説明

認知障害の処置に有用なα−アミノアミド誘導体

本発明は、α−アミノアミド、特にサフィナミドを投与することによる、学習および記憶における認知欠損の薬物療法の分野にある。本発明の化合物で処置されうる認知混乱の例は、自閉症、難読症、注意不足異常過敏障害、精神分裂症、強迫性障害、精神症、双極性障害、うつ病、ツレット症候群、軽度認知損傷(MCI)および子供、青年および成人の学習の障害、年齢に関連した記憶損傷、年齢に関連した認知減退、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症候群、外傷性脳損傷、ハンチントン病、進行性核上麻痺(PSP)、HIV、発作、血管疾患、ピック病またはクロイツフェルト−ヤコブ病、多発性硬化症(MS)、他の白質障害および薬物で誘導される認知悪化などの障害と関連したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−アミノアミド、特にサフィナミドを投与することによる、認知障害、即ち、学習および記憶の欠損(deficits)の薬物療法に関する。本発明の化合物で処置することができる認知の障害の例は、自閉症、難読症、注意不足異常過敏障害、精神分裂症、強迫性障害、精神症、双極性障害、うつ病、ツレット症候群、軽度認知損傷(MCI)および子供、青年および成人の学習の障害、年齢に関連した記憶損傷、年齢に関連した記憶減退、アルツハイマー病、 パーキンソン病、ダウン症候群、外傷性脳損傷、ハンチントン病、進行性核上麻痺(PSP)、HIV、発作、血管疾患、ピック病またはクロイツフェルト−ヤコブ病、多発性硬化症(MS)、他の白質障害および薬物で誘導される認知悪化などの障害と関連したものである。
【0002】
発明の背景
認知脳障害は、深い精神悪化に徐々にいたる、記憶、認知、推理、実行機能、計画、判断および情緒安定性の進行性損失により臨床的に特徴付けられる。
【0003】
広い範囲の障害が、認知の障害にいたりうる。
神経心理学的認知欠損(neuropsychological cognitive deficits)は、機能的神経精神科学的障害を有する患者においては普通である。これらの中でも、精神分裂症は、精神病の、慢性の、厳しいかつ能力障害形態である。科学者は、精神分裂症の患者の75%までが認知的に障害されていると評価している。精神分裂症の従来の処置は、高い用量で使用されるとき、精神分裂症における認知欠損(cognitive deficits)を処置するのに有効ではない。「異型の抗精神病薬」として知られている、精神分裂症用のより最近開発された処置は、認知欠損に対するいくらかの効果を有しうることが報告されているが、この効果は、持続的ではなくまたは日常の機能の改善にいたらないことがある。最近、精神分裂症における認知欠損の処置のために認可された薬物はない。
【0004】
更に一般的にはいくつかの病理学的条件を横断して、痴呆の薬物的スクリーニングの増加と共に、痴呆の診断基準を満足しないが、それにもかかわらず軽度の認知損傷として定義される、有意な記憶もしくは認知損傷(impairment)を有する、増加する数の患者が同定されている。
【0005】
軽度の認知損傷(MCI)は、痴呆なしに、または年齢もしくは教育的バックグラウンドについて予測されるものを超えている程度に他の認知機能の有意な障害なしに、軽度の近時記憶損失により特徴付けられる状態である。MCIの診断の基準は:記憶愁訴;日常生活の異常な活動;異常な一般的認知機能;年齢の割には異常な記憶であり;痴呆化していない。
【0006】
MCI、年齢に関連した記憶損傷、年齢に関連した認知減退のカテゴリーまたは同様な診断カテゴリーに入る患者の数は存続している。例えば、Barker et al. Br J Psychiatry, 1995 Nov;167(5):642-8の評価に従えば、合衆国だけで年齢に関連した記憶損傷を有する1600万人より多くの人々がいる。
【0007】
合衆国食品医薬品庁の諮問パネルは、特定の薬物が痴呆への進行も遅らせるかどうかにかかわりなく、アルツハイマー病(AD)における痴呆とは別の状態であるMCIは、新規な薬物治療の妥当なターゲットであることを2001年3月13日に決定した。しかしながら、これまでこの疾患の処置で使用されている薬物は、軽度の一時的な効果のみを有する。
【0008】
種々の医薬(非ステロイド抗炎症性薬物を含む)、ホルモン(特にエストロゲン)、ビタミン(例えばビタミンE)および薬草製剤(特にイチョウ(Gingko bioloba))が記憶喪失に対する処置として支持された。アルツハイマー病において使用するよう明示されたアセチルコリンエステラーゼ阻害剤もMCIについて試験されている。これらの作用物質のいくつかは有望であるが、注意深く実行された、よくコントロールされた臨床的実験からの強い効果はまだ得られていない。すべてのこれらの理由で、MCIにおける、満たされていない医学的要求は依然として非常に高い。
【0009】
認知欠損により特徴付けられた脳障害は、進行性神経細胞変性または外傷、梗塞形成、低酸素症、感染もしくは水頭症についての二次的な細胞死と関連したものでもあり、そして記憶障害により、また、痴呆の診断にいたるパターンを有する他の認知欠損によっても特徴付けられる。認知欠損および痴呆と関連した疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、HIV、血管疾患、ピック病もしくはクロイツフェルト−ヤコブ病、多発性硬化症(MS)、進行性核上麻痺(PSP)、および他の白質障害である。これらの疾患の中でも、アルツハイマー病は、合衆国における4番目の最も普通の医学的死亡原因を表す。2005年には、アルツハイマー病は、次の20年以内に増加することが予想される数、4百万より多くの合衆国の人々、すなわち、次の20年以内に増加することが予想される数が罹患すると評価された。多数の薬物が、アルツハイマー病の認知および挙動面を改善することの効果について研究された。FDAは、アルツハイマー病を処置するための5つの薬物を認可したが、これらの薬物はせいぜい軽度の軽減しか与えずそしてADの原因に取り組んでいない。ADの処置用の5つの認可された薬物は、タクリン、ドネゼピル、リバスチグミン、ガランタミンおよびメマンチンである。残念なことに、これらの薬物は認知欠損に関する限定されたおよび時間依存性の利点しか生じさせない。
【0010】
パーキンソン病(PD)は、固縮、運動緩慢、歩行障害、姿勢不安定性および、安静期間中に一般に起こる振せんを含む運動障害により臨床的に特徴付けられる慢性的に進行性の神経学的疾患であるが、いくらかの患者は、姿勢振せん成分および動作振せん成分を有する。PDの神経学的特徴は、黒質緻密質(substantia nigra pars compacta)におけるドーパミンニューロンの変性であり、これは線条体(これらのニューロンはこの線条体へと突出している)におけるドーパミンの劇的な減少をもたらす。認知損傷は、非痴呆および早期のPD患者においてすら起こるこの疾患の特徴でもあり、そしてそれはこの疾患の運動症状に厳密に相関していない。
【0011】
PDにおいて、注意、警戒、知覚、動機、知能ならびに最後に認知および記憶に関する欠損があることは明白に認められている。特に早期のPD患者において、大きな百分率の患者(約50%)のこれらの欠損は、痴呆として分類されるのに十分広範ではなくそして十分重くない。更に高い百分率のこれらの患者において、この欠損は痴呆に進行しない。いくらかの個体において、認知欠損は、軽度のパーキンソン病関連皮質病状の存在下に、発展しえ、そして反対に、広範囲の皮質病変は、必ずしも認知欠損にいたらない(Braak, H et al, Neurology, 64: 1404-1410, 2005)。
【0012】
現在では、PDにおいて、最も広く使用される医薬は、レボドパであり、これは、この薬物の長期の使用の後、明らかである重い運動合併症にもかかわらず、依然としてゴールデンスタンダードであると考えられている。1990年代の早期以来、ドーパミンアゴニスト(DA)は、DA単独の効力が患者の運動障害をコントロールするのに十分ではないとき、レボドパの使用を遅延させるための早期の治療としておよびレボドパに対する補助的治療としての両方で好評を得た。
【0013】
残念なことに、ドーパミン作動性トーン(dopaminergic tone)を回復させることにより、パーキンソン病で誘導された運動障害を治癒させることを目的とする薬理学的介在は、認知欠損を実質的に治癒しないのみならず、極めてしばしば認知に対する負の効果を有する。
【0014】
認知に対する効果のないことまたは障害さえあることの証明は、レボドパに関する文献に報告されている。この負の発見は、広範な文献により記載されている。下記のものは、非網羅的なリストである:
Huber SJ et al. Neurology, 1987 Aug; 37(8):1371-5;
Huber SJ et al. Neurology, 1989 Mar; 39(3):438-40;
Poewe W et al., Ann Neurol. 1991 Jun; 29(6): 670-3;
Kulisevsky J et al, Brain, 1996 Dec; 119(Pt 6): 2121-32;
Feigin A et al., Brain 2003 Jun 10; 60(11): 1744)。
【0015】
パーキンソン病の患者における認知に対する、PDを処置するための広く処方されるクラスの化合物であるドーパミンアゴニスト(DA)の効果もしばしば負である。
認知機能に対するペルゴリド、混合D1/D2アゴニスト、の効果は、早期の軽度のパーキンソン病において評価された(Brusa L et al., J Neural Transm. 2005 Feb; 112(2): 231-7)。認知評価は、洗い出し相(wash-out phase)の後に行われ、そして認知試験スコアの改善を示すことなく、8週間後に(研究の終わりに)反復された。
【0016】
軽度のPD患者の他のコホートにおいて、プラミペキソール、混合D2/D3アゴニストは、言語の流暢を僅かにしかし有意に悪化させ、正常な値を超えないけれども、レボドパと比較して、短期間の言語記憶および注意深い実行機能を損なった(Brusa L et al., J Neural Transm. 2003, 110:373-380)。
【0017】
他のドーパミン作動性薬物、アポモルフィンは、視覚空間作業記憶(visual-spatial working memory)(WM)において、遂行正確度(performance accuracy)に影響を与えることなく、反応時間に対する負の効果を有していた(WM)(Costa A et al., Dement Geriatr Cogn Disord. 2003; 15(2): 55-56)。
【0018】
これらのデータは、ドーパミン作動薬、特にレボドパおよびドーパミンアゴニストは、PD患者の運動機能の改善における効力を証明したが、認知に関しては論争の余地のある効果を有し、ある特定のタスクを悪化すらさせることを示唆する。
【0019】
他方、相当な数の文献は、コリン作動薬が、特にアルツハイマー病における認知を改善しうるという仮説を支持する。更に最近では、Emre M et al (New England Journal of Medicine, 2004, 351: 2509-2518)は、PD関連痴呆(PDD)を有する患者の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(double-blind, randomized placebo-controlled trial)におけるコリンエステラーゼ阻害剤(リバスチグミン)の第1の大規模多施設比較を報告している。リバスチグミンを受け取る患者は、2つの主要な結果目安、アルツハイマー病評価尺度認知サブスケール(Altzheimer's Disease Assessment Scale Cognitive Subscale)および変化の臨床的全般印象(Clinical Global Impression of Change)ならびに、神経精神科学的一覧表、日常生活活動、実行機能およびMMSEを含む、すべての二次結果目安に関して、より良好に応答した。しかしながら、その差は中程度であった。リバスチグミングループのより多くの患者(17%)はプラセボグループ(8%)におけるより不都合な事象により、最も普通には吐き気により落伍した。たとえパーキンソン症候群の客観的評価がグループ間で異なっていなかったとしても、主観的な振せんの悪化は、コリン作動性系に作用する薬物により予想されるとおり、プラセボアームにおけるよりはリバスチグミンにおいて(1.7%)よりしばしば報告された。これらのデータは、上記した薬理学的介入がいくらかの利益を与えることができるが、これは振せんの悪化などの重い衰弱性副作用の対価のもとにしばしば得られることを示唆する。実際、パーキンソン病の振せんは、通常抗コリン作動薬により改善される。抗コリン作動薬は、トリヘキシフェニジル、ベンズトロピンおよびプロサイクリジンを含む。しかしながら、抗コリン作動性治療の副作用、例えば口腔乾燥、ぼやけた視力、尿障害、認知に関する混乱および負の効果が、これらの薬剤の使用を限定しうる。
【0020】
これらのデータはすべて一緒になって、認知損傷が、依然として有効な薬物のない、満足されていない医学的必要の高い分野であることを示す。いくつかの薬物、例えばコリンエステラーゼ阻害剤で観察された普通程度のかつ矛盾した効果は、より有効で安全な処置の余地を残している。コリンエステラーゼ阻害剤が振せんの悪化を引き起こし、そして疾患関連運動障害を回復するのに有用な介入、例えばレボドパまたはDAがしばしば認知機能を悪化させる、特にPDにおいて、この疾患の運動障害を悪化させることなく認知を改善する新規な薬物の必要は非常に高い。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明に従えば、式(I)のα−アミノアミドおよびそれらの薬学的に許容されうる塩、特にサフィナアミドは、上記種々の疾患において観察される認知障害を処置するのに有効であり、そして、例えば、フェンセリン、リバスチグミン、ドネゼピルおよびガランタミンなどの化合物に関連した抗コリンエステラーゼ活性により引き起こされる毒性副作用なしに経口投与されうる。
【0022】
式(I)のα−アミノアミド化合物、特にサフィナミドは、コリンエステラーゼ阻害剤ではない。したがって、吐き気、嘔吐、めまい、除脈(bradychardia)、振せんの増加などの毒性効果、例えばPD患者においてリバスチグミンで観察されたそれ(Emre M. et al. NEJM, 351, 2509-2518, 2004)は、式(I)のα−アミノアミド化合物、特にサフィナミドの投与後に予想されない。
【0023】
サフィナミドは、その代わりに、選択的MAO−B阻害剤(MAO−Aの活性を欠いた)であり、そして病理学的グルタミン酸オーバーフローの状態におけるグルタミン酸放出阻害剤である。サフィナミドは、それはグルタミン酸レセプターのいずれに対するアフィニティーも持たないから、グルタミン酸レセプターアンタゴニストではない。その作用の機構は、いくつかの刊行物に記載されており、その内下記のものは非網羅的リストである。
【0024】
Biochemical and Electrophysiological Studies on the Mechanism of Action of PNU-151774E、a Antiepileptic Compound;Salvati P. et al. J. Pharmac. Exp. Ther; 288: 1151-1159, Mar 1999。
【0025】
Characterization of MAO-B inhibitory properties of Safinamide(NW-1015) in animals models and healthy volunteers. C. Caccia et al. Abs 862. 16-31st Annual Meeting Society for Neuroscience 2001 San Diego, California, Nov. 10-15。
【0026】
Neuroprotective effects of safinamide and its methylated analogue in rat cortical neurons. Curatolo L., et al. poster G-36 - Congresso Nazionale SINS-Torino, 8-11 September 2001。
【0027】
サフィナミド(NW−1015)は、新規な組み合わされたMAO−Bおよびパーキンソン病の動物モデルにおける神経保護効果を有するグルタミン酸放出阻害剤である。R. Maj et al. Poster n. B91-XXX Conresso Nazionale SIF Genova, 30 Maggio-2 Giugno 2001。
【0028】
サフィナミドは、神経変性障害、特にPDおよび虚血における症状効果に加えて、長期の神経保護効果を有しうることも示唆された。この効果は動物モデルにおいて証明された(F. Vaghi et al; 27th annual meeting Neuroscience New Orleans 1997 October 25-30 abs n 212.9)。しかしながら、サフィナミド「それ自体」は、正常なラットにおけるラット受動性回避試験、即ち、ヒトにおいて認知を改善するために請求される向知性薬(nootropic agent)が活性である試験において、認知を改善しないことが示された(Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 1998, 285: 397-403)。
【0029】
PD患者における臨床的データは、サフィナミドが3か月の処置後に、UPDRSスコアを有意に改善したことを示した。この改善は、サフィナミドがドーパミンアゴニストに関連する(associated)とき、特に明白である(Stocchi, F et al. Neurology, 2004 Aug 24; 63(4): 746-8)。
【0030】
本発明者等は、早期PDを有する非痴呆患者における、6か月の二重盲検臨床試験において、ドーパミンアゴニスト(DA)に関連したサフィナミドは、処置の開始の3ヶ月および6ヶ月後の両方の検査において、DAのみ(コントロールグループ)で処理されたグループと比較して、この疾患の運動症状に関連しているUPDRSスコアを有意に改善することができるのみならず、コントロールで観察される認知悪化を改善することおよび/または予備処理と比較して認知を改善することができることを意外にも発見した。さらに詳細には、驚くべきことに発見されたことは、適当な用量のDAに添加されたサフィナミドは、a)ベースライン(上記に引用された文献に記載のものと一致している悪化)と比較して、DAのみで観察された認知の悪化を減殺する;b)処理開始の前に観察されたベースライン遂行能力に比較して、一連の試験において患者の遂行能力を改善することができるということであった。
【0031】
これは新規な発見である。何故ならば、以前の開示は、式(I)の化合物を変性性疾患および特にPDおよび虚血に関連させており、その場合に、該化合物、特にサフィナミドの神経保護剤の役割は、それらのMAO−B阻害活性および抗痙攣性活性により、役割を演じ、そして疾患改善効果を引き起こすからである。WO90/14334に請求される式(1)の化合物は、ビククリンンおよびメルカプトプロピオン酸により引き起こされた痙攣および致死率を抑制することが示された。その開示の時点で、MAO−B阻害剤は神経保護効果を有しうりことがすでに示唆された(Strolin Benedetti M and Doster P, Biochem. Pharmacol. 1988, 38, 555-561)。
【0032】
サフィナビドが、本発明において観察された認知についての正の効果を引き起こす機構は解明されていない。しかしながら、神経保護効果、例えば動物モデルにおいてサフィナミドについて記載された神経保護効果は、相対的にあまりにも短い期間の時間であるたったの12週間で測定可能であることおよびニューロン細胞死は可逆性ではないということは、非常にありそうもないことである。神経保護薬により期待されることは、疾患進行をできる限り遅くすることおよび長期試験(2年間の試験などの)において、コントロール患者で観察された悪化を薬物処置により有意に弱めることを証明することである。
【0033】
それ故、以前の開示と比較して、このような短時間において明らかになるこの効果は完全に予想外である。
【0034】
広い範囲の相対的に微妙な認知欠損が、パーキンソン病(PD)を有する患者において観察されうる。欠損は、記憶、視空間処理、注意、概念形成および実行機能などの異なる認知ドメインにおいて認識された。
【0035】
いくつかの認知欠損が、前頭前皮質のとても重要な病変に次いで報告されたそれらに類似していることは、大脳基底核を前頭前皮質と連結する複合回路のモデュレーションにおいて、ドーパミンの役割と一緒になって、ドーパミン刺激のレベルの変化が認知遂行能力を改変しうるという仮説にいたった。
【0036】
しかしながら、PDを有する患者において、レボドパおよびドーパミンアゴニストの両方とも前頭認知遂行能力を改善するか、損なうかまたは影響を与えないことおよび上記に報告された記憶機能を改善するか、損なうかまたは影響を与えないことが報告された。
【0037】
これらのデータは、レポドパおよびドーパミンアゴニストが、PD患者の運動機能の改善における有効性を証明したが、認知に関する論議の余地のある効果を有すること、いくらかの特定のタスクを悪化させることすらあることを示唆する。これらの矛盾の理由は、過剰のドーパミンレセプター刺激が認知機能にとって有害でありうるという事実にあるかも知れない(Murphy B1 et al, PNAS, 1996, vol 93 and Ruzicka E et al., J Neurol. Neurosurg. Psychiatry, 57, 998-1001, 1994)。それは最適の認知機能のためのドーパミン作動性活性の重大な範囲(critical range)でありうることおよびこの範囲を取り除くことは認知の調節異常をもたらすであろうことが示唆された。
【0038】
認知機能についてのMAO−B阻害剤の効果は、それらの神経保護効果に主として関係することが示唆されているが、それは、関連した脳区域において、神経伝達物質、特にドーパミンのアベイラビリティーの増加によるものであろうという仮説もたてられた。ドーパミンの不足は、PD患者における記憶障害の病態生理学に関与することが、事実示唆された(J Neural Transm. (1994) 41: 259-266; Trends in Pharmacological Sciences,(2005) 26: 27-35)。
【0039】
しかしながら、ラサギリン、PD治療に使用されるMAO−B阻害剤は、認知を改善しないが、単にそれを悪化させないことが報告された:「1日1回のラサジリン1mg用量は、「Mental Dysfunction in Parkinson's Disease Conference, Salzburg, Austria, 2004」で提示された、アギレット(ラサギリン)に関するTEMPO 及び PRESTO重要研究(TEMPO and PRESTO pivotal studies)の再解析から引用されたとおり、早期のおよび中程度〜進行したPD患者における、認知のおよび挙動上の不利な事象の生起を有意に増加させることなく、運動不安定性を含むPDの症状を改善した。
【0040】
それゆえ、やはり重大でありうることは、特に選ばれた脳区域において、異なるメディエイターおよびドーパミンの最適同調である。意外にも、サフィナミドは、この試験において、それ自体は上記の引用された文献と一致して、いくつかの認知機能の悪化を引き起こしたドーパミンアゴニストと関連して、認知を改善した。
【0041】
これは、そのMAO−B阻害効果によるものではあり得ない。これは、事実、ドーパミンアベイラビリティーの増加を自然に引き起こしたのであろう、そして本発明者等は、同じ試験においてサフィナミドはドーパミンアゴニストの効果以上に運動スコア(UPDRS)を改善し、そしてUPDRSはドーパミン作用性トーンと厳密に関係していることを考慮すると、これが起こったということを完全に確信することができるであろう。事実、本発明者等は、DAアゴニストで処置された患者で観察された悪化は、認知を改善することが示唆される最適のレベルを超える前頭前皮質におけるドーパミン作動性刺激のすでに高いレベルによるものであろうことを示唆することができる。にもかかわらず、このDAアゴニスト治療法に加えられるとき、サフィナミドはこの損傷を元に戻すことができた。これはMAO−B阻害剤について全く予想外である。
【0042】
加えて、サフィナミドのグルタミン酸放出阻害効果もPD患者の認知機能に関するこの正の発見を説明することができない。
【0043】
グルタミン酸は、哺乳動物CNSにおける主要な興奮性神経伝達物質であり、そして最も興奮性のシナプスを横切る神経伝達を媒介する。グルタミン酸はNMDAおよびAMPAレセプターを含む多数のポストシナプスレセプターを刺激する。
【0044】
多数の文献証拠により支持されるとおり、グルタミン酸レセプター活性の減少、特にNMDAレセプター活性の減少は、明らかに学習および記憶を崩壊させる。そして、事実、NMDAおよびAMPAレセプターアゴニスト(アンタゴニストではない)は、認知を高める潜在力について研究された(Weister T, 2004, in Cognitive enhancing drugs'' Buccafusso JJ editor, pp89-96-Birkhauser, Austria)。
【0045】
したがって、NMDAレセプターアンタゴニスト、メマンチンが認知およびADの臨床現場に達するための最初のグルタミン作動性薬物であったということはどうも奇妙である。この例およびその特性は、Youdim MB and Buccafusco JJ, Trends in Pharmacological sciences (2005) 26:27-35)により特に言及されている。メマンチンは中程度〜重いADの処置のため、USにおいて現在認可されている。1つの仮説は、この効果がこの薬物の神経保護作用に結び付けられうるということである。他の仮説は、NMDA型のグルタミン酸レセプターがADにおいて、相方(phasic)式よりはむしろトニック方式で過剰に活性化されるということである。この連続的な軽度の活性化は、シナプス柔軟性(synaptic plasticity)(学習)のニューロン損傷および悪化にいたりうる。それは、多分、このような条件下では、正常な安静条件下に、NMDAゲート型チャンネルをブロックするMg2+イオンがもはやそのようにすることができないということである。1つの仮説は、メマンチンは「改善されたマグネシウム」の特徴を有するグルタミン酸アンタゴニストであり、何故ならば、それはMg2+を模倣し、そしてこの欠損を減衰させ、そしてMg2+の生理学的役割を引き継ぐ(take over)ことにより、シナプス柔軟性を回復するからである(Danysz W and Parsons CG.; Int J Geriatr Psychiatry (2003) 18(Suppl 1): S23-32; Danysz W, Parsons CG, Mobius HJ, Stoffler A, Quack G.; Neurotox Res. (2000) 2(2-3): 85-97)。
【0046】
この仮説が真実であるならば、それは、認知エンハンサーとして、NMDAアンタゴニストの活性をMg2+結合部位に結び付けられた特定の作用機構に関係させる。これは、上記に報告されたとおり、一般に認知に負の影響を与えるすべてのNMDAアンタゴニストに一般に当てはまらず、グルタミン酸放出を阻害し、そしてグルタミン酸レセプターを介して作用しないサフィナミドのような化合物にも当てはまらない。
【0047】
グルタミン酸放出阻害剤であると述べられた1つの薬物はリルゾールである。前臨床試験において、この化合物は、例えばラットにおける実験的脳損傷の後の認知を改善することが示されたが、その効果は多分神経保護機構により媒介された。そして、事実、この化合物は、脳虚血およびPDのモデルにおいても神経保護性であることが示された(Benazzouz A et al., Eur. J. of Pharmacol. 1995, 284, 299-307; J Neurotrauma, 1996, 13, 767-80)。
【0048】
1996年にUSにおいてALS用に認可されたリルゾールは、PDおよびADについて臨床試験中であるが、これらの試験の理論的根拠はその神経保護効果に基づいている。
【0049】
すべてのこれらの理由で、本発明で証明されたとおり、サフィナミドの作用機構と認知機能に関してそれ自体損傷を引き起こしたDAと関連して観察された認知についてのその正の効果との間に、明快な関係はない。このことは、MAO−B阻害剤またはNMDAアンタゴニスト、メマンチンまたはリルゾールにより引き起こされる認知に関する正の効果により関連しているであろう機構である神経保護が、ここに述べられた試験の短い期間により、主張されえないことを考慮すると、特に真実である。MAO−B阻害による関連のあるCNS区域におけるドーパミンレベルの可能なエンハンシング効果も支持され得ない。何故ならば、サフィナミドは、単独治療において与えられたのではなくて、刺激に対するドーパミン作動性によるであろう認知に関する損傷をそれ自体すでに引き起こしたDAに関連しているからである。
【0050】
最後に、記憶がいくつかの異なるプロセスにより提示され、そして異なるタイプの記憶は異なる脳領域と関連しているということを述べることは重要である。これらの理由で、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、GABA、グルタミン酸、ヒスタミン、ペプチドおよびそれらのレセプターを含む、多くの神経伝達物質が認知に関与している。これらのメディエイターは、一緒に作用するが、1つのシステムの他のシステムについてのモデュレーションにより、1つより多くのターゲットについて組み合わさった活性は、時には、予測できないであろう。異なる治療ターゲットと作用物質を組み合わせることの実際の適用は、文献では広く認められていない。
【0051】
更に詳しくは、本発明者等が知る限りでは、グルタミン酸放出阻害効果に関連したMAO−B阻害活性を有する化合物の文献における例はなく、そしてこのような薬物が認知に対する正の効果を有するという例はない。
【0052】
このような機構の関連が認知に対して実際に正であるというこれまでの証明のないことから、この発見は予想外である。
【0053】
この疾患の運動面および認知面の両方についての有利な効果に加えて、DAと組み合わせたサフィナミドの安全プロフィルは非常に有利である。これは、PD患者の認知欠損を改善することにおいて、中程度の有利な効果を証明されたコリンエステラーゼ阻害剤が、運動遂行能力のいくつかの面を悪化させ、そして種々の望まない副効果を引き起こすことを考慮すると、このことが、本発明の更なる治療的利点を表す。本発明の1つの態様は、サフィナミドまたは更に一般的には式(I)の化合物がPD患者の認知遂行能力について、ドーパミンアゴニストにより引き起こされる負の効果を阻止するかまたは改善するのに有用である。
【0054】
DAと関連して観察された顕著な効果を考慮し、そしてPDにおけるすべての処置がドーパミン作動性トーンの増加を引き起こすことを考慮すると、本発明の1つの態様は、サフィナミドおよび更に一般的には一般式(I)の化合物は、PDを処置するために使用される、レボドパおよび他の医薬の使用に関連した認知損傷を処置するのに有用である。
【0055】
更に一般的には、本発明は、一般式(I)のα−アミノアミド化合物を利用することにより、認知障害を処置するための、現存の処置よりもすぐれた、迅速に、高度に効果的な方法を提供する。
【0056】
式(I)のα−アミノアミド化合物、特にサフィナミドは、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類またはラット)における認知機能を改善しそして認知損傷を処置することができることが見出された。認知機能を改善することは、認知機能を「促進すること」(認知機能が正常な被検体に比較して減少している状態に影響を与えることを含む、被検体の損なわれた認知機能に、それが年齢にマッチした正常な、損なわれていない被検体の機能に更にそっくり似るように影響を及ぼすこと)および認知機能を「保存すること」(正常なもしくは損傷した認知機能を、それが減退しないかまたは最初の提示もしくは診断時に被検体において観察された(認知機能)より低く、例えば、処置の不存在下に予想される減退の程度に、落下させないように影響を及ぼすこと)を含む。本発明の1つの態様においては、哺乳動物は、改善される正常な認知機能を有する。1つの態様においては、哺乳動物は老齢化と関連した認知損傷を示す。1つの態様においては、哺乳動物は疾患又は障害と関連した認知損傷を有するヒトである。1つの態様においては、哺乳動物は、自閉症、難読症、注意不足異常過敏障害、精神分裂症、強迫性障害、精神症、双極性障害、うつ病、ツレット症候群、および子供、青年および成人の学習の障害、年齢に関連した記憶損傷、年齢に関連した認知減退、パーキンソン病、ダウン症候群、外傷性脳損傷、ハンチントン病、進行性核上麻痺(PSP)、HIV、発作、血管疾患、ピック病またはクロイツフェルト−ヤコブ病、多発性硬化症(MS)、他の白質障害および薬物で誘導される認知悪化などの障害と関連した認知機能損傷を示すヒトである。1つの態様においては、認知機能の損傷は、アルツハイマー病により引き起こされるかまたはアルツハイマー病に帰される。他の態様においては、認知機能の損傷は、軽度認知損傷(MCI)により引き起こされるかまたは軽度認知損傷(MCI)に帰される。
【0057】
本発明は、認知機能を改善するためおよび認知損傷を処置するための医薬を製造するための、式(I)
【化1】


(式中、
Aは、(CH−X基であり、ここで、nは0〜5の整数であり、XはCH、O、SまたはNHであり;
sは1または2であり;
Rはフリル、チエニル、ピリジルまたはフェニル環であり、これらの環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはトリフルオロメチルから独立に選ばれる1個または2個の置換基で場合により置換されており、
は水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
およびRは、水素;ヒドロキシル、フェニルで場合により置換されているC〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシまたはトリフルオロメチルから独立に選ばれる1個または2個の置換基で場合により置換されているフェニルから独立に選ばれるか、またはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C〜Cシクロアルキル環を形成し;
、Rは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルであるか、またはRとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜7原子飽和複素環式環を形成する)
の化合物またはその異性体、混合物、および薬学的に許容されうる塩の使用に関する。
【0058】
アルキルおよびアルコキシ基は、分岐状でありえ、または直鎖状基でありうる。
【0059】
本発明の化合物の薬学的に許容されうる塩は、例えば、無機酸、例えば、硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸等または有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびサリチル酸等との酸付加塩を含む。
【0060】
式(I)の化合物のいくつかは、不斉炭素原子を有することができ、したがって、ラセミ混合物としてまたは個々の光学異性体(エナンチオマー)として存在することができる。したがって、式(I)のα−アミノアミドの「薬学的に許容されうる塩」という用語は、その範囲内にすべての可能な異性体およびそれらの混合物ならびに任意の薬学的に許容されうる代謝物、生物学的前駆体(bioprecursor)および/またはプロドラッグ、即ち、式(I)のα−アミノアミドの構造式とは異なる構造式を有し、しかも哺乳動物、特に人間に投与されると、式(I)の化合物にin vivoで直接または間接に転換される化合物を含むことも意味する。
【0061】
式(I)の好ましい化合物は、AがCH、(CH、CH−Sおよび(CH−O(式中、nは1〜5の整数である)から選ばれる基であり;
sが1または2であり;
Rが、ハロゲン、トリフルオロメチル、メトキシから独立に選ばれる1個または2個の置換基で場合により置換されているフェニル環、またはチエニル環であり;
は水素またはC〜Cアルキルであり;
およびRは、独立に、水素またはヒドロキシで場合により置換されているC〜Cアルキル、または1個または2個のハロゲン原子で場合により置換されているフェニルであるか、または、RとRはそれらが結合している原子と共にC〜Cシクロアルキル環を形成し;
、Rは、水素またはC〜Cアルキルであるか、または、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジンまたはビペリジン環を形成する、式(I)の化合物およびその薬学的に許容されうる塩である。
【0062】
式(I)特定の化合物の例は、
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−プロパンアミド;
2−[4−(2−メトキシベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−N−メチル−プロパンアミド;
N−{2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]}−プロピオニル−ピロリジン;
2−[4−(3−メトキシベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−シアノベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−N−メチル−プロパンアミド;
N−{2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]}−プロピオニル−ピロリジン;
2−[4−(4−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−シアノベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−シアノベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−フェニルエチルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−フェニルエチルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)−フェニルエチルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−フェニルエチルアミノ]−プロパンアミド
2−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−エトキシ]ベンジルアミノ}−プロパンアミド;
2−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−エチル]ベンジルアミノ}−プロパンアミド;
2−[N−(4−ベンジルオキシベンジル)−N−メチルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−ベンジルチオベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルチオ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルチオ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルチオ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルチオ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フェニルプロポキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(4−フェニルブトキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(5−フェニルペントキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−フェニル−N−メチル−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−メチル−N−メチル−ブタンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジル−N−メチルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジル−N−メチルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(2−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(2−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−(4−(2−チエニルオキシ)−ベンジルアミノ)−プロパンアミド;
またはそれらの異性体、混合物、および薬学的に許容されうる塩を含む。
【0063】
患者の1つ以上の認知障害を処置するための有効な量で単剤治療として、または式(I)の他の化合物と組み合わせて使用されうる式(I)の好ましい化合物は、(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミドまたは
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミドである。
【0064】
式Iの化合物は、中枢神経系について活性なおよび抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、神経保護薬、抗うつ薬および抗痙攣催眠薬として有用な化合物として、WO90/14334、WO94/22808、WO97/05102、WO97/05111、WO99/35123およびWO99/35215から知られる(Pevarello P. et al. (1998), J. Med. Chemistry, 41:579-590参照)。
【0065】
1つの態様においては、処置されるべき患者は、認知障害の症候の軽減または抑制を必要としているヒトを含む哺乳動物である。
【0066】
認知障害の特定の例は、自閉症、難読症、注意不足異常過敏障害、不安、精神分裂症、強迫性障害、精神症、双極性障害、ツレット症候群、軽度認知損傷(MCI)および子供、青年および成人の学習の障害、年齢に関連した記憶損傷、年齢に関連した認知減退、ダウン症候群、HIVおよび血管疾患である。
【0067】
特に、上記した処置を必要としている哺乳動物は、約0.3〜約100mg/kg体重/日の範囲の上記した式(I)のα−アミノアミドの用量を投与される。本明細書で使用された「処置」は、a)疾患/障害にかかりやすいがまだ疾患/障害を有すると診断されていない被検体において、疾患/障害が起こるのを防止する;b)疾患/障害または状態を抑制する、即ち、その進展を阻止する;c)疾患/障害または状態を取り除く、即ち、疾患/障害または状態の後退を引き起こす、ことを意図する哺乳動物、特にヒトへの処置または適用による任意のケアを含む。
【0068】
ヒトを含む哺乳動物における認知障害状態は、このようにして抑制または緩和させられうる。
【0069】
他の局面においては、本発明は、慣用の方法、例えば、有効剤(active agent)を薬学的に許容される、治療的に不活性な有機および/または無機担体または賦形剤物質と混合することにより調製されうる、認知障害の処置における活性を有する薬学的に許容されうる組成物の有効剤として投与される式(I)のα−アミノアミドを含む。
【0070】
本発明の1つの態様においては、哺乳動物は、PDを処置するのに使用される薬物の投与により更に悪化する認知機能を有する。その場合に、化合物は、このような作用物質と組み合わせて与えられる。組み合わせ治療(または「共治療」)は、本発明の式(I)のα−アミノアミド化合物および、少なくとも第2の作用物質、例えば、
−ドーパミンアゴニスト、例えばブロモクリプチン、カベルゴリン、リスライド、ペルゴリド、ロピニロール、アポモルフィン、スマニロール、ロチゴチン、タリペキソール、ジヒドロエルゴクリプチンおよびプラミペキソール、
−レボドパ、レボドパ+カルビドパ(SINEMET(登録商標))、レボドパ+放出コントロールされたカルビドパ(SINEMET-CR(登録商標))、レボドパ+ベンセラジド(MADOPAR(登録商標))、レボドパ+放出コントロールされたベンセラジド(MADOPAR-HBS)、
−COMT阻害剤、例えばトルカポンおよびエンタカポン、
−STALEVO(登録商標)、アマンタジンを、
−上記した作用物質(単独または異なる組み合わせにおいて)の認知についての負の効果に反対の作用をすることにより、有利な効果を与え、そして同時に更にPDにおける運動機能不全を改善することを意図した特定の処置方式の一部として、
投与することを含む。
【0071】
本発明の1つの態様は、式(I)の化合物、特にサフィナミドの、振せんを処置するためのPDで使用される抗コリン作動薬との関連である。事実、パーキンソン病振せんは、通常抗コリン作動性医薬で改善される。抗コリン作動薬は、トリヘキシフェニジル、ベンズトロピンおよびプロサイクリジンを含む。しかしながら、抗コリン作動治療の副効果は、多数でありそして認知機能に対する負の効果を含む。
【0072】
本発明の化合物は、アルツハイマー病、PDおよび上記したすべての状態などの病理学的状態における認知機能を改善するのに有用である、他の薬物、例えばコリンエステラーゼ阻害剤および/またはアセチルコリンモデュレーター(しかしそれらに限定されない)との共同においても有用である。
【0073】
組み合わせにおけるこれらの治療剤の投与は、典型的には定められた時間の期間(選ばれた組み合わせに依存して、通常、分、時間、日または週)にわたって行われる。「組み合わせ治療」は、本発明により意図された組み合わせに偶然および任意に結果としてなる、別々の単剤治療方式の一部として、これらの治療剤の2種以上の投与を包含することを意図することができるが、一般にはされない。「組み合わせ治療」はこれらの治療剤を順次にまたは同時に投与することを包含することを意図する。同時の投与は、例えば、一定の割合の各治療剤を有する単一のカプセルを被検体に投与することまたは治療剤の各々につき1つのカプセル複数投与することにより達成されうる。各治療剤の順次のまたは実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路および粘膜組織を通して直接吸収させることを含むがそれらに限定されない任意の適切な経路により行うことができる。治療剤は、同じ経路または異なる経路により投与されうる。例えば、選ばれた組み合わせの第1治療剤は静脈内注射により投与することができるが、組み合わせの他の治療剤は経口投与することができる。
【0074】
あるいは、例えば、すべての治療剤は、経口投与することができ、またはすべての治療剤は静脈内注射により投与することができる。治療剤を投与する順序は、狭く決定的ではない。「組み合わせ治療」は、他の生物学的に活性な成分および非薬物治療(例えば外科または放射処置)との更なる組み合わせにおいて、上記した治療剤を投与することを包含することもできる。組み合わせ治療が更に非薬物処置を含む場合に、非薬物処置は、治療剤および非薬物処置の組み合わせからの有利な効果が達成される限り、任意の適当な時に行うことができる。
【0075】
本発明のα−アミノアミド組成物は、種々の剤形において、例えば錠剤、トローチ剤、カプセル剤、糖もしくはフイルム被覆錠剤、液体溶液剤、乳剤または懸濁剤の形態で経口的に;坐剤の形態で直腸内に;例えば筋肉内もしくは静脈内注射もしくは注入により非経口的に;およびパッチ剤、軟膏剤、乳剤、ローション剤、溶液剤、ゲル剤、クリーム剤、エアゾル剤および鼻噴霧剤の形態で経皮的に投与することができる。
【0076】
このような組成物の調製において有用な、適切な薬学的に許容されうる、治療的に不活性な有機および/または無機担体または賦形剤物質は、例えば、水、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、シクロデキストリン、ポリアルキレングリコール等を含む。式(I)のα−アミノアミド組成物は無菌化することができ、そして例えば保存剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、例えばパラフィン油、マンニドモノオレエート、浸透圧調節塩、バッファー等などの当業者に周知の更なる成分を含有することができる。
【0077】
更に、固体経口形態は、有効剤と共に、希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン;滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウムおよび/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギネートまたはデンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate);発泡性混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルサルフェート;および一般に医薬処方で使用される、無毒性かつ薬理学的に不活性な物質を含有することができる。医薬製剤は、任意の既知の方法で、例えば混合、顆粒化、錠剤化、糖コーティングまたはフィルムコーティング工程によって製造することができる。
【0078】
経口処方は、慣用の方法で、例えば錠剤および顆粒に腸溶コーティングを適用することにより調製されうる徐放性処方を含む。
【0079】
経口投与用の分散液剤は、例えばシロップ剤、乳剤および懸濁剤でありうる。シロップ剤は、更に担体として、例えばサッカロースまたはグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを伴うサッカロースをさらに含有することができる。
【0080】
懸濁剤および乳剤は、担体として、例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含有することができる。筋肉内注射用の懸濁剤または溶液剤は、有効化合物と共に、薬学的に許容されうる担体、例えば無菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコールおよび所望ならば適切な量のリドカイン塩酸塩を含有することができる。静脈内注射または注入用の溶液剤は、担体として、例えば無菌水を含有することができ、または好ましくは、それらは、無菌の、水性または等張性サリン溶液の形態にありうる。
【0081】
坐剤は、有効剤と共に、薬学的に許容されうる担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤またはレシチンを含有することができる。
【0082】
式(I)のα−アミノアミドを含む組成物は、一般に、例えば単位剤形当たり20〜7000mgの有効成分を含有する用量単位の形態にある。適切な処置は、クリアランス速度に依存して、1日につき、1または2または3回与えられる。したがって、所望の用量は、単一用量で与えられるかまたは適当な間隔、例えば1日当たり2〜4またはそれより多くのサブ用量で投与される、分割用量として与えられうる。
【0083】
式(I)のα−アミノアミドを含む医薬組成物は、投薬単位、例えばカプセル剤、錠剤、散剤、注射剤、茶さじ量剤、坐剤等当たり、約20〜7000mgの有効剤を含有することができる。
【0084】
投与されるべき最適の治療有効用量は、当業者により容易に決定され得、そして基本的に、製剤の強度、投与方式および病理学的状態の進行または処置される特定の記憶もしくは認知障害と共に変わるであろう。更に、被検体年齢、体重、食事および投与の時間を含む、処置されるべき特定の被検体と関連したファクターは、用量を適切な治療的有効レベルに調節する必要をもたらすであろう。
【0085】
上記した本発明の使用および方法に由来する利点は多くあり、そして基本的に、すべての型の認知障害症候を、驚くべき有利な安全性のプロフィルで、処置する可能性を含む。
【0086】
実施例
臨床例
実施例1:Cogtest
Cogtest(登録商標)(臨床試験のためのコンピュータ化された認知試験バッテリー)は、臨床試験に使用するための最も高い品質のコンビュータ化認知試験を与えるようにデザインされる、Cogtest(登録商標)バッテリーにおけるすべての認知試験は、大学の神経心理学者および臨床試験専門家により開発された。これは、神経生理学的、機能的ニューロイメージング(functioning neuroimaging)および薬物性証拠(pharmacogenic evidence)を含む認知神経科学において、最も最近の発展が、Cogtest(登録商標)ライブラリー法(Cogtest(R) library of procedures)および薬学的臨床試験に組み込まれることを確実にする。
【0087】
CogtestPDバッテリーは、Cogtestライブラリーにおける利用可能な試験の検閲およびパーキンソン病に適切なバッテリーを最も有用に含むこれらの試験の選択に基づいて作成された。しかしながら、同じタスクが、認知の2つの主ドメイン、反応時間およびパワーを試験するための他の病理学的状態において使用される。
【0088】
上記バッテリーは、実施するのに20〜30分を要し、そして異なる文化および国を横断して適用可能である。下記の試験はこのバッテリーに含まれる。
【0089】
試験1−聴覚ナンバーシーケンシング(auditory number sequencing)
聴覚ナンバーシーケンシングタスクは、作業記憶および実行機能の試験である。参加者は、増加する長さ(2の数字(digit)から最大8つの数字まで)の数(例えば936)の集団を提示されるであろう。彼らは、検者にそれらの数を最も低いものから最も高いものまで、順に話すよう求められるであろう。このタスクは、例えばPD患者において、薬理学的介入に感受性であることが示された、最初のCooper Digit Ordering Task(Cooper JA et al. (1991), Brain, 114: 2095-2122)から改造された(Cooper JA et al. (1992) Brain, 115, 1701-1725; Cooper JA et al.(1993), Neuropsychologia, 31, 933-949; Gabriel JDE et al., (1996), Neuropsychology, 10, 322-332; Hoppe C et al., (2000). The Clinical Neuropsychologist, 14, 38-66)。
【0090】
試験2−空間作業記憶(SWM)
タスクの全体の目標は、被検体が、しばらくの間提示された視覚ターゲットの空間位置をいかに正確に想い出すかを決定することである。このタスクは、ディスプレーデバイス上の種々の位置にターゲットを示すこと及び被検体がターゲットが現れたことを想い出す位置に、被検体をスクリーンに接触させることを含む。インストラクシヨンの後に、2つの状態がある:(1)ターゲットがまだスクリーン上にある間に、ターゲットの直接接触;(2)ターゲット提示と応答すべき機会との間に遅延があり、ターゲット提示と応答すべき機会との間に2秒または12秒のいずれかの遅延を含む、等しい数の試験(無作為化された)を伴う、遅延状態。提示と想起との間の遅延の間、被検体により、積極的に接触されることを必要とする可変位置の多数の混乱者(ディストラクター:distracters)が現れる。ディストラクター状態は、被検体の視覚固定位置および手の位置の両方がターゲットの近くに残っているのを防止することを助ける。
【0091】
試験3−戦略的ターゲット検出(STD)
この試験は、紙筆「取り消し」試験(paper-and-pencil "cancellation" tests)または、被検体がディストラクターの間に深くとどまる(embedded)ターゲット刺激を線を引いて消すことが必要である、WAIS−IIIの「線を引いて消す」サブテスト(‘cross-out’ subtest of the WAIS-III)に類似している。このコンピュータ化試験において、参加者は接触スクリーン上のターゲット刺激(形状)に直接接触する。この試験の追加の特徴は、刺激のどれがターゲットであるかを、被検体に前もって話していないということである。その代わりに、被検体は、刺激の1つを選び、そして選択が正しかったか間違っていたかを指示するフィードバックを観察することにより、どれが正しいターゲットであるかを学習しなければならない。この特徴は、正しい「ルール」が検査官フィードバックからのみ被検体により学習される、Wisconsin Card Sorting Test(WCST)において使用されるものに類似している。測定される変数は:総実験時間(「準備ができた(Get ready)」スクリーンの終わりから最後の応答の終わりまで、ミリ秒)、すべての正しい応答(Total Correct responses)、全べての保続性誤り(total Perseverative Errors)(すぐ前のセットのターゲットであったがこのセットのターゲットではない形状の誤った押し)、文献に従う戦略的有効性変数(Strategy efficiency variable) (横断された、即ち各セットのスクリーン上の正しい押し位置間の、領域の累積距離)(Weintraub, S., & Mesulam, M.M. (1987). Archives of Neurology 44 621-625)である。
【0092】
試験4−タッピング速度
タッピング速度試験は、簡単な運動速度および手の器用さを評価する。Cogtestバージョンは、多くの神経心理学的研究において広範に使用されておりそして抗精神病薬の運動効果に感受性でありそして左右差のある脳不全(lateralized brain dysfunction)に良好な感受性を示す、多くの神経学的病気(脳血管疾患およびパーキンソン病を含む)の効果に感受性である、ハルステッド・ライタン神経心理学バッテリーの指叩き試験または指振動試験に類似している。各手の人差し指によるタップの総数を捕捉することに加えて、それは、各およびすべての応答への潜時(latency)も捕捉して、タッピング速度における分散のインデックスを発生させる。
【0093】
要約変数(summary variables)は、文献(Reitan, R.M. (1979) Manual for administration of neuropsychological test batteries for adults and children. Tucson, AZ: Reitan Neuropsychology laboratories, Inc.; Reitan, R.M., & Wolfson, D. (1985); The Halstead-Reitan Neuropsychological Test Battery: Theory and clinical interpretation. Tucson: Neuropsychology)に従う、平均タップ速度/試験(右手)(ミリ秒の平均タップ間間隔)、すべての試験に対する標準偏差タップ速度(右手)(ミリ秒の平均タップ間間隔)、全タップ(右手)、平均タップ速度/試験(左手)(ミリ秒の平均タップ間間隔)、すべての試験に対する標準偏差タップ速度(左手)(ミリ秒の平均タップ間間隔)、全タップ(左手)である。
【0094】
タッピング速度試験は、2つの理由で含まれた。第1には、「運動」効果を「認知」効果から部分化させることができる共変数(covariate)として役立つことができる遂行能力(performance)の目安を取り込む必要がある。第2には、タッピング速度を含むことは、「時限遂行能力タスク」(timed performance tasks)が二次結果目安として含まれる、CPMP EWPのガイダンスにおいてなされた推奨を達成する。タッピング速度についての薬物効果は、それ自体で、薬物有効性の有用な証拠を与える。このようなタスクは、多分運動緩慢(bradykinesia)の実験室モデルとして役立つ素質も有する。
【0095】
試験5−単純反応時間(SRT)
反応時間試験は、精神運度速度を評価するのに使用される古典的試験である。刺激の出現は、完全に視覚によるものであり(聴覚トーンも聞こえる、セットシフテイング試験と違って)そして刺激の開始の前に、参加者の目を中心に置くために使用される十字線(スクリーン上に水平および垂直の両方に中心を置いた)の表示からのランダムな遅延後に起こる。この試験に対して2つの異なる相、即ち、練習相および主試験相がある。練習相は、参加者が試験になじむことおよび主試験に進む前に安定なベースラインに達することを可能とする。24回の刺激が与えられ、そして参加者は進行するために、少なくとも20回は正しいという基準を達成する必要がある。この相の経過全体にわたり、フィードバックが与えられる。参加者は、この相を通過するためにこのような試みを3つ行い、そうでなければ、試験は終わりのスクリーンに進み、次いで試験は中止される。練習基準が達成されるならば、主試験が提示される。50試験の2つのセットが同じ方法で提示され、これらは試験セッションを通じて、中間に短い休止を参加者に許容する。応答はスペースバーを押すことによる。要約変数は、実施セッションが何回なされるか;早期応答の数;応答が起こらない試験の数;完了した試験の数;右手について完了した試験の数;正しい答えの全数;正しい反応時間の平均;正しくない反応時間の平均;正しい反応時間の標準偏差である。
【0096】
試験6−選択反応時間(CRT)
反応時間試験は、精神運度速度を評価するのに使用される古典的試験であり、そしてこの試験は、特に選択反応時間を測定する。この試験において、参加者は、赤または緑の円(刺激)が現れるスクリーンの側に相当するキーボードの左手側または右手側のキーを押すことにより応答するように指示される。刺激の出現は、完全に視覚によるものであり(聴覚トーンも聞こえる、セットシフティング試験と違って)そして刺激の開始の前に参加者の目を中心に置くために使用される十字線(スクリーン上に水平および垂直の両方に中心を置いた)の提示からの無作為な遅延後に起こる。この試験に対して2つの異なる相、即ち、練習相および主試験相がある。練習相は、参加者が試験になじむことおよび主試験に進む前に安定なベースラインに達することを可能とする。20回の刺激がスクリーンの左または右に無作為に提示され、そして参加者は進行するために、20回の中から少なくとも16回の基準を達成する必要がある。この相の経過全体にわたりフィードバックが与えられる。参加者は、この相を通過するために3つこのような試みを行い、そうでなければ、試験は終わりのスクリーンに進み、次いで試験は中止される。練習基準が達成されるならは、主試験が提示される。100試験が同じ方法で提示される、即ち、刺激は、750ミリ秒〜1500ミリ秒間で変わる無作為な休止の後に、十字線の左または右に無作為に現れる。試験のこの相の期間中、カットオフ基準がなくそしてフィードバックは与えられない。被検体は、赤キー上に自分の右人差し指を置くべきであり、これは英語のキーボードの“/”キーに取って替わるであろう。被検体は、緑のキー上に自分の左人差し指を置くべきであり、これは、英語のキーボードの“Z”キーに取って替わるであろう。応答は、スクリーンのどの側に円が現れるかに対応して、いずれかのキーを押すことによる。検査者はマウスの左ボタンを押すことにより試験を移動させる。
【0097】
実施例2
臨床プロトコール
多国籍無作為化平行群プラセボ対照二重盲検第III相試験(double blind phase III study, placebo controlled, parallel-group, randomized, multinational)を行って、サフィナミド対プラセボの2つの経口用量を比較した。プラセボ群は、安定な用量のドーパミンアゴニストで処置された患者により構成された。ドーパミンアゴニストは、異なる国において、臨床的手続に従って、臨床の慣行で使用されるもののいずれかでありえた。269人の患者(〜90/アーム)は、6ヶ月間記録されそして処置された。主要有効性変数は、UPDRSIIIであった。すべての無作為化患者は、スクリーニング、ベースライン、12週目および24週目(または早期中止)におけるCogtestで、認知損傷について試験された。
【0098】
結果
ベースラインデータは、Cogtest健康ボランチアサンプルに比較して、全サンプルについて認知ドメインを横切る(across)有意な(認知)損傷を示した。実行機能および非言語作業記憶は最も損傷を示す。
【0099】
DA単独で処置されたコントロール群は、この種の処置により期待されるものと一致して、時間に対する悪化を示した。低用量および高用量のサフィナミドで処理された両群は、3か月および6か月評価時間に、数個の認知変数についてベースラインからの有意な改善を示した。この効果は、実行機能(推理および問題解決)について最も顕著であった。
【0100】
サフィナミドの効果の説明のできる例として、「戦略的ターゲット検出」試験のデータは、ベースラインから3ヶ月および6ヶ月の両方まで、ベースラインから、両処置群(低用量および高用量のサフィナミド)で観察されたスコア(Z−スコア)において、有意な改善を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知機能を改善するためおよび認知損傷を処置するための医薬を製造するための、式(I)
【化2】


(式中、
Aは、−(CH−X−基であり、ここで、nは0〜5の整数であり、XはCH、−O−、S−または−NH−であり;
sは1または2であり;
Rはフリル、チエニル、ピリジルまたはフェニル環であり、これらの環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはトリフルオロメチルから独立に選ばれる1個または2個の置換基で場合により置換されており、
は水素またはC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
およびRは、水素;ヒドロキシもしくはフェニルで場合により置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシまたはトリフルオロメチルから独立に選ばれる1個または2個の置換基で場合により置換されているフェニルから独立に選ばれるか;またはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C〜Cシクロアルキル環を形成し;
、Rは、独立に、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであるか;またはRとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜7原子飽和複素環式環を形成する)
で示されるα−アミノアミド化合物またはその異性体、混合物、および薬学的に許容されうる塩またはエステルの使用。
【請求項2】
Aが、−CH−、−CH−CH−、−CH−S−、−CH−CH−S−または−(CH−O−から選ばれ;nは0〜5の整数であり;sが1または2であり;Rが、ハロゲン、トリフルオロメチル、メトキシから独立に選ばれる1個または2個の置換基で場合により置換されているフェニル環、またはチエニル環であり;Rが水素またはC〜Cアルキルであり;RおよびRの1つは水素であり、そして他方はヒドロキシ、フェニルで場合により置換されているC〜Cアルキル、または1個または2個のハロゲン原子で場合により置換されているフェニルであるか、または、RとRは両方ともメチルであるかまたは、それらが結合している原子と一緒になって、シクロプロピルまたはシクロペンチル環を形成することができ;R、Rは、水素またはC〜Cアルキルであるかまたは、それらが結合している窒素と一緒になって、ピロリジンまたはビペリジン環を形成する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記医薬を、約0.3〜約100mg/kg体重/日の範囲の用量で投与する、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物が、
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−プロパンアミド;
2−[4−(2−メトキシベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−N−メチル−プロパンアミド;
N−{2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]}−プロピオニル−ピロリジン;
2−[4−(3−メトキシベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−シアノベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−N−メチル−プロパンアミド;
N−{2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]}−プロピオニル−ピロリジン;
2−[4−(4−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−シアノベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−シアノベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−メチル−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−フェニルエチルアミノ]−プロパンアミド;
2−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−エチルオキシ]ベンジルアミノ}−プロパンアミド;
2−{4−[2−(3−フルオロフェニル)−エチル]ベンジルアミノ}−プロパンアミド;
2−[N−(4−ベンジルオキシベンジル)−N−メチルアミノ]−プロパンアミド;
2−{4−[(3−クロロベンジルオキシ)−フェニルエチル]−アミノ}−プロパンアミド;
2−[4−ベンジルチオベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルチオ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルチオ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(3−フェニルプロピルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(4−フェニルブチルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−[4−(5−フェニルペンチルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−フェニル−N−メチル−プロパンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−メチル−N−メチル−ブタンアミド;
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジル−N−メチルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジル−N−メチルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(2−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(2−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド;
2−(4−(2−チエニルオキシ)−ベンジルアミノ)−プロパンアミド;
またはその異性体、混合物、および薬学的に許容されうる塩から選ばれる、請求項1〜3に記載の使用。
【請求項5】
α−アミノアミドが(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミドである、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
α−アミノアミドが(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルアミノ]−プロパンアミドである、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
認知損傷が、自閉症、難読症、注意不足異常過敏障害、不安、精神分裂症、強迫性障害、精神症、双極性障害、うつ病、ツレット症候群、軽度認知損傷(MCI)および子供、青年および成人の学習の障害、年齢に関連した記憶損傷、年齢に関連した認知減退、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症候群、外傷性脳損傷、ハンチントン病、進行性核上麻痺(PSP)、HIV、発作、血管疾患、ピック病またはクロイツフェルト−ヤコブ病、多発性硬化症(MS)、他の白質障害および薬物で誘導される認知悪化などの障害から選ばれる疾患に関連している、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
認知損傷が、自閉症、難読症、注意不足異常過敏障害、不安、精神分裂症、強迫性障害、精神症、双極性障害、ツレット症候群、軽度認知損傷(MCI)および子供、青年および成人の学習の障害、年齢に関連した記憶損傷、年齢に関連した認知減退、ダウン症候群、HIV、血管疾患などの障害から選ばれる疾患に関連している、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
認知損傷が、請求項7の疾患の薬理学的処置と関連している、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
前記疾患がパーキンソン病である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記疾患がアルツハイマー病である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
薬理学的処置がドーパミンアゴニストまたはレボドパの投与を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
薬理学的処置が抗コリン作動薬の投与を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項14】
薬理学的処置がコリンエステラーゼ阻害剤および/またはアセチルコリンモデュレーターの投与を含む、請求項10および11に記載の使用。

【公表番号】特表2009−539908(P2009−539908A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514697(P2009−514697)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005197
【国際公開番号】WO2007/144153
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(505196819)ニューロン・ファーマシューティカルズ・ソチエタ・ペル・アチオニ (12)
【氏名又は名称原語表記】NEWRON PHARMACEUTICALS S.P.A.
【Fターム(参考)】