説明

認識障害の処置のための標的

【課題】哺乳動物における所望の行動と関連する遺伝子を特定すること。
【解決手段】哺乳動物における所望の行動と関連する遺伝子を特定する方法であって、(a)所望の行動を有する哺乳動物の試験集団を準備する工程;(b)所望の行動を欠如する哺乳動物のコントロール集団を準備する工程;(c)試験集団の神経組織から発現RNAを単離し、プールする工程;(d)コントロール集団の神経組織から発現RNAを単離し、プールする工程;(e)工程(c)と(d)において造られた各RNAプールにおいて複数の遺伝子の発現レベルを定量する工程;および、(f)複数の遺伝子から、哺乳動物の試験集団とコントロール集団との間で発現が異なる遺伝子を選択する工程であって、選択された遺伝子は、前記所望の行動と関連する候補遺伝子である工程、を含む方法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における所望の行動と関連する遺伝子を特定する方法であって、
(a)所望の行動を有する哺乳動物の試験集団を準備する工程;
(b)所望の行動を欠如する哺乳動物のコントロール集団を準備する工程;
(c)試験集団の神経組織から発現RNAを単離し、プールする工程;
(d)コントロール集団の神経組織から発現RNAを単離し、プールする工程;
(e)工程(c)と(d)において造られた各RNAプールにおいて複数の遺伝子の発現レベルを定量する工程;および、
(f)複数の遺伝子から、哺乳動物の試験集団とコントロール集団との間で発現が異なる遺伝子を選択する工程であって、選択された遺伝子は、前記所望の行動と関連する候補遺伝子である工程、
を含む方法。
【請求項2】
哺乳動物において認知機能と関連する遺伝子を特定する方法であって、
(a)所望の認知機能を有する哺乳動物の試験集団を準備する工程;
(b)そのような認知機能を障害されている哺乳動物のコントロール集団を準備する工程;
(c)試験集団の神経組織から発現RNAを単離し、プールする工程;
(d)コントロール集団の神経組織から発現RNAを単離し、プールする工程;
(e)工程(c)と(d)において造られた各RNAプールにおいて複数の遺伝子の発現レベルを定量する工程;および、
(f)複数の遺伝子から、哺乳動物の試験集団とコントロール集団との間で発現が異なる遺伝子を選択する工程であって、選択された遺伝子は、認知機能と関連する候補遺伝子である工程、
を含む方法。
【請求項3】
前記複数の遺伝子の発現レベルは、マイクロアレイ分析、インサイチュハイブリダイゼーション組織化学、定量的PCR、SAGE分析、ノーザンブロット分析、およびドットブロット分析から成るグループから選ばれる方法によって検出される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の遺伝子は、グルタメート輸送に与る遺伝子を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
グルタメート輸送に関係する前記遺伝子は、EAAT1、EAAT2、EAAT3、EAAT4、およびEAAT5から成るグループから選ばれることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の遺伝子は、EAAT1、EAAT2、EAAT3、EAAT4、およびEAAT5から成るグループから選ばれるグルタメート輸送因子以外の遺伝子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
認知機能を増進するのに有用な化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)試験化合物を哺乳動物に投与する工程;
(b)前記試験化合物の投与後、前記哺乳動物の神経組織において遺伝子の発現レベルを定量する工程;
(c)前記遺伝子の前記発現レベルを、前記試験化合物が投与されていない哺乳動物の神経組織におけるその発現の参照レベルと比較する工程;および、
(d)前記遺伝子の発現レベルが、その発現の対応する参照レベルと異なるか否かを判定する工程であって、前記相違は、試験化合物が、認知機能増進のための候補治療剤であることを示すものとする工程、
を含む方法。
【請求項8】
前記遺伝子の前記発現レベルを、セフトリアキソンが投与された哺乳動物の神経組織におけるその発現の参照レベルと比較する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記遺伝子の発現レベルは、マイクロアレイ分析、インサイチュハイブリダイゼーション組織化学、定量的PCR、SAGE分析、ノーザンブロット分析、およびドットブロット分析から成るグループから選ばれる方法によって検出される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記遺伝子は、グルタメート輸送因子である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記遺伝子は、EAAT1、EAAT2、EAAT3、EAAT4、およびEAAT5から成るグループから選ばれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記神経組織は海馬組織である、請求項1、2または7に記載の方法。
【請求項13】
認知機能を増進するのに有用な化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)試験化合物を哺乳動物に投与する工程;
(b)前記試験化合物の投与後、前記哺乳動物の神経組織においてグルタメート輸送体遺伝子の発現レベルを定量する工程;
(c)前記遺伝子の前記発現レベルを、前記試験化合物が投与されていない哺乳動物の神経組織におけるその発現の参照レベルと比較する工程;および、
(d)前記遺伝子の発現レベルが、その発現の対応する参照レベルと異なるか否かを判定する工程であって、前記相違は、試験化合物が、認知機能増進のための候補治療剤であることを示すものとする工程、
を含む方法。
【請求項14】
哺乳動物において認知機能を増進するのに有用な化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)試験化合物を、図4に挙げられる遺伝子を発現する細胞と接触させる工程;および、
(b)前記遺伝子の発現レベルが、前記細胞を前記試験化合物と接触させたことによって変化するか否かを判定する工程であって、前記変化はもしあれば、前記試験化合物は、認知機能を、それが必要な哺乳動物において増進する能力を有することを示すものとする工程、
を含む方法。
【請求項15】
前記細胞は神経組織由来のものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞は不死化細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞は、神経細胞系統、グリア細胞系統、または、アストロサイト細胞系統である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記遺伝子はグルタメート輸送因子である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記遺伝子の発現レベルが上昇している、請求項1、2、7、13、または14に記載の方法。
【請求項20】
前記遺伝子の発現レベルが低下している、請求項1、2、7、13、または14に記載の方法。
【請求項21】
前記試験化合物は低分子である、請求項7、13、または14に記載の方法。
【請求項22】
前記試験化合物は、
【化1】


であり、前式において、各場合において、
LはOまたはSであり;
RはH、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アリール、アラルキル、−OCHCOHであり;
は−(CH−C(O)Xであり、
式中、
XはOH、NR、SH,O−アルカリ金属、または、−OC(CH)OC(O)OCH(CHであり;および、
nは、0以上6以下の整数であり;
はH、C1−10アルキル、C2−8アルケニル、または−(CH−W−Rであり;
式中、
はH、C1−10アルキル、−C(O)C1−10アルキル、−C(O)NR
アリール、アラルキル、またはAであり;
WはO、S、またはNRであり;および、
aは、1以上6以下の整数であり;
式中、
はH、C1−10アルキル、−C(O)C1−10アルキル、アリール、アラルキル、あるいは、RとRは一緒になって、未置換の、または置換されたヘテロアルキルまたはヘテロアリール環を形成してもよく、
−−線は、単結合または二重結合を示し、
はR、H、SOH、アリール、C1−10アルキル、アラルキルであり;あるいは、Rは、−−線が二重結合である場合=CHCHCOHおよび=NRから成るグループから選ばれ、
mは0か1であり、および、
Aはアリールか、式Iaのヘテロアリールであり、
【化2】


式中、各場合において、独立して
JはO、S、NR、またはCRであり;および、
yは1か2であり;
ここに、Rは電子対、H、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アリール、または、−NRであり;
あるいはAは、式IbまたはIcのヘテロシクロアルキルであり
【化3】


式中、各場合において、独立して
JはO、S、またはNRであり;および、
XはOまたはHである、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記試験化合物は、
【化4】


であり、前式において、各場合において、独立して
Xは−OH、C1−10アルコキシ、−O−アルカリ金属、−N(R、−SH、または、−S−C1−10アルキルであり;
Rは、直鎖または分枝鎖のC1−30アルキルであり;および、
はH、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、または、アラルキルである;
ただし、Rは、未置換であるか、または、−OH、C1−10アルコキシ、−N(R、−SH、−S−C1−10アルキル、またはアリールの1個以上によって置換され得る、
請求項21に記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物における認知機能の維持において神経組織で差示的に発現される遺伝子をコードする複数のcDNA配列を含むライブラリー。
【請求項25】
セフトリアキソンによる哺乳動物の治療において神経組織で差示的に発現される遺伝子をコードする複数のcDNA配列を含むライブラリー。
【請求項26】
バルプロ酸による哺乳動物の治療において神経組織で差示的に発現される遺伝子をコードする複数のcDNA配列を含むライブラリー。
【請求項27】
前記複数のcDNA配列は、グルタメート輸送体遺伝子由来の配列を含む、請求項24、25、または26に記載のライブラリー。
【請求項28】
前記グルタメート輸送体遺伝子は、EAAT1、EAAT2、EAAT3、EAAT4、およびEAAT5から成るグループから選ばれることを特徴とする請求項27に記載のライブラリー。
【請求項29】
請求項27に記載のライブラリーであって、前記複数のcDNA配列は、その中に存在する全ての配列の少なくとも20%を含む、ライブラリー。
【請求項30】
請求項27に記載のライブラリーであって、前記複数のcDNA配列は、その中に存在する全ての配列の少なくとも50%を含む、ライブラリー。
【請求項31】
請求項27に記載のライブラリーであって、前記複数のcDNA配列は、その中に存在する全ての配列の少なくとも80%を含む、ライブラリー。
【請求項32】
個別にアドレスを付された位置において、請求項24、25、または26のライブラリーのメンバーに相当するcDNA配列を付着させた固相支持体を含むマイクロアレイチップ。
【請求項33】
図4に挙げた遺伝子の神経組織発現を刺激することが可能な組成物の、治療における使用。
【請求項34】
前記遺伝子はグルタメート輸送因子である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記グルタメート輸送体は、EAAT1、EAAT2、EAAT3、EAAT4、またはEAAT5であることを特徴とする請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記化合物は低分子である、請求項33に記載の使用。
【請求項37】
治療有効量の式:
【化5】


の、治療における使用であって、
ここで、各場合において、個々に
LはOまたはSであり;
RはH、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アリール、アラルキル、−OCHCOHであり;
は−(CH−C(O)Xであり、
ここに、
XはOH、NR、SH,O−アルカリ金属、または、−OC(CH)OC(O)OCH(CHであり;および、
nは、0以上6以下の整数であり;
はH、C1−10アルキル、C2−8アルケニル、または−(CH−W−Rであり;
ここに、
はH、C1−10アルキル、−C(O)C1−10アルキル、−C(O)NR、アリール、アラルキル、またはAであり;
WはO、S、またはNRであり;および、
aは、1以上6以下の整数であり;
ここに、
はH、C1−10アルキル、−C(O)C1−10アルキル、アリール、アラルキル、あるいは、RとRは一緒になって、未置換の、または置換されたヘテロアルキル環またはヘテロアリール環を形成してもよく、
−−線は、単結合または二重結合を示し、
はR、H、SOH、アリール、C1−10アルキル、アラルキルであり;あるいは、Rは、−−線が二重結合である場合=CHCHCOHおよび=NRから成るグループから選ばれ、
mは0か1であり、および、
Aは式Iaのアリールまたはヘテロアリールであり、
【化6】


式中、各場合において、独立して
JはO、S、NR、またはCRであり;および、
yは1か2であり;
ここに、Rは電子対、H、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アリール、または、−NRであり;
あるいはAは、式IbまたはIcのヘテロシクロアルキルであり
【化7】


式中、各場合において、独立して
JはO、S、またはNRであり;および、
XはOまたはHである、
使用。
【請求項38】
治療有効量の式:
【化8】


の、治療における使用であって、
ここで、各場合において、独立して
Xは−OH、C1−10アルコキシ、−O−アルカリ金属、−N(R、−SH、または、−S−C1−10アルキルであり;
Rは、直鎖または分枝鎖のC1−30アルキルであり;および、
はH、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、または、アラルキルである;
ただし、Rは、未置換であるか、または、−OH、C1−10アルコキシ、−N(R、−SH、−S−C1−10アルキル、またはアリールの1個以上によって置換され得る、
使用。
【請求項39】
請求項7、13、または14の方法に従って特定された、セフトリアキソンまたはバルプロ酸以外の組成物の、治療における使用。
【請求項40】
哺乳動物において認知機能を維持するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は、前記哺乳動物においてグルタメート輸送体遺伝子の神経組織発現を刺激することを特徴とする方法。
【請求項41】
哺乳動物において認知機能障害を処置するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は、前記哺乳動物においてグルタメート輸送体遺伝子の神経組織発現を刺激することを特徴とする方法。
【請求項42】
哺乳動物において認知機能を維持するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は、請求項33の組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
認知機能を、それが必要な哺乳動物において維持するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は請求項37の組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
認知機能を、それが必要な哺乳動物において維持するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は請求項38の組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
認知機能を、それが必要な哺乳動物において維持するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は請求項39の組成物を前記哺乳動物に対して含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
前記哺乳動物は、抗生物質治療が適応的である感染症症状を持たないことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項47】
請求項33の組成物を含み、認知機能を、それが必要な哺乳動物において増進するための医薬品の製造法であって、前記認知機能は、空間記憶獲得、長期空間記憶、および空間記憶想起から成るグループから選ばれることを特徴とする方法。
【請求項48】
高齢哺乳動物において認知機能を維持するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は、セフトリアキソン、あるいは、その類縁体または誘導体を含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
哺乳動物において認知機能障害を処置するための医薬品の製造法であって、前記医薬品は、セフトリアキソン、あるいは、その類縁体または誘導体を含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
前記認知機能障害は、軽度認知障害、加齢性認知衰退、記憶喪失、老衰、および、痴呆から成るグループから選ばれる状態である、請求項41または49に記載の方法。
【請求項51】
前記認知機能障害はアルツハイマー病である、請求項41または49に記載の方法。
【請求項52】
前記哺乳動物はヒトである、請求項41または49に記載の方法。
【請求項53】
前記哺乳動物はヒトである、請求項40、42、43、44、45、46、47、または47に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−117092(P2007−117092A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317776(P2006−317776)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【分割の表示】特願2004−555830(P2004−555830)の分割
【原出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【出願人】(593072783)ザ ジョーンズ ホプキンズ ユニバーシティ (6)
【氏名又は名称原語表記】THE JOHNS HOPKINS UNIVERSITY
【Fターム(参考)】