説明

認証物の真贋を判定するコンピュータシステム。認証物

独自性を備えたアナログチップを備えた認証物と、第1情報処理部は、アナログチップを観測してチップ解析データ(Ka)を生成する複数の観測方法の内の少なくとも一つの観測方法を備えた観測部と、チップ解析データ(Ka)からチップ符号データ(F)を生成するアナログチップ符号化部を有し、第2情報処理部はチップデータ(Ta)を記憶するアナログチップデータベースと、このアナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出して、このチップデータ(Ta)と前記チップ符号データ(F)とを照合して真贋を判定する符号判定部と、アナログチップ番号(T)と判定結果とを関連付けて記憶する判定情報記憶部とを備えたことを特徴とする前記認証物の真贋判定システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の要素を備えたアナログ情報を有するチップと、このチップの活用法を開示するものであって。特には、ICカード、クレジット・カード、キャッシュ・カード、プリペイド・カード、磁気カード等のカード類と、診察券、保険証、鉄道業、保険者、社会保険・社会福祉、地元商店街組合、各種商品卸売業、次世代ICカード、自治体、電気通信業、電子マネー、ネットワーク等の、会員証の本人認証における所有物認証に係わる。
また、車のキー、家のキー、コインロッカーのキー等にも応用が可能な認証物に関わる。
【背景技術】
【0002】
現代社会において、クレジットカード、IDカード、キー(鍵)など、セキュリティに関して本人認証は重要な役割を担っている。
この本人認証の方式には、大きく分けると、
イ.知っていること(something you know)(暗証番号)
ロ.持っていること(something you have)(所有物認証)
ハ.生体個別の特徴(行動認証を含む)を有すること(something you are)(生体認証)
の3つがあり、これらは相互に補完して高いレベルのセキュリティを構築するが、特に「持っていること」によって証明される所有物認証の具体例としては、従来、磁気カード、ICチップなど様々な方法が提案されている。
【0003】
前記本人認証における所有物認証の認証物として、モアレ縞を利用して秘密画像を隠しパターン化し、そのパターンの上に干渉画像形成体を被せると秘密画像が出現するように構成してカード等の真贋判定を行う従来例が提案されている。
しかしながら、モアレ縞を真贋判定に用いる発明は、予定されている秘密画像を干渉画像形成体を利用して可視化するものであるので、秘密画像を可視化する干渉画像形成体は1つの種類しかなかった。
従って、干渉画像形成体もしくは、干渉画像形成体を備えた真贋判定装置が外部に流出したり、カードが不正に横流しされた場合などには、カードを含めたシステム全体を変更しなければ成らないので、認証システムが増大すると共に不正に対応するコストも増大するという問題があった。
【0004】
また、従来、最もセキュリティレベルが高いとされるICチップにおいては、ICチップのセキュリティの基本は記録するデータをいかに保護するかにあって、このデータが外部の人間に漏れたり解析されたりすると、認証物(ICカード)が簡単に偽造されてしまう。従って、このデータを保護するためにICカードに対する不正なアクセスを防止するために、ハードウェア技術による耐タンパ性の向上や、ソフトウェア技術による暗号化(公開鍵等)、利用者の認証、アクセス管理(データの保護等)や、システム技術によるリスク管理等の高度な技術を必要とされている。
このことは、ICチップを利用する認証物のセキュリティシステムの巨大化と複雑化を招き、ICチップの場合には真贋判定の結果によって得られる価値(例えば、小規模な店舗が発行するポイント等)が低い場合であっても、非常に高度な技術を有する端末装置とセキュリティ管理が要求され、ひいてはICカードを広く普及させる為の阻害要因の一つとなっていた。
【0005】
【特許文献1】特開2002−279480
【特許文献2】特許第2644812
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、本人認証において「持っていること」の役割に注目し、複製が難しく且つ安価にセキュリティシステムを構築可能なアナログチップを備えた認証物の真贋判定システムを提供することを目的とする。
【0007】
更に、それぞれが独立した認証システムにおいて、被解析物を解析する手段、符号化方法等の一つ若しくは全てを、それぞれに備えることを可能とすることで、各認証システムの独立性を保証すると同時に、それぞれが独自性を有する複数の認証システムにアクセスできることを可能とする認証物を提供することを課題とする。
【0008】
また、本件発明においては、認証物の真正性を証明する方法に複製が極めて困難であり、且つ、記録されたデータの保護を必要としないアナログチップを認証物に採用し、このアナログチップを観測してデータを得、そのデータを認証することによって認証物の真正性を証明することによって。従来のICカード等におけるセキュリティの複雑化と言うリスクを回避しうる認証システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件第1の発明では、独自性を備えたアナログチップと、このアナログチップを特定するアナログチップ番号(T)を備えた認証物と、第1情報処理部は、前記アナログチップを観測してチップ解析データ(Ka)を生成する複数の観測方法の内の少なくとも一つの観測方法を備えた観測部と接続されると共に、前記チップ解析データ(Ka)からチップ符号データ(F)を生成するアナログチップ符号化部を有し、第2情報処理部は、前記アナログチップ番号(T)に関連付けられたチップデータ(Ta)を記憶するアナログチップデータベースと、前記第1情報処理部から前記アナログチップ番号(T)と前記チップ符号データ(F)とが送信されてくると、前記アナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出して、このチップデータ(Ta)と前記チップ符号データ(F)とを照合して真贋を判定する符号判定部と、前記符号判定部において前記チップ符号データ(F)の真贋が判定されると、前記チップ符号データ(F)を特定する前記アナログチップ番号(T)と判定結果とが関連付けられて記憶される判定情報記憶部とを備えたことを特徴とする前記認証物の真贋判定システムとした。
【0010】
本件第2の発明では、請求項1の発明において、前記第1情報処理部は、前記観測方法を特定する観測手段データ(A)を有し、前記第2情報処理部は、前記第1情報処理部から前記アナログチップ番号(T)と前記チップ符号データ(F)と前記観測手段データ(A)とを有する符号データ群が送信されてくると、前記第2情報処理部の符号判定部がアナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出す際に、観測手段データ(A)と前記アナログチップ番号(T)とに関連付けされた前記チップデータ(Ta)を読み出すことを特徴とする前記認証物の真贋判定システムとした。
【0011】
本件第3の発明では。請求項1の発明において、前記第1情報処理部は、前記チップ解析データ(Ka)を符号化する複数の符号化方法データ(a)と、前記符号化方法データ(a)の内の少なくとも一つの符号化方法データ(a)に基づいて前記アナログチップのチップ符号データ(F)を出力するアナログチップ符号化部とを有し、前記第2情報処理部の符号判定部は、前記第1情報処理部から前記アナログチップ番号(T)と前記チップ符号データ(F)と前記符号化方法データ(a)とを有する符号データ群が送信されてくると、前記アナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出すアナログチップ番号処理部と、前記符号化方法データ(a)によって前記チップデータ(Ta)からダミーデータ(f)を生成する符号ダミーデータ生成部と、前記チップ符号データ(F)と前記ダミーデータ(f)とを照合して真贋を判定する符号照合部とを有することを特徴とする前記認証物の真贋判定システムとした。
【0012】
本件第4の発明では、請求項1の発明において、前記第1情報処理部に暗号化部を有し、前記第2情報処理部に復号化部を有することを特徴とする前記認証物の真贋判定システムとした。
【0013】
本件第5の発明では、請求項1の発明において、前記第2情報処理部に複数の第1情報処理部が情報網を介して接続されていることを特徴とする前記認証物の真贋判定システムとした。
【0014】
本件第6の発明では、請求項1における前記第1情報処理部を有する装置とした。
本件第7の発明では、請求項1の発明の真贋判定システムで使用される認証物であって、独自性を備えたアナログチップと、このアナログチップを特定するアナログチップ番号(T)を備えた認証物とした。
【発明の効果】
【0015】
本件第1の発明は、独自性を備えたアナログチップと、このアナログチップを特定するアナログチップ番号(T)を備えた認証物と、第1情報処理部は、前記アナログチップを観測してチップ解析データ(Ka)を生成する複数の観測方法の内の少なくとも一つの観測方法を備えた観測部と接続されると共に、前記チップ解析データ(Ka)からチップ符号データ(F)を生成するアナログチップ符号化部を有し、第2情報処理部は、前記アナログチップ番号(T)に関連付けられたチップデータ(Ta)を記憶するアナログチップデータベースと、前記第1情報処理部から前記アナログチップ番号(T)と前記チップ符号データ(F)とが送信されてくると、前記アナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出して、前記チップ符号データ(F)と前記チップデータ(Ta)とを照合して真贋を判定する符号判定部と、前記符号判定部において前記チップ符号データ(F)の真贋が判定されると、前記チップ符号データ(F)を特定する前記アナログチップ番号(T)と判定結果とが関連付けられて記憶される判定情報記憶部とを備えたことを特徴とする前記認証物の真贋判定システムとされているので、
アナログチップを複数の観測方法で観測可能な認証物の真贋判定システムを提供することが出来ることとなる。
【0016】
本件第2及び第3の発明においては、アナログチップの認証システムにおける、偽造品を識別する精度を更に向上することが可能となる。
【0017】
本件第4の発明においては、第1情報処理部と第2情報処理部とに、暗号化部と複合化部を設けたので情報網等において盗聴などの脅威から守ることが可能となる。
【0018】
本件第5の発明においては、請求項1の発明において、前記第2情報処理部に複数の第1情報処理部が情報網を介して接続されていることを特徴とする前記認証物の真贋判定システムとしたので、第2情報処理部に複数の第1情報処理部が接続されているので、それぞれが異なる認証方法を備えた複数の第1情報処理部と、第2情報処理部とによって、真贋判定システムを備えたネットワークシステムが提供でき、これらの異なる認証方法の真贋判定システムにはアナログチップを備えた認証物で全てアクセスが可能となると言う優れた効果が得られる。
【0019】
本件第6の発明では、請求項1における前記第1情報処理部を有する装置を提供することが出来る。
本件第7の発明では、請求項1の発明の真贋判定システムで使用される認証物であって、独自性を備えたアナログチップと、このアナログチップを特定するアナログチップ番号(T)を備えた認証物を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は認証物の真贋判定システムに係り、それぞれが独自のパターンを有するアナログチップと、このアナログチップを用いることによって、認証方法の異なる複数の真贋判定システムへのアクセスを1つの認証物で行える真贋判定システムを構築することを可能とする。
【実施例1】
【0021】
まず、アナログチップ(チップ)に関する用語について説明する。
【0022】
1.アナログチップとは、被解析物を有し、1つ1つが互いに異なる独自のパターンによる独自性を有している識別子である。
【0023】
2.被解析物とは、アナログチップに配置された図形、或いは物質であって、平面(2次元)若しくは立体(3次元)の構造を備えている。
【0024】
3.被解析物の要素とは、被解析物の形、色彩、大きさ、位置、物性等の抽出される対象を言う。
【0025】
4.2次元アナログチップ(2次元チップ)とは、印刷など塗料で描かれた平面形状の被解析物(図形・物質)を有するアナログチップの一種である。
【0026】
5.3次元アナログチップ(3次元チップ)とは、立体的な構造を有する被解析物(図形・物質)を備えているアナログチップの一種である。
なお、3次元アナログチップは、観測部の観測方法により2次元として分類される場合がある。
言い換えれば、ある3次元チップを観測する際に、通常のカメラを使用する観測部に於いては2次元であるが、立体的な構造が解析可能な観測部(ステレオカメラ等)においては3次元として処理することが可能である。
【0027】
6.チップ情報とは、チップを観測する観測部からのデータであるチップ解析データ(Ka)の概念と、被解析物の要素が符号化されたチップ符号データ(F)の概念とを包含する上位概念である。
【0028】
7.計測点とは、チップを解析する際、及び、チップを符号化する際に基準となる点である。
8.位置決め部とは、チップの位置を特定するための方法であって、チップを物理的に位置決めする機構、若しくは、フォトカプラ等を利用してチップの位置を検出する機構等であって、コストなどを勘案して様々な方法が採用可能である。
【0029】
9.チップデータ(Ta)とは、後述のアナログチップDBに予め記憶されている真贋判定の際の基準となるデータである。
10.フレーミングとは、抽出された要素を条件に従ってラインで結びフレーム図形を描くことを言い、3次元の構造の有するチップの場合は、高さの情報を備えたフレーム図となる。
【0030】
以下に、アナログチップ(チップ1)の解析と符号化に係る第1の実施例を図1から図6に基づいて説明する。
図1に示された本実施例のチップ1の特徴は、様々な要素を備えた被解析物が、ランダムにベースに配置されている点にある。
【0031】
チップ1は、被解析物が配置される中間色を備えたベース3を備えたアナログチップであり、このベース3は、列X1からX10と、行Y1からY6のグリッドに区分される。
ベース3には、不定形図形5aから5d、四角形図形6aから6e、円形図形7aから7iの被解析物が配置され、これら各図形において斜線で塗りつぶした図形は赤色、白抜きの図形は青色を示している。
【0032】
また、チップ1の計測点8はチップの4角とされ、この4角の計測点からグリッド及び被解析物の位置が求められる。
なお、画像の自動認識の方法については、特許第2644812号等が知られており様々な画像の自動認識技術が採用可能である。
なおこの計測点は、チップの4角に限られるものではなく、任意に特定の図形等を計測点とすることが可能である。
【0033】
次に、このチップ1のチップ解析データ(Ka)と、該チップ解析データ(Ka)を符号化したチップ符号データ(F)について説明する。
その概略は、アナログチップ1を観測手段(A)で観測するとチップ解析データ(Ka)が得られ、次にこのチップ解析データ(Ka)を符号化方法データ(a)で符号化するとチップ符号化データ(F)が得られる。
【0034】
まず、チップを観測する観測部の予め規定された観測手段(A)の例を表1に示す。
なお、観測手段データ(A)とは、アナログチップを観測する観測部の性能及び観測方法を特定するための記号である
【0035】
【表1】

【0036】
次に、観測手段によって得られた、チップ解析データ(Ka)を符号化する符号化方法データ(a)と、符号化方法の関係を表2に示す。
なお、符号化方法データ(a)とは、後述の観測部61からのチップ解析データをアナログからデジタルに変換する手段を含む符号化方法のアルゴリズムを特定するための記号である。
【0037】
【表2】

【0038】
更に、図1から図6に示すチップ符号データ「F1」から「F6」に対する、観測手段データ(A)と、チップ解析データ(Ka)と、符号化方法データ(a)の関係を以下の表3に示す。
なお、チップ符号データ(F)とは、アナログチップを観測手段で観測して得られたチップ解析データ(Ka)を符号化方法データ(a)のアルゴリズムで符号化して得られるデータである。
【0039】
【表3】

【0040】
この表に示されている符号化方法の内容を、図1から図6に示されたアナログチップ1aに基づいて説明する。
まず、図1は、アナログチップ1aの平面図と、このアナログチップ1aを、フルカラーの観測装置で観測して得られたチップ解析データ「Ka1」と、符号化方法データ「a1」(全情報を抽出)で符号化されたチップ符号データ「F1」の図を兼ねている。
さて、前記表3の第1行に示されたチップ符号データ「F1」を得るための符号化方法を更に説明すると。
第1の段階で、アナログチップ1aを観測し、この時の観測手段データ「A1」は、チップ1aの要素の「全情報」(本実施例では、フルカラーのイメージデータ)であるので、チップ解析データ「Ka1」が得られる。
第2の段階で、観測手段「A1」によって得られたチップ解析データ「Ka1」を符号化する。この段階の符号化方法データ「a1」の内容は、データの全情報を抽出する事である。
【0041】
この2つの段階を経て、アナログチップ1aは図1に示すチップ符号データ「F1」に符号化される。従って、この符号化方法ではチップ解析データ「Ka1」と、チップ符号データ「F1」とは同一になる。
つまり図1はチップ1aそのものを表すと同時に、チップ解析データ「Ka1」とチップ符号データ「F1」の情報を表していることになる。
従って、この符号化方法データ「a1」(全情報を抽出)のみを採用する認証システムを構築することも可能である。
このことは、この符号化方法データ「a1」(全情報を抽出)のみを採用する簡易化した認証システムシステムを、本件発明の真贋判定システムに組み込むことが可能であることをも示している。
【0042】
次に、表3及び図5に示すチップ1aを符号化したチップ符号データ「F5」について説明すると。
第1の段階(チップを観測してチップ解析データを生成する)において、チップ1aを観測する観測手段データ「A1」は要素の全情報の抽出であるので、チップ解析データ「Ka1」が得られる。
第2の段階では、第1の段階で得られたチップ解析データ「Ka1」を符号化する。この時の符号化方法データのアルゴリズムは、まず「a2」(赤い図形を抽出)し、「a4」(円形図形を抽出)し、更に、「a7」(選択された図形の重心をフレーミング)である。
前記、2つの段階によってフレーム図形9bを備えたチップ符号データ「F5」が得られる。
【0043】
更に、表3及び図6に示すチップ符号データ番号「F6a」の符号化のプロセスについて説明する。
第1の段階で、図6に示すチップ符号データ「F6a」の観測手段は「A3」の(赤色を除外するフィルターを使用)であるので、赤色以外の色の要素を備えた図形が抽出され図3に示すチップ解析データ「Kc1」が得られる。
第2の段階では、符号化方法データは、まずこのチップ解析データ「Kc1」を「a4」(円形図形を抽出)で符号化し、更に「a7」(抽出された図形の重心をフレーミング)の符号化を行う。
前記2つの段階によって、フレーム図形9cを備えたチップ符号データ「F6a」が得られる。
他のチップ符号データである「F2」「F3」「F4」に関しても、上記の符号化方法と同様なので具体的な説明は省略する。
【0044】
次に要素の位置情報を、チップ符号データとする場合の符号化方法を図1に基づいて説明する。
第1の段階は、観測手段データ=A1(全情報)とし、チップ解析データ「Ka1」を得る。
第2の段階は、符号化方法データ=a2(赤い図形を抽出)+a4(円形図形を抽出)+a8(抽出された図形の位置情報を検出)として、
上記の条件で、チップ符号データを求めると、円形図形の位置は円形図形7a(X8・Y5)図形7c(X1・Y5)図形7g(X4・Y2)図形7h(X8・Y1)であって、この位置情報を、チップ符号データとすることができるのである。
即ち、本実施例の符号化方法のシステムのチップ符号データ「F」は、
「F7」=「(X8・Y5)、(X1・Y5)(X4・Y2)(X8・Y1)」
とする事ができる。
【0045】
この符号化方法において、図形を抽出する順番は、ジグザグにスキャンする等の方法等もあるが、本実施例では行Y6の右から左にサーチし、行端まできたら次の行も右端からサーチし最後に(X1・Y1)のグリッドに至るスキャン方法を採用した、従ってスキャンする順序を変えることによっても、実施例とは異なるチップ符号データ「F」を簡単に得ることができる。
【0046】
この符号化方法においては、チップ符号データ「F」を各要素の位置情報を文字情報で表しているので情報量を小さくすることができる点である。
また、例えば赤の要素と不定形図形の要素を選択し、その図形が係るグリッドの数をチップ符号データとすることもでき、更に、任意の色彩の要素と図形の要素とを備えた図形を抽出し、その図形の数をチップ符号データとする等、様々に表現可能な符号化方法を任意に選択することが可能である。
【0047】
このように、被解析物の要素(形、大きさ、色彩)のスキャンの順番、要素の面積、要素の数、要素をフレーミングしたフレーム図等の、複数の符号化方法、及び複数の観測方法によって多様なチップ符号データを1つのチップから得ることができる。
【0048】
本実施例のおいて、ベース3は中間色としたが要は被解析物を解析可能とする事を目的とするので、どのような色彩でも任意に選択することが可能で、透明であっても良い。
【0049】
また、チップ1aを2次元的に説明したが、ベース3を透明とし各要素が3次元空間に存在する3次元チップであっても本実施例の符号化方法が採用可能であることは言うまでもない。
【0050】
また、円形の図形7aから7i、四角形の図形6aから6eは種別を備えた図形であるが、その配置される位置は不定であって、ランダムに配置されている。しかし3次元の構造とする場合には上から自由落下させて付着させる等の方法で配置されても良いし、アクリル樹脂等の樹脂の粉体に被解析物を混ぜておいてメチルメタクリレート等の溶剤で固化させても容易に被解析物がランダムに分布するアナログチップを得ることが出来る。
【0051】
なおこれらの図形は被解析物の一例であって、様々な形状、大きさ、及び、色彩若しくは磁性を備えた、多様な物質を被解析物として採用が可能なことは言うまでもない。
また、チップを3次元構造にすると、悪意のあるものがチップをコピーしようとしても、3次元構造をコピーすることは非常に困難であるので偽造を抑止する効果が得られる。
【実施例2】
【0052】
第2の実施例のチップの構成と符号化方法について、以下の図7から図12に基づいて説明する。
【0053】
なお、本実施例の図に付与された記号などが前述の実施例と同一のものは、特に説明のあるものを除いてその機能効果は同一であるので説明を省略する。
本実施例の特徴は、図10に示すアナログチップ1bの被解析物に対応する図9(A)から(C)に示す符号表51から符号表53を備えることによって、符号化している点にある。
【0054】
本実施例のアナログチップ1bは、横方向を示すX軸と、縦方向を示すY軸と、高さを示すZ軸を備え、図形情報51が現れる切断面の模様がZ軸方向に連続して設けられた3次元チップ50に形成されている(所謂、金太郎飴の形状)。
【0055】
この3次元チップ50の製造方法の一つについて図7に基づいて説明する。
この3次元チップは、図7に示すように被解析物44が透明な基材48内部にZ軸方向に連続して設けられた被解析物バー45と、この被解析物バー45を集束した集束バー46aから46cが、それぞれ異なるパターンを備えるように形成されている。
【0056】
この集束バー46aから46cをカットする事によって、端片47aから47cを得る。
更にこれら端片47a乃至47cを一つのチップに形成すると3次元チップ50が得られる。
【0057】
この時、集束バー46から、同一のチップ符号データを備えた端片47が複数作成可能な点を利用して、例えば、端片47に消費者信用業界に属する金融機関の店舗番号などの具体的な個別情報を持たせることも可能である。
【0058】
また、異なるパターンの端片47を3枚集めて一つのチップに形成した後は、この組み合わせを避けて、図示しない独自の被解析物の配置を備えた端片を組み合わせてチップを形成することで、異なる被解析物の配置の3次元チップを容易に量産することができる。
【0059】
次に、本実施例における3次元チップの視認性について説明する。
まず、図8・(B)に示すように3次元チップを斜め上方から見ると、被解析物の側面が見えるので光の透過が少なく、次に3次元チップを図8・(A)に示すように垂直方向から見ると被解析物の断面形状が見えるので、チップ後方からの光が透明な基材48を通して多く透過するので、斜めに観測した場合と垂直に観測した場合とでは光の量が変化することに着目すると容易に3次元構造を備えていることが確認できる。
【0060】
このように、肉眼でも間単に3次元構造であることが確認できる
本実施例におけるアナログチップは、被検出物の構造がZ軸に連続する事により肉眼で3次元構造であることが容易に確認できる事からチップの簡易的な認証方法に利用することができる。
なお、この3次元構造の視認性を高くする方法は本実施例の方法に捕らわれず、物質屈折率の違いを利用するもの等様々な方法を採用することが可能である。
【0061】
次に、本実施例の符号化方法について、図9から図12に基づいて説明する。
この実施例のチップ解析データ「Kb1」の観測手段データは、観測部(カメラ)で撮影(解析)された要素の全情報(本実施例では、フルカラーのイメージデータ)「A1」であり、チップ解析データ「Ke1」の観測手段データは「A3」であり、チップ解析データ「kf1」の観測手段データは「A2」である。
また、本実施例の符号化方法(a)の特徴は、図形情報に付与番号等を割り振って文字列としてチップ符号データを表現することが可能な点にある。
【0062】
下記表4は、符号表と符号化方法データ(a)との関係を示す表である。
【0063】
【表4】

【0064】
前記表4の符号化方法データについて説明すると。
図9・(A)は、図形情報51aに対して割り振られる付与番号57を示す符号表51であって。例えば、三角形の図形の付与番号は「1」でこの付与番号が、三角形の符号となる。この時の符号化方法データ(a)は表4の「a9」である。
また、図9(B)は、目視で付与番号を読み取ることを可能とするために、図形情報を数の形である数形情報52aとして表したものであって、この時の符号化方法データは表4の「a10」である。
図9(C)の上段は、チップ解析データである図形情報を符号化する際に、符号化に係る付与番号57を変更することにより、チップ符号データが変更されることを説明するための図であり、下段は、数を示す数形状報を単に図形情報として扱って形状が表す数とは異なる付与番号を設けることができることを示す図であって、この時の符号化方法データは表4の「a11」である。
【0065】
即ち、図9・(A)から(C)は、それぞれ異なった付与番号57を有する符号表51から53を表している。従って、チップを符号化する際には符号化方法データ(a)を変更するだけでアナログチップから得られるチップ符号データ(F)を変更することが可能であることを示している。
例えば、図9(A)の符号表51で符号「1」が付与された三角形は、図9(c)の符号表53では「3」が付与されるのである。
従って、同じ被解析物であっても、符号化方法を変更することによってチップ符号データ(F)をまったく異ならせることができるのである。
【0066】
このことは、異なる企業のカード認証システムにおいて、符号化方法を異ならせることによって真贋判定システムを独自に構築することが可能となるとともに、例えば、ある企業のシステムの回線を盗聴してアナログチップ番号(T)とチップ符号データ(F)とを不正に入手し、他の認証システムにおいて、不正に「なりすまし」を行おうとしても、認証システムで使用している符号化方法と異なれば盗聴されたデータであることが容易に識別されるので、極めて信頼性を高くすることが出来るという効果が得られる。
【0067】
次に、3次元チップ50の符号化例を図10に基づいて説明する。
図10の(A)はアナログチップを解析した色彩情報を備えたチップ解析データ「kd1」であって、塗り潰された図形情報51aは色彩が赤であることを示し、輪郭線のみで示された図形情報は色彩が青であること示し、Y1からY4は行番号を示し、X1からX12までは列番号を示している。
また、この図10はチップ解析データ「Kb1」を、符号化方法データ「a1」によって全情報を抽出して符号化したチップ符号データ「F7」である。
図10の(B)は、表4の符号化方法データ「a9」に基づいて符号表51によって被解析物に番号が付与されたチップ符号データ「F10]である。
このチップ符号データ「F10]においては、符号化方法データ「a1」(全情報を抽出)に基づいて図形情報の全ての要素が符号化されている。
図10・(C)は、表4の符号化方法データ(a12)の「Y4行のデータを抽出」に基づいて番号を付与したチップ符号データ「F11」である。
【0068】
次に、図10のアナログチップ1bの解析方法を変えた際に得られるチップ符号データ(F)の例を図11及び図12に基づいて説明する。
本実施例のチップ符号データを求める方法は様々であるが、代表的な方法について説明する。
まず、図11・(A)は、図10・(A)に示された、チップ解析データ「Kd1」を、表2のチップ符号化方法データ「a3」(青い図形を抽出)によって符号化したチップ符号データ「F8a」である。
図11・(B)は、該チップ符号データ「F8a」を、更に符号化方法データ「a9」で符号化したチップ符号データ「F12a」である。
【0069】
又、図12・(A)は、表1に示す観測手段データ「A2」のフィルターによって青の図形情報が除外されたチップ解析データ「Kf1」と、符号化方法によって符号化されたチップ符号データ「F8a」とを示し、図12(B)はチップ解析データ「Kf1」を符号表51によって符号化したチップ符号データ「F13a」を示す。
【0070】
本実施例においては、行や部分を選択することによりチップ符号データとしてもよく、例えばチップ符号データのY4行のみでチップ符号データ「F]となる。(前述の表1から表3の内容に準ずる。)
観測手段データ「A1」+符号化方法データ「a1」+「a12」
=213712286415(図10(B)Y4行参照)「F14」
観測手段データ「A3」+符号化方法データ「a1」+「a12」
=1312861(図11(B)Y4行参照)「F15」
観測手段データ「A2」+符号化方法データ「a1」+「a12」
=27245(図12(B)Y4行参照)「F16」
となり、一つのアナログチップから異なるチップ符号データが容易に得られるのである。
【0071】
本実施例のチップの、観測手段が全情報を検出する場合において、符号化方法データを変更した際に得られるチップ符号データ「F1」のY4行の具体例は、
符号表51の場合:213712286415(図10(B)Y4行参照)「F14」
符号表53の場合:136531127839(図11(C)参照)「F17」
である。
【0072】
これらのデータを整理して以下の表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
本実施例においては、1つのチップからチップ符号データ「F」を得る際に、図9に示すように符号表51から符号表53に符号化方法を変更することによって独自のチップ符号データが得られ、更に、観測手段を変えることによっても独自のチップ符号データが得られるものである。
本実施例においても、アナログチップ1のチップ符号データを得る際に、観測手段を変更することによっても、符号化方法を変更することによっても容易に異なるチップ符号データ「F7」から「F17」を得ることができるのである。
【0075】
このチップ符号化データを得る際に、色彩の要素を抽出し、その色彩を備えた図形の数を符号化情報とすることもできる。
また、色彩の要素と図形の要素を選択(例、赤・三角)し、その図形の数を符号化情報とする等様々な符号化方法を任意に選択することが可能である。
【0076】
本実施例のチップは、解析方法によっては2次元チップと同様に扱うことが可能で、また、相対的な位置関係や向きの分かっているカメラ(ステレオビジョン)等の観測部で撮られた複数枚(通常は2枚。)の画像をチップ解析データ(Ka)とし、このチップ解析データ(Ka)を3次元座標上に再構成する符号化方法(a)によってチップ符号データを得ることも可能である。
【0077】
この3次元座標上に再構成する符号化方法において、透明の基材48の部分を空間として扱うと、被解析物44が柱状に立ち並んでいることをチップ情報とする事が可能である。
このとき、被解析物を観測して3次元空間における被解析物の特徴点の位置情報(座標)をチップ符号データ(F)としても良く、このような特徴点の座標を得る手段としては、予め位置関係が決められた3次元空間の中の複数の参照点に計測点8を採用して3次元位置を推定する方法が知られている。
具体的には、このような3次元空間における点の座標を求める方法の一つに特許3020898号等が知られている。
【0078】
従って、この3次元のチップ情報をチップ符号データ「F」に採用し、アナログチップDBに記憶された被解析物の3次元空間のおける位置情報が基準データとして記憶されたチップデータ「Ta」とを照合して真贋判定行うシステムとすることも可能で、このような構造のチップ情報を有する3次元チップを複製する事は非常な困難性を伴うことから、チップの偽造防止にきわめて有効である。
【実施例3】
【0079】
次に、第3の実施例である2つの異なるパターンのメッシュを重ね合わせたさいに生じる形状(モアレ縞)を利用したメッシュ構造20を有するアナログチップ1Cを図13から図16に基づいて説明する。
なお、本実施例の図に付与された記号などが前述の実施例と同一のものは、特に説明のあるものを除いてその機能効果は同一であるので説明を省略する。
【0080】
まず、本実施例の、アナログチップ1cは、メッシュを重ねて樹脂で固化した構造をしているので、このアナログチップ1cは観測部の性能によって2次元構造のチップとして扱うことも、3次元構造のチップとして扱うことも可能である。
本実施例の、独自の構造を有するアナログチップ1cの製造は容易であって、更にメッシュ構造が重ね合わされた3次元構造を有するので、撮影によってなされる偽造(コピー)を3次元計測によって容易に発見することができる。
【0081】
図13は、アナログチップ1Cのチップ解析データ「Kg1」であって、また、チップ解析データ「Kg1」を符号化方法データ(a1)「全情報を抽出」で符号化したチップ符号データ「F14」をも表している。この図で実線で示されているのは赤色のメッシュの繊維であって、破線は青色のメッシュの繊維を示している、ただし外枠の実線は黒色であって、この外枠の4角が計測点とされている。
【0082】
図14・(A)は、観測手段データ「A2」の青色を除外するフィルターを使用して得られたチップ解析データ「Kh1」であり、図14・(B)は観測手段データ「A3」の赤色を除外するフィルターを使用して得られたチップ解析データ「Ki1」である。
このように観測手段データを変更することによって、異なるチップ解析データ(Ka)が得られる。更に、これら解析データの全情報を符号化する事により容易に異なるチップ符号データ「F15」・「F16」が得られ、更に、図15に示す、メッシュ符号表54を用いてチップ符号データ(F)を得ることが可能である。
【0083】
メッシュ符号表54には、本実施例の代表的なメッシュ図形の構造として、三角形から8角形までの図形がAからFに分類されている。
例えば、図14・(A)に示すチップ解析データ「Kh1」から、図15のメッシュ符号表54の「C」(5角形)を抽出して、その抽出された図形の配置をチップ符号データとすると、図16に示すチップ符号データ「F17」が得られる。
【0084】
このように本実施例のメッシュ構造を備えたアナログチップによっても、多様なチップ情報を得ることができるものである。
【0085】
なお本発明において、要素を除外、或いは抽出する(例、青色のデータ)際に、観測部にフィルターを設け特定の物質の要素を抽出する方法を記載したが、このようなフィルターにとらわれず、例えば赤外線を照射して赤外線で可視の被解析物の要素を抽出する方法等を採用することも可能であって、これら観測手段は任意に決められ、それぞれの手段には異なった作用効果がある。
【0086】
例えば、観測部に特殊な観測方法を用いる場合には、アナログチップDB66内に対応するチップデータ「Ta」を記憶しておく必要が生じるが、真贋判定システムの安全面に関すれば観測部が特殊であることは、観測部の偽造がより困難になるという側面が期待できるのである。
【0087】
さらに、チップの構造として透明な基材の中に被解析物を練り込んで、被解析物が3次元にランダムに分布するアナログチップを作成し、そのアナログチップ内の被解析物を公知の3次元形状計測システムによって解析し、被解析物の位置情報をチップ符号データとすることも可能であるし、被解析物の位置情報をフレーミングしてフレーム図をチップ解析データとしても良いので、透明な基材の中に多様な被解析物を練り込むことによって、観測手段(A)及び符号化方法データ(a)を認証システム毎に独自に設定して、各認証システムが独自の認証システムを構築する事により独立性を確保できる。
また、被解析物に様々な物性を備えた物質を採用しても良く、例えば、特定元素を有する磁気記憶媒体等も採用が可能である。
このようなアナログチップは、被解析物が3次元状にランダムに分布していることから、同一のものを偽造しようとしてもきわめて困難であって、不正使用を防止することが可能である。
【0088】
上記各実施例において、異なるタイプのアナログチップを記載したが、これらアナログチップの特性を考慮して、タイプの異なるアナログチップを合わせて用いても良いことは言うまでもない。
【0089】
また本発明では、異なる企業のカード認証システムにおいて、符号表を異ならせることによって独自の真贋判定システムを容易に構築することが可能であるので、例えば、ある企業のシステムの回線を盗聴してチップのデータを得ても、他の企業のシステムではまったく通用させることができないので、真贋判定システムの信頼性と独立性を高くすることが出来るという効果が得られる。
【実施例4】
【0090】
ここまで、アナログチップの解析と符号化の方法について説明したが、以下に本実施例における、アナログチップを利用する真贋判定システムについて図を参照して説明する。
なお、本実施例の図に付与された記号などが前述の実施例と同一のものは、特に説明のあるものを除いてその機能効果は同一であるので説明を省略する。
【0091】
従来、ネットワーク社会において、ICカード等を利用する真贋判定システムが数多く開示されている。
この従来の技術は非常に優れたものであるが、これらの技術はIC等に記憶されたデジタルデータを読み出すことによってICを備えた認証物の真正性を確認していた。
【0092】
これに対し本実施例では、色彩、素材、大きさ、形状などのアナログチップが持つ多様性に着目して膨大な情報を有する要素を解析し、更に符号化することにより、セキュリティのレベルにあわせて、高度なセキュリティレベルにも対応することが可能なアナログチップを用いた真贋判定システムを提案する。
【0093】
まずアナログチップのカード真贋判定システムの1実施例を図17から図20に基づいて説明する。
本実施例に示す真贋判定システムの最も大きな特徴は、チップ解析データ「Ka」を符号出力部78で符号化する際のアルゴリズムである符号化方法(a)をリモートによる遠隔操作若しくは自立的に変更可能とした点にある。
なお、本実施例の図に付与された記号などが前述の実施例と同一のものは、特に説明のあるものを除いてその機能効果は同一であるので説明を省略する。
【0094】
まず、本実施例の真贋判定システムの概略について、図17に基づいて説明する。
まず、認証物4は、識別子のIDであるアナログチップ番号(T)を視覚的に表示するチップ番号表示2とバーコードで表示するバーコード27と、アナログチップ1とを備えた認証物4と、
この認証物4のバーコード27のアナログチップ番号(T)の情報を読み取るバーコードリーダー60(読み取り部)と、位置決め部40によって位置が特定されたアナログチップ1と、このアナログチップ1を観測する観測部61と、第1情報処理部62aと第2情報処理部90aとを備えている。
本実施例の前記情報処理部の第1情報処理部62aと第2情報処理部90aとは情報網100を介して接続されている。
【0095】
第1情報処理部62aには、端末入力部72と、チップ情報記憶部63と、チップ解析データ(Ka)をチップ符号データ(F)に変換するアナログチップ符号化部76と、出力部82とを有し、情報網100を介して符号データ群84を第2情報処理部90aに送信する。
【0096】
第2情報処理部90aには、情報網100から送られてきた符号データ群84が入力される入力部83と、該符号データ群84のデータと図示されないアナログチップDB66からのデータとを照合して真贋を判定する符号判定部85と、その判定結果を記憶する判定情報記憶部86とを有している。
【0097】
次に、本実施例の真贋判定システムにおける第1情報処理部62aの役割について図18及び図19に基づいて説明する。
なお、図17に示す本実施例のアナログチップ符号化部76には76Aと76Bの2つのタイプのシステムが存在する。
【0098】
まず、図18に示す第1情報処理部62a−1のアナログチップ符号化部76Aの特徴は、リモート符号化方法データ出力部77を有し、外部から送られてくるリモート符号化方法データ(R)によって、チップ解析データ(Ka)を符号化する際の符号化方法(a)を変更可能としている点にある。
【0099】
又、図19に示す第1情報処理部62a−2のアナログチップ符号化部76Bの特徴は、自律的符号化方法データ出力部88を備え、第1情報処理部62a−2自体でチップ解析データ(Ka)を符号化する際の符号化方法データ(a)を変更する事ができる点にある。
【0100】
そこで先に、図18に基づいて符号化方法データ(a)をリモートで変更可能な実施例について更に説明する。
第1情報処理部62a−1には、観測部(カメラ)、アナログチップ番号(T)の読み取り部であるバーコードリーダ60、図示されないキーボード、ポインティングデバイス等の入力機器からの信号が入力される端末入力部72と、チップ情報記憶部63と、アナログチップ符号化部Aと、出力部82とを有している。
【0101】
このチップ情報記憶部63には、観測部61の精度や観測方法等が特定できる観測手段データ(A)と、アナログチップ番号(T)とチップ解析データ(Ka)が記憶され、このうち観測手段データ(A)及びアナログチップ番号(T)は、出力部82を介して符号データ群84の一部として情報網100に出力される。
一方、チップ解析データ(Ka)は、符号出力部78でリモート符号化方法データ出力部77から出力される符号化方法のアルゴリズム(a)によって符号化されてチップ符号データ(F)として出力部82を介して符号データ群84の一部として情報網100に出力されている。
【0102】
さて、本実施例におけるリモート信号73(R)を真贋判定システムを管理する第2情報処理部90a側において記録しておくと、第1情報処理部62aから第2情報処理部90aに送信されてくる符号化方法データ(a)が、リモート信号(R)によって変更された符号化方法データ(a)であることを認証することが可能となり、ひいては送信してきた第1情報処理部62の真正性を確認する一つの手段とすることが出来る。
【0103】
このリモート信号73(R)によって、リモート符号化方法データ出力部77から出力される符号化方法データ(a)を第2情報処理部90側から遠隔操作で変更する事を可能としているので、出力部82から情報網100を介して符号データ群84が通信される際に、盗聴などによって符号データ群が盗まれたとしても、リモート信号73によって、符号化方法データ(a)のアルゴリズムを変更してしまうと、その後は第2情報処理部90内の符号判定部85によって「NG」偽物として判断されるので、所謂カード所有者に「なりすまし」て買い物など違法行為をしようとしても未然に防止することが可能である。
【0104】
従来磁気カード等の不正利用である「なりすまし」等があった際には、カード所有者に連絡しカードを変更するなどの処置をとる必要があったが、本実施例ではカードを変更することなく、第2情報処理部90側からリモート信号73(R)を配信する事によって不正に対応する事によって、カードの不正使用等の犯罪を防止できるという今までにない効果が得られる。
【0105】
次に、符号化方法(a)の変更方法が異なるアナログチップ符号化部Bを備えた実施例を図19に基づいて説明する。
本実施例では、前記実施例のリモート符号化方法データ出力部77に変えて、自律的符号化方法データ出力部88を有する点で異なるので、その点について説明する。
本実施例では、符号化方法データ(a)を定期的或いは一定のアルゴリズムに基づいて自律的に変更する自律的符号化方法データ出力部88によって出力し、この符号化方法によって符号出力部78を制御してチップ解析データ(Ka)をチップ符号データ(F)に変換する。
【0106】
この図19に示された第1情報処理部62a−2の構成の効果は、符号化方法データ(a)が自律的符号化方法データ出力部88によって定期的或いは一定のアルゴリズムに基づいて変更されるので、悪意のある者が情報網100内でチップ符号データ等を盗聴してカードの所有者になりすまそうとした場合に、符号化方法データ(a)が定期的或いは一定のアルゴリズムに基づいて変更されると、悪意の有る者はこの変更された符号化方法データ(a)と対応するチップ符号データ(F)を知り得ない限り正しい符号データ群84を送信して「なりすまし」を行うことができないので、不正使用を防止することが可能となるのである。
【0107】
次に、第1情報処理部62aから情報網100を介して送信されてきた符号データ群84を処理する第2情報処理部90aについて図20に基づいて説明する。
第2情報処理部90aは情報網100を介して送信されてくる符号データ群84を受信する入力部83と、アナログチップの真贋を判定する符号判定部85と、観測手段(A)毎にアナログチップ番号(T)に対応するチップデータ(Ta)を記憶するアナログチップデータベースであるアナログチップDB66と、符号判定部85による結果を記録する判定情報記憶部86とを備えている。
【0108】
まず、入力部83に符号データ群84が受信されると、この符号データ群84の観測手段データ「A1」とアナログチップ番号のデータ「T238」とがアナログチップ番号処理部91に転送される、そこでアナログチップ番号処理部91がアナログチップDB66に問い合わせると、予め観測手段データ「A1」で観測して登録されたアナログチップ番号「T238」のチップデータ「Ta1」を基準データとして読み出して、符号ダミーデータ生成部92に出力する。
【0109】
次に、符号ダミーデータ生成部92は、符号データ群84からの符号化方法データ「a1」によって上記チップデータ「Ta1」を符号化してダミーデータ「f1」を符号照合部95に出力する。
【0110】
この、符号照合部95の照合方法について説明すると、アナログチップDB66に予め記録されているチップデータ「Ta1」は、アナログチップ「T238」を観測手段データ「A1」(全情報)で観測したデータであってこれがアナログチップ「T238」の基準データとなる。
ちなみに、アナログチップDB66に記載されているチップデータ「Ta2」は、アナログチップ番号「T245」のアナログチップを観測手段「A1」(全情報)で観測したデータである。
このように観測手段(A)毎に、アナログチップ番号(T)に対応するチップデータ(Ta)を記憶する意義は、符号判定部における真贋判定において偽物を排除するための精度を高めることにある。
【0111】
更に説明すると、符号判定部85のアナログチップ番号処理部91は、送信されてきた暗号化データ群87の観測手段データ「A1」とアナログチップ番号「T238」とに基づいて、該当するチップデータ(Ta)をアナログチップDB66に問い合わせ、この問い合わせによって得られたチップデータ「Ta1」を符号ダミーデータ生成部92に送出する。
また、符号ダミーデータ生成部92はアナログチップ番号処理部91から配信されてきたチップデータ「Ta1」を、暗号化データ群の符号化方法データ「a1」に基づいて符号化することによってダミーデータ「f1」を生成する。
【0112】
次に、符号照合部95は、暗号化データ群87から配信されてくるチップ符号データ「F1」を受信し、次に符号ダミーデータ生成部92から送られてくるダミーデータ「f1」と前記チップ符号データ「F1」(F)とを照合して真贋を判定する。
【0113】
従って、このチップデータ「Ta1」を符号化方法データ「a1」で符号化して得たダミーデータ「f1」と、情報網100を介して送信されてくるアナログチップ「T238」のチップ符号データ「F1」とは、観測手段と符号化方法が同一なので「f1」と「F1」とが観測等において生じる誤差の範囲内であれば「OK」真と判定されこの判定結果は判定情報記憶部86に記録されてアナログチップ1の真正性を判定する一連の処理が終了する。
この処理における、ダミーデータ(f)の意義はアナログチップ1の偽物を排除するための認識精度を高めることにある。
【0114】
図19から図20に示された構成において、第2情報処理部90a側にも、第1情報処理部62に設けられた自律的符号化方法データ出力部88と同期の信号を出力する図示しないタイムテーブルを有する同期符号化方法データ出力部を設け、この同期符号化方法データ出力部からの符号化方法データ(a)によって、第1情報処理部62から送信されてくる符号データ84自体の真正性を判定する事も可能であって、様々なセキュリティシステムの構築が可能である。
【0115】
本実施例を概略図を用いて説明したが、上記の構成に捕らわれず本実施例は以下の段階備えているシステムでもある。
すなわち
1,アナログチップを観測部61によって観測する段階と、
2,前記観測部から出力されたチップ解析データ(ka)を取得する段階と、
3,チップ解析データ(ka)を符号化してチップ符号データ(F)を取得する段階と、
4,予め記憶されたチップデータ(Ta)からダミーデータ(f)を生成する段階と、
5,ダミーデータとチップ符号データとを照合する段階と、
6,判定結果を出力する段階と、
を備えたコンピュータシステム。
である。
【0116】
従って、以上の段階を備えたシステムであれば、実施例と異なる構成を備えたシステムであったとしても、本実施例の技術思想を逸脱するものではない。
【0117】
又、接触型IC若しくは非接触型等のICチップから出力される信号をアナログチップ番号(T)とし、その信号を受信する機構を読み取り部に採用しても良い事は言うまでもない。
【0118】
さらに、観測手段(A)は様々な方法が採用可能であって、例えば、可視光線で読み取るものであっても、その他の波長の電波、光を利用して読み取るもの等を採用しても良い。つまり、独自の観測手段(A)に基づくアナログチップ番号に対応するチップデータをアナログチップDB66に予め登録しておき、該観測手段(A)の規格に準じた観測部を第1情報処理部62に接続して採用すれば、必要に応じて独自のカード真贋判定システムを構築することが可能である。
【0119】
又、観測手段のフィルターを自動的或いは、解析データ照合部65からのリモート信号によって交換することによって観測手段を変更することも可能である。
【0120】
本実施例の真贋判定システムに採用された符号化方法は、計算処理する為のプログラムデータであるので、例えば、符号データ群が盗聴された場合に、端末入力部に悪意を持った者が不正なデータを入力しても、符号化方法を変更する事によって容易に対応することができるので、カードそのものを無効にする必要が無い。このことは、カード真贋判定システムを利用する使用者のカードの利便性を高めるとともに、使用者の財産を保護することにも繋がり、悪意のある者がカードの偽造などをしようとする意思を阻害するものでもある。
【実施例5】
【0121】
次に、情報網100内での盗聴などの不正に対応する暗号化・復号化機能を備えた実施例について図21から図24の図を参照して説明する。
【0122】
本実施例の、チップ符号データ(F)を暗号化・符号化するシステムについては、符号化方法データ(a)を遠隔操作(リモート信号(R))で変更するシステムと、符号化方法データ(a)を自律的符号化方法データ出力部88によって変更するシステムとがある。
【0123】
まず、チップ符号データ(F)を暗号化・復号化するシステムの全体の概略を図21に基づいて説明する。
なお、本実施例の図に付与された記号などが前述の実施例と同一のものは、特に説明のあるものを除いてその機能効果は同一であるので説明を省略する。
【0124】
まず、第1情報処理部62bの端末入力部72に入力されたアナログチップ1に係るデータがチップ情報記憶部63に記録され、チップ情報記憶部の各データは暗号化部80に送信され、このうちチップ解析データ(Ka)はアナログチップ符号化部76を介して暗号化部80に送信されている。
【0125】
暗号化部80ではセキュリティ上必要とされるデータを暗号化し、この暗号化されたデータを含む暗号化データ群87は出力部82を介して情報網100を通じて第2情報処理部90bに発信される。
【0126】
次に第1情報処理部62bの、二つの異なった態様の実施例について、図22と図23によって説明する。図22に示された実施例の特徴は、符号化方法データ(a)を第1情報処理部62bの外からリモートコントロール可能とするものである。
【0127】
本実施例の情報網100に暗号化データ群87を送信する真贋判定システムは、符号化方法データ(a)をリモート信号(R)で変更する1例であって、図22に示す第1情報処理部62b−1には、チップ情報記憶部63が設けられ、このチップ情報記憶部63に記憶された観測手段データ「A1」とアナログチップ番号「T238」は暗号化部80に送信され、チップ解析データ「Ka1」は、符号出力部78において、リモート符号化方法データ出力部77から出力された符号化方法データ「a1」によってチップ符号データ「F1」に変換されて暗号化部80に送信されている。
【0128】
このリモート符号化方法データ出力部77に送信されてくるリモート信号(R)は、図示しない情報網を通じて送信されてくる際に暗号化されて送信されてくることが好ましく、その際には復号化部81で復号化され、リモート符号化方法データ出力部77に伝えられるのでリモート信号(R)が情報網内の盗聴によって悪用されることを防止する。
【0129】
暗号化部80は、符号化方法データ「a1」と観測手段データ「A1」とアナログチップ番号「T238」とチップ符号データ「F1」とを暗号化して出力部82を介して情報網100に送信している。
【0130】
なお、符号化方法データ「a1」と観測手段データ「A1」とアナログチップ番号「T238」とチップ符号データ「F1」の全てを暗号化しても良いが、これに捕らわれることなく、例えばアナログチップ番号「T238」のみが暗号化されていても、情報を悪用する事は非常に困難になるので、回線のトラフィック、情報処理部に掛かる負荷などの状況に合わせて任意に暗号化するデータを選択することが出来る。
【0131】
次に、他の態様である第1情報処理部62b−2を図23に基づいて説明する。
この図23に示された本実施例の特徴は、符号化方法データ(a)を自律的符号化方法データ出力部88から出力する事により、自律的に符号化方法データ(a)を変更でき、更にこれらのデータを暗号化部80によって暗号化が出来る点にある。
【0132】
次に、暗号化データ群87が送信されてくる第2情報処理部90bについて図24に基づいて説明すると、情報網100を介して入力部83に送信されてきた暗号化データ群87の、各データは復号化部81で複合化されて、第2情報処理部90b内でプログラム処理が可能な状態に復号されている。
【0133】
この様に構成されているので、情報網100を通過する際に悪意のある者にデータを盗まれても、その内容は暗号化されているので解読するには非常な困難性を伴い、その解読の困難性によって不正が防止される。
【0134】
前記実施例の、符号データ群84及び暗号化データ群87のデータとして、符号化方法データ(a)・観測手段データ(A)・アナログチップ番号(T)・チップ符号データ(F)を情報網100を通じて送信されるとしたが、例えば、観測手段データ(A)若しくは符号化方法データ(a)が第2情報処理部90側で予め解っているなら、必ず送信されなくても良いのであって、状況に応じて符号データ群84及び暗号化データ群87のデータを選別しても良い事は言うまでもない。
【実施例6】
【0135】
図25は本実施例の概念を示す図であって、本実施例は本発明の認証物を利用して符号化部及び符号ダミーデータ生成部などを省略した単純な真贋判定システムが作成できることを説明するための図である。
【0136】
本例においては、前記実施例のアナログチップ符号化部を省略し、符号判定部に変えて観測部から出力される画像データ(チップ解析データ)と、アナログチップDB66のチップデータに記憶された画像データとを画像データ照合部67で照合し、画像判定機億部68にその結果が記憶されるように構成されている。
【0137】
図25に基づいて更に説明すると、端末入力部72にアナログチップの解析データ(Ka)(画像データ)とアナログチップを特定するためのアナログチップ番号(T)とが入力されると、画像データ照合部67にアナログチップ番号(T)とチップ解析データ(Ka)とを送信する。
【0138】
一方、アナログチップDB66には、アナログチップを特定するための番号であるアナログチップ番号(T)と、このアナログチップ番号に対応するチップデータ(Ta)(画像データ)を記憶しているので。前記、画像データ照合部67が、アナログチップ番号をアナログチップDB66に問い合わせると、予め記憶されていたチップデータ(Ta)が出力され、前記端末入力部72から出力されたチップ解析データ(Ka)と照合しその結果を画像判定記憶部68に出力する。
【0139】
画像判定記憶部は、アナログチップが本物か否かの判定結果を記憶し、必要に応じて図示しない表示部に出力し判定結果が表示される。
データ例71について説明すると、
例1、アナログチップ番号=「T238」・チップ解析データ「Ka1」
例2、アナログチップ番号=「T245」・チップ解析データ「Ka2」
例3、アナログチップ番号=「T256」・チップ解析データ「Ka6」
のデータを、画像データ照合部67に送信されると、画像データ照合部67は各アナログチップ番号に対応するチップデータを呼び出す。
ここで、例1のチップ解析データの「Ka1」と、チップデータ「Ta1」との画像が照合され、その誤差が許容される範囲であれば「OK」本物であると判定し、その判定結果を画像判定記憶部68に送信する。
【0140】
また、例2のチップ解析データ「Ka2」とチップデータ「Ta4」の相違が許容外であれば「NG」偽物と判定し、その判定結果を画像判定記憶部68に送信する。
このように、システムが簡略なのでチップ解析データを直接照合して判定するシステムは、特には小規模な店舗の顧客管理データベースの本人認証システムに好適である。
【0141】
本発明においては、画像圧縮符号化方法である「JPEG」、及びデータ圧縮方法である「ハフマン符号」等を任意に採用する事ができる。
【0142】
本発明の、被検出物がチップ内の3次元空間のどの位置にあるかを解析する手段としては、特開平11−218416号等の周知の3次元形状解析用光学システム等によって、被検出物の位置を解析することが出来る。
【0143】
本発明において、アナログチップ番号を出力する手段として、ICチップから出力される信号を採用し、バーコードリーダ60に変えてその信号を受信する機構によって番号を自動的に読み取っても良いもので、この構成によれば、カードの複製を制作することがより困難になると言う利点がある。
【0144】
本発明において、観測手段に色彩の要素を抽出する方法にフィルターを用いることができるとしてが、このフィルターの意味は光学的な処理のみを示すものではなく、例えば、赤、緑、青の光源を有する観測部において、例えばそれぞれの光源で観測する事により、異なったチップ解析データ(Ka)を得ても良く、様々な観測手段を任意に採用することができる。
【実施例7】
【0145】
本実施例は、アナログチップをクレジットカード、IDカード等の本人認証機能が必要とされる本人認証機能付カードへの使用例を示す。
図26・(A)は表面を示し(B)は裏面を示している。
アナログチップカード30の基体38の表面には、アナログチップ1が設けられ、アナログチップ番号2と、発行元の支店番号と顧客番号等を表すカード番号31が記入されるカード番号欄32と、登録シール貼付欄35とが設けられている。
【0146】
また裏面には、連絡先番号36と、個人認証用のサイン欄37が設けられている。
この様に構成されているので、例えば、ある金融機関でカード登録をして、そのカードを近所の小売店のカードとして利用することも可能なのである。
すなわち、小売店側では、第1情報処理部と第2情報処理部とを備えた情報処理部と、観測部とを備えたコンピュータを用意し。
【0147】
次に、顧客が持っているカードのアナログチップとカードを特定する番号を小売店内のアナログチップDBに入力し、更に好ましくは顧客登録されたことを示す登録シールを登録シール貼付欄35に貼って顧客登録する。
この登録されたアナログチップによって顧客管理を行い、顧客購買行動を記憶して購入金額に応じたクーポンの発行などの顧客サービスを小売店側で可能とすることができる。
【0148】
この時、例えば発行元の銀行がICを有するカード等であっても、発行元の認証システムとは全く独立した各小売店独自のアナログチップ認証システムを独自に構築することができる。
また、図27に示すように第2情報処理部90を備えた、アナログチップ管理センター12(認証サーバ)に、第1情報処理部62を備えた複数の小売店13(クライアント)を接続させることによっても、小売店(クライアント)毎に符号化方法データ(a)及び観測手段データ(A)が異なる真贋判定システムを構築することが可能となる。
つまりアナログチップカードの所有者は、アナログチップカード30を1枚所有することで、小売店が単独で構築する真贋判定システムや、認証サーバでアナログチップを認証するネットワークシステムを利用する真贋判定システム等の複数のアナログチップ認証システムにアクセスすることが可能となるのである。
【0149】
その結果、アナログチップカードの所有者は、従来多くの会員カードを持ち歩かなければ受けられなかった多数の小売店が発行するクーポンなどの特典を、1枚のアナログチップカードによって受けることができるという今までになかった効果が得られる。
【0150】
また、本実施例では計測点8をアナログチップの角としたが、2次元バーコードの読み取りの際に利用される切り出しシンボルと同様の機能を奏するシンボルを予め決められた特定の位置に設けて被解析物の位置の推定を行っても良い。
また、本発明の観測部は、少なくとも1つの観測方法を備えていればよいが、複数の観測方法を備えていても良い。
【0151】
また、本発明のアナログチップは物であるため、観測方法の精度を変更することによって異なる真贋判定システムの構築が可能となる。このことを効果の一例として説明すると。
例えば、観測部のレンズが等倍の場合には、被解析物の部分の細部の特徴が観測できなくとも、観測部のレンズの倍率が10倍のような場合には、10倍に拡大された被解析物の部分の細部の特徴を観測しアナログチップの要素として記憶することが可能となるのである。
このことは例えば、同じアナログチップを認証する場合であっても、廉価では有るがアナログチップの複製を排除するための認識精度が低い真贋判定システムを構築するか、高価では有るがアナログチップの複製を排除するための認識精度が高い真贋判定システムを構築するかを、必要に応じて決めることが出来ると言う効果をもたらすのである。
【0152】
言い換えれば、アナログチップの真贋判定によって得られる結果の価値が高い場合であっても、低い場合であっても、同じアナログチップを供えた認証物を複数の観測方法によって対応することが可能な今までのIDカードには無い効果を得ることが出来るのである。
ひいては本件発明の真贋判定システムは、一つの認証物で真贋判定で認証された際に得られる価値が比較的安いポイントカード等の真贋判定システムから、認証された際に得られる価値が高いクレジットカード等の真贋判定システムに採用が可能な、多様なセキュリティレベルの要求に応えることが出来る認証物とその真贋判定システムを提供することが出来るのである。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は本人認証における所有物認証に関わり、クレジットカード、ICカードの本人認証として採用が可能であって、スキミングが不可能で偽造されにくく、情報網等においてデータがコピーされても解析方法、および符号化方法を変更することで、悪意のある者に対抗でき、不正があってもカードを破棄することなく個別の情報処理装置のシステムで対応できるのでシステム全体に掛かるセキュリティのコストを低減させることが可能となり、本人認証を所有物によって認証するシステム、例えば、コインロッカーのキーシステム、駐輪場のキーシステム、緊急用の個人登録カードシステム等様々なシステムにも採用が可能であって、産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1の実施例のアナログチップを示す図である。
【図2】チップ符号データの一例を示す図である。
【図3】チップ符号データの一例を示す図である。
【図4】チップ符号データのフレーム図形の一例を示す図である。
【図5】チップ符号データのフレーム図形の一例を示す図である。
【図6】チップ符号データのフレーム図形の一例を示す図である。
【図7】第2の実施例のアナログチップの製造方法の一例を示す模式図である。
【図8】第2の実施例の端片を示し(A)は平面図で、(B)は斜視図である。
【図9】符号表の例を示す図である。
【図10】チップ解析データとチップ符号化データの例を示す図である。
【図11】チップ解析データとチップ符号化データの例を示す図である。
【図12】チップ解析データとチップ符号化データの例を示す図である。
【図13】第3の実施例のメッシュ構造を有するアナログチップの平面図である。
【図14】チップ解析データとチップ符号化データの例を示す図である。
【図15】メッシュ構造を符号化するメッシュ符号表を示す図である。
【図16】チップ符号データを示す図である。
【図17】第6の実施例のアナログチップ真贋判定システムの概念図である。
【図18】第6の実施例の第1情報処理部の概念図である。
【図19】第7の実施例の第1情報処理部の概念図である。
【図20】第6及び第7の実施例の第1の情報処理部に対応する第2情報処理部の概念図である。
【図21】第8の実施例のアナログチップ真贋判定システムの概念図である。
【図22】第9の実施例の第1情報処理部の概念図である。
【図23】第10の実施例の代情報処理部の概念図である。
【図24】第9及び第10の実施例の第1の情報処理部に対応する第2情報処理部の概念図である。
【図25】第11の実施例のアナログチップ真贋判定システムの概念図である。
【図26】第12の実施例の本人認証機能付きカードを示す図である。
【図27】本発明をネットワークに適用した際の説明図である。
【符号の説明】
【0155】
1 アナログチップ
2 チップ番号表示
3 ベース
8 計測点
30 アナログチップカード
31 カード番号
32 カード番号欄
35 登録シール貼付欄
36 連絡先電話番号欄
37 サイン欄
60 バーコードリーダ(読み取り部)
62 第1情報処理部(情報処理部)
80 暗号化部
81 復号化部
82 出力部
83 入力部
90 第2情報処理部(情報処理部)
93 ダミーデータ例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独自性を備えたアナログチップと、このアナログチップを特定するアナログチップ番号(T)を備えた認証物と、
第1情報処理部は、
前記アナログチップを観測してチップ解析データ(Ka)を生成する複数の観測方法の内の少なくとも一つの観測方法を備えた観測部と接続されると共に、前記チップ解析データ(Ka)からチップ符号データ(F)を生成するアナログチップ符号化部を有し、
第2情報処理部は、
前記アナログチップ番号(T)に関連付けられたチップデータ(Ta)を記憶するアナログチップデータベースと、
前記第1情報処理部から前記アナログチップ番号(T)と前記チップ符号データ(F)とが送信されてくると、前記アナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出して、このチップデータ(Ta)と前記チップ符号データ(F)とを照合して真贋を判定する符号判定部と、
前記符号判定部において前記チップ符号データ(F)の真贋が判定されると、前記チップ符号データ(F)を特定する前記アナログチップ番号(T)と判定結果とが関連付けられて記憶される判定情報記憶部とを備えたことを特徴とする前記認証物の真贋判定システム。
【請求項2】
請求項1の発明において、
前記第1情報処理部は、
前記観測方法を特定する観測手段データ(A)を有し、
前記第2情報処理部は、
前記第1情報処理部から前記アナログチップ番号(T)と前記チップ符号データ(F)と前記観測手段データ(A)とを有する符号データ群が送信されくると、
前記第2情報処理部の符号判定部がアナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出す際に、観測手段データ(A)と前記アナログチップ番号(T)とに関連付けされた前記チップデータ(Ta)を読み出すことを特徴とする前記認証物の真贋判定システム。
【請求項3】
請求項1の発明において、
前記第1情報処理部は、
前記チップ解析データ(Ka)を符号化する複数の符号化方法データ(a)と、
前記符号化方法データ(a)の内の少なくとも一つの符号化方法データ(a)に基づいて前記アナログチップのチップ符号データ(F)を出力するアナログチップ符号化部とを有し、
前記第2情報処理部の符号判定部は、
前記第1情報処理部から前記アナログチップ番号(T)と前記チップ符号データ(F)と前記符号化方法データ(a)とを有する符号データ群が送信されてくると、
前記アナログチップデータベースから前記アナログチップ番号(T)に関連づけられた前記チップデータ(Ta)を読み出すアナログチップ番号処理部と、
前記符号化方法データ(a)によって前記チップデータ(Ta)からダミーデータ(f)を生成する符号ダミーデータ生成部と、
前記チップ符号データ(F)と前記ダミーデータ(f)とを照合して真贋を判定する符号照合部とを有することを特徴とする前記認証物の真贋判定システム。
【請求項4】
請求項1の発明において、
前記第1情報処理部に暗号化部を有し、
前記第2情報処理部に復号化部を有することを特徴とする前記認証物の真贋判定システム。
【請求項5】
請求項1の発明において、
前記第2情報処理部に複数の第1情報処理部が情報網を介して接続されていることを特徴とする前記認証物の真贋判定システム。
【請求項6】
請求項1における前記第1情報処理部を有する装置。
【請求項7】
請求項1の発明の真贋判定システムで使用される認証物であって、
独自性を備えたアナログチップと、このアナログチップを特定するアナログチップ番号(T)を備えた認証物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【国際公開番号】WO2005/010821
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512053(P2005−512053)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010641
【国際出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(592057592)
【Fターム(参考)】