説明

認証装置、認証方法及びコンピュータプログラム

【課題】生体情報などを読み取るための専用装置を設けることによるコスト増大の問題や、リムーバブルディスクを利用者毎に携帯させることによる問題を軽減すること。
【解決手段】認証装置であって、複数の文字又は画像の組み合わせにより構成される第一認証情報と、時間の経過に応じて変化する複数の経時情報の組み合わせによって構成される第二認証情報と、を記憶する認証情報記憶部と、経時情報を表示装置に表示させる経時情報制御部と、操作者によって入力又は選択された各文字又は各画像と第一認証情報とが一致するか否か、及び、各文字又は各画像が操作者によって入力又は選択された時点で表示装置に表示されていた各経時情報と第二認証情報とが一致するか否か、に基づいて操作者を認証する認証部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、所定の数字や文字によって構成されたパスワードを用いた認証技術が普及している。また近年は、指紋や声紋などの生体情報、筆跡や筆圧などの情報(以下、「個性情報」という。)を用いた認証技術も提案されている。しかし、パスワードを用いた認証技術では、パスワード入力時に覗き見などによる漏洩が問題となっている。また、生体情報や個性情報を用いた認証技術では、覗き見などによる漏洩の可能性は低減するものの、専用装置が必要となりコストの増大が問題となっている。
【0003】
このような問題に対し、特許文献1には、パスワードの他にリムーバブルメディアに記録されたデータをさらに用いて認証を行う技術が開示されている。この技術では、リムーバブルメディアに記録されたデータを用いることによって、覗き見などによる漏洩を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−250012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された認証技術では、リムーバブルメディアを利用者が携帯しなければならなかった。そのため、利用者の負担が増大するとともに、万が一利用者がリムーバブルメディアを紛失してしまった場合などには、認証を受けることができなくなってしまうという問題があった。また、リムーバブルメディアを利用者毎に準備するためにコストを要するという問題もあった。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は上記問題を軽減する認証技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、認証装置であって、複数の文字又は画像の組み合わせにより構成される第一認証情報と、時間の経過に応じて変化する複数の経時情報の組み合わせによって構成される第二認証情報と、を記憶する認証情報記憶部と、前記経時情報を表示装置に表示させる経時情報制御部と、前記操作者によって入力又は選択された前記各文字又は前記各画像と前記第一認証情報とが一致するか否か、及び、前記各文字又は前記各画像が操作者によって入力又は選択された時点で前記表示装置に表示されていた前記各経時情報と前記第二認証情報とが一致するか否か、に基づいて前記操作者を認証する認証部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様は、認証方法であって、複数の文字又は画像の組み合わせにより構成される第一認証情報と、時間の経過に応じて変化する複数の経時情報の組み合わせによって構成される第二認証情報と、を記憶する認証情報記憶部を備えた認証装置が、前記経時情報を表示装置に表示させるステップと、前記認証装置が、前記操作者によって入力又は選択された前記各文字又は前記各画像と前記第一認証情報とが一致するか否か、及び、前記各文字又は前記各画像が操作者によって入力又は選択された時点で前記表示装置に表示されていた前記各経時情報と前記第二認証情報とが一致するか否か、に基づいて前記操作者を認証するステップと、を備える。
【0009】
本発明の一態様は、複数の文字又は画像の組み合わせにより構成される第一認証情報と、時間の経過に応じて変化する複数の経時情報の組み合わせによって構成される第二認証情報と、を記憶する認証情報記憶部と、表示装置とを備えたコンピュータに対し、前記経時情報を前記表示装置に表示させるステップと、前記操作者によって入力又は選択された前記各文字又は前記各画像と前記第一認証情報とが一致するか否か、及び、前記各文字又は前記各画像が操作者によって入力又は選択された時点で前記表示装置に表示されていた前記各経時情報と前記第二認証情報とが一致するか否か、に基づいて前記操作者を認証するステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、単にパスワードを用いて認証を行う場合に比較して、認証情報の漏洩の可能性を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】認証装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図2】認証画面の具体例を表す図である。
【図3】認証情報の概略を表す図である。
【図4】認証装置の処理の流れを表すフローチャートである。
【図5】認証装置の変形例の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図6】認証装置の変形例の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図7】認証画面の変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、認証装置1の機能構成を表す概略ブロック図である。認証装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、認証プログラムを実行することによって、入力部101、経時情報制御部102、表示部103、認証情報記憶部104、認証部105を備える装置として機能する。なお、認証装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0013】
入力部101は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部101は、第一認証情報を認証装置1に入力する際に操作者によって操作される。第一認証情報は、複数の文字(数字も含む。以下同様。)や画像(以下、各文字や各画像を「要素」という。)を用いて構成される。より具体的には、第一認証情報は、複数の文字を順に配列して構成されるパスワードや、複数の画像を順に並べた情報として構成される。入力部101は、操作者によって操作されると、操作内容に応じた各要素(入力された文字や選択された画像)を経時情報制御部102へ通知する。
【0014】
経時情報制御部102は、経時情報を選択し、選択された経時情報を表示部103に表示させる。経時情報とは、経時変化する情報である。具体的には、経時情報は、時間の経過に応じて変化する色、文字、画像、文字又は画像の表示位置、数値等の情報である。経時情報を選択するためのルールは、経時情報制御部102に予め設定されている。例えば、経時情報制御部102は、予め設定されたルールに従って、所定のタイミングで所定の経時情報を選択し、表示部103に表示させる。このとき、経時情報が変化する所定の時間間隔は、操作者に対してストレスを与えないような時間(例えば1秒、数秒など)に設定されても良い。以下の説明では、経時情報は時間の経過に応じて変化する色であり、一定の周期で赤、青、黄、緑、橙、紫の順に繰り返し変化する場合について説明する。
【0015】
また、経時情報制御部102は、入力部101を介して入力又は選択された各要素(文字や画像)と、各要素が入力又は選択されたタイミングの経時情報とを対応付けて記憶する。そして、操作者からの指示(例えば決定ボタンの押下)に応じて、経時情報制御部102は、記憶している各要素及び経時情報を認証部105へ通知する。
【0016】
表示部103は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置を用いて構成され、認証画面を表示する。また、表示部103は、認証画面内に、経時情報制御部102からの指示に従って経時情報を表示する。
【0017】
認証情報記憶部104は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。認証情報記憶部104は認証情報を記憶する。認証情報とは、認証装置1の操作者を認証部105が認証する際に用いる情報であり、第一認証情報及び第二認証情報を有する。第一認証情報は、上述の通り複数の要素を用いて構成される。これに対し、第二認証情報は、複数の経時情報を用いて構成される。より具体的には、第二認証情報は、例えば第一認証情報を構成する各要素と経時情報とを対応付けて構成されても良いし、単に複数の経時情報が配列された情報として構成されても良い。以下の説明では、第一認証情報として、文字列により構成されたパスワードを適用した例について説明する。また、第二認証情報として、パスワードを構成する各文字に対応付けられた経時情報の組み合わせを適用した例について説明する。
【0018】
認証部105は、入力部101を介して入力又は選択された各要素(文字や画像)と、各要素が入力又は選択されたタイミングの経時情報とについて、経時情報制御部102から通知を受ける。認証部105は、通知された内容を用いて、認証情報記憶部104に記憶される認証情報に基づいて認証処理を行う。具体的には、認証部105は、入力又は選択された各要素と、操作者のユーザIDに対応する第一認証情報とを比較し、一致するか否か判定する。さらに、認証部105は、各要素が入力又は選択されたタイミングの経時情報と、操作者のユーザIDに対応する第二認証情報とを比較し、一致するか否か判定する。そして、判定結果がいずれも一致した場合に、認証装置1の操作者を認証する。なお、操作者のユーザIDは、既存のどのような方法によって認証装置1に入力されても良い。例えば、ユーザIDに相当する文字列が入力部101の操作によって入力されても良いし、ユーザIDを記録した磁気カードの読み取りによって入力されても良い。
【0019】
図2は、認証画面の具体例を表す図である。認証画面20は、表示部103によって表示される画面であり、操作者から各要素の入力又は選択を受け付けるための画面である。認証画面20は、経時情報表示領域201、要素入力受付領域202、決定ボタン表示領域203を有する。
【0020】
経時情報表示領域201は、表示部103が経時情報制御部102から指示された経時情報を随時表示するための領域である。本説明では、経時情報は、時間の経過に応じて一定の周期で赤、青、黄、緑、橙、紫の順に繰り返し変化する色である。したがって、表示部103は、経時情報表示領域201内の色を、経時情報制御部102から指示された色で表示する。
【0021】
要素入力受付領域202は、操作者が入力部101を操作することによって入力した各要素に関する表示を表示部103が行うための領域である。本説明では、第一認証情報としてパスワードが適用された例を説明するため、図2の要素入力受付領域202のそばには「パスワード」と表示されている。表示部103は、パスワードに相当する文字が入力される度に、黒塗りの円を要素入力受付領域202に表示する。表示部103が要素の入力に応じて要素入力受付領域202に表示するものは、上記の黒丸以外のものであっても良い。
【0022】
決定ボタン表示領域203は、各要素の入力が完了したことを操作者が指示するためのボタン(決定ボタン)を表示部103が表示するための領域である。決定ボタンは、決定ボタン表示領域203のみならず、入力部101に具備されても良い。
【0023】
図3は、認証情報の概略を表す図である。図3Aは、第一認証情報のテーブルの概略を表す図である。第一認証情報のテーブル(以下、「第一認証情報テーブル301」という。)は、操作者毎に一意に付与される識別子(ユーザID)と、操作者毎に設定されている第一認証情報(パスワード)とを対応付けて有するテーブルである。図3Aの例では、第一認証情報テーブル301には、ユーザID“ユーザA”に対応付けて、パスワードを構成する5文字の文字列“98765”が設定されている。
【0024】
図3Bは、第二認証情報のテーブルの概略を表す図である。第二認証情報のテーブル(以下、「第二認証情報テーブル302」という。)は、ユーザIDと、経時情報順序と、経時情報とを対応付けて有するテーブルである。経時情報順序は、第一認証情報を構成する各要素の配置順を表す。図3A及び図3Bの場合、経時情報順序“1”に対応する要素は“9”であり、経時情報順序“2”に対応する要素は“8”である。経時情報は、各経時情報順序に対応する経時情報を表す。図3Bの場合、経時情報順序“1”に対応する経時情報は“赤”であり、経時情報順序“2”に対応する経時情報は“青”である。したがって、第一認証情報の5桁の数字のうち、1番目の数字である“9”に対応する経時情報が“赤”である。また、2番目の数字である“8”に対応する経時情報は“青”である。このように、第二認証情報テーブル302には、ユーザID及び第一認証情報の各要素に対応付けて経時情報が設定されている。なお、図3Bの例では経時情報は「赤」という文字で表されているが、赤を表すコード(例えば“0001”)や、暗号化された文字列によって表されても良い。
【0025】
図4は、認証装置1の処理の流れを表すフローチャートである。まず、表示部103が認証画面20を表示する(ステップS101)。次に、経時情報制御部102が、予め設定されたルールに従って、最初の初期経時情報を選択し、表示部103に表示させる。このとき、経時情報制御部102は、直前の処理において最後に選択した経時情報を記憶しておき、その次の順番の経時情報を初期経時情報として選択しても良い。また、経時情報制御部102は、予め初期値として設定された経時情報を常に初期経時情報として選択しても良い。この指示に応じて、表示部103は経時情報表示領域201内に、指示された経時情報を表示する(ステップS102)。具体的には、表示部103は、経時情報表示領域201内の色を、指示された経時情報の色で表示する。
【0026】
次に、経時情報制御部102は、前回の経時情報の選択(この場合はステップS102における初期経時情報の選択)から所定時間が経過したか否か判定する(ステップS103)。所定時間が経過している場合には(ステップS103−YES)、経時情報制御部102は、予め設定されたルールに従って次の順番の経時情報を選択し、表示部103へ指示し表示させる。この場合、表示部103は、経時情報表示領域201内に、新たに指示された経時情報を表示する(ステップS104)。一方、前回の経時情報の選択から所定時間が経過していない場合には(ステップS103−NO)、経時情報制御部102は上記指示を行わない。
【0027】
次に、経時情報制御部102は、入力部101を介して操作者が要素の入力又は選択を行ったか否か判定する(ステップS105)。要素の入力又は選択があった場合(ステップS105−YES)、経時情報制御部102は、入力又は選択がなされた時点の経時情報を、入力又は選択された要素に対応付けて記憶する(ステップS106)。なお、この説明では、入力される要素とは、パスワードを構成する各文字である。一方、要素の入力又は選択がなかった場合には(ステップS105−NO)、経時情報制御部102は上記記憶を行わない。
【0028】
次に、経時情報制御部102は、入力部101を介して操作者が決定ボタンを押下したか否か判定する(ステップS107)。決定ボタンの押下は、入力部101に具備された決定ボタンが操作されることによって行われても良いし、認証画面20上に表示された決定ボタン表示領域203が入力部101のポインティングデバイスで選択されることによって行われても良い。決定ボタンが押下されていない場合(ステップS107−NO)、認証装置1はステップS103以降の処理を繰り返し実行する。
【0029】
一方、決定ボタンが押下された場合(ステップS107−YES)、経時情報制御部102は、その時点までに記憶した要素及び経時情報の各組み合わせを順序通り認証部105へ通知する。認証部105は、経時情報制御部102から通知された要素及び経時情報に基づいて認証処理を行う(ステップS108)。具体的には、認証部105は、入力又は選択された各要素の内容及び順番が、第一認証情報と一致するか否か判定する。また、認証部105は、各要素に対応する経時情報が、第二認証情報と一致するか否か判定する。そして、認証部105は、入力又は選択された要素の内容及び順番が第一認証情報に一致し、且つ、各要素に対応する経時情報が第二認証情報に一致する場合に、操作者を、正当権限を有する者として認証する。そして、認証部105は、所定の装置又は機能部に対して認証結果を通知する(ステップS109)。認証結果の通知を受けた装置又は機能部は、通知された認証結果に応じて動作する。例えば、所定の装置が銀行や郵便局などの現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)である場合には、認証がなされた場合にのみ、口座に対する操作を受け付ける。所定の装置は、認証を要する装置であれば、上記のATMに限らずどのような装置であっても良い。
【0030】
以上のような認証装置1では、パスワード等の第一認証情報のみでなく、経時情報に関する第二認証情報をさらに用いて認証が行われる。そのため、従来のようにパスワードや画像の選択のみによって認証が行われる場合に比較してセキュリティが向上する。また、第一認証情報と第二認証情報のどちらか一方のみが漏洩したとしても、他方が漏洩しなければ第三者を認証してしまうことを防止することができる。したがって、漏洩による不正使用の低減を図ることができる。
【0031】
また、認証装置1では、生体情報の読み取りや、記録媒体からのデータの読み取り等を必要としない。そのため、認証装置1では、上記読み取りを行うための専用装置を備える必要が無い。したがって、生体情報や記録媒体からのデータの読み取りを要する他の認証装置に比較して、実装コストを抑えることが可能となる。
【0032】
<変形例>
認証情報記憶部104に記憶される第一認証情報及び第二認証情報の内容を、操作者が認証装置1の操作によって登録することができても良い。具体的には、以下のような処理によって登録がなされる。操作者は、入力部101を操作することによって認証装置1に対し認証情報の登録指示を入力する。経時情報制御部102は、経時情報を選択し表示部103に表示させる。表示部103は、指示された各経時情報を表示する。操作者は任意のタイミングで入力部101を操作することによって各要素を入力する。入力部101の操作によって入力又は選択された各要素は、経時情報制御部102に通知される。経時情報制御部102は、各要素と、各要素が入力又は選択された時点の経時情報とを対応付けて記憶する。そして、決定ボタンが押下されると、経時情報制御部102は、それまでに記憶した各要素及び経時情報を認証部105へ登録要求として通知する。認証部105は、登録要求として通知された各要素をその順序通り第一認証情報として認証情報記憶部104に登録する。また、認証部105は、登録要求として通知された各経時情報をその順序通り第二認証情報として認証情報記憶部104に登録する。なお、ユーザIDは、操作者によって指定されても良いし、認証部105が各認証情報を認証情報記憶部104に登録する際に新たに発行して操作者に通知しても良い。
【0033】
図5は、認証装置1の変形例(認証装置1a)の機能構成を表す概略ブロック図である。認証装置1aは、入力部101、経時情報制御部102、認証部105に代えて、入力部101a、経時情報制御部102a、認証部105aをそれぞれ備える。入力部101aは、操作内容に応じて入力された文字や選択された画像を、経時情報制御部102ではなく認証部105aへ通知する。経時情報制御部102aは、経時情報を選択し、選択された経時情報を表示部103及び認証部105aへ通知する。認証部105aは、入力部101から要素の入力又は選択の通知があった場合、入力又は選択がなされた時点の経時情報を、入力又は選択された要素に対応付けて記憶する。そして、決定ボタンが押下されると、認証部105aは、それまでに記憶された各要素及び経時情報に基づいて、第一認証情報及び第二認証情報に関する認証処理を行う。
【0034】
図5に示された認証装置1aでは、入力部101で要素の入力又は選択が行われた時点で表示部103に表示されていた経時情報と、入力又は選択された各要素について入力部101から認証部105aが通知を受けた時点で認証部105aが認識している経時情報とを一致させるように、同期が実現される。この同期は、どのような同期技術によって実現されても良い。例えば、入力部101から認証部105aまでの伝送時間、経時情報制御部102aから認証部105aまでの伝送時間、経時情報制御部102aから表示部103への伝送時間に基づいて、認証部105aが入力部101から通知されたタイミングの経時情報を補正するように構成されても良い。
【0035】
このように構成された認証装置1aでは、第二認証情報に関する経時情報は、ユーザが入力部101を操作して直接的に入力や選択することによって決定される情報ではなく、ユーザが第一認証情報を入力する際に入力部101を操作するタイミングによって決定される情報である。したがって、第二認証情報自体は、入力部101から認証部105aへの経路上を流れることがなく、認証部105aによって判断される。したがって、入力部101から認証部105aへの経路上で第一認証情報が盗聴されることがあっても、第二認証情報が盗聴されることを抑止することが可能となる。すなわち、第二認証情報は第一認証情報に比較して盗聴されにくいため、セキュリティを向上させることができる。
【0036】
図6は、認証装置1の変形例(認証装置1b)の機能構成を表す概略ブロック図である。認証装置1bは、タイミング指定部401をさらに備える。タイミング指定部401は、操作者によって操作され、経時情報が変化する周期を長く又は短く変更するための指示の入力を受ける。タイミング指定部401は、操作者によって経時情報の周期を変更する指示を受けると、指示の内容を経時情報制御部102bに通知する。経時情報制御部102bは、通知された周期で経時情報を変化させる。すなわち、表示部103が表示する経時情報が変化するタイミングは、タイミング指定部401を介して指示された周期となる。認証装置1bでは、経時情報が変化する周期を操作者が変更できるため、操作者が入力を行いやすくなる。さらに、操作に慣れた操作者が周期を短く変更することによって、覗き見によって第二認証情報を盗み見ることがさらに困難となり、さらにセキュリティを向上させることが可能となる。なお、タイミング指定部401は、上述した認証装置1aに設けられても良い。
【0037】
認証装置1、1a、1bの各機能は、ケーブルやネットワークによって通信可能に接続された複数の装置にわたって実装されても良い。例えば、入力部101、経時情報制御部102、及び表示部103を備える端末装置と、認証部105を備えるサーバ装置と、認証情報記憶部104を備えるデータベース装置とを用いて認証システムとして実現されても良い。また、例えば、入力部101及び表示部103aを備える端末装置と、経時情報制御部102a及び認証部105aを備えるサーバ装置と、認証情報記憶部104を備えるデータベース装置とを用いて認証システムとして実現されても良い。また、例えば、入力部101、表示部103、及びタイミング指定部401を備える端末装置と、経時情報制御部102及び認証部105を備えるサーバ装置と、認証情報記憶部104を備えるデータベース装置とを用いて認証システムとして実現されても良い。
【0038】
図7は、認証画面20の変形例を表す図である。特に経時情報が色である場合、表示部103は、認証画面20に経時情報表示領域201を設けず、認証画面20全体の背景色として経時情報を表示しても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1,1a,1b…認証装置, 101,101a…入力部, 102,102a,102b…経時情報制御部, 103…表示部, 104…認証情報記憶部, 105,105a…認証部, 20…認証画面, 201…経時情報表示領域, 401…タイミング指定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文字又は画像の組み合わせにより構成される第一認証情報と、時間の経過に応じて変化する複数の経時情報の組み合わせによって構成される第二認証情報と、を記憶する認証情報記憶部と、
前記経時情報を表示装置に表示させる経時情報制御部と、
前記操作者によって入力又は選択された前記各文字又は前記各画像と前記第一認証情報とが一致するか否か、及び、前記各文字又は前記各画像が操作者によって入力又は選択された時点で前記表示装置に表示されていた前記各経時情報と前記第二認証情報とが一致するか否か、に基づいて前記操作者を認証する認証部と、
を備える認証装置。
【請求項2】
前記表示装置に表示される経時情報が変化するタイミングを変更するための指示を受け付けるタイミング指示部をさらに備え、
前記経時情報制御部は、前記タイミング指示部が受け付けた前記タイミングで前記経時情報を変化させることを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
複数の文字又は画像の組み合わせにより構成される第一認証情報と、時間の経過に応じて変化する複数の経時情報の組み合わせによって構成される第二認証情報と、を記憶する認証情報記憶部を備えた認証装置が、前記経時情報を表示装置に表示させるステップと、
前記認証装置が、前記操作者によって入力又は選択された前記各文字又は前記各画像と前記第一認証情報とが一致するか否か、及び、前記各文字又は前記各画像が操作者によって入力又は選択された時点で前記表示装置に表示されていた前記各経時情報と前記第二認証情報とが一致するか否か、に基づいて前記操作者を認証するステップと、
を備える認証方法。
【請求項4】
複数の文字又は画像の組み合わせにより構成される第一認証情報と、時間の経過に応じて変化する複数の経時情報の組み合わせによって構成される第二認証情報と、を記憶する認証情報記憶部と、表示装置とを備えたコンピュータに対し、
前記経時情報を前記表示装置に表示させるステップと、
前記操作者によって入力又は選択された前記各文字又は前記各画像と前記第一認証情報とが一致するか否か、及び、前記各文字又は前記各画像が操作者によって入力又は選択された時点で前記表示装置に表示されていた前記各経時情報と前記第二認証情報とが一致するか否か、に基づいて前記操作者を認証するステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−164716(P2011−164716A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23563(P2010−23563)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】