説明

認知衰退および加齢性記憶障害の予防および処置に用いるためのフリーB環フラボノイド類とフラバン類との混合物の製剤

本発明は、酸化ストレス、炎症および加齢過程によって生じる記憶障害および認知障害並びに神経変性状態を予防するおよび処置する新規な方法を提供する。該方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。本発明は、更に、炎症誘発性サイトカインの発現を同時に阻害する、ROS生成を予防する、および抗酸化剤防御を増大させる新規な方法を包含する。この組成物の活性は、最終的に認知機能を保存することおよび一定レベルの神経保護を与えることをもたらす。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、反応性酸素種(ROS)、炎症性タンパク質およびエイコサノイドへの暴露によって生じる神経変性、神経炎症および蓄積認知衰退(cumulative cognitive declines)、障害、疾患および状態の予防および処置に用いるために製剤化された組成物に関する。具体的には、本発明は、酸化的傷害、炎症、およびシクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)の経路によって媒介される、加齢、認知、神経炎症および神経変性に関係した疾患および状態の予防および処置に用いるための二つの具体的なクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類とフラバン類とのブレンドの混合物を含んで成る新規な組成物に関する。それら疾患および状態には、神経変性障害、卒中、痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および加齢によって生じる認知衰退が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0002】
発明の背景
細胞膜からのアラキドン酸(AA)の遊離および代謝は、いくつか異なった経路による炎症誘発性代謝物の生成を引き起こす。おそらくは、炎症への最も重要な経路の内の二つは、酵素5−リポキシゲナーゼ(5−LO)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)によって媒介される。これら平行した経路は、それぞれロイコトリエンおよびプロスタグランジンの生成を引き起こすが、それらは、炎症性反応の開始および進行において重要な役割を果たしている。これら血管作用性(vasoactive)化合物は、ケモタキシンであり、それらは、炎症性細胞の組織中への浸潤を促し且つ炎症性反応を延長するのに役立つ。従って、炎症のこれらメディエーターを生成する原因である酵素は、関節リウマチ、変形性関節症、アルツハイマー病およびある種の癌などの疾患の原因となる炎症の処置を目的とした多数の新薬の標的となっている。
【0003】
COX酵素の阻害は、大部分の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に起因する作用機構である。COX酵素には、約60%の配列相同性を共有するが、発現プロフィールおよび機能が異なる二つの明瞭なイソ型(COX−1およびCOX−2)が存在する。COX−1は、血小板凝集、胃内の細胞機能の保護、および正常腎機能の維持などの正常な生理学的機能の調節に関与する生理学的に重要なプロスタグランジンの生産に関連した酵素の構成性形である(Dannhardt and Kiefer (2001) Eur. J. Med. Chem. 36:109-126)。もう一つのイソ型COX−2は、インターロイキン1β(IL−1β)などの炎症誘発性サイトカインおよび他の増殖因子によって誘導性である酵素の形である(Herschmann (1994) Cancer Metastasis Rev. 134: 241-256; Xie et al. (1992) Drugs Dev. Res. 25:249-265)。このイソ型は、AAからのプロスタグランジンE2(PGE)の生産を触媒する。COX−2の阻害は、慣用的なNSAIDの抗炎症活性の原因である。
【0004】
COX−2および5−LOに二重特異性(dual specificity)を示すが、同時に、COX−1に相対してCOX−2選択性を維持している阻害剤は、AA代謝の多数の経路を阻害する明らかな利点を有すると考えられる。このような阻害剤は、それらの生産を制限することにより、プロスタグランジン(PG)の炎症性作用、並びに多数のロイコトリエン(LT)の当該作用をブロックすると考えられる。これには、アナフィラキシー(anaphalaxis)の遅反応性物質としても知られるPGE、LTB4、LTD4およびLTE4の血管拡張作用、血管透過性作用および走化性作用が含まれる。これらの内、LTB4は、最も強力な走化性作用およびケモキネシス(chemokinetic)作用を有する。(Moore (1985) in Prostanoids: Pharmacological, Physiological and Clinical Relevance, Cambridge University Press, N.Y., pp.229-230)。
【0005】
二重COX−2/5−LO阻害剤の上述の利点に加えて、多数の二重阻害剤は、伝統的NSAIDによる胃腸の損傷および不快感の双方を含めた、NSAIDまたはCOX−2阻害剤に典型的である副作用の一部を生じることがない。NSAIDで誘発される胃の炎症は、主に、5−LOの代謝物、具体的には、LTB4に因り、それは、胃の病変部位に細胞を引きつけるので、更に損傷を生じるということが示唆された。(Kircher et al. (1997) Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acids 56:417-423)。ロイコトリエンは、プロスタノイド阻害後の胃粘膜内の主なAA代謝物である。これら化合物は、NSAIDの使用によって生じる有意量の胃上皮傷害の原因であると考えられる。(Celotti and Laufer (2001) Pharmacological Research 43:429-436)。COXおよび5−LOの二重阻害剤は、更に、ラットモデルの関節炎心臓において冠状血管収縮を阻害することが示された。(Gok et al. (2000) Pharmacology 60:41-46)。総合すると、これら特性は、COX−2および5−LOの二重阻害剤には、増加した効力および減少した副作用双方に関して、特異的COX−2阻害剤および非特異的NSAIDにまさる明瞭な利点がありうるということを示唆している。
【0006】
COX阻害剤の作用機構は、大部分の慣用的なNSAIDの作用機構と重複しているので、COX阻害剤は、炎症が臨界的役割を果たしている一過性状態および慢性疾患における炎症に関連した痛みおよび腫脹のような多数の同じ症状を処置するのに用いられる。一過性状態には、小擦傷、日焼けまたは接触性皮膚炎に関連した炎症の処置、更には、緊張性頭痛および片頭痛および月経痙攣に関連した痛みの軽減が含まれる。慢性状態には、関節リウマチおよび変形性関節症などの関節炎性疾患が含まれる。関節リウマチは、主に、自己免疫疾患であるし、そして変形性関節症は、関節中の軟骨の分解に因り、各々に関連した炎症の減少は、これら疾患の患者にとっての生活の質を有意に増加させる(Wienberg (2001) Immunol. Res. 22:319-341; Wollhiem (2000) Curr. Opin. Rheum. 13:193-201)。炎症は、概して、リウマチ性疾患の成分であるので、COX阻害剤の使用は、全身性エリテマトーデス(SLE)(Goebel et al. (1999) Chem. Res. Tox. 12:488-500; Patrono et al. (1985) J. Clin. Invest. 76:1011-1018)などの疾患および強皮症などのリウマチ性皮膚状態を含むように広がっている。COX阻害剤は、乾癬のような、リウマチ起原ではない炎症性皮膚状態の軽減にも用いられるが、この場合、プロスタグランジンの過剰生産によって生じる炎症を減少させることは、直接的利点を与えることがありうる(Fogh et al. (1993) Acta Derm. Venereol (Oslo) 73:191-193)。
【0007】
最近の化学的進歩は、COX−2発現、全身性炎症、およびアルツハイマー病(AD)の病原の間に相関を確認している(Ho et al. (2001) Arch. Neurol. 58:487-92)。動物モデルの場合、COX−2酵素を過発現するトランスジェニックマウスは、損傷に一層感受性であるニューロンを有する。National Institute on Aging(NIA)は、NSAIDが、アルツハイマー病の進行を遅らせることができるかどうか確かめるための臨床試験に着手している。ナプロキセン(非選択的NSAID)およびロフェコキシブ(rofecoxib)(Vioxx,COX−2特異的な選択的NSAID)が、評価されるであろう。炎症がアルツハイマー病の原因となっているということは、以前に証明されている。Alzheimer's Association およびNIAによれば、米国において約400万人がADに罹患していて、そしてこれが、今世紀中頃には1400万人に増加すると考えられる。
【0008】
ADの病原におけるNSAIDの保護作用は、COX−2阻害と、脳内のアミロイドーシスの直接的予防に起因している。(Xiang et al. (2002) Gene Expression 10:271-278)。炎症誘発性プロスタグランジンPGEのCOX−2生産を抑制することにより、周囲のニューロンも、活性ミクログリアによって生じると考えられる酸化的および炎症性の傷害を免れる。(Combs et al. (2001) Neurochem. Intl. 39:449-457)。この作用は、サイクルを与え且つ神経変性を広げるサイトカインおよびROSを、ミクログリアが引き続き生成するのを排除する。(Kalaria et al. (1996) Neurodegeneration 5:497-503; Combs et al. (1999) J. Neurosci. 19:928-939)。NSAIDは、更に、γ−セクレターゼ活性を阻害し、それによって、アミロイド前駆体タンパク質(APP)プロセシング、アミロイドβ(Aβ)ペプチドレベルの上昇、および神経原線維変化(NFT)および神経炎性局面の発生を妨げる(Weggen et al. (2001) Nature 414:212-216; Takahashi et al. (2003) J. Biol. Chem. 278:18664-18670)。
【0009】
ROS、サイトカインおよび炎症誘発性エイコサノイドへの暴露によって生じる進行性神経悪化は、それ自体、共通の根本原因をいずれも有している多数の疾患状態において発現する。これら疾患は、現在、ROS、サイトカインおよび炎症誘発性エイコサノイドへの多因子活性によって生じる認知保存性および神経保護性を有するNSAIDで処置されている。それらは、アミロイド沈着を阻害し、トロンボキサンおよびプロスタノイド生産を減少させ、サイトカイン生産を減衰させ、ミクログリア活性化を妨げ、ROS生成を低下させ、そしてある場合には、高い抗酸化剤性能を有するように働く。これら活性は全て、認知衰退を防止するし、酸化ストレスおよび加齢によって生じる神経変性への蓄積作用を遅らせることができる。
【0010】
NSAIDの神経保護活性は、いろいろな変性疾患状態、加齢、炎症および酸化ストレスで認められる身体的および神経変性的衰退に関する現行理論の基礎を形成している。電離放射線への暴露が、照射された器官に類似の組織病理学的変化を生じることで、これら状態のいくつかによく似ているという最初の知見およびそれらの抗酸化剤状態は、原因因子としてのフリーラジカルの生成に関係していた。(Gerschman et al. (1954) Science 119:623-626: Harman (1956) J. Gerontol. 11:289-300; Harman (1957) J. Gerontol. 2:298-300)。暴露前の抗酸化剤投与は、その生物を、放射線の損傷作用からある程度保護した。これら研究によって得られた結論は、電離放射線または酸化的代謝によって生じるフリーラジカル酸化ストレスへの長期暴露が、細胞内環境のREDOX平衡を乱し、そして抗酸化剤防御によってくい止められない場合、それ自体で損傷を与えているということであった。この知見により、長命および神経保護を増加させることについての主な研究は、カロリー制限によって基礎代謝を操作することによるフリーラジカルレベルの低下を伴って行われた。(Berg and Simms (1960) J. Nutr. 71:255-261; Weindruch and Walford (1988) The retardation of aging and disease by dietary restriction. C.C. Thomas, Springfield, IL)。
【0011】
Berg and Simms は、身体的機能の維持が、制限されたカロリー摂取量およびその後の酸化的代謝によるフリーラジカル生産の減少、本質的には、カロリー制限(CR)と相関すると考えた。(Berg and Simms (1960) J. Nutr. 71:255-261)。Harman は、抗酸化剤の使用によるこの保護が、脂質過酸化を妨げることによって神経系へと拡大する考えられるということを示唆した。(Harman (1969) J. Gerontol. 23:476-482)。他の研究者は、細胞およびDNAの損傷が、生物の基礎代謝率(BMR)にほぼ相関していると考えられるということを認めたし、そしてBMRが高いほど、寿命が短く、細胞およびDNAの損傷が大きくなるということを示した。(Barja (2002) Free Rad. Biol. Med. 33:1167-1172)。ミトコンドリアおよび細胞質の酸化的代謝による破壊的ROSの生成は、フリーラジカルに誘発される損傷の蓄積を細胞および分子双方のレベルで生じ、そして部分的には、多数の変性障害および加齢性障害の原因であるということが説明される。ROSによる損傷は、しかしながら、CRによってBMRを抑制することにより、または酸化防止剤防御を増大させてROS生産と競合させることにより減少させることができる。CRは、多数の種の寿命を増加させる有効な方法であると繰り返し示されている。(Weindruch and Walford (1988) The retardation of aging and disease by dietary restriction, C.C. Thomas, Springfield, IL; Weindruch (1989) Prog. Clin. Biol. Res. 287:97-103)。この研究は、加齢で認められる進行性の身体および神経悪化に関する生物の抗酸化剤状態についての活発な調査と、その後の加齢のフリーラジカル理論の発展をもたらした。(Harman (1994) Ann. NY Acad. Sci. 717:1-15)。
【0012】
更なる研究は、生物の抗酸化剤防御の増大または補足に関連した神経保護活性を示し、この理論を支持している。齧歯類動物における、微量栄養素(Liu et al. (2002) Ann. NY Acad. Sci. 959:133-166)、抗酸化剤(Floyd and Hensley (2000) Ann. NY Acad. Sci. 899:222-237; Joseph et al. (2000) Mech. Ageing Dev. 116:141-153; Galli et al. (2002) Ann. NY Acad. Sci. 959:128-132)および植物抽出物(Bickford et al. (2000) Brain. Res. 866:211-217; Cartford et al. (2002) J. Neurosci. 22:5816-5816)での食事補足は、認知課題における行動を改善すること(Bickford et al. (1999) Mech. Ageing Dev. 111:141-154)およびCNS電気生理学的応答を回復すること(Gould et al. (1998) Neurosci. Lett. 250:165-168; Bickford et al. (1999) Free Rad. Biol. Med. 26:817-824)に加えて、加齢神経系を電離放射線(Lenton and Greenstock (1999) Mech. Ageing Dev. 107:15-20)または酸化的傷害(Butterfield et al. (1998) Ann. NY Acad. Sci. 854:448-462; Cao et al. (1999) J. Applied Physiol. 86:1817-1822)から保護することが分かった。これら介入療法は全て、細胞内環境の抗酸化剤状態を変化させ、そして細胞質およびミトコンドリアの不可欠な内容物をROSによる分解から保護し、それによって、ホメオスタシスを回復するおよび/または保存すると考えられる。抗酸化剤状態の指数は、これら食事操作で対応する変化を示した。例えば、脂質過酸化物マーカーであるマロンジアルデヒド(MDA)(Gemma et al. (2002) J. Neurosci. 22:6114-6120)およびヒドロキシノネナール(HNE)は低下し(Yoshimura et al. (2002) Free Rad. Res. 36:107-112)、イソプロスタンは減少し(Montine et al. (2003) Biochem. Pharmacol. 65:611-617)、8−ヒドロキシ−2−デオキシグアノシンレベルは減少し(Lee et al. (2002) Cancer Lett. 132:219-227)、タンパク質カルボニル(Carney et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3633-3636; Stadtman and Berlett (1998) Drug Metab. Rev. 30:225-243)およびニトロチロシン残基は降下し(Whiteman and Halliwell (1996) Free Rad. Res. 25:275-283)、そしてスピントラッピング(spin trapping)抗酸化剤は、低下した反応性を示す(Carney et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3633-3636)。
【0013】
スピントラッピング抗酸化剤N−tert−ブチル−α−フェニルニトロン(PBN)での処置は、加齢およびROSによって誘発される神経変性を薬理学的に減衰させる能力を示す。PBNは、フリーラジカルスカベンジャーであるが、それは、ROSを減少させ(Floyd (1999) Proc Soc Exp Biol Med. 222(3):236-245.)、老化加速マウスモデルのタンパク質カルボニル生成を低下させ(Butterfield et al. (1997) Proc. Natl Acad. Sci. USA 94:674-678)、虚血再灌流傷害のアレチネズミの脳を保護し(Floyd and Hensley (2000) Ann. NY Acad. Sci. 899:222-237)、老齢ラットの小脳応答性を保存し(Gould and Bickford (1994) Brain Res. 660:333-336)、そしてヒト線維芽細胞のテロメア短小化速度を減少させる(von Zglinicki et al. (2000) Free Rad. Biol. Med. 28:64-74)ことが分かっている。PBNは、更に、老齢アレチネズミのタンパク質カルボニル含量を低下させる場合におよびラジアルアーム迷路行動課題(radial arm maze behavioral task)での成績を改善する場合に有効であると証明された。(Carney et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3633-3636)。したがって、種々の栄養的介入によって生物の抗酸化剤防御を増大させることは、依然として避けられない問題である。
【0014】
加齢および酸化ストレスは、記憶形成、空間的学習で認められる欠陥、および記憶統合(memory consolidation)に必要である長期増強(Long Term Potentiation)(LTP)の衰退によって示されるように、海馬の情報処理過程の衰退に関連している(Barnes (1990) Prog. Brain Res. 86:89-104; McGahon et al. (1997) Neuroscience 81:9-16; Murray and Lynch (1998a) J. Neurosci. 273:12161-12168)。本明細書中に開示された組成物は、COXおよびLOX阻害剤、更には、強力な抗酸化剤であるが、酸化ストレス、炎症または加齢によって生じる海馬処理過程の衰退を減少させることができる。
【0015】
最後に、炎症性プロスタノイドは、炎症性サイトカインIL−1βをアップレギュレーションすることによってLTPを危うくする。このサイトカインは、年齢および酸化ストレスとともに増加することが分かっているが、海馬のCA1部分およびDGにおいてLTPを阻害する。(Murray and Lynch (1998a) J. Neurosci. 273:12161-12168)。IL−1β発現におけるアップレギュレーションに関連しているのは、海馬における脂質過酸化の増加である。(Murray et al. (1999) Gerontology 45:136-142)。この過程についての更なる評価は、抗酸化剤の多い飼料で処置された動物が、IL−1β、脂質過酸化および関連したLTPの欠陥の点で加齢性変化の逆転を経験するということを示した。(Lynch (1998) Prog. Neurobiol. 56:571-589)。更に、膜AA濃度の加齢性減少も、抗酸化剤での食事補足によって好転した。(Murray and Lynch (1998b) J. Biol. Chem. 273:12161-12168)。これら因子は全て、酸化ストレス、炎症および加齢への暴露によって生じる認知衰退を、食事性介入および薬理学的介入によって遅らせるまたは好転させることができるということを明らかに示している。
【0016】
フラボノイド類またはバイオフラボノイド類は、抗細菌活性、抗炎症活性、抗アレルギー活性、抗変異原活性、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、抗トロンビン活性および血管拡張活性を有すると報告された、広く分布する一群の天然産物である。この群の化合物に共通の構造単位は、次の一般的な構造式:
【0017】
【化1】

【0018】
によって示されるように、3炭素環の両側に2個のベンゼン環を含む。この一般的な三環構造に結合したヒドロキシル基、糖、酸素およびメチル基のいろいろな組合せは、いろいろなクラスのフラボノイド類を生じるが、それには、フラバノール類(flavanols)、フラボン類、フラバン−3−オール類(カテキン類)、アントシアニン類およびイソフラボン類が含まれる。
【0019】
フラボノイド類の摂取量は、起こりやすい痴呆の危険と逆に関係していることが示された。その作用機構は知られていないが、フラボノイド類の抗酸化作用のためであると考えられた。(Commenges et al. (2000) Eur. J. Epidemiol. 16:357-363)。ポリフェノールフラボン類は、cox−2、核内因子κB(NFκB)およびbcl−X(L)を含めた遺伝子にmRNAレベルで作用することにより、プログラムされた細胞死、形質転換された結腸細胞の分化および成長の阻害を引き起こす。(Wenzel et al. (2000) Cancer Res. 60:3823-3831)。B環上のヒドロキシル基の数は、cox−2転写活性の抑制に重要であるということが報告された。(Mutoh et al. (2000) Jnp. J. Cancer Res. 91:686-691)。
【0020】
最近の報告は、cox−2遺伝子発現の変更において、薬草スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)から単離されるフラボノイド類について可能性のある関与に向けられている。(Wakabayashi and Yasui (2000) Eur. J. Pharmacol. 406(3):477-481; Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61:1417-1427; Chi et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61:1195-1203; Raso et al. (2001) Life Sci. 68(8):921-931)。遺伝子発現という用語は、しばしば、mRNA生産およびタンパク質合成双方を記載するのに用いられる。事実、実際の遺伝子発現の変化は、タンパク質レベルに認めうる変化を全く生じないことがありうる。タンパク質レベルの変化が、遺伝子発現の変化によって常に生じることはないという推論もまた、真実でありうる。ゲノムDNAから機能性タンパク質に至る経路には、6個の可能な調節点が存在する。(1)核内因子、およびプレmRNAの生産をもたらす他のシグナルによる転写調節;(2)エクソンスプライシング、5’キャップ構造および3’ポリアデニル化配列の付加、および核から細胞質中への成熟mRNAの輸送を伴うプレmRNAプロセシング調節;(3)タンパク質への翻訳のための具体的な細胞質部位へのmRNAの局在化を制御するmRNA輸送調節;(4)いずれかのタンパク質翻訳の前のかまたは、その特定のmRNAからの翻訳を終わらせる手段としての、mRNAプールのサイズを制御するmRNA分解調節;(5)具体的なタンパク質翻訳開始速度の翻訳調節;および(6)グリコシル化およびタンパク質分解的切断などの修飾を伴う翻訳後プロセシング調節。ゲノミクス研究の場合、この経路中の後方段階(例えば、タンパク質レベル)よりもむしろ、初期段階(例えば、mRNAレベル)により近い遺伝子発現レベルを測定する技術を用いることが重要である。
【0021】
cox−2遺伝子発現に関して上に引用された研究は各々、タンパク質分析のためにウェスタンブロット法を用いて、DNAまたはmRNAのレベルについて確認することなく、遺伝子発現の推定上の変更を評価する。ウェスタンブロット法は、タンパク質レベルのみを測定し、具体的な転写産物mRNAを測定しないので、他の機構を伴って、タンパク質発現に認められる増加をもたらすことは可能である。例えば、LPSは、mRNAの3’非翻訳領域(3’UTR)に見出される不安定性配列によってmRNA半減期をモジュレーションすると報告されているが(Watkins et al. (1999) Life Sci. 65:449-481)、それは、遺伝子転写速度の変更を伴わない増加したタンパク質発現の理由となりうると考えられる。結果として、これは、これら処理条件が、遺伝子発現に意味のある変化を生じたか否かという問題を未解決のままにしている。
【0022】
RT−qPCRおよびDNAマイクロアレイ分析などの技術は、分析についてmRNAレベルに頼っているので、異なった条件下での、すなわち、薬剤の存在下または不存在下での遺伝子発現レベルを評価するのに用いることができる。これまでのところ、出願人は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の組合せを含んで成る組成物を治療薬として用いる場合に、直接的にまたは間接的に、mRNAの量を具体的に測定するいずれの報告された方法も知らない。
【0023】
フリーB環フラボン類およびフラボノール類は、特定のクラスのフラボノイド類であり、それらは、次の一般的な構造:
【0024】
【化2】

【0025】
(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、フルオリド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない(本明細書中、フリーB環フラボノイド類と称される)。
【0026】
フリーB環フラボノイド類は、比較的希少である。合成されたまたは天然源より単離された9,396種類のフラボノイド類の内、231種類のフリーB環フラボノイド類だけが知られている(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, Version 5:1 June 2001)。フリーB環フラボノイド類は、多様な生物学的活性を有すると報告されている。例えば、ガランギン(galangin)(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)は、抗酸化剤およびフリーラジカルスカベンジャーとして作用するので、抗遺伝子毒性および癌化学予防法に有望な候補であると考えられる。(Heo et al. (2001) Mutat. Res. 488:135-150)。それは、チロシナーゼモノフェノラーゼの阻害剤(Kubo et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. 8:1749-1755)、ウサギ心臓カルボニルレダクターゼの阻害剤(Imamura et al. (2000) J. Biochem. 127:653-658)であり、抗微生物活性(Afolayan and Meyer (1997) Ethnopharmacol. 57:177-181)および抗ウイルス活性(Meyer et al. (1997) J. Ethnopharmacol. 56:165-169)を有する。バイカレインおよび二つの他のフリーB環フラボノイド類は、ヒト乳癌細胞に対して抗増殖活性を有する。(So et al. (1997) Cancer Lett. 112:127-133)。
【0027】
典型的には、フラボノイド類は、生物学的活性について、無作為にそれらの利用可能性に基づいて調べられてきた。時々、p−糖タンパク質への高親和性結合(Boumendjel et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1):75-77);強心作用(Itoigawa et al. (1999) J. Ethnopharmacol. 65(3):267-272);リノール酸ヒドロペルオキシド誘導毒性に対する内皮細胞への防御作用(Kaneko and Baba (1999) Biosci Biotechnol. Biochem 63(2):323-328);COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7:15-19);およびプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacology 44(1):1-12)に必要なB環置換のように、B環上の置換の必要条件が特定の生物学的活性について強調されている。僅か少数の出版物だけが、フリーB環フラボノイド類の未置換B環の有意性を述べていた。一つの例は、2−フェニルフラボン類の使用であるが、それは、NADPHキノンアクセプターオキシドレダクターゼを、潜在的な抗凝固薬として阻害する。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。
【0028】
種々のフリーB環フラボノイド類の抗炎症活性に関する作用機構は、議論の的になっている。フリーB環フラボノイド類であるクリシン(chrysin)(Liang et al. (2001) FEBS Lett. 496(1):12-18)、ウォゴニン(wogonin)(Chi et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61:1195-1203)およびハランジン(halangin)(Raso et al. (2001) Life Sci. 68(8):951-931)の抗炎症活性は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(peroxisome proliferator activated receptor)γ(PPARγ)の活性化による誘導性シクロオキシゲナーゼおよび酸化窒素シンターゼの抑制と関連していて、脱顆粒およびAA放出に影響する。(Tordera et al. (1994) Z. Naturforsch [C] 49:235-240)。オロキシリン(oroxylin)、バイカレイン(baicalein)およびウォゴニンは、シクロオキシゲナーゼに影響することなく、12−リポキシゲナーゼ活性を阻害するということが報告された。(You et al. (1999) Arch. Pharm. Res. 22(1):18-24)。より最近になって、ウォゴニン、バイカリン(baicalin)およびバイカレインの抗炎症活性は、酸化窒素阻害剤およびリポ多糖で誘導されるcox−2遺伝子発現および誘導性酸化窒素シンターゼの阻害によって生じると報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。オロキシリンは、NFκB活性化の抑制によって作用するということも報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。最後に、ウォゴニンは、報告によれば、マクロファージ中の誘導性PGE生産を阻害する。(Wakabayashi and Yasui (2000) Eur. J. Phrmacol. 406(3):477-481)。
【0029】
バイカレインによる、マイトジェン活性化プロテインキナーゼのリン酸化の阻害およびCa2+イオノホアA23187で誘導されるPGE放出の阻害は、スクテラリエ・ラディクス(Scutellariae radix)の抗炎症活性の機構として報告された。(Nakahata et al. (1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp. 11:215P-219P; Nakahata et al. (1998) Am. J. Chin Med. 26:311-323)。スクテラリア・バイカレンシスからのバイカリンは、報告によれば、スーパー抗原性ブドウ球菌外毒素で刺激されたT細胞増殖、およびIL−1β、IL−6、TNF−αおよびインターフェロンγ(INF−γ)の生産を阻害する。(Krakauer et al. (2001) FEBS Lett. 500:52-55)。したがって、バイカリンの抗炎症活性は、スーパー抗原によって活性化された、炎症誘発性サイトカインに媒介されるシグナリング経路を阻害することに関連していた。しかしながら、バイカリンの抗炎症活性は、種々のケモカインを結合して、それらの生物学的活性を制限するためであるということも考えられた。(Li et al. (2000) Immunopharmacology 49:295-306)。最近、トロンビンおよびトロンビン受容体アゴニストペプチドで誘導される接着性分子発現へのバイカリンの作用(Kimura et al. (2001) Planta Med. 67:331-334)、更には、マイトジェン活性化プロテインキナーゼカスケード(MAPK)の阻害(Nakahata et al. (1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp. 11:215P-219P; Nakahata et al. (1998) Am. J. Chin Med. 26:311-323)が報告された。
【0030】
漢方薬用植物であるスクテラリア・バイカレンシスは、バイカレイン、バイカリン、ウォゴニンおよびバイカレノシド(baicalenoside)を含めた、有意の量のフリーB環フラボノイド類を含有する。伝統的に、この植物は、発熱除去(clearing away heat)、炎症除去(purging fire)、湿・温(dampness-warm)および夏季熱症候群;高熱に起因する多渇症;カルブンケル、びらんおよび他の化膿性皮膚感染;急性扁桃炎、咽喉頭炎および猩紅熱などの上気道感染;ウイルス性肝炎;腎炎;腎盂炎(pelvitis);赤痢;吐血および鼻出血を含めた多数の状態を処置するのに用いられてきた。この植物は、更に、流産を防止するのに伝統的に用いられてきた(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。臨床的には、スクテラリアは、現在、小児肺炎、小児細菌性下痢、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎症、高血圧症、切開および外科手術に起因する局所急性炎症、気管支喘息および上気道感染などの状態を処置するのに用いられている(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。気管支喘息を処置するためのスクテラリア根の薬理学的効力は、報告によれば、フリーB環フラボノイド類の存在と、エオタキシン(eotaxin)に関連した好酸球補充をそれらが抑制することに関係している。(Nakajima et al. (2001) Planta Med. 67(2):132-135)。
【0031】
これまでに、多数の天然に存在するフリーB環フラボノイド類が、いろいろな用途のために商業化されてきた。例えば、スクテラリア抽出物のリポソーム製剤は、スキンケア用に利用されてきた(米国特許第5,643,598号;第5,443,983号)。バイカリンは、癌遺伝子へのその阻害作用のために、癌を予防するのに用いられてきた(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよび他の化合物は、抗ウイルス薬、抗細菌薬および免疫調節薬として(米国特許第6,083,921号およびWO98/42363号)および天然の抗酸化剤として(WO98/49256号およびポーランド公報第9,849,256号)用いられてきた。スクテラリア・バイカレンシス根抽出物は、局所用製剤中の個々の成分各々の蓄積SPFの相加作用を有する補助日焼け止め剤として製剤化されてきた(WO98/19651号)。クリシンは、その不安低減性について用いられてきた(米国特許第5,756,538号)。抗炎症性フラボノイド類は、肛門直腸および結腸の疾患の制御および処置(米国特許第5,858,371号)およびリポキシゲナーゼの阻害(米国特許第6,217,875号)に用いられている。これら化合物は、更に、結合組織の修復および維持のために、グルコサミンコラーゲンおよび他の成分と一緒に製剤化されている(米国特許第6,333,304号)。フラボノイドエステルは、化粧用組成物の活性成分を構成している(米国特許第6,235,294号)。2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent COX-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号および2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号は双方とも、シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害する方法であって、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドを含む組成物またはフリーB環フラボノイドの混合物を含有する組成物を投与することによる方法を開示している。これは、フリーB環フラボノイド類とCOX−2阻害活性との関連についての最初の報告である。これら出願は、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0032】
日本国特許第63027435号は、バイカレインの抽出および濃縮を記載しており、日本国特許第61050921号は、バイカリンの精製を記載している。
フラバン類には、次の一般的な構造:
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、R、R、R、RおよびRは、−H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイル(caffeoyl)エステル、およびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より独立して選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0035】
カテキンは、主に緑茶に見出される、次の構造を有するフラバンである。
【0036】
【化4】

【0037】
カテキンは、単独でも、茶に見出される他のフラボノイド類と一緒でも作用し、抗ウイルス活性および抗酸化剤活性双方を有する。カテキンは、ウイルス性肝炎の処置に有効であることが分かった。それは、更に、心臓、腎臓、肺および脾臓への酸化的損傷を妨げると考えられるし、胃癌細胞の成長を阻害することが分かった。
【0038】
カテキンおよびその異性体エピカテキンは、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼを40μMのIC50値で阻害する。(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacol. 44:1-12)。アトゥナ・ラセモサ(Atuna racemosa)、シジジウム・カリノカルプム(Syzygium carynocarpum)、シジジウム・マラセンス(Syzygium malaccense)およびヴァンタネア・ペルヴィアナ(Vantanea peruviana)という4種類の植物種より単離された、(+)−カテキンおよびガロカテキンを含めた5種類のフラバン−3−オール誘導体は、COX−2に対して3.3μM〜138μMのIC50値で、COX−1に相対して等しい〜弱い阻害活性を示す。(Noreen et al. (1998) Planta Med. 64:520-524)。セイバ・ペンタンドラ(Ceiba pentandra)の樹皮から単離された(+)−カテキンは、COX−1を80μMのIC50値で阻害する。(Noreen et al. (1998) J. Nat. Prod. 61:8-12)。商業的に入手可能な純(+)−カテキンは、COX−2への選択性を伴うことなく、COX−1を、実験条件に依って約183〜279μMのIC50値で阻害する。(Noreen et al. (1998) J. Nat. Prod. 61:1-7)。
【0039】
緑茶カテキンは、Sprague Dawley 雄ラットの飼料中に補足された場合、血小板PLAの活性レベルを低下させ、血小板シクロオキシゲナーゼレベルを有意に減少させた。(Yang et al. (1999) J. Nutr. Sci. Vitaminol. 45:337-346)。カテキンおよびエピカテキンは、報告によれば、ヒト結腸癌DLD−1細胞中のcox−2遺伝子転写を弱く抑制する(IC50=415.3μM)。(Mutoh et al. (2000) Jpn. J. Cancer Res. 91:686-691)。赤ワインからの(+)−カテキンの神経保護能力は、シクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼまたは酸化窒素シンターゼなどの細胞内酵素への阻害作用よりもむしろ、カテキンの抗酸化剤性状によって生じている(Bastianetto et al. (2000) Br. J. Pharmacol. 131:711-720)。エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン−3−ガレート(ECG)およびティーフラビン類のような、緑茶および紅茶から精製されたカテキン誘導体は、ヒト結腸粘膜および結腸腫瘍組織中のシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼに依存性のAA代謝の阻害を示したが(Hong et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 62:1175-1183)、cox−2発現およびPGE生産を引き起こす(Park et al. (2001) Biochem. Biophys. Res. Commun. 286:721-725)。セラスツルス・オルビキュラツス(Celastrus orbiculatus)の気生部分から単離されるエピアフゼレキン(epiafzelechin)は、COX−1活性の用量依存性阻害を15μMのIC50値で示し、そして更に、100mg/kgの投薬量で経口投与後のカラゲニンに誘導されるマウス足浮腫に対する抗炎症活性を示した。(Min et al. (1999) Planta Med. 65:460-462)。
【0040】
アカシア(Acacia)は、マメ科の木および低木の属である。アカシア属には、マメ科(Leguminosae)の科およびミモソイデエ(Mimosoideae)の亜科に属する1000を超える種が含まれる。アカシアは、中・南米、アフリカ、アジアの一部並びにオーストラリアの熱帯および亜熱帯地域の世界中に分布していて、最大多数の固有種を有する。アカシアは、経済的にきわめて重要であり、タンニン類、ガム類、木材、燃料および飼料の原料を提供する。タンニン類は、主に樹皮から単離されるが、獣皮(hides and skins)をなめすのに広範囲に用いられている。若干のアカシア樹皮は、地酒の香り付けにも用いられている。A.シニュータ(A. sinuata)に似た若干の自生種も、サポニン類を生じるが、それは、水と一緒に混合し且つ撹拌した場合に石鹸状の泡を形成する種々の植物グリコシドのいずれかである。サポニン類は、洗剤、発泡剤および乳化剤に用いられる。若干のアカシア種の花は、香りがよく、香料を製造するのに用いられる。多数のアカシアの心材は、農機具を作るのに用いられ、そして更には、薪の原料を提供する。アカシアガム類は、医学および菓子製造業に、そして繊維工業においてはサイズ剤および仕上材料として、広範囲に用いられている。
【0041】
これまでに、約330種類の化合物が、いろいろなアカシア種から単離された。フラボノイド類は、アカシアから単離された主なクラスの化合物である。約180種類の異なったフラボノイド類が識別されたが、その内111種類はフラバン類である。テルペノイド類は、アカシア属の種から単離された2番目に大きいクラスの化合物であり、48種類の化合物が識別された。アカシアから単離された他のクラスの化合物には、アルカロイド類(28)、アミノ酸/ペプチド(20)、タンニン類(16)、炭水化物(15)、酸素複素環(15)および脂肪族化合物(10)が含まれる。(Buckingham, The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall CRC, version 5:2, Dec. 2001)。
【0042】
フェノール化合物、具体的には、フラバン類は、全てのアカシア種に中〜高濃度で見出される。(Abdulrazak et al. (2000) Journal of Animal Sciences. 13:935-940)。歴史的には、アカシア属の植物および抽出物の大部分が、収斂薬として、胃腸障害、下痢、消化不良を処置するのにおよび出血を止めるのに利用されてきた。(Vautrin (1996) Universite Bourgogne (France) European abstract 58-01C:177; Saleem et al. (1998) Hamdard Midicus. 41:63-67)。アカシア・アラビカ・ウィルド(Acacia arabica Willd.)の樹皮およびサヤは、多量のタンニン類を含有し、収斂薬および去痰薬として利用されてきた。(Nadkarni (1996) India Materia Medica, Bombay Popular Prakashan, pp.9-17)。ソマリア産のアカシア・トルティリス(Acacia tortilis)の茎皮より単離されたジアリールプロパノール誘導体は、平滑筋弛緩作用を有すると報告された。(Hagos et al. (1987) Planta Medica. 53:27-31,1987)。アカシア・ヴィクトリエ(Acacia victoriae)より単離されたテルペノイドサポニン類は、ジメチルベンゾ(a)アントラセンに誘導されたネズミ皮膚発癌への阻害作用を有し(Hanausek et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meeting 41:663)、アポトーシスを誘導する(Haridas et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meeting. 41:600)ということも報告された。アカシア・ニロティカ(Acacia nilotica)からの植物抽出物は、痙攣原活性、血管収縮活性および抗高血圧活性(Amos et al. (1999) Phytotherapy Research 13:683-685; Gilani et al. (1999) Phytotherapy Research. 13:6685-669)、および抗血小板凝集活性(Shah et al. (1997) General Pharmacology. 29:251-255)を有すると報告された。抗炎症活性は、A.ニロティカについて報告された。フラボノイド類、多糖類および有機酸は、潜在的な活性化合物であると考えられていた。(Dafallah and Al-Mustafa (1996) American Journal of Chinese Medicine. 24:263-269)。これまでに、唯一報告されている、アカシアより単離された5−リポキシゲナーゼ阻害剤は、モノテルペノイド性カルボキサミドである。(Seikine et al. (1997) Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 45:148-11)。
【0043】
アカシア樹皮からの抽出物は、外用のための漂白剤として(Abe, JP10025238号)、歯科用途のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤として(Abe, JP07242555号)、タンパク質合成阻害剤として(Fukai, JP07165598号)、皮膚外用製剤のための活性酸素捕捉剤(scavenging agent)として(Honda, JP07017847号,Bindra 米国特許第6,1266,950号)、および炎症、花粉症および咳を予防する経口消費用のヒアルロニダーゼ阻害剤として(Ogura, JP07010768号)、日本で特許を得ている。
【0044】
これまでのところ、出願人は、神経変性、神経炎症および蓄積認知衰退、障害および疾患の予防および処置に用いるためのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を組み合わせた製剤の報告を全く承知していない。
【0045】
発明の要旨
本発明は、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)双方の酵素を同時に阻害する場合に有効である方法を包含する。COXおよびLOX酵素の同時二重阻害の方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類とフラバン類との混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中において、LasoperinTMと称する。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、特定の疾患または状態の予防および処置に関して、適応症および具体的な必要条件に基づいて調整することができる。概して、組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。この方法の効力は、異なった細胞系、多数の動物モデル、そして最後にはヒト臨床研究において、精製された酵素で示された。
【0046】
具体的には、本発明は、ニューロンおよび認知の機能に関係した、COXおよびLOXに媒介される疾患および状態の予防および処置の方法であって、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類とフラバン類との混合物と薬学的に許容しうる担体とを含む有効量の組成物を投与することを含む方法を包含する。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択されうる。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0047】
別の態様において、本発明は、全身認知衰退、加齢性記憶喪失、神経炎症性および神経変性性の障害の予防および処置の方法であって、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を薬学的に許容しうる担体と一緒に含む有効量の組成物を投与することを含む方法を包含する。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群による。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0048】
別の態様において、本発明は、認知衰退および他の加齢性、神経変性性および神経炎症性の状態に関連したmRNAの生産をモジュレーションする方法であって、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物と薬学的に許容しうる担体とを含む有効量の組成物を投与することを含む方法を包含する。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。一つの態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0049】
本発明は、更に、認知衰退および他の加齢性、神経変性性および神経炎症性の状態に関連したサイトカインmRNAの生産を制御する転写因子のmRNAの生産をモジュレーションする方法であって、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物および薬学的に許容しうる担体を含む有効量の組成物を投与することを含む方法を包含する。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0050】
更に別の態様において、本発明は、認知衰退および他の加齢性、神経変性性および神経炎症性の状態に関連したcox−1ではないcox−2のmRNA生産を制御するmRNA転写因子の生産をモジュレーションする方法であって、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物および薬学的に許容しうる担体を含む有効量の組成物を投与することを含む方法を包含する。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0051】
理論によって制限されることはないが、本発明の組成物は、インターロイキン1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子α(TNFα)およびインターロイキン6(IL−6)の遺伝子発現を制御する核内因子κB(NFκB)転写因子のダウンレギュレーションによって炎症誘発性サイトカインを阻害することによって作用すると考えられる。更に、その組成物は、シクロオキシゲナーゼ2(COX−2)の遺伝子発現を制御するのを助ける別の転写因子であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の遺伝子発現を阻害すると考えられる。更に、本発明の組成物は、COX−2および5−リポキシゲナーゼ(5−LO)の活性を阻害し、それによって、各々が炎症を悪化させるプロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエンへのAAの変換を抑制する。その組成物は、更に、より多いNFκB発現をもたらしうる、したがって、サイトカインのより多い炎症誘発性遺伝子発現をもたらしうる分子である反応性酸素種(ROS)を中和する強力な抗酸化剤性能を有する。
【0052】
本明細書中においてフリーB環フラボン類およびフラボノール類とも称される、次の発明によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、次の一般的な構造:
【0053】
【化5】

【0054】
(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0055】
本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より抽出することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、ヒヨドリバナ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、Acacia、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、マツ(Pinus)、ニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。
【0056】
次の発明によって用いることができるフラバン類には、概して、次の一般的な構造:
【0057】
【化6】

【0058】
(式中、R、R、R、RおよびRは、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より独立して選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0059】
本発明のフラバン類は、アカシア属より選択される一つまたは複数の植物から得ることができる。好ましい態様において、その植物は、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、アカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.シニュータ、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium)から成る群より選択される。
【0060】
一つの態様において、本発明は、全身認知衰退、加齢性記憶喪失、神経炎症性および神経変性性の障害、およびニューロンおよび認知の機能に関係した他の状態が含まれるがこれに制限されるわけではない、ニューロンおよび認知の機能に関係した多数のCOXおよびLOXに媒介される疾患および状態を予防するおよび処置する方法を包含する。別の態様において、本発明は、認知衰退および他の加齢性、神経変性性および神経炎症性の状態に関連したmRNAの生産をモジュレーションする方法を包含する。
【0061】
本発明による予防および処置の方法は、それを必要としている宿主に、単一の源または多数の源より単離され、製剤化されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の治療的に有効な量を投与することを含む。個々のおよび/または多数の混合物のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の純度には、その1種類または複数の化合物を得るのに用いられる方法に依存して、0.01%〜100%が含まれるが、これに制限されるわけではない。好ましい態様において、それらを含有するフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の用量は、製剤の全重量に基づき0.001%〜100%の範囲より概して選択される有効な無毒性量である。常套の臨床試験を行う当業者は、処置されている特定の疾患に最適な用量を決定することができる。
【0062】
本発明は、製剤を最適化し且つ所望の生理学的活性を得るための酵素モデルおよび in vivo モデルを用いた、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のいろいろな組成物の評価を包含する。これら製剤の効力および安全性は、ヒト臨床試験で示される。したがって、本発明は、更に、本発明の治療薬を含む治療的組成物を包含する。本発明の組成物は、当業者に知られているいずれかの方法によって投与することができる。投与方式には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0063】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は双方とも、単に代表するものであり且つ詳しく説明するものであり、請求の範囲に記載の発明を制限するものではないということは理解されるはずである。
【0064】
発明の詳しい説明
本発明は、ニューロンおよび認知の機能に関係した疾患および状態の予防および処置に用いるための、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)双方の酵素を同時に阻害する場合に有効である方法を包含する。COXおよびLOX酵素の同時二重阻害の方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。この組成物を、本明細書中において、LasoperinTMと称する。組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、特定の疾患または状態の予防および処置に関して、適応症および具体的な必要条件に基づいて調整することができる。
【0065】
種々の用語が、本明細書中において本発明の側面を論じるのに用いられている。本発明の成分の説明を明確にする助けとなるように、次の定義を与える。
特に断らない限り、本明細書中で用いられる技術的および科学的用語は全て、本発明が属する技術分野の熟練者によって共通に理解される意味を有する。
【0066】
本明細書中で用いられる“a”または“an”を伴う物質の用語は、一つまたはそれを超えるその物質を意味するということに留意すべきであり、例えば、“a”を伴うフラボノイドは、一つまたはそれを超えるフラボノイド類を意味する。従って、「“a”または“an”」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つ」という用語は、本明細書中において同じ意味に用いられる。
【0067】
本明細書中で用いられる「フリーB環フラボノイド類」は、次の一般的な構造:
【0068】
【化7】

【0069】
(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない特定のクラスのフラボノイド類である。
【0070】
本明細書中で用いられる「フラバン類」とは、次の一般的な構造:
【0071】
【化8】

【0072】
(式中、R、R、R、RおよびRは、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より独立して選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって一般的に示すことができる特定のクラスのフラボノイド類を意味する。
【0073】
本明細書中で用いられる「治療的」には、処置および/または予防が含まれる。用いられる場合、治療的は、ヒト並びに他の動物についてである。
「薬学的にまたは治療的に有効な用量または量」とは、望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な投薬量レベルを意味する。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の軽減、またはいずれか他の望まれる生体系の変化であってよい。正確な投薬量は、対象の齢およびサイズ、疾患および行われている処置が含まれるがこれに制限されるわけではない種々の因子によって異なるであろう。
【0074】
「プラシーボ」とは、疾患の徴候、症状または原因を軽減することができる望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な薬学的にまたは治療的に有効な用量または量の、非活性物質での代用を意味する。
【0075】
「宿主」または「患者」または「対象」は、治療が望まれる生きている哺乳動物、ヒトまたは動物である。「宿主」または「患者」または「対象」は、概して、本発明の方法によって実践される治療の受容者を意味する。
【0076】
本明細書中で用いられる「薬学的に許容しうる担体」とは、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げることがなく、しかもそれが投与される宿主にとって毒性でないいずれかの担体を意味する。「薬学的に許容しうる担体」の例には、生理食塩水、すなわち、リンガー溶液、緩衝化生理食塩水、水、デキストロース溶液、血清アルブミン、および錠剤およびカプセル製剤用の他の賦形剤および保存剤のようないずれかの標準的な医薬担体が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0077】
「遺伝子発現」とは、mRNAへの遺伝子の転写を意味する。
「タンパク質発現」とは、タンパク質へのmRNAの翻訳を意味する。
本明細書中で用いられる「RT−qPCR」とは、mRNA分子をcDNA分子中に逆転写(RT)後、蛍光レポーターとカップリングしたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、その遺伝子発現レベルを定量的に評価する方法を意味する。
【0078】
本出願中に、種々の引用が与えられていることに留意されたい。これら引用は各々、参照により本明細書中にそのまま具体的に取り込まれる。
本発明は、ニューロンおよび認知の機能に関係した疾患および状態の予防および処置に用いるための、COXおよびLOX双方の酵素を同時に阻害する場合に有効である方法を包含する。COXおよびLOX酵素の同時二重阻害の方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る組成物を投与することを含んで成る。本明細書中において LasoperinTMと称されるこの組成物は、本明細書中に参照によりそのまま取り込まれる、2003年4月30日出願の「Formulation with Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国特許出願第10/427,746号に記載のように、UnivestinTMという商品名で販売されてもいる。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。
【0079】
スクテラリア属植物からのフリーB環フラボノイド類の単離および識別は、本明細書中に参照によりそのまま取り込まれる、2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国特許出願第10/091,362号に記載されている。アカシア属植物からのフラバン類の単離・識別は、本明細書中に参照によりそのまま取り込まれる、2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxigenase Inhibitor from Acacia」と称する米国特許出願第10/104,477号に記載されている。
【0080】
本発明は、加齢性、認知性、神経変性性および神経炎症性の疾患および状態の予防および処置に有効である方法を包含する。これら認知およびニューロンの疾患および状態の予防および処置の方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。その組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。
【0081】
本発明に更に包含されるのは、炎症誘発性サイトカインに媒介されるニューロンおよび認知の疾患および状態を予防するおよび処置する方法であって、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を薬学的に許容しうる担体と一緒に含む有効量の組成物を投与することを含んで成る方法である。その組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。
【0082】
本発明に更に包含されるのは、加齢性、認知性、神経変性性および神経炎症性の疾患および状態における二つの不可欠な成分であるTNFαおよびIL−1βの減少方法である。TNFαおよびIL−1βの減少方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を薬学的に許容しうる担体と一緒に含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。その組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。
【0083】
本発明は、更に、ROSの減少による、ROSに媒介される疾患および状態の予防および処置の方法を包含する。ROSは、酸化ストレスおよび脂質代謝の中枢産物であり、加齢性、認知性、神経変性性および神経炎症性の疾患および状態において有意に上昇することがありうる。ROSに媒介される疾患および状態を処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を薬学的に許容しうる担体と一緒に含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。その組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。
【0084】
最後に、本発明は、更に、認知衰退および他の加齢性、神経変性性および神経炎症性の状態に関連したmRNAの生産をモジュレーションする方法であって、サイトカインmRNAの生産を制御する転写因子のmRNAの生産をモジュレーションする方法、およびcox−1ではないcox−2のmRNAの生産を制御する転写因子のmRNAの生産をモジュレーションする方法を含めた方法を包含する。認知衰退および他の加齢性、神経変性性および神経炎症性の状態に関連したmRNAの生産をモジュレーションする方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を薬学的に許容しうる担体と一緒に含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99:1〜1:99のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の一つの態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の比率は、約80:20である。
【0085】
次によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より単離することができる。フリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、ヒヨドリバナ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、マツ、ニレおよびハナミョウガが含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より単離することもできる。
【0086】
それらフリーB環フラボノイド類は、茎、茎皮(stem bark)、小枝、塊茎、根、根皮(root bark)、ヤング・シュート(young shoot)、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、いろいろな植物部分に見出されうる。フリーB環フラボノイド類の単離および精製の方法は、2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-ring Flavonoids as Potent COX-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号および2003年4月30日出願の「Formulation with Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載されているが、それらは各々、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0087】
本発明の方法によって用いることができるフラバン類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフラバン類は、合成法によって得ることができるし、またはアカシア・カテキュ、A.コンシナ、A.ファルネシアナ、A.セネガル、A.スペシオサ、A.アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシア、A.マンギウム、ウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、ウンカリア・アフリカナ(Uncaria africana)およびウンカリア・カビル(Uncaria qabir)が含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択される植物より単離することができる。
【0088】
それらフラバン類は、茎、茎皮、幹、樹皮(trunk bark)、小枝、塊茎、根、根皮、ヤング・シュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、いろいろな植物部分に見出されうる。フラバン類の単離および精製の方法は、2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual COX-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号に記載されているが、それは、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0089】
本発明の一つの具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0090】
本発明は、いくつかの in vivo 認知課題、更には、in vitro の生化学的、細胞および遺伝子発現のスクリーニングを組み合わせる戦略を行って、COXおよびLOX酵素活性を具体的に阻害し;炎症誘発性サイトカインを、それらサイトカインのmRNAの生産および反応性酸素種(ROS)生産を促進する不可欠な転写因子のダウンレギュレーションによって減少させ;ROS、炎症性タンパク質およびエイコサノイドへの暴露によって生じる神経変性、神経炎症および蓄積認知衰退、障害、疾患および状態の予防および処置に関係する抗酸化剤性状を維持する活性な植物抽出物を識別する。それら抽出物は、更に、mRNA遺伝子発現へのそれらの影響力について評価される。フリーB環フラボノイド類およびフラバン類を、食物に加えられる成分として経口投与された場合の、加齢性認知衰退を予防するそれらの能力について調べた。
【0091】
実施例1は、アカシアおよびスクテラリアよりそれぞれ単離された二つの標準化された抽出物を、一つまたはそれを超える賦形剤と一緒に用いた、LasoperinTMの一般的な製造方法を記載している。表1に関して、この具体的な LasoperinTMバッチは、75.7%のフリーB環フラボノイド類および10.3%のフラバン類を含めた86%の全活性成分を含有した。加えられる賦形剤の量は、望まれる各々の成分の実際の活性含量に基づいて調整することができる。
【0092】
認知機能への LasoperinTMの作用を評価するために、海馬依存性作業記憶を評価する二つの具体的な行動試験、すなわち、ラジアルアーム水中迷路(radial arm water maze)(RAWM)および脈絡恐怖条件付け(contextual fear conditioning)(CFC)試験を、動物モデルを用いて行った。実施例2は、ラジアルアーム水中迷路(RAWM)試験によって測定される、海馬依存性認知機能への LasoperinTMの作用を示す。それら結果は、図1A〜1Cに示されるが、それらは、3mg/kg、7mg/kgまたは34mg/kgの LasoperinTMをそれぞれ補足した飼料を与えられた Fisher 344老齢雄ラットに、13週ラジアルアーム水中迷路(RAWM)試験において毎日投与された LasoperinTMの作用をグラフで示している。若い Fisher 344雄ラットを、普通飼料で維持し、通常の加齢性行動変化の対照とした。データは、平均全エラー対試験回数として示している(4回の試験を各試験日に行った)。図1Aは、1週目および2週目の間の予試験後の結果を示している(ベースライン)。図1Bは、5週目後の結果(セッションII)を示し、図1Cは、11週目後の結果(セッションIII)を示している。図1A〜1Cに示されたデータは、LasoperinTMが、加齢性記憶障害を防止するということを示している。
【0093】
RAWMは、運動機能成分を含有しているので、この課題の改善は、投与された製剤が、関節痛および不快感を軽減した場合に経験されうるという可能性がある。これについて照査するために、CFC試験も行ったが、それは、この試験が、動物が動く必要がないので、双方の課題の認知側面が確かめられるからである(侵害受容ショック閾値を用いて、CFC結果を評価する場合の製剤の鎮痛性について調べた)。実施例3は、脈絡恐怖条件付け(CFC)試験によって測定される、海馬依存性認知機能への LasoperinTMの作用を示す。実施例2に記載のように、60匹の Fisher 344雄ラットをこの研究で用いた。それら結果は、図2に示されるが、それは、3mg/kg、7mg/kgまたは34mg/kgの LasoperinTMを補足した飼料を与えられた344老齢雄ラットでの、脈絡恐怖条件付け試験前の12週間毎日投与された LasoperinTMの作用を示している。若い Fisher 344雄ラットを、普通飼料で維持し、通常の加齢性行動変化の対照とした。データは、平均硬直状態(freezing)%対投与群として示している。図2は、LasoperinTM(7mg/kgおよび34mg/kg投与群)が、加齢性障害を好転させたということを示している。
【0094】
実施例4および実施例5は、認知機能についての無作為化プラシーボ対照二重盲式臨床試験において、40個体に300mg/日で4週間にわたって毎日投与された LasoperinTMの作用を示す。それら結果を、プラシーボで処置された46個体と比較した。認知成績の測定は、精神運動速度(Psychomotor speed)、作業記憶速度(Working Memory Speed)(実行意思決定、敏捷性および柔軟性)および即時記憶(Immediate Memory)(言語および空間の記憶処理過程)を評価する一連のウェブによる Cognitive Care(認知症ケア)試験を用いて行った。研究を始める前に、参加者は、二日連続して試験を行って、ベースライン成績を確定する必要があった。データ分析は、ベースライン成績を処置後の成績と比較している。
【0095】
精神運動速度または身体的反射は、計算機スクリーン上に図形が見えた後に、でるだけ速くキーを押すことによってヒトが応答することを要求する単純反応時間試験である。
作業記憶速度は、言葉と絵を同時に与え、そしてそれらが同じであるかまたは異なるかをヒトが決定することを要求する。リバーサルキューも、無作為に与えられて、正答ではないとヒトが応答することを要求するので、正しい対への応答は否であり、逆もまた同じであろう。この課題は、抑制または「学習された応答の阻害」、そして応答偶然性の逆転(「課題シフト」)を要求する。一つの課題または一つの応答様式を別のものへと切り替える速度は、しばしば、精神的柔軟性および高次認知処理過程、更には、優位意思決定(superior decision-making)と同等である。
【0096】
即時記憶は、記憶されるべき一連の刺激「標的」項目の後に「プローブ」項目が続く古典的 Sternberg 課題に似ている。対象は、プローブ項目が、前の標的リストのメンバーであったかどうかを決定しなければならない。リスト長さは、個体の短期記憶能の推定値を与えるように変更することができる。文字および空間位置双方を、この課題で調べる。
【0097】
それら結果は、複雑選択反応時間(complex choice reaction time)へのLasoperinTMをグラフで示している図3と、反応時間標準偏差(RTSD)への LasoperinTMの作用をグラフで示している図4に示される。反応時間標準偏差は、試験内分散である。図3および図4は、LasoperinTMが、複雑な選択肢および情報を与えられた対象の処理過程速度を増加させるということを示している。
【0098】
実施例6は、LasoperinTMを用いて行われたCOX阻害検定を記載している。COXの阻害を測定するのに用いられた生化学的検定は、ヘムおよびアラキドン酸の存在下におけるタンパク質のペルオキシダーゼ活性に頼っている。LasoperinTMについての用量反応およびIC50は、図5に示される。COX−1のIC50は、0.38μg/mL/酵素単位であったが、COX−2のIC50は、0.84μg/mL/単位であった。
【0099】
実施例7は、A.カテキュより単離されたフラバンカテキンを用いたLOX阻害検定を記載している。LOX活性の阻害は、in vitro のリポキシゲナーゼスクリーニング検定を用いて評価した。この検定の結果は、図6に示される。カテキンによる5−LO阻害のIC50は、1.38μg/mL/酵素単位であると確認された。
【0100】
実施例8は、LOX経路中のアラキドン酸の分解における化合物、すなわち、LTB4の標的阻害を行った細胞検定を記載している。それら結果は、図7に示される。図7に関して、LasoperinTMは、HT−29細胞中で新たに合成されたLTBの80%の生成を阻害したということが理解されうる。イブプロフェンは、同じ時間にわたって、LTBの量の僅か20%減少を示した。
【0101】
実施例9は、末梢血単球中において、LPSで誘導されるTNFα、IL−1βおよびIL−6のレベルへの LasoperinTMの作用の測定を記載している。それら結果は、図8〜10に示される。図8に関して、抽出物は、細胞培養物上澄み中に分泌されたTNFαを、実質的には、2〜100μg/mLの広範囲の濃度にわたって減少させたということが理解されうる。これら図に関して、10μg/mLの濃度のLPSは、LasoperinTMと一緒の、それぞれ1時間および4時間の共インキュベーション後に、最大レベルのTNFαおよびIL−1β誘導を示した。その抽出物は、細胞培養物上澄み中に排出されたTNFαおよびIL−1βを、実質的には、2〜100μg/mLの広範囲の濃度にわたって減少させた(図8および図9を参照されたい)。TNFα、IL−1βおよびIL−6は、炎症および加齢性障害の際に上昇するので、プライムされた炎症細胞中でこれら炎症誘発性サイトカインおよび転写因子を減少させることにより、LasoperinTMは、これら障害に関して有意の影響力を有することがありうる。
【0102】
実施例10は、他のNSAIDに対して、LasoperinTMによるcox−2遺伝子の示差的阻害を決定するように行われた実験を記載している。遺伝子発現データは、半定量的RT−qPCR検定において、cox−1およびcox−2のmRNA生産の阻害について得た。それら結果は、図11〜13に示される。図11に関して、LasoperinTMは、cox−1遺伝子発現に影響を与えることなく、cox−2mRNA生産を阻害したということが理解されうる。更に、他のcox−2阻害薬と比較した場合、LasoperinTMは、LPSに刺激されたcox−1およびcox−2の遺伝子発現増加を減少させることができた。重要なことに、セレコキシブ(celecoxib)およびイブプロフェンは双方とも、cox−2遺伝子発現を増加させた(図12)。最後に、図13Aおよび13Bに関して、LasoperinTMでの処置は、tnfα−1およびil−1αβ双方の生産を減少させたということが理解されうる。
【0103】
実施例11は、実施例11に記載のような4時間の暴露後の3対象による、末梢血単球(PBMC)中においてLPSで誘導されるcox−1、cox−2、il−1β、tnfα、il−6、nfκbおよびpparγのレベルへの LasoperinTMの作用を決定するように行われた実験を記載している。それら結果は、図14に示される。図14に関して、LasoperinTM抽出物は、全mRNA種についての遺伝子発現を有意に減少させたということが理解されうる。
【0104】
実施例12は、LasoperinTMによる、炎症性遺伝子のプロモーター要素のダウンレギュレーションを記載している。これらプロモーター要素は、図15に示される。
実施例13は、酸素ラジカル吸収能(Oxygen Radical Absorption Capacity)(ORAC)試験によって測定される、抗酸化剤としての LasoperinTMの有効性を決定するのに用いられる方法を記載している。ORAC分析は、蛍光プローブとしてフルオレセインを利用し、体内で見出される最も一般的な反応性酸素種の一つであるペルオキシルラジカルを捕捉する抗酸化剤の性能の尺度を与える。それら結果は、表2に示されるが、それは、いくつか周知の食物基剤抗酸化剤の濃縮物に相対するものを示している。LasoperinTMは、高いORACスコアを有する。事実、LasoperinTMのORACは、ビタミンC抗酸化剤に匹敵するので、体内のROSレベルを効果的に減少させるはずである。
【0105】
実施例14および実施例15は、標準化された抽出物中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の量を決定するのに用いられた二つの方法を記載している。それら結果は、図16および図17に示される。
【0106】
次の実施例は、単に例示の目的で与えられており、発明の範囲を制限するためのものではない。
【実施例】
【0107】
実施例1アカシアおよびスクテラリアより単離された抽出物からの LasoperinTMの製造
LasoperinTMを、アカシアおよびスクテラリアよりそれぞれ単離された二つの標準化された抽出物を、一つまたはそれを超える賦形剤と一緒に用いて製剤化した。用いられたアカシア抽出物は、>60%の総フラバンをカテキンおよびエピカテキンとして含有し、スクテラリア抽出物は、>70%のフリーB環フラボノイド類を含有したが、それは、主にバイカリンであった。スクテラリア抽出物は、表1に示されるような他の微量のフリーB環フラボノイド類を含有した。一つまたはそれを超える賦形剤を、組成物に加えた。フラバン類およびフリーB環フラボノイド類の比率は、COX−2対5−LOの阻害および製品の力価必要条件に関して、適応症および具体的な必要条件に基づいて調整することができる。1種類または複数の賦形剤の量は、各々の成分の実際の活性含有量に基づいて調整することができる。個々のバッチ各々の製品についての配合表は、製品規格および品質管理(QC)の結果に基づいて作成すべきである。製品規格を満たすには、2〜5%の範囲内の追加の活性成分量が推奨される。
【0108】
表1は、一つのバッチの LasoperinTM(ロット#G1702−COX−2)について作成された配合表を示している。簡単にいうと、82.2%のフリーB環フラボノイド含量(バイカリン)を有するスクテラリア・バイカレンシス根抽出物(38.5kg)(ロット#RM052302−01);80.4%の全フラバン含量を有するアカシア・カテキュ樹皮抽出物(6.9kg)(ロット#RM052902−01)および賦形剤 Candex(5.0kg)を混合して、85:15の配合比を有する LasoperinTM製剤(50.4kg)を与えた。表1は、本明細書中に参照によりそのまま取り込まれる、2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載の方法を用いて決定される、この具体的な LasoperinTMバッチ(ロット#G1702−COX−2)の活性なフリーB環フラボノイド類およびフラバン類を定量化している。
【0109】
【表1】

【0110】
表1に関して、この具体的な LasoperinTMバッチは、75.7%のフリーB環フラボノイド類および10.3%のフラバン類を含めた86%の全活性成分を含んで成る。カプセル形の最終製品の二つの異なった投薬量レベル、すなわち、125mg/用量(60個カプセル剤)および250mg/用量(60個カプセル剤)を、この LasoperinTMバッチ(50.0kg)から製造した。同じアプローチを用いて、50:50および20:80の配合比をそれぞれ有する更に二つの LasoperinTMバッチを製造した。
【0111】
実施例2海馬依存性認知機能への LasoperinTMの作用(RAWM)
LasoperinTM製剤(80:20)は、実施例1に記載のように(本明細書中に参照によりそのまま取り込まれる、2003年4月30日出願の「Formulation With Dual COX-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国特許出願第10/427,746号の実施例14も参照されたい)、スクテラリア・バイカレンシス根より単離され標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物と、アカシア・カテキュ樹皮より単離され標準化されたフラバン抽出物とを、80:20の配合比で混合することによって製造した。海馬依存性認知機能への LasoperinTMの作用を研究するために、60匹の Fisher 344雄ラット(下に挙げられる齢)の成績を、ラジアルアーム試験用迷路(RAWM)を用いて評価した。この試験は、処置経過にわたる学習および記憶の変化を測定する。ベースライン測定値は、実験食を始める前に決定し、そして実験食の開始後5週目および11週目に、再度試験を行った。無遅延条件は、課題を遂行する被験動物の能力を示し、それを、課題遂行能力(例えば、移動、視覚、動機付け等)の差についての対照とする。遅延条件は、3回と4回の試験の間に4時間の遅延を導入して、課題を一層困難にする。遅延条件下では、加齢性記憶障害が示されているということである。
【0112】
被験動物。雄 Fisher 344ラット(National Institute on Aging 契約コロニー;Harlan Sprague Dawley, Indianapolis, IN)(6月齢、n=12と、17月齢、n=48)を、対にして収容し、環境的に管理された室中、12時間明/暗サイクルにおいて21±1℃で維持し、食物および水を随意に与えた。若・老対照被験動物には、NIH−31(TD00365;Harlan Teklab, Madison, WI)齧歯類動物用飼料を与えた。試験群には、LasoperinTM(3mg/kg、7mg/kgまたは34mg/kg)を補足したNIH−31齧歯類動物用飼料を与えた。対照食および実験用製剤は、Harlan Teklab により調製され、押出ペレット形で被験動物に与えた。それらラットには、マイクロチップを付けて、全ての研究側面の際の適正な識別を確実にした。きわめて多数の被験動物ゆえに、実験を30匹ずつの二集団に分け、各群が6匹の被験動物を含んだ。ベースラインを得るために、被験動物を、実験食にする前にRAWMで評価した。最初のRAWM試験の完了時に、老齢ラットを、釣り合わせ方式で4群(老齢対照、3mg/kg、7mg/kgまたは34mg/kgの LasoperinTM)の一つに割り当てて、各群のRAWM成績が多義的であるようにした。被験動物の体重および食物摂取量を毎週監視して、全身健康状態および食物摂取を確かめた。これら指標に群間差は認められなかった。
【0113】
ラジアルアーム水中迷路(RAWM)。RAWMは、水の1.5mタンク中の円形選択区域(60cm直径)から出ている12本のアーム(15cm幅x43cm長さ)から成った。脱出プラットホーム(10cmx13cm)は、それらアームの一つの末端の、水面より2cm下に位置した。ラットは、迷路中で5日間予備トレーニングさせた。予備トレーニングは、最初は非ゴールアーム中への入口を閉鎖し、そして徐々に、利用可能なアームの数を、12本全部が開かれるまで増加させることにより、被験動物がゴールアームを見つけるように適合させることから成った。次に、ラットを、各5日2回のブロックについてトレーニングさせた。全トレーニング過程は、3週間を要した。各々の試験のスタートアームは、11本の利用可能なアームから擬似ランダム方式で決定した。ある1本のアームを、日に1回だけ用いたので、4本の異なったスタートアームが毎日存在した。場所および位置の優先を免れるために、スタートアームおよびゴールアームは、ある1日で、群内の各被験動物について異なったが、群を越えて同等であった。日に4回の試験(最大180秒(s))を、30s試験間間隔で行った。あるラットが、180s以内に脱出プラットホームを見つけなかった場合、それを正答アームへと穏やかに導いた。脱出プラットホームがあるアームに入る前に入ったアームの数(エラー)を記録した。3時間遅延を、6〜10日間の3回と4回の試験の間に導入した。遅延中、ラットは、それらのホームケージ中に戻して置いた。それら結果は、図1A〜1Cに示される。データは、各試験の平均対試験回数として示している。
【0114】
図1A〜1Cに関して、全てのセッションにおいて、試験を進めるにつれて総エラーに有意の減少があり、ラットが課題を学習しうるということが示された。無遅延課題の場合、加齢および薬物に関係した成績差はなかった。遅延課題の場合、3種類全ての遅延セッションについて(ベースライン、セッションIIおよびセッションIII;図1A、1Bおよび1Cをそれぞれ参照されたい)有意の加齢作用があった。老齢被験動物は、若い対照の場合よりも、試験4で有意に悪い成績であった。ベースライン(図1A)およびセッションII(図1B)遅延試験中に、薬物による作用はなかった。しかしながら、セッションIII遅延試験の場合(図1C)、薬物による有意の作用があった。7mg/kgおよび34mg/kgの群には、老齢対照の場合よりも有意にエラーが少なかった。それらは、若い対照と大差がなく、LasoperinTMは、加齢性記憶障害を防止するということが示唆された。分析法は、反復測定での二元ANOVAである。
【0115】
実施例3海馬依存性認知機能への LasoperinTMの作用(CFC)
60匹の Fisher 344雄ラットを、実施例2に記載のようにこの研究で用いた。
脈絡恐怖条件付け(CFC)。RAWM試験を完了後1週目に、それらラットを、定電流ショッカー(Med Associates)に接続された格子床(7.8mm直径ロッド、1.6cm間隔)を有するボックス(30.5cmx24.1cmx21cm,Med Associates, St. Albans, VT)中に入れた。各々のラットをボックス中に入れる前に、そのボックスを、3%酢酸で清浄にしたが、それは、原状況の特定の着臭剤として機能した。2回連続したトレーニングブロックを与えた。各々のトレーニングブロックは、180秒(s)長さで、30sの85−dBホワイトノイズ条件刺激(CS)と2sの0.5mAフットショック(footshock)(US)を含んだ。CSおよびUSは、トレーニングブロックの最後に同時終了した。全てのラットが、ジャンプすることによってフットショックに反応した。それらラットは、2回目のトレーニングブロック後30秒間トレーニングボックス中に残しておいた。トレーニング後2日目に、まず被験動物を3%酢酸を着臭剤として用いた同じ装置中に入れ、その場合、トレーニングを、CSまたはUSを伴うことなく5分(min)間行うことにより、記憶力(retention)を調べた。2〜3時間後、それらラットを、格子床が1枚の黒色 Formica で覆われ且つケージが3%水酸化アンモニウムで清浄にされたこと(新規な状況(Novel Context))以外は同じ室中に6分間入れ、その間に、CSを最後の3分間与えた。硬直状態は、被処置群のラットについて盲目の実験者が10s毎にマニュアルによって定量した。10s間隔で、実験者は、ラットが硬直しているか否かを評価した。硬直状態%は、ラットが硬直状態と評価された時間間隔回数/全間隔回数x100として計算した。それら結果は、図2に示される。
【0116】
トレーニング状況での硬直状態:この分析の場合、老齢対照では、若い対照と比較して、硬直状態に統計的に有意の減少があった(図2を参照されたい)。7mg/kgおよび34mg/kg用量の LasoperinTMは、この加齢性障害を好転させた。3mg/kg用量については、加齢性障害を好転させる統計的に有意の傾向がなかった。LasoperinTMで処置されたラットで、若い対照と有意に異なったものはなかった。
【0117】
ノイズ条件刺激(CS)への硬直状態は、海馬非依存性記憶を測定する。この測定に関して、いずれの群の間でも、硬直状態に統計的に有意の差はなかった(データは示されていない)。
【0118】
新規な状況への硬直状態は、ベースライン硬直状態を決定する対照尺度である。この測定を行うには、トレーニング状況およびCS中に起こる硬直状態の量を、ベースライン硬直状態と比較して、学習が行われたかどうかを決定する。いずれの群の間でも、硬直状態に統計的に有意の差はなかった(データは示されていない)。
【0119】
侵害受容閾値。装置は、30.5x25.4x30.5cmの試験室(Coulbourn Instruments, Allenstown, PA)から成った。室の天板および二つの側板は、アルミニウム製であった。他の二つの側板は、透明プラスチック製であった。そのボックスを、弱く照明した(xxルクス)。床は、ステンレススチール製ロッド(5mm直径、1.68cmロッド間隔)から成った。ショックは、Precision Regulated Shocker(Model H12−16,Coulbourn Instruments)で与えた。ラットを、金属格子床(格子寸法)を有するケージ中に入れた。観察を容易にするように、実験者からみて室の向こう側に鏡を置いた。全てのラットに、実験開始前に2min慣らし時間を与えた。各々のラットを、一連のショックを開始する前に、および格子床をスチールウールおよび水で清浄にした後、室中に2分間入れた。各々のショックパルスの継続時間は0.5sであったが、ショックは、約10s間隔で与えた。ショック強度は、対数配列の20段階で0.05〜4.0mAまで利用可能であった。閾値を決定する場合、最大範囲を用いなかった。閾値が見出される強度範囲は、予備知見より推定した。これら範囲の中点を、実験の開始強度とした。畏縮(flinch)は、片足を上げること、そしてジャンプは、3本またはそれを超える足の急速な動きと定義したが、応答は両方とも、床から離れることを要求した。僅かなサンプルについての「上下(up-and-down)」法の適応は、各々のショック列中のショック強度の提示オーダーを決定するのに用いられた。
【0120】
手順工程は、次の通りであった。(1)最初のショック列を、観察されている処置についての畏縮またはジャンプ閾値にできるだけ近いショック強度で開始した;(2)一連の試験を、応答(畏縮またはジャンプ)後にショック強度が減少する(0.1log10単位)、および無応答後にショック強度が増加する(0.1log10単位)ように行った。各々の列で、行動変化が起こるまで試験を続け、そしてその後、4回の試験を終えた。推定半数有効強度(EI50)は、式EI50=X+kdによって計算したが、ここで、X=与えられる最後の強度、kは、Dixon の参考文献(Dixon (1965) J. Am. Stat. Assoc. 60:47-55)の表1中の値であり、そしてdは、ショック強度間のlog間隔である。二つのショック列を行って、畏縮閾値を評価し、その後、二つのショック列を行って、ジャンプ閾値を評価した。この試験は、脈絡恐怖条件付け行動パラダイムで与えられるショック強度を照査し、それに関連した別の結果を与えることはない。
【0121】
実施例4処理過程速度への LasoperinTMの作用
認知機能への LasoperinTMの作用を評価するために、一連の試験を、35〜65歳の認知障害のない個体において4週間にわたって行った。それら個体を、実施例1に記載のように製造された300mg/日の LasoperinTM製剤(80:20)で処置した。認知成績の測定は、精神運動速度、作業記憶速度(実行意思決定、敏捷性および柔軟性)および作業記憶速度(言語および空間の記憶処理過程)を評価する一連のウェブによる Cognitive Care 試験を用いて行った。研究を始める前に、参加者は、二日連続して試験を行って、ベースライン成績を確定する必要があった。データ分析は、ベースライン成績を処置後の成績と比較している。被処置個体には、毎週試験を行って、補助食での処置が、認知機能を変化させたかどうか確かめた。データ分析は、被処置個体のベースライン成績を、同じ時間にわたってプラシーボを与えられた場合と比較している。ベースラインおよび全ての投薬週について試験を終えた対象のみを、分析に含めた。試験平均から2を超える標準偏差のスコアを与えられた、および他の試験スコアと内部的に一致しなかった部外者は、注意散漫のためでありうる異常な結果、または試験セッションを無効にしうるウェブ/計算機「欠陥」を除外するように排除した。データは、試験日数にわたる反復測定分散分析(ANOVA)、およびベースラインと最終試験週との間の比較で、適当な事後試験を伴って分析した。
【0122】
精神運動速度または身体的反射は、計算機スクリーン上に図形が見えた後に、でるだけ速くキーを押すことによって対象が応答することを要求する単純反応時間試験である。精神運動課題についての全年齢の全体の成績は、きわめて安定していたが、平均、メジアンまたは標準偏差の測定値については、群間に有意差を全く示さなかった(p>0.05)。したがって、精神運動速度試験は、処置群と対照群との間に全く差を示さなかった。しかしながら、全ての群について、試験期間にわたって、全身的な成績の向上があった。
【0123】
複雑選択反応時間(Complex Choice Reaction Time)課題である作業記憶速度は、言葉と絵を同時に与え、そしてそれらが同じであるかまたは異なるかをヒトが決定することを要求する。リバーサルキューも、無作為に与えられて、正答ではないとヒトが応答することを要求するので、正しい対への応答は否であり、逆もまた同じであろう。この課題は、抑制または「学習された応答の阻害」、そして応答偶然性の逆転(「課題シフト」)を要求する。一つの課題または一つの応答様式を別のものへと切り替える速度は、しばしば、精神的柔軟性および高次認知処理過程、更には、優位意思決定と同等である。この試験の認知側面は、処理過程速度、注意力持続、認知流動性、および複雑で且つ過度な要求である認知課題に迅速な意思決定を正確に行う能力を含めた、実行認知機能を評価することができる。
【0124】
即時記憶は、記憶されるべき一連の刺激「標的」項目の後に「プローブ」項目が続く古典的 Sternberg 課題に似ている。対象は、プローブ項目が、前の標的リストのメンバーであったかどうかを決定しなければならない。リスト長さは、個体の短期記憶能の推定値を与えるように変更することができる。文字および空間位置双方を、この課題で調べる。
【0125】
それら結果は、図3に示されるが、それは、LasoperinTMが、選択精度を損なうことなく、認知処理過程(意思決定)速度を増加させることができ、したがって、認知的に過度な要求であるまたは複雑な選択の状況に応答する速度を向上させるということを示している。
【0126】
実施例5反応時間標準偏差によって測定される集中および注意力への LasoperinTMの作用
認知機能への LasoperinTMの作用を評価するために、実施例4に記載のように、一連の試験を、35〜65歳の認知障害のない個体において4週間にわたって行った。反応時間標準偏差(RTSD)は、しばしば、注意力の尺度として用いられるが、認知科学の場合、典型的には、処理過程効率および神経ノイズ(Jensen)を反映すると考えられる。図4に関して、4週試験期間にわたって、RTSDに有意の向上があったということが理解されうる。それは、LasoperinTMを投与された対象について、ベースライン〜4週に標準偏差の減少があったということである。プラシーボを投与された対象も、向上を示したが、同程度にではなかった。これは、その作用が、試験をより良く遂行するように単純に学習することよりもむしろ、LasoperinTM処置によって高くなった課題成績の一貫性の向上のためであったということを示唆している。これら結果は、LasoperinTMが、注意力持続を増加させることができ、認知的に過度な要求であるまたは複雑な選択の状況に応答する一貫性を向上させるということを示唆している。
【0127】
実施例6LasoperinTMによるCOX−1およびCOX−2の阻害
LasoperinTMのIC50の測定は、次の方法を用いて行った。切断可能なペルオキシド発色団を検定に含めて、補因子としてのアラキドン酸の存在下における各々の酵素のペルオキシダーゼ活性を可視化した。典型的には、それら検定を、96ウェルフォーマットで行った。100%DMSO中の10mg/mL原液から得た各々の阻害剤を、次の範囲の濃度を用いて室温で三重に試験した。0、0.1μg/mL、1、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、50μg/mL、100μg/mLおよび500μg/mL。各ウェルに、150μLの100mMトリス−HCl,pH7.5を、10μLのトリス緩衝液中で希釈した22μMヘマチン、10μLのDMSO中で希釈した阻害剤、および25単位のCOX−1かまたはCOX−2酵素と一緒に加えた。それら成分を、回転プラットホーム上で10秒間混合し、その後、20μLの2mM N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン二塩酸塩(TMPD)および20μLの1.1mM AAを加えて、反応を開始した。そのプレートを10秒間振とうさせた後、5分間インキュベート後、吸光度を570nmで読み取った。阻害剤濃度対阻害百分率をプロットし、そして半最大点を等温線に沿って得且つx軸上の濃度に交差することによってIC50を決定した。次に、そのIC50を、検定中の酵素単位数に規格化した。LasoperinTMについての用量反応およびIC50は、図5に与えられる。
【0128】
実施例7A.カテキュより単離されたカテキンによる5−リポキシゲナーゼ(5−LO)の阻害
炎症性反応に関与する最も重要な経路の一つは、非ヘム鉄含有リポキシゲナーゼ(5−LO、12−LOおよび15−LO)によって生じるが、それらは、アラキドン酸(AA)などの脂肪酸上への分子酸素の付加を触媒して、5−、12−および15−HPETEというヒドロキシペルオキシドを生じた後、ロイコトリエンへと変換される。A.カテキュからのフラバン抽出物は、ある程度の5−LO阻害を与え、それによって、5−HPETEの形成を妨げることがありうるということが初めに示された。リポキシゲナーゼ阻害剤スクリーニング検定キット(Lipoxygenase Inhibitor Screening Assay Kit)(Cayman Chemical, Inc., Cat #760700)を用いて、A.カテキュからの精製フラバンカテキンが、5−LOを in vitro で直接的に阻害したかどうかを評価した。キット中に通常用いられるダイズからの15−LOを、精密濾過を用いたリン酸緩衝液〜トリス基剤緩衝液への緩衝液変更を行った後、ジャガイモ5−LOと交換した。この検定は、酸素感受性クロマジェン(chromagen)を介してヒドロペルオキシドの形成を検出する。簡単にいうと、その検定は、90μLの0.17単位/μLジャガイモ5−LO、20μLの1.1mM AA、100μLの酸素感受性クロマジェン、および0〜500μg/mLの最終濃度にする1μLの精製フラバン阻害剤を加えることによって三重で行った。それら結果は、図6に示される。カテキンからの5−LO阻害のIC50は、1.38μg/mL/酵素単位であると確認された。
【0129】
実施例8LasoperinTMでの処置後のLTBレベルの測定
LasoperinTM製剤は、実施例1に概説されたように、S.バイカレンシス根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物と、A.カテキュ樹皮からの標準化されたフラバン抽出物とを、80:20 LasoperinTMの配合比で用いて製造した。LasoperinTMおよび別の既知の5−LO阻害剤イブプロフェンを、COX−1、COX−2および5−LOを発現する単球細胞系であるHT−29細胞に3μg/mLで加え、吸湿環境中において5%COを含む37℃で48時間インキュベートした。次に、各々の被処置細胞系を、遠心分離によって採取し、生理学的溶解緩衝液中で緩ドーンス(dounce)ホモジナイゼーションによって破壊した。LTB(LTB;Neogen, Inc., Cat #406110)についての競合的ELISAを用いて、各々の細胞系中に存在する新たに合成されたLTBレベルへの LasoperinTMの作用を、5−LO経路への LasoperinTM阻害作用の尺度として評価した。その検定は、6ウェルプレート中に160,000〜180,000個/ウェルの細胞を加えることによって二重に行った。それら結果は、図7に示される。図7に示されるように、LasoperinTMは、HT−29細胞中で新たに合成されたLTBの80%の生成を阻害した。イブプロフェンは、同じ時間にわたって、LTBの量の20%減少を示したにすぎなかった。
【0130】
実施例9末梢血単球中のLPSで誘導されるTNFαおよびIL−1βのレベルへの LasoperinTMの作用
ヒト血液ドナーからの末梢血単球(PBMC)を、Histopaque 勾配(Sigma)を用いて単離した。次に、それら細胞を、1%ウシ血清アルブミンを補足したRPMI1640中で約12時間培養後、種々の濃度の LasoperinTM(80:20)の存在下において炎症を引き起こす増加濃度のリポ多糖(LPS)で処理した。それら結果は、図8〜10に示される。
【0131】
実施例10他のNSAIDに対する、LasoperinTMによるcox−1ではないcox−2の遺伝子発現の示差的阻害
LasoperinTMが、ゲノムレベルで機能しているかどうかを評価するために、単離されたヒト末梢血単球(PBMC)を、リポ多糖(LPS)で刺激し、LasoperinTM、セレコキシブ、イブプロフェンまたはアセトアミノフェンで処理した後、生産された全RNAを採取し、半定量的RT−qPCRによって評価した。具体的には、その検定は、6ウェルプレート中に130,000個/ウェルの細胞を加えることによって行った。次に、それら細胞を、10ng/mLのLPSで刺激し、そして1μg/mL、3μg/mL、10μg/mL、30μg/mLおよび100μg/mLの LasoperinTM、および3μg/mLのセレコキシブ、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンと一緒に、吸湿環境中において5%COを含む37℃で18時間共インキュベートした。次に、各々の細胞処理条件を、遠心分離によって採取し、生産された全RNAを、TRIzol(登録商標)試薬(InvitrogenTMLife Technologies, Cat #15596−026)および推奨されるTRIzol(登録商標)試薬製造者プロトコルを用いて単離した。全RNAを、ランダムヘキサマー(Promega Corp., Cat #C1181)を用いた Moloney Murine Leukemia Virus 逆転写酵素(M−MLV RT;Promega Corp., Cat #M1701)を用いて逆転写させた。qPCR実験は、ABI Prism(登録商標)7700 Sequence Detection System において、18S rRNA内部標準および遺伝子特異的検定のための予め開発された有効な Assays-on-Demand 製品(Applied Biosystems, Inc. 製のAOD,Cat #4331182)を用いて行った。遺伝子特異的発現値を、それぞれの18S rRNA遺伝子発現値(内部対照)に標準化した後、LPS不含・薬物処理不含条件を100に規格化した。処理条件は、このゼロ条件に相対する。LasoperinTMは、cox−2の規格化された遺伝子発現を100倍を超えて減少させたが、cox−1で規格化された遺伝子発現は、ほとんど変動を示さなかった。同じ処理条件下において、規格化されたTNFα遺伝子発現は6倍減少し、規格化されたIL−1β遺伝子発現は、100倍を超えて減少した。PBMCを、3μg/mLの LasoperinTM、セレコキシブ、イブプロフェンまたはアセトアミノフェンで処理した場合、LasoperinTMだけが、cox−2の遺伝子発現を増加させなかった。この作業は、タンパク質レベルの変化を評価するELISAに基づく検定、更には、タンパク質機能の変更を評価する酵素機能検定と共役していた。これら研究の結果として、LasoperinTMで処理後のゲノムおよびプロテオーム双方に共役した作用が示された。参考文献中に引用された他の研究は、遺伝子発現を直接的に示すよりもむしろ、それを推論するタンパク質特異的方法を用いていた。それら結果は、図11〜13に示される。
【0132】
実施例11LasoperinTMによる重要な炎症性タンパク質のmRNAのダウンレギュレーション
ヒト血液ドナーからのPBMC(地元血液銀行より入手)を、Histopaque 勾配(Sigma)を用いて単離した。次に、それら細胞を、1%ウシ血清アルブミンを補足したRPMI1640中で約24時間培養後、LPS(10μg/mL)および増加濃度の LasoperinTM(80:20)で処理した。具体的には、その検定は、6ウェルプレート中に130,000個/ウェルの細胞を加えることによって行った。次に、それら細胞を、10μg/mLのLPSで刺激し、そして100μg/mLの LasoperinTMと一緒に、吸湿環境中において5%COを含む37℃で18時間共インキュベートした。次に、各々の細胞処理条件を、遠心分離によって採取し、生産された全RNAを、TRIzol(登録商標)試薬(InvitrogenTMLife Technologies, Cat #15596−026)および推奨されるTRIzol(登録商標)試薬製造者プロトコルを用いて単離した。全RNAを、ランダムヘキサマー(Promega Corp., Cat #C1181)を用いた Moloney Murine Leukemia Virus 逆転写酵素(M−MLV RT;Promega Corp., Cat #M1701)を用いて逆転写させた。qPCR実験は、ABI Prism(登録商標)7700 Sequence Detection System において、18S rRNA内部標準および遺伝子特異的検定のための予め開発された有効な Assays-on-Demand 製品(Applied Biosystems, Inc. 製のAOD,Cat #4331182)を用いて行った。遺伝子特異的発現値を、それぞれのシクロフィリンA mRNA遺伝子発現値(内部対照)に標準化した後、LPS不含・薬物処理不含条件を100に規格化した。処理条件は、このゼロ条件に相対する。それら結果は、図14に示される。
【0133】
図14に関して、LasoperinTMは、cox−2の規格化された遺伝子発現を3倍平均で減少させたが、cox−1で規格化された遺伝子発現は、ほとんど変動を示さなかった。同じ処理条件下において、規格化されたtnfα遺伝子発現は3倍平均で減少し、規格化されたil−1β遺伝子発現は45倍平均で減少し、そして規格化されたil−6遺伝子発現は37倍平均で減少した。参考文献中に引用された他の研究は、図14に示されるように、遺伝子発現を直接的に示すよりもむしろ、それを推論するタンパク質特異的方法を用いていた。
【0134】
実施例12LasoperinTMによる炎症性遺伝子のプロモーター要素のダウンレギュレーション
炎症性遺伝子tnfα、il−1β、il−6およびcox−2のプロモーター領域は全て、細胞を LasoperinTMで処理した場合の遺伝子発現のダウンレギュレーションの理由となりうるNFκB結合部位を含有する。cox−2プロモーター領域は、更に、レチノイドX受容体転写タンパク質と相互作用するPPARγ応答性要素(PPRE)を含有する。LasoperinTMは、PPARγタンパク質を、おそらくは、それがcox−2遺伝子発現を刺激するように相互作用できないように減少させるpparγ遺伝子発現をダウンレギュレーションする。更に、LasoperinTMは、nfκb遺伝子発現をもダウンレギュレーションする。したがって、その化合物は、cox−2遺伝子発現およびおそらくはCOX−2タンパク質生産に影響を与える二つの転写因子に命中する。これらプロモーター要素は、図15に示される。
【0135】
実施例13LasoperinTMによる酸素ラジカル吸収能(ORAC)の測定
LasoperinTMの、いくつか周知の食物基剤抗酸化剤に相対する酸素ラジカル吸収能(ORAC)について、Cao et al. (1994) Free Radic. Biol. Med. 16:135-137 および Prior and Cao (1999) Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 220:225-261 に記載の実験法を用いて調べた。ORAC分析は、蛍光プローブとしてフルオレセインを利用し、体内で見出される最も一般的な反応性酸素種の一つであるペルオキシルラジカルを捕捉する抗酸化剤の性能の尺度を与える。ORAChydroは、水溶性抗酸化剤性能を反映し、ORAClipoは、脂溶性抗酸化剤性能である。水溶性ビタミンE類似体である Troloxを、検量線標準として用い、そしてそれら結果を、マイクロモル Trolox 当量(TE)/グラムとして表す。LasoperinTMは、5,604μmoleTE/gのORACtotalについて、5,517μmoleTE/gのORAChydroおよび87μmoleTE/gのORAClipoを有する。それら結果は、表2に示されるが、それは、LasoperinTMが、ビタミンCに匹敵するORACを有するので、体内のROSレベルを減少させるはずであるということを示している。
【0136】
【表2】

【0137】
実施例14フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量(方法1)
80%:20%のメタノール:テトラヒドロフラン中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(20μLの1.13mg/mL標準化抽出物)を、Phenomenex Luna C−18カラム(250x4.6mm,5μmビーズサイズ)上に充填し、そして1.0mL/分、19分間の80%A〜20%A直線勾配(A=0.1%(v/v)リン酸;B=アセトニトリル)で35℃において溶離した。図16で理解されうるように、これら条件下において、フリーB環フラボノイド類(バカレイン(bacalein)およびバカリン(bacalin))は、主要ピークとして11〜14分に溶離し、フラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)は、少ないピークとして約3〜5分に溶離した。フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の量は、各々の曲線下面積を測定することおよび既知の標準との比較によって決定した。
【0138】
実施例15フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の逆相無勾配HPLCによる定量(方法2)
80%:20%のメタノール:水中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(20mLの3.55mg/mL標準化抽出物)を、Phenomenex Luna C−18カラム(250x4.6mm,5mmビーズサイズ)上に充填し、そして80%A(A=0.1%(v/v)リン酸;B=アセトニトリル)で35℃において無勾配溶離した。図17で理解されうるように、これら条件下において、二つのフラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)は、約4.5〜5.5分に溶離し、フリーB環フラボノイド類(バカレインおよびバカリン)は、洗浄中の12〜13.5分に溶離した。フラバンピークの定量は、実施例14に記載のように行った。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1A】図1A〜1Cは、13週ラジアルアーム水中迷路(RAWM)試験において、実施例2に記載のように、普通飼料と、3mg/kg、7mg/kgまたは34mg/kgの LasoperinTMをそれぞれ補足した飼料とを与えられた Fisher 344老齢雄ラットに毎日投与された LasoperinTMの作用をグラフで示す。LasoperinTM製剤(80:20)は、実施例1に記載のように、アカシア・カテキュの樹皮およびスクテラリア・バイカレンシスの根より単離された二つの標準化された抽出物を用いて製造した。若い Fisher 344雄ラットを、普通飼料で維持し、通常の加齢性行動変化の対照とした。データは、平均全エラー対試験回数として示している(4回の試験を各試験日に行った)。図1Aは、1週目および2週目の間の予試験後の結果を示している(ベースライン)。
【図1B】図1Bは、5週目後の結果(セッションII)を示している。
【図1C】図1Cは、11週目後の結果(セッションIII)を示している。
【図2】図2は、実施例3に記載のように、普通飼料と、3mg/kg、7mg/kgまたは34mg/kgの LasoperinTMを補足した飼料とを与えられた Fisher 344老齢雄ラットでの、脈絡恐怖条件付け(CFC)試験前の12週間毎日投与された LasoperinTMの作用を示す。LasoperinTM製剤(80:20)は、実施例1に記載のように、アカシア・カテキュの樹皮およびスクテラリア・バイカレンシスの根より単離された二つの標準化された抽出物を用いて製造した。若い Fisher 344雄ラットを、普通飼料で維持し、通常の加齢性行動変化の対照とした。データは、平均硬直状態(freezing)%対投与群として示している。
【図3】図3は、実施例4に記載のように、複雑選択反応時間への LasoperinTMの作用をグラフで示す。LasoperinTMを、40個体に4週臨床試験中毎日投与した。それら結果を、同時間にわたってプラシーボを与えられた46個体の群と比較する。LasoperinTM製剤(80:20)は、実施例1に記載のように、アカシア・カテキュの樹皮およびスクテラリア・バイカレンシスの根より単離された二つの標準化された抽出物を用いて製造した。データは、ベースラインからの変化%として示している。この図は、LasoperinTM(300mg/d)が、複雑な選択肢および情報を与えられた対象の処理過程速度を増加させたということを示している。
【図4】図4は、実施例5に記載のように、反応時間標準偏差(RTSD)への LasoperinTMの作用をグラフで示す。LasoperinTMを、40個体に4週臨床試験中毎日投与した。それら結果を、同時間にわたってプラシーボを与えられた46個体の群と比較する。LasoperinTM製剤(80:20)は、実施例1に記載のように、アカシア・カテキュの樹皮およびスクテラリア・バイカレンシスの根より単離された二つの標準化された抽出物を用いて製造した。データは、ベースラインからの変化%として示している。この図は、LasoperinTM(300mg/d)が、試験内反応時間標準偏差、すなわち、過度な要求である認知課題の間、集中し且つ注意力を高めた状態でいる能力を増加させたということを示している。
【図5】図5は、LasoperinTMによるCOX−1およびCOX−2の阻害をグラフで示す。LasoperinTM製剤(50:50)は、実施例1に記載のように、アカシア・カテキュの樹皮およびスクテラリア・バイカレンシスの根より単離された二つの標準化された抽出物を用いて製造した。LasoperinTMを、リコンビナントヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の阻害について調べた。データは、阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。COX−1のIC50は、0.38μg/mL/酵素単位であったが、COX−2のIC50は、0.84μg/mL/単位であった。
【図6】図6は、A.カテキュより単離された精製フラバンカテキンによる5−LOの阻害プロフィールをグラフで示す。その化合物を、リコンビナントジャガイモ5−リポキシゲナーゼ活性(◆)の阻害について調べた。データは、阻害剤不含検定の阻害%対阻害剤濃度(μg/mL)として示している。5−LOのIC50は、1.38μg/mL/酵素単位であった。
【図7】図7は、実施例8に記載のように、非誘導細胞中に3μg/mLの LasoperinTMで処置後のHT−29細胞中に残っている、ELISAによって決定されるLTBレベルを、3μg/mLのイブプロフェンでの処置と比較している。LasoperinTM製剤(80:20)は、実施例1に記載のように、アカシア・カテキュの樹皮およびスクテラリア・バイカレンシスの根より単離された二つの標準化された抽出物を用いて製造した。
【図8】図8は、異なった濃度のフリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物と一緒のリポ多糖に1時間暴露後の末梢血単球(PBMC)中においてリポ多糖(LPS)で誘導されるTNFαレベルへのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(80:20)の作用をグラフで示す。TNFαレベルは、pg/mLで表す。
【図9】図9は、異なった濃度のフリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物と一緒のリポ多糖に4時間暴露後の末梢血単球(PBMC)中においてリポ多糖(LPS)で誘導されるIL−1βレベルへのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(80:20)の作用をグラフで示す。IL−1βレベルは、pg/mLで表す。
【図10】図10は、異なった濃度のフリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物と一緒のリポ多糖に4時間暴露後の末梢血単球(PBMC)中においてリポ多糖(LPS)で誘導されるIL−6レベルへのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(80:20)の作用をグラフで示す。IL−6レベルは、pg/mLで表す。標準偏差は、各々のデータポイントについて示されている。
【図11】図11は、cox−1とcox−2の遺伝子発現への種々の濃度の LasoperinTMの作用を比較している。発現レベルを、18S rRNA発現レベル(内部対照)に標準化した後、処置不含・LPS不含条件に規格化する。この図は、LPS刺激および LasoperinTMへの暴露後のcox−1ではないcox−2の遺伝子発現の減少を示している。
【図12】図12は、cox−1およびcox−2遺伝子発現への3μg/mLの LasoperinTMの作用を、等濃度の他のNSAIDと比較している。発現レベルを、18S rRNA発現レベル(内部対照)に標準化した後、処置不含・LPS不含条件に規格化する。
【図13A】図13Aおよび13Bは、tnfα−1(図13A)およびil−1β(図13B)遺伝子発現への種々の濃度の LasoperinTMの作用を示す。発現レベルを、18S rRNA発現レベル(内部対照)に標準化した後、処置不含・LPS不含条件に規格化する。これら図は、LPS刺激および LasoperinTMへの暴露後のtnfα−1およびil−1β遺伝子発現の減少を示している。
【図13B】図13Aおよび13Bは、tnfα−1(図13A)およびil−1β(図13B)遺伝子発現への種々の濃度の LasoperinTMの作用を示す。発現レベルを、18S rRNA発現レベル(内部対照)に標準化した後、処置不含・LPS不含条件に規格化する。これら図は、LPS刺激および LasoperinTMへの暴露後のtnfα−1およびil−1β遺伝子発現の減少を示している。
【図14】図14は、実施例11に記載のように、4時間暴露後の3対象からの末梢血単球(PBMC)中の、リポ多糖(LPS)で誘導されるcox−1、cox−2、il−1β、tnfα、il−6、nfκbおよびpparγのレベルへの LasoperinTMの作用を示している。
【図15】図15は、nfκbおよびpparγ遺伝子発現減少のダウンレギュレーションによって影響されるtnfα、il−1β、il−6およびcox−2のプロモーターを示している。
【図16】図16は、実施例14に記載の条件下で行われたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを示す。記載の条件を用いると、フリーB環フラボノイド類は、11〜14分に溶離し、フラバン類は、3〜5分に溶離した。
【図17】図17は、実施例14に記載の条件下で行われたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物のHPLCクロマトグラムを示す。記載の条件を用いると、2種類のフラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)が、4.5〜5.5分に溶離し、フリーB環フラボノイド類(バカレインおよびバカリン)は、12〜13.5分に溶離した。実施例15に記載の条件下において、分離は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のモル吸光係数の差に基づいている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューロンおよび認知の機能に関係した、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)に媒介される疾患および状態を予防するおよび処置する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む組成物の有効な量を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化1】

(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラバンが、次の構造:
【化2】

(式中、R、R、R、RおよびRは、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイル(caffeoyl)エステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より独立して選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られたものであるかまたは植物より単離されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮(stem bark)、幹、樹皮(trunk bark)、小枝、塊茎、根、根皮(root bark)、ヤング・シュート(young shoot)、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)から成る群より選択される植物科より単離されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、ヒヨドリバナ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、アカシア(Acacia)、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、マツ(Pinus)、ニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)から成る群より選択される植物属より単離されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、アカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.シニュータ(A. sinuata)、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)、A.マンギウム(A. mangium)、ウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、ウンカリア・アフリカナ(Uncaria africana)およびウンカリア・カビル(Uncaria qabir)から成る群より選択される植物種より単離されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものであり、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
医薬組成物が、薬学的に、皮膚科学的におよび美容学的に、局所適用に適する慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体および/または規則的または制御放出性ビヒクルとを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
記憶および認知障害および神経変性状態を予防する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含む組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項16】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化3】

(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記フラバンが、次の構造:
【化4】

(式中、R、R、R、RおよびRは、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より独立して選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られたものであるかまたは植物より単離されたものである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤング・シュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されたものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科から成る群より選択される植物科より単離されたものである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、ヒヨドリバナ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、マツ、ニレおよびハナミョウガから成る群より選択される植物属より単離されたものである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシア、A.マンギウム、ウンカリア・ガンビル、ウンカリア・トメントサ、ウンカリア・アフリカナおよびウンカリア・カビルから成る群より選択される植物種より単離されたものである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものであり、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものである、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
組成物を、0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
医薬組成物が、薬学的に、皮膚科学的におよび美容学的に、局所適用に適する慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体および/または規則的または制御放出性ビヒクルとを更に含んで成る、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
炎症誘発性サイトカインの発現を同時に阻害する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を薬学的に許容し得る担体と共に含む組成物を有効量投与することを含む方法。
【請求項30】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化5】

(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記フラバンが、次の構造:
【化6】

(式中、R、R、R、RおよびRは、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より独立して選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られたものであるかまたは植物より単離されたものである、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤング・シュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科から成る群より選択される植物科より単離されたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、ヒヨドリバナ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、マツ、ニレおよびハナミョウガから成る群より選択される植物属より単離されたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシア、A.マンギウム、ウンカリア・ガンビル、ウンカリア・トメントサ、ウンカリア・アフリカナおよびウンカリア・カビルから成る群より選択される植物種より単離されたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものであり、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
組成物を、0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
医薬組成物が、薬学的に、皮膚科学的におよび美容学的に、局所適用に適する慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体および/または規則的または制御放出性ビヒクルとを更に含んで成る、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記炎症誘発性サイトカインが、cox−2;il−1β;tnfα;il−6;および/またはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(peroxisome proliferator activated receptor)γ(PPARγ)または核内因子κB(NFκB)から成る群より選択される転写因子への影響力によって制御される上記サイトカインから成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
反応性酸素種(ROS)生成を予防するおよび脳内の抗酸化剤防御を増大させるための、および反応性酸素種(ROS)に媒介される精神的疾患および状態を予防するおよび処置するための方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと少なくとも一つのフラバンとの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項45】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約80:20である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化7】

(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記フラバンが、次の構造:
【化8】

(式中、R、R、R、RおよびRは、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖の組合せの炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より独立して選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られたものであるかまたは植物より単離されたものである、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤング・シュート、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されたものである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科から成る群より選択される植物科より単離されたものである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、ヒヨドリバナ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、マツ、ニレおよびハナミョウガから成る群より選択される植物属より単離されたものである、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシア、A.マンギウム、ウンカリア・ガンビル、ウンカリア・トメントサ、ウンカリア・アフリカナおよびウンカリア・カビルから成る群より選択される植物種より単離されたものである、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものであり、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されたものである、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
組成物を、0.001mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
医薬組成物が、薬学的に、皮膚科学的におよび美容学的に、局所適用に適する慣用的な賦形剤と、場合により、アジュバントおよび/または担体および/または規則的または制御放出性ビヒクルとを更に含んで成る、請求項44に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−504240(P2007−504240A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525446(P2006−525446)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/028639
【国際公開番号】WO2005/020932
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】