説明

認証装置、認証方法、および認証用プログラム

【課題】 簡易な構成で精度の高い認証処理を行うことが可能な認証装置、認証方法、および認証用プログラムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば認証装置は、入力部とユーザ情報記憶部とスイッチ情報生成部と認証部とを備える。入力部は、マトリクス状に並べられ、複数色うちのいずれかでそれぞれ点灯可能な複数のスイッチを有する。ユーザ情報記憶部は、正規ユーザごとの、複数の色情報が特定の順番で組み合わせられた正規ユーザ識別情報を記憶する。スイッチ情報生成部は、各スイッチの位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報を生成してこれに基づいてスイッチを点灯させる。認証部は、スイッチが押下されたときに押下されたスイッチの位置情報に対応する色情報を判定し、さらに判定された色情報の順番を取得し、取得した色情報の順番が正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、認証装置、認証方法、および認証用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来オフィスビルや工場等では、電子錠により認証処理が行われることにより、入室が制限されるエリアへの入室者の管理が行われている。
【0003】
この電子錠では、数字が表示されたテンキーを用いて暗唱番号を入室者に入力させ、この入力された暗唱番号と、予め正規の入室者を識別する暗唱番号としてデータベースに記憶された登録情報とを照合することにより当該入室者が正規の入室者であるか否かを判定し、正規の入室者であると認証したときに該当エリアへの扉を開錠する。
【0004】
このような暗唱番号の入力による認証処理は、銀行のATM(Automated teller machine)などにおいても利用されている。
【0005】
しかしこのような電子錠を利用した認証処理では、利用者が比較的限定される場合は、テンキーの汚れ具合や、操作者を後ろから見た手の動きなどから、他人により不正に暗唱番号がスキミングされる可能性があるという問題があった。
【0006】
これらへの対策として、暗唱番号を入力するためのテンキーを画像情報として表示装置に表示させる認証装置を構成し、このテンキーの各数字の表示位置を毎回無作為に割り当てるように画像情報を生成する技術がある。このように生成された画像情報によるテンキーは、一般的には、マジカルテンキー、スクランブル式テンキー、またはランダムテンキーなどと呼ばれ、広く普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−345067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した認証装置のようにテンキーの各数字の表示位置を毎回無作為に割り当てて画像情報を生成する場合、ドットマトリクスによるディスプレイにタッチパネルを適用した入力インタフェースを設ける必要があるが、このようなディスプレイは回路が複雑であり、構築のためのコストが高くなる。
【0009】
また、上述した認証装置ではテンキーの数字を画像情報によりディスプレイに表示させるため、解像度によっては視認性が低く、操作者が数字を誤認する場合がある。
【0010】
また、上述した認証装置ではテンキーの画像情報を夜間でも常に操作可能な状態にするために表示装置にバックライトを設ける必要があり、消費電力が高くなる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、精度の高い認証処理を行うことが可能な認証装置、認証方法、および認証用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための実施形態によれば、認証装置は、入力部とユーザ情報記憶部とスイッチ情報生成部と認証部とを備える。入力部は、マトリクス状に並べられ、複数色うちのいずれかでそれぞれ点灯可能な複数のスイッチを有する。ユーザ情報記憶部は、正規ユーザごとの、複数の色情報が特定の順番で組み合わせられた正規ユーザ識別情報を記憶する。スイッチ情報生成部は、各スイッチの位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報を生成する。認証部は、スイッチが押下されたときに、スイッチ情報に基づいて押下されたスイッチの位置情報に対応する色情報を判定し、さらに判定された色情報の順番を取得し、取得した色情報の順番が正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態〜第3実施形態による認証装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態〜第3実施形態による認証装置の入力部の構成を示す説明図である。
【図3】第1実施形態〜第3実施形態による認証装置のCPUの構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態による認証装置のROMに記憶される正規ユーザ識別情報の一例である。
【図5】第1実施形態〜第3実施形態による認証装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態による認証装置のRAMに記憶されるスイッチ情報の一例である。
【図7】第1実施形態による認証装置の入力部のスイッチが点灯した状態を示す表示図である。
【図8】第2実施形態による認証装置のROMに記憶される正規ユーザ識別情報の一例である。
【図9】第3実施形態による認証装置のROMに記憶される正規ユーザ識別情報の一例である。
【図10】第3実施形態による認証装置のRAMに記憶されるスイッチ情報の一例である。
【図11】他の実施形態による認証装置の入力部のスイッチが点灯した状態を示す表示図である。
【図12】他の実施形態による認証装置の入力部に認証結果が表示されたときの状態を示す表示図である。
【図13】他の実施形態による認証装置の入力部に認証処理中であることを示すイメージが表示されたときの状態を示す表示図である。
【図14】他の実施形態による認証装置の入力部により特定の情報が報知されたときの状態を示す表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の認証装置の実施形態として、入室が制限される管理エリアへ入室しようとするユーザが、予め入室が許可された正規のユーザであるか否かを判定する認証装置について説明する。
【0015】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による認証装置の構成〉
本発明の第1実施形態による認証装置の構成について、図1を参照して説明する。
【0016】
本実施形態による認証装置1は、入力部10と、ROM20と、CPU30と、RAM40と、表示部50とを有する。
【0017】
入力部10は、図2に示すように、認証処理を開始させるための開始スイッチ100と、マトリクス状に並べられ、複数色うちのいずれかで点灯可能であり識別情報の入力に用いる複数(本実施形態においては16個)の入力スイッチ101〜116とを有する。これらの入力スイッチはLED(Light Emitting Diode)により、後述するスイッチ情報生成部32で生成されたスイッチ情報に基づいて所定色に点灯される。
【0018】
ROM20は不揮発性のメモリであり、認証処理を実行させるためのアプリケーション情報と、正規ユーザにより予め登録された、複数のスイッチの色情報が特定の順番で組み合わせられた色識別情報を、正規ユーザ識別情報として記憶する。
【0019】
CPU30はROM30に記憶されたアプリケーション情報に従って処理を実行し、図3に示すように、入力情報取得部31と、スイッチ情報生成部32と、入力情報判定部33と、認証部34とを有する。
【0020】
入力情報取得部31は、入力部10のいずれかのスイッチが押下されたときにこれを検知し、スイッチの種類を判定する。
【0021】
スイッチ情報生成部32は、入力情報取得部31で開始スイッチ100が押下されたと判定されたときに、入力部10の各スイッチ101〜116の、位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報を生成してRAM40に記憶させるとともに、生成したスイッチ情報に基づいて入力部10の各入力スイッチ101〜116を所定色で点灯させる。
【0022】
入力情報判定部33は、入力情報取得部31でいずれかの入力スイッチが押下されたと判定されたときに、RAM40に記憶されたスイッチ情報に基づいて押下されたスイッチの位置情報を判定し、当該位置情報に対応する色情報をさらに判定し、RAM40に記憶させる。
【0023】
認証部34は、RAM40に順次蓄積された、押下されたスイッチの位置情報に基づいて、押下されたスイッチの色情報の順番を取得し、取得した色情報の順番がユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する。
【0024】
RAM40は、揮発性のメモリであり、スイッチ情報生成部32で生成されたスイッチ情報を記憶し、またユーザが入力部10の入力スイッチを押下する都度、入力情報判定部33で判定される、押下されたスイッチの色情報を順次蓄積する。
【0025】
表示部50は、認証部34による認証結果を、ユーザに報知するために表示する。
【0026】
〈第1実施形態による認証装置の動作〉
次に、本実施形態による認証装置1の動作について説明する。
【0027】
本実施形態において認証装置1の稼働に際し、予め正規ユーザ識別情報がROM20に記憶されている。
【0028】
ROM20に記憶された正規ユーザ識別情報の一例を、図4に示す。
【0029】
図4に示す正規ユーザ識別情報では、正規ユーザであるユーザAに対する識別情報として色順番情報「赤→ピンク→橙→緑」が登録され、正規ユーザであるユーザBに対する識別情報として色順番情報「黄→青→黄→赤」が登録されているものとする。
【0030】
このようにROM20に正規ユーザ識別情報が記憶されている状態で、認証処理が実行されるときの認証装置1のCPU30の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
まず、管理対象のエリアに入室しようとするユーザにより開錠のための認証処理を開始するために開始スイッチ100が押下されると(S1)、CPU30によりROM20に記憶されているアプリケーション情報がRAM40に展開され、認証処理が開始される。
【0032】
次に、CPU30のスイッチ情報生成部32において、入力部10の各スイッチ101〜116の位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報が生成され、RAM40に記憶される。
【0033】
RAM40に記憶されたスイッチ情報の一例を、図6に示す。図6に示すスイッチ情報には、入力部10のスイッチ101〜116のうち、スイッチ101、102、104、106、107、109、112、114、および115が「無色」、スイッチ103が「赤」、スイッチ105が「青」、スイッチ108が「橙」、スイッチ110が「ピンク」、スイッチ111が「黄」、スイッチ113が「水色」、スイッチ116が「緑」として記憶されている。
【0034】
また、この生成されたスイッチ情報は入力部10に送出され、このスイッチ情報に基づいて各スイッチ101〜116が該当する色で点灯される(S2)。入力スイッチ101〜116が点灯されたときの状態の一例を、図7に示す。
【0035】
このようにスイッチ101〜116がそれぞれ該当する色で点灯されている状態で、ユーザにより入力部10によりいずれかのスイッチが押下されると、入力情報取得部31においてこれが検知され、スイッチの種類(開始スイッチ、または入力スイッチ)が判定される(S3)。
【0036】
次に入力情報判定部33では、入力情報取得部31でいずれかの入力スイッチが押下されたと判定されたときに、RAM40に記憶されたスイッチ情報に基づいて押下されたスイッチの位置情報が判定され、当該位置情報に対応する色情報がさらに判定される。判定された、押下されたスイッチの色情報は、RAM40に記憶される(S4)。
【0037】
例えば、ユーザによりスイッチ103が押下されると、入力情報取得部31において「入力スイッチ」が押下されたことが検知され、入力情報判定部33においてスイッチ情報に基づいて位置情報「3列目 1行目」が取得されてさらに色情報「赤」が取得され、この色情報「赤」が1回目のスイッチ押下の情報としてRAM40に記憶される。
【0038】
このスイッチの色情報の判定およびRAM40への記憶は、複数回のユーザによるスイッチ操作により、ROM20に記憶された正規ユーザ識別情報に対応する所定数(本実施形態においては4個)のスイッチの色情報が取得されるまで繰り返される(S5)。
【0039】
ステップS5において所定数の色情報が取得されRAM40に記憶されると、認証部34においてこれらの色情報の順番が取得される(S6)。
【0040】
例えば、ここでは1回目のスイッチ押下による色情報「赤」→2回目のスイッチ押下による色情報「ピンク」→3回目のスイッチ押下による色情報「橙」→4回目のスイッチ押下による色情報「緑」、の色情報の順番が取得されたものとする。
【0041】
次に認証部34において、この取得された色情報の順番と、予めROM20に記憶された正規ユーザ識別情報とに基づいて、当該操作を行ったユーザが正規ユーザであるか否かが判定される(S8)。
【0042】
ここでは、認証部34で取得された色情報の順番「赤」→「ピンク」→「橙」→「緑」は、正規ユーザ識別情報中の「ユーザA」と同一であるため、当該操作を行ったユーザは正規ユーザの「ユーザA」であると認証される(S8の「YES」)。
【0043】
認証部34において正規ユーザであると判定されると、認証に成功したことをユーザに報知するための情報が表示部50に表示される(S9)とともに、管理エリアへの施錠(図示せず)が開錠される。
【0044】
以上の本実施形態によれば、色情報を用いて入力スイッチを識別するように構成したことにより、認証処理の都度、スイッチの色情報をランダムに割り当てる処理を簡易に行うことができ、また、ユーザにとっても識別情報を記憶しやすくすることができ、精度の高い認証処理を行うことが可能になる。
【0045】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による認証装置の構成〉
本発明の第2実施形態による認証装置2の構成は、第1実施形態による認証装置1の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0046】
〈第2実施形態による認証装置の動作〉
次に、本実施形態による認証装置2の動作について説明する。
【0047】
本実施形態においては正規ユーザ認証情報として、図8に示すように、ユーザCに対しスイッチの位置情報および色順番情報からなる識別情報「青→青→右上無色→緑」が登録されているものとする。
【0048】
このようにROM20に正規ユーザ識別情報が記憶されている状態で、認証処理が実行され、管理対象のエリアに入室しようとするユーザにより開錠のための認証処理を開始するために開始スイッチ100が押下されると(S1)、CPU30のスイッチ情報生成部32において、入力部10の各スイッチ101〜116の位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報が生成され、RAM40に記憶される。
【0049】
本実施形態においては図6のスイッチ情報が生成され、このうち、位置情報「4列目 1行目」のスイッチ104が常に「無色」になるように固定されているものとする。
【0050】
また、この生成されたスイッチ情報は入力部10に送出され、このスイッチ情報に基づいて各スイッチ101〜116が該当する色で点灯される(S2)。
【0051】
このようにスイッチ101〜116がそれぞれ該当する色で点灯されている状態で、ユーザにより入力部10によりいずれかのスイッチが押下されると、入力情報取得部31においてこれが検知され、スイッチの種類(開始スイッチ、または入力スイッチ)が判定される(S3)。
【0052】
次に入力情報判定部33では、入力情報取得部31でいずれかの入力スイッチが押下されたと判定されたときに、RAM40に記憶されたスイッチ情報に基づいて押下されたスイッチの位置情報が判定され、当該位置情報に対応する色情報がさらに判定される。判定された、押下されたスイッチの位置情報および色情報は、RAM40に記憶される(S4)。
【0053】
例えば、ユーザによりスイッチ104が押下されると、入力情報取得部31において「入力スイッチ」が押下されたことが検知され、入力情報判定部33においてスイッチ情報に基づいて位置情報「4列目 1行目(右上)」が取得されてさらに色情報「無色」が取得され、この固定された位置情報および色情報「4列目 1行目(右上) 無色」がスイッチ押下の情報としてRAM40に記憶される。
【0054】
このスイッチの位置情報、色情報の判定およびRAM40への記憶は、複数回のユーザによるスイッチ操作により、ROM20に記憶された正規ユーザ識別情報に対応する所定数(本実施形態においては4個)のスイッチの位置情報および色情報が取得されるまで繰り返される(S5)。
【0055】
ステップS5において所定数の位置情報および色情報が取得されRAM40に記憶されると、認証部34においてこれらの位置情報および色情報の順番が取得される(S6)。
【0056】
例えば、ここでは1回目のスイッチ押下による色情報「青」→2回目のスイッチ押下による色情報「青」→3回目のスイッチ押下による位置情報および色情報「右上無色」→4回目のスイッチ押下による色情報「緑」、の位置情報および色情報の順番が取得されたものとする。
【0057】
次に認証部34において、この取得された位置情報および色情報の順番と、予めROM20に記憶された正規ユーザ識別情報とに基づいて、当該操作を行ったユーザが正規ユーザであるか否かが判定される(S8)。
【0058】
ここでは、認証部34で取得された位置情報および色情報の順番「青」→「青」→「右上無色」→「緑」は、正規ユーザ識別情報中の「ユーザC」と同一であるため、当該操作を行ったユーザは正規ユーザの「ユーザC」であると認証される(S8の「YES」)。
【0059】
認証部34において正規ユーザであると判定されると、認証に成功したことをユーザに報知するための情報が表示部50に表示される(S9)とともに、管理エリアへの施錠(図示せず)が開錠される。
【0060】
以上の本実施形態によれば、色情報に加えてスイッチの位置情報も識別情報に加えたため、管理するユーザ数を増やすことができるとともに、精度の高い認証処理を行うことができる。
【0061】
《第3実施形態》
〈第3実施形態による認証装置の構成〉
本実施形態による認証装置3は、第1実施形態による認証装置1と同様の構成を有するため、同一機能を有する構成部については詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施形態における入力部10のスイッチ101〜116は、複数色のうちのいずれかで点灯可能であるとともに、それぞれ異なる数字情報を併せて表示させることが可能である。
【0063】
また本実施形態におけるROM20には、正規ユーザにより予め登録された、複数のスイッチの色情報が特定の順番で組み合わせられた色識別情報と、これらの色情報にそれぞれ対応する数字情報の組み合わせからなる番号識別情報とを、正規ユーザ識別情報として記憶する。
【0064】
また本実施形態によるスイッチ情報生成部32は、入力情報取得部31で開始スイッチ100が押下されたと判定されたときに、入力部10の各スイッチ101〜116の位置情報と、点灯する色情報および表示する数字情報との対応を示すスイッチ情報を生成してRAM40に記憶させるとともに、生成したスイッチ情報に基づいて入力部10の各入力スイッチ101〜116を所定色で点灯させるとともに数字情報を表示させる。
【0065】
また本実施形態による認証部34は、RAM40に順次蓄積された、押下されたスイッチの位置情報に基づいて、押下されたスイッチの色情報および数字情報の順番を取得するとともに、取得した数字情報および色情報の順番がユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する。
【0066】
RAM40は、揮発性のメモリであり、スイッチ情報生成部32で生成されたスイッチ情報を記憶し、またユーザが入力部10の入力スイッチを押下する都度、入力情報判定部33で判定される、押下されたスイッチの色情報および数字情報の順番を順次蓄積する。
【0067】
〈第3実施形態による認証装置の動作〉
次に、本実施形態による認証装置3の動作について説明する。
【0068】
本実施形態においては正規ユーザ認証情報として、図9に示すように、ユーザDに対してスイッチの位置情報および色順番情報からなる識別情報「橙→青→無色→緑」、およびこれに対応する番号識別情報「2307」が登録されているものとする。
【0069】
このようにROM20に正規ユーザ識別情報が記憶されている状態で、認証処理が実行されると、管理対象のエリアに入室しようとするユーザにより開錠のための認証処理を開始するために開始スイッチ100が押下されると(S1)、入力部10の各スイッチ101〜116の位置情報と、表示する数字情報および点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報が生成され、RAM40に記憶される。
【0070】
このスイッチ情報において、点灯する色情報と表示する数字情報との対応は、正規ユーザ識別情報として記憶されるユーザごとに予め設定されてROM20に記憶されており、例えば16進数カラーコードを人間の視覚で識別しやすい10色に分類し、各色を数字情報「0」〜「9」に対応させることで設定される。本実施形態においてユーザDについて生成されたスイッチ情報の一例を、図10に示す。
【0071】
図10に示すスイッチ情報には、入力部10のスイッチ101〜116のうち、スイッチ101、102、104、106、107、109、112、114、および115が「無色:表示数字『0』」、スイッチ103が「赤:表示数字『1』」、スイッチ108が「橙:表示数字『2』」、スイッチ105が「青:表示数字『3』」、スイッチ110が「ピンク:表示数字『4』」、スイッチ111が「黄:表示数字『5』」、スイッチ113が「水色:表示数字『6』」、スイッチ116が「緑:表示数字『7』」として記憶されている。
【0072】
また、この生成されたスイッチ情報は入力部10に送出され、このスイッチ情報に基づいて各スイッチ101〜116が該当する色で点灯され、数字が表示される(S2)。
【0073】
このようにスイッチ101〜116がそれぞれ該当する色で点灯されるとともに対応する数字が表示されている状態で、ユーザにより入力部10によりいずれかのスイッチが押下されると、入力情報取得部31においてこれが検知され、スイッチの種類(開始スイッチ、または入力スイッチ)が判定される(S3)。
【0074】
次に入力情報判定部33では、入力情報取得部31でいずれかの入力スイッチが押下されたと判定されたときに、RAM40に記憶されたスイッチ情報に基づいて押下されたスイッチの位置情報が判定され、当該位置情報に対応する色情報および数字情報がさらに判定される。判定された、押下されたスイッチの色情報および数字情報は、RAM40に記憶される(S4)。
【0075】
例えば、ユーザによりスイッチ108が押下されると、入力情報取得部31において「入力スイッチ」が押下されたことが検知され、入力情報判定部33においてスイッチ情報に基づいて位置情報「4列目 2行目」が取得されてさらに色情報「橙」および数字情報「2」が取得され、この色情報「橙」および数字情報「2」が1回目のスイッチ押下の情報としてRAM40に記憶される。
【0076】
このときユーザは、色情報に基づいて記憶したユーザ識別情報、または番号識別情報に基づいて記憶したユーザ識別情報のどちらを用いても入力が可能である。
【0077】
このスイッチの色情報および数字情報の判定およびRAM40への記憶は、複数回のユーザによるスイッチ操作により、ROM20に記憶された正規ユーザ識別情報に対応する所定数(本実施形態においては4個)のスイッチの色情報および数字情報が取得されるまで繰り返される(S5)。
【0078】
ステップS5において所定数の色情報が取得されRAM40に記憶されると、認証部34においてこれらの色情報および数字情報の順番が取得される(S6)。
【0079】
例えば、ここでは1回目のスイッチ押下による色情報「橙」、数字情報「2」→2回目のスイッチ押下による色情報「青」、数字情報「3」→3回目のスイッチ押下による色情報「無色」、数字情報「0」→4回目のスイッチ押下による色情報「緑」、数字情報「7」、の色情報の順番が取得されたものとする。
【0080】
次に認証部34において、この取得された色情報および数字情報の順番と、予めROM20に記憶された正規ユーザ識別情報とに基づいて、当該操作を行ったユーザが正規ユーザであるか否かが判定される(S8)。
【0081】
ここでは、認証部34で取得された色情報の順番「橙」→「青」→「無色」→「緑」および数字情報の順番「2」→「3」→「0」→「7」は、正規ユーザ識別情報中の「ユーザD」と同一であるため、当該操作を行ったユーザは正規ユーザの「ユーザD」であると認証される(S8の「YES」)。
【0082】
認証部34において正規ユーザであると判定されると、認証に成功したことをユーザに報知するための情報が表示部50に表示される(S9)とともに、管理エリアへの施錠(図示せず)が開錠される。
【0083】
以上の本実施形態によれば、色情報および数字情報を用いて入力スイッチを識別するように構成したことにより、ユーザは色識別情報、番号識別情報のいずれを用いても認証のための情報を入力することができ、また色情報と数字情報との対応はユーザにより異なるためスキミングの防止効果を向上させることができ、さらに精度の高い認証処理を行うことが可能になる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0085】
例えば、上記実施形態においては認証装置の入力部に開始スイッチを設け、この開始スイッチが押下されたときに認証処理が開始されてスイッチ情報が生成される場合について説明したがこれには限定されず、入力部に開始スイッチを設けず複数の入力スイッチのみを設け、これらの入力スイッチの最初の押下を開始スイッチの押下として認識するように構成してもよい。例えば、認証処理を行っていないときにはすべての入力スイッチを消灯して無色にしておき、いずれかの入力スイッチが押下されたときにこれを開始スイッチの押下として認識し、その後スイッチ情報を生成して各入力スイッチを所定色で点灯させて認証処理を開始させるようにしてもよい。または、認証処理を行っていないときには各入力スイッチを常時ランダムな色で発色させておき、最初の入力スイッチの押下が行われたときにこれを認証処理のための1回目の押下として当該時の入力スイッチの色情報を認識するとともに開始スイッチの押下としても認識し、その後スイッチ情報を生成して各入力スイッチを所定色で点灯させて認証処理を続けて実行させるようにしてもよい。
【0086】
また、ROM20に記憶する正規ユーザ識別情報を、正規ユーザごとの複数の前記スイッチの押下時間情報(短押し、長押し)および色情報とし、入力部のスイッチが押下されたときに、認証部において当該押下の押下時間情報(短押し、長押し)をさらに取得し、取得した押下時間情報および色情報の順番がユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証するようにしてもよい。このように押下時間情報を加えることにより、管理するユーザ数を増やすことができるとともに、精度の高い認証処理を行うことができる。
【0087】
また上述した第1実施形態〜第3実施形態においては、16個の入力スイッチを有する場合について説明したが、これには限定されず、例えば図11に示すように16個のスイッチ101〜116のうち上部の8個(スイッチ101〜108)を入力スイッチとして用い、最下部の一列のスイッチ(スイッチ113〜116)を現在の押下回数を示すための点灯スイッチとして用いるようにしてもよい。
【0088】
このように構成することにより、ユーザが識別情報を入力する(スイッチを押下する)毎に最下部のスイッチが1つずつ点灯されていき、ユーザが現在何個目の識別情報の入力操作を行っているかが判るようになる。
【0089】
また、上述した第1実施形態〜第3実施形態においては、認証部34による認証結果を表示部に表示することによりユーザに報知する場合について説明したが、入力部としてマトリクス状に並べられた複数の入力スイッチを認証結果の表示に用いるようにしてもよい。
【0090】
例えば、複数の入力スイッチをすべて「青」で点灯することに「認証OK」を示し、「赤」で点灯することにより「認証NG」を示すようにしてもよい。また、図12(a)に示すように、複数の入力スイッチのうち「○」をイメージした形状になるように選択されたスイッチを点灯させることにより「認証OK」を示し、図12(b)に示すように、「×」をイメージした形状になるように選択されたスイッチを点灯させることにより「認証NG」を示すようにしてもよい。また、図13(a)〜(d)に示すように、一定方向に点灯が動くイメージになるように切り替えながら順次スイッチを点灯させることにより、「認証処理中」であることを示すようにしてもよい。また、認証処理に用いていない間は、複数のスイッチを複数色で全灯することにより、カラフルなイメージの照明として用いるようにしてもよい。また、図14に示すように、予め設定された所定位置のスイッチのみを点灯させることにより、特定の情報、例えば異常状態や故障状態を報知するようにしてもよい。
【0091】
また、上記第1実施形態〜第3実施形態の認証装置1の入力情報取得部31、スイッチ情報生成部32、入力情報判定部33、認証部34の機能構成をプログラム化してコンピュータに組み込むことにより、当該コンピュータを認証装置として機能させる認証用プログラムを構築することも可能である。
【符号の説明】
【0092】
1〜3…認証装置
10…入力部
20…ROM
30…CPU
31…入力情報取得部
32…スイッチ情報生成部
33…入力情報判定部
34…認証部
40…RAM
50…表示部
100…開始スイッチ
101〜116…入力スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に並べられ、複数色うちのいずれかでそれぞれ点灯可能な複数のスイッチを有する入力部と、
正規ユーザごとに予め登録された、複数の色情報が特定の順番で組み合わせられた正規ユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
前記入力部の各スイッチの、位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報を生成してこのスイッチ情報に基づいて前記入力部のスイッチを点灯させるスイッチ情報生成部と、
前記入力部のスイッチが押下されたときに、前記スイッチ情報生成部で生成されたスイッチ情報に基づいて、押下されたスイッチの位置情報に対応する色情報を判定し、さらに押下により判定された色情報の順番を取得し、取得した色情報の順番がユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する認証部と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記ユーザ情報記憶部に記憶される前記正規ユーザ識別情報は、正規ユーザごとの、複数の前記スイッチの位置情報および色情報が、特定の順番で組み合わせられた情報であり、
前記認証部は、前記入力部のスイッチが押下されたときに、前記スイッチ情報記憶部に記憶されたスイッチ情報に基づいて、押下されたスイッチの位置情報に対応する色情報を判定し、さらに押下により判定されたスイッチの位置情報および色情報の順番を取得し、取得した位置情報および色情報の順番がユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する
ことを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
マトリクス状に並べられ、複数色うちのいずれかでそれぞれ点灯可能であるとともに各色に対応する数字情報を表示可能な複数のスイッチを有する入力部と、
前記ユーザ情報記憶部に記憶される前記正規ユーザ識別情報は、正規ユーザごとの、複数のスイッチの色情報が特定の順番で組み合わせられた色識別情報と、これらの色情報にそれぞれ対応する数字情報とからなり、
前記認証部は、前記入力部のスイッチが押下されたときに、前記スイッチ情報生成部で生成されたスイッチ情報に基づいて、押下されたスイッチの位置情報に対応する色情報および数字情報の順番を取得し、取得した色情報および数字情報の順番がユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記ユーザ情報記憶部に記憶される前記正規ユーザ識別情報は、正規ユーザごとの、複数の前記スイッチの押下時間情報および色情報が、特定の順番で組み合わせられた情報であり、
前記認証部は、前記入力部のスイッチが押下されたときに、当該押下の押下時間情報をさらに取得し、取得した押下時間情報および色情報の順番がユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の認証装置。
【請求項5】
前記入力部は、現在の押下回数を示すための複数のスイッチをさらに有する
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の認証装置。
【請求項6】
前記認証部による認証結果に基づいて、前記入力部のスイッチを所定色で点灯するかまたは、点灯により所定形状を示すように選択されたスイッチのみを点灯する
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の認証装置。
【請求項7】
マトリクス状に並べられ、複数色うちのいずれかでそれぞれ点灯可能な複数のスイッチを有する入力部と、正規ユーザごとに予め登録された、複数の色情報が特定の順番で組み合わせられた正規ユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部とを備えた認証装置が、
前記入力部の各スイッチの、位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報を生成してこのスイッチ情報に基づいて前記入力部のスイッチを点灯させ、
前記入力部のスイッチが押下されたときに、前記生成されたスイッチ情報に基づいて、押下されたスイッチの位置情報に対応する色情報を判定し、さらに押下により判定された色情報の順番を取得し、
取得した色情報の順番が前記ユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する
ことを特徴とする認証方法。
【請求項8】
マトリクス状に並べられ、複数色うちのいずれかでそれぞれ点灯可能な複数のスイッチを有する入力部と、正規ユーザごとに予め登録された、複数の色情報が特定の順番で組み合わせられた正規ユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部とを備えた認証装置に、
前記入力部の各スイッチの、位置情報と点灯する色情報との対応を示すスイッチ情報を生成してこのスイッチ情報に基づいて前記入力部のスイッチを点灯させる機能と、
前記入力部のスイッチが押下されたときに、前記生成されたスイッチ情報に基づいて、押下されたスイッチの位置情報に対応する色情報を判定し、さらに押下により判定された色情報の順番を取得する機能と、
取得した色情報の順番が前記ユーザ情報記憶部に記憶された正規ユーザ識別情報と合致するときには当該押下操作を行ったユーザを正規のユーザとして認証する機能と
を実行させるための認証用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−194657(P2012−194657A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56709(P2011−56709)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】