説明

認証システムおよび認証装置

【課題】登録済ユーザに対応する楽曲が、ユーザの好みの楽曲で認証することができるようにする。
【解決手段】端末装置2から選択再生出力された特定楽曲に対し、認証装置4は、予め記憶された識別情報と対応付けられた複数の楽曲と比較することによって、特定楽曲に対応するユーザを認証する。このように、特定楽曲と対象楽曲との比較が行われるため、複数の楽曲が識別情報に与えられていても、ユーザを正しく認証することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲を再生可能な楽曲再生装置と、楽曲再生装置のユーザを認証する認証装置と、からなる認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、楽曲再生装置(携帯端末)から再生出力される楽曲を入力し、この楽曲が登録済ユーザ(チケット情報に対応する楽曲)のものであるかを判定することにより、この楽曲再生装置のユーザを認証する認証システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4501953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただ、認証システムに楽曲再生装置が用いられているとき、認証データとしての楽曲が、ユーザの好みの楽曲以外であった場合に、ユーザは楽曲再生装置から認証装置に対して認証データとしての楽曲を再生する度、好みでない楽曲を聴かされることとなる。
つまり、楽曲による認証操作が、ユーザに対して苦痛の発生となる恐れが高い。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、認証データとしての楽曲が、ユーザの好みでない楽曲となる可能性を低くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため第1の構成(請求項1)は、楽曲を再生可能な楽曲再生装置と、該楽曲再生装置のユーザを認証する認証装置と、楽曲データ群を記憶する管理装置と、からなる認証システムである。
【0007】
まず、前記楽曲再生装置は、ユーザの操作を受けて、前記ユーザの識別情報を前記管理装置へと送信する再生側通信手段と、前記再生側送信手段により識別情報が送信された後、前記識別情報を受信した前記管理装置から送信されてくる複数の楽曲データを前記再生側記憶部に記憶させる再生側記憶手段と、再生側記憶部に記憶された複数の楽曲データから特定の楽曲(特定楽曲)を選択して再生出力させる楽曲出力手段と、を備えている。
【0008】
そして、前記管理装置は、前記楽曲再生装置から前記識別情報を受信する管理側通信手段と、楽曲データ群を記憶する楽曲記憶手段と、前記識別情報を受信したときに、前記楽曲記憶手段が記憶する楽曲データ群からを複数種類の楽曲データを選択して読み出す楽曲選択手段と、前記識別情報と前記読み出した複数種類の楽曲データとを対応付け、管理側記憶部に記憶するとともに、前記認証装置へと送信する管理側送信手段と、を備えている。
【0009】
一方、前記認証装置は、前記管理装置から前記識別情報および前記複数種類の楽曲データを受信した場合に、認証側記憶部に記憶させる認証側記憶手段と、外部から楽曲を入力する楽曲入力手段と、前記楽曲入力手段へ楽曲が入力された場合に、前記認証側記憶手段に記憶する楽曲データ群を(対象楽曲)順次読み出して、前記入力された楽曲と比較し、前記入力された楽曲と一致する楽曲の楽曲データに対応付けられた識別情報を特定する楽曲認証手段とを備えており、前記楽曲認証手段は、前記楽曲入力手段により入力された楽曲における特定楽曲を、前記認証側記憶部に記憶された複数の楽曲データと比較して、前記入力された楽曲における特定楽曲が、前記複数の楽曲データの楽曲に含まれていた場合には、対象楽曲に対応づけられた識別情情報のユーザが、前記特定楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証が行われる。
【0010】
このように、上記構成において、認証装置側での認証に係る特定楽曲となる、ユーザの好みである可能性のある複数種類の楽曲データを、ユーザの楽曲再生装置側からの要求に基づいて、管理装置側で、楽曲再生装置のユーザと対応づけたものを、あらかじめ楽曲再生装置再生側記憶部と認証装置側の認証側記憶部とに記憶させておき、これを認証のタイミングで、ユーザの好みである楽曲データを、ユーザが選択して楽曲再生装置側から再生出力することとすればよい。
【0011】
この構成であれば、楽曲再生装置から送信された識別情報に基づいて管理装置側で識別情報と特定楽曲の対応付けが行われた後、この特定楽曲を示す楽曲データおよび識別情報が認証装置に送信、記憶される。これにより、認証装置側では、特定楽曲と対象楽曲との比較に基づく認証を行うことができるようになる。両楽曲の比較に基づく認証が行われるため、ユーザは楽曲再生装置から複数種類の楽曲データの中から自分の好みの楽曲を再生して認証することができるようになる。
【0012】
上記各構成において、認証装置は、ユーザの識別情報と複数種類の楽曲データとを対応付けて記憶しているため、認証に必要なユーザ数が増加すると、記憶すべき楽曲データ数(データ容量)が膨大になることも考えられる。
【0013】
これらのうち、ユーザの意思による特定楽曲による認証後に、認証に必要なユーザの楽曲データ容量を減らすことで、他の認証するユーザが増加しても、記憶すべき楽曲データの増加する度合いを少なくするには、上記構成を、例えば、以下に示す第2の構成(請求項2)のようにするとよい。
【0014】
前記楽曲認証手段は、前記認証が行われたときに、前記認証が行われた識別情報が対応付けられた複数の楽曲データのうち、特定楽曲が含まれた楽曲データ以外の楽曲データを、前記認証側記憶手段から削除する。
【0015】
この構成であれば、ユーザの認証後は、そのユーザの認証に用いられなかった楽曲データを削除することで、同一ユーザの認証に必要な楽曲データを減らすことができるし、
認証に用いられた特定楽曲の楽曲データは削除されていないので、そのユーザは認証に用いた好みの特定楽曲で、繰り返し認証することができるため好適である。
【0016】
また、上記各構成において、認証するユーザ数が増え続けたときには、管理装置で記憶する楽曲データ群から、他のユーザの識別情報と対応付けるべき楽曲データが不足することとなる。このため、他のユーザが管理装置に登録要求を出しても十分な楽曲データ種類が提供されずに、自分の好みの楽曲を再生できない(認証できない)可能性が高くなることも考えられる。
【0017】
これらの、認証するユーザ数が増えた場合に、管理装置で記憶する楽曲データの種類数が不足する度合いや、他のユーザも自分の好みの楽曲で認証できない可能性などを、高くしないためには、上記構成を、例えば、以下に示す第3の構成(請求項3)のようにするとよい。
【0018】
第3の構成の前記楽曲認証手段は、前記認証が行われたときに、特定楽曲が含まれた楽曲データを識別する情報を前記管理装置に送信し、前記管理側送信手段は、前記特定楽曲が含まれた楽曲データを識別する情報を受信した場合に前記管理側記憶部に記憶する楽曲データ群から、前記特定楽曲が含まれた識別する情報から、前記特定楽曲が含まれた楽曲データと、前記特定楽曲が含まれた楽曲データが対応付けられた識別情報と、前記識別情報に対応付けられた複数の楽曲データと、を抽出し、前記識別情報と対応付けられた複数の楽曲データの中から、前記特定楽曲が含まれた楽曲データ以外の楽曲データに対し、
前記識別情報と対応付けを解消する。
【0019】
この構成であれば、管理装置は、このユーザの認証が特定楽曲で行われた場合に、認証に用いられなかった(このユーザの好みではなかった)種類の楽曲データを、他のユーザの認証に用いることができるようになるため、認証するユーザ数が増えた場合に、管理装置で記憶する楽曲データの種類数が不足する度合いや、他のユーザも自分の好みの楽曲で認証できない可能性などが、高くならないために好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】認証システムの全体構成を示すブロック図
【図2】認証システムによる処理手順を示す図
【図3】ユーザ認証の準備までの手順を示すフローチャート
【図4】管理装置の記憶部に記憶されたデータベースのデータ構造(レコード)を示す図
【図5】ユーザの認証を行う手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
認証システム1は、ユーザを認証するためのシステムであり、図1に示すように、ユーザの所有する端末装置2と、端末装置2のユーザを認証する認証装置4と、端末装置2および認証装置4それぞれと通信可能な管理装置6とからなる。
【0022】
端末装置2は、CPU、ROM、RAMなどを内蔵した制御部21、制御部21による処理結果などを記憶する記憶部23、モニタや操作パネルなどからなるユーザインタフェース(U/I)25、インターネットや携帯電話通信網などのネットワーク100を介した通信(無線通信)を制御する通信部27、マイク31からの音声の入力およびスピーカ33からの音声の出力を制御する音声処理部29などを備えた携帯電話端末である。
【0023】
なお、端末装置2は、記憶部23に格納された楽曲データで示される楽曲をユーザが選択して、音声処理部29を介してスピーカ33から再生出力させる楽曲再生機能を有している。
【0024】
認証装置4は、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部41、制御部41による処理結果などを記憶する記憶部43、キーボードなどからなるユーザインタフェース(U/I)45、ネットワーク100を介した通信を制御する通信部47、マイク51からの音声の入力およびスピーカ53からの音声の出力を制御する音声処理部49などを備えている。なお、本願発明において、認証装置4は、カラオケ装置の一部機能として実装されたものである。
【0025】
管理装置6は、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部61、制御部61による処理結果などを記憶する記憶部63、キーボードなどからなるユーザインタフェース(U/I)65、ネットワーク100を介した通信を制御する通信部67などを備えたサーバーである。
【0026】
このような構成の認証システム1の動作を図2に基づいて説明する。
【0027】
この認証システム1では、まず、端末装置2が通信回線を介して自身の識別情報(電話番号やIDなど)を通知し管理装置6へと登録要求を行うと(a)、管理装置6が、登録要求に伴う識別情報に応じた複数種類の楽曲データを選択、識別情報と複数種類の楽曲データとを、それぞれ対応付けて登録した後(b)、端末装置2からの登録要求に対する登録応答として、この楽曲データを端末装置2へ送信すると共に(c)、この識別情報と対応付けられた楽曲データとを認証装置4へも送信する(d)。
【0028】
ここで用いる識別情報は、ネットワーク100を介して端末装置2が特定できる情報であればよく、電話番号、ユーザIDなどが考えられる。
【0029】
また、複数種類の楽曲データは、同一曲名の異なるアレンジ(例えば、ロック調、演歌調など)の楽曲データ群、異なる楽曲の楽曲データ群などが考えられる。
【0030】
楽曲データ群とは、楽曲データの集合であり、単一ファイル内に、複数種類の楽曲データ毎を組み込む構成としてもよい。この場合は、各楽曲データと識別番号とは1ファイル内で対応付けられている。また、1曲データを1ファイルとして、複数ファイルを個別管理する管理データ(図示せず)を別に1ファイル用意して、それぞれを対応付けておいてもよい。図2(c)、(d)は、1ファイル毎に個別に送付する場合を図示している。
【0031】
端末装置2は、この複数種類の楽曲データを記憶部23に記憶させる一方(e)、認証装置4は、この識別情報と、識別情報に対応付けられた複数種類の楽曲データとを記憶部43に記憶させる(f)。こうして端末装置2と認証装置4との間でユーザ認証の準備が整う。
【0032】
端末装置2は、上記のように、ユーザが楽曲データを選択して再生する楽曲再生機能を有している(g)。なお、この操作は、ユーザが複数の楽曲データから1つの楽曲データを選択し、楽曲として再生を指示する操作である。
【0033】
また、端末装置2のユーザを認証装置4側で認証するに際しては、端末装置2の楽曲再生機能により、先に記憶部23に記憶させた楽曲データで示される楽曲(特定楽曲)を再生出力させ、これを認証装置4に入力させる(h)。
【0034】
認証装置4は、マイク51から音楽信号が入力されると、音楽信号を所定時間録音し、録音した音楽信号(対象楽曲)記憶部43から楽曲データを読み出し、対象楽曲として楽曲データを再生しマイク51から入力された音楽信号(特定楽曲)との音程を比較する。
【0035】
そして、認証装置4は、特定楽曲と対象楽曲との対比を行った結果、特定楽曲と一致する(所定割合以上の近似を含む)対象楽曲を示す楽曲データがあれば、これに対応する認証情報のユーザが、端末装置2のユーザであるとして認証し(i)、認証に用いられた特定楽曲の楽曲番号と認証情報とを管理装置6に通知する(j)。
【0036】
そして、認証情報に対応付けられている複数の楽曲データのうち、認証に用いられた特定楽曲以外の楽曲データに対して、認証情報との対応付けを解消するか、削除する(k)。こうすることで、認証装置4は、次回の認証情報の認証から特定楽曲以外で認証することはない。
【0037】
また、上記認証情報との対応付けを解消する処理として、認証に用いられた特定楽曲以外の楽曲データを削除しても、認証装置4は、次回の認証から、削除(対応付けが解消)された楽曲データを比較することはできなくなるため、特定楽曲以外で認証することはない。
【0038】
管理装置6は認証装置4から認証情報と特定楽曲の楽曲番号とが通知されると、現在記憶している認証情報と複数の楽曲データとの対応付けから、通知された楽曲番号以外の楽曲データについて認証情報との対応付けを解消する(l)。
【0039】
通知された楽曲番号以外の楽曲データ(認証情報との対応付けが解消された楽曲データ)を、他のユーザのために再利用するのであれば、削除は行わない。
こうすることで、管理装置6は、他のユーザから登録要求があった場合に、特定楽曲以外の楽曲データを、他のユーザの認証情報との対応付けに再利用できる。
【0040】
次に管理装置6は、端末装置2に対して、特定楽曲によって認証情報との対応付けを解消されたこと(認証装置4が認証が完了したこと)を、特定楽曲の楽曲番号(楽曲名の場合もある。以下、特定楽曲番号)を送信するによって通知する(m)
【0041】
端末装置2は、管理装置6から特定楽曲番号が通知されることで、特定楽曲によって認証装置4との認証できたことを知ることができる。
【0042】
そして、端末装置2は、識別情報が対応付けられた楽曲データのうち、選択再生し、認証が完了した楽曲データ以外に対しては、ユーザが次回の認証時に不快な楽曲データを誤って再生しないように、以下の処理を行う場合もある。
【0043】
管理装置6から特定楽曲名が通知された場合は、記憶部23に記憶する複数種類の楽曲データのうち、特定楽曲が属する、登録要求(a)の応答として記憶した複数種類の楽曲データ(図4、後述)のうち、特定楽曲以外の楽曲データを削除、もしくは、再生しない(n)。
【0044】
(2)ユーザ認証の準備までの手順
以下に、端末装置2、管理装置6の間でユーザ認証の準備が整えられるまでの手順を、図3に示す各装置の処理に基づいて説明する。
【0045】
(2−1)端末装置2による操作受付処理
はじめに、端末装置2の制御部23により実行される操作受付処理の処理手順を説明する。この操作受付処理は、ユーザインタフェース25の操作パネルを介して操作が受け付けられる毎に行われる。
【0046】
この操作受付処理が開始されると、まず、受け付けられた操作が「ユーザ登録操作」であるか否かがチェックされる(s110)。「ユーザ登録操作」は、ユーザ登録を管理装置6に要求するための操作であり、あらかじめ所定の操作内容が割り当てられている。
具体的には、「カラオケ予約チケット申し込み」などの操作が考えられる。
【0047】
このs110で「ユーザ登録操作」が受け付けられたと判定された場合(s110:YES)、端末装置2のユーザに割り当てられた識別情報を伴う登録要求が管理装置6へと送信される(s120)。本実施形態において、識別情報は、あらかじめ制御部23のEEPROMや記憶部23に記憶された電話番号、MACアドレスやIPアドレスなどであるが、都度ユーザに、ユーザIDや氏名などを入力させてもよい。
【0048】
この登録要求を受信した管理装置6からは、識別情報に対応づけられた複数の楽曲データの楽曲データ群が送信されてくる。
【0049】
こうして、登録要求が送信された後、管理装置6から楽曲データ群を受信すると、この楽曲データ群が認証用の特定楽曲となる候補を示すものとして、1回の登録要求に対する音楽データ群毎に1グループ化され、記憶部23に記憶される(s130)。
グループには1グループ毎に識別可能なグループ番号が付与され、楽曲番号を検索することで、楽曲番号が属するグループが特定できるようになっている。(図4(a))
その後、その旨のメッセージがユーザインタフェース25のモニタに表示された後(s140)、本操作受付処理が終了する。
【0050】
受付処理終了以降、後述する端末装置2による被認証処理の認証装置4に対して楽曲を出力するまでの間、ユーザはユーザインタフェース25のモニタに表示された楽曲データ群の中から任意の楽曲を再生し、視聴することで、ユーザにとって最も不快でない楽曲データを特定することができる。
【0051】
(2−2)管理装置6によるユーザ登録処理
続いて、管理装置6の制御部63により実行されるユーザ登録処理の処理手順を説明する。このユーザ登録処理は、端末装置2から登録要求を受ける毎に行われる。
【0052】
このユーザ登録処理が開始されると、まず、登録要求に伴う識別情報に応じた楽曲データが、あらかじめ用意された複数の楽曲データの中から複数種類選択された楽曲データ群となる(s210)。選択される種類数は、予め用意されや複数の楽曲データ数よりは少ない数量である。
【0053】
ここでは、識別情報に応じて、あらかじめ記憶部63に記憶された複数の楽曲データの中からランダムに選択するように構成されているが、識別情報にユーザの属性(例えば、性別、年齢、所属、ジャンル、数量など)なども識別できる情報も含まれていれば、その属性に合わせた楽曲を示す楽曲データ群を選択することとしてもよい。
具体的には、曲データには予め、曲の種類(ジャンルや対象年齢など)なども含まれ、ユーザの登録要求時に端末装置2からは、識別情報とともに、ユーザが希望する種類や数量をも送付されると、その種類、数量に応じて曲データを選択して識別情報と対応付けることで、登録要求に伴う識別情報に応じた楽曲データ群となる。
【0054】
次に、登録要求されたときの登録要件に伴う識別情報と、上記s210にて選択された楽曲データ群とが対応づけられた状態で、記憶部63に記憶されているデータベースに登録される(s220)。
【0055】
具体的には、図4(b)に示すように、楽曲データ(着メロ用MIDIデータや、視聴用生音データなど)、ユーザを特定する識別情報の他、同じユーザから複数回の登録要求があり、同じ識別情報で異なる対応付けを行った楽曲データ群を区別するための作成番号、対応付けをこの楽曲データで示される楽曲の楽曲番号などの対応付けがセットされたレコードがデータベースに登録される。
【0056】
一般的にデータベースはデータの排他処理機能を有しているため、識別情報、作成番号と楽曲データ群とが対応付けられたレコードとしてデータベースに登録されることで、登録されたレコードに含まれた楽曲データは、他の認証情報との対応付けに用いられることもなくなり、同じユーザによる複数回登録要求や、異なる認証情報に対し、同じ楽曲データが対応付けられることはない。
【0057】
次に、上記s210にて選択された楽曲データ群が、登録要求の送信元である端末装置2へと送信される(s230)。この楽曲データ群は、端末装置2が操作受付処理のs130にて受信するものである。
【0058】
次に、上記s210にて選択された楽曲データ、および、登録要求に伴う識別情報が、認証装置4へと送信される(s240)。この楽曲データおよび識別情報を受信した認証装置4では、これらの受信を契機に開始される楽曲登録処理において、識別情報と楽曲データ群とが対応づけられた状態で記憶部43に記憶される(s310)。
【0059】
(3)ユーザの認証を行う手順
以下に、端末装置2と認証装置4と管理装置6との間でユーザの認証を行う手順を、図5に示す各装置の処理に基づいて説明する。
【0060】
(3−1)端末装置2による被認証処理
はじめに、端末装置2の制御部23により実行される被認証処理の処理手順を説明する。この被認証処理は、ユーザインタフェース25の操作パネルを介して、ユーザ認証を開始する旨の操作が受け付けられる毎に行われる。
【0061】
この被認証処理が開始されると、まず、再生出力する楽曲を選択することチェックされる(s410)。ここでは、記憶部23に格納されている楽曲データ群から選択する。
【0062】
このs410で選択した楽曲データが記憶部23読み出され視聴用に再生される(s420)。ユーザが不快に感じて嗜好に合わないと選択の入力操作をすれば(s430:NO)、視聴が繰り返される。
【0063】
選択した楽曲データが不快に感じず嗜好に合う選択の入力操作を行うと(s430:YES)、認証に用いる特定楽曲が確定する。
ユーザによる視聴はイヤホン(図示せず)、スピーカ33を用いて行うことができるが、不快に感じないと確定するまでは、認証装置4のマイク51へ楽曲信号を入力させない。
【0064】
次に、ユーザは、上記s430にて確定した特定楽曲をスピーカ33から再生出力させる(s440)。こうして再生出力された特定楽曲は、認証装置4のマイク51から入力される。
【0065】
上記s430にて特定楽曲が再生出力された後、s430の確定後の再生に選択されなかった特定楽曲以外の楽曲データ群は端末装置2から削除され、被認証処理が終了する。
このため、ユーザが認証に用いなかった楽曲を、次回以降の認証で誤って用いることもない。
【0066】
(3−2)認証装置4のユーザ認証処理
続いて、認証装置4の制御部43により実行されるユーザ認証処理の処理手順を説明する。このユーザ認証処理は、認証装置4が起動した以降、繰り返し実行される。
【0067】
このユーザ認証処理が開始されると、まず、マイク51から所定以上のレベルでの音声入力が開始されるまで待機状態となり(s510:NO)、その後、音声の入力が所定レベル以上になり音声入力が開始されたら(s510:YES)、スピーカ53を介した音声出力が中断、もしくは低減される(s520)。ここでは、音声処理部49を介したスピーカ53からの出力を行わないようにすることで、音声出力が中断される。
【0068】
ユーザに対し、認証の音声入力が行われていることを示すことが必要であれば、音声出力を低減、もしくはインジケータなど音声レベル表示手段(図示せず)で、音声レベルを可視化すればよい。上述のs520によってハウリングを防ぐことができる。
【0069】
次に、上記s510にて入力が開始された音声は、特定楽曲として定められた時間長にわたって入力される音声が特定楽曲として取得され、この特定楽曲を示す特定楽曲データが記憶部43に記憶される(s530)。
【0070】
なお、「特定楽曲として定められた時間長」は、あらかじめ定められた一定値として特定できるものであればよい。
【0071】
次に、特定楽曲および対象楽曲に基づき、特定楽曲と対象楽曲それぞれとの比較が行われる(s540)。具体的には、記憶部43に記憶された全ての認証情報に対応した楽曲データ群の1つを読み出し、音声処理部49によって対象楽曲として再生し、特定楽曲と対象楽曲の音程を順次比較する。比較処理は、音にした音程の比較でもよいし、音声処理部49にDSP機能があるならば、特定楽曲をデジタル・データ化し、楽曲データ群と例えばPCMデータ上で音程を比較してもよい。
【0072】
上記s540での比較の結果、対象楽曲の中に特定楽曲と一致(所定割合以上の近似を含む)対象楽曲が存在しているか否かがチェックされる(s550)。このs550にて一致する対象楽曲が存在していると判定された場合(s550:YES)、端末装置2のユーザが、この対象楽曲を示す楽曲データに対応する識別情報のユーザとして正しく認識できた旨の認証結果を表示する(s560)。認証できた結果の処理として、表示以外の処理(例えば、カラオケ予約曲再生、課金処理、又は、他の装置への動作指示出力)を実行してもよい。
【0073】
次に、認証情報の認証が行われると、認証できた対象楽曲の楽曲番号を管理装置6へ通知する(s570)。認証情報の認証に用いられたので、この対象楽曲は、端末装置2がs440で再生出力した認証情報に対応付けられた特定楽曲と一致している。
【0074】
次に、認証できた認証情報に対応付けられた楽曲データ群から、対象楽曲以外の楽曲データに対して、認証できた認証情報との対応付けを解消する(s590)。
【0075】
s570とs590の処理によって、認証装置4では、認証できた楽曲以外は認証情報との対応付けを解消することで、ユーザ次回以降のユーザによる認証では認証した対象楽曲以外の楽曲で認証することがなくなる。このため、認証した楽曲番号の通知を受けた管理装置6は、認証した楽曲データ以外の楽曲データ(認証に用いられなかった楽曲データ)を他のユーザの認証に再利用することができる。
【0076】
次に、上記s520にて中断された音声出力を再開し(s595)、プロセスがs510へと戻り、以降の処理が繰り返される。
【0077】
一方、一致する対象楽曲が存在していないと判定された場合(s550:NO)、ユーザを正しく認証できない旨の認証結果がカラオケ・モニタ(図示せず)などに表示させ(s580)、中断された音声出力が再開させた後(s595)に、s510へ戻る。
【0078】
(3−3)管理装置6のユーザ認証後処理
続いて、管理装置6の制御部63により実行されるユーザ認証後処理の処理手順を説明する。このユーザ認証後処理は、管理装置4から対象楽曲番号の通知を受ける毎に行われる。
【0079】
この認証後処理が開始されると、認証装置4からの対象楽曲番号の受信入力(s610)がチェックされる(s620)。認証装置4から対象楽曲番号が入力される(s620:YES)と、記憶部63のデータベースに記憶されたレコードから対象音楽番号が対応付けられている識別情報を抽出し、その識別情報に対応付けられている楽曲データ群のうち、対象音楽番号以外の楽曲データ群に対して、識別情報との対応付けを解消したレコードを再構成して記憶し直す(s630)。
【0080】
つまり、認証後の識別情報に対応付けられている楽曲データ群は、認証に用いられた楽曲データ(対象楽曲)のみとなるので、管理装置6は認証に用いられなかった楽曲データ群を他のユーザからの登録要求に対して再利用できる。
【0081】
(4)作用,効果
このような構成の認証システム1であれば、ユーザは複数の楽曲データから自分の嗜好の楽曲を選択して認証に用いることができるので、認証毎に不快と思わない楽曲で認証できる(s420〜s440)。
【0082】
また、認証した以外の楽曲データは、特定の1人のユーザにとって不快な楽曲であっても、他のユーザにとっては不快ではない、聴きたい楽曲かもしれない。つまり、ユーザが認証した以外の楽曲データは、他のユーザに対して、不快な楽曲とは特定できない。
【0083】
このため、ユーザ数が増えるにつれ、ユーザからの登録要求(識別情報)に対して、識別情報と対応付けされる曲データも増え続ければ、他のユーザの登録要求(識別情報)に対して十分な種類や数量の曲データを対応付けができなくなる可能性が高くなる(認証システムであるから、認証に用いる楽曲をユーザ間で共有することはない)。他のユーザの登録要求に対して、十分な種類や数量の曲データが対応付けられないならば、他のユーザの端末装置2に記憶する曲データに好みの楽曲が含まれない可能性が高くなる。その結果、他のユーザは好みでない曲を用いて認証しなければならなくなる可能性が高くなる。
【0084】
認証装置4と管理装置6は認証後に、認証に用いられなかった楽曲データ群と識別情報の対応付けを解消(s570、s630)する。これにより、管理装置4は、他のユーザの登録要求に他の楽曲データを再利用することができるため、ユーザの中で、他のユーザも不快と思わない楽曲で認証できる可能性が高くなる。
【0085】
次に管理装置6は、端末装置2の認証に用いられた楽曲(対象楽曲)の楽曲番号を端末装置42通知する(s640)。
【0086】
端末装置2は、受信した楽曲番号s450、s460と、記憶部23に記憶する楽曲データの各楽曲番号とを比較し、受信した楽曲番号が属するグループ番号を特定し、そのグループ番号に属する楽曲データのうち、受信した楽曲番号以外の楽曲データを記憶部23から削除、もしくは再生不可とする(s470)。
【0087】
s450、s460で受信した楽曲番号は、s570,s640から対象楽曲番号と一致しており、対象楽曲は、s440,s530から、端末装置2で選択して認証に用いた特定楽曲の楽曲番号に一致する。
【0088】
つまり、認証以降に端末装置2から再生可能な楽曲データは、認証に用いた特定楽曲のみとなる。よって、以降、ユーザは常に不快と思わない楽曲で認証を継続できる。
【0089】
端末装置2からの登録要求毎に記憶部23へ記憶する楽曲データをグループとし、登録要求に応じた認証で再生しなかった楽曲データ以外が再生不可になる。よって、登録要求が複数回になっても、記憶部23に登録要求毎に記憶し続けた楽曲データが、1回の認証によって認証に用いた楽曲データ以外の全て再生不可になることはないため、1回の登録要求に対する認証によって、他の登録要求に応じて記憶した、他の不快でない楽曲も再生不可になってしまうことはない。
【0090】
また、認証が1回のみであるならば、端末装置2はグループ番号を対応付けしなくてもよいし、管理装置6も作成番号を対応付けしなくてもよい。
【0091】
(6)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、端末装置2が本発明における楽曲再生装置であり、図5におけるs440が本発明における楽曲出力手段であり、図3におけるs160が本発明におけるパラメータ変更手段であり、同図s120が本発明における再生側送信手段であり、同図s130が本発明における再生側記憶手段である。
【0092】
また、図5におけるs530が本発明における楽曲入力手段であり、同図s540が本発明における楽曲認証手段であり、図3におけるs310が本発明における認証側記憶手段である。
【0093】
そして、図3におけるs210が本発明における楽曲選択手段であり、同図s230が本発明における管理側送信手段である。
【符号の説明】
【0094】
1…認証システム、2…端末装置、21…制御部、23…記憶部、23…制御部、25…ユーザインタフェース、27…通信部、29…音声処理部、31…マイク、33…スピーカ、4…認証装置、41…制御部、43…記憶部、43…制御部、47…通信部、49…音声処理部、51…マイク、53…スピーカ、6…管理装置、61…制御部、63…記憶部、63…制御部、67…通信部、100…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲を再生可能な楽曲再生装置と、該楽曲再生装置のユーザを認証する認証装置と、 楽曲データ群を記憶する管理装置と、からなる認証システムであって、
前記楽曲再生装置は、
ユーザの操作を受けて、前記ユーザの識別情報を前記管理装置へと送信する再生側通信手段と、
前記再生側送信手段により識別情報が送信された後、前記識別情報を受信した前記管理装置から送信されてくる複数の楽曲データを前記再生側記憶部に記憶させる再生側記憶手段と、
再生側記憶部に記憶された複数の楽曲データから特定の楽曲(特定楽曲)を選択して再生出力させる楽曲出力手段と、
を備え、
前記管理装置は、
前記楽曲再生装置から前記識別情報を受信する管理側通信手段と、
楽曲データ群を記憶する楽曲記憶手段と、
前記識別情報を受信したときに、前記楽曲記憶手段が記憶する楽曲データ群からを複数種類の楽曲データを選択して読み出す楽曲選択手段と、
前記識別情報と前記読み出した複数種類の楽曲データとを対応付け、管理側記憶部に記憶するとともに、前記認証装置へと送信する管理側送信手段と、
を備え、
前記認証装置は、
前記管理装置から前記識別情報および前記複数種類の楽曲データを受信した場合に、認証側記憶部に記憶させる認証側記憶手段と、
外部から楽曲を入力する楽曲入力手段と、
前記楽曲入力手段へ楽曲が入力された場合に、
前記認証側記憶手段に記憶する楽曲データ群(対象楽曲)を順次読み出して、前記入力された楽曲と比較し、前記入力された楽曲と一致する楽曲の楽曲データに対応付けられた識別情報を特定する楽曲認証手段とを備え、
前記楽曲認証手段は、前記楽曲入力手段により入力された楽曲における特定楽曲を、前記認証側記憶部に記憶された複数の楽曲データと比較して、前記入力された楽曲における特定楽曲が、前記複数の楽曲データの楽曲に含まれていた場合には、対象楽曲に対応づけられた識別情情報のユーザが、前記特定楽曲を再生出力した前記楽曲再生装置のユーザであるとして認証が行われる
ことを特徴とする認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の認証システムにおいて、
前記楽曲認証手段は、
前記認証が行われたときに、
前記認証が行われた識別情報が対応付けられた複数の楽曲データのうち、特定楽曲が含まれた楽曲データ以外の楽曲データを、前記認証側記憶手段から削除する
ことを特徴とする請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の認証システムにおいて、
前記楽曲認証手段は、
前記認証が行われたときに、
特定楽曲が含まれた楽曲データを識別する情報を前記管理装置に送信し、
前記管理側送信手段は、
前記特定楽曲が含まれた楽曲データを識別する情報を受信した場合に
前記管理側記憶部に記憶する楽曲データ群から、
前記特定楽曲が含まれた識別する情報から、前記特定楽曲が含まれた楽曲データと、
前記特定楽曲が含まれた楽曲データが対応付けられた識別情報と、
前記識別情報に対応付けられた複数の楽曲データと、
を抽出し、
前記識別情報と対応付けられた複数の楽曲データの中から、前記特定楽曲が含まれた楽曲データ以外の楽曲データに対し、
前記識別情報と対応付けを解消する
ことを特徴とする請求項2に記載の認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80411(P2013−80411A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220722(P2011−220722)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.着メロ
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】