説明

認証装置

【課題】不正の目的に利用されるおそれが高い認証デバイスの使用を抑止する。
【解決手段】デジタル複合機1は、認証デバイス905による認証要求に対して認証の成否を決定する認証装置としても機能しており、認証が成功した場合のみ利用することができるように構成されている。デジタル複合機1では、認証失敗の場合、認証デバイス905のシリアル番号がテーブル1235に登録されておらず、メモリ領域9051へのアクセスが可能であれば、認証デバイス905が、不正の目的に利用されるおそれのある認証デバイスであるとみなされて、「NGワード」のメモリ領域9051への書き込み等の認証デバイス905の使用を抑止するための対策がとられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証デバイスによる認証要求に対して認証の成否を決定する認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャン機能及びプリント機能等を有するデジタル複合機において、操作者が利用資格を有しているか否かを確認するため、ICカード等の認証デバイスによる認証が行われている。
【0003】
なお、特許文献1は、本発明と関連する先行技術文献であり、認証の失敗回数が所定回数に到達した場合に、認証デバイスが保持している認証情報を無効にする技術を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2005−259165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、不正規の手段で入手した認証デバイスによる認証要求が行われても、単に認証が失敗するだけであった。このため、従来の技術では、不正の目的を有する操作者が、不正規の手段で入手した認証デバイスを使用することを抑止することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、不正の目的に利用されるおそれが高い認証デバイスの使用を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、認証デバイスによる認証要求に対して認証の成否を決定する認証装置であって、前記認証デバイスの各々を識別する識別データを前記認証デバイスから取得する取得手段と、認証を成功させるべき前記認証デバイスの前記識別データを登録する登録手段と、前記取得手段が取得した前記識別データが前記登録手段に登録されているか否かを判定する判定手段と、前記識別データが前記登録手段に登録されていない場合に、前記識別データが前記登録手段に登録されていない旨を示す標識データを前記認証デバイスに書き込む書き込み手段とを備える。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の認証装置において、前記標識データが書き込まれた後の認証要求の回数が所定回数に到達した前記認証デバイスによる認証要求に対する認証処理を禁止する禁止手段をさらに備える。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の認証装置において、前記標識データが書き込まれた後の前記認証デバイスによる認証要求の回数が所定回数に到達した場合に前記認証装置の管理者への通知を行う通知手段をさらに備える。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の認証装置において、前記識別データが前記登録手段に登録されていない場合に、前記認証装置の操作者への警告を行う警告手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不正の目的に利用されるおそれが高い認証デバイスの使用を抑止することができる。特に、請求項2ないし請求項3の発明によれば、不正の目的に利用されるおそれが高い認証デバイスが繰り返し使用されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<1 デジタル複合機の構成>
図1は、本発明の望ましい実施形態に係るデジタル複合機1の構成を示すブロック図である。デジタル複合機1は、MFP(Multi Function Peripherals)とも呼称され、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャン機能、プリント機能等を有している。
【0013】
図1に示すように、デジタル複合機1には、CPU103、ROM105及びRAM107を備えるコンピュータ101が組み込まれている。ROM105には、プログラム1055が格納され、コンピュータ101は、プログラム1055を実行することにより、デジタル複合機1の各構成109〜123を統括制御し、デジタル複合機1の各機能を実現している。
【0014】
また、デジタル複合機1は、プリント部(print部)109及び読み取り部111を備える。
【0015】
プリント部109は、電子写真方式により、画像データに係る画像を記録紙等の記録媒体上に形成する。
【0016】
読み取り部111は、CCDラインセンサにより原稿を読み取り、当該原稿に係る画像データを生成する。読み取り部111は、ADF(Automatic Document Feeder)方式又はFBS(Flat Bed Scanner)方式により原稿を読み取る。
【0017】
さらに、デジタル複合機1は、通信手段として、モデム(MODEM)113、カプラー115及びネットワークインターフェースボード(Network I/F BD)117を備える。モデム113及びカプラー115は、公衆電話交換網901を経由したファクシミリ画像データの送受信に用いられる。モデム113は、カプラー115を介して公衆電話交換網901に接続され、ITU(国際電気通信連合)−T勧告T.30にしたがったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17,V.27ter,V.29等にしたがったファクシミリ画像データの変復調を行う。又は、モデム113は、これらに加えて、V.34にしたがったファクシミリ画像データの変復調を行う。ネットワークインターフェースボード117は、デジタル複合機1をイーサネット(登録商標)903に接続する。
【0018】
加えて、デジタル複合機1には、ユーザインターフェースとして、操作部119が設けられる。操作部119は、液晶タッチパネルディスプレイにより構成され、操作の対象となるとともに情報を表示する。
【0019】
認証デバイス認識部121は、認証デバイス905を認識し、認証デバイス905の各々を識別する固有のシリアル番号を認識した認証デバイス905から取得することができるとともに、認証デバイス905のメモリ領域9051からのデータの読み出し及びメモリ領域9051へのデータの書き込みを行うことができる。認証デバイス905としては、ICカードやUSBトークン等を用いることができる。
【0020】
フラッシュメモリ123は、不揮発性の補助記憶装置として機能する。フラッシュメモリ123には、認証を成功させるべき認証デバイス905のシリアル番号と利用を許可された操作者とを紐付けて登録したテーブル1235が記憶されている。テーブル1235の内容は、デジタル複合機1の管理者が編集することができる。
【0021】
上述したデジタル複合機1の各構成103〜123は、バス125によって接続され、相互間でデータの送受信を行うことができる。
【0022】
ファクシミリモードでは、デジタル複合機1は、読み取り部111を用いて、原稿を読み取り、モデム113及びカプラー115を用いて、当該原稿に係るファクシミリ画像データを他のファクシミリ機へ公衆電話交換網901を経由して送信する。また、デジタル複合機1は、モデム113及びカプラー115を用いて、他のファクシミリ機から公衆電話交換網901を経由して送信されてきたファクシミリ画像データを受信し、プリント部109を用いて、当該ファクシミリ画像データに係る画像を記録媒体上に形成する。
【0023】
コピーモードでは、デジタル複合機1は、読み取り部111を用いて、原稿を読み取り、プリント部109を用いて、当該原稿に係る画像を記録媒体上に形成する。
【0024】
スキャンモードでは、デジタル複合機1は、読み取り部111を用いて、原稿を読み取り、当該原稿に係る画像データを生成する。
【0025】
プリントモードでは、デジタル複合機1は、ネットワークインターフェースボード117を用いて、コンピュータ907からイーサネット(登録商標)903を経由して送信されてきた画像データを受信し、プリント部109を用いて、当該画像データに係る画像を記録媒体上に形成する。
【0026】
<2 認証>
デジタル複合機1は、認証デバイス905による認証要求に対して認証の成否を決定する認証装置としても機能しており、認証が成功した場合のみ利用することができるように構成されている。もちろん、デジタル複合機1の全機能について認証の成功を要求することは必須ではなく、特定の機能についてのみ認証の成功を要求するようにしてもよい。また、認証に係る処理の一部をイーサネット(登録商標)903に接続されたコンピュータ(認証サーバ)907で行うようにしてもよいし、認証に係る処理を認証デバイス認識部121の内部で完結できるようにしてもよい。
【0027】
続いて、コンピュータ101がプログラム1055を実行してデジタル複合機1の各構成109〜123を統括制御することにより実現される認証の流れについて、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
デジタル複合機1の利用に先立って、操作者が認証デバイス905を認証デバイス認識部121に認識させると、まず、認証デバイス認識部121が、認識した認証デバイス905のシリアル番号を取得する(ステップS101)。
【0029】
続いて、取得したシリアル番号が、利用を許可された操作者と紐付けされてテーブル1235に登録されているか否かが判定され、登録されている場合は認証成功となり(ステップS102で"YES")、登録されていない場合は認証失敗となる(ステップS102で"NO")。
【0030】
そして、認証成功の場合、デジタル複合機1は、利用可能な状態に設定される(ステップS103)。この状態において、操作者は、デジタル複合機1にジョブを実行させることができる。
【0031】
一方、認証失敗の場合、シリアル番号がテーブル1235に登録されておらず(ステップS104で"YES")、メモリ領域9051へのアクセスが可能であれば(ステップS105で"YES")、認証デバイス905が、不正の目的に利用されるおそれのある認証デバイスであるとみなされて、ステップS107以降で、その使用を抑止するための対策(NG処理)がとられる。ここで、メモリ領域9051へのアクセスが可能であるか否かは、例えば、メモリ領域9051へのデータの書き込みを試行し、しかる後に、当該データが正しく書き込みできているか否かのベリファイチェックを行うことにより、調べることができる。ただし、認証失敗にもかかわらずシリアル番号がテーブル1235に登録されている場合や(ステップS104で"NO")、メモリ領域9051へのアクセスが不可能である場合は(ステップS105で"NO")、処理の継続が困難な問題が発生している又は認証デバイス905のフォーマットが想定したものと異なっている(認証デバイス905が未サポートである)とみなされ、エラーとして処理が終了する(ステップS106)。この際、認証デバイス905が未サポートである旨のメッセージを操作部119の液晶タッチディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0032】
ステップS107以降では、まず、メモリ領域9051に「NGワード」が既に書き込まれているか否かが調べられ、未だ書き込まれていない場合(ステップS107で"NO")、シリアル番号がテーブル1235に登録されていない旨を示す標識となる「NGワード」が、認証デバイス認識部121により、認証デバイス905のメモリ領域9051に書き込まれ(ステップS108)、シリアル番号がテーブル1235に登録されていないために認証デバイス905を使用することができない旨及び登録をすべき旨のメッセージが操作部119の液晶タッチディスプレイに表示される(ステップS109)。このようにシリアル番号がテーブル1235に登録されていない場合に、デジタル複合機1の操作者への警告を行うようにすると、不正の目的に利用されるおそれが高い認証デバイスの使用を抑止することができ、デジタル複合機1のセキュリティを向上することができる。
【0033】
一方、「NGワード」が既に書き込まれており(ステップS107で"YES")、「NGワード」がメモリ領域9051に書き込まれた後の認証デバイス905による認証要求の回数が所定回数に到達している場合(ステップS110で"YES")、当該認証デバイス905による認証要求に対する以降の認証処理が禁止され、デジタル複合機1の管理者への通知が行われる(ステップS111)。「NGワード」がメモリ領域9051に書き込まれた認証デバイス905を繰り返し使用する行為は、不正の目的を有しているおそれが極めて高く、その使用をより強力に抑止することが望ましいからである。
【0034】
ここで、認証処理の禁止は、例えば、認証デバイス905のメモリ領域9051に認証処理を禁止する旨のデータを書き込むことにより行ってもよいし、認証処理を禁止する認証デバイス905のシリアル番号をフラッシュメモリ123に記憶しておくことにより行ってもよい。また、管理者への通知は、あらかじめ設定された管理者の電子メールアカウントにあてて電子メールを送信することにより行うことができる。
【0035】
なお、「NGワード」がメモリ領域9051に書き込まれた認証デバイス905による認証要求の回数が所定回数に到達していない場合(ステップS110で"NO")、メモリ領域9051に書き込まれた「NGワード」を更新した上で(ステップS112)、デジタル複合機1の操作者への警告を行う(ステップS109)。
【0036】
<3 その他>
上述の説明では、認証デバイス905の「シリアル番号」を用いる例を示したが、「シリアル番号」に代えて、認証デバイス905の各々を識別することができる別のデータを使用することもできる。
【0037】
また、上述の説明では、デジタル複合機1の利用者認証に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、これ以外の用途にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の望ましい実施形態に係るデジタル複合機1の構成を示すブロック図である。
【図2】認証の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 デジタル複合機
101 コンピュータ
121 認証デバイス認識部
905 認証デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証デバイスによる認証要求に対して認証の成否を決定する認証装置であって、
前記認証デバイスの各々を識別する識別データを前記認証デバイスから取得する取得手段と、
認証を成功させるべき前記認証デバイスの前記識別データを登録する登録手段と、
前記取得手段が取得した前記識別データが前記登録手段に登録されているか否かを判定する判定手段と、
前記識別データが前記登録手段に登録されていない場合に、前記識別データが前記登録手段に登録されていない旨を示す標識データを前記認証デバイスに書き込む書き込み手段と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記標識データが書き込まれた後の認証要求の回数が所定回数に到達した前記認証デバイスによる認証要求に対する認証処理を禁止する禁止手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記標識データが書き込まれた後の前記認証デバイスによる認証要求の回数が所定回数に到達した場合に前記認証装置の管理者への通知を行う通知手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記識別データが前記登録手段に登録されていない場合に、前記認証装置の操作者への警告を行う警告手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の認証装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−107949(P2008−107949A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288551(P2006−288551)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】