説明

認証装置及び認証装置の制御方法

【課題】簡易な構成でセキュリティの高い認証を行う。
【解決手段】認証装置100は、可視光を照射するバックライトと、バックライトが照射する可視光が認証カードで反射した反射光を像として検知する可視光センサと、赤外光を照射する赤外光ライトと、該赤外光ライトが照射する赤外光が上記認証カードで反射した反射光を像として検知する赤外光センサとを含む表示/光センサ部300と、上記可視光センサが検知した像の「mark A」から取得した認証情報を用いて、上記認証カードが正当であるか否かを判定する可視光画像認証部22と、上記赤外光センサが検知した像の「mark C」から取得した認証情報を用いて、上記認証カードが正当であるか否かを判定する第1赤外画像認証部23とを備え、判定の結果が全て正当である場合に、上記認証対象物が正当であると判定するので、簡易な構成でセキュリティの高い認証を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証対象物をスキャンした画像に基づいて認証を行う認証装置及び認証装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、施設や設備を利用したり、サービスの提供を受けたりするときに、予め発行されたカードを認証装置に読み取らせ、認証に成功したときに、その施設等を利用可能とするシステムが広く普及している。このようなシステムでは、カードさえあれば、その施設等を利用することができるので、第三者が偽造カードを用いて不正に施設等を利用する被害も増加している。
【0003】
このため、カードの偽造を防ぐための技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、カードの所有者の顔画像に該所有者のサインのスペルを電子透かしとして埋め込んだ画像である顔写真情報をカードに印刷すると共に、該カードに上記サインのスペルを記録したICチップを組み込むことが記載されている。そして、ICチップから読み出したスペルと電子透かしから読み取ったスペルとが一致した場合に認証成功と判断するようにしている。
【0004】
上記の構成によれば、視認が困難な電子透かしとして埋め込まれた情報と、ICチップに記録されている情報との両方が揃わなければ認証が成功しない。つまり、このカードを偽造するためには、電子透かしとして埋め込まれた情報をコピーすると共に、ICチップに記録されている情報もコピーする必要があり、カードの偽造が困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−126046号公報(2001年5月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、認証に用いるカードは、顔写真情報を印刷した上、さらにICチップを埋め込んだ複雑な構成であり、その製造コストはどうしても高くなってしまう。また、該カードの認証装置は、電子透かしの読み取り用スキャナと、ICチップ読み取り用のプローブとを備えている必要があり、認証装置の構成が複雑になってしまう。
【0007】
つまり、偽造カードによる被害が増加している現状で、認証装置のセキュリティの向上は必須であるが、複数種類の認証情報を組み合わせることによって、セキュリティの向上を図った場合には、認証装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、セキュリティの高い認証を行うことができる認証装置及び認証装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の認証装置は、面状部材を用いて、第1認証マーク及び第2認証マークを有する認証対象物の像を検知し、検知した像における第1認証マーク及び第2認証マークから、第1認証情報及び第2認証情報をそれぞれ取得して認証を行う認証装置であって、上記第1認証マークは可視光を反射するものであり、上記第2認証マークは赤外光を反射するものであり、上記面状部材は、上記認証対象物に可視光を照射する可視光照射部と、該可視光照射部が照射する可視光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する可視光検知部と、上記認証対象物に赤外光を照射する赤外光照射部と、該赤外光照射部が照射する赤外光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する赤外光検知部とを含み、上記可視光検知部が検知した像の第1認証マークから取得した上記第1認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する可視光認証手段と、上記赤外光検知部が検知した像の第2認証マークから取得した上記第2認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する第1赤外光認証手段とを備え、判定の結果が全て正当である場合に、上記認証対象物が正当であると判定することを特徴としている。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の認証装置の制御方法は、面状部材を用いて、第1認証マーク及び第2認証マークを有する認証対象物の像を検知し、検知した像における第1認証マーク及び第2認証マークから、第1認証情報及び第2認証情報をそれぞれ取得して認証を行う認証装置の制御方法であって、上記第1認証マークは可視光を反射するものであり、上記第2認証マークは赤外光を反射するものであり、上記面状部材は、上記認証対象物に可視光を照射する可視光照射部と、該可視光照射部が照射する可視光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する可視光検知部と、上記認証対象物に赤外光を照射する赤外光照射部と、該赤外光照射部が照射する赤外光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する赤外光検知部とを含み、上記可視光検知部が検知した像の第1認証マークから取得した上記第1認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する可視光認証ステップと、上記赤外光検知部が検知した像の第2認証マークから取得した上記第2認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する赤外光認証ステップと、判定の結果が全て正当である場合に、上記認証対象物が正当であると判定する判定ステップとを含むことを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、認証対象物に可視光を照射して検知される像には、可視光を反射する第1認証マークが含まれるので、この像から第1認証情報を取得することができる。同様に、認証対象物に赤外光を照射して検知される像には、赤外光を反射する第2認証マークが含まれるので、この像から第2認証情報を取得することができる。そして、これらの像の検知は、何れも1つの面状部材によって行われる。
【0012】
つまり、上記の構成によれば、1つの面状部材によって認証対象物の像を検知するという簡易な構成で、認証対象物に設けられた2つの認証情報を取得することができる。そして、取得した2つの認証情報を用いて認証対象物の正否を判定することにより、セキュリティの高い認証を行うことができる。
【0013】
また、認証対象物を製造するときには、2つの認証情報を例えば印刷等によって簡単に設けることができるので、認証対象物の製造コストも下げることができるという効果を奏する。
【0014】
さらに、上記の構成によれば、認証対象物の正否判定に第2認証マークを用いるので、認証対象物の偽造が困難になるという利点もある。つまり、第2認証マークは、赤外光照射により検知されるものであるから、視認できないものとすることができる。そして、視認できない第2認証マークは、その存在自体が気付かれ難いので、これをコピーすることは難しく、それゆえ認証対象物を偽造することは困難となる。
【0015】
また、上記認証装置は、上記認証対象物における上記第1認証マーク及び第2認証マークの配置を示す配置情報を格納する配置情報記憶部と、上記可視光検知部が検知した像における上記第1認証マークの配置、及び上記赤外光検知部が検知した像における上記第2認証マークの配置の両方が、上記配置情報記憶部に格納されている配置情報が示す上記第1認証マーク及び第2認証マークの配置と一致する場合に、上記認証対象物が正当であると判定する配置認証手段を備えていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、配置情報が示す第1認証マーク及び第2認証マークの配置と、検知された像における第1認証マーク及び第2認証マークの配置との一致が、認証対象物を正当であると判定するための要件として追加されている。
【0017】
したがって、偽造した認証対象物を用いて、上記認証装置に正当であると判定させるためには、第1認証マーク及び第2認証マークをコピーするのみならず、それらの配置についてもコピーしなければならない。ゆえに、上記の構成によれば、偽造された認証対象物を正当であると誤判定する可能性を低減し、セキュリティを高めることができる。
【0018】
また、上記認証対象物は、赤外光の反射率が上記第2認証マークと異なる第3認証マークを有しており、上記第1赤外光認証手段は、上記赤外光検知部が検知した像において、輝度値の相違に基づき上記第2認証マークと第3認証マークとを識別して、上記第2認証マークから上記第2認証情報を取得し、上記赤外光検知部が検知した像において、輝度値の相違に基づき上記第2認証マークと第3認証マークとを識別して、上記第3認証マークから上記第3認証情報を取得し、該取得した第3認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する第2赤外光認証手段を備えていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、第3認証マークから取得される第3認証情報を用いた認証対象物の正否判定によって正当と判定されることが、認証対象物を正当であると判定するための要件として追加されている。
【0020】
したがって、偽造した認証対象物を用いて、上記認証装置に正当であると判定させるためには、第1認証マーク及び第2認証マークをコピーするのみならず、第3認証マークもコピーしなければならない。また、第3認証マークは、第2認証マークと赤外光の反射率が異なるものであり、このような反射率の違いを正確に反映させたコピーを作ることは困難である。ゆえに、上記の構成によれば、認証のセキュリティを高めることができる。
【0021】
また、上記認証装置は、上記面状部材上に予め定めた領域を示す領域情報を格納する領域情報記憶部と、上記認証対象物が、上記領域情報記憶部に格納されている領域情報が示す領域内で検知された場合に、上記認証対象物が正当であると判定する領域認証手段を備えていることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、認証対象物が所定の領域内で検知されることが、認証対象物を正当であると判定するための要件として追加されている。したがって、上記所定の領域を予め知らされていない者は、正当な認証対象物を用いた場合であっても、正当であるとの判定を受けることができない。
【0023】
つまり、上記の構成によれば、認証対象物の所有者以外の者が認証対象物を用いたとしても、正当であるとの判定を受けることができないことになる。したがって、認証対象物を誰かに取得された場合であっても、これが悪用されることを防ぐことができる。
【0024】
また、上記面状部材は、画像を表示する機能をさらに有し、上記面状部材上における上記認証対象物の像を検知する領域を、当該面状部材に表示する表示処理手段を備えていることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、上記認証対象物の像を検知する領域が面状部材に表示されるので、ユーザは、認証対象物を面状部材のどの領域で検知させればよいかを容易に認識することができる。
【0026】
なお、上記認証装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記認証装置の各手段として動作させることにより、上記認証装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0027】
本発明の認証装置は、面状部材を用いて、第1認証マーク及び第2認証マークを有する認証対象物の像を検知し、検知した像における第1認証マーク及び第2認証マークから、第1認証情報及び第2認証情報をそれぞれ取得して認証を行う認証装置であって、上記第1認証マークは可視光を反射するものであり、上記第2認証マークは赤外光を反射するものであり、上記面状部材は、上記認証対象物に可視光を照射する可視光照射部と、該可視光照射部が照射する可視光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する可視光検知部と、上記認証対象物に赤外光を照射する赤外光照射部と、該赤外光照射部が照射する赤外光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する赤外光検知部とを含み、上記可視光検知部が検知した像の第1認証マークから取得した上記第1認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する可視光認証手段と、上記赤外光検知部が検知した像の第2認証マークから取得した上記第2認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する第1赤外光認証手段とを備え、判定の結果が全て正当である場合に、上記認証対象物が正当であると判定する構成である。
【0028】
また、本発明の認証装置の制御方法は、面状部材を用いて、第1認証マーク及び第2認証マークを有する認証対象物の像を検知し、検知した像における第1認証マーク及び第2認証マークから、第1認証情報及び第2認証情報をそれぞれ取得して認証を行う認証装置の制御方法であって、上記第1認証マークは可視光を反射するものであり、上記第2認証マークは赤外光を反射するものであり、上記面状部材は、上記認証対象物に可視光を照射する可視光照射部と、該可視光照射部が照射する可視光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する可視光検知部と、上記認証対象物に赤外光を照射する赤外光照射部と、該赤外光照射部が照射する赤外光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する赤外光検知部とを含み、上記可視光検知部が検知した像の第1認証マークから取得した上記第1認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する可視光認証ステップと、上記赤外光検知部が検知した像の第2認証マークから取得した上記第2認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する赤外光認証ステップと、判定の結果が全て正当である場合に、上記認証対象物が正当であると判定する判定ステップとを含む構成である。
【0029】
したがって、1つの面状部材によって認証対象物の像を検知するという簡易な構成で、認証対象物に担持された2つの認証情報を取得することができ、取得した2つの認証情報を用いて認証対象物の正否を判定することにより、セキュリティの高い認証を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、認証装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記認証装置を用いた認証システムの概要を示す図である。
【図3】上記認証装置が備えるセンサ内蔵液晶パネルが認証カードをスキャンして得た画像の一例を示す模式図であり、同図(a)は可視光スキャンで得た画像の一例を示し、同図(b)は赤外光スキャンで得た画像の一例を示している。
【図4】上記認証カードの製造方法の一例を示す図である。
【図5】上記センサ内蔵液晶パネルの構造を模式的に示す図であり、同図(a)はセンサ内蔵液晶パネルの断面図であり、同図(b)は同図(a)の矢印Aの方向から見たセンサ内蔵液晶パネルの画素の模式図である。
【図6】上記認証装置の要部構成を示すブロック図である。
【図7】可視光スキャン画像における認証カードの像の位置に基づく認証方法を説明する図である。
【図8】認証情報の検出位置に基づく認証方法を説明する図であり、同図(a)(b)(c)はそれぞれ認証情報の配置が異なる認証カードの例を示している。
【図9】上記認証装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図1から9に基づいて詳細に説明する。
【0032】
〔認証システムの概要〕
まず、認証システムの概要について、図2に基づいて説明する。図2は認証システムの概要を示す図である。図示のように、本実施形態の認証システムは、認証カード1を認証装置100のセンサ内蔵液晶パネル301で読み取ることによって、認証を行うものである。なお、認証装置100が認証を行う対象は、必ずしも認証カード1のようにカード状である必要はなく、認証対象物の形状は任意である。
【0033】
認証カード1には、「mark A」(第1認証マーク)、「mark B」(第3認証マーク)、及び「mark C」(第2認証マーク)の3つのマークが印刷されている。この3つのマークのうち、「mark A」は、可視光を反射するマーク、すなわち視認可能なマークである。一方、「mark C」は、赤外光のみを反射するマークであり、このマークは視認されない。そして、「mark B」は、赤外光を反射するが、「mark C」よりも赤外光の反射が弱いマークであり、このマークも視認されない。なお、これらのマークの形成方法については後述する。
【0034】
認証装置100のセンサ内蔵液晶パネル301は、画像を表示する機能を有していると共に、対象物の画像検出が可能な液晶パネルである。ここで、対象物の画像検出とは、例えば、ユーザが指やペンなどでポインティング(タッチ)した位置の検出や、印刷物等の画像の読み取り(スキャン)である。なお、表示に用いるデバイスは、液晶パネルに限定されるものではなく、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどであってもよい。
【0035】
画像を表示するときに、センサ内蔵液晶パネル301から可視光が出射されるので、画像を表示したセンサ内蔵液晶パネル301上に認証カード1を載置してスキャン(以後、可視光スキャンと呼ぶ)した場合には、認証カード1のセンサ内蔵液晶パネル301と対向する面で反射した可視光が、画像として検出される。
【0036】
また、センサ内蔵液晶パネル301からは、赤外光も出射されるようになっており、赤外光を出射しているセンサ内蔵液晶パネル301上に認証カード1を載置してスキャン(以後、赤外光スキャンと呼ぶ)した場合には、認証カード1のセンサ内蔵液晶パネル301と対向する面で反射した赤外光が、画像として検出される。
【0037】
このように、センサ内蔵液晶パネル301は、発した可視光が認証カード1で反射した反射光を画像として検出することができると共に、発した赤外光が認証カード1で反射した反射光を画像として検出することができる。このため、可視光を反射する「mark A」を画像として検出することができると共に、赤外光を反射する「mark B」、及び「mark C」を画像として検出することができる。
【0038】
ここで、センサ内蔵液晶パネル301が認証カード1をスキャンして得られる画像について、図3に基づいて説明する。図3は、センサ内蔵液晶パネル301が認証カード1をスキャンして得た画像の一例を示す模式図であり、同図(a)は可視光スキャンで得た画像の一例を示し、同図(b)は赤外光スキャンで得た画像の一例を示している。
【0039】
同図(a)に示すように、可視光スキャンを行った場合には、センサ内蔵液晶パネル301上に載置された認証カード1の像が写ると共に、可視光を反射する「mark A」の像が写る。一方、可視光を反射しない「mark B」及び「mark C」は、可視光スキャンでは写らない。
【0040】
これに対し、同図(b)に示すように、赤外光スキャンを行った場合には、センサ内蔵液晶パネル301上に載置された認証カード1の像が写ると共に、赤外光を反射する「mark B」及び「mark C」の像が写り、赤外光を反射しない「mark A」の像は写らない。また、「mark B」は「mark C」よりも赤外光の反射が弱いので、「mark B」は「mark C」よりも写る像が薄くなる(像の輝度が低くなる)。
【0041】
認証装置100は、図3(a)(b)に示したような可視光スキャン画像と、赤外光スキャン画像とを用いて、認証カード1の「mark A」、「mark B」、及び「mark C」を読み取る。そして、読み取った結果と予め格納している登録情報とを照合し、両者が一致した場合に認証成功と判断する。
【0042】
このように、認証装置100では、1つのセンサ内蔵液晶パネル301によって、視認可能な「mark A」、視認できない「mark C」、及び同じく視認できず「mark C」とは赤外光の反射強度が異なる「mark B」を全て検出することができる。また、センサ内蔵液晶パネル301には、画像も表示されるようになっている。
【0043】
したがって、認証装置100によれば、非常にコンパクトな構成で、視認可能な「mark A」による認証と、視認できない「mark C」による認証と、同じく視認できず「mark C」とは赤外光の反射強度が異なる「mark B」による認証とを組み合わせたセキュリティの高い認証を行うことができる。
【0044】
また、認証カード1には、視認できず、赤外線の反射率が異なる「mark B」及び「mark C」が含まれているので、偽造が困難となっており、認証システムのセキュリティを堅牢なものとしている。
【0045】
さらに、以下で説明するように、認証カード1は印刷によって製造することも可能であり、ICチップを用いた認証カードと比べて製造コスト面で有利である。
【0046】
また、ICチップよりも水や折り曲げ等に強く、磁気カードのように強い磁気にあてることでデータが失われることもない。このように、認証カード1は、従来の認証カードと比べて壊れにくいという利点も有している。
【0047】
〔認証カード1の製造方法の例〕
ここで、「mark A」、「mark B」、及び「mark C」の3つのマークを有する認証カード1の製造方法について、図4に基づいて説明する。図4は、認証カード1の製造方法の一例を示す図である。
【0048】
図示のように、IRフィルタ10には「mark A」が印刷されており、カード基材20には「mark B」及び「mark C」が印刷されている。なお、「mark A」、「mark B」、「mark C」からは、認証に必要な情報(第1認証情報、第3認証情報、第2認証情報)が取得できるようになっている。これらのマークは、例えばQRコード(登録商標)とすることもできる。
【0049】
そして、IRフィルタ10の「mark A」が印刷されていない面と、カード基材20の「mark B」及び「mark C」が印刷された面とを接着することによって認証カード1は製造される。
【0050】
これにより、「mark A」は、認証カード1の表面に露出する状態となり、「mark B」及び「mark C」は、IRフィルタ10とカード基材20とで挟み込まれる状態となる。
【0051】
ここで、IRフィルタ10は、赤外光を通すが可視光を通さない素材よりなる。したがって、IRフィルタ10とカード基材20とで挟み込まれる「mark B」及び「mark C」には、赤外光のみが到達することになる。
【0052】
カード基材20は、一般的な認証カードと同様に樹脂等で形成することが、製造コスト、耐用年数等の観点から望ましい。しかしながら、カード基材20の素材は、特に限定されず、任意のものを適用することができる。
【0053】
「mark A」は、可視光を反射する一般的なインクを用いて印刷する。これに対し、「mark C」は、赤外光を反射するインク(例えばノンカーボンインク等)で印刷する。また、「mark B」は、「mark C」よりも赤外光の反射が弱いインクで印刷する。これにより、IRフィルタ10を通過した赤外光が、「mark B」及び「mark C」で反射して、認証カード1の外部に放射されることになる。
【0054】
なお、認証カード1の製造方法は、上記の例に限られず、カード上に赤外光を反射するマークと、可視光を反射するマークとが形成される方法であれば、任意の方法を適用することができる。例えば、赤外線を吸収するインク(例えばステルスインク、不可視インク等)と赤外線を反射するインク(例えばノンカーボンインク等)とを重ね合わせて印刷することで、認証カード1を製造することもできる。
【0055】
〔センサ内蔵液晶パネル301の構造〕
次に、センサ内蔵液晶パネル301の構造について、図5に基づいて説明する。図5は、センサ内蔵液晶パネル301の構造を模式的に示す図であり、同図(a)はセンサ内蔵液晶パネル301の断面図であり、同図(b)は同図(a)の矢印Aの方向から見たセンサ内蔵液晶パネル301の画素の模式図である。また、同図では、センサ内蔵液晶パネル301にて認証カード1のマークを読み取る様子を併せて示している。
【0056】
同図(a)に示すように、センサ内蔵液晶パネル301は、背面側に配置されるアクティブマトリクス基板53と、表面側に配置される対向基板51とを備え、これら基板の間に液晶層52を挟持した構造を有している。
【0057】
アクティブマトリクス基板53には、画素電極、データ信号線、光センサ回路、配向膜、偏光板などが設けられる。対向基板51には、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のカラーフィルタ、遮光膜、対向電極、配向膜、偏光板などが設けられる。また、センサ内蔵液晶パネル301の背面には、バックライト(可視光照射部)307及び赤外光ライト(赤外光照射部)310が設けられている。
【0058】
このような構成のセンサ内蔵液晶パネル301の各画素を、同図(a)の矢印Aの方向から見ると、同図(b)のようになっている。図示のように、センサ内蔵液晶パネル301の各画素には、赤色カラーフィルタ61r、緑色カラーフィルタ61g、及び青色カラーフィルタ61bが設けられている。また、各画素には、可視光センサ(可視光検知部)62及び赤外光センサ(赤外光検知部)63が設けられている。
【0059】
これにより、センサ内蔵液晶パネル301に入射する可視光及び赤外光を像として検出することができる。なお、可視光センサ62及び赤外光センサ63は、光センサ回路に含まれている。つまり、可視光センサ62及び赤外光センサ63は、アクティブマトリクス基板53(カラーフィルタよりも背面側)に配置される。
【0060】
また、同図では、説明の便宜上、カラーフィルタが可視光センサ62及び赤外光センサ63を覆わないように記載しているが、可視光センサ62及び赤外光センサ63は、カラーフィルタで覆われていてもよい。つまり、可視光センサ62及び赤外光センサ63が、カラーフィルタを通過した光を受けるようになっていてもよい。
【0061】
ここで、バックライト307から可視光が出射されると、照射された可視光はIRフィルタ10の表面に印刷されている「mark A」で反射して、この反射光を可視光センサ62が検知する。これに対し、IRフィルタ10が赤外光を通さないことにより、「mark B」及び「mark C」には可視光が到達しない。
【0062】
一方、赤外光ライト310から赤外光が出射されると、照射された可視光はIRフィルタ10を通過して、赤外光を反射する「mark B」及び「mark C」で反射して、この反射光を赤外光センサ63が検知する。なお、「mark B」からの反射光は、「mark C」からの反射光よりも弱い。そして、「mark A」は赤外光を反射しない。
【0063】
なお、認証装置100による認証は、図示のように認証カード1をセンサ内蔵液晶パネル301にかざすことによって行うこともできるし、認証カード1をセンサ内蔵液晶パネル301上に載置することによって行うこともできる。
【0064】
〔認証装置100の要部構成〕
次に、図6を参照しながら、認証装置100の要部構成について説明する。図6は、認証装置100の要部構成を示すブロック図である。図示のように、認証装置100は、表示/光センサ部(面状部材)300、回路制御部600、データ処理部700、主制御部800、記憶部901、一次記憶部902、操作部903、外部通信部907、音声出力部908、及び音声入力部909を備えている。
【0065】
表示/光センサ部300は、いわゆる光センサ内蔵液晶表示装置である。表示/光センサ部300は、センサ内蔵液晶パネル301、バックライト307、赤外光ライト310、それらを駆動するための周辺回路309を含んで構成される。
【0066】
センサ内蔵液晶パネル301は、マトリクス状に配置された複数の画素回路31、光センサ回路32、及び赤外光センサ回路34を含んで構成される。
【0067】
周辺回路309は、液晶パネル駆動回路304、可視光センサ駆動回路305、赤外光センサ駆動回路302、信号変換回路306、バックライト駆動回路308、赤外光ライト駆動回路303を含む。
【0068】
液晶パネル駆動回路304は、回路制御部600の表示制御部601からのタイミング制御信号及びデータ信号に従って、制御信号及びデータ信号を出力し、画素回路31を駆動する回路である。
【0069】
可視光センサ駆動回路305は、回路制御部600のセンサ制御部602からのタイミング制御信号に従って、信号線に電圧を印加し、光センサ回路32を駆動する回路である。また、赤外光センサ駆動回路302は、可視光センサ駆動回路305と同様、回路制御部600のセンサ制御部602からのタイミング制御信号に従って、信号線に電圧を印加し、赤外光センサ回路34を駆動する回路である。
【0070】
信号変換回路306は、光センサ回路32及び赤外光センサ回路34から出力されるセンサ出力信号をデジタル信号に変換し、該変換後の信号をセンサ制御部602に送信する回路である。
【0071】
バックライト307は、複数の白色LED(Light Emitting Diode)を含んでおり、センサ内蔵液晶パネル301の背面に配置される。そして、バックライト駆動回路308から電源電圧が印加されると、バックライト307は点灯し、センサ内蔵液晶パネル301に光を照射する。なお、バックライト307は、白色LEDに限らず、他の色のLEDを含んでいてもよい。また、バックライト307は、LEDに代えて、例えば、冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)を含むものであってもよい。
【0072】
赤外光ライト310は、赤外光ライト駆動回路303から電圧が印加されることによって、赤外光を照射するものである。
【0073】
赤外光ライト駆動回路303は、回路制御部600の赤外光ライト制御部605からの制御信号がハイレベルであるときは、赤外光ライト310に電源電圧を印加し、逆に、赤外光ライト制御部605からの制御信号がローレベルであるときは、赤外光ライト310に電源電圧を印加しない。
【0074】
同様に、バックライト駆動回路308は、回路制御部600のバックライト制御部603からの制御信号がハイレベルであるときは、バックライト307に電源電圧を印加し、逆に、バックライト制御部603からの制御信号がローレベルであるときは、バックライト307に電源電圧を印加しない。
【0075】
次に、回路制御部600について説明する。回路制御部600は、表示/光センサ部300の周辺回路309を制御するデバイスドライバとしての機能を備えるものである。回路制御部600は、表示制御部601、センサ制御部602、バックライト制御部603、表示データ記憶部604、及び赤外光ライト制御部605を備えている。
【0076】
表示制御部601は、データ処理部700の表示データ処理部701から表示データを受信するとともに、表示データ処理部701からの指示に従って、表示/光センサ部300の液晶パネル駆動回路304に、タイミング制御信号及びデータ信号を送信し、上記受信した表示データをセンサ内蔵液晶パネル301に表示させる。
【0077】
なお、表示制御部601は、表示データ処理部701から受信した表示データを、表示データ記憶部604に一次記憶させる。そして、当該一次記憶させた表示データに基づいて、データ信号を生成する。表示データ記憶部604は、例えば、VRAM(video random access memory)などである。
【0078】
センサ制御部602は、データ処理部700のセンサデータ処理部703からの指示に従って、表示/光センサ部300の可視光センサ駆動回路305及び/または赤外光センサ駆動回路302に、タイミング制御信号を送信し、センサ内蔵液晶パネル301にてスキャンを実行させる。
【0079】
また、センサ制御部602は、信号変換回路306からデジタル信号を受信する。そして、センサ内蔵液晶パネル301に含まれる全ての光センサ回路32または赤外光センサ回路34から出力されたセンサ出力信号に対応するデジタル信号に基づいて、画像データを生成する。つまり、センサ内蔵液晶パネル301の読み取り領域全体で読み取った画像データを生成する。そして、該生成した画像データをセンサデータ処理部703に送信する。
【0080】
バックライト制御部603は、表示データ処理部701及びセンサデータ処理部703からの指示に従って、表示/光センサ部300のバックライト駆動回路308に制御信号を送信し、バックライト307を駆動させる。
【0081】
同様に、赤外光ライト制御部605は、表示データ処理部701及びセンサデータ処理部703からの指示に従って、表示/光センサ部300の赤外光ライト駆動回路303に制御信号を送信し、赤外光ライト310を駆動させる。
【0082】
次に、データ処理部700について説明する。データ処理部700は、主制御部800から受信する命令に基づいて、回路制御部600に指示を与えるミドルウェアとしての機能を備えるものである。
【0083】
データ処理部700は、表示データ処理部701及びセンサデータ処理部703を備えている。そして、データ処理部700が、主制御部800から受信する命令に応じて、表示データ処理部701及びセンサデータ処理部703の少なくとも一方を動作させる。
【0084】
表示データ処理部701は、主制御部800から表示データを受信するとともに、データ処理部700が受信した命令に従って、表示制御部601、バックライト制御部603に指示を与え、上記受信した表示データをセンサ内蔵液晶パネル301に表示させる。
【0085】
センサデータ処理部703は、データ処理部700が受信した命令に従って、センサ制御部602及びバックライト制御部603に指示を与える。また、センサデータ処理部703は、センサ制御部602から画像データを受信し、当該画像データをそのまま画像データバッファ704に格納する。そして、センサデータ処理部703は、データ処理部700が受信した命令に従って、画像データバッファ704に記憶されている画像データを主制御部800に送信する。
【0086】
次に、主制御部800は、アプリケーションプログラムを実行するものである。主制御部800は、記憶部901に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部902に読み出して実行する。
【0087】
主制御部800で実行されるアプリケーションプログラムは、センサ内蔵液晶パネル301に表示データを表示させたり、センサ内蔵液晶パネル301にて対象物のスキャンを行わせたりするために、データ処理部700に対して、命令及び表示データを送信する。また、スキャンを行わせたときには、センサ内蔵液晶パネル301からスキャン結果である画像を受信する。
【0088】
なお、回路制御部600、データ処理部700、及び主制御部800は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等で構成することができる。また、データ処理部700は、ASIC(application specific integrate circuit)などの回路で構成されていてもよい。
【0089】
次に、記憶部901は、図示のように、主制御部800が実行するプログラム及びデータを格納するものである。なお、主制御部800が実行するプログラムは、アプリケーション固有のプログラムと、各アプリケーションが共用可能な汎用プログラムとに分離されていてもよい。
【0090】
次に、操作部903は、認証装置100のユーザの入力操作を受けつけるものである。操作部903は、例えば、スイッチ、リモコン、マウス、キーボードなどの入力デバイスで構成される。そして、操作部903は、認証装置100のユーザの入力操作に応じた制御信号を生成し、該生成した制御信号を主制御部800へ送信する。
【0091】
なお、上記スイッチの例としては、電源のオンとオフとを切り替える電源スイッチ905、予め所定の機能が割り当てられているユーザスイッチ906などのハードウェアスイッチを想定している。
【0092】
その他、認証装置100は、無線/有線通信によって外部装置と通信を行うための外部通信部907、音声を出力するためのスピーカ等の音声出力部908、音声信号を入力するためのマイク等の音声入力部909などを適宜備えていてもよい。
【0093】
〔認証装置100のより詳細な構成〕
続いて、認証装置100のより詳細な構成、特に主制御部800及び記憶部901の詳細な構成について、図1に基づいて説明する。図1は、認証装置100の要部構成を示すブロック図である。
【0094】
図示のように、主制御部800には、スキャン処理部11、認証部12、及び表示処理部(表示処理手段)13が含まれている。また、記憶部901には、スキャン画像格納部41、認証情報格納部(配置情報記憶部、領域情報記憶部)42、及び表示情報格納部43が含まれている。
【0095】
スキャン処理部11は、センサ内蔵液晶パネル301に定期的にスキャンを行わせることによって、センサ内蔵液晶パネル301上に認証カード1が載置されたことを検知する。そして、スキャン処理部11は、センサ内蔵液晶パネル301上に認証カード1が載置されたことを検知したときには、認証カード1が載置された状態でスキャンした画像(可視光スキャン画像)を、センサ内蔵液晶パネル301からデータ処理部700を介して受信し、スキャン画像格納部41に格納する。また、その旨を認証部12に通知する。
【0096】
また、スキャン処理部11は、認証部12からの指示を受けて、センサ内蔵液晶パネル301に赤外光スキャンを行わせ、これにより取得された画像(赤外光スキャン画像)を、センサ内蔵液晶パネル301からデータ処理部700を介して受信し、スキャン画像格納部41に格納する。また、その旨を認証部12に通知する。
【0097】
認証部12は、スキャン画像格納部41に格納される、認証カード1の可視光スキャン画像と赤外光スキャン画像とを用いて、当該認証カード1及びそのユーザが正当なものであるか否かを判定する。この機能は認証部12に含まれるスキャン位置認証部(領域認証手段)21、可視光画像認証部(可視光認証手段)22、第1赤外画像認証部(第1赤外光認証認証手段)23、第2赤外画像認証部(第2赤外光認証認証手段)24、及びマーク位置認証部(配置認証手段)25によって実現される。
【0098】
スキャン位置認証部21は、可視光スキャン画像における、認証カード1の像の位置に基づいて、認証カード1のユーザの正当性を確認する。これについて、図7に基づいて説明する。図7は、可視光スキャン画像における認証カード1の像の位置に基づく認証方法を説明する図である。
【0099】
図示のように、センサ内蔵液晶パネル301の表示面は、認証カード1よりも広くなっている。このため、認証カード1のユーザは、認証カード1をセンサ内蔵液晶パネル301の表示面上の様々な位置に載置することが可能である。例えば、図示の例では、表示面の左下隅に載置しているが、右下隅や左上隅等に載置することも可能である。
【0100】
ここで、スキャン位置認証部21は、認証カード1が予め定めたスキャン領域内で検知されたか否かに応じて、認証カード1の正否(正確には認証カード1のユーザの正否)を判定する。つまり、スキャン位置認証部21は、上記スキャン領域内で認証カード1が検知されたときには、認証成功と判定し、上記スキャン領域外で検知されたときには認証失敗と判定する。
【0101】
これにより、認証カード1の載置位置を知らない者は、認証カード1を用いたとしても認証に成功しないことになる。したがって、認証カード1盗用を防ぐことができる。なお、認証カード1のユーザには、認証カード1の発行時等に、予め認証カード1の載置位置(上記スキャン領域の表示面上における位置)を通知しておけばよい。
【0102】
可視光画像認証部22は、可視光スキャン画像から認証情報を取得して、該取得した認証情報と、認証情報格納部42に格納されている登録情報と照合する。例えば、認証カード1の認証を行う場合には、可視光画像認証部22が取得する認証情報は「mark A」ということになる。そして、可視光画像認証部22は、両者が一致したときには認証成功と判断し、その旨を第1赤外画像認証部23に通知する。また、不一致のときには認証失敗と判断する。なお、認証カード1が裏返しに載置された場合や、認証カード1以外のものが載置された場合等のように、可視光スキャン画像から認証情報が検出されない場合にも、可視光画像認証部22は、認証失敗と判断する。
【0103】
第1赤外画像認証部23は、可視光画像認証部22が認証成功したときに、赤外光スキャン画像から認証情報を取得する。ここで取得する認証情報は、赤外光スキャン画像において、輝度値が所定の閾値を超えているものである。例えば、認証カード1の認証を行う場合には、第1赤外画像認証部23が取得する認証情報は「mark C」ということになる。そして、第1赤外画像認証部23は、上記取得した認証情報と、認証情報格納部42に格納されている登録情報と照合し、両者が一致したときには認証成功と判断し、その旨を第2赤外画像認証部24に通知する。また、不一致のときには認証失敗と判断する。
【0104】
第2赤外画像認証部24は、第1赤外画像認証部23が認証成功したときに、赤外光スキャン画像から認証情報を取得して、該取得した認証情報と、認証情報格納部42に格納されている登録情報と照合する。ここで取得する認証情報は、赤外光スキャン画像において、輝度値が所定の閾値以下のものである。例えば、認証カード1の認証を行う場合には、第2赤外画像認証部24が取得する認証情報は「mark B」ということになる。そして、第2赤外画像認証部24は、両者が一致したときには認証成功と判断し、その旨をマーク位置認証部25に通知する。また、不一致のときには認証失敗と判断する。
【0105】
マーク位置認証部25は、可視光スキャン画像及び赤外光スキャン画像のそれぞれで検出された認証情報の検出位置に基づいて認証を行う。これについて、図8に基づいて説明する。図8は、認証情報の検出位置に基づく認証方法を説明する図であり、同図(a)(b)(c)はそれぞれ認証情報の配置が異なる認証カードの例を示している。
【0106】
同図(a)に示す認証カード1では、「mark A」、「mark B」、「mark C」の3つの認証情報が右から順にほぼ一直線上に配置されている。これに対し、同図(b)に示す認証カード1’では、「mark C」、「mark A」、「mark B」の順に配置されている。また、同図(C)に示す認証カード1”では、「mark A」、「mark B」、「mark C」が右から順に配置されているが、マークが一直線上には並んでいない。
【0107】
マーク位置認証部25は、このようなマーク(認証情報)の配置の相違を識別し、マークの配置が正しくない認証カードについては認証失敗と判断する。例えば、これら3つの認証カードのうち、認証カード1が真正品である場合には、マーク位置認証部25は、認証カード1’及び認証カード1”には認証カード1と同じマークが記載されているにもかかわらず、これらの認証カードについては認証失敗と判断する。
【0108】
具体的には、マーク位置認証部25は、認証情報の正しい配置を示すパターンの情報を認証情報格納部42から読み出し、読み出したパターンの情報と、可視光スキャン画像及び赤外光スキャン画像とを用いて、認証の成否を判断する。なお、パターンの情報は、画像であってもよく、この場合には、可視光用パターンの情報と可視光スキャン画像、及び赤外光用パターンの情報と赤外光スキャン画像とでパターンマッチングを行うことで、認証の成否が判断される。無論、認証情報の配置が正しいか否かを判断する方法はこの例に限られない。
【0109】
表示処理部13は、認証装置100の動作状態に応じた画像を表示情報格納部43から読み出して、センサ内蔵液晶パネル301に表示させる。例えば、表示処理部13は、認証の待ち受け中には、「認証カードを画面上に置いて下さい」のようなメッセージを表示して、認証開始を促す。なお、表示処理部13は、スキャン画像格納部41からスキャン画像を読み出して、認証カード1等が載置されている領域と、何も載置されていない領域とを特定し、何も載置されていない領域に上記のような表示を行う。これにより、表示した内容をユーザに確実に認識させることができる。
【0110】
スキャン画像格納部41には、スキャン処理部11が受信したスキャン画像が格納される。上述のように、このスキャン画像には、可視光スキャン画像と赤外光スキャン画像とが含まれる。
【0111】
認証情報格納部42には、上記スキャン画像を用いて認証を行うための情報が格納される。具体的には、下記の表1に示すように、「スキャン領域」、「可視光マーク」、「赤外光マーク(強)」、「赤外光マーク(弱)」、及び「パターン」が含まれる。そして、これらの情報は、ユーザ毎に予め登録されている。
【0112】
【表1】

【0113】
「スキャン領域」には、スキャン位置認証部21が認証カード1の載置位置で認証を行うときに用いる情報が格納されている。表1の例では、「スキャン領域」として、可視光スキャン画像における座標の範囲を示す情報が格納されている。つまり、スキャン位置認証部21は、この座標の範囲内に認証カード1の像が含まれている場合には認証成功と判断し、認証カード1の像が範囲外に出ている場合には認証失敗と判断する。
【0114】
「可視光マーク」には、可視光画像認証部22が可視光スキャン画像から読み取った認証情報を用いた認証を行うための情報が格納されている。すなわち、可視光画像認証部22は、可視光スキャン画像から読み取った認証情報(「mark A」)と、「可視光マーク」に格納されている情報とが一致した場合に認証成功と判断し、不一致の場合に認証失敗と判断する。
【0115】
表1の例では、ユーザ1の「可視光マーク」として、「Code1」が格納されているので、「mark A」が「Code1」を示すマークである場合には認証成功と判断する。また、ユーザ2の「可視光マーク」として、「Code2」が格納されているので、「mark A」が「Code2」を示すマークである場合にも認証成功と判断する。一方、どのユーザの「可視光マーク」とも一致しない場合には認証失敗と判断する。
【0116】
「赤外光マーク(強)」には、第1赤外画像認証部23が赤外光スキャン画像から読み取った認証情報を用いた認証を行うための情報が格納されている。すなわち、第1赤外画像認証部23は、赤外光スキャン画像から読み取った認証情報(「mark C」)と、「赤外光マーク(強)」に格納されている情報とが一致した場合に認証成功と判断し、不一致の場合に認証失敗と判断する。
【0117】
なお、詳細については後述するが、「赤外光マーク(強)」による認証は、「可視光マーク」による認証の後で行われる。このため、「赤外光マーク(強)」による認証を行うときには、認証対象のユーザが特定されている。つまり、「可視光マーク」による認証において「Code1」で認証成功した場合には「ユーザ1」が特定され、「Code2」で認証成功した場合には「ユーザ2」が特定される。そして、「赤外光マーク(強)」による認証では、ユーザに応じた認証を行う。
【0118】
すなわち、「可視光マーク」の認証によりユーザ1が特定されていた場合には、「mark C」が「Code3」を示すマークであるときに認証成功と判断し、ユーザ2が特定されていた場合には、「mark C」が「Code4」を示すマークであるときに認証成功と判断する。
【0119】
「赤外光マーク(弱)」には、第2赤外画像認証部24が赤外光スキャン画像から読み取った認証情報を用いた認証を行うための情報が格納されている。すなわち、第2赤外画像認証部24は、赤外光スキャン画像から読み取った認証情報(「mark B」)と、「赤外光マーク(弱)」に格納されている情報とが一致した場合に認証成功と判断し、不一致の場合に認証失敗と判断する。「赤外光マーク(弱)」による認証でも、ユーザに応じた認証を行う。
【0120】
「パターン」には、マーク位置認証部25が認証情報の配置で認証を行うための情報が格納されている。表1の例では、ユーザ1の「パターン」として、可視光スキャン画像を用いてパターンマッチングを行うときに用いる「Image 1」と、赤外光スキャン画像を用いてパターンマッチングを行うときに用いる「Image 2(IR)」とが格納されている。また、ユーザ2の「パターン」として、可視光スキャン画像を用いてパターンマッチングを行うときに用いる「Image 3」と、赤外光スキャン画像を用いてパターンマッチングを行うときに用いる「Image 4(IR)」とが格納されている。
【0121】
すなわち、マーク位置認証部25は、ユーザ1の認証を行うときには、可視光スキャン画像における認証カード1の像が「Image 1」と一致し、かつ赤外光スキャン画像における認証カード1の像が「Image 2(IR)」と一致した場合に、認証成功と判断する。また、ユーザ2の認証を行うときには、可視光スキャン画像における認証カード1の像が「Image 3」と一致し、かつ赤外光スキャン画像における認証カード1の像が「Image 4(IR)」と一致した場合に、認証成功と判断する。
【0122】
表示情報格納部43には、表示処理部13がセンサ内蔵液晶パネル301に表示させる画像のデータが格納される。例えば、認証待ち受け状態における表示画面、認証失敗時、認証成功時の表示画面等の画像データが格納される。
【0123】
〔処理の流れ〕
次に、認証装置100が実行する処理の流れについて、図9に基づいて説明する。図9は、認証装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、認証装置100が、可視光を反射する「mark A」、赤外光を反射する「mark B」及び「mark C」が印刷された認証カード1の認証を行う例について説明する。
【0124】
まず、スキャン処理部11は、センサ内蔵液晶パネル301が認証カード1を検出したか否かを確認する(S1)。なお、スキャン処理部11は、可視光スキャンを行って得られた画像に変化が生じた場合に、認証カード1を検出したと判断する。
【0125】
ここで、認証カード1の検出が確認されなかった場合(S1でNO)には、スキャン処理部11は、一定時間後に認証カード1の検出を再確認する。つまり、認証カード1の検出確認は、認証カード1が検出されるまでの間、一定時間ごとに継続して行われる。
【0126】
一方、認証カード1の検出が確認された場合(S1でYES)には、スキャン処理部11は、認証カード1が検出されたときのスキャン画像(可視光スキャン画像)をデータ処理部700に要求し、これを受信する。そして、スキャン処理部11は、受信した画像をスキャン画像格納部41に格納し、その旨を認証部12に通知する。
【0127】
通知を受けた認証部12では、スキャン位置認証部21が、スキャン画像格納部41から当該可視光スキャン画像を読み出すと共に、認証情報格納部42から「スキャン領域」の情報(表1参照)を読み出す。そして、スキャン位置認証部21は、上記読み出した可視光スキャン画像における認証カード1の像の位置が、「スキャン領域」に含まれているか否かを確認する(S2)。
【0128】
ここで、「スキャン領域」外に認証カード1の像が存在することが確認された場合(S2でNO)には、スキャン位置認証部21は、認証失敗と判断してS12の処理に進む。S12では、スキャン位置認証部21は、表示処理部13に指示して、認証に失敗した旨をセンサ内蔵液晶パネル301に表示させ、この後処理はS1に戻る。
【0129】
一方、「スキャン領域」内に認証カード1の像が存在することが確認された場合(S2でYES)には、スキャン位置認証部21は、可視光画像認証部22にその旨を通知する。通知を受けた可視光画像認証部22は、スキャン画像格納部41から当該可視光スキャン画像を読み出し、読み出した可視光スキャン画像から「mark A」を検出する。
【0130】
そして、可視光画像認証部22は、検出した「mark A」を用いて認証を行い(S3)、認証の成否を確認する(S4)。具体的には、可視光画像認証部22は、認証情報格納部42の「可視光マーク」の情報を参照し、「mark A」が示す情報と一致するものがあれば認証成功と判断し、また、一致した「可視光マーク」に対応するユーザを認証対象のユーザとして特定する。一方、一致するものがなければ認証失敗と判断する。
【0131】
S4において、認証失敗と判断した場合(S4でNO)には、可視光画像認証部22は、S12の処理に進む。一方、認証成功と判断した場合(S4でYES)には、可視光画像認証部22は、上記特定した認証対象のユーザを第1赤外画像認証部23に通知する。
【0132】
通知を受けた第1赤外画像認証部23は、スキャン処理部11に指示して赤外光スキャンを行わせる。指示を受けたスキャン処理部11は、センサ内蔵液晶パネル301に赤外光スキャンを行わせて取得した赤外光スキャン画像をスキャン画像格納部41に格納し、その旨を第1赤外画像認証部23に通知する。
【0133】
次に、第1赤外画像認証部23は、スキャン画像格納部41から上記赤外光スキャン画像を読み出す。ここで、読み出した赤外光スキャン画像には、「mark B」及び「mark C」が含まれているが、第1赤外画像認証部23は、赤外光の反射の弱い「mark B」は無視して、赤外光の反射が強い「mark C」を検出する。なお、第1赤外画像認証部23は、赤外光スキャン画像において輝度値が所定の閾値を超えた領域のみをマークの読み出し対象とすることによって、「mark C」のみを検出する。
【0134】
そして、第1赤外画像認証部23は、検出した「mark C」を用いて認証を行い(S5)、認証の成否を確認する(S6)。具体的には、第1赤外画像認証部23は、認証情報格納部42を参照して、「可視光マーク」で特定したユーザの「赤外光マーク(強)」の情報を確認する。そして、「mark C」が示す情報と一致すれば認証成功と判断し、一致しなければ認証失敗と判断する。例えば、表1の例で「mark A」によりユーザ1が特定されていた場合には、「mark B」の示す情報とユーザ1の「赤外光マーク(強)」である「Code3」とが一致すれば認証成功と判断され、一致しなければ認証失敗と判断される。
【0135】
S6において、認証失敗と判断した場合(S6でNO)には、第1赤外画像認証部23は、S12の処理に進む。一方、認証成功と判断した場合(S6でYES)には、第1赤外画像認証部23は、その旨を第2赤外画像認証部24に通知する。
【0136】
通知を受けた第2赤外画像認証部24は、スキャン画像格納部41から上記赤外光スキャン画像を読み出す。ここで、読み出した赤外光スキャン画像には、「mark B」及び「mark C」が含まれているが、第2赤外画像認証部24は、赤外光の反射の強い「mark C」は無視して、赤外光の反射が弱い「mark B」を検出する。なお、第2赤外画像認証部24は、スキャン画像において輝度値が所定の閾値以下の領域のみをマークの読み出し対象とすることによって、「mark B」のみを検出する。
【0137】
そして、第2赤外画像認証部24は、検出した「mark B」を用いて認証を行い(S7)、認証の成否を確認する(S8)。具体的には、第2赤外画像認証部24は、認証情報格納部42を参照して、「可視光マーク」で特定したユーザの「赤外光マーク(弱)」の情報を確認する。そして、「mark B」が示す情報と一致すれば認証成功と判断し、一致しなければ認証失敗と判断する。例えば、表1の例で「mark A」によりユーザ1が特定されていた場合には、「mark B」の示す情報と「Code5」とが一致すれば認証成功と判断され、一致しなければ認証失敗と判断される。
【0138】
ここで、認証失敗と判断した場合(S8でNO)には、第2赤外画像認証部24は、S12の処理に進む。一方、認証成功と判断した場合(S8でYES)には、第2赤外画像認証部24は、その旨をマーク位置認証部25に通知する。
【0139】
通知を受けたマーク位置認証部25は、スキャン画像格納部41から上記可視光スキャン画像を読み出して、読み出した可視光スキャン画像における、認証カード1の像に対する「mark A」の位置が適正であるか否かを確認する。
【0140】
具体的には、マーク位置認証部25は、認証情報格納部42の「パターン」に格納されている可視光スキャン画像とのパターンマッチング用の画像を読み出して、パターンマッチングを行うことで、上記の確認を行う。例えば、「mark A」によりユーザ1が特定されていた場合には、可視光スキャン画像とImage 1とでパターンマッチングを行い、可視光スキャン画像にImage 1のパターンが含まれていれば適正と判断し、含まれていなければ不適正と判断する。
【0141】
ここで、「mark A」の位置が不適正と判断した場合には、マーク位置認証部25は、認証に失敗した(S10でNO)としてS12の処理に進む。一方、適正であると判断した場合には、マーク位置認証部25は、スキャン画像格納部41から上記赤外光スキャン画像を読み出して、読み出した赤外光スキャン画像における、認証カード1の像に対する「mark B」及び「mark C」の位置が適正であるか否かを確認する。
【0142】
具体的には、マーク位置認証部25は、認証情報格納部42の「パターン」に格納されている赤外光スキャン画像とのパターンマッチング用の画像を読み出して、パターンマッチングを行うことで、上記の確認を行う。例えば、表1の例で「mark A」によりユーザ1が特定されていた場合には、赤外光スキャン画像とImage 2(IR)とでパターンマッチングを行い、赤外光スキャン画像にImage 3のパターンが含まれていれば適正と判断し、含まれていなければ不適正と判断する。
【0143】
そして、不適正と判断した場合には、マーク位置認証部25は、認証に失敗した(S10でNO)としてS12の処理に進む。一方、適正であると判断した場合には、マーク位置認証部25は、認証に成功した(S10でYES)と判断し、表示処理部13に指示して、認証が成功した旨をセンサ内蔵液晶パネル301に表示させる(S11)。この後、処理はS1に戻る。
【0144】
〔認証成功後の処理について〕
図9では、認証が成功した場合に、認証が成功した旨を表示する例を示した。しかし、認証成功後の処理は、この例に限られず、認証装置100を適用する用途に応じて適宜設定することができる。
【0145】
例えば、認証装置100をコンピュータへのログインの認証に適用した場合には、認証成功後に、ログイン処理がなされるようにしてもよい。この場合には、例えば「赤外光マーク(強)」をログイン用のユーザIDとし、「赤外光マーク(弱)」をログイン用のパスワードとしてもよい。また、認証成功後に、パスワードの入力画面を表示し、パスワードによる認証にも成功したときにログインできるようにしてもよい。
【0146】
この他、認証成功後に、アクセス可能なユーザが制限されているネットワーク、コンテンツ、ウェブサイト等へのアクセスを行うことができるようにする、施設や設備を利用できるようにする等、認証装置100を適応する用途に応じた様々な処理を設定することができる。
【0147】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0148】
〔センサ内蔵液晶パネル301に表示する画像について〕
センサ内蔵液晶パネル301は、画像を表示する機能を有しているので、この機能を利用することによって、認証装置100をさらに利用しやすいものとすることができる。
【0149】
例えば、表示処理部13は、認証カード1の載置を待ち受けている状態において、認証カード1の載置位置を示す情報(文字や図形、絵等の静止画像、あるいは動画像)をセンサ内蔵液晶パネル301に表示させてもよい。これにより、ユーザは認証カード1をどこに載置すればよいかを容易に認識することができる。
【0150】
なお、この場合には、複数の載置位置を示す情報を表示して、何れかの載置位置をユーザに選択させることによって、スキャン位置による認証(図9のS2参照)を行うこともできる。
【0151】
また、表示処理部13は、認証カード1を載置する向き、認証カード1の何れの面をセンサ内蔵液晶パネル301に向ければよいか、等を示す情報を表示させることが好ましい。これにより、認証装置100は、よりユーザが利用しやすいものとなる。
【0152】
さらに、認証カード1の載置位置(センサ内蔵液晶パネル301上の領域)を示す情報を表示する場合には、スキャン処理部11は、この領域内でのみスキャン(可視光スキャン及び赤外光スキャン)を行うようにしてもよい。これにより、センサ内蔵液晶パネル301の全面でスキャンを行う場合と比べて、消費電力を低減することができる。
【0153】
また、上記の構成によれば、センサ内蔵液晶パネル301の全面にスキャン用のセンサ(可視光センサ62及び赤外光センサ63)を配置する必要がなくなる。したがって、センサ内蔵液晶パネル301の製造コストを下げることも可能になる。
【0154】
〔認証について〕
上記実施形態では、「mark A」、「mark B」、「mark C」の3つのマークが示す情報と、各マークによる認証のために予め認証情報格納部42に格納された情報とが一致するか否かによって、認証を行う例を説明した。しかし、認証装置100が行う認証は、この例に限られない。
【0155】
例えば、「mark A」のような視認できるマークと、「mark C」のような視認できないマークとの2つのマークを用いて認証を行うようにしてもよい。つまり反射率の異なる複数のマーク(「mark B」及び「mark C」)を用いることは必須ではない。また、認証カード1の載置位置による認証、マークの配置による認証についても必須ではない。
【0156】
また、上記実施形態では、まず可視光スキャンにより「mark A」を検知し、「mark A」による認証に成功した場合に、赤外光スキャンにより「mark B」、「mark C」を検知する例を示したが、この例に限られない。例えば、始めに可視光スキャンと赤外光スキャンとを行い「mark A」、「mark B」、「mark C」を全て検知した後で認証を行うようにしてもよい。
【0157】
さらに、認証は、「mark A」のような視認できる認証情報と、「mark C」のような視認できない認証情報とを用いて行われるものであればよく、上記の例に限定されない。例えば「mark A」が示す情報と、「mark C」が示す情報とが一致した場合に、認証成功と判定するようにしてもよい。この場合には、認証情報格納部42を省略することもできる。
【0158】
〔認証装置100の各ブロックの構成例〕
最後に、上記実施形態では、認証装置100の各ブロック、特に主制御部800を次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現する例について説明した。
【0159】
すなわち、認証装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである認証装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記認証装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0160】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0161】
また、認証装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。無論、認証装置100の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明によれば、認証対象物の正当性を容易に判定することができるので、認証対象物を用いて認証を行う様々な装置に利用することができる。例えば、キャッシュカード、クレジットカード、施設や設備を利用するための個人識別カード等の認証装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0163】
11 スキャン処理部
12 認証部
13 表示処理部(表示処理手段)
21 スキャン位置認証部(領域認証手段)
22 可視光画像認証部(可視光認証手段)
23 第1赤外画像認証部(第1赤外光認証認証手段)
24 第2赤外画像認証部(第2赤外光認証認証手段)
25 マーク位置認証部(配置認証手段)
42 認証情報格納部(配置情報記憶部、領域情報記憶部)
100 認証装置
300 表示/光センサ部(面状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状部材を用いて、第1認証マーク及び第2認証マークを有する認証対象物の像を検知し、検知した像における第1認証マーク及び第2認証マークから、第1認証情報及び第2認証情報をそれぞれ取得して認証を行う認証装置であって、
上記第1認証マークは可視光を反射するものであり、上記第2認証マークは赤外光を反射するものであり、
上記面状部材は、
上記認証対象物に可視光を照射する可視光照射部と、
該可視光照射部が照射する可視光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する可視光検知部と、
上記認証対象物に赤外光を照射する赤外光照射部と、
該赤外光照射部が照射する赤外光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する赤外光検知部とを含み、
上記可視光検知部が検知した像の第1認証マークから取得した上記第1認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する可視光認証手段と、
上記赤外光検知部が検知した像の第2認証マークから取得した上記第2認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する第1赤外光認証手段とを備え、
判定の結果が全て正当である場合に、上記認証対象物が正当であると判定することを特徴とする認証装置。
【請求項2】
上記認証対象物における上記第1認証マーク及び第2認証マークの配置を示す配置情報を格納する配置情報記憶部と、
上記可視光検知部が検知した像における上記第1認証マークの配置、及び上記赤外光検知部が検知した像における上記第2認証マークの配置の両方が、上記配置情報記憶部に格納されている配置情報が示す上記第1認証マーク及び第2認証マークの配置と一致する場合に、上記認証対象物が正当であると判定する配置認証手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
上記認証対象物は、赤外光の反射率が上記第2認証マークと異なる第3認証マークを有しており、
上記第1赤外光認証手段は、上記赤外光検知部が検知した像において、輝度値の相違に基づき上記第2認証マークと第3認証マークとを識別して、上記第2認証マークから上記第2認証情報を取得し、
上記赤外光検知部が検知した像において、輝度値の相違に基づき上記第2認証マークと第3認証マークとを識別して、上記第3認証マークから上記第3認証情報を取得し、該取得した第3認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する第2赤外光認証手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の認証装置。
【請求項4】
上記面状部材上に予め定めた領域を示す領域情報を格納する領域情報記憶部と、
上記認証対象物が、上記領域情報記憶部に格納されている領域情報が示す領域内で検知された場合に、上記認証対象物が正当であると判定する領域認証手段を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の認証装置。
【請求項5】
上記面状部材は、画像を表示する機能をさらに有し、
上記面状部材上における上記認証対象物の像を検知する領域を、当該面状部材に表示する表示処理手段を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の認証装置。
【請求項6】
面状部材を用いて、第1認証マーク及び第2認証マークを有する認証対象物の像を検知し、検知した像における第1認証マーク及び第2認証マークから、第1認証情報及び第2認証情報をそれぞれ取得して認証を行う認証装置の制御方法であって、
上記第1認証マークは可視光を反射するものであり、上記第2認証マークは赤外光を反射するものであり、
上記面状部材は、
上記認証対象物に可視光を照射する可視光照射部と、
該可視光照射部が照射する可視光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する可視光検知部と、
上記認証対象物に赤外光を照射する赤外光照射部と、
該赤外光照射部が照射する赤外光が上記認証対象物で反射した反射光を像として検知する赤外光検知部とを含み、
上記可視光検知部が検知した像の第1認証マークから取得した上記第1認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する可視光認証ステップと、
上記赤外光検知部が検知した像の第2認証マークから取得した上記第2認証情報を用いて、上記認証対象物が正当であるか否かを判定する赤外光認証ステップと、
判定の結果が全て正当である場合に、上記認証対象物が正当であると判定する判定ステップとを含むことを特徴とする認証装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−59794(P2011−59794A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206168(P2009−206168)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】