説明

認証システム、認証装置、及び、認証装置のプログラム

【課題】ランダムパターンを認証情報として用いる場合の利便性の向上を図ることができる認証システム、認証装置、及び、認証装置のプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る認証システム(100)は、認証情報入力装置(2)と、認証装置(4)と、を含む。認証情報入力装置(2)は、ランダムノイズの音声の音波振動を発信する。認証装置(4)は、前記音波振動を受信し、前記ランダムノイズの音声を認証音声として記憶する。そして、認証装置(4)は、識別対象の波形を取得し、前記識別対象の波形と、前記認証音声の波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証システム、認証装置、及び、認証装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ランダムパターンを認証情報として登録しておき、識別対象のパターンと照合して認証を行う認証技術が知られている。例えば、特許文献1には、物体表面のランダムパターンを認証情報として用いる認証技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−277821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、物体表面のランダムパターンを認証情報として用いる場合、不都合な点がある。例えば、物体表面のランダムパターンの画像を認証情報として記憶するので、認証情報の割に、比較的大きい記憶容量が必要となる。また、例えば、認証情報の登録に比較的手間がかかる。
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的はランダムパターンを認証情報として用いる場合の利便性の向上を図ることができる認証システム、認証装置、及び、認証装置のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、認証情報登録装置と、認証装置と、を含む認証システムであって、前記認証情報登録装置は、ランダム波を発信するランダム波発信手段を含み、前記認証装置は、前記ランダム波を受信するランダム波受信手段と、前記ランダム波のランダム波形を認証波形として設定する設定手段と、識別対象の波形を取得する波形取得手段と、前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段と、を含むことを特徴とする認証システムである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ランダム波発信手段は、所定の波データに基づいて前記所定の波データに対応するランダム波を発信することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記認証情報登録装置は、ランダム波を受信する手段をさらに含み、前記受信されたランダム波を示す波データを、前記所定の波データとして生成する波データ生成手段をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記認証情報登録装置は、乱数に基づいて前記所定の波データを生成する波データ生成手段をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれかの発明において、前記ランダム波発信手段は、所定の処理を行って前記所定の波データと前記処理との組み合わせに対応するランダム波を発信することを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、乱数に基づいてランダム波のランダム波形を生成する手段と、前記生成されたランダム波形を認証波形として設定する設定手段と、識別対象の波形を取得する波形取得手段と、前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段と、を含むことを特徴とする認証システムである。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記波形取得手段は、波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された波の波形を、識別対象の波形として生成する生成手段と、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記ランダム波は音波であり、前記波形取得手段は、音波の変調波を受信する変調波受信手段と、前記変調波を復調して前記音波の波形を、識別対象の波形として生成する生成手段と、を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、ランダム波を受信するランダム波受信手段、前記ランダム波のランダム波形を認証波形として設定する設定手段、識別対象の波形を取得する波形取得手段、前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【0014】
請求項10の発明は、乱数に基づいてランダム波のランダム波形を生成する手段、前記生成されたランダム波形を認証波形として設定する設定手段、識別対象の波形を取得する波形取得手段、前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,6,9,10の発明によれば、ランダムパターンを認証情報として用いる場合の利便性の向上を図ることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、例えば、利用者による自身の認証情報の紛失が抑止される。
【0017】
請求項3の発明によれば、例えば、自然界に存在するランダム波のランダム波形を認証情報として用いることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、例えば、乱数に基づいて生成されたランダム波のランダム波形をに認証情報として用いることができる。
【0019】
請求項5,8の発明によれば、例えば、他人の認証情報を手に入れた者による不正行為が抑止されるよう図ることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、例えば、利用者が自身の認証情報を入力する際の利便性を比較的向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に実施形態に係る認証システム100の構成図の一例である。同図に示すように、認証システム100は、認証情報入力装置2と、認証装置4と、を含む。
【0022】
認証情報入力装置2は、例えば、音声の録音再生機能を有する携帯音楽プレイヤや、携帯電話として実現され、本体2Aと、本体に装着されたイヤホン2Bと、を含んで構成される。イヤホン2Bは、例えば、ラウドスピーカや圧電スピーカなどを備える。
【0023】
本実施形態では、認証情報入力装置2は、内蔵マイクで集音したランダムノイズの音声(以下、ランダム音声と呼ぶ)をデジタル録音し、内蔵ハードディスクに記憶する。また、認証情報入力装置2は、記憶しているランダム音声を再生し、当該ランダム音声の音波振動をイヤホン2Bから発信する。ここで、ランダム音声は、例えば、ランダムノイズ発生器から発されるホワイトノイズ、ブラウニアンノイズ、ピンクノイズや、周囲の騒音などである。また、ランダム音声は超音波であってもよい。なお、認証情報入力装置2自身が、乱数に基づいてランダム音声を生成し、記憶するようにしてもよい。
【0024】
認証装置4は、図示しない扉に内蔵されている。図2は、認証装置4のハードウェア構成を示す図である。認証装置4は、中央処理部20と、主記憶部22と、補助記憶部24と、音声検知部26と、電気錠28と、を含む。各部はデータバス30を介して相互に通信可能である。なお、認証装置4は、図示しないネットワークインターフェイス、IOインターフェイス(例えば、USBインターフェイス)、ディスプレイ、及び、操作部(例えば、タッチパネル、キーボード)等も含む。
【0025】
中央処理部20は、CPUやMPU等である。中央処理部20は、主記憶部22に予め格納されているプログラムに従って動作し、各部を制御する。なお、上記プログラムは、主記憶部22に格納されるものに限らず、CD−ROMやDVD−ROM等の情報記憶媒体に格納されるものであってもよいし、ネットワークから提供されるものであってもよい。
【0026】
主記憶部22は、RAMやROM等のメモリ素子である。主記憶部22は、上記プログラムを格納する。また、主記憶部22は、各部から入力される情報を格納する。
【0027】
補助記憶部24は、ハードディスク等の記憶装置である。補助記憶部24は、中央処理部20からの制御信号に従い、主記憶部22に格納される情報を記憶する。
【0028】
音声検知部26は、例えば、ピエゾピックアップ式のマイクロフォンや、マグネティックピックアップ式のマイクロフォンである。音声検知部26は、検知した音声の音波振動を電気信号に変換して主記憶部22に出力する。
【0029】
電気錠28は、解錠及び施錠のためのアクチュエータ(例えば、モータ、ソレノイド等)を有し、中央処理部20からの制御信号に従い、解錠及び施錠のいずれかを行う。
【0030】
本実施形態では、認証情報入力装置2の利用者は、認証情報入力装置2が記憶している音声のうちから自身の認証情報として登録したいランダム音声を再生することにより、当該ランダム音声を自身の認証音声として認証装置4に登録する。こうした上で、認証情報入力装置2の利用者は、扉の解錠又は施錠を行う際に、予め登録した認証音声を再生し、当該認証音声の音波振動をイヤホン2Bから発信する。以下、扉の解錠又は施錠の際に再生される音声を「識別対象音声」と呼ぶ。
【0031】
図3は、中央処理部20が上記プログラムに従って動作することにより、認証装置4にて実現される機能のブロック図である。ここでは、本発明に関連する機能を中心として示す。同図に示すように、認証装置4では、音声受信部40と、認証情報設定部42と、認証部44と、を含む。音声受信部40は、認証音声受信部40Aと、識別対象音声受信部40Bとを含む。
【0032】
音声受信部40は、音声検知部26を中心として実現される。認証音声受信部40Aは、認証情報入力装置2から発信される認証音声の音波振動を受信し、電気信号に変換する。また、識別対象音声受信部40Bは、識別対象音声の音波振動を受信し、電気信号に変換する。
【0033】
認証情報設定部42は、中央処理部20を中心として実現される。認証情報設定部42は、認証音声受信部40Aからの電気信号をAD変換し、デジタル化した認証音声を補助記憶部24に記憶する。
【0034】
認証部44は、中央処理部20及び電気錠28を中心として実現される。認証部44は、識別対象音声受信部40Bからの電気信号をAD変換することにより、デジタル化した識別対象音声を生成する。そして、識別対象音声の波形と、認証音声のランダム波形と、が一致するとみなしてよい場合、すなわち、識別対象音声の波形と、認証音声のランダム波形と、の相関係数が所定閾値TH以上である場合に、電気錠28の解錠又は施錠を行う。
【0035】
次に、上記の各機能が実現される認証装置4において実行される登録処理(図4参照)及び認証処理(図5)について説明する。
【0036】
登録処理において、音声検知部26は、認証情報入力装置2から発信される認証音声の音波振動を受信し(S101)、電気信号に変換する。そして、中央処理部20は、上記電気信号をAD変換し、デジタル化した認証音声を生成する(S102)。そして、S102のステップで生成した認証音声を補助記憶部24に記憶する(S103)。登録処理によれば、利用者は、認証情報たる認証音声の登録が比較的簡易に行える。なお、中央処理部20は、乱数に基づいてランダム音声(例えば、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウニアンノイズなどの音声)を生成し、該生成したランダム音声を認証音声として補助記憶部24に記憶するようにしてもよい。
【0037】
また、認証処理において、音声検知部26は、識別対象音声の音波振動を受信し(S201)、電気信号に変換する。そして、中央処理部20は、この電気信号をAD変換し、デジタル化した識別対象音声を生成する(S202)。そして、中央処理部20は、識別対象音声の波形を単位時間ずつずらしながら、識別対象音声の波形と認証音声のランダム波形との相関係数を算出する(S203)。そして、中央処理部20は、識別対象音声の波形と認証音声のランダム波形と、が一致すると見なしてよいか否か、すなわち、識別対象音声の波形と認証音声のランダム波形と、の相関係数の最大値が所定閾値TH以上であるか否かを判定する(S204)。そして、中央処理部20は、識別対象音声の波形と認証音声のランダム波形と、の相関係数の最大値が所定閾値以上である場合(S204のY)、電気錠28の解錠又は施錠を行う(S205)。一方、中央処理部20は、識別対象音声の波形と認証音声のランダム波形と、の相関係数の最大値が所定閾値THより小さい場合(S204のN)、処理を終了する。
【0038】
ここで、本発明に関して行った実験について説明する。この実験では、2台のパーソナルコンピュータを用意し、一方のパーソナルコンピュータで識別対象音声を複数回再生した場合に、認証音声を記憶している他方のパーソナルコンピュータで算出された相関係数の最大値の度数分布を、以下の2つの条件ごとに調査した。
【0039】
[条件1]
A:識別対象音声と認証音声は、同じホワイトノイズ(周波数:48kHz)の一部区間の音声である。
B:識別対象音声の容量は、4096byteである。これは、約0.085(4096/48000)秒の長さの音声である。
C:認証音声の容量は、1024byteである。これは、約0.021(1024/48000)秒の長さの音声である。
D:識別対象音声は認証音声を一部に含む。
【0040】
[条件2]
上記A〜Cは条件1と同じであるが、識別対象音声は認証音声を含まない。
【0041】
図6は、上記実験の結果について説明するための図である。実線は条件1の場合の相関係数の最大値の度数分布を示し、点線は条件2の場合の相関係数の最大値の度数分布を示す。同図に示すように、両度数分布は完全に分離している。なお、条件1において、識別対象音声及び認証音声として同じ長さのホワイトノイズを用いた場合も、相関係数の最大値の度数分布は図6に示す度数分布と同様の度数分布となった。また、条件1において、認証音声の一部に識別対象音声を含めるようにした場合も、相関係数の最大値の度数分布は図6に示す度数分布と同様の度数分布となった。この結果から、所定閾値THの値を適切に設定すれば(例えば0.5)、認証処理において、音声検知部26が認証音声の音波振動を受信した場合にのみ中央処理部20が電気錠28の施錠又は解錠を行うようになることがわかる。また、認証に必要な認証音声の容量が1024byte程度でよいことがわかる。
【0042】
このように、本発明によれば、認証音声が再生された場合にのみ、認証装置4は、扉の施錠又は解錠を行うようになる。すなわち、本発明によれば、認証が正確に行なわれる。また、ランダム波形の偽造は困難なので、他人による認証情報の偽造が抑止される。その上、認証情報の登録が比較的簡易であるし、認証情報の記憶容量が比較的小さく抑えられるので、利便性が向上する。
【0043】
また、利用者は、認証装置4に登録したランダム音声(すなわち、認証音声)をコピーすることにより、容易に認証情報の予備を作成しておくことができる。そのため、認証情報の紛失が抑止される。
【0044】
また、自然界に存在するランダム音声(例えば、騒音)を認証情報として登録したり、乱数に基づいて生成されたランダム音声(例えば、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウニアンノイズなど)を認証情報として登録したりすることができる。
【0045】
なお、本発明の実施形態は、上記実施形態だけに限らない。
【0046】
例えば、本発明は、錠の解錠又は施錠を行う場合だけでなく、例えば、パーソナルコンピュータ等へのログインを行う場合にも適用可能である。
【0047】
ところで、上記実施形態では、利用者が認証装置4に登録した認証音声が他人の手に渡った場合、当該他人は認証音声を自身の携帯音楽プレイヤで再生することにより、上記利用者になりすまして電気錠28を解錠できてしまう。以下、このような他人の行為を抑止するための態様について説明する。
【0048】
例えば、中央処理部20は、S103のステップにおいて、認証音声に対応付けて有効期限を記憶するようにしてもよい。こうした上で、上記有効期限に達していない場合のみ、認証処理を実行するようにしてもよい。また、例えば、中央処理部20は、S103のステップにおいて、認証音声に対応付けて有効回数を記憶するようにしてもよい。こうした上で、上記有効回数の値が0でない場合のみ認証処理を実行するようにしつつ、認証処理を実行するごとに有効回数の値を減少するようにしてもよい。
【0049】
また、例えば、認証音声を登録する際に、当該認証音声の特性(例えば、周波数特性)を変えて登録することが考えられる。例えば、認証情報入力装置2は、認証音声を登録する場合において、認証音声を再生する際に、認証音声をイコライジングして出力するようにしてもよい。こうすれば、認証装置4に登録した認証音声が他人の手に渡っても、電気錠28を解錠又は施錠するためには認証音声をイコライジングする必要があることを当該他人が知らなければ、当該他人は電気錠28を解錠又は施錠できない。また、例えば、認証音声を登録する際に、特定周波数特性をもつ特殊なイヤホンを本体2Aに装着させた状態で認証音声を再生することも考えられる。また、例えば、認証音声を登録する際に、特定周波数成分を吸収する特殊な部材をイヤホン2Bにかぶせた状態で認証音声を再生することも考えられる。
【0050】
また、例えば、認証装置4にアンテナを備えさせた上で、認証処理において、当該アンテナが識別対象音声の変調波を受信し(S201)、S202のステップで、中央処理部20が、変調波の電気信号を復調して識別対象音声を生成するようにしてもよい。こうすれば、認証音声が他人の手に渡っても、電気錠28を解錠又は施錠するためには認証音声の変調波を発信する必要があることを当該他人が知らなければ、当該他人は電気錠28を解錠又は施錠できない。
【0051】
また、例えば、利用者は、認証情報入力装置2を用いて配信サーバから認証音声のストリーミング配信を受けて、認証音声を認証装置4に登録するようにしてもよい。その上で、利用者は、電気錠28を解錠又は施錠する度に、配信サーバにアクセスし、認証音声のストリーミング配信を受けるようにしてもよい。この際、配信サーバは、利用者にパスワードの入力を要求し、正しいパスワードが入力された場合のみ、認証音声を配信するようにしてもよい。こうすれば、そもそも利用者の認証音声が他人の手に渡らないように図ることができる。
【0052】
また、例えば、利用者は、携帯電話で認証音声再生装置にダイヤルすることにより、スピーカから出力される認証音声を認証装置4に登録するようにしてもよい。その上で、利用者は、電気錠28を解錠又は施錠する度に、上記認証音声再生装置にダイヤルするようにしてもよい。こうしても、利用者の認証音声が他人の手に渡らないように図ることができる。
【0053】
また、例えば、認証装置4は、認証音声を定期的に更新するようにしてもよい。例えば、認証装置4は、配信サーバから、定期的に認証音声の配信を受けるようにしてもよい。この際、配信サーバは、認証音声を配信する度に、毎回異なるランダム音声を認証音声として配信するようにする。その上で、利用者は、電気錠28を解錠又は施錠する度に、上記配信サーバから認証音声をダウンロードするようにしてもよい。
【0054】
ところで、上記実施形態では、ランダム音声のランダム波形を用いて認証を行うが、ランダム光のランダム波形を用いて認証を行ってもよい。以下、この態様について説明する。
【0055】
この場合、音声検知部26を受光素子に置き換える。受光素子は、検知した光を電気信号に変換して主記憶部22に出力する。また、この場合、認証情報入力装置2を、発光データに基づいてランダム光を発光する発光装置として構成する。認証情報入力装置2は、乱数に基づいて上記発光データを予め生成しておく。こうした上で、登録処理及び認証処理において、以下の処理が実行されるようにしてもよい。
【0056】
すなわち、登録処理において、受光素子は、認証情報入力装置2から発光されるランダム光の光波を受信し(S101)、電気信号に変換する。そして、中央処理部20は、上記電気信号をAD変換し、前記ランダム光の波形を生成する(S102)。そして、S102のステップで生成した波形を認証波形として補助記憶部24に記憶する(S103)。
【0057】
また、認証処理において、受光素子は、識別対象となる光(以下、識別対象光)の光波を受信し(S201)、電気信号に変換する。そして、中央処理部20は、この電気信号をAD変換し、識別対象光の波形を生成する(S202)。そして、中央処理部20は、識別対象光の波形を単位時間ずつずらしながら、識別対象光の波形と認証波形との相関係数を算出する(S203)。そして、中央処理部20は、識別対象光の波形と認証波形と、の相関係数の最大値が所定閾値TH以上であるか否かを判定する(S204)。そして、中央処理部20は、識別対象光の波形と認証波形と、の相関係数の最大値が所定閾値以上である場合(S204のY)、電気錠28の解錠又は施錠を行う(S205)。一方、中央処理部20は、識別対象光の波形と認証波形と、の相関係数の最大値が所定閾値THより小さい場合(S204のN)、処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る認証システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る認証装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る認証装置で実現される機能のブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る認証装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る認証装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に関する実験の結果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
2 認証情報入力装置、2A 本体、2B イヤホン、4 認証装置、20 中央処理部、22 主記憶部、24 補助記憶部、26 音声検知部、28 電気錠、30 データバス、40 音声受信部、40A 認証音声受信部、40B 識別対象音声受信部、42 認証情報設定部、44 認証部、100 認証システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証情報登録装置と、認証装置と、を含む認証システムであって、
前記認証情報登録装置は、ランダム波を発信するランダム波発信手段を含み、
前記認証装置は、
前記ランダム波を受信するランダム波受信手段と、
前記ランダム波のランダム波形を認証波形として設定する設定手段と、
識別対象の波形を取得する波形取得手段と、
前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段と、
を含むことを特徴とする認証システム。
【請求項2】
前記ランダム波発信手段は、所定の波データに基づいて前記所定の波データに対応するランダム波を発信すること、
を特徴とする請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記認証情報登録装置は、ランダム波を受信する手段をさらに含み、
前記受信されたランダム波を示す波データを、前記所定の波データとして生成する波データ生成手段をさらに含むこと、
を特徴とする請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記認証情報登録装置は、
乱数に基づいて前記所定の波データを生成する波データ生成手段をさらに含むこと、
を特徴とする請求項2に記載の認証システム。
【請求項5】
前記ランダム波発信手段は、所定の処理を行って前記所定の波データと前記処理との組み合わせに対応するランダム波を発信すること、
を特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の認証システム。
【請求項6】
乱数に基づいてランダム波のランダム波形を生成する手段と、
前記生成されたランダム波形を認証波形として設定する設定手段と、
識別対象の波形を取得する波形取得手段と、
前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段と、
を含むことを特徴とする認証システム。
【請求項7】
前記波形取得手段は、
波を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された波の波形を、識別対象の波形として生成する生成手段と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の認証システム。
【請求項8】
前記ランダム波は音波であり、
前記波形取得手段は、
音波の変調波を受信する変調波受信手段と、
前記変調波を復調して前記音波の波形を、識別対象の波形として生成する生成手段と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の認証システム。
【請求項9】
ランダム波を受信するランダム波受信手段、
前記ランダム波のランダム波形を認証波形として設定する設定手段、
識別対象の波形を取得する波形取得手段、
前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項10】
乱数に基づいてランダム波のランダム波形を生成する手段、
前記生成されたランダム波形を認証波形として設定する設定手段、
識別対象の波形を取得する波形取得手段、
前記識別対象の波形と前記認証波形との相関係数が所定値以上である場合に、所定の認証処理を実行する認証手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−127375(P2009−127375A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306407(P2007−306407)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】