説明

認証方法及び認証システム

【課題】 事前の契約等の手続きなしに手軽に無線LANサービスを利用できるようにする。
【解決手段】 本発明による認証方法は、利用者が無線LANに接続しようとする端末から認証情報を入力して認証サーバに送信する認証情報送信ステップと、その認証情報を受信した認証サーバが、利用者の携帯電話機に対してURLを送信するステップと、利用者がそのURLのWebサイトに携帯電話機からアクセスして電話番号を送信するステップと、認証サーバが認証情報と電話番号とを照合することにより端末に無線LANサービスの利用を許可するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを利用するための認証方法及び認証システムに関する。本発明は特に、無線LANを利用するための認証方法及び認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駅や店舗などに設置されたアクセスポイントを介して無線でインターネットに接続することを可能にする公衆無線LANサービスが拡大しつつある。ユーザが公衆無線LANサービスを利用するための手続きには、以下のような種類がある。
(1)ユーザは公衆無線LANサービスを提供するプロバイダに対して加入手続を行う。プロバイダは各ユーザに固有のIDとパスワードを発行してユーザに提供する。この場合、ユーザは加入手続とIDとパスワードの管理とを行う手間がかかる。
(2)ユーザは所定の店舗でプリペイドカードを購入し、プリペイドカードに記載されたIDを端末装置から入力する。この場合ユーザは、プリペイドカードを事前に購入する必要がある。更に、残額を気にしながら利用することになる。
(3)ユーザは手持ちのクレジットカードの番号を端末装置から入力する。この場合、クレジットカードの情報が漏洩するのではないかという心配から、ユーザが利用を躊躇する場合が考えられる。
【0003】
更に、無線LAN端末装置と携帯電話を所持しているユーザが無線LANサービスを利用するための認証方法として、次のようなものがある。ユーザは、携帯電話の電話番号を無線LAN端末装置から入力し認証要求を送信する。無線LANサービス提供者は、受信した電話番号に対してパスワードを送信する。ユーザは、受信したパスワードを無線LAN端末装置から入力する。無線LANサービス提供者は、ユーザの無線LAN端末装置を通信ネットワークに接続する。この場合、ユーザは毎回異なるパスワードを入力する手間をかける必要がある。
【0004】
更に、無線LANを利用するために、携帯電話のSIMカードを用いた認証を用いる方法が可能である。この場合、利用する度にSIMカードを携帯電話から抜き取る手間がかかる。更に、こうしたSIM認証をサポートするためには、公衆無線LANのインフラに変更を加える必要がある。
【0005】
特許文献1には、公衆通信回線を利用したデータ通信を介して端末装置からの商品またはサービスの予約を受け付けるオンライン予約システムであって、前記端末装置に固有の端末固有情報と、該オンライン予約システムを利用可能な顧客情報とを関連づけて記憶する顧客データベースと、前記端末装置から発信された端末固有情報を取得する取得手段と、該端末固有情報が、前記顧客データベースに登録されたデータである場合に、前記予約を受け付ける予約認証手段とを備えるオンライン予約システムが開示されている。
【0006】
特許文献2には、顧客の注文内容および通信端末の識別情報を含む注文データを受け付ける注文受付手段と、前記識別情報から特定される通信端末に通信回線を接続する通信接続手段と、前記通信端末により、前記顧客から前記注文内容の認証を受ける認証手段と、前記注文内容の料金を精算する清算手段と、を備えることを特徴とする電子決済システムが開示されている。
【0007】
特許文献3には、インターネットに代表される通信回線に接続されて備えられるユーザー端末装置からアクセスするためのサーバーシステムであって、前記のサーバーシステムは、ユーザー端末装置からの通信回線を介しての接続に際し発信者番号の判定が可能であり、ユーザーの個人情報及び課金情報を記憶するユーザーデータベースと、認証処理に用いるブラックリスト情報を記憶するブラックリストデータベースと、ユーザー登録処理、認証処理、課金処理等を行う制御手段とを備え、ユーザーがユーザー端末装置が用いる通信回線の電話番号を含む個人情報をあらかじめ前記のユーザーデータベースに登録する処理と、ユーザー端末装置から前記のサーバーシステムにアクセスし、発信者電話番号を通知する処理と、通知された発信者電話番号を含む個人情報に基づき認証処理を行う処理と、認証が正常に行われた場合には、有料サービス等の提供を可能にすると共に、有料サービス等の提供に対する料金が発生した場合の課金情報を管理する処理とを行うことを特徴とする、オンライン後払い決済のためのサーバーシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2001−350999号公報
【特許文献2】特開2002−123759号公報
【特許文献3】特開2002−373293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無線LANは、いろいろな場所に設置されているアクセスポイントからいつでも手軽にインターネットに接続することを可能にする。この特徴を生かすためには、無線LANサービスを利用するための認証手続きができるだけ手軽なものであることが好ましい。特に、プロバイダとの契約などの事前の登録手続きを必要としない認証手続きが提供されることが好ましい。
【0009】
本発明の目的は、利用者が手軽に公衆無線LANを利用できるようにする認証方法及び認証システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明による認証方法は、第1端末装置(5)から認証情報(33)を入力して認証システム(2、3)に送信する認証情報送信ステップ(S1)と、認証情報(33)を受信した認証システム(2、3)が第2端末装置(4)に対して通信ネットワークにおけるアドレスである認証アドレス(32)を送信するステップ(S4)と、第2端末装置(4)が認証アドレス(32)に信号を送信するとき、第2端末装置(4)の通信ネットワークにおけるアドレスに対応する固有情報(34)を共に送信するステップ(S5)と、認証システム(2、3)が認証情報(33)と固有情報(34)とを照合することにより第1端末装置(5)に所定のサービスの利用を許可するステップ(S8)とを備える。
【0012】
本発明による認証方法の認証情報送信ステップ(S1)において認証情報(33)は無線LANを用いて送信され、所定のサービスは無線LANである。
【0013】
本発明による認証方法において、固有情報(34)は電話番号である。
【0014】
本発明による認証方法において、アドレス(32)はURL(Uniform Resource Locator)である。
【0015】
本発明による認証システム(2、3)は、端末装置(5)から入力された電話番号(33)を無線LANのアクセスポイント(1)を介して受信する受信部(221)と、電話番号(34)が割り当てられている電話機(4)に対して、URL(Uniform Resource Locator)の情報を含む電子メールを送信するURL送信部(321)と、電話機(4)からURL(32)により特定されるWebページ(21)に対してアクセスがあったときに端末装置(5)に対して無線LANを用いて通信ネットワーク(7)を使用する許可を与える認証部とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利用者が手軽に公衆無線LANを利用できるようにする認証方法及び認証システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明による認証方法及び認証システムを実施するための最良の形態について説明する。本実施の形態における認証方法及び認証システムは、公衆無線LANへの接続要求を発信する端末装置に対して、接続の認証を行うために好適に用いられる。
【0018】
図1は、認証システムの構成を示す。認証システムは、移動体通信網6を介して携帯電話などの移動端末と通信可能な認証サーバ3を備える。認証システムは更に、認証サーバ3と通信可能に接続されたアクセスサーバ2を備える。アクセスサーバ2は、端末装置が公衆無線LANを介してインターネット7に接続するときの接続処理を行う。アクセスサーバ2は、複数のAP(アクセスポイント)1と通信可能に接続される。
【0019】
本実施の形態における認証システムによって公衆無線LANを介したインターネットのサービスを利用しようとする利用者は、携帯電話4とPC5とを所持する。PC5は、パーソナルコンピュータ、PDAに例示される通信端末装置である。
【0020】
図2は、アクセスサーバ2の構成を示す。アクセスサーバ2は、CPU210、記憶部220、入力部230、出力部240及び通信部250を備える。記憶部220は、受信プログラム221を記憶する。
【0021】
図3は、認証サーバ3の構成を示す。認証サーバ3は、CPU310、記憶部320、入力部330、出力部340及び通信部350を備える。
【0022】
図4は、記憶部320が記憶するデータを示す。記憶部320は、URL送信プログラム321、認証プログラム322、Webページ323及び認証テーブル30を記憶する。
【0023】
図5は、認証テーブル30の構成を示す。認証テーブル30は、受付番号31と、URL32と、PCからの電話番号33と、携帯からの電話番号34とを対応づけて格納する。
【0024】
次に、図6を参照しながら、認証システムの動作について説明する。以下の説明において、CPUが記憶部に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムに記述された手順に従って実行する動作は、そのプログラム自身が行う動作として記述される。
【0025】
まず、携帯電話4とPC5とを所持する利用者は、AP1による通信が可能な範囲である公衆無線LANスポット8の領域内に入る。利用者はPC5の入力装置に対して公衆無線LANの使用を要求する所定の操作を行う。すると受信プログラム221は、ID(識別子)の入力を促す入力欄を有するWebページをPC5に送信する。PC5はそのWebページを表示装置によって表示する。利用者が表示されたWebページを参照し、その入力欄に自分が所持する携帯電話4の電話番号を入力して所定の操作を行うと、入力された電話番号の情報を含む認証要求がアクセスサーバ2に送信される(ステップS1)。
【0026】
アクセスサーバ2は受信した認証要求を認証サーバ3に転送する(ステップS2)。
【0027】
認証サーバ3は、認証要求を受信すると、その認証要求を個別に特定するための受付番号31を発行し、認証テーブル30に保存する。さらに、その認証要求に含まれる電話番号をPCからの電話番号34として認証テーブル30に保存する。認証サーバ3は、利用確認用のWebページ323を作成し、記憶部320に保存する。そのWebページ323のURLは、認証テーブル30にURL32として保存される。利用確認用のWebページ323は、利用場所と利用料金の情報を表示し、さらに確認用の電話番号入力フォームを表示する(ステップS3)。図8には、利用確認用のWebページ323の一例が利用確認用Webページ21として示されている。利用確認用Webページ21は電話番号入力フォーム22を有している。
【0028】
URL送信プログラム321は、作成したWebページ323のURLを、アクセスサーバ2に認証要求を送信した携帯電話4に対して通知する。その通知は、例えばSMS(Short Message Service)を使用して行われる(ステップS4)。図8には、URL送信プログラム321が送信するSMSの一例が、URL通知SMS11として示されている。URL通知SMS11には、URL12が表示される。
【0029】
利用者は、携帯電話4に着信したURL通知SMS11を見ると、そこに表示されているURL12にアクセスする。利用者は、そのURL12をアドレスとする利用確認用Webページ21を見て、内容を確認し、電話番号入力フォーム22に携帯電話4の電話番号を入力して送信する(ステップS5)。
【0030】
認証サーバ3は、受信した電話番号を携帯からの電話番号34として認証テーブル30に保存する。認証プログラム322は、PCからの電話番号33と携帯からの電話番号34とを照合し、一致した場合は認証が成功したことを示す認証信号を生成してアクセスサーバ2に送信する。一致しなかった場合は認証が成功しなかったことを示す非認証信号を生成してアクセスサーバ2に送信する(ステップS6)。
【0031】
アクセスサーバ2は、認証サーバ3から認証信号を受信すると、認証が完了したことを示す情報をPC5に送信する。アクセスサーバ2は、認証サーバ3から非認証信号を受信すると、認証が不成立であったことを示す情報をPC5に送信する(ステップS7)。
【0032】
利用者は、PC5が認証が完了したことを示す情報を受信すると、PC5を用いてインターネット7の利用を開始する(ステップS8)。
【0033】
図7は、PC5、AP1、アクセスサーバ2及び認証サーバ3の相互の信号の授受を時系列的に示すシーケンス図である。この図7を用いて、以上に説明した動作を重ねて説明する。
【0034】
携帯電話4とPC5とを所持する利用者は、公衆無線LANスポット8においてPC5からインターネット7にアクセスするようにアクセス要求を送信する。アクセス要求は、アクセスサーバ2に送信される(ステップS10)。
【0035】
アクセスサーバ2の受信プログラム221は、ログインページへリダイレクトする。すなわち、PC5の入力装置から携帯電話4の電話番号を入力するように促す入力欄を備えた表示画面をPC5に送信する(ステップS12)。
【0036】
利用者が入力欄に携帯電話4の電話番号を入力し、所定の操作を行うと、入力された電話番号を含む認証要求がアクセスサーバ2に送信される(ステップS14)。
【0037】
アクセスサーバ2は、受信した認証要求を認証サーバ3に転送する(ステップS16)。
【0038】
認証サーバ3のURL送信プログラム321は、認証要求を受信すると、受付番号31を発行して、認証要求に含まれているPCからの電話番号33とともに認証テーブル30に保存する。URL送信プログラム321は更に、Webページ323を生成し、そのURL32を認証テーブル30に保存する。異なる受付番号31に対応するURL32は、互いに異なる。URL送信プログラム321は、PCからの電話番号33を電話番号として、移動体通信網6を用いた通信を行い、URL32を送信する(ステップS18)。
【0039】
利用者は、携帯電話4が受信したURLに、携帯電話4を用いてアクセスする。利用者は、そのURLをアドレスとする利用確認用Webページ21を見て、電話番号入力フォーム22に携帯電話4の電話番号を入力し、認証サーバ3に送信する(ステップS20)。
【0040】
認証プログラム322は、携帯電話4から受信した電話番号を携帯からの電話番号34として認証テーブル30に保存する。認証プログラム322は、PCからの電話番号33と携帯からの電話番号34とを照合する。認証プログラム322は、照合の結果が一致すると、認証が成功したことを示す認証信号を生成してアクセスサーバ2に送信する(ステップS22)。
【0041】
アクセスサーバ2は、認証信号を受信すると、利用者がPC5から公衆無線LANを介してインターネット7を利用することに対する課金を開始し、そのことを示す情報を認証サーバ3に送信する(ステップS24)。
【0042】
アクセスサーバ2は、PC5に対して所定のURLによって指定されたページがスタートページとして表示されるようにPC5にURLを送信する(ステップS26)。
【0043】
利用者は、PC5にスタートページが表示された状態から、インターネットの利用を開始する(ステップS28)。
【0044】
本実施の形態の変形例として、ステップS20において利用者が携帯電話の電話番号を入力することに替えて、次のような処理を採用することが可能である。認証サーバ3は、SMS等によって利用確認ページのURLを携帯電話4に送付するときに、PCからの電話番号33をそのURLに埋め込む。例えば、PCからの電話番号33が「09012345678」であれば、その電話番号を含む次のようなURLを生成する。
URL:http://www.wlanspot.com/confirm_page_09012345678
これにより、当該URLにアクセスするだけでアクセス元の携帯電話4の電話番号が認証サーバ3に送信され、利用者が手動で携帯電話番号を入力する手間が省略される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、認証システムの構成を示す。
【図2】図2は、アクセスサーバの構成を示す。
【図3】図3は、認証サーバの構成を示す。
【図4】図4は、認証サーバの記憶部に記憶されているデータを示す。
【図5】図5は、認証テーブルの構成を示す。
【図6】図6は、認証システムの動作を説明するための図である。
【図7】図7は、認証システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図8】図8は、ショートメッセージサービスとWebページの画面例を示す。
【符号の説明】
【0046】
1…AP(アクセスポイント)
2…アクセスサーバ
3…認証サーバ
4…携帯電話
5…PC
6…移動体通信網
7…インターネット
8…公衆無線LANスポット
11…URL通知SMS
12…URL
21…利用確認用Webページ
22…電話番号入力フォーム
30…認証テーブル
31…受付番号
32…URL
33…PCからの電話番号
34…携帯からの電話番号
210…CPU
220…記憶部
221…受信プログラム
230…入力部
240…出力部
250…通信部
310…CPU
320…記憶部
321…URL送信プログラム
322…認証プログラム
323…Webページ
330…入力部
340…出力部
350…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末装置から認証情報を入力して認証システムに送信する認証情報送信ステップと、
前記認証情報を受信した前記認証システムが第2端末装置に対して通信ネットワークにおけるアドレスである認証アドレスを送信するステップと、
前記第2端末装置が前記認証アドレスに信号を送信するとき、前記第2端末装置の通信ネットワークにおけるアドレスに対応する固有情報を共に送信するステップと、
前記認証システムが前記認証情報と前記固有情報とを照合することにより前記第1端末装置に所定のサービスの利用を許可するステップ
とを具備する
認証方法。
【請求項2】
請求項1に記載された認証方法であって、
前記認証情報送信ステップにおいて前記認証情報は無線LANを用いて送信され、
前記所定のサービスは前記無線LANである
認証方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された認証方法であって、
前記固有情報は電話番号である
認証方法。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1項に記載された認証方法であって、
前記アドレスはURL(Uniform Resource Locator)である
認証方法。
【請求項5】
端末装置から入力された電話番号を無線LANのアクセスポイントを介して受信する受信部と、
前記電話番号が割り当てられている電話機に対して、URL(Uniform Resource Locator)の情報を含む電子メールを送信するURL送信部と、
前記電話機から前記URLにより特定されるWebページに対してアクセスがあったときに前記端末装置に対して前記無線LANを用いて通信ネットワークを使用する許可を与える認証部
とを具備する
認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−268641(P2006−268641A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88226(P2005−88226)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】