説明

認知機能障害疾患のバイオマーカーおよび該バイオマーカーを用いる認知機能障害疾患の検出方法

【課題】 非認知機能障害被験者と認知機能障害疾患患者において存在量が異なるタンパク質およびその部分ペプチドを用いて軽度認知障害およびアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患を検出する方法ならびに該タンパク質および該部分ペプチドからなる軽度認知障害およびアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーの提供。
【解決手段】 配列番号1、3、5、7、9,11,13,15,17,19,21,23,25のタンパク質および、これらのタンパク質の部分ペプチドである配列番号2、4、6.8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,27で表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのタンパク質またはタンパク質から生じるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片からなる認知機能障害疾患の診断のためのバイオマーカーならびにこれを用いた診断方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽度認知障害およびアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患の検出に用い得る新規なタンパク質およびペプチドであるバイオマーカーおよび該バイオマーカーを用いた認知機能障害疾患の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の正常と正常以外の状態を呈する試料を用いてその差異を判別する手段としては、一般的には体外診断薬において用いられてきた技術が主たる従来技術である。体外診断薬のうち最も多いのが、血液中の成分をバイオマーカーとして分析することで診断検査を行うものである。本分野における従来技術では、血液中の単独の特定のタンパク質または分子量1万以下のいわゆるペプチドの存在量、あるいは酵素タンパク質の場合は活性の測定を行って、正常(健常人)試料と疾患試料との明らかな差をもって診断の一助としてきた。すなわちあらかじめ一定数の健常人と疾患患者由来の試料における単独もしくは複数の特定のタンパク質またはペプチドの量もしくは活性量を計測し、異常値と正常値の範囲を決め、評価する試料を同様の方法で測定し、異常値と正常値のどちらの範囲に属するかによって検査評価を行うものである。
【0003】
具体的な計測方法としては、試料をそのまま、またはあらかじめ希釈しておき、単独または複数の特定のタンパク質またはペプチドの量を、基質と反応させると発色する酵素によって標識された特異的1次抗体または2次抗体を用いて、試料の発色量で計測する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA; Enzyme Linked Immmunosorbent Assay)や化学発光測定法(CLIA; ChemiLuminescent Immunoassay)と、1次抗体または2次抗体に結合させたラジオアイソトープを用いて計測する放射性免疫測定法(RIA; RadioImmunoassay)、タンパク質が酵素の場合は直接基質を与えて産生物を発色などで計測する酵素活性測定法などがある。抗体を用いるこれらの方法を酵素もしくは蛍光もしくは放射性物質標識抗体法と呼ぶこととする。また酵素の基質分解産物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析する方法もある。またHPLCと質量分析装置を組み合わせたLC-MS/MS法ならびにこれを用いたselected reaction monitoring(SRM)/multiple reaction monitoring(MRM)法もある。また、試料に適当な前処理を施した後、2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D-PAGE)を行ってタンパク質またはペプチドを分離した後、目的のタンパク質またはペプチドについて銀染色、クマシーブルー染色、あるいは対応する抗体を用いた免疫染色(ウエスタン・ブロッティング)を行って、試料中の濃度を測定する方法もある。また、生体試料をカラムクロマトグラフィーによって分画し、その画分に含まれるタンパク質とペプチドを質量分析によって分析する手法がある。またカラムクロマトグラフィーではなく、前処理としてプロテインチップを用いて質量分析する方法や、前処理として磁気ビーズを用いて質量分析する方法がある。
【0004】
さらに、発明者はビーズ(磁気ビーズを含む)に対象となるタンパク質またはペプチドに対する抗体を結合させ、これにより測定したいタンパク質またはペプチドを捕捉したのち、ビーズから溶出して質量分析により測定するimmunoMS法を開発している。またインタクトなタンパク質の解析を目的としてトリプシンなどで分解した後、上記の方法で質量分析まで行う方法も報告されている(特許文献1参照)。しかしいずれもインタクトなタンパク質の性質を利用して、そのまま分画し、または特異的に吸着するタンパク質分子を選別して質量分析で解析するものである。
【0005】
アルツハイマー病を主とする認知機能障害疾患は、我が国においても近年の高齢化に伴って急激に増加している。1995年に約130万人であったが、2005年には約190万人となり、2020年には約300万人に達すると予想されている。アルツハイマー病は認知機能障害疾患の60〜90%を占めると言われている。本疾患は患者の記憶を喪失させるのみでなく人格をも崩壊して患者の社会生活機能を喪失させてしまうことから、社会問題化しつつある。本邦においては1999年末に抗アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸Donepezilが認可を受け、早期に投与されれば高い確率で認知機能の低下を「遅らせる」ことができるようになった。アルツハイマー病においては、現状の治療法やこれから開発される治療薬効果をあげるためには早期に診断することが最重要の課題となっている。
【0006】
米国精神医学会によるアルツハイマー病の主たる診断基準(DSM IV)を以下に示す。
A.多彩な認知欠損の発現で、以下の両方により明らかにされる。
(1)記憶障害(新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を想起する能力の障害)
(2)以下の認知障害の一つまたはそれ以上
a)失語(言語の障害)
b)失行(運動機能の障害がないにもかかわらず、動作を行う能力の障害)
c)失認(感覚機能の障害がないにもかかわらず、対象を認識または同定する能力の障害)
d)実行能力(計画を立てる・組織化する・順序だてる・抽象化する)の障害
B.基準A(1)およびA(2)の認知欠損は、その各々が社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準から著しい低下を示す(非特許文献1)。
【0007】
アルツハイマー病(Alzheimer disease)(AD)の関連疾患にはいろいろなものがある。ADなどの認知症は徐々に認知機能の低下が出現するため、認知症の前駆状態と呼ぶべき状態が存在する。このような状態を軽度認知障害(mild cognitive impairment)(MCI)と呼んでいる。米国のデータでは物忘れ外来を受診したMCIのうち、1年に10〜15%、4年間でおよそ50%がADに移行するという。ADの前駆状態の大部分は健忘型MCIに含まれる。現在の定義によると、MCIは認知機能の低下に関する訴えが聞かれるが、基本的な日常生活には支障がない状態とされる。前頭側頭型認知症(FTD)は認知機能低下とともに周囲を気にせずわが道を行く行動が特徴的で、周囲に合わせようとするADと対照的である。FTDには大脳皮質に組織学的にPick球の存在を認めるPick病が含まれる。レビー小体型認知症(DLB)は、記憶障害が進行性であり幻視などの視覚認知障害があることを特徴としている。臨床症状からの診断では認知症の10〜30%がDLBであり、老年期の変性性認知症疾患ではアルツハイマー型認知症(AD)に次いで2番目に多いとされる。組織学的には大脳におけるレビー小体の存在を特徴とする。FTDおよびDLBは認知症を認め痴呆型であるので痴呆型神経疾患とも呼ばれる(非特許文献1)。
【0008】
本発明において、認知機能障害疾患と総称するとき、MCI、ADおよび痴呆型神経疾患を含むものとする。
【0009】
認知症の診断に広く用いられている検査は、改訂長谷川式知能評価スケール(HDS-R)とMMSE (Mini-Mental State Examination)で、被験者への問診を行い、その結果から判断するものである。HDSは1991年に改訂されてHDS-Rと称されるようになった。これは9項目の質問からなり、見当識、記銘力、計算能力、記憶・想起および常識をテストするものである。30点満点で23点以下を認知症の疑いありとする。また、MMSEは痴呆の診断のために米国で考案されたもので、見当識、記憶力、計算力、言語的能力、図形的能力などをカバーする。30点満点で11の質問からなり、HDS-Rと同様に23点以下で認知症の疑いありとする。両テストの結果は割合によく一致するとされている。これらの問診法はあくまでスクリーニングの目的で用いられ、確定診断に至ることはないし、HDS-R、MMSEともに重症度分類に用いられることはない(非特許文献1)。
【0010】
画像診断法としては、脳萎縮・脳溝脳室拡大など、脳の形態的異常を見るCT・MRIと脳血流量を見る脳血流シンチグラフィ(SPECT)および酸素消費量・ブドウ糖消費量を見るポジトロン断層法(PET)がある。SPECTおよびPETは核医学的方法で、形態的異常の起きる前に異常を検出することができるとされている(非特許文献1)。しかし、これらの画像診断は特殊な設備を必要とするため、すべての医療機関で実施することができないという欠点を有する。また画像を見る医師によって判断が異なることがあり、客観性に欠ける。
【0011】
このようにADを含む認知症の診断は、客観性を欠く、かつ高価な装置の使用を前提とした方法に依存しているのが現状であり、疾患発見のためのスクリーニングは不可能である。ここに血液(血清、血漿を含む)のような容易に得られる患者の試料を用いて客観的診断を可能にするバイオマーカーが見出されるならば、スクリーニングを行うことによって、現在最重要の課題となっている認知機能障害疾患の早期発見が可能となる。本発明はそのような新規バイオマーカーおよび該バイオマーカーを用いた認知機能障害疾患の検出方法を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-333274号公報
【特許文献2】特開2006-308533号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】中野今治、水澤英洋編集:よくわかるアルツハイマー病、2004、永井書店
【非特許文献2】N. Benkiraneら、J. Biol. Chem. Vol. 268, 26279-26285,1993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、非認知機能障害被験者(健常人を含み、何らかの疾患に罹患していてもよいが認知機能障害疾患を含む精神疾患に罹患していない認知機能障害被験者と年齢と性別をマッチさせた被験者non-demented control、以下、NDCと略称する)と認知機能障害疾患患者において存在の有無、存在量が異なるタンパク質およびその部分ペプチドを用いて軽度認知障害およびアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患を検出する方法を提供し、さらに該タンパク質および該部分ペプチドからなる軽度認知障害およびアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、認知機能障害疾患を検出する方法について鋭意検討を行い、軽度認知障害およびアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患を検出することができるペプチドを血清中に見出した。本発明において見出された該ペプチドは血清中のみならず、血液、血漿、脳脊髄液、尿などの他の生体試料中に検出される場合もバイオマーカーとして意義をもつものである。同時に、これらのペプチドの起源であるタンパク質またはペプチド(以下、インタクトタンパク質またはペプチドと称する)もバイオマーカーとしての意義をもつ。
【0016】
具体的には、本発明者は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin、配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16、配列番号19で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-A、配列番号21で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-B、配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 1)、および配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 2)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質ないしペプチドまたは該タンパク質ないし該ペプチドから生じるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片を認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーとして用い得ることを見出した。
【0017】
さらに、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3由来ペプチドCO3、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma由来ペプチド AP2C、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3由来ペプチドSYN3、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor由来ペプチドOXYR、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチドITH5L、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチドHERC2、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin由来ペプチドTHRB、配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin由来ペプチドTTHY、配列番号18で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチドTNR16、配列番号20で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-1、配列番号22で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-2、配列番号24で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-1、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-2、および配列番号27で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-3を認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーとして用い得ることを見出した。
【0018】
本発明者らは、さらに、これらのタンパク質やペプチドないしペプチド断片を2次元液体クロマトグラフィー(2D-LC) MALDI TOF-MS法(質量分析法)やimmunoMS法を用いることにより、一度に多数のタンパク質ないしペプチドないしペプチド断片を測定することに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
すなわち、本発明の態様は以下のとおりである。
[1] 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin、配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16、配列番号19で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-A、配列番号21で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-B、配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 1)、および配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 2)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質ないしペプチドまたは該タンパク質ないし該ペプチドから生じるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片からなる認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカー。
【0020】
[2] 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3由来ペプチドCO3、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma由来ペプチド AP2C、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3由来ペプチドSYN3、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor由来ペプチドOXYR、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチドITH5L、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチドHERC2、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin由来ペプチドTHRB、配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin由来ペプチドTTHY、配列番号18で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチドTNR16、配列番号20で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-1、配列番号22で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-2、配列番号24で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-1、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-2、および配列番号27で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-3から選択される認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカー。
【0021】
[3] 配列番号2、4、6、8、10、12,14,16,18,20,22,24,26および27で表されるアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、認知機能障害疾患患者生体試料中において、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加する認知機能障害疾患バイオマーカー。
【0022】
[4] 配列番号2、4、6、8、10、12,14,16,18,20,22,24,26および27で表されるアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、アルツハイマー病患者生体試料中において、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加するアルツハイマー病バイオマーカー。
【0023】
[5] 配列番号2、4、6、8、10、12,14,16,18,20,22,24,26および27で表されるアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、軽度認知障害患者生体試料中において、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加する軽度認知障害バイオマーカー。
【0024】
[6] 生体試料中の[1]〜[5]のいずれか1項に記載の少なくとも1つの認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーを測定することを含む、認知機能障害疾患の検出方法。
【0025】
[7] 検出がイムノ・ブロット法またはウエスタン・ブロット法、酵素もしくは蛍光もしくは放射性物質標識抗体法または質量分析法またはimmunoMS法または表面プラズモン共鳴法により行われる[6]に記載の認知機能障害疾患の検出方法。
【0026】
[8] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の少なくとも1つのバイオマーカーを測定するための認知機能障害疾患の検出キット。
【0027】
[9] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の少なくとも1つのバイオマーカーに対する抗体もしくはアプタマーを含む認知機能障害疾患の検出キット。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被験者由来の生体試料中の配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin、配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16、配列番号19で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-A、配列番号21で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-B、配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 1)、および配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 2)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質ないしペプチドまたは該タンパク質ないし該ペプチドから生じるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの量を計測することにより、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加する場合に当該被験者は軽度認知障害ないしアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患に罹患していると診断することができる。
【0029】
また、本発明によれば、被験者由来の生体試料中の配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3由来ペプチドCO3、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma由来ペプチドAP2C、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3由来ペプチドSYN3、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor由来ペプチドOXYR、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチドITH5L、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチドHERC2、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin由来ペプチドTHRB、配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin由来ペプチドTTHY、配列番号18で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチドTNR16、配列番号20で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-1、配列番号22で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-2、配列番号24で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-1、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-2、および配列番号27で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-3からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの種類および量を計測することにより、精神疾患には罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加する場合に当該被験者は軽度認知障害ないしアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患に罹患していると診断することができる。
【0030】
本発明は、また精度および特異性の両方が極めて高い診断システムを提供する。本発明によって血液のような生体試料について特定の検査方法がなかった認知機能障害疾患に対して精度の高い診断がはじめて可能になる。さらに、本発明のバイオマーカーは、薬剤効果判定においても有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(A)で示す長方形内の点(その集団をクラスターと呼ぶ)は個々の被験者の血清に検出されたMarker AのC18逆相クロマトグラフィー(2次元目)における質量ピークの保持時間(Retention Time)とm/zである。クラスター内の点は誤差範囲内で同一m/zかつ同一保持時間にあるとみなすことができ、同一ペプチドに由来すると規定される。
【図2】Marker Aの場合の差異解析の結果(ドット図)。Marker Aは図4のMS/MS解析の結果得られたアミノ酸配列に示すように、Complement C3由来ペプチドCO3である。図2はCO3に関する認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)とNDC間の比較である。
【図3】配列番号2 CO3のROC曲線。ROC曲線の定義は実施例、結果の項を参照。A)はAD対NDC、B)はMCI対NDCの比較における、受信者操作特性曲線による分析で得たROC曲線である。
【図4】TOF/TOF型質量分析計によるMS/MSスペクトル図。図4上部にCO3のアミノ酸配列と、MS/MSスペクトルで現れるbイオンとyイオンを示した。
【図5】配列番号4 AP2Cの差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図6】配列番号6 SYN3の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図7】配列番号8 OXYRの差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図8】配列番号10 ITH5Lの差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図9】配列番号12 HERC2の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図10】配列番号14 THRBの差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図11】配列番号16 TTHYの差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図12】配列番号18 TNR16の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図13】配列番号20 CO4-1の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図14】配列番号22 CO4-2の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図15】配列番号24 FIBA-1の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図16】配列番号26 FIBA-2の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【図17】配列番号27 FIBA-3の差異解析の結果。精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と認知機能障害疾患患者(AD、MCI、DLB、FTD)間の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、被験者が認知機能障害疾患に罹患しているとき、インタクトなタンパク質および/またはその部分ペプチドの種類および量を検出すると同時に、インタクトなタンパク質とその部分ペプチドの種類と量の変動を測定することにより被験者が認知機能障害疾患に罹患しているかどうかを診断する方法である。ここで、ペプチドは、一般的には分子量1万以下のアミノ酸が連結したものをいい、あるいはアミノ酸残基の数としては数個から50個以下程度のものをいう。本発明においては、インタクトなタンパク質の部分ペプチドを認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得るが、部分ペプチドという場合、インタクトなタンパク質の有するアミノ酸配列の一部の部分的アミノ酸配列を有するペプチドであって分子量1万以下のものをいう。本発明において、インタクトなタンパク質の部分ペプチドとは、インタクトなタンパク質の有するアミノ酸配列の一部の部分的アミノ酸配列を有するペプチドをいい、転写・翻訳による発現合成過程で部分ペプチドとして生成する場合と、インタクトなタンパク質として合成された後に、生体内で消化分解を受けて消化分解産物ペプチドとして生成する場合がある。この原因としては、生体が認知機能障害疾患等の正常以外の状態にあるときに、タンパク質の合成および制御機構が脱制御されることが挙げられる。すなわち、本発明は、生体内のタンパク質の発現合成および/または消化分解を指標として被験者が正常状態であるか認知機能障害疾患に罹患しているかを判別し、また認知機能障害疾患に罹患している場合の疾患の進行度をも評価判別する方法でもある。本発明において、認知機能障害疾患の検出とは、被験者が認知機能障害疾患に罹患しているかどうかの評価判別、すなわち診断を行うことをいう。また、被験者がより重篤な認知機能障害に罹患するリスクの評価等も含み得る。
【0033】
本発明の方法において、認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得るインタクトなタンパク質として、具体的には、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin、配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16、配列番号19で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-A、配列番号21で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-B、配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 1)、および配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 2)が挙げられ、これらのインタクトなタンパク質の部分ペプチドであるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片も同じ目的に用い得る。
【0034】
また、認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得る部分ペプチドとして、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3由来ペプチドCO3、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma由来ペプチドAP2C、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3由来ペプチドSYN3、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor由来ペプチドOXYR、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチド ITH5L、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチドHERC2、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin由来ペプチドTHRB、配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin由来ペプチドTTHY、配列番号18で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチドTNR16、配列番号20で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-1、配列番号22で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-2、配列番号24で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-1、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-2、および配列番号27で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-3が挙げられる。本発明においては、上記のインタクトなタンパク質およびペプチドをマーカーとして用いるが、配列番号1〜27で表されるアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、付加したアミノ酸配列からなるタンパク質およびペプチドも含み、これらのタンパク質またはペプチドも本発明の方法においてバイオマーカーとして用いることができる。ここで、「1個または数個」とは「1個または3個」、「1個または2個」または「1個」をいう。さらに、認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得るこれらのペプチドとして、配列番号1〜27で表されるアミノ酸配列から生じるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片も含まれる。ペプチド断片についてアミノ酸残基5個以上とした理由は、非特許文献2の以下の記載による。すなわち、ヒストンH3のC端(130〜135)のアミノ酸残基配列IRGERAについてRをKに置換したペプチドおよびIRを欠失させ、代わりにCGGをGERAに結合させたペプチドCGGGERAがペプチドIRGERAを免疫原として得た抗体によって認識されたとの報告である。これは、抗原性の認識が4個以上のアミノ酸残基からなるペプチドによってなされることを示している。本発明では、ヒストンH3のC端以外にも一般性を持たせるために、残基数を1つ増やして、5個以上としたが、このような低分子のペプチドをも対象とすることは、イムノ・ブロット法、ELISA法、immunoMS法などのような免疫学的手法を用いて検出ならびに分別する方法を用いるときに重要である。
【0035】
なお、インタクトなタンパク質またはその部分ペプチドに糖鎖が付加されることがある。これらの糖鎖が付加したタンパク質および部分ペプチドも認知機能障害疾患検出のためのバイオマーカーとして用い得る。
【0036】
なお、本発明において、バイオマーカーを定量してもよいし、定性により存在、非存在を決定してもよい。
【0037】
本発明で血清等の生体試料中のバイオマーカーを分離する方法としては、2次元電気泳動あるいは2次元クロマトグラフィーを用い得る。この場合の2種類のクロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等の公知のクロマトグラフィーから選択すればよい。またLC-MS/MS法を用いたSRM/MRM法で定量することもできる。さらに、発明者が開発したビーズ(磁気ビーズを含む)に対象となるタンパク質またはペプチドに対する抗体を結合させ、これにより測定したいタンパク質またはペプチドを捕捉したのち、ビーズから溶出して質量分析により測定するimmunoMS法を用いれば、2次元電気泳動あるいはクロマトグラフィーを用いることなく、簡便に目的のタンパク質、タンパク質断片、ペプチドの有無あるいは量を評価することができる。
【0038】
本発明の方法によれば、被験者の認知機能障害が軽度の段階で評価することができ、予防医学にも有用である。さらに、認知機能障害疾患に罹患した患者に心理療法や薬物療法を行った場合、障害の進行が抑制されるならば、血清などの生体試料中のタンパク質/部分ペプチドの量にも反映される。これを測定することにより、治療効果の評価と判定を行うこともできる。
【0039】
生体試料中のタンパク質の種類および量は種々の方法で測定することができる。対象となるタンパク質(タンパク質断片および部分ペプチドを含む)が特定されていて、それに対する抗体(1次抗体)が得られている場合は、以下の方法を用いることができる。
【0040】
1.イムノ・ブロット法
最も単純な方法である。数段階に希釈した被験血清を用意し、その一定量(1マイクロリットル前後)をニトロセルローズ・メンブレンなどの適当なメンブレンに滴下し、風乾する。BSAなどのタンパク質を含むブロッキング溶液で処理した後、洗浄し、1次抗体を反応させ、洗浄後1次抗体を検出するための標識された2次抗体を反応させる。メンブレンを洗浄後、標識を可視化して濃度を測定する。
【0041】
2.ウエスタン・ブロット法
等電点ないしSDS-PAGEを含む1次元ないし2次元ゲル電気泳動を行った後で、分離されたタンパク質を一旦、PVDFメンブレンなどの適当なメンブレンに転写し、1次抗体と標識された2次抗体を用いて上述のイムノ・ブロット法と同様に操作して、目的のタンパク質の存在量を測定する。
【0042】
3.ELISA法
タンパク質またはその部分ペプチドに対する抗体をあらかじめ特殊な化学修飾をしたマイクロタイタープレート等の担体に結合させ、試料を段階希釈後、抗体を結合させたマイクロタイタープレートにこれを適当量加えてインキュベーションする。その後洗浄し、捕捉されなかったタンパク質および部分ペプチドを除く。次に蛍光もしくは化学発光物質または酵素を結合させた2次抗体を加えインキュベーションする。検出はそれぞれの基質を加えた後、蛍光もしくは化学発光物質または酵素反応による可視光を計測することによって評価判定を行う。抗体の代わりにタンパク質またはその部分ペプチドに結合し得る物質を用いてもよい。例えば、アプタマー等を用いることができる。
【0043】
さらに以下に方法(特許文献2参照)を例示するが、それらには限定されない。
4.マイクロアレイ(マイクロチップ)を用いた方法
マイクロアレイとは、担体(基板)上に測定しようとする物質に結合し得る物質を整列(アレイ)固定化させたデバイスを総称していう。本発明の場合、タンパク質および部分ペプチドに対する抗体またはアプタマーを整列固定化させて用いればよい。測定は、固相化した抗体等に、生体試料を添加し、マイクロアレイ上に測定しようとするタンパク質または部分ペプチドを結合させ、次に蛍光もしくは化学発光物質または酵素を結合させた2次抗体を加えインキュベーションする。検出はそれぞれの基質を加えた後、蛍光もしくは化学発光物質または酵素反応による可視光を計測すればよい。
【0044】
5.質量分析法
質量分析法においては、例えば、特定のタンパク質とその部分ペプチドに対する抗体をあらかじめ特殊な化学修飾をしたマイクロビーズもしくは基板(プロテインチップ)に結合させる。マイクロビーズは磁気ビーズであってもよい。基板の素材は問わない。使用する抗体は(1)特定のタンパク質の完全長のみを認識する抗体、(2)部分ペプチドのみを認識する抗体、(3)特定のタンパク質とその部分ペプチドの両方を認識する抗体のすべて、または上記(1)と(2)、(1)と(3)、もしくは(2)と(3)の組み合わせでもよい。試料を原液または緩衝液で段階希釈後、抗体を結合させたマイクロビーズまたは基板にこれを適当量加え、インキュベーションする。その後洗浄し、捕捉されなかったタンパク質および部分ペプチドを除く。その後、マイクロビーズまたは基板上に捕捉されたタンパク質および部分ペプチドをMALDI-TOF-MS、SELDI-TOF-MSなどを用いた質量分析によって分析し、タンパク質、タンパク質断片および部分ペプチドのピークの質量数とピーク強度を計測する。適当な内部標準物質をもとの生体試料に一定量加えておき、そのピーク強度を測定して、対象となる物質のピーク強度との比を求めることにより、もとの生体試料中の濃度を知ることができる。この方法をimmunoMS法という。また試料を原液または緩衝液で希釈または一部のタンパク質を除去した後、HPLCで分離、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法を用いた質量分析によって定量することができる。その際に、同位体標識した内部標準ペプチドを用いたSRM/MRM法による絶対定量によって資料中の濃度を知ることができる。
【0045】
さらに、上記の方法の他、2次元電気泳動を用いた方法、表面プラズモン共鳴を用いた方法等によっても、タンパク質および部分ペプチドを解析することが可能である。
【0046】
本発明は、被験者から採取した生体試料を2次元電気泳動ないし表面プラズモン共鳴法に供し、前記バイオマーカーの有無ないし量を指標に認知機能障害疾患を検出する方法をも包含する。
【実施例】
【0047】
2次元液体クロマトグラフィー−質量分析(2D-LC MALDI TOF-MS)による認知機能障害疾患診断マーカーペプチドの探索
【0048】
(1)血清試料
以下、括弧の前は略称である。
AD(アルツハイマー病)40例、MCI(軽度認知障害)35例、DLB(レビー小体型認知症)13例、FTD(前頭側頭型認知症)7例、およびNDC(精神疾患に罹患していない被験者)21例からなる。
【0049】
(2)方法
血清25μlの各々に475μlの0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を加え、100℃で15分間煮沸した。その後、分子量1万以下のペプチドを回収するためにミリポア社YM-10を用いて限外ろ過を行った。次に以下のように、2D-LC MALDI TOF-MS法による分析を行った。すなわち、限外ろ過で回収されたサンプルを2次元HPLC(1次元目SCX陽イオン交換ならびに2次元目C18逆相カラム)を用いて1サンプルあたり合計382に分画した。SCX陽イオン交換カラムでは2つの画分に分画した、すなわちSCX 1は素通り画分、SCX 2は塩濃度100%で溶出した画分である。SCXで分画された2つの画分はそれぞれC18逆相カラムクロマトグラフィーにより191の画分に分画した。1画分は6秒で溶出し、保持時間(Retention Time)は溶出済み画分数−1に6秒を乗じて求められた。すべてのサンプルはオンラインで接続されたスポッティングロボット(AccuSpot, SHIMADZU)を用いてMALDI TOF/TOF型質量分析計(ultraflex TOF/TOF, BRUKER DALTONICS)用のMALDIターゲットプレート(MTP AnchorChip(TM) 600/384 plate(BRUKER DALTONICS))上のウエルにマトリックス溶液(α-シアノ-ヒドロキシケイ皮酸, α-CHCA)と混合しながらスポットし共結晶化した。ultraflex TOF/TOFに装着後した後、レーザーを照射しリフレクトロンモードで質量ならびにその質量におけるピーク面積(以下に述べる正規化プロセスを含む)を自動測定した。ピーク面積はマトリックス溶液に予め加えられた各ウエル当り250fmoleのbradykinin 1-7で正規化し、Area値とした。すなわち、サンプルの特定の質量におけるピーク面積をbradykinin 1-7から得られるピーク面積で割った値をArea値とした。このArea値はサンプル血清25μlに対応する。群間で血清中の存在量に差のあるペプチドの検出(差異解析)は、我々が開発した多群間統計解析ソフトウェアであるParnassum(TM)(MCBI)を用いて行った。存在量に差の認められたペプチドは、そのままultraflex TOF/TOFでMS/MSにてアミノ酸配列を決定し、その起源であるインタクトタンパク質またはペプチドを同定した。
【0050】
(3)結果
以下に、個々の被験者の血清を2D-LC MALDI TOF-MSに供して得られたデータについてParnassumソフトウェアで差異解析を行った結果を示す。図1は1次元目のSCX陽イオン交換カラムで2つの画分に分画したもののうち、最初に分画される画分(SCX 1)を2次元目にC18逆相カラムで191の画分に分画した画分をMALDI TOF-MSで測定したスペクトルについて、横軸は単位荷電当たりの質量(m/z)を、縦軸は2次元目の逆相カラムクロマトグラフィーの保持時間で表した図である。図中の点はそれぞれ個々の被験者に由来するTOF-MSのピークであり、点が集合している部分は誤差範囲内で同一m/zかつ同一保持時間の1個のペプチドに由来するピークと規定し、これをクラスターとして示している。図1の(A)で示された長方形内の点の集合はMarker Aのクラスターである。
【0051】
図2はMarker Aの差異解析の結果を示す。Marker Aは後に図4に示すように、Complement C3由来ペプチドCO3である。図2は認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)間の比較である。Area値は、NDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であった。
【0052】
図2の結果から、Marker Aがバイオマーカーとしてどの程度に有用であるかを評価するために受信者操作特性曲線(receiver operating characteristic curve, ROC曲線)による分析を行った。図3のA)、B)はそれぞれAD対NDC、MCI対NDCの比較におけるROC曲線である。ROC曲線の下部の面積値(AUC of ROC)(以下、AUC値という)が1に近いほどバイオマーカーとしての有用性が高くなる。感度(sensitivity)と特異度(specificity)の代表的な値は図3のA)、B)においてy軸上の100%の点からROC曲線に直線を引いたとき、その距離が最小となるROC曲線上の点の座標(図中のopen square)の値である。この点を与えるcutoff値が異なる群の間の分別に有用な閾値となり、そのときの感度と特異度(すなわち上述の代表的な値)がAUC値とともにバイオマーカーの有用性の指標となる。
図3のA)では、AD対NDCにおいて代表的な値としての感度(sensitivity)が73.0%、特異度(specificity)が100%、AUC値が0.88であり、B)ではMCI対NDCにおいて代表的な値としての感度(sensitivity)が70.6%、特異度(specificity)が89.5%、AUC値が0.83であった。
【0053】
以上の結果から、Marker AはAD患者およびMCI患者を精神疾患に罹患していない被験者(NDC)と区別するのに有用であることが分かった。とくに、MCIはADの前段階であることから、ADに移行する可能性がある被験者を早期に診断、検出するマーカーとしてMarker Aはきわめて有用と考えられる。
【0054】
図4はMarker Aについて、ultraflex TOF/TOF型質量分析計でMS/MS解析した結果を示す。y-ion、b-ion、a-ionを示すシグナルが十分に現れており、アミノ酸配列が容易に決定できた。この結果についてMascotによる検索を行い、その起源であるタンパク質またはペプチド(以下、インタクトタンパク質またはペプチドという)がComplement C3と同定され、検出されたペプチドがこのたんぱく質に由来するアミノ酸配列APVIHQEMIGGLRNであることが明らかとなった。検出されたペプチドについてはUniProtのEntry NameであるCO3をペプチド名の略称として用いる。以下、CO3以外のペプチドについても同様とする。
【0055】
Marker Aを含め、群間で血清中の存在量に差のあるペプチドをultraflex TOF/TOFにてMS/MSを行い、アミノ酸配列を決定するとともに、インタクトタンパク質またはペプチドを同定した。結果を以下に示す。Marker A以外のペプチドについてもy-ionおよびb-ionを示すシグナルが十分に現れており、アミノ酸配列が容易に決定できた。以下のアミノ酸配列は2つの配列のセットを1組として示しているが、そのうちの1番目の配列はインタクトタンパク質のアミノ酸配列であり、2番目の配列は検出されたペプチドの配列である。1番目の配列の下線部が検出されたペプチドの配列に対応している。配列中の(0001)から始まるアミノ酸配列はN末端側であることを表わす。
【0056】
〔1〕 Complement C3由来ペプチド CO3
配列番号2のCO3はParnassum(TM)を用いたクラスタリングにより、図1のクラスターを形成していた。図2に示すように、Area値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号2のCO3は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(図3のA)、B)、表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 SPMYSIITPN ILRLESEETM VLEAHDAQGD VPVTVTVHDF PGKKLVLSSE
0051 KTVLTPATNH MGNVTFTIPA NREFKSEKGR NKFVTVQATF GTQVVEKVVL
0101 VSLQSGYLFI QTDKTIYTPG STVLYRIFTV NHKLLPVGRT VMVNIENPEG
0151 IPVKQDSLSS QNQLGVLPLS WDIPELVNMG QWKIRAYYEN SPQQVFSTEF
0201 EVKEYVLPSF EVIVEPTEKF YYIYNEKGLE VTITARFLYG KKVEGTAFVI
0251 FGIQDGEQRI SLPESLKRIP IEDGSGEVVL SRKVLLDGVQ NPRAEDLVGK
0301 SLYVSATVIL HSGSDMVQAE RSGIPIVTSP YQIHFTKTPK YFKPGMPFDL
0351 MVFVTNPDGS PAYRVPVAVQ GEDTVQSLTQ GDGVAKLSIN THPSQKPLSI
0401 TVRTKKQELS EAEQATRTMQ ALPYSTVGNS NNYLHLSVLR TELRPGETLN
0451 VNFLLRMDRA HEAKIRYYTY LIMNKGRLLK AGRQVREPGQ DLVVLPLSIT
0501 TDFIPSFRLV AYYTLIGASG QREVVADSVW VDVKDSCVGS LVVKSGQSED
0551 RQPVPGQQMT LKIEGDHGAR VVLVAVDKGV FVLNKKNKLT QSKIWDVVEK
0601 ADIGCTPGSG KDYAGVFSDA GLTFTSSSGQ QTAQRAELQC PQPAARRRRS
0651 VQLTEKRMDK VGKYPKELRK CCEDGMRENP MRFSCQRRTR FISLGEACKK
0701 VFLDCCNYIT ELRRQHARAS HLGLARSNLD EDIIAEENIV SRSEFPESWL
0751 WNVEDLKEPP KNGISTKLMN IFLKDSITTW EILAVSMSDK KGICVADPFE
0801 VTVMQDFFID LRLPYSVVRN EQVEIRAVLY NYRQNQELKV RVELLHNPAF
0851 CSLATTKRRH QQTVTIPPKS SLSVPYVIVP LKTGLQEVEV KAAVYHHFIS
0901 DGVRKSLKVV PEGIRMNKTV AVRTLDPERL GREGVQKEDI PPADLSDQVP
0951 DTESETRILL QGTPVAQMTE DAVDAERLKH LIVTPSGCGE QNMIGMTPTV
1001 IAVHYLDETE QWEKFGLEKR QGALELIKKG YTQQLAFRQP SSAFAAFVKR
1051 APSTWLTAYV VKVFSLAVNL IAIDSQVLCG AVKWLILEKQ KPDGVFQEDA
1101 PVIHQEMIGG LRNNNEKDMA LTAFVLISLQ EAKDICEEQV NSLPGSITKA
1151 GDFLEANYMN LQRSYTVAIA GYALAQMGRL KGPLLNKFLT TAKDKNRWED
1201 PGKQLYNVEA TSYALLALLQ LKDFDFVPPV VRWLNEQRYY GGGYGSTQAT
1251 FMVFQALAQY QKDAPDHQEL NLDVSLQLPS RSSKITHRIH WESASLLRSE
1301 ETKENEGFTV TAEGKGQGTL SVVTMYHAKA KDQLTCNKFD LKVTIKPAPE
1351 TEKRPQDAKN TMILEICTRY RGDQDATMSI LDISMMTGFA PDTDDLKQLA
1401 NGVDRYISKY ELDKAFSDRN TLIIYLDKVS HSEDDCLAFK VHQYFNVELI
1451 QPGAVKVYAY YNLEESCTRF YHPEKEDGKL NKLCRDELCR CAEENCFIQK
1501 SDDKVTLEER LDKACEPGVD YVYKTRLVKV QLSNDFDEYI MAIEQTIKSG
1551 SDEVQVGQQR TFISPIKCRE ALKLEEKKHY LMWGLSSDFW GEKPNLSYII
1601 GKDTWVEHWP EEDECQDEEN QKQCQDLGAF TESMVVFGCP N(配列番号1)
【0057】
Complement C3由来ペプチド CO3
APVIHQEMIG GLRN(配列番号2)
【0058】
〔2〕 Transcription factor AP-2 gamma由来ペプチド AP2C
配列番号4のAP2CのArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図5)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号4のAP2Cは有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 MLWKITDNVK YEEDCEDRHD GSSNGNPRVP HLSSAGQHLY SPAPPLSHTG
0051 VAEYQPPPYF PPPYQQLAYS QSADPYSHLG EAYAAAINPL HQPAPTGSQQ
0101 QAWPGRQSQE GAGLPSHHGR PAGLLPHLSG LEAGAVSARR DAYRRSDLLL
0151 PHAHALDAAG LAENLGLHDM PHQMDEVQNV DDQHLLLHDQ TVIRKGPISM
0201 TKNPLNLPCQ KELVGAVMNP TEVFCSVPGR LSLLSSTSKY KVTVAEVQRR
0251 LSPPECLNAS LLGGVLRRAK SKNGGRSLRE KLDKIGLNLP AGRRKAAHVT
0301 LLTSLVEGEA VHLARDFAYV CEAEFPSKPV AEYLTRPHLG GRNEMAARKN
0351 MLLAAQQLCK EFTELLSQDR TPHGTSRLAP VLETNIQNCL SHFSLITHGF
0401 GSQAICAAVS ALQNYIKEAL IVIDKSYMNP GDQSPADSNK TLEKMEKHRK(配列番号3)
【0059】
Transcription factor AP-2 gamma由来ペプチド AP2C
PGRQSQEGAG LPSHHG(配列番号4)
【0060】
〔3〕 Synapsin-3由来ペプチド SYN3
配列番号6のSYN3のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図6)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号6のSYN3は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 MNFLRRRLSD SSFMANLPNG YMTDLQRPDS STSSPASPAM ERRHPQPLAA
0051 SFSSPGSSLF SSLSSAMKQA PQATSGLMEP PGPSTPIVQR PRILLVIDDA
0101 HTDWSKYFHG KKVNGEIEIR VEQAEFSELN LAAYVTGGCM VDMQVVRNGT
0151 KVVSRSFKPD FILVRQHAYS MALGEDYRSL VIGLQYGGLP AVNSLYSVYN
0201 FCSKPWVFSQ LIKIFHSLGP EKFPLVEQTF FPNHKPMVTA PHFPVVVKLG
0251 HAHAGMGKIK VENQLDFQDI TSVVAMAKTY ATTEAFIDSK YDIRIQKIGS
0301 NYKAYMRTSI SGNWKANTGS AMLEQVAMTE RYRLWVDSCS EMFGGLDICA
0351 VKAVHSKDGR DYIIEVMDSS MPLIGEHVEE DRQLMADLVV SKMSQLPMPG
0401 GTAPSPLRPW APQIKSAKSP GQAQLGPQLG QPQPRPPPQG GPRQAQSPQP
0451 QRSGSPSQQR LSPQGQQPLS PQSGSPQQQR SPGSPQLSRA SSGSSPNQAS
0501 KPGATLASQP RPPVQGRSTS QQGEESKKPA PPHPHLNKSQ SLTNSLSTSD
0551 TSQRGTPSED EAKAETIRNL RKSFASLFSD(配列番号5)
【0061】
Synapsin-3由来ペプチド SYN3
EMFGGLDICA VKAVHSK(配列番号6)
【0062】
〔4〕 Oxytocin receptor由来ペプチド OXYR
配列番号8のOXYRのArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図7)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号8のOXYRは有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 MEGALAANWS AEAANASAAP PGAEGNRTAG PPRRNEALAR VEVAVLCLIL
0051 LLALSGNACV LLALRTTRQK HSRLFFFMKH LSIADLVVAV FQVLPQLLWD
0101 ITFRFYGPDL LCRLVKYLQV VGMFASTYLL LLMSLDRCLA ICQPLRSLRR
0151 RTDRLAVLAT WLGCLVASAP QVHIFSLREV ADGVFDCWAV FIQPWGPKAY
0201 ITWITLAVYI VPVIVLAACY GLISFKIWQN LRLKTAAAAA AEAPEGAAAG
0251 DGGRVALARV SSVKLISKAK IRTVKMTFII VLAFIVCWTP FFFVQMWSVW
0301 DANAPKEASA FIIVMLLASL NSCCNPWIYM LFTGHLFHEL VQRFLCCSAS
0351 YLKGRRLGET SASKKSNSSS FVLSHRSSSQ RSCSQPSTA(配列番号7)
【0063】
Oxytocin receptor由来ペプチド OXYR
AAPPGAEGNR T(配列番号8)
【0064】
〔5〕 Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチド ITH5L
配列番号10のITH5LのArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図8)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号10のITH5Lは有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPPVPASSST KLLMTSYSMR STVVSRYAHT LVTSVLFNPH AEAHEAIFDL
0051 DLPHLAFISN FTMTINNKVY IAEVKEKHQA KKIYEEAHQQ GKTAAHVGIR
0101 DRESEKFRIS TSLAAGTEVT FSLAYEELLQ RHQGQYQLVV SLRPGQLVKR
0151 LSIEVTVSER TGISYVHIPP LRTGRLRTNA HASEVDSPPS TRIERGETCV
0201 RITYCPTLQD QSSISGSGIM ADFLVQYDVV MEDIIGDVQI YDDYFIHYFA
0251 PRGLPPMEKN VVFVIDVSSS MFGTKMEQTK TAMNVILSDL QANDYFNIIS
0301 FSDTVNVWKA GGSIQATIQN VHSAKDYLHC MEADGWTDVN SALLAAASVL
0351 NHSNQEPGRG PSVGRIPLII FLTDGEPTAG VTTPSVILSN VRQALGHRVS
0401 LFSLAFGDDA DFTLLRRLSL ENRGIARRIY EDTDAALQLK GLYEEISMPL
0451 LADVRLNYLG GLVGASPWAV FPNYFGGSEL VVAGQVQPGK QELGIHLAAR
0501 GPKDQLLVAH HSEGATNNSQ KAFGCPGEPA PNVAHFIRRL WAYVTIGELL
0551 DAHFQARDTT TRHLLAAKVL NLSLEYNFVT PLTSLVMVQP KQASEETRRQ
0601 TSTSAGPDTI MPSSSSRHGL GVSTAQPALV PKVISPKSRP VKPKFYLSST
0651 TTASTKKMLS SKELEPLGES PHTLSMPTYP KAKIPAQQDS GTLAQPTLRT
0701 KPTILVPSNS GTLLPLKPGS LSHQNPDILP TNSRTQVPPV KPGIPASPKA
0751 DTVKCVTPLH SKPGAPSHPQ LGALTSQAPK GLPQSRPGVS TLQVPKYPLH
0801 TRPRVPAPKT RNNMPHLGPG ILLSKTPKIL LSLKPSAPPH QISTSISLSK
0851 PETPNPHMPQ TPLPPRPDRP RPPLPESLST FPNTISSSTG PSSTTTTSVL
0901 GEPLPMPFTP TLPPGRFWHQ YDLLPGPQRT RQVLGPSRPG VPTMSLLNSS
0951 RPTPEGSPPN LPILLPSSIL PEAISLLLLP EELELLSESM VESKFVESLN
1001 PPAFYTFLTP DEDGSPNWDG NSEEILGGAG GSMESQGSSV GLAKGTLPSI
1051 FTFSSSVDGD PHFVIQIPHS EEKICFTLNG HPGDLLQLIE DPKAGLHVSG
1101 KLLGAPPRPG HKDQTRTYFQ IITVTTDKPR AYTITISRSS ISLRGEGTLR
1151 LSWDQPALLK RPQLELYVAA AARLTLRLGP YLEFLVLRHR YRHPSTLQLP
1201 HLGFYVANGS GLSPSARGLI GQFQHADIRL VTGPMGPCLR RHHGPDVPVI
1251 LGKRLLKDSP RLLPRWASCW LVKRSHVELL LGHPYLSYVL(配列番号9)
【0065】
Inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチド ITH5L
RVSLFSLAFG DDAD(配列番号10)
【0066】
〔6〕 E3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチド HERC2
配列番号12のHERC2のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図9)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号12のHERC2は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 MPSESFCLAA QARLDSKWLK TDIQLAFTRD GLCGLWNEMV KDGEIVYTGT
0051 ESTQNGELPP RKDDSVEPSG TKKEDLNDKE KKDEEETPAP IYRAKSILDS
0101 WVWGKQPDVN ELKECLSVLV KEQQALAVQS ATTTLSALRL KQRLVILERY
0151 FIALNRTVFQ ENVKVKWKSS GISLPPVDKK SSRPAGKGVE GLARVGSRAA
0201 LSFAFAFLRR AWRSGEDADL CSELLQESLD ALRALPEASL FDESTVSSVW
0251 LEVVERATRF LRSVVTGDVH GTPATKGPGS IPLQDQHLAL AILLELAVQR
0301 GTLSQMLSAI LLLLQLWDSG AQETDNERSA QGTSAPLLPL LQRFQSIICR
0351 KDAPHSEGDM HLLSGPLSPN ESFLRYLTLP QDNELAIDLR QTAVVVMAHL
0401 DRLATPCMPP LCSSPTSHKG SLQEVIGWGL IGWKYYANVI GPIQCEGLAN
0451 LGVTQIACAE KRFLILSRNG RVYTQAYNSD TLAPQLVQGL ASRNIVKIAA
0501 HSDGHHYLAL AATGEVYSWG CGDGGRLGHG DTVPLEEPKV ISAFSGKQAG
0551 KHVVHIACGS TYSAAITAEG ELYTWGRGNY GRLGHGSSED EAIPMLVAGL
0601 KGLKVIDVAC GSGDAQTLAV TENGQVWSWG DGDYGKLGRG GSDGCKTPKL
0651 IEKLQDLDVV KVRCGSQFSI ALTKDGQVYS WGKGDNQRLG HGTEEHVRYP
0701 KLLEGLQGKK VIDVAAGSTH CLALTEDSEV HSWGSNDQCQ HFDTLRVTKP
0751 EPAALPGLDT KHIVGIACGP AQSFAWSSCS EWSIGLRVPF VVDICSMTFE
0801 QLDLLLRQVS EGMDGSADWP PPQEKECVAV ATLNLLRLQL HAAISHQVDP
0851 EFLGLGLGSI LLNSLKQTVV TLASSAGVLS TVQSAAQAVL QSGWSVLLPT
0901 AEERARALSA LLPCAVSGNE VNISPGRRFM IDLLVGSLMA DGGLESALHA
0951 AITAEIQDIE AKKEAQKEKE IDEQEANAST FHRSRTPLDK DLINTGICES
1001 SGKQCLPLVQ LIQQLLRNIA SQTVARLKDV ARRISSCLDF EQHSRERSAS
1051 LDLLLRFQRL LISKLYPGES IGQTSDISSP ELMGVGSLLK KYTALLCTHI
1101 GDILPVAASI ASTSWRHFAE VAYIVEGDFT GVLLPELVVS IVLLLSKNAG
1151 LMQEAGAVPL LGGLLEHLDR FNHLAPGKER DDHEELAWPG IMESFFTGQN
1201 CRNNEEVTLI RKADLENHNK DGGFWTVIDG KVYDIKDFQT QSLTGNSILA
1251 QFAGEDPVVA LEAALQFEDT RESMHAFCVG QYLEPDQEIV TIPDLGSLSS
1301 PLIDTERNLG LLLGLHASYL AMSTPLSPVE IECAKWLQSS IFSGGLQTSQ
1351 IHYSYNEEKD EDHCSSPGGT PASKSRLCSH RRALGDHSQA FLQAIADNNI
1401 QDHNVKDFLC QIERYCRQCH LTTPIMFPPE HPVEEVGRLL LCCLLKHEDL
1451 GHVALSLVHA GALGIEQVKH RTLPKSVVDV CRVVYQAKCS LIKTHQEQGR
1501 SYKEVCAPVI ERLRFLFNEL RPAVCNDLSI MSKFKLLSSL PRWRRIAQKI
1551 IRERRKKRVP KKPESTDDEE KIGNEESDLE EACILPHSPI NVDKRPIAIK
1601 SPKDKWQPLL STVTGVHKYK WLKQNVQGLY PQSPLLSTIA EFALKEEPVD
1651 VEKMRKCLLK QLERAEVRLE GIDTILKLAS KNFLLPSVQY AMFCGWQRLI
1701 PEGIDIGEPL TDCLKDVDLI PPFNRMLLEV TFGKLYAWAV QNIRNVLMDA
1751 SAKFKELGIQ PVPLQTITNE NPSGPSLGTI PQARFLLVML SMLTLQHGAN
1801 NLDLLLNSGM LALTQTALRL IGPSCDNVEE DMNASAQGAS ATVLEETRKE
1851 TAPVQLPVSG PELAAMMKIG TRVMRGVDWK WGDQDGPPPG LGRVIGELGE
1901 DGWIRVQWDT GSTNSYRMGK EGKYDLKLAE LPAAAQPSAE DSDTEDDSEA
1951 EQTERNIHPT AMMFTSTINL LQTLCLSAGV HAEIMQSEAT KTLCGLLRML
2001 VESGTTDKTS SPNRLVYREQ HRSWCTLGFV RSIALTPQVC GALSSPQWIT
2051 LLMKVVEGHA PFTATSLQRQ ILAVHLLQAV LPSWDKTERA RDMKCLVEKL
2101 FDFLGSLLTT CSSDVPLLRE STLRRRRVRP QASLTATHSS TLAEEVVALL
2151 RTLHSLTQWN GLINKYINSQ LRSITHSFVG RPSEGAQLED YFPDSENPEV
2201 GGLMAVLAVI GGIDGRLRLG GQVMHDEFGE GTVTRITPKG KITVQFSDMR
2251 TCRVCPLNQL KPLPAVAFNV NNLPFTEPML SVWAQLVNLA GSKLEKHKIK
2301 KSTKQAFAGQ VDLDLLRCQQ LKLYILKAGR ALLSHQDKLR QILSQPAVQE
2351 TGTVHTDDGA VVSPDLGDMS PEGPQPPMIL LQQLLASATQ PSPVKAIFDK
2401 QELEAAALAV CQCLAVESTH PSSPGFEDCS SSEATTPVAV QHIRPARVKR
2451 RKQSPVPALP IVVQLMEMGF SRRNIEFALK SLTGASGNAS SLPGVEALVG
2501 WLLDHSDIQV TELSDADTVS DEYSDEEVVE DVDDAAYSMS TGAVVTESQT
2551 YKKRADFLSN DDYAVYVREN IQVGMMVRCC RAYEEVCEGD VGKVIKLDRD
2601 GLHDLNVQCD WQQKGGTYWV RYIHVELIGY PPPSSSSHIK IGDKVRVKAS
2651 VTTPKYKWGS VTHQSVGVVK AFSANGKDII VDFPQQSHWT GLLSEMELVP
2701 SIHPGVTCDG CQMFPINGSR FKCRNCDDFD FCETCFKTKK HNTRHTFGRI
2751 NEPGQSAVFC GRSGKQLKRC HSSQPGMLLD SWSRMVKSLN VSSSVNQASR
2801 LIDGSEPCWQ SSGSQGKHWI RLEIFPDVLV HRLKMIVDPA DSSYMPSLVV
2851 VSGGNSLNNL IELKTININP SDTTVPLLND CTEYHRYIEI AIKQCRSSGI
2901 DCKIHGLILL GRIRAEEEDL AAVPFLASDN EEEEDEKGNS GSLIRKKAAG
2951 LESAATIRTK VFVWGLNDKD QLGGLKGSKI KVPSFSETLS ALNVVQVAGG
3001 SKSLFAVTVE GKVYACGEAT NGRLGLGISS GTVPIPRQIT ALSSYVVKKV
3051 AVHSGGRHAT ALTVDGKVFS WGEGDDGKLG HFSRMNCDKP RLIEALKTKR
3101 IRDIACGSSH SAALTSSGEL YTWGLGEYGR LGHGDNTTQL KPKMVKVLLG
3151 HRVIQVACGS RDAQTLALTD EGLVFSWGDG DFGKLGRGGS EGCNIPQNIE
3201 RLNGQGVCQI ECGAQFSLAL TKSGVVWTWG KGDYFRLGHG SDVHVRKPQV
3251 VEGLRGKKIV HVAVGALHCL AVTDSGQVYA WGDNDHGQQG NGTTTVNRKP
3301 TLVQGLEGQK ITRVACGSSH SVAWTTVDVA TPSVHEPVLF QTARDPLGAS
3351 YLGVPSDADS SAASNKISGA SNSKPNRPSL AKILLSLDGN LAKQQALSHI
3401 LTALQIMYAR DAVVGALMPA AMIAPVECPS FSSAAPSDAS AMASPMNGEE
3451 CMLAVDIEDR LSPNPWQEKR EIVSSEDAVT PSAVTPSAPS ASARPFIPVT
3501 DDLGAASIIA ETMTKTKEDV ESQNKAAGPE PQALDEFTSL LIADDTRVVV
3551 DLLKLSVCSR AGDRGRDVLS AVLSGMGTAY PQVADMLLEL CVTELEDVAT
3601 DSQSGRLSSQ PVVVESSHPY TDDTSTSGTV KIPGAEGLRV EFDRQCSTER
3651 RHDPLTVMDG VNRIVSVRSG REWSDWSSEL RIPGDELKWK FISDGSVNGW
3701 GWRFTVYPIM PAAGPKELLS DRCVLSCPSM DLVTCLLDFR LNLASNRSIV
3751 PRLAASLAAC AQLSALAASH RMWALQRLRK LLTTEFGQSI NINRLLGEND
3801 GETRALSFTG SALAALVKGL PEALQRQFEY EDPIVRGGKQ LLHSPFFKVL
3851 VALACDLELD TLPCCAETHK WAWFRRYCMA SRVAVALDKR TPLPRLFLDE
3901 VAKKIRELMA DSENMDVLHE SHDIFKREQD EQLVQWMNRR PDDWTLSAGG
3951 SGTIYGWGHN HRGQLGGIEG AKVKVPTPCE ALATLRPVQL IGGEQTLFAV
4001 TADGKLYATG YGAGGRLGIG GTESVSTPTL LESIQHVFIK KVAVNSGGKH
4051 CLALSSEGEV YSWGEAEDGK LGHGNRSPCD RPRVIESLRG IEVVDVAAGG
4101 AHSACVTAAG DLYTWGKGRY GRLGHSDSED QLKPKLVEAL QGHRVVDIAC
4151 GSGDAQTLCL TDDDTVWSWG DGDYGKLGRG GSDGCKVPMK IDSLTGLGVV
4201 KVECGSQFSV ALTKSGAVYT WGKGDYHRLG HGSDDHVRRP RQVQGLQGKK
4251 VIAIATGSLH CVCCTEDGEV YTWGDNDEGQ LGDGTTNAIQ RPRLVAALQG
4301 KKVNRVACGS AHTLAWSTSK PASAGKLPAQ VPMEYNHLQE IPIIALRNRL
4351 LLLHHLSELF CPCIPMFDLE GSLDETGLGP SVGFDTLRGI LISQGKEAAF
4401 RKVVQATMVR DRQHGPVVEL NRIQVKRSRS KGGLAGPDGT KSVFGQMCAK
4451 MSSFGPDSLL LPHRVWKVKF VGESVDDCGG GYSESIAEIC EELQNGLTPL
4501 LIVTPNGRDE SGANRDCYLL SPAARAPVHS SMFRFLGVLL GIAIRTGSPL
4551 SLNLAEPVWK QLAGMSLTIA DLSEVDKDFI PGLMYIRDNE ATSEEFEAMS
4601 LPFTVPSASG QDIQLSSKHT HITLDNRAEY VRLAINYRLH EFDEQVAAVR
4651 EGMARVVPVP LLSLFTGYEL ETMVCGSPDI PLHLLKSVAT YKGIEPSASL
4701 IQWFWEVMES FSNTERSLFL RFVWGRTRLP RTIADFRGRD FVIQVLDKYN
4751 PPDHFLPESY TCFFLLKLPR YSCKQVLEEK LKYAIHFCKS IDTDDYARIA
4801 LTGEPAADDS SDDSDNEDVD SFASDSTQDY LTGH(配列番号11)
【0067】
E3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチド HERC2
KLAELPAAAQ PSAEDSD(配列番号12)
【0068】
〔7〕 Prothrombin由来ペプチド THRB
配列番号14のTHRBのArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図10)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号14のTHRBは有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 ANTFLEEVRK GNLERECVEE TCSYEEAFEA LESSTATDVF WAKYTACETA
0051 RTPRDKLAAC LEGNCAEGLG TNYRGHVNIT RSGIECQLWR SRYPHKPEIN
0101 STTHPGADLQ ENFCRNPDSS TTGPWCYTTD PTVRRQECSI PVCGQDQVTV
0151 AMTPRSEGSS VNLSPPLEQC VPDRGQQYQG RLAVTTHGLP CLAWASAQAK
0201 ALSKHQDFNS AVQLVENFCR NPDGDEEGVW CYVAGKPGDF GYCDLNYCEE
0251 AVEEETGDGL DEDSDRAIEG RTATSEYQTF FNPRTFGSGE ADCGLRPLFE
0301 KKSLEDKTER ELLESYIDGR IVEGSDAEIG MSPWQVMLFR KSPQELLCGA
0351 SLISDRWVLT AAHCLLYPPW DKNFTENDLL VRIGKHSRTR YERNIEKISM
0401 LEKIYIHPRY NWRENLDRDI ALMKLKKPVA FSDYIHPVCL PDRETAASLL
0451 QAGYKGRVTG WGNLKETWTA NVGKGQPSVL QVVNLPIVER PVCKDSTRIR
0501 ITDNMFCAGY KPDEGKRGDA CEGDSGGPFV MKSPFNNRWY QMGIVSWGEG
0551 CDRDGKYGFY THVFRLKKWI QKVIDQFGE(配列番号13)
【0069】
Prothrombin由来ペプチド THRB
TATSEYQTFF NPRTFGSGEA D(配列番号14)
【0070】
〔8〕 Transthyretin由来ペプチド TTHY
配列番号16のTTHYのArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図11)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号16のTTHYは有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPTGTGESKC PLMVKVLDAV RGSPAINVAV HVFRKAADDT WEPFASGKTS
0051 ESGELHGLTT EEEFVEGIYK VEIDTKSYWK ALGISPFHEH AEVVFTANDS
0101 GPRRYTIAAL LSPYSYSTTA VVTNPKE(配列番号15)
【0071】
Transthyretin由来ペプチド TTHY
AVRGSPAINV AVHVFRKAAD(配列番号16)
【0072】
〔9〕 Tumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチド TNR16
配列番号18のTNR16のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図12)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号18のTNR16は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 KEACPTGLYT HSGECCKACN LGEGVAQPCG ANQTVCEPCL DSVTFSDVVS
0051 ATEPCKPCTE CVGLQSMSAP CVEADDAVCR CAYGYYQDET TGRCEACRVC
0101 EAGSGLVFSC QDKQNTVCEE CPDGTYSDEA NHVDPCLPCT VCEDTERQLR
0151 ECTRWADAEC EEIPGRWITR STPPEGSDST APSTQEPEAP PEQDLIASTV
0201 AGVVTTVMGS SQPVVTRGTT DNLIPVYCSI LAAVVVGLVA YIAFKRWNSC
0251 KQNKQGANSR PVNQTPPPEG EKLHSDSGIS VDSQSLHDQQ PHTQTASGQA
0301 LKGDGGLYSS LPPAKREEVE KLLNGSAGDT WRHLAGELGY QPEHIDSFTH
0351 EACPVRALLA SWATQDSATL DALLAALRRI QRADLVESLC SESTATSPV(配列番号17)
【0073】
Tumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチド TNR16
QTASGQALKG DGGLYS(配列番号18)
【0074】
〔10〕 Complement C4-A由来ペプチド CO4-1
配列番号20のCO4-1のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図13)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号20のCO4-1は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
Complement C4-Aタンパク質は生合成後、プロセシングによりComplement C4 beta chain、Complement C4-A alpha chain、Complement C4 gamma chainに分かれる。配列番号19は、これらのすべてを含むインタクトタンパク質Complement C4-Aのアミノ酸配列である。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 KPRLLLFSPS VVHLGVPLSV GVQLQDVPRG QVVKGSVFLR NPSRNNVPCS
0051 PKVDFTLSSE RDFALLSLQV PLKDAKSCGL HQLLRGPEVQ LVAHSPWLKD
0101 SLSRTTNIQG INLLFSSRRG HLFLQTDQPI YNPGQRVRYR VFALDQKMRP
0151 STDTITVMVE NSHGLRVRKK EVYMPSSIFQ DDFVIPDISE PGTWKISARF
0201 SDGLESNSST QFEVKKYVLP NFEVKITPGK PYILTVPGHL DEMQLDIQAR
0251 YIYGKPVQGV AYVRFGLLDE DGKKTFFRGL ESQTKLVNGQ SHISLSKAEF
0301 QDALEKLNMG ITDLQGLRLY VAAAIIESPG GEMEEAELTS WYFVSSPFSL
0351 DLSKTKRHLV PGAPFLLQAL VREMSGSPAS GIPVKVSATV SSPGSVPEVQ
0401 DIQQNTDGSG QVSIPIIIPQ TISELQLSVS AGSPHPAIAR LTVAAPPSGG
0451 PGFLSIERPD SRPPRVGDTL NLNLRAVGSG ATFSHYYYMI LSRGQIVFMN
0501 REPKRTLTSV SVFVDHHLAP SFYFVAFYYH GDHPVANSLR VDVQAGACEG
0551 KLELSVDGAK QYRNGESVKL HLETDSLALV ALGALDTALY AAGSKSHKPL
0601 NMGKVFEAMN SYDLGCGPGG GDSALQVFQA AGLAFSDGDQ WTLSRKRLSC
0651 PKEKTTRKKR NVNFQKAINE KLGQYASPTA KRCCQDGVTR LPMMRSCEQR
0701 AARVQQPDCR EPFLSCCQFA ESLRKKSRDK GQAGLQRALE ILQEEDLIDE
0751 DDIPVRSFFP ENWLWRVETV DRFQILTLWL PDSLTTWEIH GLSLSKTKGL
0801 CVATPVQLRV FREFHLHLRL PMSVRRFEQL ELRPVLYNYL DKNLTVSVHV
0851 SPVEGLCLAG GGGLAQQVLV PAGSARPVAF SVVPTAAAAV SLKVVARGSF
0901 EFPVGDAVSK VLQIEKEGAI HREELVYELN PLDHRGRTLE IPGNSDPNMI
0951 PDGDFNSYVR VTASDPLDTL GSEGALSPGG VASLLRLPRG CGEQTMIYLA
1001 PTLAASRYLD KTEQWSTLPP ETKDHAVDLI QKGYMRIQQF RKADGSYAAW
1051 LSRDSSTWLT AFVLKVLSLA QEQVGGSPEK LQETSNWLLS QQQADGSFQD
1101 PCPVLDRSMQ GGLVGNDETV ALTAFVTIAL HHGLAVFQDE GAEPLKQRVE
1151 ASISKANSFL GEKASAGLLG AHAAAITAYA LSLTKAPVDL LGVAHNNLMA
1201 MAQETGDNLY WGSVTGSQSN AVSPTPAPRN PSDPMPQAPA LWIETTAYAL
1251 LHLLLHEGKA EMADQASAWL TRQGSFQGGF RSTQDTVIAL DALSAYWIAS
1301 HTTEERGLNV TLSSTGRNGF KSHALQLNNR QIRGLEEELQ FSLGSKINVK
1351 VGGNSKGTLK VLRTYNVLDM KNTTCQDLQI EVTVKGHVEY TMEANEDYED
1401 YEYDELPAKD DPDAPLQPVT PLQLFEGRRN RRRREAPKVV EEQESRVHYT
1451 VCIWRNGKVG LSGMAIADVT LLSGFHALRA DLEKLTSLSD RYVSHFETEG
1501 PHVLLYFDSV PTSRECVGFE AVQEVPVGLV QPASATLYDY YNPERRCSVF
1551 YGAPSKSRLL ATLCSAEVCQ CAEGKCPRQR RALERGLQDE DGYRMKFACY
1601 YPRVEYGFQV KVLREDSRAA FRLFETKITQ VLHFTKDVKA AANQMRNFLV
1651 RASCRLRLEP GKEYLIMGLD GATYDLEGHP QYLLDSNSWI EEMPSERLCR
1701 STRQRAACAQ LNDFLQEYGT QGCQV(配列番号19)
【0075】
Complement C4由来ペプチド CO4-1
NGFKSHALQL NNRQIR(配列番号20)
【0076】
〔11〕 Complement C4-B由来ペプチド CO4-1
配列番号20のペプチドCO4-1はMS/MSおよび、MASCOTデータベース検索の結果から、Complement C4-A(配列番号19)およびComplement C4-Bのタンパク質に共通するトポロジカル領域部分に存在するアミノ酸配列である。
Complement C4-Bタンパク質は生合成後、プロセシングによりComplement C4 beta chain、Complement C4-B alpha chain、Complement C4 gamma chainに分かれる。配列番号21は、これらのすべてを含むインタクトタンパク質Complement C4-Bのアミノ酸配列である。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 KPRLLLFSPS VVHLGVPLSV GVQLQDVPRG QVVKGSVFLR NPSRNNVPCS
0051 PKVDFTLSSE RDFALLSLQV PLKDAKSCGL HQLLRGPEVQ LVAHSPWLKD
0101 SLSRTTNIQG INLLFSSRRG HLFLQTDQPI YNPGQRVRYR VFALDQKMRP
0151 STDTITVMVE NSHGLRVRKK EVYMPSSIFQ DDFVIPDISE PGTWKISARF
0201 SDGLESNSST QFEVKKYVLP NFEVKITPGK PYILTVPGHL DEMQLDIQAR
0251 YIYGKPVQGV AYVRFGLLDE DGKKTFFRGL ESQTKLVNGQ SHISLSKAEF
0301 QDALEKLNMG ITDLQGLRLY VAAAIIESPG GEMEEAELTS WYFVSSPFSL
0351 DLSKTKRHLV PGAPFLLQAL VREMSGSPAS GIPVKVSATV SSPGSVPEVQ
0401 DIQQNTDGSG QVSIPIIIPQ TISELQLSVS AGSPHPAIAR LTVAAPPSGG
0451 PGFLSIERPD SRPPRVGDTL NLNLRAVGSG ATFSHYYYMI LSRGQIVFMN
0501 REPKRTLTSV SVFVDHHLAP SFYFVAFYYH GDHPVANSLR VDVQAGACEG
0551 KLELSVDGAK QYRNGESVKL HLETDSLALV ALGALDTALY AAGSKSHKPL
0601 NMGKVFEAMN SYDLGCGPGG GDSALQVFQA AGLAFSDGDQ WTLSRKRLSC
0651 PKEKTTRKKR NVNFQKAINE KLGQYASPTA KRCCQDGVTR LPMMRSCEQR
0701 AARVQQPDCR EPFLSCCQFA ESLRKKSRDK GQAGLQRALE ILQEEDLIDE
0751 DDIPVRSFFP ENWLWRVETV DRFQILTLWL PDSLTTWEIH GLSLSKTKGL
0801 CVATPVQLRV FREFHLHLRL PMSVRRFEQL ELRPVLYNYL DKNLTVSVHV
0851 SPVEGLCLAG GGGLAQQVLV PAGSARPVAF SVVPTAAAAV SLKVVARGSF
0901 EFPVGDAVSK VLQIEKEGAI HREELVYELN PLDHRGRTLE IPGNSDPNMI
0951 PDGDFNSYVR VTASDPLDTL GSEGALSPGG VASLLRLPRG CGEQTMIYLA
1001 PTLAASRYLD KTEQWSTLPP ETKDHAVDLI QKGYMRIQQF RKADGSYAAW
1051 LSRDSSTWLT AFVLKVLSLA QEQVGGSPEK LQETSNWLLS QQQADGSFQD
1101 LSPVIHRSMQ GGLVGNDETV ALTAFVTIAL HHGLAVFQDE GAEPLKQRVE
1151 ASISKANSFL GEKASAGLLG AHAAAITAYA LSLTKAPVDL LGVAHNNLMA
1201 MAQETGDNLY WGSVTGSQSN AVSPTPAPRN PSDPMPQAPA LWIETTAYAL
1251 LHLLLHEGKA EMADQASAWL TRQGSFQGGF RSTQDTVIAL DALSAYWIAS
1301 HTTEERGLNV TLSSTGRNGF KSHALQLNNR QIRGLEEELQ FSLGSKINVK
1351 VGGNSKGTLK VLRTYNVLDM KNTTCQDLQI EVTVKGHVEY TMEANEDYED
1401 YEYDELPAKD DPDAPLQPVT PLQLFEGRRN RRRREAPKVV EEQESRVHYT
1451 VCIWRNGKVG LSGMAIADVT LLSGFHALRA DLEKLTSLSD RYVSHFETEG
1501 PHVLLYFDSV PTSRECVGFE AVQEVPVGLV QPASATLYDY YNPERRCSVF
1551 YGAPSKSRLL ATLCSAEVCQ CAEGKCPRQR RALERGLQDE DGYRMKFACY
1601 YPRVEYGFQV KVLREDSRAA FRLFETKITQ VLHFTKDVKA AANQMRNFLV
1651 RASCRLRLEP GKEYLIMGLD GATYDLEGHP QYLLDSNSWI EEMPSERLCR
1701 STRQRAACAQ LNDFLQEYGT QGCQV(配列番号21)
【0077】
念のため、CO4-1の配列を以下に示す。
Complement C4由来ペプチド CO4-1
NGFKSHALQL NNRQIR(配列番号20)
【0078】
〔12〕 Complement C4-A由来ペプチド CO4-2
配列番号22のCO4-2のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図14)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号22のCO4-2は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
Complement C4-Aタンパク質は生合成後、プロセシングによりComplement C4 beta chain、Complement C4-A alpha chain、Complement C4 gamma chainに分かれる。配列番号19は、これらのすべてを含むインタクトタンパク質Complement C4-Aのアミノ酸配列である。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 KPRLLLFSPS VVHLGVPLSV GVQLQDVPRG QVVKGSVFLR NPSRNNVPCS
0051 PKVDFTLSSE RDFALLSLQV PLKDAKSCGL HQLLRGPEVQ LVAHSPWLKD
0101 SLSRTTNIQG INLLFSSRRG HLFLQTDQPI YNPGQRVRYR VFALDQKMRP
0151 STDTITVMVE NSHGLRVRKK EVYMPSSIFQ DDFVIPDISE PGTWKISARF
0201 SDGLESNSST QFEVKKYVLP NFEVKITPGK PYILTVPGHL DEMQLDIQAR
0251 YIYGKPVQGV AYVRFGLLDE DGKKTFFRGL ESQTKLVNGQ SHISLSKAEF
0301 QDALEKLNMG ITDLQGLRLY VAAAIIESPG GEMEEAELTS WYFVSSPFSL
0351 DLSKTKRHLV PGAPFLLQAL VREMSGSPAS GIPVKVSATV SSPGSVPEVQ
0401 DIQQNTDGSG QVSIPIIIPQ TISELQLSVS AGSPHPAIAR LTVAAPPSGG
0451 PGFLSIERPD SRPPRVGDTL NLNLRAVGSG ATFSHYYYMI LSRGQIVFMN
0501 REPKRTLTSV SVFVDHHLAP SFYFVAFYYH GDHPVANSLR VDVQAGACEG
0551 KLELSVDGAK QYRNGESVKL HLETDSLALV ALGALDTALY AAGSKSHKPL
0601 NMGKVFEAMN SYDLGCGPGG GDSALQVFQA AGLAFSDGDQ WTLSRKRLSC
0651 PKEKTTRKKR NVNFQKAINE KLGQYASPTA KRCCQDGVTR LPMMRSCEQR
0701 AARVQQPDCR EPFLSCCQFA ESLRKKSRDK GQAGLQRALE ILQEEDLIDE
0751 DDIPVRSFFP ENWLWRVETV DRFQILTLWL PDSLTTWEIH GLSLSKTKGL
0801 CVATPVQLRV FREFHLHLRL PMSVRRFEQL ELRPVLYNYL DKNLTVSVHV
0851 SPVEGLCLAG GGGLAQQVLV PAGSARPVAF SVVPTAAAAV SLKVVARGSF
0901 EFPVGDAVSK VLQIEKEGAI HREELVYELN PLDHRGRTLE IPGNSDPNMI
0951 PDGDFNSYVR VTASDPLDTL GSEGALSPGG VASLLRLPRG CGEQTMIYLA
1001 PTLAASRYLD KTEQWSTLPP ETKDHAVDLI QKGYMRIQQF RKADGSYAAW
1051 LSRDSSTWLT AFVLKVLSLA QEQVGGSPEK LQETSNWLLS QQQADGSFQD
1101 PCPVLDRSMQ GGLVGNDETV ALTAFVTIAL HHGLAVFQDE GAEPLKQRVE
1151 ASISKANSFL GEKASAGLLG AHAAAITAYA LSLTKAPVDL LGVAHNNLMA
1201 MAQETGDNLY WGSVTGSQSN AVSPTPAPRN PSDPMPQAPA LWIETTAYAL
1251 LHLLLHEGKA EMADQASAWL TRQGSFQGGF RSTQDTVIAL DALSAYWIAS
1301 HTTEERGLNV TLSSTGRNGF KSHALQLNNR QIRGLEEELQ FSLGSKINVK
1351 VGGNSKGTLK VLRTYNVLDM KNTTCQDLQI EVTVKGHVEY TMEANEDYED
1401 YEYDELPAKD DPDAPLQPVT PLQLFEGRRN RRRREAPKVV EEQESRVHYT
1451 VCIWRNGKVG LSGMAIADVT LLSGFHALRA DLEKLTSLSD RYVSHFETEG
1501 PHVLLYFDSV PTSRECVGFE AVQEVPVGLV QPASATLYDY YNPERRCSVF
1551 YGAPSKSRLL ATLCSAEVCQ CAEGKCPRQR RALERGLQDE DGYRMKFACY
1601 YPRVEYGFQV KVLREDSRAA FRLFETKITQ VLHFTKDVKA AANQMRNFLV
1651 RASCRLRLEP GKEYLIMGLD GATYDLEGHP QYLLDSNSWI EEMPSERLCR
1701 STRQRAACAQ LNDFLQEYGT QGCQV(配列番号19)
【0079】
Complement C4由来ペプチド CO4-2
APLQPVTPLQ LFEGRRN(配列番号22)
【0080】
〔13〕 Complement C4-B由来ペプチド CO4-2
配列番号22のペプチドCO4-2はMS/MSおよび、MASCOTデータベース検索の結果から、Complement C4-A(配列番号19)およびComplement C4-Bのタンパク質に共通するトポロジカル領域部分に存在するアミノ酸配列である。
Complement C4-Bタンパク質は生合成後、プロセシングによりComplement C4 beta chain、Complement C4-B alpha chain、Complement C4 gamma chainに分かれる。配列番号21は、これらのすべてを含むインタクトタンパク質Complement C4-Bのアミノ酸配列である。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 KPRLLLFSPS VVHLGVPLSV GVQLQDVPRG QVVKGSVFLR NPSRNNVPCS
0051 PKVDFTLSSE RDFALLSLQV PLKDAKSCGL HQLLRGPEVQ LVAHSPWLKD
0101 SLSRTTNIQG INLLFSSRRG HLFLQTDQPI YNPGQRVRYR VFALDQKMRP
0151 STDTITVMVE NSHGLRVRKK EVYMPSSIFQ DDFVIPDISE PGTWKISARF
0201 SDGLESNSST QFEVKKYVLP NFEVKITPGK PYILTVPGHL DEMQLDIQAR
0251 YIYGKPVQGV AYVRFGLLDE DGKKTFFRGL ESQTKLVNGQ SHISLSKAEF
0301 QDALEKLNMG ITDLQGLRLY VAAAIIESPG GEMEEAELTS WYFVSSPFSL
0351 DLSKTKRHLV PGAPFLLQAL VREMSGSPAS GIPVKVSATV SSPGSVPEVQ
0401 DIQQNTDGSG QVSIPIIIPQ TISELQLSVS AGSPHPAIAR LTVAAPPSGG
0451 PGFLSIERPD SRPPRVGDTL NLNLRAVGSG ATFSHYYYMI LSRGQIVFMN
0501 REPKRTLTSV SVFVDHHLAP SFYFVAFYYH GDHPVANSLR VDVQAGACEG
0551 KLELSVDGAK QYRNGESVKL HLETDSLALV ALGALDTALY AAGSKSHKPL
0601 NMGKVFEAMN SYDLGCGPGG GDSALQVFQA AGLAFSDGDQ WTLSRKRLSC
0651 PKEKTTRKKR NVNFQKAINE KLGQYASPTA KRCCQDGVTR LPMMRSCEQR
0701 AARVQQPDCR EPFLSCCQFA ESLRKKSRDK GQAGLQRALE ILQEEDLIDE
0751 DDIPVRSFFP ENWLWRVETV DRFQILTLWL PDSLTTWEIH GLSLSKTKGL
0801 CVATPVQLRV FREFHLHLRL PMSVRRFEQL ELRPVLYNYL DKNLTVSVHV
0851 SPVEGLCLAG GGGLAQQVLV PAGSARPVAF SVVPTAAAAV SLKVVARGSF
0901 EFPVGDAVSK VLQIEKEGAI HREELVYELN PLDHRGRTLE IPGNSDPNMI
0951 PDGDFNSYVR VTASDPLDTL GSEGALSPGG VASLLRLPRG CGEQTMIYLA
1001 PTLAASRYLD KTEQWSTLPP ETKDHAVDLI QKGYMRIQQF RKADGSYAAW
1051 LSRDSSTWLT AFVLKVLSLA QEQVGGSPEK LQETSNWLLS QQQADGSFQD
1101 LSPVIHRSMQ GGLVGNDETV ALTAFVTIAL HHGLAVFQDE GAEPLKQRVE
1151 ASISKANSFL GEKASAGLLG AHAAAITAYA LSLTKAPVDL LGVAHNNLMA
1201 MAQETGDNLY WGSVTGSQSN AVSPTPAPRN PSDPMPQAPA LWIETTAYAL
1251 LHLLLHEGKA EMADQASAWL TRQGSFQGGF RSTQDTVIAL DALSAYWIAS
1301 HTTEERGLNV TLSSTGRNGF KSHALQLNNR QIRGLEEELQ FSLGSKINVK
1351 VGGNSKGTLK VLRTYNVLDM KNTTCQDLQI EVTVKGHVEY TMEANEDYED
1401 YEYDELPAKD DPDAPLQPVT PLQLFEGRRN RRRREAPKVV EEQESRVHYT
1451 VCIWRNGKVG LSGMAIADVT LLSGFHALRA DLEKLTSLSD RYVSHFETEG
1501 PHVLLYFDSV PTSRECVGFE AVQEVPVGLV QPASATLYDY YNPERRCSVF
1551 YGAPSKSRLL ATLCSAEVCQ CAEGKCPRQR RALERGLQDE DGYRMKFACY
1601 YPRVEYGFQV KVLREDSRAA FRLFETKITQ VLHFTKDVKA AANQMRNFLV
1651 RASCRLRLEP GKEYLIMGLD GATYDLEGHP QYLLDSNSWI EEMPSERLCR
1701 STRQRAACAQ LNDFLQEYGT QGCQV(配列番号21)
【0081】
念のため、CO4-2の配列を以下に示す。
Complement C4由来ペプチド CO4-2
APLQPVTPLQ LFEGRRN(配列番号22)
【0082】
〔14〕 Fibrinogen alpha chain (isoform 1)由来ペプチド FIBA-1
配列番号24のFIBA-1のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図15)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号24のFIBA-1は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPRVVERHQS ACKDSDWPFC SDEDWNYKCP SGCRMKGLID EVNQDFTNRI
0051 NKLKNSLFEY QKNNKDSHSL TTNIMEILRG DFSSANNRDN TYNRVSEDLR
0101 SRIEVLKRKV IEKVQHIQLL QKNVRAQLVD MKRLEVDIDI KIRSCRGSCS
0151 RALAREVDLK DYEDQQKQLE QVIAKDLLPS RDRQHLPLIK MKPVPDLVPG
0201 NFKSQLQKVP PEWKALTDMP QMRMELERPG GNEITRGGST SYGTGSETES
0251 PRNPSSAGSW NSGSSGPGST GNRNPGSSGT GGTATWKPGS SGPGSTGSWN
0301 SGSSGTGSTG NQNPGSPRPG STGTWNPGSS ERGSAGHWTS ESSVSGSTGQ
0351 WHSESGSFRP DSPGSGNARP NNPDWGTFEE VSGNVSPGTR REYHTEKLVT
0401 SKGDKELRTG KEKVTSGSTT TTRRSCSKTV TKTVIGPDGH KEVTKEVVTS
0451 EDGSDCPEAM DLGTLSGIGT LDGFRHRHPD EAAFFDTAST GKTFPGFFSP
0501 MLGEFVSETE SRGSESGIFT NTKESSSHHP GIAEFPSRGK SSSYSKQFTS
0551 STSYNRGDST FESKSYKMAD EAGSEADHEG THSTKRGHAK SRPVRDCDDV
0601 LQTHPSGTQS GIFNIKLPGS SKIFSVYCDQ ETSLGGWLLI QQRMDGSLNF
0651 NRTWQDYKRG FGSLNDEGEG EFWLGNDYLH LLTQRGSVLR VELEDWAGNE
0701 AYAEYHFRVG SEAEGYALQV SSYEGTAGDA LIEGSVEEGA EYTSHNNMQF
0751 STFDRDADQW EENCAEVYGG GWWYNNCQAA NLNGIYYPGG SYDPRNNSPY
0801 EIENGVVWVS FRGADYSLRA VRMKIRPLVT Q(配列番号23)
【0083】
Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-1
SSSYSKQFTS STSYNRGDST FES(配列番号24)
【0084】
〔15〕 Fibrinogen alpha chain (isoform 2)由来ペプチド FIBA-1
配列番号24のペプチドFIBA-1はMS/MSおよび、MASCOTデータベース検索の結果から、Fibrinogen alpha chain (isoform 1)(配列番号23)および、Fibrinogen alpha chain (isoform 2)のタンパク質に共通するトポロジカル領域部分に存在するアミノ酸配列である。以下に配列番号25として、Fibrinogen alpha chain (isoform 2)インタクトタンパク質のアミノ酸配列を示す。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPRVVERHQS ACKDSDWPFC SDEDWNYKCP SGCRMKGLID EVNQDFTNRI
0051 NKLKNSLFEY QKNNKDSHSL TTNIMEILRG DFSSANNRDN TYNRVSEDLR
0101 SRIEVLKRKV IEKVQHIQLL QKNVRAQLVD MKRLEVDIDI KIRSCRGSCS
0151 RALAREVDLK DYEDQQKQLE QVIAKDLLPS RDRQHLPLIK MKPVPDLVPG
0201 NFKSQLQKVP PEWKALTDMP QMRMELERPG GNEITRGGST SYGTGSETES
0251 PRNPSSAGSW NSGSSGPGST GNRNPGSSGT GGTATWKPGS SGPGSTGSWN
0301 SGSSGTGSTG NQNPGSPRPG STGTWNPGSS ERGSAGHWTS ESSVSGSTGQ
0351 WHSESGSFRP DSPGSGNARP NNPDWGTFEE VSGNVSPGTR REYHTEKLVT
0401 SKGDKELRTG KEKVTSGSTT TTRRSCSKTV TKTVIGPDGH KEVTKEVVTS
0451 EDGSDCPEAM DLGTLSGIGT LDGFRHRHPD EAAFFDTAST GKTFPGFFSP
0501 MLGEFVSETE SRGSESGIFT NTKESSSHHP GIAEFPSRGK SSSYSKQFTS
0551 STSYNRGDST FESKSYKMAD EAGSEADHEG THSTKRGHAK SRPVRGIHTS
0601 PLGKPSLSP(配列番号25)
【0085】
念のため、FIBA-1の配列を以下に示す。
Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-1
SSSYSKQFTS STSYNRGDST FES(配列番号24)
【0086】
〔16〕 Fibrinogen alpha chain (isoform 1)由来ペプチド FIBA-2
配列番号26のFIBA-2のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図16)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号26のFIBA-2は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPRVVERHQS ACKDSDWPFC SDEDWNYKCP SGCRMKGLID EVNQDFTNRI
0051 NKLKNSLFEY QKNNKDSHSL TTNIMEILRG DFSSANNRDN TYNRVSEDLR
0101 SRIEVLKRKV IEKVQHIQLL QKNVRAQLVD MKRLEVDIDI KIRSCRGSCS
0151 RALAREVDLK DYEDQQKQLE QVIAKDLLPS RDRQHLPLIK MKPVPDLVPG
0201 NFKSQLQKVP PEWKALTDMP QMRMELERPG GNEITRGGST SYGTGSETES
0251 PRNPSSAGSW NSGSSGPGST GNRNPGSSGT GGTATWKPGS SGPGSTGSWN
0301 SGSSGTGSTG NQNPGSPRPG STGTWNPGSS ERGSAGHWTS ESSVSGSTGQ
0351 WHSESGSFRP DSPGSGNARP NNPDWGTFEE VSGNVSPGTR REYHTEKLVT
0401 SKGDKELRTG KEKVTSGSTT TTRRSCSKTV TKTVIGPDGH KEVTKEVVTS
0451 EDGSDCPEAM DLGTLSGIGT LDGFRHRHPD EAAFFDTAST GKTFPGFFSP
0501 MLGEFVSETE SRGSESGIFT NTKESSSHHP GIAEFPSRGK SSSYSKQFTS
0551 STSYNRGDST FESKSYKMAD EAGSEADHEG THSTKRGHAK SRPVRDCDDV
0601 LQTHPSGTQS GIFNIKLPGS SKIFSVYCDQ ETSLGGWLLI QQRMDGSLNF
0651 NRTWQDYKRG FGSLNDEGEG EFWLGNDYLH LLTQRGSVLR VELEDWAGNE
0701 AYAEYHFRVG SEAEGYALQV SSYEGTAGDA LIEGSVEEGA EYTSHNNMQF
0751 STFDRDADQW EENCAEVYGG GWWYNNCQAA NLNGIYYPGG SYDPRNNSPY
0801 EIENGVVWVS FRGADYSLRA VRMKIRPLVT Q(配列番号23)
【0087】
Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-2
SSSYSKQFTS STSYNRGDST FESKS(配列番号26)
【0088】
〔17〕 Fibrinogen alpha chain (isoform 2)由来ペプチド FIBA-2
配列番号26のペプチドFIBA-2はMS/MSおよび、MASCOTデータベース検索の結果から、Fibrinogen alpha chain (isoform 1)(配列番号23)および、Fibrinogen alpha chain (isoform 2)のタンパク質に共通するトポロジカル領域部分に存在するアミノ酸配列である。以下に配列番号25として、Fibrinogen alpha chain (isoform 2)インタクトタンパク質のアミノ酸配列を示す。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPRVVERHQS ACKDSDWPFC SDEDWNYKCP SGCRMKGLID EVNQDFTNRI
0051 NKLKNSLFEY QKNNKDSHSL TTNIMEILRG DFSSANNRDN TYNRVSEDLR
0101 SRIEVLKRKV IEKVQHIQLL QKNVRAQLVD MKRLEVDIDI KIRSCRGSCS
0151 RALAREVDLK DYEDQQKQLE QVIAKDLLPS RDRQHLPLIK MKPVPDLVPG
0201 NFKSQLQKVP PEWKALTDMP QMRMELERPG GNEITRGGST SYGTGSETES
0251 PRNPSSAGSW NSGSSGPGST GNRNPGSSGT GGTATWKPGS SGPGSTGSWN
0301 SGSSGTGSTG NQNPGSPRPG STGTWNPGSS ERGSAGHWTS ESSVSGSTGQ
0351 WHSESGSFRP DSPGSGNARP NNPDWGTFEE VSGNVSPGTR REYHTEKLVT
0401 SKGDKELRTG KEKVTSGSTT TTRRSCSKTV TKTVIGPDGH KEVTKEVVTS
0451 EDGSDCPEAM DLGTLSGIGT LDGFRHRHPD EAAFFDTAST GKTFPGFFSP
0501 MLGEFVSETE SRGSESGIFT NTKESSSHHP GIAEFPSRGK SSSYSKQFTS
0551 STSYNRGDST FESKSYKMAD EAGSEADHEG THSTKRGHAK SRPVRGIHTS
0601 PLGKPSLSP(配列番号25)
【0089】
念のため、FIBA-2の配列を以下に示す。
Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-2
SSSYSKQFTS STSYNRGDST FESKS(配列番号26)
【0090】
〔18〕 Fibrinogen alpha chain (isoform 1)由来ペプチド FIBA-3
配列番号27のFIBA-3のArea値はNDCと比較して認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)のほうがt−検定の結果、統計的に有意に(p<0.05)高値であり(図17)、認知機能障害疾患(AD、MCI、DLB、FTD)患者と精神疾患に罹患していない被験者(NDC)とを区別する上で配列番号27のFIBA-3は有用であることが分かった。受信者操作特性曲線による分析によれば、ADおよびMCI患者と精神疾患に罹患していない被験者とを区別するのに有用であることが明らかである(表1)。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPRVVERHQS ACKDSDWPFC SDEDWNYKCP SGCRMKGLID EVNQDFTNRI
0051 NKLKNSLFEY QKNNKDSHSL TTNIMEILRG DFSSANNRDN TYNRVSEDLR
0101 SRIEVLKRKV IEKVQHIQLL QKNVRAQLVD MKRLEVDIDI KIRSCRGSCS
0151 RALAREVDLK DYEDQQKQLE QVIAKDLLPS RDRQHLPLIK MKPVPDLVPG
0201 NFKSQLQKVP PEWKALTDMP QMRMELERPG GNEITRGGST SYGTGSETES
0251 PRNPSSAGSW NSGSSGPGST GNRNPGSSGT GGTATWKPGS SGPGSTGSWN
0301 SGSSGTGSTG NQNPGSPRPG STGTWNPGSS ERGSAGHWTS ESSVSGSTGQ
0351 WHSESGSFRP DSPGSGNARP NNPDWGTFEE VSGNVSPGTR REYHTEKLVT
0401 SKGDKELRTG KEKVTSGSTT TTRRSCSKTV TKTVIGPDGH KEVTKEVVTS
0451 EDGSDCPEAM DLGTLSGIGT LDGFRHRHPD EAAFFDTAST GKTFPGFFSP
0501 MLGEFVSETE SRGSESGIFT NTKESSSHHP GIAEFPSRGK SSSYSKQFTS
0551 STSYNRGDST FESKSYKMAD EAGSEADHEG THSTKRGHAK SRPVRDCDDV
0601 LQTHPSGTQS GIFNIKLPGS SKIFSVYCDQ ETSLGGWLLI QQRMDGSLNF
0651 NRTWQDYKRG FGSLNDEGEG EFWLGNDYLH LLTQRGSVLR VELEDWAGNE
0701 AYAEYHFRVG SEAEGYALQV SSYEGTAGDA LIEGSVEEGA EYTSHNNMQF
0751 STFDRDADQW EENCAEVYGG GWWYNNCQAA NLNGIYYPGG SYDPRNNSPY
0801 EIENGVVWVS FRGADYSLRA VRMKIRPLVT Q(配列番号23)
【0091】
Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-3
SSSYSKQFTS STSYNRGDST FESKSY(配列番号27)
【0092】
〔19〕 Fibrinogen alpha chain (isoform 2)由来ペプチド FIBA-3
配列番号26のペプチドFIBA-3はMS/MSおよび、MASCOTデータベース検索の結果から、Fibrinogen alpha chain (isoform 1)(配列番号23)および、Fibrinogen alpha chain (isoform 2)のタンパク質に共通するトポロジカル領域部分に存在するアミノ酸配列である。以下に配列番号25として、Fibrinogen alpha chain (isoform 2)インタクトタンパク質のアミノ酸配列を示す。
インタクトタンパク質/ペプチド
0001 GPRVVERHQS ACKDSDWPFC SDEDWNYKCP SGCRMKGLID EVNQDFTNRI
0051 NKLKNSLFEY QKNNKDSHSL TTNIMEILRG DFSSANNRDN TYNRVSEDLR
0101 SRIEVLKRKV IEKVQHIQLL QKNVRAQLVD MKRLEVDIDI KIRSCRGSCS
0151 RALAREVDLK DYEDQQKQLE QVIAKDLLPS RDRQHLPLIK MKPVPDLVPG
0201 NFKSQLQKVP PEWKALTDMP QMRMELERPG GNEITRGGST SYGTGSETES
0251 PRNPSSAGSW NSGSSGPGST GNRNPGSSGT GGTATWKPGS SGPGSTGSWN
0301 SGSSGTGSTG NQNPGSPRPG STGTWNPGSS ERGSAGHWTS ESSVSGSTGQ
0351 WHSESGSFRP DSPGSGNARP NNPDWGTFEE VSGNVSPGTR REYHTEKLVT
0401 SKGDKELRTG KEKVTSGSTT TTRRSCSKTV TKTVIGPDGH KEVTKEVVTS
0451 EDGSDCPEAM DLGTLSGIGT LDGFRHRHPD EAAFFDTAST GKTFPGFFSP
0501 MLGEFVSETE SRGSESGIFT NTKESSSHHP GIAEFPSRGK SSSYSKQFTS
0551 STSYNRGDST FESKSYKMAD EAGSEADHEG THSTKRGHAK SRPVRGIHTS
0601 PLGKPSLSP(配列番号25)
【0093】
念のため、FIBA-3の配列を以下に示す。
Fibrinogen alpha chain由来ペプチド FIBA-3
SSSYSKQFTS STSYNRGDST FESKSY(配列番号27)
【0094】
【表1】

【0095】
表1には各マーカーペプチドの認知機能障害疾患の検出における受信者操作特性曲線による分析で得たAUC値が示されている。
【0096】
これらのマーカーペプチドをそれぞれ単独、あるいは組み合わせで用いて、液体クロマトグラフィーおよび/または他の適当な分離手段を用いて、あるいは用いないで直接、血清中あるいは血漿中の存在量を質量分析または免疫学的あるいは酵素学的方法などの他の方法によって測定することにより、AD、MCI、DLB、FTDのような認知機能障害疾患を診断上、健常人を含む非精神疾患被験者と区別することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明において開示されたバイオマーカーを用いて、軽度認知障害およびアルツハイマー病を含む認知機能障害疾患を検出することができるので、診断薬を含む診断分野における用途に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin、配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16、配列番号19で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-A、配列番号21で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4-B、配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 1)、および配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain (isoform 2)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質ないしペプチドまたは該タンパク質ないし該ペプチドから生じるアミノ酸残基5個以上のペプチド断片からなる認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカー。
【請求項2】
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるComplement C3由来ペプチドCO3、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるTranscription factor AP-2 gamma由来ペプチドAP2C、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるSynapsin-3由来ペプチドSYN3、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるOxytocin receptor由来ペプチドOXYR、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるInter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H5-like protein由来ペプチドITH5L、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるE3 ubiquitin-protein ligase HERC2由来ペプチドHERC2、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるProthrombin由来ペプチドTHRB、配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるTransthyretin由来ペプチドTTHY、配列番号18で表されるアミノ酸配列からなるTumor necrosis factor receptor superfamily member 16由来ペプチドTNR16、配列番号20で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-1、配列番号22で表されるアミノ酸配列からなるComplement C4由来ペプチドCO4-2、配列番号24で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-1、配列番号26で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-2、および配列番号27で表されるアミノ酸配列からなるFibrinogen alpha chain由来ペプチドFIBA-3から選択される認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカー。
【請求項3】
配列番号2、4、6、8、10、12,14,16,18,20,22,24,26および27で表されるアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、認知機能障害疾患患者生体試料中において、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加する認知機能障害疾患バイオマーカー。
【請求項4】
配列番号2、4、6、8、10、12,14,16,18,20,22,24,26および27で表されるアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、アルツハイマー病患者生体試料中において、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加するアルツハイマー病バイオマーカー。
【請求項5】
配列番号2、4、6、8、10、12,14,16,18,20,22,24,26および27で表されるアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、軽度認知障害患者生体試料中において、精神疾患に罹患していない被験者の生体試料中と比較し出現または増加する軽度認知障害バイオマーカー。
【請求項6】
生体試料中の請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1つの認知機能障害疾患診断のためのバイオマーカーを測定することを含む、認知機能障害疾患の検出方法。
【請求項7】
検出がイムノ・ブロット法またはウエスタン・ブロット法、酵素もしくは蛍光もしくは放射性物質標識抗体法または質量分析法またはimmunoMS法または表面プラズモン共鳴法により行われる請求項6に記載の認知機能障害疾患の検出方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1つのバイオマーカーを測定するための認知機能障害疾患の検出キット。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1つのバイオマーカーに対する抗体もしくはアプタマーを含む認知機能障害疾患の検出キット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−132808(P2012−132808A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285726(P2010−285726)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構SBIR技術革新事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504019456)株式会社MCBI (9)
【Fターム(参考)】