説明

認証システム

【課題】1つの質問器の制御下にある認証エリアの拡大を図ることで、認証エリアを拡張可能な認証システムを提供する。
【解決手段】質問器100Aは、質問信号とコマンドとを生成し、質問信号を送信すると共にケーブル1Aを介してコマンドを質問信号送信器200Aに送信する。質問器100Aから送信された質問信号を受信した応答器300Bは自器の識別情報を含ませた応答信号を生成し送信する。質問信号送信器200Aはケーブル1Aを介して受信したコマンドに基づいて質問信号を生成し送信し、この質問信号を受信した応答器300Aは自器の識別情報を含ませた応答信号を生成し送信し、質問器100Aは、各応答器から送信された各応答信号を受信した際に、その応答信号に含まれている応答器の識別情報を、入室者の認証を行うゲートユニット400に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質問信号を受信すると応答信号を送信する応答器(アクティブタグ)からの応答信号を利用した認証システムに関し、特に、質問信号を受信可能なエリアを拡張するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
質問器と応答器(アクティブタグ)とを利用した認証システム、例えば、入退室管理システムが知られている。この入退室管理システムでは、以下のようにして入退室者の管理を行う。
質問器は、入退室を行うためのゲート等の付近に設置されており、LF帯(30〜300kHz)にて質問信号を定期的に送信する。質問信号をLF帯で送信するのは、応答器が質問信号を受信可能なエリア(以下、「認証エリア」という)を局所的に絞るためである。
【0003】
応答器は、入退室を行うユーザが所持する、電池を内蔵したアクティブタグであり、応答器を所持したユーザが上述の認証エリアに入ると、この応答器は、質問信号を受信して自器の識別情報(以下、「応答器ID」という)を含ませた応答信号を送信する。質問器は、この応答信号を受信すると、応答信号に含まれる応答器IDを、入退室の認証を行う入退室管理装置(入退室が許可されたユーザが所持する応答器の応答器IDを記憶している)に送信することで、入退室管理システムは、入退室者の管理を行うことができる。
【0004】
このように従来の入退室管理システムにおける質問器は、LF帯にて質問信号を送信するので、その質問信号を受信可能な認証エリアは限られた範囲となり、例えばビルの入口などのように、単位時間当たりの人の出入りが比較的多い場所では、認証待ちの渋滞が発生する恐れがあるため、ある程度は認証エリアを拡大したいという要望がある。
例えば、特許文献1では、ビルの入口などに複数の質問器を設置し、各質問器が質問信号を送信することで、個々の認証エリアを形成し、全体として質問信号を受信可能な認証エリアを拡大している。
【特許文献1】特開2008−182571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、複数の質問器を設置し、質問器毎に、その質問器の制御下の認証エリアを形成することで、システム全体として認証エリアを拡大しているだけであり、個々の質問器の管理下の認証エリアを拡大することはできていない。また、複数の質問器を設置するため、システムの管理負担やコスト面において必ずしも適切な方法とはいえない。
【0006】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、1つの質問器の制御下にある認証エリアの拡大を図ることで、認証エリアを拡張可能な認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る認証システムは、LF帯にて質問信号を送信し応答信号を受信する1以上の質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号をLF帯よりも高い周波数帯にて送信する応答器とを含み、前記質問器が受信した応答信号に含まれる応答器の識別情報に基づく認証を行う認証システムであって、前記認証システムは、更に前記質問器と離れた場所に設置され、質問信号を送信する質問信号送信器を含み、前記質問器は、前記質問信号送信器に対し、質問信号の送信を指示するコマンド信号を送信するコマンド送信手段と、自器又は前記質問信号送信器が送信した質問信号を受信した応答器から送信された応答信号を受信する応答受信手段とを備え、前記質問信号送信器は、コマンド信号を受信するコマンド受信手段と、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に基づいて、質問信号を生成しLF帯にて送信する質問送信手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために本発明に係る認証システムにおいて用いられる質問信号送信器は、LF帯にて質問信号を送信し応答信号を受信する質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号をLF帯よりも高い周波数帯にて送信する応答器とを含み、前記質問器が受信した応答信号に含まれる応答器の識別情報に基づく認証を行う認証システムにおいて用いられ、前記質問器と離れた場所に設置される質問信号送信器であって、前記質問器から送信された、質問信号の送信を指示するコマンド信号を受信するコマンド受信手段と、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に基づいて、質問信号を生成しLF帯にて送信する質問送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述の構成を備える本発明に係る認証システムにおける質問信号送信器は、質問器から離れた場所に設置され、質問器から送信されたコマンド信号を受信すると質問信号を送信するので、質問器の制御下にある認証エリア(質問信号を受信可能なエリア)を拡大することができ、質問器から送信した質問信号を直接受信できない場所にある応答器に、質問信号送信器から送信された質問信号を受信させることが可能である。
【0010】
また、前記コマンド送信手段は、質問信号の送信電力の大きさを区分した複数のレベルのうちの1つのレベルを指定するレベル情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれるレベル情報により指定されたレベルで質問信号を出力することとしてもよい。
これにより、質問信号送信器は、質問器から受信したコマンド信号に含まれるレベル情報により指定されたレベルに対応する送信電力で質問信号を送信するので、質問器は、質問信号送信器が形成する認証エリアの範囲(大きさ)を制御することが可能になる。
【0011】
また、前記コマンド送信手段は、応答信号の送信にユーザの操作を必要とするか否かを指定するモード情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれるモード情報を前記質問信号に含ませて送信し、前記応答器は、電池と、ユーザの操作を受け付ける受付手段と、質問信号を受信した場合において、当該質問信号にユーザの操作を必要としない旨を指定するモード情報が含まれているときには、前記電池からの電力供給を受けて前記応答信号をUHF帯にて送信し、当該質問信号にユーザの操作を必要とする旨を指定するモード情報が含まれているときには、当該受信後に、前記受付手段がユーザの操作を受け付けたときに、前記電池からの電力供給を受けて前記応答信号をUHF帯にて送信する応答送信手段とを備えることとしてもよい。
【0012】
これにより、質問信号送信器は、質問器から受信したコマンド信号に含まれるモード情報を質問信号に含ませて送信し、この質問信号を受信した応答器は、モード情報に応じユーザ操作を受け付けて応答信号を送信するので、質問器は、自器が送信した質問信号を直接受信できず、質問信号送信器が送信した質問信号を受信可能な応答器に対しても、ユーザ操作を受け付けて応答信号を送信するか否かを指定することが可能になる。
【0013】
また、前記コマンド送信手段は、UHF帯に含まれる複数の周波数帯のうちの1つの周波数帯を指定するチャネル情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれるチャネル情報を前記質問信号に含ませて送信し、前記応答送信手段は、受信した質問信号に含まれるチャネル情報により指定された周波数帯で前記応答信号を送信することとしてもよい。
【0014】
これにより、質問信号送信器は、質問器から受信したコマンド信号に含まれるチャネル情報を質問信号に含ませて送信し、この質問信号を受信した応答器は、チャネル情報により指定された周波数帯で応答信号を送信するので、質問器は、自器が送信した質問信号を直接受信できず、質問信号送信器が送信した質問信号を受信可能な応答器に対しても、応答信号を送信する際の周波数帯を指定することが可能になる。従って、質問器が適切な周波数帯をチャネル情報として指定することにより、無線信号の送受信を行う他システムとの干渉を防止することができる。
【0015】
また、前記コマンド送信手段は、応答信号の送信間隔を指定する時間情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれる時間情報を前記質問信号に含ませて逐次繰り返し送信し、前記応答送信手段は、質問信号を受信した際に、前回応答信号を送信してから当該質問信号に含まれる時間情報により指定された送信間隔を経過しているか否かを判定し、当該送信間隔を経過していると判定した場合にのみ前記応答信号の送信を行うこととしてもよい。
【0016】
これにより、質問信号送信器は、質問器から受信したコマンド信号に含まれる時間情報を質問信号に含ませて送信し、この質問信号を受信した応答器は、前回応答信号を送信してから、質問信号に含まれる時間情報により指定された送信間隔(時間)を経過している場合にのみ応答信号を送信するので、質問器は、自器が送信した質問信号を直接受信できず、質問信号送信器が送信した質問信号を受信可能な応答器に対しても、応答信号の送信間隔を指定することが可能になる。従って、質問信号送信器が質問信号を送信する間隔より長い送信間隔を、質問器が時間情報として指定することにより、応答器は、質問信号を受信しても応答信号を送信しない場合があるので、応答器の内蔵電池の消耗を軽減することができる。
【0017】
また、前記質問器は、前記質問信号送信器の前記質問送信手段による質問信号の送信と時間帯が重ならないように前記質問信号を送信する第2質問送信手段を備えることとしてもよい。
これにより、質問器による質問信号の送信タイミングと、質問信号送信器により質問信号の送信タイミングとをずらすことができるので、質問器が形成する認証エリアと質問信号送信器が形成する認証エリアとの間に重複するエリアがある場合でも、質問信号同士の干渉を防ぐことができる。
【0018】
また、この場合に、質問器が送信した質問信号を受信した応答器(以下、「応答器A」という)による応答信号の送信タイミングと、質問信号送信器が送信した質問信号を受信した応答器(以下、「応答器B」という)による応答信号の送信タイミングとをずらすことができるので、応答器Aから送信された応答信号と、応答器Bから送信された応答信号との干渉を防止できる。
【0019】
また、前記コマンド送信手段は、前記第2質問送信手段による質問信号の送信が完了すると、コマンド信号を送信し、前記質問送信手段は、更に質問信号の送信が完了すると、その旨を示す完了信号を前記質問器に送信し、前記第2質問送信手段は、前記質問信号送信器から完了信号を受信すると、次の質問信号の送信を行うこととしてもよい。
これにより、質問器は、質問信号送信器から完了信号を受信すると質問信号を送信し、質問信号の送信が完了すると、コマンド信号を質問信号送信器に送信し、質問信号送信器は、コマンド信号を受信すると質問信号を送信し、質問信号の送信が完了すると、完了信号を質問器に送信するので、質問器による質問信号の送信タイミングと、質問信号送信器により質問信号の送信タイミングとをずらすことができ、これにより、上述の質問信号同士及び応答信号同士の干渉防止を実現できる。
【0020】
また、前記質問器と前記質問信号送信器とはケーブルで接続されており、当該ケーブルを介して前記コマンド信号の送受を行うこととしてもよい。
これにより、質問器と質問信号送信器とは、ケーブル(有線)で接続されているので、無線によりコマンド信号を送信する場合と比較し、より安価に認証システムを実現できると共に、コマンド信号と、質問信号や応答信号との干渉の問題を考慮せずに実現できる。
【0021】
また、前記認証システムは、応答器の識別情報に基づいて認証を行うゲートユニットを含み、前記質問器は複数あり、各質問器の前記コマンド送信手段は、自器を識別するための識別情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれる質問器の識別情報を前記質問信号に含ませて送信し、前記応答器は、受信した質問信号に含まれる質問器の識別情報及び自器の識別情報を前記応答信号に含ませて送信する応答送信手段を備え、各質問器は、更に前記応答受信手段が受信した応答信号に自器の識別情報が含まれている場合にのみ、当該応答信号に含まれる応答器の識別情報を前記ゲートユニットに送信する識別情報送信手段を備えることとしてもよい。
【0022】
これにより、質問器は、受信した応答信号に自器の識別情報が含まれる場合にのみ、応答信号に含まれる応答器の識別情報をゲートユニットに送信するので、複数の質問器が隣接して設置されている場合にも、受信した全ての応答信号を処理する場合と比較し、各質問器の処理負荷を軽減できる。また、例えば、入退室を行うための複数のゲートそれぞれに対応して各質問器が設置されているような場合に、近傍の質問器により応答信号が受信され、意図しないゲート等の開錠が行われるような不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る認証システムの一実施形態として、入室の管理を行う入室管理システムを例に、図面を参照しながら説明する。
≪実施の形態≫
<概要>
実施の形態に係る入室管理システムは、入室を行うためのゲート等の付近に設置され質問信号をLF帯にて送信し応答信号を受信する複数の質問器と、いわゆるアクティブタグであって所持するユーザが各質問器により送信される質問信号を受信可能な各認証エリアに入るとこの質問信号を受信し自器の識別情報である応答器IDを含ませた応答信号をUHF帯(300MHz〜3GHz)にて送信する複数の応答器と、質問器が受信した応答信号に含まれる応答器IDを用いて入室者の認証を行うためのゲートユニット及び管理サーバとを含む従来の入室管理システムを改良したものである。
【0024】
具体的には、この入室管理システムは、更に、複数の質問信号送信器を含み、各質問信号送信器は、いずれかの質問器と接続されており、その質問器から送信された、質問信号の送信を指示するコマンドを受信すると、そのコマンドに基づいて質問信号を生成し送信する。なお、このコマンドの内容は後に詳細に説明するが、コマンドには、そのコマンドを受信した質問信号送信器により行われる質問信号の送信を制御するための制御情報(質問信号を送信する際の送信電力のレベル)や、質問信号送信器から送信された質問信号を受信した応答器により行われる応答信号の送信を制御するための制御情報(応答信号を送信する際の周波数帯や送信間隔等)が含まれる。
【0025】
質問器は、LF帯にて質問信号を送信するため、この質問信号を受信可能な各認証エリアは比較的狭い範囲に限られるが、この入室管理システムでは、上述の各質問信号送信器を、各質問器とは離れた場所に設置することで、質問器の制御下にある、質問信号を受信可能な認証エリアを拡大することができ、また、各質問信号送信器は、応答信号を受信する機能を有しないので、応答信号を受信する機能を有する質問器を複数設置することで認証エリアを拡大する場合と比較し、コストを抑えつつ認証エリアの拡大を図ることができる。
【0026】
<構成>
まず、実施の形態に係る入室管理システム1000の構成について説明する。
<入室管理システム>
図1は、入室管理システム1000のシステム構成図である。
同図に示すとおり、入室管理システム1000は、質問器100A及び100Bと、質問信号送信器200A及び200Bと、応答器300A及び300Bと、ゲートユニット400と、管理サーバ500とから構成されている。
【0027】
質問器100A及び質問信号送信器200Aは、ケーブル1Aにより接続され、質問器100B及び質問信号送信器200Bは、ケーブル1Bにより接続され、質問器100Aとゲートユニット400、質問器100Bとゲートユニット400は、それぞれケーブル2A、2Bにより接続されており、各ケーブルは、RS−485規格に準拠したものである。
【0028】
ここで、質問器100A及び100Bは、それぞれ入室を行うためのゲート等の付近に設置され、自器の質問器IDを含む質問信号20(図5(b)参照)をLF帯にて送信する機能と、ケーブル(1A又は1B)を介して接続している質問信号送信器(200A又は200B)に対し質問信号20の送信を指示するコマンド10(自器の質問器IDを含む)(図5(a)参照)を送信する機能と、各応答器から受信した応答信号30(図5(c)参照)に自器の質問器IDが含まれる場合に、ケーブル(2A又は2B)を介してゲートユニット400に対しその応答信号30を含まれる応答器ID及び自器の質問器IDを送信する機能を有する。
【0029】
なお、質問信号20はLF帯にて送信されるため、質問信号20を受信可能な各認証エリアの範囲は比較的狭い範囲に限られ、本実施の形態では、障害物がない状態で各質問器から1.5m程度の範囲であるものとする。
質問信号送信器200A及び200Bは、それぞれケーブル(1A又は1B)を介して接続している質問器(100A又は100B)からコマンド10を受信し、受信したコマンド10の内容に応じて質問信号20(受信したコマンド10に含まれる質問器IDを含む)を生成しLF帯にて送信する機能を有する。
【0030】
なお、この質問信号20を受信可能な各認証エリアは、比較的狭い範囲(3〜4m程度)に限られ、本実施の形態では、障害物がない状態で各質問信号送信器から3m程度を最大範囲(後述するようにこれより狭い範囲とすることが可能)とするものとする。
応答器300A及び300Bは、それぞれいわゆるアクティブタグであってユーザにより所持され、各質問器又は各質問信号送信器が送信する質問信号20を受信可能な各認証エリアに入ると質問信号20を受信し、受信した質問信号20の内容に応じて応答信号30(受信した質問信号20に含まれる質問器ID、及び自器の応答器IDを含む)を生成しUHF帯にて送信する機能を有する。
【0031】
なお、応答信号30は、UHF帯にて送信されるため、この応答信号30を受信可能なエリアは比較的広い範囲となり、本実施の形態では、障害物がない状態で各応答器から20m程度の範囲であるものとする。
ゲートユニット400は、管理サーバ500から予め受信し記憶している入室許可者のリストと、ケーブル(2A又は2B)を介して質問器(100A又は100B)から受信した応答器ID及び質問器IDとに基づいて入室者の認証を行う機能を有し、認証結果に応じて、受信した質問器IDが示す質問器と対応するゲート等に設置された電子錠にそのゲート等の開錠を行わせると共に、認証結果を含む認証ログを管理サーバ500に送信する。
【0032】
管理サーバ500は、入室管理システム1000の管理者等により予め登録され必要に応じて更新された入室許可者のリスト(入室を行うゲート等毎に、そのゲート等に対応する質問器の質問器IDとそのゲート等からの入室を許可されたユーザが所持する応答器の応答器IDとを対応付けたデータ)、及びゲートユニット400から受信した認証ログを記憶する機能を有する。なお、管理サーバ500は、入室許可者のリストが入室管理システム1000の管理者等により更新される毎に、更新されたデータをゲートユニット400に送信する。これにより、管理サーバ500上の入室許可者のリストと、ゲートユニット400上の入室許可者のリストとの整合が図られる。
【0033】
なお、本実施の形態では、質問器、質問信号送信器、応答器のそれぞれの台数を2台として説明しているが、これは、入室管理システム1000の一部を示したものに過ぎず、それぞれの台数はこれに限られるものではない。
特に、質問器及び質問信号送信器の台数については、入室管理システム1000の管理者等が設計した認証エリアを実現するように決定することができ、その際、相互に接続している質問器の設置箇所及び質問信号送信器の設置箇所は、その質問信号送信器から送信された質問信号20を受信した応答器によりUHF帯にて送信される応答信号30を質問器が受信できるように決定される。
【0034】
以下、入室管理システム1000において特に重要な各質問器、各質問信号送信器、及び各応答器の構成について更に詳しく説明するが、質問器100Aと100Bとの構成と、質問信号送信器200Aと200Bとの構成と、応答器300Aと300Bとの構成とはそれぞれ同様であるため、以下では、質問器100A、質問信号送信器200A、応答器300Aを例に説明する。
【0035】
<質問器>
まず、質問器100Aの構成について説明する。
図2は、質問器100Aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
質問器100Aは、メモリ及びプロセッサを含み、機能面において、同図に示すとおり、操作部101、RS−485インタフェース102及び103、質問信号送信部104、応答信号受信部105、制御部106を備える。
【0036】
ここで、操作部101は、いわゆるディップスイッチ等のスイッチ群を含むものであり、入室管理システム1000の管理者等が操作したスイッチに対応する信号を制御部106に伝達する機能を有し、特に、質問器100Aが送信する質問信号20や質問信号送信器200Aに送信するコマンド10に含ませるデータを入室管理システム1000の管理者等が設定する際に使用される。
【0037】
RS−485インタフェース102は、制御部106から伝達されたコマンド10を、RS−485規格に準拠して質問信号送信器200Aにケーブル1Aを通じて伝送する機能を有する。
RS−485インタフェース103は、制御部106から伝達された応答器ID及び質問器IDを、RS−485規格に準拠してゲートユニット400にケーブル2Aを通じて伝送する機能を有する。
【0038】
質問信号送信部104は、LFアンテナの他、フィルタやアンプ等(不図示)を含み、制御部106の指示に従って伝達された質問信号20をLF帯の無線信号として送信する機能を有する。
応答信号受信部105は、RFアンテナの他、フィルタやアンプ等(不図示)を含み、自器又は質問信号送信器200Aが送信した質問信号20を受信した各応答器により送信された応答信号30を受信し制御部106へ伝達する機能を有する。
【0039】
制御部106は、機器全体を制御する機能の他、操作部101から伝達された信号に応じた質問信号20及びコマンド10を生成し、生成した質問信号20を質問信号送信部104に送信させ、RS−485インタフェース102を介して生成したコマンド10を質問信号送信器200Aに送信する機能を有する。なお、質問信号20及びコマンド10の内容については後述するが、それぞれ上述のメモリに記憶されている自器の質問器IDを含むものである。
【0040】
また、制御部106は、応答信号受信部105を介して受信した応答信号30に自器の質問器IDが含まれているか否かに応じて、その応答信号30に含まれる応答器ID及び質問器IDを、RS−485インタフェース102を介してゲートユニット400に送信する機能を有する。なお、制御部106の各機能は、上述のメモリに記憶されている制御プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
【0041】
<質問信号送信器>
次に、質問信号送信器200Aの構成について説明する。
図3は、質問信号送信器200Aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
質問信号送信器200Aは、メモリ及びプロセッサを含み、機能面において、同図に示すとおり、RS−485インタフェース201、質問信号送信部202、制御部203を備える。
【0042】
RS−485インタフェース201は、RS−485規格に準拠して質問器100Aからケーブル1Aを通じて伝送されてきたコマンド10を、制御部203に伝達する機能を有する。
質問信号送信部202は、質問器100Aの質問信号送信部104と同様のものであり、LFアンテナ(本実施の形態では、質問信号送信部104のアンテナよりもアンテナサイズが大きいものとする)の他、フィルタやアンプ等(不図示)を含み、制御部203の指示に従って伝達された質問信号20をLF帯の無線信号として送信する機能を有する。
【0043】
制御部203は、機器全体を制御する機能の他、RS−485インタフェース201を介して質問器100Aから受信したコマンド10に基づいて質問信号20を生成し、生成した質問信号20を、受信したコマンド10の内容(送信回数や送信間隔等)に応じて質問信号送信部202に送信させる機能を有する。なお、制御部203の各機能は、上述のメモリに記憶されている制御プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
【0044】
<応答器>
次に、応答器300Aの構成について説明する。
図4は、応答器300Aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
応答器300Aは、メモリ及びプロセッサを含み、機能面において、同図に示すとおり、内蔵電池301、操作部302、計時部303、質問信号受信部304、応答信号送信部305、制御部306を備える。
【0045】
内蔵電池301は、応答器300Aの各部に対し電力を供給する機能を有する。
操作部302は、ボタンを含むものであり、このボタンがユーザにより押下された場合に、その旨の信号を制御部306に伝達する機能を有する。
計時部303は、タイマやカウンタにより実現され、制御部306の指示に応じて、質問信号20を受信したときからの経過時間(以下、「受信後経過時間」という)及び応答信号30を送信したときからの経過時間(以下、「送信後経過時間」という)を計時する機能を有する。なお、計時部303は、制御部306から受信後経過時間の計時開始の指示又は送信後経過時間の計時開始の指示を受けると、その指示に対応する経過時間(受信後経過時間又は送信後経過時間)をリセットした上で計時を開始する。
【0046】
質問信号受信部304は、LFアンテナ及びフィルタ、アンプ等(不図示)を含み、各応答器又は各質問信号送信器から受信した質問信号20を制御部306に伝達する機能を有する。
応答信号送信部305は、RFアンテナ及びフィルタ、アンプ等(不図示)を含み、内蔵電池301から供給される電力に基づいて、制御部306から伝達された応答信号30を指示された周波数帯(UHF帯の複数の周波数帯の1つ)の無線信号として送信する機能を有する。
【0047】
制御部306は、機器全体を制御する機能の他、内蔵電池301から供給される電力に基づいて、質問信号受信部304を介して受信した質問信号20に含まれている応答器ID、及び上述のメモリに記憶されている自器の応答器IDとを含ませた応答信号30を生成し、受信した質問信号20の内容(応答信号30を送信する際の周波数帯等)に応じてこの応答信号30を応答信号送信部305に送信させる機能を有する。
【0048】
なお、詳細は後述するが、受信する質問信号20には、特に、応答信号30を自動で送信するか手動で送信するかを示す情報(後述する認証モード)や、応答信号30の送信間隔を示す情報(後述する休止時間)が含まれている。制御部306は、受信した質問信号20に含まれる認証モードが自動で送信することを示す場合には、送信後経過時間が休止時間を過ぎていた場合にのみ応答信号30を送信させ、一方、認証モードが手動で送信することを示す場合には、計時部303に受信後経過時間の計時を開始させ、操作部302からボタンが押下された旨の信号が伝達された際の受信後経過時間が所定時間内であり、かつその際の送信後経過時間が休止時間を過ぎていた場合にのみ応答信号30を送信させる。また、いずれの認証モードの場合でも、応答信号30を送信させた後に、計時部303に送信後経過時間の計時を開始させる。
【0049】
なお、制御部306の各機能は、上述のメモリに記憶されている制御プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
<データ>
以下、入室管理システム1000において、使用されるデータについて説明する。
<コマンド>
まず、質問器100Aが生成するコマンド10について説明する。
【0050】
図5(a)は、コマンド10のデータ構成を示す図である。
コマンド10は、質問器100Aが質問信号送信器200Aに対し、質問信号20の送信を指示するためのデータであり、質問信号送信器200Aが質問信号20を送信する際の制御情報と、質問信号送信器200Aから送信された質問信号20を受信した応答器300Aが応答信号30を送信する際の制御情報とを含むものである。コマンド10は、質問器100Aの操作部101(スイッチ群)を介して入室管理システム1000の管理者等が行った設定に基づいて生成される。
【0051】
コマンド10は、同図に示すように、スタートバイト11、LF送信制御12、休止時間13、RFチャネル14、認証モード15、LF送信出力16、質問器ID17、CRC(Cyclic Redundancy Check)18から構成される。
ここで、スタートバイト11は、コマンド10のデータの始まりを示すデータであり、LF送信制御12は、質問信号20の送信を指示するための制御コードであり、質問信号送信器200Aに送信させる質問信号20の送信回数及び送信間隔を指定するためのデータを含むものである。
【0052】
休止時間13は、応答器300Aに送信させる応答信号30の送信間隔(時間)を指定するためのデータであり、これにより、コマンド10に基づき質問信号送信器200Aが生成した質問信号20を応答器300Aが受信した場合に、前回応答信号30を送信したときからの経過時間(送信後経過時間)がこの休止時間13が示す時間を過ぎているときにのみ、応答信号30を送信させることができる。
【0053】
RFチャネル14は、質問信号送信器200Aにより送信された質問信号20を受信した応答器300Aに応答信号30を送信させる際のチャネル(周波数帯)を指定するためのデータであり、UHF帯に含まれる複数の周波数帯のうちのいずれか1つの周波数帯を指定するものである。
認証モード15は、質問信号送信器200Aから送信された質問信号20を受信した応答器300Aに対し、応答信号30を自動と手動とのどちらで送信させるかを指定するためのデータである。手動とは、質問信号20の受信後所定時間以内に、ユーザによりボタン(操作部302)の押下がなされた場合にのみ応答信号30を送信することをいい、自動とは、ボタンの押下によらず、質問信号20を受信すると応答信号30を送信することをいう。
【0054】
LF送信出力16は、質問信号送信器200Aに質問信号20を送信させる際の送信電力のレベルを指定するためのデータであり、例えば、送信電力の大きさを区分した3つのレベル(大、中、小)のうちのいずれかのレベルを示すデータである。
具体的には、例えば、「大」レベルは、認証エリアが質問信号送信器200Aから3m程度、「中」レベルは、認証エリアが質問信号送信器200Aから2.5m程度、「小」レベルは、認証エリアが質問信号送信器200Aから1.5m程度となるような送信電力の大きさを示すものと定義することができる。
【0055】
質問器ID17は、コマンド10の送信元である質問器100Aの識別情報であり、CRC18は、質問器100Aから送信されたコマンド10を受信した質問信号送信器200Aがコマンド10に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
<質問信号>
次に、質問器100A及び質問信号送信器200Aがそれぞれ生成する質問信号20について説明する。
【0056】
図5(b)は、質問信号20のデータ構成を示す図である。
質問信号20は、同図に示すように、PR(preamble)21、UW(Unique Word)22、休止時間13、RFチャネル14、認証モード15、質問器ID17、CRC23から構成される。
ここで、PR21は、質問信号20のデータの始まりを示すビット列(同期符号)であり、UW22は、いわゆるフレーム同期信号であり、CRC23は、質問信号20を受信した各応答器が質問信号20に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
【0057】
休止時間13、RFチャネル14、認証モード15、質問器ID17は、同図(a)で説明したデータと同じデータであるため、詳細な説明は省略するが、質問信号送信器200Aは、質問器100Aから受信したコマンド10に含まれている休止時間13、RFチャネル14、認証モード15、質問器ID17を用いて、質問信号20を生成する。また、質問器100Aは、コマンド10を生成する際に用いた、休止時間13、RFチャネル14、認証モード15、質問器ID17を用いて、質問信号20を生成する。
【0058】
<応答信号>
次に、応答器300Aが生成する応答信号30について説明する。
図5(c)は、応答信号30のデータ構成を示す図である。
応答信号30は、同図に示すように、PR31、UW32、質問器ID17、応答器ID33、CRC34から構成される。
【0059】
ここで、PR31は、応答信号30のデータの始まりを示すビット列(同期符号)であり、UW32は、いわゆるフレーム同期信号である。
また、質問器ID17は、応答器300Aが受信した質問信号20に含まれている質問器100Aの質問器ID(識別情報)であり、応答器ID33は、自器の識別情報である。また、CRC34は、応答器300Aから送信された応答信号30を受信した質問器100Aが応答信号30に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
【0060】
応答器300による応答信号30の生成は、前回応答信号30を送信してからの経過時間が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13によって指定された時間間隔を経過している場合に行われるが、この判断を行なうタイミングは、応答器300Aが受信した質問信号20に含まれる認証モード15が「自動」を示すか、「手動」を示すかにより異なる。この点については、後にフローチャート(図8参照)を用いて詳しく説明する。
【0061】
<動作>
次に、上記構成を備え、上記データを取り扱う入室管理システム1000の動作を説明する。
<質問器>
まず、質問器100Aの動作について説明する。
【0062】
図6は、質問器100Aのコマンド10及び質問信号20の送信処理と応答信号30の受信処理とを示すフローチャートである。
質問器100Aの制御部106は、操作部101(スイッチ群)を介して管理者等により設定された内容に基づいて質問信号20及びコマンド10を生成する(ステップS1、2)。
【0063】
制御部106は、ステップS2で生成したコマンド10を、RS−485インタフェース102を介して、質問信号送信器200Aに送信する(ステップS3)。
制御部106は、ステップS1で生成した質問信号20を、例えば一定周期(例えば、LF送信制御12で指定する送信間隔と同じ間隔)で、質問信号送信部104に送信させる(ステップS4)。
【0064】
制御部106は、応答信号受信部105を介して応答信号30を受信したか否かを、例えば一定周期(例えば、LF送信制御12で指定する送信間隔と同じ間隔)で判定し(ステップS5)、応答信号30を受信した場合には(ステップS5:YES)、受信した応答信号30に自器の質問器IDが含まれるか否かを判定し(ステップS6)、自器の質問器IDが含まれている場合には(ステップS6:YES)、受信した応答信号30に含まれている自器の質問器ID及び応答器IDを、RS−485インタフェース103を介してゲートユニット400に送信する(ステップS7)。なお、ゲートユニット400は、この質問器ID及び応答器IDを用いて、入室者の認証を行う。
【0065】
ステップS7の処理を完了した場合、ステップS5において応答信号30を受信しなかった場合(ステップS5:NO)、又はステップS6において自器の質問器IDが含まれていなかった場合(ステップS6:NO)には、制御部106は、質問信号送信器200Aに対しコマンド10を送信する必要があるか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、例えば、ステップS4で質問信号20を送信した回数を計数しておき、この送信回数が、LF送信制御12で指定する送信回数と一致するかを判定し、一致する場合にはコマンド10を送信する必要があると判定し、一致しない場合にはコマンド10を送信する必要がないと判定する。この例では、質問信号20を、LF送信制御12で指定する送信間隔と同じ間隔で送信しているため、ステップS4で質問信号20を送信した回数がLF送信制御12で指定する送信回数と一致した場合には、質問信号送信器200Aにおいても、LF送信制御12で指定した回数分の質問信号20の送信が完了するため、再度コマンド10を送信する必要があるためである。
【0066】
また、ステップS8における別の例として、例えば、毎日既定の時刻にコマンド10を送信する運用を行っている場合などに、その既定の時刻であるかを判定し、既定の時刻である場合にはコマンド10を送信する必要があると判定し、既定の時刻でない場合にはコマンド10を送信する必要がないと判定するようにしてもよい。
ステップS8において、コマンド10を送信する必要があると判定した場合には(ステップS8:YES)、ステップS2から再度処理を行い、コマンド10を送信する必要がないと判定した場合には(ステップS8:NO)、ステップS4から再度処理を行う。
【0067】
<質問信号送信器>
次に、質問信号送信器200Aの動作について説明する。
図7は、質問信号送信器200Aの質問信号20の送信処理を示すフローチャートである。
質問信号送信器200Aの制御部203は、RS−485インタフェース201を介して質問器100Aからコマンド10を受信したか否かを、例えば一定周期で判定し(ステップS11)、コマンド10を受信していない場合には(ステップS11:NO)、再度ステップS11の処理を行い、コマンド10を受信した場合には(ステップS11:YES)、受信したコマンド10に含まれる休止時間13、RFチャネル14、認証モード15、質問器ID17を含む質問信号20を生成する(ステップS12)。
【0068】
制御部203は、コマンド10のLF送信制御12で指定された送信回数分質問信号20を送信したか否かを判定し(ステップS13)、指定された送信回数分質問信号20を送信していない場合には(ステップS13:NO)、ステップS12で生成した質問信号20を、受信したコマンド10のLF送信出力16で指定されたレベルに対応する送信電力により、受信したコマンド10のLF送信制御12で指定された送信間隔で質問信号送信部202に送信させ(ステップS14)、再度ステップS13の処理を行う。
【0069】
ステップS13において、コマンド10のLF送信制御12で指定された送信回数分質問信号20を送信した場合には(ステップS13:YES)、ステップS11から再度処理を行う。
<応答器>
次に、応答器300Aの動作について説明する。
【0070】
図8は、応答器300Aが質問信号20を受信した際の処理を示すフローチャートである。
応答器300Aの質問信号受信部304は、質問器100A又は質問信号送信器200Aから送信された質問信号20を受信すると、受信した質問信号20を制御部306に伝達し、制御部306は、伝達された質問信号20に含まれる認証モード15が手動を示すか否かを判定する(ステップS21)。
【0071】
認証モード15が手動を示す場合には(ステップS21:YES)、制御部306は、計時部303に受信後経過時間の計時を開始させ(ステップS22)、質問信号20を受信後、所定時間(例えば300ms)以内に、操作部302からボタンが押下された旨の信号が伝達されたか否かを判定する(ステップS23)。
所定時間以内に操作部302からボタンが押下された旨の信号が伝達されない場合には(ステップS23:NO)、処理を終了し、所定時間以内に操作部302からボタンが押下された旨の信号が伝達された場合には(ステップS23:YES)、制御部306は、送信後経過時間が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13以上か否か、つまり、前記応答信号30を送信してからの経過時間が休止時間13以上かを判定する(ステップS24)。なお、初めて質問信号20を受信した場合など、計時部303において送信後経過時間の計時が行われていない場合には、制御部306は、送信後経過時間が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13以上であると判定するものとする。
【0072】
ステップS24において、送信後経過時間が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13未満である場合には(ステップS24:NO)、処理を終了し、送信後経過時間が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13以上である場合には(ステップS24:YES)、制御部306は、質問信号20に含まれる質問器ID17と、自器の応答器ID33とを含めた応答信号30を生成し、受信した質問信号20に含まれるRFチャネル14で指定された周波数帯にて応答信号送信部305に送信させる(ステップS25)。
【0073】
また、制御部306は、計時部303に送信後経過時間の計時を開始させ(ステップS26)、処理を終了する。
一方、ステップS21において、認証モード15が手動を示さない場合、つまり自動を示す場合には(ステップS21:NO)、上述のステップS24からの処理を行う。
<具体例>
質問器100A、質問信号送信器200A、応答器300Aの動作を、具体例を用いて説明する。
【0074】
以下では、コマンド10において、LF送信制御12で指定される質問信号20の送信回数と送信間隔とはそれぞれ「4回」と「300ms」、休止時間13は「900ms」、RFチャネル14は「1GHz帯」、認証モード15は「手動」、LF送信出力16は「大レベル」、質問器ID17は「1000001」であり、また応答器300Aが送信する応答信号30における応答器ID33は「3000001」であるものとして説明する。また、図6のステップS8おいては、ステップS4で質問信号20を送信した回数が、LF送信制御12で指定する送信回数と一致するかを判定するものとして説明する。
【0075】
<1回目の質問信号20の送信>
質問器100Aの制御部106は、操作部101(スイッチ群)において、管理者等により設定された内容に基づいて質問信号20及びコマンド10を生成し(図6のステップS1、2)、ステップS2で生成したコマンド10を、RS−485インタフェース102を介して、質問信号送信器200Aに送信し(ステップS3)、ステップS1で生成した質問信号20を、例えば一定周期(例えば、LF送信制御12で指定される送信間隔と同じ間隔)で、質問信号送信部104に送信させる(ステップS4)。
【0076】
一方、質問信号送信器200Aの制御部203は、ステップS3で質問器100Aから送信されたコマンド10を受信すると(図7のステップS11:YES)、受信したコマンド10に含まれる休止時間13(この例では900ms)、RFチャネル14(この例では1GHz)、認証モード15(この例では手動)、質問器ID17(この例では1000001)を含む質問信号20を生成する(ステップS12)。
【0077】
制御部203は、コマンド10のLF送信制御12で指定された送信回数(この例では4回)分質問信号20を送信していないので(ステップS13:NO)、ステップS12で生成した質問信号20を、コマンド10のLF送信出力16で指定されたレベル(この例では大)に対応する送信電力により、コマンド10のLF送信制御12で指定された送信間隔(この例では300ms)で質問信号送信部202に送信させ(ステップS14)、再度ステップS13の処理を行う。
【0078】
一方、応答器300Aの質問信号受信部304は、質問信号送信器200Aから受信した質問信号20を制御部306に伝達し、制御部306は、伝達された質問信号20に含まれる認証モード15が、この例では手動を示すので(図8のステップS21:YES)、計時部303に受信後経過時間の計時を開始させる(ステップS22)。
質問信号20を受信後、所定時間(例えば300ms)以内に、操作部302からボタンが押下された旨の信号が伝達されると(ステップS23:YES)、制御部306は、送信後経過時間が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13以上か否かを判定する(ステップS24)。
【0079】
この例では、まだ計時部303において送信後経過時間の計時が行われていないので、制御部306は、送信後経過時間が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13以上であると判定し(ステップS24:YES)、制御部306は、質問信号20に含まれる質問器ID17(この例では1000001)と、自器の応答器ID33(この例では3000001)とを含めた応答信号30を生成し、受信した質問信号20に含まれるRFチャネル14で指定された周波数帯(この例では1GHz帯)にて応答信号送信部305に送信させる(ステップS25)。
【0080】
また、制御部306は、計時部303に送信後経過時間の計時を開始させ(ステップS26)、処理を終了する。
一方、質問器100Aの制御部106は、ステップS25で応答器300Aから送信された応答信号30を受信すると(図6のステップS5:YES)、受信した応答信号30に自器の質問器ID(この例では1000001)が含まれているので(ステップS6:YES)、その自器の質問器ID(1000001)及び応答信号30に含まれている応答器ID(3000001)を、RS−485インタフェース103を介してゲートユニット400に送信する(ステップS7)。
【0081】
制御部106は、質問信号送信器200Aに対しコマンド10を送信する必要があるか否かを判定し(ステップS8)、この例では、ステップS4で質問信号20を送信した回数(1回)が、LF送信制御12で指定する送信回数と一致しないので(ステップS8:NO)、制御部106は、ステップS4から再度処理を行う。
<2回目の質問信号20の送信>
続いて、質問器100Aの制御部106は、ステップS2で生成した質問信号20を送信し(ステップS4)、一方、質問信号送信器200Aの制御部203は、コマンド10のLF送信制御12で指定された送信回数(この例では4回)分質問信号20を送信していないので(図7のステップS13:NO)、ステップS12で生成した質問信号20を再度、質問信号送信部202に送信させ(ステップS14)、再度ステップS13の処理を行う。
【0082】
一方、応答器300Aの質問信号受信部304は、質問信号送信器200Aから受信した質問信号20を制御部306に伝達し、伝達された質問信号20に含まれる認証モード15が、この例では手動を示すので(図8のステップS21:YES)、制御部306は、計時部303に受信後経過時間の計測を開始させる(ステップS22)。
この例では、質問信号20を受信後、所定時間(例えば300ms)以内に、操作部302からボタンが押下された旨の信号が伝達された場合でも(ステップS23:YES)、制御部306は、送信後経過時間(300ms)が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13(900ms)未満なので(ステップS24:NO)、応答信号30を送信することなく、応答器300Aは処理を終了する。
【0083】
この結果、質問器100Aの制御部106は、応答信号30を受信しないので(ステップS5:NO)、質問信号送信器200Aに対しコマンド10を送信する必要があるか否かを判定し(ステップS8)、この例では、ステップS4で質問信号20を送信した回数(2回)が、LF送信制御12で指定する送信回数と一致しないので(ステップS8:NO)、制御部106は、ステップS4から再度処理を行う。
【0084】
<3回目の質問信号20の送信>
質問器100A、質問信号送信器200Aにおいて、3回目の質問信号20の送信が行われた際の、質問器100A、質問信号送信器200A、応答器300Aの動作は、上述の2回目の質問信号20の送信が行われた際の動作と同様であるため、説明は主略する。
<4回目の質問信号20の送信>
続いて、質問器100Aの制御部106は、ステップS2で生成した質問信号20を送信し(ステップS4)、質問信号送信器200Aの制御部203は、コマンド10のLF送信制御12で指定された送信回数(この例では4回)分質問信号20を送信していないので(図7のステップS13:YES)、ステップS12で生成した質問信号20を再度、質問信号送信部202に送信させ(ステップS14)、再度ステップS13の処理を行う。
【0085】
一方、応答器300Aの質問信号受信部304は、質問信号送信器200Aから受信した質問信号20を制御部306に伝達し、伝達された質問信号20に含まれる認証モード15が、この例では手動を示すので(図8のステップS21:YES)、制御部306は、計時部303に受信後経過時間の計時を開始させる(ステップS22)。
質問信号20を受信後、所定時間(例えば300ms)以内に、操作部302からボタンが押下された旨の信号が伝達された場合には(ステップS23:YES)、制御部306は、送信後経過時間(900ms)が、受信した質問信号20に含まれる休止時間13(900ms)以上なので(ステップS24:YES)、質問信号20に含まれる質問器ID17(この例では1000001)と、自器の応答器ID33(この例では3000001)とを含めた応答信号30を生成し、受信した質問信号20に含まれるRFチャネル14で指定された周波数帯(この例では1GHz帯)にて応答信号送信部305に送信させる(ステップS25)。
【0086】
また、制御部306は、計時部303に送信後経過時間の計時を開始させ(ステップS26)、処理を終了する。
一方、質問器100Aの制御部106は、ステップS25で応答器300Aから送信された応答信号30を受信すると(図6のステップS5:YES)、受信した応答信号30に自器の質問器ID(この例では1000001)が含まれているので(ステップS6:YES)、その自器の質問器ID(1000001)及び応答信号30に含まれている応答器ID(3000001)を、RS−485インタフェース103を介してゲートユニット400に送信する(ステップS7)。
【0087】
制御部106は、質問信号送信器200Aに対しコマンド10を送信する必要があるか否かを判定し(ステップS8)、この例では、ステップS4で質問信号20を送信した回数(4回)が、LF送信制御12で指定する送信回数と一致するので(ステップS8:YES)、制御部106は、ステップS2から再度処理を行う。
<変形例>
以下では、実施の形態に係る各質問信号送信器(200A、200B)が質問信号を送信した場合に、送信を行った旨の完了信号をそれぞれが接続している質問器(100A、100B)に送信するようにし、実施の形態に係る各質問器(100A、100B)は完了信号を受信すると質問信号の送信を行うように変えた一変形例を説明する。
【0088】
<構成>
以下、変形例に係る各質問器(以下、それぞれの質問器を「変形質問器A」、「変形質問器B」という)及び変形例に係る各質問信号送信器(以下、それぞれの質問信号送信器を、「変形質問信号送信器A」、「変形質問信号送信器B」という)について説明する。
なお、変形質問器A及び変形質問器Bは、同様の構成を有し、上述の質問器100AのRS−485インタフェース102及び制御部106の機能を若干変更したものであり、また、変形質問信号送信器A及び変形質問信号送信器Bは、同様の構成を有し、上述の質問信号送信器200AのRS−485インタフェース201及び制御部203の機能を若干変更したものであるため、以下、変形質問器A及び変形質問信号送信器Aを例に、質問器100A、質問信号送信器200Aからの変更部分を中心に説明する。
【0089】
<変形質問器>
変形質問器AのRS−485インタフェースは、RS−485インタフェース102の機能に加え、RS−485規格に準拠して変形質問信号送信器Aからケーブル1Aを通じて伝送されてきた完了信号を変形質問器Aの制御部に伝達する機能を有する。
また、変形質問器Aの制御部は、基本的には制御部106と同様の機能を有するが、変形質問器AのRS−485インタフェースを介して、変形質問信号送信器Aから完了信号を受信すると、質問信号送信部104に質問信号20を送信させる点で、制御部106とは異なる。
【0090】
<変形質問信号送信器>
変形質問信号送信器AのRS−485インタフェースは、RS−485インタフェース201の機能に加え、変形質問信号送信器Aの制御部から伝達された完了信号を、RS−485規格に準拠して質問器100Aにケーブル1Aを通じて伝送する機能を有する。
また、変形質問信号送信器Aの制御部は、制御部203の機能に加え、質問信号送信部202に質問信号20を送信させると、変形質問信号送信器AのRS−485インタフェースを介して、変形質問器Aに完了信号を送信する機能を有する。
【0091】
<動作>
変形質問器Aの動作は、質問器100Aの動作を示すフローチャート(図6参照)のステップS4における質問信号20の送信を、変形質問信号送信器Aから完了信号を送信した場合に行う点以外は同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、変形質問信号送信器Aの動作は、質問信号送信器200Aの動作を示すフローチャート(図7参照)のステップS14において質問信号20を送信すると共に、変形質問器Aに対し完了信号を送信する点以外は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0092】
<具体例>
変形質問器A及び変形質問信号送信器Aが質問信号20を送信するタイミングを、具体例を用いて説明する。
図9は、変形質問器A及び変形質問信号送信器Aによる質問信号20の送信タイミングを説明するための図である。なお、同図では、コマンド10において、LF送信制御12で指定される質問信号20の送信回数と送信間隔とがそれぞれ「1回」と「300ms」であり、休止時間13が「900ms」である場合を一例として示している。
【0093】
T1は、変形質問器Aの制御部が生成したコマンド10を、変形質問器AのRS−485インタフェースを介して、変形質問信号送信器Aに送信する(図6のステップS3)タイミングを示している。
T2は、変形質問信号送信器Aの制御部が、変形質問信号送信器AのRS−485インタフェースを介して変形質問器Aからコマンド10を受信し(図7のステップS11:YES)、受信したコマンド10に基づき質問信号20を生成し、質問信号送信部202に送信させる(ステップS12〜S14)タイミングを示している。
【0094】
T3は、応答器300Aの制御部306が、変形質問信号送信器Aから受信した質問信号20に基づいて図8のステップS21〜S24の処理を行い、応答信号30を生成し、応答信号送信部305に送信させる(ステップS25)タイミング、及び変形質問信号送信器Aの制御部が、変形質問信号送信器AのRS−485インタフェースを介して完了信号を変形質問器Aに送信するタイミングを示している。
【0095】
T4は、変形質問器Aが、変形質問信号送信器Aから送信された完了信号を変形質問器AのRS−485インタフェースを介して受信し、図6のステップS1で生成した質問信号20を質問信号送信部104に送信させる(ステップS4)タイミングを示している。
T5は、応答器300Bの制御部306が、変形質問器Aから受信した質問信号20に基づいて図8のステップS21〜S24の処理を行って応答信号30を生成し、応答信号送信部305に送信させる(ステップS25)タイミングを示している。
【0096】
T5から、変形質問器A及び変形質問信号送信器Aは、上述のT1〜T4で説明した処理を繰り返す。なお、T5〜T6において各応答器(300A、300B)が応答信号30を送信しないのは、受信した質問信号20に含まれる休止時間13(この例では900ms)に基づくものである。
このように、変形質問信号送信器Aによる質問信号20の送信後に送信される完了信号の受信を待って、変形質問器Aは質問信号20を送信するので、変形質問信号送信器Aと変形質問器Aとの質問信号20の送信タイミングをずらすことができ、変形質問信号送信器Aが送信した質問信号20を受信可能な認証エリアの一部と変形質問器Aが送信した質問信号20を受信可能な認証エリアの一部とが重複するような場合でも、質問信号20の干渉を防止することができる。
【0097】
また、変形質問信号送信器Aと変形質問器Aとの質問信号の送信タイミングがずれるので、応答器300Aと300Bとの応答信号30の送信タイミングもずらすことができ、応答信号30同士の干渉の発生を軽減できる。
<補足>
以上、本発明に係る認証システムを、実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示したとおりの認証システムに限られないことは勿論である。
【0098】
(1)実施の形態において質問器100Aは、コマンド10に、質問信号20の送信を指示するための制御コード(LF送信制御12)と、休止時間13〜質問器ID17とを含ませて1つのデータとして送信するものとして説明したが、別々のデータとして構成した複数のデータを送信するようにしてもよい。つまり、本発明におけるコマンド信号は、1つのデータ(コマンド10)として構成されても、複数のデータとして構成されてもよい。
【0099】
(2)実施の形態においてコマンド10は、休止時間13、RFチャネル14、認証モード15、LF送信出力16、質問器ID17を含むものとして説明したが、これらデータのうちの一部だけを含むようにしてもよい。
(3)実施の形態において質問器100Aは、コマンド10のLF送信制御12に質問信号20の送信回数を指定するためのデータを含ませ、コマンド10を受信した質問信号送信器200Aは指定された送信回数分質問信号20を送信すると、自動的に質問信号20の送信を終了する(次にコマンド10を受信するまで質問信号20を送信しない)ものとして説明したが、質問信号20の送信を開始させる際に、質問器100Aが質問信号送信器200Aに質問信号20の送信開始を指示するコマンドを送信し、質問信号20の送信を終了させる際に、質問器100Aが質問信号送信器200Aに質問信号20の送信終了を指示するコマンドを送信するようにしてもよい。
【0100】
この場合、質問信号20の送信開始を指示するコマンドは、実施の形態において説明したコマンド10のLF送信制御12を、質問信号20の送信開始を指示する制御コマンドに変更すればよく、また、質問信号20の送信終了を指示するコマンドは、例えば、スタートバイト11と、質問信号20の送信終了を指示する制御コマンドと、CRC18とからなるデータとすればよい。
【0101】
(4)実施の形態において質問信号送信器200Aが送信する質問信号20に、自器(質問信号送信器200A)の識別情報(以下、「送信器ID」という)を含ませるようにし、この質問信号を受信した各応答器は、応答信号30にこの送信器IDを含ませて送信するようにしてもよい。これにより、この応答信号を受信した質問器100Aは、その応答信号を送信した応答器が自器の認証エリアに存在しているのか、質問信号送信器200Aの認証エリアに存在しているのかを把握することが可能になる。
【0102】
(5)実施の形態においては、各質問器と各質問信号送信器とが、1対1に接続する例を説明したが、1台の質問器に複数台の質問信号送信器を接続するようにしてもよく、1台の質問信号送信器に複数台の質問器を接続するようにしてもよい。特に後者の場合、各質問器からコマンド10を受信した質問信号送信器は、受信した各コマンド10に含まれる質問器ID17、LF送信制御12、及びLF送信出力16を対応付けて記憶しておき、この記憶されている情報に基づいて、各コマンド10に対応する各質問信号を、例えば一定間隔で順番に送信するようにしてもよい。
【0103】
(6)実施の形態においては、質問器100Aの機能を実現するための主要な構成を説明し、LEDなどの表示部については特に説明しなかったが、操作部101で管理者等が設定した内容をLEDなどで確認できるようにしてもよい。
(7)実施の形態では、質問器100Aの動作の一例を、図6のフローチャートに即して説明したが、コマンド生成、送信に関する処理(ステップS2、3、8)と、質問信号の生成、送信に関する処理(ステップS1、4)、応答信号の受信に関する処理(ステップS5〜7)とを、それぞれ並列に処理するようにしてもよい。
【0104】
(8)実施の形態では、質問器100Aと質問信号送信器200Aとがそれぞれ送信する質問信号20の内容は同様のものとして説明したが、質問信号20を構成する休止時間13、RFチャネル14、認証モード15の内容を異なるものにしてもよい。
これにより、例えば、ゲート等の付近に設置された質問器100Aの認証エリアに入ったユーザはゲート等を通って入室しようとしている可能性が高いため、質問器100Aが送信する質問信号20の認証モード15を「自動」に設定し、ゲート等から離れた場所に設置された質問信号送信器200Aの認証エリアに入ったユーザは必ずしもゲート等を通って入室しようとしているとは限らないため、質問信号送信器200Aが送信する質問信号20の認証モード15を「手動」に設定するようなことが可能になり、認証システムの実際の運用状況に応じて、質問器100Aと質問信号送信器200Aとがそれぞれ送信する質問信号20の内容を決定することが可能になる。
【0105】
(9)変形例においては、変形質問信号送信器Aと変形質問器Aとの質問信号20の送信タイミングをずらすために、変形質問信号送信器Aによる質問信号20の送信後に送信される完了信号の受信を待って、変形質問器Aは質問信号20を送信する例を説明したが、完了信号を用いないで、以下のようにして実現することも可能である。
即ち、変形質問器Aがコマンド10を送信してから、変形質問信号送信器Aが質問信号20の送信を完了するまでの時間T(図9においては、T2〜T3の時間)を、変形質問器Aに予め記憶させておき、変形質問器Aは、コマンド10を送信してから時間T後に、質問信号20を送信するようにすることで、変形例で説明したのと同様に、変形質問信号送信器Aと変形質問器Aとの質問信号20の送信タイミングをずらすことができる。
【0106】
(10)実施の形態では、質問信号送信器200Aの質問信号送信部202に含まれるLFアンテナは、質問器100Aの質問信号送信部104に含まれるLFアンテナよりアンテナサイズが大きく、質問信号送信器200Aが送信した質問信号20を受信可能な認証エリアは3m程度を最大範囲とするものとして説明したが、これよりも狭い範囲、例えば、1.5m程度を最大範囲とするようにしてもよい。この場合の質問信号送信部202に含まれるLFアンテナのサイズは、質問信号送信部104に含まれるLFアンテナのサイズと同程度である。
【0107】
(11)本発明に係る認証システムを構成する質問器が備えるコマンド送信手段は、実施の形態係る質問器100A及び変形質問器Aが備えるRS−485インタフェース及び制御部に相当し、応答受信手段は、質問器100A及び変形質問器Aが備える応答信号受信部105に相当し、第2質問送信手段は、変形質問器Aが備える質問信号送信部104及び制御部に相当し、識別情報送信手段は、質問器100A及び変形質問器Aが備えるRS−485インタフェース103及び制御部に相当する。
【0108】
また、本発明に係る認証システムを構成する質問信号送信器が備えるコマンド受信手段は、実施の形態に係る質問信号送信器200A及び変形質問信号送信器Aが備えるRS−485インタフェース及び制御部に相当し、質問送信手段は、質問信号送信器200A及び変形質問信号送信器Aが備える質問信号送信部202及び制御部に相当する。
また、本発明に係る認証システムを構成する応答器が備える電池、受付手段はそれぞれ応答器300Aが備える内蔵電池301、操作部302に相当し、応答送信手段は、応答器300Aが備える応答信号送信部305及び制御部306に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】入室管理システム1000のシステム構成図である。
【図2】質問器100Aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】質問信号送信器200Aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】応答器300Aの主要部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】(a)は、コマンド10のデータ構成を示す図であり、(b)は、質問信号20のデータ構成を示す図であり、(c)は、応答信号30のデータ構成を示す図である。
【図6】質問器100Aのコマンド10及び質問信号20の送信処理と応答信号30の受信処理とを示すフローチャートである。
【図7】質問信号送信器200Aの質問信号20の送信処理を示すフローチャートである。
【図8】応答器300Aが質問信号20を受信した際の処理を示すフローチャートである。
【図9】変形質問器A及び変形質問信号送信器Aによる質問信号20の送信タイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0110】
100A、100B 質問器
101、302 操作部
102、103、201 RS−485インタフェース
104、202 質問信号送信部
105 応答信号受信部
106、203、306 制御部
200A、200B 質問信号送信器
300A、300B 応答器
301 内蔵電池
303 計時部
304 質問信号受信部
305 応答信号送信部
400 ゲートユニット
500 管理サーバ
1000 入室管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LF帯にて質問信号を送信し応答信号を受信する1以上の質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号をLF帯よりも高い周波数帯にて送信する応答器とを含み、前記質問器が受信した応答信号に含まれる応答器の識別情報に基づく認証を行う認証システムであって、
前記認証システムは、更に
前記質問器と離れた場所に設置され、質問信号を送信する質問信号送信器を含み、
前記質問器は、
前記質問信号送信器に対し、質問信号の送信を指示するコマンド信号を送信するコマンド送信手段と、
自器又は前記質問信号送信器が送信した質問信号を受信した応答器から送信された応答信号を受信する応答受信手段とを備え、
前記質問信号送信器は、
コマンド信号を受信するコマンド受信手段と、
前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に基づいて、質問信号を生成しLF帯にて送信する質問送信手段とを備える
ことを特徴とする認証システム。
【請求項2】
前記コマンド送信手段は、質問信号の送信電力の大きさを区分した複数のレベルのうちの1つのレベルを指定するレベル情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、
前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれるレベル情報により指定されたレベルで質問信号を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の認証システム。
【請求項3】
前記コマンド送信手段は、応答信号の送信にユーザの操作を必要とするか否かを指定するモード情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、
前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれるモード情報を前記質問信号に含ませて送信し、
前記応答器は、
電池と、
ユーザの操作を受け付ける受付手段と、
質問信号を受信した場合において、当該質問信号にユーザの操作を必要としない旨を指定するモード情報が含まれているときには、前記電池からの電力供給を受けて前記応答信号をUHF帯にて送信し、当該質問信号にユーザの操作を必要とする旨を指定するモード情報が含まれているときには、当該受信後に、前記受付手段がユーザの操作を受け付けたときに、前記電池からの電力供給を受けて前記応答信号をUHF帯にて送信する応答送信手段とを備える
ことを特徴とする請求項2記載の認証システム。
【請求項4】
前記コマンド送信手段は、UHF帯に含まれる複数の周波数帯のうちの1つの周波数帯を指定するチャネル情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、
前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれるチャネル情報を前記質問信号に含ませて送信し、
前記応答送信手段は、受信した質問信号に含まれるチャネル情報により指定された周波数帯で前記応答信号を送信する
ことを特徴とする請求項3記載の認証システム。
【請求項5】
前記コマンド送信手段は、応答信号の送信間隔を指定する時間情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、
前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれる時間情報を前記質問信号に含ませて逐次繰り返し送信し、
前記応答送信手段は、質問信号を受信した際に、前回応答信号を送信してから当該質問信号に含まれる時間情報により指定された送信間隔を経過しているか否かを判定し、当該送信間隔を経過していると判定した場合にのみ前記応答信号の送信を行う
ことを特徴とする請求項4記載の認証システム。
【請求項6】
前記質問器は、
前記質問信号送信器の前記質問送信手段による質問信号の送信と時間帯が重ならないように前記質問信号を送信する第2質問送信手段を備える
ことを特徴とする請求項5記載の認証システム。
【請求項7】
前記コマンド送信手段は、前記第2質問送信手段による質問信号の送信が完了すると、コマンド信号を送信し、
前記質問送信手段は、更に
質問信号の送信が完了すると、その旨を示す完了信号を前記質問器に送信し、
前記第2質問送信手段は、前記質問信号送信器から完了信号を受信すると、次の質問信号の送信を行う
ことを特徴とする請求項6記載の認証システム。
【請求項8】
前記質問器と前記質問信号送信器とはケーブルで接続されており、当該ケーブルを介して前記コマンド信号の送受を行う
ことを特徴とする請求項7記載の認証システム。
【請求項9】
前記認証システムは、
応答器の識別情報に基づいて認証を行うゲートユニットを含み、
前記質問器は複数あり、
各質問器の前記コマンド送信手段は、自器を識別するための識別情報を前記コマンド信号に含ませて送信し、
前記質問送信手段は、前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に含まれる質問器の識別情報を前記質問信号に含ませて送信し、
前記応答器は、
受信した質問信号に含まれる質問器の識別情報及び自器の識別情報を前記応答信号に含ませて送信する応答送信手段を備え、
各質問器は、更に
前記応答受信手段が受信した応答信号に自器の識別情報が含まれている場合にのみ、当該応答信号に含まれる応答器の識別情報を前記ゲートユニットに送信する識別情報送信手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の認証システム。
【請求項10】
LF帯にて質問信号を送信し応答信号を受信する質問器と、質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号をLF帯よりも高い周波数帯にて送信する応答器とを含み、前記質問器が受信した応答信号に含まれる応答器の識別情報に基づく認証を行う認証システムにおいて用いられ、前記質問器と離れた場所に設置される質問信号送信器であって、
前記質問器から送信された、質問信号の送信を指示するコマンド信号を受信するコマンド受信手段と、
前記コマンド受信手段が受信したコマンド信号に基づいて、質問信号を生成しLF帯にて送信する質問送信手段とを備える
ことを特徴とする質問信号送信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−92100(P2010−92100A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258655(P2008−258655)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】