当する部分での、IDE rs2551101のC/Cに関するホモ接合性の非存在、配列番号21に示す相当する部分での、アポリポタンパク質E(APOE)rs405509のA/Cに関するヘテロ接合性、配列番号18に示す相当する部分での、ブチリルコリン・エステラーゼ(BUCHE)rs1803274のG/Aに関するヘテロ接合性、配列番号6に示す相当する部分での、インスリン様増殖因子受容体前駆体(IGF1R)rs2229765のアデニンに関するホモ接合性、配列番号9に示す相当する部分での、インターロイキン−1ベータ(IL1B)rs1143627のチミンに関するホモ接合性、配列番号10に示す相当する部分での、IL1B rs16944のシトシンに関するホモ接合性、配列番号24に示す相当する部分での、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)rs2738447のシトシンに関するホモ接合性、配列番号25に示す相当する部分での、LDLR rs7259278のグアニンに関するホモ接合性、および配列番号15に示す相当する部分での、LDLR rs1799898のシトシンに関するホモ接合性を含む特定の遺伝子型の少なくとも1つの存在を決定する工程が含まれてもよい。方法にはさらに、特定の遺伝子型の少なくとも1つを有する患者に、ニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能減少の治療または防止に有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を投与する工程が含まれてもよい。
【0023】
[0022]特定の遺伝子型に関する患者の試験を、当該技術分野に一般的に知られる方法によって行ってもよい。具体的には、関心対象の特定の遺伝子型に基づいて、適切なプライマーを選択することが当業者にはルーチンである。プライマー設計には、指針のための多くのオンラインツール、例えば、<frodo.wi.mit.edu>で入手可能な、ターゲティングされたDNA配列を検出するのに適したプライマーの選択を可能にするアルゴリズムPrimer3(v.0.4.0)が存在する。
【0024】
[0023]プライマーを選択したら、EDTA抗凝固処理静脈血からゲノムDNAを抽出することによってDNA抽出を実行してもよく、これは製造者の指示にしたがった、QIA−amp血液DNAミニ試薬セット(Qiagen)などの当該技術分野に知られる方法によって達成可能である。特定の多型を検出するため、適切に設計されたプライマーセットを用い、当該技術分野に知られる方法を用いて、関心対象の多型を含有する領域を増幅してもよい。ABI PRISM BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready ReactionキットおよびABI PRISM 377 DNA配列決定装置(Applied Biosystems、米国カリフォルニア州フォスターシティ)などの当該技術分野に知られる製品を用いて、PCR産物を直接配列決定することによって、遺伝子型決定を解明してもよい。
【0025】
[0024]1つの態様において、遺伝子型は、インスリン分解酵素(IDE)のIDE_7としても知られる、SNP IDE rs2251101に関するヘテロ接合性(C/T)を含む。別の態様において、遺伝子型は、インスリン分解酵素(IDE)のIDE_7としても知られる、SNP rs2251101のC/Cに関するホモ接合性の非存在を含む。IDE(HGNCシンボルID)。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバー:CCDS7421である。Ensenbl遺伝子ID:ENSG00000119912。ゲノム位置:この遺伝子は、第10番染色体の位置94,201,421−94,323,813に見出されうる。この遺伝子の開始位置は、Contig AL356128.27.1.191935である。説明:インスリン分解酵素(EC 3.4.24.56)(インスリジン)(インスリナーゼ)(インスリンプロテアーゼ)。供給源:Uniprot/SWISSPROT P14735。配列番号3は、SNP rs2251101の多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0026】
[0025]別の態様において、遺伝子型は、インスリン様増殖因子I受容体前駆体(IGFR−1)のrs2229765のAに関するヘテロ接合性を含む。IGF1R(HGNCシンボルID)。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバー:CCDS10378である。Ensembl遺伝子ID:ENSG00000140443。ゲノム位置:この遺伝子は、第15番染色体の位置97,010,302−97,319,034に見出されうる。この遺伝子の開始位置は、Contig AC118658.4.1.168727である。説明:インスリン様増殖因子1受容体前駆体(EC 2.7.10.1)(インスリン様増殖因子I受容体)(IGF−I受容体)(CD221抗原)[インスリン様増殖因子1受容体アルファ鎖;インスリン様増殖因子1受容体ベータ鎖を含有する]。供給源:Uniprot/SWISSPROT P08069。配列番号6は、SNP rs2229765の多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0027】
[0026]別の態様において、遺伝子型は、IL1B rs1143627のTに関するホモ接合性である。別の態様において、遺伝子型は、IL1B rs 16944のCに関するホモ接合性である。IL1B(HGNCシンボルID)。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバーCCDS2102であり、Ensembl遺伝子IDはENSG00000125538である。この遺伝子は、第2番染色体の位置113,303,808−113,310,827に見出されうる。この遺伝子の開始位置は、Contig AC079753.7.1.154214である。説明はインターロイキン−1ベータ前駆体(IL−1ベータ)(カタボリン)である。供給源:Uniprot/SWISSPROT P01584。Rs1143627はC/T置換であり、そして配列番号9は、このSNPの配置を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。rs16944(dbSNP125)はA/G置換であり、そして配列番号10は、このSNPの多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0028】
[0027]別の態様において、遺伝子型は、LDLR rs2738447のCに関するホモ接合性である。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバー:CCDS12254であり、Ensembl遺伝子IDはensg00000130164である。この遺伝子は、第19番染色体の位置11,061,155−11,103,838に見出されることも可能であり、そしてこの遺伝子の開始位置は、Contig AC011485.6.1.128618である。説明は、低密度リポタンパク質受容体前駆体(LDL受容体)である。供給源:Uniprot/SWISSPROT P01130。配列番号24は、このSNPの多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0029】
[0028]別の態様において、遺伝子型は、LDLR rs7259278のGに関するホモ接合性である。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバー:CCDS12254であり、Ensembl遺伝子IDはensg00000130164である。この遺伝子は、第19番染色体の位置11,061,155−11,103,838に見出されることも可能であり、そしてこの遺伝子の開始位置は、Contig AC011485.6.1.128618である。説明は、低密度リポタンパク質受容体前駆体(LDL受容体)である。供給源:Uniprot/SWISSPROT P01130。配列番号25は、このSNPの多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0030】
[0029]別の態様において、遺伝子型は、LDLRrs1799898のCに関するホモ接合性である。LDLR(HGNCシンボルID)。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバー:CCDS12254であり、Ensembl遺伝子IDはensg00000130164である。この遺伝子は、第19番染色体の位置11,061,155−11,103,838に見出されることも可能であり、そしてこの遺伝子の開始位置は、Contig AC011485.6.1.128618である。説明は、低密度リポタンパク質受容体前駆体(LDL受容体)である。供給源:Uniprot/SWISSPROT P01130。配列番号15は、SNP rs1799898の多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0031】
[0030]別の態様において、遺伝子型は、ブチリルコリンエステラーゼ(BUCHE)K変異体rs1803274のG/Aに関するヘテロ接合性である。BCHE(HGNCシンボルID)。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバーCCDS3198である。Ensembl遺伝子IDはENS00000114200である。この遺伝子は、第3番染色体の位置166,973,387−167,037,944に見出されることも可能である。この遺伝子の開始位置は、Contig AC009811.14.1.171083である。コリンエステラーゼ前駆体(EC 3.1.1.8)(アシルコリンアシルヒドロラーゼ)(コリンエステラーゼII)(ブチリルコリンエステラーゼ)(シュードコリンエステラーゼ)。供給源:Uniprot/SWISSPROT P06276。配列番号18は、SNP rs1803274の多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0032】
[0031]別の態様において、遺伝子型は、アポリポタンパク質E(APOE)プロモーター変異体rs405509のA/Cに関するヘテロ接合性である。Rs405509は−219変異体であり、そしてA/Cアレルを有する。APOE(HGNCシンボルID)。この遺伝子は、ヒトCCDSセットのメンバー:CCDS12647である。Ensemble遺伝子IDはENSG00000130203である。この遺伝子は、第19番染色体の位置50,100,879−50,104,489に見出されることも可能である。この遺伝子の開始位置は、Contig AC011481.4.1.107567である。アポリポタンパク質E前駆体(Apo−E)。供給源:Uniprot/SWISSPROT P02649。配列番号21は、SNP rs405509の多型を同定するこの遺伝子の選択された部分を示す。
【0033】
[0032]本明細書において、ニューロン代謝減少は、ニューロン代謝の減少を導きうるすべてのありうる機構を指す。こうした機構には、限定されるわけではないが、ミトコンドリア機能不全、フリーラジカルの攻撃、活性酸素種(ROS)の生成、ROS誘導性ニューロンアポトーシス、グルコース輸送または解糖の欠陥、膜イオンポテンシャルの不均衡、カルシウム流動の機能不全等が含まれる。別の態様において、患者は、ニューロン代謝減少によって引き起こされる疾患関連認知機能減少、例えばアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、フリードライヒ失調症(FRDA)、GLUT1不全癲癇、妖精症、およびラブソン−メンデンホール症候群、冠動脈バイパス移植片(CABG)痴呆症、麻酔誘導性記憶障害、ハンチントン病、および多くの他のものと関連する認知機能減少を発展させるかまたは発展させるリスクがある。
【0034】
[0033]本発明にしたがって、高い血中ケトンレベルは、グルコース代謝が損なわれている脳細胞のためにエネルギー供給源を提供し、認知機能における能力改善を導くであろう。本明細書において、「患者」は、ニューロン代謝減少から生じる疾患および状態の治療から利益を得る可能性がある、ヒトを含む任意の哺乳動物を指す。
【0035】
[0034]1つの態様において、哺乳動物の体内でケトン体濃度を上昇させうる化合物には、「中鎖トリグリセリド」または「MCT」が含まれ、これは、各々5〜12炭素の炭素鎖を有する3つの脂肪酸分子にエステル連結された、任意のグリセロール分子を指す。MCTは、以下の一般式:
【0036】
【化1】

【0037】
式中、R1、R2およびR3は、グリセロール主鎖にエステル化されている、炭素主鎖中に5〜12炭素を有する脂肪酸である
によって示されうる。直接エステル化、再編成、分画、エステル交換などの当該技術分野に知られる任意のプロセスによって、本発明の構造化脂質を調製してもよい。例えば、ココナツ油などの植物油の再編成によって、脂質を調製してもよい。鎖長の長さおよび分布は、供給源油に応じて多様でありうる。例えば、ヤシ油およびココナツ油からは、1〜10%のC6、30〜60%のC8、30〜60%のC10、1〜10%のC10を含有するMCTが一般的に得られる。オクタン酸のグリセリンへの半合成エステル化によって、R1、R2およびR3に、約95%より多いC8を含有するMCTを作製可能である。こうしたMCTは、同様に振る舞い、そして本明細書において、用語MCT内に含まれる。
【0038】
[0035]MCTは、5〜12炭素の間の鎖長を含む脂肪酸で構成され、そして大々的に研究されてきている。MCTは、より一般的な長鎖トリグリセリド(LCT)とは異なって代謝される。特に、LCTと比較した際、MCTは、より容易に消化されて、中鎖脂肪酸(MCFA)を遊離させ、MCFAは門脈吸収速度の増加を示し、そして偏性酸化(obligate oxidation)を経る。MCFAは、長鎖脂肪酸(LCFA)よりはるかに低い融点を有し、そしてしたがって、MCFAおよび対応するMCTは室温では液体である。MCFAは、LCFAに比較して、より小さく、そして生理学的pHでよりイオン化され、そしてしたがって、MCFAは、水溶液中ではるかにより可溶性である。MCTのサイズが小さくそして疎水性が減少しているため、LCTに比較してMCTの消化速度および吸収は増加している。
【0039】
[0036]摂取された際、MCTはまず、リパーゼによってプロセシングされ、リパーゼはグリセロール主鎖から脂肪酸鎖を切断する。十二指腸前のいくつかのリパーゼは、LCTよりもMCTを優先的に加水分解し、そして遊離したMCFAは次いで、一部、胃粘膜によって直接吸収される。胃で吸収されないMCFAは、門脈内に直接吸収され、そしてリポタンパク質内にパッケージングされない。通常の食餌脂肪に由来するLCFAは、LCTに再エステル化されて、そしてリンパ中の輸送のため、カイロミクロン内にパッケージングされる。これは、MCTに比較してLCTの代謝を非常に遅延させる。血液輸送は、リンパよりもはるかに迅速であるため、MCFAは肝臓に迅速に到達する。
【0040】
[0037]肝臓において、MCFAは偏性酸化を経る。摂食状態では、LCFAは肝臓ではほとんど酸化されず、これは主に、マロニル−CoAの阻害効果のためである。条件が脂肪貯蔵を支持する場合、マロニル−CoAは、脂質生合成の中間体として産生される。マロニル−CoAは、カルニチン・パルミトイルトランスフェラーゼIをアロステリックに阻害し、そしてそれによってミトコンドリア内へのLCFA輸送を阻害する。このフィードバック機構によって、脂質分解および脂質生合成の無益なサイクルが防止される。MCFAは、大体において、LCFAの酸化を調節する制御に対して影響されない。MCFAは、カルニチン・パルミトイルトランスフェラーゼIを使用せずにミトコンドリアに進入し、したがって、MCFAは、この制御工程を迂回して、そして生物の代謝状態に関わらず酸化される。重要なことに、MCFAは迅速に肝臓に進入し、そして迅速に酸化されるため、MCFAから大量のケトン体が容易に産生され、そしてMCTの大経口用量(およそ20mL)は、持続する高ケトン血を生じるであろう。ケトン体生成食餌の背景で、外部からMCTを投与してもよいことが、本発明者の新たな見識である。したがって、本発明において、炭水化物をMCTと同時に消費してもよい。
【0041】
[0038]「有効量」は、本明細書において、特定の生物学的結果を達成するのに有効な化合物、物質、または組成物の量を指す。少なくとも1つの神経心理学的試験由来の改善された結果によって、前述の条件の治療に関する有効性を評価してもよい。これらの神経心理学的試験は当該技術分野に知られ、そしてとりわけ、変化の臨床全般印象(CGIC)、レイ聴覚言語学習試験(RAVLT)、姓名関連試験(FLN)、電話ダイアル試験(TDT)、記憶評価クリニック自己採点尺度(MAC−S)、記号数字コーディング(SDC)、SDC遅延想起課題(DRT)、分割注目試験(DAT)、視覚的配列比較(VSC)、DAT二重課題(DAT二重)、小規模精神状態検査(MMSE)、および老年抑鬱尺度(GDS)が含まれる。
【0042】
[0039]用語「認知機能」は、限定なしに、以下の少なくとも1つを含む、脳の特別な、通常の、または適切な生理学的活性を指す:精神安定性、記憶/想起能力、問題解決能力、推論能力、思考能力、判断能力、学習、知覚、直感、注意、および認識の能力。「認知機能増進」または「認知機能改善」は、当該技術分野において適切な任意の手段によって測定されるような、限定なしに、以下の少なくとも1つを含む、脳の特別な、通常の、または適切な生理学的活性の任意の改善を指す:精神安定性、記憶/想起能力、問題解決能力、推論能力、思考能力、判断能力、学習、知覚、直感、注意、および認識の能力。「認知機能減少」または「認知機能障害」は、脳の特別な、通常の、または適切な生理学的活性のいかなる減退も指す。
【0043】
[0040]投与は、必要に応じて、または望ましいようにであってもよく、例えば毎月1回、毎週1回、毎日、または1日1回より多くてもよい。同様に、投与は、1日おき、1週おき、または1ヶ月おき、3日おき、3週おき、または3ヶ月おき、4日おき、4週おき、または4ヶ月おきなどであってもよい。投与は1日あたり多数回であってもよい。日常の食餌要求に対する栄養補助食品として利用する場合、患者に直接組成物を投与してもよいし、あるいは毎日の食事または食料と別の方式で接触させるかまたは混合してもよい。
【0044】
[0041]また、定期的に、例えば患者における治療措置の一部として、投与を行ってもよい。治療措置は、患者において認知機能、記憶、および行動を増進させるのに有効な量で、本発明の組成物の患者による定期的な摂取を引き起こす工程を含んでもよい。定期的な摂取は、1日1回、または1日2回、3回、4回、またはそれより多く、毎日あるいは毎週であってもよい。同様に、定期的な投与は、1日おきまたは1週おき、3日おきまたは3週おき、4日おきまたは4週おき、5日おきまたは5週おき、あるいは6日おきまたは6週おきであってもよく、そしてこうした措置において、投与は1日あたり多数回であってもよい。定期的投与の目的は、本明細書に例示するような本発明の組成物の最適用量を、患者に提供することである。
【0045】
[0042]本明細書に提供する組成物は、1つの態様において、「長期」消費が意図され、これは本明細書において、ときに「延長された」期間と称される。「長期」投与は、本明細書において、一般的に、1ヶ月を超える期間を指す。2ヶ月、3ヶ月、または4ヶ月より長い期間が、本発明の1つの態様を構成する。やはり含まれるのは、5、6、7、8、9、または10ヶ月より長い期間を含む、より延長された期間を含む態様である。11ヶ月または1年を超える期間もまた含まれる。1、2、3年またはそれより長い年数に渡って延長される、より長期間の使用もまた、本明細書に意図される。「定期的に」は、本明細書において、少なくとも毎週の、組成物の投薬または消費を指す。週2回または3回などのより頻繁な投薬または消費が含まれる。やはり含まれるのは、少なくとも1回の毎日の消費を含む措置である。当業者は、ケトン体、または特定のケトン体の達成された血中レベルが、投薬頻度の有益な測定値でありうることを認識するであろう。本明細書に明らかに例示されているかどうかにかかわらず、測定される化合物の血中レベルが、許容されうる範囲内に維持されることを可能にするいかなる頻度も、本明細書において有用と見なされうる。当業者は、投薬頻度が、消費されるかまたは投与される組成物の関数であり、そしていくつかの組成物は、測定される化合物(例えばケトン体)の所望の血中レベルを維持するために、より多いまたはより少ない頻度の投与を必要としうることを認識するであろう。
【0046】
[0043]1つの態様において、方法は、R1、R2、およびR3が、6炭素主鎖を含有する脂肪酸であるMCT(トリ−C6:0)の使用を含む。トリ−C6:0 MCTは、多くの動物モデル系において、胃腸管によって非常に迅速に吸収される。高速の吸収は、肝臓の迅速な灌流、そして強力なケトン体生成反応を生じる。別の態様において、方法は、R1、R2、およびR3が、8炭素主鎖を含有する脂肪酸であるMCT(トリ−C8:0)の使用を含む。別の態様において、方法は、R1、R2、およびR3が、10炭素主鎖を含有する脂肪酸であるMCT(トリ−C10:0)の使用を含む。別の態様において、方法は、R1、R2、およびR3が、C8:0およびC10:0脂肪酸の混合物であるMCTの使用を含む。別の態様において、方法は、R1、R2、およびR3が、C6:0、C8:0、C10:0、およびC12:0脂肪酸の混合物であるMCTの使用を含む。別の態様において、MCTのR1、R2およびR3炭素鎖の95%より多くが、長さ8炭素である。さらに別の態様において、R1、R2およびR3炭素鎖は、6炭素または10炭素鎖である。別の態様において、MCTのR1、R2およびR3炭素鎖の50%が長さ8炭素であり、そしてMCTのR1、R2およびR3炭素鎖の約50%が長さ約10炭素である。さらに、乳化によって、MCTの利用を増加させてもよい。脂質乳化は、リパーゼによる作用のための表面積を増加させ、MCFAのより迅速な加水分解および遊離を生じる。これらのトリグリセリドの乳化法は、当業者に周知である。
【0047】
[0044]1つの態様において、方法は、長さ6、8、10および12炭素鎖のMCFAまたは上記の混合物の使用を含む。
[0045]療法剤の療法的に有効な量は、所望の効果を達成するのに十分な任意の量または用量であってもよく、そして部分的に、状態の重症度および病期、患者のサイズおよび状態、ならびに当業者に容易に知られる他の要因に応じる。本明細書の別の箇所で考察されるように、単回用量として、または例えば数週間の経過に渡って分割された数回の用量として、投薬量を投与してもよい。
【0048】
[0046]1つの態様において、ケトン体生成化合物を経口投与する。別の態様において、ケトン体生成化合物を静脈内投与する。MCTの経口投与、ならびに静脈内MCTおよび他のケトン体生成化合物溶液の他のケトン体生成化合物調製は、当業者に周知である。
【0049】
[0047]1つの態様において、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物、例えばMCTまたはMCFAを含む組成物の経口および/または静脈内投与は、高ケトン血を生じる。高ケトン血の結果、1つの態様において、グルコースの存在下においてさえ、脳におけるエネルギーのため、ケトン体が利用される。さらに、高ケトン血は、大脳血流の実質的な(39%)増加を生じる(Hasselbalch, S.G.ら, Changes in cerebral blood flow and carbohydrate metabolism during acute hyperketonemia, Am J Physiol, 1996, 270:E746−51)。高ケトン血は、正常なヒトにおける全身低血糖と関連する認知機能不全を減少させることが報告されてきている(Veneman, T.ら, Effect of hyperketonemia and hyperlacticacidemia on symptoms, cognitive dysfunction, and counterregulatory hormone responses during hypoglycemia in normal humans, Diabetes, 1994, 43:1311−7)。全身低血糖が、AD、AAMI等の任意の疾患または年齢関連認知減退で起こるグルコース代謝の局所欠陥とは異なることに留意されたい。
【0050】
[0048]すべての態様において、本発明は、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を含む主題組成物を提供する。こうした化合物はまた、集合的に、ケトン体前駆体化合物またはケトン体生成化合物とも称される。こうした化合物には、例えば、MCT、MCFA、およびケトン体のプロドラッグ、代謝前駆体等が含まれる。例えば、1つの態様において、体内のケトン体濃度を上昇させうる化合物には、レシピエント宿主によって、代謝的に主題化合物に変換されうる、1以上のプロドラッグが含まれる。本明細書において、プロドラッグは、体内で化学的転換を経た後、薬理学的活性を示す化合物である。プロドラッグの変換が、ケトン体の形成を直接生じる場合には、プロドラッグはまた、代謝前駆体とも称されうる。MCTおよびMCFAはまず、アセチル−CoAに酸化され、次いで、ケトン体に合成される前に、いくつかの工程を経なければならない。ケトン体前駆体化合物の種類には、以下に記載する化合物が含まれる。1つの態様において、AD、AAMI等の任意の疾患または年齢関連認知減退の発生を治療し、そして/または防止するのに必要なレベルまで、血中ケトン体を増加させるのに必要な投薬量で、ケトン体前駆体化合物を投与する。これらの化合物すべての適切な投薬量は、当業者によって決定可能である。
【0051】
[0049]非常に多様なプロドラッグ配合物が当該技術分野に知られる。例えば、プロドラッグ結合はエステルまたは無水物の場合、加水分解可能でありうるし、あるいはアミドの場合、酵素的に生物分解可能でありうる。
【0052】
[0050]本発明で使用するのに適したケトン体前駆体化合物、例えばケトン体濃度を上昇させうる化合物には、哺乳動物、例えば患者の体内でケトン体濃度を直接上昇させうる任意の化合物が含まれ、そしてこうした化合物は当業者によって決定可能である。これらの化合物は、脂肪酸の酸化を増加させる効果を模倣することも可能であり、そして該化合物には、限定されるわけではないが、ケトン体、D−ベータ−ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテート、ならびにこれらの代謝前駆体が含まれる。この態様で用いられる用語、代謝前駆体は、1,3ブタンジオール、アセトアセチルまたはD−ベータ−ヒドロキシブチレート部分を含む化合物、例えば、アセトアセチル−1−1,3−ブタンジオール、アセトアセチル−D−ベータ−ヒドロキシブチレート、およびアセトアセチルグリセロールを指してもよい。一価、二価または三価アルコールと任意のこうした化合物のエステルもまた、さらに別の態様に含まれる。代謝前駆体にはまた、D−ベータ−ヒドロキシブチレートのポリエステル、およびD−ベータ−ヒドロキシブチレートのアセトアセテートエステルも含まれる。D−ベータ−ヒドロキシブチレートのポリエステルには、ヒトまたは哺乳動物によって容易に消化され、そして/または代謝されるように設計された、このポリマーのオリゴマーが含まれる。これらは好ましくは長さ2〜100反復であり、典型的には長さ2〜20反復であり、そして最も好適には長さ3〜10反復である。ケトン体前駆体として使用可能なポリD−ベータ−ヒドロキシブチレートまたは末端酸化ポリ−D−ベータ−ヒドロキシブチレートエステルの例を以下に示す:
【0053】
【化2】

【0054】
[0051]各場合で、nは、ポリマーまたはオリゴマーが、ヒトまたは哺乳動物の体への投与に際して容易に代謝されて、血中ケトン体レベルの上昇が提供されるように選択される。nの値は、0〜1,000、より好ましくは0〜200、さらにより好ましくは1〜50、最も好ましくは1〜20、特に好適には3〜5の整数である。各場合で、mは、1以上の整数であり、療法または栄養物で使用するための1以上の陽イオンとのその複合体または塩である。陽イオンおよび典型的な生理学的塩の例は本明細書に記載され、そしてこれにはさらに、各々、塩複合体を形成する生理学的対イオンによって平衡化されたナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、L−リジン、L−アルギニン、メチルグルカミン、および当業者に知られる他のものが含まれる。
【0055】
[0052]ケトン体前駆体化合物の定義にやはり含まれるのは、ニューロン代謝減少を治療するのに有用ないくつかの他のケトン体前駆体化合物であり;以下により詳細に記載するような、多価アルコールのエステル、3−ヒドロキシ酸エステルおよびグリセロールエステルが含まれる。本明細書において、「誘導体」は、親化合物に由来する、または理論的に由来しうる化合物または化合物の一部を指し;用語「ヒドロキシル基」は、式−OHによって示され;式「アルコキシ基」は、式−−ORによって示され、式中、Rは、以下に定義するようなアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン化アルキル、またはヘテロシクロアルキル基で場合によって置換される低次アルキル基を含むアルキル基であってもよく;用語「エステル」は、式−−OC(O)Rによって示され、式中、Rは、以下に定義するようなアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン化アルキル、またはヘテロシクロアルキル基であってもよく;用語「アルキル基」は、1〜24炭素原子の分枝または非分枝飽和炭化水素基と定義され、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n―ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等である。「低次アルキル」基は、1〜10炭素原子を有する飽和分枝または非分枝炭化水素であり;用語「アルケニル基」は、2〜24炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する構造式の炭化水素基と定義され;用語「アルキニル基」は、2〜24炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する構造式の炭化水素基と定義され;用語「ハロゲン化アルキル基」は、上に定義するようなアルキル基上に存在する1以上の水素原子がハロゲン(F、Cl、Br、I)で置換された、これらの基と定義され;用語「シクロアルキル基」は、少なくとも3つの炭素原子で構成される非芳香族炭素に基づく環と定義される。シクロアルキル基の例には、限定されるわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれる。用語「ヘテロシクロアルキル基」は、環の少なくとも1つの炭素原子が、限定されるわけではないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどのヘテロ原子で置換されている、上に定義するようなシクロアルキル基であり;用語「脂肪族基」は、上に定義するようなアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキルおよびシクロアルキル基を含むと定義される。「低次脂肪族基」は、1〜10炭素原子を含有する脂肪族基であり;用語「アリール基」は、限定されるわけではないが、ベンゼン、ナフタレン等を含む、炭素に基づく任意の芳香族基と定義される。用語「芳香族」にはまた「ヘテロアリール基」が含まれ、これは芳香族基の環内に取り込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基と定義される。ヘテロ原子の例には、限定されるわけではないが、窒素、酸素、硫黄、およびリンが含まれる。アリール基は、限定されるわけではないが、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ハロゲン化物、ニトロ、アミノ、エステル、ケトン、アルデヒド、ヒドロキシ、カルボン酸、またはアルコキシを含む1以上の基で置換されてもよいし、あるいはアリール基は非置換であってもよく;用語「アラルキル」は、アリール基に付着した、上に定義するようなアルキル基を有するアリール基と定義される。アラルキル基の例は、ベンジル基であり;「エステル化」は、エステルを生じる、カルボン酸またはカルボン酸誘導体とアルコールの反応を指し;「エステル交換」は、新規エステル化合物を形成する、アルコールとエステルの反応を指す。用語「3−ヒドロキシブチレート」は、用語「3−ヒドロキシ酪酸」と交換可能に用いられる。
【0056】
[0053]1つの態様において、ケトン体濃度を上昇させうる化合物には、式:
【0057】
【化3】

【0058】
式中、Rは多価アルコール残基であり;n、mおよびxは整数を示し;そしてmはx以下である
にしたがった化合物が含まれる。
【0059】
[0054](R)−3−ヒドロキシブチレートおよびその誘導体とエステルを形成するのに適した、生理学的に適合するアルコールには、一価および多価アルコールが含まれる。多価アルコールのエステルは、より短い(R)−3−ヒドロキシブチレートオリゴマーを用いた(R)−3−ヒドロキシブチレート誘導体の同等物あたり、より高密度の(R)−3−ヒドロキシブチレート同等物を送達する。より短いオリゴマーは、一般的に、より容易に加水分解されて、血中で、上昇した濃度の(R)−3−ヒドロキシブチレートを生じる。こうしたエステルを調製するのに適した多価アルコールの例には、炭水化物および炭水化物誘導体、例えば炭水化物アルコールが含まれ、炭水化物の例には、限定されるわけではないが、アルトロース、アラビノース、デキストロース、エリスロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、ラクトース、リキソース、マンノース、リボース、スクロース、タロース、スレオース、キシロース等が含まれる。(R)−3−ヒドロキシブチレート誘導体を調製するのに有用な炭水化物のさらなる例には、ガラクトサミン、グルコサミンおよびマンノサミンなどのアミノ誘導体が含まれ、N−アセチルグルコサミンなどのN−アセチル誘導体などが含まれる。炭水化物の例にはまた、炭水化物誘導体、例えばアルキルグリコシドも含まれる。炭水化物アルコールの例には、限定なしに、グリセロール、マンニトール、リビトール、ソルビトール、スレイトール、キシリトール等が含まれる。また、上に列挙する炭水化物および炭水化物アルコールのエナンチオマーを用いて、上記式にしたがった(R)−3−ヒドロキシブチレート誘導体を調製してもよい。
【0060】
[0055]態様には、nが1〜約100であり;xが1〜約20であり;mが1〜約20である化合物が含まれる。1つの態様には、Rが(R)−1,3−ブタンジオールである化合物が含まれる。
【0061】
[0056]別の態様において、ケトン体濃度を上昇させうる化合物には、式
【0062】
【化4】

【0063】
およびまた
【0064】
【化5】

【0065】
式中、nおよびmは、独立に1〜約100の整数である
の化合物が含まれる。いくつかの態様において、nおよびmは同じであり;nおよびmは異なり;そしてnおよびmは3である。
【0066】
[0057]さらに、ケトン体濃度を上昇させうる化合物には、式
【0067】
【化6】

【0068】
式中、nは1〜約100の整数である
にしたがった、R−3−ヒドロキシブチレートのエステル化合物が含まれる。1つの態様においてnは3である。
【0069】
[0058]ケトン体レベルを上昇させうる他の化合物には、3−ヒドロキシ酸が含まれる。組成物には、3−ヒドロキシ酸、その直鎖または環状オリゴマー、3−ヒドロキシ酸またはオリゴマーのエステル、3−ヒドロキシ酸の誘導体、およびその組み合わせが含まれる。1つの態様において、組成物には、3、4、または5単量体サブユニットを含有するR−3−ヒドロキシ酸の環状マクロライドが含まれる。3−ヒドロキシ酸には、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸および3−ヒドロキシヘプタン酸が含まれる。いくつかの態様において、オリゴマーの長さは、誘導体が、単量体の持続放出に適した消化速度を有するようなものでなければならない。別の態様において、環状三量体(トリオライド(triolide))を、他の環状オリゴライドまたは直鎖エステルおよび/または両方の混合物と組み合わせて用いる。
【0070】
[0059]3−ヒドロキシ酸の一般式は:
【0071】
【化7】

【0072】
式中、Rは、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、チオール、ジスルフィド、エーテル、チオールエーテル、アミン、アミド、ハロゲンより選択される。RおよびRは、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、チオール、ジスルフィド、エーテル、チオールエーテル、アミン、アミド、ハロゲン、ヒドロキシ、エステル、窒素置換ラジカル、および/または酸素置換ラジカルより独立に選択される。Rは、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、チオール、ジスルフィド、エーテル、チオールエーテル、アミン、アミド、ハロゲン、ヒドロキシ、エステル、窒素置換ラジカル、および/または酸素置換ラジカルより選択される。さらにRが水素またはハロゲンでない場合、RはRへの直接結合であってもよく、そしてRはメチルであってもよい
である。
【0073】
[0060]ケトン体レベルを上昇させうる他の化合物には、式
【0074】
【化8】

【0075】
式中、R、RおよびR基の2つまたは3つは、互いに独立に、アセトアセテート、アルファ−ケトプロピオネート、ベータ−ヒドロキシブチレートおよびアルファ−ヒドロキシプロピオネート基の1以上であり、そしてR、RおよびR基のうち、2つのみが前記基のいずれかである場合、第三のものはヒドロキシ基または2〜24炭素原子を含有する飽和または不飽和脂肪酸の残基である
を有するグリセロールエステル、すなわち少なくとも1つのケトまたはヒドロキシ酸の容易には水溶性でないグリセリドが含まれる。他のグリセロールエステル、特に式
【0076】
【化9】

【0077】
式中、1つのR基は水素であり、そして2つのR基は(−−COCH、COCH)である。さらに、各Rは同じかまたは異なり、そして水素、または(−−COCH、COCH)であり、但し、少なくとも1つのRは水素ではなく、そしてR’は炭素数が偶数の2〜20炭素の直鎖酸エステルである
を有する、少なくとも1つのケトまたはヒドロキシ酸の、容易には水溶性でないグリセリドが想定される。
【0078】
[0061]本発明はまた、1つの態様において、多様な容器内に取り込まれた投薬単位を含む投与に好適な配合物中の本発明の組成物も提供する。例えばMCTを含むものなどの本発明の組成物の投薬量を、ニューロン代謝減少の疾患に罹患した患者、例えばAD、AAMI等の任意の疾患または年齢関連認知減退を伴う患者において、認知能を増加させるのに有効な量で投与してもよい。
【0079】
[0062]1つの態様において、本発明の組成物は、体内のケトン濃度の上昇を生じ、そして本態様において、高ケトン血を誘導するのに有効な量で、組成物を投与する。1つの態様において、高ケトン血は、脳におけるエネルギーのために利用されるケトン体を生じる。
【0080】
[0063]1つの態様において、組成物は、哺乳動物または患者において、少なくとも1つのタイプのケトン体の循環濃度を増加させる。1つの態様において、循環ケトン体は、D−ベータ−ヒドロキシブチレートである。投与後、循環ケトン体の量を何度も測定してもよいし、そして1つの態様において、血中ピーク濃度に近いと予測される時点で測定するが、また、予測されるピーク血中濃度レベル前または後で測定してもよい。次いで、これらのオフピーク時点での測定量を、予測されるピーク時点での予測されるレベルを反映するように、場合によって調整する。1つの態様において、予測されるピーク時点は約2時間である。ピーク循環血中レベルおよびタイミングは、当業者に知られるように、個々の消化速度、食品、飲料などの同時摂取または前摂取または後摂取を含む、当業者に知られる要因に応じて多様でありうる。1つの態様において、D−ベータ−ヒドロキシブチレートが到達するピーク血中レベルは、約0.05ミリモル濃度(mM)〜約50mMの間である。D−ベータ−ヒドロキシブチレートが約0.05〜約50mMに上昇しているかどうかを決定する別の方法は、約5mg/dL〜約160mg/dLの範囲内のD−ベータ−ヒドロキシブチレートの尿排出測定による。他の態様において、ピーク血中レベルは、約0.1〜約50mM、約0.1〜約20mM、約0.1〜約10mM、約0.1〜約5mMに上昇し、より好ましくは、約0.15〜約2mM、約0.15〜約0.3mM、そして約0.2〜約5mMに上昇するが、例えば上に論じるように、配合物および宿主に応じて、変動が必然的に起こるであろう。他の態様において、D−ベータ−ヒドロキシブチレートが到達するピーク血中レベルは、少なくとも約0.05mM、少なくとも約0.1mM、少なくとも約0.15mM、少なくとも約0.2mM、少なくとも約0.5mM、少なくとも約1mM、少なくとも約1.5mM、少なくとも約2mM、少なくとも約2.5mM、少なくとも約3mM、少なくとも約4mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約30mM、少なくとも約40mM、そして少なくとも約50mMであろう。
【0081】
[0064]本発明の組成物用の化合物、すなわちニューロン代謝減少によって引き起こされる認知機能の減少の治療または防止に有効な量にケトン体濃度を上昇させうる化合物の投薬有効量は、当業者に明らかであろう。本明細書において上に論じるように、開示した血中ケトンレベルを考慮して、こうした有効量を決定してもよい。ケトン体濃度を上昇させうる化合物がMCTである場合、MCT用量は、1つの態様において、MCT約0.05g/kg/日〜約10g/kg/日の範囲内である。他の態様において、用量は、MCT約0.25g/kg/日〜約5g/kg/日の範囲内であろう。他の態様において、用量は、MCT約0.5g/kg/日〜約2g/kg/日の範囲内であろう。他の態様において、用量は、約0.1g/kg/日〜約2g/kg/日の範囲内であろう。他の態様において、MCT用量は、少なくとも約0.05g/kg/日、少なくとも約0.1g/kg/日、少なくとも約0.15g/kg/日、少なくとも約0.2g/kg/日、少なくとも約0.5g/kg/日、少なくとも約1g/kg/日、少なくとも約1.5g/kg/日、少なくとも約2g/kg/日、少なくとも約2.5g/kg/日、少なくとも約3g/kg/日、少なくとも約4g/kg/日、少なくとも約5g/kg/日、少なくとも約10g/kg/日、少なくとも約15g/kg/日、少なくとも約20g/kg/日、少なくとも約30g/kg/日、少なくとも約40g/kg/日、そして少なくとも約50g/kg/日の範囲内である。
【0082】
[0065]好適な単位投薬容器および/または配合物には、とりわけ、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、あめ玉、栄養補助バー、栄養補助ドリンク、計測スプレー、クリーム、および座薬が含まれる。組成物を、ゼラチン、油(単数または複数)、および/または他の薬学的活性剤(単数または複数)などの薬学的に許容されうる賦形剤と組み合わせてもよい。例えば、組成物を、主題化合物とは異なる他の療法または予防剤と好適に組み合わせ、そして/または組み合わせて用いてもよい。多くの場合、主題組成物と組み合わせた投与は、こうした剤の有効性を増進させる。例えば、化合物を、酸化防止剤、グルコース利用の効率を増進させる化合物、およびその混合物と組み合わせて好適に用いてもよい。
【0083】
[0066]1つの態様において、被験体に、MCT、MCFAなどのケトン体生成化合物を、ニューロン代謝減少疾患を治療するかまたはその発生を防止するのに必要なレベルで、直接、静脈内注入する。静脈内脂質およびケトン体溶液の調製は、当業者に周知である。
【0084】
[0067]1つの態様において、本発明は、上昇した血中ケトンレベルを提供するため、MCTおよびカルニチンの混合物を含む配合物を提供する。こうした配合物の性質は、投与期間および経路に応じるであろう。こうした配合物は、MCT0.05g/kg/日〜10g/kg/日およびカルニチンまたはその誘導体0.05mg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲内であってもよい。1つの態様において、MCT用量は、MCT0.05g/kg/日〜10g/kg/日の範囲内であってもよい。用量は、MCT0.25g/kg/日〜5g/kg/日の範囲内であってもよい。用量はまた、MCT0.5g/kg/日〜2g/kg/日の範囲内であってもよい。いくつかの態様において、カルニチンまたはカルニチン誘導体用量は、0.05g/kg/日〜10g/kg/日の範囲内であってもよい。カルニチンまたはカルニチン誘導体用量は、0.1g/kg/日〜5g/kg/日の範囲内であってもよい。カルニチンまたはカルニチン誘導体用量はまた、0.5mg/kg/日〜1mg/kg/日であってもよい。例えば、配合物および/または宿主に応じて、変動が必然的に起こるであろう。
【0085】
[0068]1つの態様において、配合物は、約1〜約2000mgのカルニチンと組み合わせた乳化MCT約1〜約500gの範囲を含む。MCTの量は、少なくとも約1g、少なくとも約10g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約150g、少なくとも約200g、少なくとも約250g、少なくとも約300g、少なくとも約400gであってもよい。カルニチンの量は、少なくとも約1g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約250g、少なくとも約500g、少なくとも約1000g、少なくとも約1250g、少なくとも約1500gであってもよい。別の配合物は、500mgのL−カルニチンと組み合わせた50gのモノおよびジグリセリドで乳化した50gのMCT(95%トリC8:0)を含む。こうした配合物はよく寛容され、そして一般的に、ヒト被験体において、3〜4時間、高ケトン血を誘導する。
【0086】
[0069]哺乳動物の体重(BW)kgあたりのMCTのグラムを単位としてもまた、MCTの1日用量を測定可能である。MCTの1日用量は、約0.01g/kg〜約10.0g/哺乳動物のBW kgの範囲であってもよい。好ましくは、MCTの1日用量は、約0.1g/kg〜約5g/哺乳動物のBW kgである。より好ましくは、MCTの1日用量は、約0.2g/kg〜約3g/哺乳動物kgである。さらにより好ましくは、MCTの1日用量は、約0.5g/kg〜約2g/哺乳動物kgである。
【0087】
[0070]いくつかの態様において、本発明の化合物を炭水化物と同時投与してもよいし、または炭水化物と共配合してもよい。炭水化物には、1つより多いタイプの炭水化物が含まれてもよい。適切な炭水化物が当該技術分野に知られ、そしてこれには、コーンシロップ、テンサイ(sugar beet)等の好適な供給源に由来するグルコース、フルクトース、スクロース等の単糖が含まれる。共配合する場合、使用する炭水化物の量には、少なくとも約0.1g、少なくとも約1g、少なくとも約10g、少なくとも約50g、少なくとも約100g、少なくとも約150g、少なくとも約200g、少なくとも約250g、少なくとも約300g、少なくとも約400gが含まれてもよい。カルニチンの量は、少なくとも約1g、少なくとも約50g、少なくとも約100gであってもよい。組成物は、乾燥重量に基づいて、約15%〜約40%炭水化物を含んでもよい。こうした炭水化物の供給源には、イネ(rice)、トウモロコシ(corn)、ソルガム(sorghum)、アルファルファ(alfalfa)、オオムギ(barley)、ダイズ(soybeans)、キャノーラ(canola)、オーツムギ(oats)、コムギ(wheat)またはその混合物などの穀物または穀類が含まれる。組成物はまた、乾燥ホエーおよび他の乳製品または副産物などの炭水化物を含む他の構成要素を、場合によって含む。
【0088】
[0071]別の態様において、本発明の方法は、患者の遺伝子型または特定のアレルの決定をさらに含む。1つの態様において、アポリポタンパク質E遺伝子の患者アレルを決定する。MCTを用いてケトン体レベル上昇を誘導した際、E4アレルを持つものよりも、非E4キャリアの方がよく働いたことが見出されている。また、E4アレルを持つものは、より高い空腹時ケトン体レベルを有し、そして2時間の時間間隔でレベルは上昇し続けた。したがって、E4キャリアは、より高いケトンレベル、または存在するケトン体を使用する能力を増加させる剤を必要としうる。
【0089】
[0072]別の態様において、ケトン体濃度を増加させうる化合物を含む組成物は、ヒト消費用に特に配合された食品製品である。これらには、ヒトに必要な食餌要求を供給するよう意図された食品および栄養物、ならびに他のヒト食餌栄養補助食品が含まれるであろう。1つの態様において、ヒト消費用に配合された食品製品は、完全であり、そして栄養的にバランスが取れている一方、他の態様では、よくバランスがとれたまたは配合された食餌と組み合わせて用いられる栄養補助食品と意図される。
【0090】
[0073]別の態様において、組成物は食品栄養補助食品、例えば飲料水、飲料、液体濃縮物、ゲル、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁物、チュー(chew)、モーセル(morsel)、おやつ(treat)、スナック、ペレット、ピル、カプセル、錠剤、または任意の他の送達型である。特定の種による、または個々の哺乳動物、例えばコンパニオン哺乳動物またはヒトによる消費のためにさえ、栄養補助食品を特別に配合してもよい。1つの態様において、栄養補助食品は、補助食品を哺乳動物に少量で投与可能であるように、または哺乳動物に投与する前に希釈可能であるように、比較的濃縮された用量のMCTを含んでもよい。いくつかの態様において、栄養補助食品または他のMCT含有組成物は、例えば用量を調整するか、口当たりをよりよくするか、またはより小さい用量でより頻繁な投与を可能にするため、哺乳動物に投与する前に、水などと混合する必要がありうる。
【0091】
[0074]MCTの供給源には、半合成、合成または天然の任意の適切な供給源が含まれる。MCTの天然供給源の例には、ココナツおよびココナツ油、パーム核およびパーム核油などの植物供給源、ならびに任意の多様な種、例えばヤギ由来のミルクなどの動物供給源が含まれる。
【実施例】
【0092】
[0075]以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、そして本発明の範囲を限定することを意図しない。
実施例1 アルツハイマー病の治療に基づく、ケトン体における薬理ゲノム学
[0076]アルツハイマー病の1つの有望な治療は、ケトーシスの誘導である。研究KET−04−001は、ケトン体生成剤で治療した軽度から中程度のAD患者群において、いくつかの遺伝子マーカーの薬理ゲノム学的効果を調べた。試験化合物はAC−1202であった。AC−1202は、食餌中に炭水化物が存在していてさえ、血清ケトン体を安全に上昇させるように設計された中鎖トリグリセリド(MCT)の配合物である。MCTは、安全プロフィールが優れており、そして脂質吸収不良障害およびケトン体生成食餌において長く歴史的に使用されているため、この研究のために選択された。AC−1202のユニークな物理的特性のため、AC−1202は、より一般的な長鎖トリグリセリド(LCT)とは異なって代謝される。十分に多量のAC−1202が消費される場合、ケトーシスの軽度の状態が誘導されうる。
【0093】
被験体
[0077]ADと推定される診断を得た253人の参加者をスクリーニングした。研究は、NINCDS−ADRDAおよびDSM IV基準にしたがって、軽度から中程度の重症度のADと推定される診断を得た外来患者を採用し、MMSEスコアはスクリーニング時に14〜24の間(両端を含む)であった。スクリーニングの24ヶ月前以内のCTまたはMRIが、腫瘍、構造異常、または変性性疾患の徴候をまったく示さない必要があった。被験体は、修飾ハチンスキー虚血尺度スコア≦4を有する必要があった。被験体およびその介護者は、インフォームドコンセントを提供し、これには遺伝子型決定に関する場合による条件が含まれた。彼らの裁量で、参加者は、APOE、および/またはさらなるDNAマーカーに関して試験されることに同意してもよかった。遺伝情報は、現場人員とも研究参加者とも共有されなかった。
【0094】
[0078]スクリーニング時の重要な排除基準には:痴呆症における抑鬱に関するコーネル尺度スコア≧13によって決定されるような大鬱、甲状腺機能評価によって決定されるような臨床的に有意な甲状腺機能低下症、ベースラインの12ヶ月前以内の臨床的に有意なB12不全、臨床的に有意な腎疾患または機能不全、臨床的に有意な肝疾患または機能不全、およびいかなるタイプの糖尿病も含まれた。
【0095】
[0079]現在認証されるAD薬物を投与されている被験体は、スクリーニング前の少なくとも3ヶ月間、安定投薬量で維持されていたならば、研究に登録する資格があり、そして研究期間全体で安定投薬量のままである必要があった。
【0096】
研究設計
[0080]被験体を1:1の比でランダム化して、AC−1202またはマッチングプラセボのいずれかを90日間投与した。4のブロックサイズを持つ並べ替えブロックランダム化コードを用いた。ユニークな場所および被験体番号でラベルされた研究キットを被験体に発行した。参加者、本発明を投与する者、および結果を評価する者を、群指定に対してブラインド化した。各治療群内で、およそ50人の被験体を得るような方式で、独立のブラインド化されていない医学的監視者が、研究を早期に中止した被験体を交換して、そして研究生成物に割り当てた。
【0097】
[0081]33% AC−1202(NeoBee895、Stepan Chemical Company)、64%アラビアゴム(Instagum、CNI)および2.6%シロイド(syloid)(244FP、Grace Davison)からなる乳化スプレー乾燥粉末として、研究生成物を配合した。プラセボは活性配合物と等カロリーであり、そして51%アラビアゴム、37%デキストロース、10%ベニバナ油、および2%シロイドの混合物(The Chemins Companyによって調製)からなった。研究生成物は、活性(AC−1202 10gに同等)またはマッチングプラセボを含有する30グラムのサシェー(sachet)中にパッケージングされた粉末として投与された。
【0098】
[0082]サシェーの内容を、消費前に、8オンスの水、ミルク、またはジュースなどの液体コップ1杯分と混合するものとした。これらの指示は、後に、生成物許容性を改善するため、食事代替飲料、EnsureTM(Abbott Laboratories)との推奨される再構成に修正された。研究の最初の7日間、被験体に30グラムのサシェーを毎日1つ投与した。第8日、各被験体に、30グラムのサシェー、毎日2つに用量を増加するように依頼し、そしてその用量で第90日まで続けた。1日用量は、診察日以外は朝食中に投与され、診察日には、参加者は指定された診察時間前に朝食を取るよう依頼された。
【0099】
[0083]安全性評価には、スクリーニング時および第104日に行われる身体検査、バイタルサイン測定、ルーチンの血清化学および血液学検査、ならびに心電図が含まれた。治療中に発生した副作用および同時に行われる薬物投与のいかなる変化も、すべての通院時に記録した。
【0100】
アッセイβ−ヒドロキシブチレート濃度レベル
[0084]投薬前および投薬後、血清試料を収集し、そしてStanbio Laboratories(テキサス州ベルネ)に供給されるBHB Liquicolor(登録商標)診断キットを用いて、フロリダ州マイアミのAllied Research International(以前のSFBC)が分析した。正常範囲(12時間絶食)は、0.02mM〜0.27mMである。
【0101】
統計分析
[0085]有効性の一次分析として、治療意図に基づく(intention−to−treat)(ITT)分析を用い、ここで、ランダム化され、研究薬物を投与され、そして少なくとも1回の追跡診察を完了したすべての被験体が含まれた。最直前のデータを次に補完する(last observation carried forward)(LOCF)方法を用いて、すべての失われた有効性データを帰属させた。経験的に確立された一次終点は、第90日のADAS−CogおよびADCS−CGICグローバルスコアにおけるベースラインからの変化であった。二次結果測定値には、MMSE、ならびにAPOE遺伝子型およびBHB濃度レベルと関連する相互作用が含まれた。
【0102】
[0086]総合的2方向ANCOVAを用いて、第90日のCmax血清BHBレベルに関して、遺伝子型効果および遺伝子型相互作用による治療(treatment by genotype interaction)とともに、治療効果を評価した。ANCOVAモデルには、治療、遺伝子型、および遺伝子型相互作用による治療が含まれた。ベースライン血清BHBレベルに関する変数を、共変数として含んだ。Pearson相関統計によって、第90日のCmax血清BHBレベルおよびベースライン総スコアからの変化の間の相関を決定した。
【0103】
遺伝子型決定
[0087]研究KET−04−001において、アルツハイマー病におけるケトン体に基づく療法の有効性に影響を及ぼす能力に関して、いくつかの遺伝子マーカーを選択した。さらなる遺伝子分析に同意した研究KET−04−001の参加者を、遺伝子IDE、LDLR、APOE、PON1、IGFR1およびIL1Bにおける15の一塩基多型(SNP)に関してポリメラーゼ連鎖反応配列決定によって遺伝子型決定した(以下により詳細に記載する)。遺伝子型決定を以下のように達成した:製造者の指示にしたがって、QIA−amp血液DNAミニ試薬セット(Qiagen)を使用して、EDTA抗凝固処理静脈血からゲノムDNAを抽出した。最終工程において、200μLの水中にDNAを溶出し、そして必要になるまで、−20℃で保存した。本明細書の別の箇所に記載するような個々のプライマーセットを用いて、関心対象の多型を含有する領域を増幅した。5X緩衝液[300mM Tris−HCl、pH9.0、62.5mM(NHSO]、2mM MgCl、4種のdNTP(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP;各250μM)、1UのAmpliTaq DNAポリメラーゼ、および各8pmolのプライマー中、最終体積20μLで、DNAを増幅した。試料を、95℃で3分間変性し、47℃で60秒間アニーリングし、そして72℃で60秒間伸長した。この後、35周期の変性(95℃で15秒間)、アニーリング(47℃で30秒間)、および伸長(72℃で20秒間)が続いた。最終サイクル後、72℃で10分間および25℃で1分間処理した。ABI PRISM BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reactionキットを用いてPCR産物を直接配列決定することによって遺伝子型を解明し、そしてABI PRISM 377 DNA配列決定装置(Applied Biosystems、米国カリフォルニア州フォスターシティ)上で分析した。
【0104】
[0088]各患者から単離したゲノムDNAの領域のPCR増幅および配列決定によって、IDE_7またはIDE rs2251101の存在を決定した(この遺伝子の相当する部分を配列番号3に示す)。増幅した領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号1(CAGCACTTTAGGAGGCCAAG)および配列番号2(CTGCCCTTACAGGGATGAAA)を用いて、682bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0105】
[0089]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、インスリン様増殖因子1受容体前駆体(IGFR−1)におけるrs2229765のAに関するホモ接合性の存在(この遺伝子の相当する部分を配列番号6に示す)を決定した。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号4(GGCTTAGAGTTCCCCCAAAG)および配列番号5(CTTGCTGATGCCTGTGTTGT)を用いて529bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0106】
[0090]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、IL1B rs1143627のTに関するホモ接合性の存在(この遺伝子の相当する部分を配列番号9に示す)、ならびにIL1B rs16944のCに関するホモ接合性の存在(この遺伝子の相当する部分を配列番号10に示す)を検出した。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号7(CACAAAGAGGCAGAGAGACAGA)および配列番号8(GTCTTGCAGGGTTGTGTGAG)を用いて、799bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0107】
[0091]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、遺伝子型LDLR rs2738447を決定した。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号13および配列番号14を用いて、590bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0108】
[0092]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、遺伝子型LDLR rs7259278を決定した。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号13および配列番号14を用いて、590bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0109】
[0093]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、遺伝子型LDLR rs11669576を決定した。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号11(CACCTGGCTGTTTCCTTGAT)および配列番号12(TTCCTGTTCCACCAGTAGGG)を用いて、530bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0110】
[0094]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、LDLR rs1799898の遺伝子型を決定した(この遺伝子の相当する部分を配列番号15に示す)。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号13(GTCACAGGGGAGGGGTTC)および配列番号14(CTACTGGGGAGCCTGAGACA)を用いて、590bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0111】
[0095]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、ブチリルコリンエステラーゼ(BCHE)K変異体rs1803274のヘテロ接合性に関する遺伝子型を決定した(この遺伝子の相当する部分を配列番号18に示す)。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。順方向プライマーは配列番号16(CAGTTAATGAAACAGATAAAAATTTT)であり、そして逆方向プライマーは配列番号17(CAATATTATCCTTCTGGATT)であった。
【0112】
[0096]各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって、遺伝子型アポリポタンパク質E(APOE)プロモーター変異体rs405509を決定する(この遺伝子の相当する部分を配列番号21に示す)。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号19(GCCTAGCCCCACTTTCTTTT)および配列番号20(AGGTGGGGCATAGAGGTCTT)を用いて、587bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0113】
[0097]血清パラオキソナーゼ/アリールエステラーゼ1(PON1)rs662に関する遺伝子型の検出:各患者から単離したゲノムDNAの領域をPCR増幅して、そして配列決定することによって決定した。増幅された領域は多型を含有した。標準的分子生物学技術を用いて、PCRを行った。プライマー、配列番号22(AAGGCTCCATCCCACATCTT)および配列番号23(TCATCACAGTTCCCCCTCTT)を用いて、574bp断片を生成した。この断片を精製し、そして次いで蛍光配列決定技術を用いて配列決定して、各患者に関して遺伝子型を決定した。
【0114】
[0098]SNPに関しては、IUPAC−IUB/GCG多義暗号を用いた。以下の表は:1.DNA配列中に用いた多義暗号、2.4つの塩基(A、C、T、G)のうち暗号によって表されるもの、3.多義暗号の相補体を示す。
【0115】
【表1】

【0116】
[0099]
遺伝子型の頻度
[00100]各遺伝子型の頻度および数値を表1に示す。注、cはc/cホモ接合体である個体を指し、hetはそのSNPに関するヘテロ接合体を指す。いくつかの場合では、一義的な遺伝子型を割り当て不能であり、そしてこれらを「?」記号で示していることに注目されたい。
【0117】
表1.遺伝子型の頻度およびカウント
【0118】
【表2−1】

【0119】
【表2−2】

【0120】
遺伝子型頻度
[00101]HapMapプロジェクト(www.hapmap.org)に公開されたデータと比較して、各多型の頻度を調べた。いくつかの場合、HapMapデータは利用可能でなく、そしてDECODEデータベースなどの他のデータベースを用いた。HapMapデータベースは、世界中の異なる地理的位置からのヒトの比較的小規模な試料抽出に基づく。人々の4つの主な群がある。第一群は、ナイジェリア・イビダン(Ibidan)半島のヨルバ族出身の個体群である(YRIと称される)。第二群は、ユタ州のCEPHプロジェクトに由来する、ヨーロッパ起源の排他的アメリカ人である(CEUと称される)。第三群は、北京の漢族中国人集団由来の個体群で構成される(CHBと称される)。第四群は、東京地方出身の日本人起源の関連しない個体群で構成される(JPTと称される)。
【0121】
[00102]大部分の場合、KET−04−001研究で見られる頻度は、ユタ州出身のヨーロッパ系アメリカ人集団に由来する公表された頻度と一致した。研究KET−04−001では、被験体の94.5%が、自らをコーカソイド/白人と報告し、4.8%がヒスパニックそして0.7%が黒人と報告した。
【0122】
[00103]いくつかの場合、頻度が異なった。例えば、IDE rs2251101 C/C遺伝子型の頻度は、HapMapデータベースでは非常に低く(0.0314)、そしてKET−04−001研究ではかなり高かった(0.117)。KET−04−001研究でc/c遺伝子型がより高い頻度であるのは、おそらく、Acceraの研究がAD集団を利用したためである。C/C遺伝子型は、いくつかの研究においてADのリスク因子と同定されてきている。さらに、ApoEプロモーター多型は、ランダムなヨーロッパ人試料抽出に比較して、KET−04−001集団ではわずかに異なる。これもまた、ApoEおよびADのよく知られる関連と一致する。
【0123】
研究集団
[00104]本研究において、152人の被験体をランダム化した。140人の被験体が、ベースラインに続いて、少なくとも1回の追跡診察を完了し、これらの被験体は、有効性分析に用いたITT集団を構成する。治療群は、ベースライン特性に関してよくバランスが取れていた。135人の被験体(n=75 AC;n=60 PL)が、APOE遺伝子座に関する遺伝子型決定に同意した。
【0124】
ケトーシス
[00105]スクリーニング時(投薬前)、ベースライン、第45日、第90日(投薬前および投薬後)および第104日(投薬前)に、BHBレベルを決定した。研究生成物の投与2時間後、投薬後レベルを測定した。スクリーニングBHBレベルは、正常範囲内であり、そして治療群間で異ならなかった(0.11±0.08mM AC;0.12±0.11mM PL、p=0.590)。診察日ベースライン、第45日および第90日の投薬2時間後、AC−1202は、血清BHBレベルの有意な上昇を誘導した。ベースラインで、被験体は、AC−1202の1/2用量を投与され、そして平均血清BHBは、0.07mMから0.14mMに増加し、これはプラセボ群とは有意に異なった(p<0.0001)。完全用量では、より高いレベルのBHBが得られた。AC−1202群において、投薬2時間後、BHB値は、第45日で0.36mM、そして第90日で0.39mMであり、どちらもプラセボ群とは有意に異なった(p<0.0001)。BHBレベルは、投薬前試料採取のいずれでも、または14日間の洗い出し期間後にも、AC−1202およびプラセボ群間で異ならなかった。
【0125】
ADAS−Cog
[00106]LOCFを用い、ITT集団におけるADAS−Cogスコアを第45日に評価した際、ADAS−Cogスコアにおけるベースラインからの変化に対して、AC−1202治療の有意な効果があった。AC−1202で治療された被験体は、ベースラインからの−0.177ポイント(負のスコアはベースラインに勝る改善を示す)の平均変化を示す一方、プラセボで治療したものは、1.73ポイントの平均変化を示した(p=0.024)。第90日、AC−1202は、ADAS−Cogにおいてベースラインからの平均−0.31ポイントの変化を導き、一方、プラセボ群は平均1.23ポイントの変化を示した(p=0.077)。第104日、2週間の洗い出し後、治療群間でITT集団における相違はなかった(p=0.405)。
【0126】
ADAS−Cogに対する遺伝子型の影響
[00107]ADAS−Cogにおけるベースラインからの第90日変化と相関する一連の遺伝子マーカーに関して、ケトン体治療の遺伝子の影響を調べた。ADAS−Cogスコアの分析によって、試験したいくつかのマーカーの保因状態が、AC−1202治療の有効性増加を示すことが明らかになった(表2を参照されたい)。
【0127】
[00108]IDE rs2551101。rs2551101遺伝子座でヘテロ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogスコアにおける4.06ポイントの改善を示した(p=0.0068)。Cアレルに関してホモ接合体でない被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogにおける2.74ポイントの改善を示した(p=0.0059)。
【0128】
[00109]IL1B rs1143627。Tアレルに関してホモ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogにおける3.5ポイントの改善を示した(p=0.0145)。
【0129】
[00110]IL1B rs16944。Cアレルに関してホモ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogにおける3.5ポイントの改善を示した(p=0.00145)。
【0130】
[00111]IGF1R rs229765。Aアレルに関してホモ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogにおける7.3ポイントの改善を示した(p=0.0072)。
【0131】
[00112]IGF1R rs28401726。このアレルでは有意な効果は見られなかった。
[00113]PON1 rs662。このアレルでは有意な効果は見られなかった。
【0132】
[00114]LDLR rs7259278。Gアレルに関してホモ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogにおける2.56ポイントの改善を示した(p=0.0236)。
【0133】
[00115]LDLR rs2738447。Cアレルに関してホモ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogにおける3.51ポイントの改善を示した(p=0.037)。
【0134】
[00116]LDLR rs1799898。Cアレルに関してホモ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogにおける2.44ポイントの改善を示した(p=0.045)。
【0135】
[00117]LDLR rs11669576。このアレルでは有意な効果は見られなかった。
[00118]BUCHE rs1803274。rs1803274遺伝子座でヘテロ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogスコアにおける4.29ポイントの改善を示した(p=0.0133)。
【0136】
[00119]APOE rs448647。このアレルでは有意な効果は見られなかった。
[00120]APOE rs405509。rs405509遺伝子座でヘテロ接合体である被験体は、プラセボに比較した際、ADAS−Cogスコアにおける3.68ポイントの改善を示した(p=0.0085)。
【0137】
[00121]APOE rs769446。このアレルでは有意な効果は見られなかった。
[00122]表2 遺伝子型による治療
第90日でのベースラインからのADAS−Cogの変化
【0138】
【表3−1】

【0139】
【表3−2】

【0140】
【表3−3】

AIプログラム供給源:phg Tab3
【0141】
ADCS−CGICおよびMMSE
[00123]LOCFを用いて、ITT集団においてAC−1202およびプラセボを比較すると、AC−1202は、いかなる研究でも、ADCS−CGICスコア上の分布に有意な相違を導かなかった。
【0142】
表2 遺伝子型による治療:第90日のADCS−CGICスコア
【0143】
【表4−1】

【0144】
【表4−2】

AIプログラム供給源:phg Tab5
【0145】
[00124]APOE rs405509およびPON1 rs662のキャリアでは、MMSEにおけるベースラインからの変化において、有意な治療効果が見られた。
【0146】
表3 遺伝子型による治療:第90日のベースラインからのMMSEの変化
【0147】
【表5−1】

【0148】
【表5−2】

AIプログラム供給源:phg Tab4
【0149】
投薬プロトコルにおける変化前および変化後に生じた副作用
[00125]研究の最初の数ヶ月間、胃腸副作用、特に下痢および鼓腸のため、比較的多数の被験体が研究から離脱したようであった。中止に関して得られた理由を評価した後、研究生成物許容性を改善するため、研究薬物またはプラセボを高タンパク質飲料(EnsureTM)と混合すべきであると推奨された。臨床現場にこの決定を知らせ、そして続いて研究被験体に配布するため、Ensureの十分な供給を提供した。どの被験体が新規薬物混合指示を忠実に実行したかに関しては、特別にデータを収集していないが、Acceraは、その時点で研究に参加しているか、または変化の後で登録されたすべての被験体に、EnsureTMが利用可能であったことを信じる理由を有した。
【0150】
[00126]研究薬物混合指示におけるこの変化が、生成物許容性を改善したようであるかどうかを評価するため、変化を加える前および後に被験体中止分析を行った。
変化前の中止
[00127]10人の被験体[治療群31人のうち9人(29.0%)およびプラセボ群27人のうち1人(3.4%)]が研究を中止した。この期間中、胃腸系内の事象が研究からの離脱の主因であった。治療被験体31人のうち7人(22.6%)およびプラセボ被験体27人のうち1人(3.4%)が1以上のGI系内の副作用のため、研究を中止した。
【0151】
変化後の中止
[00128]薬物混合指示における変化後、研究中止につながる副作用の全体の発生率は、治療群で29.0%から21.9%にわずかに減少した。最も著しくは、研究離脱を引き起こす胃腸事象の発生率が、治療群で22.6%から12.5%に減少した。
【0152】
[00129]中止につながるAEの発生率は、変化後、治療被験体において減少したが、すべての報告されたAEの全体の発生率は、この日付後に減少しなかった。治療被験体31人のうち21人(67.7%)およびプラセボ被験体27人のうち13人(48.1%)が変化前に少なくとも1回のAEを経験した。変化後、治療被験体64人のうち47人(73.4%)およびプラセボ群49人のうち29人(59.2%)が1以上の副作用を経験した(データ未提示)。
【0153】
[00130]本明細書に引用するすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が、具体的に、そして個々に、本明細書に援用されると示されるかのように、本明細書に援用される。
【0154】
[00131]本発明は、例示的な態様に言及して記載されてきているが、本発明の範囲を逸脱することなく、多様な変化を加えてもよく、そしてその要素に関して同等物で置換してもよいことが当業者には理解されるであろう。さらに、本発明の教示の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの修飾を行って、特定の状況または材料を、教示に適応させてもよい。したがって、本発明は本発明を実行するために意図される最適な様式として開示される特定の態様に限定されず、本発明は、付随する請求項の範囲内に属するすべての態様を含むと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューロン代謝減少に関する治療のために患者を選択する方法であって:
a.ニューロン代謝減少を有するかまたは有するリスクがある患者を選択し;
b.患者において:
i.配列番号3に示す相当する部分での、インスリン分解酵素(IDE)rs2551101のC/Tに関するヘテロ接合性;
ii.配列番号3に示す相当する部分での、IDE rs2551101のC/Cに関するホモ接合性の非存在;
iii.配列番号21に示す相当する部分での、アポリポタンパク質E(ApoE)rs405509のA/Cに関するヘテロ接合性;
iv.配列番号18に示す相当する部分での、ブチリルコリン・エステラーゼ(BUCHE)rs1803274のG/Aに関するヘテロ接合性;
v.配列番号6に示す相当する部分での、インスリン様増殖因子受容体前駆体(IGF1R)rs2229765のアデニンに関するホモ接合性;
vi.配列番号9に示す相当する部分での、インターロイキン−1ベータ(IL1B)rs1143627のチミンに関するホモ接合性;
vii.配列番号10に示す相当する部分での、IL1B rs16944のシトシンに関するホモ接合性;
viii.配列番号24に示す相当する部分での、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)rs2738447のシトシンに関するホモ接合性;
ix.配列番号25に示す相当する部分での、LDLR rs7259278のグアニンに関するホモ接合性;および
x.配列番号15に示す相当する部分での、LDLR rs1799898のシトシンに関するホモ接合性
からなる群より選択される特定の遺伝子型の少なくとも1つの存在を決定し;そして
c.治療のために、(b)の特定の遺伝子型の少なくとも1つを有する患者を選択する、ここで、治療は、ニューロン代謝減少の治療または防止に有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を、患者に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項2】
ニューロン代謝減少に関する治療法であって:
a.ニューロン代謝減少を有するかまたはそのリスクがある患者を選択し;
b.患者において:
i.配列番号3に示す相当する部分での、インスリン分解酵素(IDE)rs2551101のC/Tに関するヘテロ接合性;
ii.配列番号3に示す相当する部分での、IDE rs2551101のC/Cに関するホモ接合性の非存在;
iii.配列番号21に示す相当する部分での、アポリポタンパク質E(ApoE)rs405509のA/Cに関するヘテロ接合性;
iv.配列番号18に示す相当する部分での、ブチリルコリン・エステラーゼ(BUCHE)rs1803274のG/Aに関するヘテロ接合性;
v.配列番号6に示す相当する部分での、インスリン様増殖因子受容体前駆体(IGF1R)rs2229765のアデニンに関するホモ接合性;
vi.配列番号9に示す相当する部分での、インターロイキン−1ベータ(IL1B)rs1143627のチミンに関するホモ接合性;
vii.配列番号10に示す相当する部分での、IL1B rs16944のシトシンに関するホモ接合性;
viii.配列番号24に示す相当する部分での、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)rs2738447のシトシンに関するホモ接合性;
ix.配列番号25に示す相当する部分での、LDLR rs7259278のグアニンに関するホモ接合性;および
x.配列番号15に示す相当する部分での、LDLR rs1799898のシトシンに関するホモ接合性
からなる群より選択される特定の遺伝子型の少なくとも1つの存在を決定し;そして
c.(b)の特定の遺伝子型の少なくとも1つを有する患者に、ニューロン代謝減少の治療または防止に有効な量で、ケトン体濃度を上昇させうる少なくとも1つの化合物を投与する工程を含む、前記方法。
【請求項3】
ApoE4遺伝子型の非存在に関して、哺乳動物を試験する工程をさらに含む、請求項1または2いずれかの方法。
【請求項4】
ニューロン代謝減少が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、フリードライヒ失調症(FRDA)、GLUT1不全癲癇、妖精症、およびラブソン−メンデンホール症候群、冠動脈バイパス移植片(CABG)痴呆症、麻酔誘導性記憶障害、およびハンチントン病の少なくとも1つと関連するニューロン代謝減少によって引き起こされる、請求項1または2いずれかの方法。
【請求項5】
ニューロン代謝減少が、アルツハイマー病または軽度認知障害と関連するニューロン代謝減少によって引き起こされる、請求項4の方法。
【請求項6】
ケトン体濃度を上昇させうる化合物が:
(a)式
【化1】

式中、nは0〜1,000の整数である
のケトン体のポリエステル;
(b)式
【化2】

式中、Rは多価アルコール残基であり;n、mおよびxは整数に相当し;そしてmはx以下である
の多価アルコールのエステル;
(c)式:
【化3】

式中、Rは、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、チオール、ジスルフィド、エーテル、チオールエーテル、アミン、アミド、ハロゲンである。RおよびRは、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキルより独立に選択される
の3−ヒドロキシ酸;および
(d)式
【化4】

式中、R、RおよびR基の2つまたは3つは、互いに独立に、アセトアセテート、アルファ−ケトプロピオネート、ベータ−ヒドロキシブチレートおよびアルファ−ヒドロキシプロピオネート基の1以上であり、そしてR、RおよびR基のうち、2つのみが前記基のいずれかである場合、第三のものは、ヒドロキシ基または2〜24炭素原子を含有する飽和または不飽和脂肪酸残基である
のグリセロールエステル
からなる群より選択される、請求項1または2いずれかの方法。
【請求項7】
ケトン体濃度を上昇させうる化合物が、式:
【化5】

式中、グリセロール主鎖にエステル化されているR1、R2、およびR3は、各々、独立に、5〜12炭素鎖を有する脂肪酸である
の中鎖トリグリセリド(MCT)を含む、請求項1または2いずれかの方法。
【請求項8】
組成物が、グルコースをさらに含む経口組成物である、請求項1または2いずれかの方法。
【請求項9】
ケトン体濃度を上昇させうる化合物が、患者において、D−ベータ−ヒドロキシブチレートの血中レベルを、約0.1mM〜約50mMに上昇させるのに有効な量で投与される、請求項1または2いずれかの方法。
【請求項10】
ケトン体濃度を上昇させうる化合物が、患者において、D−ベータ−ヒドロキシブチレートの血中レベルを、約0.2mM〜約5mMに上昇させるのに有効な量で投与される、請求項1または2いずれかの方法。
【請求項11】
組成物が約0.05g/kg/日〜約10g/kg/日の用量で投与される、請求項7の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−535037(P2010−535037A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520202(P2010−520202)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071817
【国際公開番号】WO2009/018478
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(502398171)アクセラ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】