説明

誘導パネルおよび誘導システム

【課題】火災などの障害が発生している平常経路を回避した案内経路を提示するようなことができる誘導パネルおよび誘導システムを提供する。
【解決手段】誘導パネル100および誘導システム1000は、例えば、建物STの床面などに埋設された誘導パネル100の中央点灯部110と隣接する二個の四隅点灯部111〜114とを選択的に点灯させることにより、点灯状態が四つの方向の一つを提示する矢印状になり、四つの方向を選択的に提示することができる。従って、火災などの障害が発生している平常経路OCを回避した案内経路GCを提示するようなことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常時に案内経路の誘導に利用される誘導パネル、この誘導パネルを利用した誘導システム、に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、火災などの非常時に案内経路を誘導するため、いわゆる非常灯が建物の要所に設置されている。一般的な非常灯は、人間が疾走する図柄を白色と緑色とで表示する構造に形成されている。
【0003】
しかし、このような非常灯は、事前に固定的に設定された案内経路を誘導することしかできない。例えば、その案内経路上で火災などの障害が発生しているような場合、その障害を柔軟に回避した案内経路を誘導するようなことができない。
【0004】
例えば、障害が発生した案内経路を表示する非常灯の提案がある。その非常灯では、案内経路に障害がある場合、その案内経路を誘導する非常灯に「×」が表示される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−277545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような非常灯では、その案内経路を使用できないことを提示することはできるが、使用できる代替の案内経路を提示するようなことはできない。
【0007】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、火災などの非常時に案内経路を誘導することができ、その案内経路に火災などの障害が発生していても、その障害を回避した代替の案内経路を柔軟に表示することができる誘導パネル、この誘導パネルを利用した誘導システム、を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の誘導パネルは、略矩形の表面の略中央に位置する略雛形の中央点灯部と、中央点灯部の四辺に個々に隣接する四個の略三角形の四隅点灯部と、を有する。
【0009】
従って、本発明の誘導パネルでは、例えば、中央点灯部と隣接する二個の四隅点灯部とを選択的に点灯させることにより、点灯状態が四つの方向の一つを提示する矢印状になり、四つの方向が選択的に提示される。
【0010】
本発明の誘導システムは、建物の床面と壁面と天井面との少なくとも一つに埋設される本発明の誘導パネルと、誘導パネルの中央点灯部と隣接する二個の四隅点灯部とを選択的に点灯させて矢印状に方向を提示させる点灯制御部と、を有する。
【0011】
従って、本発明の誘導システムでは、建物の床面などに埋設された誘導パネルの中央点灯部と隣接する二個の四隅点灯部とを選択的に点灯させることにより、点灯状態が四つの方向の一つを提示する矢印状になり、四つの方向が選択的に提示される。
【0012】
なお、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0013】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の誘導パネルおよび誘導システムでは、例えば、建物の床面などに埋設された誘導パネルの中央点灯部と隣接する二個の四隅点灯部とを選択的に点灯させることにより、点灯状態が四つの方向の一つを提示する矢印状になり、四つの方向を選択的に提示することができる。従って、火災などの障害が発生している平常経路を回避した案内経路を提示するようなことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の誘導システム構造を示す模式図である。
【図2】誘導システムの物理構造を示すブロック図である。
【図3】誘導パネルの外観を示す斜視図である。
【図4】誘導パネルの点灯状態を示す模式的な平面図である。
【図5】一変形例の誘導パネルを示す平面図である。
【図6】誘導パネルの点灯状態を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の誘導システム1000は、図1および図2に示すように、建物STの床面と壁面と天井面との少なくとも一つに埋設される誘導パネル100と、誘導パネル100の中央点灯部110と隣接する二個の四隅点灯部111〜114とを選択的に点灯させて矢印状に方向を提示させる点灯制御部200と、を有する。
【0017】
また、本実施の形態の誘導パネル100は、図1ないし図4に示すように、略矩形の表面の略中央に位置する略雛形の中央点灯部110と、中央点灯部110の四辺に個々に隣接する四個の略三角形の四隅点灯部111〜114と、を有する。
【0018】
より具体的には、本実施の形態の建物STは、例えば、図1に示すように、病院などであり、複数のラックRCが障害物として配列されている。そして、これら複数のラックRCの間隙に平常経路OCが形成されている。この平常経路OCの床面には、図1に示すように、複数の誘導パネル100が線形に埋設されている。
【0019】
本実施の形態の誘導システム1000は、図2に示すように、10個などの所定個数の誘導パネル100が複数のユニット制御盤210に結線されており、これら複数のユニット制御盤210が一個のコントロールユニット220に結線されている。
【0020】
また、このコントロールユニット220には、建物STの内部に位置する人間HBの位置を検出する複数の人間検出センサ300と、案内経路GCに利用できない障害が発生した平常経路OCを検出する複数の障害検出部400と、も結線されており、さらにパーソナルコンピュータ230も結線されている。
【0021】
複数の人間検出センサ300は、図1に示すように、建物STの要所に設置されており、建物STの内部に位置する人間HBの位置を超音波により検出する。同様に、複数の障害検出部400も、建物STの要所に設置されており(図示せず)、案内経路GCに利用できない火災などの障害が発生した平常経路OCを赤外線などにより検出する。
【0022】
パーソナルコンピュータ230には適切なコンピュータプログラムが実装されており、そのコンピュータプログラムに対応して動作することで各種機能が論理的に実現されている。
【0023】
このため、パーソナルコンピュータ230は、図1に示すように、経路記憶部として建物STの内部の平常経路OCを記憶しており、案内生成部として記憶されている平常経路OCに基づいて検出された人間HBの案内経路GCを生成する。
【0024】
その場合、パーソナルコンピュータ230は、火災などの障害が発生したときに、人間HBの位置と直近の目的地点PSの位置とに最短距離で連続する平常経路OCとして案内経路GCを生成する。
【0025】
ただし、案内経路GCに利用できない障害が発生した平常経路OCを障害検出部400が検出すると、パーソナルコンピュータ230は、検出された障害の平常経路OCを回避する案内経路GCを生成する。
【0026】
そして、上述のようにパーソナルコンピュータ230で案内経路GCが生成されると、コントロールユニット220とユニット制御盤210により、図4に示すように、誘導パネル100の点灯状態が制御される。
【0027】
つまり、図4(a)に示すように、誘導パネル100の中央点灯部110と四隅点灯部111〜114とは平時には全部が消灯されている。一方、上述のように案内経路GCの提示が必要となると、図4(b)に示すように、誘導パネル100の中央点灯部110と隣接する二個の四隅点灯部111〜114とを選択的に点灯させて矢印状に方向を提示する。なお、図4(b)は一個の雛形の中央点灯部110と隣接する二個の左側の四隅点灯部111,112とで右側を矢印状に提示した状態を図示している。
【0028】
また、このような誘導パネル100は、平時から上述のように中央点灯部110と隣接する二個の四隅点灯部111〜114と点灯して特定の平常経路OCを提示しており、非常灯に必要により中央点灯部110と隣接する二個の四隅点灯部111〜114との点灯を切り換えて案内経路GCを提示してもよい。
【0029】
上述のようにすることで、図1に示すように、案内経路GCを誘導する方向に複数の誘導パネル100が各々点灯されるので、線形に配列されている複数の誘導パネル100で案内経路GCが提示される。
【0030】
上述のような構成において、本実施の形態の誘導システム1000では、図1に示すように、建物STの平常経路OCの床面に線形に埋設されている複数の誘導パネル100が、図4(b)に示すように、平時には消灯されている。このため、その建物STの内部で平常経路OCを利用する人間HBは、誘導パネル100を気にすることなく各種作業を実行することができる。
【0031】
一方、例えば、建物STの内部で火災などの障害が発生すると、これが建物STの要所に設置されている複数の障害検出部400で検出される。すると、この検出結果がコントロールユニット220からパーソナルコンピュータ230に伝達される。
【0032】
すると、このパーソナルコンピュータ230では、障害の発生位置と平常経路OCのマップから、障害を回避して最短距離となる案内経路GCが生成される。このように生成された案内経路GCは、パーソナルコンピュータ230により、コントロールユニット220とユニット制御盤210とで誘導パネル100の点灯状態を制御することになる。
【0033】
その場合、本実施の形態の誘導システム1000は、例えば、図4(b)に示すように、人間HBを右方に誘導する場合には、一個の雛形の中央点灯部110と隣接する二個の左側の四隅点灯部111,112とを点灯させて右側を矢印状に提示する。このような提示により、図1に示すように、例えば、建物STの出入口を目標地点とする案内経路GCを提示する。
【0034】
本実施の形態の誘導システム1000では、上述のように建物STの床面などに埋設された誘導パネル100の中央点灯部110と隣接する二個の四隅点灯部111〜114とを選択的に点灯させることにより、点灯状態が四つの方向の一つを提示する矢印状になり、四つの方向を選択的に提示することができる。従って、火災などの障害が発生している平常経路OCを回避した案内経路GCを提示するようなことができる。
【0035】
しかも、本実施の形態の誘導パネル100は、床面に埋設されるので、火災の噴煙などで目視が阻害されることがない。また、誘導パネル100は、ドットマトリクスなどで形成されておらず、一個の中央点灯部110と四個の四隅点灯部111〜114とで形成されている。このため、必要最小限の点灯部110〜114で四つの方向を的確に提示することができる。
【0036】
さらに、本実施の形態の誘導システム1000では、建物STの内部の平常経路OCを記憶しており、建物STの内部に位置する人間HBの位置を検出し、記憶されている平常経路OCに基づいて検出された人間HBの案内経路GCを生成する。そして、案内経路GCを誘導する方向に複数の誘導パネル100を各々点灯させるので、任意の位置の人間HBを良好に誘導することができる。
【0037】
しかも、人間HBの位置と直近の目的地点PSの位置とに最短距離で連続する平常経路OCとして案内経路GCを生成する。このため、任意の位置の人間HBを効率的に誘導することができる。
【0038】
さらに、案内経路GCに利用できない障害が発生した平常経路OCを検出し、検出された障害の平常経路OCを回避する案内経路GCを生成する。このため、任意の位置の人間HBを安全に誘導することができる。
【0039】
なお、本実施の形態の誘導パネル100は、正方形に表面が形成されており、この表面に内接する雛形に中央点灯部110が形成されている。そして、その四辺と隣接する位置に三角形の四隅点灯部111〜114が形成されて正方形の表面が形成されている。このため、表面の全域を利用して高効率に方向を提示することができる。
【0040】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では誘導パネル100は正方形に表面が形成されており、この表面に内接する雛形の中央点灯部110の四辺と隣接する位置に三角形の四隅点灯部111〜114が形成されていることを例示した。
【0041】
しかし、図5に例示する誘導パネル120のように、略正方形の表面の中央に今回の雛形の中央点灯部121が形成されており、この中央点灯部121の四辺から表面の四隅まで細長い三角形の四隅点灯部122〜125が形成されていてもよい。この場合、図6に示すように、誘導パネル120の点灯面積は低下することになるが、方向の提示を明確とすることができる。
【0042】
また、上記形態では誘導パネル100が床面に埋設されていることにより、火災の噴煙による障害を防止できることを例示した。しかし、このような誘導パネル100が壁面や天井面に設置されていてもよい。
【0043】
さらに、上記形態では誘導パネル100が平常経路OCに線形に配列されていることを例示した。しかし、上述のような誘導パネル100が平常経路OCの分岐点などの要所のみに設置されていてもよい。
【0044】
さらに、本実施の形態では誘導システムの各部がコンピュータプログラムにより各種機能として論理的に実現されることを例示した。しかし、このような各部の各々を固有のハードウェアとして形成することもでき、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実現することもできる。
【符号の説明】
【0045】
100 誘導パネル
110 中央点灯部
111-114 四隅点灯部
120 誘導パネル
121 中央点灯部
122-125 四隅点灯部
200 点灯制御部
210 ユニット制御盤
220 コントロールユニット
230 パーソナルコンピュータ
300 人間検出センサ
400 障害検出部
1000 誘導システム
GC 案内経路
HB 人間
OC 平常経路
PS 目的地点
RC ラック
ST 建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の表面の略中央に位置する略雛形の中央点灯部と、
前記中央点灯部の四辺に個々に隣接する四個の略三角形の四隅点灯部と、
を有する誘導パネル。
【請求項2】
建物の床面と壁面と天井面との少なくとも一つに埋設される請求項1に記載の誘導パネルと、
前記誘導パネルの前記中央点灯部と隣接する二個の前記四隅点灯部とを選択的に点灯させて矢印状に方向を提示させる点灯制御部と、
を有する誘導システム。
【請求項3】
前記建物の内部の平常経路を記憶している経路記憶部と、
前記建物の内部に位置する人間の位置を検出する人間検出センサと、
記憶されている前記平常経路に基づいて検出された前記人間の案内経路を生成する案内生成部とを、さらに有し、
前記誘導パネルは、複数が少なくとも前記平常経路の要所に設置されており、
前記点灯制御部は、前記案内経路を誘導する方向に複数の前記誘導パネルを各々点灯させる請求項2に記載の誘導システム。
【請求項4】
前記案内生成部は、前記人間の位置と直近の目的地点の位置とに最短距離で連続する前記平常経路として前記案内経路を生成する請求項3に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記案内経路に利用できない障害が発生した前記平常経路を検出する障害検出部と、
前記案内生成部は、検出された前記障害の前記平常経路を回避する前記案内経路を生成する請求項3または4に記載の誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−155648(P2012−155648A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16222(P2011−16222)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】