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認知症疾患の症状を改善するための種々の植物抽出物の組合せ
説明

認知症疾患の症状を改善するための種々の植物抽出物の組合せ

本発明は種々の植物抽出物の組合せに関する。水とアルコールとの混合溶液を用いた抽出により、未発酵ルイボスから植物抽出物が得られる。このルイボス抽出物は、式Iの化合物(aspacat)を含有する。
式Iの化合物を以下に示す。


他の植物の抽出物は、発酵ルイボス、緑茶、クルクマ、および/または朝鮮人参から得られる。これらの組合せは、薬剤および/または補助食品として、認知症疾患の予防および/または治療に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルイボス抽出物を常に含みかつ別の植物の抽出物を少なくとも1種含むことを特徴とする、種々の植物抽出物の組合せに関する。抽出物の該組合せは、認知症疾患の予防および/または治療のために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
最も広い意味では、種々の植物抽出物の該組合せは、食品、特に補助食品および薬剤として、とりわけ中枢神経系の神経学的疾患および精神医学的疾患を治療するために使用される。「薬学的に有効な」という表現は、精神状態の主観的改善をもたらす効果をも包含するが、その場合には、薬事法における承認が必ずしも必要とされるわけではない。
【0003】
ルイボス(ラテン語でAspalathus linearis)は南アフリカにのみ生育する植物であり、極めて強力な抗酸化物質であるアスパラチン(フラボノイドの1種)を含むものとしては、現在知られている限り世界で唯一の植物である。ルイボスはまた、C−グリコシルフラボン(特にオリエンチン、イソオリエンチン)、フラボノール−3−O−グリコシド(特にクエルセチン、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ルチン)ならびにグルコシド、特にC−グリコシドおよびカルコン、たとえばノトファギン、アスパラチン、等のさらなるフラボノイドを含有する。
【0004】
「緑色」の未発酵ルイボスは、その発酵製品と比べて、ポリフェノール類、特にアスパラチン、の含有量の高いこと、および抗酸化活性の高いことが特徴となっている。発酵過程における抗酸化活性の低下は、紅茶および緑茶においても同様に認められる(Bramatiら,J.Agric.Food Chem.2003,51:7472−7474)。科学的な実験により、ルイボス茶の抗酸化活性が主としてアスパラチンの含有量によるものであることがわかっている。また、ルイボス茶の発酵過程の研究において、アスパラチンとノトファギンの含有量が発酵過程の間に減少することが明らかになっており(Schulzら,Eur.Food Res.Technol.2003,216:539−543)、これによって、「赤色」の発酵ルイボス茶の抗酸化活性が「緑色」の未発酵ルイボス茶と比べて低いことが説明できる。
【0005】
上述した健康増進作用のあるフラボノイドを含み、また風味が良いことから、ルイボス茶は広く用いられている。ルイボス茶にはさらに、フェノール酸、精油、ビタミンCおよび様々なミネラル、特に鉄が含まれている。
【0006】
抗酸化活性をできる限り高めるには、高いアスパラチン含有量が必要とされる。これに関連して、独国特許第102005004438号には、通常1〜3重量%であるアスパラチン含有量が5重量%を超えるまでに増加し、クロロフィル含有量が0.4重量%未満と低くなっているルイボス抽出物が開示されている。独国特許第102005004438号によれば、該ルイボス抽出物は、発酵していない生の原料ルイボスをエタノールと水との比率が80対20の混合溶液で抽出することにより得られるものである。アスパラチン含有量の高いルイボス抽出物は、その強力な抗酸化・抗刺激・抗菌作用により、特に化粧用途、たとえばヘアケア、スキンケア、または口腔ケア用の製品として使用することができると記載されている。
【0007】
クエルセチンは、ルイボス茶に含まれるさらなるフラボノイドである。これは生の原料ルイボス100g中に約11mg存在し、たとえばヒトの体内におけるヒスタミン放出に影響を及ぼし、結果としてアレルギー症状を緩和する。クエルセチンはさらに、モノアミン酸化酵素の産生を抑制することができるため、軽度のうつ病や睡眠障害に対して有効である(Plant extract,the nature network,3rd edition,09.11.2005;Plantextract GmbH)。
【0008】
本発明の出発点は、中枢神経系の疾患、たとえば認知症、パーキンソン病、うつ病、疼痛等、を治療するための活性物質を探索することであった。これらの疾患は治療が困難であり、また治療を目的として使用されている薬剤、たとえばタクリン、ガランタミン、ネホパム等には、多岐にわたる副作用がある。
【0009】
認知症疾患は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、その他の原因による認知症(ピック病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、その他まれな原因によるもの)に分類されるが、最もよく見られるのはアルツハイマー型認知症である。血管性認知症とアルツハイマー型認知症との間で以前なされていたような厳密な区別は、最近では行われなくなってきている。
【0010】
現時点での知識によれば、現在入手可能な単一物質を用いたアルツハイマー型認知症の治療において、特段の成果を上げているものはない。これまでに、軽度から中等度の進行状態にあるアルツハイマー型認知症に対してはコリンエステラーゼ阻害剤が、また中等度から重度の進行状態にあるアルツハイマー型認知症に対してはNMDA受容体拮抗薬メマンチンが、欧州ならびに北米(米国およびカナダ)の当局により承認されている。また、ドイツでは、イチョウ葉抽出物がアルツハイマー型認知症に対して承認されている。しかしながら、臨床研究において、上記の物質の使用により多少有意な結果は得られたものの、効果の程度は満足なものとは到底言えず、そのため、効果を改善するための探索は継続され、別の作用機序を有する第2の物質との組合せについての研究が、ますます盛んに行われている。
【0011】
コリンエステラーゼ阻害剤とカルシウム/NMDA拮抗薬との組合せが一般的であるが、これまでのところ、奏効率においても効果の大きさについても、治療上の顕著な進展は得られていない。
【0012】
これまで、アルツハイマー型認知症の初期段階向けの薬の認可を行った機関はないが、その理由は、承認済み物質のいずれにおいても、これまでのところ望ましい使用リスク比が示されていないことによる。疫学的研究によりアルツハイマー型認知症に関して有意な予防効果が実証されている物質は多数存在し、スタチン、非ステロイド性抗炎症剤、エストロゲン等がそれに当たる。
【0013】
病因論上、アルツハイマー型認知症では、全症例のおよそ5〜10%が遺伝的原因によるものであるとされ、残り90〜95%の症例については、あらゆる病態生理学的原因が議論されている。いずれの場合にも見られるニューロンの損傷は、(i)細胞内カルシウムホメオスタシスの障害、(ii)酸素フリーラジカル発生量の増加、(iii)βアミロイドの蓄積、(iv)成長因子の欠乏、(v)炎症過程、(vi)プログラム細胞死(アポトーシス)誘導物質、(vii)コリン作動性、ドーパミン作動性、またはグルタミン酸作動性シグナル伝達経路の障害、ならびに(viii)肺炎クラミジアおよび、単純ヘルペスすなわちサイトメガロウィルス感染後の二次的結果等の多様な原因によると考えられる。これまでのところ、過去の臨床研究から、(vii)(コリンエステラーゼ阻害剤)および(i)カルシウム拮抗薬またはNMDA拮抗薬に対する薬効によって治療効果が生じることはわかっているが、その効果は十分なものではなく、上記のプロセスのうちどれとどれが結びついているか、それらがどのように結びついているか、またアルツハイマー型認知症の過程において1次過程や2次過程に相当するものがどれであるかは、明らかになっていない。この薬効はいずれも、治療においてバックグラウンドで生じる重大な副作用に抗するものである。
【0014】
現在まで、化学合成された薬剤の組合せによって治癒および寛解をもたらすという目的は長期的には達成されていないが、その理由は、これらの物質が個々には単一のファーマコフォアを有することを狙いとしており、組合せ効果を有する単一物質を合成する(すなわち、1分子内で2つのファーマコフォアを組み合わせる)ための最新の戦略を用いたとしても、2つのファーマコフォアに対する制約を克服することは容易ではなく、さらに、投薬、効能および適合性に関する莫大な数の問題が発生することとなる。
【0015】
合成活性物質の組合せの開発は、製薬業者および認可機関の方針により、また薬効を実証するための費用の面から、行われることはないであろう。薬事法によれば、化学合成された活性物質を組み合わせて使用するには、組み合わせることによって得られる利点を単一物質それぞれの使用と比較して実証する必要があり、極めて高くつくからである。したがって、すぐれた、あるいは少なくとも満足できる程度の薬効が得られる治療法を、化学合成された活性物質の組み合わせに期待することはできない。
【0016】
植物性活性物質の分野においては、状況は異なっている。薬用植物や有用植物の調製物は、もともと種々の物質の混合物であるため、広い活性物質スペクトルを有している。したがって、これらを合理的に複数組み合わせることにより、広範囲の薬効を持たせることができる。これにより、患者が投薬に対して応答する可能性は最大限に高められ、効果的かつ適合性のある治療が安価に提供される。
【0017】
国際公開第2007/057310号には、髪の色を維持するためのルイボス抽出物の使用が記載されている。この国際特許出願は、ルイボス抽出物の調製方法について開示しているが、詳細なものではない。水および/またはアルコールを使用してこの抽出物が得られるか否かについては明記されていない。
【0018】
南アフリカ特許出願第2003/3674号明細書には、発酵ルイボスおよび/または未発酵ルイボス(Aspalathus linearis)から得られた抽出物を含む組成物が記載されている。ここに記載された抽出物は抗酸化作用を持つとされ、有害なフリーラジカルを不活性化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、前記疾患を治療および/または予防するための、種々の植物抽出物の組合せを提供することである。特に、予防手段としても効果的に使用されるために、これらの活性物質や組成物は、副作用がまったくないか、または無視できる程度にしか持たないものであることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、本発明の請求項の主題によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】アスパラチン(1)およびカテキン(4α→2)−フロログルシノール(2)の構造式を示す。
【図2】式Iの化合物中の原子に付された番号を示す。
【図3】式Iの化合物の紫外スペクトルを示す。
【図4】アスパラチンの紫外スペクトルを示す。
【図5】ルトシドの紫外スペクトルを示す。
【図6】オリエンチンの紫外スペクトルを示す。
【図7】ホモオリエンチンの紫外スペクトルを示す。
【図8】ビテキシンの紫外スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、未発酵ルイボスから得られた抽出物と、発酵ルイボス、朝鮮人参、緑茶、および/またはクルクマから得られた少なくとも1種のさらなる抽出物とを含むことを特徴とする、種々の植物抽出物の組合せに関する。本発明による組合せは、乾燥抽出物の組合せであることが好ましく、該抽出物の水分含有量は、好ましくは5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、最も好ましくは2重量%未満である。該組合せは、以下の薬用植物または食用植物の抽出物を含む。
(1)緑色ルイボス/未発酵ルイボス―Aspalathus linearis(BURM.F.)R.DAHLGREN の未発酵の葉および茎頂、ならびに
(2) a)緑茶:Camellia sinensis(L.) KUNTZEの未発酵の茶葉
b)ルイボス:Aspalathus linearis(BURM.F.)R.DAHLGRENの発酵した葉および茎頂
c)朝鮮人参:Panax ginseng C.A.MEYERの根、ならびに/または
d)クルクマ:カフェインを含まない緑茶代替品としてのCurcuma longa L.の根
【0023】
本発明の植物抽出物の組合せにおいて必須の構成成分である未発酵ルイボスの抽出物は、式Iの化合物:
【化1】

ならびにその薬学的に許容される塩、誘導体、およびエステルを、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.18重量%、特に好ましくは0.4重量%、最も好ましくは少なくとも1重量%含む。以下、式Iの化合物はaspacatとも略記する。好ましい塩としては、カリウム、ナトリウム、アンモニウムまたはグルコン酸の塩が挙げられる。酢酸、ギ酸またはプロピオン酸のエステルが好ましい。たとえば炭素数10〜18の脂肪酸エステルが特に好ましく、これらは二重結合を1つ、2つ、または3つ有してもよい。脂肪酸エステルは、エステルの親油性に影響を及ぼす疎水基を有する。本発明における好ましい誘導体とは、式Iの化合物とフェルラ酸、キナ酸、カフェ酸、グルコン酸またはクロロゲン酸とのカップリング生成物である。式Iの化合物は、その天然形態で、または薬学的に許容される塩として好ましく使用されるが、式Iの天然形態で使用されることがより好ましい。
【0024】
好ましいエステルとしては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グルタル酸、酒石酸、コハク酸等のエステルが挙げられる。好ましい塩としては、カチオン性対イオン、有機または無機の対イオンとの塩、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、または薬学的に許容される酸との塩、たとえばコハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩等が挙げられる。
【0025】
未発酵ルイボスのルイボス抽出物は、式Iの化合物を少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、特に好ましくは少なくとも2.0重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%含有しているものが特に好ましく用いられる。
【0026】
本発明において使用されるルイボス抽出物は、
・発酵していない生の原料ルイボスを乾燥して粉砕した後、アルコールおよび/または水からなる抽出剤を用いて90℃以下、特に60℃以下の温度で所定の時間抽出すること、および
・得られた抽出物をろ過した後、減圧下で濃縮乾固させること
により調製される。
【0027】
本発明において使用される未発酵ルイボスの抽出物の調製においては、非常に急速にかつ注意深く乾燥させることによって残留含水量を可能な限り低下させた(<5%)「緑色」ルイボスすなわち未発酵Aspalathus linearisの葉および茎頂を1次薬材として使用することが好ましい。
【0028】
この抽出には、水または、水を少なくとも40%(vol/vol)を含むアルコールと水との混合溶液を使用する。メタノールを10〜60%、好ましくは10〜50%、より好ましくは15〜40%、より好ましくは15〜25%、特に好ましくは20%含む混合溶液、またはエタノールを25〜60%、好ましくは30〜50%、特に好ましくは30%(vol/vol)含む混合溶液が好ましく使用される。混合溶液の残部は水である。
【0029】
このようにして、上記薬材を重量で2.5〜5%使用することにより、式Iの化合物を0.05〜0.4含有する抽出物を得ることができる。総フラボノイド含有量(式Iの化合物を除く、アスパラチン類、ルトシド類およびビテキシン類の総和)は17〜30%であり、ルトシド類に対するビテキシン類(C−グリコシド)の比率は≦1.6、好ましくは≦2.0であり、アスパラチン類の含有量は14〜25%である。
【0030】
この抽出物は、最適化された抽出剤すなわち20%メタノール水溶液または30%エタノール水溶液を使用して得ることが好ましい。あるいは、最初に純粋なアルコールと薬材とを混合し、少なくとも30分の浸漬段階の後、対応する量の水を加えてもよい。
【0031】
この抽出剤は、式Iの化合物をできる限り完全に抽出できるように、また同時に総フラボノイドが高収率で得られるように最適化されたものである。
【0032】
この抽出物は、現在市販されている茶飲料に使用するための内用抽出物(純粋な水抽出)とは、式Iの化合物の含有量が高い点で異なっており、化粧品に使用するための外用抽出物(エタノール80%;Rapps社)とは、各フラボノイド群の比率において異なっている。80%のエタノールで得られた抽出物は、アスパラチン含有量をできる限り高くするよう最適化されたものである。3つのフラボノイド群(アスパラチン類、ルトシド類、およびビテキシン類すなわちC−グリコシド)の比率は、比較的疎水性の高い抽出を行ったことにより、出発状態の薬材における比率から変化している。これは、ビテキシン類フラボノイドのルトシド類フラボノイドに対する比率を見れば特に明白である。
【0033】
本発明の抽出物の場合、目的とするのは、(薬材における自然のばらつき、処理過程の差、および薬材の使用回ごとのばらつきを考慮しながら)3つのフラボノイド群の比率を、1次薬材における比率と可能な限り同じにすることである。この比率は、高品質の緑色(低発酵)ルイボスから通例に従って調製された茶飲料における比率に匹敵するものとなる。
【0034】
式Iの化合物と総フラボノイドの含有量がさらに高い抽出物は、先に説明した抽出物をサイズ排除クロマトグラフィー(セファデックスあるいは類似のカラム)を用いて精製し、目的物質の比率を高めることによって、得ることができる。セファデックスを用いたクロマトグラフィーステップにより、以下のような抽出物を得ることができる。
式Iの化合物の含有量:>3%、好ましくは>5%。
総フラボノイド含有量(式Iの化合物を除く、アスパラチン類+ルトシド類+ビテキシン類):>17%、好ましくは>35%
ルトシド類に対するビテキシン類(C−グリコシド)の比率:≦1.6、好ましくは≦2.0
アスパラチン類の含有量:>20%、好ましくは>25%
【0035】
この未発酵ルイボス抽出物は、
ビテキシン、イソビテキシン、オリエンチン、イソオリエンチン等のC−グリコシルフラボン;
ルトシド、クエルセチン、クエルシトリン、イソケルシトリン等のフラボノール−3−O−グリコシド;および
アスパラチン、ノトファギン等のカルコン;
を豊富に含んでいる。
【0036】
好ましい抽出方法によって典型的に製造することのできる抽出物を表1にまとめる。
【0037】
本発明の好ましい抽出方法によって得られた抽出物には、以下のように分類可能な特定の化合物が含まれる。
a)式Iの物質(aspacat)
b)カルコン群(表1では物質A群と記載)
特にクエルセチン、アスパラチンおよびノトファギンを含み、この群の全量に対して90重量%程度までをアスパラチンが占めることもある。
c)ルトシド群
成分としてクエルセチンを含有するフラボノイド、C−O−C結合した糖を含むフラボノイドを含む(クエルセチンはルチンのアグリコンである)。
d)いわゆるビテキシン群の化合物
これは、C−C結合した糖を含むフラボノイドを意味するものと理解される。
ビテキシンはアピゲニンのアグリコンであり、たとえばビテキシン(アピゲニン−8−C−グルコシド)、イソビテキシン(アピゲニン−6−C−グルコシド)、オリエンチン(ルテオリン−8−C−グルコシド)、イソオリエンチン(ルテオリン−6−C−グルコシド)等が挙げられる。
【0038】
【表1】

%で表した各含有量は、少なくとも2回の抽出で得られた調製物の測定値の平均である。
(A)最初に純粋なアルコールで10分間抽出を行い、次いで記載のアルコール濃度になるまで水を加えた。
(B)抽出の最初から最後まで、記載のアルコール濃度を有するアルコール/水混合溶液を用いた。
括弧内の値は、各抽出物中に含まれる各フラボノイドが、該薬材中と比較して何%、また何倍に相当するかを示したものである。
【0039】
本発明はさらに、薬剤または補助食品としての植物抽出物の組合せの使用に関する。前記補助食品または薬剤は、好ましくは、薬剤の用量単位当たり少なくとも25mg、より好ましくは少なくとも50mg、さらに好ましくは少なくとも75mgのルイボス抽出物を含む。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態では、式Iの化合物をより多く含有する前記ルイボス抽出物を含む組合せは、中枢神経系の神経学的疾患および精神医学的疾患を治療するための薬剤として、好ましくは認知症、パーキンソン病、うつ病、疼痛等、より好ましくはアルツハイマー病を治療するために使用される。
【0041】
この化合物を単離する方法は、実施例1において詳細に記載するが、その構造式は式Iに示すものである。式Iの化合物は、アスパラチンの構造ともカテキン(4α→2)−フロログルシノールの構造とも類似性を有する(図1)。これまでに知られているフラボノイドと比較して、式Iで示される新規化合物の分子量は大きく、740.66g/molである。このような分子量の大きい天然物質は、活性物質のスクリーニングには通常使用されない。その分子量ゆえに、血液脳関門を容易には通過できないからである。したがって、このような物質は、脳で作用するには、また中枢神経系の疾患を治療するには不適当であると見なされる傾向がある。
【0042】
しかし、意外なことに、先入観を持たずにラットの遠隔ステレオEEG(脳波)による研究を行ったところ、式Iの化合物を経口投与した後、中枢神経において顕著な薬理学的活性が見られることがわかった。この薬理学的研究の結果、驚くべきことに、ラットの遠隔ステレオEEGモデルにおける該活性は、EEG周波数を用量依存的に変化させ、これは認知症、パーキンソン病および疼痛を治療するために従来の薬剤(認知症の治療用にたとえばガランタミンまたはタクリン、パーキンソン病の治療用にL−DOPA、また疼痛の治療用にたとえばネホパム)を投与した後に見られる既知の作用と同様であった。
【0043】
本発明において、式Iに示す化合物の薬理学的活性を、ルイボス抽出物の既知の成分、たとえばアスパラチン、カテキン、または(−)−エピカテキンと比較した。実験から、意外なことに、式Iの化合物がアスパラチン、カテキン、(−)−エピカテキン等と構造的類似性を有するにもかかわらず、その作用は、ほぼ等モル量のこれら天然物質では達成し得ないものであることが示された。式Iの新規な化合物は、ルイボス抽出物におけるこれら既知の成分よりも高い薬理学的活性を有しており、このため薬剤としての使用に特に適している。
【0044】
有利な薬理学的活性を有するこの新規な化合物を単離することにより、特に、式Iの化合物を基礎とし、さらなる活性物質と組み合わせた薬剤を調製することが可能となる。さらなる活性物質(すなわち他の植物抽出物)とは、別の方法で臨床像に有利な影響を及ぼす特性を持つものである。これには、該化合物とルイボス中に存在する他のフラボノイドおよび他の成分との組み合わせもまた関与している。ここでは、抗酸化作用を有する成分が特に適している。
【0045】
また、抗酸化、神経保護、神経機能活性化(神経刺激伝達活性化)、認知能力改善および/または記憶能力改善の効果を有する成分が、特に適している。
【0046】
タクリン、ガランタミン等の、認知症に対する従来の薬剤は、主に神経刺激伝達を改善するが、たとえば、神経保護作用は有していない。抗酸化作用は、本発明の組合せにおいて意図される作用範囲の一態様にすぎない。緑色ルイボスが特に優れているのは、認知および記憶の改善に関してである。緑色ルイボスは、他の成分と相乗的に作用する。たとえば、緑茶は、神経細胞におけるタンパク質のプラーク形成を予防するが、さらに神経保護作用も有している。朝鮮人参は、神経繊維の再生を促進する。これらのすべての効果を組合せたものは、本発明の具体的な一態様である。さらにまた、組織内での異なる生物学的利用能を介して、また異なる有効な機構を介して可能な最良の効果を達成するために、異なる物質群が選択された。
【0047】
上述したように、式Iの化合物のin vivoデータの判別分析を行った結果、認知症、パーキンソン病、うつ病および疼痛を治療するための薬剤との関係が示された。これらの薬剤には広範な副作用があるが、一般に天然の物質による副作用は通常低いものと考えられることから、式Iの化合物を含有するルイボス抽出物を使用することは、薬剤として好都合である。意外なことに、この新規な物質は明らかに血液脳関門をも通過する。これは、フラボノイドとしては通常ではない。
【0048】
さらにまた、ルイボス抽出物および本発明で同定された薬理学的に活性な化合物を製造する方法が提供される。本発明の方法により、上記の疾患の治療に特に適した植物抽出物の提供が可能になる。
【0049】
本発明によって調製されたルイボス抽出物は、式Iの化合物(Aspacat)を少なくとも0.18重量%、好ましくは少なくとも0.4重量%、より好ましくは少なくとも1.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも2.5重量%含有している。
【0050】
本発明の特に好ましい実施形態では、式Iの化合物を少なくとも10重量%、特に好ましくは少なくとも20重量%含むルイボス抽出物が調製される。
【0051】
本発明による組合せのさらなる具体的な実施形態において、前記未発酵ルイボス抽出物の総フラボノイド含有量は、少なくとも17重量%である。
【0052】
式Iの化合物を調製するための本発明による方法は、以下のステップすなわち
・乾燥して粉砕した、発酵していない生の原料ルイボスの準備、
・準備した生の原料からの、アルコール、好ましくはメタノールおよび/またはエタノールと水とからなる抽出剤を用いた、90℃以下、好ましくは60℃以下の温度における所定時間の抽出、
・抽出物のろ過、および
・ろ過した抽出物の減圧下における濃縮
を含む(実施例1も参照のこと)。
【0053】
次いで、抽出物のさらなる精製を3ステップ以内で実施することができるが、該ステップとしては以下の通りである。
・セファデックス LH20カラムクロマトグラフィーによる粗精製
・さらなるセファデックス LH20カラムクロマトグラフィーによる高精製
・シリカゲル、好ましくは疎水性c18−HPLCカラム上での分離
【0054】
式Iの化合物の含有量の多い調製物を所望する場合、1本のクロマトグラフィーカラムのみを使用して抽出物の分離を行うことも可能である。
【0055】
準備する生のルイボス原料の水分は4〜5%以下であることが好ましい。この条件であれば、出発原料の自己発酵を防止できるからである。前記ルイボス原料は、すみやかに抽出に供されることが好ましく、長期間の保存は避けるべきである。
【0056】
本発明の方法の好ましい一実施形態においては、抽出剤として、アルコールと水との比率が20:80〜50:50である混合溶液を用いる。メタノール、エタノール、プロパノール、プロパン−2−オール等のアルコールを用いることが好ましい。式Iの化合物を特に高い割合で得たい場合、メタノール/水の50:50混合溶液を使用することが好ましい。本発明の方法のこの好ましい実施形態では、原料と抽出剤との比率は、約1:6であることが好ましく、この抽出ステップは高い温度(40℃を超える)で1時間かけて実施することが好ましいが、室温でたとえば2〜5時間かけて実施してもよい。アルコールの含有量が20〜30%(vol/vol)のように低ければ、得られるフラボノイド含有量はより高くなる。
【0057】
ろ過した抽出物は、300mbar未満の圧力下で濃縮することが好ましい。濃縮ステップにおいて、温度は40℃を超えないことが好ましい。
【0058】
本発明によるルイボス抽出物は、上述の方法によって調製され、濃縮乾固によって得られる(その後クロマトグラフィーによる精製は行わない)。
【0059】
該ルイボス抽出物中の式Iの化合物の含有量を測定する方法は、実施例4で詳細に説明する。
【0060】
式Iの化合物ならびにその薬学的に許容される塩、誘導体およびエステル、ならびに本発明によるルイボス抽出物は、特に、中枢神経系の疾患、好ましくは認知症、パーキンソン病、うつ病、疼痛の予防および/または治療に適しており、また細胞を保護する抗酸化剤または「フリーラジカル捕捉剤」としても適している。アルツハイマー病の治療が特に好ましい。本発明の抽出物は、疾患/認知症が特定不可能な段階にあっても、認知能力/記憶能力を改善するために使用される。
【0061】
本発明によれば、式Iの化合物を含有するルイボス抽出物は、そのまま直接使用されるか、またはエステルもしくは誘導体として、さらなる活性物質と組み合わせて使用される。好適な誘導体、塩、複合体およびエステル、ならびにそれらの調製については、当業者には公知である。薬学的に許容される塩の調製も、同様に当業者には公知である。従来の薬学的に許容される酸およびアニオンはすべて塩形成剤の範疇に入る。さらに、たとえばフェルラ酸、キナ酸、カフェ酸、グルコン酸、クロロゲン酸等の酸およびその関連化合物とのカップリングも可能である。特にグルコン酸とのカップリングが好ましい。式Iの化合物と上記の酸とのカップリング生成物は、薬学的に許容される誘導体として示すことができる。しかしながら、該化合物は、式Iの分子の状態で使用されることが好ましい。
【0062】
本発明のルイボス抽出物は、自体公知の方法で加工することにより、健康促進に役立つ特性のある薬剤および/または補助食品とすることができる。本発明のルイボス抽出物は、他の植物抽出物と組み合わせて、たとえば錠剤、カプセル剤、丸剤、コーティング錠、顆粒剤、散剤、ロゼンジ等、および、飲料または可溶性茶抽出物のような液体の投与形態に製剤化して処方することができる。該抽出物は、補助食品においても好ましく使用される。
【0063】
該補助食品または薬剤は、経口投与されることが好ましいが、たとえば局所的、非経口、静脈内、筋肉内、皮下、経鼻、吸入、直腸、または経皮等により投与することもできる。
【0064】
本発明のルイボス抽出物ならびに本発明の薬剤および補助食品はまた、本発明のルイボス抽出物または式Iの化合物もしくはその塩の効果を高めたり、前記疾患による症状または状態に付加的な良い影響を与えたりするさらなる活性物質(たとえば、さらなるフリーラジカル捕捉剤、様々な酵素阻害物質、ビタミン類、レシチン、オメガ−3−脂肪酸および脳の機能に良い影響を与える物質)ならびにアスコルビン酸を好適に含むこともできる。
【0065】
未発酵薬材のルイボス抽出物に加えて、本発明の組合せはさらに少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、特に好ましくは少なくとも3種の他の植物の抽出物を含むが、各々の量は、具体的には、1用量単位につき以下の範囲にわたる。
緑色ルイボス抽出物:
10〜2000mg、好ましくは100〜600mg、より好ましくは200〜400mg、特に好ましくは50〜150mg、最も好ましくは約75mg
緑茶抽出物:
50〜2000mg、好ましくは50〜500mg、より好ましくは100〜200mg、より好ましくは75〜200mg、特に好ましくは約100mg
発酵ルイボス抽出物:
10〜2000mg、好ましくは100〜600mg、より好ましくは200〜400mg、特に好ましくは50〜100mg、最も好ましくは約75mg
朝鮮人参抽出物:
10〜1000mg、好ましくは50〜300mg、特に好ましくは50〜100mg
安定化添加剤としての、また生体利用率改善手段としてのビタミンC:
20〜1000mg、好ましくは20〜500mg、より好ましくは20〜100mg
【0066】
本発明の組合せは常に、上述したように、式Iの化合物であるaspacatを含有する未発酵(「緑色」)ルイボス(Aspalathus linearis)の乾燥抽出物を含む。1次薬材と同様、この抽出物は以下の主要なフラボノイドを含有する:
アスパラチン、ノトファギン、ルトシド、クエルシトリン、イソクエルシトリン、クエルセチン、ビテキシン、オリエンチン、イソオリエンチン
【0067】
他のフラボノイドの含有量および比率は、濃縮の程度の関数として変化し得る。aspacatが高度に濃縮された抽出物は、さらなるルイボスフラボノイドをも含んではいるが、その含有量は顕著に低下しており、最初の比率は維持されていない。
【0068】
該抽出物においては、フラボノイド間の比率は、薬材における比率とほぼ同じであることが好ましい。これは、オリエンチン/ビテキシン(C−グリコシド)に似た紫外スペクトルを有するすべてのフラボノイドの含有量を、ルトシド(クエルセチン誘導体)に似た紫外スペクトルを有するすべてのフラボノイドの含有量で割ることによって得られる比率/係数として測定することができる。基準として、この係数は通常≦1.6または≦2.0である。
【0069】
以下の植物抽出物は、緑色ルイボスの乾燥抽出物と組み合わせることができる。
1)ルイボス(発酵したAspalathus linearis)乾燥抽出物
抽出剤は水、または水とアルコールとの混合溶液であり、アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール−1、プロパノール−2を使用することができる。エタノールまたはメタノールは、0〜30%量(残部は水)で好ましく使用される。成分中、アスパラチンの量は>0.4%、好ましくは>3.5%である。
1次薬材と同様、該抽出物は以下のフラボノイド:アスパラチン、ルトシド、クエルシトリン、イソクエルシトリン、クエルセチン、ビテキシン、オリエンチン、イソオリエンチン、エリオジクチオール−グリコシドを含有する。
2)緑茶(Camellia sinensis)乾燥抽出物
抽出剤:水、および水とアルコールとの混合溶液
1次抽出物(固体または液体)に対し、ケトン(酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン)を用いて後処理を行うことができる。アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール−1、プロパノール−2を使用することができ、0〜90%のエタノールまたはメタノールが好ましく、40〜85%のエタノールまたはメタノールが好ましく(残りは水)、80%のエタノールが特に好ましい。ここでは、カフェインを含有する抽出物が得られる。出発物質としてカフェインを含まない緑茶葉を使用すれば、カフェインを含まない抽出物が得られる。
特有成分:
カテキン:エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピカテキンガレート、カテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン
特にテアニン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン
特有成分:
EGCG:>10%、好ましくは>25%(EGCGとして計算)
総カテキン(カテキン/エピカテキンとして計算):>15%、好ましくは>40%
テアニン:>0.1%、好ましくは>1%
カフェイン含有抽出物:カフェイン:>2%、好ましくは>5%
3)クルクマ(Curcuma longaおよび/もしくはCurcuma xanthorrhizaまたはこれら2種の混合物)抽出物
抽出剤:水とアルコールおよび/またはアセトンとの混合溶液、純粋なアルコールまたは以下のケトンのうち1種:酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、および超臨界二酸化炭素
1次抽出物(固体または液体)に対し、ケトン(酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン)を用いて後処理を行うことができる。アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール−1、プロパノール−2を使用することができ、96〜100%エタノール、アセトンが好ましい。
特有成分:
クルクミノイド:クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミンおよび場合によっては精油
抽出物中の含有量:総クルクミノイド:>1%、好ましくは>10%、特に好ましくは>25%
4)朝鮮人参(Panax ginseng)乾燥抽出物
好ましい抽出剤は、エタノールを40%含む、エタノールと水との混合溶液である。
抽出剤:水、および水とアルコールとの混合溶液
アルコールは、原則として、エタノール、メタノール、プロパノール−1、プロパノール−2を使用することができ、5〜96%のエタノールまたはメタノールが好ましい。40〜80%エタノールが特に好ましい。
特有成分:
トリテルペンサポニン(ジンセノサイド)の2群:
プロトパナキサジオール:特にジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rd
プロトパナキサトリオール:特にジンセノサイドRg1、Rg2、Rf
抽出物中の含有量:
総ジンセノサイド(HPLCでRb1として計算):>1%、好ましくは>2%、特に好ましくは>5%
【0070】
さらに、薬学的に許容される助剤および担体を使用することができる。適切な助剤は当業者に公知であり、たとえば、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、湿潤剤等が含まれる。
【0071】
適切な滑沢剤としては、たとえばケイ酸塩、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムおよび/またはポリエチレングリコールが挙げられる。
【0072】
使用してもよい結合剤は、たとえばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンである。
【0073】
崩壊剤は、たとえばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウムまたは発泡混合物である。
【0074】
使用してもよい湿潤剤は、たとえばレシチン、ポリソルベートまたはラウリル硫酸塩である。
【0075】
さらに、着色剤および甘味料が製剤中に含まれていてもよい。
【0076】
医薬製剤は、公知の方法、たとえば混合、造粒、タブレット化または糖衣もしくはオーバーコートによって調製することができる。
【0077】
経口投与用の分散液および/または溶液は、たとえば飲料、ドロップ、シロップ、乳剤および懸濁液剤であってよい。
【0078】
シロップは、担体として、たとえばショ糖を含んでいてもよく、またショ糖以外にグリセリン、マンニトールおよび/もしくはソルビトールを含んでいてもよい。
【0079】
懸濁液剤および乳剤は、担体としてたとえば、天然樹脂、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含んでいてもよい。
【0080】
筋肉注射用の懸濁液または溶液は、活性物質とともに、薬学的に許容される担体、たとえば滅菌水、オリーブオイル、オレイン酸エチル、たとえばプロピレングリコール等のグリコール類、および必要に応じて適当量の塩酸リドカインを含んでいてもよい。
【0081】
静脈注射または点滴のための溶液は、たとえば担体として滅菌水を含んでいてもよく、また好ましくは滅菌水性等張塩溶液の形態であってもよい。
【0082】
坐薬は、活性物質とともに、薬学的に許容される担体、たとえばカカオバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルまたはレシチンを含んでいてもよい。
【0083】
局所適用用組成物、たとえばクリーム、ローションまたはペーストは、活性物質と従来の含油担体または乳化担体とを混合することによって調製することができる。
【0084】
本発明の組合せは未発酵のルイボス抽出物ならびに式Iの化合物またはその塩、誘導体およびエステルを、補助食品または薬剤における通常量含んでいてもよい。溶液中、式Iの化合物またはその塩は、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.1〜7重量%、特に好ましくは1〜5重量%で使用される。特定の一実施形態においては、本発明の式Iの化合物またはその塩は、溶液中0.02〜1重量%で使用される。
【0085】
本発明によれば、未発酵のルイボス抽出物は、式Iの化合物の1〜1000mg、より好ましくは10〜600mg、さらに好ましくは50〜400mg、最も好ましくは50〜250mgに相当する量で使用される。
【0086】
式Iの化合物を非常に高い割合で含むルイボス抽出物を使用する場合、このような抽出物は、薬剤および補助食品において、1日当たり3〜600mg、好ましくは5〜100mg、特に好ましくは10〜50mgの用量で使用することができる。
【0087】
上述の補助食品(食品)または薬剤は、従来の方法によって調製し、薬学的に好ましい形態で投与することができる。
【0088】
本発明による好ましい固形の補助食品または薬剤は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%の充填剤をさらに含んでいてもよい。
【0089】
充填剤として、タブレットまたはカプセルが必要かつ所望の質量となるよう、原料の一部として1以上の化合物を使用することができる。使用可能な物質として、中でも、様々な粒径の微結晶性セルロース、特に平均粒子径が20μm〜200μmの範囲、特に50μm〜150μmの範囲にある、たとえばAvicel PH−101、PH−102等の公知のAvicel製品のように約100μmであるものを挙げることができる。さらなる好適な充填剤としては、たとえばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ラクトース、セラクトース(セルロースとラクトースとの混合物)、リン酸カルシウム、ブドウ糖、マンニトール、マルトデキストリン、イソマルト、さらに場合によってはソルビトールおよびショ糖が挙げられる。直接圧縮が意図される場合、充填剤の選択に際し、錠剤の直接圧縮に適した品質のものを使用しなければならない。市販品の場合、このような品質は製品ごとにメーカーにより明示されるものであり、また簡単な実験によって確認することもできる。最も好ましい充填剤は、微結晶性セルロース(市販品としては、たとえばAvicel、VivapurおよびEmcocel等)である。
【0090】
適切な崩壊剤は従来技術において公知である。崩壊剤は、しばしば英語で「disintegrant」とも表記される。本発明による好ましい崩壊剤には、たとえば、クロスポビドン(Kollidon CL)およびデンプンまたはゼラチン化デンプン、特に市販品の「Starch1500」等がある。さらなる好適なデンプンも市販により入手可能であり、たとえばLycatab PGS、PrejelおよびSepistab ST 200等の商品名で販売されている。さらに、公知のいわゆる「超崩壊剤」も使用することができ、たとえばクロスカルメロースナトリウム(中でも、たとえばAc−Di−Sol)およびカルボキシメチルデンプンナトリウム(中でも、たとえばExplotab、Primojel)が挙げられる。Starch1500等のデンプンが特に好ましい。
【0091】
崩壊剤の含有量は、通常1〜25重量%、好ましくは1〜20重量%、特に2〜15重量%である。崩壊剤の含有量として適切な範囲もまた、たとえば2〜5重量%または15〜20重量%であり、使用する崩壊剤、充填剤および他の添加剤に依存する。
【0092】
本発明の組成物は、滑沢剤として、錠剤の調製および加工を容易にする1以上の化合物を含んでいてもよい。使用可能な滑沢剤としては、特にステアリン酸およびその誘導体、たとえばステアリン酸カルシウム、特にフマル酸ステアリルナトリウム(たとえば商品名Pruv等の市販品が入手可能)およびステアリン酸マグネシウム、モノ−、ジ−、特にトリ−ステアリン酸グリセリル、硬化植物油(たとえばLubritab、Dynasan、Sterotext)またはポリエチレングリコール(たとえばLutrol、Carbowax)が挙げられる。
【0093】
滑沢剤の含有量は、通常0.1〜4重量%、好ましくは0.2〜4重量%である。
【0094】
本発明による医薬組成物は、場合により、1以上の流動調節剤を含んでいてもよい。適切な流動調節剤としては、三ケイ酸マグネシウム、滑石および特に二酸化ケイ素(たとえばAerosil)が挙げられる。該組成物が流動調節剤を含む場合、この流動調節剤は通常0.5〜5重量%、好ましくは1〜4重量%、特に好ましくは2〜3重量%含まれる。
【0095】
本発明による医薬組成物はさらに、活性物質のための安定化剤を含んでいてもよく、該安定化剤としてはアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられ、アスコルビン酸および/またはクエン酸が好ましい。安定化剤(使用するとすれば)の含有量は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜10重量%、好ましくは1〜3重量%である。
【0096】
本発明による医薬組成物はさらに、薬学的に許容される通常の添加剤および助剤を含んでいてもよいが、上述のもの(充填剤、崩壊剤、滑沢剤、ならびに場合により流動調節剤および安定化剤)以外の助剤を含まないことが好ましい。
【0097】
充填剤には、微結晶性セルロースのように、結合剤としても使用できるものがある。したがって、本発明においては、結合剤としての機能を有する充填剤も、充填剤に含める。
【0098】
本発明による医薬組成物が錠剤の形態である場合、1以上のコーティング剤でフィルムコートされていてもよい。使用できるコーティング剤は、セラックまたはセラックの混合物、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウムならびに種々のメタクリル酸重合体(オイドラジット)であり、ヒプロメロース、特にオイドラジット、セラックまたはセラックの混合物が好ましい。錠剤は従来の方法でコートされる。コーティングは、前記コーティング剤以外に、錠剤のコーティングに通常使用されるさらなる成分、たとえば可塑剤、着色料、孔形成剤または懸濁安定化剤を含んでもよく、たとえばポリエチレングリコール(PEG)、滑石、二酸化チタン、また場合によってはラクトース等が使用される。
【0099】
錠剤の重量は特に制限されないが、純粋な活性物質を使用する場合は100mg〜500mg、抽出物、植物粉末を使用する場合は500mg〜1500mgが一般的である。カプセル剤としては、100mg〜1000mgのものが使用される。
【0100】
薬剤または補助食品の用量単位としては、たとえば、
・経口剤形の場合には、
1日用量当たり、好ましくは1〜1000mg、より好ましくは40〜800mg、特に好ましくは150〜500mg、さらに好ましくは300〜600mgのルイボス抽出物。式Iの化合物ならびにその薬学的に許容される塩、誘導体およびエステルの場合、上記の量の1/100〜1/20を使用する。
1日量は、たとえば1〜3回、好ましくは2回に分けて投与できる。また、式Iの化合物を含むルイボス抽出物を1日に1〜10回投与することも可能である。
・非経口(たとえば静脈内、皮下、筋肉内)剤形の場合には、
1日用量当たり、好ましくは3〜60mg、特に好ましくは10〜30mgの活性物質。
1日量は、たとえば1〜3回、好ましくは1回で投与できる。
・直腸に適用する剤形の場合には、
1日用量当たり、好ましくは40〜80mg、特に好ましくは60mgの式Iの活性物質。
1日量は、たとえば1〜3回、好ましくは1回で投与できる。
・皮膚または粘膜に適用する剤形(たとえば液剤、ローション、乳剤、軟膏等)の場合には、
1回当たり、好ましくは40〜80mg、特に好ましくは60mgの活性物質。調製した液剤、ローション、乳剤または軟膏に対する式Iの化合物の含有量は、このような軟膏状薬剤、クリーム状調製物に対し、0.05〜20重量%、好ましくは0.2〜1重量%である。
1日量は、たとえば1〜6回、好ましくは1〜3回に分けて投与できる。
【0101】
1用量単位当たり、10〜2000mg、好ましくは10〜1000mg、より好ましくは10〜500mgの本発明の組合せを使用することができる。
【実施例】
【0102】
<実施例1>式Iの化合物の単離
薬材からの調製を行うために、ルイボス社(南アフリカ、Clanwilliam)製の未発酵の緑色ルイボスを使用する。
【0103】
未発酵のまま粉砕したAspalathus linearisの葉および/または茎頂を水分量が10%未満(好ましくは4%未満)になるまで注意深く乾燥させ、出発原料として使用する。
【0104】
この原料を、メタノールと水との50:50(容量部)混合液を用いて60℃で1時間抽出するが、このとき原料と溶媒の比が1:7となるようにする。その後、液体を植物部位からろ過により分離し、この植物部位を同じ方法で再度抽出し、ろ過する。
【0105】
2つのろ液を合わせ、減圧下(220mbar)55℃でメタノールを除去する。残った水溶液を、使用した乾燥植物部位の重量の5倍まで水で希釈し、液液分配に供する。
【0106】
この水溶液3Lに対し、1.5Lの水飽和したn−ブタノールを加えて振とうする操作を4回行い、ブタノール相を合わせて減圧下で乾固させる。その収率は、使用した乾燥植物部位の量の約10%となる。
【0107】
このブタノール抽出物に対し、まず粗分離、次いで高分離を行う。
【0108】
粗分離:
約50gのブタノール抽出物を、50容量%のメタノールを用いて、セファデックスLH20カラム(内径6cm、充填高さ80cm、セファデックスLH20を2260mL使用)クロマトグラフィーによって分離する。この目的のために、使用する50gのブタノール抽出物は、400mLの移動相に溶解した後、分離カラムに導入する。カラムは、3Lの溶出液が滴下するまで、1.8mL/分の流速で洗浄する。残っている移動相が完全に滴下した後、カラムの内容物を取り出し、これを3Lの100%メタノール中で10分間攪拌(抽出)する。固定相をろ過により除去し、溶出液を乾燥させる。残留物は、使用した植物部位の量の約0.5〜1%となる(=メタノール抽出物)。
【0109】
高分離1回目:
約4gのメタノール抽出物を、セファデックス LH20カラム(内径3.5cm、充填高さ50cm、セファデックスLH20を480mL使用)を用いて、80容量%のメタノールでクロマトグラフィーによって分離する。この目的のために、使用する4gのブタノール抽出物を40mLの移動相に溶解した後、分離カラムに導入する。カラムの流速を2.4mL/minに設定し、10分毎の画分(=24mLの溶出液)を回収する。目的の物質は、画分番号48〜65に含まれる。メタノール抽出物が4gの場合、収量は約0.5〜1gとなる。
【0110】
高分離2回目:
分離カラム:250×30mm
固定相:Reprosil C18 Aqua 10μm
移動相:35%(v/v)メタノール
流速:1.5mL/分
画分サイズ:10分=15mL
物質Iは、画分41〜52に含まれる。
画分41〜52を合わせ、凍結乾燥する。
4gのメタノール抽出物から約125mgの物質Iが得られる。
クロマトグラフィーによる純度:約97%(HPLC)。
【0111】
<実施例2>式Iの化合物の構造解析
カラムクロマトグラフィーによる分離で得た化合物について、種々の方法を用いて特性決定を行った。
【0112】
図2に、式Iの化合物中の原子に付された番号を示す。
【0113】
<実施例3>式Iの化合物の含有量測定方法
ルイボスおよびルイボスからの調製物(茶、抽出物、錠剤)中の式Iの化合物の含有量を、外部標準法によりHPLC/DADを用いて測定する。含有量の測定においては、式Iの化合物である物質を外部標準として使用する。評価は、検出波長280nmで実施する。分析溶液中での酸化を防止するために、試料にはアスコルビン酸を添加する。
【0114】
好ましく用いられるHPLC装置は、Acquity UPLC/Alliance2695;検出器:DAD(200〜400nm);カラム:Reprosil−Pur ODS−3,125×3mm,3μm(Dr.Maisch製);カラム温度:60℃である。
溶離液:
溶離液A:水/ギ酸=100/0.2(v/v)
溶離液B:アセトニトリル/メタノール/水/ギ酸=50/25/25/0.2(v/v/v/v)
注入量:20μL
実行時間:95分
式Iの化合物の保持時間:39.5分
【0115】
【表2】

【0116】
標準液は次のものを使用した。
正確に1mgを量り取った式Iの化合物と約20mgのアスコルビン酸とを2mLのメタノールに溶かし、水を加えて20.00mLとした。
所望の濃度:式Iの化合物0.05mg/mL、アスコルビン酸1mg/mL
【0117】
分析溶液は次のものを使用した。
製剤:
分析する薬剤、たとえば錠剤は、パウダーミルで粉砕し、メッシュサイズ250μmのふるいにかける。
粉砕した試料約0.5gを、アスコルビン酸約50mgとともに50mLのメスフラスコに正確に量り入れ、40℃のメタノール10mLと混合し、40℃の超音波浴中で10分間抽出を行う。その後、フラスコの標線まで水を加えて激しく振とうし、再度、40℃の超音波浴中で10分間の抽出を行う。冷却後、必要であれば混合物に標線まで水を加え、この溶液を9,300gで5分間の遠心分離にかける。上澄みを0.45μmのメンブレンフィルタに通し、HPLC装置のオートサンプラー用の琥珀色をした小型ガラスびんに直接注ぐ。
【0118】
乾燥抽出物抽出剤(水):
ルイボス抽出物約125mgを、アスコルビン酸約25mgとともに25mLのメスフラスコに量り入れ、約22mLの水を加え、この混合物を激しく振とうする。必要であれば超音波浴中で処理を行い、標線まで水を加える。
【0119】
乾燥抽出物抽出剤(水以外):
ルイボス抽出物約125mgを、アスコルビン酸約25mgとともに25mLのメスフラスコに量り入れ、約2.5mLのメタノールと混合し、超音波浴中で10分間の処理を行う。次いで、フラスコの標線まで水を加えて激しく振とうし、再度、超音波浴中で10分間の処理を行う。
【0120】
評価:
標準液と分析溶液とは、同一条件下、連続して直接クロマトグラフィーによる分析を行う。基準物質の紫外スペクトルを、分析クロマトグラムにおいて同じ保持時間で検知された物質と比較し、一致が見られたピークに関しては、以下の計算式に従い、式Iの化合物として計算を行う。
【0121】
【数1】

【0122】
<実施例4>総フラボノイド含有量の高いルイボス抽出物
a)準備プロセス
乾燥し粉砕した未発酵の原料ルイボス10gを、アスコルビン酸0.2gおよび無水エタノール60mLと混合し、超音波を使用して40℃で10分間軟化させる。次いで、脱塩水140mLを加えて激しく振とうまたは撹拌し、その後、再度超音波を使用して40℃で10分間軟化させる。次いで、混合物全体を遠心分離(約9000×g)にかけ、上澄みをろ過し、残渣を30%(v/v)100mLと混合した後、再度超音波を使用して40℃で10分間軟化させる。次いで遠心分離を行い、上澄みをろ過する。ろ液を合わせ、減圧下(最高で300mbar)で約10〜20mLまで濃縮し、次いで凍結乾燥する。凍結乾燥の代替手段としては、噴霧乾燥が適している。噴霧乾燥の場合には、粘度が約130mPaになるまで、濃縮操作を続ける。次いで、この溶液を噴霧乾燥する。必要に応じ、通常使用される助剤(Aerosil、ラクトース、マルトデキストリン)を噴霧乾燥前に溶液に加えてもよい。
このプロセスにより、表1の「抽出物(A):30%エタノール」が得られる。
【0123】
b)分析
抽出物0.5g(正確に秤量)を、アスコルビン酸約50mgとともに50mLのメスフラスコに量り入れ、40℃のメタノール10mLと混合し、40℃の超音波浴中で10分間抽出を行う。その後、フラスコの標線まで水を加えて激しく振とうし、再度、40℃の超音波浴中で10分間の抽出を行う。冷却後、必要であれば混合物に標線まで水を加え、この溶液を9,300gで5分間の遠心分離にかける。
上澄みから1mLを取り、シリンジフィルタでろ過したものをバイアル(琥珀色ガラス)に入れ、HPLCによる測定を行う。
この薬剤においては、残りの溶液(49mL)をロータリーエバポレータにより濃縮し、凍結乾燥後、残渣の測定を行った。
【0124】
4a)物質1
抽出物1(G110907SA)のクロマトグラムにおける式Iの物質を、入手可能な比較スペクトル、および紫外スペクトル(図3)によって同定した。
様々な抽出物中の物質1の含有量を、抽出物1(G110907SA)における既知の含有量(0.95%)を用いて、下記式によって計算した。(F−面積,V−容量,m−質量,g−含有量,Ana−分析物,St−標準物質)
【0125】
【数2】

相対面積relFは、以下のように計算した。
【0126】
【数3】

【0127】
4b)物質A群のフラボノイド
物質A群のフラボノイドは、287nmおよび228nmに最大紫外吸収を有することを特徴とする。このスペクトル(図4)と実質的に一致するピークはすべてこの群に含むものとし、その含有量を下記式によって計算した。
【0128】
【数4】


標準物質としてルトシドを使用した。補正係数kは0.4とする。
【0129】
4c)ルトシド群のフラボノイド
ルトシド比較スペクトル(図5)を用いて、この群へのフラボノイドの帰属が行われる。含有量は以下の式により計算される。
【0130】
【数5】

【0131】
4d)ビテキシン群のフラボノイド
ビテキシン比較スペクトルを用いて、この群へのフラボノイドの帰属が行われる。オリエンチンおよびホモオリエンチンもこの群に属する(図6〜8)。ビテキシン(さらにオリエンチンも)が標準液の調製において溶解度に関する問題を呈したため、ビテキシンの代わりにホモオリエンチンを標準液として使用する。含有量は以下の式により計算される。
【0132】
【数6】

【0133】
<実施例5>化合物Iの含有量の高い濃縮ルイボス抽出物の調製
セファデックスカラムによる精製
実施例4で得た抽出物750mgを6mLのMeOHに溶解し、遠心分離した後、上澄み液をカラムに導入した。
溶解した抽出物500mg(カラム上)
セファデックスLH20カラム:内径:1.4cm;長さ:27cm
オープンカラムクロマトグラフィー:溶離液としてメタノール;
平均2.5mLの溶液の入った試験管65本
滴下速度:毎分10〜17滴、試験管の検査はDCによる
条件:シリカゲルプレート(メルク社製シリカゲル60 F254)、
展開溶媒:EtOAc:HCOOH:CHCOOH:HO=100:11:11:27(v:v:v:v)、
検出:天然物質試薬
試験管中の溶液のうち、似たフラボノイドパターンを示したものを合わせ、溶媒をロータリーエバポレータにより濃縮し、凍結乾燥後、残渣の重量測定を行った。
得られた画分:
画分1:(RG21〜31)106.2mg(DCより、フラボノイドを含有)
画分2:(RG33〜46)18.3mg(DCより、フラボノイドを含有)
画分3:(RG47〜52)10.03mg(DCより、フラボノイドを含有)
画分1〜3ならびにその混合物およびオーバーラップを乾燥することにより、好適な抽出物が得られる。
【0134】
<実施例6>化合物Iの含有量がさらに高い濃縮ルイボス抽出物の調製
実施例5で得た画分2の、RP18カラムを用いた中圧LCによる、さらなる精製
系:中圧(LPLC)
カラム:RP 18シリカゲル(50×1.2cm)
移動相:MeOH:HO(MeOH30%〜100%)
流速:0.7mL/分
検出:280nm
回収した画分の数:70(それぞれ約3mL)
画分番号43〜46を合わせたものを乾燥することにより、所望の抽出物が得られた。
【0135】
<実施例7>認知症疾患を予防および治療するための4種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
緑茶抽出物 100
未発酵ルイボス抽出物 75
発酵ルイボス抽出物 75
朝鮮人参抽出物 50
アスコルビン酸 50
マルトデキストリン 20
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
予防用の1日量: 1〜4カプセル
治療用の1日量: 3〜8カプセル
以下の実施例8〜16に関し、抽出物は下記の通り調達した。
【0136】
抽出物
本発明においては、下記の抽出物を使用することが好ましい。これらの代わりに、同等の抽出物を使用することもできる。
緑茶抽出物:
Frutarom Switzerland Ltd.
Rutiwiesstrasse 7
CH−8820 Wadenswil
www.frutarom.com
朝鮮人参抽出物:
Frutarom Switzerland Ltd.
Rutiwiesstrasse 7
CH−8820 Wadenswil
www.frutarom.com
発酵ルイボス抽出物:
Rooibos Ltd.
Rooibos Avenue
Clanwilliam 8135 RSA
南アフリカ
クルクマ抽出物:
Plantextrakt GmbH&Co KG
Dutendorfer Str.5−7
91487 Vestenbergsgreuth
未発酵ルイボス抽出物としては、実施例4の未発酵ルイボス抽出物を使用した。
【0137】
<実施例8>認知症疾患を予防および治療するための4種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
クルクマ抽出物 15
未発酵ルイボス抽出物 100
発酵ルイボス抽出物 100
朝鮮人参抽出物 50
アスコルビン酸 50
ピペリン 25
マルトデキストリン 20
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
予防用の1日量: 1〜4カプセル
治療用の1日量: 3〜8カプセル
(式Iの化合物を0.4%含有)
【0138】
<実施例9>認知症疾患を予防および治療するための3種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
緑茶抽出物 150
未発酵ルイボス抽出物 100
朝鮮人参抽出物 50
アスコルビン酸 25
マルトデキストリン 50
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
(式Iの化合物を0.4重量%含有)
予防用の1日量: 1〜4カプセル
治療用の1日量: 3〜8カプセル
【0139】
<実施例10>認知症疾患を予防および治療するための3種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
緑茶抽出物 100
未発酵ルイボス抽出物 100
発酵ルイボス抽出物 150
アスコルビン酸 30
マルトデキストリン 0
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
(式Iの化合物を0.4重量%含有)
予防用の1日量: 1〜4カプセル
治療用の1日量: 3〜8カプセル
【0140】
<実施例11>認知症疾患を予防および治療するための3種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
クルクマ抽出物 25
未発酵ルイボス抽出物 100
発酵ルイボス抽出物 200
アスコルビン酸 30
マルトデキストリン 25
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
(式Iの化合物を0.8重量%含有)
予防用の1日量: 1〜3カプセル
治療用の1日量: 2〜6カプセル
【0141】
<実施例12>認知症疾患を予防および治療するための2種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
緑茶抽出物 200
未発酵ルイボス抽出物 100
アスコルビン酸 50
マルトデキストリン 30
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
(式Iの化合物を0.4重量%含有)
予防用の1日量: 1〜3カプセル
治療用の1日量: 3〜6カプセル
【0142】
<実施例13>認知症疾患を予防および治療するための2種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
未発酵ルイボス抽出物 150
発酵ルイボス抽出物 200
アスコルビン酸 30
マルトデキストリン 0
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
予防用の1日量: 1〜3カプセル
治療用の1日量: 3〜6カプセル
【0143】
<実施例14>認知症疾患を予防および治療するための2種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
未発酵ルイボス抽出物 150
緑茶抽出物 200
アスコルビン酸 30
マルトデキストリン 0
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
予防用の1日量: 1〜4カプセル
治療用の1日量: 3〜6カプセル
【0144】
<実施例15>認知症疾患を予防および治療するための2種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
未発酵ルイボス抽出物 250
朝鮮人参抽出物 75
アスコルビン酸 30
マルトデキストリン 25
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
予防用の1日量: 1〜2カプセル
治療用の1日量: 2〜4カプセル
【0145】
<実施例16>認知症疾患を予防および治療するための2種の植物抽出物の組合せ処方
ゼラチンハードカプセル剤:
1カプセル中(mg):
未発酵ルイボス抽出物 250
クルクマ抽出物 50
アスコルビン酸 50
マルトデキストリン 35
二酸化ケイ素 適量
ステアリン酸マグネシウム 適量
予防用の1日量: 1〜2カプセル
治療用の1日量: 2〜4カプセル
【0146】
<実施例17>ゼラチンハードカプセル剤の製造
緑茶抽出物 250mg
未発酵ルイボス抽出物 50mg
朝鮮人参抽出物 50mg
アスコルビン酸 25mg
マルトデキストリン 25mg
二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウム 適量
【0147】
<実施例18>ゼラチンハードカプセル剤の製造
緑茶抽出物(エピガロカテキンガレート60%) 150mg
未発酵ルイボス抽出物 50mg
アスコルビン酸 25mg
マルトデキストリン 25mg
二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウム 適量
【0148】
<実施例19>ゼラチンハードカプセル剤の製造
緑茶抽出物 100mg
ルイボス茶抽出物 75.0mg
緑色ルイボス茶抽出物 75.0mg
朝鮮人参抽出物 50.0mg
アスコルビン酸 50.0mg
ステアリン酸マグネシウム(適量、たとえば0.57%) 2.0mg
Aerosil200(適量、たとえば:0.14%) 0.5mg
式Iの物質の含有量:0.1%
【0149】
<実施例20>溶かして茶飲料とすることのできるロゼンジ(=ロゼンジ/茶香錠)の製造
緑茶抽出物 43mg
ルイボス茶抽出物 32mg
緑色ルイボス茶抽出物 32mg
朝鮮人参抽出物 21mg
アスコルビン酸 22mg
基剤 1,850mg
基剤: %
アラビアゴム 29.0
砂糖 24.0
グルコースシロップ 24.0
水 22.6
香料混合物 0.4
式Iの物質の含有量:0.18%
【0150】
<実施例21>溶かして茶飲料とすることのできるロゼンジ(=ロゼンジ/茶香錠)の製造
緑茶抽出物 30mg
緑色ルイボス茶抽出物 60mg
朝鮮人参抽出物 20mg
アスコルビン酸 35mg
基剤 2,015mg
基剤:%
アラビアゴム 30.0
砂糖 12.0
フルクトース 12.0
りんごシロップ 21.0
水 24.4
香料混合物 0.6
式Iの物質の含有量:0.18%
【0151】
<実施例22>効能の実証
緑色ルイボス・ルイボス・緑茶・朝鮮人参カプセル剤(実施例19で説明)によるヒトの記憶能力改善効果を検証するため、ヒトに対する無作為化二重盲検試験を実施した。対照薬としては、微結晶セルロースのみを含む偽薬カプセルを投与した。投薬計画としては、2×3のハードカプセル剤を、朝食前と昼食前に4週間毎日投与した。
【0152】
試験の評価は、安静時および刺激存在下における定量的EEGトポグラフにより行った。さらに、被験者は質問表への記入を行った。
【0153】
本試験により、緑色ルイボス、ルイボス、緑茶、および朝鮮人参の抽出物を含むカプセル剤を単回投与した後、偽薬の場合と比較して、閉眼時のδ波およびα波を減少させることがわかった。認知機能に重要な意味を持つ前頭側頭脳領域を観察したところ、周波数パターンに統計的に有意な差が見られた。特に、CPT検査および記憶テストを実施した際、電極位置F7、T3、Fz、T5において、真薬条件下のδ波およびα1波の減少の度合いが大きくなっている。
【0154】
4週にわたって薬剤を連続投与した後、CPT検査および記憶テストを実施している間、いずれの電極位置においても、偽薬と真薬とでは顕著な差のあることが示された。CPTにおいては、α波とβ波がここでも偽薬の場合と比べてより大きく減少した。記憶テストにおいては、1回服用した後でも、δ波だけでなくα1波にも統計的に有意な減少が見られた。これらのテストの実施中に見られたα波およびβ波の減少は、精神測定の結果と関連し、一般に文献で記憶機能の代替指標と見なされているため、この結果は認識能力の改善として評価される。
【0155】
本試験の結果、緑色ルイボス抽出物、ルイボス抽出物、緑茶抽出物および朝鮮人参抽出物の混合物を含むカプセル剤の1回量を服用しただけで、認識能力の改善の最初の徴候が見られた。この点で、特に記憶過程が影響を受けるように思われる。さらに、連続投与後には、投与1時間後に、偽薬の投与と比較して統計的に顕著な差が示された。この差は、記憶機能に対する好ましい影響の現れであると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未発酵ルイボスから得られた抽出物と、発酵ルイボス、朝鮮人参、緑茶、および/またはクルクマから得られた少なくとも1種のさらなる抽出物とを含み、未発酵ルイボス抽出物が、式Iの化合物:
【化1】

ならびにその薬学的に許容される塩、誘導体、およびエステルを、少なくとも0.05重量%含むことを特徴とする、種々の植物抽出物の組合せ。
【請求項2】
前記組成物が式Iの化合物を少なくとも0.1重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
前記未発酵ルイボス抽出物が式Iの化合物、その薬学的に許容される塩、誘導体、およびエステルを少なくとも0.4重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
発酵ルイボス、朝鮮人参、緑茶、および/またはクルクマから成る群より選択される少なくとも2種のさらなる植物の抽出物を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の組合せ。
【請求項5】
先行する請求項のいずれかに記載の未発酵ルイボスの乾燥抽出物に加え、前記調製物が、発酵ルイボス、朝鮮人参、緑茶、および/またはクルクマから成る群より選択される少なくとも3種のさらなる植物の乾燥抽出物を含むことを特徴とする、請求項4に記載の組合せ。
【請求項6】
前記未発酵ルイボス抽出物が、未発酵の生の原料ルイボスを乾燥して粉砕した後、20〜50%(vol/vol)のアルコールおよび水からなる抽出剤を用いて90℃以下、特に60℃以下の温度で所定の時間抽出し、次いで抽出物をろ過した後、減圧下で濃縮乾固することによって調製されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の組合せ。
【請求項7】
濃縮乾固された抽出物が溶解され、クロマトグラフィー、特にサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製されることを特徴とする、請求項6に記載の組合せ。
【請求項8】
前記未発酵ルイボスの乾燥抽出物が、水とアルコールとの混合溶液を用いた抽出によって得られ、該混合溶液が20〜30重量%のエタノールおよび/またはメタノールを含有することを特徴とする、請求項6または7に記載の組合せ。
【請求項9】
水または、水と80%(vol/vol)以下のアルコールとの混合溶液を用いた抽出によって調製された緑茶の乾燥抽出物を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ。
【請求項10】
水または、水とアルコールとの混合溶液を用いた抽出によって調製された発酵ルイボスの乾燥抽出物を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ。
【請求項11】
アルコール、CO、または、水とアルコールおよび/またはアセトンとの混合溶液を用いた抽出によって調製されたクルクマの乾燥抽出物を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ。
【請求項12】
水と特に80%(vol/vol)以下のアルコールとの混合溶液を用いた抽出によって調製された朝鮮人参の乾燥抽出物を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ。
【請求項13】
前記未発酵ルイボス抽出物中の総フラボノイド含有量が少なくとも17重量%であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の組合せ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の組合せを含むことを特徴とする薬剤。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載の組合せを含むことを特徴とする補助食品。
【請求項16】
認知症疾患の予防および/または治療のための薬剤を調製するための、請求項1〜13のいずれかに記載の組合せの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−501990(P2012−501990A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525492(P2011−525492)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060358
【国際公開番号】WO2010/026021
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(506178508)クナイプ‐ヴェルケ クナイプ‐ミッテル‐ツェントラーレ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング ウント コムパニー カーゲー (2)
【Fターム(参考)】