認証システム
【課題】セキュリティ性を維持しながら、利便性の良い認証システムを提供する。
【解決手段】認証システム6は、ユーザが携帯する電子キー3との無線通信に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。認証システム6は、ユーザがパソコン4及びチェスト5を使用する際の位置を挟んで設置されるとともに、リクエスト信号を、使用位置Auを含むように送信することで第1通信エリアA1及び第2通信エリアA2を形成する第1デバイス10及び第2デバイス20と、第1デバイス10及び第2デバイス20のどちらの通信エリアA1,A2にも電子キー3が位置していることを条件に、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する許可部とを備えた。
【解決手段】認証システム6は、ユーザが携帯する電子キー3との無線通信に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。認証システム6は、ユーザがパソコン4及びチェスト5を使用する際の位置を挟んで設置されるとともに、リクエスト信号を、使用位置Auを含むように送信することで第1通信エリアA1及び第2通信エリアA2を形成する第1デバイス10及び第2デバイス20と、第1デバイス10及び第2デバイス20のどちらの通信エリアA1,A2にも電子キー3が位置していることを条件に、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する許可部とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、該当者に対してのみ使用可能状態とする認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスのような環境では、ユーザがパーソナルコンピュータやチェスト等の対象物を使用する際に、第3者の使用を防ぐセキュリティ対策として使用権限のあるユーザのみが使用できるように認証システムを採用している。
【0003】
従来の認証システムとしては、ユーザがパスワードを入力することによって一時的にセキュリティが解除されるものがある(例えば、特許文献1参照)。このような認証システムでは、セキュリティを解除した後に解除状態を継続すると、セキュリティ性が低下するため、一定時間が経過すると、セキュリティが設定されて使用できなくなるものがある。
【0004】
また、パスワードの代わりに指紋や虹彩等の身体の一部を使った生体認証システムがある。生体認証システムにおいても、認証成立後セキュリティの解除状態を継続することは望ましくないので、上記同様に、一定時間が経過すると、セキュリティが設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−107956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の認証システムでは、パーソナルコンピュータを見ながら、書類を確認する等のパーソナルコンピュータを操作しない作業を行う際には、一定時間経過すると、セキュリティが設定されてパーソナルコンピュータ等が使用できなくなる。このような場合には、改めてパスワードを入力して、セキュリティを解除しなければならない。また、生体認証システムでは、身体の状態によって認証が成立しなくなることがある。そこで、セキュリティ性を維持しながら、利便性の良い認証システムが求められていた。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セキュリティ性を維持しながら、利便性の良い認証システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ユーザが携帯する電子キーとの無線通信に基づいて対象物の使用を許可する認証システムであって、ユーザが前記対象物を使用する際の位置を挟んで設置されるとともに、リクエスト信号を、該位置を含むように送信することで通信エリアを形成する第1デバイス及び第2デバイスと、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのどちらの通信エリアにも前記電子キーが位置していることを条件に、前記対象物の使用を許可する許可手段と、を備えたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、電子キーを携帯したユーザが対象物を使用する際には、第1デバイス及び第2デバイスが送信したリクエスト信号によって形成された各通信エリアのいずれにも電子キーが含まれることで、ユーザが使用位置にいることを確認することができる。そして、ユーザが使用位置にいることに基づいて対象物の使用を許可する。このため、ユーザが使用位置にいれば、ユーザの手を煩わすことなく、対象物の使用を許可することが可能となる。よって、ユーザが使用位置から外れれば、セキュリティが設定されるので、セキュリティ性を維持しながら、利便性を良くすることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された前記リクエスト信号を受信したことに基づいてIDコードを含むIDコード信号を送信し、前記許可手段は、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスから送信されたリクエスト信号を電子キーが受信した際に、電子キーがIDコード信号を送信し、許可手段が受信した該IDコード信号のID照合結果に基づいて対象物の使用を許可する。このため、電子キーから送信されたIDコード信号の受信によってユーザが使用位置にいるか否かを容易に判定することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、前記許可手段は、前記第1デバイス又は前記第2デバイスに設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスのそれぞれから送信されたリクエスト信号をいずれも受信したことに基づいて電子キーがIDコード信号を送信し、第1デバイス又は第2デバイスに設けられた許可手段がID照合結果に基づいて対象物の使用を許可する。このため、許可手段は、電子キーから送信されたIDコード信号を1つ受信すれば、ユーザが使用位置にいることを判定することが可能であり、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可手段が第1デバイス又は第2デバイスに設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、前記許可手段は、前記対象物に設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスのそれぞれから送信されたリクエスト信号をいずれも受信したことに基づいて電子キーがIDコード信号を送信し、対象物に設けられた許可手段がID照合結果に基づいて対象物の使用を許可する。このため、許可手段は、電子キーから送信されたIDコード信号を1つ受信すれば、ユーザが使用位置にいることを判定することが可能であり、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可手段が対象物に設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記リクエスト信号を受信した際に、各前記リクエスト信号に対して前記IDコード信号を別々に送信し、前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、送信した前記リクエスト信号に対して返信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する許可信号を送信し、前記許可手段は、前記第1デバイス及び前記第2デバイスとは別の第3デバイスに設けられ、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記許可信号をいずれも受信したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスが送信したリクエスト信号に対して電子キーが別々に返信したIDコード信号のID照合結果に基づいて第1デバイス及び第2デバイスが許可信号を送信する。そして、第1デバイス及び第2デバイスとは別の第3デバイスに設けられた許可手段が第1デバイス及び第2デバイスから送信された各許可信号を受信したことに基づいて対象物の使用を許可する。このため、電子キーは、第1デバイス及び第2デバイスから送信された両方のリクエスト信号の受信を待たずに、各デバイスからのリクエスト信号に対してIDコード信号をそれぞれ送信すればよいので、送信処理が容易である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の認証システムにおいて、前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、机と椅子とのそれぞれに設置され、前記対象物は、パーソナルコンピュータ及びチェストの少なくとも一方であることをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、オフィスに適用した際に、ユーザが椅子に座ってユーザが携帯した電子キーが机と椅子との間に位置し、パーソナルコンピュータやチェストをユーザのみが使用できるように、セキュリティ性を維持しながら、利便性を良くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、認証システムにおいて、セキュリティ性を維持しながら、利便性を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ロック状態における認証システムの位置関係を示す側面図。
【図2】ロック状態における認証システムの位置関係を示す上面図。
【図3】アンロック状態における認証システムの位置関係を示す側面図。
【図4】アンロック状態における認証システムの位置関係を示す上面図。
【図5】認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図6】認証システムの認証処理を示すシーケンスチャート。
【図7】認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図8】認証システムの認証処理を示すシーケンスチャート。
【図9】認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図10】認証システムの認証処理を示すシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明をオフィスの認証システムに具体化した第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0023】
図1〜図4に示されるように、オフィスには、机1と椅子2とが設けられている。机1の天板上には、パーソナルコンピュータ(パソコン)4が設置されている。また、机1の天板下には、書類や物品を収納するチェスト5が設置されている。パソコン4及びチェスト5は、重要な情報が収納されているので、使用権限のあるユーザUのみが使用できるように認証システム6が設けられている。なお、パソコン4及びチェスト5が対象物に相当する。
【0024】
図1及び図2に示されるように、認証システム6は、ユーザUの使用権限が設定されたパソコン4やチェスト5の設置された机1からユーザUが離れた際には、パソコン4やチェスト5のセキュリティを設定する、すなわち使用を禁止する。
【0025】
また、図3及び図4に示されるように、認証システム6は、ユーザUの使用権限が設定されたパソコン4やチェスト5の設置された机1の椅子2にユーザUが着席、又は近傍に位置した際には、パソコン4やチェスト5のセキュリティを解除する、すなわち使用を許可する。
【0026】
ここで、パソコン4におけるセキュリティの設定とはパソコン4の操作が不可能な状態であって、パソコン4におけるセキュリティの解除とはパソコン4が操作可能な状態である。また、チェスト5におけるセキュリティの設定とはチェスト5が施錠された状態であって、チェスト5におけるセキュリティの解除とはチェスト5が解錠された状態である。
【0027】
図5に示されるように、認証システム6は、ユーザUが携帯する電子キー3がキー固有のIDコード信号Sidを送信し、電子キー3と机1及び椅子2との狭域無線通信によりID照合を実行する。電子キー3は、机1及び椅子2からの通信を契機に双方向通信を開始してID照合を行う。
【0028】
電子キー3には、無線通信の制御を行う通信制御部31が設けられている。通信制御部31は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ31aを備えている。通信制御部31には、LF(Low Frequency)帯の無線信号を受信可能なLF受信部32と、UHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を送信可能なUHF送信部33とが接続されている。電子キー3は、ユーザUが椅子2に着席した状態でパソコン4とチェスト5とを含む範囲(キー通信エリアAk)にIDコード信号Sidを送信する(図3及び図4参照)。
【0029】
図1〜図4に示されるように、机1には、電子キー3に対してIDコード信号Sidを要求する第1リクエスト信号Srq1を送信する第1デバイス10が天板の裏に設置されている。また、椅子2には、電子キー3に対してIDコード信号Sidを要求する第2リクエスト信号Srq2を送信する第2デバイス20が座面の裏に設置されている。
【0030】
図5に示されるように、第1デバイス10及び第2デバイス20は、自身から一定距離の範囲に第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2をそれぞれ送信する。第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2は、異なる無線信号であって、電子キー3が区別可能である。
【0031】
第1デバイス10には、無線通信の制御を行う第1制御部11が設けられている。第1制御部11は、電子キー3のIDコードが記憶されたメモリ11aを備えている。第1制御部11には、LF帯の無線信号を送信可能な第1LF送信部12と、UHF帯の無線信号を受信可能な第1UHF受信部13とが接続されている。また、第1制御部11は、パソコン4及びチェスト5に接続されている。第1デバイス10は、第1LF送信部12から無線信号を送信することで、ユーザUが使用位置にいるか否かを確認するための第1通信エリアA1を形成する(図1〜図4参照)。なお、第1通信エリアA1が通信エリアに相当する。
【0032】
第2デバイス20には、無線通信の制御を行う第2制御部21が設けられている。第2制御部21には、LF帯の無線信号を送信可能な第2LF送信部22が接続されている。第2デバイス20は、第2LF送信部22から無線信号を送信することで、ユーザUが使用位置にいるか否かを確認するための第2通信エリアA2を形成する(図1〜図4参照)。そして、第1通信エリアA1と第2通信エリアA2との重複エリアが使用位置Auに相当する(図1〜図4参照)。なお、第2通信エリアA2が通信エリアに相当する。
【0033】
第1制御部11は、第1LF送信部12から第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信させる。また、第2制御部21は、第2LF送信部22から第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信させる。なお、第1制御部11と第2制御部21とは、異なるタイミングが割り振られ、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2とを異なるタイミングで送信する。
【0034】
本実施形態では、パソコン4及びチェスト5には、第1制御部11が接続されている。第1制御部11は、ユーザUの位置に基づいてパソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定したり、解除したりする。
【0035】
電子キー3の通信制御部31は、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方をLF受信部32で受信すると、自身のメモリ31aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号SidをUHF送信部33から返信する。すなわち、通信制御部31は、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2とのいずれか一方のみ受信した際には、IDコード信号Sidを送信しない。
【0036】
第1制御部11は、電子キー3が返信するIDコード信号SidのIDコードと自身のメモリ11aに登録されたIDコードとを照らし合わせてID照合を行い、このID照合が成立することを確認すると、電子キー3が使用位置Auに位置すると判断する。そして、第1制御部11は、パソコン4やチェスト5のセキュリティを解除する。第1制御部11には、ID照合を行う照合部11bと、パソコン4やチェスト5の使用許可を行う許可部11cとが設けられている。なお、許可部11cが許可手段として機能する。
【0037】
照合部11bは、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidに含まれるIDコードがパソコン4やチェスト5の使用権限を持ったユーザUのものと一致するか否かを判定する、すなわちメモリ11aに記憶されたIDコードと照合する。許可部11cは、照合部11bの照合結果が成立した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを解除することで使用を許可する。許可部11cは、使用を許可する許可信号Spをパソコン4及びチェスト5に出力する。パソコン4及びチェスト5は、第1デバイス10から許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0038】
また、許可部11cは、第1リクエスト信号Srqの間欠的な送信に合わせて、定期的に照合部11bに対してID照合結果を問い合わせる。そして、許可部11cは、ID照合が成立しなかったり、ID照合結果が得られなかったりした場合には、ユーザUが使用位置Auに位置しないと判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定することで使用を禁止する。
【0039】
次に、前述のように構成された認証システムの動作態様について図6を合わせて参照して説明する。ここで、ユーザUが図1及び図2に示す使用位置Au外から図3及び図4に示す使用位置Au内の椅子2に着席したとする。
【0040】
図6に示されるように、第1デバイス10は、第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信している(ステップS1)。すなわち、第1制御部11は、第1LF送信部12から第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信することで第1通信エリアA1を形成する。また、第2デバイス20は、第1リクエスト信号Srq1と異なるタイミングで第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信している(ステップS2)。すなわち、第2制御部21は、第2LF送信部22から第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信することで第2通信エリアA2を形成する。
【0041】
椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、第1通信エリアA1と第2通信エリアA2との重複エリアである使用位置Auに位置するので、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信する。そして、電子キー3は、IDコード信号Sidを送信する(ステップS3)。通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信すると、UHF送信部33からIDコード信号Sidを送信する。
【0042】
ここで、電子キー3を携帯したユーザUが第1通信エリアA1又は第2通信エリアA2の一方のみに進入した際には、電子キー3は、第1リクエスト信号Srq1又は第2リクエスト信号Srq2の一方のみしか受信しないため、IDコード信号Sidを送信しない。
【0043】
第1デバイス10は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを受信すると、IDコード信号Sidに含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS4)。すなわち、照合部11bは、受信したIDコード信号Sidに含まれたIDコードと、自身のメモリ11aに記憶されたIDコードとを照合する。
【0044】
そして、第1デバイス10は、ID照合が成立する(ステップS5)と、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する許可信号Spを出力する(ステップS6)。すなわち、許可部11cは、照合部11bによるID照合が成立したことで、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、許可信号Spをパソコン4及びチェスト5に出力する。
【0045】
パソコン4及びチェスト5は、許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除することで使用を許可する(ステップS7,S8)。すなわち、パソコン4は、入力操作等が可能となる。また、チェスト5は、引出等が解錠される。
【0046】
そして、ユーザUが席を離れると、電子キー3が使用位置Au外に位置するので、IDコード信号Sidの送信がなくなり、ID照合が成立しない。よって、パソコン4及びチェスト5は、許可信号Spの入力がなくなるので、セキュリティを設定する。すなわち、パソコン4は、入力操作等が不可能となる。また、チェスト5は、引出等が施錠される。
【0047】
なお、該当するパソコン4及びチェスト5の使用権限を有しないユーザUが携帯する電子キー3が使用位置Auに位置した場合には、第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2のいずれも受信した電子キー3からIDコード信号Sidが送信される。しかしながら、第1制御部11は、ID照合が成立しないのでセキュリティの設定を維持する。
【0048】
さて、本実施例の認証システム6は、ユーザUが電子キー3を携帯して机1と椅子2との間の使用位置Auに位置するだけで、電子キー3から送信されたIDコード信号SidによってID照合が成立したことによって第1デバイス10が位置確認を行うことができる。そして、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいて第1デバイス10がパソコン4やチェスト5を使用可能とする。よって、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0049】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)電子キー3を携帯したユーザUがパソコン4及びチェスト5を使用する際には、第1デバイス10及び第2デバイス20が送信したリクエスト信号Srq1,Srq2によって形成された第1通信エリアA1及び第2通信エリアA2のいずれにも電子キー3が含まれることで、ユーザUが使用位置にいることを確認することができる。そして、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、ユーザUが使用位置Auにいれば、ユーザUの手を煩わすことなく、パソコン4及びチェスト5の使用を許可することができる。よって、ユーザUが使用位置から外れれば、セキュリティが設定されるので、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0050】
(2)第1デバイス10及び第2デバイス20から送信されたリクエスト信号Srq1,Srq2を電子キー3が受信した際に、電子キー3がIDコード信号Sidを送信し、第1デバイス10が受信した該IDコード信号SidのID照合結果に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidの受信によってユーザUが使用位置にいるか否かを容易に判定することができる。
【0051】
(3)第1デバイス10及び第2デバイス20のそれぞれから送信されたリクエスト信号Srq1,Srq2をいずれも受信したことに基づいて電子キー3がIDコード信号Sidを送信し、第1デバイス10に設けられた許可部11cがID照合結果に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、許可部11cは、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを1つ受信すれば、ユーザUが使用位置にいることを判定することができ、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可部11cが第1デバイス10に設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0052】
(4)オフィスに適用した際に、ユーザUが椅子2に座ってユーザUが携帯した電子キー3が机1と椅子2との間に位置し、パソコン4やチェスト5をユーザUのみが使用できるように、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
以下、本発明をオフィスの認証システムに具体化した第2の実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。この実施形態の認証システム6は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを対象物が受信して、対象物の使用許可を対象物自身が行う点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
図7に示されるように、パソコン4には、コントロールユニットとしての制御部41が設けられている。制御部41に設けられたメモリ41aには、電子キー3のIDコードが記憶されている。制御部41には、UHF帯の無線信号を受信可能なUHF受信部42が接続されている。
【0055】
また、チェスト5には、無線通信の制御を行う制御部51が設けられている。制御部51に設けられたメモリ51aには、電子キー3のIDコードが記憶されている。制御部51には、UHF帯の無線信号を受信可能なUHF受信部52が接続されている。
【0056】
電子キー3は、第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2を受信すると、第1の実施形態と同様に、IDコード信号Sidを送信する。パソコン4及びチェスト5は、電子キー3から送信されたIDコード信号SidをUHF受信部42によって直接受信し、ID照合が成立すると使用を許可する。具体的には、パソコン4の制御部41の照合部41bは、受信したIDコード信号Sidに含まれるIDコードがパソコン4の使用権限を持ったユーザUのものと一致するか否かを判定する、すなわちメモリ41aに記憶されたIDコードと照合する。そして、許可部41cは、照合部41bの照合結果が成立した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、セキュリティを解除することで使用を許可する。パソコン4は、第1デバイス10から許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0057】
同様に、チェスト5の制御部51の照合部51bは、受信したIDコード信号Sidに含まれるIDコードがチェスト5の使用権限を持ったユーザUのものと一致するか否かを判定する、すなわちメモリ51aに記憶されたIDコードと照合する。そして、許可部51cは、照合部51bの照合結果が成立した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、セキュリティを解除することで使用を許可する。チェスト5は、第1デバイス10から許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0058】
また、各許可部41c,51cは、定期的に照合部41b,51bに対してID照合結果を問い合わせ、ID照合が成立した場合には、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティの解除を維持する。一方、許可部41c,51cは、ID照合が成立しなかったり、ID照合結果が得られなかったりした場合には、ユーザUが使用位置Auに位置しないと判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定することで使用を禁止する。
【0059】
次に、前述のように構成された認証システムの動作態様について図8を合わせて参照して説明する。ここで、ユーザUが図1及び図2に示す使用位置Au外から図3及び図4に示す使用位置Au内の椅子2に着席したとする。
【0060】
図8に示されるように、第1の実施形態と同様に、第1デバイス10は、第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信している(ステップS11)。また、第2デバイス20は、第1リクエスト信号Srq1と異なるタイミングで第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信している(ステップS12)。
【0061】
椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、使用位置Auに位置するので、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信し、IDコード信号Sidを送信する(ステップS13)。通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信すると、UHF送信部33からIDコード信号SidをユーザUが椅子2に着席した状態でパソコン4とチェスト5とを含む範囲に送信する。通信制御部31は、IDコード信号Sidを送信することで、キー通信エリアAkを形成する。
【0062】
続いて、本実施形態では、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidをパソコン4及びチェスト5が受信する。パソコン4は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを受信すると、IDコード信号Sidに含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS14)。すなわち、照合部41bは、受信したIDコード信号Sidに含まれたIDコードと、自身のメモリ41aに記憶されたIDコードとを照合する。
【0063】
そして、パソコン4は、ID照合が成立する(ステップS15)と、使用を許可する(ステップS16)。すなわち、許可部41cは、照合部41bによるID照合が成立したことで、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して使用を許可する。すなわち、パソコン4は、入力操作等を可能とする。
【0064】
チェスト5も同様に、チェスト5は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを受信すると、IDコード信号Sidに含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS17)。すなわち、照合部51bは、受信したIDコード信号Sidに含まれたIDコードと、自身のメモリ51aに記憶されたIDコードとを照合する。
【0065】
そして、チェスト5は、ID照合が成立する(ステップS18)と、使用を許可する(ステップS19)。すなわち、許可部51cは、照合部51bによるID照合が成立したことで、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して使用を許可する。すなわち、チェスト5は、引出等を解錠する。
【0066】
そして、ユーザUが席を離れると、電子キー3が使用位置Au外に位置するので、IDコード信号Sidの送信がなくなり、ID照合が成立しない。よって、パソコン4及びチェスト5は、IDコード信号Sidの受信がなくなるので、セキュリティを設定する。すなわち、パソコン4は、入力操作等を不可能とする。また、チェスト5は、引出等を施錠する。
【0067】
さて、本実施例の認証システム6は、ユーザUが電子キー3を携帯して机1と椅子2との間の使用位置Auに位置するだけで、電子キー3から送信されたIDコード信号SidによってID照合が成立したことによってパソコン4及びチェスト5が位置確認をそれぞれ自ら行うことができる。そして、パソコン4及びチェスト5は、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいて使用可能となる。よって、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0068】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、及び(4)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(5)第1デバイス10及び第2デバイス20のそれぞれから送信されたリクエスト信号Srq1,Srq2をいずれも受信したことに基づいて電子キー3がIDコード信号Sidを送信し、パソコン4及びチェスト5に設けられた許可部41c,51cがID照合結果に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、許可部41c,51cは、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを1つ受信すれば、ユーザUが使用位置にいることを判定することができ、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可部41c,51cがパソコン4及びチェスト5に設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0069】
(第3の実施形態)
以下、本発明をオフィスの認証システムに具体化した第3の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。この実施形態の認証システムは、第1デバイス10及び第2デバイス20とは別に第3デバイス60を備え、第3デバイス60が対象物の使用許可を行う点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0070】
図9に示されるように、机1には、第1デバイス10及び第2デバイス20とは異なる第3デバイス60が設けられている。第3デバイス60には、無線通信の制御を行う第3制御部61が設けられている。第3制御部61には、UHF帯の無線信号を受信可能な第3UHF受信部62が接続されている。また、第3制御部61は、パソコン4及びチェスト5に接続されている。第3制御部61には、パソコン4やチェスト5の使用許可を行う許可部61aが設けられている。なお、許可部61aが許可手段として機能する。
【0071】
本実施例では、電子キー3は、第1デバイス10から送信された第1リクエスト信号Srqを受信すると、第1IDコード信号Sid1を返信し、第2デバイス20から送信された第2リクエスト信号Srqを受信すると、第2IDコード信号Sid2を返信する。すなわち、電子キー3は、両リクエスト信号Srq1,Srq2の受信を待つことなく、受信した各リクエスト信号Srqに対応するそれぞれのIDコード信号Sid1,Sid2を送信する。なお、第1IDコード信号Sid1と第2IDコード信号Sid2とは、異なる信号である。
【0072】
第1デバイス10は、送信した第1リクエスト信号Srq1に対応して電子キー3から返信された第1IDコード信号Sid1を第1UHF受信部13で受信すると、ID照合を行う。第1デバイス10は、第1IDコード信号Sid1に含まれるIDコードと、自身のメモリ11aに記憶されたIDコードとを照らし合わせてID照合を行う。第1デバイス10は、ID照合が成立すると、パソコン4やチェスト5の使用を許可する第1許可信号Sp1を第1LF送信部12から送信する。
【0073】
同様に、第2デバイス20は、送信した第2リクエスト信号Srq2に対応して電子キー3から返信された第2IDコード信号Sid2を第2UHF受信部23で受信すると、ID照合を行う。第2デバイス20の照合部21bは、第2IDコード信号Sid2に含まれるIDコードと、自身のメモリ21aに記憶されたIDコードとを照らし合わせてID照合を行う。照合部21bは、ID照合が成立すると、パソコン4やチェスト5の使用を許可する第2許可信号Sp2を第2LF送信部22から送信する。
【0074】
第3デバイス60は、第1デバイス10から送信された第1許可信号Sp1と第2デバイス20から送信された第2許可信号Sp2との両方を第3UHF受信部62で受信すると、電子キー3が使用位置Auに位置すると判断する。そして、第3制御部61は、パソコン4やチェスト5のセキュリティを解除する。
【0075】
第3デバイス60の許可部61aは、第1許可信号Sp1と第2許可信号Sp2とを受信した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを解除することで使用を許可する。許可部61aは、使用を許可する第3許可信号Sp3をパソコン4及びチェスト5に出力する。パソコン4及びチェスト5は、第3デバイス60から第3許可信号Sp3が入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0076】
また、許可部61aは、リクエスト信号Srq1,リクエスト信号Srq2の間欠的な送信に合わせて、両許可信号Sp1,Sp2を受信しているか否かを定期的に確認する。そして、許可部61aは、両許可信号Sp1,Sp2を受信しない場合には、ユーザUが使用位置Auに位置しないと判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定することで使用を禁止する。
【0077】
次に、前述のように構成された認証システムの動作態様について図10を合わせて参照して説明する。ここで、ユーザUが図1及び図2に示す使用位置Au外から図3及び図4に示す使用位置Au内の椅子2に着席したとする。
【0078】
図10に示されるように、まず、第1デバイス10は、第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信している(ステップS21)。椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、使用位置Auに位置するので、第1リクエスト信号Srq1を受信し、第1IDコード信号Sid1を送信する(ステップS22)。すなわち、通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1を受信すると、UHF送信部33から第1IDコード信号Sid1を送信する。
【0079】
第1デバイス10は、電子キー3から送信された第1IDコード信号Sid1を受信すると、第1IDコード信号Sid1に含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS23)。そして、第1デバイス10は、ID照合が成立する(ステップS24)と、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する第1許可信号Sp1を出力する(ステップS25)。すなわち、照合部11bは、ID照合が成立したことで第1LF送信部12から第1許可信号Sp1を送信する。
【0080】
また、第2デバイス20は、第1リクエスト信号Srq1と異なるタイミングで第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信している(ステップS26)。椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、使用位置Auに位置するので、第2リクエスト信号Srq2を受信し、第2IDコード信号Sid2を送信する(ステップS27)。すなわち、通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1を受信すると、UHF送信部33から第2IDコード信号Sid2を送信する。
【0081】
第2デバイス20は、電子キー3から送信された第2IDコード信号Sid2を受信すると、第2IDコード信号Sid2に含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS28)。そして、第2デバイス20は、ID照合が成立する(ステップS29)と、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する第2許可信号Sp2を出力する(ステップS30)。すなわち、照合部21bは、ID照合が成立したことで第2LF送信部22から第2許可信号Sp2を送信する。
【0082】
続いて、本実施形態では、第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された許可信号Sp1,Sp2を第3デバイス60が受信する。第3デバイス60は、第3許可信号Sp3を出力する(ステップS31)。すなわち、許可部61aは、第1デバイス10から送信された第1許可信号Sp1及び第2デバイス20から送信された第2許可信号Sp2を受信すると、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、許可信号Spをパソコン4及びチェスト5に出力する。
【0083】
パソコン4及びチェスト5は、第3許可信号Sp3が入力されると、セキュリティの設定を解除することで使用を許可する(ステップS32,S33)。すなわち、パソコン4は、入力操作等が可能となる。また、チェスト5は、引出等が解錠される。
【0084】
そして、ユーザUが席を離れると、電子キー3が使用位置Au外に位置するので、各IDコード信号Sid1,Sid2の送信がなくなり、ID照合が成立しない。そして、各許可信号Sp1,Sp2の送信がなくなり、第3許可信号Sp3の出力がなくなる。よって、パソコン4及びチェスト5は、第3許可信号Sp3の入力がなくなるので、セキュリティを設定する。すなわち、パソコン4は、入力操作等が不可能となる。また、チェスト5は、引出等が施錠される。
【0085】
さて、本実施例の認証システム6は、ユーザUが電子キー3を携帯して机1と椅子2との間の使用位置Auに位置すると、電子キー3が各リクエスト信号Srq1,Srq2に応じてIDコード信号Sid1,Sid2をそれぞれ送信する。よって、電子キー3は、受信したリクエスト信号Srq1,Srq2に対して返信すればよく、両リクエスト信号Srq1,Srq2の受信を待つ必要がない。そして、第1デバイス10及び第2デバイス20は、受信したIDコード信号Sid1,Sid2のID照合が成立したことによって許可信号Sp1,Sp2を送信する。第3デバイス60は、第1許可信号Sp1及び第2許可信号Sp2の受信によってユーザUの位置確認を行い、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいて使用可能となる。よって、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0086】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、及び(4)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(6)第1デバイス10及び第2デバイス20が送信したリクエスト信号Srq1,Srq2に対して電子キー3が別々に返信したIDコード信号Sid1,Sid2のID照合結果に基づいて第1デバイス10及び第2デバイス20が許可信号Sp1,Sp2を送信する。そして、第1デバイス10及び第2デバイス20とは別の第3デバイスに設けられた許可部61aが第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された各許可信号Sp1,Sp2を受信したことに基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、電子キー3は、第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された両方のリクエスト信号Srq1,Srq2の受信を待たずに、各デバイス10,20からのリクエスト信号Srq1,Srq2に対してIDコード信号Sid1,Sid2をそれぞれ送信すればよいので、送信処理が容易である。
【0087】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記構成において、電子キー3の形状は、ユーザUが携帯できれば、どのような形状でもよい。例えば、電子キー3をカード形状としてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、ユーザUが椅子2に着席した状態でパソコン4及びチェスト5に届く範囲に電子キー3が無線信号を送信してキー通信エリアAkを形成した。しかしながら、電子キー3が送信する無線信号がパソコン4及びチェスト5に届く必要がなければ、狭い範囲にキー通信エリアAkを形成してもよい。ここで、電子キー3から送信される無線信号のキー通信エリアAkが狭いほどユーザUの位置把握が厳密になり、セキュリティ性を向上させることができる。
【0089】
・上記実施形態では、第1デバイス10を机1の天板の裏に設置するとともに、第2デバイス20を椅子2の座面の裏に設置したが、ユーザUの使用位置Auを挟むように任意の場所に設置してもよい。
【0090】
・上記実施形態では、机1と椅子2との間にユーザUが着席している状態を使用位置Auとしてセキュリティを解除するようにしたが、ユーザUの作業態様に合わせて使用位置Auを設定してもよい。
【0091】
・上記実施形態では、パソコン4とチェスト5をセキュリティの対象物としたが、キャビネット等の他のものを対象物としてもよい。
・上記実施形態では、本発明をオフィスのセキュリティに適用したが、オフィスに限らず、セキュリティが他の場所に適用してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…机、2…椅子、3…電子キー、4…対象物としてのパーソナルコンピュータ(パソコン)、5…対象物としてのチェスト、6…認証システム、10…第1デバイス、11…第1制御部、11a…メモリ、11b…照合部、11c…許可手段としての許可部、12…第1LF送信部、13…第1UHF受信部、20…第2デバイス、21…第2制御部、22…第2LF送信部、31…通信制御部、32…LF受信部、33…UHF送信部、A1…第1通信エリア、A2…第2通信エリア、Ak…キー通信エリア、Au…使用位置、Sid…IDコード信号、Srq1…第1リクエスト信号、Srq2…第2リクエスト信号、U…ユーザ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、該当者に対してのみ使用可能状態とする認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスのような環境では、ユーザがパーソナルコンピュータやチェスト等の対象物を使用する際に、第3者の使用を防ぐセキュリティ対策として使用権限のあるユーザのみが使用できるように認証システムを採用している。
【0003】
従来の認証システムとしては、ユーザがパスワードを入力することによって一時的にセキュリティが解除されるものがある(例えば、特許文献1参照)。このような認証システムでは、セキュリティを解除した後に解除状態を継続すると、セキュリティ性が低下するため、一定時間が経過すると、セキュリティが設定されて使用できなくなるものがある。
【0004】
また、パスワードの代わりに指紋や虹彩等の身体の一部を使った生体認証システムがある。生体認証システムにおいても、認証成立後セキュリティの解除状態を継続することは望ましくないので、上記同様に、一定時間が経過すると、セキュリティが設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−107956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の認証システムでは、パーソナルコンピュータを見ながら、書類を確認する等のパーソナルコンピュータを操作しない作業を行う際には、一定時間経過すると、セキュリティが設定されてパーソナルコンピュータ等が使用できなくなる。このような場合には、改めてパスワードを入力して、セキュリティを解除しなければならない。また、生体認証システムでは、身体の状態によって認証が成立しなくなることがある。そこで、セキュリティ性を維持しながら、利便性の良い認証システムが求められていた。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セキュリティ性を維持しながら、利便性の良い認証システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ユーザが携帯する電子キーとの無線通信に基づいて対象物の使用を許可する認証システムであって、ユーザが前記対象物を使用する際の位置を挟んで設置されるとともに、リクエスト信号を、該位置を含むように送信することで通信エリアを形成する第1デバイス及び第2デバイスと、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのどちらの通信エリアにも前記電子キーが位置していることを条件に、前記対象物の使用を許可する許可手段と、を備えたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、電子キーを携帯したユーザが対象物を使用する際には、第1デバイス及び第2デバイスが送信したリクエスト信号によって形成された各通信エリアのいずれにも電子キーが含まれることで、ユーザが使用位置にいることを確認することができる。そして、ユーザが使用位置にいることに基づいて対象物の使用を許可する。このため、ユーザが使用位置にいれば、ユーザの手を煩わすことなく、対象物の使用を許可することが可能となる。よって、ユーザが使用位置から外れれば、セキュリティが設定されるので、セキュリティ性を維持しながら、利便性を良くすることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された前記リクエスト信号を受信したことに基づいてIDコードを含むIDコード信号を送信し、前記許可手段は、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスから送信されたリクエスト信号を電子キーが受信した際に、電子キーがIDコード信号を送信し、許可手段が受信した該IDコード信号のID照合結果に基づいて対象物の使用を許可する。このため、電子キーから送信されたIDコード信号の受信によってユーザが使用位置にいるか否かを容易に判定することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、前記許可手段は、前記第1デバイス又は前記第2デバイスに設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスのそれぞれから送信されたリクエスト信号をいずれも受信したことに基づいて電子キーがIDコード信号を送信し、第1デバイス又は第2デバイスに設けられた許可手段がID照合結果に基づいて対象物の使用を許可する。このため、許可手段は、電子キーから送信されたIDコード信号を1つ受信すれば、ユーザが使用位置にいることを判定することが可能であり、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可手段が第1デバイス又は第2デバイスに設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、前記許可手段は、前記対象物に設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスのそれぞれから送信されたリクエスト信号をいずれも受信したことに基づいて電子キーがIDコード信号を送信し、対象物に設けられた許可手段がID照合結果に基づいて対象物の使用を許可する。このため、許可手段は、電子キーから送信されたIDコード信号を1つ受信すれば、ユーザが使用位置にいることを判定することが可能であり、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可手段が対象物に設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の認証システムにおいて、前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記リクエスト信号を受信した際に、各前記リクエスト信号に対して前記IDコード信号を別々に送信し、前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、送信した前記リクエスト信号に対して返信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する許可信号を送信し、前記許可手段は、前記第1デバイス及び前記第2デバイスとは別の第3デバイスに設けられ、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記許可信号をいずれも受信したことを条件に、前記対象物の使用を許可することをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、第1デバイス及び第2デバイスが送信したリクエスト信号に対して電子キーが別々に返信したIDコード信号のID照合結果に基づいて第1デバイス及び第2デバイスが許可信号を送信する。そして、第1デバイス及び第2デバイスとは別の第3デバイスに設けられた許可手段が第1デバイス及び第2デバイスから送信された各許可信号を受信したことに基づいて対象物の使用を許可する。このため、電子キーは、第1デバイス及び第2デバイスから送信された両方のリクエスト信号の受信を待たずに、各デバイスからのリクエスト信号に対してIDコード信号をそれぞれ送信すればよいので、送信処理が容易である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の認証システムにおいて、前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、机と椅子とのそれぞれに設置され、前記対象物は、パーソナルコンピュータ及びチェストの少なくとも一方であることをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、オフィスに適用した際に、ユーザが椅子に座ってユーザが携帯した電子キーが机と椅子との間に位置し、パーソナルコンピュータやチェストをユーザのみが使用できるように、セキュリティ性を維持しながら、利便性を良くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、認証システムにおいて、セキュリティ性を維持しながら、利便性を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ロック状態における認証システムの位置関係を示す側面図。
【図2】ロック状態における認証システムの位置関係を示す上面図。
【図3】アンロック状態における認証システムの位置関係を示す側面図。
【図4】アンロック状態における認証システムの位置関係を示す上面図。
【図5】認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図6】認証システムの認証処理を示すシーケンスチャート。
【図7】認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図8】認証システムの認証処理を示すシーケンスチャート。
【図9】認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図10】認証システムの認証処理を示すシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明をオフィスの認証システムに具体化した第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0023】
図1〜図4に示されるように、オフィスには、机1と椅子2とが設けられている。机1の天板上には、パーソナルコンピュータ(パソコン)4が設置されている。また、机1の天板下には、書類や物品を収納するチェスト5が設置されている。パソコン4及びチェスト5は、重要な情報が収納されているので、使用権限のあるユーザUのみが使用できるように認証システム6が設けられている。なお、パソコン4及びチェスト5が対象物に相当する。
【0024】
図1及び図2に示されるように、認証システム6は、ユーザUの使用権限が設定されたパソコン4やチェスト5の設置された机1からユーザUが離れた際には、パソコン4やチェスト5のセキュリティを設定する、すなわち使用を禁止する。
【0025】
また、図3及び図4に示されるように、認証システム6は、ユーザUの使用権限が設定されたパソコン4やチェスト5の設置された机1の椅子2にユーザUが着席、又は近傍に位置した際には、パソコン4やチェスト5のセキュリティを解除する、すなわち使用を許可する。
【0026】
ここで、パソコン4におけるセキュリティの設定とはパソコン4の操作が不可能な状態であって、パソコン4におけるセキュリティの解除とはパソコン4が操作可能な状態である。また、チェスト5におけるセキュリティの設定とはチェスト5が施錠された状態であって、チェスト5におけるセキュリティの解除とはチェスト5が解錠された状態である。
【0027】
図5に示されるように、認証システム6は、ユーザUが携帯する電子キー3がキー固有のIDコード信号Sidを送信し、電子キー3と机1及び椅子2との狭域無線通信によりID照合を実行する。電子キー3は、机1及び椅子2からの通信を契機に双方向通信を開始してID照合を行う。
【0028】
電子キー3には、無線通信の制御を行う通信制御部31が設けられている。通信制御部31は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ31aを備えている。通信制御部31には、LF(Low Frequency)帯の無線信号を受信可能なLF受信部32と、UHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を送信可能なUHF送信部33とが接続されている。電子キー3は、ユーザUが椅子2に着席した状態でパソコン4とチェスト5とを含む範囲(キー通信エリアAk)にIDコード信号Sidを送信する(図3及び図4参照)。
【0029】
図1〜図4に示されるように、机1には、電子キー3に対してIDコード信号Sidを要求する第1リクエスト信号Srq1を送信する第1デバイス10が天板の裏に設置されている。また、椅子2には、電子キー3に対してIDコード信号Sidを要求する第2リクエスト信号Srq2を送信する第2デバイス20が座面の裏に設置されている。
【0030】
図5に示されるように、第1デバイス10及び第2デバイス20は、自身から一定距離の範囲に第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2をそれぞれ送信する。第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2は、異なる無線信号であって、電子キー3が区別可能である。
【0031】
第1デバイス10には、無線通信の制御を行う第1制御部11が設けられている。第1制御部11は、電子キー3のIDコードが記憶されたメモリ11aを備えている。第1制御部11には、LF帯の無線信号を送信可能な第1LF送信部12と、UHF帯の無線信号を受信可能な第1UHF受信部13とが接続されている。また、第1制御部11は、パソコン4及びチェスト5に接続されている。第1デバイス10は、第1LF送信部12から無線信号を送信することで、ユーザUが使用位置にいるか否かを確認するための第1通信エリアA1を形成する(図1〜図4参照)。なお、第1通信エリアA1が通信エリアに相当する。
【0032】
第2デバイス20には、無線通信の制御を行う第2制御部21が設けられている。第2制御部21には、LF帯の無線信号を送信可能な第2LF送信部22が接続されている。第2デバイス20は、第2LF送信部22から無線信号を送信することで、ユーザUが使用位置にいるか否かを確認するための第2通信エリアA2を形成する(図1〜図4参照)。そして、第1通信エリアA1と第2通信エリアA2との重複エリアが使用位置Auに相当する(図1〜図4参照)。なお、第2通信エリアA2が通信エリアに相当する。
【0033】
第1制御部11は、第1LF送信部12から第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信させる。また、第2制御部21は、第2LF送信部22から第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信させる。なお、第1制御部11と第2制御部21とは、異なるタイミングが割り振られ、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2とを異なるタイミングで送信する。
【0034】
本実施形態では、パソコン4及びチェスト5には、第1制御部11が接続されている。第1制御部11は、ユーザUの位置に基づいてパソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定したり、解除したりする。
【0035】
電子キー3の通信制御部31は、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方をLF受信部32で受信すると、自身のメモリ31aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号SidをUHF送信部33から返信する。すなわち、通信制御部31は、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2とのいずれか一方のみ受信した際には、IDコード信号Sidを送信しない。
【0036】
第1制御部11は、電子キー3が返信するIDコード信号SidのIDコードと自身のメモリ11aに登録されたIDコードとを照らし合わせてID照合を行い、このID照合が成立することを確認すると、電子キー3が使用位置Auに位置すると判断する。そして、第1制御部11は、パソコン4やチェスト5のセキュリティを解除する。第1制御部11には、ID照合を行う照合部11bと、パソコン4やチェスト5の使用許可を行う許可部11cとが設けられている。なお、許可部11cが許可手段として機能する。
【0037】
照合部11bは、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidに含まれるIDコードがパソコン4やチェスト5の使用権限を持ったユーザUのものと一致するか否かを判定する、すなわちメモリ11aに記憶されたIDコードと照合する。許可部11cは、照合部11bの照合結果が成立した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを解除することで使用を許可する。許可部11cは、使用を許可する許可信号Spをパソコン4及びチェスト5に出力する。パソコン4及びチェスト5は、第1デバイス10から許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0038】
また、許可部11cは、第1リクエスト信号Srqの間欠的な送信に合わせて、定期的に照合部11bに対してID照合結果を問い合わせる。そして、許可部11cは、ID照合が成立しなかったり、ID照合結果が得られなかったりした場合には、ユーザUが使用位置Auに位置しないと判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定することで使用を禁止する。
【0039】
次に、前述のように構成された認証システムの動作態様について図6を合わせて参照して説明する。ここで、ユーザUが図1及び図2に示す使用位置Au外から図3及び図4に示す使用位置Au内の椅子2に着席したとする。
【0040】
図6に示されるように、第1デバイス10は、第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信している(ステップS1)。すなわち、第1制御部11は、第1LF送信部12から第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信することで第1通信エリアA1を形成する。また、第2デバイス20は、第1リクエスト信号Srq1と異なるタイミングで第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信している(ステップS2)。すなわち、第2制御部21は、第2LF送信部22から第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信することで第2通信エリアA2を形成する。
【0041】
椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、第1通信エリアA1と第2通信エリアA2との重複エリアである使用位置Auに位置するので、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信する。そして、電子キー3は、IDコード信号Sidを送信する(ステップS3)。通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信すると、UHF送信部33からIDコード信号Sidを送信する。
【0042】
ここで、電子キー3を携帯したユーザUが第1通信エリアA1又は第2通信エリアA2の一方のみに進入した際には、電子キー3は、第1リクエスト信号Srq1又は第2リクエスト信号Srq2の一方のみしか受信しないため、IDコード信号Sidを送信しない。
【0043】
第1デバイス10は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを受信すると、IDコード信号Sidに含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS4)。すなわち、照合部11bは、受信したIDコード信号Sidに含まれたIDコードと、自身のメモリ11aに記憶されたIDコードとを照合する。
【0044】
そして、第1デバイス10は、ID照合が成立する(ステップS5)と、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する許可信号Spを出力する(ステップS6)。すなわち、許可部11cは、照合部11bによるID照合が成立したことで、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、許可信号Spをパソコン4及びチェスト5に出力する。
【0045】
パソコン4及びチェスト5は、許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除することで使用を許可する(ステップS7,S8)。すなわち、パソコン4は、入力操作等が可能となる。また、チェスト5は、引出等が解錠される。
【0046】
そして、ユーザUが席を離れると、電子キー3が使用位置Au外に位置するので、IDコード信号Sidの送信がなくなり、ID照合が成立しない。よって、パソコン4及びチェスト5は、許可信号Spの入力がなくなるので、セキュリティを設定する。すなわち、パソコン4は、入力操作等が不可能となる。また、チェスト5は、引出等が施錠される。
【0047】
なお、該当するパソコン4及びチェスト5の使用権限を有しないユーザUが携帯する電子キー3が使用位置Auに位置した場合には、第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2のいずれも受信した電子キー3からIDコード信号Sidが送信される。しかしながら、第1制御部11は、ID照合が成立しないのでセキュリティの設定を維持する。
【0048】
さて、本実施例の認証システム6は、ユーザUが電子キー3を携帯して机1と椅子2との間の使用位置Auに位置するだけで、電子キー3から送信されたIDコード信号SidによってID照合が成立したことによって第1デバイス10が位置確認を行うことができる。そして、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいて第1デバイス10がパソコン4やチェスト5を使用可能とする。よって、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0049】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)電子キー3を携帯したユーザUがパソコン4及びチェスト5を使用する際には、第1デバイス10及び第2デバイス20が送信したリクエスト信号Srq1,Srq2によって形成された第1通信エリアA1及び第2通信エリアA2のいずれにも電子キー3が含まれることで、ユーザUが使用位置にいることを確認することができる。そして、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、ユーザUが使用位置Auにいれば、ユーザUの手を煩わすことなく、パソコン4及びチェスト5の使用を許可することができる。よって、ユーザUが使用位置から外れれば、セキュリティが設定されるので、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0050】
(2)第1デバイス10及び第2デバイス20から送信されたリクエスト信号Srq1,Srq2を電子キー3が受信した際に、電子キー3がIDコード信号Sidを送信し、第1デバイス10が受信した該IDコード信号SidのID照合結果に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidの受信によってユーザUが使用位置にいるか否かを容易に判定することができる。
【0051】
(3)第1デバイス10及び第2デバイス20のそれぞれから送信されたリクエスト信号Srq1,Srq2をいずれも受信したことに基づいて電子キー3がIDコード信号Sidを送信し、第1デバイス10に設けられた許可部11cがID照合結果に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、許可部11cは、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを1つ受信すれば、ユーザUが使用位置にいることを判定することができ、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可部11cが第1デバイス10に設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0052】
(4)オフィスに適用した際に、ユーザUが椅子2に座ってユーザUが携帯した電子キー3が机1と椅子2との間に位置し、パソコン4やチェスト5をユーザUのみが使用できるように、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
以下、本発明をオフィスの認証システムに具体化した第2の実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。この実施形態の認証システム6は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを対象物が受信して、対象物の使用許可を対象物自身が行う点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
図7に示されるように、パソコン4には、コントロールユニットとしての制御部41が設けられている。制御部41に設けられたメモリ41aには、電子キー3のIDコードが記憶されている。制御部41には、UHF帯の無線信号を受信可能なUHF受信部42が接続されている。
【0055】
また、チェスト5には、無線通信の制御を行う制御部51が設けられている。制御部51に設けられたメモリ51aには、電子キー3のIDコードが記憶されている。制御部51には、UHF帯の無線信号を受信可能なUHF受信部52が接続されている。
【0056】
電子キー3は、第1リクエスト信号Srq1及び第2リクエスト信号Srq2を受信すると、第1の実施形態と同様に、IDコード信号Sidを送信する。パソコン4及びチェスト5は、電子キー3から送信されたIDコード信号SidをUHF受信部42によって直接受信し、ID照合が成立すると使用を許可する。具体的には、パソコン4の制御部41の照合部41bは、受信したIDコード信号Sidに含まれるIDコードがパソコン4の使用権限を持ったユーザUのものと一致するか否かを判定する、すなわちメモリ41aに記憶されたIDコードと照合する。そして、許可部41cは、照合部41bの照合結果が成立した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、セキュリティを解除することで使用を許可する。パソコン4は、第1デバイス10から許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0057】
同様に、チェスト5の制御部51の照合部51bは、受信したIDコード信号Sidに含まれるIDコードがチェスト5の使用権限を持ったユーザUのものと一致するか否かを判定する、すなわちメモリ51aに記憶されたIDコードと照合する。そして、許可部51cは、照合部51bの照合結果が成立した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、セキュリティを解除することで使用を許可する。チェスト5は、第1デバイス10から許可信号Spが入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0058】
また、各許可部41c,51cは、定期的に照合部41b,51bに対してID照合結果を問い合わせ、ID照合が成立した場合には、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティの解除を維持する。一方、許可部41c,51cは、ID照合が成立しなかったり、ID照合結果が得られなかったりした場合には、ユーザUが使用位置Auに位置しないと判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定することで使用を禁止する。
【0059】
次に、前述のように構成された認証システムの動作態様について図8を合わせて参照して説明する。ここで、ユーザUが図1及び図2に示す使用位置Au外から図3及び図4に示す使用位置Au内の椅子2に着席したとする。
【0060】
図8に示されるように、第1の実施形態と同様に、第1デバイス10は、第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信している(ステップS11)。また、第2デバイス20は、第1リクエスト信号Srq1と異なるタイミングで第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信している(ステップS12)。
【0061】
椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、使用位置Auに位置するので、第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信し、IDコード信号Sidを送信する(ステップS13)。通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1と第2リクエスト信号Srq2との両方を受信すると、UHF送信部33からIDコード信号SidをユーザUが椅子2に着席した状態でパソコン4とチェスト5とを含む範囲に送信する。通信制御部31は、IDコード信号Sidを送信することで、キー通信エリアAkを形成する。
【0062】
続いて、本実施形態では、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidをパソコン4及びチェスト5が受信する。パソコン4は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを受信すると、IDコード信号Sidに含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS14)。すなわち、照合部41bは、受信したIDコード信号Sidに含まれたIDコードと、自身のメモリ41aに記憶されたIDコードとを照合する。
【0063】
そして、パソコン4は、ID照合が成立する(ステップS15)と、使用を許可する(ステップS16)。すなわち、許可部41cは、照合部41bによるID照合が成立したことで、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して使用を許可する。すなわち、パソコン4は、入力操作等を可能とする。
【0064】
チェスト5も同様に、チェスト5は、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを受信すると、IDコード信号Sidに含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS17)。すなわち、照合部51bは、受信したIDコード信号Sidに含まれたIDコードと、自身のメモリ51aに記憶されたIDコードとを照合する。
【0065】
そして、チェスト5は、ID照合が成立する(ステップS18)と、使用を許可する(ステップS19)。すなわち、許可部51cは、照合部51bによるID照合が成立したことで、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して使用を許可する。すなわち、チェスト5は、引出等を解錠する。
【0066】
そして、ユーザUが席を離れると、電子キー3が使用位置Au外に位置するので、IDコード信号Sidの送信がなくなり、ID照合が成立しない。よって、パソコン4及びチェスト5は、IDコード信号Sidの受信がなくなるので、セキュリティを設定する。すなわち、パソコン4は、入力操作等を不可能とする。また、チェスト5は、引出等を施錠する。
【0067】
さて、本実施例の認証システム6は、ユーザUが電子キー3を携帯して机1と椅子2との間の使用位置Auに位置するだけで、電子キー3から送信されたIDコード信号SidによってID照合が成立したことによってパソコン4及びチェスト5が位置確認をそれぞれ自ら行うことができる。そして、パソコン4及びチェスト5は、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいて使用可能となる。よって、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0068】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、及び(4)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(5)第1デバイス10及び第2デバイス20のそれぞれから送信されたリクエスト信号Srq1,Srq2をいずれも受信したことに基づいて電子キー3がIDコード信号Sidを送信し、パソコン4及びチェスト5に設けられた許可部41c,51cがID照合結果に基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、許可部41c,51cは、電子キー3から送信されたIDコード信号Sidを1つ受信すれば、ユーザUが使用位置にいることを判定することができ、複数の無線信号を受信しなくて済む。また、許可部41c,51cがパソコン4及びチェスト5に設けられるので、デバイスを新たに設ける必要がない。
【0069】
(第3の実施形態)
以下、本発明をオフィスの認証システムに具体化した第3の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。この実施形態の認証システムは、第1デバイス10及び第2デバイス20とは別に第3デバイス60を備え、第3デバイス60が対象物の使用許可を行う点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0070】
図9に示されるように、机1には、第1デバイス10及び第2デバイス20とは異なる第3デバイス60が設けられている。第3デバイス60には、無線通信の制御を行う第3制御部61が設けられている。第3制御部61には、UHF帯の無線信号を受信可能な第3UHF受信部62が接続されている。また、第3制御部61は、パソコン4及びチェスト5に接続されている。第3制御部61には、パソコン4やチェスト5の使用許可を行う許可部61aが設けられている。なお、許可部61aが許可手段として機能する。
【0071】
本実施例では、電子キー3は、第1デバイス10から送信された第1リクエスト信号Srqを受信すると、第1IDコード信号Sid1を返信し、第2デバイス20から送信された第2リクエスト信号Srqを受信すると、第2IDコード信号Sid2を返信する。すなわち、電子キー3は、両リクエスト信号Srq1,Srq2の受信を待つことなく、受信した各リクエスト信号Srqに対応するそれぞれのIDコード信号Sid1,Sid2を送信する。なお、第1IDコード信号Sid1と第2IDコード信号Sid2とは、異なる信号である。
【0072】
第1デバイス10は、送信した第1リクエスト信号Srq1に対応して電子キー3から返信された第1IDコード信号Sid1を第1UHF受信部13で受信すると、ID照合を行う。第1デバイス10は、第1IDコード信号Sid1に含まれるIDコードと、自身のメモリ11aに記憶されたIDコードとを照らし合わせてID照合を行う。第1デバイス10は、ID照合が成立すると、パソコン4やチェスト5の使用を許可する第1許可信号Sp1を第1LF送信部12から送信する。
【0073】
同様に、第2デバイス20は、送信した第2リクエスト信号Srq2に対応して電子キー3から返信された第2IDコード信号Sid2を第2UHF受信部23で受信すると、ID照合を行う。第2デバイス20の照合部21bは、第2IDコード信号Sid2に含まれるIDコードと、自身のメモリ21aに記憶されたIDコードとを照らし合わせてID照合を行う。照合部21bは、ID照合が成立すると、パソコン4やチェスト5の使用を許可する第2許可信号Sp2を第2LF送信部22から送信する。
【0074】
第3デバイス60は、第1デバイス10から送信された第1許可信号Sp1と第2デバイス20から送信された第2許可信号Sp2との両方を第3UHF受信部62で受信すると、電子キー3が使用位置Auに位置すると判断する。そして、第3制御部61は、パソコン4やチェスト5のセキュリティを解除する。
【0075】
第3デバイス60の許可部61aは、第1許可信号Sp1と第2許可信号Sp2とを受信した際に、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを解除することで使用を許可する。許可部61aは、使用を許可する第3許可信号Sp3をパソコン4及びチェスト5に出力する。パソコン4及びチェスト5は、第3デバイス60から第3許可信号Sp3が入力されると、セキュリティの設定を解除して使用を可能とする。
【0076】
また、許可部61aは、リクエスト信号Srq1,リクエスト信号Srq2の間欠的な送信に合わせて、両許可信号Sp1,Sp2を受信しているか否かを定期的に確認する。そして、許可部61aは、両許可信号Sp1,Sp2を受信しない場合には、ユーザUが使用位置Auに位置しないと判断して、パソコン4及びチェスト5のセキュリティを設定することで使用を禁止する。
【0077】
次に、前述のように構成された認証システムの動作態様について図10を合わせて参照して説明する。ここで、ユーザUが図1及び図2に示す使用位置Au外から図3及び図4に示す使用位置Au内の椅子2に着席したとする。
【0078】
図10に示されるように、まず、第1デバイス10は、第1リクエスト信号Srq1を間欠的に送信している(ステップS21)。椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、使用位置Auに位置するので、第1リクエスト信号Srq1を受信し、第1IDコード信号Sid1を送信する(ステップS22)。すなわち、通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1を受信すると、UHF送信部33から第1IDコード信号Sid1を送信する。
【0079】
第1デバイス10は、電子キー3から送信された第1IDコード信号Sid1を受信すると、第1IDコード信号Sid1に含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS23)。そして、第1デバイス10は、ID照合が成立する(ステップS24)と、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する第1許可信号Sp1を出力する(ステップS25)。すなわち、照合部11bは、ID照合が成立したことで第1LF送信部12から第1許可信号Sp1を送信する。
【0080】
また、第2デバイス20は、第1リクエスト信号Srq1と異なるタイミングで第2リクエスト信号Srq2を間欠的に送信している(ステップS26)。椅子2に着席したユーザUに携帯された電子キー3は、使用位置Auに位置するので、第2リクエスト信号Srq2を受信し、第2IDコード信号Sid2を送信する(ステップS27)。すなわち、通信制御部31は、LF受信部32で第1リクエスト信号Srq1を受信すると、UHF送信部33から第2IDコード信号Sid2を送信する。
【0081】
第2デバイス20は、電子キー3から送信された第2IDコード信号Sid2を受信すると、第2IDコード信号Sid2に含まれたIDコードに基づいてID照合を行う(ステップS28)。そして、第2デバイス20は、ID照合が成立する(ステップS29)と、パソコン4及びチェスト5の使用を許可する第2許可信号Sp2を出力する(ステップS30)。すなわち、照合部21bは、ID照合が成立したことで第2LF送信部22から第2許可信号Sp2を送信する。
【0082】
続いて、本実施形態では、第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された許可信号Sp1,Sp2を第3デバイス60が受信する。第3デバイス60は、第3許可信号Sp3を出力する(ステップS31)。すなわち、許可部61aは、第1デバイス10から送信された第1許可信号Sp1及び第2デバイス20から送信された第2許可信号Sp2を受信すると、ユーザUが使用位置Auに位置すると判断して、許可信号Spをパソコン4及びチェスト5に出力する。
【0083】
パソコン4及びチェスト5は、第3許可信号Sp3が入力されると、セキュリティの設定を解除することで使用を許可する(ステップS32,S33)。すなわち、パソコン4は、入力操作等が可能となる。また、チェスト5は、引出等が解錠される。
【0084】
そして、ユーザUが席を離れると、電子キー3が使用位置Au外に位置するので、各IDコード信号Sid1,Sid2の送信がなくなり、ID照合が成立しない。そして、各許可信号Sp1,Sp2の送信がなくなり、第3許可信号Sp3の出力がなくなる。よって、パソコン4及びチェスト5は、第3許可信号Sp3の入力がなくなるので、セキュリティを設定する。すなわち、パソコン4は、入力操作等が不可能となる。また、チェスト5は、引出等が施錠される。
【0085】
さて、本実施例の認証システム6は、ユーザUが電子キー3を携帯して机1と椅子2との間の使用位置Auに位置すると、電子キー3が各リクエスト信号Srq1,Srq2に応じてIDコード信号Sid1,Sid2をそれぞれ送信する。よって、電子キー3は、受信したリクエスト信号Srq1,Srq2に対して返信すればよく、両リクエスト信号Srq1,Srq2の受信を待つ必要がない。そして、第1デバイス10及び第2デバイス20は、受信したIDコード信号Sid1,Sid2のID照合が成立したことによって許可信号Sp1,Sp2を送信する。第3デバイス60は、第1許可信号Sp1及び第2許可信号Sp2の受信によってユーザUの位置確認を行い、ユーザUが使用位置Auにいることに基づいて使用可能となる。よって、セキュリティを維持しながら、利便性を良くすることができる。
【0086】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、及び(4)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(6)第1デバイス10及び第2デバイス20が送信したリクエスト信号Srq1,Srq2に対して電子キー3が別々に返信したIDコード信号Sid1,Sid2のID照合結果に基づいて第1デバイス10及び第2デバイス20が許可信号Sp1,Sp2を送信する。そして、第1デバイス10及び第2デバイス20とは別の第3デバイスに設けられた許可部61aが第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された各許可信号Sp1,Sp2を受信したことに基づいてパソコン4及びチェスト5の使用を許可する。このため、電子キー3は、第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された両方のリクエスト信号Srq1,Srq2の受信を待たずに、各デバイス10,20からのリクエスト信号Srq1,Srq2に対してIDコード信号Sid1,Sid2をそれぞれ送信すればよいので、送信処理が容易である。
【0087】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記構成において、電子キー3の形状は、ユーザUが携帯できれば、どのような形状でもよい。例えば、電子キー3をカード形状としてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、ユーザUが椅子2に着席した状態でパソコン4及びチェスト5に届く範囲に電子キー3が無線信号を送信してキー通信エリアAkを形成した。しかしながら、電子キー3が送信する無線信号がパソコン4及びチェスト5に届く必要がなければ、狭い範囲にキー通信エリアAkを形成してもよい。ここで、電子キー3から送信される無線信号のキー通信エリアAkが狭いほどユーザUの位置把握が厳密になり、セキュリティ性を向上させることができる。
【0089】
・上記実施形態では、第1デバイス10を机1の天板の裏に設置するとともに、第2デバイス20を椅子2の座面の裏に設置したが、ユーザUの使用位置Auを挟むように任意の場所に設置してもよい。
【0090】
・上記実施形態では、机1と椅子2との間にユーザUが着席している状態を使用位置Auとしてセキュリティを解除するようにしたが、ユーザUの作業態様に合わせて使用位置Auを設定してもよい。
【0091】
・上記実施形態では、パソコン4とチェスト5をセキュリティの対象物としたが、キャビネット等の他のものを対象物としてもよい。
・上記実施形態では、本発明をオフィスのセキュリティに適用したが、オフィスに限らず、セキュリティが他の場所に適用してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…机、2…椅子、3…電子キー、4…対象物としてのパーソナルコンピュータ(パソコン)、5…対象物としてのチェスト、6…認証システム、10…第1デバイス、11…第1制御部、11a…メモリ、11b…照合部、11c…許可手段としての許可部、12…第1LF送信部、13…第1UHF受信部、20…第2デバイス、21…第2制御部、22…第2LF送信部、31…通信制御部、32…LF受信部、33…UHF送信部、A1…第1通信エリア、A2…第2通信エリア、Ak…キー通信エリア、Au…使用位置、Sid…IDコード信号、Srq1…第1リクエスト信号、Srq2…第2リクエスト信号、U…ユーザ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する電子キーとの無線通信に基づいて対象物の使用を許可する認証システムであって、
ユーザが前記対象物を使用する際の位置を挟んで設置されるとともに、リクエスト信号を、該位置を含むように送信することで通信エリアを形成する第1デバイス及び第2デバイスと、
前記第1デバイス及び前記第2デバイスのどちらの通信エリアにも前記電子キーが位置していることを条件に、前記対象物の使用を許可する許可手段と、を備えた
ことを特徴とする認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された前記リクエスト信号を受信したことに基づいてIDコードを含むIDコード信号を送信し、
前記許可手段は、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、
前記許可手段は、前記第1デバイス又は前記第2デバイスに設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項4】
請求項2に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、
前記許可手段は、前記対象物に設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項5】
請求項2に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記リクエスト信号を受信した際に、各前記リクエスト信号に対して前記IDコード信号を別々に送信し、
前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、送信した前記リクエスト信号に対して返信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する許可信号を送信し、
前記許可手段は、前記第1デバイス及び前記第2デバイスとは別の第3デバイスに設けられ、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記許可信号をいずれも受信したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の認証システムにおいて、
前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、机と椅子とのそれぞれに設置され、
前記対象物は、パーソナルコンピュータ及びチェストの少なくとも一方である
ことを特徴とする認証システム。
【請求項1】
ユーザが携帯する電子キーとの無線通信に基づいて対象物の使用を許可する認証システムであって、
ユーザが前記対象物を使用する際の位置を挟んで設置されるとともに、リクエスト信号を、該位置を含むように送信することで通信エリアを形成する第1デバイス及び第2デバイスと、
前記第1デバイス及び前記第2デバイスのどちらの通信エリアにも前記電子キーが位置していることを条件に、前記対象物の使用を許可する許可手段と、を備えた
ことを特徴とする認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された前記リクエスト信号を受信したことに基づいてIDコードを含むIDコード信号を送信し、
前記許可手段は、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、
前記許可手段は、前記第1デバイス又は前記第2デバイスに設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項4】
請求項2に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスのそれぞれから送信された前記リクエスト信号をいずれも受信した際に、前記IDコード信号を送信し、
前記許可手段は、前記対象物に設けられ、前記電子キーから送信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項5】
請求項2に記載の認証システムにおいて、
前記電子キーは、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記リクエスト信号を受信した際に、各前記リクエスト信号に対して前記IDコード信号を別々に送信し、
前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、送信した前記リクエスト信号に対して返信された前記IDコード信号に含まれるIDコードによるID照合が成立したことを条件に、前記対象物の使用を許可する許可信号を送信し、
前記許可手段は、前記第1デバイス及び前記第2デバイスとは別の第3デバイスに設けられ、前記第1デバイス及び前記第2デバイスから送信された各前記許可信号をいずれも受信したことを条件に、前記対象物の使用を許可する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の認証システムにおいて、
前記第1デバイス及び前記第2デバイスは、机と椅子とのそれぞれに設置され、
前記対象物は、パーソナルコンピュータ及びチェストの少なくとも一方である
ことを特徴とする認証システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−14952(P2013−14952A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148823(P2011−148823)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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